運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-11-06 第27回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月六日(水曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   委員異動 十一月五日委員榊原亨辞任につき、 その補欠として木島虎藏君を議長にお いて指名した。 本日委員藤原道子辞任につき、その 補欠として横川正市君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            中山 福藏君    委員            有馬 英二君            草葉 隆圓君            紅露 みつ君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            山本 經勝君            横川 正市君            藤田藤太郎君            竹中 恒夫君   政府委員    総理府総務副長    官       藤原 節夫君    調達庁長官   上村健太郎君    労働政務次官  二階堂 進君    労働省労政局長 亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    労働省職業安定    局長      百田 正弘君    労働省職業安定    局失業対策部長 三治 重信君   参考人    日本鉄鋼連盟常    務理事労働局長 水津 利輔君    日本鉄鋼産業労    働組合連合会中    央執行委員長  西口 義人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選労働情勢に関する調査の件  (鉄鋼産業関係労働争議に関する  件)  (駐留軍の撤退に伴う労務者失業  対策に関する件)  (日雇労務者期末手当に関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 委員会を開きます。  委員異動報告いたします。十一月五日付をもって榊原亨君が辞任され、その補欠として木島虎藏君が選任されました。
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事山本經勝君から、都合により理事辞任いたしたいとの申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないものと認めます。よって山木理事辞任はこれを許可することに決定いたしました。  この際、理事補欠互選についてお諮りいたします。委員会定数に伴う欠員中の前理事高野一夫君及びただいま辞任を許可いたしました前理事山木經勝君補欠互選を行いますが、方法は成規の手続を省略いたしまして、委員長の指名にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それでは私から指名いたします。前理事高野一夫君の補欠としては木島虎藏君を、前理事山本経勝君の補欠としては山下義信君を理事にお願いいたします。     —————————————
  6. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 労働情勢に関する調査の一環として、鉄鋼権業関係労働争議に関する件を議題にいたします。  本日は本件の調査参考に資するため、参考人の御出席をお願いして意見を拝聴することとなっております。参考人各位にはお忙しいところ出席をいただきまして、まことにありがとうございました。これからそれぞれの立場から御意見発表願うのでありますが、時間の関係もございますので、まず争議実情について一応の御発表を願い、次に各委員質擬にお答え願うということといたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、委員各位にお諮りいたします。議事の都合上、参考人全部の意見発表が済みましてから質疑を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないものと認めます。  それでは参考人の方から御意見発表をお願いいたします。  まず、日本鉄鋼連盟常務理事労働局長水津利輔君からお願いいたします。
  8. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 私水津であります。お話を申し上げる前に、鉄鋼逗留とそれから私の立場を明らかにいたしたいと思いますが、鉄鋼連盟は業者の会ではございまするけれども、その労働局というものは、労働問題の調査研究だけをする機関でございます。私はその責任者でございます。従いまして、今度の労働争議についての当事者でもございませんし、それから会社側指令を出したり、あるいは相談を主催するという立場にもございません。だからまあ昔で言えば観戦武官みたいなもので、それだけまあある情勢の判断などについては、争議に夢中になっておられる当事者よりも、私の方が確かであるかもわかりません。  それからもう一つの点は、十月十七日の日経連総会で、賃金に関する報告というのが出たそうでございまして、それが昨今かなり問題になっているように見えます。その問題と、私の今から申し上げることとの関連でございますが、実は私国際労働会議鉄鋼委員会メキシコで開かれまして、それの使用者側代表として出席しておりまして、先日帰って来たばかりでございます。そんな事情で、日経連総会出時は日本におりませんでしたので、どういうことが行われたのかよく存じません。まだ勉強していないのであります。それから鉄鋼争議で、経営者側がいわゆるゼロ回答をいたしましたのは、たしか九月の十九日ごろか二十口ごろであったと思います。日経連総会は、それから約一カ月後に行われておりますので、私の見るところでは、鉄鋼経営者がゼロ回答したことと、日経連総会並びにその報告というようなこととは、全然関係がないものだと理解しているわけであります。そんなような事情で、本日は日経連報告に関する意見を、私は述べる資格もございませんし、また適当でないと存じますので、その点も一つ、あらかじめ御了承をお願い申し上げたいと存じます。  そこで、今度の鉄鋼争議問題点というようなものを申し上げますが、私ども調査研究している限りにおいては、鉄鋼賃金というものは、非常に商いと思っております。比較的に非常に高い、その数字はすでにもう皆さんも御承知通りと思いますが、ことにここで問題になりますのは、私は鉄鋼業全体のことではなくして、今度の争議というものは、初めには大きな会社争議に入っておりましたけれども、現段階ではもう大手五社が中心でございまして、また、鉄鋼労連の方でも、五社を中心に戦うという闘争方針が確立されているわけであります。五社さえきまれば、あとはもう自然におさまるものと思いますので、本日は主として五社を中心に申し上げたいと思います。  五社の平均月収は大体三万円、あるいは三万円を何ぼか超す程度でございまして、全製造業平均に比べまして大体一六四ぐらいの、つまり六割四分ぐらい高い。それから昇給率も、定期昇給とそれからベースアップと、両方最近はやっておりますから、毎年の昇給率は抜群の高率でございまして、二十六年に比較して最近の状況は、製造業全体では一六五%ぐらいまでに上っているのでありますが、五社は一八二、八割二分も上って参りました。定期昇給というのは各社が組合側と協議をしておりまして、毎年やっておる。それは大体五社平均七百円から九百円くらい、月収に比べて三%くらい毎年もう定期昇給しておるのです。それから実質賃金も、物価が上りましたけれども物価の上る率よりも賃金の上る率が高いので、昨年の今ごろに比べましてこの最近一年間での実質賃金は一割ぐらい上昇しております。このほか福利施設ども非常によくて、ほかの産業なりあるいは一般の市中の人でもうらやんでいる状況であることはもう一般からよく知られておるところであります。  今度の争議では退職手当がまた要求されております。退職手当は昨年の賃上げ闘争のときに一緒に問題になりまして、大体五社では一挙に三割から四割くらい増額になりました。大体三十年定年満年の人で百四十五万円水準になっておりますので、これまた、全業界を通じて最高水準にあることは多くの人に知られておるところでございます。まあそういうように、賃金は私はどの角度から見ても相当高いというように見ております。また、統計もそういうように示しておるわけでございます。  そこで、その次には今度の賃金争議で非常に重大な問題は、その賃金要求が行われた後に経済情勢が急変してきたという点でございます。いわゆる神武景気が吹っ飛んでしまって、非常に珍しい日本特有の不景気になったということでございます。この問題はあまり多く申し上げるほどのことでもないことでございますけれども、一部の人はこれは短期の不景気だというように見ておった向きもあるようでございますが、少くとも鉄鋼業に関する限りは短期でなくて、だんだん先行きが不景気の底が深くなって参りまして、今日ではほとんど世界的に鉄鋼というものは不景気になって参りました。その不景気という、あるいは不況というものをもう少し分析して見ないというと、今度の争議解決かぎは出てこないと思うのです。大体私はこの不景気、不況問題について三つの点に注意する必要があると思います。  その一つは、一般的にだれもが見ておりますように、まあ金融引き締めからきて、それから市況が不景気になり、物が売れなくなり、鉄の値段が下ったというような点でございます。これから会社経営難になったことは事実でございますが、また、反面この鉄があまり売れなくなった、それから値段がぐんぐん下り始めたということも非常に重要な点でありますが、ことにこの問題と争議関係を考えてみますというと、争議がもうすでに全面的に十一日間も五社がストをやりましたので、おそらく鋼材にしては二十万トンくらい減産になっただろうと思うのであります。これは非常なまあ日本鉄鋼界始まって以来のことでございます。それならそれだけの大きな減産がさぞかし日本経済発展に重大な影響を及ぼしてくるだろうという点なんでございます。私のだんだん調べてみたところによりますと、会社側としては重大な損害をこうむっておりますけれども、まあ幸か不幸か市況が非常に不景気になり、世界的に不景気になって、アメリカのごときはもうすでに二〇%も減産をするというような状況になりましたので、この日本ストによる減産鉄鋼需給市場にはほとんど影響を及ぼさないばかりでなく、最近の鉄鋼価格はだんだんと下って参りました。でありますから、少々今後ストが続けられても日本経済界に重大な支障を来たすというようなことは、そういう心配はまずないと私は見ておるのであります。これはまあ幸か不幸か、まあ問題はだから労使当事者だけのけんかというか、争議というようなことになっておる点でございます。  それからその次の注意を要する点は、この不景気の対策でございますが、これはもう国策としてもきめられましたように、もともと国際収支の赤字から発端しているのでありますから、どうしても輸出を盛んにして日本がかせがなければならぬという絶対使命があるわけであります。ところが、その大きな輸出の役目を果すのは鉄鋼業であることも周知の事実、ところが、日本鉄鋼価格というものは現在世界最高原価コストになっているわけです。でありますから、これで大いに鉄を輸出してかせごうとするためには、まずまずコストを十分思い切って引き下げなければならないというむずかしい条件がついてきている。この事実をはっきりと見ておく必要があります。  それからもう一つは、もともとこういうようになった前には、日本の鉄の需要が非常に盛んになって、一時は鉄鋼を輸入しなければならないというほどになった。一方また、今から大いに鉄を輸出しなければならないということになりますから、まずまず日本製鉄設備を急速に合理化しなければならない、拡大をしなければならぬということもこれは必至の使命になっている。そういう任務をこの不況の中に果していこうというわけでございますから、これまた非常に大きな経済的な負担を経営者はしょっている、また、国もしょっていると思われます。私はこの間メキシコに行ってきたのでありますが、メキシコなどという国は日本ではあまり多くの人も知らない。鉄の生産国としては日本の六分の一か十分の一という小さな製鉄国でございます。にもかかわらず、世界製鉄国際会議メキシコで開こうというほどメキシコ人は力を入れている。工場も二、三見て参りましたが、小さな工場でありますけれども、非常に力を入れて古い設備をやめて、新しい最新の設備に取りかえているわけであります。ああいう小さな国でさえその程度やっているわけでありますから、世界の六大国の一つになりました製鉄国日本としては、思い切ってこの際、急速に設備合理化をやらない限り立ちおくれになることは必至であります。  もう一つ私は特に申し上げたい点は、今度の不景気というのはこの春から突然に起ってきたようにも見えますけれども製鉄業に関する限りは、この不景気になる根本の原因はもう少し前から伏在しておったのであります。これは会社経理分析というものを十分やってみないとわからない。神武景気神武景気で踊っておってはわからない。私は連盟としての立場から、できるだけ世間に公表されました会社の資料を使ってかなり熱心に経理分析をしてみたのであります。そうしましたところが、大体はっきりと言えますることは、昭和三十年の下期までは日本鉄鋼業経営内容というものは非常にりっぱでございました。どんどんコストは下る。それから技術の導入によりまして原料等消費率は非常に下ってくるというようなことで、一方価格世界的に上って参りましたので、相当好成績であったことは事実でございます。ところが、三十年の下期を境にして三十一年以降というものは、世界的に製鉄原料がぐんぐん上って参りますし、それから賃金は御検討になればわかりますが、三十一年の春ごろから急速に賃金は増してくる、それから技術もある程度改善のいくところまでいきついたというようなこともございまして、三十一年の春から原価は非常な勢いで上って参りました。その一番上った原因は何かということをさらに分析してみますと、原料費人件費であります。そうして二十六年以降三十年まで五年間かかって改善し、引き下げた原価は三十一年の暮れごろになりましてほとんど元のところに戻って参りました。そういうような事情で非常に経済というものは苦しくなってだんだんとその資本を食いつぶしていくという実情にあったのでございます。そのことがはっきりわかりまして、こういう状態が幸いにして神武景気というもので陰に隠れておっただけでございます。だからああいうことがなくなれば、元の裸の非常なむずかしい経営状態に戻ってくるわけです。こういう状態で、今申しますようなさらに原価を下げないと世界競争ができない。設備合理化を大いにやらなければならぬというような立場になって参りましたので、この問題がこの今度の賃金引上げ争議最後のきめ手になるものであろうと私は思います。こういうことから考えますというと、賃金格差がどうであるとか、賃金比較論ではもうこの争議解決するかぎにはなら、ないというように私は見ておる次第でございます。このあたりの、つまり組合賃上げ要求をされた以後にあった非常な大きな変化が、経済的変化がきたというこの情勢変化のことをあるいは組合その他の人が少し軽視しておるのではなかろうかという心配を私は持っておる次第でございます。  その次は、今度の争議の特徴の中で、組合側のやっておられることで特異のやり方だと思う点を二、三指摘しておきたいと思います。それは先ほども少し触れましたが、組合が今度の賃上げ要求をしようという計画は、大体私どもの理解するところでは昨年の秋ごろからぽつぽつ計画がなされて、いよいよ三千円の賃上げとそれから二百七十万円かの退職手当要求をしようという方針がきまりましたのはこの三、四月ころであったと思います。ところが、その後御承知のように、国の方針として経済方針の大転換が来、それから先ほど来申しますようないろいろなむずかしい状況に変ってきたのであります。その神武景気の当時に立てられた計画が今日これだけの大きな経済変化があるにかかわらず、少しも修正されないで、五波、六波、十波というような争議が行われておることが非常な特異事情だと思います。  それからもう一つは、スト日程どもやはりもう早く立てられまして、いわゆる世間でいうところのスケジュール闘争が組まれてきた。それから特に私はその当時から心配しておったのでありますが、闘争方針をきめられましたときにもうぼつぼつ不景気論も出ておったと思いますが、その当時、労連中心では好況不況にかかわらず、われわれはこの賃金闘争をやるんだということを主張されたように私は今でも覚えておる。それがメキシコから帰ってみても、果してその通りに不景気であってもスケジュール闘争がその通りに実行されておるわけです。このことが果して経済闘争であろうかどうか、賃上げは確かに私ども経済闘争だと思ってみている。ところが、好況であろうと不況であろうと貸金は要求して取るんだということになれば、これは政治闘争か何か、経済闘争以外の闘争ではないか。それが今日のようにこの争議が非常にむずかしくなった大きな考え方のもとではなかろうかというふうに見ておる次第でございます。  それからもう一つ特異点、これもおそらく日本労働運動史ではめずらしい事件だと思います。労連争議をやる場合に、今まで持っておりました単組争議権を全部労連が持つように労連規約改正をされて中央指令が末端にまで浸透するようにされました。この規約改正はまあ必ずしも私は特異事件ではないと思います。ただそれに関連して下部の持っている組合争議権あるいは妥結権というものを完全に押えるばかりでなく、その中央指令に対して下部組合機関々々によってあまり批判などしてはいけないというように、これは言葉が非常にむずかしいので私もはっきりと記憶しておりませんが、要するに、一度中央から指令が出たならば、それに対して下部機関相談をしてとやかく批判をしたり、あるいは指令一に服しないというような、意見の交換をやってはいけないというような意味の、何といいますか、申し合せといいますか、示達というようなものが出たように私は理解しておるのであります。ですからもう少し端的に言ってみれば、一旦指令が出た以上は、組合はどこまでもその指令を黙って盲従するほかはないというように、強いワクがはめられたのではないかと思われます。このあたりは非常な珍しい事件であるように思いますので、申し上げておきます。  少し時間を取って恐縮でございますが、さてそういうような状況のもとに一体会社はどうしたのだろうか。これはいわば今日の主題であろうと思いますが、会社はまあ私の旅行中に、ゼロ回答をしたのでありますが、帰ってきても、見るというと今にまだゼロ回答を堅持し、組合スケジュール闘争によって第六波のストをやっておるという状況でございます。  会社側がそういうふうにゼロ回答を堅持している理由は何かということを聞いてみますと、これは先ほど来私が情勢で申しましたあの裏返しをしたようなものでありますが、要するに会社は、われわれの払っている賃金は、決してどの面から推しても安くないということ。それから定期昇給制度というものを完全にしいておって毎年話し合いによって三%前後の昇給をしておる。だからベースアップをそう毎年やる必要はない。それから経済情勢が急変して、非常な経営困難になっておる。また、資金もすでに詰まって、この調子でいったならば年末越年資金というものはいずれ会社も支払わなければなりますまい。また、その金額のいかんにかかわらず、例年のように越年資金も一ぺんには払えないだろうと心配しておるほど、行き詰まってきておるのであります。それから先ほど来申しますような、非常な大きな合理化及びコスト引き下げという国家的使命を帯びておる。そういうようなことを考えると、これだけ高い賃金を支払っておる上に、さらにベースアップをすることはできない。この経済情勢その他の情勢から判断して、今度の労連賃上げ要求、及び退職手当要求というものを、理不尽要求である。理不尽要求である限り、いかにストをやられてもこれには応じられないという、こういうように言っておるようでございます。私もだんだん考えてみまして、経営者がそう言っておるのも、無理のないことだと考えておるような次第でございます。  以上が昨日までの状況、並びにそれに対する私の理解した点を申し述べた次第でございます。また御質問でもございますれば、あとでまたお話を申し上げたいと思います。
  9. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうも御苦労様でした。  次に、日本鉄鋼産業労働組合連合会中央執行委員長西口義人君から御発表を願います。
  10. 西口義人

