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説明員(岸上康夫君) それではお手元にお配りいたしました資料のうちで、三十三年度予算要求概要と書いてあるのがございます。これに基いて、ごくあらましを
説明申し上げます。
まず三十三年度の要求総額は、それの一番上から二行目に書いてありますが、
裁判所全体といたしまして百九十四億三千七百万という数字でございます。本年度の予算は一番上に書いてあります百六億七千万、大体本年度予算に対しまして、一・八五倍ぐらいの額に総額でなるわけでございます。でそれ以下に書いてありますのは、その総予算額のうちで、
裁判所といたしまして重要事項というふうに
考えておりますものを事項別に一から十二まであげました。それに基きまして逐次ごく簡単に御
説明申します。
まず第一は営繕費であります。これは毎年
裁判所といたしましては重要経費の第一としまして要求いたしておりますのですが、三十三年度の要求総額は四十億七千四百万でございます。これは一口に申しますと、
裁判所の庁舎のうちで非常に老朽した木造庁舎が相当ある、それの改築の必要がある。それからもう
一つは、戦災を受けました
裁判所の庁舎、これは全国で約四万坪ほど戦災を受けたのでございますが、いずれもその当時応急の木造のバラックを作ってとにかく
仕事を続けてきた。そのバラックを逐次本建築に改築をいたしてきておりますが、なお全国的に申しますと一万五千坪ばかりまだバラックのままで現在残っておる。それを鉄筋の建物に改築いたしたいというのであります。それから第三点は、終戦後
裁判所法の改正の結果、新しく制度として認められました家庭
裁判所と簡易
裁判所、これの庁舎という問題がございまして、これは制度ができました当時は、やはり一時の間に合せで借りもの、あるいは既存の地方
裁判所等に同居するというふうなことで出発したのでありますが、それが逐次必要に応じて整備していきまして、現在まである
程度の整備はできておりますが、なお整備未了の分を今後やっていきたい。たとえば簡易
裁判所で申しますと、全国に簡易
裁判所は五百七十カ所ほどございますが、そのうちの約半数は地方
裁判所あるいは支部と同じ場所にありますので、それに同居しておりますが、従来
裁判所がなかった所にできました簡易
裁判所、私
どもは独立簡易と申しておりますが、その独立簡易が二百八十六カ所ほど。五百七十カ所の約半数が独立簡易。そこで、それは全部借り上げ、あるいはその当時の地元から寄付というようなことで始まっておりますが、現在なお庁舎が整備されておりませんのが八十カ所でございます。これを整備したいというふうなことになっております。で、それの具体的な
個々の場所につきましては、もう
一つの資料の「予算要求概要
説明資料」というのがございますが、それの二ページから以下にその四十億の内容の各庁別の個所をあげておりますのでごらんいただきたいと思います。大体は
継続工事、つまり三十二年度までに着手した工事で三十三年度以降にかかるというものの三十三年度分だけで約十四億、その他は新規工事、それから新営工事、それからその他の増築、修繕というふうな経費もそのうちに上っております。
裁判所の庁舎、今申しました各
裁判所の新庁舎の新営分でございます。
その
程度にしておきまして、次は機構改革の点でございます。二番目の最高
裁判所の機構改革に伴う経費。これは現在、前
国会に
衆議院の方に提出されまして、現在
継続審議になっております最高
裁判所の機構改革の問題でございますが、これが今年度の
国会で成立するということを前提にした場合に、三十三年度にどれだけの経費が要るかということを計上したわけであります。三億九千九百万と申しますのは、現在の政府案に基いて法案が成立した場合に必要な人員が百六十八名ほど人員増加を必要とする、その百六十八名の職員——
裁判官以下の職員のいれものを三十三年度に増築したい、その営繕費でございます。それから営繕費以外の経費は、法案の施行が三十四年度以降になるという見通しのもとに、三十三年度の予算には計上いたしておりません。営繕費だけでございます。
それから三番目は、第一審の充実強化に必要な経費。これは三十二年度からこういう項目で要求いたしておる経費でございまして、要するに最高
裁判所の機構改革も必要だが、第一線である第一審の
裁判の内容を強化したい、これは結局人の問題と、それから設備の問題ということに結局帰着するのでございますが、三十三年度で要求いたしておりますのは、まず全国の地方
裁判所の中で最も
事件の多い困難な東京以下八大都市の
裁判所について、
事件の審理の適正、迅速を期するために合議体で
