運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-01-28 第28回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年一月二十八日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 赤澤 正道君    理事 生田 宏一君 理事 畠山 鶴吉君    理事 濱野 清吾君 理事 山本 友一君    理事 松尾トシ子君       小泉 純也君    關谷 勝利君       淵上房太郎君    池田 禎治君       小山  亮君    田中織之進君       正木  清君    松原喜之次君       森本  靖君    山口丈太郎君       眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸政務次官  木村 俊夫君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         海上保安庁次長 安西 正道君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局定期船         課長)     中野  大君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         海上保安監         (海上保安庁警         備救難部長)  松野 清秀君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 一月十七日  委員淵上房太郎辞任につき、その補欠として  佐藤榮作君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員佐藤榮作辞任につき、その補欠として淵  上房太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員松岡駒吉辞任につき、その補欠として田  中織之進君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和三十二年十二月二十七日  鹿児島本線及び日豊本線輸送力強化に関する  請願中馬辰猪紹介)(第九〇号)  野岩羽線開通促進に関する請願八田貞義君紹  介)(第九一号)  野沢、西方間鉄道敷設促進に関する請願八田  貞義紹介)(第九二号) 昭和三十三年一月十八日  上越線高崎、渋川駅間の複線化に関する請願(  栗原俊夫紹介)(第二九五号)  斗米駅新設に関する請願山本猛夫紹介)(  第二九六号)  小本線延長に関する請願山本猛夫紹介)(  第二九七号)  鹿児島本線及び日豊本線輸送力強化に関する  請願山中貞則紹介)(第二九八号)  国鉄バス路線新設に関する請願山本猛夫君紹  介)(第二九九号)  大糸線輸送力増強に関する請願吉川久衛君紹  介)(第三〇〇号)  中央線輸送力緊急増強に関する請願吉川久  衛君紹介)(第三〇一号)  智頭上郡間鉄道敷設促進に関する請願(亀山  孝一君紹介)(第三六七号)  同(徳安實藏紹介)(第三六八号) 同月二十七日  新得、足寄間鉄道敷設に関する請願本名武君  紹介)(第三八四号)  油津海上保安部組島分室の海上警備救難署に昇  格等に関する請願小山長規紹介)(第四〇  二号)  恵雲漁港新設防波堤航路標識設置に関する請  願(櫻内義雄紹介)(第四三六号) の審査を本委員会に付託された。 昭和三十三年一月十八日  神戸東部防波堤早期建設に関する陳情書  (第四八号)  智頭上郡間鉄道敷設に関する陳情書  (第四九号)  奄美大島及び種子島に気象観測レーダー設置等  に関する陳情書  (第五〇号)  急行列車さちかぜ号の尾道駅停車に関する陳情  書(第五一号)  国鉄争議による輸送力対策に関する陳情書  (第九三号)  北見相生、釧路間に鉄道敷設促進に関する陳情  書(第一〇六号)  根北線の全線開通促進に関する陳情書  (第一〇七  号)  三陸沿岸鉄道敷設等に関する陳情書  (第一〇八号)  牟礼港灯台設置に関する陳情書  (第一〇九号)  成田線八一二列車の上野駅まで延長陳情書  (第一一〇号)  山陽本線電化促進に関する陳情書  (第一一一号)  瀬戸内海における旅客定期航路整備促進に関  する陳情書(第  一一二号)  美保飛行場国内定期航空路設置に関する陳情  書(  第一一三号)  京都地方気象台機構拡充強化に関する陳情書  (第一一四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  南海丸遭難事件に関する件      ――――◇―――――
  2. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより会議を開きます。  各委員もすでに御承知の通り、一昨日の午後小松島を出港して和歌山に向った定期旅客船南海丸遭難をいたしました。ただいまではまだ遭難の事実は確認されておりませんけれども、しかしながらこれが事実といたしまするならば、多数の人命を失いまして、まことに痛ましい限りでもありますし、哀悼にたえざるところでございます。  昨日の理事会におきまして、当局より一応概略を聞いたのでありますが、その後の状況などもあわせて、当局よりまず説明を聴取したいと存じます。木村政務次官
  3. 木村俊夫

    木村政府委員 ただいま運輸大臣が閣議に出席中でございまして、とりあえず私から一昨二十六日夕刻紀伊水道におきまして突発いたしました南海丸海難事故につきまして、御報告を申し上げたいと存じます。  南海丸は一月二十六日午後五時三十分、乗組員乗客百六十四名を乗せまして、徳島小松島港より和歌山港向け出港いたしましたが、同六時三十分ごろ淡路島南東沼島付近西方約二キロ半の地点より超短波無線電話でもって、危険に直面している旨の遭難通信を発したまま連絡を断ちました。神戸の第五管区海上保安本部では、報告に接しまして直ちに小松島海上保安部南海丸救難捜索本部を設けまして、海上保安庁巡視船十二隻、ヘリコプター一機及び海上自衛隊第五掃海隊五隻のほか、沿岸漁船の応援を求めまして、夜を徹し必死の捜索を続けて参ったのでありますが、二十七日南海丸用具箱救命ブイいかだ等漂流物発見したのみで、いまだに船体発見沈没個所の確認に至っておりません。しかしながら現在までの状況より判断いたしますと、南海丸の転覆、沈没はほぼ確実となり、生存者発見はほとんど絶望視される状況でございます。遭難者方々及び御家族方々に対しましては、つつしんで心からお見舞の意を表する次第でございます。当省といたしましては、なお関係機関を督励いたしまして、一刻も早く船体捜索遭難者の救出に全力をあげますとともに、事故原因調査、もし不幸にして御遭難が確実視されました場合の御遺族の弔慰の措置等に万全を期したい所存でございます。右とりあえず御報告を申し上げます。
  4. 赤澤正道

    赤澤委員長 なお細部にわたって報告を聴取いたしたいと思います。島居海上保安庁長官
  5. 島居辰次郎

    島居政府委員 大体は今政務次官からお話しされた通りでありますが、なお補足さしていただきますと、二十六日の午後六時半、淡路島南端潮崎南々東の二マイルの地点で、その辺は水深が約四十メートルのところでありますが、そこで超短波無線電話で、南海汽船小松島営業所に対しまして「危険、危険」と連呼したまま消息を断ったのであります。そこで、そういう情報を得ますると、私の方の第五管区海上保安本部、これは神戸にございますが、これは小松島海上保安部が最も近いので、第五管区の管下の十一隻と、そうして第六管区高松の船を一隻、さっそく現地に派遣いたしまして、小松島捜査救難対策本部を設けまして、捜査活動の総指揮官、第五管区警備救難部長現地に派遣しまして、さっそくそれ最りかかっておるのであります。なお本庁からはヘリコプ夕ーを広島と舞鶴から派遣いたしまして、なおけさビーチクラフト飛行機を館山から派遣いたしまして、なお呉地方総監に対しまして、掃海艇を四隻協力を要請すると同時に、航空自衛隊に対しまして飛行機の出動も要請しておるのであります。  そこで漂流物発見でございますが、それ以来白塗り用具箱その他十三件を発見いたしておりますが、これはそれぞれすでに新聞その他の報道機関で発表してありますが、つい今入りました連絡によりますと、けさの七時四十分に沼島の二百二十度といいますから西南に当りますが、そこの八・二マイルの付近で油が流れておったというのを、巡視船の「たまなみ」が発見しておるのであります。またつい先ほどの九時十分潮崎の百九十度といいますから、真南のちょっと西の方でありますが、この三・八マイル付近に女子の死体を地元の漁船発見しておるのであります。ただしこれはあの辺にはまだ遭難船も多かったようなわけで、果してこれが南海丸死体であったかどうかということにつきましては、なお私の方から再調査するようにさっき連絡しておったようなわけであります。  なおこの船は横に転覆して、その付近人員もろとも海底沈没しておるという疑いも濃厚なのでございますので、私の方の水路部明洋丸をさっそく現地に派遣いたしまして海底調査をやらせたい、かように考えておる次第でございます。
  6. 赤澤正道

  7. 和達清夫

    和達政府委員 お手元昭和三十三年一月二十六日南海丸遭難に関する気象資料概要という気象庁からお配りいたしたものがあると思いますので、それによって御説明申し上げます。  まず当日の気象概況でありますが、当日の朝上海の南東部に発生した低気圧は次第に発達しながら、毎時百キロメートルの速度で北東に進み、これは通常の低気圧よりも速い速度であります。これが山陰沖北陸沿岸を通って夜半過ぎ関東地方の北方を通り、二十七日の朝には東北海上に抜けております。この低気圧が通過いたしましたために、本土の太平洋側では二十六日の夕刻から南風が強くなり、四国東部及び紀伊半島沿岸では最大風速が十五ないし二十メートル程度に達しております。もろちん場所によってはこれよりも強い突風があり得たとは思います。  これによってどういう気象状況になるかということは、この二ページ目に南海丸に特に関係の深いと思われる徳島和歌山につきまして、毎時間の天気の移り変りが書いてありますが、そのほかに沼島にちょうど区内観測所がございます。遭難個所がどのくらい沼島から近いかということは今後の結果に待たねばなりませんが、これが最も近い材料といたしますと、ここに書いてありますところの午後六時ごろから風が強くなっておりまして、その風が西に変ったのは午後九時ごろで、しかしこの島の上の風と海上の風との比較は、実はこの沼島のこの風をはかっておる場所がどういう地勢にあるかり私もつまびらかにしておりませんので、ちょっとここで申し上げかねますが、同島もしくは海上の方が風が強いかもしれません。これは後ほど調べまして御報告したい。  その次には気象官署からどういう注意報が出ておったかということ、それが三ページに書いてあります。ここには徳島和歌山神戸と三つだけが例に出ております。徳島は当日の午後五時に気象注意報を出しておりまして、強風の吹くことを注意しております。和歌山は午後四時に出しております。神戸海洋気象台合地方海上警報といいまして、多少広い範囲に出すものでございますが、それは午後二時三十分に出ております。これはどういう方法で伝達しておるかという問題であります。これがその下に書いてありますが、普通これは発令されますと、すぐラジオ放送されます。一般加入電話で特別に約束してあるところは、すぐ電話通知される。それから気象通知電報というのがありまして、郵便局を経由して、契約してあるところに通知することになります。これも約三十分以内には行くことが多いと思っております。それから例としまして小松島の場合、これは小松島関係の場合という意味でありますが、徳島の例で言いますと、すぐNHK徳島放送局から五時に出ております。それから四国放送、民放でございますが、これから出ております。それから小松島海上保安本部に対して気象通知電報通知が参っております。以上が大体の気象に関する御説明です。
  8. 赤澤正道

  9. 粟澤一男

    粟澤政府委員 南海丸というのは、南海汽船株式会社所有船でありますが、当該会社資本金三千二百万円、お手元資料に書いてございますように、南海丸昭和三十一年の三月に進水いたしました新造船でございまして、昨年の四月にも中間検査を受けまして合格いたしております。総トン数四百九十四トン、ディーゼル機関を装備しまして、速力十三・五ノット、乗客定員は特二以下計四百四十四名でありますが、この第二ページに書いてございますように、当時の乗客といたしましては、有料客百二十六人、優待客五人、子供五人、合計乗客百三十六名、般員が二十八名、合計いたしまして百六十四名の人員が搭乗いたしております。当該会社は、最後のページにございますように、この南海丸の就航いたしました小松島和歌山航路は、三十一年の五月から始めておりますが、そのほかにも深日—小松島、由良—深日というような三航路を経常している会社でございます。ただいま海運局関係といたしましては、和歌山の支局に遭難対策本部を設けまして、近畿の海運局から局長以下が参りまして対策に従事しております。それから会社では、行方不明者一名あて見舞金一万円を昨日贈呈しております。なお本朝より岡田、深田、ユニオン、東亜というふうな格サルベージ会社によりまして、サルベージ関係捜索を開始しております。また会社としても漁船を用船いたしまして、極力捜査をいたしておる段階でございます。
  10. 赤澤正道

