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1957-11-09 第27回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月九日(土曜日)    午後一時二十二分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            小幡 治和君            大谷 贇雄君            古池 信三君            小滝  彬君            小西 英雄君            西川彌平治君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            松澤 兼人君            梶原 茂嘉君            河野 謙三君            大竹平八郎君   衆議院議員            首藤 新八君            春日 一幸君            小平 久雄君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   政府委員    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衞君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付)(第二十六回国会継続) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付第二十六回国会継  続) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出)(第二十  六回国会継続)     ―――――――――――――
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会開会いたします。  一昨日の午後から本日午前まで数回にわたり、委員長及び理事打合会を開き、本委員会運営につき協議いたしました。右の打合会におきましては、主として中小企業団体法案に関して社会党、緑風会、及び大竹委員から非公式に修正意見が述べられ、これらについていろいろ協議いたしましたが、団体法案等についての質疑はまだ残っているので、本日午後委員会を開くことを決定、その後の委員会運営については、後ほど協議することにして、ただいま開会の運びに至った次第であります。右御了承願います。  それではこれより議事に入ります。前回に引き続き中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 私は前回岸総理に対する質問がまだ不十分なので、本来総理出席を願って質疑を続行したいと思うのですが、総理には都合があるということで、やむなくというと失礼ですが、前尾通産大臣質疑を行いたいと思います。昨日も予算委員会においてこの中小企業団体組織法についての質疑は行われたと思うのですが、そのときに公共福祉とは何ぞや、こういう質疑が出て、それに対して通産大臣が御答弁なされておるわけですが、十月二十二日の岸総理強制加入の問題についての質疑について、阿部委員に対して、憲法において営業の自由が保障されていることは知っている、しかし、その自由も無制限なものでなく、公共福祉に反する場合には制限してよいのだ、少数員外者のために業界全体が危殆に瀕するようなときは加入を強制してもいい、こう言っているわけですね。私は公共福祉とは一体何であるかという点について、もう一点当委員会において通産大臣の明確なる一つ定義お願いしたいと思うのです。この法案全体に流れているものは非常に抽象的な語句が多いわけです。そのために運用いかんによっては憲法違反疑いがあるということを、公取の横田委員長も言っているわけだし、合憲違憲かという問題ではなくて、運用によって非常に危険の部面が多い。しかも、その運用にまかせられるところは、政令が多くて、しかもこの本文の内容自体について非常に抽象的な語句が多い。その抽象的な語句が多いのは至るところに見られますが、第九条においても、「取引の円滑な運用が阻害され、」とある。どの程度に阻害されるのか、さっぱりわからぬ。「その相当部分経営が著しく不安定となっており、」その相当部分とは一体何ぞや、まことに解釈によっては、いずれにもとれるような字句が多い。「又はなるおそれが直る場合に限り、」のなるおそれのある場合とは一体どういうことか、第九条の商工組合を設立する場合の理由の表現においても、非常に不明確な字句が多い。そうするというと、運用いかんでは、これはどっちにでもなるというふうに考えるのも無理でないと思う。そういうふうな点で、まず最初公共福祉というのは、一体どういうふうに大臣はお考えになっているか、一つ明確にお答えいただきたいと思います。
  4. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 公共福祉という抽象的な言葉でありますが、われわれの考えておりますのは、御承知のように加入命令が五十五条にも書いてありますが、中小企業者少数の人によって、相当部分と申しますのは、半数以上ということでありますが、そういう人の経営の安定が乱され、それがひいては国民経済の健全な発展に支障を生ずるということでありますので、この場合には、われわれは公共福祉ということに該当するものだと考えているわけであります。公共福祉という定義に十分当てはまる、かように考えているわけであります。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 どうもわかったような、わからないような御答弁ですが、今の御答弁を聞いているというと、一つ業界の中において半数以上がある少数業者営業方法、その他によって被害を受ける。そういうふうなときには、それができぬようにして、業界全体の利益をはかり、それがさらに国民経済の健全な発展を促すものであれば公共福祉だ、こういうことですが、具体的に事例を引いて、一つその点をこういう場合にはこうだと言ってもらえば、本員も納得します。たとえばこういう場合はこうだというふうに一つ御説明をいただきたいと思います。
  6. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 具体的に言えということですが、お説のように、すでに中小企業安定法で幾多のそういう事例を見ているわけであります。失業者が続出して社会不安を起すとか、あるいはダンピングによって輸出の混乱を起している。こういうような場合は、はっきりこれに該当するものと思います。現在の安定法運用におきまして、大体その実例というものはあるわけであります。もし、具体的に御必要であれば事務当局から説明いたさせます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 それでは中小企業庁長官の方に大臣の顔が向けられたようですが、今大臣答弁した順序がありますね、こういうふうな段階で、それが国民経済の発達に云々と、それで今輸出ダンピングの問題とあるわけですが、私個人考えとしては、輸出の面についてはそういう部面は相当あると思いますが、そういう部面じゃなくて、たとえばこの間の発言によるというと、梶原委員質問に対して総理環境衛生法に関するものも将来これに統一するように考慮する、こういうふうに言っているわけですね。だから環境衛生法の例をとって、たとえばふろ毒ならふろ量床屋なら床屋というものをこれを将来統一するというのなら、それを具体的にその事例をもって一つやってもらいたいと思うのです。どういうふうになるのか、将来一本にするということをはっきり言っているのだから。
  8. 川上為治

    政府委員川上為治君) たとえば食肉ならば食肉販売業者につきまして、との業者が非常にたくさんありまして、しかも、それが非常な競争をいたしまして、そのために倒産するものが万々に出てくる、それを放置いたしますというと、失業者もどんどん出てくる、ひいてはそれが国民経済という大きな面から見ましても非常なマイナスだというような、そういう場合におきましては、やはり該当する問題になってくるのではないかと思うのであります。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 それはふろ屋の場合にもそういう論ですか。
  10. 川上為治

    政府委員川上為治君) ふろ屋の事情につきましては、私ども十分存じておりませんが、これは別ないろいろ規定によりまして、たとえばその距離を制限するとかいうような問題もあるようでありますので、そうした方面である程度調整できるのではないかというふうに考えますが、しかしながら、ふろ屋というものが非常にやはりたくさんあって、そのために非常な競争をして、そしてなかなか方々で倒れたりするというようなものが出て参りますれば、やはりこういう事態に該当するのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 関連して。今川上長官からお話がありました。しかしこれは長甘口のお言葉とも考えられないのです。それは別に出しておられる小売商業特別措置法でありましたが、あの中で市場規制最初考えておられる。ところが、市場規制ということは憲法に抵触する疑いがありまして、それで市場許可制にはできなかった。届出制をとるようになった。しかし、市場業者は乱立して参りまして、あなたは、あるいは通産大臣もおっしゃるように、大へん困っておる実情がある。ですからして市場の設立については許可制にしてもらいたいということが非常に強い要望だったと思うのです。ところが、これは憲法に違反するという疑いがあるということで許可制をおとりにはならないで届出制をとられた。ところが、業者届出制ということは不満だ、あくまでもこれは許可制にして規制をしてもらいたいという強い要望がある。それでもしあなたのおっしゃったようなことがそうであるとするならば、憲法違反ということは成り立たないことになる。あれがもし憲法違反であって許可制を採用できないということであれば、今おっしゃった食肉業者であるとか、あるいはふろ屋ということも同一のケース、結論になってくるとこういうふうに思うのですが、その辺はいかがですか。
  12. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私どもの方としましては、この法案によりましては営業許可制というのはとっていないわけであります。先ほどお話がありました市場の問題につきましては、これは営業許可制にするか、あるいはほかの方法措置ができるかという問題をいろいろ検討しましたが、市場許可制というようなことになりますというと、やはり営業許可というようなことになりますので、言いかえれば新規開業についての許可というような問題になりますので、やはり憲法上いろいろ問題がありまして、そこで何か調査をする方法はないだろうかといろいろ考えました結果、登録制というのを採用いたしておるわけなんですが、その問題とこの問題とはやはり私どもの方の考えは一木であるわけでありまして、この法案によりましても、営業許可制ということを私どもとしましては考えておるわけではないのであります。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つ、この法律ではもちろん許可制ということはうたっていない。岡君が質問されたことは一体公共福祉ということはどういう問題であるかというところから、たまたま食肉の話が出た。たまたまふろ屋の話が出た。私からまた市場の問題を出した。その淵源するところはどこにあるかといえば、これが果して公共福祉であるかどうかというところであって、市場の場合は規制ができない。つまり許可制は採用できないということは、やはり憲法規定しておる公共福祉という、それに抵触するのではないかという心配があるから、届出制ということに現在はなっている。それと同じように一部の業者過当競争といいますか、それ自身が果して公共福祉という憲法規定に該当するかどうか、こういうことが問題になると思うのです。この点はいかがですか。
  14. 川上為治

