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1957-11-05 第27回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月五日(火曜日)    午前十一時十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            竹下 豊次君    委員            迫水 久常君            苫米地義三君            松岡 平市君            松村 秀逸君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            亀田 得治君            田畑 金光君            八木 幸吉君   国務大臣    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    防衛政務次官  小山 長規君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁装備局長 小山 雄二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査の件  (防衛計画に関する件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  国の防衛に関する調査のうち、防衛計画に関する件を議題に供します。本件について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長官に国の防衛に関連して二、三お伺いいたします。  まず御承知のようにICBM等ソ連においてはすでに兵器として完成されましたし、またアメリカにおいてもこれが実験等に成功しておる段階にきておるわけですが、そうした戦略兵器出現によって、国防基本方針とか、あるいは防衛整備計画国際情勢の上から見ても、はなはだしく、ずれてきたように考えられるわけですが、この問題に対して長官はどのようにお考えになっておるか。まずお伺いいたします。
  4. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) お答えいたします。仰せのごとく、ICBMまた人工衛星発射等によって、外交上また防衛上に非常に重大な変化が、世界全体に表われてくるということは想像にかたくないと思います。そういった全体の問題を離れまして、御質問の点は、わが国防衛方針ないし体制の問題がどうなるか、従来の方針改変を加うる必要はないか、こういった点であることを想像いたすのでございますが、基本的に申しまして、今日のわが国国力あるいは国情といったものを考慮いたしまして、防衛体制に非常に大きな変化を与えるということが適当でないという事態にあると思うのでございます。すなわち基本的には一国を防衛するのに自国の手でやるという方針であるべきでございますが、現状においてこれが実現し得る国は、わが国に限らずほかの国においても同様の事態であると思うのでございますが、特にわが国防衛態勢自衛隊の形式をとりましてもわずか三年くらいのものでございまして、まだ育成発展段階にあると思うのでございます。でありまするから、防衛基本方針というのは、どうしても国際連合集団安全保障といったようなものによるという態勢は、一つの大きな柱であると思うのでございます。なお、今日の国際連合集団安全保障現状の実際からみまして、それによることが安全であるという段階には、すなわち独立及び日本の安全を維持するのに十分であるという段階には至っておらない、こう思うのでございます。そこで、日米安全保障という態勢をとって今日に及んでおり、この自国防衛自己態勢と、いわゆる国連集団安全保障という態勢と、日米安全保障態勢と、そういったもので国の防衛をやっていこう、こういう基本方針であると思うのです。この基本方針を今日の異常な展開のある時代において変える必要がありや、こういうことになりますと、私はこの基本方針は変える必要がない、また、これによるのほかない、こう思うのでございます。全然国を無防備にするということがいいというもしそこに考え方があれば、これは別の問題でございます。しかしながら、世界各国独立安全を守る上において、おのおの自己防衛ということに対してそれ相当計画なり実行、また現にそれを保持しておるという状況において、私はこういった新時代に応じて日本防衛日本の手でやる、こういう方針改変を加える必要はないと思います。問題はそれならどの程度やるか、内容をどうするかという問題になるかと思うのでございます。それでその防衛整備内容につきましては、その時期に応じて相当調整を加えるという必要はこれはあるかと思います。今日までのところ、国防会議等においては大体昭和三十五年ないしあるものは三十七年において、これこれの陸上自衛隊または空あるいは海についての目標ができておるわけでございます。これは国力に応じたいろいろな、必要な最小限度という言葉はあるいは過ぎたかもしれませんが、必要なる限度であって、国力に応じ、財政等の諸条件を勘案して定められたる一定目標になっておるわけでございます。これの実行事態に応じて内容的にはいろいろ考慮すべきものがございまして、これは今後きめる問題でございます。その意味においては、私はこの目標そのものというものに大きな改変を加えるよりも、むしろその内容に重大な変化様相考慮に入れて、国力に応じたところの整備計画実行に移すというのが適出であろうと思うのです。すなわち、今日の段階においては誘導兵器その他の研究は過去三年にわたってやっておりまするが、いまだ十分ではないと思います。またこれに充当した経費等についても十分でなかったと思えるのでございます。でありまするからこういった方面、いわゆる新兵器と申しますか、もちろん核兵器を含まない意味でございますが、それのいわゆる研究開発という問題には十分の力を入れていくという計画を立てて、来年においてもそういったような要求を出しておるわけでございます。まだ確定したわけではありませんが、これはぜひ重点を置きたいと思っております。なお、その他全体の整備関係においても、いわゆる質的の改善を加えて、この限度自衛隊として、最も効率的に有効に機動的にやれるような考え方に、予算の関係においてもそういった考慮を加えてやっていこう、こういうわけでございます。  そこで結論といたしましては、今の最新式の進歩したるミサイル兵器といったようなものに飛躍的に日本がこれができるかというと、なかなか技術の問題はそう一朝一夕にでき上るものではないのでございますが、あくまでもその方向に向って研究を進めていく、こういうことでありまするが、時間的の関係もございまして、どうしても通常兵器とういものに依存する限度現状においては多い、中心になる、こういう事態のほかはないと考える次第でございます。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは具体的にお伺いしますが、今問題になっているICBM等が、日本の大都市とか主要工業地区に撃ち込まれた、そういうような場合には、瞬間的に国の機能が麻痺されてしまうと思うのですが、そういうような場合でも、なおかつ、日本には三十五年ないし三十七年に完了する計画があるから、基本方針とかこういう整備計画を変える必要はない、そういうふうな意味にとれるのですが、結局現在の日本自衛隊の力でこういうものを守り得るか、またどのようにして守ろうとするか、そういう点をお伺いしたい。
  6. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 御指摘のような場合を想像して、自衛隊というものの今の力では防衛できぬから、あるいは今の現在持っている計画というものが無効化するのじゃないか、という御議論は一応ごもっともだと思います。しかしながら先刻申し上げましたように、わが国防衛自衛隊限りで防衛し得るような情勢ではないのでございます。でありまするから国連集団安全保障機構による防衛の協力、また当面、日米安全保障条約に基く共同措置等考慮に入れて、わが国防衛をはかっていこう、こういうことを申し上げたのでございます。仮定の問題としてこういったICBMというようなものが実用化され、またこれのわが国襲撃というような事態が起った場合は、自衛隊はどうかという問題は、今防衛態勢においては、ただ一国わが国防衛自衛隊限りにおいてやるという方針はないのでございまするから、そういった意味においての想定現実の問題では直接ない、こう思う次第でございます。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今、日米安全保障条約等があるからというような意味ですけれども、この新しいこういう時代に対して、日本自衛隊が大きな矛盾を生じてきておると思うのです。それにはいろいろ理由がありますが、自衛隊が今、間接侵略と直接侵略に対して防衛する、こういった方向を打ち出してきておるという点が一つと、それから日米共同作戦というものが今御指摘のように論議されておる、それから日本アメリカ基地になっておるという点、そして日本安保条約、今お話になった行政協定こういうもので、当然アメリカ軍事行動がすぐ日本行動を制約し決定する、そういうことになろうと思うのです。従ってもし不幸にして米ソ間に軍事的な紛争があった場合は、日本は結局その段階では日本最後意味する、そういうふうに考えられなければならないわけです。この問題について長官はどういうふうに考えられますか。