    赤澤委員長 本件に関し質疑の通告がありますので、これを許します。生田委員
  11. 生田宏一

    生田委員 私たちが心配をしておりました南海丸の避難の件は、今運輸当局の御説明によれば、悲しくも事実と相なったのでございまして、私たち南海丸遭難された方々に対しましては、深甚な哀悼の意を表します。  そこでこの事件についてわれわれが運輸当局お尋ねをいたしたいと思いますのは、これを二つに分けて、一つ南海丸沈没現場を一日も早く、一秒も早くこれを確かめて、遭難者百六十四名の遺体の取り出し、またこれを御家族にお引き渡しをする、こういう最も急を要することが、今何一つも現実の事実となって出てきていない。このことは、二十六日の十八時三十分に遭難をして以来すでに二日になろうとしておりますが、どうしてその遭難現場を、確かめることができないのであろうか、これがわれわれの第一番の疑問です。今御説明によれば、第五管区からはたくさんの船を出し、あるいは他の管区からヘリコプターその他の飛行機救援を仰いでやっておられるといいますが、沼島の南、潮崎南方二海里と大体想像がついておるその船の遭難現場を、なぜ今もって押えることができないのであろうか、これが私実は最大の疑問であります。それで単に救援を仰いで捜査を開始しておるということではなしに、どのような捜査をされておるのか、船の所在を確かめるためにはどのような方法があるのか、たとえばレーダーで調べてみるとか、あるいは網を張って引いてみるとか、水深三十ないし四十メートルで、そう深いところとも想えないところにある船が、しかも五百トンという大きい船が、なぜわからないのであろうか、このことについてお尋ねをいたしたいのでございます。  それから第二番目のことでございますが、私どもは三十年の五月に高松の港外で紫雲丸遭難の事実を持ちましたが、あの当時の考え方としては、日本の近海で、特に瀬戸内で定期旅客船遭難をして人命を失うがごときは再びないものだ、またそのようにしてはならないという決意をもって、運輸当局においても海運行政について深甚の考慮を払われたい、こういうことを望んできましたし、また日本内海航路を持っておりまする旅客船会社としましても、これは片時も忘れてはならない大切なことなのでありますが、今またこういう事実が発生をした。確かにこれは原因があるに違いない。従来の経過に徴しましても、たとえば洞爺丸事件は、三年もたった今日に、ようやくその原因あるいは責任所在が明らかにされようとしておる状態でございます。紫雲丸については、一年を経過しましたときにおいてもまだはっきりしておりませんでした。そこで、この海難原因とか責任とかいうものは、きわめてあいまいな状態で、その責任所在がぼやかされておるというのが従来の例である。ところがこの場合にはよほど問題が局限せられておると思うのであります。その原因を確かめていけば確かに確かめられる状況にある。といいますのは、確かにそれは南海丸乗組員あるいは乗客全部が死亡しておると推定されますので、生存者の口からこれを聞くことはできなくとも、船が小松島の港を出たのが二十六日の午後五時半であって、遭難をしたのが六時半だと推定せられているし、その場所淡路島潮崎南方二海里ということがはっきりわかっているのでございますから、それまでの経過をずっと推していけばわからないはずはない。  そこで私がお尋ねしたいと思いますのは、今までの御説明によれば、潮の流れが潮時において幾らであったとか、あるいは風速幾らであったとかいうことは御説明がありましたが、まず一番にあの付近海上状況というものを御説明になっておらない。私の承知している限りでは、私は四国人間でございますから、毎年小松島から神戸大阪まで往復五、六回は船に乗るわけでございますが、そのときに、どんな平穏なときでも、潮崎南方二海里程度のところでは常に船がゆれます。千トン級の船でもゆれる。特にあの付近では南風が吹いてきたときには——あの付近ではこれをマゼといっておりますが、南風が吹いてきたときには、太平洋うねりがあの紀伊水道に入ってくるので、大きなうねりになって、それが沼島南方海上鳴門海峡から吐き出してくる潮流と合せて複雑な海の状態になるので、あそこが一番むずかしいとなっているところです。しばしばわれわれもあの付近を航行中に荒天にあって、沼島の湾内に避難したことも二度や三度ではございません。そういうような状態である。どういうふうな海の状態であるかということは、あなた方は少しも御説明になっていないので、われわれはなぜこれが沈没する、あるいは転覆するというような事態が起きたかということを——地理的条件とか、気象条件とかいうものをただ言うだけであって、そうしてそのときの状況を知らないから、ぴんとこないのです。もしこの船が小松島から五時半に出るというときには、沼島にかかったときの時間的な考慮を払ってみると、今この資料で見ますと、潮流においては最大潮流の時期であったと書いてある。それから風速においては秒速十七となっておりますが、これは大した風ではございませんが、それにはうねりというものがついてきて、そうして船の足を払っている。また鳴門海峡から出てきた潮流によって船の足を払われている。その逆に、突風南方から吹いてきてそうして船をますます傾けさせた、こういうことがわれわれしろうとにおいても想像されるのです。そういうような条件というものは、船長においても、また第五管区においても、あるいは神戸気象台においてもよくことれは御存じのはずです。そうすると、和達君の御説明によれば、NHKとか、あるいは四国放送とか、あるいはまた電話等で五時には通報をしてある。しかし船は五時半に出ている、こういうのですが、電報でいけば三十分かかる、こういうように言っておられますが、もしラジオ気象通報というものを船が聞いていなかったときにはどうなるか。そうすると、五時三十分に出たというその船には電報で五時に通知をしたのですから、三十分かかると見て、船の出港時には電報が届くか届かないか、時間的に見るならば、あるいは受け取っていないかもしれない、あるいは受け取っているかもしれない、こういうことになるわけです。ところが私が聞いておりますのでは、これは私の郷里から電話で言ってきたのですが、二十六日の午後四時ごろから五時半ごろまでは、これは私が電話で聞いた話ですが、相撲の放送に聞き入っておって、おそらく船の中においてもそうであったし、また港の船会社の事務所においてもそうであって、ラジオあるいはテレビではそのときには気象通報を聞いておらぬ、こういうことを電話で私のところに言ってきたものがある。これは私の留守宅から言ってきたもので、船会社関係のあるもののニュースですから、確度は非常に高いと思いますが、そう言ってきたものがある。そういうような状態も聞いてみて、ラジオによって流した気象通報というものは船が受け取っていない、重報を打ったけれども間に合わないということで船は出港したのではないか、こういう感じもするわけですが、その辺についてはあなた方の方では現地についてよくお調べのことだと思うのですが、たとえば電報を受け取っておったとか、受け取っていないとか、そういう確認されたことがありましたならば、責任所在というものはそこではっきりしてくる。船の方が悪いか、あるいは気象通報について十分な通報ができておったかどうか、それらもはっきりしてくると思う。  またもう一つお尋ねしたいと思いますのは、この船でございますが、私はしばしばこの船にも乗った一人でございますが、これもある海運関係の人から聞いたのですが、海の荒い、天候の悪いときには、南海電車のやっている船はお見合せになった方がよかろう、こう言って私に忠告してくれた人がございます。それをよく聞いてみますと、あの船は速力第一主義で作ってある船である、こういうことでございまして、大きなエンジンを載せて、そうして船の構造が重心が上っておって安定性が少い。実は復原力というものは非常によく考えてあるのだ、こういっているようではあるけれども、実際は復原力は鈍いのだ、それで海の荒れたときには気をおつけになった方がいいでしょう、こう言って忠告してくれた人もございますが、今本件が起きましていろいろ聞いてみますと、日立造船では、十分に復原力を注意して作ってあるという説もあれば、実はあれは速力第一主義であって、船の安定性はきわめて低いのである、こう言う人もある。しかしながら、これは想像でございますが、小松島から大阪まで七時間を要するという時間的な負担というものが、四国の島の人間には大きな負担になっておりますから、何とか短かい時間で本州に渡りたいという気持が多分にある。南海電車の方がその気持をくんで、大阪から一時間で和歌山に着く、和歌山から二時間半ないし三時間で小松島に着く、大阪から四時間でやっていけるというので、それが魅力になってこの航路というものが経営されているのですから、速力第一主義であるということは間違いのない事実だと思うのですが、運輸省の方はこの船の性能検査もしたことでございましょうし、この船が果して復原力においてあるいは凌波性において十分なものであったかどうか、あるいは不十分でありながらも、これは内海航路に就航さすのであるから、この程度ならば安全であろうというようなお考えがあって、多少の危険は考えられても、その船体性能検査はこれをパスさせてあったのか、何かそういう点においてお考えがあると思いますから、これも一つたちとしては確かめてみたい。そうしたならばこの遭難原因所在というものが割とはっきりするのではないか、こういうつもりでいるわけですが、原因については、気象通報上の問題、あるいは現場海上条件、あるいはまた船の復原力あるいは凌波性に対する性能というものをまず調べてみれば、案外遭難原因というものがわかってくるのではないか、こういう気がしますのでお尋ねをするわけですが、以上救難についての船の位置がまだ確かめられないというのはどういう原因であるか、あるいはまたもう一つの問題は遭難原因はどこにあったか、この二つについてそれぞれ関係者からお聞かせを願いたい。
  12. 島居辰次郎

    島居政府委員 先ほど船の位置の件でございますが、これは先ほど申し上げましたように超短波無線電話でもって、営業所の方へ「危険、危険」と言ってきたのでありまして、それからすぐわからなくなったのでありまして、果してどの辺であるかということは大体のところわかりますが、それよりもまずそれ以後ああいう強風によって、あるいは無線が故障して流されておるのではなかろうかというので、この捜査海面をずっと広げまして、淡路島南方ずっとにわたって、今まで多くの船でもって探しておるのであります。それで劈頭資料を差し上げましたように、漂流物をいろいろ拾っておるのでありまして、それからだんだんに狭めていって、大体船の遭難の位置、それからもし転覆したとすれば、大体この辺ではなかろうかというようなところへだんだん焦点を狭めていく、それからもしそうだとすると、そのときの潮流によって大体この辺であろう、鉄船であるから、御存じのように海面は上の方は相当流れにスピードがありましても、海底に行きますとそんなにスピードがないのでありますので、大体この辺であろう、こういうふうなところから海底調査に行くのであります。これからそういうふうな段階にいくと思いますが、なお私の方からも先ほど申しますように、明洋を派遣して、その音響測深器でもって海底調査をし、また一方漁船の底びき、それから掃海艇で海の底をかっさらう、こういうふうないろいろの計画の段取りにいくのであります。まだ漂流物、そういう段階を経ておる現状であろうかと思うのです。
  13. 關谷勝利

    ○關谷委員 ちょっと関連して保安庁の長官にお尋ねしたいのですが、この船体発見に対してどういうような方法でやっておるのか、その点具体的に伺ってみたいと思います。以前に海底の電線がひっかかっておるのを水路部調査をしてくれということを私が依頼したことがありましたが、あることがわかっておるその海底電線すら、どうなっているかわからないというのが今の水路部調査した結果であります。そういうふうなまことに原始的なもぐりか何かを入れてみなければわからぬというようなことでは、この広い海面を探っておるのでは、とうていわかりようがありません。どんな調査をしてやっておるのか、またそれでやっておったらきょうあすのうちにでも、船体発見ができるというふうな見通しがあるのか、その点、方法と見通しについて伺っておきたいと思います。
  14. 島居辰次郎

    島居政府委員 關谷さんからお話のありましたのも、多少は困難いたしましたが、しかし見つけたのであります。そう言われることもないかと思うのでありますが、しかし電線と、また五百トン余りの船体とはだいぶ分量も違うのでありますので、いわゆる音響測深器でもって、海底調査をやるとするときに誤差も出まして、そういうことで科学的方法でわかるのが一つ方法であります。またこの辺が大体の船艇が沈んだところだということがわかりますと、いわゆる敷設機雷を探します掃海艇また底びき漁船というので、これは多少今のよりも原始的でありますが、そういうふうないろいろな方法で探したいと思って、おるのであります。そこで見通しでありますが、これは今のように大体位置をもう少ししぼっていきませんと、はっきりわかりませんので、非常に短かい期間ということは必ずしもできないかと、こういうふうに考えておるのであります。
  15. 關谷勝利

    ○關谷委員 どうもまことにばく然とした、そうしてなかなかできそうにもないというふうなことでありますが、音響測深器だけしかないのですか。大体潜水艦あたりが前にいろいろ行動しておったときに、外国あたりではみんなこれがレーダーによって、どこにどういうものがあるかというふうなことがすぐわかってくるというふうなことになっておったはずでありましたが、そういうふうな何か船体発見するためにレーダーのようなものでよくわかるものがあるのかないのか、またこれが何か音響測深器というようなものが、それがわかり得る範囲といいますか、半径がどのくらいなものか、一つこれをよく説明してみて下さい。とんでもないものを持ってきて、まるでわけのわからないようなものであの広いところを探してみたところで、わかるはずがないのですが、わかり得るようなものがあるのかないのか、ちょっとはっきりさせておいてもらいたい。
  16. 島居辰次郎

    島居政府委員 一番いいのは水中ソーナーでありまして、これは水中レーダーでございますが、これは宗谷とかその他につけております。現在海上保安庁では持っておりませんが、こういうようなものをほかのところから借りてくることもできると思いますが、まず音響測深器というのは御存じのように水深をほかるのでございまして、今まではかったのもございますので、半径というよりも真下の水深をこの電波の反響でもってはかるのでありまして、その船体があれば今までの海底の地図その他によって大体の場所がわかればそこへ持っていけばわかる、そういうことであります。
  17. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうしますと、ますます心細くなってくるのです。真下の深さがわかってくるということになりますと、真上に行かなければわからぬというようなことですね。真上へ船でそれを持っていかなければわからぬということになってきますが、そうなんですか。
  18. 島居辰次郎

    島居政府委員 その通りでありますが、それは探すのでありますから、船はじっとしておるわけじゃないので、大体この辺の海底にそういうものが沈んでおるとすれば、その辺を測量すると同じような方法でずっと歩いていけば、ちゃんと反射してわかってくるわけであります。印刷に出てくるわけでありますので、大体その船舶が沈んでおるところを見当つけないことにはわからないと思います。ほかの水中電機を持ってきましても、それはそんな大きな範囲にはわからないと思います。
  19. 關谷勝利

    ○關谷委員 そんな答弁をしておったのでは、わからぬといって答弁した方がだいぶ早いのです。これは水深がわかってくるからそれによってといいますが、私たちが前に電線を調べたときにさえ、あの付近の海の深さというものが海図と全然違うということが全部現われて出ておるのであります。海図通りの深さでなかったならば、それから船が沈んで高くなっておるからわかるというふうな、そんなたよりないことではわかるはずがないのです。宗谷あたりにはレーダーのようなものがあるというのなら、そういうふうなものをさしあたり借り入れてくるとして、そういうふうなものが日本にあるのかないのか。それともう一つお尋ねしたいのは、それを借り入れようという交渉でもしておるのかどうか、そんな点を伺っておきたい。
  20. 島居辰次郎

    島居政府委員 今申し上げますように、音響測深器で大体のことはわかるわけであります。ことに付近鳴門海峡は一昨年におきまして私の方で調査した新らしい資料もございます。また音響測深器は海底の岩石であるとかあるいは泥質であるとかいうようなことも大体わかってきますが、ソーナーというものはもっと巨大なものでないとわからないというのが現在の状況であります。しかしいろいろな方面でできるだけのことは私どもとしてもやろうと思っておりますので、もっともっと協議いたしたいと思っております。
  21. 和達清夫

    和達政府委員 先ほどラジオ電報電話のお話をしたのですが、ラジオは民放でやりましたが、これは私、相撲放送をやっておるかどうか存じませんので、NHKの方で相撲放送をやっておるとしますと、第一放送でおそらく注意報が出ますので、第二の相撲を切ってまでやらなかったのじゃないかと思いますが、これは調べてみます。この点今後もこういう注意報は、どういう放送をやっておりましても入るように、私ども努力いたしたいと思っております。  それからその次の電話でありますが、小松島徳島地方気象台とは、市内同様に通じるのでありますから、聞いてきたかどうかという問題、またそういう電話がかかってきたかというのでありますが、これもよく調べてみますが、現在まで確かにこの会社でこういう目的のために測候所にかかってきたということはないようであります。  それからその次は電報のことであります。電報徳島地方気象台から通知電報小松島海上保安部通知することにきまりはなっておりまして、それが十七時二十六分ごろに小松島海上保安部に届いていると考えられます。そこから先は私どもまだ調べておりませんが、通常ここから各般関係に参るものと考えております。
  22. 小山亮

    小山(亮)委員 議事進行。こういう重大な問題を審議しているのに、当の責任者である運輸大臣が出てこないというのはどういうわけでありますか。はなはだ怠慢だと思うが、何しておるか、またいつ出るか、この点明確にしていただきたいと思います。
  23. 木村俊夫

    木村政府委員 先ほど申し上げました通り運輸大臣は目下閣議に出席中でございまして、閣議終了次第、委員会出席する予定でございます。
  24. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 船の復原性の問題につきまして、運輸省といたしましてどういうような経緯に基き、この復原性の基準を設定し、また検査をいたしておるか、また本船の場合にいかなる状態にこの船の復原性がなっておるかにつきまして、御説明申し上げたいと思います。一九四八年の海上人命安全条約の勧告に基づきまして、各国とも復原性の基準の設定につきまして研究中でございますが、国内航海のものを含めまして、米国、ソ連、ドイツ等におきましても、すでに基準を設定いたしております。わが国におきましても頻発する海難がございますので、昭和二十八年から造船技術審議会に船舶安全部会を設けまして、その任務の一つとして復原性の基準設定の方針を定めまして、東大、九大、軍研、海事協会、船主、造船所等、わが国におきまする権威者を網羅しまして、研究を進めてきたわけであります。昭和二十九年の、また三十年の洞爺、紫雲等の海難によりこの研究を一そう促進しまして、旅客船につきましては、基準の試案を作成いたしまして、昭和三十一年四月行政指導によって基準を船舶検査の一環として実船に実験いたしております。その実験の結果何ら不都合が認められませんでしたので、前記の基準を実質的にはそのままの内容で昭和三十一年十二月二十八日船舶復原性規則として公布いたしまして、昭和三十二年二月一日から現在に至るまで実施をいたしております。なお非旅客船の基準につきましても、現在研究中でございます。  従いまして本船は、この昭和三十二年の二月一日以前の建造にかかる船でございますが、この復原性の規定に基きまして本船の検査をいたしたわけであります。この復原性の基準の建前を申し上げますと、平水の船と沿海の船と近海の船という三つの分け方に基いて、この基準を作っております。第一番の平水の船につきましては、私ども甲基準と申しておりますが、船がかしぎました限界の角度におきまして、復原のてこが傾斜を生じます。偶力のてこ以上であること、また横のメタセンターの高さが正であるということが甲基準になっております。それから沿海の船といたしましては、この船の静的復原力曲線を描きまして、その船が一定の波を受け、ある程度傾斜した状態におきまして船の固有の周期と波の周期との同調とを考えまして、左右にゆれます場合のゆれる原因になりますモーメントが、船を戻そうというモーメントよりも大きい場合には、船はひっくり返る。復原する力が大きい場合には船はもとに戻ります。こういう基準で沿海または近海の船の復原力を算定いたしております。それから丙基準といたしましては、物理的な船の幅に対しましてどのくらいこの復原のてこの長さがあるかということを基準にして復原力をチェックいたしております。  本船につきましては、竣工後その性能の検査をいたしたわけでございます。あらゆる状態に対して船の復原力を計算いたしましたが、一番最悪の場合は、船が満載で入港する場合の復原性が一番悪い。そのときの最大の傾斜角度が四十五・八度まで耐え得る。しかしその場合に船には窓等の開口がございまして、四十五・八度までかしぐことは無理でございますけれども、その窓の開口等を考えますと、四十度までは船の傾斜があっても一応戻るというような計算になっております。もちろんこの波と風との関係というものは非常に複雑な関係でございまして、先ほどの御説にもございましたように、この場合においては潮の流れというものは別に考えておりません。ただ平均風速十九メートルの風が吹きまして、その場合の波を想定し、船が最大限の危ない状態において四十度程度までかしいでも一応は安全であろうという計算上の数値でございますので、実際の場合さらに強い風が吹くとか、または海流の関係によってさらに大きな傾斜を生ずる場合とか、またはその場合に船のかじを引きまして、船が異常な傾斜をするといったような場合には、船がこの限度を越えるということにもなると思います。復原性の基準につきましては、先ほど申しましたように一応合格でございますが、ただ注意を要する点としましては、満載入港時にフォア・ピークとアフタ一・ピーク・タンクに水を入れなければ少し安定が悪くなるというようなことがございましたので、本船に対しましてもこの計算をいたしまして、こういうような点について注意をしろというような通知は出してございます。以上、言葉が足らなくて幾分おわかりにくい点があったかと思いますが、御説明を終ることにいたします。
  25. 赤澤正道

