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1958-02-20 第28回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 赤澤 正道君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       小泉 純也君    關谷 勝利君       塚原 俊郎君    中嶋 太郎君       原 健三郎君    小山  亮君       下平 正一君    中居英太郎君       正木  清君    山口丈太郎君       眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 靜夫君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (観光局長)  細田 吉藏君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局定期船         課長)     中野  太君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月二十日  委員中嶋太郎辞任につき、その補欠として田  村元君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田村元辞任につきその補欠として中嶋太  郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運及び海運に関する件      ————◇—————
  2. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び気象に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。小山亮君。
  3. 小山亮

    小山(亮)委員 私は先般来相当問題になっております大島—熱海航路をめぐりまして、東海駿豆両社がこの航路について航路申請をしております件につきまして、これより事務当局に対して御答弁をお願いしたいと思います。私どもがこの問題を議題として取り上げますことは、単に駿豆東海の両汽船会社航路を出願しまして、その問題で争っているというようなことを主題として取り上げるのではないのであります。私どもがどうしてもこれを放置することができないのは、この両社航路申請に対しまして、運輸当局の方が裁断をもし誤まった場合には、伊豆七島の代表的な離島航路であります伊豆七島交通連絡というものが、危殆に瀕するということが大きな問題であります。従って先般来伊豆七島の各村々の代表があげて私どもの議会に陳情に来ております。陳情をされておりますいろいろな申請書はたくさんございますが、これはおそらく当局もすでに十分御承知のことだろうと存じます。ただ問題は、ずっと以前から続いて来ております問題でありますから、最近就任された大臣はこの問題に対しては十分に承知しておらないだろうと私は思う。もし承知しておられるならば大臣から御答弁を願うことが一番望ましいことでありますが、大臣がこれに対して詳しく知っておいでにならないとしますと、時間をむだにしますから、知っておる人から詳しい説明をいただくということの方が、議事を進める上に非常に好都合だと思います。  大体伊豆七島は、私がここで申し上げるまでもなく、非常に気象の悪い、潮流の悪いところであります。しかも七島港湾設備というものは、近代的な設備はほとんどない。また設備をしようとしても設備をすることのできないような島嶼でありますから、この航路を確保するためには、国家も東京都も長い間これに対して多額な出費をしております。この航路を始めましてから、この航路配船をしております東海汽船は六十有余年の長い間この航路を確保しまして、あるいはいろいろな経済的な苦境に耐えて、今日までその航路を持続したということは、当局もすでに十分御承知のことだろうと思います。私はこの七島交通がますます円滑になって、この七島の産業がますます開発されて交通が一そう利便になることを願うがために、この質問をするのであります。七島意見としましては、この各島はただ単に旅客交通だけをはかりますると、この運航に従事する船会社というものは採算が立ちませんので、他に何か利益を与えて、そうしてその利益をさいてほかのもうからない航路にまで配船をさせるというような行き方でなければならぬということから、七島が自主的に立ち上って大島に対して十分なる観光施設をさせる。そうして大島との交通をやっておりまする会社が、大島において得たところの利益を、もうからない七島航路にこれを割愛させて、そうしてその七島航路を保つというふうな行き方をとってきております。これは七島が一致した対策大島対策というのをやっておることは、これも当局はすでに十分御承知のことと存じます。従って私がここに質問したいと思いますことは、大島—熱海航路について最近提出しておりまする駿豆及び東海の出願、これに対してはどういう見解をとっておいでになりましたか、それをちょっと伺いたい。これはずいぶん長い間懸案になっておりまして、世間ではうがった言い方かどうか知りませんが、こういううるさいことはなるべく当局で裁量しないようにして、あと回しにしようというようなことから、ずいぶん長い間放置された問題であるように考えますが、これに対して一つ当局の率直な御意見を伺いたい。
  4. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいま御質問案件につきましては、東海汽船株式会社から昭和三十一年五月二十一日に大島—熱海間の新航路の開設をしたいという申請がございました。それと二日おくれまして、同年五月二十三日に伊豆箱根鉄道株式会社から同様な新規免許申請が出ております。同様と申しましたが、東海汽船の方は東京—大鳥—熱海という線でございました。東京—大島間は現在やっておった。もっと詳しく申し上げますと、東京—大島—熱海という線がございましたのを、二十九年の十二月九日に東京—大島—下田へ一部変更しております。そういう関係がございましたので、それとの関連もありまして大島—熱海航路というものが問題になっているわけでございますが、ただいま申し上げました五月二十一日の免許申請は、新規大島—熱海間の航路を許可してもらいたい、こういう申請でございます。その後両社とも使用船舶の訂正、その他追加資料等を数回にわたって提出いたしております。なおその他に直接関連はございませんが、両社において今後の事業協定をしようという話がございました。事業の相当広い分野にわたりまして、申し合せを続けております。一時その協定がほとんどできかかったのでございますが、いろいろな事情がございまして、まだ完全に今日までその協定ができておらぬ。と申しますよりも、一時また決裂するような状態にもなりました。依然としてこの競願運輸省で裁決してもらいたいというふうな現状になっております。従いまして先ほどお話のありましたように、若干取扱いとしては途中にそういう事情もございまして、協定ができて話し合いができれば、それもまたけっこうではないかと思いまして、私どもも待っておりましたが、今日までそのままになっておるわけでございます。現状はそういう状況でございますので、昨年の十二月に運輸審議会にこの両社の件を諮問いたしまして、現在は運輸審議会答申を待っておる、こういう状況でございます。東海汽船株式会社は、先ほど申し上げましたように、東京—大島—熱海という線を持っておりましたのを、熱海の港が完備いたしておりませんので、その間東京—大島—下田にこの線を計画変更で回してもらいたい、港の完備するまで一時大島—熱海間を中止する、こういう申請がありまして、これは認可しておるのでありますが、近く熱海港湾も岸壁も完備いたしますので、その東京—大島—下田へ回しました線を計画変更によって、一部東京—大島—熱海に戻してもらいたい、こういう計画変更申請が三十二年の十月二十九日に出て参っております。従いまして東海汽船としては大島—熱海間を新規免許してもらいたいという申請と、前に東京—大島—熱海とあったのを、東京—大島—下田計画変更いたしておりました線を、熱海へまた戻してもらいたいという計画変更申請と両方出ておるわけであります。東海汽船会社見解としましては、おそらく新規免許の方は、今まで過去にやっておりました線とは違って、新しくここに免許を受けることによりまして、航路権を得まして新しい大島—熱海としての独立性のある航路を開始したい、こういう考え方と、それから東京—大島—熱海という過去にございましたものを計画変更によってやりたい、こういう希望と両方出しておる、こういう格好になっておるわけでございます。
  5. 小山亮

    小山(亮)委員 だいぶ話が全般の話でありましてよくわかりませんから、私の方から一つずつお伺いします。東海汽船昭和二十四年十月二十二日に海上運送法第三条の規定によって、東京—大島—宅—下田の線と、それからもう一線東京—大島—伊東の線との二航路免許申請をして、同年十二月の一日に運輸大臣より一線本省第五号、二線は本省第六号をもって、それぞれ同日運航開始を条件として許可された、こういうことは間違いない事実でありますか。
  6. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  7. 小山亮

    小山(亮)委員 そして昭和二十五年の十一月の二十五日に東海汽船運航計画変更としまして、第二線を東京—大島変更するために、認可申請をして、十二月二十七日に運輸大臣から認可され、大島—伊東間の運航休航とした、これは事実でありますか。
  8. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  9. 小山亮

    小山(亮)委員 続いて昭和二十六年の三月十日に、東海汽船同様運航計画変更として、第一線東京—大島変更するため認可申請をしまして、三十一日に運輸大臣から認可されて、大島—宅—下田間の運航休航した、これは事実でありますか。
  10. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  11. 小山亮

    小山(亮)委員 同年の五月二十日に、東海汽船会社は同様の運航計画変更をしまして、第二線を東京—大島—伊東—熱海—大島—東京変更するために認可申請をしまして、同六月八日に運輸大臣から大島—伊東—熱海—大島間の運航が許可された、これは事実でありますか。
  12. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  13. 小山亮

    小山(亮)委員 続いて昭和二十九年の十月八日に、東海汽船会社は同様の運航計画変更としまして、第一線は毎週の金曜日、東京発東京—大島—下田に、二線は毎週の土曜日だけ、東京発東京—大島—熱海変更したいということを出願しまして、運送法の第十一条の規定にかわる離島航路整備法の第七条の規定によりまして認可申請をしまして、同日運輸大臣から許可され、一線下田まで変更され、二線は大島—下田—熱海間の運航が開始された、これも事実でありますか。
  14. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  15. 小山亮