    参考人西口義人君) 鉄鋼労連西口でございます。鉄鋼の今回の争議につきまして、今回までの状況並びにわれわれの考え方を申し述べさせていただきます。  鉄鋼連盟の会長は八幡製鉄の社長でございますので、よく今度の争議については関心を持たれておると思いましたが、本日は連盟水津さんが出ております。私はこれに対する反駁は申し上げません。私の方の考えを率直に申し上げることにいたしたいと思います。  まず私たちはこの三月の鉄鋼労連の大会におきまして、賃金引き上げということを決定いたしました。これはどういう理由によるかと申し上げますと、鉄鋼労働者賃金水準が今日きわめて不満足なものである。合日社会一般生活水準を向上するために、いわゆる文化的発展のためにも、われわれはどうしても賃上げをしなければならないという立場に立ちましてこういうことをきめたのであります。この内容につきましてはあとで具体的に申し述べたいと思いますが、以上の考え方から今回の様式をきめまして、鉄鋼大手五社のみで戦っているのではございません。私ども鉄鋼産業労働者鉄鋼労連という組織の中で戦いを開始しておるのが今回の戦い様相でございます。まず九月二日までに全部要求を提出いたしました。そうして私たちは何とかして団体交渉によって解決をはかりたい、そういう観点から従来にない長い期間交渉期間におきました。そうして十月の一日をもちましてそれまで十分会社団体交渉を持ち、さらに十月一日をもって最後回答として、もしこれでどうしても会社が考えない、いわゆる誠意を持った回答をしない限りは、われわれはストライキによってこれに対抗せざるを得ないというような考え方から、こういう方針を出したのでございます。その結果、御承知のように、十月一日は一カ月間の−交渉を開きましたけれども、ただいま水津さんが経営者考え方を大体申し述べられたようでありますが、こういう内容をもって回答はゼロで一向前進をいたしておりません。こういう中に立ちましてわれわれはわれわれの唯一の力であるストライキをもって賃上げ要求せざるを得ないという立場から、十月八百に第一次のストライキに、入りました。昨日、一昨日いわゆる第六次の四十八時間ストライキを作品までで終ったわけであります。  大体以上が大まかに言ってわれわれの戦いました様相と、さらに会社回答でございますが、では振り返ってみまして私たち賃金が他産業に比較して、一体高いのかどうかということについて、まず申し上げてみたいと思うのであります。  まず、賃金水準、今これはよく新聞その他で鉄鋼賃金は非常に高いのだと言われておりますが、労働省の毎月の勤労統計の示すところを見ますと、本年の四月から八月の平均鉄鋼業定期給与総額をとってみますと二万五千百四十八円となっております。これを考えてみますと、なるほど一応高いように見えておりますけれども、実際は問題があるわけであります。すなわち、この内容について十分分析する必要があるのではないかと考えているわけであります。もう少しこれを具体的に賃金内容に入って参りますると、まず、第一に、これだけの賃金をもらっているのは一体どういう形でもらっておるかということであります。まず第一に、非常に過勤務が多い、いわゆる残業、早出、これが多いということ、これが全部賃金の中に含まれているということであります。鉄鋼賃金は今言ったように、これが含まれてこういう表が出されておりますが、この統計によりますと、鉄鋼労働者の一カ月の残業時間は平均して約三十時間から三十五時間となっております。いわゆる三十時間から三十五時間という大量な超過労働によってこの賃金が出ているわけでありましてこれを大体月に直しますと約五千円くらいになるだろうと推定されるわけであります。いわゆる定期で働く勤務時間以外に五千円くらいの金額は出ている。それを加えて今言ったように、鉄鋼賃金は非常に高いのだと、よく新聞にも発表されておるようですし、また、経営者も言っている。われわれはこれを具体的に内容を分析いたしますとそのように考えられるわけであります。  さらに御承知のように、鉄鋼労働者は重筋高熱作業でございまして、他の産業と比較して全然問題にならないような非常な体力の消耗をするのであります。さらにこの中に加わるものに深夜労働がございます。鉄鋼のいわゆる銑鉄を作るところ、製鋼、圧延、それぞれ主要部門がありますが、これはほとんど三交代または二交代で一昼夜二十四時間連続に作業をやっております。そうなりますと、当然深夜労働に従事いたします者は、これに対する当然の割増し賃金がつくわけであります。これももちろん、ただいま発表された金額の中に含まれ、いわゆる定時間と申しましてもその中に深夜業があり、その深夜業に従事するそのこともこの賃金の中に含まれているというのであります。今申し上げましたように、深夜業をやりますと、体力の消耗、神経の著しい消耗を伴うのでありまして正常な社会生活、いわゆる家庭生活を、これによって著しくそこなうものであります。定時間に対するところの、今言った五千円加わって大体二万円という金額は鉄鋼全般において出されておりますが、このような過勤務、それから深夜業、こういうものを含めて出されておると同時に、二万円の中には、今申し上げましたように、深夜作業が含まれておる。そういう点を考えますと、決して経営者が言っておりますように、鉄鋼賃金は非常に高賃金である、他産業に比較して非常に高いということを申しておるようですが、これは全然われわれとしては問題にならない一方的な発表であるというように考えざるを得ないのであります。で、まあ鉄鋼の、今申し上げましたように、大体製造業に対して一五六ですかくらいに当るということを言っておったようでありますが、私たちが以上の点を考えまして、大体ではどれくらいに鉄鋼産業賃金が当っておるかということを一応われわれとして検討いたしました。  まず、今申し上げましたように、労働時間の相違その他はございますが、御承知のように、鉄鋼業では、その産業がほとんど大工業であります。普通の中小企業の比較ということもきわめて少いのでありまして、中小企業の比重は非常に少いのでありまして、製造業全体では大体三百五十万人の中の四〇%に当る百三十八万人が大体規模五百人以上の大経営で働いておる、鉄鋼業では。そういう中で大体考えますと、五百人以上の経営でほとんどが働いておるということで、それをまず第一に基準にとらなければならないのではないかと考えております。  さらに男女の働いております内容を見てみますと、もちろん男女同一労働、同一賃金でございますが、現在鉄鋼のような重筋高熱作業というものは、なかなか女子には適しません。だからどうしてもほとんどが男子の従業員であります。約三分の一女子従業員が働いておると言われておりますが、鉄鋼の場合はほとんどが男子の従業員、その男子の中でさらに五百人以上の経営に働いておるというような問題、そういう点を総合いたしまして、所定労働時間、今言ったように過勤務を含み、さらにそういうものを一切含んだのではなくて、一時間当りの労働賃金は一体幾らになるかということをわれわれの方で検討いたしました。その点から見ますると、まず第一に金融、保険、第二は電力、石炭とずっと見まして、鉄鋼の一時間当りの賃金は十一番目に位いたしております。それは、先ほどこれも御発表があったと思いますが、製造業一〇〇に対しまして鉄鋼賃金は一〇八であります。金融、保険等は一応一五〇、一四五、一二九とそれぞれずっと出ておりますが、われわれが一時間当りを計算いたしますと、製造業一〇〇に対して一〇八という数字が出ているのであります。これなども総体的に見た賃金比較でなくて、われわれ具体的に私たちの働いている大体の内容を分析した結果でありまして、そういう点を考えますと、経営者の言っているところの他産業に比較しての賃金が非常に高いというようなことを言っているのはわれわれは当らない、かように考えておるのであります。それからさらに、私たちが今度の賃金要求いたします内容は、以上のような点から労働者は非常に苦しい生活をしている。いわゆる重筋加熱作業をやり、しかも深夜作業をして働いておる労働者は、非常に苦しい生活をしている。だから何とかしてこの苦しい生活を少しでもいわゆる再生産のために、明日の生産のためにわれわれはやはり賃上げをしてほしいというのが組合員全体の気持であります。そういう観点から特に今回の要求に対しては世論調査をいたしました。世論調査約二万人、十人に一人のあれで全部集まったわけですが、これを全部をもとにいたしまして、ここで集まった世論調査内容は大体三千円から五千円の賃上げがほしい、これは統計で全部表に表われて参っておりますが、こういう意見が出て参りました。しかし、われわれはやはりいろいろな情勢を考えまして、三千円ということで一応組合員の考え方を押えまして、そうしてこれで要求しようというのが鉄鋼労連できまった方針でございます。そういう方針に従いまして会社要求をし、さらに今日まで団体交渉を続けてきて、さらに回答が出ないのでこのままストライキを始めておるというのが実情であります。鉄鋼労連が何か統一的な一つの規約の改正をやって、さらに今度の闘争は何か幹部だけでやっておるのではないかというような批判があちらこちらにあるようでございますが、これはもう私が申し上げるまでもなく、今申し上げましたように世論調査からこれを知り、さらにこういう今度の戦いのやり方をきめますということで、中央で決定いたしましたことを組合員一人一人に一般投票でこういう戦い方をきめたわけでございます。だから決して何か事新しい今度の闘争方式のように考えられておる方があるかもしれませんが、決してそうではございませんし、従来と何ら変るところのない全組合員一人々々が個人の意思による投票によってその棄約が今回の戦いはぜひこれでやってほしいということで、鉄鋼労連が一本になって今回の賃上げ要求をし、こういう戦い方をやっておるというのが鉄鋼実情でございます。