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栗山良夫君 それから次に、第二としまして
輸入の問題で私は大きな
意味で
考えておりますことは、
日本の技術の自主性と申しますか、これは
大蔵大臣にぜひお聞きを願っておきたいと思いますが、技術の革新ということをどういう工合にお
考えになっておるか。最近の海外の技術は
日本は戦争のためにギャップができまして、十年間というものは百一本の産業界が世界の技術水準に追いつくために血みどろの努力をせられましたことにつきましては、私は敬意を表します。そうして私
どもも外国をずっと一回り回りまして、機会の許す限り各産業界の設備を見て参りましたが、
日本の産業界そのものはそんなに私は劣っていないという自信を深めて参りました。しかしながらその間にどういうことがあるかと申しますと、ただいま
日本は、これは一種の
輸入でありますが、外国技術のための使用料を年に一億ドルくらい払っておる。それから技術導入のための機械の
輸入が大体年に一億ドルくらいあります。合計三億ドルくらいあるわけであります。しかもこういうことが現在ストップの傾向を持っておりません。ますます外国の技術に飛びつき、外国の技術をそのまま金銭を対象として、なまで
輸入をしようという傾向が強まっております。これは
日本の産業界のために私は非常に大きな問題だと思います。そこで何とかして
日本の技術というものが世界的なレベルに
日本人の力で維持していけるような工合にしなきゃならない。これは
政府の大きな私は責任だと思います。そういうことを真剣にこのごろ
考えておる。それでたとえて申しますと、なぜ外国がそういうような新しい技術を次々と育てていくことができるかと申しますと、アメリカ等におきましては、大体売り上げの三%から五%くらいの研究費というものを出しておる。自分の工場の研究室にそれだけの金を投入して、何らか社会に貢献し得る新しい発明はないものかということで狂奔して下るわけです。その成果が次々この技術の革新となり、その技術革新のジュースを
日本がどんどん金を出して
輸入しておるというのが今日の現状であります。そこでちょっと試算をしてみますと、ただいま
日本では一番大きな会社である日立製作所——総合重工業といわれております日立製作所の売り上げは年に大体六百億円であります。そうすると三%として十八億円、五%とすれば三十億円です。それだけの金をアメリカは自分の工場でどんどん研究に使っておる。日立がそれだけ使っておるかといいますれば、おそらく私は実際調べておりませんが、使っていないと思います。十八億とか三十億という金は使っていない。日立すら使っていなければ、他の
日本の産業会社というのは小さいのでありますから、そういう小さな会社が自力で世界的なレベルに達するような技術の研究をするというような余地はないと思う。そこで何ととてもこれをやるためには基礎研究から、応用研究から、実用化まで一貫して世界的な新しい技術、また
国民生活の増進に非常に重要な技術、あるいは
輸出のためにはどうしてもやらなければならぬ技術、そういうものについては
相当な金をかけて、そうして国家が世界各国におくれをとらぬような研究部門というものを私は開く必要がある、こういう工合に
考えるわけです。これはなまやさしい金ではできないと思います。聞くところによりますというと、今度新技術開発機関法とかいうのを作って十億円金を出して毎年七千万円ずつ
補助金を出して、それでこの目的を果そうということでありますが、そんな小さな規模で、あれだけ膨大な金を使って研究しておる海外の技術を追い越すなんということはとうてい夢にも
考えられない。これは将来長い間にわたって、
日本の
輸入を抑制し、将来
日本の産業界にたくさんな労働市場を作っていく前提にもなるわけでありますが、そういうことを、これは金の方の責任者である
大蔵大臣なり、あるいは産業界の責任者である
通商産業大臣はお
考えになっておるかどうか、これを
一つ伺いたい。