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1958-02-21 第28回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十一日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 赤澤 正道君    理事 畠山 鶴吉君 理事 濱野 清吾君    理事 山本 友一君 理事 井岡 大治君    理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    小泉 純也君       關谷 勝利君    塚原 俊郎君       永山 忠則君    原 健三郎君       淵上房太郎君    小山  亮君       下平 正一君    中居英太郎君       正木  清君    眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備部         警ら交通課長) 内海  倫君         大 蔵 技 官         (主計官)   鹿野 義夫君         運輸事務官         (海運局定期船         課長)     中野  大君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         労働事務官         (労働基準局監         督課長)    鈴木 健二君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月二十一日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として永  山忠則君が議長指名委員に選任された。 同日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として河  野金昇君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件      ————◇—————
  2. 赤澤委員長(赤澤正道)

    赤澤委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き陸運及び海運に関して調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。正木君。
  3. 正木委員(正木清)

    正木委員 私は本日の質問は主として運輸省所管の中の自動車局関係についてお尋ねをしたいと思います。そこでまず第一にお尋ねしたいことは、自動車局関係の三十三年度予算関係でありますが、本省関係においては、三十二年度と三十三年度を比較して、予算において一体どの程度増額されたのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。次に陸運局関係でございますが、これまた三十二年度と三十三年度を比較して、予算関係でどの程度増額されたか、この点を数字をあげて明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 運輸本省自動車局におきます来年度予算につきましては、本年度予算に比べまして二十九万一千円の減になっております。これは主として庁費旅費の五%減がこの数字でございまして、本年度予算を一〇〇といたしますと、来年度予算は九五%ということになっております。次に陸運局関係でございますが、陸運局におきましては三百六十九万五千円の減になっております。本年度を一〇〇といたしまして、九七%ということになっております。
  5. 正木委員(正木清)

    正木委員 そういたしますと、自動車局関係予算は三十二年度と三十三年度を比較してみますと、本省においても相当大幅な減額を来たしておる。陸運局関係においてはさらに非常に大きな大幅な減額を来たしておる、こういうことになるわけですが、本省関係における減額がどの点でかように大幅に減額になったのか、また陸運局関係においてかように大きな減額を来たしました内容は一体どういうものなのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  6. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 ただいまの数字の中には人件費が入っておりません。陸運局の場合におきまして五十名の定員化がありますので、人件費を加えますと実質的にはプラスになります。定員増がありますので、私どもの方は定員人件費は官房でやっておりますので、それだけ常勤職員の給与が減少して三十二年度に比して減なりという数字をとっておりますが、実質的に車検登録要員がふえておりますのと、それから先ほど言いました常勤職員定員化する措置が行われておりますので、プラスになるということでございます。全体的にそういった赤が一般的に出ておりますのは、今度の予算におきまして庁費旅費につきまして、頭から五%の天引きをしておりますので、本省のごときは九五%という数字になっておるわけでございます。
  7. 正木委員(正木清)

    正木委員 そこで私はお尋ねいたすわけですが、この陸運局関係庁費旅費を含めて五%を前年度実績予算と比較して減額されたことは、ひとり自動車局関係ばかりではございませんで、政府の御方針と実は承わっておるわけです。私は局長お尋ねしたいことは、なるほど政府方針として一律に五%削減方針が決定されたとしても、特にあなたの所管である陸運局関係で、なるほど定員人件費予算プラスしていきますから、総体的には若干スズメの涙ほどふえる形に見えますけれども陸運局関係の特に自動車検査事業等を勘案してみますと、旅費庁費の中の電話料金その他で、本年度ここに提出されている予算をもってして、果してあなたは完全に局長としての責任を果す御自信があるかどうか、この点をお伺いしたい。
  8. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 その点につきましては、特に車検旅費というものは従前から非常に困っておりまして、われわれといたしましてはできるだけ出張車検その他も行政サービスの向上からやりたいという希望を持っておりましたが、なかなか意にまかせない状態でございます。その意味からいいまして、行政サービスを向上させるという面における仕事は、来年度はむずかしいのではないかということを率直に認めざるを得ないわけでございます。ただ庁費の中で通信費というようなものにつきましては、電話は使えなくなるというような状態ではなくやれるのではないかというふうに考えております。
  9. 正木委員(正木清)

    正木委員 局長も率直に認めておりますから、私はことさらに詳細に質問をすることを避けますけれども自動車車両検査登録機能の充実の面で、あなたのところから当委員会に提出されたこの参考資料をもってしても、こういう思い詰めた表現で実は書かれておるわけです。簡単ですから読んでみますと、「昭和三十三年度までに二・三倍強になっているにもかかわらず、検査登録要員は五%乃至八%の増加をみたに過ぎず、これがため職員労働過重をきたすはもとより、完全な検査登録業務の遂行に大きな障害をきたしている。」こういう思い詰めた表現でわれわれのところに参考資料が出ているわけです。これは職員業務量の問題でございますが、なるほど本省においては出張さすべき職員を出張させないで押えつけるという手はございましょう。それから通信費に関しては運輸省電話を使えましょうが、陸運局所管事項の中で、一体検査するためには出張検査その他もございまして、通信関係というものは決してこれはおろそかにできない。私の承知している範囲では、通信費どころか旅費すらもないというのがあなたの局の第一線事務所現状であることだけは、局長といえども私はお知りになっていると思う。お知りになっておりながら政府の御方針だからといって、三十三年度の実際予算から五%減額して予算を組むときに、運輸省所管の中の自動車局関係については大臣に対してありのままに実際の姿を詳細に報告して、そうしてせめて自動車局関係本省予算及び陸運局関係については、十分に大蔵省と折衝して、そうしてあなたの部下が安心して、公務員として忠実に国民に対して自動車局関係行政全般について働けるような処置をなぜおとりにならなかったか、この点を私はお伺いしたいのです。あなた自身責任をもってやります、御心配はかけませんと、こうおっしゃるのであれば、私はこれ以上この問題については質問をいたしませんが、これは現実にはさよういかないのではないか、このことを私は優えるから実は質問をいたすわけであります。
  10. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 私ども第一線の面の予算定員が、戦後の役所でございますし、また車のふえ方が急速でございますので、十分でないということは私自身も知っておりますとともに、職員組合ともしばしばそういう話し合いをいたしております。また歴代大臣におかれましても、地方へおいでになりましたときには、特に現大臣はそういった事務所第一線並びに車検場状態についても必ず御視察をいただいておりまして、現状は私どもも十分知っておりますので、そういう点については財政当局にも予算のときにも御説明を申し上げましたし、大臣におかれましても、その実情十分御存じで、われわれにも同情のあるお言葉を賜わっておるわけでございます。しかしその点において特にわれわれ予算を折衝する段階においては、先ほど言いましたように車両検査の点についてはほんとうに困っておるわけでございまして、実は昨年の決算委員会にも出まして、十分旅費を払えないためにプールして払ったのは会計法違反であるということで、少くもらっておしかりを受けたというようなこともあるわけでございまして、その点については車両増に伴う旅費は何とか獲得いたしたいということで努力をいたしたわけでございますが、微力にして実現しなかったことはまことに申しわけないと思っております。この予算の御審議を願うについて、われわれといたしましてはできるだけ能率を向上していこう、それには先ほど言いました中でも施設費は本年度予算に比べてほとんど減っておりませんので、今までの古い機械をできるだけかえまして——特にそこにも出ておりますように、品川のごときは現在非常に険しい坂道を自動車をおろすということによってブレーキ・テストをやっておるわけですが、これを機械を入れてやりますと非常に能率が上りますので、そういった面から来年度から業務のやり方について、さらに一段と工夫をしてやって参りたいというふうに考えておるわけであります。
  11. 正木委員(正木清)

    正木委員 自動車局予算関係審議するについて問題になるのは、国民に奉仕する大きな公共的な事業としても、この車体検査登録業務というものがおのずから中心になる問題であります。そこで次にお尋ねしたいと思いますことは、この登録対象車両数並びに検査対象車両数でございますが、三十年度、三十一年度、三十二年度、そして三十三年度というように、一カ年間で何十万台くらいの車両が実際にふえてきているのか、これをまずお伺いしたいと思います。
  12. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 車両にいたしましても、登録する車両車検を受ける車両とは幾分違いますが、正確な数字を申し上げますと、三十一年度登録車両数は九十九万三千九十八両でございます。これが三十二年度になりまして、百十七万四千二百両となっております。検査対象車両数におきましては、昭和三十一年度が百四万五千九百九十九両、三十二年度が百二十三万三百両となっておりまして、このほか登録を受けないというようなものもあるわけでございますが、常識からいって現在年間三十万両くらいずつトータルでふえておるというふうに御理解願えればよろしいのではないかと思っております。
  13. 正木委員(正木清)

    正木委員 そうしますと、年間常識的に見て三十万ずつふえていくのだ、こう見て間違いないわけでございますね。そうするとおのずから検査手数料の問題に関係を持ってくるわけですが、検査手数料実績というか、収支決算とでもいいましょうか、それはどのような状態になっておりますか。これも数字をあげて御答弁願いたい。
  14. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 現在登録関係手数料につきましては、二十五年からの資料がございますが、二十八年くらいまでは赤字を出しておりました。しかし二十九年からわれわれの方の手元にありますものでは黒字になっておりまして、三十二年度では一億二千六百八十万円くらい黒字になる予定でございます。
  15. 正木委員(正木清)

    正木委員 台数において三十万台、その検査手数料において三十一年度においては九千四百万円の純黒字が出た、三十二年度決算はまだしないにしても、今局長から御答弁があったように一億二千六百万円くらいの黒字は出るであろう、三十三年度においては一億八千九百万円の黒字が出るであろう、これが自動車検査事業の実際なんですね。こう考えてよろしゅうございますね。
  16. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 この黒字赤字の取り方でございますが、私どものこの計算の基礎に入れましたものは、事務所以下の第一線の人の人件費、あるいは庁費旅費検車場施設費減価償却というものを入れております。ただこのほかに本省の私の給料以外間接的な陸運局費用というものは、計算が非常に複雑でどの程度かよくわかりませんので除いておりますが、それでこういう数字になっていることを御了解願いたいと思います。
  17. 正木委員(正木清)

