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1957-12-10 第27回国会 参議院 商工委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月十日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小幡 治和君            大谷 贇雄君            古池 信三君            小滝  彬君            西川彌平治君            海野 三朗君            岡  三郎君            松澤 兼人君            大竹平八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    運輸省海運局海    運調整部長   辻  章男君   参考人    日本国際貿易促    進協会常任理事 田尻 愛義君    日中輸出入組合    副理事長    似田  博君    日中貿易会専務    理事      鈴木 一雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済の自立と発展に関する調査の件  (鉄鋼需給に関する件)  (科学技術研究機関に関する件)  (日中貿易に関する件)  (貿易問題に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  前回最終決定委員長に御一任になりました日中貿易協定に関する件の参考人といたしましては、公報に御案内の通り日本国際貿易促進協会常任理事田尻愛義君、日中輸出入組合理事長田博君、日中貿易会専務理事鈴木一雄君の三君に、本日午後一時本委員会に御出席を願うことにいたしました。御了承お願いいたします。  それでは、これより議事に入ります。まず、前回保留になりました鉄鋼需給に関する件を議題といたします。海野君から質疑の御要求がございますので、これを許します。
  3. 海野三朗

    海野三朗君 鉄鋼のまず価格のことから一つお伺いいたしたいと思うのでありますが、今年の三月、予算の場合において、一千億の拡大均衡政策云々を言うておった大蔵省の見通しに対して鉄鋼は非常に高かった。とこころが、半年たたないうちに建値を割るというような下落を来たした。これは世界経済変動であると言うかもしれませんけれども通産省において鉄鋼輸入に関してはほとんどめくらめっぽうにこれを許可しておった。関税を免除して鉄鋼輸入をやったということで、一そうこの価格変動が激しかったと私は思う。それで今日もなお建値を割るというようなありさまである。こういうことでは、鉄鋼の問題はあらゆる産業基礎であることはよく御承知のことであると思いますが、こういうふうに、世界的不況影響が及んでくるということは、あらゆる方面から予測しなければならない。それを通産省はあまりにも近視眼的で、輸入を急いで、国内鉄鋼値段が高いからといって輸入をやったということがこの経済界混乱に対して責任あると私は思うのでありますが、通産当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御所見を承わりたい。
  4. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お話でありまするが、昨年の九月ごろから鉄の需給関係が非常に逼迫して参りました。市中鉄鋼価格うなぎ上りに上っていく、十月、十一月ごろがピークになったわけですが、当時の国内のいろんな鉄の価格並びに需給に対しまする要望は、なぜ通産省は早く需給緩和の手を打たないか、輸出を調整し、輸入をすべきではないかという議論が圧倒的で、たしか国会方面でもそういう御意見があったやに聞いております。当時は経済政策の基調も拡大均衡というふうなことが年末から言われておりました。そういうことで、通産省としては、この需給を緩和いたしますためには、これはある程度輸出を押えて、他方輸入を促進するしか方法がないだろう、これはまあ当時のほとんど常識だったと思います。国外の景気お話もございまするが、おそらく当時は、アメリカ景気にしましても、その他ヨーロッパ方面にしましても、これが停滞気味となるということはあまり予想されてなかったように思います。従って年末から輸入手当を急ぎ、なお四月からは輸入税も一時免除いたしまして、できるだけ輸入手配を迅速容易にならしめたというふうなことになっております。その効果が現われ出してきましたころに、今年の夏になりまして経済政策転換投資引き締めという渋い線が出ましたので、これは一番投資方面に使われまする鉄鋼需給関係には相当強く響いて参りました。そこで前に手当しました鋼材が入ってきて、国内需給関係追い打ちをかけておるというような実情でございます。そういうことでございますので、現在から結果的に判断いたしますれば、あの鋼材輸入は、あるいはもう少し控え目にすべきではなかったか、あるいは数字的には入れなくても済んだものかもしれませんが、しかし当時一年前の状況をお考え願いましたならば、これは一体輸入手当をせんで済まし得たかどうかということは非常な問題かと思っております。そういう点で私どもとしましては、何とかして鋼材需給並びに価格が長期的に安定しも形で均衡を保っていくということを茶望したわけでございまするが、昨年の秋以来のような経済政策の余波を受けますると、どうしても若干の変動が出て参りまして、しかもそれがいい場合にも悪い場合にも、大きく波打って鋼材に響いて参るというふうな結果に相なりまするので、まあ今後はできるだけそういうふうなことの起らないような仕組みにはしたいと考えております。なかなかこういうふうな基本的な投資材でございますから、国の基本的な経済政策、あるいは海外経済動面に大きく感じやすいもので、その方法等についてはなかなかむずかしいものがあるかと存じます。
  5. 海野三朗

    海野三朗君 この三十一年の秋には最高潮に達して、今年の四、五月ごろまでには順次鉄の値段が下りつつあったのであります。こういう状況通産当局一体考えていないのですか。この変動、つまり価格が順次降下しつつあるというこの事実を見ておられなかったと私は思うのであります。これはどうなんですか。そうして今年の予算の問題は三月の末に予算が通過したときまでに、すでにカーブはずっと下向きになってきておる、こういうことのお見通しがなくて、それからこの五月、六月、輸入に狂奔するというようなやり方は実にめくらな通産省と申さざるを得ないと私は思うのですが、どうなんですか。
  6. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは今から過去のことを繰りごとになりまするが、鋼材価格の一番高かったピークは大体昨年の今ごろであります。当時先ほど申し上げましたように、鋼材需給関係を円滑にし、かつ価格を安定すべしという世論にこたえまして、輸入手配をいたしました。鋼材は先行き安いぞということを当時のわれわれとしましても需要方面に対して申したわけでございます。現実に昨年の末以来輸入為替の許可もいたしまして、その結果現物が入りまする前に価格が下向いて参って、昨年の今ごろをピークといたしましてだんだんに市中相場は軟調になった、これがその実情であります。当時の見通しとしましては大体その輸入手配をいたしましたのが、役所の手続の段階で三月一ぱい、若干四月にずれるかと思いますが、大体その程度で手配いたしました。そうしますと、当時の見通しから申しますれば、それが入って参りまする夏、秋のころになりますれば、大体建値前後の辺で価格が安定するだろうという見通しでやったわけであります。そこへ先ほど申しましたように、その現実に手当いたしました現物が入ってきます前に、金融の引き締めという、政策の大きな転換が行われました結果、下りぎみ価格に拍車をかけたというのが先ほど来申した実情であります。
  7. 海野三朗

    海野三朗君 今、局長お話では、昨年の今ごろと言われるけれども、今ごろではありません。よくあなたはこのカーブをごらんになっていないのですか。去年の九月ですよ、最高潮に達したのは。それをあなたはおわかりにばっていないのですか。九月最高潮に通して、それから順次減少の一途をたどっておる。そうして四月、つまり予算の通過するときにずっと下ってきておるわけです。これを私は言うんです。十二月ではありません。去年の九月です。私はこの下りかげんを見て、そうして輸入の方はここにある制限を考えてやらなければならなかったのではないか。それをこの価格が下りつつある現状をどういうふうにお考えになっていたか、これに対する、つまり通産省輸入第一課か第二課か知らぬが、あまりにお考えがなさ過ぎると私は思うのでありますが、どうなんですか、局長どうお考えになりますか。
  8. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お話の点は、結果から見ますればその通りだと思います。しかしその結果に至りまするまでには、先ほど申しますように、いろいろ前提の変化がございます。そこで下り始めたものは、これはむしろそういう輸入手配をする準備をし、あるいは輸入の公表をするということからだんだん下り始めたものだと思います。従って、これは今からさかのぼった推測にはなりまするが、大体当時の見通しといたしましては、やっぱり夏、秋のころには均衡を保つだろうという見通しでやったわけであります。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 私はこれ以上この点については追及いたしませんけれども、これを結論的に私が申しますならば、あまりにも無関心と申しますか、先の見通しがなさ過ぎる、通産省としては……。こういうことで鉄鋼行政を担当しておられる通産省は私はこれじゃいけないのじゃないかと、こう考えるのです。それで、ただいまでは鉄鋼建値よりもずっと下回っているというような現状で、これがあらゆる産業影響しておるわけです。いわゆる財界混乱を来たしておる。それは何かというと、通産省の先の見通しがないからだというふうに私は考えざるを得ないので、過去にさかのぼっても仕方がないと今局長は言われるけれども、過去の事実を考えて未来に対する処置を考えなければならないのじゃありませんか。過去の事実を考えて、これではいけなかったというので、さらに一歩前進する態度でなければならないのじゃないかと、私はこう思うのですが、あなたの一体心がまえはどうなんですか。過去の事実を見て将来に……。
  10. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 先ほど申しましたように、鉄の需給とか価格の問題は、一時的な現象でものを見ますよりも、やはり長期的に安定いたして見た方がいいということは、先ほど来申した通りであります。従って、現在のような価格態勢、あるいは需給態勢は、決していいとは思っておりません。さりとてまあ昨年の秋冬のころの一般の需要家あたりの空気は、なぜもっと早く安いものを輸入せぬかという声ばかりだったと思います。その他おそらく海野委員も御承知通りだと思います。われわれといたしましては、そう鉄の需要というものが急激にふえるはずはないのじゃないかという意見であったのでありますが、しかしいかさま目前でこういうふうな市価の高騰ということがございますれば、これはやはり経済政策としてはいいことではございませんので、これを安定せしめますために緊急輸入手配をしたということであります。そこへ先ほど来申し上げております通り経済政策転換という追い打ちがかかった。従って当初所期いたしました価格の安定というのが逆に不安定になったということで、これはまあ結果論から申しますればよけいな輸入をしたということになりましょうが、当時の状況から申しますれば、これは一体輸入しないで済んだかと申しますと、決してそうじゃないと思います。もっと価格も上向く、あるいは需要も不安定だと、いわんや政策転換がありませんでしたならこれはもっと何と申しますか、混乱しなかったかもしれません。やはり当時のやり方としてはむしろ適切なやり方だったと思います。ただ何といいますか、こういう大きな政策転換を、われわれ行政当局が半年も前に予知するわけに参りませんのでこの点はどうも、過去にさかのぼりまして御非難を受けることは、これはやむを得ないと思います。
  11. 海野三朗

    海野三朗君 ただいま局長お話はわからないわけじゃありませんが、この昨年の六月から暴騰して参った、その暴騰したときにすでにもう輸入ということを考えて早く着手しておけば、この九月、十月の暴騰は来たさなかったわけです。それを私はもう少し御勉強になって、政府当局に対して、あなたが局長としてはこういうところの見通しを立て、警告を発しなければならないのじゃないか、政府主務大臣に対してですよ。こういうふうなざまをしておって、今度は入れて、がったり下って、財界混乱せしめておるというようなことは、あなた方のもう少しこれらの御勉強をしていただかなければならない点であると私は思います。  次に、私は、しからばこの鉄鋼が暴騰したから溶鉱炉を建てなければならぬというので、今度は各所において溶鉱炉計画されております。和歌ノ浦にしてもそうであるし、日本鋼管にしてもそうである。ところが、その溶鉱炉一本建つのに対して鉄鉱石はどういうお見通しなんですか。
  12. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 溶鉱炉建設の問題は、これは鉄の価格高騰ということと直接には結びついておりませんで、むしろ鉄の需要が将来長期的に見てどういうふうに相なるだろうかということを、これは先ほどから申しますように、長期的に物事を考える際にはどうしても必要でございまするので、それでたとえば今後五カ年なら五カ年という期限をとりまして、鋼材需要がいかが相なるかという推算をやっておるわけであります。これはちょうど現在経済企画庁の方で作成しております経済計画の一部分に相なると思いますが、そういう長期の需要見通しと、それからそれに応ずる原料態勢がございまするが、御承知のように日本鉄鋼業一つの弱さは、くず鉄を多量に海外から輸入しているという点でありまして、これは今後あまり輸入増加輸入先原料事情から期待できません。従ってくず鉄をあまり使わない製鋼法、まあさしあたりは転炉——コンヴァーターがあるわけでありますが、そうなりますと、それにやはり応ずる分の銑鉄もよけい要るわけであります。そこで一応推算をしてみますると、鋼材需要が過去の日本実績、あるいは海外諸国実績を見ましても、大体は鉱工業の生産指数上昇率と同じ比率を示しておる。アメリカもフランスも、ドイツも大体同じであります。また日本においても過去はそうでありましたので、これを経済企画庁計画数字に合せますると、大体年率八・二%で鋼材需要がふえて参る。そういたしますると、三十一年度において八百九十五万トン余りであった鋼材需要が三十七年度——五カ年後には千四百五十八万トン程度に相なるかと思います。もっともこれはもう少しこまかい御説明が要ると思いますが、それは省略いたしまして、そういうふうな鋼材をまかなうために銑鉄一体幾ら要るかというふうに計算して参りますると、スクラップの輸入をこれ以上ふやさぬという前提に立ちますれば、銑鉄は昨年度の需要の六百七十万トン余りから倍増しまして、約千三百八十万トン余り要りはせぬか、これを国内溶鉱炉を主といたしましてその他特殊用途にいきまする電気銑鉄その他もありますが、大体は高炉銑でありますが、高炉銑が約千二百万トン近く生産いたしませんと、この銑鉄需要には追いつけない。若干輸入も残りはせぬかという気配でありますので、これに応じまして溶鉱炉を建てる必要が出てくるわけでございます。先ほど海野委員から御指摘がありましたが、そういう点等も合せまして、現在五、六基建設中でございます。そうしてこれに要しまする鉱石が、三十七年度におきまして二千二百五十万トン余り、三十一年度の実績が千百五十万トンくらいでございまするから、約倍近くになるわけでございます。御承知のように、国内鉄源といたしましても、鉄鉱石あるいはパ一プルオア、あるいは砂鉄、ミルスケース、その他の原料もいろいろ使用する量を入手いたしますが、これらには、おのずから成分上その他の限度がございまするので、やはりふえる部分の相当大きな量が海外諸国からの輸入に待つ、これはまた、どうも日本鉄鋼業の置かれている資源的条件からいたしまして、やむを得ないと思います。問題は、このふえて参りまする輸入鉱石を、どういうふうにして確実に、かつあまり高くない価格で入手し得るかということにかかっておると思います。まあ、そういう方面で目下いろいろな施策の手も打っておる次第であります。
  13. 海野三朗

    海野三朗君 私は、もう少し詳しく申し上げますが、千トン高炉一本建てると、鉱石及び石炭を入れまして、毎日二千トンずつ溶鉱炉一本に食わせていかなければならないのです。そうしますと、鉄鉱石はほかから運んでくるといたしまして、一日に千五百トンは食う。そうしますと、一万トンの船にしましても、五日間ごとに港湾に入って来なければいけない。そうすると、ジョホールか、あるいはゴアか、どこから持ってくるか知りませんがもその船の見通しがついておりますか。鉱石使用量が確実にお見通しがあるのですか、一体鉱石はこういうふうに入ってくる、そうして船はこうだというところのそのお見通しがありますか。
  14. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) まず最初に、この鉱石の元の方でございますが、御承知のように、日本鉄鉱石は、大体主力は東南アジア方面でございます。今後も大体この方面になりまするが、御承知のように、フィリピン、マレー方面は、現在ありまするそれぞれの山も、かなり埋蔵量の底が見えて参っておりまするので、今後大幅にこれをふやすことはむずかしいようであります。まあせいぜいおのおの百万トン程度か、あるいは百五十万トン程度増加かというふうなことでございます。従って、距離は少し遠くなりまするが、今後考え得られまする新しい所といたしましては、インド方面、それから南米方面というようなことになると思います。それで、インドにつきましては、これは現在二百数十万トンゴアを合せまして入っておりますが、御承知のように、インド鉱石埋蔵量世界屈指のもので、品位もかなり良好であります。難点は、海岸に出すまでの距離、それからいい港がない、この二つかと思います。そこで、現在インドに対しまして、先方と協力して鉄鉱山開発し、これを日本向け輸出するという具体的な計画を立てる基礎になる技術的な調査団を派遣いたしまして、二、三の個所の山元の状況、それからこれを海岸まで運びまする鉄道の建設、さらに、船に積みまする港の整備等につきまして、それぞれ専門的な調査を行いまして、それに基きまして、インド政府と協力いたしまして、開発搬出の方策を講じたいという段取りで進めて参っております。これがうまくいい計画ができまして、完成いたしますれば、将来五カ年後において、大体百数十万トン増加が期待できまするし、十年後になりますれば、おそらく四、五百万トン近い搬出量増加が期待できると思います。それから南米の方は、これは非常に距離が延びまするのと、まだインドほど具体的にあれをしておりませんので、これはむしろインドの次になるのではないかと思っております。チリ、ブラジル、あるいはベネズエラといった方面に、かなり良質の、しかも豊富な鉱石があるように情報は伝えております。まあそういうことで、在来の東南アジア、それから北米、カナダに加えまして、そういうふうな新しい地域の開発を行いまして、必要な鉱石はぜひ入手したいと思っております。御承知のように、世界各国とも、鉄鉱石は自国内の産出がだんだん減りまして、遠く海を渡って海外から輸入して来るという比率がだんだんふえているよいであります。アメリカも、ラプラドルあるいはベネズエラ方面から相当多量に輸入する方向に向っております。イギリスも、北アフリカ方面からもかなり買いつけるというような傾向になりました。まあ、輸入量が漸次ふえて参るということは、ある程度世界的な傾向かと思われます。ただ、問題は、御指摘になったように、輸送力があるかという問題でありまするが、これは、まだ正確な計算はいたしておりませんが、この輸送に要しまする数字につきましては、経済計画上、輸送力の方ともにらみ合せまして、数字は今もちょっと記憶しておりませんが、これに応じますものは、これはそう特別な困難なくして運べるようでございます。ただ問題は、先ほど申しましたように、遠い海上距離を運びまする結果、しかも、海上運賃は非常に変動が多いのでございまして、鉄鉱石の入着価格の中で海上運賃の占める率がそう高くなりますと、なかなか鉄鋼価格の安定という面から見ても好ましくありませんので、問題としましては、やはり一つは、できるだけ品位の高い鉱石を運ぶということにしますれば、これは割安に入手し得る結果になりまするので、そういう品位のいいものをねらう。もう一つは、船の運航能率をよくする、これは、よく言われておりまする専用船、オア・キャリアの問題でございますが、できるだけ鉱石だけを運ぶ船、これはそういう構造にしますれば船価も安くなりましょうし、それから積み地、揚げ地の設備を整備しますれば、停泊期間も短かくなりますので、そういうふうに総体的に運航費を下げて運賃影響を小さくするという形でできるだけ鉱石価格高騰を防止して参りたいと思います。本格的な鉱石専用船はまだ日本にそうございませんが、今後計画造船等に応じまして、そういうふうな船をだんだんに作って参りたいというふうな考えでございます。
  15. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの鉄鉱石輸送については、運輸省海運局の方に一ついかなるお見通しを持っていらっしゃるか、お伺いしたいのです。
  16. 辻章男