    小山(亮)委員 同年の十一月の八日に、東海汽船会社運航計画変更としまして、大島—熱海大島—下田変更するために同様の申請をして、同十二月の九日に運輸大臣から認可されて運航休止となったことは事実でありますか。
  16. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  17. 小山亮

    小山(亮)委員 以上の経過で、東海汽船第一線、第三線の二つの線の運航はそのまま現在に至っておるのでありますが、東海汽船は、大島—熱海間の運航運航計画変更によって、一時休止しているもので、廃止されたものではないと考えております。これは運輸省もお認めになりますか。
  18. 粟澤一男

    粟澤政府委員 私どももそういうふうに考えております。
  19. 小山亮

    小山(亮)委員 そのために昭和三十年の六月三十日に、東海汽船定期航路運賃認可申請をしまして、昭和三十一年の三月の二十九日に運輸大臣から認可された、つまり東京—大島航路運賃の中に大島—熱海間の旅客運賃も掲げられておるのでありますが、それも含めて運賃改定認可されたということはとりもなおさず東海汽船大島—熱海間を連続した航路権を持っているということを意味しておるのでありますが、それに間違いございませんか。
  20. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  21. 小山亮

    小山(亮)委員 そういうことになると、この問題は私はきわめてすっきりした筋の通ったものになってくると思うのでありますが、そうしますと旅客定期航路事業航路権というふうな問題についての解釈ですが、第一が、旅客定期航路事業というのは海上運送法第三条によるところの免許事業であって、航路を特定してその航路を中心として航路ごと免許されるものであるということは、海上運送法の第三条、第四条の規定に照らして間違いない。航路とは何だというと、航路というのは起点寄港地終点を結ぶものであり、施行規則の第二条の事業計画運航計画に記載すべきものであって、これによって特定されるものであるが、免許の前提となる運航計画によって固定され、何らの変更を許さないというふうなものではない、こう思うのでありますが、これは御意見に相違がございますかどうですか伺いたい。
  22. 粟澤一男

    粟澤政府委員 原則としてお説の通りと思いますが、ただ起点寄港地終点とも全然フリーに幾らでも変えられるというふうな考えは私ども持っておりません。航路として同一性を維持する限度においての寄港地変更その他はやはり同一航路として可能である、その程度の変更はあるというように考えております。
  23. 小山亮

    小山(亮)委員 それは私もそう思います。航路同一性が持続される限りにおいて、認可によって変更をされるものである、こういうふにう私は解釈しております。従って航路というものの定義は起点寄港地終点を結ぶものであり、この航路計画変更というものはそのどこかが変更される、しかしその航路同一性というものはあくまで持続されなければならぬ、私はこういう解釈を持っておりますが、あなたの方の御意見は違いないのですね。
  24. 粟澤一男

    粟澤政府委員 仰せの通りでございます。
  25. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと結局は、業者が航路変更申請をしました場合に、当局においてその変更をお認めになるという範囲においては、その事業に対するところのいわゆる航路権というものをあなた方の方は認めおいでになる、こういうわけですか。
  26. 粟澤一男

    粟澤政府委員 さようでございます。
  27. 小山亮

    小山(亮)委員 運送法の第十九条によって、運輸大臣旅客定期航路事業者事業について、利用者利便を阻害している事実があると認めるときは、運輸審議会に諮って運航計画変更を命ずることができるが、航路起点寄港地終点のきめ方が事情変更によって利用者利便を阻害しているという事実があれば、運航計画変更として寄港地の増加、起点または終点変更を命じ得るものであると解釈ができますが、これが私は法律精神だと思うが、どうでしょう。
  28. 中村三之丞

    中村国務大臣 運航計画変更につきましては運輸審議会意見答申はありません。
  29. 小山亮

    小山(亮)委員 運輸大臣答弁は私の質問にぴたりきていないのです。これは大臣承知しておらぬからそういう答弁をされるのでしょうが、これは法律できまっておるのです。運送法の第十九条には、旅客定期航路事業者事業について、利用者利便を阻害している事実があると認めるときは、運輸審議会に諮るということがあるので、航路寄点寄港地終点のきめ方が事情変更によって利用者利便を阻害しているという事実があれば、運航計画変更として、寄港地の増加されるということはもちろん、起点または終点変更を命ずることができる、こう私どもは思うのですが、これは局長答弁の方がいいと思うのです。
  30. 粟澤一男

    粟澤政府委員 十九条の精神はそうでございまして、起点にしましても、寄港地にしましても、あるいはその他使用船舶等について、いやしくも運航計画内容とされるものについて利用者利便を著しく阻害していると考えた場合には、運輸審議会に諮って、手続の慎重を期して当該運航計画、すなわちその内容寄港地なりあるいは使用船舶なりの変更を命ずることができる、こういう規定でございます。
  31. 小山亮

    小山(亮)委員 そうするとこの問題の解決はきわめて簡単になってくる。昭和三十一年の五月二十一日に東海汽船大島—熱海の新しい線を申請をした。これは私からいえばほんとうは申請をしなくてもいいわけなんだ。航路変更さえすればいいわけなんだ。しかるにこの新しい申請をした。これは申請をしては悪いかというと決して悪くはない。これはまた別の考え申請をしたものとすれば、私はそれでいいと思う。ただ先ほどからのお話によりますと、航路権というものを、お認めになり、そしてまた認めおいでになるがゆえに、この運賃改定申請した場合には、休航中であってもあなた方は運賃改定をお認めになっておる。これは私は航路権認めおいでになるならば適法だと思うのです。もし航路権というものを認めおいでにならないとすれば、休航しておる、廃航しておるところの運賃をお認めになることはないと思う。もしそれを大臣決裁までして認めたということになれば、大へんな事務上の間違いになります。航路権というものをすでにあるものとして認めおいでになる上でこの運賃変更認められたならば、これは適法なのです。ですから私は運輸当局のおやりになりました行政上の処置からいいましても、航路権というものは生きておるというのですから、今度はその問題に対して昭和三十二年九月に東京—大島—熱海までの航路計画変更するという申請が出た、それは何も運輸審議会にかけなくても大臣決裁でちゃんとおきめになることができる。しかしながら新しい問題としてそのほかにそれと別個の形で、大島—熱海の間の申請東海駿豆と両方でなされたということになれば、その二つだけの問題は運輸審議会にかけるということが当然だと私は思う。しかしそうでなくて、東京—大島—熱海までを変更する計画をそれにひっくるめて、それを一緒にくたにしてこれを審議会にかけるような御処置をおやりになるとすれば、そこに大きな誤まりがある。私はそういう意味からこれは別個に切り離してお考になるのが当然だと考えるのですが、御意見はどうでしょうか。
  32. 粟澤一男

    粟澤政府委員 御見解通りでございまして、私ども先ほど申し上げましたように、東海汽船株式会社伊豆箱根鉄道株式会社新規免許運輸審議会に御諮問しておるわけでございまして、ここに出ております計画変更申請の方は諮問はいたしておりません。ただちょっとつけ加えておきますが、お話の中にもありましたように、運航計画内容にいろいろございまして、たとえば使用船舶あるいはスケジュールもございますが、その他の問題もございまして、そういう問題につきまして、前の休止のときの計画と今度の計画変更いたしております。やはり計画変更として法律手続をとらなければならない、こういうことになるわけであります。
  33. 小山亮

    小山(亮)委員 それではもう一問伺いますが、三十二年九月に東海汽船から東京—大島—熱海—下田というふうな延長計画船路計画変更申請がございました。それは今審議中である、ただいまあなた方の方はその問題に対して認可するかしないかを審議中であるというふうに解釈してよろしいのですか。
  34. 粟澤一男

    粟澤政府委員 お話のように審議中でございます。
  35. 小山亮

    小山(亮)委員 そうして現在東海汽船が持っておりますところの船腹は、黒潮丸、藤丸、橘丸高砂丸淡路丸、菊丸、あけぼの丸、この七隻の船腹をもって運航しておりまして、船齢から申しますと、一番古いものが二十八年、しかしながら、みな大体鋼船であって、速力も速いのは十五マイル、少いのが八マイルということで、船齢は次第に老齢になってきている船もございますけれども、まずまずこの辺の船であれば第五北川丸のような不安な念を持たないで航海ができると思うのでありますが、御当局はこういう所有船舶について、船腹その他に対してまだ不十分であるというようなお考えをお持ちなんですか。
  36. 粟澤一男

