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山田節男君 この
人事問題についてでありますが、
郵政大臣がもうすでに高級
人事を決定されて、とやかく言う、そういうつもりで私は申し上げるのじゃない。今まで私過去十年間、少くとも
大臣が、政府の高級
人事の決定について批判したことは私は一度もありません。そういうことを申し上げるのじゃないのですが、ここで
大臣が御報告になったように、今回の国際
郵便連合会議ですか、これは非常に重要な
会議だった。私は、過去松井君が何度も
会議に出られて非常にポピュラーになっておるということは、これは私仄聞しておりました。ところが、今回こうしてみると常任
理事のみならず副
議長の席を得たということは、これは一面においては
日本が国連安保
理事会の非
常任理事国になったという、私はそういうこともあると思いますが、これは
日本としては非常に大きな成功だったと思うのです。私も過日ロンドンの列国議会同盟に出まして、評議員として私は
出席しましたが、少くともこの
会議というものは一種の特殊なものです。私は戦前国際的なジュネーブの国際労働
機関にしばらくおりましたから特に痛感したのですが、どうも
日本は、政府あるいは
民間にしても
国際会議の代表を常にかえるということなんです。現に私ロンドンに初めて
日本代表として行ってみますると、
日本の議会同盟の代表は毎年顔がかわる。一昨年フィンランドのヘルシンキの
会議では、こんなに顔をかえてもらったのでは
意味をなさないからもう来てもらわなくてもいい、こう言われたわけですが、ことし行ってみると、全部顔がかわっている。そこで、執行部あるいは評議員の選挙にしましても、
日本は継続性がないために非常な不利をしている。今度行きました衆参両院の代表は、これじゃいけない、過去七年間毎年会費は三百三十万円、それから十名の議員と二名の事務員がいる。千五、六百万かかる。これではいかぬから列国
会議に対する
国会の態度を変えなければいかぬということに今はなっておるわけです。そこで、私はこうして今りっぱな、
大臣がさっきおっしゃったような、省内の
人事刷新という
意味でおやりになって、りっぱな
局長、後任を得られたということはこれは私も全くいいことだと思う。ただ
国際会議に関しては、せっかく今回こうして副
議長になったということ、これはいわゆる国際的な面から見ますると、ただ単に
日本の国威が上ったというだけでなくて、松井君のああいう人柄が国際的に評判がよかった、こういうことが私は原因だと思います。それを裏書きするかのように、私は先月の八日に帰って参りましてその数日後でありましたが、ある
会議に出てある代表に会ったときに、今度は
日本が副
議長になったということは、これは
日本としては非常な大成功です、こういう話だった。ところが、それがぽつんと松井
郵務局長がやめさせられた、退官したということが彼らにはわからないというのですね、私に。どうしてこういうことをするのだろうか、せっかくわれわれは多大な
日本に対する
期待を持って副
議長にしたにもかかわらず、ほっぺたをなぐるがごとき、こういう仕打ちは、国際的の反響をどう思うのだ、これはまことにどうも私としては残念だということを訴えられたといういきさつがあるのです。私は事
人事ですから、
大臣に対していいとか悪いとか、そんなことを立法者の立場として言うべきでない。しかし、私は今各省、あるいは
国会もそうですけれども、どうも
国際会議に対する
日本の認識というものが足りないんじゃないか、非常に足りないと思うのです。私はもうすでにこうして
人事の発令をされてりっぱな後任
局長もきまったのですから、これをどうのこうの言うつもりはありませんが、今後
郵政省管内において、たとえば
郵務あるいは
電波監理局というものが常に
国際会議をやる。たとえば
電波監理
局長に関する問題にしましても、これはここに新谷
委員もおられるけれども、今から五年ほど前にブエノスアイレスでもって四年に一回の列国大会があった。そのときに、アジアとして
日本は必ず
理事国にしなくてはいかぬ。橋本登美三郎君が衆議院の
電気通信委員長をしておられて私は急遽衆議院と参議院の
電気通信合同
委員会を開いてだれか一人向うへ応援に行ってやろうじゃないか。ところが、佐藤榮作君が
郵政大臣をしておるときで、ちょうど議会の解散の直前であったため、やむなく衆参両院の
電気通信委員長の名前でもって激励の電報を打ち、また各国の主要な代表者に電報を打ったのでありますが、しかし、それにしてもとうとう
理事になれなかった。これは私は今回の
大臣の
人事がいいの悪いのということは申しません。が、あなたの所管しておられる
事業には国際的な
会議に
関係が非常に多いのですから、これは今回の
人事の中で最も遺憾とする点はその点だと思う。これは一松井がどうのこうのという問題ではなくて、海外に向って、こういうことで一体
日本を信用していいのかどうか、これは私は一外国代表の言う
通りの印象を他の国に及ぼしているだろうと思います。ですから、これは私は、今回そういう面を考慮されなかったということは片手落ちじゃないか、かように信じます。ですから、これは今度板野君が