さらに各社の利潤の問題その他についても、ここで一応具体的に数字をあげてございますが、二十五年から三十一年の六カ年の大体一人当りの方がはっきりわかると思いますが、一人当りが一カ月で七千五百二十円の従業員一人当りの利潤の金額が出て参っております。隠し利益を入れますと、一万一千百九十九円という数字が出ておりますが、一応これを抜きにいたしましても、これが三十一年になりますと、一人当り二万七千四百六十三円の利益が出ております。これは今の八幡をあげましたが、富士、日本鋼管、住友、大手ずっとこうあげましてもそれぞれ非常に膨大な利潤がずっとこう算術的にあがってきておるというのが、これが現在の鉄鋼状態でございます。こういう中で非常に不況だということがいわれておりますが、なるほど最近の事情を見てみますと、今よく新聞に出ておりますように、多少の神武以来の景気だという点に比較すれば違った面が多少現われてきておるということもわれわれは一応うなずけるわけであります。ところが、鉄鋼状態は、従来からいわれておりますように、半年先をはっきり経済状態を指摘するものが今まで一体あったかどうかということであります。私たちは従来の経験からさらに現在の不況だといわれておる生産状態から見てこれを考えますと、決して現在経営者が言っているように、神武以来の不況だというような言葉を使っておりますが、全然問題にならない、いわゆる生産計画をごらんになればはっきりわかると思いますが、ほとんど変っておらないような生産計画、今までの景気のいいときとほとんど変っておらないような生産計画がそれぞれ大企業によって打ち出されておるということがまず一点言えるのではないかと思っております。それから定期昇給があるということをこれも会社がよく言っておりますが、では定期昇給とは一体どんなものかということでありますが、鉄鋼は昔から定期昇給という制度がございます。定期昇給がもしわれわれの中にないといたしますと、現在、今私が申し上げましたが、大体一カ月過勤務一切のけまして月に二万円の賃金をもらっております。これがもし十年間定期昇給がなかったといたしてわれわれの賃金は一体幾らになるかということであります。これは御承知のように、定期昇給いうものは決して賃上げではございません。鉄鋼では五十五才になると年満になります。五十五才になるとやめなければなりません。そうすると、日本の今の賃金形態ではやはり初任給は非常に安い、そうして二十年、三十年と勤めているうちに少しずつ賃金が上ってくる、そうしてこれの平均が今申し上げた二万円ということであります。最高の者と最低の者を含めて二万円であります。だから給料の高い人はやめていく、新しく給料の安い人が入ってくる。そこで初めて高い人がやめ、安い人が入ってくるので、いわゆるおのおの自分のある一定の昇給率がきて、その昇給したことによって二万円という賃金ベースが保っているわけなんです。だからもし定期昇給をこの労働者の中からのけてしまうということになりますと、鉄鋼平均賃金はどんどん下って、今から五年、十年たてば二万円が一万八千円になり、一万六千円になり、一万五千円になる。最後には一万円以下になってしまうといっても過言ではないんではないかという状態であります。だから経営者が言っているところの定期昇給があるから賃上げには応じられませんということは、これは全然議論にならない問題ではないかと私たちは考えているわけであります。まずそういう観点から私たちのこの要求に対して経営者が言っていることは全然問題にならないというふうに考えております。しかし、私たちは、もちろん労働組合だけが、何もかにも労働者だけがいい生活をしようとは思っておりません。真剣に国民経済の正常な発展ということを希望し、これに注意を払っているのはこれまた当然であります。私たちはそういう観点から見て、国民経済の面から見ても、決してわれわれの賃金要求が不当なものではないということを考えて合同の要求をいたしているのであります。  最後に申し上げたいのは、ではなぜ経営者がゼロ回答をしているのかといいますと、これは先ほど客観的ということで言われたようですが、そういう理由でいたしておりますが、私たちが見るところでは決して金が出せないから賃上げをやらないのではないということであります。なぜそういうことを私たちが申し上げるかと申しますと、中には今申し上げましたように金がないはずはない、これだけもう利潤をあげている、しかも今までのあれを考えて他産業に比較して決して高くはない。理由はいろいろつけておりますけれども賃金が出せないから出さないのではなくして鉄鋼労連として、いわゆる労働組合が一本になって産業闘争として戦っている。しかも第二次合理化計画をやらなければならぬ、第二次合理化計画をやるためには、労働者を自分の思うように使わなければならぬ。そのためには労働組合を弱くして、力のないようにしてしまって、そうして自由自在に組合を、いわゆる組合員を使うことができ、従業員を自分の思うままに使うことができるというような政策にやっていきたい、こういう、意図がなければ、今度のこの賃上げ要求も何もこんなに経営者がゼロ回答を続ける必要はないんではないかというふうに考えます。いわゆるこの政治闘争というのは、われわれ労働組合はこの要求にわれわれの満足する回答が出れば直ちにストライキは中止いたしますし、従来に増しての生産に邁進いたします。しかし、そうではなくて、むしろ経営者の方が十分経営者同士が話し合って、何とかして労働組合を弱体化しようという意図のもとにこういう方針を出している。一例を、これは具体的な例でありまするが、申し上げますが、日本特殊鋼管というのがこのすぐ近くにございます。ここで私たち団体交渉をやりまして、本部からも役員を派遣いたしまして一緒に団体交渉をいたしました。相手は総務部長とそれから技術関係の重役が出て参りました。そこで二十三、四日のストライキを何とかして延期してほしい。これは今言ったように、一般投票によって中火でストの一切の権限を持っております。そういう相談を受けましたわれわれは、従来の例から見ましてもストライキをやめよ、そうすると、金を出そうというのがいつも言われる常套手段であります。しかし、やめるとなかなか出さないというふうな、今まで何回ものにがい経験をなめておりますので、これはよほど用心しなければならぬ、また、口先だけでだまされるんじゃないかという気持ちがございましたけれども、われわれは何もストライキが目的ではありません。われわれが賃上げの点を要求するのは、それぞれお互いが話し合いの中から結論を出し、そうしておさめるのがわれわれの大体気持でございますので、いろいろ問題はございましたが、ストライキを中止いたしました。そうしてそのときに、二十五日には必ず回答いたします、で、その回答も、五十円や百円のそんなばかげたものではございません、大体世間並みの考えられるものを出しますという、はっきりした約束をいたしましたので、私どもの方は中止指令を出しました。そうしてストライキをやめさせたわけであります。ところが、二十五日の日になりまして、さらに交渉を続けて参りましたところ、全然回答は出して参りません。で、言うことはどうかと申しますと、今度は鉄鋼労連の統一闘争からはずしてもらったらどうだ、そうでないと、なかなか回答が出せませんというのが経営者の言い分であります。私たちこういう今までの交渉内容を見てみましても、いかに経営者が不誠意であり、一体どういうことを考えてわれわれの労働組合に対処しているかということを痛切に感ぜざるを得ないのであります。  こういう点を申し上げますと、今申し上げましたように、やはり経営者の方が十分横の連絡をとりながら、一経営に対しては、十分出せる力がある。出せる力があるからこそ、出しますということを言っているわけです。ところが、そういう力がありながら、別な力から、出すことをちょっと待てと、言われたのか、それとも、話し合いかでこれは一つやめようではないかといったのかもしれませんけれども、社長が帰ったと同時に、そういうことで回答は拒否してきた。で、組合員は憤激いたしまして、現在引き続いてさらにその後ストライキに入った、こういう状況もすでにこの鉄鋼労連戦いの中に現われております。  だから、こういう点を考えてみますと、むしろ金が出せるとか出せないとかという問題ではなくて何かそういうような面に大きな意図を持って今回のわれわれのこの賃上げ要求に対して対処してきているのではなかろうかというように私たちは考えるわけであります。  以上いろいろと申し上げましたが、足りない点もたくさんあると思いますが、時間の関係もございまして、一応以上の点、経過を御報告いたしまして、御質問にお答えいたしたいと考えております。
  11. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうも御苦労様でした。     —————————————
  12. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 質疑に入る前に、委員異動報告いたします。十一月六日付をもって藤原道子君が辞任され、その補欠として横川正市君が選任されました。     —————————————
  13. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それではただいままで御意見をお述べを願いました参考人の方々に対し、質疑を願います。
  14. 片岡文重