    正木委員 局長答弁は大へん御親切で丁寧過ぎて、本省自動車局長給料原価計算でこの中に入れるとすれば、大臣給料をどこに入れるかという議論が当然出てくると思う。きょうは大蔵省からも出席のようでございますが、私はこういうようなことはいかに御親切であっても御遠慮あってしかるべきものである、常識の外ではないかと思います。  そこでお尋ねしたいことは、第一線で働いている陸運局関係職員の数でございますが、年々歳々三十万台ずつふえてくるとすると、人間の能力にはある一定の限界点があるわけでございます。そこで車両台数は三十万台ずつふえてくる。その結果検査手数料においても年々急速な勢いで純黒字がふえてきているということは、今あなたの答弁で明確になりましたが、さてそれに従事する職員の数というものは、昭和三十年度から三十三年度に至る間で、どういう形で職員の数がふえてきているのか、数字をあげてお答え願いたい。
  18. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 登録関係におきまして三十年度要員は二百六十一名、三十一年度が二百七十二名、三十二年度が三百名、それから検査要員につきましては、三十年度が六百三十二名、三十一年度が五百五十七名、三十二年度が六百九十七名となっております。
  19. 正木委員(正木清)

    正木委員 それで三十三年度登録要員でどのくらいふえて、検査要員でどのくらいふえたか。
  20. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 定員が十九名、常勤で十一名もらっておりまして、その検査登録要員の内訳はまだ決定しておりません。
  21. 正木委員(正木清)

    正木委員 そこで私はさらに具体的にお尋ねをするわけですが、台数は三十万ふえてくる。ところが実際はそれの仕事に携わる職員は遅々としかふえていかない。ですからそこに当然大きな無理が出ることは、これはどなたがお考えになっても常識でおわかりになるわけです。ところでこれは一つの全くの例ですが、こういうことはございませんか。当委員会でしばしば繰り返えされたことは、第一線職員が足りないために、第一線陸運事務所では車体登録検査等に人が足りない、予算が足りない、そこで万やむを得ず業界から足りない人の応援を受ける、こういう事実は当委員会でしばしば指摘されたのですが、現在でもそういうことがあるのじゃありませんか。私はあると承知しておりますが、これに対してあるかないかの点を明らかにしてもらいたい。
  22. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 この問題につきましては当委員会でしばしばおしかりを受けましたので、私といたしましてはできるだけそういうことをやらないようにという強い指示をいたしました。また二十九、三十の両年にわたりまして常勤職員を三十六名ずつもらいましたが、それはやはりそういうものをなくす前提としてもらって参ったわけでございまして、私といたしましても極力そういうことをやらないように指示をいたしておりますが、実情におきましては一、二カ所どうしてもどうにもならないという個所がございまして、その陸運局につきましてもできるだけ早くそういうものを解消するように、少くとも行政事務に携わる者には使っていないというふうに理解をいたしております。
  23. 正木委員(正木清)

    正木委員 まあ公けの議会での答弁ですから、局長としてはそう答弁をなさるより仕方がないと思うのです。しかし現実にはどなたが考えても、三十万台からふえる自動車登録検査事業をやるのですから、やれという法律命令があるわけですから、それを限られたごく少数の職員でやるのですから、現実にはできないのです。できないから私の調査したところによると、全国で足らないこの職員をカバーするために業界からの人的な協力を受けている員数は大体において百二十名から百五十名と私は承知しておる。こうした現実の問題が現にあるという事実を運輸大臣はよく承知してもらいたい。検査事業では相当の成績を上げて相当の黒字も出すが、一方では実はこういう行政上の大きな欠陥があるのだ。これはよく承知してもらいたい。同時に大蔵省主計官も、御答弁はいただきませんけれども、この実態をよく御承知おきを願いたい。  そこで重ねて私は質問するわけですが、当委員会でしばしばこのことが指摘されたために、局長からはどういうことが第一線の方にいっておるかというと、部外者からの人員協力に対しては厳重な拒否をするという通牒がいっておる。なるほど役所としては、委員会で繰り返し問題になるのですから、表面そういう通牒を出さなければならないでしょう。しかし第一線事務所から申し上げますと、登録もやらなければならないし検査もやらなければならない。やることが国民に対する奉仕であり、国の公務員として当然な仕事ですから、背に腹はかえられないからこういうような非常処置をとる。これが残念ながら今の第一線陸運局、その下の陸運事務所実態である。だから自動車を持っている民間人から痛烈な批判がわれわれのところに上ってくる。業界からも非常に深刻な抗議がわれわれのところに当然上ってくる。こういうことが果して運輸省の中の陸運行政が明朗にいくかどうかという問題が、そこから出てくるであろうかということを私は心配するのでありますから、この点を実は強力に主張していることを、大臣大蔵省主計官も心に銘記しておいてもらいたいと思います。  その次にお尋ねしたい点は、第一線陸連事務所では、自動車台数が加速度的にふえるので、出張検査をやらざるを得なくなっておる。県に一カ所しかない検査所では登録検査も思うようにいきませんから、第一線の所長としては好むと好まざるとにかかわらずこの出張検査をやらなければならぬ。この出張検査をやるための旅費通信費その他の経費が、実は全部三十三年度においても犠牲になっておるのです。そうでしょう。局長はこの点を委員会で明らかにしておいてもらいたい。答弁技術ではなく真実として関明らかにしておいていただきたい。
  24. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 全体的の数字から見ますと五%の削減を受けております。これは全部受けているわけでございますが、一方におきまして陸運局が重点的にそういったような予算をつけていくのではないか。そういたしますと、ほんとう出張車検というような問題になると、陸運局長にも十分話をしなければならないのでございます。できるだけ民間車両を持っている方々に御不便をかけないような予算の組み方をしたいと思いますが、陸運局旅費が非常に少くて、その中で車検関係旅費が非常に大きいものでありますから、十分のことはできないであろう。そうなりますと、われわれといたしましては、できるだけ本場車検能率を向上せしめて、そこで能率を上げることに行政の重点を指向せざるを得ないというふうに考えております。
  25. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 関連して一、二点だけお伺いをいたしたいと思います。正木委員から詳しく予算関係についてその不足しておる状態を述べておられましたが、私も全く同感であります。自動車行政というのはいわゆる沈滞し切っておるというのが、これが今の実情であると私は断言してはばからないのであります。今の検査手数料点等につきまして、これもたくさんあれだけのものをやって、どうにか間に合わしておるというのは検査を粗雑にしておるので、定員の足らざるところを補っておるというのが今の実情でありまして、そのために事故が頻発しておるというふうなことは、これはたとい自動車局長はどのように言っておられても、それが現実の姿であると私は考えております。正木委員も指摘をしておられまするのでこれ以上は申し上げませんが、鹿野主計官はそこで聞いておられるので、国が検査手数料でもうけておる、一億余りのものをもうけておるというふうな状態でありますので、定員をふやせないために粗雑な検査をして、そうしてたくさんの自動車をやって、そのために国が費用を出しておるのだというのでなくして、検査手数料でもうけておるというのが実情でありますので、こういう点はよくお考えを願いまして、三十三年度において、私たち予算関係でそのこともよく自動車局から大蔵省へ陳情するように、そして予算をもらうようにということ、大蔵省がもうけない範囲にしてもらいたいということを言っておったのでありまするが、やはり依然として今年も改められておらないようでありますので、これは三十四年度からは必ずこれを改めるというふうに一つ御配慮を願いたいと思います。これはあとであなたから御答弁を願っておきます。  なおこの旅費点等につきましても、少いことは、これは出張検査しようにもどうにもならないというふうなことで、もし出張検査をする際には、いろいろな費用が業者の負担になっておるということもこれは間違いないのでありまして、非常に気の毒なような状態であります。そういうふうなところからこの出先陸運事務所あたりの役人というものは、何といいますか業界にすべての費用を負担せしめるということが通例のごとくになって、自動車行政が乱れておるというのが今の姿であります。もう少しこの点につきましては自動車局長も来年度予算、三十四年度予算審議の際には、よくこの点は留意して折衝していただきたいと思います。  なおこの旅費その他が少いというふうなことにつきましての一つの例でありますが、すべて自動車局予算はそういうふうになっておるということを主計官もよく聞いておいていただきたいのでありまするが、自動車運送協議会というものがあります。あなた方その存在もひょっとしたら忘れておられるくらいかもわかりませんが、九つ陸運局には道路運送委員を廃止して以来というものは、自動車運送協議会というものができております。それに対しまする委員の手当、旅費、なお参考人のまで含めましてでありまするが、これが昨年の予算が三十九万二千円、ことしのがすべてを含めまして五分引きで三十八万一千円、これを九つ陸運局で分けて、一つ陸運局に大体委員が九人おります。そうすると八十一名であります。参考人を十人呼びましても大体九十人余りになって参ります。そういうふうなもの、臨時委員を合せますると、おそらく百名以上になると思いまするが、それに対しましてのが、これが三十九万二千円が三十二年度、三十三年度が三十八万一千円であります。どんな分け方をして、どんな旅費の使い方をするのでしょう。私たちはこれはあまりにも自動車局というものが自動車運送協議会というものを無視しておると思う。私たちはあの道路運送法改正に当りましては、あの自動車運送協議会というものは個々の事案にはタッチいたしませんけれども、これで需給関係はよく検討して、協議会をたびたび開いて実情に合うような自動車行政をやってもらいたいというので、非常に重きを置いてわざわざ自動車運送協議会というものをこしらえたのであります。ところがこの自動車運送協議会というものは開かれておらないというふうな実情であります。ほとんど開かれておらないのであります。開く場合にはすべて出先陸運局あたりが原案を作ってそうしていよいよせんじ上げたときに形式的に一回だけ呼んで、そこでこういうふうにしたから御了承願いたいというのが、これが実情であります。私たちはそんな自動車行政をやらそうとして、あの道路運送法改正をやったのではないのであります。それにこういうような予算で何にもふえておらない。これを五分引きにされたまま、そのままで唯々諾々と引き下っているのが自動車局の今の状態でありまするが、これについてはどういうふうな交渉をせられたのか、自動車局長の交渉の経過をここでちょっと御答弁願っておきたいと思います。
  26. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 五分引きの問題につきましては、客観的にわれわれの方といたしましてはそうでない、そうでないようにというお話を申し上げたのでありまするが、一般的な方針でございましていかんともすることができないので、納得せざるを得なかったという次第であります。
  27. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 一般的な情勢であるといいましても、ほかはそれでやっていけるような予算を持っておったから、それが五分引きというようなことになるのでありまするが、去年これはどうしてこんなことでやれるかと言うたときに、やれませんと自動車局長は言うておったはずでありまするが、それをさらに削られてそのままになっているのであります。こういうようなことはもう少し強く主張して、これを増額というふうなところに持っていって、無理のあるところは直していくということが仕事でないかと思うのでありまするが、そういうような点について自動車局長の努力の足らなかったところもあるかと思いまするが、大蔵省はこれは無理だというようなお考えはありませんか。今の車検の人員の関係自動車運送協議会委員旅費手当すべてで三十八万一千円ですよ、三十三年度は。これでやれるとあなた方お考えになりますか、一つ答弁を伺っておきます。
  28. 鹿野説明員(鹿野義夫)