    政府委員川上為治君) この法律案によりましては、この業界の大部分のものが、過当競争によって非常に不況な状態に陥っていて、しかもその倒産とかそういう問題が起きそうである、また現に起きつつあるというような場合におきまして、それを放ったらかしておきますというと、どんどんその倒産が起き、また同時に失業者も起きると、しかも、それがひいては全体の、たとえば一般消費者に対しても、あるいはまた、全体の経済に対しまして、その影響を及ぼす、あるいは悪い影響を及ぼすというような場合におきまして、初めて加入命令とか、あるいは調整命令とか、そういうものが出るわけでありますので、私どもとしましては、そういうような事態になりました場合は、やはり公共福祉のために、こういう措置をとることが妥当ではないかと、これは憲法違反ではないというふうに私ども考えておるわけであります。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 私は合憲違憲の論におきましては、戦車を特車といってやっておる時代に、この間の一橋の田上教授が言っておるように、疑いがあっても事例が具体的に出てこない場合においては、それは最高裁に違憲訴訟ができない。だから疑いがあっても、それは違憲とは言えないのです。合憲なんです。今の建前から言えば。われわれが政権を担当すれば、そのようなあいまいさは許さないと思いますけれども、今の段階は、すべてのものが何でもかんでも憲法違反であるという疑いがあるものについても合憲合憲で皆通してきている。だから今さらここで百万言を弄して合憲違憲論川上長官と言う意思は全然ありません。そういうことよりも、民主国会において民主憲法の厳然として存しておって結社の自由、営業の自由というものが明確にうたわれておる。そういう中で国会国民の負託にこたえて立法しようとする段階において、その危険があるという、行き過ぎたならば、違憲疑いが出てくると違憲のおそれがあるというようなことを、そういう疑いのあるものを国会がやるということは、これは差し控えるが、国会の本然の姿だと私は考えておる。そういう点は大臣はどう考えますか。
  16. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ほかに方法が、救済する道があればいいのでありますが、ただいまの中小企業安定法によりましても、結局において加入命令を現在のようなわれわれが提案しておるような制度がありませんために、あの安定法がうまく運用されておらないというのであります。そういう実際上必要性を痛感いたしておるのであります。憲法上の問題もさることながら、われわれは実際の必要という面からこの点を強くお願いをしておるわけであります。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 どうもこの公共福祉というものがぴんとこないのですが、もう一ぺん伺いますが、ほかに方法がなければ、強制加盟もまあやむを得ないと、こういう論なんですが、大臣も御存じのように、五十六条のアウトサイダー規制命令というものは相当きびしいものです。この五十六条によって、明確にアウトサイダーに対して規制命令ができる。三分の二の業者が団結して、あと員外におる者に対しては同様にこれは網をかぶせて同一行動をとらせることができると、こういうことになれば、規制命令というものは重要な内容を持ってくるのであって、アウトサイダー規制命令を出すときに、こういうふうにやれば業界というものがよくなるのだ、そういう内容を私はこの規制命令が持たなければならぬ、へにもならぬような規制命令を出して、業界が混乱し、危殆に瀕しているものを私は救済するわけに参らぬと思う。従って、当然商工組合が設立されて、その商工組合員が合議の末に、とにかくこういう規制命令を作ってもらいたいということの許可監督官庁に提出するということになれば、その規制命令によって業界のいろいろな業務の仕方についての規制ができるわけですが、それをアウトサイダーまでそれが同一歩調でやらなければならぬように、この第五十六条になっているわけです。その意味においては、この五十六条において業界規制というものは完璧に私はできると考える。従って公共福祉はこの五十六条によって私は守られる、守り得ると思うし、私は公共福祉とこの強制加盟というものは全然異なるものではないと思うけれども、しかし、私は五十六条で公共福祉業界立ち直りというものができなければ、こんな五十六条のアウトサイダー規制命令なんというものは意味がないと思う。従って、この強力なる五十六条を厳存して、そしてそれで業界立ち直りができるというのに、公共福祉の美名のもとに、結社の自由というものが明確にうたわれているものを、なぜその強制加盟という条項を固執しなければならぬのか、それを伺いたいと思うのです。
  18. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) アウトサイダー命令につきましては、すでに中小企業安-定法におきましても規定しておるのでありますが、それでは不十分で、やはり組合内部に入ってもらって、そうしてお互いに顔を見合せ協調を保ちながらやっていかなければ実効が上らぬ。従って現在安定法によりましてアウトサイダー命令を出しておるものも相当あるのでありますが、それらの方々意見はぜひこういう組合内部に入って規制に従ってもらいたい、こういう要望が実に強いのでありまして、また、われわれもその必要性を認めましてこの加入命令という制度を設けておる次第であります。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 どうも私はその点が納得できないのだが、そのアウトサイダー規制命令安定法で役に立たなかったということは、私はほかに理由があると思う。ほかの理由があってアウトサイダー規制命令安定法においてうまくいかなかったというならば、私はわかりますよ。そのほかの原因は私はこれから御質問申し上げようと思うわけですが、今の大臣答弁から言えば、中に入ってもらってやるのだ、それもいいでしょう。しかしいやだというのを無理に入れるわけですね。いやだというものを無理に入れなくてもそういう人間の規制ができるのだ、五十六条で、三分の二の団体ができれば。それと大臣が言ったように中に入った方がうまくいくというのは、それはどういうことなんです。つまり四分の三なければ強制加入命令というものは出せない。だから私は団体として一つ運営をする場合に、四分の三の団体を作らなければ強制加盟ができない。それを三分の二の結集ができれば、アウトサイダー規制命令が発せられて業界の同一歩調ができるのだということになれば、団体を作るためにこの強制加盟というものが必要である、こういう私は大臣の見解に立ち至ると思う。これはまさしく憲法違反の最たるものであって、初めから強制加盟を振りかざして団体結集するということになれば、個人の自由もヘチマもない。自主的に団体が三分の二作られ、あるいは四分の三作られても、それでもなお外に出てへそ曲りがやっている、こういうような状態を私はさしていると思うので、強制加盟というものと公共福祉というものは、どれだけそこに関連があるかということは、アウトサイダー規制があいまいなもので、これが不十分なもので何ともならぬというときに、初めてこれは強制加盟によって云々ということも、これは大竹委員意見があったがあるいは耳を傾ける場合もあるかもしれない。しかし、私自体はそういうことではなくして、アウトサイダー規制命令を出してその業界が同一歩調をとれる。そうではなく、大臣の、その中に入ってもらって顔をつき合わして、顔をつき合わそうが、つき合せまいが、とにかく三分の二で団体結集されたら、アウトサイダー規制ができるんじゃないですか。そうしたら業界公共福祉は守れるでしょう。一般国民福祉がどういうふうにたるかは知りませんけれども、少くとも業界においてはへそ曲りは全部規制され、それに違反する者は過怠料を取られるなり、手数料を取られるなり、場合によっては罰金も取られる、こういう状態じゃないですか。大臣の御意見は納得できないのですよ。強制加盟がなぜ必要かという理由にならぬですよ、それでは。もうちょっとはっきり強制加盟必要性を言ってもらいたいと思う。
  20. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) その必要性は、ただいま申し上げましたように、現実にその制度を必要としているわけであります。アウトサイダー規制命令が現在われわれの予期した効果を上げられぬ最大の理由は、結局いろいろ監督なり監視というような問題ありましょうが、それは組合内部に入ってもらって、そうしてそれらの意見も十分聞いて納得ずくでやっていくというようにする必要が、ぜひともあるという現実必要性から、われわれは考えておるわけであります。そうしてそれが憲法違反でないということであり、ぜひともやらなければならぬというこの必要性から強くお願いをしているわけであります。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 どうも大臣のお言葉はまことにおかしいので、強制加盟して、そして納得ずくでやっていく、そんな実際の事柄が行われると思っているんですがね。いやだと言うやつを強制加盟して、中で納得ずくでやっていく、そんなことあり得るはずがないと思うんですよ、私は、だから安定法においてアウトサイダー規制命令効果が出なかったのは、監視が不十分の点もあるでしょうが、私はほかに問題があると思う。それは別個の問題だと私は思うのです。だから今大臣の言ったように、強制加盟して中で納得ずく、そういうようなことがあり得ますか。いやだと言うやつをお前入れ、強制加盟で入れておいて中で納得ずく、そんなことありますかね。
  22. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 中に入っておれば、またその人の主張も聞き、また規制をやらなければならぬ必要性も十分いろいろ話し合うということで、私はそれが納得されるならば、より効果を上げる、かように考えております。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 私は大臣の言っておられることは、まことに非現実的だと思わざるを得ないのですよ。それは強制加入のことをこれは全く何というんだか、まあ牽強何とかいう言葉がありますね、強引にこっちの方へ歩調を合わしてしまうというように思われるのですが、たとえばこうなんですよ、私は業者の方で団体をなかなか結成するにむずかしいという陳情を受けたことがある、私もそうだと思う。しかし、この法律内容もよくわからぬ中小企業者は一ぱいいるのですよ。その日の生活に困っている人が数限りなく全国的にいるのですよ。そういう人たちにこの法の精神というものを知らせることを、まずこの団体結集するものがやってもらわなければならぬと思うのです。その場合に、何の手だてでやるかと言えば、強制加入を頭の上に振りかざして、どうせお前たち強制加入で入れられるのだから、今のうち早く入っておく方がいいぞ、こういうことで団体が呼びかけるということになったら、憲法違反の最たるものだと思うのです。四分の三結集されて、この法案でもあとの四分の一のアウトサイダー、これが強制加盟云々ということになっているので、ところが、そうではなくてほんとうに団体結集するならば、五十六条のアウトサイダー規制命令というものを作って、こういうものをその許可を得て、そして業界が実施すればみんなが立ち直るんですから、一つ皆さん加盟して下さいよ、この法律の趣旨はこうですよと、そういうふうに呼びかけて三分の二を得られるならば、アウトサイダー規制命令が出て、業界の同一歩調がとれるんだ、こういうふうに団体の役員が呼びかけていくのが、私はこの法律精神であろうと思う。これが精神であろうと思う。初めから強制加盟で、そんなことを言ったって時間が間に合わないから、ネコもしゃくしも、何もみんな一緒に初めからお札を立てて、強制命令というお札によってこれを全国津々浦々くまなくやるということは、これはどえらい問題に私はなってくると思う。だからそういうことではないと思うので、結局強制加盟というものについて、公共福祉というものの関連からいうと、大臣答弁では何人もこれは納得できない。私は直截に言えば、強制加盟というものがなければ、なかなか団体結集が困難だという、こういうふうな点がこの底流に動いているということを、私は一歩進めれば言いたくなる。ところが、それをやれば憲法違反にこれが運用上問題になって、もうすぐ憲法違反の問題を起す。ほんとうのこの呼びかけ方が、規制命令というものを施行するために、これによってやれば業界が救われるし、助かるんだ、そうして皆さん三分の二集まればとれができるんだからと、こういうふうにして結集されるならば、これはいい。そういうふうにいくならば、私は強制加盟というものは実質上要らぬ。実際上強制加盟がなぜ要るのか、この理由大臣、もう一ぺん言って下さい。強制加盟の要る理由がわからぬ。
  24. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのお話しの通り、これを振りかざしてやるということは、私も考えておりません。それよりは、あらゆる手段を尽して、そうして最後にこれより方法がないという場合に使うわけでありまするから、これを振りかざすということは、私はもちろん考えておりません。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 憲法違反ですよ。
  26. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただ先ほど来申し上げておりますように、アウトサイダー規制命令だけでは不十分であります。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 何で不十分なのか、その理由を言ってもらいたい。
  28. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 現実の問題としてその効果が上っておらぬ、効果が上らぬ、それはやはり内部に入ってお互いに納得ずくでやり、その規制に従うというためには、内部に入ってもらわなければならぬという必要性を申し上げておるわけです。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 じゃ、それならば大臣言葉で言わせれば、アウトサイダー規制命令は、これでは要らぬということですか。要らぬということですか。アウトサイダー規制命令というものが役に立たないから、安定法においてもだめだったんだから、これは役に立たぬ、こういうお考えですか。その点を一つはっきり伺いたいと思う。
  30. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 安定法におきましても、アウトサイダー規制命令を出しているものと出していないものとあります。従って私は段階を追うて、そうして最終の段階にこれを使う、それ以外の場合におきましては、アウトサイダー規制命令で十分の場合にはそれでいく、こういうふうに考えておるのでありまして、これは最後の手段ということになると思います。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 頭のいい前尾さんがああいう答弁をしているんですから、いかにこれが無理な法律であるかということを私は露呈しているものだと思うんです。だって、実際問題として、これはあとでやるんだ、強制加盟の方でできない場合にやるんだと、こう言っている。しかしこれは理屈になりますが、結社の自由の方が重いんだということは、これはもう商人が全部認めているんですよ。結社の自由を侵すこれは憂いがあろというので、アウトサイダー規制命令でやれる、アウトサイダー規制命令というものは、団体は三分の二ですから、四分の三より早目に私は発動できるということは、この法律を見れば、だれでもわかっていると思います。だから私は強制加入というものは最後の手段だ最後の手段だと、あなたの口でいえば、最後の手段の次に、アウトサイダー規制命令が出てくるようなことをおっしゃいますが、その点ほんとうですかそれ。そんな運用はありっこないじゃないですか。
  32. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) あと先という関係ではなしに、選択的であることは事実でありますが、事の重大性ということから申しまして、やはり最終の手段というふうに考えるべきじゃないかと思います。
  33. 島清

    ○島清君 関連をして、いろいろと御答弁のうちで、あとでまたお聞きしたいと思いますけれども、今、大臣の御答弁のうちから確認をしておきたいと思いますることは、岡委員並びに私たち社会党が、との強制加入の問題について、非常にしつこくお尋ねをしておりまする理由のものは、とにかくいやがる人を無理に強姦をすることもあるまいじゃないかということです。そこで、今あなたの御答弁では、加入する意思のいかんにかかわらず、国家の意思によって、強姦をしなければ公共福祉を守ることはできないと、こうおっしゃる。━━━━━━━━━━━━━━━━━ただいまの御説では、この規制命令だけでは命令の実効を期するととはで声ない。そういたしますと、私は今大臣考えておられまするところの、国家意思によって、命令という強い要請をされまする場合に、それが実効を期することができないというて、権力の坐にすわっておられまするところの大臣の御答弁といたしますると一体その国家の命令というものは、冬の寒いときに、シャツを着て、洋服を着て、オーバーを着なければできないものであるか、積み重ねたければできないものであるか、私は国家意思というものは、こういう形で、一つ業者に、公共福祉のためにこういうふうなことをやってもらいたいというならば、私はいかなる形でありましょうとも、国家の意思によって業者に要請をされました場合には、これは一つで私は国家の意思は通るものである考えておる。これが寒い場合に、いろいろのものを着なければ寒さが防げたいというようなものではないと思うんですが、この命令の持っておりまするところの強制力、この内容について御説明をいただきたいと思います。
  34. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 強制力の内容といいますと……。
  35. 島清

    ○島清君 強制命令ですね、加入命令です。これは今、岡委員は、必要はないじゃないか、自由でよろしいじゃないか、その次に規制命令というものがあるから、それでよろしいのではないかと、こういう考え方、しかしながら大臣の御答弁は、加入命令を出しておいてそこを上手にうまくやる。━━━━━━━━━━━━━━━━━まあそういうことなんですね。ところが、さらに岡委員は、さらに規制命令というものがあるから、そんなものは必要はないじゃないか、こう質問をしたんです。ところが、大臣は、いや、それはそうであるけれども、しかしながら規制命令だけでは命令の実効を期するととはできない、だから加入も命令するんだ、そういたしますると、私は、一体命令というものは、国家意思というものは、その目的を達しようとするのには一本でよろしいじゃないか、規制命令では足りない、これも命令身出すんだ、加入命令も出すんだ、こういうような命令は、寒いときに、いわゆるたくさんなものを着なければ防げないという種類のものではないじゃないか、一つでたくさんじゃないか。その一つでたくさんという命令は、規制命令だけでたくさんではないか、これが要するに国家意思が業者に対して要請をいたしまする場合の、最後的な国家権力の発動として、それでたくさんではないか、こういうことなんです。
  36. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 問題は、結局調整事業の内容にあると思います。で、現在安定法運用しましても、この安定法だけでうまくいっておる場合もあります。従って規制命令だけでうまくいく場合もあります。また、その中に入ってもらってやらなければ実効を期し得た中いとい場合もあるのであります。これは実際上の問題としまして、いろいろの場合を実験いたしましたところによりますというと、どうしても中に入ってもらって、そうして同じように話し合いをして参りますると、自然にまた規制意味もはっきり了解してもらって、そうして実効をあげるというような場合が多々あるわけでありまして、従ってこの方法をぜひとってもらいたいというのが、現在の各方面の要望であると思います。
  37. 島清

