○
政府委員(
小林與三次君)
明年度の
地方財政計画を中心にいたしまして御
報告申し上げたいと思います。これにつきましては、まだ具体的な、計数的な資料がまとまっておりませんが、大体
明年度予算編成に関連する
地方行財政全般につきましての
自治庁の
考え方を、お配りいたしました資料によって簡単に御説明申し上げたいと思います。
「
昭和三十二
年度に引き続き、
地方行財政の
合理化を推進し、公債費問題の
根本的解決をはかるとともに、
必要行政水準を確保し、もって
地方自治の振興をはかるため、
昭和三十三
年度において次の措置を講ずるものとする。」
それで、
基本方針といたしまして、
「1、新
市町村建設の促進を中心とする
地方行財政運営の
効率化の推進と、
府県制度の
根本的改革の準備。
2、公債費問題の解決、
必要行政水準の
確保等による
健全地方財政基盤の確立。」
具体的な措置といたしまして、Iは、
行政制度及びその
運営につきましては、1、
現行府県制度の
根本的改革案の立案に着手する。」これはなかなかいろいろ問題がございます。
2は、「新
市町村の
建設を強力に促進する。」
「3、
小中学校等の
合理的統合等各種施設の統合を促進し、その
内容の
充実をはかる。」
次に、
税財政制度及びその
運営の問題でございまして、1として、「
国有提供施設等所在市町村助成交付金を増額する。」御承知の
通り、本
年度五億、
明年度は十億、こういう前提で、われわれは
約束通り十億の増額を要求いたしておるのでございます。もっともこれに対しましては、まだ最終的にもちろんこれはきまっておりませんが、
引き上げ等が行われるので情勢が変ったじゃないか、こういうふうな言い方を
大蔵省の当局がいたしております。しかし、もともと小さい金額でございますし、
引き上げもまだ具体化しておるものでもなし、かりに
引き上げを行なったって、そのあとの始末で
むしろ金も要るのでございまして、
自治庁といたしましては、当然
既定経費を必要として、この
経費を見てもらわなくちゃならぬと
考えております。
2は、「
地方交付税の税率を二七・五%とする。」これは、もちろんきまった既定の方針として、
自治庁におきましてもこの実現をはかりたいと
考えております。
「3、
地方団体が国の
直轄工事に対する
分担金を納付するために
発行する
交付交債は、これを無利子とする。」この件も、ただいま
加瀬委員からも御
報告がありましたし、当
委員会の御決議もあるのでございまして、ぜひ
明年度実現いたしたい。この問題と
交付税の
税率引き上げの問題によって、いわゆる公債費問題というものについての解決に
一つのめどをつけよう、こういう
考えでおります。しかし、まあこれにつきまして、今も事務的にある程度話し合いをしておりますけれども、なお
大蔵省といたしましては、強い反対の言い分も持っておるのが実情でございます。
4は、「
一般財源に振りかえることを適当とする
一般会計の
地方債はできるだけ縮減し、
地方債の許可は
地方団体の
償還能力を考慮して行う方針をさらに徹底するとともに、
義務教育施設、上
下水道、地下鉄、
港湾整備等特に緊急に整備することを必要とする
基礎的公共施設の
建設事業に対する
地方債を
充実する。」
地方債の問題は、別に資料をお配りしてございますので、それによって御説明申し上げたいと思います。
それから5は、「
公営企業金融公庫の基礎を確立し、その
内容の
充実をはかる。これがため、次の措置を講ずる。
政府出資金を増額する。
旧
指定地方債の
引き受けを行う。
既発行の
公募公営住宅建設事業債その他特に高利の
公募債の低利借りかえに応ずる。」
大体
公営企業金融公庫につきましては、発足以来順調な
運営を続けておるのでございますが、何分にも本
年度は
出資金が五億、それから
公募債の
発行額が七十億、こういう状況でございまして、とても十分な
地方団体の要求に応ずることは、これはできないのでございます。それで、
明年度におきましては、ぜひ
出資金を増額いたしたいと思いまして、
自治庁といたしましては二十億要求いたしております。
それから、われわれの
考え方といたしましては、
公募債の