    ○片岡文重君 水津さんに簡単なことですが、ちょっとお伺いいたします。  先ほど定期昇給の率は年三%とおっしゃったようですが、これは私聞き違いじゃないかと思いますが、年三%ですか。
  15. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 七百円から八百円くらい上げておりますかね、それは基準内でございますから。そのほかにまあいろいろなはね返りがきますので、実質的には三%くらいに当ると想像しております。
  16. 片岡文重

    ○片岡文重君 その三%というのは、賃金総額に対して三%ですか。
  17. 水津利輔

    参考人水津利輔君) ええ、賃金総額に対してです。
  18. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると、先ほど水津さんのおあげになりました、平均月収三万円という数字をあげられておったようですが、この平均月収三万円に対して三%というお話ですか。
  19. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと参考人の方、発言される場合は 委員長の許可を得てから発言を願います。
  20. 水津利輔

    参考人水津利輔君) はい。
  21. 片岡文重

    ○片岡文重君 三%という数字は、先ほど参考人がお述べになりました、平均月収三万円というお話であったようですが、その三万円に対する三%という意味なんですか。
  22. 水津利輔

    参考人水津利輔君) その通りです。
  23. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 水津さんにお尋ねをしたいのですけれども水津さんは冒頭に、鉄鋼業者の当事者でないような印象のお言葉を言われ、そうしてまああとでは今の状態についてお話になったのですが、この鉄鋼連盟常務理事鉄鋼連盟の中の労働局長ですから、きょうは鉄鋼連盟を代表しておいでになったと思うのですが、その点はどうなんでございましょうか。
  24. 水津利輔

    参考人水津利輔君) すわっていてよろしゅうございますか。
  25. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) はい。
  26. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 先ほど私が申しあげましたのは、鉄鋼連盟労働局長としての調査研究責任者ではありまするが、今度の争議当事者ではないと、はっきり申したわけでございます。でありますから、連盟労働局長、あるいは常務理事としてきょう発言しておりますけれども、それすなわち、今度の賃上げ争議当事者ではない、こういう意味でありまして、連盟というものと、連盟の任務というものと、それから今度の賃金争議当事者であり、責任者であるという意味との違いを申し上げたわけでございます。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうなりますと、今度の争議の問題は、個々の会社だということですか。
  28. 水津利輔

    参考人水津利輔君) そうです。
  29. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 しかし、今の争議を私たちが見てみますと、鉄鋼労働者は同じ、利害共通な立場に立って一緒にこの問題を解決しようとしておる、鉄鋼連盟自身としても、私はこの問題については軌を一にして同じような立場をとっておられる。そういうことになりますと、やはりこの問題は、大きくいえば鉄の連盟とは即言えないにしても、業者全体とその中の労働者が一体になって話し合って解決しなければいけないと私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  30. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 鉄鋼連盟ができており、その中に労働局が置かれておるということは、労使関係を最も円満にして労使が協力して産業の発達及び労働者の利益を増進するようにしたいというのが目的でありますから、私ども労働局を維持しておる趣旨なり、活動の目標はそこにあるわけです。しかし、今度の労働争議というものは、そういう理想を持って働いている中での、今度は経済問題として会社組合との争いになっておるわけでありますから、その争いの当事者になるかどうかということと、連盟自身の仕事をするということとは、全然違うわりであります。ことにこの労働争議というものは、御承知のように、労働法に基づいた一つの法律的行為であり、経済的行為でありますから、鉄鋼連盟は今のところではそういうような経済行為をしたり、あるいは労働争議当事者となることを認めておりません。そういう資格を与えておりません。だからまあ何といいますか、われわれの活動の目標としてはお話通りでありますけれども、実際問題としては、その与えられた資格の範囲で区別していかなきゃならないと思っております。
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうなりますと、まめ問題になってくるのは、水津さんの発言にありましたが、どうも今度の闘争賃上げと言っておるけれども組合が一本になって一つの意思を決定してやってくることは、経済闘争以外の闘争のように感じられるというようなお言葉がありました。それからもう一つのお言葉の中に、特異状態であって、労働者が意思を統一して交渉し、それからその規律に従うことは、まるで世の中にないようなものの考え、こういうことは間違っておるのだ、こういうお話があったと思う。で、私はまあ水津さんも今まで非常に労働の問題については、経営者立場からでございますけれども、いろいろと今日の日本ばかりといわず、世界の動向を見ても、産業別労働組合の結集といいますか、そういう形の中で同じ労働を提供する中で同じ生活をしていこうという考えが、だんだんと産業別な統一結集になってきて、争議の形態、話し合いの形態、大きいもの小さいもの含めて、そういう形で労働条件の問題が話し合いされ、団体交渉されているということが私は世間の今の常じゃないか。そういうものは何ら不思議でなく、当然の行為として行なわれておる、だからそういう交渉団体交渉が行われるということについては、行動権の問題は、その組織の規律の中にそういうものがあってこそ、初めて私は意義があるものであり、経営者自身の方におきましても、やっぱりそういう連携の中で待機されるということが今日の状態であると思うのですが、どうも水津さんのお話しを聞いておると、それが飛躍をいたしまして、まるで下部批判することを一つも与えていないような批判をされたのですが、どうも私は心外にたえないのですが、その点どうですか。
  32. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 今の点は私の言葉が過ぎたのか、それとも藤田委員の聞き方が少し過ぎたのかわかりませんが、もう一ぺん念を押して言いますと、特異な点を二つ私が申したのは、特異な点というのは二つあるのですが、一つ経済闘争のことですが、私が特異だというのは、賃上げは、賃金が少い、あるいは生活が困難だから賃上げ要求する、それからまた、経営者の方にも支払うだけの能力があると見るから賃上げ要求するということならば、これは普通の世間一般考え方であろうと思います。ところが、先ほど申しましたように、今度の場合は景気、不景気、好、不況にかかわらず、われわれは賃上げ要求して実力で戦い、取るというような意味の方針がきめられたように記憶しておる。この経済状況とは関係なく賃上げ要求するといわれるところがどうも特異なような気がするし、どうもひょっとしたら政治的闘争のようなにおいがするという意味のことを申したわけです。  それからもう一つの、労働組合か統一を固くすることがおかしいと言うのは変だと言われた点でありますが、この点も、私も鉄鋼労連規約改正をして労働三権の集約されたことは、これは異例ではないということを申したはずであります。ただその裏づけといいますか、これは指令を出した以上は、各単産は機関によってその上部指令批判したりあるいは変更するような審議をしてはならないというような意味の申し合せというか、示達というようなものが出たように記憶する、それをまあ打ち割ってみれば、指令が出た以上は下部の大衆は、まあこそこそ話や不満をやることはかまわないけれども機関相談によって、今まで前例もありましたように、一つ指令を返上しようじゃないか、この辺で戦術を転換したらどうかというようなことを、各単産で相談するような自由を束縛されたのではないか、そうだとすれば、これはまたうっかり申し上げるとしかられるかもわかりませんが、あまりに大衆の批判なり要望を普通の例よりも抑え過ぎているように見受けられるのじゃないか、こういうことを申し上げたのであります。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その二つに分けておっしゃいましたあとの方の問題は、私はやはり労働条件を改善する、労働条件を上げていくために団体交渉その他の手続がある、手続があればそれは決して幹部から押しつけたような格好で十何万という組合員がそんな規律に従うはずはないわけです。一人々々の組合員の意識が上へ上ってきて、ピラミッド的にこの意思で物事を行おうという立場から問題がやられるのであって、だから十何万の人が全部がきめたその方針の規律の中に置かれるということは何ら不思議でない、批判が出てくるならば全部の中から批判が出てそうしてまた正しい方法が行われる、これが一般的な普通の民主的な団体の運営の方法だと私は思う。それを取り上げてこういう御批判になるのは、僕はどうも筋にはならぬ、僕は理解できない。  もう一つの、先の問題から、不況なのにやるから経済闘争でないとおっしゃいますけれども、たとえば鉄鋼の生産計画、投資計画というものは今まで変更されていない。さっき組合西口委員長お話によると、三十一年度に、今日の賃金その他を総合して付加利潤といいますか、二万七千四百六十三円もあるということが、組合調査で言われた、そういう中からその今の三千円の値上げなんというものは、この中から、組合が今の経営の実態というものを考えて、今の生活のぎりぎりの問題だけ解決してもらいたいという要求をされるのは、私は、私の考えからいくと当然だと思うのです。それが経済闘争でない、政治闘争だというふうに頭からおっかぶせてこの問題を見られるということが、どうも私にはわからない。そのことをもうちょっと聞かして下さい。
  34. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 今の前段のところが藤田委員と私の見解の差でありますから、これ以上、時間をつぶすのはやめまして、三千円の要求が妥当であると思う言われました中で、先ほど西口委員長お話になった、現在の賃金が二万五千円何がしである、それに対して三千円の要求は適当であるというように今お話しになったかと思いますが、そこで、私さっき前段で申し上げましたように、今の争議中心であり、重点であり、これを解決するかぎはどこにあるかというと、鉄鋼業全体の問題ではなくして、五社の争議をどうするかということにある。五社以外のところは、すでに大和製鋼などのごときは相当の金額を上げて妥結しておるわけであります。でありますから、そういうところは上げるだけの理由があり、会社側も上げるだけの負担力を持っておると思うから上げたのでありましょう。だから鉄鋼全体が、ゼロ回答をしておるわけではありません。ゼロ回答を堅持しているのは五社だけと大体見ているわけであります。ところが、先ほど西口委員長お話になった二万五千何がしというのは、五社のものではなくして、鉄鋼業全体のものであります。でありますから、私がるる申し上げましたように、問題の五社の賃金というものは二万五千円ではなくして三万円以上でございます。だからその点だけは議論は別として、数字の根拠だけははっきりと一つ分けて御理解を願いたいと思います。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それではその問題は一応打ち切りまして、たとえば設備投資の関係、この問題を一つお聞きしておきたいのですが、設備投資と賃上げ関係とか、自己投資の中の自己資金関係ですね、こういう問題がどうなっているのか、または賃金と生産性の問題なんかの関係はどうなっているのかということを、西口委員長からちょっとお聞かせ願いたいと思うのですが。
  36. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連して。西口委員長に質問がありましたから……。先ほど西口委員長の述べられました二十五年から三十一年までの一人一カ月当りの利潤ですが、こういう点についてもう一ぺん書き取れる程度におっしゃって下さい。
  37. 木島虎藏

    木島虎藏君 関連して西口さんにお伺いしたいのですが、先ほどお話になりました賃金ベースは、二万五千円幾らというのが水津さんのおっしゃったようなことであったかどうかということと、それから今同僚委員から御質問のありました、一人当りの利益、これは先ほどお話では八幡を例にとられたようですが、二万五千円何がしに相当する、その資料をとられたその会社の一人当りの利益がおわかりになったら一つお聞かせ願いたい。
  38. 西口義人

