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1957-11-07 第27回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月七日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   委員異動 本日委員横川正市君辞任につき、その 補欠として坂本昭君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君            中山 福藏君            有馬 英二君            紅露 みつ君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            坂本  昭君            藤田藤太郎君            山本 經勝君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   政府委員    大蔵政務次官  白井  勇君    厚生政務次官  米田 吉盛君    厚生大臣官房長 太宰 博邦君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 小澤  龍君    厚生省児童局長 高田 浩運君    厚生省保険局次    長       小山進次郎君    厚生省保険局国    民健康保険課長 伊部 英男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (紀南病院に関する件)  (昭和三十三年度厚生省関係予算に  関する件)  (福岡市水道の四エチル鉛による汚  染に関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 委員会を開きます。  委員異動を報告いたします。十一月七日付をもって横川正市君が辞任し、その補欠として坂本昭君が選任されました。     —————————————
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 社会保障制度に関する調査の一環として、紀南病院に関する件を議題といたします。質疑願います。
  4. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私から二、三紀南病院その他の病院関係についてお尋ねをしてみたいと思います。  今全国に配置されております社会保険病院なるものは、保険診療機関としては最も重要な役割を占めるものでありますが、これが設置経営について当局はどういう方針をとっておられるのでございましょうか。また、これをいかに指導されておるのでございましょうか。その点について、まずお伺いしたいと思います。
  5. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいまお話のございました社会保険病院というのは、主として健康保険関係について私どもの方で作りまして、それぞれ経営をしておる病院についてのことでございますが、全国でただいま五十三ございます。なお、そのほかに診療所といたまして十一、療養所十二、合せまして七十六でございます。この健康保険病院は、沿革を申しますと、戦後医療機関が十分にありません時代に、政府管掌健康保険の被保険者に対して十分な、かつ社会保険における標準的医療を提供する、こういうような趣旨で作ったものでございますが、何分戦後のまだ十分施設のありませんでした時代、でございますので、急遽、当時ありました適当な施設を購入いたしましたりというような方法で整備したものが多うございまして、施設必ずしも十分ではございません。  大体概況を申し上げますと、病院五十三ございますが、まだこれのありません県が七つ、八つございます。気持といたしましては、必ずしもはっきりした方針というほどのことではございませんが、大体各県に一つくらい設けたい、そうして社会保険医療における一つ基準病院に仕立て上げたい、こういうようなことで今日経営をして参っておるわけでございます。実情を申し上げますと、ただいま申し上げまたように、設備が必ずしも十分でなくて、実はこれが社会保険医療についての基準病院だと申し上げるには、大へん恥かしい状態のことが多うございますので、今後の考え方といたしましては、すでにできておりますものについて極力内容の改善をして参りたい、それからできておらない府県につきましては、事情これを許せば一つくらいは持ちたい、かように考えてはおりますが、ただこれを考えました当時と今日ではだいぶ条件も違っております。国民保険というような条件のもとにおきましては、すべての医療機関が多かれ少かれ社会保険医療を担当して下さる、こういう条件のもとになりますと、必ずしもこういう形で社会保険医療基準病院を持たななければならぬかどうかということについては考えるべき問題があると考えおりますので、むしろ現在の気持では、できておるものの内容充実向上をやっていきたい、かように考えております。なお、運営につきましては、設置趣旨に従いまして、社会保険医療基準病院たらしめるようにいろいろ指導をし、また、お互い病院相互の間で切瑳琢磨をしてもらってやっておるというような状況でございます。
  6. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 公立病院または私立病院社会保険病院肩がわりをしたいという希望がある場合には、どういう標準のもとにこれを受け入れることができるようになっておるのでしょうか。または原則として肩がわりは認めぬようなふうの方針でございますか。その点を……。
  7. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま申し上げましたように、現在の気持としては、むしろあまり数をふやしたくない、かように考えております。従って、そのような申し出がありました場合におきましては、今までない県でありまするとか、あるいはまたない県でありまして、付近状況その他から見まして、それを社会保険病院にすることが、その病院の機能をよりよく社会保険の面において発揮させることができるというような場合についてだけ、そういう申し出について相談に乗って考えていく、かような気持で検討することになっております。
  8. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 実はきょうのあれに出ております和歌山田辺市にありますところの紀南病院の場合でございますが、田辺市には総合病院というりっぱな国立病院があることは御承知通りであります。この国立病院ができる際にも、将来は市民病院肩がわりしようとか、あるいは健康保険保険病院にしたいとかいうような希望があっておるのにかかわりませず、ただいま赤字経営でかなり非難をされておるところの紀南病院を、特に社会保険病院肩がわりをされるというお気持はどういうわけでございますか。そこをちょっと……。
  9. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいまお話になりました紀南病院につきましては、お話通り、これは三栖村家ほか四カ町村の一部事務組合におきまして国民健康保険直営病院として設置をして今日に至っておるのでございます。この利用状況を見ますというと、あの付近の特殊の条件だと思いますが、健康保険関係利用者が非常に多うございまして、昭和三十年、三十一年等について見ますというと、外来、入院を通じまして、昭和三十年においては五二%、三十一年度においては四六%、国保利用者の方は昭和三十年度は一七%、それから三十一年度は一八%、こういうような状況になっておりまして、非常に健保利用者が多いのであります。それとこの病院につきましては、昭和二十八年、九年におきまして健康保険関係結核病床百五十経営を委託しておるというような一般的な事情があったわけでございます。そういう事情のもとにおきまして、地元経営主体の方からこの際一つこの病院社会保険病院として経営していくようにいたしたい、ぜひそういうふうにしたいので、国の方で引き取ってやってくれないか、こういうような話がありましたので、いろいろ検討してみましたところ、お話通り地元国立病院はございますけれども付近病床の配置からいいまして、大体あのあたりでは人口当りにつきまして二十六という状況になっておるのであります。理想といたしまして、理想というわけではございませんが、一応の標準といたしまして、大体人口当りにいたしまして、四十床くらいまで持っていくということが、たとえば厚生年金保険還元融資をするというような場合において一つ基準にいたしておる関係もありますので、まずこの分ならばもう少しあの地域病床を持ってもよろしい、また、いろいろな条件からして国保直営病院として設置されておって相当手広く利用されておって、健保利用者が非常に多い、かたがた和歌山県は社会保険病院がない、こういうような事情がありましたので、さしあたりのところは若干赤字でございますが、経営内容等について検討いたしましたところが、これは一、二年のうちに解消し得るというような経営状況でもあるというようなことが判明いたしましたので、それでは一つ相談に乗るという方針で御相談申し上げましょうということで、今御相談をしておるというようなところでございます。
  10. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 ただいまのお話によると、一、二年のうちにはその赤字も解消ができるというようなお話でございますが、先日実は私は同僚と一諸に和歌山県並びに三重の視察に参ったのでございますが、その際に聞きますというと、あすこは一億以上の赤字があって、それを一年に一千万円くらいずつの黒字を出しましても年以上はかかるだろう、ことにそのような多くの負債を持っている紀南病院国費を投じて社会保険病院肩がわりさせるよりも、総合病院である現在の国立田辺病院に少し国費を投じて整備されたら、その方がいろいろの面からいっていろいろ都合よくはないか、また、ことに地元医師会もこれに対しましてはかなり反対をしておることは御承知と思いますが、それに対する御見解はいかかでございましょうか。
  11. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) この病院経営が非常に先々むずかしいではないかというお話でございまして、実はこれは御注意もありましたので、私どもの方でも二度ほど現地に派遣し、かつこれは県知事が非常に希望して参っておる関係もありますので、県の方にもその点特に、まことこれはごもっともな御注意でもございますので、検討さしてみたわけでございますが、一億何がしという名目上の負債のうちには、いわゆる負債に類するものとそうでないものとがございまして、そこいらは一々申し上げませんけれども、それぞれ適当に処理がつくというような見込みが一応立ったのでございます。なお、地元医師会の御意向ということについては、実は私どもが県を通じて承知しておりますところでは、まあいろいろ地元にも御意向があって、要は運び方の上においてどうも釈然としないというお気持ちの方がおいでになって非常に反対をしておられる。これもまたごもっともなことでございますので、よくそれらのお気持を解きほごすというような点については努力をしているわけでございます。事柄事柄でございますので、私どもこの問題をそういうふうな点についての了解なしにしゃにむに運ぶというような気持はございません。ただ今日まで検討しました結果では、まず大体御了解願える筋合いのものじゃなかろうかと、こういうような考えを持っておるわけでございます。
  12. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 ただいま厚生省の方におかれましては、国立病院を初め、公的、医療機関整備計画というのが進められておる様子でありますが、社会保険病院整備計画というのもこのワクの中において進められておるのでございましょうか、または独自の立場から進められておられるのでございましょうか。なお、医師会などとの調整もお考えいただいておるのでございましょうか。その点についてお伺いいたします。
  13. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 冒頭にも申し上げましたように、社会保険病院整備といえども、これはもちろん大きい病院についての整備計画の一部でございます。さような気持がございますので、特に最近におきましては、十年前に社会保険病院を持ち始めたときの希望としましては、少くとも各府県に一カ所は持ちたいと、また、持つというような含みで始めたわけでございますが、今日では必ずしもそれにこだわる必要はないじゃないかと、現に十分そういう役割を果してもらう医療機関があり得るわけでございますので、そういう場合には、そこにそういう役割を持つことをお願いするということで足りるじゃないかというように考えているのも、実は御趣旨に呪われているような考えからなのでございます。それで今申し上げましたように、現在できておりますものの内容充実向上に重点をおいていくと、この紀南病院につきましても、御承知のように、母体があるわけでございまして、それの整備を今やっていると、ただおそらく地元のお感じとしては、一部の方のお感じとしては、整備程度が少し大き過ぎるじゃないかと、こういうようなことであろうと思いますので、これはまた別の見地から申しますと、ある程度総合病院として成り立って参りますためには、いわば基準ベットと申しますか、ある程度基準ベッドを持ちませんというと、経営が非常に不安定になりまして、かえって、せっかく総合病院として設けられておりましても、その役割が発揮できないと、かようなことに相なりまするので、それで最小限度必要だと思われる程度融資申し込みがありましたので、それに応ずるということでございます。従って、今後におきまして、その他の地域においてこの際急速に新たに作るというような考えは今のところ持っておりません。
  14. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 最後に、大臣にお伺いしておきたいと思いますが、一体、この病院設立その他につきましてはこの前も話が出たのでございますが、いろいろの省、いろいろの局で重複して、しかもそこよりかもっとほかによさそうなところがあるにもかかわらず、次々と病院設立されておる。ことにほかの省ならともかくも、同じ厚生省内において、それはもう社会保険病院あるは国立病院というようなふうにやっておられる。紀南病院以外において、たとえば熊本あたりにおきましても、国立病院のすぐ隣りに済生会病院ができて、これは将来必ず両方が非常にお困りになるだろうと思って、いろいろお勧めしたけれども、やはりほかにも次々と設立されるというような状況でございますから、病院設立につきましては、少くとも医務局がこれに対して全権を持つと言うたら少し言い過ぎかも存じませんけれども、そういうような病院設立というようなことを許可したり、あるいはそれを審議したりするのを医務局が大いにそれをやっていって、たとえ保険局は金があるから保険局がおやりになるにしても、医務局でよく相談してやるとかいうように進めて、日本の病院設立計画に対して統一した方式にやっていただくことが最も必要じゃなかろうかと存じますので、大臣の御所見だけをちょっとお伺いしておきます。
  15. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 率直に申しますと、私がこの厚生省の仕事をあずかって、方々で一体厚生省医療体系整備と言っておるんだが、どうも公私併用だと言いながら、そうでないのじゃなかろうかというふうな御質問を非常に、受けるのであります。率直に申して、国民保険を推進いたして参ります上において、何と申しますか、国費なりあるいは厚生年金でやるというのも限度があるわけでございます。本来公私を通じて将来の体系考えていくということが最も必要だというふうに考えておりますので、実は意外に思うようなことの御質問も受けますので、今後私もせっかく勉強して、この医療体系整備ということを、公私を通じて一貫して考えてみたい。医務局だというお話がありましたが、私自身が直接に将来の基本はきわめて参らなければならぬ、これは緊切な問題だということを痛感いたしております。少くとももう少し時間をかしていただけば、全体の一画についてはっきりしたことを言い得るような状態になるのではなかろうか、せっかく検討いたしたいと思っております。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 ちょっと関連して。今谷口委員の御質問紀南病院という問題に関連しまして、大臣の御発言が、その医療整備に関することについての御発言があったのでありますが、私その点ちょっと一つこの際確かめておきたいと思いますが、近ごろ世間でよく国民保険問題というものが取り上げられて、いろいろと論議せられておるのですが、厚生省として、これは大臣一個人の意見じゃなくて、厚生省としてその点に関してどういう方針を立てておるのか、また、立てようとしておるのか、そういう問題を一つ端的に一言だけ御回答を願います。
  17. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) この問題は、三十二年度の予算の編成がすでに四カ年計画の第一年度として、そういう方針のもとに予算が編成されておるというふうな状況でございますので、決して私が来てからどうのこうのという問題ではないと申し上げていいのじゃなかろうかと思います。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 そういたしますると、その国民保険というものをねらいとしておるとすれば、それに並行してやはり医療整備という、医療体系の警備というものがおのずから台頭してくるというわけになると思います。それについてはすでに立案されておるかどうか、それも一つ確かめておきたいと思います。
  19. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 実はまだその国民保険を四カ年計画でやると言いながら——言いながらなどと厚生大臣として申し上げるのはどうかと思いますが、その基礎的な諸条件整備については、多くの疑問を残しておるわけであります。本来ならば四カ年計画で皆保険をするならば、それに対する基礎的な諸条件が全部並行して進行すべきはずのものでありますが、それらについては事務的にあるいは全体的な面から見て、必ずしもまだ調和がとれてないという状況でございまして、むしろ私としては、そういう基礎的な諸条件整備を四カ年計画とあわせてどう推進すべきかという具体問題をここで解決して参るのが私の任務じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  20. 木下友敬

    木下友敬君 さっきの社会保険病院のことですが、社会保険病院というのは、施設厚生省がして、経営地元経営団体にまかしてあるというふうに私は考えておりますが、大体その五十三の病院が全部そんな形のものでしょうか。直接厚生省がこれらの経営に当っておるという病院もございますか。その点一つ
  21. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先生仰せ通り、全部経営を委託しております。委託先地元の市であることもあり、あるいは団体であることもございます。
  22. 木下友敬

    木下友敬君 そうしますと、その経営内容あるいは会計状態などの監督、監査というようなものは、面接の責任者はどこにあるのですか。
  23. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 最終的の責任厚生省で持っております。さしあたり現地保険課長にさしておりますが、最終的には全部保険局の方で持っております。
  24. 木下友敬

    木下友敬君 実際に厚生省がその経営内容、ことに会計面検査厚生省がじきじきにお調べになるというようなことが現在まであっているかどうか。それから、それがあっているとすれば、一体一年に一回やるとか、四年に一回やるとかいうような規定があってやっておられるか。そうしてまた、それをやったらば、警告を必要としたというような実例があるかどうか。そういう点について御説明を願いたいと思います。
  25. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 二年に一回程度の割合でやっております。なお、結果につきましては、その結果是正を必要と認めたことは注意をいたして直させるというようにいたしております。
  26. 木下友敬

    木下友敬君 二年に一回やられるのは、何人厚生省の人が行って、何日ぐらいかかって一カ所の一病院をやっておられますか。
  27. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 正確に私確かめた上でお答えすべきでありますけれども、大体今まで私がときどき決裁をするときなんか見ておりまするのでは、おおむね一週間程度で、二、三名の者が行ってする、こういうふうなやり方でやっております。
  28. 木下友敬

    木下友敬君 まあそういうことをお聞きしたのはどういうわけかと申しますと、社会保険病院の場合は、私どもが知っている範囲では、たとえば健康保険監査に中央からお見えになりましても、内輪同士で非常にゆるやかにやってもらうというのが、われわれの目に余るような状態がしばしば見られております、というような状態で、会計検査面においても、うっかりすると、本省から来られても甘くやってやしないかと思われるところがある。でないとすれば、あのような経営がされるはずがない。たとえば一つの三百ぐらいのベッドのある社会保険病院で、十七台も、十八台もの自動車をかかえておる。あるいはその名前は各病院部長名前になっておる場合もあるけれども、薄給の部長が、あるいは医員が、おのおの自動車を持ち得るというようなことはないと考えられるような状態にあるのに、たくさんの自動車を持って、そうして中には自動車整備工場を持っておる。こういうような経営状態は二年に一度おいでになるならば、当然わかっておるはずだ。わかっていないのは、行ってもお茶を濁しに行っただけでしょう。一体何ですか厚生省のどんな役目の人が、どういう資格で、会計検査に本気に行っているか、はっきりさせてもらいたい。
  29. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま先生仰せのような事実がかりにあるといたしますれば、これは大へん申しわけないことで、この点は一つさらによく取り調べをいたしたいと思います。なお、参ります人間は、事務官クラス人間を二、三名程度、こういうやり方にいたしております。
  30. 木下友敬

