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1957-12-05 第27回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月五日(木曜日)    午前十一時開会     —————————————   委員異動 十一月十五日委員梶原茂嘉君辞任につ き、その補欠として加藤正人君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君    委員            小幡 治和君            大谷 贇雄君            古池 信三君            小滝  彬君            西川彌平治君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            河野 謙三君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    外務省経済局第    五課長     谷敷  寛君    大蔵大臣官房財    務調査官    稻益  繁君    通商産業省纎維    局長      小室 恒夫君    通商産業省鉱山    局鉱政課長   伊藤 三郎君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    通商産業省公益    事業局次長   東  澄夫君    運輸大臣官房参    事官      福永 正美君   参考人    東京瓦斯株式会    社社長     本田 弘敏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立発展に関する調査の件  (炭鉱災害に関する件)  (貿易政策に関する件)  (ガス中毒に関する件)  (繊維輸出に関する件) ○参考人出席要求の件     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る十一月十五日梶原茂嘉君が辞任され、その後任として加藤正人君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではこれより議事に入ります。  まず参考人の件についてお諮りいたします。最近続発いたしておりますガス中毒の問題につきまして、本日午後一時、東京瓦斯株式会社社長本田弘敏君を参考人として本委員会出席を求めたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは本日は経済自立発展に関する調査継続調査といたしまして、今後の通商産業政策に関する件、炭鉱災害に関する件、鉄鋼需給に関する件、ガス中毒に関する件等の問題を取り上げる予定になっております。質疑の御要求がございますので、順次発言を許します。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は最近続発しております炭鉱災害について、担当責任者である保安局長、あるいは最高の責任者である通商産業大臣に、現在起きておる災害状態、あるいは将来に対する対策、あるいは私としての要望、こういう点について若干申し上げ、あるいは御質問してみたいと思います。  第一番に、御承知通りごく最近小さい落盤あるいはその他の事故等を除きましても、一カ月の間に貝島大浦炭鉱においては九名、あるいは東中鶴において十名、あるいは常盤炭鉱宇美炭鉱志生木炭鉱津山炭鉱曲渕炭鉱、三舟炭鉱、新山野炭鉱小倉炭鉱弥生炭鉱、芳の谷炭鉱、こういうように、次から次へと連日新聞の紙面をにぎわしたり、ラジオニュースで御承知通り災害がひんぱんとして続発しているわけでございます。当委員会におきましても、二十六国会の中におきましても、数度にわたって保安局長の御見解を承わり、あるいはまた、その中でたまたま災害が起きました北海道北炭清水沢炭鉱、こういう問題につきましても、論議のさなかに将来どうするかという御見解を承わっておきましたが、逆に災害が増発するという状態でございますが、今までどうしてこういう災害が続出するのか、この内容についてまず保安局長の御見解を承わっておきたいと思います。
  7. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 最近大災害が頻発しておりまして、直接の責任者であります保安局長といたしまして、大へん申しわけないと考えております。しかし、この保安成績は、長い眼で見ていただきますと、必ずしも非常に悪いということはまあ言えないのでありまして、保安法が施行されましてから災害の回数、あるいは罹災者の数は漸次減少してきておりまして、保安局ができました当初から見ますると、死亡、重傷、軽傷は三分の一以下にはなっておるのでございます。しかし、この炭鉱災害は非常に何と申しますか、一度起りますと、次々に起り得る場合が相当ございまして、現在のごときは、やはり災害が頻発しておるということは確かでございます。しかしながら、その全般を長い眼で見ました場合には、決して今の成績が非常に悪いということにはなっていないのであります。たとえて申し上げますと、百万トン当り死亡率を見ましても、三十一年には二二・二という数字でありますが、今年の一月から十月までは一二・三でありまして、むしろ少し下っておる。また、稼働延べの百万人当り死亡率を見ましても、三十一年は六・五で、これは三十二年の一月から十月まではやはり同じような数字を示しておるのであります。頻発しておりますことは、まことに申しわけないというふうに考えておりまして、それぞれの原因を究明いたし、それぞれの対策を完全にとっていきたいというふうに考えておりまするが、長い目で大きく見ますると、決して悪い状態にはなっていない。さらによくするという方向には、強く考えておりますが、去年は非常にいい成績でありまして、三十数年来の好記録を出したわけでありまして、私どもはこの好記録を絶対によごさないという決心で、本年に入ったのであります。実は石炭だけで見ますると、九月まではかなりまあ去年の好成績について来たのであります。実は死亡だけで見ますると、九月に二十七名、去年と比べまして増加をしておったのであります。ぜひ去年の成績を持続したいという考えから、私自身北海道に参りまするし、石炭課長並びに石炭協会保安部長には九州に行ってもらいまして、この十、十一、十二と、この最後の三カ月間で完全にこれをカバーしょうというふうな緊急対策を立てまして、実は十月に入りまして、この九月までの二十七名の増加が七名増に減ってきたわけであります。この分ならば十一、十二で大丈夫挽回できる。ぜひ一つこの挽回をはかりたいという非常に明るい気持で進みつつありましたところ、十一月に入りまして、大きい災害が三回も続発いたしまして、ただいまのところは、去年の数字に押えることはかなり困難なような状態になった次第でございます。しかし、私どもは決して投げることなく、最後まで去年の成績挽回に邁進したいというふうに考えております。  それから災害対策でありますが、私どもの一番現在とっております主要な対策は、重大災害の撲滅であります。まあ頻発災害と申しまして、落盤であるとか、運搬災害であるとか、こういうようなものは、しょっちゅうどこの炭鉱でも起っておりますこまかい災害であります。そのかわり一度にたくさんの死亡者を出すような災害はございません。この落盤とか運搬頻発災害というものは、なかなかこれはうまい工合に減少ができない災害であります。そこで、私どもはまずいろいろな統計から見ますると、成績のいい年は重大災害が少かった年であります。そこで、大きい災害を絶対に起さない方向に現在進めておるわけであります。重大災害の起ります災害種数は、何と申しましても、爆発出水それから自然発火に伴います坑内火災爆発自然発火がもとで、坑内火災も起るし爆発も起る。それからこの前佐世保でやりましたボタ山の崩壊のような大きい災害、この四つを一番大きくあげておるのでありますが、その中でも爆発自然発火坑内出水、この三つの災害は一番大きな災害を起しますので、これらにつきましては、それぞれ特別防止対策要綱をすでに何年か前に作りまして、各監督部には趣旨を徹底すると同時に、各山の方にもこの要綱に従ってやっていただくことにしておるわけであります。まず、この重大災害を減少させて、そうしてこの頻発災害を少しずつ下げていく。特に先ほど申し上げました十、十一、十二の最後の三カ月の緊急対策は、重大災害を押えながら、この頻発災害のうちの落盤を、一つ思い切って一割ぐらい下げていくという最後のこまかい具体策を立ったばかりであります。こまかく申し上げますと時間が長くなりますので、大きい対策としましては、重大災害を完全に防止して、そしてその中で頻発災害である落盤運搬災害を徐々に減少するという方向が、私ども保安対策の最も大きな根幹でございます。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 小岩井保安局長のお話を承わっておりますると、この前の御答弁も、災害が減って喜ばしい、あるいは御同慶にたえません、こういうような御答弁がなされるわけであります。もちろん、国家総動員法があって、石炭の一塊は血の一滴であるということで石炭を掘った当時と現在の統計とは、それは漸次良好になっておることは、これは認めます。しかし、私どもとしては、統計上そういう当時あるいは終戦後、あるいはまた、朝鮮事変当時、現在と比較してパーセントが若干減ったということだけで、決して喜ばしいとか、御同慶にたえないという気持は、ごうもないわけであります。災害一つも起さぬという大方針でもってやっていただかなければならぬ。若干の数字が好転したことが、直ちに喜ばしいことであり、あるいはまた、同慶にたえないというようには、ごうも考えておりません。また長い目で見てくれということも、これも炭鉱の性質上やむを得ないかもしれませんけれども、しかし、その場その場起る災害によってなくなっていく人、あるいは不具者になっていく人、こういう人が保安局長のおっしゃるように、長い目で保安行政をやられては、毎日々々なくなっていく人の身になってみれば、これはとうていたまらぬことであります。従いまして私は一人も犠牲者を出さぬ、一つ災害も出さないという大前提に立ってやってもらわなければならぬと思うのですが、一、二の例をあげてみましても、貝島大浦炭鉱災害、あるいは東中鶴の十八名が水に埋ってなくなったという、こういう問題は、これは現在の保安上防ぐことができなかったか、保安上全く手落ちがなかったかどうか、こういう点について、一、二の例でございますけれども、お伺いいたしたいわけであります。
  9. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいまの御質問で、大の浦炭鉱あるいは東中鶴、最近起りました炭鉱災害が防げるかどうかというお話しでございますが、大の浦炭鉱は御承知のように、新管牟田炭鉱西卸右一片の三尺払で、局部扇風機スイッチ故障を、修理中誤って大爆発を起した災害であります。この災害のごく概略を申し上げませんと、防げたかどうかという点がわかりにくいと思いますので、ごく概略を申し上げますと、大体この切羽は、初めは二、三十メーターのごく短かい切羽でありましたから、払の片側断層が出ておりまして、災害の当日はもう十七メーターに近い面長の切羽になっていたわけであります。それで風も毎分二百立方くらい通っておりまして、普通ですと危険の状態にはなっていないというような切羽でありました。しかし、片側断層が出ておる関係で、ガスのたまりやすいような状態にありましたので、炭鉱側でもこれに最初エア・ジェットをつけまして、ガスの排除に努めておりました。しかし、やはりだんだんガス量が増してきたとみえまして、そのうちにエアモーター扇風機をつけまして、エアファンをつけたわけであります。しかし災害の数日前には、これを電気局扇にかえておるわけであります。なぜかえたかと申しますと、大の浦炭鉱圧縮空気を時間運転しておりまして、ときどきとめるわけであります。エアファンでありますから、空気の供給がとまりますと、従ってファンもとまるので、これがぜひ連続の運転をしたいというところで、電気ファンにかえたわけであります。  たまたま当日、係員切羽に参りましたときに、局部扇風機が停止しておった。そこで係員としては直ちに電工連絡をとりまして、修理をするようにということで修理をさせたわけでありますが、電工が、この坑内甲種炭坑でございますので、もちろん防爆製品を使っております。防爆製品は、いずれも試験に合格したものでなければいかぬということになっておりまして、この試験に合格しましたときには、必ず使用条件がついておるわけであります。使用条件を完全に守っていただければ何も問題はなかったのでありますが、故障のありますスイッチのふたをあけたまま、スイッチを入れたり切ったりした、こういうような関係爆発を惹起しておるのであります。もちろん甲種炭坑坑内でありますから、当然防爆製品を使い、防爆製品を使う場合には、もちろん使用条件が記載してあります。記載してあるばかりでなしに、十分に電工にわかるような状態になければならないわけでありますが、その使用条件を無視いたしまして使用した関係で、大きい爆発が起っておるわけであります。なおまた、この使用条件を一歩を譲ったといたしまして、また別に係員は必ず修理のでき上った扇風機に送電する場合には、ガスを計って送電するということに規則ではなっております。これは必ずしも電工係員を呼んだかどうか、その点の詳しい事情はわかりませんが、電工修理ができ上ったら、係員を呼んで計ってもらってから、スイッチを入れなければならぬ。係員の方から見ましても、でき上ったらそのガスを検定してあげて、そうして大丈夫というところでスイッチを入れさせるべきだったのであります。それらの検定をやらずに、いずれもスイッチを入れたり切ったりされておるわけであります。この程度のことは、現行法で十分に守っていただけば爆発を起さずに済んだものであると、かように考えております。  それから東中鶴の例でありますが、これもまだ排水がもちろん完了しておりません。まあ、現在までの状況では、五十日ぐらい今後かかるのではないかというふうに連絡を受けております。本省といたしましても、一日も早く排水を完了するように指示しておりますが、いかんせん非常に排水がむずかしくて、現在一番最も急ぐ方法をとりましても、五十日ばかりかかる。一番最初は六十五日と言ってきたのですが、私の方で、何とかもっと早くできないかという相談をいたしまして、いろいろな手配をつけまして、現在のところは、五十日で大体完了できるのではないかという見通しをつけております。これは排水を完了してみませんと、詳しいことはわかりませんが、大体私どもで今まで事前に調査推定をしたところでは、隣鉱区の古洞に当って旧坑水が流れ出した、かように考えておるのであります。しかし、旧坑にぶつかりました区域は、多少鉱区外に出ておるのではないかというふうに考えておりますが、なおこの点につきましては、排水を完了いたしませんと、はっきりしたことは申されません。いずれも隣鉱区の旧坑にぶつけて、その旧坑水を一度に坑内に溢水したために、多数の犠牲者を出したものでありまして、これも旧坑に接近する場合には、先進さく孔をやらなければならないということにきめてございます。この先進さく孔をやれば、大体この旧坑からの水は防ぐことができます。それからもし旧坑の位置を意識していなくとも、旧坑に実際に払なり掘進なりが近づいた場合には、大体私どもの経験では、そこから水がかなり浸出してくる、しみ出してくるという現象が必ずあるのであります。入念に係員が見たならば、大体の見当は私はつくのではないか、あるいは特例があるかもわかりません。東中鶴の場合は、水がさっぱり出ていなかったというようなことがあるかもわかりませんけれども、まあ先進さく孔ないしは、水がだんだん浸出してくる、水量が増すという点で、旧坑に接近したのではないか。あるいは危いという程度判断し得るものと考えております。もちろん、目で判断するよりも先進さく孔を使えば一番いいのでありますが、これが使えない場合でも、大体判断し得るという考えを持っておるわけであります。特に旧坑接近危い場合には、必ず先進さく孔を使うということは常識でございます。これらをせずに現在のところ起っておるようでありまして、おそらく会社側では旧坑を十分に意識していなかったものであると考えておりますが、これらは排水を完了いたしまして、実情がはっきりわかりませんと詳しいことが申し上げられません。いずれも技術的には防ぎ得るものであるというように考えております。現在たくさん災害が起っておりますが、現行法規上これを守っても、なおかつ災害が起きたという例はほとんどないのでありまして、私ども現行法の順法を厳守できますように、今後さらに一そう厳重に監督をして参りたいとかように考えております。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま二点ほど例にあげたその答弁を承わっておりますると、大体炭鉱経営者保安法規違反だ、東中鶴の点はそこまでいきませんけれども、そういう結論になるわけですか、その点はどうなんですか。
  11. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私の今まで説明いたしましたのは、現在まで判明いたしておりますのは、電工が直接法規違反をやっておるという点でありまして、鉱業権者その他に果してどれだけの処罰にかかるかという点につきましては、なお詳細な報告を現在まで得ておりません。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 鉱業権者であったか、その実際担当しておった人であったか、そういう論争は別問題としまして今まで幾多の災害が起きても最後はどうもしり切れトンボなんで、太平洋炭鉱爆発して三十九名一瞬にしてなくなった。そのときも結論あいまい模糊であって、どういうような結論が出たということを私は伺っておりません。  それから雄別茂尻炭鉱が九十名なくなって、六十名が一瞬にしてなくなった。これは自分の夫であるか、自分の兄弟であるか焼けてしまってわからぬ。電燈によってこれは何の何べえであるという判断をしたというような悲惨な状態、あるいは本年の春北炭清水沢炭鉱爆発して坑内で蒸し殺しにしたことまで新聞に出たあの問題は、あれは一体保安局長どういうことになったのですか。北大の斎藤博士解剖の結果、爆発してから三時間以上生きておったという斎藤博士解剖の結果である。それが一体どういうことなのか、あなたのここの答弁と今までの大災害結論とはさっぱりマッチしない。従って今あなたの二、三点の結論はどうなったのか。そこをまずお伺いしなければ、今こうしてばく然としたのでは、三日たてば忘れてしまってそのままの姿になってしまう。今まで起きた問題は清水沢の例だけでもけっこうですが、一体どういう措置を講じられたのですか。
  13. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 太平洋炭鉱茂尻炭鉱につきましては、御承知かとも思いますが、鉱業権者初め責任担当係員はすべて送致しております。その結果たしか無罪になったと思いますが、私の関係といたしましては、関係者はすべて鉱業権者まで送検をいたしておるのであります。私どもの手元を離れました限りの判定につきましては、私の方に対してまあ御容赦願いたいと思います。保安監督部といたしましては、鉱業権者初め担当係員に至るまで全部送致をいたした次第でございます。  それから清水沢の問題につきましては、清水沢原因でございますが、機械内部に、外側から見えない原因火花が出たということに一応推定をいたしておるのであります。御承知のように跡が火災坑内がかなり焼けておりますので、なかなか明瞭に原因がつかめませんが、おそらくまあ扇風機内部故障で起ったというふうに判定しておりまして、故障の部分は、はっきりわかっているのでありますが、これが外側から明瞭に見えないのであります。そこではっきり違反が成立せずに、行政処分でおさめたように連絡を受けております。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 小岩井局長、今の御答弁はそれはうそでしょう。清水沢炭鉱は再度そこを掘りまして、あなたのおっしゃるように一切わかりませんというような状態ではないはずですよ。そういうようなでたらめな答弁をしてもらうと、実にわれわれも判断をするのに困るわけですがね、その点はいかがですか。
  15. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 行政処置をとったことに間違いございません。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 中の問題の焼けてよくわからなかったという点ですが、そういう状態ではないでしょう。
  17. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 機械内部につきましては、詳細に写真にとってございましてたしかケーブルをこすらなければならないような状態になっている。そこがこすれるために、ケーブルに損傷を与えまして、火花を出したということは考えられるのでありますが、これが外側から見えない。外側から全然意識できないものを、違反として罰するということは、かなり困難な状態にありましたので、現地の部長はこれはまあ行政的に処分をするということでおさめたのであります。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 外側から見えないということは、どういうことを意味するか私わかりませんけれどもね。その発火場所がすっかり取り分けられて、ケーブルからモーターから全部わかったんですよ。そうすれば電気屋さんに聞けば、どこに故障が起きたかわかるのですよね。それを外側坑外から見るわけじゃないのですから、全部取り分けられて、モーターからケーブルまで出たのですから、そうすると一切わかるわけです。そういう答弁では納得しかねるのですがね。
  19. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 写真がなくてちょっとわかりにくいと思いますが、現場では三カ月に一回精密な検査をやるというふうに、山の保安規程できめられているのであります。実際に災害が起りましたときには、まあ三カ月を越えて精密検査はやっておりませんでしたので、保安規程違反にははっきりなるのであります。保安規程は御承知のように山自身がきめて私の方の認可を得たものでありまして、従ってまあ保安規程違反は罰則もございませんし、自主的に山側で作ってそれを守るというのが、保安規程でございまして、保安規程違反にははっきりなっているのでありますが、これは外側からはまあ見えないような状態で、正規の保安規則には違反にはなっていないのであります。それでまあ違反事項としては取り上げてないのでありますが、山できめられた規程違反していることは事実でありまして、その点はまあ遺憾な点であるというふうには考えております。
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 行政処分を行なったとおっしゃるが、その行政処分内容ですが、どういうことなんですか、具体的にお聞きしたいのですが。
  21. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) そういう行政処分を行うという連絡は受けておりますが、まだその内容については報告を受けておりませんので、内容は詳細にはわかりません。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 まだ十分おわかりにならなければ、あとでも改めてお伺いするとして、芳の谷炭鉱というのが、四名がなくなりまして、三名ほど犠牲者が出ましたね、負傷者が……。あれは通産局で許可しておらぬ炭鉱というふうに聞いたのですが、これはどうなってございますか。
  23. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私のほうに連絡を受けておりますのは、今回出水を見ました芳の谷鉱というのは、施業案の提出は全然ない、ボタ山に隠れた場所でありまして、監督部でもその存在を知らなかったというふうに連絡が来ております。はなはだ残念なのでありますが、九州の各地にはやはり小さな坑口が知らないうちにできるという現象が間々ございまして、たまたま今回の災害を起しました芳の谷鉱も、施業案もない、ボタ山の陰に隠れて、稼行しているということを知らなかったという連絡を受けております。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、全然あなたの方に責任がないと、こういうことになるわけですね。知らないのですから、そういうことになりますか。
  25. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私の方に責任がないということがどういう意味かわかりませんが、私の方は、鉱業法でも同じなのですが、鉱業権を持って鉱業を行なっていなければ正規の鉱業とは認めていないのであります。従いまして盗掘のような場合でも、いずれも警察と連絡をとりまして、私の方といたしましては、直接たとえば盗掘で死亡者が出ましても、鉱山の災害としては扱っていないというような状態になっております。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう炭鉱九州に、私はっきり数字はわかりませんけれども二十五、六、三十近くあるというように、これは明確な数字でございませんからわかりませんけれども、二十五、六カ所、三十カ所近く、そういうような今申し上げた炭鉱があるというように聞いたのですが、これは全然局長の方は御承知ないのですか。
  27. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 現在のところ、まあ盗掘の数字がどのくらいあるかということについては、私承知しておりません。ただ、この場合は盗掘ではなくて、自分の鉱区内を施業案なしに掘っておるのでありまして、施業案違反は間違いないのではないかと思っております。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、これは石炭局長がおみえになっておるようですから、石炭局長にお伺いいたしますが、この炭鉱をやっておるのは、籾井鉱業とかいうのがやっておって、こういう個所を二つも三つも持っておるということで、おそらく石炭局では知っておるというように私は判断するわけです。石炭局長の方では知っておって保安局長さんの方では知らぬということになると、まことに法の不備というか、そのあたり私よくわかりませんが、お知らせ願いたいと思います。
  29. 村田恒