    鹿野説明員 年々自動車台数が先ほどからも御説明のありましたように相当に増加しておりまして、その登録及び検査事業量も著しいふえ方をしているということはよく存じております。それに伴います予算につきましては、先ほどから御指摘ありましたように、年々それほど十分なる増額をしておらないのではないかというお話もございますが、全般的なきびしい予算の編成の中で、事業量に伴って十分の予算をつけていくということはなかなか困難な実情にあるのでありますが、三十三年度予算につきましても一応やはり重点といいますか、一番問題となりました車検場の施設その他の整備という問題を私らは中心に考えて、そちらにある程度重点を置いて予算を組んでおりましたのですが、一方旅費庁費関係につきましては、先ほどから再三おしかりがありますように、相当強い行政全般についての節約ということで、五%の旅費庁費の節約の方針が打ち立てられまして、大なり小なりの監督を一斉に受けたわけでありますが、小さいところはなかなかそれだけきき目が残るということもわれわれ内部からいろいろ議論を尽したわけでありまするが、これがよしこれが悪いということになりますと、全面的にそういう行政節約ということは非常に困難な、正直に申し上げまして問題になります。若干きき目を残しながら、全体の行政の経費の節減をはかりまして、それをいろいろ重点的な施策に投じていくというような編成方針に、私らも一緒になりまして予算を組み上げたものでございますが、今おっしゃられたような協議会庁費旅費につきましても、おっしゃられたような意味での相当の無理があることにつきましてはいなめないかと思いますが、今回のものにつきましてはある意味ではやむを得なかったように、はなはだ遺憾でございますが、今後来年以降の問題につきましても、われわれ担当の主計官といたしましては、まだ認識の足らざるところは、ただいまもおしかりがあったようでございますし、十分勉強して努力をいたしていきたいと思います。
  29. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 大体努力をいたしたいというようなことでありますが、こういうふうなものが非常にアンバランスな点が多いので、その点今予算が提出された後にとやかく言うのは時期がおそいと思いますが、鬼が笑うかもしれませんけれども、来年はこの事柄を忘れないように、一つ査定に当っては御留意を願いたい。自動車局長もそばで聞いておるのだから、よくこれを頭に入れて、来年は無理のいかないような予算を獲得するように一つ御努力を願いたい。  次にお尋ねいたしたいのは自動車の賠償保険の関係でありますが、これにつきましては大体三割程度のものが保険をかけないでそのまま素通りしておるというのが現状であります。これについて私はたびたび局長のところにも行って、これをなくする方法をというようなことで申し上げたことがあるのでありますが、大体組合保険に持っていくというのが一番理想的であり、それがもし今の場合に諸般の情勢でむずかしいということであるならば、第三十条を変更いたしまして、保険会社の保険の窓口というものをそれぞれのユーザー団体に持っていったならば、ユーザー団体においては責任を負うというようなことを言っておるのであります。これはユーザー団体で言っておることを聞きますと、なるほどできるであろうというふうに考えるのでありますが、これに対しては保障課長あたりは何にもこれを頭に入れておらないのか。それを努力した跡が何にも見られないのでありますが、これに対してはどういうふうなお考えを持っておられますか。この保険は強制保険であります。この強制保険で三割ほどのものがかけてないのを、みすみすそのまま見のがしておるのが今の自動車局状態であります。これを全部かけさせるようにするためにどういうふうなことを考えておられるのか、その点伺っておきたいと思います。
  30. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 現在保険の加入率は八四%と計算されております。この保険につきましては、ただいま仰せのように強制保険でございまして、百パーセントかけなければいけないということは御指示の通りでございます。それにつきまして、私どもの方といたしましても百パーセントになるように努力いたしておるわけでございますが、この保険が新しくスタートいたしましたので、かけない人をすぐ罰則によって強制をするということもいかがかということで、当初におきましてはPRをできるだけやったわけでございます。しかし一年くらいたちましてもまだ入らない方々につきましては、それが判明いたした際には検察庁に告発の手段もとっておるわけでございます。また法制的な点につきましてもいろいろ勉強はいたしておるわけでありますが、組合保険につきまして、御指示の通りそれが非常に有効なことであるということはよく存じております。しかし強制保険でありますために、一般の共済組合のやる保険と違いまして、第三者の被害者のための保険でございますので、その担保を一体どういうふうにして確保するかということがなかなか問題でございますので、目下検討いたしておるわけであります。またその窓口を一定にするということが、車が保険に入っているかいないかということを見るのに最も適切な方法であるということもよくわかるわけでございますが、現在保険会社の代理店が一万三千くらいございまして、ユーザー団体のそういった窓口が一千くらいございますために、果してそれで全部加入者に不便なく加入の促進ができるかというような点につきまして、検討を進めておる状態でございます。
  31. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 組合保険が理想的であるが担保の関係でということになりますと、自家補償あたりもどうなるかというふうなことにもなってくるのでありますが、自家補償と同じような程度の力のできるような協同組合と申しますか、そういうようなものを作ってやるということなら、決してそういうようなことはむずかしいことではない。それを一向その方へ進めようという努力をしておらない。いつまでも思案投げ首をしておったのではよくなるはずはないのでありまして、この辺は特にお考え願いたいと思います。特にユーザー団体が、今一万幾らあるのが一千くらいしかないからということであります、ユーザー団体は、これは各業態別のもので、それぞれ各県にあり、その支部というふうなことがありますので、私はこれはやったならば必ずできる。そうしてそれによっていろいろな事案の解決というふうなことも早くできるのだ。今の自動車補償関係の解決は、保険会社あたりがやっておりますのは、なかなか容易に解決しておらない。その統計等を、そういうふうな事件が幾らあって、それに対して解決がどれだけついておるかということを次の委員会までに資料として提出していただきたいのであります。ユーザー団体はそれは責任を持って台帳によってやっていこう。それについて実際にこの前あの法律を通過せしめます場合に、主としてそういうふうなことでやるのだという申し合せでありますので、準備を整えたのが各ユーザー団体の実情であったのであります。それを保険会社が自家扱いというようなことでやって、そうして未処理のものも多い。三割のものもまだとれてない。保険会社というようなものはいろいろほかの保険と一緒にやっておりまするので、そのためにごきげんをとらなければならぬというので、実際の業者の団体がやるような調子にはいかないことは、業界実情がよくわかっている者ならすぐわかるのであります。そういうふうな点を考慮せられまして、この際早急に、少くとも三十条の「その他の者」というのを削るような方向へ持っていかなければ、とうていこのかけないで済ましておる人間を解消する、百パーセントこれを払い込ますというようなことはできませんので、この点はぜひそういうふうに進めてもらいたいと思いますが、それについて局長はどういうふうな考えを持っておられますか、もう一度伺っておきたいと思います。
  32. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 御趣旨よくわかります。それはこの法案が通りました際の附帯決議もそういう趣旨がありまして、われわれはその趣旨に沿って検討いたしておるわけであります。ただ私どもといたしまして、そういった点で検討いたしておりますが、これは運輸省大蔵省と両方にかかっておる法案でございますので、関係官庁等とも協議いたしまして、問題の解決をはかって参りたいと思っております。
  33. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 その問題につきましては、これは場合によりましてはその三十条の「その他の者」というのを削りますのは、議員提案というようなことででも出さなければならぬということになるだろうと思いますが、そういうふうな場合に大蔵省がどういうふうになるか、その点至急大蔵省と折衝していただきたい。これは答弁は要りませんが、必ずやっておいて下さいよ。  それからもう一つ税金の問題でありますが、これは自家用のトラック、自家用の乗用車の点につきましては、自家用の高級車と営業用とで、自家用の方が税金が高いということはうなずかれるのでありますが、自家用のトラックに対して、これが自家用なるがゆえに高いというようなことは合わぬわけであります。ことに自家用車を持っておりまするのは中小企業をやっておりますものが非常に多いのでありますが、中小企業者が自分のうちの荷物を運ぶために持っておるというのが非常に多い状態考えますると、これは営業用と同じように自動車税というものは引き下げるべきだと私たち考えておるのでありますが、荷車税を廃止し、自動車税を廃止するという声が出てきたならば、自動車局からこの自家用のトラックだけは営業用と同じようにすべきもの、むしろ全廃すべきところまでの折衝がなされなければならないと私たち考えるのでありますが、この点についてあなた方努力をせられたことがあるのかないのか、一つ伺っておきたい。
  34. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 現在自家用のトラックと営業用のトラックと税率が変っております理由といたしましては、営業用につきましては車両の交換といいますか、交代をある程度義務的にやらしております関係もありまして、営業用の税金を引き下げておるわけでございます。御趣旨もよくわかるのでありますが、現在の税制の関係からいいまして、果して十分そういうことが実現できますかどうか。実は地方税の関係では、正直に申し上げまして、運輸省でも正式にそういった税金の減額を要求した事実はないわけでございますが、よく考慮いたしてみたいと思います。
  35. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 交渉したこともないというふうなことだと、おそらくあなたは荷車税や自転車税が廃止になったことも御存じないだろうと思いますが、この自家用のトラックあたりが、自家用なるがゆえに税金が高いということはおかしいのであります。そういうことにつきましては、大蔵当局、自治庁あたりとよく折衝していただきたいと思います。必ず交渉するという御答弁をいただきたいのでありますが、大体自治庁あたりは、歳入欠陥ができて地方の財政にひびがいくというようなことを言いますが、自然増が毎年十五億くらいあるのですよ。それでことし自治庁が自然増をどれだけ見ておるかというと、わずかに一億程度しか見てないのであります。そういうことで、財源の関係にどうこうということはない。むしろ自然増が多過ぎる程度にまでいっておりますので、この点自治庁あたりとよく折衝していただきたいと思います。今まであれだけの声がありながら、自動車局としてはこういうことを一つも取り上げておらない、交渉しておられないというふうなことは、一つの怠慢といわなければならないと思います。自動車局は何にも仕事をしなければいいのだというふうな態度が見えると各方面から言われておるのは、私はこういうことについても言われておるのだと考えますが、これについてはあなた方、これから先どういうふうにしていかれようとしているのか、その点一つお気持を伺っておきたいと思います。また実際にするならする、しないならしないとはっきり御答弁願います。
  36. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 自動車税につきましては、今までいろいろ自治庁、大蔵省にも折衝したことはあるわけでございますが、根本的に言いまして、われわれといたしましては、自動車というものは固定資産というような関係からいいまして、固定資産税としての税率の引き下げとして考えてもらえないかという話は、従前からいろいろしておるわけでございます。
  37. 赤澤委員長(赤澤正道)