    説明員辻章男君) お答え申し上げます。三十一年度の鉄鉱石輸送実績から申し上げますと、延べトン数にいたしまして、約四百五十万重量トンの船が鉄鉱石輸入に働いております。これで日本船鉄鉱石におきまする積み取り比率は五二%に相なっております。それで、これはまだ政府として成案を得ておりませんが、現在、経済企画庁で作業をしておられまする五カ年計画見通しでございますが、それによりますと、現在約八百万トン鉄鉱石輸入量が倍の千六百万トンになるように伺っております。そういたしますと、これは距離関係もございますので、私どもといたしましては、約百万重量トンの船を買付しなければならない、現在の積み取り比率を維持いたしますとすれば、差引五十数万重量トンだけ鉱石輸送に活躍しなければならない船腹の増加を必要とするわけでございます。船の方といたしましても、五カ年計画の一環といたしまして、今後年々五十万総トンでございまして、デッド・ウェートにいたしまして七十万ないし八十万トン年々建造して参りたい、かように思っておりますので、私どもといたしましては、鉄鉱石輸入量が千六百万トン程度にふえましても、輸送の問題として支障を来たすようなことはない、かように考えておる次第でございます。
  17. 海野三朗

    海野三朗君 距離は遠くなっても差しつかえありませんか。
  18. 辻章男

    説明員辻章男君) 距離増加等を見込みまして、今約四十三万トンでございますから、これは倍になりますれば八十五、六万トンでいいわけでございますが、距離増加考えまして百万トン程度を見ております。ただ、距離の長くなります点で問題がないかどうかというお話でございますが、量といたしまして私どもそれを織り込んでおりますが、ただ船の採算の問題といたしましては、遠くなりますと、多少問題がございます。たとえて申しますと、南米でございますが、現在南米から相当量入っておりますが、これは主として全部が定期船、南米航路、移民航路がございます。これはこの船が帰りに持って参ります。いわゆる不定期船の配船、これは常識上片道は空船で参ります。そこで、鉄鉱石のような大量の貨物でもって帰りは満船にして持ってくるという不定期船の採算の問題といたしましては、現在のところでは大体日本を中心といたしまして五千海里の圏内でなければ少しそろばんに合わない、従って南米鉄鉱石、あるいはアメリカの東岸のハンプトンローズの石炭等になりますと、不定期船の配船としては困難になって参ります。今、南米あたりが非常にふえまして、不定期船でこれをとらなければならないということになれば、先ほど重工業局長さんからのお話にもございましたように、これこそほんとうに専用船ということを考えませんと船としてもなかなか採算がとりがたいのじゃないか、かように考えております。
  19. 海野三朗

    海野三朗君 ただいま海運局の方からの御説明を伺いました。その前に、岩武局長からのお話、少しも私ぴんとこないのですがね。溶鉱炉に対して鉱石トン要るのだ、その何トンというところの目当てがありますかというのです、私は。今溶鉱炉を建てつつあるのですね、あの溶鉱炉に対して、今度は今までの鉱石にプラスしなければいけない、そのプラスする鉱石は何トン、その何トンというものはちゃんとお見通しがあるかということを私は伺っております。これはどうなんですか。何本今度新設されますか、溶鉱炉
  20. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 溶鉱炉の数でございますが、現在計画中で工事に入っておりますものが富士製鉄の広畑の第三号千五百トン、八幡製鉄の戸畑の一号千五百トン、同じく二号千五百トン日本鋼管の水上一号千二百トン、扇町二号千トン、川鉄の千葉二号炉千トン、住友金属の和歌山一号炉千トン、神戸製鋼の灘一号炉六百トン、合計八基でございます。このほかに、先ほど来申しました製鉄の需要量に合せますためにはもう千二百トン高炉二基程度が三十七年度内に稼働いたしませんと、ちょっと需要に間に合わないと思いますが、この高炉に使います分は現在起業の計画がございません。それで、それによりまする鉱石の量は、先ほど来申し上げでおります通り、具体的にどこの地区の鉱石をどうというふうに考えておりませんが、先ほど来申しましたように、既存のフィリピンあるいはマレー地区につきましても、今まで動いております山あるいは若干の新しい山の開発を促進いたしまして、できるだけ量をふやして参りたいということは申し上げました通りですが、なお大きな問題としましては、やはりインドにつきまして大いに手を打って参りたいと思っております。これは、お尋ねは成算があるかというお話だろうと思います。インド政府の方も、このうちのある地区につきましては積極的に、いわば日印提携の形で開発し、日本に供給したいというふうな希望を持っておりますので、こちらの希望します量全部が今すぐ見込みがあるというわけではございませんが、かなり見込みはあるわけでございます。それから、御承知のように、そのほかの地区につきましては、具体的な山の開発日本側が手をつけるというところまでいきませんので、ある程度の買鉱量の増加ということも南米あるいはカナダ方面には期待できますので、そういう形で、そう特に三十七年度あたりで大きく不足するというふうには考えておりません。
  21. 海野三朗

    海野三朗君 今お話局長から伺っておるんでありますが、どうも私は一つもぴんとこないのですがね。この溶鉱炉が不足しておるから建てろということを通産省が初め大いに奨励しておって、今度それを今、建設中である、そういうことであるならば、鉱鉄石をどこからどういうふうに持ってくる、何トンどういうふうに持ってくる、船はどういうふうにするという御計画がなくちゃならないのじゃないかと私は言うのです。それから石炭も同時に、ちゃんとそれに対する石炭のめどもなくちゃならないのじゃないか。強粘結炭の輸入の道もなくちゃならないのじゃないか。こういうふうに思うのですが、石炭については石炭局長いかがなものですか。粘結炭の輸入についてはお見通しはどうなんですか。
  22. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 私から便宜……。石炭の方は昨年度燃料炭としまして七百二十万トン程度使っております。国内の弱粘、一部強粘もありますが、これが三百何トン、残りの四百トン余り輸入——これは米国炭が主でございまするが、ほかに開らん炭あるいは台湾炭あるいはまた北樺太炭等も入っております。これは先ほど申しましたように、溶鉱炉の方が完成いたしました暁に幾ら石炭が要るか、一応の計算によりますれば、大体三十七年度におきまして千四百万トン余りでございます。国内炭はこれは御承知のように、弱粘炭とあと強粘結炭は北松炭程度でございます。大体五百五十万トン余り、残りは輸入炭となっております。強粘結炭は八百五千万トン前後になるかと思いますが、これの取得先は北樺太あるいは台湾はあまり大きな量を期待できません。まあ開らん炭の問題もございまするが、これは灰分あるいは強度等の関係からかなり米国炭に比べて性能が劣ります。裏から言いますと、割合高いものになります。主としてやはり米国に頼らざるを得ないと思っております。なおもう少し、これはほかの豪州方面等も手当をする必要はあるかと思っております。大体のところは弱粘の方もこの程度ならまかなえるかと思いますが、あるいは石炭の方の開発計画いかんによりましては、場合によっては若干弱粘も輸入せざるを得ないのじゃないかという点もございまするが、この点はまだ石炭局と十分話を進めておりません。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 私は昨年も一昨年もこの商工委員会において石炭輸入については国内の弱粘結炭を利用する。そうすると強粘結炭の輸入を減らすということについてるる石炭局長に注文を出しておいたのでありますが、その後石炭局としましては、どういうふうに国内の弱粘結炭の利用について御勉強をなされましたか、その結果をちょっと伺いたい。石炭局長に……。
  24. 村田恒

    説明員(村田恒君) 実は弱粘結炭をいろいろなプロセスを経ましてできるだけ強粘結の不足を補うように利用していくという問題につきまして、前国会及び前々国会においていろいろ御意見がございましたのですが、それに基きましてさっそく八幡製鉄あるいは富士製鉄、それから日本鋼管、そういったところの技術部長、それから海野委員もお入りいただきまして田所博士の方法につきましていろいろ御説明を伺ったわけでございます。なお、この田所博士の御研究については、今後引き続いて御意見を承わりながら研究を進めたいと考えております。  なお、それ以外に、これは実は冶金用のコークスではございませんけれども、一般炭を使いましてこれにオイル、コークスまたは無煙炭を粘結用に入れまして、それを乾留して作りました鋳物用のコークス、非常にかたいも一のが最近できております。それは、この鋳物用のコークスでございますから、直ちに冶金用コークスには使えないわけでございますけれども、冶金用のコークスの方の研究といたしましては昭和二十六年から二十八年にかけまして資源技術試験所において膨潤炭を中心とした研究が進められております。大体この膨潤炭による研究というものはほぼ完成に近づいておるように聞いております。それからなお昭和二十五年には富士製鉄の室蘭の製鉄所でもってコーライト法による冶金コークスの製造法というものが進められております。それから同じく昭和二十五年前後でございますが、八幡におきましても二段乾留法及びコーライト法を利用いたしまして冶金用コークスの研究というものが進められておりますが、ただいま重工業局長が申し上げましたように、今後におきます強粘と弱粘とのいろいろ比率考えまして、それから輸入の可能性というようなものも考えまして、今後もさらに弱粘あるいは一般炭を利用して強粘の不足を補っていくという研究を進めたいと考えております。  ただいまの鋳物用のコークスの現物はこれでございますが、こういうもので、非常にかたいものができ上っております。
  25. 海野三朗

    海野三朗君 今石炭お話を伺いましたが、岩武局長に私はもう一つお伺いしたいのは、この原鉱の問題ですね、今どういうふうに買付をやっておるかと申しますと、民間会社がつまり勝手に原鉱を外国へ行って探して、そうしていろいろな契約を結んでおる。そういうふうなあり方は正しくないのじゃないか。実は私ここにいわゆる原鉱供給会社というような国策会社を一つ作って、そうして政府資本出資でもって作って、そうして原料を各製鉄会社に供給してやる、昔の公団のような形ですね、公団じゃありませんけれども、公団のような形にして、そうしてその原鉱の買付というようなことは政治的に非常に関連がありまするから、やはりこの政府が出資をして原鉱供給会社というようなものを作って、そうしてこの原鉱を供給してやるようにしたらどうかと思うのですが、局長のお考えはどうですか。
  26. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) ただいま海野委員から初めて御構想を伺ったわけでございます。そういうふうなことは実は今まで考えておりませんでおったわけでございます。ただ現在はばらばらに買っているということ——まあ形から見ればそういう結果になっておりまするが、ある程度一般のメーカーあたりがこの製鉄原料委員会——承知と思いますが、まあ共同して海外鉄鉱石の情報をとり、調査を行い、あるいは開発を受け持つというような一種の共同機関を作っております。そういうところでかなりの——まあそのほかの調整も実際に行なっております。しかしこれは買鉱なんかになりますと、これはなかなか商社関係等も入りまするので、そうびたっと足並みをそろえてというわけには参らぬかもしれませんけれども、ただこの詳しい事情はわかりませんが、いわゆるこの国家的色彩の強い会社といいますか、あるいは窓口一本化という線を出しますと、これは相手方によってはあるいは逆の影響を与えるところもあるかもしれません。これはもう少し研究が必要だと思います。それからなお、メーカーの方に——メーカーといいまするか、高炉業者におきまする鉱石の使い方につきましては、これはまあできるだけ素性の知れた品質のものを安定して入手したいということは当然でございます。なお、各種の性質の異なりまする鉱石をまぜて使うという方法も、それぞれ海外ではやっておりまするし、日本でも実施しておるところがございます。一挙に、御指摘のような国家的な色彩の強いいわば統制機関というようなことになりませんでも、実際の運用上におきましてはある程度同じような効果をおさめる方法もないではないと思っております。
  27. 海野三朗

    海野三朗君 鉱石を運びまするのに、ジョホールとかから持ってくると言いますけれども、向うの港湾もできていないのですね。はしけで運んでいるような……。ところが、日本の岸壁もできておりません。そういう岸壁の作り、つまり五千トンや六千トン級の船が入ってくるくらいであるならばそれは困らないけれども、将来どうしたって一万トン、二万トン、三万トンという貨物船を入れなければならない。そういう際に、その港湾の設備なんぞについてはどういうようにお考えになっていらっしゃるか。
  28. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 御承知のように、今高炉のありまする工場の港湾の泊地あるいは航路の水深は、大体マイナス九メーター以下でございます。以下と申しますか、九メーターあるいはそれよりも浅いということで、そうしますと、御指摘のように、満載しますと大体一万トンがやっとということになりまするので、これはいろいろ船の運航の仕方もあるとは存じますけれども、やはり先ほど来申しまするように、能率的にカーゴ一曹ボートを運航するとなりますると、どうしても大型の船で短時間に荷役をするということになりますので、とても今の水深では足りませんので、目下運輸省の港湾局とも連絡いたしまして、各地のそういうふうな港湾をもう三メーター程度掘りまして、十二メーター程度になりますれば、まあ二万トンあるいはもう少し大型の船も入れるようでございます。その浚渫の計画をどうしてやるかということで打合中でございます。港湾局の方でも、これは特定の産業に関連した港湾で、一般港とは違うので、やはりあるいはやり方を変えて、たとえば一つの特別会計みたいなものを設けて、これに国の事業費と申しますか、補助金でありまするか、その辺はっきりしませんが、事業費かもしれません。それから民間の負担分と地方公共団体の負担分と合せてプールしてこの仕事を進めて参るというふうな計画も進められているようでございます。私の方もその構想には全面的に賛成で、できるだけそういうふうな措置によりまして、急速にこういう重要産業施設のありまする港湾の水深が深くなり、運航能率の上ることが、ひとり鉄鋼業ばかりでなくて、産業界全般のためにいいことであると思って、十分な協力をしたいと思っております。
  29. 海野三朗

    海野三朗君 私はもう一つ、詳しい御答弁は要りませんが、簡単に答弁していただきたいと思います。総じて申しますというと、鉄鋼が必要だから溶鉱炉を建てろといってやった。ところが鉄鉱石はどういうふうにして入ってくる、港湾の関係がどうなっている、そういうことを先に手を打たなければならないのではないか、それがいわゆる通産省としての進むべき道ではないかというように思うのです。ところが、鉄鉱石を持ってくるには大きな船が入らない、今度は港湾だというようなことでは、どろぼうを押えてなわをなうという言葉がありますが、それじゃいかぬのじゃないか。港湾からかかってやらなければならぬ、鉄鉱石はどこからどういうふうに持ってくるというめどがなければならない。私はそういうふうに思うのですが、局長はそういう方面を今日までお考えになって、その方向へ進めておられるのでありますか。
  30. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 御指摘通りであります。従来、とかく陸上の方に目が向きまして、海の方とか、あるいは外の方に十分な注意をいたさなかった点もなきにしもあらずと思われますので、私としましては十分留意いたしまして、ことに関係の官庁がいろいろございまするが、その方面と十分連絡をとって善処して参りたいと、こういうふうに考えております。
  31. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ、この間、これはちょっと鉄鋼から問題がずれて参りますが、科学技術の問題で、この試験所とか研究所とか、そういうふうなものは、各省の次官から猛烈なる反対を食ったということがありましたが、あなたはどういうようにお考えになっておりますか。通産省関係の工業試験所とか、そういうものは科学技術庁の方に移した方がいいと考えていなさるか、移さない方がいいとお考えになっておりますか。その辺のことはどうなんです。
  32. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは通産省全体の問題でもございますから、官房長あたりから御答弁するのがはんとうだと思います。私から答弁することは容赦願いたいと思います。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 官房長でもけっこうです。今官房長が来たようですから重ねてもう一度言います。この科学技術の振興が叫ばれておる今日、この間会議を開いた際に、各省の次官から猛烈に反対を食った、その反対は、通産省所属の研究機関あるいは農林省所属の研究機関をつまり科学技術庁の管下に置こうという話であった。ところが、各省の次官会議において猛烈なる反対を食ったというその猛烈なる反対というのはどういう意味でありますか。それをお伺いしたい。
  34. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 科学技術庁から出されております科学技術新体制と申しますか、問題はいろいろございます。それで一番問題になりましたのは、科学技術庁の方で出されておりまする科学技術行政委員会というものを新設したいという御意見がありまして、それで現在科学技術庁という官庁が総理府の中にあるわけでございますが、それをそのままにしておきまして、別に科学技術行政委員会——要するに独立の行政権限を持つ委員会というものを新しく作る。こういうことでございます。そうしますと、国の科学技術行政政策が二つできるわけであります。要するに内閣の統括の中に入る一般の官庁であります科学技術庁と、それから全然それとは独立に内閣のコントロールの外にあります行政委員会と二つできるわけで、これは非常におかしいのじゃないか、もし両方の意見が食い違った場合にはどういうことになるのか。その点が一番問題の議論の多かった点でございます。
  35. 海野三朗