  26. 粟澤一男

    粟澤政府委員 気象通報の問題でございますが、私どもの方で一応今まで聞いておりますのでは、出港のときにどうも通報を聞いていなかったというふうに聞いております。その後にまた問い合せたというようなことも聞いておりますので、重要な問題でありますので、今私当時の状況を詳細に調査いたさせております。
  27. 生田宏一

    生田委員 再度お尋ねをいたしますが、島居長官のお話によりますと、「危険、危険」という信号が急に出てきて、その後ぷっつり消えた、あるいは漂流をしておるのじゃないかというようなお話ですが、遭難の第一報を受け取ったときの第一感としてはそういうことが出るかもしれませんが、今となってはそういうものは無意味のことだと思います。というのは御説明資料によりましても、あれから一時間後には水が、満潮になってきて、逆流をしておりますから、遠くへ流れるはずはございませんし、また一昼夜を経て船体が見えないというばかなことはございませんので、船はあの付近へ沈んだことに判定して間違いないのですから、潮崎南方二海里というのは、大してその地位は動いていない、これはもう常識でございます。もう一つは船がどのようにして遭難したかいうのですが、新造船ですから、分解することもなければ、機関の故障があってみたところで、そういうことで沈むはずのものではない。これはやはり転覆したと見る以外に考えようがない、これも常識でございます。とすれば、瞬時にして転覆してしまって、あの付近の海の底に沈んでおるわけですから、地域的には限定せられておるわけです。ただ浮遊物が沼島南方あるいは十海里程度のところまで発見せられておるようでございますが、これは潮流関係で浮遊したものが流れてきたというだけであって、船の所在というものは、SOSを発したその付近からは大して動いていないというのが、常識だと思うのです。島居長官のお話は、いまだもってわからないということを御説明する資料に、あるいは無電機がこわれて漂流しておるなどというお言葉をお使いになったかと思いますが、そんな考えは今日は無用の段階に入っておる。そこでどうしたらこれが一秒間でも早く船の所在を探ることができるかという技術を、それをあなた方の方では、水深をはかるレーダーでやってみるというようなそういうことでなしに、レーダーにしても、もっと性能のいいレーダーがあってやれるのじゃないか。たとえば私は三十年の紫雲丸事件のときに参りましたときに、第二宇高だったと思いますが、その船に乗ってみて、そうして非常に優秀なといいますか、レーダーで小さい島あるいは前方から航行してくる船の所在がはっきりわかったのを、私はレーダーを見て知っておるのですが、海の底ではそのようには参らぬものでございましょうか。私は現にそれは見ております。第二宇高に備えつけておったレーダーを見て、前方五百メートルなり千メートルの船というものは、レーダーに出てくる。それは海上を航行してさおる船は出てくるが、海の中にある船はそれがわからないものであろうかどうか。これは私にはしろうとですからわかりませんのでお尋ねをするのですが、もしそれがわかるならば、船の地位を探ることはそうむずかしいことではない、こう思うのですが、いかがなものでございましょうか。  その次は気象庁和達さんにお尋ねしたいのですが、十七時二十六分に海上保安庁の小松島の支所に着いておるというのですが、その保安庁の支所から船会社の方に、二十六分からわずか四分しかございませんが、それが届いておるものであろうかどうか、それが届いておってなおかつ船が出港したものであれば、船長の責任船会社責任は重大ですが、それが届いてないということになれば、出港することもあり得ることになってくる。その点はもっとお確かめになっておるのですか。それは通達が出てきておると思いますかどうか。これは非常に重大なことですからお尋ねいたしたいと思うのです。  それからもう一つは、山下船舶局長お尋ねするのですが、復原力の検査をして、船体性能試験をした結果、風速十九メートルに四十度傾斜ぐらいならば復原をするというお話を承わったのですが、そうではなしに、検査の結果、その船は最も傾斜をしたときに、あるいはあなたの方でこしらえた基準、内海航路の基準というものは、ある一定の風速によって、あるいはある一定の力に対しては、という表現をされたようですが、そうではなしに、何メートルで幾らの、たとえば風速三十メートルならば傾斜が幾らまで耐えられるとか、そういう最大限度の基準というものがあるはずです。その基準の最大限度までの性能を持っておった船であったからこれをよろしいと言ったものであるか、あるいは最大限度の基準までは達しないけれども、内海航路ならば、この程度ならば大丈夫だろうと思って性能試験に合格させたのか、その辺のところをお聞きしておるのであって、今度の十九メートルの、あるいは四十度傾斜ということでお尋ねしておるのではないのです。あなた方の方は十九メートルと言っておりますけれども、海上における瞬間的な風速というものは三十メートルをこえておるかもしれません。そういうことは海上におった人間でなければわからぬわけですから、果して幾ら風速であったかわかりませんが、その基準は幾らであったか、その基準にこの船が合っておったかどうか、それをお尋ねしておるわけです。
  28. 木村俊夫

    木村政府委員 私からまずお答え申し上げますが、御承知の通り陸上におけるレーダーはもちろん水中のことはわかりません。そこで水中におきますレーダーは、これも御承知の通りソーナーと申しますが、ソーナーでは巨大な、たとえば岩礁等のことは発見できますが、五百トン程度の船は発見できないそうでございます。現在函館におります海上保安庁のだいおう丸はこのソーナーを持っております。このだいおう丸のソーナーをもってしても、五百トン程度のものは発見できないという技術的結論になっております。そこで運輸省といたしましては、現在海上保安庁の沈船捜査能力を上げまして極力捜索を続行しておりますが、また明洋丸と申します水路部の船が芝浦を出航いたしまして、三十日には現場に到着いたします。これも結局沈船捜索にははなはだ役に立ちませんけれども、現在のところ海底の地質、潮流等から申しましても、なかなか発見は困難と思われます。運輸省といたしましては、極力現在続行中の方法を強化継続いたしまして、捜索海面を縮めるほかには方法はないと存じます。その方法を続行して参りたいと存じております。
  29. 島居辰次郎

    島居政府委員 半分は政務次官からお答えされた通りであります。あと半分は、先ほど申しましたのは、捜査の段階のことを順序を追って申したのでありまして、あちこち探しておれば、あるいはほんとうに生きて、まだ泳いではいないだろうか、あるいは漂流物がありはしないだろうかということで、ああいうふうに申したのでありまして、大体沈没の位置は、おっしゃるように潮崎の南々東二海里の地点、その付近ではないかというふうに考えておるのであります。一応漂流物、あるいは死体等の揚収が終りましたら、もちろん現場に向って最重点的に、今度は海底を探す段取りになるのであります。その点、ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、付け加えさしていただきます。
  30. 和達清夫

    和達政府委員 徳島地方気象台通知電報小松島海上保安部に十七時二十六分ごろ、というのは、私ども電話現地方面の気象官署から確かめたところでは、そこは郵便局を通じてこの事実を確かめております。小松島海上保安部からどういうふうに通知されましたか、海上保安庁から申されると思います。以上であります。
  31. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 私どもの検査におきまして、復原性の基準に合致しておりますから、法律上はこれは適用される船ではございませんけれども、それに準じて検査をいたしました。しかしその結果、この規則に適合をすると認めております。その規則で規定しておりますことは、先ほど申しましたように、この船が十九メートルほどの——この船がと申しまするか、この規則の基準は、常時十九メートルの風が真横からその船に吹きつけた場合に、この船が十分復原力、もとへ戻り得るというのがこの基準の骨子になっております。しかし実際の場合になりますと、先ほど申しましたように、風がもっと強い場合もございましょうし、この規定では潮の流れというものを考えておりませんので、潮の流れがあれば足を払うというような形にもなり得るかと思います。しかしありとあらゆる場合を考えまして基準を設定するというのは非常に困難でございますので、一応こういう基準を置いてこれに合格すれば、復原性の検査に合格したというような建前で検査いたしております。
  32. 生田宏一

    生田委員 今の山下君の答弁は、どうもそれだけでは承服できないので、実はあの船と同じ船が南海汽船にはまだ一そう残っております。あの船の実態を見れば、どれほどの復原力を持っておるか、性能はどれほどあるか、それからまた運輸省が現に規定しておる検査規定の、最大限の能力を持っておるかどうかということはわかるわけです。ですから、今の船をすぐに調べてみて、その検査というものがなおざりにしてあったか、厳格にできておるか、それを実地について調べて、その報告書を出してもらいたい。それはできますか。というのは、もし性能が足りないのに検査の合格を出しておるならば、明らかに役所に手落ちがあると思う。それでその問題は非常に重大ですから、僚船が一隻残っておりますから、その船によってうんと調べて、そしてあなたの方の検査基準というものを添えて資料を出してもらいたい。それも早急に出していただかぬと、国会か始まっていますから、国会中なんて、そんなゆうちょうなことを言わないで、早く出してもらいたい。それを一つ。  それから海上保安庁の方にお尋ねするのですが、和達君が十七時二十六分ごろには電報が届いておると言っておりますが、海上保安部の方ではそれを船会社の方に通知したかどうか。してないとすれば、それは役所の方にも相当の手落ちがある。というのは、ラジオを聞いていないじゃないかという話は、乗組員が全部死んでいることですから、これは死人に口なしで確かめるわけにいかない。そういうことは現実の問題としては議論の対象にならない。ただし船会社の事務所の方でそれを知っておったかどうかということは、これは確かに船会社の方の責任になるか、落度になるかならないかということに重大な関係があるので、この方は調べればわかるはずです。海上保安庁の方で船会社の方へそういう通知をしたかどうか、その点が役所の方にも、落度があるかないかということの判断の資料になると思うので、わかっておられるならば、今ここで承わりたい。わかっていないならば、すぐにそれをお調べになって、小松島海上保安部なりあるいは船会社なりに問い合せて、そして両方の主張を合せて、われわれのところへ答弁書を出してもらいたい。もしそれがわかっておるならば、今ここで答弁をしていただきたい。
  33. 島居辰次郎

    島居政府委員 その組織を申しますと、地方の気象官署とそれから海上保安部及びそういうふうな気象の方を必要とする船会社、そういうものの間には気象通知電報という契約がありまして、気象官署から直接にその船会社の営業所なりあるいは海上保安部というところへ行くのでありまして、気象官署から海上保安部へ行って、海上保安部からそのものを船会社にやるという組織ではないのであります。それだけちょっと……。実際電話のことはまだよく調べておりませんから、直接よく聞いてみます。
  34. 生田宏一

    生田委員 今の話ですと、海上保安部の方はその電報を受けっぱなしで、別に会社の方へ通報してやる義務はないということになりますか。そうですが。
  35. 島居辰次郎

    島居政府委員 いわゆる法律的にはやる義務はございませんけれども、海難その他について注意をすることについては、それは好意的には注意すると思います。
  36. 生田宏一

    生田委員 和達さんにお尋ねいたしますが、気象庁の方からは、海上保安部のみならず会社の方へも電報をお打ちになりますか。
  37. 和達清夫

    和達政府委員 気象通知電報は、前もって契約されたるところへ打つのでありますから、漁業組合、船会社、すべてそれに加入しておるものがあるならば、そこへ直接参ります。南海汽船は加入しておりません。ですからもし受け取るとすれば、海上保安部から受け取る以外には、電報としては受け取る道は少いだろうと思います。
  38. 生田宏一

    生田委員 その特定の契約というものは、それは船会社の意思によるものですか。あるいはどういう契約になっておりますか。
  39. 和達清夫

    和達政府委員 両者の意思によるのであります。
  40. 生田宏一

    生田委員 そういうことですと、それは会社の方から申し込まなかったからということですか。しかし会社自体としても、私の方はそういう気象上の通報を入手しなくて、ただ多年の経験による勘で運航するということでは、船会社としてもそういう経営はないはずである。そうすると必ずそれは、私の方は気象庁から直接受けないが、海上保安部からは知らしてもらえる、あるいは知らしてもらうような習慣がついておる、こういうことでなければ、そういう野放しの状態に置いておくわけはないですが、その辺のところはどうなっておりますか。
  41. 島居辰次郎

    島居政府委員 今まで現地から連絡するのは、先ほどお話の通りでありますので、なお多少食い違っているところもありますから、もう一ぺんよく電話連絡してみます。
  42. 森本靖

    ○森本委員 関連。そのことでちょっとおかしいと考えますのは、徳島気象台が発令したのが十七時、一般の加入電話というものがあって、気象台の方からその加入電話を通じて、電報でなくして直接に通知をするという方法と、それからもう一つ気象電報によって通知をする、その二つがあると思うのです。その二つについては、任意加入という格好になっておることはなっておると思いますけれども、実際問題として、こういう汽船会社の営業所等がこの中に入っておらないというようなことについては、そういう点の行政指導を一体どういうようにやっておるのか、その辺が非常にわれわれとしてはふに落ちぬ。発令が十七時にされておって、船は十七時三十分に出ておる。その間、わずかの距離でありますから、この通知は必ず営業所に着いておらなければならぬ。それが全然着いておらなかった。その間の原因がわれわれとしては非常に不可解である。もう少しわれわれがわかりやすいように説明願いたい。
  43. 和達清夫

    和達政府委員 地方の気象台、測候所は、重要なるこういう注意報などは、早く知らせる場所というものは、リストがありまして、それが出れば必ず知らせる。場合によっては同時通信という設備を持っているところもあります。徳島の地方気象台もリストを持っているはずであります。それを調べて御報告したい。この南海汽船は入っていなかったのじゃないかと、ちょっと私には想像されるのであります。  それからこれも多少余談になりますけれども、二時間か、三時間の航路であります。大半と申しますか、和歌山の方にもずいぶん関係のあるこれは気象であります。それで本社が和歌山にある。通信は徳島和歌山、非常に会社としては関係があると思うのでありますが、和歌山の方からも随時取れるわけであります。また和歌山の本社もある程度の連結はしておるのじゃないか。この辺は気象庁との直接の問題ではございませんけれども、気象との関係となれば、多少和歌山の方も調べなければならぬかと思っております。
  44. 森本靖

    ○森本委員 こちらから聞いておるのは、今和歌山のことを言っておるわけではない。徳島気象台が十七時に発令をしておる。それがわずかな近距離にあるところの小松島の営業所に通知がなされておらなかった。そういう電話通知気象通知電報というものが任意加入であるとすれば、南海営業所がこの中に入っておらぬということについて、そういう行政指導をどういうようにしておるか。それからかりに入っておったとすれば、これはあなたの方の重大なミスです。その二つのいずれかということを明らかにしてもらいたい。それが本日明らかにできぬというならやむを得ぬけれども、その辺のポイントが一番重要な点ですから、その点を明らかにしてもらいたい、こう言っているわけです。
  45. 和達清夫

    和達政府委員 私は徳島地方気象台はそういうようなことをちゃんとしてあると信じております。しかしここで軽々に申すことは、ほかの人の責任になることでありますから、私はもう一度確かめまして、この報告をしたいと思います。
  46. 生田宏一

    生田委員 今の和達君の御答弁は、はなはだ私はけっこうだと思いますので、そういうふうに責任をもって調べていただきたい。それは船舶局長の方もそうこです。軽々なこと、うかつなことは言わぬが、しかし自分はちゃんと確かめて、責任をもって答弁をするというように願いたい。今私がお尋ねしましたことの中で、その船体性能試験の問題と、それから気象予報が船会社の方へ正しく入っておったかどうかということを、責任をもって早急に調べて、当委員会へ文書でもけっこうですから御答弁を願いたい。これで私の質問は終ります。
  47. 赤澤正道

    赤澤委員長 小山君にちょっと御返事いたします。運輸大臣は閣議であすの施政方針演説の検討をしているそうですが、間もなく出席するそうですから、しばらくお待ち願います。
  48. 濱野清吾