    粟澤政府委員 特に現在所有船舶が不足とは考えておりません。
  37. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、問題を改めて、駿豆側申請しております計画について、どういう船を配船することになっておりますか。
  38. 粟澤一男

    粟澤政府委員 船名長福丸と申しまして、総トン数約五百二十七トン、馬力一千馬力航海速力十一・五ノット、旅客定員三百十一名のものを主用船としておりまして、予備船としては第十二竜宮丸、これは九十九・八トンでございます。二百五十馬力の十一・五ノット、定員は百三名、こういう船を予備船としております。なお長福丸は大正十五年の建造船齢三十二年になり、第十二竜宮丸昭和二十九年の建造船齢三年以内であります。
  39. 小山亮

    小山(亮)委員 外洋になります大島—熱海運航を九十九トンの船でやることが十分であるかどうかということについて、当局の御見解を伺いたい。それからもう一つ長福丸でありますが、これは私の聞くところによれば、九州商船が、長年使ってもう老朽船でどうにもならないからと代船を作って、今度九州商船ではこれを使わないことにした。その使わないことにしたのを新たに駿豆が買ってこれを使用しょうとした。しかも船齢三十二年です。海難事件がしばしば起って、その根本の原因がどこにあるかということを私どもは追及いたしました結果、船の構造もございましょうし、あるいは船員の技術の未熟練な点もございますが、一番大事なことは船質がきわめて不十分である老朽船はあくまで排除して、新しい船に直さなければならない、そして人命の保障ということを考えなければならぬというときに、九州商船がもうすでに九州において旅客運航には自信がないからと言って取りかえた船、船齢三十二年の船を熱海大島のようなところに持ってきて配船するということに対しまして、運輸当局はこういう船は十分安全であるとお考えになりますか。検査さえ通っておれば何でもよろしいというおつもりでありますか、伺いたい。
  40. 粟澤一男

    粟澤政府委員 一般的にはお話のような考え方もできると思うのでございますが、当該船につきましては、いずれも検査を通っており、それぞれの資格も持っている船と思います。ただこの船が果してどういう状況にあるか、実際に当該航路適格船であるかどうかという点について、ただいま私ども審議中でございますし、審議会におきましてもそういう点を考慮して審議をいたしておりますので、当該船が適当であるか不適当であるかというようなことは、ただいまちょっと御容赦いただきたいと思います。
  41. 小山亮

    小山(亮)委員 この審議会船質検査までするのですか。
  42. 粟澤一男

    粟澤政府委員 船の検査船舶局でいたしております。
  43. 小山亮

    小山(亮)委員 私は無理に言葉じりをとらえるわけではありませんが、運輸審議会大臣諮問機関である。ですから大臣が、自分が決裁をするにはどうしたらよいかということを審議会にかけて審議を求めるのですから、大臣運輸審議会に審査をさせる前に事務当局はその申請書類を見て——大臣に持っていく前に船質を詳細に調べて受け付けて、審議会に持っていくべきものであるかないかを十分選択した上で大臣のところへ持って行って、大臣から審議会にかける、こういうふうになるのだと私は思うのですが、ただ何でも来たら申請書内容も見ず全部運輸審議会にかけてしまうのですか。それでは当該係の役人は月給をもらっておって何をしているのかと言いたいのですが、どういうことをおやりになるのですか、それを伺いたい。
  44. 粟澤一男

    粟澤政府委員 お話通りどもも十分審議いたします。全然審議会にかける必要のないものもあるいはあるかと思いますけれども、そういうものでなくて、また新規免許申請がございますれば法律上でも当然審議会にかけるという条項になっておりますので、これはしなければならぬと思いますし、お話のように来たらとにかく何も調べないで持っていくというふうなことではございませんので、私どももいろいろ調べます。審議会にもそれぞれの機関がございまして、やはり私どもの審査も聞くと同時に、審議会としてもいろいろな調査をいたすわけであります。
  45. 小山亮

    小山(亮)委員 私は今のお話を聞いておりまして非常に不思議に思うのです。審議会に持って行く前にあなた方が審査されて、いずれが是であるかいずれが非であるかというくらいのことはもうすでにおわかりになっているでしょう、技術上から見ても。片方は何しろ六十有余年の間のとうとい経歴を持って運航に従事しており、しかも橘丸千七百七十二トン、四百、七百、三百というふうなみなそろった船を持って運航している。片方は卒然として外洋にも経験のないような船が出願をする。そうしてそこに配船をする予定されている船は三十二年の古いものである。それの代船は九十九トンで、少し風が吹いたら沖へ出るのは相当困難な船である。しろうとが考えてもちょっと無理じゃないかと思うことを、専門のいろいろな検査機関を持っておるあなた方が、検査をなさらないで大臣に持って行くということがあり得るでしょうか。もしもそうだとすると、事務当局はあまりにいろいろな問題を持ち込み過ぎるではないか、少しも大臣をアシストしていないじゃないか、私はそういうふうな感じがするのです。いきなり持って来られても大臣はやはり審議会にかける以外方法がない。審議会というのは、事務が錯線して、そうでなくても非能率といわれているところが、そんなことをしたら一体何年後にこういうことがきまるかわけがわからないじゃありませんか。こういうことは、むしろ申請書を出す前に、この船ではいかぬからもっとよい船と変えてこい。すでに前に名古屋の海運局に申請を出したときには、あまりひどいので、こんな船ではいかぬ、もっとよい船にしてこいと言って、好意あるアドヴアイスかどうかしりませんが、そう言われて出しかえて、今の長福丸とかいう船をどこからか見つけてきたらしい。それだけの親切があるなら、もう一度これじゃいかぬから、もっと東海なら東海に負けないような船腹をそろえてこいとおっしゃる。それでこそ初めて競願ということになるのじゃないですか。あまりに設備その他段が違うのですから、そうしておいて審議会にかけるということは、初めから勝敗がはっきりわかっている。それをあなた方が事務的にこうだああだということをおきめになったらどうなんですか。それをきめられないところに私は何かあなた方が言うに言われない政治的な圧力か何かがかかっておって、やむを得ずそこに持っていくということになるのじゃないでしょうか。私はそういう疑いを持つのですが、どうでしょうか。
  46. 粟澤一男

    粟澤政府委員 先ほど申し上げましたように、法律新規免許の出願につきましては、運輸審議会にかけるべしという規定がございまして、船がボロだからこの申請をかけないというふうなことは、事務的にできないという建前になっております。またただいまのお話、まことにごもっともでございますが、検査が通っておる一応の資格がある船ということで出ておりました場合に、競願者と比較にならぬ、競争にならないから、もっとりっぱな船を持ってこい、これも一つの行政指導かもしれませんが、かりにそうした場合には、それでは免許になるのかといわれた場合に、どうにも御返答のしようがないのでございます。たとえば千トンの船を持ってこい、役所がそう言ったから船を買ってきたが、審議会の結論を見たら落第をしてしまったというふうなこともあり得るかと思います。一つそこまでの指導と申しますか、指示ということはなかなかやりにくいと考えております。
  47. 小山亮

    小山(亮)委員 局長、それは詭弁ですよ。あなたの方でこんなボロ船ではとてもだめだ。では新しい船を持ってきたら審査が通るか、そう言われたときに困る。困る——わけはないじゃないですか。そんなことはあなた方が関知するところではないのだから、審議会がやるのだから、たといやってきたところで、審議会で通るかどうか、これはわからぬ、それでいいじゃないですか。それでいやならば持ってきはしません。私はそういうことを局長が白々しくおっしゃることはおかしいと思う。あなたは何も請負をしているのじゃないから、あなたがおきめになるのじゃないから、新しい船を持ってきたら通るか通らぬか、そんなことはわからないですよ。私はそういう点がフェアじゃないと思う。そのくせ力の弱い会社が来たら、私が言ったようにあなたがおっしゃるに違いない。木で鼻をくくったようにおっしゃるに違いない。なかなか役人は木で鼻をくくったようなことを言うのが上手ですからね。ところがそういうことが言えない力があとから加わったものだから、あなたの方はそれができないで運審へ持っていったのじゃないかと私は思うのですよ。これは答弁のできないことを言っていじめたってしようがないからやめますよ。やめますが、こういう問題をどうか二度も三度も繰り返さないようにしていただきたい。そして航路権のあるものを航路権がないというふうな解釈をなさるから、結局その後に休航中に運賃変更をやったときに、運賃変更認めた。航路権のないものに運賃変更認めたということはおかしいじゃないかと言われると、それは行政上の間違いだった。行政上の間違いが大臣の判まで押さしたのだから、責任はということになったのです。その結果悪いことをしない、何も罪のない役人が罪を負わなければならぬ。私はこれはよほど考えていただきたいと思うところです。一生懸命まじめにやっている人が、ゆえなくして責任を負わされるようなことがあったら大へんですよ。だから私はこの問題は、運輸当局の方の答弁の間違いだとかいうことはあり得るのですから、従って新規大島—熱海の間の駿豆東海の両者の申請は、これは審議会にかけて御審議なさるということは、これは法文から照らして差しつかえないことだと思うのですが、それと別個に航路計画変更をしております申請に対しましては、何らとらわれない気持でこの航路の将来性を考えて、一つ公正なる御判断をお願いしたい。大臣決裁でできることでありますから、公正な御処置をお願いしたい、こう考えるがいかがですか。
  48. 粟澤一男