    木下友敬君 一応ここらで、またあとでお答え願うことがあると思います。
  31. 勝俣稔

    勝俣稔君 ちょっと次長に伺いしたいのでございますが、紀南病院の問題はこれから考慮するようなお話のようですが、明美にはもうすでに決定しているんじゃないんですか。それからなおかつ、融資の面も何かもうしているのじゃないですか。その辺のところを一つ明確にしていただきたいと思うのですが。
  32. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 私が十分話し合いをつけてと申し上げましたのは、あの紀南病院を国の病院にする、社会保険病院にするという点について申し上げたわけであります。それから融資の点は、現在あの紀南病院経営しておりまする一部事務組合に対して融資をいたすことになっておりまして、これはすでに決定済みでございます。
  33. 勝俣稔

    勝俣稔君 まあ融資は、どこからの融資になっているのですが、おそらく年金の方だろうと私は思うのでございます。私は谷口先生と同じように、一体国立病院と、またいま一つ国立のような病院田辺市にあるという事柄から、田辺の人は医療問題、医療施設には恵まれていることになると思う。まるで恵まれないところが非常にあるのにかかわらず、国の病院までやらなきやならないということはどういうわけか。それからいま一つは、私はそういうようにしていけば、どっちかが繁盛していくと、どちらかが赤字になっていくということで、むだな施設が浮いてくる。で、あそこの国立病院はおやめになるお考えでおるのか。国立病院両方施設を拡充して、両方ながらりっぱな病院にするおつもりであるのか、その辺のところを一つ伺いたいと思うのです。
  34. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 紀南病院融資の問題は、実を申しますと、これは病院社会保険病院にするか、しないかという話の起きてくる前の申請のものでございます。あの病院といたしましては、病床をふやしたいと、こういうことで申請がございまして、これは県の方で、衛生部を中心にして検討しておりましたところが、あの付近にはベッドが足りない。人口割りにして二十六しかないから、これはもう少しふやしたい、こういうようなお話でございましたので、それではということで、これは昭和三十一年に年金融資がきまったわけでございます。ちょうどその後におきまして、今度はそれと並行するような状態で、これを社会保険病院にしてほしい、こういうような話が起きて参ったわけなんでございます。それで、これを社会保険病院にするかどうかということについては、これは先ほど申し上げましたように、今後十分相談をしつつ進めて参りたいと、かように申し上げたわけでございます。
  35. 勝俣稔

    勝俣稔君 私は問題は、医師会方面で問題になっているのは、融資の面と、国立の面とが不可分の問題があって出てきたのだ、こういうように考えているようであり、また、そういうことも一面からすれば考えられる筋じゃなかろうかと、こういうように私は感じるのですが、その点のところをよほど明確になさらなければならないと思う。保険局の方ではそういう考えで、融資の面も一つ心配してやったのだと、あるいは土地の問題なんかも、あそこに込み入った問題があるようですし、そういったような点が非常に一般のそれに対する批判の的になっているのじゃなかろうか、こういうように私は思うのであります。なお、国立病院一体どうするのか、もっと施設拡充をするのであるや、私はあの狭いところにいろいろな施設を拡充するということは、日本のこの財政状況から見てどうかと思う。ベット、ベットと言われるけれども、アイソトープのような問題を両方で使えるようになるのやら、両方ながらそれを持たにャならないのやら、これはいやしくも国立病院だからこれだけのことはしなくちゃいけない。また、保険病院の方も病院らしい行き方にするなら、今の最高水準の設備までしなかったらば、国民に対してまことに申しわけない、こういうようなことをやっていくと、その利用価値というものは二つあるのだから半減されやしないか、こういうような点がやはり医療経済やいろいろの面に影響してくるのじゃないだろうか。こういうところが私は十分御注意をなさっていかないというと、少い財源でそして皆保険を、日本の医療問題をやっていくということは非常にむずかしい問題になってきやしないか、まあこういうように考えておるものでございますから、十分そういうところはお考えの上で対処されんことを私はお願いして、私の質問はやめにしたい。
  36. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、今、国民保険に関連し、あわせて医療機関整備等についての質問があったわけなのですが、それに関連しまして、先般の閣議で、現行の社会保障制度に根本的な再検討を加えて、なお、総合的な見地から運営できるように新たに審議会等を作るというような提案が大蔵大臣からなされ渋した。堀木厚相は、これに対して了解を与えられた。なお、官房長官が審議会を作るかどうかということについて検討を加える、こういうようなことが新聞記事に出ておった。そこで、私お尋ねしたいのですが、今の医療機関整備等に関連があるわけですが、やはり国民保険の問題がようやく軌道に乗りかかってきた、そこへ持ってきて現在社会保険医療費の引き上げ等の問題で論議が戦わされておる。反面また、母子年金だとか、国民年金というようないろいろな問題が出てきておるわけですが、そうした場合に新たに審議会を作るようなことが閣議で話題に上ったようですが、従来から社会保障制度審議会というものが総合的にございまして、その下に社会保険審議会だとか、各種の審議会、委員会等があるわけなのですが、従来のそういう機関であきたらないで、あるいは運営に今のままでは非常に不都合であるということでそういう話が出たのでしょうか。あるいはまた、そういう点についてどういう御了解を堀木厚相としては閣議で与えられたのか、そういう点をちょっとお伺いしたいと思います。
  37. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 新聞に出ておりますように、大蔵大臣から、この社会保障を一つ一つの問題として、取り上げないで、一つの構想によってすべての問題を系統的にしかも総合的な観点から政策を樹立したい、こういう提案がありましたことは事実でございます。なるほど今おっしゃいますように、内閣に社会保障制度審議会があり、また、その報告も、もうすでに出ております。  それから私どもの方に御承知通り国民年金委員を委嘱して、年金の問題を研究する。しかし、全体の国民年金の構想を練るようになりますると、これが現在の共済組合の年金制度、それから厚生年金で扱っておりまするいわゆる被用者の関係年金制度その他の問題との調整をはからなければなりません。さらに官吏の恩給制度あるいは軍人のそういう問題とか、そういうものについても総合的に考えなければならない。で、なかなかむずかしい問題でありますだけに、とかく今まで一つの問題が一つの問題として取り上げられて進んできた傾きがありゃせぬかということから、これを総合的な観点からものを考えて、そうして事務的にどういったらいいかという問題を、国家財政とあるいは国民の所得というふうな問題とあわせまして考えなければならないじゃなかろうか。今お話のような各種の委員会あるいは審議会ができておりますが、それとの調整をどうするか、その他の問題を今後一つ考えていこうじゃないか。こういうことで、官房長官のところでそれらについて調整をどうするかという問題をまず考えてみなくちゃならない。こういうことが内容でございました。それ以上にはまだ出ていない状態でございます。
  38. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  40. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、一般厚生問題に関する件を議題といたします。まず厚生省関係昭和三十三年度予算について、官房長から説明を求めます。
  41. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 明年度の厚生省予算につきましては。(「資料は」と呼ぶ者あり)
  42. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  43. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それでは速記を起して下さい。
  44. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) お手元にただいま差し上げました「昭和三十三年度重要施策」というものを中心にして、ごく概略について申し上げたいと思います。  最初に御了解を得なければなりませんのは、もう御案内の通り予算はまだ政府としてきまっておりません。これは政府が予算案を作成いたしますそのごく一番初めの厚生省としての原案というふうにおくみ取りいただきます。  そこに書いてございませんが、昭和三十三年度の予算要求総額は千五百六十七億一千七百万円でございまして、前年度の決定予算がつまり本年度でございますが、千十四億六千二百万円でございますので、比較いたしますると、これはまあ要求と決定額の比較でございますから、ちょっと意味が薄いのでございますが、まあ比較いたしますと、五百五十二億五千五百万円ほどの要求増、こういう形になっております。  それで以下この項目に従いまして、概略を申し上げたいと思います。目次をごらんいただきますと、すぐわかりますように、一番最初は、国民保険の推進とそれからその基礎的条件整備、これが第一の柱でございまして、それから大きな、その次は年金制度の策定、それからそれに伴います低所得対策というようなものが第二の柱でございます。それから第三は、結核問題の解決ということでございます。以下第四に、公衆衛生関係のいろいろな施策、それから第五に、児童福祉の向上、それら以下、厚生行政の一般に通ずる問題でございますが、民間の地域組織の活動の育成、行成機構の整備、こういうことになっております。  第一の国民保険の推進とその整備でございますが、先ほどもちょっと御質問がございましたように、昨年度から五カ年、本年度から四カ年でこの計画を進めて参るわけでございます。やはりその一番中心になりますものとしてその(1)にございます国民健康保険関係でございます。これは大体四カ年計画の第二年度といたしまして、大体大都市を含む市部に重点を置いていく、年度で約三百六十万人の被保険者の増を見込んでいく。三十三年度末においては四千百三十五万に達する計画を立てております。同時に、この国民健康保険を推進いたしまするその条件と申しますか、いろいろ問題になっておりまするように、給付費と保険料との不均衡の是正というようなことから、片方におきましては、この給付の中身を改善していく。現在は御承知通り、大体給付率で申しますと五割給付、それから若干のものについては制限がございますが、かようなものを逐次範囲を拡大し、給付率も引き上げて参りたい、と同時にそれに見合いますと申しますか、それが可能ならしめるように現在の給付費に対する二割国庫負担の制度というものに改正を加えまして、大体二割の国庫負担は定率でやって、そのほかに新たに五分程度の調整交付金を設けたいというふうに考えております。  それからその次には、国保は現在過去の赤字に悩んでおりまする分が相当ございまして、大体三十年度末で十五億、まあ全国のいろいろ赤字を出しておりますものを総計いたしますと、十五億の赤字を持っております。これはやはり今後運営を改善して参ります際にネックとなります可能性がありますので、財政再建対策というものを講じまして、それにはできましたならば、資金運用部資金からの貸付制度をやり、その利子にきつまして大体年三分程度の利子補給をやりたい。そうしてまあこれは一応たな上げにして、過去の赤字はたな上げにして参りたい。これは大体構想は地方団体の再建の対策と同じようでございます。  それからその次に、事務費の問題は、これはいろいろ前から御指摘ございましたように、全額国で見るということになっておりながら、それが現実には非常に低いじゃないかということで、今年度も予算におきまして八十五円まで引き上げたのでありますが、なお、当方の希望の百十五円というところまで差がありますので、これは現在でも地方からやかましく言われておりまして、これを百十五円に引き上げておる。以下、それに伴う直営診療所とか、指導監査委託というものについて大体予算の内訳を書いてございます。  それから次の被用者保険の分につきましても、これは先般調べました結果によりますと、五人以上の事業所の被用者、大体強制適用が被保険者になっておるわけでございまするが、現在そのうち米適用者が約百三十五万人ほどございます。そこで、これをその百三十五万人も明年度までの間にいろいろ差引がございますが、残りを、九十三万人ほどのものになりますが、これを全部解消して問題を解決したいということで、その被保険者の増を見込んでおります。  それからその次に、これは大きな問題になろうかとも存じますが、五人未満の零細事業所の従業員の問題でございます。これにつきましては、社会保障制度審議会の勧告、その他例の七人委員会の勧告等にいろいろ問題がございました。厚生省考え方といたしましては、被用者でございまするので、できるだけこの被用者に吸収できる、そして確実にそれが実行できるという見通しのつくものについては、これを健康保険の方に入れて参りたいというような考えから、現在の任意包括制度を活用して参りまして、これを明年度においては約二十万人を健康保険に吸収する、こういうような計画のもとに予算を要求しております。  それから(二)は、この国民保険を推進して参りまする基礎的ないろんな条件を一括して書いておるのでございまして、(イ)の給付の充実、先ほど申し上げましたように、国民健康保険につきましては、給付率その他給付範囲を拡大するために、国庫負担を二割から調整交付金も含めまして二割五分に引き上げたい。それから日雇労働者保険につきましては、これは一つには、現在の給付内容をよくして参りたい。それは傷病手当金制度の創設でございまして、これは前の国会におきましても強く要望がございました点でもございますが、これをぜひ明年度から実施して参りたい。それからこの現在の日雇労働一石保険も相当運営が困難でございまして、これをぜひ健全化する必要がございます。そういうような点を考えまして、保険料を現在の十六円、それから二級十三円というものから、これを二十二円及び十九円に引き上げるというような措置をとりますとともに、片方におきまして、医療給付費に対する国庫負担率が現在一割五分でありまするものを二割五分に引き上げる、それから傷病手当金創設の場合においては、それの三分の一は国庫負担でまかなっていく、かようなことを考えております。なお、健康保険につきまして、政府管掌一割、組合管掌五分という定率の国庫負担制度、これを設けたいというようなことで、以下それぞれの国庫負担の関係を数字でもって表わしております。  それから(ロ)の医療機関体系整備、これは先ほども御指摘がございましたように、この皆保険をほんとうに実らせますためには、当然この点の措置を、手当を必要とするわけでございますが、そこには、第一行目にありますような無医村、無医地区の解消という問題もございますし、また、次のページの四行目、次の段でございますが、ありますように、公的医療機関国立病院というものについても総合的計画のもとに整備、運営をする、こういう問題もございます。  それからその次の段にございますように、私的医療機関につきましても、これを助成していくという措置は当然考えねばならぬ問題でございますので、それにつきましては、医療金融公庫、これは一番末尾に書いてございますが、医療金融公庫を設置して、政府出資及び資金運用部の資金の借り入れによりまして、長期でしかも低利の貸付を実施いたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから三番目の医薬品の企業合理化、それから輸出振興の問題でありますが、これはできるだけ医薬品の生産を合理化すると同時に、その価格を廉価にするというようなために薬業の合理化ということについてさらに力を注いでいく、同時にまた、国内の需要がほぼマキシマムに達して参りまして、今後さらに海外にそれを宣伝さす、進出させる、そういうことによって、また、かねて薬品の値段も、中身もさらに改心する、こういうような措置を考えておるわけでございます。  それから二の年金制度のことでございますが、これは年金制度につきましては、現在内閣総理大臣から社会保障制度審議会に対して、その基本的な方策というものについて詰問をしてございます。また、厚生省にも厚生大臣の詰問機関として年金委員を委託いたしまして、両者連絡をとりつつ、この年金制度の審議を現在やっておるわけであります。これが大体おそくとも明年の秋には回答が出るというふうに私ども期待しておるわけでありますので、この制度につきましてはもう御案内の通り事情が非常に大きな金額の動く、しかもそれが長期にわたって動く、その結果、これは国家財政、国民経済に大きな関連を持つと同時に、この制度は一度やり始めましたならばあとで、手直しがなかなかきかないという非常に厄介な性質のものでございますので、ただいまの私どもといたしましては、その答申というものを待ちまして、そのでき次第その意向において、できるだけすみやかにこれを実施いたしたい。なお、明年度のそれが出ます間に、若干の調査審議の費用がそこにあるわけでございます。  それから同時に、その年金制度が実施になるならぬの問題にかかわらず、当然考えるべき問題でもございますが、いわゆる低所得階層というものに対する対策というものはもっと強化して参らねばならぬというので、それが(二)に出ているわけでございます。これはいろいろ考えてみましたが、現在実施しております、また、今年度から実施いたしました世帯更生資金及び医療費貸付資金、こういうものをさらに強化していく必要があると考えて、その点の手当てをしておる次第であります。それと同時に、母子世帯及び身体障害者につきましても、それぞれ現在よりも進んだ対策を講じなければならないと考えまして、母子福祉資金につきましては、生業資金の貸付限度の引き上げあるいは母子相談員の設置、これは現在は交付金に入っておるというのでありますが、そのためになかなか思うように参らぬ点も第一線ではあるようでございます。これを国の補助ということにして、強力にひもをつけてこれの活動を促す。それから三番目には第二種母子寮、これは現在あります母子寮は、児童福祉法に基く母子寮にはいろいろ制限がございまして、たとえばその子供が十八才をこえますると、原則として出ていかなければならない。出ていく先と申しますると、まあいろいろな住宅に入るにしても、なかなか家賃その他で困難であるというようなことがありますものですから、そういう面を考えました第二種極母子寮というものも設けていきたい、かような考えであります。  それから身体障害者の方につきましても、更生訓練の委託制度、これは適当な業者にもお願いして、そこで実地訓練をしていただく、その場合の手当とかあるいはそういう身体障害者を引き受けて下さる方に対しては、その作業の設備に対していろいろ補助をする、そういうような委託費の手当を考えております。それから盲人について、盲人の職業といいますか、端的に申しますと、あんまの稼業をいたしますにつきましても、今日は昔に比べてなかなか困難でございまして、生存競争が激しいものでございますから、そういう人たちのための施策を考えるというようなことを盛ってあるわけでございます。  それから(二)の方は、これは不幸いろいろな関係から売春婦に陥ったような人たち、今回売春防止法の全面施行に伴いまして、これに対して更生をはかるというためのもろもろの施策でございます。  それから(ホ)は、引揚者住宅、これは引揚者の集団住宅その他腐朽破損のひどいものに対しまする対策でございます。  それから三番目は、大きな柱として結核対策の問題がございますが、これは国民保険の場合の一つの大きな前提条件でありますし、また、その結核対策自体が、今日の国家の厚生行政としても大きな問題を持っておることは御承知通りであります。なおまた、社会保険保険財政ともまた密接な関連があることも申し上げるまでもないところでありますが、そこで厚生省といたしましては、今までいろいろな施策を講じて参りましたが、これから大体十年でもってこの結核対策の抜本的な解決をする。これは昨年の社会保障制度審議会の勧告におきましても強くこの点はうたっておるわけでありますし、また、当委員会等でも前々から御鞭撻、御教示を仰いでおったところでもありますので、ようやく今回その抜本的な対策を講ずる時期がきたと考え、飛躍的な対策を講ずるつもりでございます。  で、予防対策を強化するということがその第一でございまして、今年度から健康診断、予防接種は、全額公費負担にしていただきましたけれども、その地方の費用に対して国庫補助率が二分の一であるという点がやはりどうもネックになっておるようでありますので、これを引き上げて促進する。同時にまた、保健所だけでは全国民に対して検診をさせるということもなかなか困難であります。そこで思い切りまして、場合によりましては、医療機関にも応援を願う。それから単に保健所が回るだけでなしに、レントゲン自動車その他機動力を発揮させるというようなもろもろの措置を講じまして、現在の全国民受診率三三%を少くとも六四%以上に引き上げたいということを考えております。  それから二番目の早期治療の徹底、これは医療対策でございますが、大体方針を早期発見、早期治療というところに一つの柱を置きまして、これに対しては高率の公費負担制度、現在の公費負担制度よりも範囲を拡大すると同時に、その負担率につきましてもそこに書いてございますように、飛躍的に引き上げたものにいたしまして、そうして早期発兄患者に対して手当をする。ただしこの場合に、やはり結核の伝染というものをチェックするという意味を含めまして、早期発兄患者に対しまするこういう手当をいたしますのは肺結核患者にこれを限定する、その辺に踏み切った点が一つございます。それは肺結核患者について多く他に感染させる、伝染させる危険性があるというような見地からでございます。それから第二は後段にありますように濃厚感染源患者の対策でありまして、これは御承知通り、主として開放性の結核患者、菌を吐き出すこういう人たちをチェックする措置が従来不徹底であったように反省いたされます。これを抜本的に強化する。そういうようなことをするためには、その予算の裏づけを十分にしてやるという意味で補助率を引き上げる、こういうわけで他に伝染させるというような肺結核患者を中心にして早期治療を徹底的に強化する、それから濃厚感染源の対策は従来のあれを飛躍的に強化する、かような措置をとっていくつもりでございます。  それから第三番目には管理機構の整備でございまして、これは先ほども御指摘がありましたように、医療問題につきましても、なかなか厚生省も思う通りいかない面もございますが、少くともこの結核対策を国として進めますからには、これについては管理機構を強化いたしまして、結核治療を一元的に運営すると、こういう一貫した措置をとるという必要があるということで考えまして、具体的な対策としては、中央及び地方に結核対策本部を設ける、これは厚生省のみならず、関係の各省、各団体もこの中に含めまして、みんなが協力して結核対策を少くとも十年で完全にこれを解決してしまう、こういうつもりでこの対策本部を設ける、同時に、患者の登録制度、入退院その他につきまして協議会でもって指導するというような措置を講ずる、それからまた、在宅患者に対するいろいろな施策も強化する、かようなことをやって、また、これはごく事務的なあれでございますが、都道府県にも指導職員を国庫負担によって設ける、かような措置を講じまして、少くともこの結核に関しましては一元的に、また、一貫した管理でもって臨んでいくと、こういう強い決意を持っておる次第でございます。  それから、走りになって恐縮でございますが、四番目の公衆衛生の関係は、これはすでに御案内のような対策をやはり持っているわけでありますが、特に保健所の強化の問題は、これは前に申し上げました結核対策をほんとうに徹底的にやる決意で進むのでありますならば、当然保健所というものの現在の機構というものについても何らかの改善を加えなければならぬ、そういうことでとりあえず明年度といたしましては、保健所の人員、その他保健所の活動を確保するために、前から懸案になっておりました三分の一の国庫負担を二分の一に補助率をぜひとも引き上げるようにしたいと考えておるわけであります。その他、保健所の新設も大体九カ所、格上げ十カ所ほどのものをやって参りたい。それから医師の充足対策としての貸費学生貸付制度についても、その額及び人員をふやして参りたいというふうに考えておるわけでであります。  それから精神衛生対策、性病予防対策、このうち特に性病の関係は、売春防止法の施行がなりますると、従来の性病対策とまた違った面が出て参るのではなかろうかというので、その点を検討した結果、接触者調査をさらに徹底すると同時に、それに伴う強制健康診断の費用を全額公費負担とする、また、補助率を十分の八に引き上げる、それから次に、従来なかった新たな施策でございますが、自発的な健康診断を奨励するために、保健所などにおける検診をすべて公費負担とする、これは多少思い切ったふうな措置でございますが、いろいろ調べてみますと、諸外国におきましても、ほんとうに性病対策を効果あらしめるためにはここまで進まないと、なかなかこそくな方法ではどうにもならぬようでありますので、思い切ってここまで進めていきたい、こういうようなことを考えておるわけであります。  それからその他、上下水道とか、最近大きな問題にクローズ・アップされて参りました清掃施設、し尿消化槽、ごみ、塵芥というような問題につきましては、それぞれ一歩でも二歩でもこれを進めて参りたいと、かように考えて、それぞれの手当をしておるわけでございます。  それから(四)の家族計画の普及の問題でございますが、これは従来と変りました点は、その二行目にございますように、事業の実施主体を従来県を主体にしておりますが、市町村にやるということと、国庫補助率を引き上げるということによりまして、この指導体制を強化する、かようなふうな措置を講じておるわけでございます。  それから少し飛びまして児童福祉の問題でございますが、これは母子保健対策というものは、やはり将来の国家をになう健全なる児童の福祉を保護するために、母子保健対策を強化して参りたい、そのためには、妊産婦、乳幼児の保健指導もいたしますと同時に、新たに未熟児対策というものについてこれを訪問指導あるいは例の育てます器具、保育器などの整備等に手をつけて参りたい。それから母子健康センターと申しますのは、これは町村における母子保健対策を強力に進めますために約全国で百五十カ所ほどを明年度としては考えて、そのセンターというものを作る設備費の補助をして、それができますと、町村にはそれぞれ町村あるいは国保関係の保健婦とかあるいは助産婦というような方がおられますので、そういう人たちがそこを根拠にして担当町村内の母子家庭あるいは一般のお母さん、子供の健康問題のよき相談相手になる、こういうふうにして予防面を指導して参りたい。それから結核児童というのは、現在結核対策の一環とも申してもいいのかもしれませんが、ここでは主として子供が結核になっております場合に、おとなの場合と違いまして、やはり子供であるということのために、やはり生活訓練、その他学習という面をどうしても考慮してやらなければいけないということが最近やかましく言われておりますので、その面を考慮した施策を新たに考えるというような措置でございます。  それから(三)の児童の健全育成は、これは従来はなかなかこの辺が予算化するまでには熟しておりまんので、非常に残念で、はがゆかったのでありますが、やはり一般家庭、単に要保護家庭だけでなくて、一般家庭の児童につきましても不良化を防ぎ、逆に健全なあれを育てていくというために、児童遊園地あるいは児童館というようなものについて助成をして、これを奨励して参りたい。それから特別保育対策として、既設保育所及び新たに日雇い労働者の働いておりまする場所を中心に考えました保育所というものを考えて参りたい、かようなことを要求しておるわけであります。  それから最後のページに入りまして、民間の地域活動の育成は、これは厚生行政の中には、ただ国なり県なりが上から指導するというばかりじゃなしに、国民各自が手を取って、自分たちの力でこの衛生とか福祉の画を伸ばして行った方がかえって合理的であるというような面が多々あるわけでございまして、たとえば先ほど申し上げました結核の健康診断に対して協力する、まあ動員するというような面の協力あるいは母子保健あるいは蚊とハエとか、環境衛生、そういう面におきましては、その面が特に多いものでありまするから、これを一つ助成して参りたい。それを助成する仕方といたしまして、各町村に現在社会福祉協議会というのがございますが、これが実際は単なる社会福祉の面のみならず、衛生の面もあわせて広く活動しておるのでございまして、こういうものを中心にして、そういう地域活動を伸ばしていくような措置を講ずる。また、中央におきましても、そういうようなことを各関係のものが集まって推進していくような、その費用というものを大体現在考えておりますのは全国社会福祉協議会でございますか、それに対して費用を一元化するというようなものが六の施策でございます。金額はごく大ざっぱな金額でありますが、それによって考えておりまするところは相当遠大なことを考えておるつもりでございます。  それから七の行政機構の整備は、これはそこに書いてありますように、結核対策の抜本的な方途を講ずるというようなことでございまして、しかもそれは各省各団体とも打って一丸として全国的な規模においてこれを一元的に推進していきますような関係もございまして、現在の公衆衛生局及びその中に含まれております環境衛生部というものを改組いたしまして、公衆衛生局は予防局というふうに、まあこれは仮称でございますが、それから環境衛生部は独立して環境衛生局というふうにいたしまして、環境衛生適正化法ですか、ああいうようないろいろな問題が今後どんどん飛躍的にふえてくると予想せられまするので、それに応ずるような体制を整えたい。  なお、これに載っておりませんが、引揚援護局の機構につきましても、これは引揚対策との関連において少しの改正を加えたい、こういうような考えでやっております。大へんかけ足で申し上げましておわかりにくかった点も多々あったかと存じますけれども、一応概略を申し上げました。
  45. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記を落して下さい。   〔速記中止〕
  46. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
  47. 木下友敬