    海野三朗君 各省がセクショナリズムを考えておりまして、通産省通産省の領分を放すまいと、たとえば特許庁なんかそうなんです。特許庁は通産関係でやっておりましょう。ところが、特許局というものは、ただいまでもそうですが、腐れ切っておる、特許庁の技官たちの頭をたたいてみると。(笑声)なぜ頭が腐れ切っておるかというと、通産省の傘下にある。それですから技術官である検査官というものが、一つもほんとうに血が通っていない。また工業試験所にしてもそうである。そういうふうなものはやはり科学技術庁というところの傘下に集めるべきじゃないか。集めても通産省の方で用事があるときには工業試験所の方にどんどん言うてやればいいし、命令をしてやればいいのだが、研究ということは科学技術庁が一大方針のもとにやっていくべきものではないか、私はこう思うのですが、そこがフェアにならなければならない。各省の人はみんななわ張り争いばかりやっておる。農林省は農林省、建設省は建設省、これじゃあまるで群雄割拠の形であって、科学技術の振興の叫ばれておる今日、あるべき姿でないと思うのですが、官房長どうなんですか。
  36. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 問題は二つの観点がございます。第一点は、特許庁が通産省につけておくのが至当かどうか、こういう御輿間のようですが、特許庁の仕事というものは、科学技術の奨励をやるところではございません。要するに特許権とか、あるいは実用新案権とか意匠権とか商標権とかという無体財産権というものの登録をいたす官庁でございます。そういう意味で科学技術の研究機関では全然ないものでございまして、そういう面からこの仕事は通産省にあるわけでございます。これは最初できましたときから農商務省にずっとついておりまして、それ以来通産省にずっとあるわけであります。外国でも全部特許関係は、商工行政を所管しております官庁か、それでなければ法律裁判関係を所管しております官庁か、どちらかに所属をしておる状況でございます。  それからもう一つは、科学技術の研究が群雄割拠と申しますか、そういう状態であるのは、非常におもしろくないのじゃないか、こういうお話でございます。各省間の研究の調整をやるために科学技術庁というものができておるわけでございまして従って科学技術庁がその間の研究の連絡、調整をやれば、今のお話のような点は当然解決する。現在そういう形になっておりまして、特に各省間でなわ張り争いをして問題を起しておるというような問題は現在はないとわれわれは考えております。
  37. 海野三朗

    海野三朗君 私は、特許庁が通産省に所属していなければならないというネセサリー・コンディションを聞いておるのです。あなたは事務的にこうだというが、そういうことでない。たとえば一つの特許が出てきた。この特許は許可すべきものかすべからざるものかということは、これは研究の問題ですよ。技術者として研究しなければならぬ問題である。あなたのおっしゃるのは事務的にやるところのお話でもって、これは各国ともこういうものであるというふうにお話しになりますけれども、各国は各国でかまわないのです。本来の使命を私は考えるときに、特許庁というものは研究機関なんです。研究をしながら特許を許していかなければならない。それですから、あとから特許を取り消すということにもなってくる。それは研究が足りないからですよ。私はそういう見地から見ておるのですが、どうなんですか、官房長、あなたは事務的にばかり考えておられるから……。
  38. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 海野委員のお言葉でございますが、特許というものは、要するに従来特許権として登録されております要するに特許の範囲をこえた新しいものであるか、あるいは特許の範囲に入っておらないものか、あるいは何と申しますか、世間一般に知られておりますかおらないかどうか、世間一般が知っているとか、それでなければ従来の特許の請求範囲に入っておる事項かどうか、その中に入っているかどうかということを調査いたしますだけで、その調査範囲に入っておらなければ当然特許としてこれは登録をされることになりますので、特許というものは、官庁は別に研究するところではございませんで、そういった具体的な特許の申請、これは特許ばかりではございません。ほかに実用新案なり意匠なり商標なりというものもございますけれども、特許について申し上げましても、特許の内容について研究して、内容が特に価値があるから特許を認めるということではございませんで、要するに新しい発明であるかどうかということを認定する機関でございます。研究機関ではございませんので、そういう性質からしましても、先ほど申しましたように、これは産業行政を所管する官庁にあるか、あるいは法務行政を所管する官庁にあるか、どちらかだろうと思います。各国ともにそういう形になっております。
  39. 岡三郎

    ○岡三郎君 その見解も正しいと思うが、一つの特許が新しいものかどうかという研究をすることがあるのでしょう。でなかったら、能率が上らないのじゃないか。ただ比べてみるとかといってみても、それぞれ研究していろいろなことの知識があって、その知識のもとに、これは新しい特許かどうかということを判定するのでしょう。ですから、それは通産省にあってもいいですよ。いいですが、今の特許庁の現状についてどう考えるかという問題なんですよ。つまり新しい研究が出てくる。これを特許申請する。それはそうですよ。研究したものの成果をその人が確保しようと思うのは当然なことです。ところが、申請していつまでたっても審査してくれぬ。科学技術の振興が叫ばれている世の中で一年もほったらかして、その間少しもやってくれぬ。聞いてみるというと、人が足りない、人が足りないばかりでなくして、今言ったように、失礼だがあなたのような考え方でいえば、比べてみればいいのだからということで、能力のない者が幾らやったってなかなか能率が上らないのかもしれない。そういうことで、何も特許庁をくさすわけでないけれども、実際問題として過去においては二年くらい戸だなの中に入って、それからぼつぼつ審査している。今の日進月歩している人工衛星時代ですよ、一年間も二年間も出したものを審査してくれぬ、見てもくれぬという、こんなことで特許を申請する方からいえば、一体何を考えているのか、いわゆる研究し、発明した者の立場に立って考えてくれるかどうか疑問を持つのは私は当然だと思うのですが、こういう点で、ただ比べてみて、それが新しいものであるかどうかという頼りのない返答を聞いたのですが、今の特許庁の現状についての見解を私は聞きたいと思うのです。
  40. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 特許の審査事務がおくれておりますことはわれわれもはなはだ残念に思っております。できる限り人をふやし、予算をふやし、審査の促進ははからなければならぬ。これは申すまでもないことでございますが、また現にそういう面でわれわれ努力をいたしております。しかし、それを、特許の行政の内容とはまた別問題でございまして、特許というものは、要するに過去の特許公報とか文献とかというものを調べまして、それが一般公知の事実であるかどうか、あるいは過去の特許の範囲に入っておるかどうかということを調査しまして、それに入っておらない新しいものであればそれを特許権として登録するということが仕事の内容でございます。
  41. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはわかっております。
  42. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) ただそういうことを調査するためには、当然それは技術的な能力というものを持っていなければ調査できないので、(「それはそうだよ」と呼ぶ者あり)特許関係の審査をいたします審査官というものは、これは全部技術屋であります。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、ちょっと海野さんの質問しているのと私は本質が違うかもしれぬが、きょうは別にその問題についてはこれ以上触れませんが、特許庁の現状ですね、現状について可能な限りふやしていくということについても一応わからない点もないけれども、しかし具体的に言うと、あまりにも緩慢過ぎると思うのです。緩慢過ぎるということは、過去がこうだったからだんだん少しずつよくなっている。そんなものじゃないと思うのですよ。今の時代というのは、新しい研究が出てきたと、そういうものをてきぱきさばいて、これについてはこういうものだからだめだ、と示唆を与えてやれば、なるほど、ということで、研究してる者はそういうところの問題を踏み越えて、また新しい段階に入っていく。ところが、いつまでたっても審査してくれぬということで、具体的に出してる者はだんだん時間がたつに従ってあせってくる、そういうこと。ところが官庁機構の中では、とにかくそういうことを言われても人手が足りないから間に合わないでしょうがないんだ、とこう言われてみると、どこへも持っていき場所がないわけです。だからわしらのとこへきて、一体ああいう行政でほんとに研究者のために研究成果を確保するという、そういう目的に沿ってるんですかって…、沿っているということの答えにならぬと私は思う。われわれもそれを自信を持って言えない。だからあの問題について、調査し、研究して、比べて、これが新しい値打があるかどうかという判定というものをどしどしやらなければ、科学技術の振興といったって、それはならぬということを言ってるんです、やっぱり。だから審査する方は比べてみればいいけれども、研究した者はどんどんこれは新しい発明だと言って出すわけです。それについて確保してくれるところは特許庁なんでしょう。ところが、そこが能率も何も上げておらないで、いつまでたってもほったらかしでは、これは研究する人に対して何とも斯道の奨励にならぬと思う。だから、いつの日にか君の研究したことについては判定を下すであろう、とこういうふうなゆうちょうな時代ではないから、もっと積極的に改善していく必要があるんじゃないかということを、私はまあ角度をちょっと変えて言ってるわけなんです。これについては漸次やってきております、などと、こういう答弁ではまことに不可解だと私は思うんだが、それほどあなたはそういうことについては心配しておらぬのかね、その点どうですか。今でも一年間ほったらかしですよ。
  44. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) これは改善する必要があるということは申し上げるまでもないことで、(「それをどういうふうに改善するんだ」と呼ぶ者あり)要するに問題は適当な審査能力のある技術者を逐次充員をしていく、仕事をふやしていく、これ以外にはございませんので、そういう努力をしております。(「そんな抽象的なことじゃだめじゃないか」と呼ぶ者あり)これは現にことしも百人増員いたしまして、従来特許庁の人間は、正確には覚えておりませんが、たしか八百三十人くらいでございますが、それに対して一挙に百人増員いたしました。しかしこれは相当の能力のある技術者でなければいけませんので、一気にそれだけをふやすということはなかなかむずかしいので、逐次その定員を充員しつつございます。結局人をふやし、予算をふやす以外には、これを解決する方法はありませんので、こういう努力をいたしておりますが、まだ結果は十分現われておりませんで、岡先生の御指摘になるように、まだ能率が十分上ってないということは、われわれも十分承知しておりまして、来年度でさらに人員の増加の要求を出しております。  ただ、これは従来特許、あるいは実用新案というようなものの申情が年々ふえて参ったのでありますが、(「それは喜ばしい現象じゃないか」と呼ぶ者あり)ことしあたりから大体申請件数が頭打ちの傾向にございます。従ってここ一、二年で陣容の整備が大体完了いたしますれば、今後は逐次審査結了までの期間を短縮していくことができるだろうという見通しがっきかけるような状態でございます。(「頼りないな」と呼ぶ者あり)
  45. 海野三朗

    海野三朗君 あなたの言いなさるのは、私が申し上げることとだいぶ違ってるんですよ。その事務をつかさどるとおっしゃるならば事務官で、技術官も置く必要ないでしょう。帳簿を調べて、前にこういう特許が出てきておったかどうか調べてやるんならば、何も技術官である必要ありません。事務官でけっこうです。ところが、それが技術官でなければならないということは、日進月歩の今日、技術がどんどん進んでおるんです。それでありますから、この技術者も特許庁に入ってただばく然とそういう仕事ばかりやっておったんではいけない。やっぱりこの科学技術庁というような科学専門の研究所と連携をとった機関にする必要があるというように私は思うのです。これが第一点。  それから第二番目には、工業試験研のような——なぜ工業試験所を通産省から放さないんですか。あれは放したってもいいでしょう。あれは科学技術庁のもとに置いて、通産省が必要があればいろいろ要求をしたらいいじゃないか。私はそういうふうに思うんですが、各省の次官はこの研究所を放すということに対しては猛烈な反対があるという。各省の次官というものは全部が事務官でしょう、事務官の人たちが技術官を放さない、それはよくわかっていないからですよ。事実がわかっていないから——次官で技術官のところがありますか、一つもないでしょう、全部法経出身の人ばかりでしょう、事務官というのは。そういう人の集まりでもってなわ張りを考えて自分の管轄するところの範囲が狭められるというさもしい考えであるかのように私は見えるんですよ。これでは日本の科学技術の進歩に対しては非常に心細いと思うんですが、官房長どうなんですか。自分の事務という方面を脱ぎ捨てて科学技術の振興というものを考えてもらいたい。この点については科学技術庁の考えも承わりたい。また官房長としても、通産省意見としては工業試験所なり特許庁なりを放さないという、そのほんとうの放さないという理由を私ははっきり聞きたい。
  46. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行で……ちょっと速記をとめて。
  47. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を始めて。
  49. 海野三朗

    海野三朗君 私は事務官の、つまり官房長としての考えを私はただしたわけであります。そういう考えで各省の次官たちの頭が全然違う。これじゃ科学技術の振興は、いかに叫んでも、さか立ちしましてもだめなのであります。で、そこはほんとうにもう一ぺんよく事務官出身、事務系出身の官房長としても、とくと胸に手を当てて考えてもらいたい、私はこう思うんです。何も私は科学技術庁からわいろをもらったわけでも何もないけれども、科学技術の振興を思うがゆえに私はこれを言うんです。  そこで科学技術庁の方にお伺いしたいが、科学技術庁としてはいかようなる御構想をお持ちになっているか、それを私は伺いたい。この各研究所ですね、いろいろな研究所があります。私は農事試験場というところをずいぶん全国で見ておりますが、どこに行っても研究になっていないんです、金ばかり使って。(笑声)これはほんとうです。私が専門の立場から見て、私は国会議員として行って見たんじゃないんです。理学博士として行って見たんです。そうすると金ばかりよけいに使って効果が上っていない。これはどうしても偉い学者をたくさん集めた科学技術庁というようなもので、よくこれをリードしてやらなければならないと私は考えている。これは一度ならず二度ならず、あまたの研究所を見ておるんですが、そういう点からして科学技術庁はむしろこれは省にしなければならぬ、どうしたってそう持っていかなければ日本のこの科学技術の振興は期しがたいというように考えるのでありますが、技術庁としてはいかような御構想をお持ちになっているか。この間の会議においては次官が——各省の事務次官がみなこぞって反対したというようなことを新聞で見ておりますが、それではいけないのではないか。まことに嘆かわしい状態であると私は考えているわけでありますが、いかようなる御構想をお持ちになっておりますか、科学技術庁として。それを私は伺いたい。
  50. 吉田萬次

    説明員(吉田萬次君) ただいま海野先生から次官には事務屋ばかりであるというお話でありましたが、私の方は幸いに工学博士の篠原君が事務次官でありまして、科学技術に関する一般的の知識というものは備えておりますし、そうしてその部下におられるところの諸君も非常に学者が多いのでございまして、大体御意思に沿うような方針に進みつつあると了承するのでございます。そこでただいまおっしゃったところの科学技術の問題でありますが、これはわが国におきましてもたくさんな科学技術に関する研究機関というものはありまして、それぞれの方針のもとに発展しておることは御承知通りであろうと思うのであります。ただその機関の間に十分の連携がないということは非常にわれわれも遺憾とするところでありまして、それで科学技術庁といたしましても各省との間に連携を密にしまして、そうしてその成果を上げたいというように考慮しておる次第でございます。ことに今日におきましてかようなものを統合するかどうかということは非常にむずかしい問題であり、また重大な問題であります関係上、きわめて留意しなければならぬというような点から庁内に試験研究等促進方策調査会というようなものを作りまして、科学審議官のもとにおいてその結論をまとめつつあるような次第でございます。さよう御了承願いたいと思います。
  51. 海野三朗

    海野三朗君 私は科学技術庁に対して要求いたしますことは、原子爆弾で三千年の歴史も政治も経済もすっかり引っくり返ってしまったのです。ことほどさように科学技術の振興というものは大切なものであります。ところが、今日日本現状としてはようやく目が覚めてきたと申してもいい程度でありまするが、この科学技術の振興によって政治も経済もことごとくが左右されていくのであります。そうしてみると、この責任というものは非常に私は重大なるものである。この間事務次官の反対を食ったということでありましたが、そういうことで一体あわを食っておられるのかどうかというように私は思ったのですが、そういう点をはっきり認識していただいて、科学技術庁の存在をはっきりしていただきたい。そうして日本の科学技術の振興に全力を注いでやっていただきたい、こう思うのです。
  52. 吉田萬次

    説明員(吉田萬次君) 御存じの通りに、科学技術庁の成立というものは、日もきわめて浅いのでありまして、昨年の五月にようやく発足したようなわけでありますのと、当時から各方面にわたるところの機関を統合しまして、そうしてそこで発足したようなことでなくて形式だけを整えて、そうして発足したのであります。各方面に散逸しておる、あるいは独立しておるところの機関というものについて、機能というものについて科学技術庁が今直ちにそれを統合するというようなことは、きわめてむずかしいことであります。従って将来の科学技術庁としては、おっしゃる通りにもっと規模の大きいものであって、しかも整備せられたところの、ほんとうに日本の科学行政を背負って立つだけの機能を持っておらなければならぬとは存じます。これにつきましてはいろいろ各方面からの希望もあり、また助言もありまして、現在それについての発展の途上にあるようなわけでありまして何にいたしましてもまだ成立早々の間柄でありまして、そういうようなこともできぬのが遺憾と思います。また非常に予算その他の方面におきましても、莫大な費用の要することでありますし、計画もこれに伴って雄大なものにしなければならぬとも思っております。各方面からの御助言もあり、また海野先生なんかもその方面の権威者でありますから、ごうんちくを固めていただいて、発展に御協力下されんことを希望する次第であります。
  53. 海野三朗