発行の利率でそのまま
地方団体に貸したい。つまり
公庫がそこで
コストを、よけいな金利のさやを取るということをやめまして、
公募債のままでそのまま
地方団体に貸して、
公庫としては最も理想的な
運営をやる、右から左、こういう体制をぜひ確立いたしたいというのがわれわれの念願でございまして、それがためには、どうしても
出資金を二十億余必要とするのでございます。これは、ぜひ御協力を得て、できるだけ増額いたしたい。特に今のところ五億じゃ、とてもそれは健全な
運営もできませんのが実情でございます。
それから、
公庫の機能をもう少し拡充いたしたいのでございまして、現在は非常な弱小な
団体と申しますか、自力で
公募債の
発行が困難な
団体を中心に
考えておりまして、
五大市等の
有力団体の
引き受けはやっておりません。しかしながら、実際問題を見ますというと、
五大市五大
府県等におきましても、
公募債の消化には苦労いたしております。そして利率も相当高いようでございますので、できたら
明年度以降は、全部の
公募債を
引き受けるという体制にいたしたい。それからさらに、過去の借りかえの問題でございまして、これも当
委員会で御決議のありましたところですが、過去の高い利率の借りかえをぜひ行いたい。
それがためには、当然
公募債の
発行限度額を
引き上げなくちゃならぬのでございまして、
発行限度額五十億じゃとても役に立たない。少くとも二百億以上にしなけりゃ動きがつかないのでございます。
発行限度額を
引き上げまして、この
既発行の特に高利のような
公募債並びに、特にここに書いてありますのは、
公営住宅の
建設事業債でございまして、これはそのまま
コスト、家賃にも影響をいたします。
地方団体の
財政にも影響いたしますので、
公営住宅の家賃問題、いろいろ問題もあります際でもございますので、これだけはぜひここで
引き受けることにしたらどうだ、こういう
考えで事ここに掲げております。なおできましたら、一時融資の道も開きたい。これらは、
公募債のワクの問題とともに、
法律改正の問題もございます。この方向でぜひ
大蔵省と話を進めたい。これにつきましても、そう簡単に話はつかないとは思いますけれども、
せひ公庫の機能を
充実したい、こういう
考えでおります。
それから6は、「
地方公営事業に対する指導を強化し、その
効率的通常と
サービスの向上をはかる。」
公営事業につきましては、必要な
財政資金をできるだけ充足することを
考えるとともに、一面におきまして、
公営事業の
経営管理というものの
合理化と
能率化をはかる必要があるのでございまして、
一般会計につきましては、ずいぶん
健全化の道も歩まれておりますけれども、どうもこの
儲け仕事の方になりますというと、多少経営におきまして検討すべきものがあるのじゃないか。どうしても経営を
合理化いたしまして、
効率的運営をはかるとともに、
サービスの向上もはかるように
指導体制を強化いたしたい、こういう
考えを持っておるのでございます。必要ならば、
自治庁といたしましても、
公営事業専門の
部局課の設けるものは設けて、そうして指導をもう少し徹底をしたいという
考えを持って、いろいろ
研究準備を進めております。
それから7は、「
地方一般財源の
充実により、
PTA負担金、
消防施設関係寄付金等、
住民に不当に転嫁された
寄付金、
負担金等の解消をはかる。」これは、当然
市町村府県で公費でもって
負担すべきものが、従来
財政上不如意でありましたせいもありまして、いろんな形で
住民に不当に転嫁されているものが少くないのでございます。それで、
一般財源が
充実しましたような際には、むしろこの点をすみやかに解消いたしまして、
負担区分をはっきりさせ、公費で出すべきものは出す、
住民に転嫁すべからざるものはむしろ押える、こういう
考え方で問題を
考えたいのでございまして、来
年度は、
財政計画上ぜひこの点を取り上げて、問題の筋をはっきりさせたい、こういうふうに存じております。
8は、「
市町村費負担義務教育職員の
都道府県費振替等、国、
都道府県及び
市町村相互間における
経費の
負担区分を
適正化する。」
負担区分の問題は、
公共団体と