    粟澤政府委員 仰せの通り公正に処置いたしたいと思います。
  49. 小山亮

    小山(亮)委員 この問題は熱海市が非常に熱心で、この問題の解決いかんは熱海市の浮沈に関するということで、熱海市及び市議会が連名で陳情書を出しております。その要旨は「東海汽船株式会社による熱海大島間の定期航路が一日も早く開通されますよう陳情申上げます。昭和三十一年九月十五日付をもって東海汽船株式会社より伊東—大島線の熱海延航並に熱海大島旅客定期航路事業免許申請書運輸大臣宛提出されていますが、本航路は観光を生命とする当熱海市にとっては、誠に重要な海洋幹線となるものであります。本件解決の如何は観光都市熱海の将来の浮沈にもかかわる課題でありまして、同時に例年夏枯れの現象に悩まされている観光業者及び全市民の要望でありますので一日も早く御裁可をお願いしたい。」こういう陳情であります。これは当局は御承知でございますか。
  50. 粟澤一男

    粟澤政府委員 陳情を非常にたくさん受けておりましてはっきり記憶しておりませんが、熱海の分もあったと思います。
  51. 小山亮

    小山(亮)委員 なお伊豆七島航路につきまして、伊豆七島の利島、新島、神津局、三宅島、御蔵島、八丈島、青ケ島、こういう島々の公共機関の代表が全部で陳情しております。その陳情書の結論は「伊豆七島航路大島の観光航路を除いて総て欠損航路である、伊豆箱根鉄道が利益のみに追従する熱海大島航路を開設することなく青ケ島、御蔵島その他の公共的欠損航路をも開設する積極的な意志を有し運輸当局が法的にてらしてこれを免許することが可能であるとするならば吾々は一歩退いて考慮することの用意はある。」こういうことを言っている。これは東海汽船が一番利益のある大島ばかりでなしに、青ケ島、御蔵島その他の公共的の欠損の航路をもあわせて奉仕的に経営して、交通利便をはかっているということに対して、もし駿豆がかりに同じことをやるならば、これと同様に他の利益のない島々のために運航をはかってやるほんとうの意思と設備があってやるならば考えてもよろしいが、そうでないならばやめてもらいたいという陳情なんです。それから「伊豆箱根鉄道に免許された場合」ということがございます。このように地元及び東海汽船が一体となって最善の努力を傾注し、建設途上にある現在の大島の総合開発が万一伊豆箱根鉄道によって阻害されるというようなことになった場合には、東海汽船の現在の航路の観光客が熱海大島航路に吸収され、東海汽船の収益が激減することによって、他島航路を維持することができなくなるのはきわめて明白である。従ってこういう事態が出た場合には、島民の産業、経済、文化は著しく後退して、島民に及ぼす影響は重大である。従って当該航路免許のいかんが、冬眠の生活を左右するところ重大な政治問題である。だからこれに対して特に御配慮願いたいという陳情が参りました。これが私ども本問題を政治問題として取り上げたゆえんなんです。どうか当局におかれても、もしこれがそのいずれかの会社にこれを許可した場合には、その後にどんな問題が起るかということも十分に考慮されて、そしてこの問題に対するところの御処置を願いたい。しかも変更願いというのは別個に考えるとあれだとおっしゃったのでありますが、これは今の競願とは別なのでありますから、熱海市の陳情もございますし、その他の島々の陳情もございますので、一日も早くこの変更の問題については、是であるか非であるかというようなことに関しての御処置をお願いしたいと思いますが、もう一度御意見を伺っておきたいと思います。
  52. 粟澤一男

    粟澤政府委員 計画変更処置につきましては、先ほどから申し上げましたように大臣の権限でございますので、取り進めておりますが、今までの実際の取扱いもそうでございますし、私どももその方が妥当だと思いますが、競願航路新規免許申請がございます場合には、やはり大臣から審議会に御諮問になります。従ってその競願の方の新規免許答申というものの内容大臣も御参照になりまして、どちらが適当であろうかというふうに判断されて、最後に御決定になる、そういう順序で今までも取り扱っております。今度の場合もそういう取扱いをいたしたいと思います。
  53. 小山亮

    小山(亮)委員 それはちょっと待って下さい。新規に出願したのは、新規に出願した競願として考うべきものであって、変更したのはすでに既得権ですから、既得権の範囲内で変更を行おうとしておるのでありますから、新しい問題とこれをにらみ合せるということは私はどうもふに落ちない。それのみならず、実際問題として大島熱海の間に二つ会社が競争運航するということは可能であるかどうか。それが採算の上から可能であるかどうか、こういうことはおのずから明らかであると思う。しかも今言うように一方の船は老齢にして、すでに船齢から見たって必ずしも十分でないということがわかっておるようなものを、何ゆえ審査期間中これを長引かしておくのですか。それがために、どうして変更計画まで犠牲にするのですか。そこが私にはわからない。そんな考えであるなら、われわれはこのままで引き下るわけにはいきませんよ。あなた方のやっておいでになることは、簡単のように思いますが、憲法第二十九条の財産権の侵害ですよ。ゆえなくして国民が、自分の有しておるところの財産に対して損害を与えられる理由はないのです。役人の取扱いのいかんは、これはゆえなくして財産権の侵害になりますよ。そういう取扱いの慣行になっておるというが、どこにそんな法律がありますか。あなたは法律々々と言われるが、法律はないじゃないか。慣行だと言っておりますが、そんな規定をいつあなた方はおきめになったのですか。私は承服できませんよ。いつそういうことを省議か何かでおきめになったのですか。実際法律にないことをやっておる。さっきは法律にないからと言っていたが、今度は片方の汽船会社設備が不十分であっても、これは競願だから審議会にかけるとおっしゃった。これは法律にあるのすですか。ないのでしょう。新規申請するのと違って、航路変更する、既得権利に対する変更だ。それは今の競願の結果を見なければならぬという法律がありますか。あなたは法律にないことをおやりになるのですか。そうしてゆえなくして財政権の侵害をおやりになるのですか。もう一ぺん明確な答弁を願いたい。これは問題ですから、私は引き下りませんよ。
  54. 粟澤一男

    粟澤政府委員 法律にはございませんので、計画変更大臣決裁でやるわけでございますが、内容的に見まして、新規免許申請の分とほとんど同様な計画内容になっております。従いましてもちろんお話のような、これは既得権であるという点も十分頭に置きますが、また運輸審議会審議に当りましても、こういう既得権の計画変更申請も出ておりますという説明も十分いたします。その上で審議会の方の判断もにらめ合せて、計画変更というものを大臣がいかに御決定になるかという点が御判断の材料になるということで、慎重を期する上におきましても、そういう取扱いは法律にはございませんけれども妥当であると考えまして、今日までもそういう取扱いにいたしております。
  55. 小山亮

    小山(亮)委員 計画変更そのことを審議会におかけになるのですか。あるいは新規の路線を、競願になっているのを審議会におかけになるのですかどちらですか。
  56. 粟澤一男