    説明員(村田恒君) 籾井鉱業の事案につきましては、現地の通産局からの報告によりますと、ただいま保安局長から申し上げましたように、ボタ山に隠れて見えないところから、まあ坑口をあけたという事実が確認されております。そこで、この問題はどういうことになるかと申しますと、第一に、合理化法によりまして、五十四条に規定してありますように、坑口の開設に許可をとらなければならない、これに対する違反になるわけであります。それから同時にまた、鉱業法の六十三条によりますと、施業案がなくて採掘した、この両方の法律に違反するわけでございまして、この事実がはっきり確認されました場合には、それに対して適当な処分を行うというふうに考えております。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、この問題が起きてから、直ちに鉱業法六十三条ですか、合理化法五十四条、これを適用して二十カ所やめなさいというような措置をとったか、とられるかどうかをお伺いしたわけですが、しかし、こういう問題が起きなければ、これは全然放任して、やみ炭鉱をそのまま続行させる、たまたまこういう問題が起きたから、あわててそうしてやったというように、これはえげつない判断かもしれませんけれども、あなた方全然知らぬでおるというふうには私は解釈せぬのですが、知らぬでおったら、この爆発が起きたとたん、二十もある個所を閉鎖するというようなスムースな処置はできなかったと思うのですね。この点はどうですか。
  31. 村田恒

    説明員(村田恒君) 決してえげつない御判断ではないのでございまして、実はこの盗掘、鉱業法違反関係の盗掘に対しましては、まあ限られた予算でございますけれども、極力通産局を督励して情報を収集し、あるいは巡回監督をするという措置をとって参っております。それで、できるだけ発見に努めておりましたのでありますが、何分にも夜になりまして、夜間に盗掘をいたしましたり、ある地域につきましては、なかなか危なくて近寄れないというような地域もございまして、なかなかその措置の徹底を欠いておるところがございますけれども、実績を申し上げますと、こういう問題の盗掘を発見いたしまして、それに対する処分を行いましたのは、三十一年度の実績は全国で百八十六件でございます。これに対しましては、それぞれ鉱業権の取り消し、あるいは坑口の閉鎖という処置をとって参っております。さらに、三十二年の一月から五月までの実績を見ますと、全国で百十一件の盗掘、これに対しても処分をとり、あるいは今準備中でございます。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういたしますと、石炭局の方では、そういう炭鉱があるということをおわかりになっておるのですね。しかし、保安局長は知らぬということになる。これは管轄が違うから、当然そういう現象も起きるかもしれませんけれども、まことに役所というものは不便なのであって、片方では石炭をどんどん出す、その石炭の出るのを知っておる。しかしここですと、保安局保安監督になるかもしれませんけれども連絡が全然とれておらぬ。スムースに石炭を出しておる間は放っておいて、爆発災害が起きたり、水が出たりすると、これは騒ぐ、こういうことになると、これは故障が起きるのは当然だというふうに考えるのですが、どうなんですか。
  33. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ちょっと私の説明が足りなかったようですが、この籾井炭鉱は三十二年の八月に開坑いたしまして、十月の初めに着炭しておるのであります。ごく最近初めて着炭して間もない坑口でありまして、現地からの報告は、もちろん監督部ボタ山のかげに坑口をあけておってわからなかった、通産局も知らなかったということを言ってきております。通産局の今の石炭局長のお話しでは、そういう山をいろいろ探して、そうして違反のものは適当な処置をつけた件数を申し上げておるのでありまして、籾井炭鉱の問題は通産局でも御承知でなかったというふうに連絡を受けております。
  34. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあ知らないとおっしゃられれば、これ以上追及しませんよ。しかし、ハッパをかけて、自動車で石炭を運んで何十人、何百人という人が稼働しておるのですから、それが一カ所や二カ所でなくて、二十カ所、三十カ所もあるのですから、それを知らないということになれば何をか言わんやで、これは問答無益ですが、しかし私は知らないということは、ここの御答弁としてはけっこうですけれども、現地としてははなはだ心細いというふうに判断するのですが、ほんとうに知らなかったのですか、地方からそのように連絡が来たわけですか、福岡保安監督部から……、
  35. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 籾井炭鉱は鉱業権を持って、鉱区を持って仕事をしておる炭鉱であります。全然別の人が新しい地域に始めた場合は、割合にわかりやすいのでありますけれども、鉱区を持って、仕事をやっておる鉱区の中で新しい小さい坑口がちょっとできますと、これは施業案違反かどうかというのは、なかなか判定がしにくいのでありまして、これは事実監督部も、通産局も、この坑口については籾井炭鉱が稼行しておることは十分承知しておりますが、この変災を起しました坑口が、稼行をしておるということは知らなかったようなわけでございます。
  36. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、籾井炭鉱を除きましてほかに二十カ所ほどあったわけですよ。しかし、この二十カ所の点についても、保安監督局は全然知りません、結局知らないから保安指導もやれません、保安監督もやれませんでしたと、こういう結論になるわけですか。
  37. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 全然知らずに掘っておる、鉱業権なしに掘っておるということが、私の方で判明いたしますれば、これはもう鉱業法の違反でありますので、すぐ通産省ヘ連絡いたしまして、適当な処置をとってもらうことにしております。
  38. 阿部竹松

    阿部竹松君 その問題に関連してですが、現在施業案というのがございますが、この法案の内容が少しなまぬるいというような点ですね、あるいはきついという結論出るかもしれませんけれども、この施業案のあり方について、石炭局長はどうお考えになりますか。
  39. 村田恒

    説明員(村田恒君) 施業案のあり方についてという意味は、おそらく施業案に対する監督がどの程度厳重に行われておるかという点が御質問の重点だと了解いたしますけれども、しっかりした経営をやり、確実な施業案を出して参りますような炭鉱につきましては、これは相当程度出す方も、十分な調査の上出しましょうし、そうしてそれに対する監督も十分行われると思いますけれども、五十四条違反を起しますようなそういうふうな場合には、なかなか施業案それ自体が正確なものでない場合がままあると考えられます。これに対しましては、今後はできるだけ厳重に先ほど申し上げましたように限られた予算でも、ときどき現地調査をする等のことをやりまして、確実な施業案を提出させ、そうしてそれに対する監督を徹底的に強化していく、このように考えております。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 実はいつも災害が起るたびごとに徹底的に強化します、善処します、今後努力しますという御回答なんですが、依然として災害は絶たぬわけであります。従ってこれに対して斬新的な何らか方法を講じて災害が起りませんというような方法は全然見当らぬですか。やはり依然として、若干ずつ長い目で努力して保安の確保を行うというような方法しかないわけですか。これは保安局長いかがでしょうか。
  41. 村田恒

    説明員(村田恒君) 今のお話は、盗掘につきましてはまあ鉱業法では違反になるのでありまして、保安法自体は全く関係がないのであります。これはまあ違反々々といいますけれども、これはもう全く鉱業法だけの関係でございまして、保安法にはこの関連は全くないわけでございます。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう意味の質問をしたわけではなくして、将来の問題として、災害を絶滅する具体策をもう少し明確にお持ち合せがあるかないかということをお聞きしたかったわけであります。そこで、初めに戻りますけれども保安局長にさいぜんの御答弁の中身についてお伺いしたいのでありますが、さいぜんの御答弁では、大の浦炭鉱の現場担当者が違反を行なったというようなことですけれども、これに指示した鉱業権者あるいは保安管理者、こういう人は全然責任ないわけですか。
  43. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 現在はっきり法規違反というものを起しておるという点につきましては、現地からの連絡では電工が一番はっきり違反をしておる、それから係員につきましては、なお現地でも検討しておるようでありますが、さらに、それ以上の上級の技術職員につきましては、目下検討中でありまして、現地と十分協議いたしまして適当な処置をつけたい、かように考えております。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、通産大臣に一つお伺いしたいのでありますが、私はある現地に参りましたときに、その保安局の予算がきわめて少い、従って十分に各山を回るにも旅費すらないというようなわけで、旅費は二等汽車賃の旅費が出るという規定になっておるそうですが、実際はあまりにも予算が少いために、予算にとにかく縛られて出張もできない、しかし出張して監督しないわけにいかないというようなところで、三等旅費に切りかえて一ぺん出張するのを二度出張して、細々ながら保安を確保しておるというような、現地を回る職員の偽わらざる気持を聞いて参ったわけでありますけれども、しかし、その職員はこういうことを本省に行って話をすればこれはわしが怒られるかもしれないから、これはないしょにしておいてくれと、まことに何と申しましょうか、というようなお話を聞いて参ったわけであります。これについて通産大臣は保安の処置について万全を期するために、予算を計上するときに当って、十分な予算を計上するというようなお気持はございませんか、あなたは大蔵省出身ですから、あまり鉱山のことは知らぬかもしれませんが、一つあなたのお気持をお伺いし  たいと思います。
  45. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 二等を三等に切りかえてやっておるということは、初めて伺ったのであります。先ほど来お話しのように、鉱山保安の問題について画期的な方法というものはなかなかないかもしれませんし、漸進的にいかなければならないかもしれませんが、理想はあくまでも一件も事故を起さないで済ませなければならないと思います。従ってそれにつきましての予算は、最善の努力をいたしまして御期待に沿いたい、かように考えております。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの御答弁にだめ押しをするわけではございませんが、昭和三十三年度の予算は今始まっておると思いますので、ここの御答弁がうそにならぬようにお願いしたいと思います。  それからもう一つ通産大臣にお伺いしたいわけですけれども、国務大臣直接お聞きになったかどうかわかりませんが、災害が続発するというところで、炭鉱の従業員が非常に心配して、従業員の中にも、りっぱな保安係員あるいはやはりそういう技術員がおりますから、そういう者の代表を入れて保安の問題について十分検討したいということで、坑内に入坑させてくれというような話をしたところが、経営者によっては違いますが拒否する経営者もおる、こういうことを聞きました。しかし、保安の問題については経営者を問わず、従業員を問わず、全部が力を合わせて守らなければならない問題でありますから、喜んで経営者が入れなければならないというように私は判断するのですが、大臣はどう判断されますか。
  47. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) これは経営者も労働者も大いに協力してやっていただきたい、かように考えております。あるいはこれは両方の話し合いによって十分保安が期せられるように努力してもらうことは、非常にけっこうなことだと思います。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 きわめて抽象論でわかりませんけれども、両方で協力して保安確保をするのはけっこうだということになりますと、まあ従業員の中から優秀な保安の技術者、あるいはそれにたんのうな人間が坑内保安状態視察に入ってもよろしいと、こういうことに判断してもさしつかえないわけですね。
  49. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただそういうことについて、そういう権限をもって入るというお話が、どうも私よくわからぬのであります。これは経営者と十分相談の上、両方相互了解のもとにお入りになることが望ましい、かように申し上げておきます。
  50. 阿部竹松

    阿部竹松君 経営者と相談するということは、大臣が経営者を呼んで御相談なさって私に御答弁下さると、こういう意味ですか。
  51. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私が経営者を呼んでそういう話をするという意味ではありません。両方、相互了解のもとにお入りになることが望ましい、こういうことを申し上げたのであります。
  52. 阿部竹松

    阿部竹松君 了解する経営者もありまするし、了解せぬ経営者もあるわけです。了解せぬ経営者ということになりますれば、やれ増産だ、やれ増産だで、さいぜん保安局長答弁の中に若干ありましたように、坑内保安法違反らしきことをやっておる経営者は、やはりここは保安法違反であるということを言ってもらいたくない、従って拒否しておるのではなかろうかと私は判断するわけです。こういう点について、保安局長いかがでしょうか。保安局長の御見解として、こういう保安確保の問題について、従業員の中から保安の練達の士が入って、十分保安が完全に守られているかどうか、あるいは規則違反しておるやいなやということを判断するために、やはり中へ入って十分検察をするという点についての御見解一つお伺いしたいと思います。
  53. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私の方では、もう現行の鉱山保安法の体系に基く保安体制、これを固めていくということを第一義務にいたしております。でき得る限り、せっかくできております保安体制を固めるということが、私どもの第一の義務であるというふうに考えております。で、あらゆる関係者の方々に、この体制の固められますようにお力添えをいただきたいというふうに考えておるのでありますが、もし経営者側と自主的に御交渉ができまして、そういった別の体系の調査ができるということにつきましては、必ずしも私どもは反対していないのであります。しかし、お作り下さいというような考えは毛頭ございません。でき得る限り現行の体制を固めて参りたいというふうに考えております。特に保安法につきましては、保安管理者を初め、責任体制が非常に明確にできておるのであります。また明確にさせておるわけなんであります。で、せっかくできておりますこの体系は、でき得る限りくずさずに参りたい。しかし、労使双方が自主的にお話し合いができまして、別な体系の調査なり、そういった指導ができるということにつきましては、私ども決して反対するものでないということを、はっきり申し上げておきたいと思います。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 自主的にできればけっこうなんですけれども、自主的にできないところがあるわけなんです。これはもう現行保安法規が守られているかどうかということが大問題であって、保安法改正もさることながら、現行保安法規でも、百パーセント守られれば、これは保安局長のおっしゃる通り、現在の災害がまだまだ減る。しかし現行の保安法規すら守られていない。従って保安法規改正もさることながら、保安法規改正の前に、現行法規をまず完全に守れということが大問題だと思うわけであります。しかし、現実の問題として、炭坑が一つ爆発すれば、あわてて二十も山をやめさせなければならぬ、そこももぐる、ここももぐるというようなことで、鉱山保安法規違反の山が、次から次に出てくるわけです。これをやはり積極的に防止するのには、やはりいかに小岩井保安局長を責めてもこれはどうにもならない、あるいは地方にある保安監督を責めてもどうにもならない。従ってみんなで協力するためには、ただいま私が申し上げたような処置を講じなければならないので、その見解はいかがですかと、こういうことをお伺いしておるわけです。
  55. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 先ほど申し上げましたように、現在の体制を作りたいという気持で燃えておるわけでありますが、現在の体制の中にも、保安委員会というような組織もございまして、これは労使双方から同数の人数が出ておりますし、特に労務者の過半数以上の推薦がなければ委員になれないような組織もできておりまして、この保安委員会には、その鉱山のあらゆる問題を提起して、いろいろ相談を願えるようなシステムになっておりますので、でき得る限りこういった会を利用していただきまして、別に新しい機構を作るよりも、なるべく現存の機構充実という方向でまず進みたいというのが、私どもの切実な考えであります。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 大体わかりましたが、東中鶴の十八名の問題とか、貝島大の浦炭坑の問題、これはまだ結論が出ておらぬようでありますから、その結論が出ましたときに、もう一度保安局長に十分お伺いすることにして、本問題はこれでけっこうでございます。  次に、若干委員長にお許し願いたいんですが、これと関連して、やはり鉱業権のない鉱山ですね、浜横川鉱山という所が、これは鉱業権のない人間が掘って、これはどういうことになるかわかりませんが、掘っておるという話を聞いて参ったのですが、これは鉱山局のどなたかお見えになっておりますか。
  57. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 鉱政課長が来ております。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 この点について一つ……。鉱業権者でない人が、鉱業権者の許可を得ないで、そうしてマンガンの採掘をやっているという話を聞きました。これは炭鉱ともちろん違いますが、この点の内容一つ承わっておきたいと思います。
  59. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) この件につきましては、共同鉱業権者の間にいろいろ争いもありまして、非常に紛糾した事件になったのでございますが、これにつきましては、本年頭初、東京通産局から告発をいたしまして、その結果、不起訴になっております。そういうふうにして処理いたしました。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 起訴になっているんですか。
  61. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 不起訴にしておるわけであります。鉱業権を持たないで掘っております会社を、東京通産局から告発いたしまして、検察庁で調べた結果、不起訴になっております。そういうことになっております。
  62. 阿部竹松

    阿部竹松君 その理由はどういうことですか。
  63. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 理由は、まあ当事者の関係の複雑な点があろうと思いますが、別途民事訴訟をやっておりますので、そういう関係であろうと思います。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 鉱業権者でない者が、鉱業権者の許可とか、その話し合いができないままに、とにかく採掘をやっている、それを告発をした、ところが、不起訴になった。その不起訴の内容は、検察庁へ行って聞かなければわからないという御答弁になるかもしれませんが、告発したあなた方の立場としては、どういうことで了解したんですか。
  65. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 鉱業権によらないで掘採をしておるということで、鉱業権七条違反で告発をしたわけでございます。どういう理由で不起訴にしたか、その点は十分承知いたしておりません。
  66. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは東京通産局から告発したんでしょう。
  67. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) そうです。
  68. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうして不起訴になったら、こういうわけで不起訴になったという、あなたの方では、そういう理由で告発したんですから、そうすると、こういう理由で不起訴にしておるという理由がなければならぬでしょう。勝手に鉱業権者の許可がなくて、ばくばく掘るんですから、鉱業権というものは、何のためにあるのかわからない。それはあなたたちの方では、鉱業権なんというものは、ないと同じことになるではないですか。そういうようなべらぼうな話はないでしょうが。
  69. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 東京通産局から告発をいたしまして、不起訴になりましたが、理由としては、証拠不十分ということを検察庁の方で言っているそうであります。
  70. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、通産局のその証拠が十分でなかったということですか。私はその内容はわかりませんけれども鉱業権者が、全然許可も何もしないで、あなた方の省に鉱業権を設定してあるでしょう。であるから、鉱業権者が当然責任をもってやらなければならぬ鉱業権を、人がどんどん採掘をやるのに、不起訴にするというべらぼうな話は私はないと思うんですがね。人のものを勝手に持ってきたんだから告発した。しかし証拠不十分だ、現在それを掘っているんでしょう。それをじんぜんとして手をこまねいて見ているという理屈は、昭和三十三年にならんとする今日、そういう話はないと思いますがね。
  71. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 鉱業法七条違反ということで告発をいたしました。その結果、司法部において処置することでありまして、私どもの方ではそれにつきまして、それ以上のことはいたしかねるわけでございます。
  72. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっとこれに関連して一つある……、今阿部委員から質問されて、鉱業権のない者が勝手にどんどんと鉱山を掘っておると、そうすると、そこに問題が起って参りますのは、火薬使用の問題が起ってくると思いますね。その火薬使用に対して、やはりその他人の鉱山の名義を用いてインチキして、そうしてその火薬使用の許可をもらって、現在鉱業権も租鉱権もない人が勝手にこれをどんどん掘っておる、火薬も使用しておる。こういうことになると、もしそこで事故が起きた場合に、一体どういう関係になりますか、保安上の問題として。
  73. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 保安法の問題ですね。鉱業権なくしてやっております場合には、保安法には全然関連ございません。保安法を適用することができないのでございます。
  74. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 火薬の許可は、そういう人々に対してなされますか。
  75. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) もらえないことになっております。
  76. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 鉱山でありませんので、一般の火薬の取締りの対象になりまして、火薬等取締法により、府県で取り締ることになるわけでございます。
  77. 海野三朗

    ○海野三朗君 今の話を聞いておるというと、不起訴になったということになりますというと、あなたの方で大体告発したことが間違っておるのですね。不徹底のやつを告発しておるのですね、どうなんですか、それは。不起訴になったからといって下ってもおられないでしょう。理由があったから告発なさったのでしょう。それで告発にならぬような証拠不十分なものを、あなたが告発したということでは、通産省としてはそれで責任が済みますか、どうなんですか。
  78. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 告発をしましたのは、鉱業権によらないで掘っておるという事実によりまして、告発をしたのでありますが、鉱業権者とその当事者との間におきましていろいろ複雑な関係もありますので、検察庁でいろいろそういう点を調査しまして不起訴にしたというふうに考えております。で、私どもとしては七条違反という事実に基いて告発をしたというふうに考えております。
  79. 阿部竹松