    木下友敬君 私は医療費の問題で少しお尋ねしたいのですが、今度厚生省が例の社会保険医療費の問題で出しておる甲乙の案から見まして八・五%上げれば二百十七億ふえるのだというようなことで非常に騒いでおりますがそれが予算面のどこかに出てこなければならないと思うのです。四ぺージのところで見ておりますと、政府管掌健康保険給付費財源繰り入れ六十一億とか、健康保険組合保険給費補助というものがございますが、三十億というようなものはもう三十一年の予算にももうすでに三十二年にも入っているし、あまりふえていない。私はこれを好意的に考えると、結核の治療費の方をよほど勉強しておられるからこっちのふえるべきものがふえておらないと思うのであって、医療費の足らない分は、今度は厚生省は非常に腹を見せて相当出すつもりをしておられる。予算面にはこれだけだけれども、結核のほかにも出すと、こういうふうに解釈してもいいのでしょうか。それとも相変らず出し惜しみをしておられるというようなことであるか。
  48. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) ごもっともな御質問なんでございますが、ただいま官房長から説明いたしましたのは、適正診断費をきめますことによる予算の増はここにございません。これは中央医療協議会の進行とにらみ合わせて、別途に予算を要求いたすつもりでございます。
  49. 木下友敬

    木下友敬君 そこで、中央社会保険医療協議会のことですが、あれをあそこへ詰問を出されてからずいぶん長くなったようですが、聞くところによると、ごたごたしてなかなか協議会が進んでいない。私は非常に心配にたえませんが、そう詳しいことは要りませんが、協議会の進行状態について一つ御報告を願いたいと思います。
  50. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 中央医療協議会はまことに残念なことには、非常にわき道の問題で紛糾いたしまして、本筋の医療適正診療費を決定する内容につきましてはなかなか入らなかった状況でございます。すでに試案につきまして、事務当局案につきましての説明は済みましたし、昨日ときょうはその内容についての御質疑が続行しておるような状況で、今後は会議が進捗するのではなかろうかという期待を持っておりますような次第でございます。
  51. 木下友敬

    木下友敬君 その大臣の言われるわき道ということについて少し御所見を伺いたいのですが、今そのわき道の問題でおもなるものは委員の構成についでごたごたしたということを聞き及んでおります。それは名前をあげますれば神崎委員のことでございますが、神崎委員が辞表と申しますか、辞任届を出したについて、大臣がじきじきにお会いになってこれを慰留されたということを言われております。これは事実だと私は考えるわけですが。
  52. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) わき道と申しましたのは、実は第一は、臨時医療保険審議会の日本医師会、歯科医師会の脱退につきまして、その問題から一つの審議が順調に行かないような状況でございます。次にはビラ並びにポスター等の問題から、また、その問題で審議が相当はばまれたようでございます。第三は、今お尋ねのような神崎委員の辞任に関しましての問題でございます。ごたごたいたしておる状況でございます。
  53. 木下友敬

    木下友敬君 その際、日本病院協会側と大臣とお会いになっていろいろお話の取りかわしがあっておりますが、そのお話内容について、後日のために覚書を書いてそして、取りかわされたと、なおかつ、これは否定はなさいますまいが、その覚書の写しは日本病院協会の方では各会員の方に配布しているという事実がございますが、大臣は御承知でしょうね。
  54. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私が神崎さん辞任について思いとどまって、委員としての任期期間中であり、そしてこういう重要な問題を審議の途中におきまして辞任されることは、はなはだ遺憾であるというので、神崎さんにぜひこの問題の審議を終るまで辞意を思いとどまっていただくように翻意方をお願いしましたことは事実であります。でその際に、神崎さんと病院協会の方々のおいでになりましたときにいろいろお話いたしましたのですが、実はそのプリントしたものは私見ておりませんが、しかし、私自身が申し上げたことが多分書いてあるし、それは両方で話し合いを記録としてお取りになるということは存じております。
  55. 木下友敬

    木下友敬君 そこで、私もそのプリントを読んでみますと、大臣がこういうことを言われたと書いてございます。「神崎さん、再考してくれませんか。協議会の委員には日本病院協会の人であるあなたがいるのは当然なんです。むしろ協議会の任務から見て日本病院協会を代表するあなたが欠けることはおかしいんです。あなたの委員としての任期はまだ残っていますから、任期中にやめられることは思いとどまって下さい。橋本さんも私の考えを御了解下さるなら神崎氏に翻意を勧めて下さい。というようなことを大臣は言った」と書いてあります。そして私がチェックするのは、「日本病院協会を代表するあなたの欠けることはおかしいんです。」と、こう言われた。その病院協会の代表がやめることはおかしいという考え方は、今でも大臣はそのように考えておかしいと考えておられるかどうかというのです。
  56. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) その書き方については、私案は立ち会っていないので何でありますが、全体として大体そのお考え方につきましては、私の言ったことと間達いないと思います。
  57. 木下友敬

    木下友敬君 なお、今度神崎氏はこういうことを一言っておる、この中に書いてあるのを見ますと、大臣のお活は協議会に日本病院協会の代表者がいるのは、その本質上当然だということをお認めになった上でのことであることがはっきりわかったから、お言葉に従って、自分の辞意を翻すのだと、こういうようなことを述べておられます。すなわち、病院協会の存在ということは、この協議会には絶対必要な条件である、本質的にそう考えるということを、大臣がさらにお認めになったということを、そういうことを自分はよくわかったから辞意はしないのだと、お言葉に従うのだということを神崎さんが言ったことを、この覚書に書いてある。すると、大臣は、さっそく私の頼みを聞いてくれてありがたい、こういうことがここで書いてある。私は厚生省はこの問題に関して、今後の方針として語録に残しておきたい、すなわちこれによりますと、これはこの覚書を基礎にしてお話するのですが、これによりますと、厚生省が、病院協会の代表者がこの協議会に不可欠のものであるということは、これは厚生省方針である、これは語録にとどめておくということを大臣ははっきり言ったということがここに書いてある。この方針を堅持していくのだということに関する大臣の所見を一つお聞きしておきたい。
  58. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私その記録自身に書いてありますこと、日体については、私自身として、今お読みになったところは確かにそうだと思っております。まだ実はその問題に関しては、お互いに話し合っておるときには、記録をとっておりませんが、とかくこのごろの私の会見したものが誤まり伝えられておるものが多うございますので、今まで話したところを両者の間でよく御相談の上、記録をお作りなさい、作っておきなさいということは申しておいたのであります。で、私はなるほど日本医師会の方が神崎さんを御推薦なさったのでありますが、日本医師会自身が病院協会のあの実態から考えて御推薦になったものであろうと、神崎さんのそもそもの推薦、最初の推薦はそれであったに相違ないということで、私としては当然のことと思った。従いまして、日本病院協会の代表者というものが推薦された人が、やはり日本医師会自体もお認めになって、神崎さんを御推薦になっているのだという考え方に立っております。で、今でもその考え方は変っておりません。
  59. 木下友敬