    海野三朗君 最後に私は先ほどから質問を許していただいて、同僚諸君の御質問の時間を奪ったことを大いにおわびいたしておきます。  通産省としての鉄鋼政策見通しがないこと、そういうふうなことで原鉱の供給会社のことについて、またどうしても通産省には将来鉄鋼局というものを置いて、鉄鋼原料を専門にやる局を設けてもらわなければならないのじゃないかというような質問は、前尾通産大臣がきょうは出ておられないようでありますから、それらに対してるる質問を述べたいと思うのでありますが、今日は見えておりませんから、この質問は他の機会に譲って、私はこの質問を保留いたして、今日はこれで打ち切っておきます。
  54. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 午前中はこの程度にとどめ、午後は一時から再開することにいたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩    午後一時四十一分開会    ————————
  55. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  日中貿易、特に第四次協定について調査を行います。午前中御報告いたしました通り、三名の方々に参考人として御出席を願ったのでありますが、参考人の方々には、御多忙中のところを本委員会のために時間をさいていただきましてまことにありがとうございます。委員会の進め方についてでございますが、まず、参考人の方々に大体お一人十五分程度で順次御意見を述べていただき、そのあとで各委員からの質問に答えていただくことにいたしたいと思いますから、さよう御了承をお願いいたします。  それではまず日本国際貿易促進協会常任理事田尻愛義君からお願いいたします。
  56. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) きょうはこの席で日中貿易協定の問題についてお話しする機会を与えて下さったことをありがたく存じます。  私は訪中通商使節団協商委員の一人として向うへ参りました。交渉は大体順調に進んだのでありますが、すでに御承知通り、民間通商代表部の人数の問題について日中間の意見がまとまらないために、中止ということになりました。民間通商代表部のほかの問題については、すべて意見が合致しておるのであります。しかし、人数の問題がまとまらないために、通商代表部そのものないしはそのほかの事項についても意見がまとまったが、調印するということはできないのでありまして、つまり不可分一体をなす一つの重要な事項、それが人数の問題であります。日本側としましては当初五人にしたい、中国から来る向うの代表部の人は五人にしたい、こういうことを提案いたしました。中国の方では、五人にする理由が納得できない。自分たちの考えでは、代表部の人数は仕事の必要に応じてきめるべきだ、こういうふうに主張いたしました。日本側のあげた理由が、どうも納得し得ないようなものばかりでありましたので、向うとしては、いよいよその仕事の必要に応じてきめたいという態度を強めて参りました。言葉をかえて言えば、向うとしては、日本側が人数のワクをはめようとかかっておるというふうに強く感じた模様でありまして、最後まで人数は仕事の必要に応じてきめるという態度から一歩一も引かなかったのであります。最後に、日本側としましては仕事の必要に応じてきめるということはよろしいが、相手の同意を得るということにしたい、ないしは相手と協議の上きめるということにしたい、こういう修正案を出しましたけれども、向うは頑として応じません。そこで結局この問題は、使節団としましては東京へ帰って相談した上できめようということで、話をすべて中止の形にして帰ってきたのであります。これが大体の交渉の経過でございます。  日本側としましては、行きます前に、政府の内意を得まして、大体人数は五人にしたい、万やむを得なければプラス・エックス、プラス・アルファでも仕方がない。しかし、プラス・アルファにしましても、大体一けたの数字、こういうふうな内意を得ておったのでありますが、政府がそういうふうに考えましたのは、別に人数だけについて独立して考えたわけではなくて、実は指紋を免除する、そのことについて関連して数字が出てきたのでありまして、外国人登録法によりますというと、二ヵ月以上滞在しますときは、これは民間の代表でありますから指紋を押さなければいかぬ。それに対しては中国側がいやだと言う。そこで特例を設けて指紋は免除しよう、免除する数は大体五人、こういうふうな考え方であったようであります。ところが、向うとの交渉の勢頭におきまして日本側の方では、指紋問題は解決しましたということをはっきり言ったのであります。指紋問題には、人数の問題がくっついておったのにかかわらず、開会の劈頭、指紋問題を解決してきたということを申しました結果、中国側としては、指紋と人数とは別個な問題として受け取ったのであります。向うでは、指紋が解決したということはありがたいというので、交渉が順調に進むように見えたのでありますが、二日たったあとで、通商代表部の問題の小委員会におきまして日本側は人数は五人としたいということを申し出たのであります。そこで中国側は、難関であった指紋問題が解決したにかかわらず、どうしてまた新しい人数の問題を提起されるのであるのか、日本側は代表部を作りたくないから新しい障害を提起されるのではないか、こういうふうな疑いを持ち出してきたものと見えました。ワクをはめるということ、そういう新しい障害を持ち出した。こういうふうな印象が非常に強くなって、その結果として、先ほど申しましたような、人数問題は仕事の必要に応じてきめるのだという原則論を、最後まで強く主張したものと解釈いたします。中国側の提案を率然として読みますというと、仕事の必要に応じて自分できめるというならば、中国側から一体五十人出すか、五百人出すかわからぬじゃないか。それを日本政府は、日本は黙って受けなければいけないじゃないかという疑問が起るのでありますが、それは交渉の経過を全く離れた理屈であります。交渉の経過から申しますというと、先方ではすでに任務のことにつきまして、日中周にはっきり了解ができておる。任務の必要に応じてきめるということは、任務の範囲からおのずから制約を受けるということであります。任務は何かといいますれば、一口に申しますれば、国交が回復した両国間における商務官あるいは領事官のような役目、それが民間通商代表部の仕事であります。つまり一般的に言って、一般的な貿易の促進をはかるというのがその任務でありまして、これを裏から申しますというと、今度の日ソ交渉でまとまりましたような直接の貿易をする機関じゃないということであります。もしも、この代表部が直接の取引をするものでありますならば、向うにはその機関として十四、五の公司、公社がありますが、一人一人代表を出すということに、おのずからなりやすいのでありまして、そうすれば一人ずつ出しても十五人、十四、五人、二人ずつ出せば三十人ということになりますが、さっき申しましたように、任務は一般的な貿易の促進でありまして、その点からおのずから制約を受けるのであります。また、代表部は一切政治活動をしない、政治活動をした場合には追い返されても仕方がないということも、はっきり了解ができておりますから、そういう点から人数がふえるということもないのでありまして先方としましてはワクをはめられるのはいやだ、まかしてもらいたい。まかしてもらえば、おのずから常識があります。任務の必要といったって常識がある。加うるに先方は外貨が別にあり余っているわけでもない、また、今国内の各機関を非常に簡素化しようと努めておるのでありまして、そういう振り合いからいっても、日本に出す民間通商代表部をやたらに大きいものにする意思はない、まかしていただけば、あるいは三人、  五人と判断するかもしれないし、十人、十五人あるいは三十人と判断するかもしれない。三人、五人と、こういうふうな数を出したところに、私は向うの真意がうかがわれると思うのであります。一度向うが三十人ということを言ったことがありますが、そのすぐあとで、いや別に人口の比率によって出そうということを考えているわけでもありませんということを、はっきり申しました。日本が五人というから  一億対六億で三十人という数を出したのでありましょうが、それに縛られ、それをあくまでも主張する考えはありませんということも申しておりました。  そんなわけで、会議の席上のやりとりから考えまして、ともかく向うが考えておる数字は大したものではない、こういう結論を得るのでありますが、なお、会議を離れて先方の協商委員ともいろいろ話しました結果としても、こっちで多少山をかけて話してみましても、大体十人ないしは十五人というものを考えておるように受け取られたのでありまして、文書だけ読めば何十人、何百人来ても仕方がないと考えられる書き方でありますが、実際には、大した数でないということが言えるわけであります。そういうわけで私は協定と不可分、一体をなすこの一点について、日本側としてはたとえ五人あるいは五プラスのアルファという政府の内容を聞いておっても、もっと融通性を持たしてもいいじゃないかというふうに考えまして、そういうことを内輪でいろいろ話をしましたが、結局政府考えにさからうわけにいかぬという結論になったのであります。  そこで、早目に日本側の意見をまとめてもう一度交渉を再開することになっておりますが、帰りましてすでに一カ月以したちまするけれども、この問題についてはめどがつきません。承わりますところによれば、この通常議会に外国人登録法を改正して、指紋問題を解決するということであります。まことにけっこうなことでありますが、指紋問題を解決しなければ、人数の問題が解決できないかと申しますというと、私はそうは考えておりません。先ほども申しました通り、会議の劈頭において指紋問題は解決したということを言い切っておるのでありまして、中国側に対しては、すでに指紋問題は解決済みであります。従って日本の手続がおくれておるかおらないかということは、先方に対しては言いわけにはなりませんし、また、おくれてその手続をしたんだったら、またした上でなければ、人数の問題は解決しないという筋合でもないと思うのでありまして、人数問題は指紋問題とは別であるということがはっきりしております以上は、私は人数問題は早く指紋問題から独立して解決すべきだ、こういうふうに考えております。帰りましてからも、そういうことをあちこちでお話し申し上げておる次第であります。貿易協定ができなくても貿易には差しつかえがないというような声もあるようでありますが、具体的にいかに差しつかえがあるかということは、いずれあとからお話しがあると思いますから、私は省略さしていただきますが、ともかくわれわれは協定を成立するために行ったのでありまして、それを一応帰って相談するとこう言って引き上げてきながら、いつまでもこの問題を放置することはできないことだと考えます。  そうしてさっきから申しております通り、私どもも指紋問題とは離れて人数問題は解決ができる、またしなければならない立場にあるものと考えます。日中貿易に御熱心な皆様の御協力によりまして、早くこの人数問題を解決できますように、それによって貿易協定全般の調印が、できれば本年内にでもできますように御協力をお願いする次第であります。  まことに簡単でありますが、要点を御報告申し上げました。
  57. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ありがとうございました。  次に、日中輸出入組合理事長田博君にお願いします。
  58. 似田博

    参考人(似田博君) 私も田尻さんと一緒に今度第四次協定交渉のための委員として北京に行って参った者でありますが、ただいまお話しありましたように、問題点となりまして壁にぶつかりました代表部の人数の問題は、ただいまのお話しのような情勢でございます。この点につきましては、いろいろとお立場なり、お考えなり、見る人によりまして御批判もあろうかと思います。また、その交渉の手ぎわのよかったか悪かったかということ等につきましても、いろいろ御意見があろうかと思いますが、とにもかくにも、本日ただいまの現状は、そういうことのために、非常に業界一般で期待しておりました第四次貿易協定というものが、半年間のブランクに続きまして、さらに正式の調印ができないまま帰ってくることを余儀なくされた。すなわち無協定の状態にあるというような現状でございますので、この点を私ども貿易業界の者といたしましても、あるいは日本の特に曲りかどにあります産業界の景気現状から申しましても、何とかしなければこのままではどうにもならぬのじゃないかということが、一番懸念されるわけでございます。今お話がありましたように共同覚書の最後に、正式の協定調印がされるまでにおいても、両国間の貿易は継続されることを念願するのだといったような文句を実は日本側から申し出まして、入れてもらったわけでございますが、これは気休めに入れてもらったと言っては申し訳ないのですが、それほど強く、また協定そのものにかわって、それがあるから今までと同じようにいけるのだといったような性質のものと理解するわけには参りません。いろいろ私どもも過去において経験しておりますように、日常の取引をやります場合に、二言目には協定がないからということを言われるのがつらいのです。非常にやりにくい。何とかそういう口を幾らかでも封じることができたらというような考え方であったわけでございますが、その後の情勢は、遺憾ながらまことに不満足な憂慮すべき事情にございますので、協定交渉それ自体の御報告とは若干はずれるかもしれませんが、業界の声として、無協定がどういうふうに両国間の貿易に影響しているかというふうなことを、御参考までに申し上げてみた方がよかろうかと存じます。  一部には協定がなくても商売はできる、現に西欧諸国も協定なしにどんどんやっているじゃないか、日本だけが協定を作らないからできないというのはおかしい。もう一つは、中国自身に輸出する物資が不足しておる、農産物の不作、天災等によりまして非常に向うも実は困っておる。従って金がない、外貨がないから、向うから輸入する商品がなければ、幾ら日本輸出したくても向うも買ってくれないのだ、そんなに大きな金額になるはずはないから、あわてなくてもいいのだ。また、外交交渉であるから、そうあわてふためいてやっても損だというような意味のことを言われておる議論もあるようでありますが、これは見方の相違でございまして、それ自体をどうこうと批判するわけにいきませんかもしれませんが、実態から、私ども考え方を申しますならば、全然この考え方には賛成できないわけでございます。御承知のように戦前の日本と中国との、昔のシナとの貿易は、非常に大きな地位を占めておりまして、日本全体の輸出額の三五、六%、輸入額の一六、七%といったような相当大きな分野を占めておったのでございますが、最近の現状におきましては、昨年相当伸びたとは申しますものの、なおかつ、日本全体のパーセンテージから申しますならば、三%見当でございましてまことに微々たるものでございます。しかしながら、翻って中国の実状をながめます場合に、歴史的にどうとか、地理的に近いとかいうことのほかに、あれだけの国作りをやっております現在、また、日本がいわゆる自由主義陣営内におきまして、日本だけでもございませんが、大体外国貿易というものが行き詰まってきておる際に、あれだけの市場というものが日本商品のはけ場所として、あるいはまた、日本の原材料のソースとして非常に大きな役割を持つということはこれはもう一目瞭然、いうまでもないことと思うのでございます。そういう着眼点からいたしまして、イギリス、西ドイツ、ベルギー、フランス、あるいはスエーデン、カナダというような自由主義圏の諸国におきましても、従来より観点を変えまして、相当有力な使節団を送り、向うの市場開拓と今後の進出ということを盛んに積極的に実行しているようなわけでございます。日本だけが、近いから、昔からの関係があるからというとで、安閑としておっていいというものじゃなかろうかと存ずるわけでございます。  それから金額的にいっても、日本ははるかに大きいのだ、昨年の実績輸出入合計して一億五千万ドル程度でございますから、もちろん微々たるものではございますが、しかしながら、イギリス、西ドイツ等々に追いつかれるのは、金額が少いだけに、すぐ追いつかれ得る可能性がございます。しかもその取引商品の内容たるや、日本から出ます物はいろいろ雑品その他これといってまとまったものがない。わずかに、申しますならば、化学肥料、硫安とか尿素とかいったようなもの、こういったものが金額的に約六割ないし七割占めておるのでございますが、こういったものは五、六十万円のものでございますから、いつベルギー、イタリア等々にとってかわられないとも限らない性質のものでございます。イギリス、西ドイツなどが今度通商団を派遣してやっております商談の内容は、ほとんど大部分が電気機関車とかその他鋼材建設資材といったような機械類でございます。遺憾ながら日本の機械輸出は、だいぶ進歩はいたしましたけれども、まだまだこれに追いつきません。こういったような非常に歩のいい、まとまった商品は西欧諸国に取られる。雑品みたいなくずみたようなものだけが日本にあてがわれる。これが全部、距離が近いために積り積って大きな金額になって、まだ西ドイツやイギリスよりも、こちらの方が上だからというようなことで安心しておるということはいけないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  しからば、貿易協定がない現状は、これはこちらの考え方でございますが、向うは民間協定というふうなことを申しましても、実際やりますのは政府関係者でございます。今度私どもが参りまして協商いたしました相手方も、向うの対外貿易部の雷任民副百席以下、李新農第四局長、あるいは孫とか趙とかいったような人も向うの局長でございますが、政府の役人でございます。こういった人が貿易協定に調印をいたします。当然これは日本側では民間人が調印いたしますので、民間協定というような名前も使いますが、向うといたしましては、おそらくこれはお役人、政府が調印したということになると思うのでございます。そんなわけで、政府の大きな総合的な貿易協定というものがありまして、そのもとで、十四の各専業公司が日本と取引をするということになりますと、基本的な条件は全部そこできめられております。その庇護のもとに取引をするわけでございますから、各公司といたしましても、万一の場合があっても安心して取引ができます。ところが、現在のように全然国家としての協定がございません場合には、各取引する公司自体の責任において取引をしなければなりませんし、ことに日本と中国との政治関係等々が、きわめて不安定な情勢にありまする現在、もしも契約自体の履行がうまくいかなくて、その結果非常に向うの計画経済の進捗に支障を来たすといったようなことがありました場合、直接その責任というものを問われるようなわけでございますので、勢い各商品ごとの公司の日本に対する引き合いの態度といたしましては、できるだけそういったリスクがないようにして、すなわち条件その他できるだけ自分の方に都合のいいように要求してくることは、人情としても当然のことでございまして、毎日私どもが電信その他でもって往復いたしております引き合いにつきましても、日を追ってそういったようなことを厳格に要求して参っておるというのが実情でございます。引き合い電信その他資料を持ってくればよかったのでございますが、あまりこまかくなりますから申し上げませんが、たとえば日本から契約いたしまして、向うに商品を出します場合、貿易協定がございますと、苦情が起ったり、品質その他について看貫したりといったような場合には、おおむね双方でもって合意した方法ということが、協定の案文の中にも書かれているのでございます。ただいま現在におきましては、全部向う側の一方的な検査によって、向うの判定によって日本側は文句を言えないというような条件を押しつけられているような状況でございます。これは先般できました六万五千トン余りの鉄板類につきましてもそうでございます。ただいま東京で向うの代表団を迎えて折衝をしております肥料の輸出交渉なんかにおきましても、おそらくはそういったような条件が出されるのじ牛なかろうか、また塩も年間契約をやっておりますが、これなんかの契約条項は第四次協定ができたならば、それにのっとって相互協議の上改正しようというふうな書き方になっておりますが、第四次協定ができませんので、今後どういうふうなことになりますか、実際の塩の積み取り等におきまして問題が起らなければいいがというふうに心配しているようなわけでございます。そういうわけで、日本といたしましては、一日も早く正式の協定がある状態に持ち込みまして、それの基礎の上に立ちまして西欧諸国の引き合いに負けないようにどんどん引き合いを取り、商売を進めていく、そういたしませんと、来年から始まりますところの第二次五カ年計画日本の取引が計画に織り込んでもらえないというふうな懸念もあるわけでございます。どうせ西欧諸国がやっても大したことではないのだからというふうな議論もありますけれども、商売でありますから、向うが契約ができてしまってから日本も追っかけてさあといっていきましても、これは全部後手でございます。後手を打ちますと、あとから入り込むということは、なかなか困難でございます。ここで一日のおくれは、あとで五年も、十年もおくれをとる。たとえて申しますならば、戦争中にあるいは戦前に、日本の三菱、東芝、日立といったようなメーカーが、もちろん当時の情勢下ではございますけれども相当たくさんの機械類を満州、中国に出して設備されております。新中国になりましても、そういったのを極力修理いたしまして、現在まで使っておりますが、もうほとんど耐用年数が切れまして、リプレースしなければならないというふうな時代になっております。あるいは部品等につきましても、非常に向うはほしがっておるわけでございますが、日本からなかなか出せなかった。いわゆるココムあるいはチンコムの関係で出せなかった。そういうわけで、仕方なしに西ヨーロッパ物、その他から手当をして、新しい機械を据え付ける場合でも、そういったものを注文した。そうなると、その後ずっと向うの機械を追加注文ということになりまして、せっかく日本が優位を占めておった機械類なんかのいわゆる地盤というものを結局向うに侵されてしまいますと、回復はなかなか困難であるというふうに考えられますので、業界といたしましては、一日も早く、できれば年内にでも交渉を再開し、正式の調印もできました状態において貿易をしたい。日本自体として考えてみましても、三十一億五千万ドルの輸出目標を立てて、どこに仕向け地を考えるか、結局市場転換をやることによって中国というものを、これは日本が向うの商品を輸入しますならば、求償貿易でございますから、それだけのものは確実に向うに買ってもらえる。二億や三億のものは、やり方によっては新しい市場として求め得るのじゃなかろうか。もちろん、向うといたしましても、事実農産物等は不作と申しますか、大して輸出力もございませんし、大きな輸入を期待することはできないかもしれません。また外貨におきましても、決して向うが裕福に金を持っておるというわけにもいかんと思うのでございますが、中国と香港との貿易等、最近の趨勢を見ましても、相当大幅な輸出超過になっております。きょう私の方の香港支店から入りました情報によりましても、一九五七年の一月から十月の香港と中国との輸出超過は、八億二千百六十万香港ドルでございますから、アメリカドルにいたしまして一億四千万ドルぐらいというものは、香港を通じて外貨を吸い上げておる。日本の昨年の輸出入合計の貿易額は一億五千万ドルでございますから、ほとんど日本がやった程度のものは、香港を経由して外貨を取得しておる。あるいはまた、東南アジア等に、御承知のように出血輸出といわれておりますけれども、外貨を獲得するために、相当輸出をやっております。華僑送全等もあるはずでございます。こういつた外貨の獲得手段もあるわけでございますので、あながち中国側が外貨がないから、日本から買えないだろう、あるいは資本主義諸国から買えないだろうと見ることも軽率であるかもしれません。必要なものは向うは買います。現に砂糖などは、今引合いも来ておりますが、先般イギリスからも購入いたしました。必要なものは、そういった外貨を使ってでも買うのじゃなかろうかというふうに考えられます。楽観ばかりもできませんし、悲観ばかりもできないわけでございますが、そういうふうなわけで現実の問題は、どうしてもこのままでは業界といたしましては非常に困る。現にことしの四月、五月、六月いわゆる協定の期限が切れたあとは、約二九%ないし三〇%くらいの減少を来たしておりますようなわけで、現状が続きます場合に、とうてい昨年程度の取引額というふうなものは、辛うじて期待できるかどうか、へたをすると、このまま下降傾向をたどってまことにみじめな貿易額になっていく  のじゃなかろうかというふうなことも心配されますので、ぜひこの機会に、業界の実情というものを御賢察いただきまして、何とか、非常にむずかしい問題かもしれませんし、なかなか簡単に片づきにくいというふうな御事情もあろうかと存じますけれども、先生方の御尽力をいただきまして正常な両国の貿易関係ができますように、この機会をかりましてあわせてお願いしたいというふうなわけでございます。  御質問はあとに受けますことにいたしまして、一応私これで話を終ります。
  59. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ありがとうございました。  次に、中日貿易会専務理事鈴木一雄君にお願いいたします。
  60. 鈴木一雄