  8. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) お答えいたしますが、米ソ間に万一のことがあった場合にという問題についての御質問だったと思いますが、わが国と米国との安全保障条約は、わが国防衛について緊急の事態が起った時分に、両者協議して共同措置をとるということになるわけです。わが国がこれに参加しない緊急事態というものについては、これは日本防衛隊がどうするといったようなことがなく、また日本自体に直接の侵略が起るということには、筋合いとしてはなっておらぬ問題でございます。そういうような事態でございまして、よその国同士の戦い、緊急事態において自衛隊がどうであるということは、私どもは考えておらぬわけでございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 こういう新しいミサイル時代に入った場合に、日本アメリカ基地があるということ自体が非常に危険だ、そういう点を強く私どもが考えておる点です。そういう点についてもっと具体的にお伺いしたいのですが。
  10. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 米軍基地の問題は、これは戦後の防衛力空白時代、またその後におけるわが防衛の力の非常に弱いために、一種建前から申しましてこれが暫定的の条約である、こういうことに相なっておるわけでございます。その意味において陸軍の関係は、陸上部隊等については撤退をしようということでそれが始まっておる。また日米共同声明においても、自衛隊増強に伴ってその他の部隊も撤退する計画を持っておるということが示されておるわけでございます。従来の経過からいって、ここに基地を持っておるということは、この戦後の日本の置かれておる地位からしてやむを得ない措置であったと思うのでございます。それがために日本襲撃目標になるだろうという御懸念もあるようでございます。これはないとは申し上げられません。しかし、現状の自分の防衛力において、こういうものが全然なくなった場合という事態は、防衛上に大きな欠陥もあるという点も一方にあると思うのでございます。彼此考慮して、自衛隊というものの増強というものに、ある一定目標を置いてやるということによって、そういうような御懸念も除かれていくという道をたどるのが適当ではないか、こういうふうに私は考える次第でございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 防衛庁はこういうふうに言っておるわけですね。陸上自衛隊本土防衛する云々、それから海上自衛隊が三ヵ月間海上補給線を確保することができるとか、あるいは航空自衛隊本土の防空を確保する、こう言っておるわけですけれども、このミサイルの前には全く存在の価値がないと思うわけです。それだけでなく、逆に非常に刺激を与えることになろうと思うわけです。こういう点について長官はどういうふうに考えられますか。
  12. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 先ほども一応触れたと思いますが、最新式の強力なるミサイル兵器というものが、今後の緊急事態においてあらゆる場合にこれが必ず利用されるものだという結論があれば・それは防衛においても非常に大きな変化があると思います。これは日本に限らずほとんど世界各国、大部分はそういったことにさらされておると申し上げて過言でないと思います。しかしながら国の防衛というものはいろいろな場合を想定し、また過去の戦争におけるいろいろな軍事上の行動紛争等から考えまして、究極兵器をもって必ずやるという前提がはっきりしておれば別でありますが、私は今後の戦争様相が必ずそれだけに限ると断定するのは、はなはだ早計であろうと思うのです。局地戦もあり得るだろうと思います。またまずもって在来兵器をもって、在来という言葉はあるいは語弊があるかもしれませんが、質的に強化されたる通常兵器または在来兵器というものによっての緊急事態の発生ということもあり得るわけです。そういった場合においてかりに自衛隊の場合をとりましても、国の生存権に欠くることのできない輸出あるいは輸入、これは輸入だけでも三十一年には四千数百万トンくらいに上ったと思う、国民生活に必要な物資を含めて、そういう国外からの物資を護衛、護送することには無意味であると、そういう結論を先に出して、それに即応した防衛態勢の変更を防衛責任にある者がやるということは、なかなか踏み切れないことであります。また国内治安の問題もこれは相当考えなければならぬと思います。ますますそういったような強力な武器に対応して、国内の不安がそこに起るということも、また交通混乱ということも考えなくてはならぬと思います。また現実日本交通上非常に必要な港湾の防備というか、掃海の点もまだはなはだ十分でございませんが、過去の戦争において投下されたる爆弾等が随所にあるわけで、大体三万一千平方キロメートルぐらいな海上掃海を必要としているわけでありまして、今日まで極力これをやって、日本の航海の安全と申しますか、それによる経済の交流を不安なからしめるということでやっておるというような部面もあるわけでございます。これはほんの一例でございまして、そういった意味においてある一定の場合を想定して、その場合だけに限って即応したような態勢に切りかえるということは、非常な危険にさらされるおそれがある。万一それ以外の事態が起った場合にどうするかということも、これは防衛責任者としては考えておかなければならぬことだと、こういう考え方を持っておる次第でございます。
  13. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっとここで整理してみますと、ミサイル時代に入った現状において、わが国国防計画等について変更する必要がありや否や、その見通しはどうかというような質疑があったわけでありますが、これに対して防衛庁長官の方から防衛に対して重大な変化があったとは考えられないという点、それから防衛機構としては、日米安全保障条約に基く単独防衛ではないという点、こういう点からして防衛内容防備等についてはこれが調整をはかる必要があるだろうが、国のなし得る国力に応じた限度のやはり従来の方針は継続する必要があるというふうに聞いたわけでございます。今国民が一番心配をし、どう政府では考えているだろうかということに、わが国の陸海空を通じて領海領空外には出さない、海外派兵はしないということがまずあるのだろうと思います。この点に間違いがあれば一つ指摘していただきたいと思います。そうなればわが国の四つの島、これに付随する領海領空を守っていくということが、出動する際には限界になるだろう。ところが短距離、中距離あるいは長距離の誘導弾がきわめて発達を遂げてきて、これが弾頭に必ずしも原爆、水爆を装填するだけでなくて、あるいは上空において焼夷弾を炸裂させて飛行機から落すと同じような方法もあり得るでしょうし、さらに強力な爆弾もあるでしょう、原爆を待つまでもなく。いずれにしてもそういう船や飛行機で運ぶ時代ではなくなった。そういう人命の犠牲というものを避けていこうとする傾向が強くなってきた。で、アメリカにおいても戦艦などの廃止という形になってくるし、陸上兵力は減少して近代科学兵器に変らんとしておる。ソ連もそうだろうと思う。それなのにわが国だけは海外派兵をしないというのに、十六万から十八万へと陸上兵力、いわゆる人的な兵力を逐次増大せんとしておる。そして戦車とかあるいは飛行機だとか、あるいはまた小銃というような、かつてのいわゆる旧式なものに依存していこうとしておる。あっさりこの際、小国小国建前を通して、大陸間の戦争大陸間でおやりなさいと、日本はその禍中には入りませんという態度をとるべきではないか。従来の再軍備主張者でも、最近の人工衛星あるいはICBMというような時代においては、再軍備について根本から再検討すべきだという評論家も出て参りましたし、また再軍備をあくまでも面子にこだわって主張を変えたくない方々でも、今の国防会議の決定に基くああいう陸上兵力増強の仕方は、単にアメリカ作業隊になる程度であって、何ら実戦の役に立たないのである。国内治安についてはさようなものは必要としない、警察予備隊程度でけっこうである。現行警察力で十分だ。掃海については何も戦車飛行機は必要としない、そういうふうに根本から検討を加えられなければならぬのではないかと。わが国経済力はそれほどゆとりのあるものではないのであるから、従って、再軍備論者も再軍備反対論者も、あげてこの際防衛について、こういう事情のもとにおいては再検討するときが来たと言っておりますね。にもかかわらず、今の御答弁によるとどうも具体性がない、どうも納得がいく御答弁がないわけですね。とにかく必要なんだ、しゃにむに必要なんだというのはその理由がないわけで、これらの点についてもっと具体的に、仮想敵国はどうであるとかいうことまではおっしゃらないでけっこうですが、実戦の場に立ったときにはどういうことが起きるから、現状方針を維持しなければならぬということは、何かそこに新しい事態ができた、その新情勢に対応する理論として必要なりっぱなものがなければ、どうも納得せぬわけで、今までのやりとりを聞いておりまして、どうも答弁される側に自信がなさそうに見える。掃海その他は国内治安といったような問題になってきてしまっておると思うのですね。何とかそこらをわかりやすく御答弁をいただきたいと思います。