    粟澤政府委員 新規路線の免許答申を求めるわけでございます。計画変更につきましては諮問はいたしません。
  57. 小山亮

    小山(亮)委員 それなら計画変更に対することは、あなた方は審議会にかけると言ったところで、それは法律にないことですからできませんよ。そうしますと新規にやることとこれとにらみ合せてというのは、どういうわけですか。もし審議会がここに航路変更をやった現状を見て、両者が出願をしておることが必要がないということになったら、両者に対して公平に却下すればいいわけですよ。どちらが悪い、こちらが悪いと言わないで、両方に対して却下すればいいわけなのだ。しかし航路変更はそれと違うのです。あなたは既得権利だとおっしゃったでしょう。すでに既得権利をお認めになっておいでになるのでしょう。これは運輸当局見解だと私は思うのですがね。そうすれば既得権利の上にそれは航路計画変更届をすればいいのです。法律にはそうきめられてある。法律できめられた通り航路計画変更を、あなた方の万でやると、あなたの方は今までそんなものをいつも審議会なんかにかけないで、ちゃんとおきめになったじゃないですか。この取扱いだけを、片方の新しい問題——これは別個の問題です。別個の問題として取り扱われるところの新規免許に、航路変更の既得権益の範囲内でやるところの認可をからませるというのは、どういうのですか。それは法律にないけれども、あなた方はからませられますか。あなた方、法にないことができるのですか。日本国の人民が法にないことができますか。あなたは法律にないことで、いろいろ取締りができますか。そうだとすれば、驚いた、これは日本じゃないと思うのだ。どうでしょうか、局長、ほんとうにあなたはそんな考えをまだ持っておいでになるのですか、もう一回聞かして下さい。
  58. 粟澤一男

    粟澤政府委員 再々申し上げますように、計画変更自身を運輸審議会には諮問いたしません。その点は、お話の中に何か審議会にかけるようなお話がございましたが、そういうことはいたしておりません。ただ実際問題といたしまして、ほとんど同様な、競願になる事例が運輸大臣から審議会諮問されておるわけであります。当然その結論がどう出てくるかという問題があります。また審議会としましても、諮問を受けたときの状態と途中の状態、たとえば計画変更で一方の方がどんどん増便になるというふうなことでは、状態も非常に変って参ります。答申もまたそごを来たすという問題もあると思います。先ほども申し上げましたように、計画変更の方は、すでに航路権を持っておる業者の航路権の上に計画された一応の変更事項であるということは十分頭に置きながら、運輸審議会答申を待って判断をする。そういうことは、審議会にかけました趣旨から見ても、あるいは慎重を期する上においても、法律には必ずそれを参照してやれと書いてございませんけれども、行政措置としては妥当ではないか、再々申し上げますように今までの取扱いも全部そういう取扱いになっております。今回も同様な取扱いにしたいというのが私どもの偽わらない気持でございます。
  59. 小山亮

    小山(亮)委員 今までの取扱いでとおっしゃるが、今までそういう取扱いをした例を示して下さい。
  60. 粟澤一男

    粟澤政府委員 定期船課長から例を申し上げさせます。
  61. 中野太

    ○中野説明員 今の過去の例でございますが、近い例といたしましては多度津から福山に行きます航路で、三洋汽船から多度津までの延長免許申請がありました。一方佐長海運が多度津と福山をやっておりますが、既存の航路の増便の運航計画変更申請がありました。そこで佐長海運運航計画変更の増便に対しましては、三洋汽船の延長免許運輸審議会諮問してございますので、それに対する運輸審議会答申を待ちまして、それから運航計画変更処置をいたしておるわけでございます。それから鹿児島から種子島、屋久島に行く航路でございます。鹿児島—屋久島航路につきましては折田汽船と三島村から新規免許申請がございました。それから九州商船と鹿児島商船二社からいずれも運航計画変更がありました。折田汽船と三島村につきましての新規免許について運輸審議会諮問いたしました。それで九州商船と鹿児島商船との運航計画変更の方は処置しませんで、答申を待ちましてからあわせてやるということになっております。
  62. 小山亮

    小山(亮)委員 一度念を押しますが、私はこの問題を書面で出していただきたいと思います。今のは航路の復活とあるいは航路の新しい増便ということがあります。休航したものを復活する、もとへ戻すということと新しい航路をふやしていくということと違うのですよ。あなたはそれを混同しておられやしませんか。おられなければいいが、あとから書面で出していただきたい。もし私の言う通りであなたの答えていることが違うならばごまかしですから、ごまかしの答弁は私は許さない。  それからもう一つ、今古いことの例をおっしゃったが、古いことで定期船か何かの関係で当然取り締らなければならないことだったろうと思うのでありますが、こういうようなことがあったかどうかということを私は伺いたいのです。駿豆鉄道船舶部の沼津—永代橋—長浜間の定期旅客運賃は、昭和二十九年九月に改定されて八十円と認可されたものであるが、すでに数年前から八十円の運賃旅客から取って、その差額を搾取していた、こういうことが事実であるかないか。さらに同社は伊東—初島—熱海間の運賃についても、現行運賃認可昭和三十年三月であるが、それ以前に伊東—初島六十円を八十五円に、初島—熱海六十五円を八十五円、伊東—初島—熱海岡百二十五円を百七十円として徴収している。同時に差額を搾取して違法を行なっておったというようなことがあるというのであります。これはちょっと常識では判断できない海上運送法違反であり、加えて不当所得の脱税行為も含まれておるように思うのでありますが、こういう事実はありましたかありませんか。
  63. 中野太

    ○中野説明員 今のお話の中で搾取しておったかどうかということも含めてではございませんが、そういう事実ということで三十二年四月に運賃違反で告訴されておるということがございました。
  64. 小山亮

    小山(亮)委員 これはあなた方お役人さんがだれか知っておいでになると思うのですが、こういう場合に会社では料金の差額については、沼津—長浜の場合は直線コースだけではなく、湾内を周航する場合の割増金として徴収したものであって、初島—熱海等の場合ははしけ代としてとっておったものである、こういうことがあります。運輸省に始末書を出しましたか出しませんか。
  65. 中野太

    ○中野説明員 手続を怠りましたことにつきましては、沼津—三津航路の分につきましては運輸省に始末書を提出いたしてございます。
  66. 小山亮

    小山(亮)委員 これは始末書を提出しただけでなぜお済ましになったのですか。こういうことは許されない。非常な公衆の利益を棄損する問題でありますが、なぜこういうことを始末書だけでお済ましになったのですか。
  67. 中野太

    ○中野説明員 その当時のはっきりした模様はわかりませんが、また私も手持ちの資料を持って参りませんでしたけれども、直行航路がそういう運賃でございまして、迂回航路もその直行航路と同運賃にするということでございますので、ただ手続の不備だけで実質上は問題ないというような観点から、始末書だけで済んだのじゃないかと思います。
  68. 小山亮

    小山(亮)委員 それはあなたが駿豆鉄道会社の代弁者であればそういうことをおっしゃるでしょうが、あなたは取締りをなさるところの当局ですよ。周遊航路であって、その航路に応じて割増金を取るのならば、割増金を取るように許可を得なければできないですよ。許可を得なくてもいいのですか。かりにこういう問題が今後起きた場合には、前例があるからといって許されるのかどうか、一応念のために伺いたい。そうしますとどこでもはしけ賃であるとか、波が荒かったとか、ちょうどもうろうタクシーのようにお客から幾らでも取れるのですよ。そういうことをあなた方はお認めになるのですかどうですか。これは前にあったのだから差しつかえないだろう、だろうというそれはだれが判定なさるのですか。
  69. 中野太

    ○中野説明員 沼津—三沖の方は周遊とかいうことではなしに海底透視の特殊装備をいたしまして、その海底透視の料金というようなことで取っておったようであります。それは運賃規制以外の料金でございますので、それを合せましてたまたま同じになったというふうなこともございますが、しかしそれは運賃の中に包含さすべきだというふうに行政指導をいたしまして、従来それについて手続を怠りましたことにつきまして始末書をとりまして改めさせたのでございますが、今後はそういうことのないよう十分厳重に取締りをいたして参ります。
  70. 小山亮

    小山(亮)委員 そういうような場合はかりにまた今後あっても、あなたの方はある程度なら認めるという御方針ですか。
  71. 中野太

    ○中野説明員 たとえば片方の初島航路でございますが、これもはしけ賃が運賃の別になっておりまして、はしけ賃は一応取るということになっておりましたが、これもはしけ賃を含めて運賃として取らせるというように指導しておりますし、またそういうふうななまはんかなことで運賃考えることは公衆の利便に反するというようなことで、厳重に取り締るようにいたしてございます。
  72. 小山亮

    小山(亮)委員 しかしそれはいけないことなんじゃないのですか。いいのですか。始末書を出しただけでいいのですか。始末書を出してもいけない場合はどういう場合ですか。始末書で済む場合はどういう場合ですか。  さっきから伺うと、運輸当局は、法律にないことはできないが、法にあればこうだということをしきりに言われるが、法にあることに対してあなた方はなぜ十分な処置をおとりにならないのですか。法にあることならどんどんおやりになったらいいじゃないですか。しかるに局長は法にないことをやろうとしている。既得権益の上に計画航路変更をしようとすれば、何にも関係のない新規路線と同じ場所であるからというので、その路線についての運輸審議会審議に待って、その結果とにらみ合せてきめようという法にないことをやろうとしている。一方では法にあることを怠っている。これは一体どういうことなんです。法にないことをやったり、法にあることをやらなかったり、めちゃくちゃじゃないか。
  73. 粟澤一男