    参考人鈴木一雄君) 先月の二十八日に全国の業者が集まりまして大体二百五十ほどの団体、三百五十人ほどが出席をいたしましてこの第四次協定を早く締結するように、これを促進する大会を実はやったわけであります。これは私ども実は一九四九年から中日貿易会、昔は促進会といっておりましたが、それから促進の仕事をやって参ったわけでありますが、約八年の間でありますが、その経験を通じましても、珍しくあらゆる業界の方がこの全国業者大会に集まったわけであります。私自身も実はびっくりしたわけでございまして、ほとんど日本産業でこれに御参加なさらなかったところはないほどでございました。これが実際の日本経済の根本問題を、ここに現わしているのじゃないかと思うのであります。  先ほど似田さんからも、いろいろ現在の状況から、日中貿易の協定が早くできなければ困るというお話がございましたが、実際、今のところは一億五千万ドルか、せいぜい二、三億ドルというふうなところでありますけれども、実際は将来に大きな意味があるところに、この問題があると思うのであります。しかも、日本の基本になる産業に非常に関係のある問題、若干の例を申し上げますならば、まず鉄であります。あるいは今交渉しております化学肥料でございます。あるいは化学繊維でございます。あるいはエネルギー源の問題でございます。こういうような基本的な問題が、この日中貿易関係があるところに問題があるのであります。御承知通り、ヨーロッパの共同市場という問題も、すでに具体的に日程に上りはじめたわけでございまして、これも今直接影響がすぐ来るという問題ではございませんが、これから五年先あるいはその先にほ相当決定的な影響を持ってくるのではないかと思うのであります。そのときにわれわれが対抗手段を講じても、とても対抗し得るものではないと思うのであります。そういう関係からしましても、中国市場という問題は、日本経済には非常な基本的な問題に影響しているのじゃないかと思うのであります。簡単に申しますならば、鉄鋼の合理化計画をやらなければ、今の国際水準に追いつけない。御承知通り来年から二千五百億ばかり使って第二次の合理化計画をやられるわけでありまして、これにもやはり製品の市場が必要となってくるわけであります。同時に鉄源の問題が出てくるわけであります。どうしてもやはり六億という大きな潜在力を持った、ポテンシャリティを持った中国の市場というものが、これは理屈なしに決定的な影響を持ってくるわけであります。一番やりにくいのは、シューマン・プランと違って、政体が違うわけであります。そこにいろいろな工夫が出てくる必要があるかもしれませんが、経済プロパーから考えますならば、どうしてもそこに一つの大きな基盤がなければやっていけなくなるわけであります。化学肥料もしかりであります。これはもう目前の問題になってきておりまして、十二月の末にはほうっておきますと、えらい滞貨が出てくるわけであります。大体価格方面の専門家の御意見によりますならば、この硫安輸出会社が大体期限が切れることになりますならば、輸出すべき数量と国内需要とのバランスが逆になって、むしろ輸出すべき数量の方が多くなるという、こういう状況にあるわけであります。また、そのくらいの大きな量を当てにした合理化計画をしなければ、価格の国際水準には追いつくことができないのであります。その一番いい例は、先月の二十日にございました韓国の国際入札であります。これは日本はほんとうに清水寺から飛び下りたようなことで、トン当り二千円も切って、もう思い切った値段でこれに応札したわけでありますが、今のところでは、全量失敗しておるわけであります。これは確然たる事実であると同時に、経済現実の姿を出していると思うのであります。そういう環境の中で、実は肥料の交渉をやっているわけであります。これも今、私もこれにアテンドしておりますけれども、非常に困難性が伴っておる。これはなかなかのことでは、簡単に中国が日本の肥料を買うだろうという期待だけでは済まされないような状況にございます。また、繊維を例にとりましても、御承知通り、ことしの七月に合理化のピークが来たわけであります。同時に操短を始めたわけでありまして、こういう事実があるわけであります。やはり合理化をしなければならないし、そうしなければ国際水準に追いつかない、合理化をするためには、やはり製品の市場が必要だ、こういう状況がある、ところが、中国に大きな潜在性を持った市場が現実にあるわけです。実際人絹会社も、あるいはスフ綿のメーカーも、操短をしながらも、一方に中国のマーケットにどういうふうにつながりを持つかということを、実際の商売とつながってやっておるわけであります。しかし、それはなかなか苦戦しているわけでありまして、人絹もかなりイタリアあたりにやられたようでありまして、スフは目下盛んに戦争をやっている最中であります。このような状況でも、だいぶ西ヨーロッパの方の攻勢が激しいために、成功するかどうかわからないのであります。そういう状況になっております。そういうことに将来の問題がそこにあるわけであります。それから先ほど似田さんからもお話がありましたように、たとえば火力発電機を見ますならば、ほとんど東芝、三菱電機、日立の製品が入っております。それで具体的な問題からいえば、そのタービンの修理というような問題も出て参りまして、これも今の状況でありますならば、日本がこれに応じませんならば、結局修理を通じまして、リプレースメントは外国品に取られるか、中国の国産品に取られる、こういう格好になるわけであります。こういうことを通じましても、やはり大きな基本的な問題は日中間にあるということがわかるのであります。たとえば電力開発の問題も現実に問題になっておるわけであります。ことしの二月に私が北京におりましたときに、中国の電力工業部の人といろいろ話をしまして、とにかく日本の電源開発の仕事につきましても、協力を期待しているわけであります。これは非常に大きな問題でありまして、御承知通り社会主義は電化からというのがございまして、電化が基本的な中国の問題になっております。その場合に、今ならば日本の技術も日本の資材も相当入り得る根拠があるのであります。鉄鋼でもやはり同じような条件があります。そのようにいろいろと各日本の大きな産業と根本的に関係を結び得る条件は実は中国にもあり、日本にもあるわけであります。  ところが、来年から御承知通り第二次五カ年計画に入るわけであります。中国の第二次五カ年計画は、第一次計画の経験を通じまして相当練れたものになってきております。また、計画性が非常に厳重になってきている、こういう傾向があるわけであります。それと第一次計画のときには、むしろ暦年計画でいろいろとアジャストをしておったようでありますが、今度は五カ年を通しての相当長い間の計画ということが実際問題になってきているようであります。そうなりますと、この一九五八年の五カ年計画の初年度におきまして、日本が何らかの手を打っておかなければ、あとから非常に困難になる。もちろん、その第一年度においてわれわれが参画し得るものは、そう大したものにならぬかもしれません。しかし、五年間あるいはその次の第三次を展望いたしますならば、これは相当大きな、相当大きいというより、むしろ日本経済のあり方自身、日本経済の方向自身に関係のある問題になってくるのではないかと思うのであります。たとえば鉄鋼の問題を一つ例にとりますと、大体日本の今、鉄鋼屋さんは、来年は少くとも百億円くらい、一千万ポンドでありますが、一千万ポンドくらいの鋼材輸出しなければならぬと考えているわけであります。このくらいの数字でしたら、来年は可能かもしれません。そういった場合に、やはり中国経済との間に、もう少し根本的な関係を作っておかないと、これは非常にむずかしいわけであります。と申しますのは、やはり鋼材を売りますならば、われわれは製鉄原料を買うわけであります。たとえば原料炭を買ったり、鉄鉱石を買ったりするわけであります。ところが、原料炭の問題になりますと、日本は今アメリカからその大部分を買っているわけであります。その理由はやはり灰分が少い、今の新しい高炉生産に適合するような炭がアメリカに多い、こういう理由あるわけであります。ところが、中国自身から見ましても、同じようにすぐれた高炉生産の炭を、彼ら自身も必要としているわけであります。従ってそういうような低アッシュの炭を、今度の新しい石炭の増産計画の中へ織り込んでいるわけであります。数量によりますと、今までが一億一千万トンで、今度の二次計画でこれを二億三千万トンにするわけであります。約一億二千万トン増産するわけであります。この中にこのような種類が十分に入っているわけであります。もし日本との関係がちゃんと整っておりますならば、日本高炉を引き当てにした低アッシュの鉱山の開発ということが、可能なわけであります。そうなりますと、アメリカから遠い運賃の危険を踏んで運んでこなくても、すぐ中国から低アッシュの炭を取り得る条件が出てくるわけであります。日本鉄鋼価格が非常に動揺しますのは、一つ原料にも非常によっていると思うのでありますが、一時は運賃が二十五ドルくらいであった。今は十ドルくらいでありますが、このように二倍半も運賃がかかる、そのうちに炭の原価自身が約十ドルでありますから、これほど原価の二倍半以上のものが、いろいろとこう条件が変ってくる、こういうものを主原料にしておきますならば、日本の基幹産業鉄鋼原価というものは、しょっちゅう動く可能性があるわけであります。これは非常に危険な要素であるわけでありますが、もし、中国との間のそのような話し合いができますれば、ここにもっと安定した鉄鋼の原価を作ることができるわけであります。そういうような条件を作り得ることが、実はこの数ヵ月が一番大事な時であるというわけであります。これはどこの産業でも、そういった面をやはり直接的に感じているわけでございます。そのために先ほど申しましたような全国の業者大会をやりますならば、今までに出てこられなかったような全産業が全部そこへ出てこられて、やはりこの協定を早く結んでほしいという要請を集めたわけであります。それはそのようにこの数カ月がかなりの勝負どころになるということを感じているわけであります。もちろん、すぐ何十億という商売ができるわけじゃございませんけれども、将来の基礎を固める根拠がこの数カ月の運命にかかっているということを感じているわけであります。それでこの第四次の日中貿易協定を一日も早くやっていただいて、その基礎の上で、今申し上げたような鉄鋼や繊維あるいは化学肥料の問題を解決していく、あるいは一般炭の基本的な問題も解決していくという、そういうような課題があるわけであります。これはもう日本経済全体の問題でございましてこの先々五年間をお考え願いまして、ぜひ御尽力を願いたいと思うのであります。また、個々の商品の基本的な傾向につきましては、御質問によってお答えしたいと思うのでありますが、大ざっぱに申しますと、二次計画を前にして実は協定問題があるわけでありましてほんとうは非常に工合のいいときに協定交渉が始まったわけであります。これを積極的に解決しますならば、一ぺんにこの問題が解決してしまうたまたまいいチャンスをつかまえたことでもありますので、このチャンスを逸しないで、ぜひ日本経済の将来の方向が安定しますように御尽力を願いたいと思います。
  61. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ありがとうございました。これにて参考人お三万の日中貿易協定に関する御意見を終りまして、これより委員の質問を許します。  なお、ただいま政府側から小笠通産政務次官、松尾通商局長が見えております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  62. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 田尻参考人にまずお尋ねいたしたいのですが、今度の第四次貿易協定は、貿易額それからことに商品分類のごときは、問題の甲、乙、丙類が第三次に比較いたしますると、これが整理統合せられまして、すなわち今回の内容を見てみますというと、甲類が総額において日本からの輸出として四〇%、乙類は総額において六〇%、これは第三次に対して二〇%も多くなっておるし、また、中国よりの輸出品の状況を見ましても、甲類が総額において四〇、それから乙類が丙類を総合して六〇%、こういうような状態になり、また、問題の決算面等も、すこぶる円満にいったように見受けられるのでありますが、一にかかって代表部の人数の問題ということがひっかかって、せっかく内容的に協定が結ばれましても、今お話しの不可分一体ということによって、これが一時、暫時休会のような格好になったことは、まことに遺憾しごくにたえないのでありますが、この代表部の人数の問題でございますが、お話しによりまするというと、まああらかじめ政府当局より五名という問題を示唆をされてお行きになったというのでありますが、実際的にあちらに参られて、あなた方が交渉委員といたしまして、この問題につきましては、相当いろいろ強調をせられたと思うのでありますが、せっかく今、鈴木さんのお話しにもあった通り、第二次経済計画を前にしておりまする中共といたしましては、この五名の人数が、あるいは以前のように代表部というものを、全然頭から認めないということなら、これは問題ないのでありますが、少くとも五名を認めるというにかかわらず、向うはそうかといって何名でなければならぬということは、今お話しにあった通りなのであります。どうしても五名で足らないというようなことが、私どもにはわからないのでありますが、これには何か現地でいろいろ御交渉をせられて、何かもっと日本に対する政治的な大きな意味でも伏在しておるのではないか。まあ、よく藤山外務大臣などが中共貿易について、政治は政治、貿易は貿易だというようによく簡単におっしゃられるのでありますが、私はそうも考えていないのであります。ことに、共産圏の貿易というものは、やはり経済、政治というものは一体にならなければ、これは確立でき得るものではないのでありまして、安易に経済経済、政治は政治でやれるのだというようなことには私どもは賛同いたしかねるのでありますが、そういう意味で、この問題を固執いたします中共側としましては、何か現地に行っていろいろ御交渉の過程を通じまして、あなたがお考えになりました、ことになかなかあなたは外交官もせられた方でありますので、何かそういう点においてこの通商代表部の五名の問題を中心にして、日本側に対する何か政治的な大きなあれでもあるのじゃないか、そういうようなことを何かお気づきがございましたら、一つお答、え願いたいと考えます。
  63. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) なかなかむずかしい問題ですが、今までは通商代表部の問題については、政府機関としての代表部というものを、向うは希望しておったのであります。それが去年の秋から民間通商代表部でもよろしいということになりまして、そのころはまだ人数ということについては、あまり向うとしても考えていなかったようであります。われわれとしても、あるいは五人ということで話がつくのじゃないかということも考えておったのであります。大体ことしの春ぐらいから、例の二つの中国という問題に関連しまして、これは純粋な民間的な性格を持ったものの方がいいということを考、え出したらしい。政治的な意味を持たす場合には、それは三人でも五人でもよろしい。しかし、純然たる民間通商代表部ということになりますと、やはり仕事のできるだけの人数は備えておきたい。内容についても話したことはないのでありますが、代表部といいますれば、正式の代表がいる。二人ぐらいは副代表というものがいる。それからブレーン・トラストになる人間が多少はいる。総務とか経理とか文書とか電信とか、あるいは通訳そういうようなものがやっぱりいる。そういうふうに勘定してきますというと、どうしても五名では足りない。仕事ができないのではないかということを、向うでも言っておりました。完全な民間代表に向うとしては格下げした——裏には今言った二つの中国の問題がある。格下げして、ほんとうに仕事がしたいという考えから、それに必要な人間がほしい、そういうふうに考えてみると五名では足りないというのが向うの考え方のように私は思いまするそれから特にそういうことを向うが考えました背景として、やっぱりソビエトと中国との関係というものがあるのじゃないかと推察されるのであります。御承知のように中国はソビエトから非常な援助を受けてきましたのが、いろいろな事情で、御承知のような事情で、今まで通りの援助ということは期待できないかもしれぬということを考えているようであります。と申しますのは、いろいろな交渉の過程において、共産圏の市場を自由圏に転換したい気持があるということをはっきり申しておりました。理由は言いませんが、そういう結論だけは言ったのであります。その場合に、自由圏でそれではどこが一番の相手になるかといいますれば、先ほどお二人から話がありましたように、やっぱり日本ということになる。ほかの国は輸出するものがないといいますか、向うの方で買うものが少いが、結局において日本は鉱産物を買える国だ。そうすれば鉱産物を輸入することによって、日本から相当転換した品物が買えるということを考えておるようであります。幸いにしてチンコムが解除になったということから、日本の市場をもう少し研究したい。そうしてほんとうに商売らしい商売をしたいということを、非常に強く考えておるようであります。そこへ持ってきて、第二次五カ年計画が始まるという時期でありますからして、この通商代表部に期待するところは、非常に大きいものがある。そういう関係からいいまして、実際の必要から通商代表部が仕事をする人間だけはぜひほしいのだということを真剣に考えておるようであります。先ほど言いましたように、二つの中国という問題がからんでおるということはあると思いますが、その問題と同じような程度において、実際仕事をする代表部がほしいということが大きな原因、そして具体的に考えてみますというと、どうしても五名では足りないというのが向うの結論だ、こういうふうに考えております。
  64. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今の話よくわかったのでありますが、まあ基本的に二つの中国という問題と、それからあとの技術的な問題と二様あったようでございますが、二つの中国の問題というお話が出まして、それから御承知通り中共貿易というものは大体が、七五%が従来共産圏に依存をしてきた。それからあとの二五を%が自由主義圏との貿易をやっていた。そういう意味で最近今のお話しのようにソ連への依存度というものが漸次自由圏諸国へ変っていくというこのお話もよくわかるのでありますが、その民間代表ということを強く要望されるその背景というものに、二つの中国ということが取り上げられている、これは非常な重大な問題なんでありますが、この二つの中国という意味は、最近の中共の政治事情というものがハンガリーの動乱以来、あるいはまた、ソ連のいろいろの政治的な大きな分解の問題以来、その影響を中共に相当与えてきておる。従って台湾に対する政治攻勢というもの一つとり上げてみましても、従来のように武力をもって対内問題を解決をするということよりも何か一歩、もう少し妥協的に、最近の周恩来の声明などをわれわれはたびたび見ましても、そういう点にかなり含みのある声明が非常に多いようでありますが、そういうような背景を考えてこの代表部の、今のお話しの民間代表というようなことに中共当局自身が変ってきた、こう解釈をしてよろしいのでございますか。
  65. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) これは私の解釈でありまして、中国側ではっきりそういうことを言ったわけではないのであります。私の解釈としてお聞き願いたいと思います。なお先ほどちょっと申し落しましたが、私はそういう解釈をするもう一つの材料としまして、今度の第四次協定のでき上った案を見ますというと、支払問題、これはとりあえずは、両国の為替銀行の間で業務協定を結ぶ、コルレス契約を結ぶ、これで完全な了解がついたのでありますが、依然として努力目標として両国の国家銀行間における支払協定をやるということを書いてあるのですが、そのまま残っておる。それから貿易協定そのものにつきましても、今われわれがやろうとしているのは、民間のであります。これも政府間の貿易協定を早くやるように努力したい、こういう第三次の案文がそのまま残っております。ところが、代表部につきましては、今までは政府間の代表部、政府機関としての代表部、従って外交官の特権を持った代表部というような一つの努力目標があったのであります。しかし、これはブロークンされちゃった。日中間の関係がどこから正常なものにいくかわかりませんが、あるいは代表部あたりが、一番初めに政府的な色彩を持ったものになりやすい。そういうところを考えて、代表部の問題については、努力目標を捨てて、端的に民間通商代表部というものだけを出してきた。ほかの問題については、まだ努力目標が残っておる。その辺にも何か意味があるのじゃないか、こういうふうに考えられるのであります。いずれも中国の人の口からそうだということを聞いた問題ではありません。私の解釈でございますから、そのおつもりでお聞き願いたいと思います。
  66. 小滝彬