    ○島清君 関連して……。私がお尋ねをいたしておりますることは、その組合に入るのをいやがっております業者に対して、大臣加入の命令を出させる。そこで顔を見ながら話し合った方が実効が期待できるのじゃないか、こういうことですね。ところが、その次に今度は規制命令というのがある。そういうことにおいて命令が二つ重なるわけであります。ところが、いよいよ最後の段階に至りましては、規制命令というのが、いやがる人々に対しましても、国家権力の発動といたしまして、その人々の意思のいかんにかかわらず、服従せしむるという形が、ここに生れてくるわけでありまするから、そこで国家意思が、憲法結社の自由というようなものについて、憲法を尊重いたしまするならば、国家意思がその業者に対して要請をいたしまする最終的な命令の形というものは一本でよろしいのじゃないか、一つでよろしいのではないか、なぜこの二つの命令形態というものを用意をされなければならないかということ。そこで、この二つの命令を出さなければ実効を期待……、期することができないと、こういう御説明でございますならば、その理由を御説明いただきたい、こういうことです。命令に対するこの内容が二つ重ならなければ実効を期待することができないと、こうおっしゃいまするならば、この説明をいただきたいということと、さらに、今安定法お話をなさいましたけれども安定法等について不十分であるということで、私たちはこの法案を審議しているわけです。それは今おっしゃったような全部ではございませんけれども、今までの中小企業のもろもろの法律では、まあ中小企業の安定と発展を期するには、やや不十分であるということで、こういったような法案を審議しているわけであります。しかしながら、そういう前提のもとに立って質問をしているわけでございまするからして、安定法の中ではこういうことであるからこうするのだというのではなくして、命令をこの二本の形にしなければ実効を期待することができないのだというところの、命令の内容について一つ御説明いただきたいと思います。
  38. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来申し上げておりまするように、調整事業の内容によりまして、まあ規制命令でいく場合がいい場合もあります。また、加入命令でいくべき場合もある。二つの場合が予想されますので、別に国の考えとして二つの考え方を持っているというわけではなしに、同じような考え方でこの二つが必要だというふうに考えているわけであります。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 今質問を幾へんか重ねてきたわけですが、結局冒頭に述べた公共福祉というものが、憲法にうたわれているところの営業の自由とか、あるいは結社の自由というものについても、公共福祉に反しない限りこれはいいのだという、こういう建前で、それがしかも国民経済の健全な発達になるという、こういうことでまあ言われてきているわけですが、私の言わんとするところは、現在の中小企業の営業方法、あるいはその他生産規制とか、あるいは最終段階におけるところの価格調整、価格統制とか、こういうふうな問題については、いろいろと検討した結果、どうしても業界の方でこれをやってもらわにゃ困るというときには、アウトサイダー規制命令というものがある。そのアウトサイダー規制命令がこの法律の条章の中で明確にうたわれておって、私はこれは大臣の言うふうに、安定法のときのように役に立つか役に立たぬか、そういうことはこの法文ではとんでもないことだというふうに考えているのです。これはなかなかきびしい一つの制約であるというふうに私は考えているわけだ。だから業界が自動的に三分の二作って、あるいは四分の三作って、そしてみんなでどうしてもこういう方法がいいということで規制命令というものを作って、許可を得て、これを業界が実施するということになれば、それによって公共福祉なり、ひいては国民経済の安定というものにこれで十分間に合っていくというふうに考えているわけなんです。それをあえて結社の自由に触れるおそれのあるようなこの強制加入をその上にどうしてやらにゃならぬか、こう言うと、中へ入ってもらって話し合ったときの方がうまくいくと、こういうことを言っておりますが、それはいやがる者をむりに入れてうまくいくという、こういう論ですがね。そういう場合もあるでしょう。私はその点大臣言葉を肯定してもいいですよ。しかしそれはまれにある。まれにある例で、そういうことはなかなか起らぬ。国において行政命令のようなものを出せば、内容的にこの法文の趣旨そのものを全国の中小業者に徹底しないで、拙速的に強制加盟というものを振りかざしてやるという心配が、私は起ってくると思うのです。だから私はその点で中間的な質問になりますがね、私はこの団体結集するために、なかなか日常忙しくて、その日の生活に追われている中小企業者がなかなか集らぬ、業を煮やかして、やがて強制命令になりますぞ、早く入った方がよろしいですぞと、こういう団体の呼びかけをしたときには、これは憲法違反だと思うのだが、その点大臣はどういうふうに思いますか。それは重要な問題ですよ。これは具体的に……。(「えらいおどかしたね」 「それは仮定の上だろう」 「仮定の上じゃないです」 「これは討論じゃない、今質問の時間だよ」「だから早く討論しようよ」と呼ぶ者あり)
  40. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのお話憲法違反であるかどうかについては、私ちょっと答弁を保留をいたしたいと思います。しかし不当なことであるとは思います。また、そういうことのないようにわれわれも指導しなければならぬと思っています。ただ現実組合ができ、そして四分の三の同意があるという場合に限って、初めてこの問題が起るわけであります。これを正面に振りかざすというのは、不穏当だと思います。   〔高橋進君「議事進行」と述ぶ〕
  41. 岡三郎

    岡三郎君 いや、私は……。
  42. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと議事進行ですから……。
  43. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 暫時委員会を四時ごろまで休憩しまして、なおこの問題について相当審議はあると思いますから、そして続行していただいたらどうかと思います。  なお、私は委員長に申し上げたいと思うのは、先ほどの島委員の御質問の中に、ちょっとこの委員会としてふさわしくない点がありますので、これは速記録をお調べの上、適当にこれは委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  44. 相馬助治

    ○相馬助治君 この委員会としては突然の今の休憩動議で、他の委員諸君はちょっと雲をつかむようなことだと思うのですが、私は国会運営の正常化が叫ばれておる折柄ですから、やはり事態を明瞭にして、最終的な段階において混乱等が生じないように、今の議事進行の御発言に対して高橋さんに念を押しておきたいと思うのです。御承知のように先ほどの委員長理事打合会におきましては、高橋委員から発言がありまして、社会党の方では、きょう二時からかなり重要な予定している会があるとのことであるから、委員会を午前中だけ開いて、午後は委員会を散会し、明日日曜に委員会を開いてほしいというお話があったわけです。で、私どもといたしましては、午前中、本日委員会を開くことは賛成であるが、さればと言ってですね、だから明日委員会を開けということは、にわかに賛成しがたい、ここまで話をいたしまして、委員長理事打合会においては議の一致を見ずにこの委員会にまあ臨んでいるわけであります。従いまして私としては、高橋委員のただいまの御発言はよくわかります。せっかくの御好意で、本日二時から開かれておりまするわが党の会に、衆議院側の春日委員を初めとして、私ども全部参加しなくちゃならない建前になっておりますが、ただいまの発言は私どもといたしましては、先ほど委員長理事会において発言した意思が、社会党としては変っておらないのであって、それならばそちら様としては考えがあるいは変るかもしれないのであって、もしも私どもといたしましては、日曜のことまで規制するのでございましたならば、わが党の会合は、党の問題でありまして、この、ただいま審議中の法案は世間注視の的の重要法案でもありまするから、せっかくの御好意ではありまするけれども、私どもはこのまま会を続けても、さらさら苦しくないのでございまして、従いまして日曜に云々という意思を含んでいないせっかくの御好意ある御発言であると了解してよろしいかどうか、念を押しておきます。
  45. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ただいま相馬委員からのお話しでございますが、これは四時から、社会党さんの御会合の終ったあと、やはりこの委員会を続行していただくと、こういう了解のもとに、しかも相馬さんのおっしゃるように、日曜に開くかどうか、そういう問題はいずれ委員会を開き、またその委員会においてあらためて御相談申し上げるという先ほどの理事会の打ち合せを了承いたしまして、ただいま発言を申し上げた次第であります。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 議事進行、まことにありがたいのですが、今聞いていると、何が何だかさっぱりわからぬわけです。わが党の方は、重要なる党としての一年一回の行事でありまして、これに行きたいのはわれわれやまやまで、今発言いただいてまことに感謝にたえないのですが、しかし本員としては今質問をしている最中なんです。またパーティ等に行って、内部にアルコール分が入るなんということになれば、本員としてはこういうことはふさわしくないと思っておる。だからどうしても私たち質問したいというのですから、高橋委員のはありがたいのだが、アルコール分が入ってから質問せいと言われても、そこまで言うならば、大乗的に、よろしい、あしたは日曜で天下のあれだから、十一日からやろうと言われるならば、これはまことに私たちも感激にたえないのでありますが、了解をいただいて私ども行きましてから、パーティから帰ってきてからやれと言われたら(「ジュースを飲んでこい」と呼ぶ者あり)そういうようなことを言われるが、それこそまた基本的人権にかかわってくる問題で、それで今言ったように大臣は今のところは憲法にどうなるかわからぬ、こう言っておられるのだから、法制局長官に、仮定の問題ではないと思う、具体的に起ってくる問題ですから、そういう点についてはわざわざここに四分の三という数字を入れてちゃんとやっておるのだから、これが初めからそういうふうに強制加盟の問題が振りかざされていく場面もなきにしもあらずと思うので、また大臣の御答弁によれば、しばらく休憩して、大臣の方で答弁を整理されて、どうもおれの言っている答弁強制加盟については委員の納得が得られぬようだから、政府委員と鳩首合議してこれに対する明答案を出そう、こういうふうな意見で暫時休憩すればやむを得ないと思う。法制局長官なり大臣の見解を統一されて言ってもらうなり、いずれにしても議事進行しなければ困ると思うが、パーティの問題はいずれもそんなことはどうでもいいから、今の点は明確に一つやってもらいたいと思うのですが。
  47. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいま高橋君からの御発言によりまして、島君の御発言の中に何か不穏な意見があったと、こういうことでございましたから、後日これは速記録を調べまして委員長において適当に取り計らいいたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後二時十五分休憩      ―――――・―――――    午後四時四十六分開会
  48. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して質疑を続行いたします。  なお、休憩前に御出席になっておりました小平衆議院議員は、やむを得ない御所用のため、かわって首藤新八君が御出席になりました。  それでは、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  49. 岡三郎

    岡三郎君 ただいまから、休憩前に引き続きまして質疑を続行いたしたいと思います。  休憩前におきまして、私は通産大臣に対して、公共福祉という概念というものを明確にしてほしい、これが明確にならないというと、法の運用において、特に五十五条においては憲法違反疑いというものが起ってくるということをただしたわけでありまするが、それに対して、大臣は、規制命令では実効を期することができない場合において強制命令を行うという答弁があったと思う。そういうふうに御答弁がないというなら、私は速記録で明確にしなければならんと思うのですが、つまり、もっと具体的に言うと、中小企業安定法においても規制命令というものがあった。しかし、その当時においてもこの規制命令では実効が期せられないから、強制加入というものをやらなければどうしても実効が上らないと、こういうふうにお答えになったと思うのですが、そうではございませんか。
  50. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) あるいは、先ほど申し上げた言葉が適当でなくて、誤解があったと思います。加入命令を出します場合と規制命令を出す場合とは場合が違いまして、御承知のように、加入命令を出すのは組合で自主的調整の能力があるという場合、規制命令の場合は自主的に調整する能力がない場合、または大企業というものに対して規制命令を出すのであります。私の申し上げましたのは、規制命令と同様なことを現在中小企業安定法でやっておるのでありまするが、それでは現在、やっぱり組合の中に入ってやってもらいたい、そうしませんと、規制命令だけ、アウトサイダー命令だけでは不十分だということなんでありまして、その点誤解がないようにお願いいたしたいと思います。
  51. 岡三郎