    粟澤政府委員 処分問題につきましては、おのおの事情もありますので、当時の事情をしんしゃくし、大体程度を考えて始末件で済ますものもございますし、実際処分をするものもあると思うのです。また関連いたしまして、法にないことをやるというお話でございますけれども、私どもは行政処分の慎重を期するといいますか、そういう意味で、実際に競願となるようなものにつきましては両方よくにらみ合せて、しかも一方は航路権を持っておる、既得権を持っておるということを考えながら判断する、その判断の基準としましてはあくまでも利用者利便ということを十分考えて、どちらがいいかということを判断するわけでありまして、法律にないからそういうことはけしからぬというお話でございますが私どもはそういうふうに慎重に利用者利便考える方が適当であろうと考え処置しておるわけでございます。
  74. 小山亮

    小山(亮)委員 私がこういうことを申し上げるのは、三カ月や五カ月そういう無届の運賃を取っておったから、それをなぜ取り締らなかったかと言うのではないのです。数カ年にわたっているのです。少くとも三年以上ずっとこういうことをしておった。あそこには出張所もあるのですから知っているはずなんです。知っているはずであるにもかかわらず、これを見のがしておった。たまたまその付近の人たちに騒がれて、初めて運輸当局の方ではこれに手をつけた。しかも運輸当局で手をつけたのではなくて、警察で調べられて訴えられて、司法問題になっておるから、あなたの方はほうっておけなくておやりになったように私は思うのです。それではあんまり怠慢過ぎやしないかと私は思うのです。何カ年も何カ年もそんなことをなぜやらせるか。  もう一つは、この辺にはこの会社だけでなく、伊豆三津浜と沼津を結ぶ航路を出願しておる三津観光船株式会社という会社があるのです。この会社が出願するけれども、あなた方の方は、どういうわけか知らぬが、これの出願はちっとも認可しやしない、力の弱いものは、そうして片方の駿豆だけにはやらしておって、しかも駿豆が三年間も無届で不当に多額の料金を取ってふところをあっためておる事実を知っておりながら、これを見のがして知らぬ顔をしておる。そうしてこれが司法問題になっても、あなた方は処分ができないで、始末書をとって何とかしてごまかしている。どうしてそんなに政治的な背後の力をこわがるのですか。権力や金力にそんなにびくびくするようでどうして正しい行政が行われますか。私はそれを言いたい。なぜきぜんとして、あなた方のやるべきことをおやりにならないか。三年も続いて料金を取っておったことは事実でしょう。そうじゃありませんか。
  75. 中野太

    ○中野説明員 今のお話のように何カ月ということではございませんで、期間ははっきり覚えておりませんが、数年にわたっておるというふうに覚えております。
  76. 小山亮

    小山(亮)委員 あなたはその事実を知っておいでになるなら、内容をもう少し具体的に、どういうことがあったということを言って下さい。
  77. 中野太

    ○中野説明員 きょう手持ちの資料がございませんが、沼津から古宇、それからずっと回りまして三津へ行って沼津へ帰る航路と、沼津から重須へ行きまして、それから三津へ回る航路とございます。それで沼津—古宇—三津航路の方が沼津—重須—三津航路よりも相当迂回しておる航路でございます。今ちょっと手持ちの資料がございませんので宙覚えでございますが、そのときに沼津—古宇—三津航路の迂回の方を運賃改正の手続をしましたので、直航の沼津—重須—三津の方もそれと同運賃で実行したように記憶しております。
  78. 小山亮

    小山(亮)委員 資料をお持ちにならないなら、先ほど要請した資料と同様に詳細な資料を一つ出して下さい。それであなたの方で始末書をおとりになったというなら、その始末書の写しを出していただきたい。なお、この問題につきましては次会に保留いたしまして、もう一度あらためて質問したいと思います。  なおこの際大臣に一言お伺いしますが、先ほどから事務当局と質疑を交換しておる間に、大体において大臣も事件の真相がおわかりになったことだと思う。この問題はあらゆる情実だとか因縁だとかを離れまして——海運行政というものは、航路の問題に対する処置を誤まりますと、それが非常に大きな悪例になる。一つこの問題でけではありません。将来の悪例になるのでありますから、私はこの際どうか、今までのいろいろな行きがかりもございましょうが、そういうことをさらりとやめて、もっと明るく筋の通った御処断を早急にやっていただきたいということをお願いいたします。大臣の御意見を伺いたい。
  79. 中村三之丞

    中村国務大臣 内国航路、ことに旅客船は小山君の仰せられるように安全ということが第一であり、人命尊重が第一でございます。従ってそれに使用しておるところの船はいかなる線といえども、いかなる人が経営しておるといえども船舶検査を厳重にし、老朽船を一掃する、あるいはそれが代替建造を促進するということは、今後ともまた努めていかなければならぬことだと思います。それから今の運賃改定は、これは休止しておるものでございますから、海運局長が申しましたごとく値上げをしたことを認めたことは正当な処分である、こういうふうに判断いたしております。それから新規免許と今の事業変革の利害関係につきましてはこれは、私もあなたのお説、当局見解をよく拝承いたしまして、いかなる会社といえども公平な取扱いをやる。一方に偏しません。またこの大島—熱海間の問題は私も両方から大いに陳情を受けておりまして、これは非常に考えておりますが、正当な判断をして参りたいと思っております。それから今の始末書の問題につきましても、これは過去のことでございますけれども、将来にわたってそういうことのないようにすることが私は必要であると思うのであります。今課長から説明をいたしました始末書が果して軽いのか重いのか、私はここに過去の事件について申し上げませんが、少くとも今後さようなごまかしておるとか——これは社会主義の上から見ましても、また運賃の適正を期して、また地方の人心に及ぼす影響も私はよく考えて参りたいと思います。きょうは内国航路の問題につきましてあなたの御意見を承わりましたが、また同時に運輸審議会あるいは海運局の人たちも誠心誠意やっておることでございますから、誤まりがあれば大いにただしていただきたいが、やっておることは誠意を持ってやっておるのですから、どうぞその辺御了承を願いたいと思います。
  80. 小山亮

    小山(亮)委員 大臣の言われることにそれ以上の言葉をつけ加えるつもりはございませんが、私は運輸当局が誠心誠意海運行政に対する事務をやっておられることはよくわかります。わかりますが、要するにどんなに正直にやっておりましても、ただ法律の虫のように規則がこうだからというので、何でもやみくもに規則通りにやっておるというような場合に、それが実情に沿わないということもあるのです。法律は非常に不備でありましても、法律はこれを運用する人の頭と腕のいかんによって生きるのですから、せっかく生きるようにできておるところの法律を無理やりにひし曲げて殺して使う、あるいは背後の政治的な圧力なんというものをいたずらに考慮するために、法律を乗り越えて法律にないようなことをおやりになるようなことがあってはならないと私は思う。そういう意味で正直であるとか一生懸命やっておるということのほかに、どうか一つもっと常識的に事の緩急よろしきを考えて、どんな権力や金力が来てもきぜんとしてこれをやる、筋を通すということだけを強くお考え下さることをお願いします。  それからもう一つ私は海難防止の問題について調整部長から伺おうと思いましたが、この問題から逸脱しますと問題がこんがらかりますから、きょうはこれで打ち切ります。
  81. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 関連して。ただいま小山委員から言われたことは私はもっともだと思いますことは、熱海ではしばしばこの問題が市民の声となっておるのでありますが、要するに熱海港は特に運輸省から観光港の指定を受けておるのであります。昭和三十年以来、東海汽船熱海に寄港しておりましたのを、いろいろな関係で中止になっておるやさきに、またまた今回競願が出ていることについて、観光熱海港に船の競願者があるにもかかわらず、船の運航一つもできておらない。いろいろな欠陥があることに対して運輸当局大臣がこれらの処置について真剣にお考えになっていることを二、三お尋ねしたいと思うのです。  まずもって、かような定期航路があるにもかかわらずこれが中止になっている、中止になっているばかりでなく競願になっているということについて、今小山委員が言われたことと同一でありますが、どうしてこうやってぐずぐずしているか、その点を一つお尋ねしてみたいと思います。
  82. 中村三之丞