    ○小滝彬君 ちょっと関連をして田尻さんのお話を、大竹さん非常によくわかったとおっしゃったけれども、私ちょっとわからないのですが、供給源を日本に求めるというのですが、ソ連からの援助というふうなものが減って、日本を対象とした方が非常に重要だと、単純に貿易を促進するための機関であるという考え方なら、まあ五人プラスアルファ、そこに余裕のある点も、おそらく交渉の過程においては、山手君、池田君も表明したのだと思うのです。しかりとすれば、それほど喫緊に、第二次計画もあって、この際協定をしたいという気持なら、その辺はそうあくまでこれにこだわらないでしておれば、そのうち必要性がわかる。日本で正常な活動をすれば、日本の業界でも喜ばれるし、あるいは五人は七人にでも二十人にでもなるかわからぬから、その辺はそう固執する必要はないのじゃないか。あなたの説明からいえば、本当に商売の必要という点からいえば、ことに商務官的性格のものなら、御承知のように商務官事務所にそうたくさん要るはずもないから、あくまでがんばる必要が、経済的な必要からあったのだとおっしゃる説明は、何だか納得できぬと思うのですが、差しつかえなかったら一つ説明願いたい。
  67. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) その点は先ほどちょっと説明しましたように、向うとしては日本が五人あるいはあとは五プラスアルフアという数を、そういう言い方をしたのですが、とにかくワクをはめようという態度を終始変えなかった。まあ、中国としてはああいう新興の国家です。それからよその国々との間にも、いろいろ貿易協定を結んでおりますから、数の問題が貿易協定の問題になったことはない。まあ、私は非常にその点面子ということを考えておったのじゃないかと思うのです。もう一つは、いろいろな問題について、向うは最後に譲歩しました。雷任民氏の口を借りて言うと、私は議員団の諸君がたたれたあと一日残っていたのだ。雷任民氏とか、李新農氏とかいう人といろいろ懇談もしましたが、向うとしては、ほかのものは全部譲った。あれだけ譲った以上は、日本が人数の問題で、人数の問題というよりか、必要に応じて人数をきめるというその点で日本が当然譲ってくれるものだということを期待していたのに、非常な失望をしましたと申しますから、雷さんの口を借りれば非常な誤算でしたということを言っておったのです。そういうことを言った一つの理由としては、先ほどもちょっと触れましたが、人数は必要に応じてきめると、こういうことになっている。必要に応じてきめるということを、こっちが承諾しましても、向うがたとえば五十という数を言ってきたけれど、こっちの方では必要からいって五十は要らぬじゃないかという話ができる。日本がかりにあの条項をのんだとしましても、向うが言ってくる数をそのままのむということにはならない。必要ないじゃないかという理屈を言い合うことができるのであります。しかし、初めから五人とか五プラスアルフアとかいうワクをはめる、これは全く違うわけです。向うとしてはこれを日本が承諾されても、なお交渉の余地はあるじゃないかということを当然考えておった。それを日本としては、いやこれを認めれば何十人何百人来るかわからぬというのでけっちまった。そこまで話がいかないでケリになっちまった。結局向うが失望したというか、誤算をしたというのは、その辺の意味も含まれておるというようなことで、私自身としては、決裂すべからざるものであった、まだまだ話はすべきであった、話をすれば妥結できた、こういうふうに考えております。
  68. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 まだ代表部の問題は他に質問があると思いますが、先へ進みまして、先ほど田尻さんからちょっと決済の問題で関連してお話が出たのでありますが、今度の第四条を見ますると、「双方の取引は、いずれも英ポンドまたは双方の同意したその他の第三国の貨幣をもって価格計算の単位とする。」これが第三次貿易協定に対しまして新らしくふえたワクなのでありますが、この第三国の貨幣というのは、これはドルを指すのでありますか、あるいはドルを初めほかの貨幣も指すのでありますか、この第四条は。
  69. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) ポンドの先行きに不安があるから、そういう場合にも備えて、こういうふうな書き方をしましょう、道を開いておきましょうということを言っておりました。特に米ドルは言わなかったのですが、スイスフランということはちょっと言ったような記憶があるのです。はっきりしませんが、そういうふうな言い方で向うが提案して参りました。
  70. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、似田参考人にお尋ねをいたしたいのでありますが、御承知通り中共貿易は正式に言えば五〇年ごろから民間ベースでいろいろやってきておるのでありますが、前途が非常に有望であることは、これはもう論を待たないのでありますが、ただいま政府の三十三年度から計画をしておりまするいわゆる経済五カ年計画の中に、この新貿易の五カ年計画というものが、盛り上げられてあるはずなのでありますが、これを見ますると、大体最終年度の三十七年度の輸出というものが、大体二億八千万ドル、これが政府一つ見通しであります。これを三十一年度に比較をいたしまするというと、三十一年度の輸出が六千七百万ドルでありまするから、四倍以上になるわけなのでありまするが、これに対するあなたの御見解と、それから従来続いておりまするこの日中貿易というものは、御承知通り昨年も相当な、約四千万に近いところの輸入超過であります。年々歳々輸入超過が続くのでありますが、先ほどあなたのお話しにあった通り、中国は戦前において非常な大きな日本の市場であったことは、これは言うまでもないのでありますが、輸出の三十何%というのは、ちょっと何かの違いじゃなかったかと思うのであります、私どもの聞くところによりますれば、まあ一八%と言われておるのでありますが、これはむしろ対中国の貿易というものが、非常に日本の方が輸出超過であったわけなのであります。最近中共貿易中共貿易と申しましても、非常に輸入超過が続いておるわけなのでありますが、お尋ねいたしたいことは、まずその三十七年度のそういった目標についての見通しと、それから同時に、この輸出入がどの辺でバランスが一体とれるものか、これはいろいろ客観的な関係があると思うのでありますが、それについて一つお尋ねいたしたいと思います。
  71. 似田博

    参考人(似田博君) 先行きの見通しでありますから、当るも八卦でありますが、結局現在よりも両国間の関係が悪くならなければという前提になると思います。昨年までは、御承知のように中国を初め東南アジアでもそうでありますが、いわゆる後進国と申しますか、外貨獲得のために輸出し得る商品というのは、大部分が農産物並びに若干の鉱産物であります。機械とかその他手のこんだものはあまりないわけであります。また日本といたしましても、だんだん進歩向上いたしておりますけれども、中国としても、自転車とか、ミシンとか、あるいは綿織物、これは盛んにこしらえております。内需も六億の人口、一年間の増加率が千二百万人も人口がふえるというような情勢でございますから、内需をまかなうだけでも、かなり増産しなければ足りないと思うわけでございますが、今まで日本が必要とするものは相当多く輸入されております。それから輸出の方は、御承知のようにココムあるいはチンコムといった制限がございます。それからいわゆる世界的に景気がよくってほかの市場にも相当行ったというふうなこともございますし、両国間の経済関係もまだ現在ほどにも軌道に乗っておりませんでした関係上、輸入するものが多くて輸出するものが現実に少かったわけでございますから、例年ずっと日本輸入超過でやって参っております。昨年も下半期から非常に輸出増加したわけでございますが、それでも二千万ドル見当の輸入超過になっております。ところが、昨年以降の傾向を見ますと、甲乙丙類に商品が分類されておりますが、乙類並びに丙類商品は日本がはるかに輸出超過であります。甲類物資は大豆とかあるいは石炭等もございますが、相当輸入いたしまして、輸出の方は機械その他がまだチンコム等の関係で制限を受けておりました関係で、甲類物資は輸入超過、差引輸入超過、昨年の実績はそうなっておりますが、本年度はさらに縮まりまして、大体今後の見通しといたしましては、甲類も乙類も丙類も全部輸出超過になるのじゃなかろうかというふうに考えております。今度向うに参りまして、商品関係の交渉をいたします場合にも、その傾向につきましては、向うは相当神経質にその点を認めておりますようでございます。何とかして向うの製品を日本に買ってもらいたい、特に丙類物資等の消費物資と申しますか、そういったものをたくさん日本に買ってもらいたいという希望が強いようであります。そんなこともありますので、先ほども申しましたが、取引方式が無協定でございますので、いわゆるバック・ツー・バック方式というような非常にプリミティブな貿易方式を非常に強く言ってきておる。いわゆる中共貿易だけにあります特殊な関係でありますトーマス方式、あるいは逆トーマス方式というふうに一定期間余裕をもってやる方式でやっておったのでありますが、それはほとんどやめにして、ちょっとまとまったものはバック・ツー・パックでやってくれということを要求して参っております。ですから傾向としては向うはまだ国内的な消費物資それ自体が非常に足りませんし、いろいろまた、国内的ないわゆる政治的の事情もあるようであります。消費物資におきましても、まだ相当向うは需要がたくさんある、買いたいという意思もあると思います。同時に建設資材ももっともっと買いたい、そういうわけで、日本からの輸出は、まだ向うの外貨さえ獲得できますならば、相当伸び得る余地がある。問題は日本がどれだけ向うから買うかということでございます。これは御承知のように大豆——金額的に大きく申しますと、農産物が非常に多いのですが、現在でもこれは十万トンないし十五万トン多くて二十万トンまで行っておりません。御承知のように日本輸入しております大豆は年間八十万トン、八十二、三万トン、戦後は大部分がアメリカに依存しております。先ほど鈴木さんも言われましたように、遠いところから運賃かけて持って来るよりも中国から買うということが望ましいし、戦前は全部満洲に依存いたしておったわけです。この二十万トンの大豆を四十万トンくらい、少くとも日本需要量の半分くらいでも市場転換いたしますと、それだけのものは甲類物資として機械、鉄板、その他のものが日本から出ていくということになります。これはもっともアメリカといたしましても、日本が最大の大豆の輸出市場でございますから、そう簡単に黙って見ておるということもないと思いますから、実現性ということはむずかしいかもしれませんが、少くとも今の十数万トン台からあるいは二十数万トン、三十万トンぐらいまでいきますと、相当それだけのものが出ていく。これは求償貿易でございますから、日本が買えば、それだけのものは向うが買ってくれる。さらに石炭の、いわゆる強粘結炭にしても、一般用炭にしても、向うの計画に入れまして増産運動をやっておりますので、百万トンや二百万トンあるいは四、五百万トンのものは輸入できる。海南島の鉄鉱石にいたしましても、今年すぐ、明年為すぐといっても、開発関係もございますけれども、二年、三年、五年となりますと、五百万トンぐらいのものは、大丈夫出せますということははっきり申しております。そういうふうに向うから出てきますならば、日本から出しますものはいわゆる甲類物資にしろ、乙類、丙類にしろ相当のものがございます。先ほどおっしゃいました三十七年度の日本輸出目標というものぐらいは行けるというふうに私たちは考えております。
  72. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後に、いま一点お尋ねをいたしたいのでありますが、今お話しの中にございました通り、最近の中共は消費物資に対しても生産が非常によく上っておる。ところが、御承知通り共産圏の物資の生産を見ると、大体が重工業重点で、消費物資というものが比較的少いのであります。そこにいろいろ政治的な問題もソ連あたりに大きく出ておるわけなんでありますが、また一面考えまして、共産圏貿易というものは、かりにこの大衆が要求する消費品というものが、満足に行き渡らなくても、これはいわゆるある意味においても飢餓輸出をするということは、中共の例をとりましても、先般世間に発表もしなかった三年ばかり前でありますが、揚子江のあの大水害にあったときにすら、十五万トンのお米を日本輸出をしたというような芸当をやるわけなんでありますので、従って私ども考えますことは、この民度の低い東南アジアに対しまして、ことにそういった軽工業的な面において、現在においても私どもは中共で作られた万年筆などをよく見せられるのでありますが、これなんか日本の技術の進んだものから見れば、まことにちゃちであります。しかし値段が安くて一応とにかく書けて民度に適合する。それからいわゆるコスト・ダンピングというものを、とにかく縦横にやれるのであります。そういう意味において東南アジア日本の軽工業市場というものが相当撹乱をされ、また、そういう事実も相当あるわけなんでありますが、こういう点につきまして、現地に始終行かれまして実際をごらんになり、また、いろいろ資料等もお集めのことだろうと思うのですが、この点に対して御感想はいかがでありますか。
  73. 似田博

    参考人(似田博君) これはもう当然向うといたしましても輸出振興でございますから、たとえば香港市場におきますセメントの例が最近あったわけでございます。非常に建設景気がありまして、香港島だけで月二万四、五千トンセメントを使っていると思います。従来は中共から入ってくるのと、日本からくるのと地元のセメントで大体三分の一ぐらいあったのでございますが、非常に中国の進出が急でございまして、日本のセメントがすっかりばたっととまってしまったというような例が実はございます。最近の情報によりますと、少し値上げ、百十香港ドルでは値上りしたようでございますが、行くかもしれませんが、これは向うとしてはいわゆる華僑というのも方々にございます。こういった関係もございます。またあるいは開拓、これにあらゆる方法をもって努力して、おりますので、今後も続くと思います。もっとも、これは地理的な関係もございますので、たとえば広州でできたセメントを、東北——満州ですね、満州で使うからといって持っていくよりも、広州で作ったセメントは向うべ出して、あるいは日本から買ったセメントは東北に持っていった方がいいという場合もあり得ると思います。何しろ広い国でございますから、輸送ということが非常に大へんな問題でございます。日本と同じような輸送力と申しますか、輸送の能率は上げておらぬ。森田参議院議員も一緒に参りまして、日本の半分ぐらいかなあということを申しておられました。そういうこともございますと思いますので、一がいに言えませんが、やはり向のはそういったものでもって非常に輸出振興を考えております。ですからある意味においては日本人と競合すると思いますが、そこはやはりわれわれとしましては、それよりももう一段上のグレードの製品を作って出すというようなことに、日本とし、ては考えていくべきじゃないかと考えております。
  74. 海野三朗

    海野三朗君 私は田尻さんにお伺いいたしますがね。この国際貿易新聞で見ますというと、あなたが帰ってこられてから政府当局及び衆、参両院にこの即時再開を要請されたということを、ここで拝見いたしましたが、その後この五人のワクをはめたという、人数にワクをはめたというのは、一体日本政府はどういうところにねらいがあって、そういうワクをはめたとお考えになりますか。(笑声)
  75. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) これはどうも私としては非常に答えにくいのですが、最初のまあ初めは、日本には外国人登録法があって、それによれば普通の民間人ならば、二ヵ月以上滞在する場合には指紋を押さなければいかぬ。向うはそれがきらいだ。ところが、きらいだからといって、現行法令のままで免除するということには非常な無理がある。そこで無理のあるその例外措置だから、まあなるべく人数を減らしたいという考えがあるいはあったのじゃないかと思います。しかし、先ほど申しましたように、今日では中国に対する関係では、もう実際の問題と、人数の問題とは切り離されてしまったんですが、われわれは帰りましてから私の耳に入りますことでは、人数が多いというと、何と申しますか、共産宣伝あるいは治安、そういうことに関連した治安問題に関係があるというようなことを相当耳にいたしまして、それだとすれば、もう全く見当違いじゃないかというふうに考えます。実際問題と人数問題とは初めはくっついておったかもしれない。今日では中国に対する関係からいえば、離れてしまったとすれば、私はもう人数を限定する理由はないじゃないか、こういうふうに考えております。政府が何と考えているか、それ以上私はお答えいたしかねます。あしからず。
  76. 海野三朗