  14. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今の御質問の点は、もう少し一段踏み切って、今後わが国防衛整備目標というものの新事態に応じての必要性いかんをやや具体的に説明しろ、こういう趣旨だったと思います。それで、まず防衛関係だけでございましたから、私は外交というか国際外交政治部面にはあまり触れなかったわけでございます。今日のごとき非常な究極兵器といわれるような科学兵器発達、あるいは原水爆の使用、あるいはこれの実験禁止とかいう面のことにつきましては、これはわが国としても国際外交というか、国連を通じ、その他の方法において極力これを推進しなければいかぬということは、国民一致の念願であり、また政府においても最善を尽しておるわけでございます。今のような宇宙いわゆる大気圏外におけるミサイル利用という問題については、すでに軍縮提案の中においても、平和利用以外にこういったものの使用を禁止する、という提案国連に出されておることはすでに御承知通りでございます。またソ連側においてもそういったような考え方もあると伝えられており、これは極力大気圏外におけるミサイル軍事面に対する利用を押えるという方向は、これはわが国防衛態勢にも非常に関連がある問題でございます。その成否は別といたしまして、仰せのごとく今日の状態ではこれに即応して、また一方自由国家群においてもこれに対応する、まあ軍事的の態勢をとろうといったような対立の関係になっておる。しかも一方世界世論は、こういったようないわゆる自殺行為に類した、人類の破滅になるような兵器利用というものに対しての非常な強い反対と、ここに力強い世論というものが当然にわき上ってきており、また今後正そう熾烈になると考えるのでございます。で、こういったような状態において、もしどちらかの陣営において一たん戦火を交えるというようなことがあれば、これは政治家としても非常な重大な責任であり、私は端的にいえば、こういった非常な究極兵器発達というか出現というものは、むしろこれを無制限に使用するところのその企図を抑制する力といいますか、そういったようなものが半面に大きく起ってくるものと思うのです。これはいろいろ推測でありますから、それは一方的のただ予想にすぎない、観測にすぎないという点と考えられる場合もあり得ると思いまするが、いわば、世界はこういった究極兵器利用しての戦争に対する恐怖と、また責任観念からいって、一種手詰り状態というものが起るものだと想像される、まあそういうふうな想像相当今日は各国にあり、政治家もそう考えるべきであろうと、こう思っておる次第でございます。しかしながら、委員長仰せになったように、そういった兵器を使わないまでも、日本上空においていわゆる発達したるところの兵器による爆撃等が行われた場合にどうなるか、といったような場合の想定もあったようでございます。で、こういう場合に第一には、従来の方針である日本自衛隊海外に派兵することなしという原則は、これはもう当然貫くべきものだと思うのです。国土防衛である自衛の態勢をただこの国において固めていこうというのが自衛隊の任務でございます。その意味において、そういった襲撃が空中からある場合に、国土防衛ということは、これを反撃し、あるいは撃墜するという部面にもあるのは当然でございます、こういった緊急事態に。しかしながら、これが完全に行われない場合においては、国土における混乱というものもまた想像せざるを得ないわけでございます。陸上自衛隊についての人数の増強についての御意見があったと思いまするが、現状において十六万の自衛隊は、御承知のように主として北辺地帯また西部地帯に主力を置いてあるわけでございます。この態勢国土防衛の上において果して完全であるかという問題について、これは多年、多年と申しましてもここ三、四年の問題でありますが、研究した結果、陸上自衛隊の増員というものが必要であり、しかも完璧を期するためには非常な数になる。その案はたびたび論議されてきて、最後最小限度として国防会議は十八万、すなわち二万人を増す程度でいい。その配置等についても、そういった場合にわが国のまず電力の資源を確保することが絶対必要だと思います。今日これらを確保するということについても、中部地帯のごときは十分なる自衛隊配置がないわけでございます。そういったようないわゆる国土防衛するといったその意味は、積極と消極の問題はありましょう、しかしながら国土において起り得る混乱産業の破壊といった部面に対しても相当の処理をとって、その混乱を緩和するというために、必要な部隊というものをある限度においてこれを配置する、ということは防衛上必要だろう、こういう観点もここに十分に考慮されているわけでございます。しかして装備その他の関係においては、これはもちろん今日の科学研究というものの進歩に即応するように、最善を尽して装備の強化をはかるという方向に向うべきは当然でありまして、目標以外の質的の内容という点については、今日の事態に即応してやっていこう、こういう方針をとっておるわけでございまして、大体今申し上げたような点で御了承をお願いいたしたいと存じます。
  15. 藤田進

    委員長藤田進君) 今の点ですが、結局陸上兵力二万を増強し、というのは国際関係紛争が起き、国内にはこれが不安の形で国民の動揺、ひいては重要産業防備しなければならぬ、たとえば発電所に人を配置しなければならぬということに、どうもとどのつまりなるように思うので、日本人相手の防備ということになるように響くわけですね。おそらくどこの国にしても、いきなり日本に上陸作戦をするという時代じゃもう百パーセントなくなったと思う。
  16. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今電力の場合はただほんの一つのケース、場合としていったわけでございます。しかし上陸作戦というものは将来絶対にないという判定をするのには、まだ私はその時期に至っておらないと思うのでございます。でありますから、こういう目的とかこれは一種の隊の編成の問題でございまして、どういう目的のためにこれだけの人数が要るという問題でございまして、私はほんの一例を引いたに過ぎませんですから、それだけならばというようなことに御了解にならぬようにお願いいたしたいと存じます。
  17. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連して。防衛庁長官の説明を聞いていても、全く四、五年前から防衛庁の当局が言うているようなことを少し尾ひれをつけて説明している、そういう感じでしかない。それで質問者は、ともかくICBM等出現によって大きな変化というものが当然考えられる、そういう立場からの質問ですね。全くその次元が違っているのです。そこで私具体的にちょっと聞きたいのですが、ソ連ICBMなり人工衛星の成功によって、米側では相当大きな戦略的な構想の変化をやっておるやに私どもは若干感ずるし、幾らか聞く。そういう点は、共同防衛の立場であるから、当然防衛庁長官としても敏感につかんでおらなければならない点だと思うのですが、米側のそういう動きというものを防衛庁長官はどの程度具体的につかんでおるのですか。説明してもらいたい。
  18. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) わが防衛庁関係におきましては、主力を日米の共同措置、共同防衛ということにおいて十分なる連絡をとり、意思の疎通をはかっているわけです。もちろんその間には極東全体の軍事情勢、またこれに対抗する措置等にも触れることは当然でございまするが、今まで具体的ないろいろな連絡と申しますかそういった点においては、これは日米間の共同措置をとる場合のいろいろなことについての意思の疎通、連絡をはかっているわけでございます。しからばヨーロッパ方面においてはどうするかということについて、十分なる検討をお互いにやるかという問題になりますと、私自身は十分なる協議というものをした機会はまだありません。だが御承知のように自由陣営、NATOと申しますかそういったものにおいては、それに対応する措置、具体的な方策をとられ、それが今回のICBMその他の発展によってどういう変化をするかということは、今後の問題であると思います。現に先だっての英米首脳会談においても、十分にその点に触れたものと思っておりまするが、今後の問題の発展というものはわれわれも注意し、情報も十分に得るように努めたい、こういう考え方でございます。
  19. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう抽象的なことをお聞きしているのではなしに、米側が日本基地なりそういうものに対して米側としての立場から考えた考え方、それからいろいろな具体的な措置を今までしてきたわけですね。ところがその方針に対して大きく最近は変化が出ているわけですよ。だからそれはこういう立場に立って米側がどういう変化を出しているのか、これを防衛庁長官具体的につかんでいるはずですが、その点を説明してもらいたい。たとえば具体的に例をあげますと、美保の通信基地、あれほどやかましく言うて農民がいやがるのを出せ出せということでやっていた、それが約十日ほど前に突然これが中止になってきているわけです。こういう問題は中止するまでは皆さんの方もこれは絶対必要なんだと、いろいろな理由をつけて私どもの方へ説明をされたわけです。ところが中止になってみるとあとの説明も何もないわけです。私ども想像するのは、やはりICBMなりそういうものの出現による大きな戦略的な変更というものが、米側でやはりなされている、その具体的なやはり一つの表われ、こういうふうにみるわけなんです。だから抽象論は別として美保基地の拡張を一時中止した。こういう点のいきさつはどういうふうに米側から説明を受けているのか。その具体的な御説明を聞けば私どもまたそれを通じて判断を下したいと思う。美保基地について一つ説明して下さい。