    ○濱野委員 関連して気象庁の長官に伺いたい。この問題は非常に重大でありますから、ほかの人に迷惑かける、それだから軽々に言えない、こうおっしゃるのでありますけれども、ほかの人というのは多分気象庁関係かその他の官庁関係方々に迷惑をかけるという意味だろうと思います。しかし先ほどから私どもいろいろの経過を拝聴しておるのでありますが、気象予報の関係に関する限り、二日になろとするのに、今日なお実際その気象の予報を、ラジオ一般加入電話か、あるいは気象通知電報かを、責任ある会社側が受けたか受けないかということがわからないということはないでしょう。この質疑が行われている間にも、あるいは台風がいつ来るかわからない、船舶はどんどん動いている。こういうような民間側に野放図にしておいて、そうしてこういう事故ができたときに、一体何のために気象予報というものが必要なんですか。その連絡伝達というような関係が全然わからないというのはおかしいじゃありませんか、これは監督官庁としておかしいじゃありませんか。私は生田君の説もあるが、私は私の説が正しいと思う。何百人かの人命をそこなう危険性のあるこの気象予報が伝達されているのか、しかもラジオを聞いているのか聞いていないのか、まして加入電話が契約がないから、それさえも聞いているのか聞いていないのかわからない。電報は契約がないからわからないと思うというようなことで、今後日本のこの汽船等の航行が行われるとすれば、実に危険千万だ、どんな人が聞いても非常に危険だということは考えられると思うのです。そこで先ほど社会党の同僚の言うのは、行政指導はどうやっているのだ、わからないではしようがないでしょう。行政庁は行政指導をどうやっているのだ。私は今日ただいまからこうするという答弁でもよろしい、今までのことは証明することができないのですから、あなた方証明する材料を持っていないのだから、それを私どもは聞こうとはしませんけれども、今でも航行しているのです。今にも台風が来るかもしれません。こういう危険な状態で、一体わが国の行政庁はどういうふうにお考えになるのですか、この点を一つお聞きいたします。
  49. 和達清夫

    和達政府委員 私も日ごろ海難防止については全力をあげておるつもりではございましたが、御指摘を受けましてまことに今後の努力を要することを知りました。海難防止のためにそれを必要とする会社、漁業とかいうものは、みなこういう警報、注意報を受けるような組織になっていると私は信じておったのであります。また日ごろそういうふうに奨励しておりまして、おそらくこれは全国におきまして、かなり密接に行われているものと私は信じております。この南海汽船というものがこうやって毎日船客をやっているのが、全然その警報とか注意報というものが伝達されないでやっておったということは信じられないことであります。しかしその伝達の方法というものが、地方によっていろいろのやり方をしております。伝達の連絡会を持つものもあり、あるいは直接受けるものもある、そういうものでありまして、この南海汽船が日ごろどういうふうにして受けたということをここではっきり持ってこなかったことは、昨日来風邪で寝ております関係もございますが、まことに申しわけございません。さっそく調べまして責任あるお答えをいたしたいと思います。
  50. 木村俊夫

    木村政府委員 ただいま気象庁長官からお答えいたしました通り、この連絡伝達の事実につきましてまだ明確でない事実がありますことはまことに遺憾と思います。いずれにいたしましても、この事実をはっきり確かめました上で詳細御報告いたしますと同時に、今後海難防止につきましては、運輸省といたしましても、たとえば気象速報につきまして、リストに載るか載らぬかは別といたしまして、そういう強制加入の方法をとるとか、あるいは海上保安部の末端におきましてたとい気象庁から連絡通報を受けましても、それが民放によるとか、非常に時間的遅延がございます。その点についての改善を施したいと思います。
  51. 關谷勝利

    ○關谷委員 ちょっと議事進行について。この進め方でありますが、緊急対策といたしましては、まず船体所在を発行見して、死体を一日も早く収容する、そうしてとりあえず処理方法を講じなければならないのでありまするし、恒久対策といたしましては再びこういうことのないようにするということと、なお十分な協議をするということでありますが、それに関連いたしまして交通安全の立場から、毎年運輸当局から予算の要求をいたしておりましても、こういうふうなことが一切わからないでめくらめっぽうに大蔵省が予算を削減といいますか、これを打ち切りまして、どうにも認めないというふうなことが大きな原因になっておるというようなことがありますので、次の委員会はあす開かれますかどうか知りませんが、次に開かれます委員会に大蔵大臣と主計局長委員長から正式に呼び出していただきたい。
  52. 赤澤正道

    赤澤委員長 山口委員
  53. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は質問するに先立ちまして、毎年当委員会におきましては、海難の予防についてはその措置の方全を期するために、再三にわたって政府に勧告等の決議が行われ、かつまた本会議におきましても、この決議が採択されております。しかるにもかかわらず、毎年近海における重大な海難事故を引き起しておりますことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、この犠牲になられました方々に対しては、深く弔意を表しまするし、また御遺族に対しても御慰問の言葉をささげるものでありますが、この際たび重なる決議があるにもかかわらず、こういう事故が頻発をいたしますのは、何といってもいわゆる行政指導において、あるいは交通安全の面からいたしまする諸施策において、なお欠陥を有することを私は事実をもって暴露しておるものだと、かように考えるわけであります。従って私は本国会におきましては、根本的に運輸省のこれら交通事故に対処する施策のいかにあるかということをお尋をし、われわれの責任において、これらの事故の防止のために与野党を通じて努力をいたさなければならぬ、かように考えるわけであります。しかしながら今申しましたように、すでにこれらの海難防止あるいは陸上における交通機関の交通事故の防止については、再三にわたって決議をされておるものでございますが、一体今まで運輸行政しから見てみますると、今關谷委員の議事進行についての発言の中にもありましたごとく、このすべての施策において、年々後退をいたしておる、少しも運輸行政は前進していないということも、私は前国会においてこれを指摘し、警告をしておいたところでありますが、一体これはどういうふうに行政指導をしていくか、あるいはこういうような事故を未然に防止するために、政府はどういう決意をもって臨んでおられるのか、一つその基本方策についてまずお尋ねしたい。
  54. 木村俊夫

    木村政府委員 重大なる御質問でございますので、後ほど運輸大臣出席いたしまして大臣としての決意を表明いたします。とりあえず私から一言お答え申し上げます。海難防止につきましては、わが国は世界でも有数の海難国でございますので、運輸省といたしましては、極力行政指導の面におきまして万全を期しているのでございます。今回の事件につきましては、いまだ海難防止について私どもの努力が足らざることを率直に認めざるを得ません。その意味におきまして今後は私ども、この事件にかかわりませず、一段と行政指導を強化いたしまして、万全の措置をとりたいと思います。
  55. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 行政指導の強化ということを申されまするけれども、その具体性については、私どもはいまだ何らそれを聞いておりません。また施策の上にこれを見ておりません。のみならずかえって弱化の傾向にさえあります。それは私がこれから具体的にこれを指摘いたしまするならば、交通機関なるものは、その利用者が随時随所で道路を歩くと同じような自己の利便を得たい。このことは自己利便を考える場合当然の要求であろうかと思います。しかしながらそれが機械力をもって一定の人員あるいは積載物を収容するものであってみれば、そのような無暴とも申すべき要求に応ずるわけには参らないのであります。しかもそれを企業として行う場合においては、そういう要求を一掃いたすことは困難であります。けれども困難であるにもかかわらず大衆はこれを要求する。そうしてこの要求なるものは、すなわちそれらの機関が営業として、あるいはまた営業としなくとも公企業としても、その事業体を運営し得るに必要な責任を持ったものであるかどうかということにつきましても、これまた大きな疑問を有するものであります。しかし一方におきましては、その要求の弱点につけ入って多くの競願をあえてされております。このために大きな犠牲が続出するといっても差しつかえありません。たとえば陸上におきまして、バスにおきましてもハイヤー、タクシーにおきましても新免を競願せられる。これは大衆が常時よどむところなく自己が縦横に個々に行動すると同じような自己利便を強く要求するために、そこにつけ入って、企業が安全に経営されようとされまいとそんなことは問題ない、ただひたすら競願をして利益を得よう、こういうようなことが今日の過度の競争を行わしめる、これが貴重な人命、財産を失う大きな原因一つになる。行政指導というからには、そのようなことに対しまする強力な指導を行って、そして極力このようないわゆる競願の形をなくしていくということが、この際再認識されなければ、交通においても海上においても、こういうような事故を未然に防ぐことは私はできないと思いますが、一体どうお考えになりますか。
  56. 木村俊夫

    木村政府委員 ただいまの御質問でございますが、もちろんこの海上交通の安全、その他交通安全の問題につきましては、運輸省といたしましても極力意を用いて行政指導をしておるところでございます。遺憾ながら予算その他の措置におきまして、まだ万全を期し得ないのは遺憾でございます。ただいま申し上げました通り、予算措置を除外いたしましても、運輸省の行政指導にはまだまだ留意すべき点がございます。たとえば海上保安庁の海難救助の措置、あるいは気象台の予報活動、あるいは船舶の構造上の問題、あるいは船員の訓練、また民間海運会社海難防止に関する思想指導の問題、いろいろございます。こういう予算措置を伴わない点におきましても、今後は極力私どもの方におきまして行政指導を強化して参りたいと存じます。
  57. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の答弁けっこうでありまするけれども、ただ一つ私は不満足に思いまするのは、競願等のいわゆる抑制の問題であります。これが根本原因であります。この今回の南海丸事件にいたしましても、御承知の通り四国に渡ります大阪方面からの客のいわゆる奪い合いとでも申しますか、この競争がきわめて激甚であります。瀬戸内海を航行する船とこの阿波航路に就航する船との競争は、各会社のいわゆる宣伝戦をもってみても明らかであります。これは常にそういう危険状態にあっても無理な航行をしいているということが言えるのでありますが、これは一体どういうふうにお考えになるか。根本的に申して、交通機関なるものを過度に競争させるということはよほど考えなければならぬと私は思いますが、平素これらに対する行政指導は一体海運局においてもどういうふうにされているのか、一つ具体的な御説明を承わりたいと思います。
  58. 木村俊夫

    木村政府委員 競願問題につきましては、格ケースに従いまして慎重に審査の上これを許可しております。なお具体的に詳しいことにつきましては海運局長より答弁申し上げたいと思いますが、ただいま海上保安庁に最も新しいニュースが入りましたので御報告申し上げたいと存じます。  捜索船の一隻が掃海機によりまして午前十一時二十分に、潮崎の百七十度、六千八百メーター、水深百二十九メーター、泥質のところに船体らしいものを発見いたしました。潜水夫を入れてみないと確認できませんが、とりあえず右御報告申し上げます。
  59. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまのお話でありますが、一昨年当会社航路を開きますときには、旅客の需給状況その他十分検討いたしまして、運輸審議会におきましても新しく開始させるのが妥当である、こういう結論を得ております。その後増便をいたしておりますが、そのときにも関係業者間にも協議がございまして、大体その了解を得て始めておる、こういう状況になっております。私どもも平素から過当競争というようなことはなるべく避けるように指導いたしております。そのためにこういう事故を起すようなことがあってはまことに申しわけないと思っておりまして、今後ともそういうことにつきましては十分注意いたしたいと思います。
  60. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ただいまほぼ船体の確認があったようでございますが、まことに遺憾にたえない次第でありまして、私は心から御遺族に対しても御弔問申し上げたいと思います。  そこで私はお尋ねをいたしますが、このような過当競争と申しますか、競争が原因でこの船の行動も従って速度を非常に重点に置いて、そうしてその船の安全性ということについては大きな犠牲が払われておる。私は専門家ではありませんけれども、事実新聞においても報道せられておりますし、たびたび現地におきましてもそういう声を聞いておるのであります。現に報道せられておりますところによりますと、船の復原力を保ちますために、あるいはバラスを搭載し、あるいは水槽タンクを満水にして重心力を保つようにしておった、こういうことが報道せられております。そういたしますと監督官庁として私は重大な責任があるのではないかと思う。こういうようないわゆる復原力を有しないものを、それをただおざなりの検査でもって運航を許可しておるとすれば、私はこれこそ監督官庁としてはまことに重大な責任を持っておるものだと思いますが、もしこれが事実とすれば一体どういう責任をとられますか、明らかにしてもらいたい。
  61. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 本船の復原力につきましては、先ほど簡単に申し上げましたが、私どもといたしましては、次のような注意書を本船に渡してございます。ちょっと朗読申し上げます。途中からでございますが、  「本船の復原性は二項記載の如く軽荷状態及び空艙入港状態の乙基準以外は総て基準を満足している。然し各基準に含まれていない外力及び之等が相乗的に作用する場合も考えられるので十分注意する必要がある。  本船に関する注意事項は次の通りである。  (イ)、甲基準では旅客が定員定位置において横方向にゆっくり移動し通常起り得る程度に片よりするものとしている、従って旅客の上層甲板えの偏在、急激な移動及び極端な程度までの片よりがないように注意しなければならない。  (ロ)、乙基準では風(突風を含む)及び波浪の影響を考慮しているが、(イ)項記載の如き旅客の移動、転舵等、更に横領斜を大ならしめる様な外力が同時的に相乗作用する場合を考慮し運航にあたっては十分注意しなければならない。  (ハ)、本船復原性に関し各基準の適用にあたっては固定舷窓、各甲板室、船楼への出入口扉其の他の閉鎖し得る開口は総て閉鎖されているものとしている。  従って荒天時航行の際は水密、準水密開口の閉鎖状態に関し十分注意しなければならない。  (ニ)、船の空挺入港状態即ち船員及び手廻品、機関部予備品、倉庫品等のみを搭載し旅客及び荷物を搭載せず燃料水等を消費した状態では乙基準を満足しないのでこの場合船首荷脚水槽は満水とし且つ清水は主清水艙内の清水のみを全消費とし、船尾水艙内の予備清水は消費しないことにしてこの基準に適合せしめている。  従って上記状態又は此に近い状態で運航する場合は非常の措置として船首、尾艙に海水を漲水しなければならぬ。  (ホ)、本船の軽荷状態は丙基準は満足するが乙基準は満足しない。完全なる軽荷状態は平常の場合では起り得ないが、之に近い状態は港内繋留時或いは碇泊時に起り得る。此の様な状態に於て波浪による同調横揺及び定常風、突風が相乗的に作用すると思われる際は船首尾艙に清水又は海水を漲水する必要がある。昭和三十一年四月二十七日」  こういうふうに船の状況につきましては詳細に検討を加えまして、そして本船に注意を与えております。またこの復原性に関する書類等は船主が運輸省の許可を得たものを本船に持たして、船長が船の状態というものを知り得るようによくしてあるわけでございます。従って、その後本船は建造当時多少ゆれが大きい——ゆれが大きいと申しまするのは専門的な言葉になりますが、船のGMが非常に大きいわけです。従って船がぐらぐらゆれる。従ってそのゆれ方を少くするために、たとえば重心をもっと下げるとか、またはその横ゆれを防止するためにビルジ・キールというものをつけるというような手があるわけでございますが、本船はビルジ・キールをつけております。従って極端なゆれというのは減っております。またそのつけた場合の試験等もいたしておりまして、動揺周期が約一秒前後減っております。こういうようなわけで船の復原性につきましては、十分私どもとしましては注意をして、念には念を入れてやっておるわけでございます。しかし先ほど申しましたように、一応の基準を作りまして、この基準に合致するものは私どもは出し得るわけでございますが、この基準そのものは実際の場合にそれを越えるような状態があり得るかどうか。その点につきましては、海の状態というものはなかなか机の上では判断できぬ場合がございまして、私どもでは一応この程度ならということで基準を作っておるわけでございまするから、その点につきましては、乗り組みの方がやはり日常の船の運航の性能とか、または本船の固有の性能というものを十分注意して運航していただくのが一番必要じゃないかと思っております。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は今の御説明を聞きまして、先ほど次官の御答弁にありましたように、いわゆる安全性強化のための行政指導について答弁があったわけですけれども、それと今の答弁とを比べ合せて考えますと、基準々々と申されますけれども、その検査の結果明らかになっておりまするように、水槽タンクに水を注入して重心のバランスをとるとか、そういうようなことはすでに基準には合致しない弱点を持っておるということを、ここに御報告になったのと一緒だと思う。それなら、事人を運ぶ客船のことでありますから、なぜ行政指導を強化するという意味において、この欠陥を補うための改造命令を出さなかったか。そういうような危険なものをそのまま運航させるということは、私は行政官庁として運輸省は大へんな責任があるのではないかというふうに思うわけですけれども、一体これはどうですか。
  63. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 その後本船におきましてビルジ・キールの改造と、固定バラス等を約十トンほど入れております。そのために基準の面からは、基準以上の安全度を持っておる、あらゆる場合においてそういうような状態に達しておるというふうに考えております。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 まだこのほかに姉妹船があるのですよ。それならこんな危険なものを、安定バラスを積載したり、さらに水槽に水を注入して、そうして復原力をつけるなどというような、こんなことで検査を通されていたのでは危なくて乗っておれるものじゃありません。そんなことでは、幾ら行政指導によって交通安全を確保しようとしても、事務当局がそういうことでほうっておかれたのでは、これは安全確保できないじゃありませんか。木村政務次官、こういうようなものに対して改造命令を発する用意があるかないか、この際明確に答弁していただきたい。これはこの船だけじゃありません。この間も私は淡路島へ旅行いたしましたが、この中にもあります。そうして速度をとうとぶために非常に船の動揺が激しい。もしこのような船が一たび横波を食らえば、たちまち転覆してしまうことは明らかです。そんなものをそのままにして、基準に合致しないものを一時のそういう糊塗策によって許可を与えるなどということは、人命を軽んずるもはなはだしいものであると思う。どういうふうにされますか。
  65. 木村俊夫