    阿部竹松君 その複雑な関係ということは、どういうことかわかりませんけれども、とにかく鉱業権のない人が掘っておるのですよ、その内容は別として。その情状酌量は別問題としてですよ、鉱業権のない者が採鉱をするというのは、完全なる鉱業法の違反ですよ。そういうことをあなたわかりませんか。そうでしょう、鉱業権のない者がどんどん掘っておったら、とにかくこれは完全に違反ですよ。内容は別だから罰金刑に処するとか、体刑にするとか、あるいは執行猶予三年・こういうふうにつくのは、これは別問題ですね。しかし、鉱業権のない人間がとにかく掘るということは、これは大問題になる。それと同時に、あなたの方の東京通産局では……、あなたは東京通産局であるか、本省であるか僕は知りませんけれども、その方では毎月何トンずつ出ますかという問い合せをやったり、それをとにかく統計数字に出てきているのでしょう、毎月掘っておるというのは知っているのだから……、鉱業権のないのが。そうすれば、理由は別問題でそれは判定するでしょう。しかし、鉱業権者のとにかく許可も何もなくて掘るということは、これは法律違反でしょう、それを黙って見ているのですか、あなたの方は知らぬといって。そんなことになったら、鉱業権の設定なんという法律は必要なくなってしまう。そういうことについては、あなたたちは矛盾も何も感じないのですか、不起訴になりましたからやむを得ませんと。ですから通産省は伏魔殿といわれるのですよ。その点を一つ明確に御答弁しなさい。
  80. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 鉱業法七条違反ということで告発をしたのであります。現在その鉱業権者と相手方との間におきまして、租鉱権設定につきまして民事訴訟法が進行中でございますので、すでに第一審の判決もありましたが、一方の方が控訴をいたしている、そういうような状況でございます。違反の事実につきましては、先ほど申し上げました通り、私どもといたしましては告発の手続をとったわけでございます。
  81. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、第一審で不起訴になったから、またやるということですか。
  82. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 第一審の判決がありましたのは、告発の問題とは別個でありまして、鉱業権者と相手方との間の民事訴訟の問題でございます。
  83. 阿部竹松

    阿部竹松君 相手方と民事上の問題は・それは当事者間で話し合うべきであって、あなた方は鉱業法に基いて仕事をなさっているわけでしょう。その鉱業法に基いて、あなたたちは法の定むるところに従って行動しているわけですよ。にもかかわらず、鉱業権の侵犯を行ったのをじんぜんとして見ている法はない。しかし、伊藤課長いかに答弁せよといっても、これ以上無理ですから、次期委員会には局長に出ていただいて、複雑怪奇な資料の一切を出してもらうことを、委員長にお願いして私は質問を打ち切ります。
  84. 古池信三

    ○古池信三君 鉱山保安局長にお尋ねしたいんですが、先般岐阜県の御嵩町におきまして亜炭鉱が浸水によって数名の死亡者を出したという、まことに不幸な事件が起ったのですが、この事件について監督官庁としてもちろん調査されたわけですから、その調査の結果、正確なる事情を概略でけっこうですけれども、この点報告していただきたいと思います。
  85. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 七福炭鉱災害は死体も収容できまして、原因調査は一応大体済んでいるのでありますが、詳細なまだ報告はこちらにはまだ参っておりません。原因鉱区外に坑道が出まして、そのために隣鉱区と貫通して、隣鉱区の旧坑水坑内に流れ込んだ、こういうような状態でありまして、あとの調査の結果は、あくまで鉱区外に坑道が出ておったという事実がわかりましたので、名古屋の通産局長からいわゆる七条違反で送検の手続をとったものでございます。
  86. 古池信三

    ○古池信三君 ただいまのお話しでは、まだ正確な現地からの調査報告が来ておらぬ、こういうことでありますから、その調査報告が本省に入りましたら、できるだけ早い機会にお知らせを願いたいということを要望いたします。それと同時に、その責任が一体どこにあるのかという問題、それからこれに対して政府としてはどういうような措置を講じているか、これについてもその際にお聞きをしたいと思います。  それからなお、かような亜炭鉱における事件を将来ふたたび発生しないために、どういうような対策考えておられるか。これらについても本日はそういう報告がなければやむを得ませぬが、次回の機会において、ぜひこれを御説明願いたいと思います。
  87. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 時間がだいぶ何ですが、五、六件お尋ねをいたします。  第一は、国際収支の改善の問題でありますが、政府の総合的な緊縮政策によりまして、国際収支の改善の跡がだんだん見えておりますことは、喜んでおるわけでありますが、最近の傾向を見ますると、いささか縮小均衡の様相も見られるわけであります。十一月の為替面の実績を見ますると、輸出が二億三千九百万ドル、輸入が一億三千六百万ドルと貿易だけでもわずかながら黒字を出して、貿易外収支を合せますると二千万ドルの黒字を出しておるわけであります。しかしながら信用状の面で見ますると、十一月中は輸出入とも一億七千八百万ドル程度であって、本年度における最低の実績を示しており、先ほど申しました縮小均衡の傾向も見られぬでもないのであります。国際収支の均衡に執着するあまりに、貿易もまた縮小均衡で縮まってしまうというようなことになりますると、わが国の経済の拡大発展というものが不可能になり、新長期経済計画で期待をしておりまする、五カ年後には輸出七七%の増加というようなことも、これはもう画餅に帰するじゃないかというような心配があるわけであります。こういうような傾向を打開をしていきまする道は、輸出の増進を徹底的に推進をする。それとともに、必要な原材料の輸入を確保するということが必要である、かように思う次第ですが、政府は具体的にこれについてのどういうような対策考えておられるか、これをお伺いいたします。
  88. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しの通りに、国際収支はまず上半期におきましてああいうような状態でありますので、とにかく収支の改善をやらなければならぬということが、第一義だと私は思います。しかし、これは私必ずしもむずかしいことではないので、当委員会におきましても、最初まあ十月には黒字になるだろうという見通しを立てたのであります。これはまあ輸入を極力押えると申しましても、決してこれは物価を上げずに、しかも輸入を減らして参らなければなりませんから、必ずしも簡単ではありませんが、とにかく事国内の関係でありまするから、割合に容易であります。しかし、私は決して楽観をいたしておるのではなしに、輸出は非常にむずかしい問題であると前から申し上げもし、これに対しましても非常な努力をしていかなければならぬというふうに考えておるのでありまするし、また、日本の経済の見通しがよくなり、おっしゃるように景気もよくなり、あるいは金融もゆるんでくるというためには、輸出を拡大していかなければなりません。  ところで、御承知のように、これはまあ相手のあることでありますので、輸出につきましては、最近に世界の経済が下降をして参りまして、従ってこれをそのまま輸出が……、輸入をふやしてさらに生産を上げていくということでありますと、逆にまあ赤字に転落するということになりまして、まあ極力輸入は押えていきながら、輸出を増大していくということでなければならぬわけであります。また、輸出の拡大につきましては、政府といたしまして御承知のように税法上の特典も臨時国会において一部実現をいたしております。また、通常国会におきましても何らかの措置をとらなければならぬというので、いろいろ税法上の問題につきましても折衝いたしておるのであります。また一つは、輸出保険の問題でありますが、これもすでに料率をごく一部でありますが、引き下げておりますが、通常国会におきましてこの改善もやって参らなければなりません。また、輸出手続につきまして、極力簡素化するというので、現在の標準決済制度その他につきましても、検討をしておるのであります。また、輸出入銀行の協調融資の改善、いろんな手を打って参っておりますが、さらに来年度の予算におきましては、現在の輸出振興の中核体でありますところのジェトロの改組、拡充をやって、そして従来からやっております市場調査、あるいは輸入制限に対する対策、あるいは見本市その他の宣伝等につきまして、画期的に拡大した仕事をやってもらいたいというふうに考えておりますが、これは党におきましても賛成も得ておりまするし、また、大蔵省とも極力推進をしておるのであります。しかしまた一面におきましては、現在のやっております国内の問題といたしまして、一方に貯蓄の推進、国内消費を極力抑制して国外に品物を送り出すというような措置もいたさなければならぬのでありまして、また御承知のように金融の一般的な引き締めというのも、そういうような点にあるわけであります。従って輸出が拡大して参りませんと、結局金融はゆるまんというふうに考えておるのであります。ただ私当初考えておりましたより、まあ御承知のようにいろんなアメリカの軍需産業の切りかえとか、そういうような海外における状況は悪化いたしておりまして、よほどの努力をいたしませんと、九月ごろわれわれが考えておりました来年度三十一億五千万ドルという輸出は非常に困難ではないかと思っておるのでありますが、しかし、あくまでそれを達成いたしませんと、日本の経済自身が、おっしゃるように縮小均衡になってくるという心配もあるのであります。本年度においては、私どもはなお当初の目標でありましたし、また、外貨予算を組みました当時考えておりました二十八億五千万ドルの輸出は可能であるというふうに考えておるのでありまするが、まあ来年度におきましては、あくまで三十一億五千万ドルを達成するという意味合におきまして、政府もあらゆる手を打ち、また一般の国民の皆さんにも努力をしていただいて、三十一億五千万ドルの輸出をあくまで達成したいというふうに考えておりますので、それに見合うだけの輸入も考えていかなければならぬ、かように考えております。
  89. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 どうか一つ強力にお願いをしたいと思います。なお、きょうは大蔵大臣にも御出席を願ったのですが、何か予算の審議の関係上お出でにならぬのでありますが、大蔵省から財務調査官ですか、おられることでありますから、御見解を承わっておきたいと思います。
  90. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 今の同じ問題ですか……。ただいま通産大臣からお話がございましたように、私どもとしましても、最近の国際収支、為替収支では若干よくなったと思うのでありますが、御承知のように先日発表いたしました輸出入の信用状のベースを見ますと、非常に縮小均衡になっておる、私ども非常に懸念いたしておるわけでありますが、これは何分一カ月こういう姿が出たということでありまして、今後の輸出の見通しなり、あるいは輸入の姿というものを長期的ににらみます場合には、いろいろ問題があろうかと思います。まあ最近の数字につきまして、原因なり、今後の趨勢なり、いろいろ検討いたしておるのでありますが、まあ概括して申し上げますれば、私どもとしましても、輸出の先行きはなかなか楽観は許せないのじゃないか。従いまして来年度の目標を立てます場合にも、そこに大きな、まあ条件と申しますか、輸出について特段の措置がとられるか、あるいはむしろそれ以上に客観情勢が好転するというような前提が置かれない限りは非常に困難である、かように考えるわけであります。従いまして輸出振興策がいろいろ手が打たれるということは、私どもとしましても、所管の上におきまして、できるだけのことをやって参りたいと、かように思うわけであります。
  91. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 それからこの次には東南アジアの貿易の問題でありますが、まあインドネシアの賠償も、総理が訪問されまして急速に解決をするであろうし、今後東南アジアの貿易振興上の障害の大きなものがまあ除去されたというふうにも見られると思う。従って総理の構想に沿って、東南アジアとの経済協力と貿易の拡大を大きく前進することが非常に大事な問題だと私は思うわけです。それについて最も感ぜられますことは、どうもわが国における体制が整っておらぬので、各省がまあばらばらで、思い思いの独走をしておるというような現状がどうもあるんじゃないかという点を、これを何とかしなければならぬじゃないか、こう思うわけです。今後東南アジアとの協力関係を強力に推進していきますためには、何よりも今の各省ばらばらのやり方というものを調整統一をして、東南アジア貿易振興という声におだてられて、あっちの方に予算がちょこちょこある、こっちにも予算があるというようなことでやっておっては、迅速適切に事を運ぶというようなことはできないと思う。そういう点についてしっかりとした体制を作るということが必要だと思うのですが、その点についての政府の考え方はどうかということが一点、これ一つお答えいただきたい。
  92. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しの通りに、国際協力につきましては、この際強力に推進していかなければなりません。ところで各省ばらばらで、まあ率直にいえば権限争いというような事実が認められぬわけではないのでありまして、と申しまして、私は耕しい機構を作ることがいいとは考えておりません。従来からやっております仕事をさらに特段に力を入れ、差た予算をつけて推進するということがいいのではないかと思います。ただ、総合的にこれをどういうふうに調整するかという問題がありますので、むしろ私個人の意見から申しますと、内閣あたりにそれを総合するような審議会か何かを設けて、そうして従来からばらばらの点を調整してもらうのが一番いいのじゃないかというふうに考えております。新しいまた、大きな機構をこの際作ることはどうかと思うのであります。要はさらに予算をつけ、また強力に推進をするということが肝心なんでありまして、特段の大きな機構を作ったからできるものではないのであります。その点は十分今後も考えて推進していきたいと思います。
  93. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 この問題はきわめて重要で、東南アジア貿易というものは、日本の生命的な最も大事な市場であり、また、なり得まするし、また相提携して後進未開発の地域を、ともどもに繁栄せしめていくという点につきましても、国策の一番大事な、根本的に大事な問題だと思う。外務大臣も実はおいでを願って、その点につきましても、まあアジア開発等につきましての構想もあるやに承わっておりますので承わりたいと思ったのですが、きょうはおいでになりませんので、この点はどうか一つ、大臣が今お話しになりましたように、内閣におきましても調整統一を、しかも迅速果敢に事を運べるようにお願いをいたしておきたいと思います。  それから実は私は、ここに海野さんもおいでになりますが、先般カンボジアのお釈迦様の二千五百年の式典に政府を代表して参りました。その機会にこの東南アジアのインドを初めビルマ、タイ、フィリピン等と、各地を遍歴をいたしております。痛切に実は感じましたことは、日本の商社のあり方なんです。この日本の商社がお互いに現地で非常な過当な競争に終始しておる、従って信用を失墜しておるというような実例が少くないのであります。私は帰りましてから、これは外務省にも強く実は要望したわけでありますが、もうたとえば各地で商社の方にお会いしたいというので、会って懇談会を開いてみれば、ビルマのラングーンにおられる十数社の商社などが、お互いに閉口しておる、ちょびちょびとあれする、そういうようなことで、奪い合いですな、従って日本人というものがいかに金をもうけるということに狂奔しているかという姿を、一部に私は見まして、非常に私は、この新出発をする日本、また東南アジアの各国が日本に対しては非常な実は期待をいたしております。私はまあカンボジアで国賓として十日間、国王、シアヌーク殿下等の接待を受けまして、実にあの人々が、日本に対する期待が大きい、涙ぐましいほどの御接待を受けました。そういう期待と信頼を持って、農業の技術も一つ導入してもらいたい、工業技術も導入してもらいたい、教育の方面に関しても日本に期待するところきわめて大きいというようなことで、まあ非常にわが国に対する期待を持っておられる。そこへこのわれわれ日本国民を代表して、しょっていきなさる商人が、今のような過当競争で、みずから信用を裏切るというようなことがあっては、口に経済外交を唱え、経済協力を唱えたって、私はこれは容易じゃないと思う。従ってこれはまあ商工委員会の問題じゃない。私は根本は教育の問題だと実は思って、日本人の特性たり、日本人の品性向上ということが私は問題だと思う。ビルマのこのウーヌー首相でも、あのパゴダの前に行けばぞうりを脱いで礼拝合掌しておる。カンボジアの国王がお仏像の前へ行けば、ほんとうに身を地面の上へ投げ出して礼拝、合掌しておる。タイでも同じことなんです。ラオスでも同じです。そういうところへ行く日本の商社が、まあ海野先生じゃないが、じゅず一つ持たずに、ただ金もうけをやればいいんだというような、そういう考え方で、口だけの外交、外交というのは口じゃない、まこと心なんです。経済協力もまたその通りです。これを今のようなやり方でやると、フィリピンの人の一部におきましては、日本は工業技術が進んで尊敬するけれども、武力にやぶれて今度は経済侵略だというような感じを持っておる人もある。そういうようなことになっては、私はこれは容易ならざる問題である。従って私はこの外地ヘ行きまする商社の諸君というものが、よほど自重自愛して、日本の運命をしょっていくんだという考え方に立った行き方をしませんというと、私はいかに経済外交とか経済協力なんていうようなことを申しましても、真心の通わぬ商売はてんで問題にならぬと思います。従って私はそういう点につきまして日本の商社がほんとうに誠実な、信用のある態度を支持して堂々と公正な取引を行うということが、東南アジア貿易拡大の大事な要件だと、私はまあほんとうに心から一カ月にわたって各地を巡歴いたしまして痛切に感じてきたんです。この点におきましては、通産省はもとより、外務省におきましても、これは十分なる御戒心を願う必要があると実は思うんです。ビルマの商社が日本の商品をボイコットするというようなことも聞いておる。あるいはまた、フィリピンにおきましても、日本人のこのもぐり込みを避けるために、日本の人にも一年間のあれよりもっと短縮するというようなことから考えましても、ことにまあ民族意識は非常に強いですから、それらの国に対しまして私どもはあくまで尊敬と愛情とを持った、この心持を持った、これは外交官も当然のことです。私はその点は外務省の方々にも強く実は帰って申し上げたんです。口だけの外交は何にもならぬと、真心のこもった、真心から出発せざる外交ではだめだと私は思う。同時に、私は貿易もまたしかりだと実は思う。その点に関しまして一体この政府の御所信はどうかということをこの際承わっておきたいと思います。
  94. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しの点は全く私も同感をいたしておる次第であります。従来制度としましては輸出入取引法その他の法律によっていろいろやっておりますが、また今後も検討いたしまして、輸出入取引法等について改善すべき点は直していきたいとは思っておりますが、根本はやはり日本の出ていく商社の方々の心がまえだと思うのでありまして、従来からも集会の際には申しておるのでありますが、さらに特段の熱意を持ちまして、われわれみずからが、そういう気持で商社の人たちを説き伏せて、強くただいまのような道義の向上ということに力を入れたいと、かように考えております。
  95. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 外務省でも数次にわたりまして移動大使を派遣いたしまして、現地の状況を視察しておるわけでございますが、大使の報告は、ただいまのお話と全く同様でございまして、その点は非常に痛感をしておるわけであります。具体的には各地の出先の公館に連絡をいたしまして、各地における商社の活動があまりにも不当であるというような場合には、出先でしかるべき注意をしてもらい、なおそれでも改まらないというような場合には、通産省なり大蔵省なりに連絡をいたしまして、しかるべく措置をするという方針でやっております。
  96. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 なお外務省にも、なかなかまあアメリカの大使館は二百人も三百人もおられると、こっちの方は五人か七人だと、まことにその御労苦は身をもって私ども痛感して参りましたが、今申し上げた点は、私は東南アジアに対してはきわめて大事であると思いますので、どうか一つ大臣にもよくそのことを話をしていただきたい。
  97. 海野三朗

    ○海野三朗君 関連して私は外務省並びに通産大臣にお伺いするのでありますが、私は先年ビルマに行き、ついでにインドも見て参ったものであります。インドのカルカッタのモカルジー首相に私が会いました際に、モカルジーは日本人は一体仏教国であるはずであるのに、常に豹変しておると、一定の信念がないということを、私はモカルジーから言われたのであります。今日東南アジアの貿易は、ただいま大谷委員からお話がありましたように、経済外交だとか何だとか言っておりますけれども、根本はやはりこの人間の真心であると思うのであります。東南アジアの各国では、この仏紀二千五百年を祝福しまして日本から再三再四各方面のお客様を招んでおる。そういう際に、やはり日本も世間なみのことをしたらどうだというふうに私は思うのです。こちらで行ってごちそうにだけなっておって、自分のうちのお祭りをやるという気がない。とにかくごちそうにだけなってきておると、もう学界といわず、宗教界といわず、その他の方面から、まあ三笠宮もセイロンにおいでになったようなわけで、そういう際に、やはり日本としても、この二千五百年のお祝いというような意味で、東南アジアの仏教の各国の人たちを招待するということが、経済外交の上においても非常に寄与するところが多いんじゃないかというように私は思うのですが、外務省当局はどんなふうに考えておりますか。また、通産大臣はいかようにお考えになっておるか。ただもうけさえすればいい、まあ通産大臣は創価学会か何であるか、私は存じませんけれども、そういうことでなしにやはり世間なみの、人がやるようなことをやはり日本もやっておくのが常識といいますか、お互いに意思の疎通といいますか、非常に私は経済外交の上においても寄与するところが甚大であると思うのですが、大臣及び外務当局はどういうふうにお考えになっておりますか。その所見をちょっとお漏らし願いたい。
  98. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 私は純粋の貿易の方だけしか所管しておらないものでございますから、ただいまの御趣旨は、帰りまして関係のところに伝えたいと思います。
  99. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちょっと、あなたがそういうことをおっしゃるのは非常に形式的なお答えであって、もう少し人間の心の動きということを考えて外務当局にやっていただかないと困るのですね。鼻先の近視眼的な見方で、いや予算がないとか、いやどうだとかいうことでなしに、ほんとうにそうじゃないかと私は思う。ビルマに行ってもそうです。あのパゴダの前に行ったら、大統領初め、土下座で礼拝するのですからね。インドに行きましても同様です。仏陀と言えば、もうインドはどこでも関門なしですよ、仏陀と言えば。わが日本においては、御承知のようになんだかんだと言っても、これでお寺を持たない人はほとんどない。みんな仏壇のない家はすくなかんべ、こういう国は、やはりそこを考えて心の交わりということを考えて、そうして外交を進めていっていただくのでないと、モカルジーが言ったように、日本人は始終ぐるりぐるり変る国であるというようなことを言われると思うのです。つまり、私は外交はそこに根本的なはっきりした信念を持たなければならないのじゃないか、当座逃れのことだけではいけないと思うのですが、いかがでございますか。
  100. 阿部竹松