    岡三郎君 私が質問しておる基本的なものは、憲法上において運用が間違い、あるいは運用のいかんによっては、憲法違反疑いが起る、こういうふうな法律を制定するということは重大であるということなんです。要するに民主国家において法律を少くとも規定しようとするならば、その法律が制定されるそのことによって大衆が真に喜ぶならばそれはよろしい。しかし、基本的に人権を無視し、あるいは結社の自由という重要なる事項を侵犯するおそれの疑いがある法律というものは、ほんとうに慎重に考慮してもらわなければならぬ。従いましてそういう規制というものは、最小限度にとどめるべきことが、当然のわれわれの責務でありまして、そういう立場からいうと、先ほどいったように業界が不況に陥って非常に苦しいというものを救済するためには、何といっても私は五十六条というものがこれを実効を期することにおいて私は完遂できるという、そういうふうにこれはきびしい法律だと思うのです。自主的に調整することによって同条云々とありまするが、一万人なら一万人いるものを全部組合に入れてどうするかと、こういうふうなことは民主的な国家においては、あり得べからざることだと私は思う。それぞれ人間の考え方というものは尊重されなければならぬ。しかし、それぞれの少数考え方によって多数が迷惑を受け、公共福祉にどうしても工合が悪いという、そこにおいて初めて法律規制ということを考えるのが立法者の当然の責任なんです。そういうことを考えていく場合において、私は少数のものを全部入れて、一万人が一万人全部入らなければ自主的規制ができないと、そういうことは私はあり得ないと思う、民主的な社会においては。独裁国家、ファシズム国家においては、これは別でしょう。異論のある者も全部その中にぶち込んで、そして全部を規制していくという考え方、それを自主的調整というならば、私は何をか言わんやと思う。やはり多数の中において少数意見というものを民主社会は尊重するわけです。しかし、それが多数のために妨害になる、多数に迷惑をかける、大きく言えば公共福祉にどうしてもこれは反するというときに規制していくというのが、立法者の常でしょう。そういうことになるならば、私はどうしても五十六条というものが有効的に発動され得るならば、これは中小企業の諸君も必ず救われるというふうに私は確信しているわけなんです。あと法の運用は、大臣の認可の決裁が、アウトサイダー規制命令を実施したいというのに、いつまでも判こを押さないで一月も二月もたってしまうというなら、これはだめだ。だから私が言わんとするのは、大臣が言うふうに考えるならば、あるいはアウトサイダー規制命令の五十六条というものを実効あるようにさらに整備する、もしもそうして法違反をしてはばからないものがあったならば、それこそこれを何とか処置するような方式というものを厳格にすべきであって、民主国家においては少くとも結社の自由というものを、こういうものを運用する場合において、非常に侵す心配が起るような事項に対しては、これはお互い相互において避けよう、その避けることによってさらに工合が悪いということならば、次期国会においてそういう具体的な事例の中において、強制加盟というものはこういうことなんだと明確に大衆にわかった暁において、これをさらに一歩前進するということになるならば、具体的事例の中においてわれわれもさらに再検討するということにおいてはやぶさかではないと思う。しかしどういう事態が起るかどうか、それを明確に大臣が具体的例の中で言わないで、そうしてアウトサイダーだけではうまくいきそうもない、こういうふうな自信のないことをいっておりますけれども、五十六条で私は相当どころではない、やり方によっては非常にきびしいものだと思う。それをあえて自主的規制という美名にかくれて全部一万人入れなければ仕事ができないような、そういうファシズム的な考え方を私は避けてもらいたいと思う。そういうふうな点で私は先ほど言ったように、アウトサイダー規制命令というものによって公共福祉というものが守り得るのだ。しかも、入りたくない者を無理に号令をかけるためには、四分の三の団体の結成を持たなければならない。それならば三分の二の団体の結成というものを促進して、その中においてアウトサイダー規制というものはこうなんだと、こういうものをみんながやれば、あまのじゃくも、へそ曲りも全部これに従っていくのだ、だから業界というものはしっかりした調整規程をお互いみんなで作って立ち直るようにしようじゃないかというので、団体を結成する運動を起せば、これは私は本筋だと思う。ところが、巷間伝うるところによれば、強制加盟がなければどうしてもいかぬというその理由がどうしてもわからぬ。自主的ということをいっておりますが、……。私はここで要約いたしますが、どうしても立法上の建前からすれば、憲法上に支障があるというような問題は避けて、別の方法でできるならばそれでやってみろ、それでやってみてさらにそれで工合が悪いならば、次期国会において、それこそ将来においてそういう問題を検討するということになれば、われわれもやぶさかでないが、私は政府の考えは順序を転倒しておると思うのですが、私はそういう意味において強制加入というものを固執する必要はないと思う。もし固執するとすれば、先ほど私が言ったように強制加入というものをお題目、にしきのみ旗にして団体をまとめるという非常の場合に出てくるのじゃないか。そうなればそれは個人の自由を奪うという形になるから、これは憲法違反が明確になるのじゃないかということを言っておった。その点について大臣は御検討があったと思うのですが、そういう場合において憲法違反になるかならないか、それは御答弁を明確に願いたいと思う。
  52. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 加入命令は、ただいまお話しの通り、非常に少数の人のために多数が倒産にまでいっておるというような非常事態であります。その意味では私は公共福祉ということに十分該当すると言っておるのであります。  それから憲法問題、先ほどの休憩前の御質問に対しましては、これはどうも憲法の問題ではありません、別に犯罪行為というわけではありませんが、われわれとしましては十分その趣旨を徹底して、行政上そういうことのないように十分注意してやって参りたいと思います。
  53. 岡三郎

    岡三郎君 行政上どういうふうに注意してやるのだか、具体的に教えてもらいたいと思うわけなんです。つまり団体を作るために強制加盟というものが必要だ、こういう論が一面においてあるわけです。その場合にそれは強制加盟だから入れというふうにいうことは法律的に違反じゃないと大臣は言われたが、私は少くとも基本的人権に触れてくると思う。それでなければ四分の三という規定をここに設ける必要はないと思う。四分の三の組合員があって初めてその強制加盟ということが実行される。ところが、大臣はそういうことは言葉の問題であって、行政上注意してやればいいのだ、そういう簡単なものですか、私はそういう簡単なものじゃないと思う。
  54. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それは決してその相手方が加入するかどうかということについては、何ら自由を奪っておるわけではなしに、それは自由に拒否することもできるわけでありますから、憲法違反のような趣旨のことを言っておるという問題でありますが、それが直ちに犯罪行為とか何とか、そういうことではないと思います。しかし、これはもう十分趣旨の徹底をはかり、そういうことのないようにということは、十分これは一般の民衆の方にも明らかにしておけば、やはりそういうことにひっかかる心配はなくなる、かように申し上げておるわけであります。
  55. 岡三郎

    岡三郎君 運用によってやられるというのですから、これ以上それは申し述べませんが、これは何といっても具体的にこの法律において衆議院において修正された認証という言葉、認証という言葉によって届け出ればこの強制加盟、逆に言えばやらなくともいい、こういうことを言われておるのですが、それならば、なおさら私はこういう疑義のあるものについて明確にしてもらわなければならぬと思う。運用上誤まるということによって憲法の疑義を生ずる、こういうことになれば、われわれの立法する立場から言えば、そういう危い種というものはまかないのが、民主国会の建前だと私は思う。そういうふうに考えて、私は五十五条というものはどうしてもこれは危険な問題であるというふうにしばしば言ってきたわけです。ところが、どうしてもこれを固執するということになるならば、私はどうしてもおかしい。それでやらなければ何ともほかの中小企業の方を救うことのできないという論拠を大臣は私に教えてくれない、聞かしてくれない。自主的規制に待つと、こう言われる。ところが、民主社会においては一万人が一万人同意見であるというそういうばかなことはあり得ないのです。だからそれは、アウトサイダー規制命令で三分の二の団体が結成されれば三分の一はそれに従うということが、この法律に非常に大きく打ち出されておるわけです。だから私は、どうしても大臣が先ほど言ったように、自主的規制という美名によって強制加盟を命令する、それが公共福祉とどう関係があるのか、公共福祉は私はアウトサイダー規制命令で守られる、こう考えておるわけです。その点について明確に御答弁を願いたいと思います。
  56. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 現実問題として、先ほど来から申し上げておりますように、アウトサイダー命令安定法ではやっておるのであります。しかしそれがうまくいかない組合もありますが、その大きな理由は、やっぱり中に入って、そうして自主的に、また納得ずく規制に従ってもらうということが、どうしても必要だという現実の問題に当面いたしておるのでありまして、そういう意味から、われわれとしましては、今までの経験からぜひともこういうふうな制度が必要だと、かように考えておるわけであります。
  57. 岡三郎

    岡三郎君 今の大臣答弁言葉の中に、現実に当面しておるという、具体的にその点をお答え願いたいと思います。こういう事例があるから強制加盟は必要なんだと、そういうふうに私はなると思うので、その点現実にその必要性というものを、もう少しわかりやすく具体的に言ってもらいたいと思います。
  58. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私の経験からいたしましても、私の方の地方の織物工業組合なんかにつきましても、なぜ規制がうまくいかないかということを探究いたしますと、結局アウトサイダーが多いということであります。それらアウトサイダーのために組合員全体、また業界全体がうまく運用されぬというような事実に当面いたしております。それからマッチの組合におきましては、非常に規制がうまくいっております。これは全員参加しておりますということで、非常にその規制が円滑に行われておるのでありまして、それらの事例から考えましても、私はこの制度が必要だと、かように考えております。
  59. 岡三郎

    岡三郎君 今の答弁はまことに重要でありまして、アウトサイダーが多いときにこそ、との規制命令効果をうまく発揮していなかった。で、ある職種においては全員が参加しておって、この規制命令というものは非常にうまくいっておると、こういうことになるというと、どうしてもこの強制加盟というものは、団体を結成するためにこれはここに一つの錦の御旗として置いておるわけです。ところが、法の立法の趣旨は四分の三なければ強制加盟というものはやれないのだと、そういうふうになれば、大臣が言っていることと問題の本質は私は異なると思うのですよ。つまり私の言わんとするところは、アウトサイダー規制命令をやるにしても、三分の二の同業者結集をはからなければならぬし、強制加盟をやるとするならば、さらにその上に数をふやして四分の三に上げなければ強制加盟ということは発動できない。ところが、今の大臣の答えで言うと、アウトサイダーが多い場合に規制命令が効力を発しなかった。これは今の大臣言葉を裏返して言えば、強制加盟というものを団体規制の錦の御旗にするという答弁以外に何ものもないじゃないですか、それ以外に何もないじゃないですか、大臣のお答えは。私はだから大臣の今言ったことをもっと私の考えで言えば、アウトサイダー規制命令というものが効力を発揮しなかったということは、団体の結成がうまくいかなかったということに帰すると思う。それは今回規制命令というものを出して、その三分の二が集まればみんなでこういううまいことがやれる、いいことがやれる、そういうことで団体結集をはかるのが常道であって、加入命令というものを振りかざしてこれをやるということは、ゆゆしい問題であるということを私は言っているのです。その点どうですか、大臣ずいぶん食い違っておりますよ。
  60. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 多いと申し上げたのは、何も三分の一とか、あるいは一割とかいうような数字ではないのであります。まあ多いという言葉は、これは相対的な問題であります。結局内部に入らない人ができれば、自然にまたそれがだんだん多くなるようなことになりますと、結局調整ができないという意味を申し上げたのでありまして、その点は誤解のないように願います。
  61. 岡三郎

    岡三郎君 それでは大臣にさらに一歩進めてお伺いしますが、私が先刻申し上げました通り、この強制加盟というものは相当疑義がある。合憲違憲の論ではなくして、これは法制定の場合に行き過ぎのおそれが十分にある。これは行き過ぎだ、こういうふうな建前で言えば、現在のわれわれが行わんとする立法ですね、こういう場合においては非常にこれは懸念される、こういうことは、まあ今朝来毎日新聞においても、阿部真之助等も珍しく述べているわけです。あの人は大体社会党の言うことについては、ほとんどみなけちをつけているが、今回の強制加盟については納得ならぬと、こう言っておりますが、まあ、それはそれとして、これはアウトサイダー規制命令によってこの法案というものをやってみて、それでさらに工合が悪かったら、その次に一歩進めてこういうこともどうかなというならば、また話というものは、それに賛成する反対するは別としても、立法としては非常に穏当なやり方だと思うわけです。ところが、今言ったように、これがなくてはならぬと言っておりますが、これを発動する場合はごくごくまれなことです。ごくごくまれなことを、社会党の意見に耳をかさずして強引にやるということ、これは大へんなことです。われわれは少くとも、いろいろな問題があるとしても、百歩譲って、この五十五条の問題についてお互いに協調点に達するならば、即日、本日この中小企業団体の組織法を可決してもいいというほどに考えているわけです。中小企業のためになるとするならば、十一カ条の修正案というものを並べているけれども、とにかくそういうものを全部譲っても、こういう問題は十分慎重審議してもらわなければならぬということを言っているわけです。ドイツにおいても立法するまでに三年かかって、法案審議に五年かかっているというじゃないですか、こういう強制カルテルの問題については。それを社会党が中小企業組織法を出して、ようやく気運を醸成して四月にこれがぼつぼつ出てきて、今ようやくここに来ているわけでしょう。私はそういう点において中小企業の方々を救うことは急を要する、急を要するならば、将来の中小企業全体の福祉のためにも全会が一致してやられるということから、これが運用を見て、なお足りないとするならば、その上に一歩加えて強制命令という問題についても、職種については考えてみる必要があるのじゃないかという意見になれば、私は耳をかすことになると思う。ネコもしゃくしも、くそもみそも一緒にあらゆるものを強制加盟するという、こんなべらぼうな考え方はこれは民主的社会においては許されぬと思う。だから私の考えとして、まず五十六条をやってみて、そうしてごくごくまれにしか強制加盟はやらぬというふうに大臣は答えているのですが、そういう場合においては、従来十分考慮して慎重審議する、そういう考え方が筋が通っていると思う。ここに達するならば、本日直ちに結論がこの法案についてはつくと思うのですが、大臣のお考えを聞きたい。
  62. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知の通り中小企業安定法は、数年の経験を経ているわけであります。今回の法律中小企業安定法と違っております点は、一つは生産事業に限らないという点と、また、こういう加入命令という制度を設けていることであります。従いましてこれは急に出た問題ではなしに、これは数年の問題がありまして、そうして十分検討の上で、こういう制度を設けておるのであります。その点はよろしく御了承願いたいと思います。
  63. 岡三郎