    海野三朗君 よく御所見はわかりましたが、次いで政府当局にあなたが要望なさったごとに対しては、政府当局からいつごろ御返事がありそうにお考えになりますか。ただ出しただけで、ナシのつぶてで、あと漫然とお待ちになっているお考えであるか。もっと運動を起してこれを進めていこうというお考えですか、どうなんですか。
  77. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) われわれとしては、今までにできるだけの運動と申しますか、業界の実情、希望というものをできるだけ政府に知っていただくように、いろいろと走り回ったのであります。いろいろな会合で同じような決議、ないしは希望が出ております。今日聞いておりますところでは、先ほどもちょっと申しましたが、この次の通常議会に外国人登録法の改正案を出して、指紋の免除ということをまあ片づける。まことにけっこうなことなんです。その上で一カ月か二カ月たったときに、人数の問題について中国側と話をしても、おそくはないのじゃないかというふうな意向がある、どの方面かよく知りませんが、政府にそういう意向があるというふうに聞いております。それではまことにおそいのであります。先ほどからみんなで申しました通り、一日も猶予を許さない、こういうふうに考えます。われわれとしては、引き続きわれわれの初志を貫徹しますように大いに努めるつもりでございます。本日もお招きをいただきましたが、ぜひその間の実情を申し上げまして、皆さんもどうか大いに御協力願いたいと、こういうふうに重ねてお願いする次第であります。
  78. 海野三朗

    海野三朗君 御決意のほどは、私非常に敬意を表する次第でございますが、この政府当局に要望したというだけでは、私非常にのろいと思うのです。やはり一ぺん出しておいて、またこれを続いてやるだけの熱意を私は希望いたしたいのです。われわれもできるだけそういう方面に対しては、お話を承わって、ごもっともと思いますから、まあ問題にしたわけでありますが、重ねてどうか御熱意のあるところを下げないように一つお願いをいたします。
  79. 岡三郎

    ○岡三郎君 私簡単にちょっと聞きたいのですが、まあ話に出た五人プラス・アルフアというのですがね、日本人はどうもこのごろはアルフアというのが好きらしいのですが、直截に言って、まあ全然そういう人数を制限するなという向うの言うこともわかりますが、実際にそういうふうにした場合、どのくらい必要かということになれば、業務の内容その他を考えてみて大体このくらいじゃないかと、非公式に話して、そうして大体このくらいの程度で話がつけば、何も要らざることを言ってワクをきめて、どうだこうだということは、これはと無用なことになる。だから一つ具体的にどのくらい必要かと、そういう折衝をしたことがありますか、ちょっと田尻さんにお伺いしたいと思います。
  80. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) その点は、とにかく向うの方としましては、日本がワクをはめようとかかっておるということに、まっこうから反対したわけです。そこで、最後まで必要に応じてきめるのだということで一歩も譲らなかったのですね。その話をもっと進めていくためには、日本がワクをはずす気になって、五プラスのアルファ——五プラスのアルファが十人にならない数だったようであります、そういう考えも一応捨ててワクはよしましよう、そしてお互いの人数をどのくらい出すかということを平等な立場で話し合いましょう、書いたものは書いたものだ、しかし、必要に応じてというのだから、あなたの方は必要だと思っても、私の方ではこの点は必要ないじゃないかというような話をすれば、向うとしてもその話もしないという立場じゃない、そこで私らとしましては、内輪話をすることになりますが、われわれとしましては、一つワクをはずす気持になってそこまでいこうじゃないか、かりにそれが日本考えておった五プラス・アルファよりは数人多いとして、多いとしても何でもないじゃないか、中国に対しては指紋問題を離れた人数だ、人数を制限する理屈がない以上、どっかでまとめなければならない。まとめるためには、われわれが伺って行った政府の意向は五プラスアルファ、一けた、だから向うとまとめて、かりに十五という数が出た、それで話を持って帰って、われわれ使節団あるいはその背景をなす三団体、あるいは業界あるいは皆さんの御協力を得れば、その話は政府に聞いてもらえるのじゃないか、こういうふうに考えまして、話を、交渉をそこまで進めるべきだという意見も出たんであります。不幸にして使節団の中でそこまでの踏み切りがつかない、与えられたもの以上に出る。それで日本に持って帰ってそれが通るという保証がない。そうなれば相変らず努力目標、今度の話は努力目標じゃない、ほんとうに実現できる話をしてゆきたいんだ、こういう意見の方が通って、お話のようなところまで問題が突き進まなかったのであります。これが実情でございます。
  81. 岡三郎

    ○岡三郎君 それだから、ちょっとこれは憶測まで立ち入った話になるけれども、実際に締結する意思があったならば、五プラス・アルファというのは実に不可解なもので、七人なら七人、八人なら八人と暫定的に言って、しかし、これでは何ともならぬと、ワクの問題は別で、要するに実際に初めからほんとうに要るか、要らぬかは業務その他仕事上いろいろ見解はあるだろうけれども、実際とにかく八人なら八人、九人なら九人でやって、向うの方が十五人なり二十人ほしいなら、やがてその話もやりましょうと、だから指紋のワクという話じゃなくて、直截に言って今度の段階はこうなんだから、向うの意向で次の段階にしましようというふうにならぬもんかと、どうもちょっと形の中で踊っているような印象を非常に受けるんですが、そういったような話も具体的には出なかったでしょうか。
  82. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) お互いの間では、使節団の間では出ました。しかし、中国側との間にそういう話し合いをする段階にいかなかった。
  83. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると大体わかったような気がするんですけれども、この代表部の人数とか、あるいは指紋の問題というものは、全然白紙になってしまったというふうに考えてよろしいんですか。五人プラス・アルフアというのが残っていて、そうしてそのアルファをどのくらいにするか、十人以上では困るという話が残って、そこまで話し合いができて、その話し合いならばできるということでお帰りになったのか、全然これはもう白紙になってしまって、あらためて何らかの措置をしなければ、代表部を認めるとか、何人にするとかいうことは、新しい話になることになるわけですか。
  84. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) お答えしますが、日本側は五プラス・アルファで解決したい、向うは人数は言わない、必要に応じてきめる、しかし常識があります、それで終りなんです。日本側の方ではあなたの方が何人出すかわからないから、とにかく五プラス・アルファ、一けたじゃあなたの方は満足しないというのでありますから、それ以上ということになれば、われわれが聞いてきた政府の意向をこすからここで話はきめれません、帰って相談します、こういうふうにして別れたんであります。従って先ほどお話がありましたように、話がゆくところまでいっていないんです。もっともっと突っ込んだ話をする余地があったと私は考えます。一つには議員団の方々が臨時国会があるので、ぜひ早く帰りたいと飛行機の用意までしたことから、時間切れになったということもありました。正直なところ、突っ込むべきところまで話は突っ込んでない。そうしてあとは向うも考え直してもらいたいでしょう、こっちとしても考え直すところもあるんじゃないか、こういうふうに考えまして、そうして考え直す場合に一体人数を制限するのに、五プラス・アルファなんということに一体どんな理屈があるのかという点において、われわれとしてはどうも何も理屈がないんじゃないか、こういうふうに考えておる現状でございます。
  85. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは逆に申しますと、非常にこの交渉はお急ぎになっていらっしゃるようでありますが、今度話が始まるときにはこの五プラス・アルファで十人以上というところから始まるのでなくて、何か国内のいろいろの行政措置とか、あるいは立法措置とか何とかというものを前提として、あらためて日本の態度がきまればそこから交渉が始まるというふうに了解してよろしいですか。
  86. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) 立法措置は、先ほどから申しております通り、立法問題は外国人登録法、指紋の免除という点がこれは立法措置なんです。しかし人数の問題はそういう指紋の問題、立法措置と切り離れてしまう、人数は政府できょうにでもあすにでも、それじゃこういうふうにしようというふうにおきめになれる問題だと私は考えております。なお私ら帰りましてすでに一カ月以上たちましてその間中国から見えた方がありまして、そういう人たちの名前はちょっと差し控えさせていただきますが、そういう人たちの意見としましても、中国で最後に出した案、必要によってきめる、こういうことについては、「必要によって」という必要があるかないかということは両方で相談の対象になり得るんじゃないか、ワクをはめるんじゃなくて、必要があるなしという議論ができるんじゃないか、納得のいくところまで話し合えばおのずから数が出てくるんじゃないか、こういうふうなことを中国側からも聞いております。従って日本側で、ある腹がまえさえできますれば交渉はいつにでもできる、私はそれでまとまる可能性がある、こういうふうに考えます。
  87. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、今の段階としましては外国人登録法の改正というようなことがなくとも、政府自身が踏み切って代表部の必要なる人数を相互に話し合って相談しようということになればもうすぐにでもきまるというふうに了解してよろしいですか。
  88. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) つまり五プラス・アルファというワクをはずす気になって話をする……。
  89. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 向う側の言う通りに必要に応じてという原則を承認すれま……。
  90. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) そう思っております。
  91. 海野三朗

    海野三朗君 ついては田尻さんにお伺いしますが、あなたのお考えとしてはそのワクはどの辺まで広げたらいいというお見通しですか。
  92. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) いや、ワクを広げるとか広げないとかいうと、やはりワクがあるわけなんです。ワクをはずすという気持になって、対等の立場で、一体十という数が出ますか、十五という数が出ますか、二十という数が出ますか一それが必要があるかないか、お互いに納得のいくまで議論すれば結論が出てくる。それを初めから日本は、十、十五、二十、こういうワクをまたきめると、そこへついてこいと、こういう態度では話も切り出せない、こういうことでございます。
  93. 海野三朗

    海野三朗君 それはよくわかりますが、あなたのお見積りでは、大体どの辺までいくならば話がまとまるだろうというお考えですか、それをちょっとお伺いいたします。  それから、こういう問題は日にちがたちますというと、ちょうどビールの気が抜けたようになるもので、今までせっかくここまで積み上げてきたやつがまたガラになってしまいますから、時日の遷延を許さない問題だと私は思うのです。その辺のお見通しは……。そのワクをはずすのですけれども、それならば無制限に入れるのかというわけにもいきませんので、大体話し合いの上で二十人に落ちつくのじゃないか、あるいは二十五人くらいで落ちつくのじゃないかというお見通しを伺いたい。
  94. 田尻愛義

    参考人田尻愛義君) 先ほど申し上げましたように、中国側の口から漏れましたのは、日本が五人十人と言っておるときに三十人、しかし人口に比例してという考えじゃありません。つまり三十ということをまじめに考えているのじゃありませんという意味のことを言いました。だからそれ以上は出ないのですね、そこまでは私ははっきり言えると思います。あとは私の推測になります。
  95. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 だいぶ参考人の方にも長い時間引きとめたのでありますが、私はこの際一つ先ほどからの問題が、本協定は御承知通り貿易額、商品分類、それから決済と、すべて円満にいったようなんでありますが、一にかかって代表部の人数の問題にかかっていることはお聞きの通りでありますが、この際一つ政府のこの問題に対します所見をお伺いいたしたいと思います。
  96. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) お尋ねの点でございますが、代表部の人数の問題につきましては、主として外務当局が当っておりまして私は実は詳しくは存じません。ただ貿易の推進と、こういう見地からこういうふうな協定ができるだけ早く成立することを希望してはおります。これ以上はちょっと申し上げにくい、こういう状況でございます。
  97. 海野三朗