住民との間をはっきりさせるとともに、
公共団体相互及び国と
公共団体との間の
負担区分も当然是正すべきであります。国と
地方の
負担区分の問題につきましては、だんだんに改善されてきておりますが、特に
府県と
市町村の問題につきましては、なお問題が残っております。たとえば、ここに書いてありますのは、
義務教育職員が当然
県費負担であるべきにかかわらず、
市町村が背負い込んでおる事例が
全国に
相当数に上っております。これは、教員の身分のためにもよろしくない。
人事管理上不適当であるだけでなしに、
負担区分の点からも適切でない。こういうものを、
せひ筋に乗せて、問題を合理的に動くようにしたい。こういうふうに
考えております。
9は、「道路、橋梁、
教育施設、
都市環境衛生施設等引き続き
投資的経費の
充実を中心として
地方財政計画の
経費構造を
合理化する。」これは、従来
財政計画上非常に不十分であって、混同されておりまして、必要な
行政水準の
維持確保さえできなかったもののうち特に著しいものを、せひ緊急なものから
充実いたしたい。その
一つは、道路、橋梁の問題が
一つ。それから
教育施設の問題でございまして、これは、御案内の
通り、いまだに不
正常授業、二部授業が行われております。それから、
老朽校舎の問題もある。もう
一つは、
都市の
環境衛生施設でございまして、今も
加瀬委員からも御
報告がございましたが、
下水道とか清掃、
屎尿処理等、
都市の
衛生施設はすみやかに整備しなかったら、動きがつかない時期が目睫に迫っておるといってもいいだろうと思うのであります。特に
化学肥料がだんだん普及発達するにつれまして、
採尿処理の問題というものは、まことに捨ておきがたい問題でございまして、そういう
問題等緊急な
経費につきまして、
せひ財政計画上の
経費内容を
合理化いたしたいと
考えておるのであります。
10は、「次により、
国庫補助負担金制度の
合理化を推進する。
(イ)
敷地買収費、
公共事業の
事務費、
国庫補助負担職員費等について、
補助対象及び
補助負担単価の
適正化を図る。
(ロ) 細分化された
国庫補助負担金の統合を行い、その
効率的運用を図る。
(ハ)
零細低率補助金は、これを大幅に整理統合し、
一般財源に振替える。」
これは、今まで始終問題になっておるのでありまして、だいぶん改善されてきております。しかし、残っておる問題につきまして、なおこの方向を進めて参りたい、こういうふうに存じております。
11は、「二部授業の解消、
教材費国庫負担の
充実、
教員配置の
適正化等により、
義務教育水準を確保し、
父兄負担の軽減を図る。」
義務教育の
推進維持と
父兄負担の軽減の
問題等につきましては、
一つは、二部授業の
解消等の校舎の整備の問題、いま
一つは
教材費、これは、
PTA等を通じまして父兄に転嫁されておる
教材費等につきまして、
国庫負担制度を確立し、
地方も必要な財源を整備する、そういう問題、いま
一つは、
教員配置を
適正化して、いわゆる
標準定数とでも申しますか、適正な
教員数の基準をできたらきめて、これをめぐるつまらない争いの種をなくして、合理的な
教育運営をやることをぜひ
考えたい。これらの問題につきましては、
文部省でもいろいろ御検討中でございますが、
自治庁でも、
地方行財政をあずかっておる立場から、ぜひこの問題を強力に進めて参りたいと思うのであります。
12は、「
国民健康保険に係る
国庫負担金を増額し、その
運営を
合理化することにより、
国民健康保険会計の
健全性の基礎を確立し、国民皆保険の実施を推進する。」国民皆保険の実施は、ぜひ推進いたしたいのでございますが、一面、
国保会計は非常な
財政上の窮乏に陥っておるのでございまして、この問題を合理的に調整する必要があるのでございます。これにつきましては、別途
自治庁で
全国の調査をいたしまして、きょう間に合いませんでしたが、この次の
委員会に
報告書を差し上げますから、それによって
問題点と
自治庁の
考え方を御
報告申し上げたいと思います。
13は、「
災害復旧事業に係る
国庫負担金の
早期交付、
地方債の枠の
拡大等により、未
復旧過
年災害復旧事業を一掃するとともに、