    木下友敬君 そこで、大臣の言葉として、こういうことも残っておるのです。「私ども考え方」というのは、大臣がおっしゃるのですよ。「私ども考え方はよくわかってもらえたと思う。私は日本医師会が正常の状態にあれば、こんなことはもっと円滑にいくはずだと思う。しかし、そのやり方があまり狭量であったり、間違っていたりすれば、それを認めるわけにはいかない。日本病院協会の立場は将来とも十分尊重する」こうでございますが、大臣医療協議会の委員の問題について、病院協会の立場を尊重すると、こう言われた意味、医療協議会の中での病院協会の立場の尊重ということは、どういうことを意味するのですか。
  60. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私は病院協会と申しますか、病院協会という一つの社団法人、それの希望する人が、中央医療協議会に出ているということは、希望すべき事柄だと思うのであります。その問題になりますと、いろいろ将来にまだ問題を残している問題がございます。実は最初は、私は、日本医師会の会長の武見さんに三度、おいでを願って御相談いたそうという懇請をいたしました。しかし、三度とも、私にお会いになる必要がないというふうな御返答でございましたので、私は日本病院協会の神崎氏と申しますか、むしろ現に中央医療協議会の委員である神崎氏というものが、理屈からいっても、また、実情からいっても、そのまま御留任なさるのが、辞意をなさらない方がいい。で、実はその問題につきましても、日本医師会長の武見氏と御相談も申し上げたいというので、三度も御懇請を申し上げましたが、おいでになりません以上は、私自身が委員の辞任をとどまっていただくことを、翻意を促すことは当然の責任だと、こういうふうに考えまして申し上げ、そういう事態を処理をいたしましたような次第でございます。
  61. 木下友敬

    木下友敬君 高田局長がおりませんが、高田局長の公開の席で上言ったことは、当然大臣責任であると思いますから、大臣からお答え願うわけですが、高田局長は、協議会の席でも、また、衆議院でも、協議会の委員というのは、推薦するまでは、おのおのの団体の利益代表であるけれども、もう委員になってしまってからは、これは公務員に準ずるものだ、であるから、すでに団体の利益代表ではないということを、はっきり言っておられるのでございますが、これはむろん大臣が、それはそうじゃないと言われることはない、高田局長と同じ御意見であろうと思いますが、そういうふうに推測してよろしゅうございますか。
  62. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私の解釈によると、この社会保険医療協議会の中央協議会は、御推薦は、十五条の三号に「医師、歯科医師及び薬剤師の利益を代表する委員六人」という、そうしてそれにつきましては、「第一項一第一号から第三号までの委員の任命は、各関係団体の推薦による」ということが規定されておるわけであります。しかし、それは手続としてそうでありますが、委員におなりになりましたときには、利益団体の利益だけに、主張だけに終始されては、中央医療協議会が公益と関係団体との人々の代表で構成されております以上、委員としては、その委員会においては、全体の議論をお考えになって、そうして物事の意見をご発表になるべき立場にある、必ずしも各団体の意見だけを、最初から最終まで御主張なさるならば、これは協議会の意味をなさないものであるというふうに考えております。
  63. 木下友敬

    木下友敬君 大臣はそこのところ非常に上手に言って、最初から終りまで利益を代表するような言い方はいかんのだと言って、ゆとりのあるようなことを言っておりますが、まあ高田局長考えはそうではなくて、推薦するまでは利益を代表する団体から出すのだけれども、もう出てからは準公務員だ、こういう考え、私はこれは非常に危ない考え方だと思う。この条文を見ましても、これは現在形なんですよ、今大臣も読みましたように「左に掲げる委員二十四人をもって組織する。」と言って「健康保険、船員保険及び国民健康保険保険者の利益を代表する委員」利益を代表する者が推薦されたというのでなくて、代表する委員である。現在形、文法上はね。代表した者からできた委員とは書いてない。そうすると、その委員は、委員の肩書を代表する委員であるということになる。これは法律の解釈もむろんそうで、もしそうじゃなくて、これはもう委員になってからは代表しないのだというような御意見だと、これはもう大へんなことなんだ。審議会とか一協議会というものを政府はたくさん作っているわけなんですが、そこの委員がみな何々の代表、何々の代表と、こうなっているのが、もう君たちは代表で来たけれども、ここへ来た以上はもうこの団体の代表ではない、そういう御意見であると、これはもう革新的な意見とか何とかというよりも、革命なんですよ。これはもう厚生省自体が大きな革命をわが国の行政に持ってこようとしている。これは政府全体の問題になってくるというふうに私は思うわけなんです。そこで、大臣は、非常に上手にそこを、一から十まで利益代表では困る、全体的な立場から議論をしなければならないと、こう言われた。それもわかるのです。しかし、私ははっきりここへ利益を代表する委員、さらに第四番目には、公益を代表する委員というように、こういうように四つのものが分けてある以上は、私はその委員は、団体の利益を代表するというのがほんとうだろうと思う。もう一度、大臣にこの点をはっきり示していただきたいと思います。
  64. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 確かに条文は今お読みになった通りであります。しかし、もう一つ考え願いたいことは、これは協議体でございます。その各種の利益を代表する委員が出て参りますが、その利益だけを代表しておっては、私は協議体にならないと思うのです。で、協議体で合議いたします以上は、委員は場合によれば、全体の論議に耳を傾けて、そうしてこれがいいのだというふうな意見を発表することは私は自由じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  65. 木下友敬

    木下友敬君 だんだん大臣の言われることを聞いていると、私の説に賛成のようで、意見に耳を傾けると言われるから、それはそうなんですよ。利益代表の者でも耳を傾けぬことはない。相手の言うことに耳を傾け、また、妥協すべきは妥協していくのですけれども、代表として代表する委員という現在形が使われている以上は、その委員は何々を代表する委員であるという資格はもうこれは堅持してもらわなければならない。私はそれを、どうしてももうここへ出てきた以上は、もう代表していないのだというようなお考えであると、これはもう重大問題であって、これはもっとそれをあくまでも主張されるということであれば、わが国の法律を徹底的に否定されるものであると私は考える。
  66. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 純正の法律解釈を私はここでしようとは思っていないのです。それは専門家にまかしたらいいのじゃないか。率直に申して、私のとった態度が法律違反だという御批判もあるようでありますが、しかし、それは、法律論は私は専門家にまかしたらよい。ただ私どもがこの法律、この法制から解釈いたしますところは、委員がその利益を代表する委員であるがゆえに、その団体の意見しか代表できないと考えることは、その協議体である一つの性質から見ますと、非常に間違いであるということだけは言い得るのじゃないか、こう思っております。
  67. 木下友敬

    木下友敬君 その点は、もういつまで、言いましても同じようなことでございますが、これはもう意見の対立のままこれを置きましょう。しかし、あくまでも私どもはこの法律の条文によらなければならぬのですから、はっきり利益を代表する委員と書いてある以上は、私の説がほんとうであるということを私は主張しておきます。   〔山下義信君、発言の許可を求む〕
  68. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと待ってて下さい。
  69. 木下友敬

    木下友敬君 なお、十五条、社会保険医療協議会の十五条の第四項ですか、そこには「第一項第一号から第三号までの委員の任命は、各関係団体の推薦によるものとする。」と、こう書いてあるのですね。これによりますと、この関係団体が推薦した者を、これは大臣がそれをごらんになって、そしてまあ取捨選択をなさるかどうか知りませんが、それを任命される、こういうことになると思うのですが、現在のこの中央協議会での関係団体というものは、何と何とが関係団体ということになったのでありますか。それの名前をあげて、一つ御指示を願いたい。
  70. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) もう少し——そうおっしゃらなくて、私は回りくどく御質問にならなくてもけっこうだと思いますが、従来は日本医師会の推薦というものによっておることは事実であります。  ただ私はこの際つけ加えておきたいことは、推薦をされた団体は少くとも委員の任期中はその委員に特別な問題が起らない限り、責任を負わるべきものであろうということを私は考えております。自分は推薦したのだから、朝に推薦をして、夕にやめていただくというような勝手な御推薦をなさるべきではなかろう。また、任期中について、委員がある種の事由で辞任を申し出たときに、私が、任期中はぜひ在任していただきたいということを懇請するのは当然でなかろうか、こういうふうに今でも思っております。
  71. 木下友敬

    木下友敬君 私は大臣が非常に曲げて、私が、その大臣が留任を勧めたことを責めているように取られて、そこを説明しておられるが、そうじゃないのです、私が言いますのは。この各関係団体においての推薦によるということが書いてございますが、これを第十五条第一項の第三号の「医師、歯科医師及び薬剤師の利益を代表する委員」と書いてある、この項と照らし合せて考えますと、この委員の構成は、医師の利益を代表する委員、歯科、医師の利益を代表する委員、薬剤師の利益を代表する委員であって、医療機関を代表する委員という項目はないわけなんです。そこをお尋ねするわけで、大臣は先ほどから病院協会の立場を尊重するか、監督者のあなたが、この協議会に欠けることはむしろそれは不自然だというようなことを言ったことを認めておられるが、病院協会の性格から申しますと、これは医師の代表じゃないわけです、法律的に見まして。ここには医療担当者の代表とは書いてない。医師の代表と書いてある。薬剤師の代表と書いてある。しかし、病院協会の性格というものは、決して医師を代表するものではなくて、病院という一つの診療機関、そこの院長の集まりである。いわばこれは機関の代表なんだ。ここを明確にしておいて、あとは、あなたが辞意を翻してくれと言われようと、どうしようと、それはいいけれども、お考えの根本に、どうしたってやはり大臣も役人の出だから、法律を自分から破っていくというようなことを——まだほかにもありますよ、あとで申しますが、あなたが法律を破っておることが、大きなことがあるのだけれども、こういうふうにはっきりともう条文に出ている法律を自分で破っていかれるということは、行政面においても非常に将来困った問題が起ってくると思う。  そこで私は特にこの点を、いかにあなたが辞任をとめたとか、とめないとか、そんなことはむしろその場の状態で、そういうことも起り得るものなんですけれども、法律を曲げるということは、これは断じて許されない。医師の代表をするものと書いてあるものを、医師の利益を代表する委員と書いてあるものを、あたかも医療機関を代表する委員がこの場合には不可欠だということを述べて、しかもこの考え方は、厚生省考えとして将来のために記録に残しておく、ここをあなたは押えられておるわけで、そういうことを厚生省の語録として残して、これが将来の厚生省方針だなんてことをそういうふうに言うてもろうたら、厚生省の行政組織はもう根本的に崩れてしまう。崩れませんか。
  72. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私、不幸にしてまだ今おっしゃったことに納得するわけにいかない。それは日本病院協会自身の性格についてはそうである。しかし、日本病院協会のお医者さんは、大体日本医師会のメンバーでもある、で、私はそのときにも申し上げたのでありますが、日本医師会病院協会の会長であります神崎さんを日本医師会はやはり役員として、そうしてこれを中央医療協議会にお出しになる、法律論は別にいたしまして、ともかくも両者が円満にいっている場合には、それが普通の状態じゃなかろうかというふうに私は考えます。そういうふうな状態でありますときに、当然そういう問題については紛糾が起らないで済む、それから病院協会自身も過般の声明の第四項におきまして、日本医師会とは密接なる連携をとるということを天下に声明していられるわけであります。私はそれははなはだ希望すべき状態であるということはその席上においても申し上げて、あなた方自身が、日本医師会とも協調なさるということは一つの、原則ではありませんかということは申し上げたのですが、法律違反を犯しているとは私は考えておりません。しかし、法律違反だとおっしゃられるのだったら、これは法律論をずっとやらなきゃなりませんので、むしろ私どもはあまりに法律論にとらわれるときにはかえって事柄が円満にいかないで、そうして将来に支障を残す場合がある、法律の本質論をするなら別問題でありますが、今のところ、私どもは全体が円満にいくことを政治家として当然希望すべきであるという観点に立って物事を処理いたしておりますので、法律論をわざと避けておるような次第でございます。
  73. 木下友敬

    木下友敬君 非常にそれはけっこうなことで、法律に詳しい方がわざと法律から逃げ回って歩かねばならぬというような発言をしばしばしてもらっては困ると思うので、確かにこれは医師の利益を代表するという条文がこの協議会の方にはっきりしている以上は、大臣はあくまでも病院協会の性格をよくお考えになった上で、これは医師の代表ではない、経営体の代表と見るのが一つの一番正しい見方なんです。相手が何かということを見ないでおいて、ただあなたの立場を尊重して、これを厚生省の記録に残すというようなことを言われる、しかもそれが、覚書となって配布されたことを考え、また、私は何を心配するか、法律にはこだわらぬで円満にいくように自分は方針をとっておるというお考えであれば、将来この協議会の委員をきめる場合にでも、やはり病院協会からも一人は入ってもらわなければ困る、二人は入ってもらわなければ困る、あるいは三人入ってもらわなければ困るというようなことも、そのための予防線のためにこれを記録に残しておく、厚生省はどうしても委員の中には病院を代表するものが必要だというようなことをまさかお考えになっていまいけれども、もしかそういう御伏線でこういう覚書が出た、あるいは言質をとられたというようなことがあると困るというので、私はこのことを念を押しておりますが、そこまでは大臣はよもや考えておられぬでしょうね。
  74. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私先ほどお読みになりました、日本医師会が普通の状態ならば、当然病院協会の人を医師会が御推薦になるだろう、そうしてそれが現に神崎さんにおいて現れれているのだ、私はこういうふうに考えております。
  75. 木下友敬

    木下友敬君 もう再び言ってもらいたくございませんが、日本医師会が正常な形にあればというのは、これは非常に抽象的なことですが、今医療協議会の方は非常に正常でない形なんです。日本医師会自体が正常な形でないというようなことを言われるのは、それは私は言い過ぎであると思うのです。日本医師会から来ておる代表がおる協議会の中がごたごたしておる、協議会がうまく運営されていないということは、これは正常でないかもわからぬ。石田労働大臣が労働組合をつかまえて正常なる労働組合でないということを、ああいう正常ということが非常に私は抽象的な言葉であると思っておるが、やはり同じ社労の中で、やはり厚生大臣がまた一つ医療団体をつかまえて正常な形であるとか、正常でないという、そういう定義を加えて非難をされるということは私はよくないと思うのです。しかし、これは別に、何ですよ、そういう正常であるとかないとか言われたことがどのように響いていくかということは別問題ですから、いやこの点が正常でないとか正常であるとかいう議論をなさるのならば、一つそれはどこが正常であるか、今からお話をお互いにやりたいと思いますが、別にこれは議論点が正常であるとかないとかということはっきりしますか。
  76. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私は率直に申して、今その問題に論議が入れば、中央医療協議会のせっかく軌道に乗りました審議というものに支障を来たすということは、中央医療協議会の委員の皆さんが御心配になっております。そういう意味から実はあまりまっ正面に組まないで、少し回りくどいことを申し上げたかもしれません。ただ日本医師会と私どもは、私自身は就任以来日本医師会との円満な協調も希望して参りました。しかし、私自身がおいでを願うという懇請すら退けられるというふうな事態は、まことに残念な事態だということだけ申し上げます。ただあまり正常でないとか正常であるとか、また、ここで論議いたしますと、もっと本筋——本筋と言っちゃ申しわけありませんが、私としては本筋で、今一番最大の問題が、何としても適正な医療費をきめよう、そうして国民の幸福をはかりたいという大目的がございますので、いましばらくそれらについてはっきりした御返事と申しますか、そういうことを質疑の間においてさらに紛糾を来たすということは希望すべきでないと思いますので、この程度で御了承願えればけっこうだと思います。御了承願えなければやむを得ませんが、御了承願えるのなら、この程度でこの問題については私の答弁を御了解願いたいと、こう思っております。
  77. 木下友敬