    木村政府委員 もちろん法律上船舶構造が違法である場合には、これに対して法律に基きまして改造命令を出すことは当然でございます。しかしながら人命安全の考慮はまた特殊にいたさなければなりませんので、たとい法律上違法でなくとも、行政指導の面におきまして、今後は、あるいは基準を上げる等適当な措置をもちまして、一そうの安全をはかりたいと存じております。
  66. 赤澤正道

    赤澤委員長 木村政務次官、先ほどの数字の間違いについてついでに御報告いただきたいと思います。
  67. 木村俊夫

    木村政府委員 先ほど船体発見の御報告をいたしましたる際に、私の言い間違いがございましたので訂正を申し上げたいと存じます。水深百二十九メートルと申し上げましたが、これはもちろん二十九メートルの言い間違いでございます。その結果、ただいま潜水夫を直ちに入れまして確認することに相なりました。重ねて御報告申し上げます。
  68. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は今の政務次官の御答弁によりまして、ぜひともこれがただ単なる行政指導という抽象的なことでなしに、具体的な事例として当然これを実行されなければ、安全を確保する、行政指導を強化するといったところでそれはできないと思う。ぜひともこれは即座に実行してもらいたい。それでなければ、これはいつまた再び重大な海難事故を起さぬとも限らない。そのときに、このような事故を起してからいかに申しても、それはもとに返るものではないのでありますから、即座にこれを実行することを約束してもらいたい。  第二には、私はやはり陸上と違ってこの海上交通においては、この海上交通の競争の激化ということに対しても、これは行政指導によってそういうことのないようにしてもらいたい。私はこの事故の原因の主たるものは常に従業員の念頭にこの航路に対します競争ということがあると思う。私は現地をよく知っているのですが、気象庁気象状況報告によれば、この南海丸が出港をいたしましたその出港時のこの航路に対しては最悪のものです。十メートル以上の風が吹けば、これは安全な航行とはいえません。それは単に机の上の十メートルというそのことだけではないのであります。しかも引き潮で、鳴門から流れ出るところのあの激流の中に逆らってこの南風が吹いて回るわけでありますから、いわゆる潮流に対しては全く逆であります。こうなりますとなおさら大きな三角波を生ずるわけでありますから、平時における海上の波とは全く違うのです。その違う海の状態の中でなおあえてこれを出港させるというのは、これは潮戸内海航路とこの阿波航路と、この二つの競争の激化からだと思う。その競争の激化の結果、従業員は常にその危険というよりも、まず競争心によって自分の航路のお客さんを多くしよう、そういうことからあえてこの危険を顧みないで出港したものだ、こういうふうにも受け取れるわけです。今あなたから行政指導を強化するという御答弁があった。私は心強く思いますけれども、こういうようなことでは、これは海運局が監督をされておるのかどうかは知りませんが、一体こういう事態を引き起すような指導を行なってはならないのです。どういうふうに平素からこういう競争航路に対する行政指導を行なっておられるのか、私はこの点を重要でありますから一つ聞いておきたいと思う。
  69. 木村俊夫

    木村政府委員 御指摘の通り、海運会社の営業性が船の安全性を犠牲にする場合がたまたまあるように私ども考えます。しかしながらこの面につきましては、人命尊重の面からいたしまして、もちろん行政指導によりまして今後は強化しなければならぬと思いますが、船舶建造の事後検査もさることながら、こういう旅客船の設計につきましても、設計上の事前指導をやる必要があると私は考えます。今後は事務当局とよく打ち合せをいたしまして、その方面に力を注ぎたいと存じます。
  70. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 御承知の通り瀬戸内海及びこの紀淡海峡におけるこの航路というのは、きわめて重要な航路であります。ただ遊覧的なものではないのであります。しかし私はこの委員会においても常に叫んでおるのでありますが、とにかく日本の交通機関なるものは営利営業が主なのか、それとも人命財産を安全にするということが主なのか、行政の重点を一体どこに置いておられるのか。この問題がはっきりしなければ、この目標をはっきりしなければ、いたずらに競願を許すということになる。私は極端にいえば交通機関などは独占でいいと思う。過当な競争のために貴重な人命財産を犠牲にしてその営利の目的に供するということは、断じて許せることではない。この点一体どういうふうにお考えになるのか。これは運輸行政上きわめて重要な問題でありますから、はっきりとした目標を立てていただきたい。そうでなければ、いかに行政指導を強化する強化すると言われても、決して交通機関の安全性を保持するための行政指導の強化にはならないのです。どういうふうにお考えになるか。
  71. 木村俊夫

    木村政府委員 ただいまお答え申し上げました通り、行政指導の面におきましてはもとより人命尊重と申しますか、船舶の安全性を第一として私どもは考えております。しかしながら会社の方におきましても、営業上人命の安全上多少考慮すべき点を除外いたします場合には、もちろん運輸省からそれに対しましては監督上必要なる命令を発する所存でございます。私どもの方におきましては今後なお一そう会社の営業性と申しますか、営業上の問題を監督いたしまして、なお根本的に競願等の場合におきましては、今の根本方針に従って許可その他の審査をいたしたいと存じます。
  72. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今も言った通り、この航路は南西の風におきましては、いつの場合においても一番危険な航路であります。瀬戸内海においては西北西の風がこれまた一番危険な航路であります。風の方向によりましては、この内海航路と外海航路とはこの近海においては全く逆な現象にあるのです。こういう場合に、今申しましたようにいたずらなる競争のために、そういう無謀な出港をあえてするというようなことは断じてやめさせなければならぬ。そのためには——いわゆるいつも犠牲が出れば、船長にだけその全部の責任を負わしめておる。いわば営業面の責任担当者についてはその責任は軽んぜられるのが、いつの場合においても今までのしきたりであります。死人に口なしと申しますけれども、私はそんな無責任なことでおってはならないと思う。あくまでも船長はやはり一使用人であります。その会社あるいは事業の総責任を負っておる者は、当然その事業上の責任者でなければならぬ。その責任者の指揮、監督、命令が従業員に対して徹底しないということにあれば、これまた重要な事故の原因は私はそこにあると思う。ただ一船長に許しておくというわけには断じて参らない。行政指導を強化するとおっしゃいますが、この点について一体どういうふうになさるつもりでありますか、お伺いしておきたいと思う。
  73. 木村俊夫

    木村政府委員 今回の事故につきましては、いまだ原因が究明されておりませんので、船長の責任有無は軽々しく結論は出し得ないと思いますが、ただいま御指摘の通り会社の営業上の必要と船長の判断というものが、あまりに食い違うことがありとせば、もちろん船長の自由判断で船の安全をはかるのは当然であると思います。またそのように私どもの方でも行政指導を行なって参りたいと存じます。ただ、これは私の個人的な考えでございますが、今後はただいま船員法で規定しております船長の絶対権限と申しますか、船の運航についての船長の判断について、ある程度の制限措置は必要ではないかと私自身は考えております。たとえば海難防止につきまして、船長の自由判断で出港いたします際に、気象その他その当事の状況によりまして、船長の自由出港の判断に多少の制限を加えるべきではないかと、これは個人的に考えておるのでございます。
  74. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は常に申しておるのでありますが、船が航行途中こおきましては、言いかえますと、棧橋を離れて航行し、入港して棧橋につけて貨客をおろすまでの責任は、これは船長の絶対責任とすべきであると思う。しかしながらその船を出すか出さないかについては、これは当然その営業面の責任者が負うべきものであって、それまでも船長に負わせるとすれば、一体その事業体の責任者は何の責任を持っておるのか、全然責任を持たぬということになります。それでもってこの重要な仕事に携わらせるということは、危険千万な話です。行政指導の強化というのは、私はそこに重点を置かれなければならぬと思う。再度繰り返される災害においては、すべてそうであります。船長一人の判断をもって、この重要な人命、財産を自由自在にされるというようなことがあってはならぬ。一体営業面におけるこれらの責任をどう指導されるつもりであるか。私は当然これらの総体的責任はその事業者にある、こういうふうに考えるわけでありますが、行政指導というのは一体どういうふうに指導されますか、これを否定されますか、賛成されますか、どちらでありますか。
  75. 木村俊夫

    木村政府委員 ただいま申し上げました通り、現在の法規上では船の運航については船長が絶対責任を持っておりますが、ただ総合的な面におきましては、もちろん海運企業会社自体が責任を持っております。そういう総合的責任の行政指導は、私どもも海運会社を対象といたしまして今後も指導を強化して参りたいと存じます。
  76. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 大臣が見えましたから、先ほどの私の質問に対して答弁をいただきたいと思います。同時に私は、今の次官の答弁でははなはだあいまいだと思う。少くともこの航海中の船長の責任と、出港させるかいなかの責任所在は、これはやはり明確にする必要があります。そして必要な法改正を当然行わなければならぬ、法律においてそれが不完全であるというならば、当然その法律の責任を明らかにすべきである、このように私は常に言っておるのです。久しくなるわけでありますが、大臣がお見えになりましたが、一体大臣はこれについてどういうお考えでありますか、御所見を承わりたい。
  77. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 ちょっと閣議でおくれておりまして、相済みませんでした。南海丸事件はまことに不幸なことでございまして、ことに先刻保安庁の出先から、潮崎の百七十度、六千八百メートルの、水深二十九メートルのところに船体らしきものを発見したという報告がございました。目下潜水夫を入れておるそうでありまするが、これによれば、百数十名の人がその生命を失われたのでありますと認むべきでありまして、まことに遺憾きわまりなく、なくなられた方並びにその御遺族に対しまして、私は深甚の弔意を表する次第でございます。  そこでただいま山口君の御質問になりましたことでございまするが、船長が自己の判断において、良己の権限において出港をした、それについて営利会社であるいわゆる南海汽船会社責任があるかどうかということであります。その点につきましてはまだ私も詳細報告を受けておりません。現在神戸海難審判所の理事官が参っておりまするから、それによって原因は判明すると思います。大局的に、今山口君の御質問の商船会社責任問題につきましては、これはわれわれも今後考えて参りたいと思いまするが、ただいま事情を聴取し、詳細わかりましたる節に私は判断して、将来の災いに備えて参りたいと思っております。かようなことをたびたび繰り返しておりますということは、まことにわれわれといたしまして残念しごくでございますから、この点は私どもは善処して参りたいと考えます。
  78. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 非常に大臣はうまく答弁をされましたが、私の御質問を申し上げておりますのは、こういうような海難事故がたびたび起きている、その場合に常に船長に全責任が負わされておる。そうして陸上で船長より以上の責任を持っておる営業面の人々は、常に船長よりも責任が軽んぜられておる。こういうようなことでは私は海上交通の安全を期することはできないと思う。いわゆる航海中の船長の責任と、出港命令その他の船を航海につけるかどうかというような重要命令と、この責任は当然私は別々に考えなければならぬと思う。しかるに今までの状態では、航海につくかつかないか、あるいはまたその船の航海中の安全、不安全、その他操船の一切もすべてが船長にありとされている。これではあまりにも船長のつみに責任を課しているものであって、私は営業面から見てきわめて無責任であると言わなければならぬと思う。この重要な責任を船長一人におっかぶせておるということは、海難があればどうせ船長はいかなる場合においても船と生命をともにする、これは私は船乗りの鉄則であると承わっております。さすれば、よしんばこの南海丸においても、乗客の全部が助かったとしても、船が沈没すればその船と船長は生死をともにしているわけです。そうすれば船長は死人に口なしではありませんか。この重要な責任をそのような死人に負わせて、生きている者が全然責任を見ないというような機構になっていることは、けしからぬ話である。責任回避もはなはだしいと思う。行政指導を強化すると木村次官も御答弁になったのですから、私はその点は満腔の敬意を表する。しかしながら具体的に言って、これが実現されなければ行政指導の強化とはなり得ない。海上交通上も陸上交通上も安全とは言えない。バスでも定員以上に乗って駅を発車しようとしておる。ところがそこにはちゃんとその営業所の責任者がいる。乗客はただ乗ろう乗ろうという一点張りなんで、身の危険などは考えていない。乗ってくればそのバスの責任者である運転手一人がそれを阻止しよう。たってできぬじゃないですか。さすれば当然そのバスに乗る過剰人員については、その営業所の最高責任者が責任をとって、一台のバスを二台にするなり三台にするなりということをやって、事故を起さぬようにすべきである。ところがそれについては何らの責任も追及されないで、ただいたずらに運転手である船長だけに責任を持たしておるというようなことで、私は安全を確保することはできぬと思うがどうかとこう言っている。これについて具体的に一つ運輸大臣から御答弁をいただきたい。
  79. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 これは重大な問題でございます。また今後の対策でなければなりません。ある点において、あなたのお考えになるように今まで怠っておった、こういうことになると思います。私もそれは同感です。そこでこの営利会社たる商船会社の出先の人がどういうふうなことをしたか、船長の判断とこの出先の人たちの判断とどういうふうに食い違っておるか、これは今回の南海丸事件について、先ほども申しましたように海難審判所の方で調査をさしておりますから、私はこれによって明確な資料を得ました節に判断をして参りたいと思います。しかしあなたのおっしゃいまする事柄は、私も非常に動かされておるところがあるのでございます。
  80. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はこの点につきましては、当委員会に所属して以来叫び続けてきたところですけれども、今運輸大臣がこれを肯定するところもあるとの御答弁でありますから、私は初めてその意を得た感じがいたします。ぜひとも本国会においてこれが所要の法律改正をしていただきたい。それでないと私はとうていこの海難事故を未然に防止することはできないと思います。もう少し出港、入港に対しまする責任所在を明確にしていただきたい。これは単にこの南海汽船だけをさすのではありません。過去における洞爺丸においてしかり、紫雲丸においてしかり、あるいは第五北川丸においてしかりであります。こういうようなことでは、私はいつまでたってもこの海難事故を防止する責任を明確にすることはできないと思いまするから、ぜひともこれはやっていただきたいと思います。  第三にお伺いをいたしたいのは、気象庁に対してであります。先ほどから申し述べまするように、この航路におきましては南南西または南の風というのは最悪の風であります。瀬戸内海においては西風または西北西の風というのはこれまたこの航路につきまして最悪の風であります。でありまするからして、こういうような事態を防止するために、気象庁は大きな役割を果さなければなりません。ところがこの気象通報方法につきましても、あらゆる方法がとられておりまするけれども、なおかつ今も、先ほどからもありましたように、ラジオ放送においてはそういうものを聞いているよりも相撲の方がおもしろいというような、いわゆる射幸心にかられて、その従業員が、完全に責任感は持っていても、知らず知らずのうちにそういうような重要な業務の一端を忘れることがある。こういうことでは私はいかに気象庁がその気象の危険性を報告し通達しようとしても、これはできないじゃないか。でありまするからこれを完全にいたしますためには、いわゆる交通会社に対しては気象通報を受け取る義務を課すべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。これがなければ気象庁がどのように努力をしても、それは水泡に帰することでである。この措置についてどういうふうに気象庁長官考えておられますか。
  81. 和達清夫