復旧事業の
早期完成を図る。」
災害復旧の問題として、これも今まで論じ尽されておる問題でございますが、ぜひ出すべき
国庫負担金を早期に交付する。
地方でそれがためにつなぎや何かでつまらない
財政上の混乱をさせないようにはかるとともに、一面におきまして、その性質上起債で始末すべきものにつきましては、必要な
起債財源を与える。こういうことによりまして、過去の未
復旧過
年災害復旧事業を一掃するとともに、
復旧事業の
早期完成をはかる道を確立したい、こういうふうに存じております。
それから、「その他」といたしまして、「1、個々の人又は法人に対して直接
地方団体が行う
地方団体の
利子補給又は
債務保証に関する
制度について根本的に再検討する。」これも、この
委員会で今まで議論になった問題ですが、最近
地方団体が個々の個人または法人に対して
利子補給または
債務保証を行うことを前提にして、いろいろな
制度が研究されておるのでございます。これは、
地方団体の
経費負担の面からいたしましても、公共的な
負担につきましては、あらゆる
負担を背負うのは当然でございますが、個々の個人についてまで個別的にこういうことをやるということは、どう
考えても適当でない。
制度の筋からいっても適当ではない。
地方団体の
財政の基礎を危うくする非常に大きなおそれがございまして、この
制度は、ぜひ今後
考えられる場合においてはやめたいし、個々の問題につきましても、問題のあるものは私は考慮をしてもらいたい。最近見ておると、みんな安直に
利子補給なり
債務保証のところへいって、あらゆる国の責任等をこちらの
地方団体に押しつけておる、こういう問題が非常に大きく目立ってきておるのでございます。現に火災共済に対する
地方団体の
債務保証の問題もその
一つでございまして、これにつきましては、私ども大筋の
考え方を確立して、それに基いてもろもろの諸立法、諸
制度をお
考えを願いたいと存ずるのでございます。
2は、「国家公務員に対する措置とあわせて、暫定手当の支給地区分を一
市町村同一級地とすることについて検討する。」暫定手当の問題は、ことしの国会で、修正で一応格好がついたことになっておりますけれども、
自治庁といたしましては、一
市町村同一級地問題につきましては、なお未解決の問題になっておるのでありまして、ぜひその実現をはかるように検討を進めたいと存じております。
「3、
地方税の非課税規定の整理について検討する。」これは、今まで論じ尽されておる問題でございます。今後なお、こういう問題は、機会あるごとにいろいろなところからいろいろな形で現われてくる、そういう問題につきましては、これも税
負担の公平、均衡という点から、ぜひ問題を大局的に御解決を願いたい問題だと心得ております。
それから「備考」は、「国家公務員について
期末手当等の増額が行われる場合においては、
地方公務員についても同様の措置を講ずるものとし、別途所要の財源措置を講ずるものとする。」これは、もう今じゃ問題の書き方がおそいのでございまして、もう国においては、すでに法律が提案になっておるはずだと思います。この期末手当の問題は、一枚刷りで所要額の資料をお配りしてございますから、それをちょっとごらん願いたいと思います。
昭和三十二
年度期末手当〇・一五分所要額、これは総額、
地方負担分が三十三億本
年度要ります。交付
団体が二十五億、不交付
団体が八億。これは、まるまるやったらこういう計算になります。この始末につきましては、御承知の
通り、国家公務員につきましても、本
年度は特別の予算措置を行わずに、既定の財源の節約等によって、
既定経費の中でさばきをつける、こういう仕組みになっておりますので、
地方公務員につきましても、国家公務員に準ずる措置をいたしたいと、こういうふうに
考えております。特別の予算措置はこの際講じない。しかしながら、当然国家公務員と同じ式で各
地方団体が行うことを期待するわけでございまして、
地方団体におきましても、それぞれ既定の財源の節約、その後の税の増収等を充ててもらいたいとともに、大ていのところは大体まかないがつくと