    木下友敬君 ただ一言つけ加えておきたいのですが、こういう場合には、たとえば日本医師会の立場あるいは厚生省の立場、両方からいろいろのことが放送されておるわけです。たとえば、今大臣が武見会長に会いたいと思ったから再三面会を求めたけれども会えなかった、応じなかった、今度は日本医師会で出しておるのを見ると、どうも厚生省では会うと言ったから用意したけれども、どうしても会う段階に機会を作ってくれなかったということをまた言っている。しかし、それは、厚生省が日本医師会よりか非常に権威のある省ですからといって直ちに厚生省の言い分だけを正しいともとれないので両方の言い分を公平に見なければならぬと思うのです。それをここでどっちがどうだったということをきめることは、非常に困難であるし、そういうことは言わない方がいいと思う。再三言ったけれども、来てくれなかったとかということは、お互いが言い得ることだから、ここでは水かけ論になることは話し合いにしない方がいい。ただ私が申し上げて、最後に私の希望を述べておきたいのは、厚生省としては、どうしても法律だけはまあ常識で考え得る範囲においては守ってもらいたい。純粋な法律論は別としても、はっきりしろうとでもわかるように書いてあるこの法律については、それだけは一つ納得のいく点で発言もしてもらいたいと思うのでございまして、今協議会の中において、病院協会の立場を尊重するというようなことを将来まで記録に残しておくというようなことは、これは大きな行き過ぎであったということをわれわれは感ずるわけなんです。社会労働委員として、私はそういうことを感ずる。この点を私は重ねて御注意を申し上げて、私の質疑を打ち切ります。
  78. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 今の問題に関連をして二、三お聞きしたいのです。今大臣は、せっかく医療協議会が軌道に乗ったときだから、あまり具体的なことを言って刺激にならないようにという配慮から御答弁なさっておるについて、細心の注意を払って大臣はおやりになっておると思いますが、その点の中に、大臣が認識を欠いておられる点があるのではなかろうかと思われる点があると思いますので、その点だけを申し上げておきます。  それは病院協会というものが、先ほど木下委員がおっしゃったように、経営団体でありまして、病院協会員は医師だけではないのです。医師でない庶務課長とか、会計課長とか、何といいますか、医師でない人がやはり病院協会の会員であるわけです。従いまして、病院協会というのは医師の利益を代表しているものではない。たまたま神崎さんは医者であって、これは期せずしていいわけなんですが、病院協会を、既成事実として今後医療協議会の委員に置くがごとき結果になるような覚書なり表現は、私はこれは非常に危険だろうと思う。ですから、病院協会というものの性格を少し誤解なさっておるという点が一つであるのと、それから十五条の解釈については法律論ですから、もう論議なさっても……私はあえてこれ以上は言いませんが、ただ政府のほかのいろいろな審議会などの委員の推薦の条文には、何々の利益を代表するというような条文による委員の構成もありますし、そうでなしに、委員の数だけできめてある法律もあるわけなのです。特に医師、歯科医師等の利益を代表するとか、あるいは保険者の利益を代表するということは、あくまでもやはり所属団体の利益を代表しなければならないと思うのです。ただそういう委員会等における論議においては、相手の意見ももちろん聞かなければならないと思うのですが、究極においては、やはり専門知識をそこに吐露して、その利益を代表さすということでなければならないと思うのです。そうすると、病院協会というものは、医師の利益代表ではないということは自明の理になってくるわけです。ですから今回の場合は、先ほど大臣がおっしゃったように、一たん団体が推薦した場合には、正常なる場合においては任期中やめさすということはおかしいし、また、一身上の理由でやめるという場合には、大臣が慰留なさるということも私はいいと思うのですが、今回の病院協会に関連をしてこれを考えると、厚生省希望しておられる幹事案を支持する神崎さんを慰留したという結果になるわけです。これはすなおに今大臣のおっしゃった答弁をそのまま受け取るということは私はしにくいと思うのです。そうした点で、今後これが既成事実になることを私はおそれるわけですが、大臣どう思いますか。病院協会に対して、医師の代表であるという建前をおとりになさるのか、あるいは法律改正をなさって、今後病院協会を委員に入れるというところまでいかれるのか、その点をはっきりお聞きしたいと思います。
  79. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私、日本病院協会の法人としての定款も読みましたので、性格は了承しておるつもりでございます。  それから今の二段のお話は法律論に入ってくると思うのです。で、少くともまあ神崎さんは委員でございまして任期中でございますから、それが任期中の期間を勤めると翻意されることは非常にすなおな形であるということは言い得ると思う。率直に申してこれは協議会でございます。で、今おっしゃいましたように、各方面の利益を代表する委員でありますが、協議会になれば、これは協議会の委員として全体をどう持っていくかということをさらにお考えになる立場は必ずある。ただもう自分の、推薦した団体の意思には少しも反しちゃいけないというふうな考え方では協議会が成立いたしません。だから、協議会自身一つの合議体で、そうしてそこでもって一つの意見をまとめていこうとする以上は、当然その利益を代表する母体から推薦されましても、その全体をお考えになって、そうして議論をなさるということは当然あり得ることじゃなかろうかと思います。それでなければ何のために協議会を作っているのか私はちょっとわからないと思うのであります。そこで法律論が起って参るのですが、この問題は、あまり法律論は——もし私にここで法律論をやれとおっしゃれば別でありますが、実際のところ、今非常に御承知通り、せっかく審議に入ったとたんでございますので、将来にもしもお答えしなければならぬならば、この段階でお答えすることだけは少し遠慮したいと、こういうように考えております。で現在、中央医療協議会の委員も、この問題の法律解釈はともかくとして、審議に入ろうといって、寛容の何と申しますか、態度を持して審議に入っているときに、せっかく委員がそうしているときに、今度はここで委員会で法律論をお互いに戦わし合ってそうしてまた紛糾するということは私は政治家としては希望いたしません。どうぞそういう意味において御了承願いたいと思います。
  80. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 よく御趣旨はわかりました。ただ最後に、私この問題についての最後の質問として申し上げておきたいことは、この協議会はあくまでも協議会法に書いてあるように、診療報酬をきめる目的なんですね。ほかの審議会と違いまして、多方面のことを審議するのじゃなくて、中央社会保険医療協議会というのは医療報酬金をきめる協議会なんです。従いまして、利益を代表する意味が非常に強いということを私申し上げておきたいことと、もう一つは、今の御発言の中に推薦団体意向に対して少しは反対のことを言うてもいいだろうという意味のことがあったのですが、これは少しじゃないのです。全般的に反対のことを言うているのだから、推薦団体が不満に思ったのも当然なんです。この二点だけは申し上げまして、もうこれ以上は申し上げませんが、われわれの申し上げたいのはこれなんです。医療保険協議会というのは医療報酬金をきめるだけの目的なんですから、当然所属団体は最大の関心を持っているわけです。まあそれだけでけっこうです。
  81. 山下義信

    ○山下義信君 関連して。私はこの問題を今この段階で論議してもらいたくない、こういう厚生大臣気持はわかりますが、あるいは政治には御協力、そういうことで申し上げてもいいと思いますが、しかし、事態はどっかで明確にしておかなければならぬと私は思うのです。それで法律解釈論はすべきじゃないとかどうとかいうことでなくして、やはり一つの法の解釈の上に基いて運用なさる、まあ運用なさったのですから、どういう見解のもとにこういう行動をとったかということは明確にしておかれませんと、同僚諸君からせっかく御発言のありましたように、もろもろのかくのごとき団体推薦委員のあり方というものが非常に大きな影響がありますから、厚生省のこのたびとられた措置というものは、この段階において特殊の事情のもとにとられた措置ではあるのですけれども、これがいわゆる普遍妥当な措置であるかどうかということは明確にしておかなければならぬ。あるいは異例の措置である。非常に広い法の解釈、あるいは運用の幅を考えてその間にしたことであって、直ちに法律違反ではないけれども異例な措置であって、これがすべて一般に適用されるようなやり方とは考えられないという見地に立つのか、あるいはいつでもこの解釈で、厚生省だけじゃなく、また、厚生省のとった措置がすべて一般政府部内で、かくのごとき協議会の委員のあり方についてはこれが適用されるのだ、これが大手を振って通るのだという見解に厚生省は、また、政府全体も立つのかということは明確にしておかなければならない。これはささたる字句の末に走る法律論でなくして、その医療協議会法の、全体の法の精神からどう解釈していくか、今回の厚生省のとった措置は妥当であるかどうであるかということは、国会としても明確にしておかなければならぬと私は思う。この場を除いてほかにこのことを明確にする場所はないのですから、これ以外に議論してくれと、先ほどそういうような意味のお言葉があったが、ここで議論しなければどこで議論するか、ここしか、国会しか明確にする場所はないのですから、明確にしておかなければならない。これはただ単に法律論でなくして、政治論もそれに加わっておるのですから、ここで明確にしておかなければ、私はならぬと思う。ただ今日のこの段階で、せっかく医療協議会が軌道に乗って、この問題をふせて一歩前進して進みつつあるのだから、その方に影響するからしばらくこの字句については考慮をしていただきたいという解釈でおっしゃるのならば、あるいはそれの事情を了とするにやぶさかではありませんけれども、このまま私はうやむやに厚生省のとられた解釈並びにこの態度を、それでいいかどうかという論議はほうかぶりのままで通るということはできないと思う。そこで、私は適当な機会にこのことについて事態を明確にしなきゃならぬということを保留したいと思う。  それで要求しておきますが、私は厚生省は法の解釈をどういうふうに考えて、そしてこのたびとった厚生大臣の措置の妥当性は、どういう見地に立ったのであるかということを簡潔にしたためて、書面として当委員会に資料として御提出を願いたいと思う。私もいささかの疑義がある。たとえば先刻各種の団体は自分の利益だけ言ってもらっちゃ困る。全体のことを言ってもらわなければ因る。お気持はわかる。しかし、各種の利益を代表する委員であって、協議会というものは、各種のそれぞれの分野の利益のみを主張してよろしいのである。その各種の団体の利害得失論に耳を傾けるのが協議会だ。各種の団体の代表者が一般のことを言っておったんじゃ各種の団体を代表した価値は少しもない。それぞれの団体で片寄った意見を言うてよろしい。それぞれ異なった、利害得失を異にする団体が集まって、そうしておのおのの意見を開陳するのが協議会である。その異なった意見をそれぞれお聞きになったらそれでよろしい。何もそれが一致しなくても、一致してもよろしいし、一致しなくても、あなたにとっては非常に有益な意見になる。この各種の団体がおのれの団体の意見を言わなくて、ほかのことを言っておったのでは、それぞれの団体を代表して出たかいがない。協議会の性格からいろいろ考えて、また、その所定の法律の考えておる考え方その他を厚生省がどういうふうに考えて私どもは多少の運用の幅は認めます、事情を了とするところもあります、一片の法律論のみによって終始しよう、断を下そうとは思いません。しかしながら、このたびおとりになった措置のこの事態はあとに尾を引きます。いろいろに関連がありますから、国会としては、重要な問題としてよく検討しておかなければいけないと思いますから、私は厚生省の所見をここでいろいろそれぞれの言葉じりをつかまえてやっておったのではいけませんから、厚生省の見解を明確に書面にしたためて当委員会に御提出を願って、私どもも十分研究して、適当な段階であらためて御所信を私は承わりたいと思っております。保留しておきます。
  82. 片岡文重

    ○片岡文重君 大臣にちょっとお尋ねするのですが……。
  83. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  84. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。  短時間にして下さい。
  85. 片岡文重

    ○片岡文重君 大臣にきわめて簡単にお伺いしますから、簡単に御答弁いただいてけっこうです。  前国会の終りであったと記憶しますが、前大臣の神田さんにお願いを申し上げて、この了解を得ておる問題でありますが、それは精神薄弱児の収容施設についてであります。三十二年度に初めて百名の定員を持つ収容施設国立で作ってくれました。これは全国十万に近い重精薄弱児の収容施設でありますから、全国で百名程度では焼け石に水にもならない。そこで三十二年度を基準として、年々これは作っていくと、しかもこれについては百名程度の収容施設だけでない、総合的な対策を立てて、その一環としてこれもやっていくという意味のお約束をなさっておる。ところが、今これを拝見すると、また、先ほどの御説明を伺っていると、そういう点については触れておられないが、これには触れておられなくても、この約束は履行されるのか、あるいはこれは三十二年度限りで、三十三年度にはもうこの重精薄弱児の収容施設は作らないというのであるか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  86. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 精薄児に対する施設をやらないのかとおっしゃいますと、やるつもりでおります。年次計画によって将来この点を整備して参りたい。ただこの際お断わりいたしておきますのは、ただいま説明いたしましたのでもおわかり下さいますように、千五百億に上る予算要求でございます。そのほかに、別個に予算として交渉しなければならぬ問題もあるというふうな情勢でございますので、御期待に沿い得るような十分何をここに三十三年度の予算に計上できなかったということは、言い得ると思うのです。ことに精薄児につきましては、片岡さんの熱心な御主張によりまして、将来の方向としてはきまっておるのでありますか、実態調査をもう少しやって、適切な施設をやって参りたい、こういう考えを持っておるような次第でございますので、その調査の結果によってはさらに考えなければならぬと、こういうふうに考えております。
  87. 片岡文重

    ○片岡文重君 ちょっと声がかすれてわからなかったのですが、三十三年度も続けて作って下さるのですか、下さらないのですか、イエスかノーかはっきり言っていただきたいのです。
  88. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) 国立の精神薄弱児施設については、三十三年度におきましては、一新たなる施設を作るための予算は要求いたしておりません。ただ、今大臣からお話申し上げられましたように、精神薄弱児の実態について調査をするための予算を要求いたしておりまして、この調査の結果に基いて、さらに計画を緻密にして、三十四年度以降について検討いたしたい、かように考えます。
  89. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  90. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。
  91. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 実は私神田さんのお約束になったのをやるだけで、もったりしているわけなんですが、今片岡さんのお話のように、決してこの問題は私なおざりにするつもりはございません。でありまするから、同じ重要な方向で努力はいたします。
  92. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  93. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。  午前中はこれにて休憩いたします。午後は二時から再開いたします。    午後一時十三分休憩      —————・—————    午後二時三十三分開会
  94. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。午前に引き続き、一般厚生問題に対する質疑を願います。  なお、政府側委員といたしましては、政務次官、官房長、公衆衛生局長医務局長、保険局次長、児童局長が見えておりますので、お含みの上、御質問願います、
  95. 片岡文重

    ○片岡文重君 児童局長一つお伺いいたしますが、今度初めて設置されることになりました国立精神薄弱児の収容施設のその後の進捗状況、敷地がどこにきまって、建設工事はどの程度に進んでおるのか、それから職員はもう決定しておるかどうか、それから業務開始は、大体いつごろからできる見込みか、こういうような点を一つ説明いただきたいと思います。
  96. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) お答え申し上げます。三十二年度の予算設立することになりました国立の精神薄弱児施設は、まあ重度の精神薄弱児を収容します初めてのいわば経験でありますし、これが土地の選定につきましては、いろいろな見地から検討いたしますし、また、専門の方々の御意見も十分拝聴いたしまして、数個の候補地のうちから、埼玉県の所沢市にありました、元の陸軍航空学校の分校の用地、約三万坪の国有地を適当と認めまして、そこに一応決定をいたしておる次第でございます。それで、これは国有地でございまして、従来ほかの用途に充てるような話もありましたし、まあそれらの関係を調整をし、あるいはその国有地を、今申し上げました施設の用に転換をするためのいろいろな手続、その他いまだ完了はいたしておりませんけれども、進めておる次第でございます。それらの関係で多少手間どりましたので、予期いたしましたのよりも、全体の準備が多少おくれがちになっておることは大へん残念に思っておりますけれども、そういう事情でございます。まあそういうわけで、これが敷地にどういうような建物をどういうふうに配置をし、内部の構造をどうするのかということにつきましては、従来の経験等も徴しまして、慎重に考える必要がございますので、専門家の意見等も徴しまして、現在それらのところを検討中でございます。従いまして、いまだ工事に着手する段階までは至っておりませんが、時期も非常に切迫いたしておりますので、その辺の準備を促進をいたしておる次第でございます。  それからただいまお話の人事の問題につきましては、実は人件費は来年の一月からの予算になっておりますので、現在それらの費用もありませんし、準備の関係もさようでございますので、これらの人選につきましては、現在まだ最終的には決定いたしておりませんで、長その他の人事を鋭意考究中でございます。この一番問題は、長にその人を得るということが、一番これは大切なことでありますので、それらに実は現在非常な苦慮をいたしておるような次第でございます。さようなわけで、一応来年の一月から開設するというふうに、予算的にはなっておりますけれども、今申し上げましたいろいろな事情から、多少その辺はおくれる見込みでございますけれども、なるべく早く、すみやかに現実に児童を収容できますように努力いたしておる次第でございます。
  97. 片岡文重

    ○片岡文重君 業務開始の見込みは、予算でも一月からということになっておったようでありますが、そうすると、今の御説明では、一月からの業務開始は、ちょっと困難のように伺ったのですが、しかも今まだ建設工事、つまり建物の工事にもかかっておらないというと、一月にできないばかりでなしに、年度内にどうかということも危惧されるんですが、この点はどうなんですか。
  98. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) まあ私ども気持としては、一月ということには、もうこれは現実間に合わないこと確実であると思いますが、まあそれを隔たることあまり遠からぬ機会に、なるべく早く設けたいと思っておりますけれども、しかし、いわば初めてこういう重度の精薄児だけを集める施設でございますし、建物の配置、それから建て方、それらは十分やはり慎重に考えませんというと、将来児童の処遇、その他に手落ち等がありましては大へん残念でございますので、まあ竣工を急ぐことは当然でありますけれども、しかし、一面十分慎重に考えて、手落ちがないように、その辺を気をつけて参りたいというような気持でございます。
  99. 片岡文重

    ○片岡文重君 かりに一月に業務開始はできないとしても、すでに収容児童の選考方法、選考基準といいますかね、それから収容児の範囲といいますか、範囲という意はこれは知能指数の程度と、それから地理的にどの程度の範囲にその選考を及ぼすのか、そういう点について、もしきまっておったら、一つ聞かしていただきたいと思います。
  100. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) 収容いたしまする児童は、知能指数二十五以下の、いわゆる白痴児及び盲ろうあと精薄とのダブルになっている者というようなことになっている次第でございます。  地域全国から大体そういう該当者をいれるような考えにいたしております。しかして、今申し上げましような範疇の児童というのにつきましても、これは相当に数が多いわけでございまして、そのうちからどういう順序でどう選ぶかということにつきましては、この前片岡先生からもるるお話がございましたように、現地の児童相談所、あるいは県の児童課長等はずいぶん苦労をすることであることは、これは言うまでもございません。これらの選定の具体的な割当というところにはまだ至っておりませんが、それらの点を含んで心組みをいたしますように、そういうような、点を十分通牒、あるいは会議等の機会に申し伝えて、心組みをさしているような状況でございます。
  101. 片岡文重