    参考人西口義人君) 質問がたくさんございましたので、足りないところはもう一度質問していただくことにしてお答えいたします。生産性と賃金関係がどうなっているかという御質問だったと思っておりますが、現在まあこれは日経連から発表されておるのは、生産性に比較して賃金の方が非常に高くなっておる、いわゆる賃金の上昇率が高いんだということが、たしか何か新聞か、出ておったことを記憶しております。だからおそらくそういうことではないかと思いますが、まあ現在鉄鋼賃金内容とそれからまあ生産性を比較してみますと、これは具体的にここに数字がございますので、これを読み上げてみたいと思います。具体的と申しましても、簡単でございますので、鉄鋼連盟発表に——これは水津さんもおいでですが、鉄鋼連盟発表しておる生産労働関係の諸統計に基いて、鉄鋼業に従事する労働者——いわゆるこの中には事務、技術員、職員も加わっておりますが、これを含んで一人当りの生産量の推移をここ数年間について一応見てみることにいたしますと、昭和二十六年を一〇〇といたしまして、三十年には一五五になっております。それから三十一年には一九二になり、三十二年には——四月から六月において一応検討してみますと、二四〇に生産量は上っております。だから二十六年一〇〇にして、最高二四〇ということに上っております。だからまあそうなりますと、いわゆる二十六年に比較して約二・六倍というのが生産性の上昇率であります。ところが、賃金の方はどうかと申しますと、二十六年における——いわゆるこれは名目賃金でございますが、水準を一〇〇といたしまして、三十年には一三八、三十一年には一五二、三十二年四月から六月を、比較いたしまして一六〇、いわゆる一・六倍であります。だから二・四倍対一・六倍に一なっております。こういうふうになっておりますが、まあ労働生産性は、このように六年間になってこの比較になっておりますけれども、労働生産性は大体物量的な使用でありまして。これを対比するには賃金実質賃金をもって大体充てるのが本来の比較の仕方であると思います。この考え方に従って名目賃金のかわりに実質賃金をもって生産性との関係を比較いたしますと、賃金の相対的な点については、生産性二・四に対して実質賃金は大体一・三というようになっております。だからこういうふうに、日経連では生産性を上回った賃金の上昇率でやっておるということをよく発表されておったようでありますが、鉄鋼に限っては二十六年に比較いたしますと二・四倍に達して、実質賃金は一・三倍しか上がっていないというようなのが、これが実情であります。  それから利潤の問題で、先ほどもう少し数字をはっきり言ってほしいということを言われましたが、実はここには全部表を持ってきて……今現在ここへ大手五社のみ一応出しておりますが、だから大手五社、八幡、富士、日本鋼管、住友金属、神戸製鋼というこの実は五つのだけをここに表としては出しております。その他のものも出てはおりますが、ここに全部あれいたしておりませんので、その点だけをさしあたって申し上げておくことにいたします。で、二十五年から三十一年の公表利益が一カ月平均大体……一カ月ではなくて一人当りの方を申し上げた方がいいと思いますが、表は一応お配りすればよかったんですが、一人当りの金額が一カ月に七千五百二十円になっております。これが八幡であります。それから富士は一人当りが一万三百五円、それから日本鋼管が七千二百三十二円、それから住友金属が一万百七十円になっております。それから神戸製綱が九千七百三十五円になっております。これが三十一年度の最高ですが、三十一年の下期で従業員一人当たりの一カ月の利益は、八幡製鉄で二万七千四六三円、それから富士製鉄が三万八千八十一円、日本鋼管が二万八千二八九円、それから住友金属が二万三千十三円であります。神戸製鋼で四万七百五円になっております。もちろんこれは一応大手の五社になっております。で、まあ以上申し上げましたように、さっきの質問が利潤の問題で関係があったと言われたわけですが、こういうふうに過去の例を——多少上下の差はございます。その年度によりまして利潤の多少変動はございますが、総体的にずっと平均いたしまして非常に大きな利潤が平均的にずっとすでに統計的に表われてきておるということであります。そういう点からいきまして、われわれは利潤の面からいきましても今度の賃上げはまああれではないということを先ほども申し上げたわけであります。  それから賃金ベース大手五社だから大体そうかと言われましたが、これはまあ私は鉄鋼労働者を全部含めまして申し上げました。  それから今大手五社で、ほとんどあとは終っておるということのようですが、一応回答が出たのは大和製鋼、それから尼崎製鉄、大同鋼板の三つであります。この三つですが、これはもうほんとうの中小ですが、これはまあ大体普通富士系列と言われておるところですが、この三つが出ておりますが、これはさっき私が申し上げましたように、とにかく回答が出て、われわれはよろしいと思えばいつでもストライキを中止させる、妥結させる意思を持っております。まだ妥結はいたしておりません。これは二、三日中に妥結する状態になるだろう、また、そういう資料を出したいと思っておりますが、今水津さんが妥結したと言われましたが、妥結はいたしておりません。まあそういう中であとのほとんどの他の中小は一切まだ解決いたしておりません。ほとんどがゼロ回答であります。この点は間違いのないようにはっきり申し上げておきたいと思いますが、賃金先ほど申し上げましたように、なるほど三社は三万円と申しましたが、これも私が申し上げました過勤務が入っております。いわゆる残業、早出、休日出勤——いろいろな休日、いわゆる日曜、祭日に出まして、三交代ですから、鉄鋼には日曜も祭日もございません。これは年中無休で正月もどんなときでも休まないで二十四時間働いておりますから、こういう賃金が全部一切入っております。それから今申し上げました夜中も仕事をいたしておりますので、過勤務の手当も入っております。そういうのを含めまして——大手五社平均とは申しません。平均は三万円になっておりません。一番高いところで大体そういうものも一切含めて三万円、富士、住友、神鋼、大手五社の賃金はそれよりずっとまだ安い。今平均三万円には、幾ら考えてもすでに統計が出ておりますので、これはまあごまかしのきかないことをはっきり申し上げておきますが、これは平均ではございません。いわゆる一番鉄鋼で、全鉄鋼産業最高の経営の会社で大体そういうものを一切含めて三万円にいっておる。その他のあと四社——四社というか、会社は必ずしも三万円にはいっていない。今、言ったように、大手五社といえどもまだまだ多少それよりか下回ったところがたくさんあるということであります。だからその点には私が初めに申し上げましたのは鉄鋼全体の、今度の賃上げ要求をしております全部の鉄鋼労働者平均賃金実情を申し上げました。今のお答えでは大手五社を一応そういうふうに申し上げたのであります。
  39. 木島虎藏

    木島虎藏君 それに関連してでございますけれども先ほどお話を聞いておりますと、このたびは統一闘争とかいうやつをやっておられるそうですが、今の西口さんの数字を伺いますと、非常に大手五社だけでもでこぼこがありますね、種々の。それで、その鉄鋼業というのは設備関係、製品の関係、それから歴史でなかなか単一にいかぬじゃないか、事業内容が。その結果が今このおっしゃった数字に出ておるのだろうと思う。そこで、ほかの石炭産業であるとか、電気産業のようにこの何といいますか、同一性ですね、電気産業でも、石炭産業でも個々の産業はやはり事情が違うと思いますが、それ以上に鉄鋼産業では個々の産業において収益率と申しますか、いろいろのことが非常に違うのだと思うのです。その違った結果がここに出ておるのだが、それを統一闘争とかいうので一律に上げろというところに、何か私どもぽかっと聞きましても無理があるように思うのですが、その点どうでございましょうか。水津さんと両方にお聞きしたいと思います。御見解を。
  40. 西口義人

    参考人西口義人君) じゃ私から先にお答えいたします。なるほど今おっしゃいましたように、必ずしも鉄鋼の企業が同一賃金と同一内容を持って、おるものではございません。統一闘争というものが関連して出て参りましたが、ところが御承知のように、経営者は今まで、かつて幾ら利潤をあげようとも、これはさっきちょっと具体的に御報告いたしましたが、こういうふうに幾ら利益を上げましても経営者の方から賃上げをやろうということはかつてないわけであります。これはそうだろうと思われます。先ほどあったように、できるだけ利潤を上げてこの利潤で合理化計画を次々と、新しい機械を作っていくだろうし、会社がそのまま大きくなっていく、さらにまたもうけていこうということで、そういうところで労働者賃金を分け与えるということではなくて、自分たち会社を大きくしていこうということに主眼をおいていくというふうな今までの行き方から見てわかるわけなんですが、そういう中におきまして、やはりわれわれはどうしてもこれだけの利潤を上げ、しかも組合員が非常に苦しい生活をやっておる、そういう筋肉労働で苦しい、だからどうしても賃上げをやらなければならぬという点で賃上げ要求をやったわけです。ところが、先ほど私がちょっと申し上げましたように、これは世論調査をいたしました。もちろんそれで満足なあれではございませんが、それぞれ今までやはり生活程度というものはどうしてもある一定の線でいくと非常に苦しい、食うか食えなくなるということになると多少爆発もあるわけでありますが、そういう点で多少の差があるわけなんです。それから、賃金の差はございますが、また、会社内容によっては多少勤労度の相違もございましょうし、これはそれぞれ多少別々はございます。だけれども、そういう中で、労働者は御承知のように、黙っておけば会社は全然賃金の上げもやってくれない、退職金もやってくれない、そういう場合はやはり団結してやらなければ、いわゆる個々では力がございませんので、一本になってやらなければとうてい経営者がある金を出さない、そういう点でわれわれはやはり一本にしぼる必要がある、だから労働者は、団結権を持ってここで会社要求しようというのが大体基本であります。そういう世論調査の中から一応三千円と五千円というのが出ましたが、そこで、できるだけ話し合いの中から、三千円ということ、もちろんこれは大手であります。中小は三千円ではございません。二千円から三千円の間という幅を持たしてあります。だからこの点はそれぞれ企業に見合った要求をした方がいいのではないか、ただ一律に規制をするのはやはり無理があるのではないかということから、中小の会社に対しては一律に要求はいたしておりません。それぞれ企業に応じた要求をさしております。ところが御承知のように、大手五社になりますと、先ほど私が申し上げましたように、ほとんど内容も同じだし、賃金においては多少差はございます。ございますが、これはいろいろ今までの慣例、いろいろな点がございますので、これは今回は線をそろえて同じ金額を要求しようじゃないか、そうしないとなかなか過去の例を見ましても企業内容が違いますが、この五社において五社と申しますか、ほとんど大手一貫三社でございますが、ここは一社がかりに七百円出せば他の二社も無条件で七百円出しておる。一時金もそうなんです。中元にしても、年末賞与にしても、一時金にしても、一社が出した金額とほとんどまるまる同じ金額を出しておるというのが今までの慣例であります。だからそういう中で、かりに差をつけて出してみても結果的に見て同じことだとわれわれ思っております。そういう点も考えまして中小に限ってはそれぞれ組合に見合った要求をしようではないかという要求のやり方をやっております。そういうところで今度の戦いを組んでおります。統一闘争ということが非常に気にかかるようでございますが、決してこの統一闘争というものは、これは諸外国、皆さん御承知通りだと思いますが、ここは社会労働委員会で皆さん専門家の方でございますので、私が申し上げるのは釈迦に説法だと思いますが、これはアメリカに参りましてもイギリスに参りましても、労働者の今までのやり方というものは、われわれが今度やっておるようなのがこれがほんとうの労働組合だと世界ではいわれております。今までの企業組合で、私はイギリスに参りましたが、イギリスでわれわれが言われたのは、お前らは御用組合じゃないかと言われたのですが、なぜそういうことを言われるかというと、いわゆる企業組合は御用組合に通ずるものだということを考えておるようです。これは日本と外国の違いでありますから、われわれは決して企業組合だから御用組合だと思っておりません。それが必ずしも悪いと思っておりませんけれども、そういう点が諸外国では言われておる。アメリカの現在のやり方を、昨年鉄鋼ストライキをやりましたが、この内容を見てみましても、むしろ私たちが今度とった統一闘争よりもさらに強力な、言い方によりますればファッショということを言う方があるかもしれませんけれども、そういう形態をとっております。これは世界各国の労働組合の常識でありまするし、組合の本質というものは大体こういうものである。今度の鉄鋼のとりましたものは、むしろまだまだ諸外国に比べたら、ほんとうに統一闘争というよりか、まだまだ明い戦いになっておるのではないか。だから決して組合員の声を規制するとか、絶対その意見をいれることができないのではなくして、これはやはり統制がございまして、全部が投票してきめてそのきめたことに従ってわれわれがやったことに反対だと一々言われたのでは、これは団体行動権もございませんし、団体としての力も何もありませんから、きめたことはお互いに守ろうじゃないか、お互いに投票してきめたことは守ろう、その結果は、時々刻々にいろいろの変化もあることだろうから、そういう意見もそういうときはどんどん意見として出してくれ、きめるという権限はないのだから、投票してやっておるのだから、それを判断してきめようじゃないか、こういう方式でやっておりますので、一切意見を言うことができないとか、こういうことではございません。
  41. 木島虎藏