郵務局長になられて、なかなか有能の士であるが、
国際会議に出ますと、これは一面ぽっと行きましたら、第一顔を知っていないということがこれは非常な不利なんです。ですから、これは私は少くとも今度の新しい
郵務局長が一年、二年、三年くらいまで毎年行かれて、その間はだれか随員として行っている人もあるだろうと思いますが、少くとも
局長が、政府代表として行くのですから、それはもちろん
局長が行かなくてはなりませんが、その場合におきましては、松井君をやはり
一つのコングレス・マンとして、これは属託でもいいと思うのです。顧問でもいいと思います。たといNHKへ参りましても、少くとも次の
会議くらいまでは、これは
日本の代表の顧問というくらいにして格好をつけて行かぬと、これは
国際会議における
日本に対する信用というものが莫大なる損をすると思うのです。ですから今おやりになった
人事は、これもお考えになった結果でごもっともな点があるということはよくわかります。ただ少くとも
国際会議においてそういう結果を生ずるということは、これは非常にもうわれわれ
日本として損だ。のみならず、これはここに浜田君がおられるけれども、
電波監理
局長も
国際会議にたびたび出られるわけだ。これは浜田君が行かれる。これはどうしたって人間ですから病気であるとか、あるいは死亡ということはありますけれども、そうでない限りにおいては
会議に対して
人事というものをそうたびたびかえない。これは国策上非常に必要であるということを今度のロンドンの
会議で痛感したものですから、この
人事発令後におきまして、そういう
意味において何かの、少くとも
日本に与えられた
一つの名誉と成果というものを、これは列国が変に思わないように
一つ考慮されるように特にお願い申し上げます。
それからもう
一つは、国際電電に重役を送り込んだ。これも私はあえて
大臣の決定に反対いたしません。ただしかし、この問題につきましては、この
委員会はもう過去四年間例の国際電電の株の問題で、村上君がちょうど
大臣をしておられたときに、
郵政省の
大臣が会長をしておる
郵政弘済会が株を三億七千万円ですか、これは国際電電の大蔵省が保管しておった全部の約二割で、これを村上
郵政大臣が会長をしておられる弘済会でもって約四億円の株を買った。しかも、五百円払い込みというものを六百何十円かという価格で買った。現に防衛庁長官をしておられる津島議員は、ここでもって、一体これは財産の管理者として、金利からいえば六分じゃないか、七分以上回すのは幾らでもあるじゃないか、なぜこういうことをしたのだということで、いろいろ責めたのでありますが、要は、電電
公社あるいは
郵政省が株を——
郵政自体ではありませんが、外郭団体で株を持つことはいけないというのが本
委員会の絶対多数の
意見だったのであります。政府が、佐藤榮作君が
郵政大臣のときに、自主的に能率を上げさせるのだというので、むりやりに株式会社にした、そうしてそういう株の譲渡ということを機会に、四億近い株を弘済会が買った。それに対して本
委員会としては、ぜひこの株を
処分しろということを津島議員から村上
郵政大臣に申し入れがあったのです。これはなるべく早く、すぐに
処分いたしますということで、そういう不審なことに思われちゃいかぬから最高六百四十何円で買った株が、今日は五百円払い込みでもって四百六十七円だということを私は聞いておる。これは非常に損を来たしておる。そういうような
関係であるにかかわらず、今度
大臣がかわり、
田中郵政大臣としては、八藤君を送られるということは、少くとも本
委員会における過去の
歴史から見ますと、非常にどうも本
委員会の意思を無視しておるということになるわけなんです。
それからもう
一つ、私、ワシントンで、これは向うの政府ですが、
田中郵政大臣が国際電信
電話料金をさらに一割値下げするということを明言している。もし今回
大臣がそういうことをすれば、これは
日本の輸出
貿易のダンピングであると、こういうことを警告されました。これは私まだ
大臣に報告しなかったのですが、先ほどからの
委員との応答を聞いてみると、一割値下げをするものならしてみろ——どうももやもやしているので、
郵政省から一人送れば非常にすっきりするじゃないかということをおっしゃったが、そういうことをわれわれから意地悪く解釈すれば、一割の値下げはもうやらぬぞ、しかし、人間を送るというような何か取引でもあったんじゃないかというようなニュアンスをこの応答間で聞くというようなことは、非常に公明な
人事を主眼としておられる
田中大臣としてそこに
一つの明朗さがないのじゃないかという、これは私のひがみかも存じませんが、そういう感じを与えたということは、先ほど来二、三の
委員が言われたように、やはりほんとうに高級
人事は政治的とか何とかいうことは厳に慎しむべきことだということはこれは申すまでもないと思う。この二点についてこれは私はあえて質問の形式で申し上げてもよろしゅうございますが、第一の今の質問は、ぜひ
一つ形を変えた
意味においてもう一年くらいをやって、それから現在の
郵政局長にやらせるということにいたしませんと、席と名前というものは不即不離でありますが、
国際会議には人というものが中心である。どうぞ
一つその点を十分お考え願いたい。