    中村国務大臣 中止の事柄につきましては当時の事情局長から説明させます。
  83. 粟澤一男

    粟澤政府委員 熱海港に当時ついておりましたはしけ乗りのために、特に冬季におきましては旅客の乗りおろしに危険があるという状況もございましたが、なお冬季には、ああいう港でございますから旅客もまた少くなるわけでありまして、従って冬季間は中止して早く港の完備するのを待ちたい、こういうことで中止しておったのであります。自来ずっと防波堤の建設その他がおくれておりましたが、ことしはその防波堤が完成するということになって参りました。それを待って、先ほどから申し上げましたように、東海汽船航路を復活したい、また新しく免許申請したい、それから伊豆箱根鉄道も熱海大島間をやりたいということで競願になっておるわけであります。
  84. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 小山委員からいろいろ御質問したので、私はくどく申し上げたくないのですが、今の局長答弁は繰り返すような答弁で、私のお尋ねしている点に触れていないと思うのですが、要するに防波堤が悪いから定期航路を中止してあるとかなんとかいいますが、それは私はいろいろ責任問題も起ろうと思うが詭弁だと思う。熱海は船が着いておったのですから、その船を別に設備を新たにしなくもやればできる問題だが、それがいきなり中止になっているということは、今もいろいろの声がありましたが、政治的問題も加わっておりましょうし、また資本家の圧力という点も加わっておりましょうが、しかし市民、観光客というものはそういうことを知らないのですから、そういう詭弁的なことでなく、競願という問題はあとにしても、まず現在の定期航路に対してはすみやかにこれを運航できるようにするのが当然だと思うのですが、この点について御回答願いたいと思います。
  85. 粟澤一男

    粟澤政府委員 先ほど申し上げましたのは会社側の見解と申しますか、そういう見解で中止をしておったという御説明を申し上げたのでございます。なお競願の点につきましては先ほどもちょっと申し上げましたが、両会社協定その他を作り、あるいはこれがまた完結に至らなかったというふうな事情もありまして、途中において手間をとったのでございますが、今日私どもはできるだけ早く事務の線に乗せまして審議を急ぎたい、こう思っております。運輸審議会に去年の暮れから諮問をしまして、近く聴聞会も開かれ御答申があるものと、こう考えております。
  86. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 その競願の問題はあとにして、その定期航路運航することに対して運輸省としては異議があるのですか、ないのですか。
  87. 粟澤一男

    粟澤政府委員 事業者の申請を待ってやるわけでございます。必要なところに定期航路ができるということは私どももちろんその方がいいというふうに考えます。
  88. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 それはどうも話が逆戻りするようですが、審議会といろいろの問題がからんでいるように思いますが、私の伺うのは、現在まで許されておった定期航路運航するのに何か支障がありましょうかということなんです。
  89. 粟澤一男

    粟澤政府委員 御質問の趣旨が前にやっておったものを中止したもの、これを復活して前の運航計画をやるのが差しつかえがあるか、こういう御質問でございましたら、これは先ほどから申し上げますように、航路計画がございますので、前の運行計画で、そういう場合には支障はないと思います。
  90. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 どうもそこのところがよくわからないのですが、私ども東海汽船からもいろいろ事情を伺っておりますし、東海汽船があそこへ船を着けるときにもいろいろ相談を受けたときもありますが、しかしその後運輸省へ行っても何だか方針のない船の着け方みたいで、どこへ話を持っていっていいかわからない。ただぐずぐず引っぱっているだけで、一つも話が進まないということを聞いておりますが、これらの点について何かお聞きになっておりましょうか。
  91. 粟澤一男

    粟澤政府委員 私ども各関係市町村、あるいは事業者からも再々陳情を受けております。それは大臣のところにもおいでになっているという話も先ほど聞きました。事務的には先ほど申し上げましたように、運輸審議会諮問しております。それがいろいろ手続もございまして時間がかかっておるということはあるのでございますが、事務当局が特にこれを延ばしておるというふうな事実はございません。
  92. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 どうも話がちっともわからないのですが、要するにその定期航路に対しては、即時、熱海観光港を生かす意味において、定期の航路を再開しても差しつかえないという御意見ですか。それからこの点をくどく言っても同じようですが、在来の定期航路に対してはすみやかにこれが実施できるようにお考え願いたい。  もう一つこれに関連しまして、興安丸が最近熱海に寄港するということについて、新聞紙上、また熱海市役所当局から、私は二、三日前に伺いましたが、これらの出願その他につきましてどういうふうになっておるか、お伺いしたいと思います。
  93. 粟澤一男

    粟澤政府委員 先ほどは、一時休止しておりますものを当時の計画で始めることは差しつかえないと申し上げましたが、定期航路として現在認可申請をしておりますのは、再々申し上げました手続の上で許可、免許が出る、こういうことに御了解願いたいと思います。それから興安丸の件につきましては、申しわけございませんが、まだ報告を受けておりませんので、後ほど調べて申し上げたいと思います。
  94. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 興安丸というのは引き揚げ問題で日本のすみずみまで名前が知れている船でありまして、伺えば今回船内を根本的に改造して、熱海の観光港に着けたいということであります。伺えば、これらの整備等、また手続等についてはあらかじめ当局とできているように伺っておりましたが、今伺えば、何ら聞いておりませんと言いますが、これらの出願に対しても許可をするお考えがありましようか。お伺いしてみたいと思います。
  95. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その運航が定期でございますか、不定期でございますか、あるいは臨時乗客の運送でございますか、その内容も十分承知しておりませんので、今許可する意思があるかということをお尋ねいたされましても、ちょっと御答弁しにくいのでございますが、やはりそれぞれの条件なり基準なりがございまして、これに適合いたしておれば、特に熱海に着けることが悪いというようなことは考えられないと思います。
  96. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいま御答弁を伺っていると、何だか中心からはずれた、マストのない船のような御答弁のように伺うのですが、しかし熱海は、今競願といい、定期航路といい、新たに興安丸の出願というそれだけ重要な熱海港でありますが、しかし今運輸当局の回答のような、柔弱な方針のないようなお考えであったならば、これらの問題も市民が要望する熱海港としての使命を達するようなことはとうていできないと思います。私はきょうは関連質問でありますから、このくらいにいたしますが、この点を十分御考慮願いまして、そうしてどこから聞かれてもつかれても差しつかえないような規定を今後特にお考えを願いたい。言いかえますと、私は今小山委員が言われたように、運輸省船舶の問題は何だかたよりのないように思っておる。先般来の事故から見ましても、大いに改善すべき点が多々あると存じますので、きょうはこのくらいにいたしますが、どうぞ根本的な改良と、今申し上げましたような点について十分御考慮と御調査をお願いいたしまして私は終りといたします。
  97. 赤澤正道

    赤澤委員長 正木委員
  98. 正木清

    ○正木委員 関連して一点だけこの機会にお尋ねしておきたいと思います。関門隧道が完成されまして、例のバス路線の免許についてもいろいろのうわさを私は聞いておるわけですが、このバス路線免許の見通し等は一体どうなのか。当然これと関連して定期航路の関係になってくるわけですが、このバス路線の免許と関係して問題になりますことは、従来船でやっておりました業者が当然これまた失業をするわけですから、商売ができなくなるわけですから、当然出願しておるというふうに私は聞いております。こういう場合に行政処置として、こうした従来船でやっておった業者の出願に対しては優先して許可する方針なのかどうか、関連してこの二点だけを自動車局その他の関係当局から御答弁いただきたい思います。
  99. 中村三之丞