考えておりますけれども、もし事実上つかぬようなところがあれば、一時融資等の措置によって可能な道を講じたい。なお、当然財源措置は、そのうちに機会があればこれは是正すべきものでございまして、機会があったら、その後
財政計画の方の調整では当然
考えなくちゃならぬと
考えておるのでございます。大体〇・一五の問題は、そういうことでございます。
それから、それに関連いたしまして、
地方債の資料をお配りいたしましたので、これを簡単に御説明申し上げたいと思います。これは、
地方債の
自治庁の案でございまして、
大蔵省と具体的な折衝は、これからの問題でございますが、大体の
考え方は、先ほど申し上げました
通り、
一般会計につきましては、できるだけ縮減すべきものは縮減する。一般的財源に振りかえ得るものは、非募債の
考え方を徹底することを
考えたい。しかしながら、その
経費の種類によっては、
地方債によらざるを得ない
経費の性質上借金でやることの方が妥当だ、やむを得ないと認められるものにつきましては、私は、必要な起債額というものを確保する必要がある。その場合には、もちろん個々の
団体の
償還能力というものを個々の
団体別に
考えるべきことは当然でございますが、そういう
考え方で問題を
考えたいのでございます。
公営企業会計をできるだけ実情に合せてふやすということは当然のことでございますが、
一般会計につきましても、必要なものにつきましては必要な額を確保する。こういう
考え方で参りたいと思っております。
そこで、
一般会計のこの数字は、なお今後いろいろ変ってくると思いますが、大筋の
考え方を申し上げますというと、今までの起債でどうしても不十分だと認められるものは、災害関係に
一つあろうと
考えられます。災害につきましては、特に単災と申しますか、
府県市町村が補助がつかずに
負担しなくちゃならない災害の始末の起債について、従来十分じゃないのじゃないかということが
一つあり、それからもう
一つは、過年災につきまして、十分じゃないのではないかという問題が
一つあったのでございます。これはまあ、やむを得ぬものにつきましては、借金政策をとらざるを得ないので、その必要額というものを、せひ確保いたしたい。それからいま
一つは、火災の問題でございますが、火災の問題は、むしろ火事で焼けたような公共施設、学校とか庁舎等をまた木造で建てるということは、これはおかしいのでありまして、そういう場合には、むしろ不燃化というものをできるだけ
考えていくことが当りまえじゃないかと、そういう意味で、これは、何も火事が特別にふえたという意味じゃなしに、不燃化を促進するという
考え方で、起債のワクをふやしたいと
考えております。
それから、
義務教育の問題は、今の不
正常授業、二部授業
解消等の問題があり、
老朽校舎の問題があり、そういう問題を早く計画的にすみやかに解消したい。特に
義務教育につきましても、市街地等における学校につきましては、不燃化、恒久化というものを推進していくべきでございまして、いたずらに木造の学校を無理に建てる必要がない。むしろワクの範囲内において、順番がおそくなっても、恒久化をはかる。そして数をセーブする。私は、基本的にはこういう
考え方でこういう問題を今後
考えていくべきじゃないか。ともかくも、必要なものは必要なだけワクを取りたいと
考えております。
それから一般単独の
経費が相当ふえておりますが、この中心は、
下水道その他
屎尿処理、清掃施設という一連の環境衛生の施設でございます。これは、先ほどもお話がございましたが、どうしたってこの方面の施設を緊急に整備する必要があるという
考え方を持っておるのでございます。
それからなお、新
市町村合併等の跡始末の仕事も当然にあるのでございまして、これも早く一
通りの問題は
処理をいたしたいという
考えを持っております。こういうことで、ふやすものはある程度ふやします。それとともに、一般補助事業の中に
一般財源が相当増強されることは確実でありますので、そういうものはむしろ
一般財源に振りかえて、起債額を減らしたいと
考えております。特に私は、この姿は
府県において現われてくると思います。
府県の公共的な
建設事業というものは、ほとんど恒久的に続くのでございまして、大きなダムとかあるいは庁舎とかいうふうに、臨時的に出てくるような仕事は別として、恒常的に続くような