  20. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 美保の通信基地の問題は仰せ通りでございます。またあれを必要とし、米軍からの要請によってその施設を提供すべく努力したわけでございます。しかしそれがICBMの発現によって変ったというようなこととは、私は想像いたしておりません。通信の整備ということは自衛隊のためにも必要であり、また今後の状態想定しておそらく駐留米軍においても必要だと思います。ただ具体的に美保基地のいわゆる通信施設をあそこに置くということの方針は一応中止した、こういうのでございまして、それが大きな戦略上の意義あるとか何とかいう問題については、私どもは承わっておらぬところでございます。
  21. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういうふうな説明ではこれは日本国民は納得しませんよ。ともかく必要だ必要だということで、いろいろな手をかえ品をかえ工作をして土地を提供させるようにしておいて、中止の際には何かの事情で一応ストップしたのだ、そういうことではやはりこれは防衛庁の当局としても背任を果さぬと思うのです。必要であった理由とそれがなくなった理由、そういうことを親切にやはり地元の方に説明する義務があると思うのです、あれほど人を騒がしているのですから。今あなたの御説明ですと、一体何かそういう中止の理由などについては説明を受けていないのですか、どうなんでしょう。受けていてもそれは秘密だから言えないというのですか。
  22. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 美保の通信基地の中止の問題は、地元においてもこれに強い反対があった、これは相当長い間これが実行に努力したわけでございます。しかしながらこの解決が非常に困難であるというような見通しもあったわけでございます。でありまするから、あの場所自体が果してそれを強行して支障ないかどうかという判断も、実行の立場からいけば考慮しなければならぬ問題になったわけです。その意味において大きな戦略上の問題が含まれておるということについては承知いたしておりません。そう言ったのはありのままのことでございます。
  23. 藤田進

    委員長藤田進君) そうしますと、反対が強くてとうてい成功しないと米軍なり政府は見て、これを中止したというふうに聞こえるわけです。しかりとすればそれにかわるべき施設はいつどこに求められるのかということをお尋ねしたいと思います。
  24. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) まだ善後処置と申しますか、それについては何ら向うからも申し出がないように承知しております。すなわちほかへ置くかどうかという問題でございますが、まだ何も私は聞いておりません。
  25. 藤田進

    委員長藤田進君) 前段の反対が強いからやめたということでやめたのか、理由が明らかにならないのですね。それを必要としないと、通信その他の防備の検討の結果なったのか。
  26. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 反対があったからやめたという、こういうだけの事情ではないかもわかりません。そこはまだ他にもあり得ると、適地があるというような考慮があったかとも思います。でありまするからどこでも反対があればやめるのだというのでなく、必要の程度いかんだと思うのです。その現場自体必要性いかんということにも関連してくる問題で、そういうふうにわれわれは了解いたしております。(「さっぱりわからぬな」と呼ぶ者あり)
  27. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかくそういう説明を聞いておりましてもちっとも納得いかぬ。結局はそれはああいう所に当初計画したようなものを作っても、ICBM等によって新しい情勢のきたときにはこれはもうむだだという一つの大きな背後の動きというものがある、だれだってこれは……、それは幾らでもそういう例があるのですよ。たとえば小牧の飛行場でもそうでしょう。現在あれほどやかましく言っていて接収した土地、それに対して事業等の進行が若干鈍っておる現在では、それはまだ放棄したとは言いませんがぼつぼつやっておる。だからそういう米軍自体がすでに具体的にそういう態度をとっておるときに、その米軍自体の動きも十分防衛庁としてはつかんでおられぬようですがね。それでは私は日本自体防衛というようなことを言ったってどうも話にならぬような気がするのですね。米軍自体がどう方向転換しようとしているかまずつかむ必要があるのですよ。あちらから言われたら農民から土地を接収する、ストップになったらもうさようなら、そんな頼りないことじゃそれはいかぬと思うのです。どうなんですか、もっと突っ込んで、米軍の当局に何か新しい安保委員会等ができたようだが、いろいろ問いただしてみるべきじゃないですか。
  28. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ごもっともな御質問と思います。海空についても、いろいろと従来予想した以上の変更はあると思っております。しかしたとえば日米安保委員会においても、スタンプ司令官またその後のアメリカの軍の首脳部の方も来日いたしまして、情勢等その他の政策についても話し合ったことはございます。全然知らないという意味ではないのでありますから、その点は御了承願いたいと思います。それをここで言えということは、お互いにこれは機密の問題であるということでございまして、こういう席で申し上げることはどうかと思いますのでありまして、全然そういうことについては知らないのだということではなしに、一つ御了承願いたいと思います。
  29. 亀田得治

    ○亀田得治君 とにかく日本米軍基地を持っているのでしょう。それの使用の仕方というものはみんなの生命等に非常に影響するわけですからね。そんなことは機密にすべきことでも何でもないのです、大きな構想ぐらいのことは、そんな程度のことは大体ソ連だってどこだって知っているんじゃないですか、米側がどういうふうに日本基地に対して新しい構想を立てているか……。だからそういう程度のことだと私は思いますから、そんなまた何かわれわれに言わぬようなことがあるようなことをおっしゃらないで、ざっくばらんにこの程度のことは先方は言っているのだ、そういう点は明らかにしてもらわないと、基本的な問題について一体防衛庁はどうしようとしているのかという点が、相変らずやっぱり了解できないわけです。それを明らかにして下さい、今言えないと言ったことを。
  30. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 非常にむずかしい御質問でございますが、米軍の最近の戦略構想も変化いたしておる。これは速力の非常な進歩その他の兵器関係で、日本駐留の諸部隊の撤退というものはおのずから促進されつつあるという状態でございます。情勢変化よりもその部面考慮を入れたことは工作だと思っております。その意味において、過去においてこの基地は絶対必要だと言われたものが、その後の変化においてこれはもう必要としないというものもだんだん出てきたわけでございます。これは最近の変化だろうというように思われるのでございます。それならどうするかという問題でございまするが、一方この撤退は私どもが予期したよりは迅速に行われつつある。単に陸上戦闘部隊のみならず、ほかの部隊においても縮減の方向をたどっておる。こういう状態でございまして、先ほど申しましたように、われわれとしては自衛隊はそういった変化に応じ、わが国が国七を守る上において自衛隊というものも整備する必要を一層痛感するというように相なっておる、こういう意味でございます。
  31. 亀田得治

    ○亀田得治君 こういう点はどういうふうに長官はお考えでしょうか。つまりICBM等出現した後に、私どもまあ基地関係の者が集まっていろいろ意見を交換したことがあるのです。その結果私どもが得た結論は、当分はソ連側の方が弾道弾では優勢な状態が続く。従ってその間は米側として、そのソ連側の優勢に対抗するためには従来持っていた基地、西独なりあるいは中近東、日本こういうところの基地の重要性が一層強く出てくる傾向も一方に出るのじゃないか。しかしこの要請は強いけれども数などは整理されてくるだろう。中距離弾道弾とか短距離の誘導弾ですね、こういうものは米側としても使えるわけですから、大陸間弾道弾に対抗するためにはやはり前進基地に運んでそこを利用しなければつり合いがとれない。こういったような大体見通し、結論というようなものをまあ私どもの仲間では一応立てて見たのですが、防衛庁ではそういう点どういうふうに検討されているのですか。私の言うのは、だから基地は数が少くなる、少くなるが、しかし大陸間弾道弾などに対抗できるように射程の短いやはり誘導弾、これを沖縄なり日本なりの適当な所に確保していく。こういう態度に当分は出てくるのではないか、そういう立場に立って従来の基地というものの整理が行われるのではないか。これは私どもの方がむしろこういう問題の出現に対して真剣な討議をしているとも言えない。あなたの話を聞いているとどうもあまりやっていないようです、私ども結論を申し上げますと。これに対してはどういうように防衛庁お考えでしょう。