    阿部竹松君 まだ大臣の答弁も残っておるようですが、議事進行について……。  この前当委員会に外務大臣が来ていろいろ話をしたとき、途中で中座したのです。しかし今後は経済外交という大アドバルーンを上げている岸内閣だから、努めて委員会には大臣が出ます、大臣が出ないときには次官が出ますということで、松本さんも約束したはずですが、私は課長だから悪いとか、係長だから悪いということは申しませんけれども、あのときの約束からすれば、非常にわが委員会を軽視しておる、そういうことになるでしょう。外務省の方、ですからもう少し真剣に答弁してもらわなければ困る。さいぜんのあれですね、大谷先生の御質問等に対して、あなたのおっしゃることは、移動大使と同じでございます、そういうようなことを言っておる。移動大使はそういうことをぬけぬけとやっておる。移動大使がどういう答弁をしたか知っておりますか。もう少し外務当局としては当委員会に対して初めの約束を守っていただきたい。議事進行について一言申し上げたい。
  101. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまのお話しの趣旨は、私全く同感でありまして、ただ経済外交というだけではそれはいかぬ。全く魂のお互いに通うような、そうしてまた日本にも十分来てもらって認識を深めてもらうということの必要なことは、私は十分同感であります。ただ仏教徒の大会というものが、政府が指導的になってそういうことをやることにつきましては、私は十分な考えを持っておりませんが、むしろこれは信徒の方々からそういうような企てがあるというようなことになりましたならば、おそらく外務省としても極力応援するということになるかと思います。私も前のペン大会につきましては、ちょうど外務委員長をしておりましたので、極力推進するようにして参りました。その後政府も相当協力もし、そうして成果を上げたような次第であります。その点につきましては、私も十分熱意を持っておるつもりでございます。
  102. 海野三朗

    ○海野三朗君 外務省の方……。
  103. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 私個人といたしましては、海野先生の御意見に全くその通りだと思います。帰りまして関係のところと相談をいたしまして、そういうようにいたしたいと思っております。
  104. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちょっと私はもう一言だけ……。第二回の仏教徒大会がありました際に、吉田内閣のときでありました。そのときに極東裁判の名判事パール博士が来て、築地本願寺に私行きました。ところが、吉田茂君はそのときにはやって来なかった、ところが閣僚は一人も来ていない。私はお寺だからこういうことを言うわけではありません。とにかく外交ですからね、ふだんは何でもいいですよ、創価学会であろうと何であろうが、私は知らないけれども、やはり各国の人が来たときには、じゅずぐらい持って、私も仏教徒だというところで、一つ礼拝でもすれば非常な感激で、私は各国の代表者に、にせでも何でもいいから、それをやるという気持が政府当局になくちゃならないのじゃないか、世間並みのことをおやりになるのが当然じゃないかと思うのですが、閣僚のお一人として、あなたがいかようにお考えになっているか。国家としてやって差しつかえない、各国とも皆国をあげてやっておる、ですから、おつき合いですから、世間並みのことをなさったらどうかと思うのですが、どうですか。
  105. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 客を迎える場合には、これは心から迎えるということが必要であり、また、その熱意が向うの人を動かすのでありまするから、おっしゃる通りに、われわれもあくまで挙国、国をあげて歓待をするという態勢をとるべきだと思います。
  106. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 これは時間がだいぶ何で、おなかの方が何で、大へん同僚の皆さんに御迷惑千万でありますが、もうちょっとお願いしたい。  阿部委員から御発言がありましたように、実際外務大臣がきょう来て下さらぬことは、私ども非常に実は遺憾に思う。東南アジアの貿易については、外務大臣も非常に熱意を持っておられる。それが出て来ない。通産大臣が助け船を出しておるようなことになっておるので、今後十分御注意を願いたい。  このインドネシアの賠償も大詰めに近づきまして、来年からビルマ、フィリピン、インドネシアの賠償が順調に進んでいく。そうしますると、輸出関係がどうなるかという点についての一まつの懸念があるわけです。ことに最近の賠償は、最初の賠償の基本原則を逸脱をして、かなりの消費財が織り込まれておった。この点について心配しておりますが、これについてお答え願いたい。
  107. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 賠償がすべて解決いたしまして、大体年額一億ドルということが以前からの構想でありますので、おそらく一億程度でありましたら、そう貿易に支障が来るとは思いません。ただ、お話しのように、今まで賠償はすべてプラント等によってやろうという原則を貫いてきております。また、そういたしませんと、いわゆる正常貿易を害するという考え方に基くのでありますが、これは捨てておるわけではありません。ただ問題は、なかなかプラントを出しましても、現地通貨が調達できないような姿が出て参っておりまして、せっかく輸出はしたが、賠償で物は持っていったが、それが行くところにいかぬという悩みを持っておるのであります。その辺で多少消費財等によって動く、こちらから賠償したものが動くようなことも考えなければならぬのじゃないかというような実情になって参っておるのであります。しかし、原則はあくまでこれはもう正常貿易を害してはなりませんし、また、プラントを出していくという考えは捨てておるわけではありません。また、消費財を送りますにつきましても、局限されて正常貿易は害しないというようなものを選択してやっていっておるのであります。まあその点で御心配になるようなことは、われわれしたくないという考えで貫いております。
  108. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 その賠償の問題に関連をしまして、最近日本の造船会社とフィリピン側とで、賠償による船舶建造の内契約ができておるわけでありますが、現在フィリピンの近在に就航しておりまする日本の船舶よりも船足が早いので、将来競合をすることをおそれて、日本海運界保護のために運輸省は許可を渋っておるということで、これは新聞にもそのことが書いてあるわけです。これは、運輸省の態度は、私はきわめて消極的であって、フィリピンがいつまでもわが国の速力ののろい船でがまんをするというようなことはあり得ない。航空機のスピードが一日に、日進月歩どころじゃない。もう一時間ぐらいでどんどんどんどん進歩していくという点から考えまするときに、世界の船舶の船足もその通りに日進月歩を進んでいくと私は思う。もし、東南アジアの諸国が、賠償でなく、わが国の船より足の速い船の建造を注文してきたら、一体どうするのだということもある。また、直接にはこれは運輸省の問題でありまするけれども、輸出振興の一環として考えなければならぬ問題でありまするだけに、これは通産省のお考えをこの際承わっておいて、運輸省からもひとっこれは御返事が願いたい。
  109. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 運輸省の関係の事項につきましては、実は私承知いたしておりませんので、はなはだ申しわけありませんが、御答弁を差し控えたいと思います。ただ、通産省として考えておりますることは、ただいまお話しのように、将来、日本の、いろいろ機械類、あるいはプラントを送りまして、そして、日本と競争相手になって将来困るんではないかというような意見もまま聞くのでありますが、これは全く消極的でありまして、そういうことでありましたんでは、日本の輸出は伸びませんし、日本の将来の経済も成り立たぬ。現在、われわれが、進んでできるだけ機械類を輸出しよう、しかも、日本における一番優秀なプラントを送ろう、肥料等におきましても、そういう考え方でやっておるのであります。さらに、日本は、また一段とすぐれた物を作る、また、より高級な物を考える、また、必要な別個の物を考えていくということを怠ったんでは、これはもう私は日本の今後の将来はないというふうに考えまして、常にそういう考え方で進んでおります。
  110. 福永正美

    説明員(福永正美君) 私、運輸省の大臣官房の参事官代理の福永でございます。ただいま大谷委員から御質問の点につきましては、運輸省といたしましては、省議といたしまして大体そういう線を最近きめたんでございますが、その理由といたしましたところは、最近、フィリピン賠償使節団と民間の日本造船所の間に、大体九はいぐらいの新造船の調達契約ができまして、一時に九はいという大量の契約があったわけであります。船価にいたしまして、合計百五億になりまして、しかも、そのうち約三ばいぐらいは、航海速力が十七ノット以上の相当優秀な、一万デッド・ウェイト以上の相当優秀な船でございまして、そういうものは、おそらく、フィリピン側としては、賠償調達後には当然太平洋を横断いたしましてアメリカ諸国との定期航路に使われる公算が現在大でございまして、特に運輸省当局におきましては、各国がせり合っておりまして、さらにこの上にフィリピンのそういう船体が加わりますということは、特に荷物の関係から、御承知のように、日本船がニューヨーク航路に就航しております現在の荷物の状況は、一たん日本から出ましてフィリピンに参りまして、フィリピンの砂糖とか、クローム鉱石とか、そういうベースカーゴを積みまして、さらに日本に参りまして、日本の輸出の雑貨を積んで、北米の東海岸、ニューヨークあたりまで参って、帰りに向こうのものを積んで来るということでございまして、この航路に同じ性能のフィリピンの船体が加わりますと、フィリピンからの荷物を積みます上に日本が非常に不利になって参りまして、現在でもニューヨーク航路は非常に荷物が取れなくて困っている状況でございますので、これを賠償でそういうことまでするということは、日本としてはあまり出血が大き過ぎるんじゃないかということで、運輸省といたしましては、一応こういう考え方をきめたわけでございまして、これを外務省にお話しいたしまして、フィリピン側と折衝していただくようにお願いしているわけでございますが、日本政府といたしましては、運輸省だけの意見できまるわけでございませんで、いずれ賠償実施連絡協議会で態度をきめるなり、あるいは閣議で日本政府全体としての意見をきめていただくことになると思いますが、運輸省といたしましては、造船の輸出の問題と海運政策の問題と両方とのかね合いから、そういう線を出したわけであります。
  111. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 私は、これはきわめて重大な問題だと思う。貿易振興の立場から、通産大臣は今お聞きの通り。ところが、あなたの方では、そういう競争をおそれてそういうことをきめて、外務省の方でやるというようなことは、これはもうきわめて私は重大だと思いますので、きょうも運輸大臣に出てきてもらうようにお願いしておいたんですが、きょう出ていらっしゃらない。この次の機会においては、ぜひ一つ出てもらって、私はこの問題を留保いたしますから、お尋ねを申し上げたいと思います。
  112. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちょっとそれに関連して。今の運輸省側のフィリピン賠償の船のことなんですが、そういう賠償にそういう条件をつけたり、それから、内閣全体として東南アジアの開発基金の設定とか、あるいは東南アジアの開発と、こういって采配を振っているわけなんですね。そういうときに、何といいますか、ある意味から言うと、自国の、たとえば日本なら日本だけの立場でものを言うということになりましては、日本のほんとうの東南アジア開発というものは、一体、日本のそういう立場というか、利己的な形において推進するのかどうか。あるいは、日本の利益に反する場合は、いつでも東南アジアの開発なりあるいは賠償問題というものは、そういうものと抵触するときにはこれは成長しないのだとかいうならば、戦前において行われた日本の拓殖計画なり何なりと同じ考え方じゃないかというような非常な誤解を生むのじゃないだろうか。従って、そういう意味ならば、私は、賠償というものの根本に、言いかえれば、戦時中こういうふうで御迷惑をかけたからこうだというこういう気持で、せっかく賠償条約を結んでいるにかかわらず、自分の何と申しますか利益に反する場合は、それは困るのだと、こういったことでは、ほんとうの賠償の精神を生かさないのではないか。それと、もう一つ、せっかく内閣が東南アジア開発ということを言っているけれども、そうでなくてさえも誤解を生む問題が、日本の利益に反しない限りにおいて東南アジア開発というものが叫ばれているのではないか、言いかえるならば、東南アジア諸国の利益なり、あるいはその民族の幸福ということを念願して、われわれは東南アジアの開発というものに協力し、同時に、そういうことを念願しているというその大きな精神に反するのじゃないかという気がしますが、この点、一体通産大臣としてどうお考えになるか。これは、まあ運輸大臣はおられないのですが、私は、むしろ国務大臣の資格においてこの問題についてどう考えていられるかどうかを、この際御説明願えれば幸いだと思います。
  113. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私は、先ほど申し上げましたように、個人的に考えておりますことは、常に積極的にわれわれはさらにいいものを作って出していくべきだ。現在一番優秀なものを送っていかなければ、ほかの国もやはり一番いいものを持ってきているのですから、この際の競争としては最優秀のものを出すという心がまえでなければ、先ほど来申しておりますように、日本の貿易が伸びない、また、今後の日本の経済も伸びない、そういう信念を持っております。
  114. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 今の福永参事官の御発言は、さっき私申しましたように、大臣にどうしても伺わなきゃならない。インドネシアの賠償も、こげつき債権まで日本は放棄をして、そうして総理がああいうふうに妥結ができておるということは、これはもう東南アジア諸国に対する日本の誠実なる気持を表白されたものだと私は思うのであります。私は、その点については国民としてきわめて喜びにたえない。ところが、あなたの発言は、今高橋委員の言われるように、これは親の心子知らずの省議を決定したということです。これはきわめて重大な問題でありますから留保いたします。  船の話が出ましたので、もう一つ輸出船のことを承わっておきたいと思います。一昨年からいわゆる造船ブームで、今年の一月から十月までの輸出統計を見ますると、輸出造船はわが国の輸出品目の中で綿織物を抜いて断然第一位になっておる。受注高を見ますると、イギリス、ドイツに次いで第三位となっておる。現在のように輸出船の受注が低調でありますと、相当施設を拡張したあとだけに、将来大へんな問題が起ると思う。で輸出不振の原因としまして、延べ払い、あるいは一部バーター取引の条件が隘路になっておるといわれておるわけですが、たとえば現在プラント類は五〇%現金、五〇%が延べ払いでいい、期限五年以内となっておりますが、これを四〇%現金、六〇%の延べ払いにするというようなことはできぬのかどうかということであります。そうしますれば、現在輸出不振になっておりますプラント類の輸出というものもかなり盛況を呈してくるのではないか、こう思いますが。その点に関しての大臣の御意向を承わっておきたいと思います。
  115. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 御承知のように、またただいまお話しのように、この数年来船舶の輸出ということが非常な重要性を持って参っておりましたのが、最近においては非常にまた変って参りました。非常にまあ受注が少くなって参りました。世界の情勢から見ますと、昨年と今年は非常に変ってしまったのであります。必ずしも支払条件だけには限らないと思います。しかし、またいずれにしましても、まあ輸出というものは諸外国の情勢とにらみ合せて、お互いに競争していかなければならぬ。従って従来の条件で輸出ができたから、あくまでその条件を守っていかなければならないということではありません。ただいまお話しのような、具体的なパーセンテージその他につきましては、ただいまちょっと申し上げる材料を持っておりません。少くとも世界の情勢とにらみ合せて、そうして対抗し得るようにして、輸出を奨励しなければ、また業者も出すことはできぬのであります。極力御趣旨のように条件を緩和していくということに努力をいたしたいと思います。
  116. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 十分に一つ御検討をお願いいたします。それから中共貿易にしましても、輸出振興策全体に通じまして、やはり各省の思想統一の点で、いろいろな困難なことがあるのじゃないか。中共貿易の問題に関しましても、さきに行われました貿易交渉におきまして、まあ、例の指紋問題を初め、駐在員の安全保障、貿易協定等の話し合いが成立したにもかかわらず、わずかに代表部の人数の点で一致しない、交渉が中絶している。外務省は外務省としての技術的ないろいろな問題があるかもしれないのでございますが、せっかくふえてきた貿易の六月から十月までの実績を見ますると、前年に比べて輸出が二九・七%減、輸入が三・五%減となっている状況です。通産省としてはこの日中貿易協定については、どんな態度を持っておられるかということを、これは輸出振興が現在日本にとって非常に大事であるという点から、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  117. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 日中貿易につきましては、第四次協定が御承知のようなことで停頓してしまいましたことは、非常に遺憾に思っております。しかし、いずれにしましてもこれは早く打開をしなければなりません。またそれにつきましてはいろいろ検討をすべき点もあります。まあ、現在極力検討をして早急に打開していきたいというので、われわれとしましても外務大臣なり、あるいは法務大臣等にお願いをしているような次第であります。
  118. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。  それでは残余の質疑は後刻に譲り、午後二時から再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      —————・—————    午後二時二十一分開会
  120. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 休憩前に引き続きこれより会議を開きます。  最近ひんぴんとして東京に起っておりますが、ガス中毒の件を議題として調査を進めますが、先ほどお諮りいたしましたように、東京瓦斯社長本田弘敏氏に参考人として御出席願っております。本田さんには御多忙のところをまことにありがとうございます。  それで議事の進め方でありますが、まず参考人から中毒事件の原因、その状況、善後処置等について承わって、終って委員からの質疑を行いたいと思いますが、さよう取り計らうことに御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  121. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではさようにいたします。  本田参考人より最近のガス中毒事件の原因、実情、おとりになった措置筆について伺わせていただきます。
  122. 本田弘敏