    木島虎藏君 今のお話に関連して……。そういたしますと、先ほどの労働組合の論議は、これは私も意見がございますけれども、諸外国の場合と日本の場合は、産業構造なりあるいは歴史なり実態が相当違うから、そのままそれだけを持ってくるということは私どうかと思いますが、それはそれとしまして、今のお話で一たんきめたものはやるのだ、しかし意見があれば言え、こういうお話ですね。そこで、かりにある単産で、まあ私のところはこれで会社側と話がつくし、会社実情を見る、こういうふうに利益もかなり上り下りがあるのだから、大手三社はよく似ておるけれども、住友製鋼なり金属ですか、何か製品によっていろいろ違うので、おれのところはここで手を打ちたいというふうなことがあったら、あなたの方でそれはいかねとか、相談に乗ろうとか、そういうことはどういうふうになさるのですか。
  42. 西口義人

    参考人西口義人君) 内容になりますと問題になりまするが、私たち回答は具体的に出ないと何ともここで申し上げかねますが、これは単組の−考え方とか何とか、もちろんその組合の組織の実態、これは、こういうものは当然考えなければならぬ、これは常識だと思っております。だから、そういう意味でとにかく回答が出てきたという場合には、もちろん組合員の意向も十分参酌もいたしますし、それからそういう中から、一体こういう金額で解決していいのかどうなのか、全額出ればこれは問題ないわけなんですが、かりにどうなるかということは、これは解決する、しないにかかわらず、責任持ってこれは当然検討して、どうするかということに対する検討ですね、これは必ずやらなければならぬし、それからやる責任も負わされているわけなんです。そういう点においては、これは具体的なあれが出ないことには、それがどうだ、こうだと言うことは、この際私の口から申し上げるわけにいきませんけれども、かりに回答が出れば、この回答に対しては当然検討はする、当然検討しなければならぬということだけは、これははっきり申し上げて差しつかえないではないかと思っております。
  43. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 先ほど統一闘争に関する御質問が出ましたので、ちょっと申し上げておきますが、統一闘争労連が統一闘争でやられておるのですが、そのときに交渉の窓口を、労連が一本にまとまっているのだから使用者側の方も一本にまとまってほしいという意味の御希望なり申し入れがございました。まあたとえてみれば、鉄鋼連盟一つの窓口にしてほしいというような御希望がございました。この点につきましては、鉄鋼連盟と申しますよりも、鉄鋼経営者の総意として自分の会社のことはいろいろほかの会社事情が違うのだから、自分の会社のことを全部、内容も秘密もさらけ出して組合相談するのには自分の組合とやる方が一番いい、また、今までの実績もそうであった、こういうことから会社鉄鋼連盟交渉権を委任してそこで集団的な統一交渉をやらせるということは、認めていないわけであります。従いまして、そういうことは今の状況ではできないということでお断わりをしておるわけであります。  そこで、今度は私の意見でありますが、統一交渉というものは、組合側立場から見れば、今西口委員長の言われましたように、組合の本質的な方向であろうと私も思います。けれども日本鉄鋼業における争議の実例から見るというと、統一闘争という形式にあまりに、何といいますか、執着といいますか、強くなるがために、実際の争議でいろいろ悪い弊害が出ているように思います。それがまた争議をむずかしくしたり、長引かしたりする一つ原因になっているように思います。たとえば、先ほど西口委員長から、生産性と賃金のことについて数字をあげてお話しになって、生産性が増している割合よりも賃金の増加率の方がはるかに低いという数字をお話しになりました。この数字は私どういう根拠から出ているのかわかりませんので、直ちにこれに批判は加えません。けれども、これはおそらく製鉄業各社当りの総平均あたりの数字でやられておるのじゃなかろうかと思います。あるいはそうすればそういうようなものが出るかもわかりません。けれども先ほども申しますように、今の問題の中心であるところの五社の状況によって、五社についてこれを計算しますと、私の計算したところによりますと、先ほどの二十六年をもとにして最近の状況をやりますというと、生産性は一六九ぐらいに上っておるんです。生産性が一六九に上っておる。それに対して、賃金の上昇率は、総給与にすれば一九三、それから普通の給与にしても一八〇ぐらいに上っておるんです。ですから、生産性の率よりもはるかに上の方の賃金をやっている。だから、これは少し賃金が上げ過ぎたという観念がはっきりここで証明されておるんです。で、五社の経営者は、どうもその辺のことを自分でしゃっとそろばんをやっておりますから、確かに賃金は上げ過ぎている、だから、それを取り返すとは言わないけれども、これ以上ベースアップということは困ると、こういうように考えているらしいんです。ところが、組合側の方では、統一闘争でやっておられるんだから、そんな社別なんか考えない、鉄鋼業平均で考えるんだということになると、先ほどのような数字が出てまだまだ取り足らない、生産性を上げてやったのに何らくれない、こういうような考え方で、ちょうど両者がレールの複線を別々の線で走っているようなわけなんです。だから、いつまでたっても問題が解決しないというようなのが今の段階だと私は思います。だから、やっぱり、こういうような問題については、形式は統一闘争必ずしも反対しませんけれども内容については、もう少しやっぱり各社別な考え方でいく方がいいんじゃないかというように、私の私見としては思っております。この統一闘争日本で一番有名であり、一番ひどい争議をしたのは、石炭でございます。ところが、この石炭も、すでに統一闘争はいかないということで、先年やめてしまいました。経営者陣営は解散してしまったんです。まあそういうことがあることを申し上げておきます。
  44. 高野一夫

    高野一夫君 水津さんにちょっとお伺いいたしたいのでありまするが、あなたに対する当委員会における僕の質問は、あるいは非常に幼稚な質問かもしれませんが、この生産施設のいろいろのやりかえ、改善、あるいは、輸出その他のためのコストの引き下げ、そういうこともはからなければならぬというお考えは、これはもっともだと思うけれども先ほど西口さんのお話によれば、平均して一カ月に三十ないし三十五時間の残業、早出の時間があってそれに該当すべき報酬が大体五千円見当だ、こういうようなお話があった。これはおそらく全鉄鋼業平均数字かと思いますが、私が北九州方面のこういう方面の状態調査しました結果によれば、それは所と性質によって違うかもしれませんが、一カ月の平均残業、早出の時間というものは、場合によっては西口さんのお話の三十時間あるいは三十五時間以上におるものが相当ある。そこで、そういたしますれば、もしも三十時間ないし三十五時間に該当する報酬が五千円ぐらいということならば、さらにもっと多くの金額が残業、早出に該当する報酬になると思う。そこで、先ほどもるるお話がありました通りに、たとえば、溶鉱炉のごときは、もう大みそかも元日もないと、こういうようなわけで、あるいは二交代をやる、三交代をやる。そこで、そういうようなことでありまするが、その結果、たとえば、一酸化炭素の中毒をやる、あるいはつんぼになる、そのほか、ひどい煙塵がある、あるいは金属の粉末、ガス、そういうような特殊な状況の中で職員、従業員が働くわけです。そこで、そういうようなことを考えますれば、基本の給与、あるいは残業、早出の手当、あるいは交代制による手当といいますか、そういうものについては、鉄鋼関係では、他の産業に比べまして特別の考慮があるいは払われているのではないかとも私は考えるわけですが、おそらく払われているとは思いますけれども、払われているとするならば、他の産業に比べてどういう程度に数字の上においては表われておる、こういう点を一つ伺いたい。
  45. 水津利輔

    参考人水津利輔君) ただいまの点で九州の方のどこの例かわかりませんが、残業時間が三十時間ないし三十五時間月平均あるということは、私も、正確な統計を今ここに持っておりませんけれども、大体間違いはなかろうと思います。そうして、月にして二百時間から、多い所で二百三十時間くらいの労働時間をかせいでいるという事実は、私も間違いないと思います。ただ、その中には特別な例外的な工場もありまして、二百四、五十時間の所もありますけれども、まずまず、私どもは、全平均でとれば二面十時間くらいが鉄鋼実情だと思っております。そのオーバー・タイムの時間がそれじゃほかの産業に比べてどうかと申しますというと、これはもう労働省統計あたりでもはっきりと出ておりますように、鉄鋼だけが特に労働時間が長いような統計は出ておりません。鉄鋼でも、今から三年くらい前には、二百時間を切ったことがあります。百九十時間になったことがございます。ところが、幸いなことに、日本の全産業なり全経済が非常に活発になって参りましてどこの工場でも生産が足らないというようなことで、次第に労働時間がふえていくことは、全国的な情勢でございます。その中で、鉄鋼は、決して長くはありません。鉄鋼よりも労働時間の長い所はいくらでもあります。それじゃその労働時間に対してどういう待遇をしているかと申しますと、これは労働法準法で明かに、普通の時間外のときには二割五分なりの割増賃金を払え、深夜に対してはこういうように五割増しの賃金を払え、休日に出たときはこういうようなものを払わにゃならぬという規定がございまして、十分それ以上の待遇をしております。  それから今お話しの、特に鉄鋼だけ特異な割増しをしている所はないかというお尋ねでございましたが、私、今資料も持っておりませんで、どこそこの会社がどうやっているという明確な記憶を持っておりません。  以上でありましょうか……
  46. 高野一夫