    和達政府委員 まことに御指摘の通りと思います。従来からも確実伝達については最善を払っておりましたが、お説によりましてもう一歩進めて、常に確実に伝達できるという態勢を考え、実行に移すように努力したいと思います。
  82. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はさらに海上保安庁にお尋ねをしておきたいのでありますが、船舶の航行安全について気象庁からの気象通報等がある場合に、こういう船会社等に対しての伝達の方法はどういうふうにしていらっしゃいますか。航行の安全性の見地から見て一つ御答弁願いたい。
  83. 島居辰次郎

    島居政府委員 保安署のあるところについては電話あるいは通知電報その他によると思います。のみならず、平素から海難が多い原因につきましては、こういうふうな原因であるからということにつきましては、旅客船漁船その他については再々私の方はやっておるようなわけでありまして、今回の場合も、現実に年末ごろから旅客船であるから十分注意してくれということを口頭で話しておるようなわけであります。
  84. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この気象通報について、何か今のお答えによりますと私は満足しないのであります。具体的に一刻を争う重要な問題でありますが、それをこの南海丸に当てはめて考えれば、南海丸が出港後わざわざ海上保安庁に電話で問い合せて、その結果、風が非常に強いということの通報を受けて、そうして急ぎ南海丸に無電で連絡をしたところが、そのときにはすでに危険状態にあって、SOSが発せられていた、こういうふうに新聞の報道があるわけですけれども、それではせっかくの海上保安庁の通報も何ら恥をなしていない、こういうことになるわけですが、これは事実ですか。
  85. 島居辰次郎

    島居政府委員 現実に私の方からどういうふうにやったか、つまり出港前にやったかということは問い合せておりますが、先ほど申しましたのは、平素そういうふうによくやっており、再々注意しておるということを申し上げたのでありまして、ちょっとこちらの方で話が出ましたものですから、失礼いたしました。
  86. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと静かにしてもらわないと困ります。私の質問が聞えない。私の申し上げるのは、この南海丸は、私は会社会社だと思うのです。とにかく出港してしまってから気象状況を保安庁へ問い合せたと、こう書いてある。船が出てしまってから危険性がないか問い合せたって、そんなものは役に立たない。また海上保安庁の方も、今の御答弁によれば、事前に受ければ直ちに電話なり電報なりで通報するとおっしゃるけれども、この南海丸は、出港してから会社が保安庁へ問い合せた。問い合せたところが危険である、強風注意報が出ておるのだという通報をした。そのために、あわてて小松島営業所長が無電で南海丸を呼び出したところが、そのときにはすでにSOSが発せられていた、こういうのです。こういうようなことでは、あなたのおっしゃるように通報というものは円滑に伝達されていないのではないかと思いますが、平素どういうような方法をなされておるか、この現実の上に立って私は尋ねておるのです。
  87. 島居辰次郎

    島居政府委員 先般来申しましたように、平素会社気象官署との間で、特別ないろいろな方法、たとえば電話とかあるいは気象通知電報とか、そういう方法でもって連絡はあります。また私の方にも会社と同じように気象庁からそういうふうな気象連絡を受けるわけです。そこで私の方としては、こういうような危ない場合においてはこの気象庁電報を、当然会社も知っておるとは思いますが、なお念のために私の方からその付近漁船なり旅客船なり、方々の方へ知らせるわけです。知らせる方法は、電話なり口頭なり、あるいは港内に漁船などがおります場合には巡視船でもって回って、いろいろなサインあるいはメガホンなんかで連絡しておるようなわけであります。
  88. 生田宏一

    生田委員 関連して。先ほどの海上保安庁の長官の答弁の中に、捜査船の一隻が午前十一時二十分、潮崎の百七十度、六千八百メートルの南方船体らしきものを発見した。こういうことの中間報告があったのですが、もしこれが南海丸だということの確認があれば、そうするとわれわれがもらっております資料によりますると、常用航路というものがあって平生波の荒くない、風の吹かない日に通っておる航路小松島和歌山で直線に引いてございます。それから荒天時には沼島の北方を回って友ヶ島を経て和歌山へ迂回する線を書いてございます。そうすると船体らしきものを発見したというのがもし南海丸であれば、潮崎南方六千八百メートルというのはこの荒天時の航路に当るのか、あるいは常用航路に当るのか、そのいずれに当るのか、海上保安庁の見解をお聞きしておきたい。
  89. 島居辰次郎

    島居政府委員 おそらく今の荒天時の航路だろうと想像いたします。
  90. 生田宏一

    生田委員 もしそうならば、それは二つの道が考えられるのであります。港を出てみて海が荒れているので荒天時の方へ船長独自の見解でかじを向けたのか、港を出るときにはすでに海が荒れていて、そして海上は相当危険な状態にあるということを気象予報その他で知っておって、そして荒天時の方へかじを向けたのか、この点がはっきりすればそのときの状況がよほど分明してくると思うのですが、そういう点は何かあなたの方で知って起ることがありましたならば承わっておきたい。
  91. 島居辰次郎

    島居政府委員 私の方ではまだ存じませんので、そういう方面は今神戸海難審判理事所の方から現地で、いろいろな資料あるいは聞き合せ等によって調査されておると思いますので、そちらの方がもっと詳しくわかるかと思います。
  92. 生田宏一

    生田委員 それでは判明次第報告をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  93. 島居辰次郎

    島居政府委員 あるいはその適当な機関の方から説明していただくことをお願いしたいと思います。
  94. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は最後に運輸大臣一つお尋ねしておきます。過去の海難等の例もありますが、第五北川丸の犠牲者に対しても、いまだその遺族の補償その他犠牲者に対します諸般の措置がとられておりません。弱小な汽船会社等にあっては、これらの船に乗って犠牲になった者はまことに気の毒であります。今回の一名もこの犠牲からのがれる者がなかったとすれば、百六十四名にも及ぶ多数の犠牲者であります。ただ私は遺族に対してお気の毒だというだけをもっては、慰め得られるものではないと考えます。だからといってこれを会社自体だけにまかせておくといたしますれば、同じ海難で犠牲になりました洞爺丸あるいは紫雲丸事件の処理と考え合せましても、私は非常に気の毒な上になおさら気の毒な感じがいたすわけであります。当然これらについてはその資力、能力等に加えて、何らかの遺族補償が国家的に考えられてしかるべきであるというふうに考えるわけであります。これについて運輸大臣も非常に苦労をされておる方であり、理解をされておると承知しておるのですが、どういうようにされますか。将来ともこういうものについてはただ単にそのつどそのつど、その企業の解決にまかせておくつもりでありますか。それとも国家的に何らかの措置を講じて、これらの遺族を慰める措置をとろうとされますか、この点を一つお伺いいたします。
  95. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 御遺族の心中は私も非常に複雑なものがあり、お察し申し上げつるのであります。あるいは単なる補償以上に深刻な思いをされておると思います。しかしあるいは弔慰あるいはお見舞あるいは補償、これは現実的の問題として運輸省は深く考えております。あの船は定期船協会に入っておるようでありまして、保険をかけております。従ってお一人に二十五万円ということを聞いております。そのほかあるいはお見舞あるいは弔慰金等、これらにつきましては昨日海運局長より会社に対して、これらの問題について善処するように指示いたさせました。第五北川丸は非常に資力の薄弱だった会社で、いろいろめんどうなことも起りまして大体は解決したようでありますが、今度はあの南海汽船会社は三千二百万円の資本を有し、そのうしろに南海鉄道があるのでございますから、私はこういう資力のある会社並びにその親会社は、なくなった方々に対して十二分の弔慰、補償の方法をとらするという決心であります。また彼らはその資力あると思いますから、私どもは最大限のことを指示するはずであります。
  96. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 以上をもって私の質問を終ります。
  97. 赤澤正道

  98. 小山亮

    小山(亮)委員 一ヵ年間、昨年から当委員会におきまして、従来から戦後七回にわたって起きました客船の悲惨事に対して、これを全滅したいという考え方から、さまざまな委員の要求がありまして、それはことごとく当局に具申されて、それぞれに新しい予算要求となり、あるいは新しい法制化等が考えられてきておるにもかかわらず、今回の予算面におきましては、それらの事故防止、あるいは人命尊重というような意味合いにおけるところのわれわれの一ヵ年にわたって苦心して計画を立て、あるいは進言しました予算の要綱が、ことごとく打ち切られまして、ほとんど今年度の海運行政費というものはないにひとしい、皆無にひとしいという惨たんたる状態になりました。かかる状態になった際に、はからずも南海丸事件が起きまして、現在の政府に対し、あるいは現在の運輸行政の手腕に対して、痛烈なるところの示唆を与え、頂門の三針を与えたということは、私はきわめて皮肉なことだろうと思うのであります。時間がございませんので簡単に質問をいたしたい、事務的に質問をしたいと思うのでありますが、私はこの問題に対してはあえて責任を追及するということよりも、いかにすればかかる事件を再びなからしむるかというために、その原因を追求してみたいと思っております。  私はこの問題に対しては二つの疑点を持っておる。第一は南海丸船体構造上の欠陥であります。三十一年の五月にできた新しい船が、わずか四十メートルくらいの突風を受けて、たちまち転覆するということが一体考えられるであろうか。古い、船齢三十年とか四十年とかいう船ならばこれはいざ知らず、この三十一年の五月にできたほんとうの新造船が、ちょっとした風を受けて転覆する。四十メートル、五十メートルの風を数時間受けて難航の結果沈没したのじゃない。きわめて簡単に突風を受けて、たちまちこれが沈没するということが一体考えられるでしょうか。ことに船舶技術の指導の最高をもって任じておられる運輸省の造船課の方々としては、こういう事故を当りまえだとお考えでしょうか。不思議だ、あり得ないことだとお考えだろうと私は思うのです。先ほど船舶局長説明を聞いておりまして、私はすでに答えが出たように思うのです。この船を建造したときに、事前にかかる船の設計書を出しまして、まず認可を得るわけなのです。その際にあなた方はこれを技術的に検討されて、適当の事前指導をなさるわけです。そうしてその後にこれを建造してからまた検査をされるわけであります。その後また定期検査、中間検査をやっておりますから、悪かったらことごとくお直しになっておらねばならぬはずなのです。しかるにかかわらずそれだけの手数を経た船がたちまち沈没したということは一体どうしたわけか、これは船ができ上りまして検査したときに、あなた方は完全な検査で完全な船であるとお考えになったかどうか、また検査をされたのは本庁の方が検査をされたのであるか、あるいは出先の海運局の方が検査をされたのであるか、それを伺いたい。
  99. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 御承知のように小型の客船というものは、造船技術上非常にむずかしい要素をはらんでおります。あえて専門家であられる小山先生に申しげる必要はございませんが、第一番に客船としましてはある程度速力がなくてはならぬ、またお客を搭載するためにスペースがなくてはならぬ。しかもお客は船の下に入りたがらないので、なるべく上に行かなければならぬ。また客船であるからにはどうしても船の外観をよくしなければならぬという、いろいろの要素がございます。従ってこの客船のデザインにつきましては、天候、気象等を考えましたあらゆる状態に対する船の適応性と、それから他方はそれらの船客等に対する要求というものをコンプロマイズして、船の設計がなされると思います。そのことは客船のみでなく、やはり一般の船にも応用されるわけでございまして、ことに軍艦等におきましてはそういう要素がなお多分に加わるというわけでございます。従って船の設計者といたしましてはそれをどの程度に落ちつけていくかということが、一番大きな問題になるわけでございます。従って、一たん船が海へ出ました場合に、どの程度の風に耐え、どの程度の波に耐え得るかということを、あらかじめ予想してかかるわけでございます。しかし小型船におきましては、天候、波等によります影響が非常に大きく響くわけです。大きな船でございましても相当海難事故がございますけれども、船が小さくなりますと、波の高さ、風の強さというものが、意外に大きく響いてくるわけでございます。従いまして客船の設計につきましては、どの程度の風、どの程度の波、従って船の安全限度、復原性というものをどの程度考えていくかということが、一番大きな問題になるわけでございます。そういう点につきまして、先ほども御説明申し上げましたように、船の復原性の基準というものがございませんでしたが、しかしこの五、六年の間にいろいろ研究をいたしまして、斯界の権威者を集めて、この程度のものであれば、一応客船としての復原性として認めてもいいのじゃないかということで、先ほど申しましたような基準を設定したわけでございます。しかしその基準につきましては、いろいろむずかしい造船学上の問題やら、また波や風等の相関関係のいろいろの複雑な理論等もございまして、潮流も波の高さも風の強さも、またその風が時によって強くなり、また弱くなったりする、そこまでも完全に取り入れた計算というものは、容易にでき得ないわけでございます。従いまして現在考えておりますのは、一応沿海航路の船におきましては、常時十九メートルの風が横なぐりにその船に吹きつけて、その船がある程度傾斜する、しかしその風によりまして相当程度波が出ますから、その波に乗りまして船の固有の動揺の周期と波の周期とちょうど一致した場合が、船の動揺が一番激しいわけでございますから、船の傾きを中心にして、船がゆれて、その場合に船が横になってどの程度まで持つであろうかということを基準にして、復原性の算定をしております。本船におきましては、先ほど申しましたように、満載入港時が船の安全性能が一番劣るわけでございますが、そのときの復原性の範囲が計算の上では四五・八度と思いましたが、しかし四五・八度まで傾きますと、窓等から浸水するというので、これを四〇度という線で押えております。四十度の線であれば、復原力が外力に対して打ち勝って、また傾きが直るであろうというので、現在の基準に照らしてこの程度のものであれば一応基準に合致するというので、本船の復原性については差しつかえないという判定を下しております。しかし先ほど申しましたように、実際の場合におきまして風がどの程度ございましたか、また潮との関係が現在私どもの考えております程度以上の大きな影響があったか、その点がはっきりいたしませんので、果して私どもの基準の状態でこの波に勝ち得なかったことが転覆の事実となって現われたと思いますが、そこらのところは設計上非常にむずかしい問題がありまして、設計はあまりにシビヤーにしますと船として成り立たない、お客も取れないという事実もありまして、そこら辺が造船技術として一番むずかしい点じゃなかろうかと思っております。
  100. 小山亮