    参考人本田弘敏君) 本田でございます。去る三月の五日に当委員会にお呼び出しを受けまして、ガス中毒防止に関しまして、皆様からいろいろと御指示、御注意をいただきまして、自来私どもその線に沿うて、中毒防止にできるだけ努力をしてきたつもりでありますが、遺憾ながら、その後も中毒事故はあとを断ちません。ことに最近の事故は、需要者の不注意、あるいは手落ちに基くものよりも、むしろそれ以外のものが頻発しているという実情でありまして、まことに申しわけないと存じております。ことに先月十一日の芝の西久保広町に起きましたあの惨事は、私ども幾らおわびを申し上げても申し上げ尽せない、ほんとうに心から哀悼の意といいますか、を感じておるわけでありまして、そういう意味からいたしまして、何とか中毒事故の少くなるように、そうしてああいう尊い犠牲者の人たちの死を空しくしないように、いわば禍を転じて福となすというふうに私ども努力していきたいと存じます。  ただいま御質問のありました最近のおもな事故につきまして、これから御説明を申し上げます。まず第一にただいま申し上げました西久保広町の事故についてであります。これはすでに発表になりましたように、終戦直後から残っておりましたガスの不使用引込管のために起きました事故でございまして、これにつきましては、私ども全く不使用管の整理ということを戦後専念いたしまして、それに最大の努力をしたにかかわらず、ああいう惨事が起きましたということについては、まことに意外とも何とも言いようがない、ぼう然自失するくらいのことでございました。と申しますのは、終戦直後から不使用管の整理ということは、会社にとりまして大きな問題でございまして、終戦直後戦争が済んでから翌年の二十一年二月までに、会社としましては、約二十九万本の不使用管を整理いたしております。それから二十二年の三月末から七月末まで百三十日間の間にこれは総動員をいたしまして、当時ガスの漏洩率が五四%という高率でございまして、当時石炭が少くて黒ダイヤとまで称された時代に、そういう漏洩率があるということは、これは国家に対しても申しわけないことでありますし、会社としても、もちろん経営上大へん大きな問題であります。たまたま労働組合から待遇改善の要求がありまして、組合の幹部と私ども会社の幹部が、どこに財源があるかというようなことを検討しました結果、まず第一にこの漏洩防止をやるべきであるということでありました。当時石炭が少いために、朝五時半から七時までくらいしかガスが出ておりませんでしたけれども、われわれは本社といわず、営業所といわず、工場といわず、総動員で決起いたしましてその間に焼け野原をかぎ回わって、そうしてガスの漏れ個所を発見して、昼間それを直す、原始的なやり方でありましたが、当時いわゆる栄養失調時代の、はなはだしく困難な時代にそれを行いました。結局人の一心といいますか、みんなの協力によりまして、百三十日間に漏洩率を二五%まで引き下げることができました。引き続き、それだけでは足りないというわけで、昭和二十二年の八月一日に営業部に漏洩対策本部というものをこしらえまして、根本的に焼け跡の本管、支管、メーン・パイプ、ブランチ・パイプの布掘りと申しまして、洗いざらい調べまして、それから出ている不使用管の整理をやったのでございます。これは、その当時としまして二億円以上の費用をかけ、二年以上の日子を費してやったことでありまして、幹部の中にも、それほどまでにやらなくてもというような説も出ないわけではありませんでしたけれども、私ども大正大震災のあとで、不使用管の未整理のために非常に苦い経験を持っておりますので、どうしてもこれは禍根を一掃しなくちゃならぬということで、あえてその本管の布掘りを断行いたしたのであります。その記録を見ますというと、実施延長が百四十一万八千八百メーターになっておりまして、供給管の入れかえをいたしましたのが一万五千十本、ジョイントの締め直しが三十八万二千九百七カ所、供管給を整理しましたものが十三万二千二百本、支管入れかえをしましたのが四千九百メーター、支管を整理しましたのが一万三千二百カ所、掘さく面積が八十二万九千四百メーター、プラグの締め直しが七万カ所、延べ人員十六万七千七百人となっております。そういう工合で、これは、不使用管はもう一本も残っていないということをわれわれは心から期待し、またその後引き続き出ます漏洩防止の運動をさらに強化推進して参りましたので、この冬こそ漏洩防止の効果が現われてこの正月、二月にありましたような、ああいう中毒の惨事を起さないで済むと心からそれに希望をつなぎ、期待を持っていたにかかわらず、突如としてあの不使用管が現われました。しかも数多くの尊い人命を犠牲にしたということにつきましては、まことに私は先ほども申しました通りぼう然自失、ほんとうに神様に見放されたか、神も仏もないのかというような気持になったのであります。実は私生まれつきに非常に信心強いと申しますか、戦争中は明治神宮に朝参りを六年間続け、ただいまでも一日、十五日は必ずお参りをしている者でありますが、二月のあの中毒事故を見まして、私は毎朝神棚にきょうはガスの事故がないようにと、中毒事故がないようにということを祈らぬ日とてないのであります。それにもかかわらず、そういう惨事を起しましたということは、ほんとうに先ほども申し上げましたように、私の祈りの気持が通じないのか、あるいはわれわれの努力のどこかに至らない点があるのか、これはほんとうに私自身としては打ちのめされたような、失望落胆の気持になったのであります。しかし厳然たる事実がある以上、これは何としてでも早くこれを直して、そうして皆さん方を御安心させるということはわれわれの当然の責務であります。  それから、この間の事故がありました翌日からさっそくその対策に取りかかりまして、新聞でも報道されました通り三十五台のパイプ・ロケーターを使っていわゆる不使用管の防止に当っているのであります。先ほど申し上げましたように不使用管というのは、われわれ現在一本も残っていないという確信をもってやっているだけにパイプ・ロケーターを使って現在まで調べました結果、不使用管はまだ一本も出ておりません。来年の三月までこの不使用管のある個所を一巡するつもりでありますが、よしんば多少出ることがあるかもしれませんが、われわれもやっただけのことは必ず効果がある、そんなにたくさん私はないということをあえて確信しているものであります。  次に起りました事故は豊島区西巣鴨の事故でございます。これは三インチの本管が地盤の沈下のために折れたものでありまして、たまたまそこに重い重量のトラックか何かが通りましたと見えまして、そのために折損したものでありますが、これは今まででもときどきあったような事故でございます。ただわれわれとしましてそのときの処置をいかに機敏にするかということが問題でございまして、この際の処置は私ども別にそれほどの手ぬかりがあったとは存じません。  次に発生いたしましたのが千代田区の神田豊島町の事故の発生でございました。これは東電で変電所を新設しますにつきまして、マンホール設置のために関東電気工事会社で電気工事を施工いたしておりますそのために地盤の沈下がありまして、そうしてガス管を折損しまして、ガスの漏洩のために中毒事故を起したのであります。この際も日曜のことでございましたが、通知を受けまして派出所からさっそくかけつけ、また営業所に急遽応援を求めまして、約一時間後には二十名の人員がかけつけまして、そうして応急の措置をとったのであります。その際に事故と申しますか、中毒が出ました。これは多少新聞の記事と異なりますが、かけつけました二名の者がさっそく近所のお客様に対して、窓を開きガスをあけて下の方におりるようにふれ回ったのであります。たまたまマージャンをやっていて二階にいた人がなかなかおりてこなかった。この人たちのあとの症状が一番重かったわけであります。こういう際の会社のこういう処置に対しまして御協力を願うことを、私はぜひ一つお願いいたしたいと思います。これにつきましては、関東電気工事の責任であるということがはっきりいたしまして、その翌日、さっそく関東電気工事の役員がおわびに見え、さらに一日おいて、東京電力の高井社長がわざわざそのためにわびに見えられている現状であります。  次に深川の高橋五丁目の事故の原因は、二十六インチ管の溶接部の上部に長さ約三十センチの亀裂を生じたのであります。そのために漏洩が発生いたしました場所から十五メートル離れた深川消防署の入口にある下水管に沿うて漏洩ガスが侵入しまして当直者でありました緑川与志夫さん、四十才が午前十時中毒を起して安江病院に入院されたのであります。ただその際に、相当多数の人が中毒症状を起されたようにある方面では報道されておりますが、入院された緑川さんは前々からかぜぎみでありましたし、ほかの方々は当日の業務に何らの支障はなかったのであります。これにつきましても、昨日工事の施工者であります日本鋼管の河田社長、中村副社長以下が会社に見えまして、そしてお互いにこの事故の共同調査をし、さらに進んで、アメリカ、ヨーロッパにおける電気溶接の見学調査についてお互いに共同歩調をとってやるように昨日相談が一決いたしております。  以上のようでございまして、最近の事故は大体におきまして、需要者側の落度、あるいは不注意に基くものよりも、会社側と申しますか、そういう方面の事故が主要なものであるということにつきましては、私ははなはだ遺憾に思い、また申しわけなく思っております。いずれにしましても、こういう事故が頻発いたしまして需要家の皆さん方に多大の不安を与え、ガスに対しての危険を感じられているということは、ほんとうに申しわけないことでございます。私は先ほど申しました通り、これから万全の努力をいたしましてこの漏洩の絶無を期しまして皆さん方に安んじてガスを使っていただけるように努力して参りたいと思います。まだ申し足りない点があると思いますが、次の御質問に応じて御返答申し上げたいと思います。
  123. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御質疑のある方は順次御発言願います。
  124. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はただいまお話がございました東京瓦斯の本田社長さんと通産当局のお二人に御質問したいわけですが、まず第一は本田社長さんのお話の中にございました毎朝神や仏を拝される、また神や仏に見放されたから非常に残念であるというお話もございましたけれども、振り返って今より十四、五年前までは、日本が太平洋戦争に参加して必ず勝つ、神風が吹くということで、まあわれわれを指導してこられた一人であります。従いまして神信心もけっこうでありますけれども、導管が悪ければいかに神様、仏様を拝んでも、これは迷惑をこうむる人がたくさん出てくるというようにまあ判断するわけであります。ここに公益事業局の瓦斯課ですか、ここでとったデータですが、あなたの東京瓦斯では一月から、五月が抜けておりますけれども、十一月まで件数が六十四件、なくなった人が五十一名、中毒が八十名であります。それと同じに載っております東邦瓦斯では件数が四件、なくなった人が三件で中毒が一名であります。もちろんガスの量において伝導管の長さにおいて東邦瓦斯と東京瓦斯とは問題にならないかもしれませんが、多ければ多いだけ事故が多いという理屈はわかります。しかしいかに東京瓦斯が多くても東邦瓦斯が小さくても八十倍も東京瓦斯があるとは考えられません。東邦瓦斯は中毒が一件にして、あなたの方では八十件も出ておる。八十倍の中毒患者が出ておる。こういうことについて、非常に同じ瓦斯会社でありながらなぜこう違うかということをお伺いしたいわけであります。それから今お話の中にございました、三月五日に本田社長さんと、あるいは警視庁の防犯部長、あるいはまたガス器具メーカー、こういう人たちにもここにおいでを願いまして、将来のことについてもお話をしたはずであります。また本田社長からただいまのような御答弁がございまして、将来に対して安心をして使えるような瓦斯会社にしましょうと、こういう公述をされて速記録に残っておるわけであります。しかし逆にかえって件数がふえていく、こういう状態について、これは抽象論でなく具体的にお話を承わりたい。  それから通産大臣にお伺いしたいわけでありますが、こういう問題についてはガス管の問題でありますから、当然これは瓦斯会社の責任だと私は思う。なくなった方に気の毒である、ざんきにたえないというようなことは情状酌量の点からは了とすることができますけれども責任者が明確にならない、従って相当問題が起きる。町の人のお話を聞いてみると、公益事業局のお役人はガス中毒になっているのではないかというような酷評さえする人がいるわけであります。私はそういう言葉を信用しませんけれども、次から次へと事件が起きて、中毒患者が多く出る、死亡者が多く出るということになれば、そういう話も耳を傾けなければならぬという状態でありまするから、この責任のありかを通産大臣はどうとるのか、この点についてお伺いいたします。
  125. 本田弘敏

    参考人本田弘敏君) お答え申し上げます。私は神様にお祈りすることは必ずしも神様にすべてをおまかせしてわれわれの努力をしないという意味で申し上げたのではございません。もちろん会社としてはこれはもうどなた様よりわれわれ自身の問題でありますから、最善の努力をして、その上に私は私の立場として、私の気持としての神信心をしているのであります。その辺誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。なお、お話の通りに東邦瓦斯との比較におきまして東京瓦斯の中毒事故の例が多いということはもうこれはいなめない厳然たる事実であります。さりとて私どもが東邦瓦斯よりも中毒事故に対して無関心であると、一生懸命やっていないかということは私はあながちそう考えません。ただ需要家件数も多いことであるし、広範囲でありますからお話のように件数の比較において東邦瓦斯との問題が出るかもしれませんが、とにかく努力の点において私はどこの瓦斯会社よりもこの巡回その他のことにつきまして、決して人後に落ちる努力をしていると私は考えておりません。ただいかんせん結果においてこういう厳然たる事実があります。それを考えますと、何とおっしゃられても仕方がない。これ以上に万全の努力を続けて、そして将来どこの会社にも負けないだけの成績をあげたい、あげることをかたくお約束いたします。
  126. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまのお話の通り、別に神信心だからどうとか、そういうことではなしに、全くこれは冷静にこの問題の処置について考えていかなければならないことは当然であります。  それからまた具体的の問題につきましてはいろいろ原因があるようであります。この原因については十分調査をいたしまして、またその責任の所在もはっきりして、別にガス中毒になっているとか、そういうことは絶対にないと信じておりますし、また厳正な調査の上に立ってそれぞれの責任を追及することにいたしたい、かように存じております。
  127. 阿部竹松

    阿部竹松君 三月五日の委員会にさいぜん申し上げた方々がおいでになったときの通産大臣は水田さんで、あなたではなかったが、しかし今と同じような答弁で、大いに努力するというお話がございました。しかしながら一向に、改善するというお話は承わってもやはり出てくる数字を見ると、改善されていないと断定せざるを得ない結果になっておるわけであります。従ってこういう問題をただ努力しますとか、善処しますとか、設備について考えますということだけでは、とうていどうにもならない段階に来ておるのではないか。従って法律を改正するお考えはないかということをまず通産大臣にお伺いいたします。  それから特に一酸化炭素の含有量に対するところの規定がないわけであります。でございますから、こういう問題についてはどうお考えになっておるか。あるいは器具の問題についても今のようにノー・ロースで行くという考えであるか。こういう点についてまず通産大臣に伺いたいと思います。
  128. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私はまだ実はガスの問題についても詳しく事情は知りませんので、当然検討して改正すべき点があれば改正したいと思っているのですが、詳細につきましては事務当局よりいたします。
  129. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 私からその後の措置及び今後やろうとしていることにつきまして、簡単に御説明させていただきたいと存じます。  先般の国会におきまして御指摘がございましたのでございますが、その当時のガス中毒原因は最近起っております事故とだいぶ性質を異にいたしておりましたことは御案内の通りでございまして今年の一月、二月ごろの事故は大部分東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯の管内に集中的に発生いたしたのでありますが、その原因はむしろゴム管のはずれ、あるいはゴムせんの締め忘れ、ガスぶろの不完全燃焼といったような、いわば器具及び器具の使用に関連する事故が多うございましたことは先ほど本田社長さんからのお話がございました通りでございまして、当時におきましては、いわば導管あるいは供給管といったものからする中毒事故は、むしろ非常に少いような状態でございました。従いましてその後特に研究をし、対策を練って参りましたのは、器具及びその使用についての対策でございました。特に日本瓦斯協会の中に、ガス中毒防止委員会を三月の二十二日に設けまして、どうやったらいいかということを詳細にその後検討を重ねて参りましたわけでありまして、それはストーブのゴム管のはずれに対する対策、あるいはふろについての対策、それをPRの方法はどうすればいいかということについて、具体的に検討を続けて参りましたわけでございます。御指摘の器具の検査につきまして、検査機関を設けてやるべきではないか、あるいはこれについて法律を改正する必要はないかというような点についても、もとより検討を加えたのでございますが、強制検査制度をとるか、あるいは自主的な検査から入っていくかということについて検討を加えましたが、まず中毒事故と器具の不良との関連性を考えますと、むしろ器具の不良というよりも、その取扱い方が非常にまずかった、あるいは古いものを使っておったという、ようなことが、むしろ多いのでございましてこれについて法律を改正をして、そういうものを使ってはならないと申しましても、なかなかむずかしいのでございますので、むしろこの検査制度をもっと拡充をしていくべきではないかというような結論になりました。それにつきましては、すでに大きなガス会社におきましては、瓦斯会社の販売する器具については検査を、相当精密な検査を行なっておりまして、不良器具等は、すでに瓦斯会社が販売するものについては検査し収納する、そう悪いものはなくなっておるわけでございますが、そのほかに金物店、あるいはふろ商等が売っております器具がございますわけでありまして、これについては、むしろ東京地区などは金物卸商組合などが検査機関を設立をしたり、日本瓦斯協会にその協力方の申し入れがございましたので、瓦斯協会におきましては、金物卸商組合のほかに、関東ガス器具協同組合、指定ふろ商等、協同組合等の業者と十分協議をいたしまして、検査機関を作ろうじゃないかという方針を定めましたのでございますが、とりあえず検査実施について、東京瓦斯の協力を求めまして、東京瓦斯ではこのために特別委員会を社内に設け、その検査方法、協力態勢をすでに整えて、検査を現実に行うというような手はずを整えて、すでに実施をいたしております。
  130. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういうことを聞いておるのではないのです。器具の問題については、前の委員会で十分論議をしたので、三月五日の速記録をごらんになればよくわかる。その結果に基いてやったので、私はそういうことでなしに、こういう現在の問題は、九九%まで今回は導管なんで、こういう問題を中心に今大臣にお伺いしたので、ところが第二十九条にこういうことが書いてあるね。ガス事業法第二十九条で「ガス事業者は、政令で定める方法により、その供給するガスの成分のうち、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがあるものの量が政令で定める数量をこえていないかどうかを検査し、その量を記録しておかなければならない。」と、こういうふうに規定している。しかし一酸化炭素について政令できめているのですか、どうなんですか。
  131. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 今お話の成分につきましては、ガス事業法施行令の第二条ですでにきめております。
  132. 阿部竹松

    阿部竹松君 一酸化炭素ですか、一酸化炭素を何パーセントにしなければならぬときめてありますか。
  133. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 一酸化炭素についてはきめてございません。
  134. 阿部竹松

    阿部竹松君 きめていないでしょう、あなたのおっしゃるように。それと同時に、二十九条に検査義務を規定して、記録しておかなければならぬというようにございますけれども、どうして報告の義務はないのですか。  それからもう一つ、なぜ一酸化炭素のパーセンテージを政令で出さなかったのですか、その点一つお伺いいたします。
  135. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 一酸化炭素の量をきめませんでしたのは、実はこれについては技術的にも相当むずかしい。と申しますのは、含有量が夏の場合と冬の場合と、だいぶ違って参りますわけであります。たとえば夏でございますと使用量が少うございますから、コークス炉から出すガスをもってやりますが、冬ピーク時になりますと水性ガスをこれに補給をして、ピークの埋め合せをするというような方法をとっておりまして、その水性ガスの中には一酸化炭素の含有量が、相当コークス炉ガスよりも多いわけでございまして、そういうような季節的な変動があって、容易にきめられないのと、もう一つは、かりにそういうものをきめました場合には、相当一酸化炭素の含有量を低く押えなければならないようなことになるのではないか、そうなりますと、設備その他を全部変えてかかることからやらなければなりませんので、技術的に、実施するのが当時相当困難ではないか、こういうような見解から、まだきめてはおりませんでございますが、今後こういうものにつきましては行政指導、あるいは場合によりましては研究の結果によって政令の改正等も考えなければならないかというふうに考えておる次第でございます。
  136. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のあなたが、一酸化炭素の量を調べないと言いましたが、一酸化炭素はメーン・パートですね、ガスの成分のメーン・パートということ、それがピークがあるからといって調べないでいるというようなことは受け取れませんね。最も大事な要素でしょう、主要の。
  137. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 含有量については調査をし、記録をいたしております。
  138. 阿部竹松

    阿部竹松君 その施行令の第二条の第二項ですね、これは入っていないのですね、これが夏はガスの使用量が少くて、冬は多い、多い場合は一酸化炭素が出る、日中はガスを多く使って、夜中は使わんと、また違う、こういう説明は本田社長から聞いたわけであります。ただあなたのお話を承わると、なぜ政令でパーセントをきめないかと言ったら、器具の改善をしなければならぬからだめだとおっしゃる。そうしたら、これは器具の設備を変えれば瓦斯会社がもうからぬからこういうことを政令で出さないのかとも言いたくなる。あるいはガス料金を値上げをするから出さぬのか、こういうことも言いたくなる。人命とどちらが尊いか。行政府としてどういうことをやらなければならぬか。どうもあなたの答弁は二条の二項をよく御理解しておらぬからかもしれませんけれども、どうも私は納得いかぬのですが、この辺はどうなんですか。
  139. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 今おっしゃいましたように、その器具と申しますか、むしろ設備でございますね、製造設備を相当大規模なものを変えて、あるいはコークス炉等の含有量の少いものにしなければならぬということになりますと、瓦斯会社の経費もさることでございますが、やはり相当程度原価が高騰し、従ってまた料金の問題にもはね返ってくるということを申し上げたわけでございますが、そのほかにもまた一酸化炭素を当然まあいずれにいたしましてもコークス炉ガスでも含んでおるわけでございまして、それをどの程度に規制をすれば害がないかということになりますと、この点もまた技術的に問題がある。また外国におきましても、一酸化炭素の量を制限を加えておるという例も実はまだ見当りませんようなことでございまして、ほかの勉強をするというのも困難でございまして、今後研究の結果所要の規制を加えて参りたいと考えておる次第でございます。
  140. 阿部竹松

    阿部竹松君 一酸化炭素が何パーセントあれば人体に害を及ぼすかなんかわからない、研究してみなければならぬ、そういうようなことは幼稚な話であって何。パーセントあったら人間が窒息するとか、何パーセントの中に何十分おったらなくなって、何パーセントの中に何時間おってもこのくらいの程度だったら大丈夫だということは中学の生徒でも知っておりますよ。ですから、さいぜんのお話が出た三月五日に岩武事業局長が出てきて着色、着臭の問題、一切がっさい十分検討して、そして処置をとりますということをおっしゃっている。それを、従ってその方針に基いてわれわれ委員会に対する答弁がうそでなければ一体どういうことをやったか。着色、着臭その他の問題について、こういうことをお聞きしたい。あんたのように何パーセントあったら人体に影響を及ぼすかわかりません・研究中である、外国の例を見なければならぬ。外国は全部明確に決定しておるのですよ。こういうことなんです。そういう処置についてどういうことをやったかということをお伺いすると同時に、これは本田さんもこの前もおいでになっておったのですから、本田さんの方からも局長が終りましたらお聞かせ願いたいと思います。
  141. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) ただいま申し上げました一酸化炭素の含有量がどの程度、またどの時間その中にあれは人体に非常に危害を及ぼすかということについては御指摘の通りでございますが、いずれにいたしましても一酸化炭素はある。それを供給するガスをどの程度にしぼるのが適当かということがまあ技術的に決定しにくいわけでございます。というのは、いずれその中に、一酸化炭素の中にあれば必ず人体に影響がございますわけでございます。それがいわゆる何時間、どの程度の含有量であれば死ぬとか、そういうことはすぐきめられるわけでございますが、さればその供給するガスをどの程度にしぼっておいたのが一番死亡事故とか中毒事故とかに対して安全であるか、そういう安全限度というものがはっきりしないということを申し上げておるわけでございます。なお付臭の問題につきましても研究をいたして参りましたが、最近まではなかなかいい付臭剤がない、またある程度の付臭をいたしましても果して——前は睡眠中に起った事故が非常に多うございまして、その睡眠中の者をさまさせるに足るような付臭剤があるかどうかという点について、それがまた毒性を持っておっては困りますので、そういったものを極力見つけておったわけでございますが、これについては最近東京瓦斯ではオランダの——それを現実に試験に移しておる段階でございます。
  142. 本田弘敏