    赤澤委員長 関連質問が少し長くなりますから、簡単に願います。
  38. 關谷委員(關谷勝利)

    關谷委員 荷車税あるいは自転車税が廃止になるようなときでありますので、一度自治庁とよく交渉して、この点あたりの矛盾のなくなるように御努力を願いたいと思います。関連質問で、あまり長くなりますので、これで打ち切ります。
  39. 正木委員(正木清)

    正木委員 そこで重ねてお尋ねするのですが、關谷委員も触れたように、この出張検査は全然予算措置が講じられておらない。講じられておらないために、どうにも動きがつかない。そのどうにも動きがつかない一つのいい具体的な例を、私はここでありのまま一つ参考までに申し上げてみたいと思うのですが、これは長野の例でございます。旅費もなければ超過勤務手当も全然ない。もう三十三年度に至ってはさらにない。そこでどういうことが行われているかといいますと、たとえば長野に事務所があって、松本に検査に行くという場合には、長野発午前八時に乗って、松本へは十一時に着く。そこで今度帰る場合はどうかというと、松本発を午後三時に乗って役所に帰ってくる。ですから、お昼休みを三十分抜いて、実際に検査する時間はわずかに三時間しかない、こういうことが現実に行われているわけです。そこでこういう下からの不平にこたえて、本省ではどういう処置をとったかというと、出張検査はまかりならぬ、こういう通牒を出したと私は聞いておるのであるが、これが事実であるかどうか、これをお答え願いたい。
  40. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 全般的な出張検査をとめるということは、事の性質上むずかしいわけでございまして、全般的にとめるということはいたしておりません。ただ、ただいま御指摘のございましたように、人と人の関係旅費関係というものがございますので、出張車検を相当程度集約しなければならないということが現実の問題として起っておりますので、その際はこういった基準でやれということは言っております。その基準といいますのは、車検場車検場の間が、大体の標準でありますが四十キロ、それから所在の車が五百両以上のところにはそういった方法でサービスをしたらいいであろう。ただ山間僻地とか地理的条件があるから、そういったものをしゃくし定木にやらないようにというような通牒は出しておるわけでございますが、繰り返して申し上げますように、われわれといたしましても車両検査のために職員が一人機械を持っていけば済むものを、多くの自動車に遠路集まっていただくことは、国家的に不経済だということは十分存じておりますのと、そういうことを考慮することが行政サービスとして当然のことだということもよくわかっております。しかし現実といたしましては、人と予算の面からそういった集約をせざるを得ない状態であるという実情も御了承願いたいと思うわけでございます。
  41. 正木委員(正木清)

    正木委員 私としては了承するわけにいかないのですが、そういうあなた方の行政措置の結果、三十三年度予算のワクの中には全国で何十カ所の検査場を置く御方針なのか、それをお答え願いたい。
  42. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 三十二年度に現在出張検査をいたしておりますところは三百七十六カ所でございます。われわれといたしましてはただいま申し上げました趣旨より、本年度は十分ではございませんが、三十一名の増員を頭数でもらいましたので、これを活用いたしまして車両増に対応して、少くとも現在通りの出張検査は続けていくように努力をいたしたいと考えております。
  43. 正木委員(正木清)

    正木委員 今の御答弁、非常に違いがありはしませんか。三十二年度で出張を三百七十六カ所やったということは私の調査でも明らかでございますが、これを年度別に見ますと、三十年度、三十一年度は全国で四百四十一カ所、それが台数増加に伴って予算、人員の関係で三十二年度ではあなたの答弁通りこれを三百七十六カ所に減らした。ところが三十三年度に至っては、本省からの強い通牒に基いて、今の計画通り行うとすれば、わずかに全国で五十五カ所の検査以外にはできない、私のところにはこういう調査資料があるわけです。あなたの言うことに間違いございませんか。この三百七十六カ所は今年度職員もふえたし、必ずこれをやることを責任を持ってここで明らかにできますか。私の調査では五十五カ所しかできない、こうなっておりますが……。
  44. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 五十五カ所という数字はちょっとわれわれの方はまだよく検討いたしていないわけでございますが、私の方といたしましては、先ほどからしばしば御指摘を受けておりますように、旅費その他の点におきます隘路はございますが、どうもこれ以上減らすことは困難ではないかという気がいたしておるわけでございます。それでわれわれの方でそういう五十五カ所という来年度の計画をしておることはないと思っておりまして、現実には来年度何カ所くらいできるかというこまかい数字はまだ検討はいたしておりませんが、私の気持といたしましては、現状以上に減らすことは客観的に非常に困難ではないかという気持を持っておりますので、今のところは現在の出張検査くらいは継続をするように何らかの工夫をいたしたいと思っております。ただそれは大丈夫かというお話になりますと、少くとも上期については大丈夫だということは言えますが、御承知のように車は逐次ふえて参りますので、それでは来年になって大丈夫かと言われましても、車のふえ方が今のような状態であるかどうかということにもよるわけでございますが、少くともわれわれの行政努力といたしましては、このくらいはやっていくように努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 正木委員(正木清)

    正木委員 そこで私の意見になるわけですが、先ほど速記録に残すために、具体的に長野県の例を引いてお話ししたのですが、今年度予算人員の点から言うと、三百七十六カ所は非常に困難だ。やったとしても形式上のことしかできないのだ、こういう結論になることはもう常識で明らかでございます。そこでこの三百七十六カ所を出張検査をやることになると、前段で私が質問をいたしましたように、業界からいす、テーブル、職員の果てまで、茶菓の接待まで受けるという現実の問題がさらに増加してくる。これは必然的にそうなってくる。そういうことが行政措置として一体好ましいものであるかどうか。運輸行政上の問題が出てくるし、同時に政治的な問題も出てくる。こういうことについては大蔵省主計官実態を十分に御研究を願いたい。  次にお尋ねしたいのですが、この問題では最後になりますけれども自動車局所管陸運事務所、独立した庁舎、すなわち役所を持っておるものは全国で何カ所でありますか、これをお尋ねいたします。
  46. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 現在全体の数を持っておりませんが、繰り返すようでございますが、自動車局事務所というものができました歴史が新しいので、逐年新しくしつつあるわけでございまして、来年度におきましても山口、熊本という車検場の整備とともに、そこに併置をいたしまして事務所も作る予定にいたしておりますが、全体の数字につきましては、ただいま調べまして御返事申し上げたいと思います。
  47. 正木委員(正木清)

    正木委員 私の調査したところでは、全国でわずかに独立した事務所というものは十カ所しかないのです。あとの三十カ所余りというものは、実は業界の建物の一部を借りてそこで業務を行なっているというように、私の手元ではそう調査ができているわけです。こういう現状から見ても、自動車局長は非常に御心労なさっておられるのだと思うのですが、世間では自動車行政については好ましくないうわさだけが出てくるのが現状ではありませんか。百三十六万五千台、検査を行うものでも百二十三万台からの登録検査、こういう大きな法に基く事業をやっており、その他いろいろのものを取り扱わなければならない陸運局のさらに第一線陸運事務所が、独立した庁舎を持っておるものは十カ所、あとは業界の建物の事務所の一部を借りて、同居をして業務を行なっておるものが三十カ所近くもあるという現状が、果してよいのか悪いのか。国全体の予算を組む場合に、こうあるべきだという方針を立てたからといって、こうした現実のこの事実を無視してなおかつ一律にものをはめてしまうという、このものの考え方が一体正しいのかどうか、こういう点については十分考えていく必要があるのじゃないか。昔の人はいいことを言っておる。捕えてみればわが子なりで、みすみすそういう方向へ追いやっておいて、結果論からだけでそのものを責めるという無慈悲な行政処置というものはあり得ないと思う。予算がどうのこうのと言うけれども、先ほど言ったように旅費もない、超勤手当もないから、仕方がないから朝八時に出かけて行って松本へ十一時に着いて、松本発午後三時に乗って役所へ帰ってくる、そうして国民に奉仕すべき執務時間というものはわずかに三時間しかない、そういうことが全国で繰り返されておる。よけいなことをやるとおしかりを受ける、苦しくなるから本省としてはどういうことをやったかというと、出張検査はまかりならぬ、出張検査まかりならぬというのでその規則の通りやるとすると、四百四十一カ所が三百七十六カ所になり、今年などは五十五カ所しかやれない、こういうことで果たしてよいのかどうか、これがわずかな短かい時間の中で、自動車局関係車両検査登録業務予算関係する内容の実態である。私の調査したところではこれが実態である、こういう点については、私は大蔵当局も十分考え直していただかなければならぬ、こう思います。  そこで、次にお尋ねしたいことは、全駐労の失業対策の問題でハイヤー、タクシー免許申請に関する件についてお尋ねをしたいと思うのですが、このことは前回の委員会でも同僚委員から非常にやかましく問題になった点でございますが、閣議決定事項に基いて、中村運輸大臣からそれぞれ自動車局長にも通達されているわけですが、一体ハイヤー、タクシーの免許申請が全国でどれくらい出ておるか、各県別で一体どれくらい申請の手続がとられておるのか、そして現に許可になった件数は何件許可になったか、しかもその許可をした県はどこなのか、これを一応ここで明らかにしてもらいたい。
  48. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 まずただいままでの申請の件数から申し上げますと、現在手元にあります資料によりますと、名古屋で一件、福岡陸運局で一件、仙台陸運局で五件、大阪陸運局で四件、東京陸運局では東京特別区で九件、その他で十件でございます。それから新潟陸運局で一件、処理済みの件数といたしましては、免許が五件、却下が八件、認可が一件というようになっております。
  49. 正木委員(正木清)