    中村国務大臣 詳しいことは自動車の当局から話させますが、私は大綱を申し上げておきます。これは早くやらなければならぬので、聴聞会は広島におきまして昨年十二月五日、六日行われました。運輸審議会の方に来ているだろう思います。そこで今相談をいたします。つきましては、まず第一にあの国道にどれだけの交通量があるか、これは私は一つ正確に調べてもらいたいということ、その交通量によってどれだけの人を許可するかということがまず第一の前提だと思っております。それから関門に汽船を動かしておった会社、私の記憶によると、関門汽船というあなたの御指摘の会社だと思いますが、昨年十月でございましたか、私も門司へ参りまして、いろいろ聞いたり、調査をいたしましたが、この汽船も出願しておるようでございます。しかしこの汽船会社が汽船で全然失業してないのです。お客は従来より減っておるけれども、あの汽船会社は動いております。従いまして減っておるから国道へ回したいというのかもしれませんが、この辺の事情は私もとくと研究したいと思います。
  100. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 具体的な関門間のバス路線につきましては、今急速に結論を出すべく、ただいま大臣の御答弁がありましたように検討いたしております。それはまずあの隧道ができたことによりましていかなる交通量が動くか、どの範囲の交通量が動くか、それと、どの程度の客が国鉄からそちらに流れ込んでいくか、誘発交通量はどのくらいあるであろうかという数字的な結論を、三カ月くらいにわたりまして、非常に詳細な国鉄の各駅別の乗降客数をとりまして、今まとめつつあります。と申しますのは、一般の交通状態と違いまして、九州、本土間をつなぐという新しい道路交通ができますので、交通上の変革も相当大きく起るであろうということで、相当時間をかけたわけでございます。御質問船会社二つございまして、日本自動車航送株式会社というものと、関門海峡汽船という二つ会社が出ております。片一方の日本自動車航送株式会社というのはフェリーをやっておりまして、これは道路上の運送と同じように、人または車両を船に乗せまして運ぶものであり、関門海峡汽船というのは人を運ぶ会社でございまして、それでこれには、交通機関でございますので、鉄道の運賃、それから自動車の運賃、フェリーの運賃という、運賃差がどの程度会社に響くものであるかということを検討しなければなりません。それらを彼此勘案いたしまして、いつも繰り返すようでございますが、道路運送法第六条の免許基準にそれがいかに適合するかということの判断をしなければならない段階になっておりまして、現在のところでは基礎数字を固めておりまして、これから大臣の御意見も十分反映いたしますとともに、運輸審議会意見も十分聞きまして、最後的な決定を急がなければならないという段階になっております。
  101. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連してちょっとお尋ねしたいのですが、関門トンネルは近く開通するということを聞いておるのですが、それまでに間に合うのか合わないのか、一つお尋ねしたいと思います。
  102. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 それは時間的に間に合わないということでございまして、と申しますことは、現在あの隧道は車を通しておりません。それでバスの定期路線を運航いたしますためには、相当期間その路線を走らせまして、運転手を習熟させましてからバス路線を通すということでございますが、三月九日までは一般の自動車はまだ通しておりませんので、安全を期するためには、その習熟期間だけおくれるということになります。
  103. 關谷勝利

    ○關谷委員 その期間はどのくらいおくれますか。
  104. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 今のところ、大体二週間くらいあれば養成ができるのではないか、まだ結論を出しておりませんので、結論が出ましたあとには、できるだけ早く営業開始のできるように会社を指導いたしたいと思っております。
  105. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうしますと、大体九日から開通して二週間というと二十三日くらいになりますが、それまでに間に合いますか、合いませんか。
  106. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 これから免許事案その他会社の準備がございますので、私がここで確かに言うわけにいきませんが、あるいは間違うかもしれませんが、私としてはできるだけ早く、今言いましたように通し得るようにやりたいというふうに考えております。
  107. 關谷勝利

    ○關谷委員 できるだけ早くといいましても、山口の局長は、早いのが一年か二年かわからないような人でありますので、私たち非常にその点危惧の念を持っているのでありますが、その運転手を習熟させるといいますか、免許になるという予定のものでなければそのなにをやらせないと思いますが、そうすると九日には始めなければならぬことになりますが、九日までに間に合わすおつもりですか。またその間、練習というか、修得というか、なれさすということになりますのは、大体あらかじめ免許を予定したものでなければならぬはずだと思いますが、その点どういうふうに考えておられますか。
  108. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 免許になってからでございます。
  109. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうしますと、とにかく最初から間に合わないということの見通しをつけておられるわけですね。
  110. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 私が申し上げましたのは、その前にたとい免許になっておりましても隧道の中を通ることができません。それは三月九日以降でなければあそこの隧道の中を自動車はまだ通さないわけです。それで路線の習熟は、三月九日以降通るようになってから、各会社とも、免許になった会社は通すことになりますので、だいぶおくれるのではないかということでございます。
  111. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうしますと、三月九日には免許に大体なるのですか。それからすぐその習熟するようにできるというのですか。三月九日には間に合わないというのですか。あなたの御答弁は一向わかりませんが、よくわかる日本語で言って下さい。
  112. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 免許事案でございますので、確たることは申し上げられないわけでございますが、私といたしましては、できるだけ三月九日以前に大臣の御決定を願うべく、事務的な準備は進めております。
  113. 關谷勝利

    ○關谷委員 その際、今までフェリーをやっておりましたり、旅客定期事業をやっておりました者が出願しております場合、これを優先的に取り入れるというが、大きな要素として考えるのかどうか。この点、前からわかったようでわからぬ。自動車局長の腹の中がわかりませんので、あまりおえらい局長だから、私たちは腹の中がわからぬかもしれませんが、そういうふうなことは考えるのか考えないのか。なおまた海運局とそういうことについて打ち合せているのかおらないのか、伺っておきたいと思います。
  114. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 海運局からそういう要請は受けております。ただその定期船をやっているから、ほかの条件が整わなくても当然免許ということには、法律上ならないことは、しばしば申し上げた通りでございまして、そういう定期船をやっているという業態が、道路運送法第六条の免許基準の中でどのような要素を占めるかということが、この場合に免許をするか、あるいは却下するかという判断の要素になる。その中では、たとえば適格性というようなところでは、十分そういうものを満たし得る一つの要素になるということでございます。
  115. 關谷勝利

    ○關谷委員 私は免許基準に適合しないものを、今まで旅客定期をやっているから、それでどうしても許可をしろと言っているのじゃないのです。その場合、同じような状態になった場合に、これを優先的にその一つの条件として考えるかどうかということをお伺いしている。一方はすべて条件が何にも整っていないのに、今まで旅客定期をやっておったから、それに許可しろと言っているのではないので、大体第六条の免許基準に適合するような形を備えている場合のことを言っているのでありますが、その際に優先的に取り上げるかどうか、またどちらにしようという場合には、そういうものを優先扱いにするのかどうか、こういうことをお尋ねしているのです。
  116. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 その場合には、もちろんそういうものが免許の有利な条件になることは、われわれも考えております。ただ、免許をいたします場合にはそれだけではないのでありまして、ほかの要素も考え合せて総合的に判断をするというふうにわれわれ考えております。
  117. 關谷勝利

    ○關谷委員 それから私一つこれはつけ加えておきたいのですが、あの料金の関係等で、おそらく船の客がそれには回らぬのだというふうなことを、運輸省の自動車局の当局考えておるようでございますが、この料金といいますのは、おいおい安くもなりまするし、将来はこれを廃止をすることになるのですが、そういう話をすると、それはまたそのときだというふうなことの放言をされておるそうであります。これはほかから聞いたことでありますが、そういうことを言われておりますが、そういうことになりますと、それまでは細々ながらでも、やせ衰えながらでもやっておるけれども、それでその間につぶれれば仕方がないが、その際に考えてやろうということを言っておるということを聞いておるのでありますが、私はもってのほかだと考えておるのであります。この点よく慎重に調査をせられまして、今まで自動車局といいますと、海運局のことは知らぬのだというふうな言い分が、よく口から出されておるのでありまするが、そういうことのないように、一つよくこれは運輸省内で——こういうふうな旅客定期というものは、陸の交通施設ができてきますとおいおいすたれていくのだということをよく頭において、ただ自動車の関係だけの狭い視野から考えないで、海陸一体の立場から総合的に判断してもらいたいということを私ははっきり申し上げておきます。お考えどうですか。
  118. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 私どももそういうようにやっていきたいと思います。ただ具体的の関門海峡の道路につきましては、私どもは通常の場合の免許等と違った要素もあるということを考えております。と申しますことは、世界でも類のない海底トンネルに自動車を走らせるということは、日本でも初めての経験でございまして、そのためには、まず安全ということを十分考えなければならない。もしもあの海底トンネルの中で事故でも起すというようなことになりますと、非常に大きな問題でありますので、安全に円満な運行をする。それにはどういう運行形態をもって、どういう会社がやったらばいいかということを真剣に考えておりまして、ただいま申し上げましたように、実は非常に綿密な調査はいたしました。それでいろいろの見解から事務的な検討をいたしておりますので、その総合的な結果につきましては、十分大臣にも御説明を願い、あるいは運輸審議会にもわれわれの研究の結果を御説明願って、最も適当な結論をなるべく早く出したいということで今やっております。私のところの準備は三月九日までにはできるということで、日夜、実は夜おそくまで今職員を動員して準備を進めておるわけであります。
  119. 赤澤正道

    赤澤委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は明二十一日午前十時より開合いたします。    午後零時三十四分散