    ○片岡文重君 かりにこれを二月から——二月の終りから開始するにしても、あと残すところは十二、一、二の三カ月です。しかもこれは全国から収容するということになると、大体十万近い数が予想されているのに百名しかない。で、収容を希望する者は相当多く、従って、競争は激烈になる。それに対して、まだ選考の基準、範囲等が心組の程度にしかできておらぬということでは、業務開始の受け入れ態勢はできても、収容児の方がきまらないという事態にもなるのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうなんですか。
  102. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) お話のように、抽象的に言えば該当児は相当な数ございますか、現実の問題として、第一回に収容する者としましては、私ども考え方としては、現在地方の精神薄弱児施設にこれは相当数の精神薄弱児が入っております。それで今まではこういった国立の精神薄弱児施設がありませんために、地方の精神薄弱児施設に各段階の精神薄弱児が、いわば込み入っていることになっているわけでございます。従いまして、そのうちのこの地方の精神薄弱児施設に入っておりますうちでの、いわゆる重度のそういう者を第一次の目標にして、一面においてはこの地方の精神薄弱児施設というものと、それから国立施設とのある程度の分類収容と申しますか、そういったことに資したいというふうな考えもございます、行く行くは今お話のように——行く行くはと申しますか、それらの進行状況とにらみ合せて、在野の重度の精神薄弱児の問題は、これは当然手をつけていくべきことは言うまでもございませんが、さしあたっての問題としてはさように考えておりますので、従いまして、これが選定につきましては、在野のうちから探してこれを選択をするというのよりも、時間的には相当短かい期間に選択が可能だと、かように考えるような次第であります。
  103. 片岡文重

    ○片岡文重君 ちょっと委員長にお尋ねしますが、厚生次官は午後からお越し——今見えたのだが、いなくなっちゃったのだが、これは出席されるのですか。
  104. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記を落して下さい。   〔速記中止〕
  105. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
  106. 片岡文重

    ○片岡文重君 在野の者よりも、現在地方施設に収容されておる者の中から、かつその中で重度の者を収容するということになるようなお話ですが、そうすると、今在野の者は選考に困難だからこいうことでそういうことになったのだろうと思うのですが、現在収容されている者は、すでに今までもそれだけの恩恵に浴しているわけである、たとえ地方施設であっても。でおそらく今日それ以外の者でも、この地方施設に収容されることを希望しておって、なおかつできなかった者が、またここで放置されるということになる。さっき大臣の話では、三十三年度の予算には計上されておらないように伺ったのですが、すると、前途ははなはだ在野の子供たちにとっては暗いものに私はなると思うのですが、これらの救済についてはやはり考えておられるのですか。
  107. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) まあ地方の精神薄弱児施設から国立の方に移しますれば、その空席というものは当然これはその地方の在野の精神薄弱児をもって充当をするということになるわけでございますので、結果としてはまあ数の上においてプラスということになるわけでございます。  なお、ここで午前中に申すべき筋であったと思うのでございますが、申し落したのでございますが、国立の精神薄弱児の施設の増設につきましては、これは三十三年度の予算に要求をいたしておりませんこと、申し上げた通りでございますけれども、一般の精神薄弱児施設、これらの整備増加ということにつきましては、前国会における片岡先生の非常に強い御発言の次第もありまして、さしあたって、ことしからいわゆる第一次一五カ年計画を進めるというような考え方のもとに、精神薄弱児施設及び精神薄弱児の通園施設及び職業補導の施設、これらについて従来よりももっとスピードを早めて整備充実していくための予算を要求をいたしておる次第でございます。
  108. 片岡文重

    ○片岡文重君 今後の方針については、また今続いて御質問申し上げるつもりであったのですが、それではただいまちょっと御説明もあったようですから、伺いますが、その年次計画の具体的な決定したものでなくとも、児童局の案でも、もちろん厚生省として決定をした案があればなおけっこうですが、大ざっぱに言ってもけっこうですが、大体の構想をお持ちになっておるのならばお聞かせをいただきたいと思います。  で、特に今のお話の五カ年計画でやるということであるならば、本三十三年度が第一年度となるわけです。だからその第一年度においてどの程度のことをなさるおつもりなのか。
  109. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) 午前中にお話申し上げましたように、精神薄弱児の実態というものが正確にいたされておりませんので、従って、正確な実態に基いて具体的な計画を進めるということには、まだ至っていないわけでございます。しかも二面だんだんお話がありますように、精神薄弱児の数というものが、現在の収容力その他と比べてみますと、格段に開いております現実に照らしまして、これをきわめて急速に解決するということは、なかなか困難なことでございます。それらの観点から来年度の予算要求としまして、精神薄弱児の実態調査をいたすように約三百五十万円の予算を要求いたしておるのでございますが、それらの結果によりまして、さらに計画をもっと確実なものにし、それに基いて推進をして参る、そういうふうな考え方でございますが、来年度におきましては、そういうわけで、これだけやれば精神薄弱児は全部収容できるというところまでは、これはなかなか行きつけないわけでございますが、大体従来この施設整備その他をやって参りました。これは国の事情もございますが、同時に地方の事情もございますので、これらとあまりにかけ離れた計画を立てましても、結局架空の計画ということになりますので、大体考え方としては、今までの大体二倍程度のものを要求をするということに結果としてはなっておるわけでございます。そこで、精神薄弱児の収容施設につきましては、設備費の補助金として新設八カ所、増改築二十二カ所というような要求を出しておりまして、そのための収容力の増が大体千百になるわけでございます。これは従来の大体の伸びは半分以下で、ございまして、それから精神溝弱児の通園施設につきましては、来年度十四カ所を要求をするということにいたしておるのでございます。これも大体今までは六カ所ないし七カ所でございましたので、大体その二倍見当、それから職業補導の設備につきましては、二十四カ所を要求をする、そういうような要求をいたしておるのでございます。もちろんこれらは計画を進めていきましても、現在在野の精神薄弱児を収容あるいは世話をするには、なかなかほど遠い。完全にこれらをカバーするにはほど遠いことは言うまでもございませんし、その点から先生かねがねの御意向からすればあまりにも小さい数字じゃないかというふうなおしかりを受けるであろうことは十分私ども考えるのでございますけれども、現実の問題としまして、これは地方の受け入れということもございますし、また、予算全体との関係ということもございますし、まず実効的な要求の仕方としてはこの辺が妥当ではないだろうか、かような見解のもとにこういうような要求をいたしている次第でございます。
  110. 片岡文重

    ○片岡文重君 今までの状況からすれば非常に御努力をしておって下さることは十分私も認めるにやぶさかではありませんが、何といっても、いわばアンダー・ドッグの階層にあたるこれらの諸君ですから、できるだけ多くの収容力あるいは施設をできるだけ早く作ってもらうということが痛切に私の希望しているところなんですが、大体二倍程度の収容力になるという今お話しのようでしたけれども、実態調査を進めていかれることもけっこうですし、これがなければいけないでしょうが、しかし、現在の実態調査をした結果、少くとも百名もしくは二百名程度施設をさらに一カ所、二カ所作っていっても、実態調査の結果これがあきものになってしまったというようなことには私は絶対にならぬと思うんですが、実態調査を進められる一方、この施設は、特に三十二年度に計上された額は五千七百万円あまりで、六千万円には足らない金額です。従って、予算全体の上からいってもそう困難な金額では私はないと思うんですが、さらに少くとも大阪あたり、あるいは北九州あたりに一カ所作るべくさらに努力をいたしてほしいと私思うんですが、これは全然見込みのないことですか。
  111. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) 国立の精神薄弱児施設につきましては、ただいまお話しがありましたように、百人、二百人の収容力を持ったものを三つ、四つかりに作ってみたところで、それはなおほど遠いわけでございますから、実態調査とは別個の立場でそういうものを予算を要求すべきではないかというお説はまことにごもっともでございます。私ども考え方としましては、それはまさしくそうでございますけれども一つは、そういう重度の精神瀞弱児だけを集めてやる施設というのは初めての経験でございまして、これは考えるだけでもむずかしいこの施設、子供の世話について手抜かりなくやっていくということについては非常な苦心とそれから努力を要することでございますし、いわば未知の分野に踏み込むような格好のものでございますので、従いまして、一には一つ今度できます施設について、少くとも一年ぐらいはそれらの経験というものを十分いたしてみまして、その経験を基礎にして具体的なやり方計画の仕方、それらについて将来の方途をきめていくというようなことが、やはり慎重にして妥当な行き方ではないだろうかということが一つと、それからこれはまあ予算要求の技術士の問題だと思うのでございますが、それらの条件ともにらみ合わして、その状態においてさらにもう一カ所というようなことが実践上の問題としていかがであろうかというような点も考慮いたしますし、まあどちらかといいますというと、もう少ししっかりしたデータに基いて、確信のある態度で進む、そういう態勢のために何としても三十三年度はむしろこの点よりも一般の精薄児の施設、そっちの方に重点をおいていくことが予算の要求上は賢明な措置ではなかろうか。この辺は、これは見方の相違、考え方の相違だと思うのでございますけれども、私どもの従来におきまする経験を基礎にして考えましてかような措置を講じた次第でございます。今後また、お話しのような趣旨に沿いまして、一般の施設のみならず、国立施設、精薄児全般の対策については十分熱意と努力を傾けて参りたいと考えておる次第でごいます。
  112. 片岡文重