    岡三郎君 大臣は新仕早々でして、その前の経緯を十分お答えになることの苦衷察するに余りがありまするが、しかし、私としては安定法の中においてうまくいかなかったら、これによって加入命令でやるのだ、それはちょっと早いじゃないか。ほんとうに業者が今までは、ばらばらの形態であったが、今回は鮎川義介を中心にしてなかなかみごとなチーム・ワークのもとに推進されておる、これには敬意を表する。従って、今まで四年間やってきた中小企業安定法の実施方法というものは、これは非常に未熟であったことは事実です。しかし、百尺竿頭一歩を進めて、いよいよそういう体制の中においてはいかぬという中小企業者自身の自覚というものも、非常な高まりを法案とともに持っている。これは私は今までの過去における事例というものとは比較かできない新しい段階だと思います。そういう段階において、この法律を検討しているということになるならば、融資の問題においても、原材料の問題においても、すべての問題、新しく飛躍しなくちゃならぬという非常な決意というものを持っている。だから、私はほんとうにごくごくまれにしか発動できない強制命令というものはさておいて、これだけの気魄があるとするならば、与野党一致し、中小企業のために推進していこう、こういうことになるあかつきにおいて、残念ながら、この点が両党における、あるいは他党におけるところの意見の不一致をみておる一つ段階であります。だから、私は大臣のような円満なる人が、物事を自然に考えていただけば、私はやはりそうだろうと耳を傾けるところの余裕があってしかるべきだと思うけれども、サザエのつぼ焼きのようにかたくなになっている。(笑声)私は失礼なことは言わぬ。それはかたくなな一つの形として言ったわけなんです。だから私はそういう点について、ごくごくまれにしか発動しないというものを、なぜそう固執するのか。それがなかったらできぬ、私はそうは思わないのです。団体結集するためには、お互いが苦労しなくちゃならぬ、努力しなければならぬ、他力的に法律によってみんな集めようという精神は、これはもう何といってもファシズム的な傾向、統制経済というものになる。自民党が自由経済を標榜しておりながら、統制経済をやるというのは、よくよくのことでございましょうけれども、私はその方法としては調制命令、アウトサイダー規制命令というものでやれると思います。だから、そういう点で、中小企業のために一致してやる、どうもそこまでいくというと、加入命令を固執しているわけが、どうしてもわからない。今お答えによるというと、アウトサイダーが多い場合においては、アウトサイダー規制命令では実効を期しがたいと言っておりますが、もうちょっと、私は大臣が、加入命令は必要なんだという理由がわかれば、さらにわれわれは思い直すことにやぶさかでない。ところが、どうしても今までの御答弁においては出てこない。自主的に調整させるといっても、これは私は一万人が一万人全部やるのは無理だ。だから団体、三分の二作ればアウトサイダー規制命令でやれ、それがどうしても工合が悪かったならば、さらに将来において考えてもいいと言っております。だから、ここで一つまとめるように御発言があってしかるべきだと思いますが、いかがでしょう、まとめて下さい。
  64. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) たびたび繰り返して申しわけないのでありますが、ただいま申し上げておりますように、現実の問題として中小企業安定法のいろいろ経験に徴しましても、内部に入って、そうして自主的に規制をやっていくということが必要で、また、その方がいいということを確信いたしております。その点は従来のいろいろ中小企業安定法ではどうにもならないということに追い詰められておるわけでございます。その点はどうぞよろしく御了承願いたいと思います。
  65. 岡三郎

    岡三郎君 私は党に怒られるかわからぬけれども、私の直截な意見を申し上げますが、私の視察したところでは、福井のめがねの業者のように、外国のハイヤーが来てたたく、そうしてバイヤーの言うなりに製造加工しなければならぬ、こういう苦境を見て参りました。新潟における、燕における洋食器のナイフ、フォークの生産事業、これも非常にたたかれていることを見て参りました。だから輸出業に対しては窓口を一本にするということになれば、第一の業種については、私は加入命令をやらなければならぬという段階があるかもしれません。しかし、これもよくよくのことでなければやらないと言うのです。それを環境衛生法も含めて、何でもかんでもこれでやれるということ自体むちゃくちゃですよ。もうちょっと業種をしぼるべきだ。私はこの前にやったように、新聞の販売店なんかにおいても非常な問題が起るかもわからないし、米穀業者の中においても起るかもしれない、公共的な問題の中においても起る可能性がある。だから業種をしぼって、こういう業種が必要だ、だから輸出業者の窓口を一本にして強制加入ということならば、輸出入業法の改正においてこれは実現できる。そういう点になれば、われわれは新しい角度で検討する余地があるかもしれぬ。検討してみなければわからないけれども、そういう点なら……。しかし、これが全部が全部全産業を網羅した中小企業に対して網をかぶせるということについては納得できないが、この点はいかがでしょうか。
  66. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知の通りに、法文の中におきまして非常にしぼったいろいろ制限を加えて、これより方法がないというときに、初めてこの規定が発動するのであります。また、もちろん、政府も認可するについて審議会等の議も経まして、あらゆる手段を尽してやるのでありまするから、これはごく少数組合が必要でありますなら、それにまさに該当するような規定になっておりますので、その点は御了承願いたいと思います。
  67. 岡三郎

    岡三郎君 だから、ごくごくまれな場合にこの強制命令を発動するわけですね。しかも、その場合の一つの基準としては同一業者、あるいは地域組合において四分の三というものが加盟することを条件としているわけです。ですから、私はよくよくの場合というならば、へそ曲りが、あなた、うんといるというなら、これは別で、アウトサイダー規制命令によって公共福祉というものは守り得る、こういうふうに考えているわけなんですが、それは守り得ないという大臣の見解をもう一ぺん聞かせてもらいたい。三分の二の団体を結成してアウトサイダー規制命令を出して、そうして公共福祉を守り得ないから強制加盟が必要だ、こういうふうな点の理解がいくように一つ答弁願いたい。
  68. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ちょっと御質問の御趣旨がよくわからないのでありまするが、四分の三……。
  69. 岡三郎

    岡三郎君 大臣、わからなければもう一ぺん言います。つまり、大臣公共福祉の必要上、それから国民経済の健全な発達というものを表に出して、こういう規制はこれでいいのだ、こういうことを言われているわけなんですね。ところが、根本的にいうと、第九条において明確に、こういう場合においてこうするのだ、商工組合についても書いてありますね。それで私は三分の二の団体結集されればアウトサイダー規制命令が出せるということになっているわけです。だから三分の二の団体を作れば規制命令を出すことによって、他のいろいろなじゃまをしているものが、かりにあったとするならば、それを規制することができるのだ、それを怠れば過怠金を取って手数料を取る、いろいろな方法においてそれを規制するととができるわけでしょう。そういうふうなことをやっていけば、私は業者も守れる、公共福祉も守られる。それを自主的という名前において全部入らなければうまくいかぬ、そうしなかったなら業者が救えぬ、それがわからぬですよ。私、目的とやっていることと違う。
  70. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 規制命令の場合には、先ほど来申し上げましたように、大企業が非常な圧迫をしておる、あるいは中小企業者がいろいろ部外でやっております場合には、いわゆる組合の自主的調整の能力がないという場合であります。組合に自主的調整の能力がある、そうしてそれを乱しておるものは中小企業者であるということでありまするから、内部に入ってほんとうの自主的な調整に服してもらうということが必要だと言うのでありまして、その点は、明らかに公共福祉を害するものだという場合には該当すると、私はかように考えております。
  71. 岡三郎

    岡三郎君 その点が幾ら言っても……。四分の三ですよ、調整命令を出す場合は。ところが、たとえば四千人の業者があるとすると、四分の三だから三千人を集めなければ調整命令を出せぬわけですよ。ところが三分の二ならばもっとその内輪でいいわけですね。そうしてその目的を貫徹するために仕事ができると、そうでしょう。調整命令の場合には、よくよくでなければそれはやらないと言っているわけでしょう。だから幾ら大臣がどう御答弁なさろうとしても、業界を助ける、そうして公共福祉を守ると、それならばアウトサイダー規制命令というものができると、三分の二で。つまり三千人の中で二千人入ればできるわけですよ。それを四千人の中で三千人入らなければ強制加入ができないものを固執して、そんなことを一々考えているよりも、それこそ民主的に三千人の中で二千人集まったならば、この調整規程ができるのだと、こういうことを業者に徹底して、そうして共同利害の上に立って、理解の上に立って、こういうふうな業者の統一方向というものが、行動というものがとられると、これが私は民主社会における一つの一番正しい、一番すなおな方法だと思うわけですよ。ところが、大臣はそうじゃないのだと、それではできぬと、だからみんなが入って、お互いに話し合ってと言うが、そのためには四分の三という数が必要なんですよ、この法律では。だから私はどうしてもその点がわからないわけなんだ。自主的に話し合いをさせると言っても、いやなものを無理に話し合って自主的に何の話しができるのですか。だから私はまず調整規程によって、その数というものを集める努力をして、そうしてそれによってもなおできない場合においては、十分憲法違反疑い運用によってはできるという問題は、慎重審議すべきだと言っているのですよ。それを大臣は、強制加盟によって同一業者が自主的に何とか話し合いができるようにということを言っておられますが、私はこの法の精神からいえば、業者が救われるようになるためには、五十六条で同じ効果があげられると、同じ効果があげられるものを、なぜ五十五条という憲法違反疑いのあるものを強引にここで主張されるのかということが依然としてわからぬのです、今までの大臣のお答えにおいては。
  72. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 加入命令を出します場合には、もとよりその前に三分の二あれば調整規程はできるわけです。しかし、さらにその員外者のいろいろな妨害によりまして、その調整事業が効果を上げないという場合において、この加入命令が発せられるわけなんであります。
  73. 岡三郎

    岡三郎君 どういう場合に効果が上らぬか、それを言ってもらいたいのだな。
  74. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それは現実問題として、すでにアウトサイダー命令によってその効果が上らぬという場合はもうすでに……。
  75. 岡三郎

    岡三郎君 それは団体がまだ結成されてないからでしょう。
  76. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) そうじゃなしに、もうすでに中小企業安定法におきましては、いろいろやっておるわけであります。ところがその効果が上らぬというのは、結局員外者がいろいろ調整に服しないということから、より有効にその調整規程を守らせるということにつきましては、やはり組合内部に入って、そうして民主的にやっていこう、また、そうでなければ効果が上らぬというところにあるわけであります。
  77. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっとおかしい。今の問題重大だ。
  78. 相馬助治

    ○相馬助治君 岡委員質問関連してお尋ねいたしますが、岡委員としては、本法が願うところの、期待するところの効果は、アウトサイダー規制一本で足りるのではないか、それは以上のような現状によると言うて事情をあげて、あなたに質問をされておるわけです。そこで、大臣は、これは二重の必要があるという根拠に立ってお答えをされておると思うのです。問題を見つめるために、私は角度を変えて同一の問題をお尋ねしたい。大臣はあらゆる手段を尽して、しかも効果が上らない場合において加入命令を出すと、かように申しておりまするが、あらゆる手段を尽してという、その中にはアウトサイダー規制をも含めておるように今の発言で承知するのですが、さように了解してさしつかえございませんか。
  79. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) そうではありませんので、加入命令を出します場合は、御承知のように自主的調整の能力がある場合、規制命令を出します場合には自主的調整能力がないか、あるいは大企業がそれを阻害しておるという場合、その点は全然場合が違うわけです。
  80. 相馬助治