    高野一夫君 これは、私は水津さんにお願いしたいのでありますが、他日の機会でけっこうでありますけれども、あなたの方でお調べになって、そうして、たとえば、私の申し上げるのは、その残業、早出の時間の長短ということだけでなくして、特に鉄鋼産業界においてのいわゆる単価ですね、報酬の単価、あるいは残業の手当単価、あるいは、基準法は別といたしまして、他の産業に比べてどういうふうに特別の考慮を各会社が払っているかどうか、こういう点についてお調べを願いたい。これは当然われわれの常識から考えれば、他の産業に比べてああいうような環境状態に働く職員、従業員に対して特別の考慮が払われるべきだと私は考える。そこで当然払っていると思うのだけれども、ただ総括的に一カ月の報酬が幾ら、平均幾らと、こういうことではわかりませんので、その内容分析がほしい。そこで私は三十時間、三十五時間のそういう規定外の労働時間ということも大事なことでありまするけれども、それに対してはたとえば基準法による手当の比率、そのほか交代制深夜作業の場合はどういうふうにしているか、それもほかの工業の場合と鉄鋼の場合とはどういう違いになっておるか、こういうことをわれわれは一つ詳細に知りたい。これは当然経営者側においてもあるいは労働関係においてもお調べになって、こういうことで実はお進めを願いたいわけなんでありまして、そこでもしも他の産業と毫も変らぬ状態にある、あるいは他産業と非常に違っている状態にある、そうすればこの問題の内容本質から考えまして、われわれの考え方は非常に違ってくるのであります。そこでくどくど申し上げるようでありますが、これは経営者側の方でお調べになった方が一番端的に資料が集まるかと思いますので、どうぞ一つ詳細にお調べになって当委員会にそういう資料を御提出願いたいと思うのでありますが、できましょうか。
  47. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 御希望の調査は後日やってできましたらお目にかけますが、それに関連してちょっと発言さしていただきたいと思います。  先ほど西口委員長から鉄鋼が高熱重筋労働である、深夜業やるから特別の労働である、それが三万円なり二万五千円の中に含まれておるというお説がありました。そこでいかにも鉄鋼はほかの産業よりも特にひどい労働を課している、そしてそれをほとんど考慮していないかのような印象を議員の方々に与えたのではないか、もしそうだとしたら、それは非常に錯誤だと私は思いますので、ちょっと説明しておきます。  私はもう四十年間製鉄をやった男であり、炭鉱にも勤めた男であります。だから坑内のことも製鉄のことも自分で汗と血を流した男でありますからよく知っております。確かに今から十年前の製鉄所というものは、重筋高熱作業が大部分でありました。でありますから、私どもは常に鉄鋼賃金というものは、ほかの賃金よりも高くなくちゃならないということを主張し続けた一人であります。しかし、今日では、少くもここ五年以来の製鉄所というものを、戦前の製鉄所と親しくごらんになればわかるように、私は高熱重筋労働という言葉をいつまでもいつまでも製鉄事業労働の代名詞であるように思っているのは、適当でないと思うのであります。それは今日ほんとうに行ってごらんになれば、私は、重筋高熱労働という名前はもうこの辺で世界でほとんど通らなくなってきた。むしろただいま新しい工場では、製鉄工場とは精密工場であるといった方が適当でございます。これは多くの工場へ行ってごらんになればわかります。新しい工場のごときは、靴をはかしても入れさせない工場さえあります。一度みんな上ばきにはきかえるというほどの工場さえありまして、非常にりっぱな工場になっていることは、一ペん皆さん見ていただけばわかりますし、だからといって私はそういうところは一つもないとは申しません。決してそうではないのでありますけれども鉄鋼労働即いつまでも重筋高熱労働という考え方は、一つこの辺でもう少し改めていただきたいと思います。  それからもう一つは、その一つの証拠としてくるのは、きょうは労働省の方も来ておられますからあとで聞いていただきたいと思います。労働からくる災害というものは、もとは製鉄所に非常に激しかったのです。重筋高熱労働であるから当然であります。ところが、最近どんどんそういうことが改善され、ことにこの六、七年間に長足な改善がなされまして、労働省統計でも最も災害の少い部類に鉄鋼は発達して参りました。そのために労災保険の料率もぐんぐん改正されているといわれるし、その改正には労働者側から出たところの委員も参加されて、そういうような改正が行われておる。  それからもう一つ、さらに積極的に経営者側は——先ほども申しましたように、福利施設、厚生施設というものは、業界でほとんど最高水準にまで進んでおります。福利施設に関する金は一人一カ月について五千円くらいの金を使っておるわけです。先ほど申しました賃金三万円のほかに福利厚生費に月に五千円使っておる。そういうことはどこでお調べになりましても日本の各産業最高水準であることは間違いございません。それを一つ御了解下さいまして、私の方から、今お話しになりました調べはやって御提出いたします。
  48. 高野一夫

    高野一夫君 私はまず水津さんに御注意申し上げたいと思うのですが、あなたは一つ言葉をお慎しみになった方がいいと思います。西口さんが何とおっしゃろうと議員が策謀に引っかかってああいう質問をしたというのは議員を侮辱するものだと思いますが、あなたはその失言をお取り消しになりますかどうか。あなたは明らかに策謀に引っかかってそういう質問が出ると、こういうふうにおっしゃる。あとで速記録を見ればわかる。これはこの委員会委員に対する非常な侮辱だと思います。その言をあなたはお取り消しになりますかどうか。それはそれでほんとうだとお考えになっておるのですか。
  49. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 今のお話ですが、私は議員の方が策謀によって質問されたというように言った記憶は全然ございません。もし速記録にそういことになっておれば、これは私はなはだ不徳の至りでございまして完全に抹殺していただくことをお願いしておきます。
  50. 高野一夫

    高野一夫君 明らかに策謀云々のお言葉があったので私は申し上げたわけあります。そこでそれは御訂正になっておるからけっこうでありますが、今、鉄鋼工業について私が先ほど申し上げたエンジンとかあるいはいろいろな金属類とかあるいはガスとか、その他いろいろなそういう不良の状況にあるということについて、あなたは反駁されたわけですが、八幡製鉄所の実情をあなたはよく御存じだと思います。現在なぜあれだけたくさんの金をかけて産業衛生の調査研究をしなければならぬか。あそこには専門家の人たちが大ぜいおられますが、そこで相当金をかけて日夜研究されてそうして産業衛生学会にいろいろな報告が出ております。これはわれわれ調べておる。ああいうような報告が出ること自体が、そういうような事業所がやはりそういう研究をし調査をしなければならぬという状態にあるということを証明しておるわけです。われわれはそういうことも調べて、専門的なことを調べていろいろなデータを持っておる。そこで先ほど来申し上げておるのであります。ただあなたが関係されたかどうか知りませんけれども、現在そういうような状況にはない。単なる精密工業というような状況にある、他の産業と違った特殊な状況にはないというような意味のことには私はとうてい承服することはできない。それはそれとして議論になりますからやめますが、十分われわれはあなたのお話お話として伺っておきますが、八幡製鉄所、そのほかの製鉄所あるいは鉄鋼工場における工場衛生、産業衛生、この面にいかに苦労し、いかに多くの調査研究結果が出ておるか、あの実態を考えました場合に、鉄鋼産業が他の産業とやはり違った状況にあるということは、われわれ学問的にそう思っておる。そこであなた賛成される、されないは別といたしまして、先ほど私が質問した条項は、われわれはそういう考え方を持っておるからああいうお尋ねをいたしたわけなんでありまして、その私の意見に御不満であるか、賛成であるかは別として、申し上げた項目についての資料を御提出願いたい。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の生産性と賃金関係において、非常に数字が違う。たとえば三十一年で二四二の生産性が上っているというのが、一六九である。この問題は私は専門家じゃありませんからわかりませんけれども、しかし、たとえばしろうとが考えてみても、賃金が一〇〇から一六〇というのに、水津さんは一九三だから払い過ぎると言われるのは、これは僕にはわからない。これは両者からお話を聞かしてもらわないとこの点はわかりません。一つお順いしたい。  それから生産費に占める労務費の割合というような問題ですね、こういう問題を、たとえば五社の問題でも全般でもけっこうですから、それを両方からお聞かせ願いたい。
  52. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 今のお話の生産性と賃金との関係ですね、この点は基本的には、私などは生産性と賃金とは直接結びついて、リンクして動くものではない、こういうように一応考え方としては考えております。しかしながら、ものの目安をつけるのには、やっぱり一応こういうことも一つの大事な計数であるとは考えております。そこでなるべく正確なものを出して皆さんにも御報告申し上げたいと思いますが、生産性と賃金との関係を調べることは、御承知のように、非常に困難なんです。だから、まあ一応の目安として見ていただきたいと思います。  そこで、西口委員長の話と私の申した数字との食い違いの根拠でございますが、これはここで一々やることは非常に困難でありますし、その基礎的数字は私ここに持ってきておりませんから、後日西口さんと一つ話し合ってみてどこで食い違ったか。大体西口さんは業界、鉄鋼業平均を言われ、私の申し上げたのは五社のを申し上げましたので、それ以上のことはあとで言わしていただきたいと思います。  それからもう一つのお尋ねは労務費の割合のことですが、これは私ども調べてはおりますけれども、どこまでそれをもって直ちに賃金そのものをはかるものさしに適当かどうかということは非常に議論がありますが、大体また会社によりまして非常な差があるのです。まあ少いところは一五%くらい、それからある会社は三〇%にもいく会社がありまして、一概になかなか言えない。だからこれが総平均でございますということは非常な誤解を起すと思いますから、私も申し上げにくいと思いますが、私どもが今一応の目安として見ておるところでは、まず一五%から二〇%前後くらいというところが大体一応の中庸のところだと思っております。それでどういう傾向をたどるかという点については、ここ数年相当上っていくことは確かであります。ことに三十年から三十一年、三十二年の春にかけましてだんだんと何パーセントずつかこれが上ってきているということは事実であります。こまかいことにつきましては、またあとで数字を必要であれば御報告申し上げます。
  53. 西口義人

    参考人西口義人君) 先ほど生産性と労務費の割合を私の方で申し上げましたが、これは私の方では鉄鋼としての平均賃金としまして——今大手五社ということで一応簡単に出されたようですが、大手五社は全部ここで数字を出しておりませんのではっきり申し上げかねますが、まあ私たちが申し上げておりますのは、いわゆる鉄鋼全体の、今度は、それぞれはもちろん会社によって内容は違いますが、要求いたしております。ところが、それに対して全部こういう形で、鉄鋼はこういう状態だという同じ同等をしてきておるわけです。ですから私たちの申し上げるのは、今言ったように、これも同じように鉄鋼会社一つ交渉をやって賃金を上げる。相手の方は全部一貫して同じように、やはり鉄鋼状況はこうだということを申し上げておるわけです。そうなりますと、やはり私たちは相手の言ったことに対して、それに対する資料は当然出すし、これによって経営者と話すというのも当然でありますが、そういう意味からも、鉄鋼労連というものが出した今の生産性と賃金の比率については、われわれとしては間違いないということを確信をもってお出しいたしたわけであります。だから、名目賃金実質賃金の差は、名目は今申し上げましたように大体二・四倍に比較いたしましてなりますが、実質賃金におきましては一・三倍ぐらいにしか上がっていないということになります。そういう点についてなぜ鉄鋼経営者は、大手と言わず中小と言わず回答を出さないかということは、先ほど申し上げましたように関連を持っておりますが、組合が政治的意図を持っているのじゃない、会社の方が政治的意図をもってこれを阻止しているということをわれわれとしては考えざるを得ないのじゃないかということを先ほどから申し上げているのであります。  もう一つは労務費の割合の問題ですが、今一五%ないし二五%、これは私もこの点をはっきり今のところここで言明申し上げるだけの実は何を持って参っておりませんが、大体諸外国の例といいますか、アメリカあたりの例を見ますと、大体三〇%以上じゃないかということははっきり今までのところいわれております。鉄鋼の場合、私もこれは的確に申し上げかねますが、一五%から二五%と申し上げましたが、大体一四・五か——一五になっているかどうだろうかと、私今のところいろいろ検討の結果そんな気がいたしております。おそらく一三ぐらいか一五か——ちょっとはっきり見当がつきませんが、こういう数字はどうもここで責任を持って申し上げかねますが、幾らかということは申し上げかねますが、これは水津さん専門家でございますので、私らが申し上げますより、統計その他をやっている専門家でございます。残念ながら私の方はしろうとでございますので、何ともここで数字をはっきり申し上げかねます。おそらく私の考えるところでは、一五%以下になっているのじゃなかろうか。これについては水津さんも否定されないのじゃないかという気がいたします。その程度だけは申し上げておきます。
  54. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 委員の方にも参考人の方にも申し上げますが、非常に時間も過ぎておりますので、簡潔に質問、答弁をお願いいたします。
  55. 山本經勝