裁判ができる
事件をふやしたい。現在は大体全国的に見ますと、地方
裁判所で刑事
事件を合議体でやっておりますのは、全
事件の約一〇%
程度、民事は二〇%
程度でございます。それを、民事を一五%、刑事を二五%まで増加する、それに必要な人員として
裁判官が百十六名以下書紀官等で四百二十二名の増員、それに伴う超過勤務手当、それから法廷等の増築、旅費、自動車整備費等の要求でございます。なお、それに
関連しまして、証人の日当の増額、現在二百三十円を三百円に値上げしたい。さらに刑事
関係の国選弁護人の報酬を約三割
程度値上げしたいというのが、その内容のおもなものでございまする
それから第四番は、家庭
裁判所調査官の増員、これは家庭
裁判所において、少年、家事の
事件につきまして、具体的に
事件の
調査等に活動いたしておりまする家庭
裁判所調査官の増員でございます。家庭
裁判所は、先ほど申しましたように、終戦後新しくできた
裁判所であります
関係上、
調査官の整備も充実も逐次やって参りましたが、なお不十分だということで、現在では大体の目標を
裁判官一名について
調査官及び
調査官補を含めて四名配置したいということから計算いたしまして、そう計算いたしますと、大体全国的に見て不足人員が二百八十三名、そのうちで約百七名を三十三年度で増員の要求をするというのがその内容でございます。
五番目は用人の増員、これはこまかいことでございますが、
裁判所の
関係の庁舎が少しずつ整備されますと、坪数が大きくなると掃除するべき面積もふえる、それから設備、たとえば暖房とか電話とかあるいはエレベーターとか、そういう設備の近代化に伴いまして、それを動かす用人が相当窮屈に現在ではなってきておる。設備の増に伴うだけの増員が従来認められておりませんので、その
関係の用人の増員を認めてもらいたいというのが五番目でございます。合計三百八十九名。詳細はここに載っておる
通りであります。
それからその次は六番。三ページです。これは
裁判官の管理職手当の経費。これは
裁判官にある種の手当をつけたいということで、三十二年度、つまり本年度におきまして管理職手当という名前で、ごく一部の方、
裁判官のうちでも在職年限の長い方につきまして、約百二十名につきまして管理職手当が一二%つくことが認められたのでございますが、三十三年度はその範囲をさらに拡大したい。判事の定員が大体千三百名
程度でございますので、百二十名というのは一割
程度でございます。これをもう少しふやしたいということでございます。
七番目は交際費。これは各
裁判所の長及び
裁判官その他の交際費の増額でございますが、これは
事務的な問題でございますので、
説明は省略いたします。
それから八番目。これは欧米留学、
裁判官の留学のための経費が本年度は二名分四百万円でございますが、これを五名
程度に増員したいということでございます。九番は、
法律扶助協会の補助。これは刑事訴訟法によりまして弁護人をつけられない方に国選弁護をつけておるのと同じような趣旨で、民事
関係の訴訟についても貧困のために弁護人の選任ができなくて、
自分で訴訟をする、あるいは訴訟をあきらめるというふうなことのないように、そういう貧困者の民事訴訟に対して保護をしたい。現在弁護士連合会の中にそういう目的のための財団法人が
法律扶助協会という名前でございますので、それに対する補助金を出して、その会の資金を豊かにしてその活動を活発にするようにしたい。一千万円というのが出ております。
それから四ページの上の十番。これは調停協会連合会の補助。これは三十一、二年度五百万円ずつ認められておりまして、三十三年度も同額の五百万円を計上しております。これは結局調停
委員の協会に対する補助金でございまして、いわゆる調停制度の運営、研究とか調停
委員の知識の向上、あるいは調停制度の普及徹底というふうなことに使われる目的の経費でございます。
十一番は図書館の経費でございますが、これはこまかい
事務的なものでございますので、これも
説明は省略いたします。
十二番は、
裁判費。これは総額は十四億ほどでございますが、要するに
裁判事務をやるために直接必要な経費で、結局先ほど申しました国選弁護人に対する報酬、調停
委員の方に対する日当、旅費、証人の日当、刑事補償金、それからその他呼び出しの費用等でございまして、これは大体
事件の増減によって金額がはじかれておる数字でございます。
以上が大体
裁判所関係といたしましての重要事項でございますが、その他は結局
一般の人件費、交通費それから庁費、旅費というふうなもので、結局
裁判所を維持運営していくための経常的な経費でございます。
簡単でございますが、以上でございます。