    小山(亮)委員 局長はいろいろ説明をなさいましたが、私の伺いたいのは、そういう講義めいた説明でなくて、伺ったことに対する御返事だけをちょうだいしたい。客船の安全性をはかるということは非常にむずかしいとおっしゃいました。それはむずかしいでしょう。むずかしいからといってできないことじゃない。できないならなぜ船をお作りになるか。できるから作っているのですから、むずかしければむずかしいほど、研究されておやりになるべきだ。だれもできないというような人工衛星でさえできている世の中で、小さい船が設計がむずかしいからできないということは、あなたの遁辞にすぎない。昭和二十年の十一月七日に伯方島の木浦で、第一東予丸という百六十一トンの船が突風沈没しております。それから二十四年六月二十一日に大分県の姫島の東方十六キロで、川崎汽船の青葉丸、五百五十九トンの船がこれも突風で、デラ台風ですかで沈没しております。瀬戸内海の中ですらそうです。ちょっと瀬戸内海を出ましたら、沖から風を受けるようなところになりますと、それは当然考えられなければならぬでしょう。ですから結論は、小さい船の設計はむずかしいが、むずかしければなぜ小さい船をお許しになるかということになるのです。五百トンぐらいの船で十三半というような高速力を出そうとすれば、勢い無理がくる。船の長さが四十七フィート七、幅が八フィート一、そうしますと上はまるいのです。上はまるいのに速力を無理に出そうとすれば、どうしても船体の下の吃水線以下をうんと細くしなければならぬ。それがために水深が犠牲にされますから、どうしても頭が重くなってしまう。私が聞いたところによると、この船を作るのに造船所で非常に苦労したのじゃないでしょうか。ほとんどできないというものを苦労して作ったということを私は聞いておりますが、もともとでき上ったときからこれは五体満足なからだで出てきた船ではないでしょう。だからこそあなた方は新造したばかりの船のフォア・ピークとアフター・ピークのタンクに水を張れ、これはおかしな話じゃないですか。水を張らなければならぬ。しかも満船です。からになったときには足を作るために水を張るということはございますが、人が乗ったとき、満船になったときにタンクに水を張れというのは逆です。おまけにさっきおっしゃった甲板にたくさんの人間が乗ってきて、右へ寄ったり左へ寄ってはいけない、こんな危ない船がありますか。甲板の上にお客がたくさん乗ってきて、ながめて片一方に片寄ったら船が危ないから、そんな危ない船はないでしょう。これをどうしてあなたの本省でお許しになったのか。検査は中国海運局か何かでされたのか、どちらでされたか、それを私は伺っている。そしてまたそういうような指導方法を今までとっておいでになるとすれば、そんな船が何ばい日本じゅうにありますか。こんな船ばかりでは、調べてみなければ危なくて垂れないじゃないですか。私はそれは重大問題だと思います。しかも船の形から申しますと最新式の型になっておりますから、みんな外が囲ってあるでしょう。それでウォッシュ・ボートが小さいから、甲板の上に打ち込んだ波がすぐ出ないのです。かしいだら反対側にずっと行ってしまう。反対側に行ってしまうと復原しない。かしいでいるところになお横たわるのですから、船はそのままずっと行く。あなたは四十度かしいだらそれ以上は復原しないようなことをさっきおっしゃったが、それは危ないじゃないですか。四十五度ぐらいかしいでも復原するのでなかったら危ないじゃないですか。十九メートルの風で四十度かしぐ、それなら復原するがそれ以上はだめだ。二十メートルではだめなんですよ。二十五メートルの風ではもうだめなのです。そうしますとこれはよほど危ない船で、ゴムまりみたいな、どっちへでもごろごろするような、非常にスタビリテイーの悪い船をあなた方は建造許可なさったということで、私は浅学でありますが、こういう船は今まで見たことがない。そういうような客船を当局は許可されるのですか。それはぐらぐらしますよ。ことにローリング・チェック、さっきおっしゃったゆれどめですね。ローリング・チェックをつけなければぐらぐらして危ない。しかもローリング・チェックのつけ方が悪いので、中間検査にこれを長くお延ばしになったでしょう。長く延ばされたということは、悪かったということを認められたということになる。タンクに水を張れということはスタビリティーが悪いということを認められたからで、普通の船ならこんなことをする必要はない。それをこの船に対してはやらなければならぬということ、しかも甲板に客をたくさん乗せているときには注意しろという注意書まで親切に書いてお出しになる、そのくらいあなた方の方で注意をお出しになるなら、なぜこれを直すことをお命じにならないのですか。私がこれを特に伺うのは、戦後運輸省は船質の改善をやろう船質の改善をやろうとしておるにもかかわらず、この神武景気の波に乗りますと、ややもすると五百トン以下の小さい船をどんどん作る。これは本省の許可を必要としませんから、地方局の許可だけでどんどん作る。しかもその船が新造船だといいながら、機械はみな古いのを、解体で取りはずした機械をつけた、ずいぶん危険な船が瀬戸内海を動いております。これは私はこの委員会で問題にしたことがございますが、保険会社が保険をつけにくいというような新造船がある。そういう船がどんどん動いている。どうしてそんなものができたか。こんなことは言いたくないが、出先の海運局は非常に検査がむずかしい、あるいは検査が通りそうもないとなると、適当に政治工作をやるわけです。政治工作という言葉は、いい言葉に私は言っているのですが、そうではない、至るところに汚職、疑獄の疑いが濃厚なのです。遭難する船をどんどん作っている。中央官庁の目が届かないから下ではそういうことをやって、粗製乱造の船ができている事実を私は知っております。あなたが知らないとおっしゃるならば、私は船の名前も隻数もみな持っております。船主協会がみなそれを調べております。それは戦後できました船で五十何隻というほどあります。そういう点から、私はこういう問題は必ず生じてくる問題だと思うのです。あなた方の方で悪いと知っていながら許可しておられるのですから……。原因は、さっきあなたが自分で言っておられるうちに、自分で原因をすっかり言っておられる。どんなに熟練した船長だって、これではかないませんよ。右舷から波が来た。十九メートルで四十度、それ以上では復原しないでしょう。突風で四十メートル来たらひっくり返る。これはおしまいです。そんな船ばかりならば危険でしようがないでしょう。新造船で突風四十メートルくらいのものを受けたって、沈まない船が日本でたくさん私はあると思う。みんな沈みますか。それだったら大へんだ。それでは私は具体的に伺いたい。これと同じような指令をお出しになった船がほかにありますか。
  101. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 最近どういう船について指令を出したか、今資料を持ち合せておりませんので、あとで御報告申し上げたいと思いますが、先ほど申しましたように小型客船の建造というものは、非常にむずかしいアイテムがあるわけであります。しかしこの船といたしまして、先生御指摘のようにいろいろな問題もございますが、大体現在作られておりますような小型客船は、この程度の船が多い現状でございます。たとえば徳島丸はやはり長さ四十六メートルでございます。船の寸法の割合等もこれに似た船でございます。また淡路丸、第二隠岐丸、あかつき丸、天女丸、これらの船におきましても大体この程度の船の長さ、幅、深さ、ドラフトの割合等でございまして、この南海丸だけが特に悪いという状態ではないと思います。しかしこういうような船で、一体沿海航路がいいか悪いかという問題が起きてくるかと思いますが、普通のこういう客船で突風と申しますか、四十メートル、五十メートル程度の風に、しかも波がそれに伴って大きい場合に、船が危険にさらされないような船を作るということは、現在の造船技術の上では非常に困難な問題ではなかろうかと思っております。もちろん上甲板上の部屋をなくしまして、船客を全部甲板の下に収容するというような船でございましたならば、先生の御指摘のような強風、波浪に対しましても安全な船が設計できるかと思いまするが、どうしてもある程度お客の甲板室を上甲板上につけなければならぬというようなことになりますると、四十メートル、五十メートルの風と波に対して立ち向える小さい四十メートル、五十メートルの船というものは、設計上非常に困難である。またその船が船会社の営業上立ち行きがたい船になるのじゃなかろうか。従いまして船の安全を増すためには、船自身の性能の優秀化も必要でございまするが、船の形をある程度大きくするということは絶対要件になるわけでございます。しかしこれらの沿岸航路におきましてそういう大きな船を航行させるには、経済的にも成り立たないというので、なかなか実行が困難な面があると思います。従いまして私どもとしましては、今後なるべくこういう航路につきましては大きい船を持たすように指導いたしますと同時に、上甲板上の客室をできるだけ少くして、あらしに対して強い抵抗を示し得るような船を考えなければなるまいか、こういうふうに存じております。検査につきましては地方の、これは向島でできた船でございますから、尾道支局が検査に従事しておると存じております。
  102. 小山亮

    小山(亮)委員 あなたのお話を伺うと、最近はこういう突風が吹くと助かる船はないというように受け取れるのです。私は徳島丸、淡路丸等、あなた方が今言われましたが、この船主に対しては、今の注意書と同じような注意書をお出しになっておいでになりますか。それからもう一つは、紀州と阿波とのこの海峡は、新聞によると、七十年来こういう旅客船の悲惨な事実はなかったというのです。ここはこういう悲惨な事実がなかったところで、非常に安全なところだった——安全とはあえて言わないでしょうが、平穏なところだった、しかるに今度初めてこの事件が突発したのだということが書いてある。そうすると七十年の間、維新後ずっと何もなかったのに、この現在の最新式の造船技術で作った船は、突風に危ないということになるのですが。どうもあなたの話はびたっとこない。昔はどうであったけれども、今は技術が進歩したから、こういう事件はなくなったというのならわかりますが、現在の造船技術ではこれ以上の船ができぬということをわれわれ伺うと、これは日本の将来の海上交通のために非常に不安の念がきざすのですが、これに対してもっと明確にお話を願いたい。ほかの船にはそれと同じ注意をなさいましたか。
  103. 田中織之進

    ○田中(織)委員 委員長、答弁する前に議事進行。小山委員から本問題についてきわめて具体的な質問がなされているのですが、どうも船舶局長の答弁は、それを一般的な説明にそらすように聞こえてなりません。これは私の郷里に本社のある南海汽船の問題ですけれども、やはり最後の責任の問題は大きく政治問題にもなると思うのです。大臣の先ほどの山口委員に対する答弁では、うしろに南海電鉄という巨大資本の会社がついていることであるから、十分やらせるということであるけれども、問題は船舶局長の答弁いかんによるならば、国が責任を負わなければならぬ問題にも私は発展していくと思うのです。しかし今われわれはそれを直ちに追及しようとはいたしませんけれども、小山委員の質問がきわめて具体的な質問になっておるのですから、その質問に対しては端的に答えていただかないと、私は議事が円滑に進まないと思いますので、その点一つ委員長の方からも、特に船舶局長の答弁についてはそのものずばりに質問に答えていただくように、なお委員長の方でそういうように船舶局長に要求していただきたいと思います。
  104. 赤澤正道

    赤澤委員長 わかりました。今田中委員からも要求がありました通りに、どうも私が聞いておりましてもちょっとぴんとこない点があるやに考えますので、もう一つ具体的に御答弁を願いたい。船舶局長
  105. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 先ほど申しましたように、注意書を出しました船につきましては、今手元資料がございませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。  それから先ほどの小型客船の安全性の問題でございますが、現在のような船会社のお客を積みたいという要求、また従ってその採算にもなるかと思いますが、そういうベースとそれからお客の要求ということを考えますと、現在の客船の建造では、とてもこの強い風や波に対しましては、抵抗力は弱いと思います。ああいう程度の船ではとてもそこまで抵抗力を持たすことができにくいと思いますので、もし四十メートル、五十メートルの風が吹くとなりましたならば、客船の設計の基準、形というものを、根本的に考え直していきませんといけないと思います。従って私どもとしましては、復原性の基準にございますような内容につきまして、船長にもまた船会社にもよくわかるように、この程度のものであるから使用についてはそのつもりで使っていただきたいということを注意書に書いて、またはこの復原性の規定等にも書いてあるのでございますから、やはりその使う船の性能というものを考えて、もちろんそれは突発的に突風が吹きましたり、大きな波が来ることもございますけれども、それらを十分考慮して船を使っていただかなければ、やむを得ないのじゃないだろうかと考えております。
  106. 小山亮

    小山(亮)委員 もしあなたの言われることがそうなら、船舶局などというものは何のためにあるのですか。皆さんの作った船が不都合な船だ、航海しても不安で安全が保障されないという船を、一片の通告書を出して、向うさんに直してもらうのだ、今度は大きい船がいいと思うけれども、小さい船がどんどん作られればこれもやむを得ぬ、何でも皆さんのお作りほうだいだ、これでは一体船舶局は何のためにあるのですか。あなた方が責任のある検査をされて、いかぬと見たらなぜGMを下げるようになさらぬのですか。重心を下げて、もっと船の足をかたくするということを考えなければならぬでしょう。タンクに水を張れというよりも、なぜ固定バラストを入れろとおっしゃらないのか。固定バラストを入れて復原カを確保しろ、それでなければいかぬ、こうおっしゃればいいでしょう。作った船をぶちこわして直せというのじゃなくて、これにはどうしてもこれだけの足が必要だから、それには固定バラストをぜひこれだけ入れろ、そうしなければ運航しちゃいかぬ、こうやるのが私は親切なやり方だと思う。それをタンクに水を張れと注意を出した、向うがやって下さるでしょうということは、おかしいじゃないか。要つらざるところにはずいぶんいばって、認可をするとか認可をしないとか言いながら、肝心な、人の命に関するようなことは向うさんにまかせるでは、私ども国民として了解に苦しむのです。その点は、なぜ固定バラストを入れろという指令をお出しになることができないのですか。あるいは何かこれに対して建造上GMをもう少し下げて船足を強くするという方法を、技術的にあなたの方で考慮できないのか、それを伺いたい。
  107. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 先般も申し上げましたようにその後の改造におきまして、ビルジ・キールの深さ、長さを増しております。固定バラストも十トンばかり入れております。もちろん固定バラスト……(「それをなおかつタンクに水を張らせるのか」と呼ぶ者あり)ビルジ・キールを入れない新造当時の状況が、満載運航時において四十度しか復原力がないということでございまして、その後ビルジ・キールを下げ、固定バラストを入れておりますから、その後の状態はうんと改造されております。それから先ほど生田先生からお話がございました僚船がございますので、その船につきまして実験をいたしたいと思っております。もちろんこれにつきましては会社も今いろいろごった返しておりましょうから、落ちつきましてから船ををしかるべきドックに入れまして、動揺試験、重心の検査の試験というような復原性を算定しますのに必要な一応の諸試験を実行いたしまして、この南海丸がどの程度復原力を持っておったかということの証明をいたしたいと思っております。
  108. 小山亮

    小山(亮)委員 僚船のわか丸がちょうど同じくらいのトン数らしいのですが、建造したところはどこですか。同じ日に建造したのですか。同じ技師が同じところでやったのですか。それとも時間のずれがあるのですか。それからこれに対するあなた方の指導ですが、会社にお出しになったと同じような注意書をこれに対してもお出しになっておりますか。
  109. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 建造造船所は同じ日立造船の向島工場でございまして、南海丸の一年あとに竣工いたしております。そしてあとの船はわか丸と申しますが、わか丸と南海丸とは全く同一の船でございます。もちろんわか丸につきましてはビルジ・キールも初めから大きくしておりますし、固定バラストも入れておりますので、注意書は出しておりません。
  110. 小山亮

    小山(亮)委員 それならば、あなたの方ではもうこれは一年前にお作りになって欠陥を認めた、それで一年後に作った船はその欠陥をないようにお作りになったのですから、わか丸はその性能においては南海丸と比較にならぬくらいよいよなっておることはわかっておる。そうでしょう。同じ企画だということは言えないでしょう。またそうしてビルジ・キールを下げて作った以上は、固定バラストも持っておらないでしょう。  それからもう一つ伺いたいのは、こういう客船を作るときに、設計書を出して建造の許可を得るわけでしょう。そのときにあなたたちは、その書類を見ただけでめくら判をお押しになるのですか。一応全部調べてみて、これは一番大事なことですが、どのくらいの復原力があるかということを見て、そうして許可をおやりになるのか、どちらです。
  111. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 わか丸と南海丸は船型その他全部同じでございます。船型その他につきまして改造は加えておりません。ただ南海丸におきましてはビルジ・キールが小さいのを、わか丸においては大きくした、それから固定バラストを入れた。同時に南海丸につきましても同じ仕事をいたしておりますから、船型、性能その他につきましては全然同一と考えております。それから船の建造の申請がございましたときには、技術的に構造の面とか、または客船におきましてはスタビリティーの点等について十分調査をいたして、いいというところで許可をいたしております。それからもう一つ、先ほど申しましたが南海丸につきましては、船舶の復原性規定が施行されます以前にできた船でございまして、その規定の適用は受けていないわけでございます。しかし私どもそれでは客船に対して心配というか、十分確かめる必要があるというので、適用外ではございまするが、この規定を適用いたしまして、そして先ほど申しましたような注意書を与えておるわけでございます。
  112. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますとあなたのお話によりますと、さっき徳島丸とか淡路丸とかおっしゃいましたが、あれは南海丸と完全に同じ性能と見て差しつかえございませんか。
  113. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 全然同じではございません。大体船の寸法が似ておると申し上げておるのでありまして、全然同じであるとは申しておりません。たとえば徳島丸につきましては船の長さと幅の比が一三・一五でございますが、南海丸では一三・二〇、長さと幅の比が徳島丸では五・九、南海丸では五・七四、ドラフトとデブスとの比が徳島丸では〇・五八五、南海丸では〇・六五二というように若干は違っておりますが、大体似ておりまして大きな開きはございません。
  114. 小山亮

    小山(亮)委員 そうすると先ほど言われた注意書は、あなたはしっかり覚えてないと言われたが、この船以外にお出しになった記憶は全然ないのですか。それから徳島丸、淡路丸その他の同系の船のスタビリティーについては、検査の結果どういうように報告されておりますか、伺いたい。
  115. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 お答え申し上げます。その以後注意書を出しました船は五、六件あるかと思いますが、データを今持ち合せておりませんので、どういう船にどういうふうな注意書を出しましたか、書面で御報告申し上げたいと思います。
  116. 小山亮