    海野三朗君 ちょっと政務次官にお伺いいたしますが、どうしてそのワクをはめようとしているのか、あなたの方の個人としての意見でもいいですからちょっとお話し願いたいと思います。どうも五人というふうに切ってやる必要はないのじゃないか、私らしろうとにはどうもそういうように考えられるのですが、あなたのお考えはどうなんですか。
  98. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) ちょっと速記をとめて一つ願いたいと思います。
  99. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。    午後三時二十八分速記中止    ————————    午後三時四十一分速記開始
  100. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して下さい。  日中貿易協定に関してはまだ御質問もあると存じますが、他の質問も残っておりますので、参考人に対する質問はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、さよう取り計らいます。  参考人の方々には御多忙のところまことにありがとうございました。委員長より厚くお礼を申し上げます。  速衆記をとめて。   〔速記中止〕
  102. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して下さい。   —————————————
  103. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、貿易問題全般に関して、政府に対して質疑の要求がありますのでこれを許します。
  104. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、政府が十一月の二十五日に経済審議会に諮問いたしました、いわゆる経済五カ年計画を発表されたのでありますが、その中に貿易五カ年計画というものが入っておるのでありますが、これは非常に五カ年計画の全体を計画する上につきまして最も私は重要な点ではないかと思うのでありますが、この政府の発表せられたものを見まするというと、まことに数字等を拝見をいたしまするというと、相当精密でありまして、ある意味におきましては科学的であるかもしれないと思うのでありますが、その意味において国内のいわゆる経済五カ年計画としての立場から見るならば、まことにけっこうと思うのでありますが、しかし貿易計画というものは御承知通り相手があることなんでありまして、ただ単に自国の政策だけではどうにもならないと思うのであります。従って世界景気に左右せられ、そういう点におきましてこの政府の立てられました三十三年度から三十七年度までの五カ年計画という点において、貿易の面につきましては相当批判の余地があるのではないかと考えるのであります。その点で二、三ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、この経済五カ年計画を見まするというと、国民所得の点でございますが、これが年平均六・五%の成長率をもって拡大していく、こういうことになっておるのであります。従って昭和三十一年度の国民所得というものは政府の発表によりまするというと、七兆六千億でございますが、これが四〇%増加をいたしまして最終年度の三十七年には、十兆七千億、こういう数字政府が発表いたしておるわけであります。一方貿易の点はどうかといいますというと、輸出が通関ベースで年率一〇・五%であります。それから輸入が五%の率で成長する、こういうことになっておるのであります。国民所得の六・五%の成長率は、これは過去七カ年の平均状態として割り出されたものと思うのでありますが、輸出入の成長率は昭和三十一年度に基礎を置いた率であるのであります。従って国民所得の成長率と計算法によりまするならば、輸出入成長率というものはもっと私は高くなってしかるべきではないかと思うのでありますが、まずこの点について一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。通商局長でも、でもではない、通商局長でけっこうです。
  105. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 実はこの貿易計画と他の経済計画との関連につきましては、率直に申しまして私どもはあまり深くタッチはいたしておりません。経済企画庁が中心になってやられたのであります。われわれといたしましては、貿易計画の方につきまして参画をいたしたような事情でございますので、他の諸省との関連におきましては経済企画庁の方にお尋ねを願いたいと思います。
  106. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それでは貿易面から見ました成長率の度合いでございますが、むろん五カ年計画の貿易計画につきましては、あなたの方が御参画になってお立てになったこと思うのでありますが、この点についてはいかかでございましょうか。
  107. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 五カ年先のことでもありますので、なかなか議論をいたしますればいろいろな意見も立つのでありますが、まあわれわれの乏しい経験ではございますが、もちろんこれは何も私たちだけの意見ではございませんで、御存じのように貿易部会があり、民間の権威者が参画をせられたのであります。私自身もただ一つの貿易部会の一委員として参画をした程度であります。貿易部会としましては、この程度の遂行はまあできるのではないかという判断に立ったわけであります。
  108. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私も五カ年先の計画でございますので、これが全部履行せられるものとはむろん思っていないのであります。しかしながら五カ年計画というものを政府が立てられた以上はわれわれといたしましてこれに向って検討、研究するというのはこれは当然な義務だと思いますので、そういう意味においてお答え願えればけっこうだと思います。  それでこの三十七年度の最終の年度に輸出が四十七億三千万ドル、それから輸入が四十八億四千万ドル、大体これでバランスがとれるようになっておりますのですが、この意味でどうしても輸出の成長率というものを増加しなければならぬ、この点は御承知通り、過去におけるところの日本輸出状況を見まするというと、年率、私のこれは調査が間違っておりますれば訂正をいたしますけれども、年率大体一七%の率で伸びておるのであります。これは敗戦国日本といたしましてはまさに私は世界的な脅威に属することではないかと思います。世界貿易の成長率を見まするというと、大体五%なんであります。過去この五カ年間の状況を見ますというと、それの約三倍以上の率をもって日本輸出というものが伸びておる。この点は非常にわれわれは意を強うするのでありますので、従いましてこの三十七年度の最終年間における四十七億三千万ドルの輸出というものは、私はよほど世界経済が大きく変調を来たさない以上は、これは達成できるものではないと思うのでありますが、先ほど申し上げました通り、貿易計画が一にかかってこの世界経済の消長に左右せられるということからかんがみまして、ことに最近米国を中心にいたしまして、世界経済というものはやや下り坂にある、こういう点につきましてまずお尋ねを一、二いたしたいのでありますが、まず第一は米国のこの景気が、まあ消息通によりまするというと、来年あたりから下降の一路をたどっていく、この例は連邦準備銀行の公定歩合が三・五%から三%に下げられたというような点も大きくこれはまたあげられるのであります。それからいま一つは、この世界的に外貨不足の点であります。米国のドルは一九五六年から本年にかけまして、非常に偏在集中をしております。本年六月のごときは二百二十七億ドルにも増加をしておるような状態でございまして、非常にドルが偏在集中をせられておる、こういう点であります。それからいま一つは、ヨーロッパでありますが、これは御承知通り、西ドイツにこのドルが集中せられる傾向になりまして、本年の七月のごときは五十億ドルも西ドイツに集中をされていくわけであります。これが勢いドル不足の各国がこの輸入を制限せざるを得ないというような状況になるのでございますが、まずこの三点につきまして局長の所見を一つお尋ねいたしたいと思うのであります。
  109. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) はなはだこの全般的な問題につきまして全部研究いたしておりません。本日そういうお尋ねがあるということをあらかじめ承知いたしておれば少しは勉強して参るのだったのでありますが、そういうことを全然存じません。中共貿易だけをもっぱら勉強して来たということで、はなはだ申しわけないのであります。確かに現在の世界各国のドル不足の原因が米国と西独に対するいわゆるドルないし、あるいはマルクの集中という結果から出て参ったこと、これはもう事実でありまして、万人の認めておるわけであります。問題は、それは今の現状であります。これが今後四年、五年先までそういう現象が続くか続かぬかという問題、各国といたしましては、それをいかにして調整をするかということで、各国が非常に関心を持って国際会議その他におきましていかなる方策をもってその調整をいたすかということで苦慮しておるというのが現状なんであります。従いまして、われわれとしては今そういう現象が、今日のところそういう現象があるから五年先にもそういう現象が続いておるとこう前提いたしますならば、そういう五カ年計画というようなものの作成は非常に困難をきわめるのであります。ある程度のわれわれは調整もできるという前提に立って、いろいろな作業を進めたということであります。で、先ほど来申しておりますように、勧進元は経済企画庁であってそこがいろいろ指数もはじかれ、世界の動向、世界の貿易の伸び率、それと日本との比較その他を検討されまして一案ができ、それを委員としてわれわれが参画をしていろいろ意見を申し述べた、こういうことなんでありまして、率直に申しまして、しさいな微細な気分を反映した数字の最終的な仕上りにつきましては、経済企画庁の専門家にお聞きを願いたい、こう思うわけでありまして、われわれといたしましてはただ参画をした一人としてその感じを申し上げ、——はなはだこれは失礼な言い方なんでありますが、そこまで実は十分に研究いたしておりません。お許しを願いたいと思います。
  110. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 実は私も、きょうは通産大臣もお見えの予定で私は質問の材料をたくさん用意してきたのでありますが、松尾局長お話でもっともでありますが、それではこれはいずれの機会かに譲りまして、前もって質問事項を通達いたしましてやることにいたしますけれども、最後にこれだけお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、最近ちらほら新聞でも見れるのでありますが、商社の出先機関の不当な競争によって非常に日本の貿易振興が害されておるという点でございます。明年度の予算編成に当りまして、三十三年度の輸出を三十一億五千万ドルと踏んでおる、この点につきまして相当政府部内——ことに大蔵省はこれは非常に多く見過ぎておる、三十億ドルが精一ぱいだというようなことを言っておるようでありますが、一萬田蔵相、それから河野長官等はあくまでもこれを押し通していく、しかしこの輸出の三十一億五千万ドルというものをこれを通すということは決して安易なことじゃない、従って画期的な輸出促進策を立ててもやりたいということを言っておられるように私どもは聞いておるのであります。そういう意味からいたしましても、日本の商社の出先機関の過当競争というものについては何らかの手を打たなければならぬときにきておるのじゃないかと思うのであります。これは私は直接じゃありませんが、私のごく親しい友だちが、これは非常にドイツ通でありまして、ドイツに長くおられた人でありますが、その人に、この間あるドイツ人が来て、お前の国ではなぜあんな不必要な競争をやって、あんな安売りをするのか、安売りをやって新しい市場を獲得するならばこれはまだいいのだけれども、安売りしても、そうしてそれの結果、日本自体が損をして、そのあげくにむしろ市場から非常に信用を失墜しておるじゃないか、何で一体こんなばかなことをやるのだとそのドイツ人が私の友人に忠告したというような話を聞いておるのであります。それから最近移動大使として中近東を回られました商船の伊藤社長のこの貿易面によるいろいろな話を聞きましても、中近東あたりは、ことに機械を中心とするものが相当伸びる余地がある、しかし向うは一本だけれども、こちらは非常に商社の数が多くて、あまりに競争が激烈で、従ってこちらのとれるものがドイツにさらわれたり、ほかの国にさらわれたりしてしまうような面が非常に多いのだ、それにはどうしても必要な何かこちらの方策を立てて一つやっていかなければならぬということを、この間移動大使の報告で私ども伺ったのでありますが、これはむろん通産省自体といたしましても、この点につきましては相当頭を悩めておると思うのでありますが、これに対して何らかその対策をお持ちでありますならば一つお伺いいたしたいと思います。
  111. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 輸出取引秩序の確立、言いかえてみますと、今先生御指摘の貿易業者の過当競争の防止であります。これが輸出の振興に重要である、役立つということは、これはもう先生御指摘通りなんであります。それで先生も御存じのように、現在、輸出入取引法というものがあり、これをまた毎年種々の改正を願いまして、今日までに至っておるのであります。その間、輸出組合の設立、あるいは輸出組合における各種の調整事務あるいは輸出業者の協定というものも漸次進んで参ってきておるわけでありまして、かなりの、私は効果を上げておるとは存ずるのでありまするが、まだ依然として過当競争の跡を断たぬというのが、これは実情なんであります。しかし振り返って考えまするに、日本の業者のいわゆる旺盛なファイティング・スピリット、競争意識ということがあったればこそ、今日まで、世界輸出の伸び率の約倍以上の伸びがあったということも、これまた事実でありますので、競争は一がいには悪いとも言い切れないのでありますが、いわゆる過当と、過当競争になるという点につきましては、これは適当な措置を講じなきゃならんことは、これは事実なんであります。今、先ほど申し上げましたように、輸出入取引法下におきまして、いろいろな措置をいたしておるのでありまするが、御承知のように、現在の法体系というものは、業者の自覚によらなければならんのでありまして、政府が命令をするということはできないのであります。行政指導はいたしましても、結局、関係業者の間でそういう組合を作ろう、あるいは組合の中で、こういうふうな統制をいたそうとか、あるいは業者間でこういうやり方をやろうというふうな話が多数決をもってきまらなければできないというような体制になっておる。きまった上におきましては、アウトサイダーの規制等につきましては、政府の方でお手伝いをするというような仕組みになっておる。一にかかって業界のそういう過当競争を防止しようとする意欲にかかっているというのが今日の現状でありまするが、先ほども申しますように、業界におきましても、過当競争の弊害を漸次認められて、かなりの効果を上げて参っておるというのが実情であります。  そこで、先生お尋ねの海外におきまする日本の支店、駐在員、出張所の過当競争の問題であります。これにつきましては、海外に支店を作る、あるいは駐在員事務所を作る、出張員事務所を置くということにつきましては、これはいずれも政府の許可を要する建前になっておりますので、そういう過当競争のはなはだしい地域につきましては、現在のところ、そういう商社の出先機関の設立につきましては、大体抑制する方針をとっておりますが、実際問題としては、目々、非常に強力でありますので、少し前にそういう店を持っているところはいいが、少しおくれて持とうというところはいけないというような格好になりますので、実際の処理は非常にむずかしいのであります。  そこで実際問題といたしまして、今、現実にできておりますのはシンガポールでありますが、シンガポールにおきましては、現地の商社の一つの組織を作っていただきまして、これも実際は日本での本社間の話し合いになるのでありますが、そういう組織を作っていただきまして、そこで、こういうことはいたさないとか、こういうふうなことはお互いに相談しようとかいう、一つの規約を実は作っていただいておるわけでありまして、その規約を順守する、その場では団体に入るというような条件でもって、ある程度新しい出先機関の設置を認めているということ、それがいやな場合にはまあ原則としては許さないというふうな方向をとっているのであります。シンガポールについて今、現実にそれをやっておりまするが、漸次その他の地域については、目下拡充をしようというふうな方針で進んでおりまするが、まだ実は正式に発表したというような案がないわけであります。近く各省とも相談の上、正式な措置要領というもので、発表しようともう段階でございます。
  112. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 だいぶ時間がおそくなって委員の各位に御迷惑でございますが、今度通常国会じゃないと開かれないのでありまするので、前回質疑を残しました点につきまして三、四点お尋ねいたしておきたい。  第一は日本の最大のお得意でありますアメリカにおきまして、わが国の商品圧迫の傾向が見られているということは、非常に残念なことでありまして、昨日もアメリカから日本品排斥運動の一環として、日本製毛織物の締め出しをねらうアメリカ政府の互恵情報委員会の公聴会が、ワシントンの関税委員会で開始された。こういうようなことが、昨日のことが本日の新聞に伝えられ、日本の進出を押えようというような状況であります。おもちゃにしましても、そのほかの問題にしてもそういうようなことであって、こういうような現象は日米の親善協力の上から申しましても、放置できないことである。国内的にも対外的にもすみやかに適切な手を打つということが必要と思われるのであります。今もお話がありましたように、国内的には過当な輸出競争を防止するために、一そう適切な措置が必要と思われる。また対外的には来国の関係業界方面に対するところのPPを積極的にする。また誤解を解くための工作その他、現実実情に即応した手を機敏に打つ必要があると考えるのでありますが、次から次へこういうような事態が現われている。これに対して政府の対策はどういう御処置をお考えになり、またおとりになっていらっしゃるかお伺いします。
  113. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) アメリカにおきまする日本品の輸入制限の問題は、昨年の暮から始まりました、日本の綿製品の輸入制限を初めとして、順次本年度に入りましてから、たとえばベニヤ、あるいは洋傘骨すなわちこうもりがさの骨、洋食器、毛織物、冷凍マグロ等の問題が起っているのでありまして、まことに遺憾なことに存じております。翻ってアメリカ日本品に対する輸入の直接制限、あるいは関税の面というふうな措置をとる主たる原因がどこにあるかということを考えてみますと、日本品が非常に急激に出てくる。しかも値段がだんだんに安くなってきて、アメリカにおきまする同業者との競争を非常に刺激している。こういうところにあるようでありまして、そういうような点から考えまして、二つの面から従来政府としては、外務省を中心といたしまして努力をいたしておるのであります。  出先におきましては、まず第一に御指摘のように、日本の商品の実態に対する認識を十分に持たせる、わからせる、こういうふうな趣旨におきまするPR運動、これは大使館あるいは領事館、あるいはジェトロというものを通じて努力をいたしておるのであります。さらに問題になりましたときに、たとえば今お話がありましたような公聴会等におきまして実情を訴えるための、向う側に有力な弁護人というものをお願いする。そういう場合におきましては、できるだけ当該業界を中心といたしまして援助を加えていく、こういう努力を実はいたしておるのであります。で、対外政策といたしましては、できるだけそういう問題を事前にキャッチして、そういう問題が激しくならぬような努力をするということが必要のように考えておるわけであります。一方、先ほど申し上げましたような理由でありますので、日本輸出の面におきまする過当競争、それから一度にどっと流れていくというものをレギュラーに流れていくような点を考えて参らなければならぬ。そういう点から、たとえば綿製品等につきましては、輸出量の協定、輸出の割当制限というようなものを遺憾ながらしかざるを得ない、こういう状況になっておるのであります。自余の商品につきましても、向うの状況によりましては、輸出数量を統制して、向うに不必要に刺激を与えない、こういうふうな手を打っておるのであります。たとえば、ベニヤについてもそうであります。洋傘骨についてもそうであります。洋食器というようなものもそうであります。で、われわれとしましては、この国内的な輸出に秩序を与える、こういう方向で努力して、ともかくアメリカにおきまする日本の中小企業製品の市場というものは、私は相当大きいものがある。これはあくまで時間をかけていわゆる秩序立てて輸出をさせることによって開拓を可能だと、こういうような考え方で努力をいたしておる次第であります。
  114. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 この問題は、まあ日本アメリカとの親善の点からも、また輸出振興が日本の至上命令であるという点から考えましても、きわめて重要な問題でありまするので、外務当局等のPRが、私の承知する範囲では、きわめて予算措置の上から考えましても薄弱であると思うのです。従って、通産当局におかれましても、一つ積極的に、こういうような事態が次から次に起ってくるというようなことを食いとめて、そうして、アメリカの業界に対しても十分なる認識と理解を持ってもらうように、お進めがいただきたいと思うのでございます。  それから次に、政府におきましては、近く新しい長期経済計画を作ってまた三十三年度の経済見通しを発表すると、こういうように伝えられておりますが、これに関連した事項につきましてこの際承わっておきたいと思うのであります。  第一は、経済審議会の答申によりまする長期経済計画の構想によりますると、 エネルギー——電力、石炭、石油——鉄鋼等の基礎的な部門につきましては、従来より強い計画性を持たせてその増強をはかると、まあこういう方針のもとに、電力は三十一年の基準に比べて三十七年度は六六%の増強、石炭は同じく四四%の増強を見込んでおる。こういうような大幅な増強というものにつきましては、非常に多額な資金が要る。また、今日からその増強を強く推進することが適当であると思われまするが、本年度は引き締めによって既定の計画の実施も非常な遅延をしておると、かように聞いておるわけであります。従って、政府は今年度の当面の資金難を打開する問題についてどういうような考えを持っておられるか。また、三十三年度はいかなる実行計画考えておられるか、その御所見を承わりたいと思います。
  115. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) ただいまお尋ねの問題でありますが、特に電気、石炭計画に対する資金の問題であります。本年度の資金計画は、御承知通り経済変動によりまして若干縮小いたしておりますが、縮小いたしましたのがなおまだ十分に充足しかねておりまして、これに対してできるだけ予定計画だけは充足するという方向で進めておるわけであります。長期計画に関連しましては、これは詳しくは実は経済企画庁におきまして策定いたしておりまして、その方から御答弁申し上げた方がいいかと思うのでありますが、今お話がございました石炭と電気につきまして簡単に申し上げます。  電気につきましては、御指摘通りに、三十一年度に比べまして三十七年までに千百二十万キロばかりふやすことになっておりましてこれに要する経費につきましては、相当多額の金が要るわけであります。最終年度にいきましてこの計画達成上必要な金は一応一兆七千七百億円、こういうふうな推算をいたしておりますが、さしあたりの問題として三十二年度におきましては当初計画二千九百億でありましたのを修正いたしまして、実施計画として二千六百三十六億の確保に先ほど申し上げましたような努力をいたしております。来年度におきましては総計三千二百八十億見当の金が要る予定でございまして、この三千二百八十億に対しまして、経済界状況等から見て果して可能であるかどうか、こういう心配がございますが、最終的に三千二百八十億の融資を目標にするかどうか今関係庁で相談中でございますが、できるだけ確保するように努力をいたしたいと思うのであります。  石炭につきましては、昭和三十二年度におきましては御承知通りに二百七十六億円の計画でありましたが、その後経済界変動にもかかわりませず、石炭に関してはいわゆる修正削減をするということをいたしませんでやりました結果、ただいまのところ三百四億、当初計画に比較いたしまして約一一%くらいの増加の資金を要求することになっておるようであります。昭和三十三年度の計画といたしましては、ただいまのところ三百五十億ということを一応予定いたしておるのであります。これらの金額につきましては、開発銀行の出資、一般市中からの募集等によってこれをまかなっていきたいと考えております。特に石炭につきましては、昭和五十年度に年産七千二百万トンという計画をいたしますと、相当程度の実は金が要るのでありまして、一応はただいまの推算では五千五百八十五億、年平均三百十億円くらいの金が要ることに実はなるのであります。でありまするが、さしあたり本年度と来年度分につきまして今申し上げましたような方針でこれの確保をはかっていきたいと、かように考えております。
  116. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこで、新しい五カ年計画と三十三年度の計画とはどんなふうに関連をさせる御所存であるか。新五カ年計画の初年度——来年度これを無視するような計画見通しを立てることになりますると、せっかくの新長期計画というものが無意味になる。特に鉱工業、貿易面についての一つ御所見を承わっておきたいと、かように思います。
  117. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 一応新五カ年計画のベースは三十二年度をベースにいたしまして、昭和三十三年度を初年度計画、こういう形で三十二年度のベースを中心にして考えていく。従いまして三十三年度が初年度になりますから、実際に即したところからやっていく、こういうことになります。
  118. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 鉱工業と貿易の問題について。
  119. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 鉱工業生産につきましても、貿易の計画につきましても、ベースにつきましては今申しましたと同じようなベースに立って進めていこう、こういうふうに考えております。
  120. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 それから先般の中小企業団体法でありますが、これはまあできるだけすみやかに実施をする必要があると思いますが、一体政府はいつごろから、いつからこれを実施をする、こういう御予定でありますか。これは一問一答だと長くなりますからついでに全部お聞きしたい。それから団体法の運営にあたりましては、商工組合の設立要件をあまり厳重に解釈しますというと、実際上従来の中小企業安定法と大差のないものになるおそれがある。またあまりに拡大して解釈すると、先般来の主婦連等々の反対のように消費者の立場を害するおそれも出てくる。具体的にどういうふうにこれを運営する方針であるか。主な業種について承わっておきたいと思います。  それからまあ団体法は骨組ができたようなもので、骨組に肉をつけ、血を通わせるためにはまだいろんな措置が残されておるのでありまするが、たとえば中小企業の事業税の撤廃、きのうも大へんな決議をされてこの団体でやっておられるのでありますが、そういう撤廃あるいはまた軽減、あるいはまた金融措置等というような問題について、通産省としてはどんな考えを持っておられるのでありますか。以上につきまして一括して簡明、力強い御答弁をお伺いしたいと思います。
  121. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 第一点の実施時期は、準備の都合がありますから、新年度四月一日から実施をいたす、こういう予定でございます。第二の、法律第九条の不況要件の解釈問題でありますが、これにつきましては御審議を願っておりました当委員会でたびたび御説明申し上げましたように、不況要件は一応安定審議会の議を経まして、中正妥当なものを得た上で実施して参りたい、こう考えております。  それから第三点といたしましては、中小企業対策は一つの法律ができてそれで十分ではないということは申し上げるまでもございません。で、法律関係といたしましては、まず第一にこの前からお話ございますように、中小企業の振興あるいは合理化の促進というようなことをぜひいたして参りたい。それから継続中になっております小売商業特別措置法というようなものもぜひ御審議願いたい。金融問題につきましては、前に御説明申し上げましたように、二つございまして、一つはいわゆる中小企業の担保力を増強するために信用保険事業団というような構想で、信用保証協会の保証能力の拡大をはかっていく。第二は財政投融資を大幅にふやしてもらいたい。税の問題につきましては、いわゆる事業税、あるいは物品税を中心としての減税問題でございますが、この問題につきましては、非常にいろいろな経済全般の動きを見なければなりませんので、中小企業の立場から申しますと、事業税の軽減は望ましいのでございますが、これはいわゆる財政当局の御意見を伺いませんと、はっきり申し上げにくいと思います。その他設備近代化の推進等につきましてはぜひ来年は強力に進めて参りたい、こう考えております。
  122. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 なお、先般外務大臣に要求をしましたけれども、御出席にならぬ。また運輸大臣の御出席も求めましたけれども、ことに運輸大臣につきましては、賠償の船舶問題につきましての通産大臣と、ここへ出席しました運輸省の役人の発言とには非常な径庭がありまして、これは賠償という点からも、また日本の造船振興という点に関しましても非常な遺憾なことであると思いますので、次の機会にそれらの問題につきまして質問したいと思いますが、きょうは時間がもはやだいぶ経過しておりますので、私の質問はこれで終ることにいたします。   —————————————
  123. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、調査報告書の件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、今閉会中経済の自立と発展に関する調査につきまして、今後の通商産業施策を中心として炭鉱災害、ガス中毒問題、貿易問題等現下各般の問題について調査を行なったのでありますが、閉会中の期間も短かく、なお調査すべき問題も多々ございますので、さらに次期国会において調査を続けることにいたしまして、この際本院規則の定めるところにより、閉会中調査未了の旨の報告書を議長あて提出することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の内容及び自後の手続等につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、委員長において適宜取り計らうことにいたします。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。   午後四時二十七分散会    ————————