    参考人本田弘敏君) 去る三月五日の当委員会でお取り上げになりました大きな問題は、先ほど来の一酸化炭素の問題、それから付臭の問題、それから販売ガス器具の検定の問題、大体三つに要約されるかと思います。  まず一酸化炭素の問題でございますが、これは一酸化炭素は御承知のように燃料の主要成分でございますから、それを多くする少くするということは自然経営の問題に影響してくるわけでございます。一酸化炭素を水素に変えるということももちろん化学的には可能でありますが、実際問題としましては先ほど東次長からお話がありましたように非常な困難性を持っておるわけであります。結局そのためには設備を増さなければならぬ、設備費の問題、それから冬場——先ほどお話が出ましたが、ガス石炭が間に合わないのでオイル・ガスというものをピーク用として使っております。そのピーク用のオイル・ガスは熱量が高いために発生炉ガスという熱量の低いものを吹き込んで——それが使用が多いのでございますから、それをなくするためにはさらにより多くの原料石炭が必要となるわけであります。結局そうしますと設備費の問題、それから製造量減少のために石炭を補給するというようなことからいいまして、今のガス料金でガスを供給するということは困難になってくるわけでございます。私どもの調べました東京瓦斯の点では、設備費としましてざっとやはり三十億円くらいはかかる見込みでございます。またガス料金のはね返りが十億円くらいあるだろう、これは一応の計算でございます。それから製造量減少を補給するための石炭量が年間十万トンというような一応の計算は出ております。ただ考えますことは、先ほど来お話に出ましたように、戦前の約二倍近くの一酸化炭素の含有量でございますが、戦前とてもやはり中毒はあり、それによる死亡はあったわけでございます。現在の含有量が多いために結局死亡の時期が早まる。つまりもとなら中毒にかかっても五時間も六時間も、あるいは十時間も持ったものが、現在ではそれより短かい時間になくなってしまうというようなことで、結局何パーセントにしたら何がいいかというようなことについては相当これは技術的に問題があると思います。致死量になりますのは——〇・〇二パーセントくらいで目まいを感ずる程度でございますから、その程度に一酸化炭素を減らすということはこれはガス事業としてとうてい採算がとれないことでありましょうし、諸外国の例を見ましても、英国の一酸化炭素の量は二五%、ドイツが一四・五%から二〇%くらいはあると思います。結局諸外国の例を見ましても先ほど申し上げましたように燃料の主成分である一酸化炭素を規制するということはどこでもやっていないことであります。ただ人命の尊いことから考えまして、どの程度にこれを薄めて、そうして死亡に至らしむる時間を少しでも長くするということはわれわれとして当然研究しなければならぬことでありますが、ただ考えますことは、石炭も少い日本であるし、またいろいろな燃料費もなるたけ安く皆さんに供給しなければならぬ、われわれもガス代は二十七年来値上げをしておりませんが、そういう趣旨に沿っていきますというと、少数の人の不注意のめに全般のガス料金の引き上げというようなこと、これは相当やはりその辺のところを研究すべき余地があるのじゃないかというふうに考えております。これはまあ当局の御指示、また一般のお考えに従いまして私どもできるだけの御協力は申し上げるつもりでありますが、大体そんな一酸化炭素については私ども調べましたところではそういうところでありまして、ただわれわれとしまして、現在三千六百カロリーを供給しておりますが、これがかりに四千五百カロリーにカロリー・アップ、熱量を増しますと、先ほど申しました通り、発生炉ガスを吹き込む量が少くなりますから、一酸化炭素の量は減ります。おそらく四千五百にすれば三、四%の一酸化炭素は現在のものより減るだろうと思います。それだけ危険の度は少くなると思います。カロリー・アップということは、これはわれわれこれからの研究すべき問題でありまして、多少でもカロリー・アップをして、そのために一酸化炭素の量が減り、かりにもっともっと減らすということであれば、一たんカロリー・アップしたものからさらにそれを減らすような方法をとれば、現在の三千六百を起点としてやるよりも、もっと有効で安くはなると思います。  次に付臭剤の問題でございますが、これは三月問題が出まして、その後会社では引き続き研究をいたしておりまして、日本の付臭剤が三種類、アメリカの付臭剤が一種類、それからオランダのものが先ほどお話が出ましたガス・オーダー・Cというものを調べまして、結局オランダの付臭剤が最も安くて有効だという結果が出ましたので、新聞でも報道されましたが、昨日保谷−立川間の需要家にこれを実施してみました、試験的に。その試験の結果は相当良好な成績を上げておりますが、なお引き続き試験をしまして、これの結果がよければ全般的にも及ぼしていきたいというように考えております。  それからガス器具の何は、これは東次長から先ほどお話がございました。私ども会社に入りますガス器具についてはもちろん厳密な検査をいたしておりますが、それ以外に一般の金物商とか、その他のものにつきまして、瓦斯協会から依頼もありまして、私ども自身も会社だけのガス器具だけでなしに、一般の多くの不良なガス器具が使われていることは危険この上もないことでありますから、その要請に応じまして、すでに六千六百個以上のガス・ストーブについて、主として燃焼の問題、それから漏洩の問題について検査をいたしております。現在約五%くらいの不良品を不合格品として、これは販売をやめるように勧告をいたしております。そしてこちらのパスしましたものには、日本瓦斯協会のレッテルを張って、そしてお客さんが安心して使っていただけるような仕組みになっております。なお、まだ今後三月までのガス・シーズンは引き続きこの検査を励行して参る予定であります、以上。
  143. 阿部竹松

    阿部竹松君 今本田社長さんにお伺いしますると、一酸化炭素のような危険な成分を減らすということは、コストが高くなるというお話なんですね。しかしコストが高くなるから、これは一部のとにかく不注意な人間のために、コストを高くすることは困るというお話をされたのですが、私はさいぜん本田社長さんが冒頭申し述べられました、なくなった者はまことにお気の毒であるという謙虚な気持のお話なんで、非常に心を打たれたわけなんです。しかし今お話を承わってみると、言葉じりをとらえるわけではありませんが、なくなった人は全部不注意であるということに聞えるわけなんです。そこでそうだというと、さいぜん次長からお話がございました、着臭の問題でも、きのう私新聞で見たんですが、きのうやったか、一昨日やったかわかりませんよ、しかし少くとも三月にそういうことをやりますということをここでお約束いただいて、六カ月も七カ月も放任されているということは、非常に遺憾だと思うわけなんです。十一月十五日に、これは事業局長から事務次官の名前で東京瓦斯さんとか、あるいは瓦斯協会さんあたりへ以後注意してくれという一札がいっている、その一札がいったために、あなた方があわててそのオランダのロッテルダムですか、そこから持ってきた着臭剤を使ったということになるのですが、その間の努力が全然見受けられないというように判断するわけなんですが、その点どうなんですか。
  144. 本田弘敏

    参考人本田弘敏君) まず私が、一酸化炭素が燃料の主要成分でありますからそれを非常に低くするということは、非常に経費の上に高くかかる、だから日本の現在の国情におきまして、どの程度まで下げても、無理をしても、燃料費が高くなっても下げていいという皆さんの一般の世論と申しますか、そういう結論になるならば私もどんな犠牲を払ってもやるべきだと思います。ただ、今の日本の現状におきまして、石炭も不足しておりますし、それからガス代としましてもそういう皆さんに御迷惑をかけるような高騰をさせるということは、これは忍びないことでありますから、その辺のところはよく私どもの独存でなく、結局皆さん方の御意向と申しますか、世論に従ってどの程度に引き下げたらこれが効果的であるし、また採算上もこの辺のところで少しかかり過ぎてもやむを得ないというところであれば、そこで落ちついてもらうのがしかるべきじゃないかと思っております。決して一酸化炭素を多くして、人がなくなってもいいというようなことは毛頭考えておりません。ただただ日本の国情におきまして、どの程度にこれを減らすかということなんです。この点先ほど私が申し上げましたように、カロリー・アップによりまして、多少でもこれを少くすることができれば大へん仕合せだと思いますが、この研究をこれから続けていきたいと思っております。  それから付臭の問題でございますが、きのう実験しましたのはオランダからきた付臭剤でございますが、その前から先ほど申し上げましたように、国産品でCP一〇〇三、CP一〇〇八というのがあり、それからベンタラームというのがアメリカ製、ブチルメチルメルカプタンというのが国産品で、これはそれぞれみな試験しているのであります。ただ広範囲にあれだけやりましたのが昨日初めてでありまして、それぞれの付臭剤につきまして、値段が幾らか、きき目がどうかということは、もう局部的にすでに試験済みで、その結果オランダのガス・オーダー・Cというのが一番いいということで、これはもうガス・オーダー・Cの見本をとって、それで試験をした結果、二十キログラムとってきのうやったわけであります。引き続き三十キログラム注文を発したわけでございまして、これは一、二月ぐらいには入荷する予定であります。
  145. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産当局にお尋ねしたいと思うのですが、ことしの春の場合には、やはり器具の問題が非常にあったわけです。たとえばネズミがパイプをひっかいてとめておったのが出たとか、寝ておってけ飛ばしてパイプがはずれて知らぬ間に中毒しておった、こういう問題がございましたけれども、今度はほとんどが導管なんです。導管ですから本人の不注意だと断定するのはこれは酷であって、当然これは瓦斯会社の責任だと私は判断するわけです。そうしますると、ガスの導管については設置の基準とか、あるいは保安上の工事の施行規則については一つの定めがあるようですが、しかしそれを一切瓦斯会社の自主的な行為にまかされておる。こういうところが私はやはり心配になる点ですが、こういう点については何らか規定を設ける必要がおありになるかどうか、また定期的に検査をする気持がおありかどうか。ただ検査しますということだけではこれは当然この前の委員会と同じで、また来年の三、四月になったらここへ本田社長さんに来てもらわなければならぬというようなことを繰り返しておったのではまことにつまらない。従って明確に今後こうしましょうというようなことにならなければいけないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  146. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 御承知通りガス事業法の第五章に保安上の規定がございまして、第二十八条ではガス工作物の維持の問題、これをきめております。それから第三十条では導管の工事、三十一条も導管について規定いたしております。それを受けましてそれぞれガス事業法の施行規則十九条、あるいは二十二条で保安基準をきめ、あるいは作業方法をきめて、それを認可に至らしめるという措置をいたしておりますわけでございまして、会社内部におきましても、導管工事については特に工事規程を定めまして工事をそれに基いて実施をし、維持をいたしておるわけでございます。従いまして法制的には一応の形を整えておるわけでございますが、これでおそらくはほとんどの規制対象を網羅しておるはずでありましたのでございますが、今回のような思いがけない事案が生じたわけでございまして、なお法令上法令の改正によってさらに万全を期し得るかどうか、たとえば導管の深度の問題、そういったものについてなお研究を進める必要がある、またそれについては実際に実施可能な方法でなければなりませんので、そういったことも考えて検討を加えたいと存じております。なお、特に今のような導管工事については、ちゃんとした規定があってそれについては通産省の認可、要するに審査を経、認可を受けておるわけでございますので、まずまず大丈夫とは思いますが、なお今回のような事件にかんがみまして、会君側に注意を喚起し、またその実行方を命じておりますのは、たとえば先ほどお話がございました戦災焼け跡の不使用管を含む導管、それについて早急に実態を把握する、すでに実態を把握されているわけでございますが、それをさらに詳細に本、支管、あるいは供給管、内管、そういったものに至るまですべてについて配管図を再検討をいたしてそれを完備してもらいたいということにいたしております。それからまた不使用管についてはパイプ・ロケーターによって発見をして、かりにあるならばこれを撤去し、あるいはまた安全な状態に切り離してもらいたい。これは先ほどお話のございましたように来年の三月までに全部これを完了する予定であるということでありまして、また供給導管については、地盤の軟弱な土地でありますとか、交通が最近非常に激化して参りました道路、あるいは腐植しやすい土地に布設されました導管、それから三インチ鋳鉄管、あるいは施設後三十年を経過した鋳鉄管、十五年を経過した鋼管、そういったものについて、ボーリング調査でございますとか、臭気調査、あるいは観察調査等によって漏洩を徹底的に調査をして参りたい。また漏洩検査の陣容をこれはわれわれの方で役人が出かけて行って検査をするということも考えられますが、これは何分にも非常に長い距離にわたっておりますのでございますので、役人が出向いて抜き取り検査をするというようなことも実効を期しがたいと思いますので、むしろ会社側においてその陣容を強化して維持管理の人間をもう少し充実をし、徹底的にやってもらいたい、こういうような事項について通牒を発し、これについて具体的な計画をお出し願うようにいたしております。これは十一月末までに出すというお約束でございまして、一応拝見をいたしたのでございますが、まだ具体化の程度において十分でございませんでしたので、その再検討方を要望をいたしておりますような次第であります。つづめて申しますと、法令上改正を要する措置についてはなお検討を加えたい、またこの実効を期するためには会社側の万全の措置、それについての具体的な計画ということがより実効があろうかと思いますので、そういうような点について特に今後重点を置いてやっていきたいと考えておるわけでございます。
  147. 海野三朗

    ○海野三朗君 事業局次長にお伺いしますが、ガスは三千六百キロカロリーでしょう、一立米に対しては。それは常にプラス・マイナス許容度はどのくらいありますか。そうしてそれはどういうふうにして通産省ではこれを検査しておられますか。あるときはcoがよけいに入っておる、あるときにはcoが少く入っておる。このピークはどこで試験しておられますか。
  148. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) これはガス事業法で記録義務を課しておりますので、それはガス事業者が自分記録をしておかなければならない義務がございます。今お話の三千六百カロリーをどの程度上下しておるかと申しますと、これは約二%程度だそうでございます。
  149. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは事業局次長の方でおやりになっておるのですか、業者の方でやっておるのですか。
  150. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 業者の方でやるようにガス事業法で規定をされております。ガス事業法の規定によりまして、ガス事業者がこれを記録をしておるわけでございます。それをわれわれが必要に応じて臨検検査を行うと、こういう仕組みになっております。
  151. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは、つまり業者まかせというわけですね。業者の報告によってうのみにしておるというわけですね。事業局としては。
  152. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) まかせと申しますとあれですが、一定の機械を設置し、それが機械的に記録をされるようになっております。で、われわれはそれを全国のガス会社、九十幾つ、百近くございますが、これについて、常に張り番をしておるというわけには参りませんが、業務監査を一々計画を立てて行なっておりまして、その器具が適当な器具であるか、あるいは故障等がないかどうか、それから故障がなければ、適当な器具でございますれば、時々適切なる記録がとどめられるわけでございますので、それによって守るべき事項を守っておるかどうか、制度についての判断をわれわれはいたしておりますわけでございます。
  153. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産御当局にお伺いいたしますが、さいぜんも若干触れたのですが、答弁がない。東京瓦斯は公益事業であり、しかしながら独占事業なんですね。東京瓦斯がどうも危険きわまりないから、東邦瓦斯を買おうとしてもわれわれは買うことができないわけです。やはり東京瓦斯が何ぼ危険があっても買わなければならぬ、こういう結論になるわけです。しかし競争相手もなかなか東京にはできない。東京瓦斯は危険きわまりない。そういうときに、通産当局の責任において行政措置など講ずるという考えはないのですか。たとえば次長が今おっしゃった、来 三月までは明確に研究して調査して、そうして善処しますということをお約束せられ、これは三月までできない。ますます事故はふえるかもしれませんよ。そういうときに、やはりまた善処しますということになるのですか。それとも断固たる行政上の処置をとる、そういうことになりますか。これは大臣の御答弁であろうかと思うのですがね。
  154. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) それは事の経緯、あるいは難易等に応じまして、実情に応じて適切な責任を追及するということになろうかと思いますが……。
  155. 阿部竹松

    阿部竹松君 適当な処置ということはどういうことですか。
  156. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) たとえばガス事業法に違反をしておる事実がかりにあるといたしますれば、それに応じた、法律に定められた規定を適用する、それからまた行政的なものにつきましては、そういうことのないように自後の行政指導をより強化するということになるわけでございます。
  157. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますると、今回のは全然違反ではないと断定されるわけですか。
  158. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 今回のものにつきましては、ただいまむしろ調査中でございますので、その調査結果に従いまして適切な責任を追及するという形になろうかと思います。
  159. 阿部竹松

    阿部竹松君 ここで最後に、時間がございませんので、最後一つだけ本田社長さんにお伺いしたいのですが、瓦斯会社では当然、たとえば江東区なら江東区のどの部分が悪いとか、あるいは千代田区なら千代田区のどの部分が悪いという、こういうような大まかな点はおわかりだと思うのです。ですから、ガスの事故は全然一つもなくなるということはとうてい不可能でしょう。また膨大なキロ数を持った管が地中に埋まっておるのだから、簡単に全部直すということもなかなか容易でないというお話もわかります、しろうとでも。しかしながら大体瓦斯会社として、この辺は危険である、この辺は直さなければならぬ……。いう、導管ですね、あるいはその地域、あるいは大体どのくらいかかるというような予定がございましたならば、お聞かせ願いたいと思うわけです。ただ簡単にここだけの答弁でよろしいということで、三月までやりましょうというようなことで、あとでまた再びここでお互いにお聞きするというようなこと、でなしに、これは三月が四月になっても仕方がないと思います、膨大な地域ですから。しかしどの辺をどう直してどこまで行けば、大体東京瓦斯としては自信を持って安心してガスを使用してもらえるということになるかどうか、最後にその点だけ一つお伺いしておきたいと思います。
  160. 本田弘敏