    ○片岡文重君 局長の御説明は私は了解するにこれはやぶさかではありません。ただ国立収容所は、三十二年度にできるのは重精薄なんですね。これを私が引き続いて作ってほしいというのは、この重精薄の範囲に限られて話しを進めておるわけなんです。従って、精薄児全体に対する施設を、公私国立等によってできるところから、経営者といいますか、建設者のいかんにかかわらず、とにかく収容範囲を広げていくということについては十分努力しておることですし、今後もまたやっていかなければならぬが、その中でも重精薄の諸君は、これはかかえておる家族の者にとっても、このために生活が成り立たない場合も非常に多いのですから、こういうものを、まず私はこういうところから先に収容して、だんだん軽い方に及ぼしていくと、こういうやり力の方が、まあさっき見解が違うだろうとおっしゃったけれども、全くそういう点では、私は重い方から軽い方にだんだん手を伸ばしていくというやり方でやってほしい。そういう意味から、どうしても三十二年度を第一歩として、引き続き実態調査を進められる一方、この重精薄の収容施設は毎年一カ所づつでも二カ所づつでもふやしていってほしいと、こういうことを強く要望しておるわけです。大臣もおられぬし、政務次官もおられぬようですから、これ以上局長にお尋ねしても、局長としてお答え下さる限界があろうと思いますから、この点については、次官なり大臣が見えてからさらに強く要望申し上げまして、一応この点についての質問を打ち切ります。
  113. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は国民健康保険の問題について少し聞きたいと思うのです。担当はどこでございましょうか。
  114. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 保険局次長が見えております。
  115. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 国民健康保険は今度改正案を出されておりますし、私も国民健康保険、政府が盛んに皆保険と言いますから、実際にこれは名実ともに皆保険をやってもらいたいと思ってだいぶ回って参りました。ところが、なかなか今の国民健康保険会計といいますか、やっている実態というものはやはり苦しいもので、市町村財政が非常に多額な負担をしておる模範的だといわれるところへ行ってみると、なるほどその面は黒のような格好ですけれども診療所その他に非常にたくさんの出費をやって、これが町村財政にかかっている、こういうことでありますので、今度の、今ちょっと伺ったのですけれども、事務費を少しふやされるということだけで、この国民健康保険が正常な形にほんとうに苦保険の名実ともにコースの中でいけるのがどうかということがまず第一に不安になったのです。厚生省はどういう工合にお考たになっておるのでしょうか、これをお立てになるとき……。
  116. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先生仰せのように、現在実施されておりまする国民健康保険でも、財政難のために大へん芳しい状態に置かれておりますものがかなり見受けられておる状況でございます。現在実施しておらないところは、これ以上むずかしい条件に置かれると思わなければならぬ。その意味におきまして現在実施しておりますところが当面しておるような問題は、当然今後開始する市町村については一そう考慮しておかなければいかぬ、こういうような点につきましては、私どもも全く同一の問題を感じております。  現状をごく大づかみに申し上げますと、確かに全体を見渡しまして、現在の国民健康保険につきまして、かなり苦しい状態が見受けられておるのでございますが、それを内容に立ち入って調べてみますというと、そのような苦しい状態を導いておりまする原因が二つあるようでございます。一つは事務費のために相当の出費を市町村自体がさせられているということでございます。これはすでに御存じのように、元来国民健康保険の実施に必要な事務費は、全額国が負担すべき建前のものでございますが、毎年組んでおりまする予算及び基準といたしております金額が、実際に必要といたします金額に及びませんために、やむを得ず実施しております市町村がこれをしょい込んでいる、このような状況になっております。昨年、被保険者一人当りにいたしまして、それまで六十七円でありましたものを八十五円に引き上げましたので、この点からくるいわばマイナスの因子はかなり減って参ったということは、私ども感じているのでございますが、それでも実際に調べてみました金額を比べてみますと、相当な隔たりがある。見方については、私ども関係省との間にまだかなりの意見の違いがありまするので、一がいには申せませんけれども、私どもは現状から見るならば、被保険者一人当りに面して百十五円程度組まないと、この面からくる赤字の要因は除き切れない、かように考えておりますので、これをやって参る、かように考えております。  それからもう一つ赤字を招いておりまする理由は、やや関係のあることでございますが、一つは比較的早く国民健康保険のスタートをいたしました町村におきまして、いろいろの事情からいたしまして、保険料、保険税のきめ方はやや低きに過ぎた、これは金額できめておりまするので、その後におきまして市町村民の所得が上昇いたしましても、それに応じた増収が保険料の面からは得られない。一方支出の面では療養給付費は年々受診率の向上というようなことでふえて参ります。かようなことで、どうも一口に申しますというと、取るべき保険料なり保険税を十分に取りきっていないということと、もう一つは、実際問題として、どうも被用者保険の方で比較的所得の安定した層をいわば先食いしておりまするために、残された市町村民の人々の中にはどうも比較的所得の低い人が多い。こんなことが現在国民健康保険経営を苦しくしている原因でございます。それでこれを解決いたしますためには、仰せのように、どうしても給付費に対する国の負担をふやすという道をとらなれけばならぬわけでございますが、この面から見ますと、もちろん多いことが望ましいのでございますが、諸般の事情から考えまして、どの市町村につきましてもならして二割は最低限保証する、さらに条件の悪いところには調整的に交付をいたしましてその穴を埋めていくと、まあかように考えて二割五分というものをとりたい、かように考えておるわけでございます。これはもちろん何しろ非常に条件の違っておりまする国民健康保険のことでございますから、一口に申すことは非常に危険なことでございますが、この措置ができまするならばほかの要因が新たに加わらない限り、一応国民健康保険は安定した状況にいき得ると、まあ現在のところは、かように考えておるわけでございます。
  117. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の説明で事務費をふやしたと、まあ保険料、保険税のとり方が少いのや、療養給付が高まっているから、そこでまあ財政難だと、まあこういうお話なんですが、一面から見てみると、その保険料の払えない人がある、これが一つでございますね。それからもう一つは、その診療費の五〇%負担が払えない人が出てくる、まあ滞納金という形で取り立てるという処置にはなっているけれども、そういう問題が結局はその保険財政にかかってきている。そこで、まあ事務費は負担しているけれども、療養費の問題になってくると、政府は二割だったと、それで二割が今度五分ふやされるというただ五分の調整金という格好でふやされるような状態ですけれども、私はこれでまあ町村の今やっているところ——今やれないところはもっと苦しい状態なんだが、そのやれると見込みを立てられたのか、立てられたその根拠を聞きたいわけです。
  118. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記を落して。   〔速記中止〕
  119. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。
  120. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま二割五分の国庫補助でやっていけるという根拠を明らかにするようにと、かようなお話であったのでございますが、先ほど私一まとめして申すことは大へん危険だがというふうに申し上げたのは、実はさような気持もあるわけなんでありまして、一まとめにして申しますと、実は事務費に対する国庫負担を八十五円から百十五円に引き上げると、そうして二割を二割五分にいたしますというと、これは計算上は少し余りが出るくらいのことになるわけなんであります。ところが、実際問題としてはさらに療養給付費が上回ってくるという傾向も考えなければなりませず、また、保険料の引き上げもこれはなかなか順調に進むということも期待し切れない面もある。まあかたがた合せて二割五分ということであれば全体としての計算が成り立つと、かようなわけでございます。なお、数字の詳細につきましては、もしお求めがあれば国民健康保険課長から申さしていただきたいと思います。
  121. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 療養費の方は今まで国家が二割で、今度五分お上げになったのですから、そこで実際の保険料というのは診療費全体のこれでいきますと、たとえば国家の負担が二割だと、それから保険料として市町村民が負担するのが七割か八前にならなければいけない。たとえば治療したときに半額負担しますから、その割合がどうなるかということになってくるわけです。だから今の比率は大体大づかみにして一つ保険組合でどうなっておりますか。
  122. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま仰せになりました国庫負担の二割ということが実際上相互の負担関係からどうなっているかという問題でございますが、先ほどもお話になりましたように、国民健康保険の場合には、原則として保険料の方面で処置するものが五割、それから療養の給付を受ける人が自己負担するものが五割ということになっております。で、これに対しで国の二割の国庫補助というのは全体に対して二割補助されたわけであります。従って、保険者が事実上解決しなければならない五割に対しますというと、これは五割のうち二割がそれで解決されると、従って全体のうちの三割、まあ実際は三割を上回りますけれども、三割強に当るものが保険料の徴収によって得られた財源で解決されなければならぬと、こういうふうなことになっているわけでございます。従って、問題としてはもちろんこの保険者の負担に属するものが今後さらにふえていくので、これを解決するということが非常にむずかしい問題で、保険者である市町村は主としてこの点を非常に言っているわけでありますが、それよりもむしろ先生がおっしゃる別の五割の負担というものが、一体将来その通り保険者に負担されていけるかどうかということが別な問題としてあるわけでございます。それで私ここで申し上げたのは、主として保険者の負担に属するものについては、二割が二割五分に引き上げられるということになれば、大体において一応安定した状態におかれると、かように申し上げたわけでございます。
  123. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、その本人が一部負担が五割、保険料が全体の中の五割、その中の政府が二割を負担する、これが二割五分になるからこの方では二割五分になるのですね。で、ここの統計を見ますと、三十五年か六年にはその負担が、五割でなしに四割にしていくのだと、まあこういう工合に国民健康保険の改正案の構想には書いてあるわけです。ところが、どうなんですか、この今日の全体の負担能力から見て、要するに保険料に対する問題と、それからほんとうの給付に対する半額の問題と考えてみて、私のさっきから尋ねているのは、負担能力があるのかどうかということが一つですよ。もっと明確に言いますと、それが一つと、それから政府の統計を見たって八〇何%しか収納をしていない、税金になっているところでも。そのあとの一〇何%はそれじゃどこが負担しているということになる。それは町村が負担することになるわけでしょう。そこのところあたりをもうちょっと明確にしていただきたい。
  124. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) ただいま御質問のございました保険料の収納率は、昭和三十一年度におきまして収納率九〇・一%でございます。これは昭和二十六年度が八一%でございますので、相当の向上をしているわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、個々の被保険者は比較的低額所得者階層が多い状況でございまするし、さらに徴収方法といたしましても、普通徴収、市町村民税は特別徴収としてサラリーマン等からは俸給から差し引いているような制度があるわけでございますが、個々の保険料の取り方としてはその方法をとることができませんので、普通徴収一本になるわけでございます。従いまして、普通徴収と市町村民税の普通徴収を比較をいたしますと、個々の保険料の収納率は若干これを上回っておるような状況でございます。いずれにいたしましても、収納率を向上する必要は大いにございまして、従来から指導を強化をいたしておるわけでございますが、町村といたしましては、予算を組みます際に、あらかじめ収納率を見込みまして財政を立てるわけでございます。従いまして、たとえば百万円の保険料を賦課する場合においては九十万円の予算として収入を組んでおる、あるいは逆に申し上げますれば、九十万円の予算が必要であれば百万円を賦課するというようなことで処理をいたしておるのが現状でございます。保険者数で申し上げますと、収納率九〇%をこえておる保険者が五一%になっておりまして、従来に比較いたしますと、収納率の面におきましては相当顕著な向上をいたしておりますが、なお、これで十分とは申せませんので、今後とも収納率の向上には努力して参りたいと考えております。
  125. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると何ですか。九〇%、三十一年度はなるほどこの統一に九〇%、今までは八五、六と、八一ごろから上がってきているわけですけれども、私は具体的なお伺いをするわけですけれども、その九〇%しか収納がなかった場合は一〇%は町村が負担するということになるのですか。今の話ちょっとよくわからなかったのですが、国家が負担することになるのですか、被保険者と按配して負担することになるのですか、そこらあたりをもう少し……。
  126. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) 通常の財政の立て方といたしましては、予算保険料収入として掲げる場合におきましては、収納率をかけてそれを見込むわけでございます。収納率をかけまして、つまり百万円の保険料を賦課する場合におきましては、収納率がたとえばこの町村においては前年度が九〇%である、今年度はその収納の努力を強化することによって一、二%たとえば向上を見込む、そこで百万円に対する九十二万円を収入として掲げていく、そうしてバランスのとれる予算を組む、こういう方法でやっておるわけでごごいます。収入見込額を収入として掲げる、こういうことになっております。
  127. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこでわかりました。よくそのいきさつはわかりましたが、問題は、その収入の上下というものが非常に国民健康保険の対象者にはあると思うのです。しかし、たとえば今日の中で、国民健康保険の一番大きな数、五割以上の大きな数は農民だと思うのです。そうすると、農民というのは御存じの通り、今六百万戸もあって、平均反別が六反歩、半分は五反以下の、四反、三反というお百姓さんだといわれておるわけです 統計で。そういうところにこの今日の近代医療の中で、技術も薬も進み、そうして早く早期になおすという形で非常に好ましいことですけれども、費用もかかるのです。そういう状態の中で、そういう一番大きなウエートのある農民に所得が非常に少い状態において、このように今ざっくばらんに言って、二割五分にふやしましても、七割五分というものはどっちかにかかってくることになるわけです。たとえは保険料にしても、二割が二割五分になれば保険料は二割五分になった、それから要するに給付費の半額は負担しなければならぬ、私はこれでは非常に大きな負担だと思うのです。だから、実際の保険料というものは、この統一にも書いてありますように、相当高い保険料を払うことになると思う。そういう負担ができるかどうかということを非常にわれわれが心配しておる。それで払えない人が出てくるということだと思うのです。だから、そういう観点からいきますと、この二割五分や三割ではとてもやれないという感じを私らは持っておるし、ほんとうにもっと公益性または社会性を医療に持たすとしたら、国民健康保険に対する対策はもっと大胆に打ち出さなければいかぬのじゃないかということが一つ。それからもう一つの問題は、ただ組合ができても、診療所だとかまたは簡単な病院であるとか、ほんとうの名実ともに治療される場所を作らなければならぬ。そういうものの出費というものは三分の一しか補助しませんね、国家は。そうするとなかなか、これまた町村の負担になってかかってくる。だから名実ともにこの保険組合が動こうとするにはそういうことをやらなければならぬのに、その点においてもなかなか私らとしては理解がしにくい。そこらのところ、二点もう一度簡単に……。
  128. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先生おっしゃるように、この仕事は非常にむずかしい仕事であると思っております。元来なかなか最近の医療の恵沢が及びがたいところにぜひとも及ぼしていこうということで始める仕事でございますから、どうしてもそこに自然のままに放置しておった場合に比べまして、時間的に非常なスピード・アップを試みておるわけでごごいますので、その意味の無理がありますことは私どもも非常に感じているところでごごいます。従って、そのギャップを補いますためには、どうしても外の方から何らかの意味における援助が加わらなければいけない、勢いそれは国庫負担という格好で、この負担の額につきましても、できれば多ければ多いほどいいわけでごごいますが、これまた、国民経済の全体のうちで財政を通じて配分されるわけでごごいますので、一挙に多くするということはなかなかむずかしい。同時にまた、こういう国民健康保険を通じて医療の機会が比較的あるようになるわけでございますので、やはりその地方の人々にも、少くとも従来そうでなかったならば当然負担しておったであろう医療費は、これはぜひとも今後とも負担してもらうということはもちろんのこととして、さらに従来よりも、より楽に医療が受けられるようになるわけですから、若干の背伸びがありましても、これも一つ何とか割引をしていただく、そうやってみまして、どうも二割五分では無理だということになりますならば、これは再びまたこの引き上げをお願いしなければならぬ、かように私ども考えております。ただ二割五分では絶対にできないというようなまだ条件とも思えないような事情がございますので、まずこれでやりたい、かように考えておるわけでございます。
  129. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これはもう負担能力をどう見るかという問題、それから名実ともに医療制度の確立をするかという問題になりますので、これは次長にはお気の毒だと思いますので、この問題はあらためて大臣との間にもう少し明らかにしたいと思いますから、一応この問題は打ち切ります。
  130. 片岡文重

    ○片岡文重君 大臣が見えませんので、次官から御答弁をいただきたいのですが、三十二年度予算の審議の際にも触れ、かつ、厚生省から設置法の一部改正が提案されまして、国立の重精薄児の収容施設が作られることになったわけです。で、そのときの大臣であった神田さんから、いろいろこの重精薄児の将来の対策について御意見を伺い、私どもも要望を申し上げたわけです。特に、これらの精薄神弱児対策基本要綱というものが数年前にできておりまして、これに基いて、厚生省はもちろん、文部省、法務省、その他でも、それぞれの立場からそれぞれの対策をやってこられた。で、厚生省としては、その基本要綱に基いての対策の一つとして、重精薄児の収容施設設置することになって、これが予算をとられ、そして、三十二年度にとりあえず百名収容の施設を作られることになったわけです。そのときに私どもの要望を申し上げたのは、全国に数万という該当児童がおるであろうことは容易に想像できる事態である。従って、百名程度では、焼け石に水というよりも、二階から目薬といいますか、とにかくとてもお話にならない。で、対象となる子供ですから、どうしても国の力でこれを収容してやってもらわなきゃならぬということで、三十二年度を第一年度として、毎年できるだけ多くの子供を収容できるような施設を作るようにという要望を申し上げたわけです。その際、神田さんから、年次計画を立てて希望に沿うようにしたいと、こういう御答弁があったわけです。ところが、午前中に御説明をいただいたこの三十三年度施策の御説明の中には、そういう問題については触れておられない。児童局長の御説明では、実態調査を行って、それに基いてさらに施設を作るということを考える、こういう御答弁のようでありました。従来も児童局の諸君が非常な熱意を持ってこれが収容補導に尽力されておることは、私も認めるにやぶさかでないんです。むしろ敬意を表しておるわけなんです。しかし、いかに事務当局でそういう誠意をもってしても、政府の方針としてそういう、何といいますか、政治勢力の弱い者に対する対策が真剣に取り上げられなければ、これは予算の上に現われてこない。特に、前大臣が約束をされたような場合に、これを安全に実施してもらえないようなことでは、私どもとしては、今日この委員会において御要望を申し上げても、またいつ大臣がかわるかわからぬ。またそういうことを申し上げて大へん失礼ですけれども、少くともまあ一年内外でおかわりになるということでは、しかも、その大臣が約束されたことが弊履のごとくに捨てられてしまったのでは、私どもとしてはなはだ不安です。こういう点について、一つ三十三年度の中に——今日となっては復活せしめることは非常に技術的に困難ではないかという児童局長の御答弁でありました。なるほど、これがここに私どものもとにプリントされて配付されるような事態になって、これが復活ははなはだ困難だとは思います。思いますが、しかし、前厚生大臣がやはり約束されておるのです、年次計画を立ててやるということは。その年次一画の内容として、あるいは大臣は、そういう建物を作る、収容施設を作るということの具体的なものは約束しないと言うかもしれない。けれども、私どもは、年次計画を立て、この三十二年度に作られたものは第一段階として、これを基準として、たしかそのときに神田さんはモデル・ケースという言葉を使ったはずですが、モデル・ケースとして作られる、そして三十三年度からも次々と造っていかれると、こういうふうに私どもは理解をしているわけです。しかるに、これが予算に計上されておらない。そこで一つ——堀木厚生大臣が約束されたのではない、確かにこれは神田厚生大臣が約束をされたことですけれども、政府として約束をされたからには、やはり継続してこの約束を私は履行してほしいと思うのです。それについて、厚生次官はどういうふうにお考えになっておられるか。願わくは、一つ今からでもこの予算復活の努力をやっていただきたい、こう御要望申し上げるわけです。御所見を伺いたいと思います。
  131. 米田吉盛

    政府委員(米田吉盛君) 全く私らも同じように考えるわけで、声なきこれらの人々のことを十分厚生省としましては考えて施策をやらなければならぬという点は、ごもっとも次第だと思うのでございます。率直に申しまして、私たちは、保険の問題であるとか、結核の問題であるとか、当面大きな問題に非常な重圧を感じております余り、人間としましてまことに申しわけないわけでございますが、こういう点に十分心が至らなかったということをまことに申しわけなく存じております。いろいろ局長にも今確かめたのでありますが、今川建設しておりますものの、その通りでいいかどうか、やり方、中身、そういう施設内容的の面について十分これでいいのかということを今回はよく調べたい。全般的には精薄児の実態調査を御承知のように費用をいただいてやるわけで、それと今でき上ったもので将来いいか、こういうような点とからみ合って三十三年度にちょっと足踏みの形になった。これはまことに神田厚生大臣がどういう約束をしたかは私こまかくは存じませんけれどもお話のようなことであれば、まことにこれは申しわけないことであります。局長考え通り、私も中身を十分検討さしていただいて、これはのがれる言葉でなしに、これでいいのだという見通しのもとに取り組みたいという考えでございまして、そういうような大きな別の問題があったために今年は少し、正直申してこれらの点が手ぬかりではないかと私ただいま感じた次第であります。できますれば明年度の予算に、おそくとも何とか形をつけるようにいたしてみますが、総体的には今申しましたような事情でございまして、初めて私実はそういう感じを——私はもうばか正直でございますから、腹の通りでございます。十分令後新しい態度で取り組んで参りたいと思います。
  132. 片岡文重

    ○片岡文重君 いや、非常に率直な御答弁を伺って、はなはだ満足ですが、まあそれ以上、率直におっしゃられたのですからよけいなことを申し上げる必要もないかと思うのですけれども、ただ、先ほども局長が言われたのは、新しい施設についてこれでよろしいかどうかということを十分検討して次の建設に移りたい、これはまことに一応私はごもっともな御意見だと思うのです。しかし、どんな悪い施設、といっては語弊があるかもしれませんが、少くともよかれかしと念じ、考えて、いろいろなやはり諸外国の例も参考にされておそらく設計され、建築されたものと思うのです。従って、十分満足ではない、不十分な点は多々あるとしても、なおかつその貧困な、全部が貧困なということは言い切れませんでしょうが、多くはやはり十分な医療さえ施せばそういう状態にならなかったであろう後天的な子供たちもたくさんおるわけなんですね。そういう家庭に放置されておる子供らが、少くとも国立の収容施設に収容されて手当を受け、職業補導を受けるようになれば、たとえ管理の当事者が不十分に感ぜられても、収容される子供たちにも、それの保護者にとってもそれはもう感謝にたえないものだと私は思うのですね。そういう見方からすれば、せっかく第一歩を踏み出されたのですから、少くとも三十三年度は、たとえ同じものでもあるいはまた、建設の途上でいろいろといいお考えが浮んでこられるかもしれない。さらに進歩しつつある欧米の例も参照されまして、三十三年度には大阪でも北九州でもあるいは東北でも、とにかくもう一、二カ所の施設を私は作っていただきたいと思う。予算もかりに今から三十三年度の要求をされましても、現に三十二年度の例をもってしますれば、三十二年度の当初予算に計上されて厚生省関係の熱意ある御努力にもかかわらず、敷地の選定がようやく終って、まだ建設には入らないという状態です。一月からの予算でやっておるわけです。その一月の業務開始の見込みはまだ立たないというのが先ほどの御答弁であります。従って、三十三年度に計上さるべき予算は、かりに三十二年と同じとしても、これは六千万に満たない金なんです。今日の予算規模からいって一億にも満たない予算で、しかも全国に全く訴えどころのない気の毒な人々、そして一人前に遇せられない人たち、これが収容されるとするならば、私は政府としてもそのくらいの金は出していただいてもあながち国民の批判を受けることはなかろうと考えるわけです。従って、今からでも努力をしてみるというお言葉がさっきありましたから、私は全福の信頼を申し上げまして、ぜひ一つこれれは三十三年度実態調査を行うということも、これはやっていただかなければなりませんが、かりに実態調査をやっていただいても、今日百名、二百名の収容施設を作って、実態調査の結果、これがもうがらがらになったということには絶対に私はならないと思います。だから実態調査を進めるということはぜひやってもらわなければなりませんが、それに並行して施設の方もぜひ作っていただきたい、この努力をしていただきたいということを重ねて要望申し上げておきます。
  133. 坂本昭