    ○相馬助治君 ですから岡君が釈然としないのだと思うのです。本法が期待するところの効果というのは、不況要件によって商工組合が設立され、設立された商工組合がその場合によってアウトサイダー規制をも出さしめることによってこの効果を願うと、こういう場合において、この規制命令においてその効果が十分上げ得られるではないか。その場合に憲法違反疑いあるといわれる加入命令を二重にかぶせることは、これはおかしいではないか。それは立法技術論からおかしいなどというのではなくて、かつてあったところの安定法その他から推して実情からしておかしいではないか、おかしくないとするならば、おかしくないとするととろの具体的な根拠、理由を示して説明をしてくれ、こういうふうに大臣に聞いておるのです。ところが、大臣の方は、必要だからやるんだ、こう一点張りなんです。どこが必要なのだと、こう聞いておるのです。従いまして関連してお尋ねいたしますが、憲法違反疑いあるといわれておるところの五十五条の規制をもあえて加えなければならないと御決意をする政府の、理論的な根拠でなくて経済的な、本法が事実企図するところの不況要件の克服という角度から、かくかくしかじかの理由で二重の網が必要なのであるという具体的な証拠、そうして事情、それらを一つお示し願いたい。話によっては、われわれの方も考え直してみるというのです。-われわれの方の意見によって、あなたらの方が屈すれば、そっちに考え直してもらわなくちゃならない重大な問題でございまするから、とくと一つ御指導賜わりたい。
  81. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この自主的調整をやるのが大体原則であります。大部分はそれによってやられると思います。そうしてそれがなぜ加入してもらわなければ困るかということは、結局において監督といいますか、監視といいますか、ただ単にアウトサイダーであります者については、なかなか監視はしにくい、むしろ中に入って顔を見合せておるということがお互いに調整が円滑に行われるということを先ほど来申し上げておるのであります。それがあくまで必要だと申し上げておる根拠であります。
  82. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ちょっと先ほどの質問関連して伺いたいのですが、私はこれはやや重要なことだと思うのです。大臣の御説明で、員外規制命令では、従来の経験によると、十分の効果を期し得ない。従って組合強制加入をせしめて自主的の調整を行わしめる。その方がより効果があると、こういう御説明でありますが、員外規制命令は、言うまでもなく、安定法においても、政府自体の命令、言いかえれば、国自体の命令なんであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)国自体の命令が効果を上げ得ない。むしろ、自主的にやる方が効果的だと言われる御説明は、制度論として私は非常に問題だと思う。そうだとすれば、何がゆえに、たとえばこの案においても、員外規制的の命令を用意もしてあるのだし、少くとも一般においては、中小企業者員外者も、国家の命令とあらば、一応それに従うというのが、法治国の建前としては私は当然であろうと思う。ところが、その政府の命令、国の命令では、これはだめなんで、むしろ組合に入ってもらって、その規制の方がいいんだということは、どうも納得が実はできない。先般岸総理もその方が好ましい、その方が民主的であり、自主的であるから、その方が好ましいと言われた。この意味はよくわかります。違憲論は別として、国の命令ではだめなんだという御説明は、ちょっと納得がしかねるのであります。
  83. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) あるいは好ましいと言った方がいいかと思います。原則としては、あくまで自主的にやってもらう。で、私は中小企業者自身が員外でやって調整事業を乱しておるという場合には、御承知のように、組合自身が自主的調整能力がないという場合でありまするからやむを得ませんし、また、これは非常に例外的なものだと思います。
  84. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 これらのまあ実績についてのお話があったのでありますが、安定法においては、御承知のように、組合自体が十分自主的な調整能力があって、しかも員外者があって、その員外者が過度の競争をするために、そのアウトサイダーに対して員外規制としてその組合規制に従いなさい、こういう道があったわけですね。ところが、その道では十分の効果を上げ得ない、こういう御説明だと思うのであります。私のもう一つの疑問は、国自体の命令も実はアウト・サイダーもなかなか聞かない。どういう原因か知りませんが、聞かない。大臣はそう言われておる。そうすれば、そういう人が組合に入れば、自主的にその規制に当然従うであろうという想定をされる根拠がどこにあるだろうか。組合に入っても、依然その組合規制に従わないということがむしろ、もちろんあり得るのじゃないでしょうか。国の命令には従わない。しかし、組合の命令には従うであろうと言われるその見通しの根拠ですね。私はそれを非常に実は不思議に思うのであります。組合としては迷惑であるが、加入はけっこうであります。けれども、国の命令にもなかなか従わないようなものが、組合に入ってきて、自分たちの命令に従ってくれるというふうに簡単に想定される見通しと根拠ですね、これはちょっと不可解なんです。
  85. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来申し上げておりまするように、組合内部に入って、その規制をやらなければならぬ理由、あるいはその方法について参加していろいろ事情を聞き、また、監視に当りましてお互いに顔を見合して、やっていく点で、お互いに守っていこうじゃないかという気分になるということは、私は自然の道であろうと思います。従ってその方がより規制をうまくやっていけると、かように考えているのであります。
  86. 島清

    ○島清君 関連して。どうもやはり大臣答弁を承わっておりますというと、岡委員が指摘しておりまするように、非常にファッショ的な考え方があるのじゃないかと思うのです。業者は、政府が心配されているように、業者はこの不況をいかにして克服していくかということについて、それは自分の生存にかかることでありまするから、心配をしているわけです。承知をしているわけです。それが、業者がこの組合を作って、強制的に組合の中に入れられて、どうやって不況を克服していくかということについて、業者がそれほどの知識を持たないということの大臣の判断というものは、私は国民を愚弄して、業者を無知もうまいのものであるという断定のもとに、大臣がそういう発言をしておられると思う。これは私は国民をもう少し信頼された上で発言されることをお願いしたいのでありまするが、私たちが心配をしておりまするのは、なぜいやがる馬を池のそばへ連れて行こうとするのか。(笑声)なるほど手綱をくっつけて池のそばまでは持って行くけれども、しかしながら、水は飲みませんよと言うんです。しかしながら、大臣は、いや連れて行きさえすれば、そこで水も欲しくなるだろう、飲むだろうと言うんです。その水を飲みたくないというのです。飲みたくない人は、それにはバクテリアが入っているかもしれない。腸チフスのばい菌が入っているかもしれないと、こう言うのでありますから、だから飲みたくないと言っている。にもかかわらず強権をもって馬を引っ張ってきて、そうして連れて行ったならば水を飲むだろう。どうしても水を飲まさなくちゃならぬということの結果、カンフル的な注射が必要であるということになる。そこで、待っていましたと言って、国家の規制命令が待ちかまえているわけですが、これだけで十分に用を達するのじゃないかということが、私たち質問の要点です。あなたは中に入れなければいけないと言う。商工組合の本質なり、あるいは目的なり、事業計画なり、それがわからぬからして、それをわからせるためにその強権をもってきて、ワクの中にはめ込んだ方がよろしいとおっしゃる。これは私は、国民が不況の克服をどうやっていくかということに悩んでおられますので、業者の見識といいますか、良識といいますか、それをまったく無視したところの発言のように思えるのです。この点いかがでございますか。
  87. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 決して無知もうまいというような考えで申し上げているわけではありません。内部に入ってもらって、そうしてその人の主張もいろいろと主張してもらって、(「自由でいいんです。自主的で……」と呼ぶ者あり)そうして自由に入ってもらって、そうしてみんなで規制をやっていこう、こういうふうな気分になってもらうのが自然の道だと思います。その点を私は先ほど来申し上げているのでありまして、決して無知もうまいだからという意味じゃなしに、お互いに一人一票によって主張もし、そうして議論が尽された結果、その問題については屈服してもらう、これはもっとも民主主義の原則だと思うのであります。(「おかしい」呼ぶ者あり)
  88. 島清

    ○島清君 それは私は大臣が形而上学的な表現をされて御説明をなされるのもよろしい。そうなりますと、あなたの観念と私の観念とは対立状態になるのです。しかしながら、この法律のどこを見ても、あなたのおっしゃるように、このワクの中に入れればその話し合いがつくのだという条文がないのです。私たちは立法者なのです。それが強権以外にはないということなんです。しからば、そういったような強権を発動して、いやがるものを強制加入さしておいて、どこにあなたがおっしゃるような期待が可能だという条文がありますか。ないはずです。ないからこそ、規制命令というものが用意されておるのです。だからもしこの条文の中に、この膨大な法案の中に、あなたのおっしゃるように、強制加入で入れたならば、この条文のどこかに大臣が期待するような救済の方法の条文があるならば、お示しをいただきたい。この条文がないとするならば、あなたは立法をするのに形而上学的な用語を使って説明しておるにすぎない。それでは院外等の討論会においてはそれでよろしいかもしれませんけれども、しかしながら法治国の国民をして、立法されたならば、法律施行されたならば、いやおうなしにここに守っていかなければならないという立法をいたしまする場合には、私はやはりこれはこうなるであろうというこの条文のどこにこういうものが保障されておるのだ、ということを僕はお示しを願わないと、納得するわけにいかない。ですからこの条文のどこに、今、大臣が説明されておるようなことの規定があるか、お示しをいただきたいと思います。
  89. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 規制命令を出しますのは、組合が自主的調整の能力がないという場合でありまして、私は原則として加入命令によって団体に入ってもらってやるという建前になっております。もとより法律の中にその少数者……ただいま御指摘になりましたような、民主的になるという規定はありませんが、これは自然の人情ということに帰着すると思います。
  90. 相馬助治

    ○相馬助治君 実に重大な問題で、五十五条についてしばしば引例等が試みられて、問題の本質をときどき離れがちだと思うのです。そこで、もう一度私は関連して明確にお聞きしたいことは、岡委員が指摘しておりますることは、岡委員個人の疑問でなくて、私の党が疑問としているととろなのです。そこで私は以下のことを聞きます。三点についてぴたりとお答えを願いたいと思います。  この団体法が不況要件を克服するために、商工組合を作って調整事業を行う、そしてこの一部のひねくれ者のためにアウトサイダー規制をやる、けっこうです。こういうことをやらなければ、この法律効果がない、そこまではわかった、それはけっこう。そこで、五十五条に強制加入をやるということの目的が私どもにはわからない。そこで第一に聞きたいことは、私の見解からすると、制度的に無用ではないかということが質問の一点です。なぜ制度的に無用であると私が指摘するかといえば、アウトサイダー規制をする目的は、調整機能の効力を確保することによって、この効力は五十六条で万全に確保されている。言うことをきかない者は過怠金まで取られる。そこで万全に確保されておる。にもかかわらず、加入命令まで、強権を、そこで国権を発動するということは、ことさらに必要はないではないか、こういうふうに考えるのであるが、それを必要とする制度上の理由、これが聞きたい一点です。だから私は制度的に無用だと言ってるのです。しかるに必要だと言うから、それじゃ制度的に必要とする理由を承わりたい。これは梶原委員も言ってる通りです。  第二は、規制命令は、政府が調整規程を参酌して判断してやるのでありまするから、服従命令に伴う責任は、政府自体が持っておる。中小企業庁長官以下、中小企業庁が責任をもってこの調整命令等については考えてこれを発動するから、めちゃくちゃな発動はあり得ないとわれわれは推論することができる。しかるところ、加入命令の場合には、加入命令によって員外者たりし者が員内者になって、そうして今度は拘束を受けるのですが、その員内に入って受ける拘束というものはだれがきめるかというと、組合の発議によって組合の意思で決定する。そうしてお前はその辺にいないでこの組合に入れといってぶち込まれて、入ってきた者に対する命令を、入れた政府がどこまでも責任をもってやっていくならば、私どもはわかるというのです。いい悪いは別としてわかるというのです。ところが、入れられたものが組合の発議に基く意思によって拘束されるということを見るというと、その組合内においてきめられる意思というものは、この際政府がきめる意思よりも、公正度が低いと推論しなければならない。大体の場合においてそういうふうにわれわれは推論しなければならない。そういう角度から見るというと、この五十五条というものは私どもに言わしむれば、無用でなくて本質的に危険だと言っておるのです。無用有害論なんです。それで五十五条がなければ本法が不況要件克服ができないというなら、入れることはないというのです。それはアウトサイダー規制でもってちゃんと別の五十六条でできることになっておるにもかかわらず、これは入れて、そうして公正度の低い組合の意思によって引きずり回される、員外者であるものが員内者になったものの運命を考えるというと、私どもとしてはいろいろな事態を予想して、何としても納得しがたい、これが二点なんです。  それから三点は、これは言っても言わないでもいいことなんですけれども、明瞭に言うために二項と同じことになりますけれども言いますというと、裏面的には加入命令に伴う弊害の最大のものは、ボスの支配です。いやだいやだというものは、いやな理由にその組合の持っておる性格もありましよう。それから組合が持っておる使命その他はわかるけれども、どうもあのボスがにらみをきかして、あのボスが一人で運営している組合なんかに入って命令なんかに服したくないという個人的な感情があるかもしれません。それが国の命令によって無理に連れてきて、そうしてまないたに乗せられてしまう、そうして命令を発した国が、まないたの上で料理するのならいいけれども、今度は舌なめずりして料理するやろうどもというのは組合のボスなんです。こういうことを考えると、私どもはどうもこの五十五条の規定というものはおそろしいものだと思うのです。  従いまして私が聞きたいことは、制度的に無用ではないか、有用だと思うならばその理由を問う。第二点は、本質的にこれは危険であって無用有害論にわれわれは立っておるが、そうでないと反論する論拠と理由があれば承わりたいということ、三点には答えても答えなくてもよろしいが、組合のボスの支配となると思うか思わないか、しかと承わりたい。
  91. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) いかなる場合におきましても、調整規程は行われるのでありまして、その調整規程は政府の認可によるわけなんです。加入命令のあります場合も、ない場合におきましても調整規程につきましては、認可をするのであります。認可によって行われるのでありまして、その不当な認可は絶対に行わぬようにするわけであります。それで加入命令をなぜ必要とするか、調整事業は行われておるのでありまするが、少数員外者によりましてその調整事業が実際にうまく円滑に行われぬという場合におきまして、初めて加入命令の問題が起る、また加入命令によって組合内部に入ってもらって調整規程に服してもらうというのが、より有効で、調整規程がうまく行われるというその点が、必要だという理由であります。また、それによって私は何ら有害な問題が起るとは考えておりません。また、この法律全体がボスの支配を排除するようにというので、一人一票主義によりましたり、また、いろいろボスの支配をしないような制度を設けておるわけであります。さらに認証というような問題もありますので、そのためにボスの支配、あるいはどうもあれは好かぬという場合でありましたら、認証によってそういう心配のないようにという配慮も入れておりますので、私はこれが有害であるというふうには絶対に考えておらぬわけであります。
  92. 島清