    正木委員 そこで申請の各県別の数もわかりましたし、それから却下されたものもわかりましたし、許可になったのもわかったのですが、一般論的に見て、自動車局としてはこの種の申請に対してどういう御方針で臨んでおるか、その方針なるものをここで明らかにしてもらいたい。
  50. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 この駐留軍労務者の離職関係につきましてはまず三十一年三月二十六日に私どもといたしましては閣議了解の線に沿った措置をするようにという通牒を出したわけでございます。それから現在行われております米軍撤退に伴います離職者の発生が大規模であるということで、政府におきましては離職者対策を推進いたしますために、三十二年九月二十四日閣議決定をいたしております。そこで私どもの方はその趣旨に沿って各陸運局長が配慮するよう、同年九月二十八日直ちに各陸運局長あてに通達をした次第でございますが、さらに同年の十二月十三日には関係申請事案の処理を促進するように大臣名で電報を打っておるわけでございます。これが現在までやりました事務的な経過でございますが、根本方針といたしましては、駐留軍離職者がハイヤー、タクシーあるいはその他の自動車運送事業の免許申請をしました場合には何といっても道路運送法の第六条の免許基準に照らして、当該事業開始の具体的適切性のあるなし、あるいは当該区域におきます需給関係事業遂行能力というようなものを十分審査いたしまして、その免許基準に適合するものが免許されるのは一般の場合でも当然でありますが、この場合におきましては法のワク内において優先的に取り扱うという、先ほど申し述べました閣議決定の趣旨を十分各陸運局長は含んで、事の審査に当るように指示をいたしておるわけでございます。
  51. 正木委員(正木清)

    正木委員 今御答弁がありましたように、私の承知しているのでは、十二月十三日に電報で各陸運局長に善処方を指示しておるようでございます。それは今答弁で明らかになったのでございますが、実際問題として東京都の場合は一体どうなのか、大阪のような場合にはどうなのかという、今駐留軍が申請しておって現実に問題の起きておるところの現地の局長が一体どういう取扱いをしておるのか、それについて一つお聞かせを願いたい。
  52. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 問題はいろいろあるわけでございますが、ハイヤー、タクシーの場合にのみ限って御説明を申し上げますと、ハイヤー、タクシーの場合におきましては、全国的に常に陸運局長が判断できる地域と、自動車運送協議会にかけてその判断によって陸運局長行政できる地域と、二つに分れておるわけでございます。御指摘のように東京あるいは大阪というものは、全体の自動車運送協議会の決定に従った需給調整というものが行われておる地域でございまして、その地域において陸運局長が単独で決定を出すということは法律上設けられたそういう諮問機関の意思を無視してやることは妥当でないということになります。そこで陸運局長が申請を受け付けましてその必要があるということになれば、それぞれの自動車運送協議会の意見を徴して、しかる後に陸運局長行政措置をするということになるわけでございます。
  53. 正木委員(正木清)

    正木委員 そこで重ねてお尋ねをしますが、現実の問題として東京地区においては、需給調整の問題が具体的に答申されたのは昭和三十年ではございませんか。すでに三カ年を経過した今日においても、当時の答申が基礎になって依然として自動車の問題が一般的に議論の対象になっておらないというところに、せっかく政府並びに運輸大臣が特に大きな失業問題として政治的に取り扱ったこの駐留軍の離職者対策に対する各種免許の点も、暗礁に乗り上げておるというのが実相ではございませんか。そうなりますと政府の御方針、実際は自動車局並びに第一線の機関である陸運局長行政的な取扱いが、いやでもおうでも大きな政治的な問題として論議されることになると思うのですが、その真相は一体どうなのか。私の調査したところでは、東京都においては昭和三十年にこの需給調整が答申され、それ以後今日これだけ自動車台数がふえておるのに、こういうような状態で依然として全然諮問がされておらないというのが現状だと心得ておるのですが、実際はいかがでしょう。
  54. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 御指摘のように東京都の特別区の存在する区域の需給の状態につきましては、昭和三十年十月五日に現状維持が適当であるという答申がなされておるわけでございます。それで東京都におきます情勢というものは相当いろいろ、単に需給ということだけでなく、いわゆる東京における事故、交通安全の問題もいろいろあるわけでございまして、相当問題が多いわけでございますが、もしも東京都についていかにするかという問題があれば、先ほど御答弁申し上げましたように、東京陸運局長自動車運送協議会の意見をどうしても聞かなければならないということになるわけでございまして、繰り返して申し上げますように、これは需給調整の区域になっておりますので、そういう行政手段が必要かと思います。
  55. 正木委員(正木清)

    正木委員 局長いかがです。これは大臣とよく御相談なすって、東京都の陸運局長に対して諮問すべき事項については十分諮問をして、実態を明らかにする。三年も経過しているのですから、明らかにするという行政措置をおとりになったらいかがです。ほおかぶりをしているので世間からとやかく言われるのですから、実際に公開の席上で諮問をし、意見がある者には十分意見を言わせる。こういう明朗な行政措置をおとりになれば、私らも問題がどこにあるのかが明らかになってくると思うのです。それをおやりにならないでいるので、駐留軍離職労務者の諸君以外の一般業界からもいろいろおもしろくない意見を聞かされる。これは不明朗だと思う。三年前にやったものを、依然として今も一回だに諮問機関にかけて御相談しない、こういう行政的な処置というものはあり得ないと思いますが、いかがですか。あなたはやる意思があるのですか、ないのですか。
  56. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 東京におきます自動車運送協議会委員の任命も先ほど行われたわけでございまして、東京陸運局長といたしましてもそういった点でいろいろ考えておるわけでございます。権限はもちろん陸運局長にあるわけでございますが、私などもしばしば会っておりますのでいろいろ意見も聞いておるわけであります。大阪につきましては二月十五日に諮問をしておる状況でございますので、お話のことはよく承わりまして、そのようにいたしたいと思います。
  57. 正木委員(正木清)

    正木委員 私の質問以外で大阪のことをあなたはここで言われました。大阪の陸運局長業界のいろいろな反対意見を押し切って、きぜんとして二月十五日に諮問をしている。東京は三年もほうっておる。同じ運輸省所管の中の第一線局長が、心がまえ、決意いかんによってはやっておるのです。やっておるところは公開の席でやるのですから、おのずからいろいろ問題も出ましょう。出ましょうけれども、自然に当局の考えとか業界考えとかが明らかになってくる。東京に関してはこういうことはやっておらない。大臣いかがでしょう。あなたの権限でできることですが、あなたは、先ほども委員会局長から御答弁があったように、十二月十三日にこういう電報通牒を出しているのです。全国の各陸運局長に対して「駐留軍離職者対策の優先的取扱いの趣旨にかんがみ、申請事業の聴聞と自動車運送審議会の諮問を早くせられたし」。大阪などでは二月十五日に業界の反対その他の意見があっても諮問にかけている。東京の場合は三十年に実際は行われただけで、三カ年もそのままほうりっぱなしになっております。だから私の意見としては、ひとり駐留軍の問題ばかりでなく、あらゆる問題が山積しておるのですから、局長の権限で陸運局長に対してそういう諮問をやれという命令を出すことができないならば、大臣の権限でできるのですから、よく局長と御相談なさって、大阪同様に業界に対して諮問をするように取り計らうとあらゆる問題を明朗化するではないかと考えるので、大臣の御意思のあるところを伺いたい。
  58. 中村国務大臣(中村三之丞)

    ○中村国務大臣 駐留軍離職労務者のハイヤー、タクシーの申請でございますが、これは今正木君のお読み上げになりましたように、確かに私は昨年の末自動車局長を通じて陸運局に電報を出しました。と申しますことは、遅々として進まぬものですから、その意味におきまして私は電報で督促した。まだなお聴聞会みたいなところまでやっていないところが一カ所ございまして、この間私は某局長にもすぐやるようにということを申しておきました。そこで、果してこれが認可になるかならないかという問題でございますが、私は自動車協議会あるいはまた当該局長にまかしておるのでございまして、今その土地の事情によって私はやらしております。しかし、現在のところ、神戸は多少解決いたしましたが、まだ全国で解決しないところがございまして、私もこれは早くイエス、ノーをきめてあげなさい、そうでなければ駐留軍の運転手などやっておられた方々もはっきり踏み切れないから、そういう意味におきましてまだやっていないところをやらしております。これは誤解のないように願いたいと思います。優先的取扱いということになっておりますから、それは優先的許可ではございませんが……。これは御了承願わなければなりませんが、できるだけ早く駐留軍離職労務者の申請に対しては処理するように督促はいたします。しかし、やはり道路運送法の基準免許にもよらなければなりません。それを無視してまでやれとは私も言えませんので、その点は御了承願っておきます。
  59. 正木委員(正木清)