    坂本昭君 政府、与党の重鎮であられる政務次官、それから官房長であると同時に、前の社会保障制度審読会の事務局長であり、この道のべテランであり、かつ新しい厚生省の制度の中で各局の自主的な調整の役割を持っておる官房長、それから各局長さんにお尋ねいたしたいと思います。時間があまりありませんので、お一人、お一人ずつお尋ねしないで、全般的にずつとお尋ねしてそれぞれについての御意見をあとで聞かしていただきたいと思います。  まずきょうは、来年度の厚生省の重要施策についての予算案の説明をいただきましたが、実はこの中で三つの柱、第一に国民保険、それから低所得層の対策、三番目に結核対策、確かにこれは非常に重要な点だと思います。しかしながら、なおほかに、生活保護の問題あるいは児童措置費の問題、こういうものは本年度についても非常に難航し、神武景気のゆえに生活保護の予算などはかなりことしは削られたのでありますが、神武景気も去ってしまいましたし、当然こういうものが重要施策として上るべきにもかかわらず、落ちておったというようなこと、こういう点は、私は政府の社会保障政策の施行面におきまして大きな誤まりではないか、そう思うのであります。特に三つのこの柱の内容を検討いたしますと、これはとうてい四年間ではできっこありません。そういう点では岸内閣ももちろん長くないでしょうが、この岸内閣の厚生行政が非常な行き詰まりにきておるということを感じまして、われわれとしては大いに自信を得たのでありますけれども国民にとってはこれほど気の毒なことはないと思うのであります。たとえば先ほど結核対策の話も出ておりますけれども、よく見ますというと、なるほどこの国庫補助が十分の八に上った、あるいは命令入所の額がふえた、そういう点は確かにプラスです。しかしながら、一番基本になるところの結核予防法があらゆる社会保険や共済組合や生活保護法にも優先する、そういう立場がはっきり出ていない。従って、この施策を見ますというと、すべてが結核対策の国民保険に集約されておるということを書いてありますけれども、私は公衆衛生局長が実際に日本の皆さんの国民保険を実施する上において具体的に参与してやったものかどうか非常に疑わしいのです。さらに朝ほど厚生大臣はお答えになったのですが、まだ基礎的な医療体系整備も実はなしで、この国民保険をやろうとしておるのだ、そういうことを漏らされました。これは全く事実を語っておるのであります。医療体系の基本的な整備をしないで国民保険をやるというようなことは、これは絶対できっこないのです。言いかえれば、この国民保険という大きなスローガンは全くごまかしであると言わざるを得ないのです。なぜ特に私がそういうことを申し上げるかといいますと、医療体系整備もできていない、それどころではないのであります。先ほど来他の委員が各種の審議会の調整をやる必要が大臣にはあるという質問をしました。これは審議会の調整どころじゃない。厚生省の各局の調整を大臣がやらなければならない、政務次官がやらなければならない、それは政党政治の本筋であって、それをやらなければ、大臣も政務次官も政党から出る何らの価値もないのであります。一番大事な点が実は欠けておる。まず国民保険と申しますと、簡単な言葉で申しますと、人と物と金、この三つの要素があると思うのです。これは結局医療というものの基本であります。人の問題、医療担当者、医師の教育の問題もこれは入ってきます、あるいは資格の問題、再教育の問題も入ってきます。それから物的な問題、これはたとえば病院基準、規格、病院の配置、建設計画、こういうものに関するもの、それからあとは金、これはもう特にもっぱら保険局がお取扱いになっていますね。こういう三つのものがあるのですが、肝心の金の問題だけ前面にぱっと出てしまって、言いかえれば厚生行政の中で国民保険というのは厚生省の一番大きな目標なのです。保険局ばかりが前に出てしまって、ほかの局が踏みつぶされているのです。私は公衆衛生局長あたりが結核対策の上で、不満を持っていないのが不思議だと思うのです。そして、ほんとうに大臣、政務次官が厚生行政を推進されるとするならば、やはり厚生行政のバランスのとれた推進をぜひとっていただきたい。  第一に基礎的な医療体系整備、これは一体だれの責任か。大臣はけさいろいろと検討してみると言ったけれども、検討する必要はありません。これは医務局責任であります。当然医務局長のこれは責任でもってやらなければならぬことなんです。で、現在世界の各国の情勢を見ますというと、もちろん私的医療機関はこれはありますが、順次公的、医療機関、特に国立といったもの、そういったものの比重が大きくなってきている。そうしてその比重は何も私的医療機関をつぶすような行き方じゃないのです。公的医療機関、特に国立医療機関でなければできないような検査だとか、あるいは特殊な治療だとか、そういった面の仕事をやるようになってきている。ところが、日本の現状では、先般来のこの社会労働委員会というものは、ほとんどこの保険問題、医療問題なのです。いつも出てくるのは保険局長だけなのです。あたかも保険局が日本の医療をやっているみたいです。そういうふうに見える。これは私は根本的な間違いだと思うのです。今度環境衛生局と予防局とに分かれるそうですが、幾ら局を作ってみたところで、ほんとうにこれを全部一つの手綱として、うまくコントロールしていかなければ、りっぱな医療行政というものはできていきません。そういう点、政務次官、官房長は、今の医療制度についてどういうような組織をもってやっていくか、特に結核対策については結核対策本部というものが作られるそうで、今度の予算を見ますというと、またいろいろなお役所がたくさんできるように感ずるのであります。そのために何か五億円程度予算を取っておるようであります。幾ら役所を作っても手綱をうまく締めていかなければりっぱなものはできません。そういうことについて、公衆衛生局長からも意見を聞きたい。  それからまた、基礎的な医療体系整備の中で、国立病院、ここには特に公的医療機関国立病院について総合的計画のもとに整備運営する、その現実の国立病院は何です。全くお粗末のものでございます。そして国立病院の任務の中には、これはもう御質問いたしませんが、はっきり標準病院として、そして特に特別会計制をしいて、中の会計を明白にする。何のために明白にするかというと、新しい病院の管理、病院経営というものはどういう格好でなければならぬかということを明示するためにやっておる。その内容は、国立病院では全部自費もすべてこの健康保険でやっているのです。ですから国立病院経営を見れば、当然今の保険局のやっているところの医療の行き方の当否というものがすぐわかるのです。しかるに、そういう点について、大臣も次官も医務局というものを活用していない。国立病院というものを利用していない。また、医務局長も何といいますか、積極的に活動しておられぬ。私はそういう点で、きょう御説明願ったこの施策はいろいろな点で——いろいろな点ではありません、全面的に非常に欠陥が多い。ことにこれは保険局当局に申し上げたいのですが、今、国民保険ということを打ち出しておりますけれども、今年の春の健康保険法の一部を改正して以来、日本の医療のレベルを落しているのです。それで農村では何とかしてこういう悪い国民健康保険をいただきたくないというので、たとえば農業協同組合が職員共済組合というものを作ろうとしております。これなどは確かに農村の——特にこれは農協は約二十一万の人間を持っておりますが、農村につまらぬことを押しつけられたら大へんだ、それよりもわれわれだけで共済組合を作って、共済組合法というものでこの医療とそれから年金を解決したい。こういうふうにあちこちから国民的な不満というものが呪われてきているのです。あともう少しお尋ねしたいのですが、時間がありませんから、一応その点につきまして、次官それから官房長、かつ各局長の率直な意見を聞かしていただきたいと思います。
  134. 米田吉盛

    政府委員(米田吉盛君) 坂本委員の非常に該博な御見識ごもっともだと思うのです。率直に申して厚生大臣厚生政務次官がまあ在職年限が三年——五年であるとこれは非常に私はいいと思うのです。この点はソ連なんかの実情は非常にいいと思っています。(笑声)その点だけですよ、ソ連なんかの右職が長いということ……。そのくらい長くやりますと、相当普通の頭の者であれば、相当の見識ができるわけです。私たち実は参りまして三カ月前後でございます。いろいろ、ない頭を努力いたしまして、夜十時ぐらいまでかかって、これは頭が悪いものでございますから努力いたしまして、やっとこぎつけたものがまことにお粗末なものでございましたが、今朝大臣が御説明いたしました、重要政策であります。どういうこまかい説明をしたか私ほかの用がございましておりませんでしたが、今御指摘になりましたような各局長がばらばらで、保険局ばかりが出しゃばっているというようなニュアンスのお考えでございましたが、まあ今度は非常に保険局の問題が大きいものですから、金額的に。やることも相当大きくやらなければなりませんので、保険局をいろいろと用いることは相当用いました。しかし、このような予算の大綱をまず省で決定をいたしますに当りましては、一週間あまりというものはもう十時ごろ、十一時になったときも三日か、四日ございます。厚生省の全幹部が寄りまして、何も今公衆衛生局長やっているからといって、医務局のことをわからぬ人ではない。みな厚生省で二十年、三十年とおった人が多いのですから、そういう人の知能をしぼって、横縦十文字にしっかりとやりましたものが、少くとも今日の、厚生省の知能の集結がこれだと、こういう結果でございます、率直に申して。これは私できれば、大臣、政務次官というものは最低三年ぐらいおらすということにしてもらえればもっともっと私はやれると思います。まあ、そういう感じを、少くともそういう感じを私自身が持っているわけでございます。決して各局がばらばらになったり、保険局だけが大きな顔したりというようなことはございません。この点は御心配なく。過程においてはそういうことはなかった、その結果がまあ御不満のようなことになったから、この結果についてはわれわれも十分御意見のありますところを参考といたしまして、十分善処していきたいと思っております。一番困るのは、私は年限が短か過ぎるということでございます。その点でございます。
  135. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 簡単に申しますが、いろいろ皆保険について御忠告がございましたが、私どもも皆保険が簡単にできるとは思っておりません。けさほど大臣が申し上げたように、いろいろな隘路も見られます。これは何としても打開しながら進んでいくということで、苦労することは覚悟しております。どうぞまたいろいろ御教示も仰がなければいかぬことがあると思います。その点は私どもも十分に認識しております。  それから省内のいろいろな局のバランスがとれておらぬということ、そのお考えは私も全く御同感でございまして、私どももそういう方向でいかねばならない。今日におきましても、少くともそういう点には努力しておりますが、いよいよ皆保険の実施完成ということになりますれば、さらに一そうそういう方向において物事を統一した考えで進めなければならぬということは十分認識しておりますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  136. 山口正義

    説明員(山口正義君) 結核対策について御指摘がございましたが、けさほど官房長から説明いたしました結核対策、来年度の結核対策につきましては、先ほど政務次官から説明がございましたように、関係者寄り集まりましていろいろ検討いたしました結果でございまして、結核対策を推進して参りますのに、どういう階層の人たちも同じようなレベルの健康診断を受け、また、医療を受けられるようにというところに重点を置いて、その立案の責任は私どもの方で持ったわけでございます。従いまして、それを実際に推進していきます場合に、対策本部というものを中央並びに地力に設けて、その線に沿ってやっていきたい、技術的な点から見ても、なるべく納得していただけるような線で進めて参りたい、そういうように考えております。
  137. 小澤龍

    説明員(小澤龍君) 医療機関整備につきまして、先ほど大臣からまだ具体的な案はないというお話がございました。この大臣のお言葉は、現在ただいまどこそこにどれだけの病院を作るというような具体的なものはないという趣旨のものであります。しかしながら、私どもといたしましては、県別に、さらに保健所別に、医療機関の現状を精細に調べたものを持っております。従いまして、今後どの保健所管内にどの程度診療所を作る、あるいは病院を作っていかなければならぬか、国民保険に歩調を合せてそういうものを措置していかなければならないかという数字的なものは持っておるわけであります。また、その数字に基きまして大体皆保険の完了と歩調を合せるように来年度予算も実は要求しておる次第でございます。ただ問題は、われわれがそういうところに必要な診療所病院を作ろうと思ってもなかなかできないで、すでに不必要な十分なところにますますできていく。そういう状況をどういうふうに調整し、是正するかというところに大きい問題があるわけでございます。御承知のごとく、この現在の医療制度は自由開業制度でございます。従いまして、診療所設置は届出主義でよろしい、病院設置病院としての規格において、はずるところがあるかないかが吟味の対象で、ございまして、その設置場所を法的に規制する道はないのであります。従いまして、これを何とかして効果的な、皆保険に歩調を合せるところの医療体系整備するために、この画を何か規制していかねばならぬということはかねがね考えておるのであります。われわれ一そう努力いたしまして、この問題の解決に当りたいと思っておる次第でございます。  国立病院につきましても、いろいろ御指摘を受けました現状はまことに遺憾なことだと思います。何せ非常に荒廃した旧陸軍病院を引き受けたものでありますので、建物整備に今重点をおかなければならぬ段階でございます。機械整備とか、人員整備というのは、建物整備に比べると、とかく二、三次の取扱いにならざるを得ない現状があるのははなはだ残念と思いますが、しばらく時間をかしていただきまして、これを坂本委員の御希望に沿うような病院にいたしたいと思います。
  138. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先ほど仰せになりましたことは、実は各方面から御注意をいただいたことでございますので、私ども自身がおっしゃったことと全く同じ気持でいろいろ考えております。御注意の点は、今後とも十分考えまして改新して参りたいと思います。  なお、農業職員共済組合法のことについてちょっとお触れになりましたが、これはおっしゃるように、同じ医療保険でありましても、被用者保険国民健康保険との間にある種の格差があるということが、絶えず、ほって置くと、国民健康保険という形でしか応接できないものにこういうふうな考えを持たせるという原因になっておるわけでございます。その意味におきまして、この格差は国民保険の一応形式的な目標は到達しましたあとにおいても、何とか縮めるように努力していかなければならぬ、そこまでいって初めて国民保険でねらったものが実現できる、かようになるものと考えておりますので、問題としては絶えず意識しつつ、いかようにしても解決をしていくか、時期と段階というものをいろいろ研究しているのでございます。
  139. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  141. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、福岡市水道の四エチル鉛による汚染に関する件を議題といたします。本件に関し、前回の委員会において保留となっておりました政府側の答弁をお願いいたします。
  142. 米田吉盛

    政府委員(米田吉盛君) 大へん本問題につきましてはおそくなりまして、委員の皆様初め地元の被害を受けられた方々にはまことに申しわけのないことと存じております。その後努力をいたしまして、大蔵省と折衝をいたしまして、大体においてこれならがまんがしていただけるだろうという線までこぎつけたつもりでございます。  まず、応急処置に対する補助費の問題といたしましては、これは大体二分の一程度考えまして、自治庁の交付税でこの心組みを持ちながら、明年度組み上げる、こういう考えでございます。それから、市が市街地まで大きな中心の鉄管を布設いたしまして、これは突貫工事で、急を要するために、やらしましたために、相当そういう余分なる費用もかかっておるようでございます。これにつきましては、大体四分の一、簡易水道の補助が四分の一でございますので、その程度の補助をいたしたい、こういうことになりました。  それから、その中心鉄管から各家庭に配水をいたしまする設備につきましての費用は、これは大体半額を負担する、こういうようなことで大蔵省との間にも折衝が大体まとまりました。  大へんおそくなりました点は重々おわび申しますが、まあ、これなれば最小限度がまんしていただけるか、こういう厚生省としても考えでございますので、御報告申し上げます。
  143. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御質疑願います。
  144. 山本經勝

    ○山本經勝君 いろいろと前回、先週の土曜日のこの委員会で、最終的に本日の委員会に報告を願うということで、その間、厚生大臣以下官房の皆さん並びに大蔵省当局、こういった間で非常に御努力いただいたことは感謝にたえぬわけなんです。  ところで、一点だけ確かめておきたいと思うのですが、それは初めに今お話になりました応急対策費の総額に対して大体二分の一程度を特別交付税でまかなうということについての考え方なんです。この点は今次官からお話がありましたので、いささかも私は疑いを持ちませんが、これは可及的すみやかに自治庁の方と話し合っていただいて、そうして当然その要求額を決定し、そうして大蔵省の方に出されていく、こういうふうに理解しているのですが、その場合、幸い大蔵政務次官がお見えになっておりますから、政務次官の方のこのことに対する御了解点を明らかにしておいていただきたい、こういう点でございます。
  145. 白井勇

    政府委員(白井勇君) この問題につきましては、ただいま厚生政務次官からお話を申し上げました通り、大蔵省との間におきまして話し合いをつけました次第であります。それまで、この前の土曜日まで事務的に詰めておったわけでありますが、あの委員会におきまして、関係の皆様方からいろいろな御熱望もありましたので、さらに私どもにおきましては、厚生省との間におきまして慎重審議をいたしまして、今日まで、しかも朝御報告申し上げようと思いましたのがおくれましたのも、少しでも地元の方に納得いくようにいたしたいということでおくれましたのでありまして、その点は重々御了承願いたいと思います。  ただいま山本委員からお話のありました点につきましては、これは厚生省の事務当局から自治庁の方にも打ち合せをしておったようであります。大蔵省の力でもやっております。  なお、私当委員会に出まする前に、自治庁の責任者に確かめて参ったわけであります。少くも私たちが今考えておりますようなことは、その額を割らないように十分善処する、こういう確約を得て参ったのであります。その点につきましては、大蔵省としましても、将来も十分の配慮をもってやっていきたい、こう思っております。
  146. 高野一夫

    ○高野一夫君 一つ確かめておきたいと思います。先ほど米山政務次官から明年度というお話がありましたが、何か言葉のお間違いじゃないかと思いますけれども、その点を、もしお間違いならば御訂正を願いたいと思います。
  147. 米田吉盛

    政府委員(米田吉盛君) 明年の間違いでございます。明年の初めごろには、自治庁にそういうあっせんをするように、厚生省として考えております。
  148. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  150. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて閉会いたします。   午後四時十三分散会