  32. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今のアメリカの軍としての基地というお話だったと思うのですが、これはNATO関係、ヨーロッパ諸国を中心とした、これを戦略の基地とするようなことに相なっておることはこれは前からの問題です。その他の地域においてはまあSEATOありANZUSあり、そういった部面においてどういうような基地の変更を見るか、それは私はまだ十分的確な情報を得ておりません。今の日本に関してのお話でありましたが、日本における基地はだんだん縮減されつつあるという事態であります。それなら縮減した基地において近代的の、あるいは核誘導兵器といったようなものでも配置するのではなかろうかという、まあ言葉はそう聞き取り得なかったのでございますが、そういう問題であれば、これは政府としてはもうすでにたびたび国会等において表明したごとく、核兵器の持ち込みということには反対であるという立場を堅持しておるわけでございます。その他の諸外国の基地についてのことについては、どういった兵器がどこに使われておるということを具体的にここで申し上げることもできませんが、これはわれわれの今の情報程度のものである、ここにはっきりしたことを申し上げるということにはまあ差し控えたいと、こう申し上げたい次第でございます。
  33. 亀田得治

    ○亀田得治君 兵力の撤退なり移動なり、そういうことが米軍側で行われた場合に、日本側に対して一々説明があるんでしょうか、今まで。ただ撤退した後に、これは当然予算等の関係もあるでしょうからわかるだろうし、通告等あるでしょうが、これは米軍が一方的に動かしているわけでしょう。動かす計画それ自体についての相談というものは一つもないわけでしょう、どうでしょう。
  34. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 就任前のことは私責任をもってお答えするわけにはいきませんが、八月四日に組織されましたこの日米安保委員会は、御承知のように共同声明に基いて設置された委員会で、その協議機関としての議題と申しますか課題は、まず第一にその中に、駐留軍の日本におけるところの配備また使用等について協議するということに相なっております。この機関において撤退また配置がえ等の問題は事前に話されているわけであります。またこの機関を通じないでも今までの在来のルートにおいても、先方はこういう計画を持っておるということは連絡を受けているわけで、一方的に突如として撤退の発表があるとか実行があるということでございませんで、第一騎兵師団の場合、第三海兵師団の場合、その他の諸部隊についてもあらかじめ十分の連絡あり、またそれについての意見というかそういったものの交換の機会を持っておるわけでございます。
  35. 亀田得治

    ○亀田得治君 あらかじめであろうがなかろうが、その動くこと自体については何も協議はないのでしょう。これは米軍が独自に移動するわけでしょう。防衛庁長官がそれはちょっと待ってくれ、百米共同防衛の立場からいうと、そんなところを急にあけては因るからもう少し待ってくれ、そんなことは言うたこともないだろうしそういう権限はないのでしょう。
  36. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 非常にこまかい問題に入るようですが、ある場合においては、そこを将来または現実自衛隊使用したいというようなために、施設の撤退または兵の移動があるわけでございます。そういった場合は向うの一存と申しますか、一方的に決定してそこを撤去するということがいろいろ運行上支障を生じますから、よく話し合っております。でありますから、引き継ぎの準備ができて、そこにギャップが起らないようにするという方針の下に、連絡し協議をいたしておるというのが実情でございます。
  37. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは結局移動についての根本方針それ自身は米軍が独自にきめる。ただその事務的なことについてできるだけ事前に話をしたような格好をとる、そういう意味だろうと思うのです、お話を聞いておっても。ほんとうにこちらの承認等を得るのであればもっとはっきり長官おっしゃるはずです。まあ私ども聞いているところではそういう一方的にやっているように聞きますが、そういう状態でありますから米軍自体がこの日本基地に対してソ連と対抗するために先ほど私が申し上げたような方針をとって来た場合ですね、これはこんなものを、なかなか今の安保条約等がある以上は、拒否するとかといったってそれは口先だけですよ、実際問題として。そういうふうになる可能性の方がむしろ多い。沖縄は現にそうですね。それから非常の事態になれば基地の中に、今も条約関係では米軍が持っている基地の中へ誘導弾等を持ち込んだって何も違法ではない、それは岸総理自体も法律的解釈はその通りだと認めておるわけですね。だから米軍の最近の仄聞するそういう動き、こういうものをもっとしっかりつかんで、そういう危険性のないようにしてもらわなければ、これはみんなそこを心配しておるわけでしょう。だから近い機会に私は、やはりあの安保委員会というのはどうもその後開かれぬようですが、開いてもらって、もっとその問題だけでもどういうふうに米軍ICBM出現に対して日本基地に対する態度を考えておるのか、こういう点を究明してもらって、そうして委員会に報告してもらいたい。そういうことはできませんか。われわれの聞きたいところなんです。
  38. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連して。今の亀田君の質問に関連いたしますが、安全保障に関する日米委員会設置に伴って、両国政府の間で交換公文が出ておるわけです。特に今後の日米委員会の運営に当ってそのおもな一つの問題が、米国によるその軍隊の日本における配備及び使用についてであって、これが原則的に取り上げられることになっているわけです。しかもまた日米共同宣言の主要な、岸総理が今回渡米されて持ち帰られたおみやげの重要な内容が、この点にあるわけですが、それでこの委員会発足後は、今亀田委員から質問がありましたように、米国による軍隊の移動とかあるいは配備とか使用とか、こういう問題は当然日本政府と話し合いをする、日本政府というよりも、日本政府の機関であるこの委員会において話し合いをする、こういうことになっていようと思うわけです。ところがこの文章によりますと、そういうことには原則的になっておるが、実行可能なときはという限定語があるわけです。従ってアメリカの再構いかんによっては話し合いをしなくてもいいのだ、こういうようなことになってくるわけです。そうしますと、一般的にあの日米共同宣言が発せられたあと国民の受けた印象としては、今までの行政協定で何ら規定されていない、不明確のままに残されていた米軍使用、配備の問題については、今後日本政府の意思あるいは口日本国民の意思が十分反映されるものと、こう期待していたわけですが、しかし内容をよく検討してみると限定証がついておる、こういうことになっておるわけです。で、この点これは今後あらゆる場合において、今の長官の御答弁のように、アメリカ日本と話し合いをするようになっておるのか、あるいはそういうように義務づけられておるのかどうか。さらにわれわれといたしましては、こういう交換公文が取りかわされたとするならば、当然行政協定の中等にこの条文と申しますか協定化することが必要じゃないかと、こう思うのですが、この点もあわせて長官の考え、あるいは政府方針を承わっておきたいと思います。
  39. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) その前に日米安全保障委員会の開会問題でございますが、藤山外相がむしろ主宰的な地位になっていて、ちょうど海外出張その他によって最近開会を見ていなかった、これはなるべく早期に開会いたしたいという意向を話し合っております。御注意の点は十分拝承しておきます。
  40. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員会に報告してくれますか。