    正木委員 大臣大へん御心配下さったわけですが、私は駐留軍離職者対策でハイヤー、タクシー免許の問題を主として局長質問しておるわけです。私が今大臣にお伺いしたのは全般的な行政上の問題です。東京都などでは三十年に諮問をして、今日までほうりっぱなしになっているわけです。ですから、駐留軍離職労務者が新しい会社を許可してもらいたいと申請しても、最初からこれはもう問題にならないのです。これはひとり駐留軍離職労務者ばかりではないのです。いろいろなことがあろうかと思います。既存の業者からは、かりに台数をふやした場合既存業者に割り当ててもらいたい、新しい会社を許可されては困るという意見もありましょうし、もう三カ年も経過しているのですから、新しい角度から陸運局長は法律できまったこの審議会に対してどうしたらよろしいかという諮問をすべきではないか。自動車局長陸運局長へ命令を発する権限がないとすれば、大臣の権限でできることですから、大臣おやりになったらどうか。現に大阪では、業界からいろいろの意見があったとしても、それで排除してすでに今年の二月十五日に諮問をやっているのです。東京はなされておらない。こういう事実がある。だからやられたらどうか。そうして問題が明確になれば、駐留軍離職労務者の自動車許可の問題も、一つ一つ具体的に解決がついていくわけです。それは気の毒なんです。駐留軍離職者というものは、わずかの退職金を持ち寄って、そうして書類一通作るだけで何万という金がかかるわけです。既存業者や資本を持って新しく申請する人とは全然違うわけです。だからこそこの離職者の立場を考えて閣議で決定をし、運輸大臣のあなたは陸運局長に電報通牒すら出しているわけです。駐留軍のことを考えると、ずぶのしろうとがわずかのなけなしの退職金を持ち寄って、あの書類一つ作るだけでも大へんな仕事なんです。こういう問題がどうして未解決になっておるかというと、三十年度に諮問しただけでほうっておくから、問題の解決というものは遅々として進まない。業界にはいろいろの渦が巻く、こういうことなんです。だからこういう措置を急速にやられてはどうか。これに対して、大臣はそういうような命令をお出しになる御意向があるのかないのかということをお尋ねしているわけです。
  60. 中村国務大臣(中村三之丞)

    ○中村国務大臣 早く諮問せよ、あるいは聴聞会などを開けということは、私は従来やっておるのです。この電報もそういう意味なんです。それでございますから、おくれておるものに対しましては許可、認可は陸運局長に政令によって代行せしめておりますけれども陸運局長も私の監督下にあるのでございますから、その監督をおろそかにいたしません。情勢を見まして私は処置するつもりでおりますが、今までのところ、私はその電報の趣旨によってやっておると思うのです。しかし中にはやっていないところがあることは事実です。そういうところは、私は監督の立場として、今後これに対して進めるということは、何ら辞するところではございません。
  61. 正木委員(正木清)

    正木委員 最後に、そこで具体的な問題になるのですが、先ほど局長からの答弁もありましたように、宮城県では駐留軍関係から五社の申請が出ておるわけなんです。従来許可した例を見ますと、たとえば兵庫県の中でも、都市の中心は許可せぬのですよ。ずっといなかのへんぴなところだけしか許可せぬのです。その許可した台数が三社で幾ら許可したかというと、十二台なんです。一社は五台、一社は三台というように、それもほんとうの片いなかでなければ許可せぬのです。それでも許可したのだという事実は立証されるわけです。許可したことには間違いないわけですね。ですから、およそ閣議決定やあなたが電報でもって陸運局長通牒した精神というものは実際には生きておらぬのです。それから小倉で一社、これは六台許可になりました。その他も許可にはなっておりますが、離職者が集まって非常な努力を払って政府の御方針に基いて自力更生しようとするのに、営業条件のいいところは許可になっておらぬのです。よろしゅうございますか。私もこれらの諸君の涙の出るような陳情を受けて、そうしてノートをとってみて事の意外に驚いたのですが、実際はそうなんです。宮城県の仙台でも、五社が申請を出した。そこで諮問にかけたところが、業界の方からは、向う一カ年の見通しの上に立って、二十台の増車を行うことが適当である、こうは出た。この二十台ふやすことはいいのだというこの委員会からの答申が出たところが、これに向って一斉に申請が出ている。駐留軍からも五社が出ている。すでに駐留軍関係では聴聞会が終っておるのです。聴聞会が終ってそのままほうりっぱなしになっておるのです。これほど無慈悲な、残酷な行政処置というものは私はないと思うのです。お前のところの申請したものはこの道路運送法の六条に基いて許可する適格事項には当てはまっておらない。だから許可しないのならしないとはっきりすべきものはしたらよろしい。それを聴聞会は終ったが、そのままほうりっぱなしにしてある、これほど無慈悲な、残酷な行政処置というものはないと私は思う。そういうことが現に行われておるのです。だからこそ当委員会においても非常な激しい、こういう言葉を使うことは妥当かどうかわからぬが、聞くにたえないような発言すら飛び出す、こういうことになって現われてきておると思うのです。ですから、大臣はこのことを御苦労なさっておるわけでありますから、よく自動車局長から地方の事情をお聞き下さって、どうか適切な処置をとっていただきたい。これは私のお願いでございまして、以上で私の質問は終ります。
  62. 畠山委員(畠山鶴吉)

    ○畠山委員 関連して一言お尋ねしたいのです。ただいまの許可の問題ですが、御承知のように来月から売春禁止法によりまして、これらの転廃業者に対して運輸省自動車の申請の許可を優先的に取り扱うようなことを伺っておりますが、これらに対して現在大臣はどういうお考えをお持ちになっておるか、お伺いしてみたい。
  63. 中村国務大臣(中村三之丞)

    ○中村国務大臣 駐留軍の運転手をした人の申請を優先的に取り扱えということになっておりますが、優先的許可ではないのであります。それから赤線業者の申請、これも別に優先許可をするというようなことは考えておりません。しかし赤線業者の申請も、これは自由でございますから、その申請が道路運送法の法律によって合っておる、また計画が適切であるというならば、これは陸運局長は許可するだろうと私は思います。特に赤線業者であるからといって優先的の許可ということは、今その方針になっておらないのであります。
  64. 畠山委員(畠山鶴吉)

    ○畠山委員 自動車局長お尋ねしたいのですが、今の大臣のお答えは、実際新聞やその他で伝えられておるところとは少し違っておるようです。新聞やまたいろいろの方から見ますと、これらの売春業者の転廃業者に対しては、優先的に許可を与えるというようなこともしばしば見ております。ところで、吉原がこぞって申請をされておるということも聞きましたし、その他に申請が出ておるようでありますが、これらの点について、また取扱いについて一言お伺いしてみたい。
  65. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 ただいま大臣の御答弁のありました通りでございます。赤線業者がバイヤー、タクシー、その他自動車運送事業というものに転廃業いたします際に、優先的な取扱いというものは、駐留軍の場合と違いまして、閣議決定もございませんし、ほかの一般の人と平等に取り扱うのが当然であるというふうにわれわれは考えており、また各陸運局にもそのように指示をいたしております。ただ赤線業者であるから不利な取扱いをするということのないということは、厚生省との話し合いでもはっきりいたしておるわけであります。現在までの免許の状態といたしましては、申請が十七件出ておりまして、今まで却下した件数は手元に資料がないわけでありますが、免許いたしました事案といたしましては、名古屋で一件ございます。
  66. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 関連しまして。駐留軍の労務者に対する問題ですが、道路運送法第六条によりまして許可にならぬ場合がありますが、そういった場合には、既存業者に増車を認められるとか、そのほかの業者に許可されたというような場合には、運転手であるとかその他の事務員を優先的に採用する、あるいは使用するというような点は御指導なさるおつもりでございますか。
  67. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 駐留軍の離職者を救う第一番の大きな問題といたしましては、われわれやはり労務として受け入れる数が一番多いのじゃないかと思いまして、これは各地区のそれぞれの業界に、そういう受け入れを行政的に指示いたしますとともに、お願いもいたしておる次第でございます。そのほか関連いたしまして分解整備事業というような事業につきましては現在のところ申請された方の全部、十件を認証いたしておりますし、整備技能士の検定に対しましても、特にそのキャンプの中に整備技術講習会の分教室の設置を認めまして、講師の派遣、その他教材の特段の配慮もいたしまして、その面の御協力も申し上げておるわけでございます。
  68. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 そうすると格陸運局へはどういうような御通達になっておりますか。業界の方の団体へはどういうような御通達をされておりますか、優先雇用といいますか、優先採用といいますか、それらの点について。
  69. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 その点につきましては先ほど申し上げました三十一年の三月二十六日通達の中にも、また三十二年の九月二十八日の通達の中にも、ともに含めて通達をいたしておるわけでございます。
  70. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 それでは最近の交通地獄の状態でございますが、特に東京その他の大都市はそうでございますが、この交通地獄の解消といいますか、事故防止といいますか、これらに対する当局の指導方針並びに対策に対して承わりたい。
  71. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 交通事故は年々車両数が多くなるに従いまして、絶対的の数字がふえておるのはまことに遺憾に思っておりまして、この事故防止をするということにつきましてはわれわれの方の仕事の大きな分野を占めるものでありまして、従来ともその対策にはいろいろ骨を折っておるわけでございます。その点についてはもうたびたび御説明を申しあげましたが、何と申しましても車両の整備並びに法規という面からの事故防止の関係は前々からずっとやって参ったわけでありますが、現在ではどういうところに一番大きな問題があるかと申しますと、たとえば大都市におきます交通事故の原因というものが、非常に道路面その他の物理的な問題が多いとともに、スピードの違反あるいは追い越し、割り込みというようなものが事故の原因の大半を占めておるわけでございます。これらについて一体どういう措置をとったらいいかということは、ただ車両の整備だけではうまくいかないことも多いし、われわれの方の行政だけでも十分緩和を期し得ないということも相当あるわけでございます。これは警察庁あるいはほかの官庁とも連絡をとってやらなければならないと思っておりますが、現在問題になっておりますのは新聞などにいわれておりますいわゆる神風タクシーの問題、これが大きな事故を起すのであるという話もありますが、これらについては労務管理の適正と申しますか、そういうものも十分考えてもらわなければ困るということでございます。それから先ほど申し上げましたスピード違反というようなものも、これは警察当局の十分な取締りを願いますとともに、労務管理の面からも各事業者においても、そういったむちゃなスピードを出さないように、各事業者にもそういう点は十分要望しなければならない。問題は一日の走行キロが相当多くなっておりますが、これを下げて果してやれるかどうかというような問題、これらにつきましてはわれわれが行政できめるだけでなくて、さらに広く実行できるような方法はどういうことであるかということを、今われわれの部内でも十分検討いたしております。その上は格官庁あるいは事業者に強く区要望をいたしたいとわれわれも思っております。実はこの点につきましては大臣からも強い御言明がありまして、事故防止について何らか画期的な方法をとらなければならないのではないかということを強く御命令を受けておりますので、鋭意今その準備にかかっております。現状を申し上げますと、たとえば現在スピードについては最高のスピード制限があるわけでございます。しかし最低のスピードの制限はございません。ところがバイヤー、タクシーにしても、お客さんを乗せるときには早く走りますが、客の乗ってないときには、のろのろ走る。また小型の速度と大型車両の速度と違うようなことがございます。それで道路を走っておる場合にはどうしてもおそい車に全部右へならえという格好になって、そこから追い越しとか割り込みという現象が起るので、この辺のスピードをどういうふうにコントロールしていったらいいかというようなことも、われわれの方の研究の対象としてやっておるわけでございます。
  72. 内海説明員(内海倫)