    小山(亮)委員 これは私は重大な問題だと思うのです。こういうような注意書の内容を伺って、私は驚いたのですが、そういう注意書が渡されたなんということがわかっておれば、お客はそんな危険な船には乗りませんよ。それを私どもは初めて伺ったのでありますが、これは今日人命の保護のために、それから海上の安全を確保するために、そのお出しになった注意書を全部この委員会に御提出を願いたい。それによって私はそれをあらためて検討しなければならない。それからこれと同じような小船で、たとえば注意書をお出しにならぬ船でも、その船体の設計の概要を当委員会にお示しを願いたい。  それから今後この問題に関しましては、さらにあらためて資料が出てから私は御質問申し上げたいと思いますし、なお現地に参りまして詳細に調査しました結果、この原因を私たちはあくまで追及したいと思います。しかし何といっても、この船体構造上の重大欠陥があったということだけは、私はその疑念はいまだに晴らすことができません。伺えば伺うほどさらに私はその疑惑を深めます。それと同時にせっかく気象台から強風注意警報が出たにもかかわらず、それが各汽船会社には徹底しない。ことに大事な人命を預かって、それをお客にして運航しなければならぬような船会社が、強制的にこういう警報を受けるという施設がないということは、これは重大な欠陥だと思うのです。何のために気象通報をやっておるか。大体海上気象なんというものに対して、運輸当局自体が重大な関心を持っておいでにならない。設備の内容をごらんなさい。非常な努力をしておるにもかかわらず、一番大事な仕事をしておるにもかかわず、それに対するところの予算というものを全然与えないようなやり方なんですよ。私どもはこの点は今回のこの事件ばかりじゃございません。今後起る海上におけるところのいろいろな遭難を事前に防止するためには、気象問題に対しては重大な関心を持っていただかなければならぬと私は思うのです。私は時間がありませんから、あらためて御質問申し上げる機会を保留しますが、特に大臣もこの二つの点だけは十分に御検討をお願いしたい。  それからもう一つ伺いたいのは、この船に乗っております乗組員の資格であります。船長とか機関長とかいう人が乗っておりますが、その乗組員の資格を私は伺いたい。どういう資格の人、たとえば船長は乙種二等航海士ということを伺いましたが、それでは運転士はどういう資格か。機関長はどういう資格を持っている人が乗っておるか。無線関係についてはどういう資格の人が通信を扱っておったかという点を伺いたい。
  117. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまその資料を持っておりませんので、後ほど文書でお答え申し上げます。
  118. 小山亮

    小山(亮)委員 私は昨日の理事会で、本日はこの問題についてはいろいろな点を伺いたいから、あらゆる詳細な資料を、お持ちを願いたいということを申し上げたが、乗っている乗組員の資格もわからぬというようなことでは——新聞なんかを見ますと、船長の責任にして、船長がけしからぬというようなこととがございますが、これに対する資料が何にもない。今沈んでいる船がわからぬということは私ども肯定しますけれども、乗組員の資格くらいはおわかりになっているはずだと思うのです。  それからもう一つ伺いたいのは、ちょうど本船が遭難しました当日、この間の海峡を他の会社の船が航行しておった事実があったか、伺いたい。
  119. 粟澤一男

    粟澤政府委員 大体調べてみましたが、非常に近い時間にはなかったようであります。
  120. 小山亮

    小山(亮)委員 この間を航行しておりまするところの会社の名前、船の名前、それから当日動きました船名と会社名、これは私の方も調査しなければなりませんので、あなたの方でわかっておったら伺いたい。
  121. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その資料は今参議院の運輸委員会に持って参っておりますので、すぐ持ち帰って御報告申し上げます。
  122. 小山亮

    小山(亮)委員 この南海汽船という会社の船員に対する待遇は、どういうような状態でありますか。たとえばこの船員は海員組合に入っているとか、あるいは入っていないとすれば、今年これに対してはどういうような賃上げの方法をやったかということを伺いたい。
  123. 木村俊夫

    木村政府委員 先ほど御要求の資料とあわせまして、すみやかに提出いたします。
  124. 小山亮

    小山(亮)委員 それからこの船が出港しましてから、沼島の方に向ってずっと淡路島の沿岸に沿って目的地に向ったようであります。まっすぐに直線航路で行かないで、非常に迂回して行ったが、これはいつもこの航路を通るのでありますか。あるいはしけた場合には、こういう航路を通るような慣習になっておりますか、伺いたい。あるいは沼島に、南風に対して避難する港があるように聞いておりますが、そういう場所に避難する目的で船長はここへ行ったのか、あるいは普通にこういう航路をとっておるのか、あるいはしけた場合にこういう迂回航路を通るようにあらかじめきまっておるのか、その点わかっておったら伺いたい。
  125. 木村俊夫

    木村政府委員 ただいま担当の局長がおりませんので、後刻お答え申し上げます。
  126. 小山亮

    小山(亮)委員 昨日、一番最初に通報を受けましたのは、本船の沈没場所沼島の西万三マイルというふうに伺っていました。それは多分無線電話の発信した場所から推定したのではないかと思うのですが、無線電話で通信しました場所の推定はできるものでありますかどうか。それからさらにその後の新聞の発表によりますと、友ヶ島の南約三マイルのところに重油が流れておったということを聞きました。沼島の西と友ヶ島の南とでは場所が非常に違う。また今度船体らしきものが発見されたといっておる場所、これも違うように思うのですが、大体これに対する関連性があるかどうか、長官から伺いたい。
  127. 島居辰次郎

    島居政府委員 無線電話の最後の場所は、淡路島の南端の潮崎南々東二海里の地点でありますので、昨日油があったというのは相当遠くでございます。われわれの判断からいたしますると、これは違ったものではなかろうかという判断でございます。ちょうど中間報告船体らしきものがあったという場所は、最後の連絡を断った場所の大体近くでございますので、これはそうではないかというふうに考えます。
  128. 小山亮

    小山(亮)委員 海上保安庁長官に伺いたいのでありますが、私が一番重大に考えておりますのは海難救助なんです。ところが海難救助ということは設備を強化したいというので、当委員会はもう二ヵ年にわたって、海難救助の設備拡充ということを政府に向って献策しておりますが、いまだに成果が現われておりません。現在の警備救難能力、それは大体巡視船が九十三隻、巡視艇が二百八隻というふうに聞いておりますが、ほんとうにトン数五百トン以上、船齢が十年以上で、実際に救難に出ていって、荒波を押しのけて救助のでき得るような船、ほんとうに使える船は何隻ありますか。海軍の古いぼろぼろの船ばかりたくさん並べても意味がないので、ほんとうに使える船は何隻であるか、それを伺いたい。
  129. 島居辰次郎

    島居政府委員 今の巡視船と称する九十三隻といのは二百七十トン以上でございますので、小山先生の言われる五百トン以上になりますと、みんなその辺はばたばた落ちてしまいます。それから大きい船は、宗谷は別にいたしまして、海軍から引き継いだ海防艦が五隻ありますが、これもトン数は約千トン程度でございますが、これも古船でございますのでいけないということになってきますと、まず五百トン以上になりますと「だいおう」「むろと」の二隻くらい、それからあとのいわゆる一番よく働いているのは——働いているというのはなんでありますが、中堅としてやっておるのは四百五十トン型であります。これは今はっきり数字は覚えておりませんが、相当程度あります。五百トン以上になりますと、ほんとうにごくわずかであります。
  130. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、日本海上を九管区に分けて、今の五百トン以上の船というと「だいおう」「むろと」の二隻と海防艦の古いものが五隻、それだけで、あと四百五十トンというのはどのくらいありますか。
  131. 島居辰次郎

    島居政府委員 約三十隻あると思います。つまり三百五十トンの新型を入れまして、それだけであります。
  132. 小山亮

    小山(亮)委員 四百五十トンというのは船齢何年くらいになりますか。
  133. 島居辰次郎

    島居政府委員 これは終戦後作ったのでありますから、十年あるいは十年以下であります。
  134. 小山亮

    小山(亮)委員 なおヘリコプターは幾つありますか。
  135. 島居辰次郎

    島居政府委員 ヘリコプターはみんなで七機あります。大型のシコルスキーというのが、三機と、それからあとの小型のヘリコプターが四機あります。
  136. 小山亮

    小山(亮)委員 本年度の予算であなた方が予算を要求しまして、新造救難艇何隻、ヘリコプター何機という要求を出されたように聞いておりますが、それはどのくらい出されたのですか。
  137. 島居辰次郎

    島居政府委員 大型は千二百トン型一隻、六百五十トン型二隻、三百五十トン型二隻、こういうのがいわゆる新造船であります。それからいわゆる代替船と称しまして、海軍から引き継いだ駆特型、これはもう非常に古い船であります。これの代船として三百五十トン型二隻、それからいわゆる小型である巡視艇と称するもの、これは二十三メーター型四隻、十五メーター型八隻、こういうものであります。なおヘリコプター二機、ビーチクラフトの航空機二機であります。
  138. 小山亮

    小山(亮)委員 合同の遭難、先ほど大臣が言われましたように非常に悲しむべきできごとでありますが、かかる事件を全くなくなすというがためにはいろいろな方法があると思いますが、一番大事なことは何といっても小さな船、ただいま海運局長から言われた五百トン以下の小さな船、こういう船で日本の沿海を回る、お客を積んでいくということは、非常に危険なんです。どうしても千トンくらいの船がなくちゃならない。それでなければ危険なんですが、それだけの船を作るには、今の小さな船会社の資力ではできない。そこでどうしても船質を改善して海難をなくすためには、国内の定期船に対して何か船の建造のでき得るような政府が援助する施設ができなければならぬということから、私どもは内国船の共有航の会社を作るという案を提出しまシた。しかし不幸にしてこれがいれられないのですが、大臣はこの問題を通じて、いかに船質の改造ということが日本海上安全のために、生命を保護するために必要欠くべからざるものであるかということを痛感されたと私は思う。私はあらためて大蔵大臣の出席を求めて、ああしたほんとうの人命を保護する案というものを、本国会においても予算要求をして復活させたいという考えを持っておるのでありますが、大臣のこれに対するお考えはどうでありますか、伺いたい。
  139. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 小山君の御質問の前段のことについて、私の決心と申しますか、考えを申し上げたい。実はこの事件を知りまして、私はふと復原力の問題が頭に浮んだ。と申しますのは、小山君御承知でしょうが、かつて日本海軍で駆逐艦が演習中に沈んでしまった。あれで非常に復原力ということが問題になりまして、私も何か当時いろいろ研究し、質問したこともあったように記憶いたしますが、私第一にこの復原の問題に気がついた。そこで昨日船舶局長電話をかけまして、まずこれを考えろ、おそらく運輸委員会においてこれが問題になるのは当然だ、それだから船舶の性能について船舶局長はどういうふうなことをしておるか、これを調べて、国会の質問の場合に答弁をしてもらいたいということを私は言ったのです。大体今調査ができておるようでございますが、しかしあまりに事務的の答弁で、私もちょっとはっきりせぬ。でございますから、私は今後もっと船舶局長をしてこの性能の検査についてよくやるように注意をいたしますが、どうか運輸委員会におきましても、この復原性の問題について一つ調査を願って、これを公開して、今後再びかようなことがないようにやっていただくように私はお願いをいたすのでございます。  それから国内旅客船の保有会社法案を出しまして、出資二億、ある程度の借入金と申しますか、それでやったのですが、どうもこれが私どもの主張が通らずに未然になったことは、私はなはだ残念に思う。と申しますのは、私は就任以来いろいろ報告を受けますと、いかにも国内旅客船というのはボロ船が多い。中には大正年間というのがあるので、船にしろうとの私も非常に驚いてしまったのです。こんなことでただ値上げばかり言っているから、私はこの間も、こんなボロ船で値上げを言ってくるのはけしからぬと言ったのですが、真剣に私もそれを考えた、そうしていろいろの方面の示唆を受けまして、国内旅客船保有会社というものをこしらえて、ボロ船を全部一新していこう、こういう理想を立てたのでありますが、不幸にして大蔵省との話し合いがきまりませんでしたが、これは私はわが党の交通部会の方々、また社会党の方々と御相談を申し上げまして、遺憾ながらこういうことがあるからという予想をしてやったことでございますから、今後一つ適当な方法でぜひ形だけこの問題は貫徹したいと思うておりますので、どうぞ御支援のほどお願いを申し上げるのであります。
  140. 小山亮

    小山(亮)委員 この問題は今の船舶局としまして、民間が作る船に対していろいろな構造上の強い注文をつけるには、やはりつけられるような政府の何かの力がそれに伴わなければだめなんです。完全に民間会社で金を借りて作る船に対して、ただ一片の取締り規定だけで、この船の構造を改造しろとか、これはこうしろというようなことはなかなかでき得ない。でありますから、やはり国内の旅客船保有会社というくらいなものを作って、政府があっせんをして、建造費を低利資金で借りてやる。借りてやるかわりに、政府の言う通りの施設の船を作らなければ、金のあっせんはしてやらぬぞ、そこで初めて民間会社も採算を離れて、採算を度外視しても、安全性の強い船を作り得るのです。これがなければ絶対採算だけを中心にしまして、安全性というものは忘れてしまう。それゆえに当委員会は全部あげてこの問題を昨年じゅう審議しまして——おそらく全員一致ですよ。一人も反対なく、各党派をあげてみな賛成して、すみやかに政府にこの施設を迫ろうじゃないかということになった。幸いに大臣がこれを取り上げた。それを今度たった二億円くらいのことを大蔵大臣に一蹴されて、そのまま引き下ってくることはないと思う。あなたがほんとうにこれに対して必要性を感ずるならば、職を賭してもこれをやるべきがほんとうじゃないか。このくらい国家のためにプラスになる案はないのですから、たといあなたが職を賭されても、こういった国内の旅客船の船質が改造される限りにおいて、あなたのお名前というものは永遠に忘れられない大きな足跡を残すのです。私はこれはもう一度復活したいという考えを持っておりますから、大臣もその御決心で一つお願いしたいと思います。
  141. 正木清

    ○正木委員 関連して。今の委員の質問に対して大臣も賛成の意を表されたのですが、実は私は北海道の選出ですが、北海道は作ってしまいました。どういう形で作ったかと申すと、中央のあなた方におまかせしておったのでは、いつ何時現に起きたような事態が北海道で起きるかわからない、こういうので昨年一年かかりまして、資本金総額一億五千万円、これの出資の内容は北海道東北開発公庫から五千万円、北海道の地方市から五千万円、船会社が三千五百万円、沿岸の関係町村がその残りという、非常に負担しやすい方法でほとんど話し合いがついて、今道庁が中心となってこの会社の設立の事務的な準備をすでに開始をいたしております。このことは大臣や政務次官の耳にそれぞれの担当局長から入っていると私は心得ておりまするが、この原案の土台を作ったのは小樽の海運局長でございます。これを土台にして私が一年間、実は微力ではございましたが努力を重ねた結果、つい今年に入って、予算折衝の過程で、北海道開発公庫の責任者、北海道庁、運輸省の担当の局、これらの会同を求めて、今申し上げたような話し合いがつきました。ですから努力いかんによっては一つの見本ができるのじゃないか、こういう確信を得たわけであります。現に今作りつつあるわけであります。こうした問題が解決しない限り、内航を中心とする定期の旅客輸送について、年々こういうような悲惨な事故が起きるというあらゆる資料を実は私は持参をいたしております。だからこそ当委員会で昨年の議会一年を通じて、この問題が大きく取り上げられた。ただ残念ながら政府のいるところとならないで、こういう事故がまた起きた。ですからこの問題については、大臣はあらゆる資料を十分精査されて、その上に立って確たる方針を立てて善処されるよう私は要望いたしておきます。
  142. 赤澤正道

    赤澤委員長 正木委員
  143. 正木清

    ○正木委員 きょうの委員会の時間はどうなっているのでございましょうか。
  144. 赤澤正道

    赤澤委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  145. 赤澤正道

    赤澤委員長 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十七分散会