  41. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 委員会に報告し得る事項であれば報告するということに御了承願っておきたいと思います。今の点について、あれは協議の機関でございますから、協議した結果委員会において御報告申し上げることが適当と認められる事項があれば御報告申し上げます。しかしそういったこの委員会の議事は、今まで関係者以外には言わないというような申し合せもあるわけでございますし、これは合同の機構でございますから、そういうところも十分考慮して善処して参りたいと思います。  それから田畑委員の御質疑だったと思いますが、共同声明並びに行政協定関係ですが、日米の共同声明のうちで、日米安保委員会を設置する、その中に米軍の配備及び使用についても協議する、ただしこれはあとう限りといったような一つの条件と申しますか、そういう場合を書いておる。全部が全部これを協議の目標にするということになっておらない、でこれを全面的に協議すべきものに移すか、従ってそれが共同声明から一歩進んだ形式的なつまり取扱いをして、行政協定の中にこういった趣旨を盛り込むべきじゃないか、そういうような意味の御質問だと拝承いたします。でこの行政協定と共同声明による安保委員関係は、大体行政協定第二十四条に相当した部面が関連性を持っておるわけでございます。この二十四条は御承知のように急迫した事態が起り、日米安保条約の第一条の目的を達するために日米間で共同措置をとるといったようなそういう場合については、両国政府間で協議するということに書いてあります。従って限定した事態、すなわち緊急事態の場合においては、これは両方の政府が協議する義務を負っているわけでございます。これは大体実力行使といったような場合でしょう、緊急事態における……、それははっきりしておるわけでございます。今度の日米安保委員会においてこの駐留軍の配備または使用について協議する、しかもそれができる場合においてという条件的の文句がはさまっておるわけでございます。これは大体今の第二十四条の規定以外の場合であって、たとえば現状のごときすなわち配置がえをいたしておるというのがその適例であろうと思いますが、そういう場合についても従来はそういったようなことは何というか、約束としてはなかったわけでございまするが、この安保委員会において平常の事態における配置あるいは使用といったようなことについても協議しよう、しかしそれが万一事実協議するひまのなかった場合はそういうこともできないだろうが、しかしそこはお互いの信頼、友好の関係をもって不当に故意に協議をしないということはあり得ないと私は想像いたしております。従ってそれならばこれを協定化したらどうかという最後の御質問だと思いますが、しかし現実のもとにおいて日米安保委員会はきわめて円滑に、つまり協定同様にこの委員会というものがその協議の課題を取り扱っておるわけでございまして、あらためてこれを協定化するというような考え方政府においてはしてない、こう御了承を願いたいと思います。これを要するに共同声明は既存の行政協定安保条約改変を加えるものではなくて、従来欠けておったところの部面について日米の合同の委員会において十分なる協議を遂げ、満足なる結論を得るように努力しようということであり、すなわちこれによって従来欠けておったと認められる点を補足した、こういうことになっておる次第でございます。
  42. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、この協議するというようなことについては、やはり場合によってはアメリカ軍事戦略の面からいって、日本政府と相談しない場合もあり得るんだ、こういうようなことを認めて、こういう表現になっておるのか。まあ今の御答弁ではまあそうだと私は拝聴いたしたわけですが、そこでもう一つ今の御答弁の中で、要するに日米安保条約行政協定で今まで題問となっていた点を、今回の安保委員会を設置することによって解決をしたんだ。こういうお話でありますが、特に日米安保条約を見ますと、要するにこの条約の形式は、アメリカは駐留する権利を持っているんだ、しかし日本防衛する義務というものがこの条約自体からは出てこない、こういう問題があるわけです。それからまたなるほど、先にあげられた行政協定二十四条、急迫不正の侵害なり事実日本にそういうような脅威が加えられた場合には、日米両国政府が協議するということになっておりますが、この安保条約の成文によりますと、この軍隊の任務は極東における国際平和と安全の推持に寄与するために使用する、こういうことになって、従ってアメリカの軍隊というものは、単に日本に対する武力侵略だけでなくて、アメリカの極東戦略なら極東戦略の必要から極東における国際平和と安全維持のために発動できるというようなことになっているわけです。ここに一番国民が不安をもち、この条約の片務的な性格というものを非難していたわけで、そうしますと今回のこの日米安保委員会の設置というものは、こういう条約上の性格に対してどういう緩和策を講じたのか。こういうような心配はないと言われるのか。特に私は先ほど申し上げた、実行可能な限度においてアメリカ日本と相談する、こういうことになっているわけです。しかしこれを受けて、この安保条約第一条にある極東における国際平和、安全の維持というアメリカの判断で軍を動かすような場合には、今回の日米安保委員会等で必ずしも話し合いをする必要もなかろう。こう考えるわけですが、これらの心配は、どのように今度の日米共同宣言で、あるいは今度の日米合同委員会で処理されていこうとするのか、この点を伺いたいと思うのです。
  43. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 日米安保条約第一条の規定が、日本のそれ自身の防衛のためにする武力攻撃に対するアメリカの寄与という点、これに対しては、行政協定で手続が書いてあるわけでございます。仰せのごとく、前段の日本防衛以外は、つまり極東における国際の平和と安全の維持に寄与するという部面については、行政協定の二十四条は適用にならぬものだと思います。その点において、これは前段の部面が、もしかりに必要とした出動が起った場合にどういうことになるかという問題、この点はわれわれはそういった事態はこれはいずれの場合においても、先般の九月十四日の公文交換によって、国際連合憲章が優先し、その権利義務に従うというような公文交換もあったわけでございます。それ以上のことはアメリカはできない、制約は当然にあるわけでそれを明確化したわけでございます。同時に今度の日米安保新委員会、これが日本緊急事態防衛ということに関連のない場合において適用されなければならないかという問題が、第二段に起る問題だろうと思います。この配置使用の問題は、現に日本におる駐留軍が他に配置がえをするというような場合に、これは配置の問題としては私どもは協議の目的になり得る、まだそういうケースもなし、そういった問題を拒否するという具体的の申し合せもありません。これはあるいは解釈の問題にとどまるかもわかりませんが、そういったようなことが起った場合には、私どもはこの日米安全保障委員会というものは、そこに協議というものがなさるべきだという見解をもっております。これはまだそういったケースもなし具体的な問題もありませんから、そういった解釈を統一しておるという段階には至っておりません。そこでこの安保条約そのものについてはいろいろ、あるいは片務的であり、また規定が何分にもその当時の事態に応じたものであったから、十分明確でなくまた完全でないという点はあり得ると思います。今日これをだんだん補足しつつある、運用の面においては支障のないようにしてきておるのが現状でございます。  しかし日米安保委員会の課題の第三においては、これは岸総理も国会において答弁の中に触れたと私は記憶いたしておりまするが、第二のこの国連憲章と日米安保条約との関連において、これが国連憲章の精神なり規定に合致するかどうかということを確保するという問題についての協議、これは交換公文において大体その意思をはっきり表わしたわけですが、第三に、お互いにこの日米両国民の所要及び願望を達成するような問題について協議しようという項目もあるわけです。果して具体的なものであるかという問題については今後いろいろ検討を要しまするが、日本国民の所要、願望といったような部面は、今お説のように安保条約におけるいろいろな問題点というものもあるようでございまするから、これは改訂問題というところまで進めてしかるべきであろう、こういう考え方をいたしております。今日の段階においてこの第三の議題が協議の問題とはなっておりませんが、そういった含みを持っておる、こういう次第でございます。
  44. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、重ねて云う一度お尋ねしますが、私がさきに述べたようなあの安保条約第一条に規定されているような心配は今後起り得ないと、こういう解釈をまあ日本政府はとっておられるようですが、それはアメリカ側もそれを認めておるのかどうか。もしそういうことになってくるなら当然安保条約についても、そういう形で日米間の協定を結ぶという工合に発展すべきだと、こう考えますが、この点についてはどのように政府は考えておられるのか。今の長官のお話によりますと、その第三項は日米両国の国民の必要と願望に適合するとなっておりますけれども、両国民の必要と願望はおのおのの立場において衝突をしておるから、結局この安保条約の改訂の時期ではないと、こう拒否されたものと見るのです。そういうような点から見たときに、先ほどのような長官の御答弁であるならば、この際安保条約等の質的な一つの改訂ですから、当然両国政府は文書の交換等で取りきめを行うべきだと思うわけですが、この点はどういう方針でおられるか。
  45. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ただいまお答えしたと思うのですが、ワシントンにおける岸総理アイゼンハワー大統領の会談において安保条約改訂の問題も出たと承わっております。しかしさしあたりこれの改訂問題が意見の一致を見なかったというような結果でございます。そこで安保条約中の日米の関係において両国民の所要、所望、あるいは願望と申しますか、必要、願望に適合するようにこれを調覆していこうということの話し合いになったのじゃないか。で、当方としてはこういったような片務的の形になっておる条約についての改訂は、これは国民のいわゆる願望であろうと、こう思う次第でございまして、これを今後の問題にするという考え方は持っております。ただ日米安保委員会は協議機関でございまして、ほんとうに協定でも何とかするとか、両国政府間の取りきめとか約束ということになりますと、正式のルートにおける協議というか交渉という問題にかかってくるわけでございます。そこに一つの何というか協議機関というものを設けてあるわけでございます。で、お話のようにこの問題は何しろ相手方のあることでございまして、直ちにこれは協定改訂の可能であるということをここに申し上げるというまだ段階には至っておらぬわけであります。国民の願望とするところを今後の協議の目的にしようという考えでございます。