    ○内海説明員 警察側の立場からただいまの御質問にお答えを申し上げておきたいと存じます。概要については自動車局長から答弁されたことと変るところはないのでありますが、ただ私どもが毎日実際に起っておる交通事故の状況、道路交通の現実を突き詰めてみますと、原因が単に自動車が多いとか神風タクシーによるものがあるというふうなことだけにあるのではなくて、まず道路が非常に狭い、しかも不備な状態を事故の原因として指摘せざるを得ません。そういうふうな道路の状態に対して、はんらんする多量の自動車がある。こういうことで道路と自動車の数量のアンバランスが、少くとも大都会においては大きな原因をなくしておることは否定できないと思う。次に問題は、そういうふうに動いておる自動車の種類がきわめて雑多で、性能の異なったものが多い。上は大きなバス、トラックから下はスクーター、原付自転車に至るまでのものが、全く混雑の形において通行しておるのが現状であります。第三は、交通環境というものがはなはだ適当でない。たとえばきらびやかなネオンサインが出ておるというようなこともございますし、広告等が運転手諸君の視神経を刺激しておるということもあるようでありますし、また私どもの方で多数出しておる交通規制の標識なども、そういうふうな広告物等によって明確さを阻害されておるという状態もあるわけでございます。さらに道路の両側に並んでおる商店街、工場による道路の占拠ということが相当ひどい。これらのために狭い道路が一そう狭められておるという状態で、交通環境が円滑な交通を実現する上に非常に阻害しておる。こういうふうなことを私どもは事故の基本的な一つの原因として考えておるのであります。そのような状態の上において現在のような交通が実現しておるわけでありますから、その間において自動車自動車のあるいは自動車と人ということによる事故が非常に起っておるわけであります。これにつきましては私どもとしては交通の規制、たとえば道路を一方交通にいたしますとか、あるいは駐車の禁止、あるいは停車の禁止というふうなこと、あるいはスピードの制限、多種多様の規制措置をとって臨んでおりますけれども、遺憾ながら現状の交通の実態には追いつかない。ここを抑えれば向うがまた出てくる。こういうのが現在の、特に東京あるいは大阪というふうな大都市の実情でございます。これはどういうふうな対策でもって事故防止をはかっていくかという点につきまして、われわれとしては一そう規制の合理化と徹底を期するとともに、警察官による取締りの強化をはかっておりますが、この場合、取締りにつきましては、単に運転者に対してきびしい、いわゆる非難されるような意味の取締りだけが能ではない。むしろ町における道路交通の案内者という立場からも、十分指導的な取締りを行うようにということを全国に対して指示いたしておるわけであります。これらと他の諸条件の改善と相待たなければ、容易に今日の交通事故の減少ということもはかり得ないと思いますし、交通秩序の確立ということも非常にむずかしい問題である、こういうふうに考えております。
  73. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 今の両方のお話を聞きますと、結局漸増する交通事故をなかなか防止困難だ、悪く言えば、ちょっと手が出しかねるのじゃないか。漸進的にやりつつあるということであるし、なお運輸省側としては概念的にいろいろなことを研究しているのだということですが、現実に交通地獄の状態は非常に深刻なものでありますので、具体的に一歩ずつ進めていかれねばならぬのです。一番大きな問題は、やはり道路の関係自動車の数、並びに大型バス等の関係、そういうような規制が必要なのではないかということなんですが、東京都を中心にしました場合においては、たとえばこれ以上にタクシー、バイヤーをふやしていいものかどうか、タクシー、バイヤーをふやしたいということは国民の希望であろうと思うけれども、それがためにいよいよ交通地獄を増すというようなことになってはいけない。これをふやすとすれば基本条件をどういうふうにしなければならないか。すなわちノルマを強要しておる。四百キロから走っておる。この労務関係をどうするか、そういう基本的なものから先に解決していかなければ、ふやすということも困難ではないかと考えるのですが、労働基準局方面でのお考えはどうでございましょうか。
  74. 鈴木説明員(鈴木健二)

    ○鈴木説明員 われわれといたしましては、交通事故の防止を通じまして労働者の保護をはかるという見地から、従来三十一年の六月末日までは、御存じかとも思いますが、一日十時間、一週六十時間という労働時間特例を認めておったわけでございます。それを特例を廃止いたしまして三十一年四月一日から基準法の原則に返りまして、一日八時間、就業規則その他の定めがある場合には一週を通じて四十八時間、こういうふうに基準法の施行につきまして実質上の時間の短縮をはかってきたわけでございます。それと合せまして割増し賃金の支払い、これは割増し賃金を支払ってかえって運転手さんの労働時間を長くするという意味ではなくして、割増し賃金を払ってまで労働者を働かすということは業者としても損でないという意味で、時間外に働く場合は割増し賃金を払うという慣行を作ること、あるいは休養施設を作ること、健康診断を実施するというようなことを中心といたしまして、関係各庁と連絡の上指導を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  75. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 一番大きな問題はやはりスピード違反でございますが、一日四百キロも走るということなら、常時スピード違反をしているということになるわけなんです。あるいは追い越しがその原因と考えられるのですが、これらはとりあえずどうしても是正せねばならぬと考えるのですが、それに対するやり方はどういうふうに持っていけばいいとお考えになるわけですか。
  76. 内海説明員(内海倫)

    ○内海説明員 現在自動車の事故が特に起きます原因としましては、現実的にはスピード違反あるいは追い越し、割り込みというふうなものがあるわけでございます。スピード問題をどういうふうに解決するかという問題について、実は私どももいろいろな資料をとりまして現在考えておるのでありますが、先刻御存じのように、都内のある地域におきましては。もはや最低のスピードですらも動けないような現状のところもあるわけであります。また所によっては相当ハイ・スピードを出しても通過できる。従いまして私どもとしましてはかなり神経を使ったスピード規制を実施いたしておるのでありますが、いかんせん現状を見ておりますと、そういうふうなほとんど現実にはそういうスピードでは走れないと思われるところを、一部の自動車によっては走っておる。このところに事故の原因が伏在しておるわけでございます。そういうふうな猛スピードというものを、たとえばこれをタクシー等について、どういう理由でそういうふうなスピードを出さなければならないかということを追及してみますと、結局かせがなければならない。かせがなければならないということは一体どういうことからかということを追及しますと、結局巷間伝えられておるような、いわゆる四百キロを一日に走らなければならないというふうなことにも原因があるように考えられるのであります。従って経営の方におられる方々が、そういうふうなスピードをむちゃくちゃに出さなくても、合理的な運行で、合理的な労働時間で生活できるだけの運転手の対策というものを考えて経営を実現していただけば、あるいはこの問題の一部が解決してくるのではないかということを私どもは推察するのであります。ただいま今後タクシーをふやすことは一そう車の量をふやすことにならないかということもございましたが、まことにその通りでございますけれども現状は、タクシーの稼働率というものを私どもが見ておりますと、非常に大きなものを占めております。東京都内で一万二千台というタクシーがあるわけでありますが、しかし実際に東京都内の特定地点を取り上げてみますと、そこを走っておる車の大半がタクシーであるという状態考えますと、単に一万二千台という数最だけでは、この路上を動いておる交通量を算定できない。これに対して計算された稼働率をかけなければ、現実に動いておる路上交通量というものは算定できないのが実情ではないかと思います。そういう意味で、自動車の一台当りの稼働率をある程度低下させることによって、運転手の勤務の合理化をはかっていくということになれば、現在の交通量の状態を若干でも緩和するという方向に持ち来たし得るのではないか。またそういうふうな非常にハイ・スピードで走る車がある程度抑制されていきますと、交通秩序というものがある程度解決の方向に近づいていく。そういうことによりまして、現在の交通難あるいは交通事故の状況というものも、若干相貌を変えてくるのではないか、こういうふうに考えております。そういう意味におきましては実際に通行できないようなハイ・スピードで走っておる車に対するきびしい対策というものが、この際特に大都市においてはとられなければならない、こういうことを私どもは痛感いたしております。
  77. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 われわれ利用者側からいえば、できるだけ多い方がいいわけでございますけれども、やはり今お説のように、スピード違反や追い越し、あるいは労務過剰の根本問題を解決していく基盤に立っての増車ということでなくては、さらに大混乱を来たすというように考えるのであります。四百キロといえば自家用車の十倍くらい走るわけですから、少くとも三、四千台以上はふやしてもらいたいという気持を持っておるだろうと思うのですが、そうなれば三、四万台の自家用車がふえたという形にもなるわけですから、どうしてもこの交通地獄を解消する基本問題であるところのスピード違反、追い越しというものを、根本的に解決しなければならぬのです。今労働基準局のお話のような、八時間労働で週四十八時間ということが実行されておるならば、私は四百キロも走れないのじゃないかと思うのですが、その関係は事実上各会社は実行いたしておるのでございますか。
  78. 鈴木説明員(鈴木健二)