    参考人本田弘敏君) 会社としましては、その時期々々に応じました臨時的の調査もやっておりますし、また恒久的な漏洩防止の対策をやっております。時期々々の場合は、まあ特に冬のような場合はボーリング——ボーリングというのは、道路に穴をあけましてにおいをかぐ、それは冬が一番やっぱり危険が多うございますから、これは二年に一巡大体危険な場所を回る。それから会社の方にはちゃんと巡回カードというのがございまして、各需要家の引込管の取りつけました年月が入っております。大体これは十五年くらいを目標にして順次取りかえております。それもその土地の土質が悪いとか、海水、塩分があるとか、何かいろいろ条件の悪いところは、それを繰り上げてやるというようなことで、私ども当事者としますと、どこがどう、ここはこうという一応の目安はついておりますから、なるたけ危険だというようなところを先ず先にやりまして、漸次それを全部に及ぼすという方針でやっております。まあそう言ってはなんですけれども、こんなふうに事故が頻発するということは、私四十年近い在社の間にほんとうに初めてのことでございます。これはほんとうに何といいますか、天魔に魅入られたというか、何か非常に驚くばかりのこと、それだけに会社としてはいろいろなケースにぶつかっておりますので、その変ったケース、ケースごとにこれから対策を十分に研究していわゆる万全の策ということにしていきたいと思っております。  不使用管の整備の問題、先ほどお話しましたが、こういう不使用管は、私はほんとうに夢にも、一本も残っていない、こんな確信を持っております。それがこんなことになったのですから、決していついつまで安心ということにはいきませんが、今度の場合はいろいろなケースにぶつかりましたそのケース、ケースで対策を講じ、そうしてそれが及ぶところ万全の策ということに、そういうふうに努力いたしたいと思います。重ね重ね大へん御迷惑をかけましたことは、私ほんとうに申しわけないと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、われわれとして万全を尽して、少しでも早くこの漏洩が少くなり、中毒がなくなって、皆さんが安心してガスをお使い下さるような日を一日も早く招来するように努力していきたいと思います。  それと同時に私ここでお願いいたしたいのは、われわれがいかに万全の策をとって努力いたしましても、それだけでは百パーセントの効力が上らない。ということは、都民の皆さん、需要家の皆さんの御協力が私は絶対必要だと思います。たとえば自分のお使いになる場合でも、これは注意して使っていただかないと、ゴム管がはずれるというような事故が起りがちでありますし、また自分のうちでなくても、たとえば道路においてガスくさい場合でも、これを人ごとと思わないで、もよりの交番なり派出所なり営業所なりにちょっとお知らせ願えれば、私どもも急遽かけつけまして、早くそれを直して事を未然に防げる、あるいは事が起きても大事に至らないで済むようにいたしたいと思います。これはどうか一つ皆さん方の御協力によりまして、会社の努力と相待って、要するに事故の防止、事故の絶滅ということをやっていきたいと思います。その点一つ皆さん方の切に御協力をお願い申し上げたいと思います。
  161. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 本田社長に三月においでいただきまして、非常に誠心誠意の御答弁等を承わりまして、感銘をしたわけであります。今回の不祥な事件が相次いで起っておるという点に関しましても、あなたの非常な御心痛に対しましては、私どもよくわかるわけでありますが、ただ、事は尊い人命の問題、従ってこれは周密の上にも周密なる御措置を願わなければならない、かように思うわけであります。そこでまず第一に伺いたいのは、東次長にでありますが、日本瓦斯協会では三月に、いろいろ器具等の問題についてその対策本部を作って協議を続けてきたということでありますか、これは瓦斯協会を代表して言われたわけですけれども、こんなことは協議ばかり続けておっても何にもならぬので、実行することが第一である。一体三月それができていつから実行するのですか、それをまず第一に承わりたい。
  162. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 先ほどどうもどぎまぎいたしまして適切なお答えを申し上げられなかったのでございますが、御説明いたしましたことをもう少し敷衍をして申し上げますと、われわれこの委員会で御指摘を受けましてから、事故防止のためにどういう問題点があるかということを考えまして、まず第一番に、先ほど御指摘のありましたガス中に含まれておる一酸化炭素の量の規制の問題、第二番はガスに臭気をつける必要があるか、つけるとすればどんなものがあるか、三番目にガス器具の改善の問題、四番目にはガス器具検査制度、五番目には需要家に対するPRの方法の問題、こういった点について検討を加える必要がある。そのためには関係者が寄っておる瓦斯協会で検討を加える。われわれもそれに参加して一緒に研究するということが必要である、こういうふうに考えましたわけであります。むしろ業界の自主的活動、それによる行政指導、これによって効果を上げていこうではないかというようなことで設置をされましたのが、三月二十二日のガス中毒防止委員会でございました。三月二十二日に第一回の会合を開きましてから五月十三日まで、本委員会を三回、専門小委員会を四回開催いたしまして決定をいたしました主要な事項につきましては、一番目にはストーブのゴム管はずれに対する対策、これについてはストーブを持っておられる需要家の全部についてのカードを作成し、それに対するサービスを強化する、それからストーブ用のゴム管どめを無償で提供する、ふろにつきましては、ガスぶろを持っておられる需要家に対する巡回サービスを強化をする、それからPRの方法につきましては新聞、ラジオ・テレビ、宣伝カーの利用、あるいは燃料講習会、展示会、学校、婦人団体等の利用によるガス知識の普及。それから何といいましても使用者の正しい使用が必要でございますので、これについて「ガスの安全な正しい使用法」というこういうパンフレットを作りまして、あるいはまたポスターも作りましたが、これをガス事業者に配付をし、PRに使用する。  それから器具につきましては、ガス事業者はビニール管を販売しない。それから不使用のホースコックにはゴムキャップを取りつけるようにする。これについては無料で提供をしておる会社もございます。それから使用中のホースコック、器具コックにはゴム管どめをつけるようにする。ホースコックで開閉爪押えのないものは取りかえる。ストーブ、火鉢、スキ焼用器具については踏んでも消えないようなゴム管の使用を勧奨する。あまり長いゴム管は販売をしない。ガス器具を取り扱う特約販売店を数多く設ける。こういった事項を具体的に実施に移しております。
  163. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 いつからですか。
  164. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) これはもうきまり次第それを行なっておりますが、特に十一月一日からこの三十日までをガス安全使用強調月間というようなふうにきめまして、それぞれ瓦斯会社ごとに具体的な計画をきめまして、巡回指導、あるいは今申しましたような、できますことについては、その期間内にそれぞれ整備をしていただく、こういうことでございます。
  165. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 三月にきめた事柄を十一月からやっているのですか。
  166. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 五月の十三日に決定をし、それから逐次きまり次第、きまるごとに瓦斯会社ごとにやって参りましたが、それの大々的な実施をいたしましたのは、十一月の運動期間であると申し上げたわけであります。  それからなお、例の検査の問題につきましては先ほど御説明を申し上げましたように、金物店その他の瓦斯会社が売る器具以外についてもその検査を行うということを実際に東京瓦斯に委託をいたしましたわけでございますが、瓦斯協会がこれを行うというような方法を講じて参ったわけでございます。
  167. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のにちょっと関連して、かつて呉工廠で砲身の焼き入れをやった。それにパイロメーターがついている。そのパイロメーターの針がちゃんと定められた温度を指示しておった。しかし実際の温度とは違っておった。ところが、きちんとメーターは指示しているという事実を知っている。これは工員が勝手にメーターの針を合せておったのである、こういう事実があった。私はガスのカロリーを試験するのに業者にはまかせてはいけないとこう考えるのです。工業試験所があるでしょう。特許庁などもあるでしょう。いろいろなそれらの機関を持っておられるのであるから、通産省みずからがときどきこれをチェックされる必要があるのではないかと私はこう思うのですが、どうなんですか。
  168. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) 実はこれについてはガス事業法の御審議の際にいろいろ検討を願ったところでございますが、ただいまの最も適切な方法としてはガス事業者にやらして、その器具販売、器具が間違っていないかどうか、また記録のあれを見ますればわかります。そういう工員が無理に修正をするということがあったらどうか。そういうような点についてわれわれが一々監査をする方がより適切であるということで、ただいまのガス事業法のようなきめ方になったわけでございますが、なお東京都等におきましては、まあ末端におきましては都自身もこれを行なっております。成分の測定、カロリーの測定等、あるいは圧力の測定なども行なっております。
  169. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 なお委員会の審議の時間の関係もありますから、一つ一つお答えを願うより、一括してお尋ねいたしますから、一つ率直に御誠意のある御答弁を願いたいと思います。  今の検査の問題ですね。この三月の場合には、器具並びに器具の取扱いの問題が主で、いろいろな事故が起った。そこで今ビニール管等が市販をされている。これは日本瓦斯協会のレッテルを張ったものが正しいものだという、それを使うようにという業界ではPRをしておられるわけですが、これはそういうふうな人命をそこなうようなものは、これはもう販売を禁止するということは私は当然のことだと思います。従ってそれについての検査は私は当局においてこれはすべきものである。かように思うが、それについてのお考えを承わりたい。  それから今回の不幸は主として導管か主であります。そこでその検査につきましては本田社長もいろいろ御苦心をしておられて、来年の三月までにはもう継続的なものを常時と、あるいは臨時的にやるというようなお話でありますが、導管等が非常に腐朽をしているというようなことも相当あろうと思います。この間テレビで拝見いたしますというと、新しく取りかえている姿がたくさん出ました。そういうような点については予防的に絶えざる御処置をなさっていらっしゃるかどうか。その検査が周密でないのじゃないかということが一点。  それから、先ほど今度の消防吏員の二十五人の人が中毒をした。これはこんなにたくさんなかった、新聞の報道が云々というお話がありましたが、しかしこの中に書いてありますることは関東電気のやり方が誤まっておったから、関東電気の社長があやまりに来たとおっしゃるが、これは一体そういうガス管を設置する場合は、当然これは総合的に検査をして、そうしてなさって当然と思うのですが、なぜそういうときに発見ができなかったか。今になって関東電気の社長が悪かったというのであやまりに来たということであっては断じてならぬのであって、それについては東京瓦斯としてはそれを十分に検討した上でなさっていると思いますが、その点。  それから、先ほど次長が導管設置等の場合には規定があって、そうして審査をして、そうして認可をやっているということなんだが、それはこの瓦斯会社の責任的な実施に基いてそれを全面的に信頼をしてやっておって、審査というものはただ書類審査なのか、現実に審査をするかどうか伺いたい。  それから、関東電気もこの場合には、さっき総合的な審査云々ということは、この新聞によると、広報室の発表によりますと、溶接個所がいけなかった、こういうことなんですね。そういうと、この検査というものは非常にしさいな検討、審査をしなければ非常に危険だ、こういうことになる。従って設置するまでに、今からできてきたそのいろいろなところを検査するということ以前に、設置する場所についての検査がいかなる周到なる用意をもってなさっているかどうか、その点が伺いたい。  それから、ここにまあ公益事業局からの報告があるのですが、これは私ども中央におって中央の新聞だけを見ておるわけだが、おそらくこれは先般の器具並びに取扱い方からの事故であったわけですが、今回の導管の問題は、ここに出ておりまするこれは導管ばかりでないでしょう、これはいろいろ含まれておるわけだが、全国的に、たとえば大阪のごとき大都会、あるいは名古屋、神戸、横浜というようなところにも相当私はあると思う、これはこの調査というものは通産省におきまして十分なるあれをした上での調査であるのか、これ以外に事故はないのかどうかという点について通産当局からのお調べの結果を詳細に承わりたい。ということは、今回の事件によっておそらくもうきょうは人の身、あすはわが身だというようなことがテレビでも、ラジオでも、新聞でも伝えられて、おそらくガスを使っておるところは戦々きょうきょうとしておる、この前の事故で、私ども家庭でガスを使っておりますが、細心の注意を払うようになりました、こういう事故が起りましたから。細心の注意を払うのはよいが、ガスというものはこわいものだというような印象をおそらく今回全国的に与えておるのじゃないか、かように思うので、それらの点について本田社長並びに当局から伺いたい。
  170. 本田弘敏

    参考人本田弘敏君) 古い管の入れかえでございますが、これはこの間テレビに映っておりましたのは、私どもが自発的に先ほども申しました巡回カードによりまして引込管の十五年以上になったもの、これを自発的に掘り上げた管でありまして、最初問題になっております港区の不使用管、あれとは全然別個のものであります。あのときたまたまうず高い不使用管がテレビに出ましたので、不使用管があんなにあるかと皆様誤解なさっておる向きもあるかと思いますが、あれほどたくさんの不使用管を取りかえておるというふうに御承知願いたいのであります。不使用管はその後出て参りません。それから電気溶接の問題でありますが、これはただいまもボイラーその他大きなものは全部電気溶接でやっておりまして、この何にああいう裂け目ができたということはちょっと私は珍しい例だろうと思います。しかしまだ原因その他につきましては、先ほど申し上げましたように、日本鋼管の河田社長から共同調査の申し入れがありまして、これは私どもの技術者を鋼管の方に派遣いたしまして、調査もいたしますし、さらに進んでは欧米に電気溶接の先進国の実施状態をまた視察にやるつもりでおります。とにかくお話のように相当の高圧のガスが通っておる管でございますから、そういう間違いが二度とあっては大へんなことだと思います。万全を期して今も引き続きその電気溶接の個所を検査いたしておりますが、もちろん現在のところはそういう破損あるいは漏れの個所は一カ所もございません。なお引き続いてこれはやるつもりでおります。それから圧力検査をどうしているかという仰せでございますが、これは八キロから十キロぐらいの圧力検査をいたしておりますが、これは万々検査としましては、その検査しますときの圧力としては十分な圧力でございまして、あとになってああいう何ができたんです。なお決してそれで安心しておるわけではございません、日本鋼管と協力いたしましてそういうことのないようにさらに調査研究を進めたいと思っております。
  171. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) ただいま大谷委員からビニール管の販売禁止措置を講じてはどうかというお話がございましたが、これにつきましてはただいまのところお話のようにガス事業者はビニール管を販売をしない、ビニール管は非常に危ないということをPRをあわせ行うことになって、あとう限りビニール管を使わないようにということにいたしておるわけですが、なぜそういうことをやっておるかと申しますと、現在の段階ではビニール管はなるほど大へん危ない、危険性はゴム管より多いのでございますが、危険性が必ずあるというふうにも断定はできませんし、またビニール管の販売を全部禁止してしまうということになりますと、相当こういうものを売っておる人にも影響がございまするし、またさらにはビニール管を使用してはならないということになりますと、一般大衆にも関連をいたしますので、なお慎重に研究をいたしたいと考えます。  次に工事方法について認可制度をとっておるが、具体的に現場においてその検査を実施をしておるかどうかという御質問でございますが、これにつきましては認可を受けた工事方法によって導管の工事を行なっていない場合ということもあるわけでございますが、これについては改善の命令を出し得る権限を都道府県知事に委任をして行なっておりますが、これについて具体的にはどうするかと申しますと、導管工事についての届出の規定がガス事業法の三十一条にもございまして、導管工事をやろうとする場合には事業区域の規模に応じまして、それぞれ都道府県知事にやはりこれは委任をしておりますので、都道府県知事に届出をする、届出を受けました都道府県知事は一定の口径以上のもの等については具体的に立ち会い検査ども行なっておりますが、全部についてというわけにはまだ参っておりません、が少くとも危険性がある、あるいはまた非常に重要な工事であるというようなものにつきましては立ち会い検査を行なっております。特に東京都などにおかれましては非常に熱心にこの事項を行なっておられます。  それからその次に、この事故報告は事業者からの報告であろうが、このほかにはないのかという御質問でございましたが、一般の中毒事故については法令に規定はございませんが、行政指導で報告を徴しておる、また導管の事故につきましては報告義務が法律によって課せられておりますので、導管の事故についてはまず漏ればないものと考えておりますが、一般の事故については、たとえば中毒の程度などに上りまして会社への報告のないもの等もあり得る、また自殺等についてはこの数字の中に入っておりませんのでございます。そのようなことになっております。
  172. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 今のビニール管のことは業界に響く、また一般の人にも云々という言葉がありますが、むろんビニールなどはだんだん改善もりっぱにされていくでありましょう、しかし現在そういう事故が起っておるようなものを、業界の方からビニール管は危険だというPRをしておる以上は、これは生命に危険があるものと見なければならぬ、そういうものを放置しておくということ自体がおかしいですよ、これはおかしい。従ってこれは急速に一つ研究を願いたい。これは私はそんなことは承認できない。人命をそこない、中毒させるようなことを放置しておくというようなあほうなことを僕は聞いたことがない。  それからこの報告はむろん地方の方が少いということは需要者数あるいはガスが設置されたというような年限の問題、それからまあパーセンテージ等がございましょう、そういうことを一ぺん、ただここに現われた事故の報告だけでなしに、そういうような具体的な一つ資料をお願いしたい。  それから外国の状況についても資料を委員長一つお願い申し上げたい。
  173. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどから、公益事業局次長のお話を聞いておりますと、少しも私はどうもあなたのお仕事は血が通っておらないと思う。検査をするのに、東京都とかほかの方に全部まかせて、何をしておられるか。ただ事務をとっておられるのですか。工業試験所とかそういうものをちゃんと持っておるのですから、ガスメーターくらいは持っておられるはずなのです。それをときどきチェックするだけの誠意が通産省にないということでは、すべての事柄がもう机の上のいわゆる机上プランであって、私ははなはだ満足できないのであります。先ほど阿部委員の今回の件についての責任のあり方の質問に対しても、目下調査中であるというような御答弁があったが、この次の委員会には明確にその責任の所在をはっきり伺いたいから一つ用意していただきたい。  それからガスの測定、つまり一定のガスを出しておるかどうか、ガスの燃える、燃えないというような許容の量がメーン・パートなのです。猛毒なのです。使用というものはそれを何も減らせというのじゃないけれども、これが需要期に入っておるときと、少いときとカロリーがコンスタントにいくがどうか。おそらくこれはカロリーもコンスタントにいっていないと思う。そういう点に対しては、どうも公益事業局は事務官の人たちがただ単に書類の上だけでやりますから、私は血が通っておらないと、そういうふうに思いますが、どうですか。
  174. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) おしかりを受けました次第でございますが、行政のやり方といたしまして、工業試験所等を自分で使ってこれをやるかどうかというようなやり方もございますが、やり方としましては、地方庁を使いまして、これに権限を委任をしてやるというやり方もございます。それから測定などについても、自分で器具を持ち、人員をそれに相当さいてやるということもやり方でございますが、これについては相当の予算も必要とすることでございますし、実効を上げるやり方から申しますと、ガス事業者にたとえやらしておりましても、それを適切に臨検検査をする、業務監査をするということによってチェックをし、具体的な効果を上げ得るものと信じまして、ただいまのようなやり方をやっておる次第でございます。それからガスのカロリーなどにつきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、これは特にガスの料金にも関連があることでございますので、カロリーはそんなに上下してはいけないという規定になっておりまして、これは最高限、最低限きまっておるわけでありまして、これは特に厳正に業務会社等においてもチェックしておる次第であります。
  175. 海野三朗

    ○海野三朗君 あなた自身が、あなた自身がそれをやらなければいかぬじゃないか、だから血が通っていないというのですよ。どうなのですか、工業試験所は持っていらっしゃるし、そういうものを手放しはしないでしょう。何のため置くのですか。そういうときに使わなければいけないじゃないですか、どうなのですか。
  176. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) お話のように、工業試験所もございますが、これは全国のガス事業者のありますところ全部にあるというわけじゃございません。これはそのサンプルをとってきて、その検査をするというだけではうまくいきませんわけでございます。毎日々々やはり常時これを検査をしていくという必要がございまするし、また測定なども常時測定をしておいてもらわなければ、ある一定時点においてとられたサンプルがよくても意味がないものですから、ただいまのようなやり方をやっておるわけであります。
  177. 海野三朗

    ○海野三朗君 それはとんでもないあなたのお話である。私の言うのは、ときどきチェックする必要があるのじゃないですか、こう言うのです。始終それを専門にはかられているのじゃなくて、それをチェックする。ときどき、十日に一ぺんとか、不意打ちに試験をする、それだけの用意がなければいけないのじゃないかということを私お伺いしておる。
  178. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) それにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、いつも業務監査を計画的に各瓦斯会社について行なっておるわけでございまして、それは、いわば記録が正確に行われておるか、記録をすべき器具が正しいかどうか、そういうことは具体的に人間が参りまして、通産局もございまするので、通産局から参りまして、これをチェックいたしております。
  179. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは、今それだからあなたガス中毒をしておるということを言われるのです。それは行くにしても、その機械をあなたの方でちゃんと持って行って、そうして試験をしてみなければいかぬじゃないか、会社まかせにやったのを、そのレコードを読んだだけではいけないのです。それだから私は血が通っていないじゃないか、いわゆるガス中毒にあったというのはそれなんです。いかがですか、もう少し血の通うお仕事をおやりになったらどうか。これは今ガスばかりじゃありません。電気の方だって同様です。どうなんですか、そういう点は……。工業試験所は何のためにつかんで放さないのか、放さなければ、放さないように、活用するだけのお考えがなくちゃいかぬじゃないかということを私は申し上げておるのです。
  180. 東澄夫

    説明員(東澄夫君) それにつきましては、たとえば圧力計などは各通産局に備えつけまして、それを持っていってやっております。そのほか必要に応じて、今後におきましても、十分にできるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと存じます。
  181. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 議事進行。どうですか、時間の都合もありますから、これは先ほど本田社長の話もあり、会社側としても十分極力誠意を持っておるようですから、通産省でも調査中でもありますから、またその結果を待ってやるようにして、次の議題に入っていただくようにしていただきたい。どうですか。
  182. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいま高橋君から動議がありましたが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは私は賛成をいたしますが、この次の委員会のときには、私の質問、残っておりますのは劈頭第一に質問を許していただきたい、それできょうは……。
  184. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それじゃなお御質問もあると存じますが、本件に関する調査はこの辺にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは次の問題に移りますが、参考人の方には御多忙のところ本委員会のために御出席をいただき、ありがとうございました。通産当局ともどもガスに関する事故を絶滅するよう御尽力を願います。それではガス事件はその程度にとどめます。     —————————————
  186. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に繊維輸出に関して小幡君から御質問の御要求がございますのでこれを許します。
  187. 小幡治和