  46. 亀田得治

    ○亀田得治君 ほかの方もあるようですから最終的に一つお願いしておきますが、先ほど長官から言われたように、至急ICBM等出現によって米側の戦略態勢が、これは必ず変更があろうはずなんです。ないのが不思議なんですね。で、そんなものによって変更されないと言っておるのは日本だけなんで、それはもうどう対処するかというのは世界中みんなそういうふうにやっているわけですね。だから必ずこれは一つの腹案というものは米側にあるはずですから、やはりその説明を一つ十分聞いてもらって、先ほどの言明のようにできるだけ委員会に報告をしてもらいたい。で、それを一つ基礎にして、そういう状態の中における日本自衛隊の価値といいますか、そういうものについて一つ適当な機会に質問をしたいと思いますから、この点は一応再度要求して私の質問を終ります。
  47. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 長官にお尋ねいたします。ICBM出現国防方針関係自衛隊のあり方といったようなことは、時間の関係もございますので次の機会に譲りたいと思うのですが、具体的な問題について二、三端的にお伺いをいたしたいと思います。  第一は、誘導弾に関する研究が現在日本でどの程度の進捗状況であるかという点を第一に伺いたいと思います。
  48. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 防衛庁といたしましては、誘導弾、BMと申しておりますが、二十九年度に初めて予算をとりまして、技術研究所で研究しているのと、さらに三十、三十一、三十二年と予算を増加いたしまして、この研究は現在は第八部というところが専担して参っておるわけでございます。しかしながらこの研究は一般科学技術というか、それらの進歩の一環としてやるべき問題が非常に多いのでございます。率直に申しまして、今日の段階においてこの研究開発が目立った進歩を見ているとは思っておりません。そこで将来においてはこの研究開発について非常な重点をおいてやりたいと、従ってこの考え方を予算化するということにも努力をいたしたいと思っております。人数は現在八十人ぐらい、計数はあとにしますが、そういったようなものでございます。来年度は金額においてもまたそういった人員の点においても相当増加して、この研究を促進したいと、こういう方針でございます。  研究の内審は大体地から空に対するミサイルの発射でございますが、空対空ということを重点といたしております。これはわが国防衛目的というものに即応するといった考え方からそういうように研究の課題をきめておると、こういう状態でございます。しかしこれにはどうしても基礎的研究を始めていくということが必要なんでございまして、その点において日にちが今日まで相当かかっておったという事実もあるのでございます。もし詳細な点でございますれば、この専担の技術者なりその方の担当者からお答えする、こういうことで御了承を願います。
  49. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 長官はこの自衛隊内容の変革、質的強化というようなことをしばしばおっしゃられますが、おそらく誘導弾にポイントがあるのではないかと思うのですが、そこで現状としてはエリコンがスイッツルからくるということはわかるのですが、軍事秘密の関係で、米国等からこれらの資料を日本に持ってくるということに障害はないかどうかという、この点が一つ。それからもう一つ誘導弾研究に来年度の予算は大体どのくらいを見込んでいらっしゃるか、この一点を伺っておきたい。
  50. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) BMの研究開発に当って、完全を期するためには、すでに諸外国で研究をせられた結果を利用するということが、時間的にも効率的であろうということはお説の通りでございます。その意味においてエリコンは近く到着するということであれば、まあこれによる研究開発の促進ということも期待し得るわけでございます。  なおそれと関連して機密の保護という問題も、今後これを促進する上において必要な事態も生じ得ることと思うのです。しかしながら機密保護という問題は、これは単にそれらの研究部面といった点だけを考慮して、直ちにここに所要の措置をとるということがいいかどうかということには、政府として慎重な考慮を要する点があると思うのです。そういった点でありますので、これは前回の委員会でも御答弁申し上げた次第でございまして、これは検討中であるという段階をまだ続けている、こういう次第でございます。  予算についてはこれはまだ決定いたしておりません。ただ防衛庁当局としての、この程度というものはまあ概算に計上したわけでございます。その概算要求が果して予算化されるかどうかという問題は今後の問題でございまして、その上で十分なる御審議を願いたいと思いますが、要求としては大体技術研究所の予算を倍額以上、二十一億見当に増加するという案でございまして、これは非常に事態の必要はわかっております。わかっておりまするがこれは全体として非常に大きい金額とは思いませんが、何分にも技術者は科学に練達した人を要する、ただ非常な人数が要る、また設備を増加するといっただけではなかなか実効が上らぬものでありまして、急速を必要とするけれどやはり堅実に間違いなくやらなくちゃならぬという点も十分考慮して、そういった要求をしている、こういう次第でございます。
  51. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 将来五ヵ年の間にどのくらいお使いになる、何か概算が立っておいでになりますか。
  52. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) この問題は五カ年計画というのを持っております。またそれがどのくらいな程度、金額にまとまるかということは十分な検討をいたしておりません。しかしそういったような順序段階を経て、一年度にはこれだけのことをし、大体継続的なことが多いものでございますから、そういったような、この部面の技術研究については、いわゆる五カ年計画というものを担当者としては提出する、これは必要なことだと私は思っておる次第でございます。
  53. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 アメリカ人工衛星についてソ連におくれをとったその一つの大きな原因として、陸海空三軍の協調がうまくいかなかった。こういったようなことが新聞で伝えられておるのですが、誘導弾研究防衛技術研究所でおやりになるそうですが、その中にいずれ陸海空三軍の分野があるはずですが、その調整は十分うまくいくようなことはむろんおやりになっておると思いますが、その点いかがでございましょうか。
  54. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) その点は、今の陸海空の所要に応じて、その方面の予算を全部技術研究所につけかえると申しますか、そうして統一してやるということにいたしております。なお来年度もし予算が御承認得るということであれば、自然技術研究所の機構を改正して、なるべく同じ種類のものは一ところで研究して、何というか、統一をしてその間の摩擦をなくするといったような意味機構を改正したい、これは来年度の計画でございます。従って仰せのごときような事態は、われわれ決して懸念をもってないというのが実情でございます。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次にF86Fジェット戦闘機の問題について伺いますが、これは何か設計上の欠陥があって修繕を要する。こういうことが新聞に報じられておるのですが、そのポイントを簡単でけっこうでごさいますが伺いたいと思います。
  56. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これはF86のタンクの何といいますか締め方に、ちょっと新しいものについて起った事実があるのでございます。技術的のことでございますからもしお許しを得れば担当の局長から、これは御説明申し上げた方がいいと思いますが、そういった事実でございます。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 時間がありませんから詳しいことは伺わなくてもいいのですが、その修繕費は幾らかかるのですか、F86Fの機数と、それと今お話になった欠陥を直すのに全体として幾らかかる、どこでそれを直すかというような点を簡単に伺いたい。
  58. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) その点は担当の局長からお答えした方が適当だろうと思いますからどうぞお許し願います。