    ○島清君 ですから、観念的な論争みたいなことで並行線で、ちょっと話は落ちるところに落ちないと思うのですね。そこで、先刻来岡委員公共福祉とは何ぞやというような問題に関しての明快な御答弁をいただいていないわけでありますが、そういうものの条件の一つとして貿易のダンピングが行われるおそれがあるというようなことと、それから失業者の続出という問題が、条件が二件ばかりあげられたわけでありますが、通産大臣に率直にお聞きしたいのは、もちろんこれは国の施策として行いまする場合には、失業問題もあわせて考えなければなりませんけれども、この中小企業対策は失業防止対策の意味をあわせて含んでおるということなんですか、それとも中小企業者の安定と発展を、国家の健全なる経済発展のために行わんとするのであるか、それを一ぺん明らかにしていただきたいと思います。この法律は失業防止対策の意味を含んでの法律であるのか、さらにまた、貿易のダンピングのおそれがあるということであるならば、先刻来岡委員が説明をしておりまする通り、私はそれはそれなりのまた処置と方法がとられると思うのです。一つの例としておっしゃったのでございまするけれども、私はこれは一つの例じゃなく、場合によりますると全部の例であるかもしれないと思います。この法律の成立を非常に熱望して推進をしておりまする団体の人から私は聞きましたけれども、この方々は五十五条は大したことはないと、削って弔いいんじゃないかと、こういうふうに考えて相談をしてみたけれども、しかしながら貿易業者がどうしても反対だというようなことがございましたので、あるいはこの一例としてあげられたのが、あるいはこれに固執される全部であるかもしれません。ですからこの貿易のダンピングを防止しようとするのには、必ずこの法律に依存しなければならないのであるか、別な方法というものは考えられないものであるかどうか、この二点について御説明をいただきたいと思います。
  93. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この法律はあくまで中小企業の安定ということを目的としております。失業問題を解決する対策というわけではございません。しかし事実問題として、また、その結果として失業者が少くなるという点におきましては、そういう結果になると思います。また、この中小企業団体法につきまして、輸出の貿易業者の面から推進されておるというようなことは私存じません。ただいま一例としてあげまして、そういうダンピングの防止も目的といたしておりますが、それだからといって貿易業者のために、それだけのためにこの規定が必要だとは考えておりません。
  94. 島清

    ○島清君 それなら岡委員がその例をお示し願いたいというときに、私はもっと多くの例を申さるべきだと思うのです。そこで私も、それならば岡委員が先刻質問をされたように、一体どういった例が将来考えられるか。この三つ四つの例を、想定されまするものをお示しを願いたいと思います。さらに、この話を少し下げまして、私は、組合員でございますが、あなたたちが強権をもって網に引っかけようとするところの組合員の対象でございますが、この組合員というものは、いわゆる私は事業を営むもの、すなわち人であると考えておりますが、それは対象は商店という意味なのか、事業主体であるのか、それとも経営者の人であるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  95. 川上為治

    政府委員川上為治君) この法律の対象の問題ですが、業者につきましては、業者のその主体そのものを言っているわけでありまして、個人そのものを言っているわけではありません。それから適当な組合、あるいは強制加入命令なり、あるいはアウトサイダー規制命令なりの具体的ないろいろな対象の問題なのですが、これは先ほども申し上げましたように、たとえば輸出関係につきましては、大臣からもお話がありましたが、業者が非常に過当な競争をしまして、そうしてダンピングをやる、そのためにかえって輸出振興上から見ましても非常なマイナスになる。また同時に、業者そのものにつきましても、あるいは倒産したり何したりするようなものができてくるというような場合におきましては、これはまさしくこういう組合を作り、またあるいは加入命令なり、あるいは調整命令を出す対象になるのではないかというふうに考えます。また、国内におきましても、あるいは現在調整組合ができておりますマッチの製造業等につきましては、これは従来いろいろな競争をやっておりまして、そのために業界が非常な不況に陥っていたのですが、やはりこういうものにつきましても、との法律によりまして商工組合の対象になる、あるいは加入命令なり、あるいはアウトサイダー規制命令の対象になると思います。その他これはいろいろな業種につきまして、そのときの事情におきまして競争が非常に激しくて、そのために業者の方が非常に不況に陥って、そうしてあるいは倒産が続出するというような場合、あるいはそのおそれが非常にあるというようなものにつきましては、これはやはりこの組合を作るなり、あるいは加入命令なり、アウトサイダー規制命令の対象になるわけでありまして、これはじゃあどういう業種についてそういう問題が起きるのかというようなことになりますというと、現在すでに調整組合を作っているものについては、ほとんど全部それに該当すると考えられますし、また、一般の商業等につきましても、あるいは繊維業界、そうしたものにおきましては、やはりこれが対象になるのではないかというふうに私ども考えておるわけであります。
  96. 岡三郎

    岡三郎君 今、川上長官の御答弁を聞いていると、今の調整組合はみんなこういうものになって、商工組合になって、あんたの言葉でいえば、強制命令が発せられるし、アウトサイダー規制命令が発せられる、こういうことになると、これは乱発である。今までの質問に答えて、よくよくのときでないとやらん。ところがあんたの質問の答えは、今の状態で言うと調整組合はみんなこうなって、いずれのときでもできる、こういうことを言っておられるのですが、ほんとうですか。
  97. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは言葉が足らなかったと思うのですが、私は商工組合を作るという点につきましては、現在調整組合を作っておるものはこれは全部のりかえることに一応法律の建前はなっておりますのですが、アウトサイダー規制命令とか加入命令とか、そういうことにつきましては、その移り変りました商工組合の状況を見まして、果してこれが加入命令を出さなければいけないのか、あるいはそのアウトサイダー規制命令を出さなければいけないのか、そういう点は十分検討いたしまして、そうしてその上でよくよくのことでなければ、もちろん出さないわけなんですが、そういうよくよくの場合に出すということになると思うのであります。
  98. 島清

    ○島清君 非常にあいまい模糊として参りましたが、これは川上長官考え方では、たとえば一つの事業場において一人の人がたくさんの商品を扱っているといたします。そういう場合にたくさんな商品別にいわゆる組合加入を要請し、それから調整命令をお出しになるのですか。それとも経営者それ一人に対してお出しになるのですか。
  99. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは一人の業主がいろいろな仕事をやっております場合に、たとえば繊維関係の事業もやっておる、あるいはまた食糧関係の仕事もやっているというような場合におきましては、食糧の組合がもしできるというようなことになりますれば、食糧の組合にも入れますし、あるいは繊維の関係のものができるということになれば、繊維関係の方面にも入ることができるということになるのであります。
  100. 島清

    ○島清君 これは非常に重大だと思うのですよ。手数料を払い、その検査の何か払わなければならぬ。そうして過怠金も払わなければならない。そうしますと、お客さんの便宜上扱っておるという品物がたくさんあると思うのです。陶器をおもに売っておりまするととろの商店でタオルも売っている、あるいはたびも売っている。こういうふうにいろいろの物をサービスの意味において商品を並べておるところがあると思うのですね。そういたしますと、この商店においてはこれはサービスの品物であって、そうして不況とか何とかという問題はそう関係がないのですね。そういうところが入らないからといって規制命令をかけられて、それでいろいろ手数料とか過怠金というようなものをかけられる。いろいろな品物においてそれがかけられるということになると、中小商業者を救うというよりも、これは手数料と検査料と渦怠金だけで、私は商売は成り立たないと思うのですよ。結果的には中小商業者を私は殺すような法律になりかねないと思うのですが、この点はどうですか。
  101. 川上為治

    政府委員川上為治君) 商工組合は、これは第九条によりましても、非常に業者が過当な競争をいたしております場合、そうして非常な不況に陥っております場合に、またそのおそれがあります場合に、組合を作り得るものでありますので、現にそういうような状態になっていないというような業種につきましては、これは認可しないというような建前になっておりますから、いろいろな事業をやっておる人たちがいろいろな大して不況でもない組合ができるはずはありませんので、そういう組合を認めることにもなりませんので、そういうものに入るということはないと考えております。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの五十五条に関連してお伺いしたいのでありますが、私は第五条から第百九条まで十四、五点にわたって御質問したいと思います。しかしきょうは五十五条が中心となっておりまするから、五十五条をさしあたり御質問申し上げますが、その前に通産大臣にお伺いしたいことは、私の記憶が正確であるかどうかわかりませんけれども、五月五日の週刊新潮だと心得ております。これは国会に流れる怪文書と違いまして、膨大な数字の部数が日本国中に散布されております。その週刊新潮に、今回の団体法案を通すためには、某党の代議士には何百万円とか、あるいは何十万円とかという、この法案を強力に進める責任者が記者に発表しておるわけであります。従いまして、私どもはとにかく汚職ということになると、通産省が非常に多い。バナナの問題しかり、競輪もそうです。あるいはまた、外車の問題も通産省だ。今度は売春汚職は、通産委員にはありませんけれども、(笑声)とにかくそういう問題が次から次へと起ってくるさなかに、そういう記事が週刊新潮に出ておりました。私はこの記事はうそだと思いまするけれども、こういうことがあってはまことに重大な問題でありまして、こういうことが、これはわが党はもとより、これは自民党さんでも、緑風会さんでも、一人でもあってはいけない。もし、今回こういう問題があれば、国民はもう国会というものを信用しなくなるだろうというふうに私は心配するわけであります。国会議員としてこういうことをまあ私は心配するわけであります。そこで、たまたま五月五日のまあ記事でございまするから、そのあたり大圧力がかかりまして、参議院においても本委員会で一時間も、あるいは一条も審議しないうちにこの法案を通そうと、こういう発言をした人がありました。速記録で明確にわかっておるはずであります。こういう状態でありまするから、私は非常に通産委員会というものを心配し、国会の将来を心配するわけであります。そこで、今回の問題に関連いたしまして通産大臣の、この前も綱紀粛正については御質問申し上げましたが、その点の誤報であるか、週刊新潮の記事が全くでたらめであるか、そういうことをまず明確にしていただきたいと思います。
  103. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私は実はその週刊新潮を読んでおりません。また、ただいまお話しのような事実は全然聞いておりません。何にもその点は私は関知しておらぬのでありまして、事実そういうことはないものだと思います。
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあないものだと思いますということであれば、それでけっこうであり、私は通産大臣は読んでおらぬということであれば、非常にのん気なお方であると、少くともそういう問題には一国の大臣はやはり気を使わなきゃならぬというふうに私は考えたわけであります。(笑声)そこで、この法案がもしかりに明後日通るか、あるいはその後日通るかわかりませんけれども、とにかく国会を通ったということになれば、この状態を見てまあ大臣が命令をし、組織を作ることになるのですが、現在の日本国の中小企業の状態では、五十五条が直ちに適用することになりませんか。まずその点をお伺いいたします。
  105. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 五十五条の適用ということになりますと、私は非常に少いと思います。全然ないとは思いません。
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 ないとは思いませんということでなしにですね。現在の日本国の中小企業の実態から推して、適用するようになるかならぬかということです。まさかあなたは明日通産大臣をやめるわけじゃないでしょう。当分大臣の首がつながると思います。で、もしこれが通ったときは、あなたがどういう判断をなさるかということをお聞きするわけです。
  107. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ごく少数の場合に、発動するのではないかと思いますが、これはまた、組合自体がそういうことをやっていかなければなりません。従って、まあ認可ということになりますと、われわれ受けて立つわけであります。ただいまのところ、これはこうだということは申し上げられません。
  108. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたは、さいぜんのわれわれの同僚委員に対する答弁と、私に対する答弁と全然違うのですよ。あんた受けて立つと言うが、しかし強制命令というのは受けて立つのでない。あなたの方からとにかく能動的に出すことになるのでしょう。受けて立つなんということは、そういうでたらめな答弁はちょっとこれは困ります。それからもう一つは、あなたがあるかもしれぬという状態については、あなたは通産大臣になってからもう半年になるのですから、若干例をあげて、どういう職種は今直ちに必要だというようなことを、これは一つ二つ事例をあげて御答弁願いたいと思います。
  109. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来申し上げておることと変りませんので、これは法文にもありますように、申請によって認可するということになっております。従って、そういう申請を出してくるかどうかということは、今直ちに申し上げるわけにいかぬと思います。また、事例によりますと、結局中小企業安定法の現在調整事業をやっておるもののうち、あるいはそのうちにはこういう申請があるのじゃないかというふうに考えております。
  110. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、今より四日前に、通商産業大臣から、われわれは昭和…十三年度の通産省としての政策を承わったわけです。そのときにあなたが、外貨の今後の正常化から始まって、中小商工企業の発展状態、あるいは大企業の状態、こういうことについて、るるわれわれに説明なさったわけですけれども、あの状態をそのまま率直にわれわれが想像し、あるいは大臣お話をそのまま受け取りますと、現在より悪くなるということは決しておっしゃっておらぬ。現在より相当飛躍的に発展するということを、あなたが明確におっしゃっております。そういう根拠は、あなたはどこから出して、われわれに発表されたのですか。
  111. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先般来申しておりますことにつきましては、輸出振興によって、そうして経済をよりよくしていくという、その方策についてのお話を申し上げたのであります。現在におきまして、非常に不況で困っておる業態もずいぶんあるのでございます。ただ、現在の状態からいいましても、輸出はかなり好況であります。今後さらに一段の飛躍をはかっていってよくいたす、しかし、これは全般の業種が、必ずしも常によくなるというわけには参りません。過渡期におきましては、いろいろな事態に遭遇すると思います。それらの問題を解決をいたしますにおきまして、この団体法も一つ方法だと思います。ことに加入命令を出しますような場合は非常に少いと思いますが、その他の調整事業をやらなければならぬものにつきましては、御承知のように輸出に関しましても相当あるのであります。従って、加入命令はごくわずかな場合でありましょうが、調整事業をやる組合は相当あると思います。
  112. 阿部竹松

