○内海説明員 警察側の立場からただいまの御
質問にお答えを申し上げておきたいと存じます。概要については
自動車局長から
答弁されたことと変るところはないのでありますが、ただ私
どもが毎日実際に起っておる交通事故の状況、道路交通の
現実を突き詰めてみますと、原因が単に
自動車が多いとか神風タクシーによるものがあるというふうなことだけにあるのではなくて、まず道路が非常に狭い、しかも不備な
状態を事故の原因として指摘せざるを得ません。そういうふうな道路の
状態に対して、はんらんする多量の
自動車がある。こういうことで道路と
自動車の数量のアンバランスが、少くとも大都会においては大きな原因をなくしておることは否定できないと思う。次に問題は、そういうふうに動いておる
自動車の種類がきわめて雑多で、性能の異なったものが多い。上は大きなバス、トラックから下はスクーター、原付自転車に至るまでのものが、全く混雑の形において通行しておるのが
現状であります。第三は、交通環境というものがはなはだ適当でない。たとえばきらびやかなネオンサインが出ておるというようなこともございますし、広告等が運転手諸君の視神経を刺激しておるということもあるようでありますし、また私
どもの方で多数出しておる交通規制の標識な
ども、そういうふうな広告物等によって明確さを阻害されておるという
状態もあるわけでございます。さらに道路の両側に並んでおる商店街、工場による道路の占拠ということが相当ひどい。これらのために狭い道路が一そう狭められておるという
状態で、交通環境が円滑な交通を実現する上に非常に阻害しておる。こういうふうなことを私
どもは事故の基本的な
一つの原因として
考えておるのであります。そのような
状態の上において現在のような交通が実現しておるわけでありますから、その間において
自動車と
自動車のあるいは
自動車と人ということによる事故が非常に起っておるわけであります。これにつきましては私
どもとしては交通の規制、たとえば道路を一方交通にいたしますとか、あるいは駐車の禁止、あるいは停車の禁止というふうなこと、あるいはスピードの制限、多種多様の規制措置をとって臨んでおりますけれ
ども、遺憾ながら
現状の交通の
実態には追いつかない。ここを抑えれば向うがまた出てくる。こういうのが現在の、特に東京あるいは大阪というふうな大都市の
実情でございます。これはどういうふうな対策でもって事故防止をはかっていくかという点につきまして、われわれとしては一そう規制の合理化と徹底を期するとともに、警察官による取締りの強化をはかっておりますが、この場合、取締りにつきましては、単に運転者に対してきびしい、いわゆる非難されるような意味の取締りだけが能ではない。むしろ町における道路交通の案内者という立場からも、十分指導的な取締りを行うようにということを全国に対して
指示いたしておるわけであります。これらと他の諸条件の改善と相待たなければ、容易に今日の交通事故の減少ということもはかり得ないと思いますし、交通秩序の確立ということも非常にむずかしい問題である、こういうふうに
考えております。