  59. 小山雄二

    説明員小山雄二君) お答え申し上げます。  今、長官がお答え申し上げましたように、タンクを締めるボルトの加減で故障が起りまして、今まで故障を発見しまして直します機数は全部で三十七機ございます。その中で修繕のし工合が二つございまして、昔の設計のものは、中に差し込みをいたしまして締めつけるという簡単な修理であります。それから今後、今製造しかかっておるものは、もうちょっとその外形を変えまして、間があかないようにいたしまして締めつけるような修理をいたします。修理に二色ございますが、両方合せまして金額は約二千四百万円ばかりの修理費用でございます。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 全体として二百四十万円でございますか。
  61. 小山雄二

    説明員小山雄二君) さようでございます。
  62. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 F86Fは非常に時代おくれの戦闘機だということを伺うのですが、現在できておるのと、将来できるというのと、契約済みのものが大体何機ぐらいですか。
  63. 小山雄二

    説明員小山雄二君) F86FはMDAPによりまして米国から百八十機参ります。それは全部入手いたしております。それから日米の協定によりまして共同生産をやりますものが全部で三百機の計画でございます。そのうち百八十機はすでに契約済みでございます。第三次契約として百二十機を本年度中に契約するということになっております。本年度の予算にその一部の前渡金の予算と国庫債務の契約を御承認願っておりまして、本年度中に契約するということになっております。
  64. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 新しい戦闘機ではF104とかF100とかが検討されているそうですが、そういう新しい戦闘機が問題になっているのに、時代おくれの古いものの契約は解除でまきせんか。あるいは解除するについて損害をたとえば幾ら払えば解除できるとか、こういう点があると思うのですが、その点いかがですか。
  65. 小山雄二

    説明員小山雄二君) 新しい戦闘機をどうするかということにつきましては、いろいろ各方面から慎重の考慮を払っておる段階でございますが、F86Fは今申し上げましたように、第三次分として百二十機の契約は残っておりますから、これは日米の協定によりまして生産しつつあるものでございますし、防衛上の所要から申し上げましても、まだ戦闘部隊は、今二つの戦闘部隊しかできていないというような状況でございまして、まだ機数は全部生産を果しましても戦闘部隊の所要には足りないという状況でございます。かたがた米側の共同生産でございまして、主要な、国産できないような部品は向うの金で向うが発注いたしましてこっちに持って参りまして、それからこっちの国産したものと、こっちのレーダーを加えましてでき上る関係にございますので、その向う側の発注がもう済んでおる段階でございまして、向う側の協定上の関係から申しましても、今それをやめるということはなかなかむずかしいのではないかと思います。
  66. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 長官に伺いたいのですが、F86Fがおくれているから、戦闘機をF104にするか、今慎重に御検討になっておることを新聞で拝見するのですが、そういう新戦闘機を検討しておる時期に、おくれているものをなお百二十機、金額にして幾らになるか存じませんが、追加注文をせずに切りかえるということが、損害を払えばできると思うが、そういうお考えはありませんか。
  67. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ごもっともな御見解と思いますが、この飛行機の新機種製造のごときは準備期間が相当要るわけでございます。切りかえたらその次の年度からこういった新しいものができるかというとできないわけでございます。そこで新機種の選定という問題は、かりに今きめましてもその生産は三年後といったようなことになるわけでございます。その期間にこの日本の操縦訓練、これはジェット機でございますが、それは非常に困難なものでございまして、非常に時間、年数を要するものでございまして、それに必要な補給という問題が一方にあって、あとのものが何年後にできるかということでありますれば、これは非常に大きな支障が起るということでございます。そこでかりにそれを中止いたしますとする場合に、それに所要の経費というものが、そのままには済まされないような事態になる、という財政上の負担も考慮しなければならぬというような、いろいろな問題がここにからまってくるわけです。現実にこの機は、新しい兵器とは性能の劣る部分もございましょうが、今後これを利用しないような不用な飛行機であるというもし見解があれば、それは実際的のことではなくて、米においてもこういうものはまだ必要のものと見、その他の国においてもあるいはそうでございましょう。いわんやそれにまさる新機種を持っていない国においては、現在のF86Fというむのは必要なる飛行機であるということも言えるわけでございまして、これはどうしても予定の生産によって、その間の操縦士の養成、整備員の養成、その他に、将来新機種ができた場合に、直ちにそれに移りかわるということで、その間に空白を置かぬようにする必要がある。こういう諸般の事情を考慮して、この問題はその当否を決定しなければならぬ。こういう問題でございます。
  68. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 このF86Fとパイロットのアンバランスということがしばしば問題になっておりますが、どの程度のアンバランスになっておりますか、簡単にお答えをお願いいたします。
  69. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 三十三年度末に至ってはパイロットは、今の計画で固く踏んで大体二百七人これに塔乗する。それから訓練をいたします学生は八十人でございます。そこでこれは一人あたり一機ということでは訓練その他ができないわけであります。整備期間中もございます。大体パイロット一人について機数は一・六くらいを必要とするものでございます。それから訓練中のものは大体一人について二・〇六機の所要機数を見なければ完全に訓練できぬということになっております。それらによって見ますれば来年度二百八十七機を必要とする。それに対して保有機数は、生産を今の通りやっていきますれば、特にアメリカの百八十機でございましたか、それが非常に早くこちらに供与されたというような関係もあるのですが、三百七十七機に保有機数はなる。そこで剰余と申しますか五十機くらいあると思います。これは三十四年度においては大体バランスするところへいき、三十五年度においてはこの機数では学生訓練並びに搭乗人員の増加に伴って、これは飛行機自体の不足を示すのじゃないかというのが、われわれ専門家、担当者が精密に出した計数でございます。従って来年度末には五十機くらいは余裕があるという状態になるだろうと思います。
  70. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今年の末でパイロットの養成がおくれているために遊んでいる戦闘機が何機ありますか、今年三十二年の暦年度で。
  71. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今のような方式で計算したる所要機数と保有機数の差額は、大体年度末においては六十五機くらいとみておるわけであります。来年度は先ほど申し上げたように、新しい生産を加えて、しかも学生並びにパイロットの増加というものから判断して五十機くらい漸減と、こういうわけでございます。
  72. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 パイロットの養成の方へ力を入れて多分おくれるであろうF86、年度末でも六十五機余りつまりまあ遊んでいることになるのですから、それを少しお延ばしになったらどうかと私は思うのです。これ以上時間をとることはどうかと思いますので、御研究をいただきたい。こういう希望だけを申し上げておきます。
  73. 藤田進

    委員長藤田進君) 開会に先だちまして委員長、理事打合会を開会し、諸般の懇談をいたしました結果、本日かように防衛問題を議題として調査を進めることになりましたが、岸総理大臣の出席をかねて要求をいたしておりましたが、本日のところ他の委員会等の折り合い上、出席いたしかねるとの連絡がございました。これに基いて相談をいたしましたところ、なるべく早い機会に総理の出席をぜひ求めるということに委員長、理事打合会は決定をみました。さらに明日は委員会を開き現在政府提出にかかっている、給与並びに放射線医学研究所設置等の提案理由の説明を聞く、こういうことにいたしておりますので、総理出席等につきましても皆様の御協力を得なければなりませんが、以上の、委員長、理事打合会の結果を御了承いただきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会      —————・—————