    ○小幡治和君 それでは繊維不況対策、特に人絹織物の不況対策について御質問いたしたいと思います。  まず人絹織物業界が近時輸出の不振と、原糸価格の極度な不安定、また非常な滞貨の保有、さらに加えて金融引き締め、これが中小企業に今日どんどんしわ寄せが来ている、そういうようないろいろな影響を受けまして、今非常に深刻な状況に立ち至っております。これが打開のために、政府といたしましては、先に原糸メーカーに対して三割の操短を指示し、また織物業界におきましても二割の操短をこれは現実に実施いたしております。まず第一に伺いたいのは、政府はこういうことを指示して、こういうふうにされておりますけれども、これの成果というものが一体どういうふうになっておるのかということを、政府はどういうふうに見ているのか、これを一つ大臣並びに局長にお伺いしたいと思います。
  188. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 人絹の最近の状況が、きわめて深刻な事態になっておるということについては、ただいま小幡委員の御指摘の通りでございます。詳しく申すことは避けますけれども、一番大きな市場であるインドネシアが、この春以来、買い控えて、輸入をほとんどとめております関係で、それが契機になりまして、一方、人絹糸の生産高等は、神武景気のもとにおいて、これが非常に伸びたというような事情があります。非常な需給の不均衡を生じております。これを是正するために操短をやり、またこれを強化して参ったのであります。国内の需要の方は、実はここ数年来、どちらかというと低滞ぎみでありまして、主としてここ二、三年、生産が伸びて参った背景は、輸出が伸張して参った、そういうことがありますところへ、最大の市場であるインドネシアの方が買い控えてきたというのが今日のような状況になっておるのであります。実は先般輸出目標を定めます際にも、業界の者が相集まって、最大の努力を重ねるということで目標を立てたのであります。その目標ですら、昨年の実績より下回っている。その下回った目標も、今日ただいまのところでは、なかなか達成の自信がない、正直に申すならば、達成に自信がないような状況であります。むろん、これは非常に長くそういう状態が続くとは申しませんが、国内の需給が不安定で、価格が下落しておるということも一つは手伝って、輸出の方も、今のところ低迷しているような状況であります。事実そういうふうな状況であります。
  189. 小幡治和

    ○小幡治和君 操短の指示が、結果うまく操短をこれ以上されていくのかどうか、それをどう見ておるのかをまずお聞きしたわけなんですが、それはどうなんですか。
  190. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 糸の段階における操短というものは、指示通りに行われておるというふうに存じております。
  191. 小幡治和

    ○小幡治和君 そういういろいろな操短の実施によって現在やっておりますけれども、今、局長のお話の通り、非常に不況で、どうにも動きがつかないというわけで、現在織物の関係におきましては、もうほとんど休業せざるを得ない。また現在どんどん休業しておるという状況であります。これは非常に大きな問題になっておりますが、また休業するにいたしましても、行先がわからない、行先は、一体将来どういうふうになっていくのかという、将来の目安というものがつかないで休業になっておる。ここに非常な不安というものが業界にあるわけなんです。そういう将来の目安というものを、一体どこにきめて政府は指示していくのかというのが大きな問題だと私は思っております。そういう点について、結局滞貨の処理をまず第一にやるという問題、あるいは海外の市場の獲得というか、そういう難点を早く打開するとか、また輸出の面において、統一性のあるものに一つするとか、いろいろなことも考えられてきますけれども、まず第一にそういう対策として考えていただきたいとれれわれが思って一つお尋ねしたいのは、現在人絹のいろいろな製品について、四十億の滞貨がある。こういう滞貨というものがある以上、結局これが貿易を非常に阻害しておる。外国の商社から言わせても、そんなに滞貨があって、日本のこういう人絹織物というものがどんどん弱ってきて、おるということはわかり切っおることなんです。だから結局もっと安くなる、もっと安くなるということで買おうとしない、結局もう足元を見られておるということでありますから、この滞貨というものの一掃ということをまず考えなくちゃいけないんじゃないか。そうすると、滞貨の一掃ということは何をもってやるかというと、結局第一は、政府がこれを買い上げて、そうして一つのプールの中に入れてもらう。政府の買い上げということが一体できるのか、これを一つやってもらいたいが、これに対するお考えはどうか。第二に考えられることは、それならば、こういうものを何とか処理するために、結局賠償物資というものの中にこれを入れて、そうして賠償物資に指定してこれを買い上げていくというような、滞貨処理については考え方があると思うんです。そういう両点についてどう思われるかということをまずお伺いしたいと思います。
  192. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) これはおっしゃいますように、人絹織物の滞貨だけで、九月だけで一億四千百万円、これは表向きの数字で、若干それより多いかもしれません。このうちで三銘品の今ちょっと売り足の遠いものも相当あります。これらについては、相当程度のものは、実際問題として人絹七社の負担になっておるということで、ある意味では金融の面で何とか処置がついておるということが言えると思うのであります。人絹界の苦境が非常なものでありますので、私どもとして生産調節をやり、需給のバランスがとれ、滞貨がある程度まで一掃されるまでの金融上の配慮ということについては、関係の方面に十分実情を話して、協力をお願いしておりますけれども、政府がこれを買い上げるということは、これはただいまの状況では、非常に困難じゃなかろうかというふうに考える次第であります。また賠償問題は、私どもがお答えするような問題ではないかと思いますけれども、インドネシアが、先ほど来申したように、人絹織物の従来の非常に大きなマーケットでありますので、この賠償問題解決の機会に、正常貿易その他の形でインドネシアの方にはけていくことが最も望ましいことでありまして、また賠償については、これは両国間の話し合いでいろいろとやっていかなければならぬので、今後話を持っていかなければならぬだろうと思っております。そういう話し合いの結果、また何か新しい期待ができるかもしれませんが、その辺については将来のことになると思います。
  193. 小幡治和

    ○小幡治和君 今、局長は事務的にむずかしいと言われるんですが、私は大臣にお伺いいたしたいんですが、今一億何千万円あると言われますが、そういうようなものが滞貨されている。そのうちで貿易というものはとどまっている。あるいは国内でいろいろなこういう織物業界が人絹のそういう操短というものをやっても、滞貨がますますふえるばかりである。この滞貨というものは処理しなくてはならぬ。そうすると、滞貨はどう処理されるか、滞貨が何とかなるまでは、金融面で人絹メーカーが何とかやるだろうというけれども、人絹メーカーにおいて滞貨を処理する方途というものがあるか。どういうようなことを考えられるか。そうすると、結局この問題というものは、政府において新たに一つ考えていただかなければならぬじゃないか。そうすると局長の御答弁は、事務的には答えられぬが、賠償物資というような問題は、一応取り上げられぬことはないというふうなことを言われておりますが、これは政治の問題だと思うので、そういう点、通産大臣として、一つ閣議あたりで外務大臣のような人たちに、この滞貨処理について、この問題を賠償物資に持ち込むということの御努力を願えるかどうか、その点一つ……。
  194. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 人絹織物の滞貨につきまして、これは政府で買い上げるというわけにはこれはいかぬと思います。もちろん政府が商売するわけには参りません。滞貨の問題は、結局また滞貨が一掃されましても、生産が調節されず、その後どんどん出てくるということでありますと、ただいま局長の申しましたような、金融すらむずかしい。何としましても生産調節ということが一番最初に立てていかなければならぬ問題だと思います。それにつきましては、従来多少どうも手ぬるい点があるんじゃないかというようなことも考えられます。これに対して早急な対策を講じて、そうしてしかる後にまたこの滞貨が、どう処置されるかということも考えながら金融をつけていかなければならぬ、こういうことになると思うのであります。そこでその滞貨を、まあ賠償物資にすぐさま持っていくということについては、これはちょっと困難だと思います。先ほどの大谷委員への御答弁の際にも申し上げたのでありまするが、賠償としましては、やはり正常貿易を阻害しないというので、プラントの輸出、今後の機械類、あるいは開発に必要な資材ということが原則でありまして、従って従来は全然そういうものについての、消費物資についての賠償ということは考えられていない。ただ実際問題として、賠償をやって参りますと、賠償を物資で持っていきましたものが現地通貨が調達されないために実際動かぬというような状況も見えて参っております。そういうような意味で、現地通貨調達というような意味合いから、消費物資を賠償に付随的に持っていく、べきじゃないかとか、あるいはまたそれを、場合によりましては向うにおける金融というような意味合いで持っていくべきじゃないかというような問題がありますから、それらとかね合せて、十分私どもとしましても検討もし、そういうことで処理されますと一番工合がいいわけでありますけれども、その点は検討もいたしているのでありますが、ただ問題は、まあ賠償が片づき、またそれによって日本の賠償が実行されるにつきまして今までのいろいろ御承知のように、この七月以来でありますか、ほとんど貿易が停頓をいたしておったのでありますが、これがまあ契機になりまして、貿易も再び、活発というところまでいくとは思いませんが、とにかく再開されて、まあいろいろ従来とは違って輸出もされるというふうにも考えておりますので、それこれ考え、また何もインドネシアばかりではありませんで、他の方面に対しましても、これをどういうふうに処理すべきか、他の諸国にも出ていくんじゃないかというようなことも検討いたしまして、極力打開に努めたいと、かように考えているわけであります。
  195. 小幡治和

    ○小幡治和君 今結局滞貨の一掃の問題については、相当むずかしい要素が多いようでありまして、まあそれについては、先ほど大臣が言われました、要するに賠償物資とは言わぬけれど一も、いろいろな面においてそれに近いある一つの方策というものは考え得るというようなこと、そういう方面にも一つぜひ努力していただきたいと思います。と、ともにもう一つは、こういう人絹織物の主要仕向地である東南アジア、特にインドネシア等に対しまして、こいつが大体まあ人絹織物総輸出量の四〇%くらいを占めている相当大きな相手方でありますので、これについてまあ貿易を振興さして、こういう滞貨もあるし、次々の生産というものも考えていかなくちゃならぬということになりますと、結局貿易を伸張させなくちゃいかぬ。その貿易の伸張の一つの方途として、こういう主要な仕向地に対して長期のクレジットを設定して輸出促進をはかるというふうなこと、大体まあ東南アジア、特にインドネシア等の貿易と言いましても、まあ向うはドルでない。そういうことで何かそこに一つ対策というものを考えなくちゃいかぬというふうに思われますので、一つこの長期クレジットを設定して、そうしてこういう人絹織物界の今のガンというものを一掃し、さらに将来の貿易というものの伸張の一つの呼び水にしていくというふうなことは考えられないのかということをわれわれ業界としては考えているわけですが、その点については大臣なり局長なりはどう考えられますか。
  196. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 御承知のように、東南アジアに対しまして、ことにまあ最近ではインドが第一の問題に上って参ったわけでありますが、長期クレジットということについてわれわれも熱意を持ってぜひ設定したい、かように考えているわけであります。ただ長期クレジットも、結局は原則としてプラントを輸出するということが趣旨でありまして、こういうような消費財をクレジットで出すということは非常に困難だと思います。ただ、先ほども申しましたような同様の意味で、あるいは現地通貨というような問題が起りますと、あるいはそれに利用することができ得るのじゃないかというふうに考えますが、いずれにいたしましても、まあこれらよりも、やはり正面からどういうふうに打開していくか、決して、非常に困難ではありますが、全然ないわけではないので、それをいかにまあ広く輸出として処理していくということを考えていくべきであり、またわれわれとしましても極力その打開に努力いたしたいと、かように思っております。
  197. 小幡治和

    ○小幡治和君 輸出の結局振興という問題に、一つ全力をあげなくちゃならないということを、まあこれはもう大臣言われた通りで、その一つの方法として、次に一つお願いというか、御意見をお伺いしたいと思うのですが、これはこういう人絹織物の輸出という面につきましては、特にその景気も非常に変動が一番多いものでありますし、また過当競争も相当あるようなものであります。そういうような面からこの本年の六月に輸出入取引法の改正をやりまして、そうして今度輸出入取引法の第三十二条の三というやつ、要するに指定機関、これを指定物資にして指定機関を指定して、そうしてこういう輸出の組織というものを考えていったらいいんじゃないか。今までのこういう人絹織物等の輸出というものは非常にばらばらで、そういうものがないために、今日まで貿易の面についても非常な不利をこうむってきておるということが一つ。  もう一つは、この指定機関を作るということについては、結局以前にその生糸の問題でこういうようなことをやられたことがあると思う。そのときは政府は相当な資金を出して、プールを作られたと思うのですが、それと同じように政府においても相当な資金を出してもらうとともに、やはり原糸メーカーなり、あるいは糸の商人、また今度はこの織物の方の機業者、それからそれの加工業者、またその製品を売りさばく商社、また輸出商社、そういうような全体が相当な金を出し合って、そうして一つのプールというものを作って、そうしてそれを輸出窓口というものを一つにして、あるいは景気のいいとき、あるいは景気の悪いとき、あるいは貿易が詰まったとき、あるいはそれが詰まらないで、うまくいくとき、そういうようなものをある程度統一して処置していくということを、もっとこういう日本の貿易、ことにこういう人絹織物等の貿易というものは、しょっちゅう非常に不況にあえがなければならぬというふうに思われるわけです。  最近はこういう面で、それじゃメーカーあたりがどうも賛成せんじゃないかというような御意見もちょっと聞いたんですが、また私は今日の現状からいきますと、むしろ原糸メーカーの相当系列の人たちが、結局原糸会社が自分の系列の工場に織物を織らしても、結局その織物を自分が引き受けて、滞貨に持っていかなければならない。ストックに持っていかなければならないものですから、その系列工場に糸をやらない。そうして一般に流すということから、系列化そのものが今日混乱してしまってそして私の県である福井あたりでは、系列工場が非系列工場よりもむしろ仕事が頓挫してしまって参ってしまう。こういうことでは結局メーカー自身にも及んでいくわけですから、メーカーとしても捨ててはおけない今日の実情だと思う。  そういうような面についてこういうような関係業者が一丸となって 政府もこれに助力して、この指定機関というものの要求をやっていったならば、政府も一つ指定機関を相談に応じてみるというお気持であるならば、われわれもそういう業界というものを一つ大同団結して、そういう方面に話を具体的に持っていきたいと思っておる。またこれはわれわれの自民党の政調会あたりでもそういう問題を一つ取り上げるように、われわれとしてもこの際もうぶっつけていかなければならないと思っている。そういう面について一体大臣としても、また局長としても、そういうせっかくことしの六月作った指定機関を活用する意思ありやいなや、まずそれをお伺いしたいと思います。
  198. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 御指摘の通り人絹織物輸出が細っておるにもかかわらず、相当過当競争もあります。むしろ金融上の投げものというようなものも相当あります。これはまあ、過当競争を防止して、できるだけ秩序ある輸出をやる方向には私どもいろいろな方法でぜひ運んでいきたいというふうに思っております。そういう意味で、改正輸出入取引法による指定機関を設置するという、これは関係業界の一部から相当有力な意見が出ておりまして、私どもまじめに検討していきたいとは思っております。これは、むしろ関係業者である人絹メーカーの輸出が、みな一致してやっていかなければならぬ面もあります。また現状ではやはり織物の中には非常に多いのでありまして、それをまだどんどん生産していって、どんどん買い上げるということになりますと、これはまた悪循環にもなります。金融もなかなかつきがたい、それらの点をよく考えてまじめに検討していきたいというふうに考えております。
  199. 小幡治和

    ○小幡治和君 まあこの点研究をされる段階だと思いますので、われわれも一つ党なり、また業界なりに働きかけまして 一つまたとっくりと御相談が参るようにいたしたいと思っております。  次の問題については、先ほど大臣もおっしゃいましたように、結局まあ今全国の人絹織機というのは二十七万台、工場数も二万三千もあるというようなことで、非常にこれが過大であると、そういうわけで、それと、片一方におきましては、最近織機そのものの輸出が相当ある、また原糸もそれに即応してどんどん輸出がされていくということになりますと、結局後進国の方でこういう織物というものが、一つの産業としてどんどん進展してくるというようなことになってきておる、そういう面から、それじゃ国内のこういう産業界というものを見たときに、結局政府としては、そういう織物業界というものをどう将来さばいていくかということだと思うのです。結局ある程度整理せざるを得ない、そのために昨年度から繊維工業設備臨時措置法というようなものを政府も法律制定されまして、そしてこの買い上げというものを今やられておる、これは全くそれでいかなくちゃいかぬと思うのですが、それじゃこれの実情というものを今日見ておりますと、国が一万円、それから残存業者が一万円、結局二万円で買うことになっているのだけれども、二万円ならば結局木製のごく古いものならばそれで供出されるというような現状になっておりますけれども、鉄製の織機なんというものは、もう二万円じゃとても売れない状況になってきておる、結局少くとも四、五万というもので買い上げていかなくちゃならないというふうな現状になってきておりますので、こういう問題について、買い上げ価格を一つ増額してもらって、そうしてそれに対する国庫助成というようなものもして、企業の整理あるいは転廃業、ストックの徹底的な解消というか、そういう面について一つ政府が考えてもらうという点についてどうお考えになっておるか、それを一つ承わっておきたいと思います。
  200. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) まあ御指摘のように、政府の補助金が多ければ多いほど実質的な企業の整備というか、織機の供出が多くなるということは、私もその通りだと思いまするが、まあ第一年度に比べて第二年度は一割だけ補助金を、単価を増額して実施するということになっております。ただ実際のことを言いますと、なかなか織機に対する愛着というものもありまするし、現在の補助金でもなかなかこれは単価が安いということもむろん関係ありましょう。しかしその消化できるかどうかということは疑問もありますし、何倍にも補助金をするというようなことも、現実の問題としてはなかなか国庫負担の問題もありますし、その辺はできるだけ実情に即したような運用はいたしたいと思います。飛躍的なことはちょっと困難だと思います。
  201. 小幡治和

    ○小幡治和君 飛躍的は困難かもしれませんが、今度の、一つ来年度の予算ぐらいに通産省としてはそれをある程度増額して出して大いに検討していただきたい、努力だけはしていただきたいと思うのです。ここでまあお約束は私要求いたしませんが、一つそういう面に御努力をお願いしたいと思います。  もう一つお伺いしたいのは、結局そういうような織物業界の非常な不況でありますが、政府が非常にこれは善政としてやられました設備近代化の資金の融資の問題、これが非常に織物界に、どんどん設備近代化しろということで金を貸していった、これは非常にありがたいことで、みんなどんどん近代化の設備をやったわけなんですけれども、これの償還というものが一年据え置きの四年償還、その償還にぶつかった今日は一番の不況のどん底というふうなときになってきている。そうすると、これは設備の資金ですから、その設備が動けば返してもいかれるわけなんだけれども、今日のように、操短々々で休業もやむなくさせられているような今日の現状においては、とても休業下においてこれを返していくというようなことはできない。あるいは三割なり、四割というふうな操短をやっているときにこれを返すといったって、これは非常に無理だと私は思う。そういう面についてまず第一段としては、その償還というものを一つ延ばしてもらえないか、せめて一年でいいから延ばしてもらえないかということが切実なるそういう業者の要望になってきているわけなんです。国と県でやっておりますが、国、県の元金そのものをある程度延ばせないか、また金融機関から借りている分については利子だけは払うけれども、元金だけはある程度延ばすように一つ御指示願えないか、何かどっかで一つそういう面というものをゆとりをつけていただきたいということが切実なる要求なんです。これはもう実際操短をさせて、休業させて、そうしてそれを四年間で払えといったって、これはもう縛った犬を走れといってたたくようなもので無理だと思う。この点について一つ真剣に考えていただきたい、どうですか。
  202. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 近代化の補助金は法律で五年以内で返すことになっております。返済の仕方は通産大臣の定める基準ということでできている上げですが、おっしゃる通り、人絹の機業地が不況のどん底でありますので、私どもも所管産業の問題として、その辺に親心を加えていきたい、そういう気持は持っております。これは中小企業庁からお答えした方がいいことかもしれませんが、できるだけ実情に即して、さりとてこれも一律に何でもというわけにはなかなかいきかねる点があると思いますが、これはケース・バイ・ケースで相当問題があるし、私どもの方からもお願いをしていきたい。
  203. 小幡治和

    ○小幡治和君 それで今の問題、一つどうぞ通産省内部において、中小企業庁の問題もありましょうから、通産省の内部において一つ考えていただきたい。もしどうしてもできなければ、せめてそれの肩がわりという意味において一年間くらい、中金あたりから何とか融資して、そうしてこの償還の分くらいを中金の方から融資するというふうな、方法は幾らでもあると思う。そういう面について一つ、この中小企業庁なんというようなこともありますから、どうぞ大臣のところでぜひ一つ考えていただきたいということだけ要望申し上げておきます。大臣、どうでございますか。
  204. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) すべて総合的に打開策を考えたい。
  205. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 本日はこの程度にいたしまして、次回の委員会に関してお諮りいたします。次回の委員会は海野委員より質問と、通商問題を中心として十二月十日午前十時から開会することにいたし、なお特に日中貿易協定締結の問題につきまして、関係貿易団体等から参考人出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人といたしましては、一応国際貿易促進協会常任理事田尻愛義君、日中輸出入組合副理事長似田博君、日本商品展覧会理事長宿谷栄一君の三名を考えておりますが、先方の事情等もあるかと考えられますので、人選の最終的決定につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会