建設事業は、これはむしろ
一般財源に振りかえて将来の利子
負担を解除する。こういう
考えを貫くべきものだと
考えております。ただまあ、一般の
市町村では、それは何十年に一ぺんという仕事がぽつんとして出てくるわけでございますから、そういう仕事については、また起債を
考えざるを得ないという大体の
考え方でございまして、
一般会計の問題を
考えていきたい。
それから退職債は前
年度と同額、収益事業会計は相当ふやしてございます。これは簡易水道の問題が
一つと、それからもう
一つは、港湾の埋め立て等の問題があるのでございまして、ああいうものは、工場地帯の造成とか港湾地帯の整備の問題がある場合には、これはやっぱり経済スピードで仕事ができるようにある程度のワクを確保する必要がある、こういう
考えを持っておるのでございます。ちびちびと仕事を長くやるのは、まことに愚劣でございまして、そういう意味である程度のワクも
考えたい。公営企業につきましては、電気は大体軌道に乗っておりますが、電気につきましてもやる以上は経済スピードという
考え方で所要の財源を確保したい。上水道は、去年相当にふえましたが、なお問題が残っておりますので、所要量を確保したい。それから、交通が相当ふえております。これは地下鉄でございます。東京、名古屋、大阪の地下鉄がだんだん手をつけかかっておりますが、これは、
都市の交通の実況を
考えれば、地下鉄をすみやかに整備すべきことは、何人も異存がないことだと
考えます。これは、場合によっては外資を入れてもいい問題でございまして、そういう問題も、
考えられるものなら一面
考えるとともにこの程度の金でございますから、国内の金で当然これはさばきをつけてしかるべき問題でありますので、必要な額をここに計上いたしておるのでございます。病院は同額、病院は、いろいろ
地方にも要望がございますが、これは、一面もう
一つ厚生年金の方で特別のワクもございますので、厚生年金の性質上病院、厚生等の仕事は向うでやった方がいいのでございまして、ここは前
年度通りで大体見通しがついております。それから、市場その他の起債として三十億ふえております。これは、主として観光事業に対してワクを一応計上してあるのでございまして、本年国際観光施設五億円という問題がございましたが、国際、国内を問わず、観光に対する要望が
全国的に非常に強いので、収益事業としても十分成り立つ仕事ではあろうと思います。そこで、まあ一応そのワクを計上いたしまして、所要量を整備いたしたい。こういうふうに
考えておるのでございます。
大体以上で、来
年度の
財政局全般の数字的な見通しにつきましては、まだこまかい計算をしておりません。ただ
一つ、
交付税のこの率の配分をめぐりまして、
地方交付税がずいぶん行くし、税収がたくさんあるのだから、
地方は金が行き過ぎるんじゃないか、こういうふうな話が一部どっかから出るようなこともありますので、それを頭に入れまして、大体の大ざっぱな見当を申し上げたいと思います。それで、
交付税を一・五%
引き上げることになりますというと、大体本
年度の
交付税額から見ますというと、三百六十億ほどふえる計算になります。三十一
年度の純繰越金が百十八億あります。それから一・五%分が、まあ百二十億見当になりますか、あとは、一般の三税の増に伴う自然増収分が約百二十億前後であります。全体として三百六十億ぐらいになるのが事実でございます。これにつきまして、一部から、四百四、五十億ふえるのじゃないかという数字が出ておりますが、あれは、少し数字上誤解がございまして、去年から公債費対策として繰り越しました八十六億が計算に入ってない数字でございます。ともかく八十六億分はことし繰り越しまして、ことしの
交付税として使っておるのでございまして、それから、比較いたしますというと、一・五上げましても三百六十五億の増になる。これが正しい来
年度の
財政計画を
考える場合の数字でございます。その場合の前提は、国税を八千億、国税三税が、ことしより八百億自然増収がある。ことしは七千二百億でございますから、そういう前提でございます。この前提につきましては、