    阿部竹松君 今の一つの政党なら、一国の同じ政党の内閣であれば、政策が同じでなければならぬというように、私は判断しております。一方では景気がどんどんよくなりますよという政策を発表して、一方ではこれから困った世の中になりまするから、こういう法案を作っておかなければならぬという準備のよさ、あまりによすぎるのではないか。極端にいえば矛盾しておるということについては、どうお考えですか。
  113. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど申しておりますように、現在において非常に不況でお困りの業種は確かにあるのであります。また、それらをもちろんよくして参らなければなりませんが、結局において輸出によって日本の経済を伸ばしていく過程におきまして、場合によりましては、不況要件に該当する、実際申しますと、現状におきましては、至るところに過当競争は行われておるのであります。従って調整事業をやらなければならぬ業種につきましては、私はかなりあるのじゃないかと思います。ただ、加入命令まで出すものは必ずしも多くない。ごくわずかな場合だと思います。
  114. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、四日前にお出しになった産業政策はでたらめであって、当然、将来こういう状態があるということなんですね、かなりあるということは。そういうことであるから、かなりあるから、当然こういう法案が必要だということにこれは結論がなりますね。これはイデオロギーとか河とかの問題でなくして、大臣お話をそのまま解釈すると、そういうことになります。
  115. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先般来申しております政策は、これは国全体としてよくなっていくのであります。そのことはまた一面から言いますと、こういうふうに中小企業の安定をはかって、できるだけ心配のないようにというのも必要だと思います。その間私は何ら矛盾がないと思います。
  116. 阿部竹松

    阿部竹松君 一方では、昭和三十三年度の日本の産業政策というものはこういうものであると言って、美言麗句をうたってわれわれに発表しておきながら、一方ではこういう条項に当てはまるものがたくさんあるので、こういうのが必要であるというようなことについては、非常に矛盾だというように私は判断します。しかし、その点については後刻十分大臣もお調べになった後に討議をしたいと思うわけですが、それでは五十五条のこの四の項について御質問申し上げます。この四の項には「第一項の規定による命令があったときは、その命令の対象となった中小企業者のうちその商工組合加入することに支障がある者は、その命令があった日から起算して二週間以内に行政庁にその旨の認証を求めることができる。」以下でございますが、この「認証」というこの字句について、衆参両院からおいでになった代議士、あるいは小笠政務次官等からもいろいろお伺いいたしました。しかし、そのときの御答弁では、認証というものはこれは簡単に申し上げれば、大体届出にひとしいというような意味の御開陳がございました。ところが、私は、これは参議院の法制局で聞けば見解の相違だと言われては困るので、衆議院の法制局の責任者に聞きましたところが、衆議院の法制局の御意見は、ここで御答弁になった小笠政務次官あるいは小事衆議院議員答弁と非常に違うわけであります。こういう点について通産大臣の認証ということに対する明解な御答弁を願いたい。
  117. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 認証という言葉は、届出に非常に近い言葉だと思います。
  118. 阿部竹松

    阿部竹松君 その近いということはどういうことですか。一つ法律を作るのに、そういうあいまい模糊なことで法律は作ることはできませんよ。
  119. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 届出という言葉を使っておりませんから、多少ニュアンスは違うと思いますが、法律的な効果は同じということであります。
  120. 阿部竹松

    阿部竹松君 届出と認証と同じだということですか。
  121. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 法律効果は同じだと思います。
  122. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、私どもがこの認証を届出と修正することについては、同じであるから異議ございませんね。
  123. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 届出といいますと届出る方でありましょうが、認証というのは行政官庁の方から認証ということじゃないかと思います。
  124. 阿部竹松

    阿部竹松君 それ、とてももう私そういうことでは質問できんです、実際。どういう意味ですか。同じであるといって御答弁したり、片一方は役所の方へということですが、届出も役所へ届出することになるのでしょう。内容は同じである。字が違う。これ、どうですか。
  125. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私は行政庁の行政処分といいますか、行政行為だから認証というふうに考えております。
  126. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、行政行為であっても、届出と書いても何ともないのではないか。あなたも大蔵省に長いことおって、そういう同じ文句であれば、これはおかしいでしょう。
  127. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 届出と、届け出る方の側から申す場合には届出だと思いますが、その点については他の政府委員から御答弁いたします。
  128. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は、通産大臣を責める気は毛頭ないので、ほかの方の説明でもけっこうなんですが、本件に関しては、傍頭申し上げました通り、小笠さんの答弁と小中衆議院議員答弁と衆議院の法制局の答弁が違うから、法律ができてしまったら、われわれ立法府の手を離れて、行政府に移る。そこで、大臣の明快な答弁を願っておかなければ、あとであのときどうなりましたかといっても、われわれは回答することができない。従って、別に、私は次官でも長官でもけっこうだが、本件に関する限りは、大臣から明快に御答弁を願っておかなければならないし、あるいはまた最後に、法制局の発言が優先するものか、ここでお話があった大臣答弁が優先するのか、そういう点についても明確にお示し願いたいと思います。
  129. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは、大臣から今お話がございましたように私どもは解釈いたしております。要するに、認証というのは、実際問題としては、届出がありまして、それに対して証明する、認証する、こういうことになるかと思うのであります。ですから、受ける方と出す方とのこれは違いかと思うのであります。
  130. 阿部竹松

    阿部竹松君 川上長官の話を聞いて事足りるのであれば、大臣にお聞きしません。あなたの答弁と衆議院の法制局の言い分が違うのですよ。ですから、私は、大臣にこれは明確にしてもらわなければならない。しかし、この次は総理大臣がおいでになるそうですから、大臣でわからなければ、総理大臣にお伺いするということで保留するのであって、あなたのようなお話は、法制局では、全々違います、こう言っておるのです。私の言うことがでたらめであるというならば、衆議院の、今晩はおらぬかしらぬけれども、法制局を月曜にでも連れてきて、ここで答弁してもらわなければならぬ。どうですか。
  131. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま長官から御答弁申した通りだと私は存じております。
  132. 島清

    ○島清君 大臣は、今、届出の側からすれば届出だ、官庁側から見れば認証だ、それから、証明が必要だからこれは認証だと川上長官は言っておるのです。別に、戸籍謄本をとる大たいに、証明をしてもらうという必要はないと思うのですが、また、行政行為であるから認証である、こういうふうにおっしゃったのですが、たとえば、子供が生れて出生届を出します場合でも、これもやはり向う側から見れば行政行為なのである。そこで、今までの行政行為の中に、一体、届出というものが認証という形で表現されておるものはなさそうに思うのです。これは新しい概念だと思うのです。ですから、今まで行政行為の中にも、認証という言葉が入ってないのにかかわらず、ことさらここで、それは行政行為であるから認証という言葉に、届出と同じだけれども認証という言葉にしたんだというところの特別の理由一つお示し願いたい。
  133. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 届出がありました場合に、行政行為が必要である場合には、たとえば、登記でありますと、それを登録するとか何とかいう言葉になるのだと思います。行政官庁が確認するということでありますから、認証という言葉を使ったのだと思います。
  134. 島清

    ○島清君 確認というのは、たとえば政令を出して、どういうふうにお考えになっておられるかわかりませんけれども、要するに、島何某がこれを届出をした、ここで何か確認書みたいなものをとらなければ、これは効力を発生しない、こういう御認定でございますか。
  135. 川上為治

    政府委員川上為治君) ただいまおっしゃった通りであります。(「えらい違いだ」「これは重大だ」と呼ぶ者あり)
  136. 岡三郎

    岡三郎君 とにかく、大臣の今の答えは、届け出ることと内容は同じだと言った。ところが、証明しなければだめだ、との食い違いは明確にしてもらいたい。大臣は明確に言ったんですよ。
  137. 相馬助治

    ○相馬助治君 それと同時に、岡君の質問と同断ですが、小笠次官は、これは確認というけれども、行政行為として届出だと、こう言う。届け出て確認されるまでの間にトラブルが起きた場合には、どういうことになるのだ、こういうことを同僚議員のだれかが聞いたら、届け出た日に、それはもうその効果が現れる、こう言う。認定だと、こういうふうな、まことに明快な、届出をもって足りる、子供ができたから届け出ますというのとほとんど同断なんですね。け飛ばすことのできないということを予想する答弁を明快に小笠次官が答弁されて、野党側のかっさいを博したわけです。こういう事態があるわけなんです。ところが、今の長官の返事は全く違う、との場合に、非常にわれわれは厄介だと思うことは、行政上の位置は大臣や次官の方が高いけれども、実際に法律ができて、立法者の意思を離れて、その法律が口をきく場合には、私どもは、実質論として、中小企業庁長官の見解を重しとせざるを得ない。大臣、この食い違いは、これはどういうことになって、どっちが正しいですか。
  138. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは、届出が、実際その書類を提出して参りまして、それを十分調べまして、それは間違いないということで認証するということになると考えております。
  139. 相馬助治

    ○相馬助治君 届けて、そのトラブルが起きたら、認証の前にトラブルが起きたらどうです。届出が有効ですか。その場合、小笠次官は、有効だと述べておるのだが、そこまで拡大解釈して差しつかえないですか。
  140. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 認証の解釈の問題につきましては、先般の御質問に対しまして、私は、支障あると思う者は認証を求めることができる、府県知事に、こういうふうな条文になっておるので、この「支障がある」というのは、だれが認定するかということについて、命令を受けた者が主観的に認定するのだと、こういうふうに読むのが適当じゃないか、こういうお話を申し上げた。具体的に、もしそうなりますと、この認証を求めるという行為をしたということは、届出を実際するのと法律効果は同じだ~、こういうことを申し上げたわけであります。従いまして、いわゆるトラブルというか、途中に、たとえば一定の期限内に認証の確認といいますか、簡単な行政行為をするということがおくれても、効果は、もうすでに期限内に、いわゆる認証を求むる行為が、府県知事ですか、に出されておれば有効だ、こういうふうに申し上げたおけです。
  141. 相馬助治

    ○相馬助治君 ですから、全く私どもは誤解していないのです。この法律では、「支障がある者は」ですから、この場合には、命令を受けた者が届出をして許可してもらえばいいのだ、支障あるというのはだれが判断するのだと、こういうことになりますと、中小企業庁長官の今の御答弁では、いろいろ研究調査して、こう言うのです。そうすると、それは官側の意図が入るのですが、小笠次官の場合には、支障あるという判定は、支障ある者自身の判断をもって足りると、こうおっしゃった。そうすると、支障あると自分が認めて、自分が届け出たのですね。そうすると、認証はいまだないけれども、認証以前に、何か員内者だとか、あるいは員外者だとしてのトラブルが起きたときには、その支障あると個人が、自分自身が法律の命ずるととろによって判断し、届出という行政的な措置に訴えておるのだから、もうその間のトラブルはあげて向う様にある、こういうふうに解釈をせざるを得ない。その点、今の次官の話もその通りなんです。それで次官の話は、との前おっしゃったことと全く同じです。そうして私の解釈も狂っていないと思うのです。ところが、長官の今の説明は届出があった、そとでいろいろ調査いたした結果、その届出のあったことを確認する、調査するという言葉の中には、官の意思が含まれてくる、その何パーセントか、ごく微量なものであるかもしれないが、けとばすこともあり得るというふうに私は考えざるを得ない。明らかに意見の食い違いだというふうに思うのです。だから、その判定は大臣に承わりたい、こういうふうに申しておるのです。
  142. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私の申し上げましたのは、いわゆるその内容の調査についていろいろやるというような意味ではなくして、届出の書類が出て参りますというと、その書類を見まして、その書類に対して、これは認証というのは判を押すということになるかと思うのですが、そういう意味の認証だと、こういうふうに考えておるわけであります。
  143. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 関連して。緑風会内部でも、いろいろこの問題についての疑問がありますので、私も確認をしておきたい。五十五条第四項の認証を求める云々ということは、商工組合加入することに支障あると思う者は、行政庁にその旨を届け出でて、その届け出でたことの証明を求めるということと同様と解して差しつかえないかどうか。簡単にイエス、ノーでいい。
  144. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) その通りであります。
  145. 松澤兼人

    松澤兼人君 委員長……。
  146. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 議事進行。
  147. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。本院五十二条により散会いたします。    午後六時三十六分散会