    ○鈴木説明員 ただいま申し上げましたように、一週四十八時間以内でございますると、具体的に申しますと朝八時から夜二時まで働いた場合、十八時間でございます。十八時間のうちに二時間休憩時間を見ますと、一日十六時間、一昼夜交代でございますので、十六時間の二で割りますと八時間、こういうふうな格好になりまして、一応の建前は八時間が守られている、こういうふうに考えておりますが、基準法で労使の協定がある場合には時間外の労働をしていいということになっておりますので、その場合は割増し賃金を出せばいいということになりますから、労使の協定がある場合は、八時間をこえたものはすぐ違反だということは言えないわけでございます。
  79. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 固定給なんか、どういうようなことになっておりますか。
  80. 鈴木説明員(鈴木健二)

    ○鈴木説明員 初めに実情を申し上げますと、昭和三十二年の二月に東京の五十四社の例を調べてみた結果、総収入が平均して二万八千円、そのうちで固定的な給与が約一万五百円、固定的なものが大体三八%程度になっております。この固定給的なものの内訳を調べてみますと、いわゆる本俸に相当するものが二千円から四千円、そのほかの固定給的な手当、たとえて申しますと、家族手当あるいは勤続手当というふうなものを入れまして一万五百円、こういうふうな実情になっております。基準法上の問題でございますが、出来高払い制につきまして一定の固定給をつけなければならないという条文が、たしか基準法二十七条にあると思いますが、これは固定給を幾らつけなければならないという規定ではないわけでございまして、労使が話し合ったある一定の固定給をつけておれば基準法違反にならない。従ってわれわれといたしましては、労使がよく話し合って、労働者の納得のいく固定給を労使できめるようにというふうな指導をいたしておるわけでございます。
  81. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 そうすると、時間外の場合は割増し賃金を払うことの協定をしているということですか。今の状態からいえば、本俸は二千円から四千円ですけれども、あと勤続手当、家族手当が入っているわけですが、平均収入二万八千円は割増し賃金の方が大部分ということになるわけですね。
  82. 鈴木説明員(鈴木健二)

    ○鈴木説明員 これは一部には割増し賃金も加わると思いますけれども、割増し賃金じゃなくて、いわゆる歩合給と称されるものが大部分だと思っております。
  83. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 歩合給と固定給の関係は、大体どういうような平均になっておりますか。
  84. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 私の方で、昭和三十一年十月から三十二年三月まで、六カ月間におきまして、対象会社六十四社、内訳は三十両未満二十六社、三十両ないし六十両の会社三十社、六十両以上の会社八社、こういうところにおきましてとった数字がございますので御説明申し上げますと、その平均が——その前に給料の最高が四万三千三百五十五円になっております。最低が二万百円、平均二万八千八百四円になっておりまして、そのほか賞与がついております。これはタクシーの場合でございます。その結果固定給の比率が一七%、歩合給の比率が七三%、諸手当の比率——諸手当といいますと皆勤手当、愛車手当、無事故手当、勤続給、家族給、努力賞というようなものでありますが、そういったものが一〇%、パーセンテージはこういうようになっております。
  85. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 固定給の比率が一七%、それで四百キロを走っているわけでございますが、これを大体スピード違反にならぬように走らすということになるなら、どのくらいな一日の走行量になれば、労務過剰にもならず、適正な走行キロになるとお考えになっているわけですか。
  86. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 一般的にどのくらいの走行キロという数字は現在まだ持っておりません。ただわれわれとして各会社の営業のやり方を見ておりますが、大阪のある会社におきましては、会社自身が走行キロを相当下げている、それでほかの会社よりも営業成績を上げている会社もあるわけでありまして、そういった点は営業の関係もありますので、われわれ役所で、何キロが相当であるということも軽々に言えないわけでございますが、そういった点につきましては、業界実情をよく調べて、根本的に何らか対策がとれないかということで研究をいたしているわけでございます。
  87. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 中心はやはりスピード違反の追い越しが大きな原因だ。それにはノルマをかけられて、四百キロから走り回っておる。しかも実際は固定給というのは非常にパーセンテージは低いのでありまして、ことに弱小会社になれば特に低いのであります。それを大体どのくらいな一日の走行キロに押えていけば、そういうスピード違反を押えることができるか、それが解決されなければ、この交通地獄を解消するのにただ指導方針だけというのでは具体的に一つも進まぬということになるわけでございますが、そういうことを今研究しているというだけで、こういうようにやれということの指示を各会社へお出しになっているわけでないのですか。観念的には出しておるのですが、具体的にどういうような指導をされておるのですか。
  88. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 これは御答弁にならないかもしれないわけでございますが、四百キロを走らなければ、現在の収入が果して保てないかどうか。これは単なる投書でございますので、確実だということは言えないわけでございますが、さる業界紙に古い運転手さんが投書をしておるわけでございますが、現在十分諸法規を守っても、現在程度の水揚げはあがるのだ。それは八時間みっちり働くからそうなるので、一般には、その間コーヒーを飲んだり、遊んだり、その遊んだ時間を取り戻そうということで相当違反が多い。これは一つの投書でございますので、それが事実であるということは申し上げられないわけでございますが、そういったことも投書にございますように、事実今の収入を基礎にいたしまして、四百キロを走らなければならないのかどうかということにも、やはり検討する余地があるのではないかというふうに考えております。
  89. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 四百キロくらい走っているということはもう常識になってしまっておる。それでもなおかつ昭和二十七年の運賃を決定されました当時の実車率五六%にはちょっと及ばない、現在それよりちょっと下って実車率五三%くらいだ、こういうようにいわれておるのでありますので、ノルマをできるだけ押えて走行キロを押えていくということになりますと、昭和二十七年当時の運賃決定の実車率をさらに下っていく。会社の方はそういうことではまた赤字に追いやられるので、どうしてもそこまではやらせなければやっていけないというふうに言っておるのであります。関東旅客自動車労組同盟の計算では、せいぜい二百四十キロくらいのところがやはり適当ではないか、あるいは東京陸運局でも二百八十から九十というくらいなところに持っていくのが適正ではないかと言っておりますが、そこまで引き下げることができるかどうか、引き下げたら果して会社は営業が成り立たないのかどうか、こういう点についてもやはり政府の方で早く方針をおきめになっていただかないと、この問題はどうしても解決することができないのであります。労働基準監督局の人がおられますから申し上げるのですが、大体退職手当や何かはどういうようになっておるのでありますか、退職手当が確立しておるか、またその退職手当が三十台以下の会社、あるいは六十台以上、あるいは百台以上の会社でどういうように率が違っておるか、それから歩合給がどうなっておるかという点は今お話をいただいたのでございますが、それらを将来どういうように固定給を引き上げていくかというような問題と、積立金と退職金との関係、これらの関係をやはりもう少し聞きたいのでありますが、きょうは時間がありませんので、この程度にしておきますが、交通事故防止はただ方針や観念だけではどうしてもいけないときに入ったので、政府の方で御相談の上で、このノルマの関係はどういうように解決するか、それがために会社の経営形態はどうなってくればいいか、果して弱小企業でそれに耐え得るかどうか。何台以上持ったならばこれが耐えることができるだろうか、労務管理や、あるいは労働者の厚生施設はどうなっておるのか、ことに住宅関係が非常に遠方にありますので、八時間交代の二交代制というようなことはほとんどできない状態になっております。これらの労務者の住宅の問題、こういったような関係について、基本的な経営方針を、次の機会に質問したいと思うのですが、とりあえず今申されました最低スピードの制限というようなことはおやりになるつもりですか、事実できるのですか、それを聞いて、あとは次の機会に譲ることにいたします。
  90. 内海説明員(内海倫)

    ○内海説明員 現在私どもの方の道路交道取締法で最高スピードの制限というものをきめておりまして、最低スピードの制限ということは、今のところ法律上はこれを規制する根拠を持っておらないのであります。将来の問題といたしましては、たとえば将来建設される高速度道路というようなものの場合は、最低スピードというものも制限を考えなければならないと思いますが、現在のような東京都内の実情から考えますと、非常に今度は最低スピード違反者というものを出さざるを得ないような状況になってくるわけで、従って現状からいいますと、なお研究を要しますが、非常に困難な問題があろうかと思います。
  91. 山内(公)政府委員(山内公猷)

    山内(公)政府委員 私の申し上げましたのは、そういう意味でないのでありまして、ただいま乗用車四十キロになっております。バス、トラックは三十三キロになっております。車両の性能といたしましてはどちらも相当出るようになっておりますので、こういうものがまちまちで走っているということも一つの原因になっているのではないかというので、確たる話ではないのであります。そういう追い越しとか割り込みというものが事故の原因になっておるので、そういった点の研究もやりたいということでございまして、まだ確実にそういうことがいいということではないのでございますが、今永山委員も御指摘のように、概念的にものを処理してはいけないので、具体的に一つ交通事故を原因別に探究いたしまして、それに対する解決策は何かと、今研究の課題に出ているものを御披露の意味で申し上げたわけでございまして、最低をどうしようかというのはちょっと言葉が足りなかったわけでありますが、いろいろ車両によって東京都内のスピードの制限が違うものでありますから、そういうものをどこかに一定した方が、割り込みとか、追い越しというような事態が少くなるのではないか、それともやはり今の方がいいかというのが一つの研究題目になるという意味でありまして、御了解を願いたいと思います。
  92. 赤澤委員長(赤澤正道)

    赤澤委員長 残余の質疑は次会に譲り、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後一時十一分散会