大蔵省も大体そういうことを認めておるはずだと存じております。大体それがありまして、そのほかに、
地方税が相当増収があるじやないか、
地方税の増収は、まだ正確なことはよく見当がつきませんが、それは三百億は確実にあるだろうとわれわれも
考えております。以上、これは多少伸びるかもしれませんが、これはどの程度のものか、まだ正確な数字がございません。大体そういたしますというと、六百五、六十億になるわけでございます。しかしこれは、要る金の方を計算しなければ意味がないのでございまして、それにつきましては、歳出面におきましては、給与費等の増が当然ございまして、これが約二百二十億、それから公債費が八十億ふえまして、これで三百億になるわけでございます。それから、人口の増加とか、その他法令の改正等に基く当然の増費といたしまして、四十億はどうしたってあろうと思います。それからそのほかに、ことしの期末手当が当然三十数億要るわけでございます。それは、だれが
考えたって、法律的に当然
負担しなくちやいかん。そのほかに、当然義務的
経費としてわれわれが
考えなくちゃいけないのは、道路、橋梁等の維持管理費でございます。
建設を少しも
考えなくても、道や橋がある限りは、ある程度人が通れるようにするのが当りまえでございまして、ごうした消耗的な維持管理の
経費というものは、理屈なしに
考えなければならない。これは、従来不足で問題になっておるのでございまして、われわれとしては、百六十億ぐらいは確保しなかったら、普通の道路として維持ができないと
考えております。それとともに、PTAとか消防等で、当然公費で
負担すべきものを
住民に転嫁しておる金額は、大体百三十億あまりと踏んでおります。これは、もう少し精査しなければいけません。そういたしますというと、こういう
経費は、特に
公共団体の仕事を伸ばすとか、
充実するとかいう問題ではないのでございまして、当然に現在の現状のままを維持すべき
経費でございます。こういう
経費が、今申し上げました数字で、大体六百五、六十億になるはずでございます。そのほかに、
公共事業その他、国の施策によりまして、たとえば国民皆保険をどう伸ばすか、道路を来年急速に整備するという問題がございまして、そういう国の施策が伸びれば、それに伴う
地方分担分がございまして、これははっきり見当がつきませんが、従来の例から見ますというと、毎年やはり六、七十億から百億前後の間伸びております。来
年度はどう国の
財政規模がきまりますか、それによってその間を、前後するものと
考えております。われわれといたしましては、そうした
経費だけでなしに、先ほどもお話がありました下水とか、
屎尿処理等の
環境衛生施設というものは、これは何も
一般財源だけじゃなしに、
起債財源が中心になろうと思いますが、当然緊急に整備すべきものは、整備しなければ、ほんとうに
都市がふん詰まりになる時期がもう眼の前に迫っている。この問題をぜひ緊急に
考えるべきじゃなかろうか、こういう
経費が百五十億余りそれから、危険校舎とか二部教授の
解消等の学校施設の整備の問題であるとか、それと、むしろ道路を積極的に改良舗装しなければいかぬ、今のような砂利道をそのまま維持するのでは意味ないのであります。どうしても積極的な整備が必要でございまして、これは、
建設部門でございますが、そういう
経費が二百億くらいあってしかるべきじゃなかろうかという
考えを持っているのでございます。この
経費は、これは
行政水準の
引き上げといえば
引き上げに当る分でございますが、当然近代的な社会生活を営んでいく場合におきましては、そういう程度のものは、当然に金のある限り
考えらるべき問題じゃないかというふうに
考えているのでございます。そこで、
一般財源もある程度伸びるかもしれません。
交付税も三百五、六十億に当然なると思いますけれども、なかなかそれで
交付税の
引き上げはやらぬなどという理屈は全然出てこぬだけじゃなしに、ある程度
地方債の財源も、必要なものは確保しなくちゃいかぬのじゃないかというのが大ざっぱな現在における見通しでございます。これは、なおだんだん数字が固まってゆくに従って、なお御
報告を申し上げたい、大体の見当はそういうところでございます。