    山本經勝君 水津さんにお伺いいたしたいのですが、冒頭に西口さんの方から公述のあった際にお話になった点で、端的に申しますと、大体今度の争議で今日までに二十万トンの生産減を来たした、各経営者に生産減による打撃を与えている。しかしながら、鉄鋼の需給関係は非常に市場等が金融の引き締め、あるいは売れ行き不振等の事情によって必要でない状態になっている、大体かいつまんで言うとそういうふうなお話のように承わっております。そこで考えますと、そういう状況のもとであって、つまり需給関係が非常に何といいますか、順調でない、どんどん売れ行くという状態でないから、ここで二十万なり三十万トン生産減が起っても、まあまあ鉄鋼業界としてはよろしいのである、従って争議もしばらく見送っておくと、こういうことではなかろうかと思いますが、そういうふうに受け取れたのですが、そういう点どうなんですか、一ぺん伺っておきたい。  それからもう一つ水津さんに伺っておきたいのは、その争議特異性の問題で、先ほども質問のあった点ですが、三つの大きな理由がある。一つは三千円のベースアップ並びに退職金の二百三、四十万円と言われたのですが、こういう情勢に逆行したものを目標にしたスケジュール闘争を組んでいるのではおかしいので、経済闘争とは考えがたいということが一点。それからその次は、今度の統一闘争において、下部の各傘下単産の争議権を押えて、そうしていやおうなしに統一闘争に封じ込んでいる。こういうような点も、私の言い方は非常に極端ですが、そういうふうに聞えた、そういう点から会社はこれに対してゼロ回答をしている。ゼロ回答した理由にはいろいろあげられておりますけれども、かいつまんで申し上げると、以上の三点が今度の争議特異点だ、こういうふうに承わった。そこで西口さんの方のお話を伺いますと、あの公述の際に言われた、鉄鋼労連をはずれるなれば話し合いをするぞという会社もあったと、こういうことを伺った。そうしますと、その間の関係を考えてみますと、なかなかこのままの形では急速に解決点を発見することも困難な状態だ、つまり要求は一方は三千円の平均賃金べース・アップ要求している。一方はゼロ回答。ところが、この争議が長期化すれば、水津さんの考え方いかんにかかわらず、やはり需給関係にも問題が起ってきますし、あるいは国の経済にも影響を及ぼすでしょう。従って、争議は早期解決することが望ましいし、われわれもそう思っております。ですから、その状態ではなかなか解決点を見出せそうもないのですが、どういうふうにしたら交渉が軌道に乗り、解決点がつかめるか、そこら辺はおそれいりますが、西口さんと両方から伺いたい。以上申し上げました二点を、まず第一点は水津さんの方からお答え願って、あと争議解決について、どういうふうにしたらいいのか、御希望があればどういうふうにしたらいいのか、その点を双方から一つお答え願っておきたい、こう思います。
  56. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 先ほど減産の問題でございますが、実は私一週間ほど前にメキシコから帰ってきたばかりでありまして、このことが非常に気になっておったのです。それで、まず六波まで進んでいって、七波、八波も実行指令が出ているというような話を聞きまして、それだけのことであれば一体どれくらい減産になったかということを聞いてみますというと、どうも連盟の集めた情報によると、どうも二十万トンぐらいになりそうなんです。そこで、それならば相当な経済界に悪影響を及ぼしているだろう。それならば、いつまでもこういうような労使がきつい、前例もないようなきつい争議を続けていくということは世間に対しても申しわけないことだから、その状況をはっきりとつかまなければいかぬというので、実は私夕べ九時ごろまでかかって関係者にそれらの情報を調べさせたのであります。ところが、減産は大体二十万トンという数字は大した見込み違いではなさそうでありますが、さて、それじゃ需給関係にどういう影響を及ぼしたか、それをはかる方法がなかなかむずかしい。けれども、私はまあ一応鋼材の各方面のストックの状況、メーカーなり、それから問屋なり、需要者側が持っている鋼材のストックの状況がどういうふうに動いていったか、争議前と現在を比較してみれば、非常に両方面に迷惑をかけているかどうかということがわかる。また、今後の、どこまでストをやったら経済界に相当な影響を及ぼすかという現在の見通しがつくだろうと思って盛んに私どもの方の調査力をあげて調べてみた。ところが、遺憾ながら夕ベの九時までにその明確な数字をとることができなかったのです。九月の末の数字、すなわち、争議直前の数字がまだ統計的に集計されておりません。いわんや最近の現在のストックというものがわからないのですが、そこで私大へん困りましたが、それじゃもう一つその状況を判断する資料は何か、それは市価の問題、値段が一体それじゃどういうふうに売れる、もしも需給バランスがこわれていることになれば、各方面が買いあさる。そうすると、どんどん市中価格というものは上ってくるに違いない。その市中価格状況はどうなっているか、その方面から一つ探ってみようと思ってやってみたのです。そうしましたところ、これは大体はっきりとわかりまして、これは統計は出ているのですからはっきりわかりますが、たとえばある代表的な鋼材のマル公で申しますというと、一時八方四千円も市中価格したものが、昨今では四万一千円、四万二千円に下ってきている、大体半分に下がっているということがわかりました。それから、それじゃ将来の見通しはどうかというので、そういうことを調べている専門の連中に聞いてみますというと、まだ価格は下りぎみで上る様子は一つもない。それから、まあ、いわゆるお得意先の動きを見ても、今度の争議であわてて買い出しにくるというような方面は全然ない、むしろ買い控えている。これは世界的の景気が変ってきたことあたりも見ていると思いますが、また下るというようなことで買い控えている。だから、そういうことを総合的に考えるというと、まあ、二十万トン減産したけれども、これが経済状況に重大な影響を及ぼしているとは考えられないし、また、そう近い将来にそれがくるとは考えられないという、いわゆる専門家の勘を聞いたわけです。そこでやれやれと安心した。あまり今日は大きい声で申し上げたかもしれませんが、そういう実情でございます。  それから早期解決の問題につきましては、これは私も先ほど来申しますように、私の任務というものが、争議をなくするのにどうしたらいいかということを調査研究するのが本分と思いますし、また、今度のような場合でも、ただいま申しましたように、経営者は二十万トンの減産、これは莫大な損害であります。おそらく概算しても販売収入百億減収になったと見てもいいでありましょう。また、組合側の損害は、これは私のほんの感でございますけれども組合もおそらくきのうまでに七億くらいの賃金を失ったのではないかと思うのであります。労使双方とも非常な損害を受けたわけでございますから、なるべく早く争議解決することを望んでおる次第でございます。その点から今日のこの会議を催されたことにつきましても非常に感謝しておるわけであります。さてそれでは今御質問の、どういう方法ならば解決するかという、これは非常にどうもむずかしいことでございまして、私も当事者であれば、この二カ月間の争議で、この辺なら解決するだろうという勘が出てくるかもしれませんが、私は当事者でなかったごとと、一カ月も留守をした関係で、私からどうもこれなら解決するという名案を今ここで申し上げるだけの準備はございません。その点は一つあしからず御了承願いたいと思います。
  57. 西口義人

    参考人西口義人君) どうしたら解決できるかというようなお話でありますが、これは私たちとしては、先ほど御説明申し上げましたような根拠によりまして、今度の要求をやっております。そういう関係で、これがどうだこうだということは申し上げかねますが、これはわれわれ満足のできる回答というのは一つの行き方だと思います。もちろん、私たち初めに申しましたように、国民経済に直ちに影響があるとかないとかいろいろ御意見のようですが、やはり基幹産業の鉄といたしまして、これが将来、私はこれが先のことではないと思いますが、従来からいわれておりますように、鉄鋼の隘路いうことが、よくいわれております。そういう点から見ますと、今直ちに影響があるとかないとかということではなくて、私は鉄鋼の生産によって、いわゆる一人当りの使用量によって、その国の文化がはかられるといったような意味で、これは大事な鉄鋼であります。だから、そういう点で、さらにわれわれの文化生活なり、金融引き締め、こういう点に関連あると存じますが、とにもかくにも、いろいろな産業を興していくという上には、どうしても必要な鉄鋼産業でありますので、今ここでそれだけの生産が中止されたということになりますと、これは確かに将来大きな影響を及ぼしてくる。幾らあわててこれを一取り返してしまおうといっても、これだけ大きな膨大な生産ですから、簡単に取り返せない。さらに続けていけば、いろいろ問題が起る。そういう点については、われわれも十分分責任を感じておりますし、何とかそうい一般国民の皆さんに対しての御迷惑はできるだけ一つかけないようにやつっていきたいという考えは、これは当然基本的に持っております。ただ問題は、先ほども申し上げましたように、どうしても私たちの生活の上からいって、さらにいろいろな面から考えましても、当然これだけの金をほしいという要求がありますことは、これは組合の総意によってこういう争議をやっておりますので、そういう上で相手がとにかく一応満足のできる回答を出すまでは、どうしてもわれわれはこの戦いをこのままおさめるということはできない。これはどこまでいくかわかりません。私たちとしてはできるだけ早く解決したいということでもあるし、それからさらに交渉は各単組でやらしております。  これは先ほどもちょっとありましたが、これはちょっと関連があると思いますので申し上げますが、実は今までの例を見てみましても、賃上げにいたしましても、それから一時金にいたしましても、大手は必ず全部同じ金額を出して参っております。これは今までの例を見てはっきりわかる。これは極端な例ですが、三社の中で一時金の場合に、ある交渉を続けていた。ある一社はこれでよろしいということで、一応ほとんど妥結の形でおさまった。ところが、他の会社が千円追加で出してやった。ところが、無条件で終ったあとにそれでは出すといって出した例もある。このような大手の今の三社というものは、言うと言わずにかかわらず、ほとんど内容的に、小さいいわゆる内容については違う面もございますが、大体よく話し合ってやってきている。そういう仲なら一緒に大手会社の社長も出てもらって、組合の方も一緒に代表が出て、そこでうまく話し合ったらまとまるのじゃないかというのが私たちの気持で、そういう意味で一緒に中央交渉をやりたいと申し入れをやったのでありますが、これに対しては、経営者は各組合々々で現地でやりたいと、だから現在やはりわれわれもそれを強行して、まだ中央でわれわれはやりたいと思っておりますけれども、そういう状態の中で、一つ会社々々で交渉をやっておるわけであります。だから今会社で、それぞれ中央がそういう権限を持っておりながらどうにもならないということじゃなくて、その会社とその会社組合と現地で交渉をやっておりますので、ここでそれぞれ話し合いがつき、いわゆる回答が出て参りますと、われわれのところで、そういう中からも代表が出ておりますから、一緒になってどうするかという解決の方向を見出すと、これは当然のことでございまして、これは現在そういう段階でありますので、われわれとしてはできるだけ早く解決し、そうして国民の皆さんに御迷惑をかけないようにいたしたいと、これを心から念願しております。ただ現状がこのような状態にあるので、そういうことが続けば、残念ながら、これは幾ら長くなってもこのまま続けざるを得ない。ゼロ回答が続く以上、どうしてもこのまま続け、納得することができないというのが現状でございます。
  58. 山本經勝

    山本經勝君 よくわかりましたが、そうしますと、西口さんにお伺いしたいのですが、鉄鋼連盟を窓口にして、いわゆる集団交渉といいますか、統一交渉といいますか、そういった形については組合側連盟側に申し入れられたと、連盟側は水津さんのお話のように、これは断わったと言われたわけなんですが、そうしますと、各社でやって、それをいわゆる鉄鋼連盟ですか、組合の方は中央に集約して、そこで処理をされると、しかしながら、今の委員長お話のように、ほんとうに腹を削って話し合う機会ができれば、十分に意思の疎通もはかられるであろう、こういうところにこういう解決点の期待が持てると、こう理解してよろしいですか。
  59. 西口義人

    参考人西口義人君) まあその通りでございます。ただ鉄鋼連盟は、これは水津さんも初めに説明いたしましたように、一切の権限を持っておるところではないと私たちも考えております。そういう点で各社長あてにそういう申し入れをいたしました。これは私一応代表者になっており、なすので、私の名をもちまして、各社長にそういう申し入れをやりました。だから各会社の代表者に出てもらって、組合の代表者も出て、そこで十分話し合えば解決できるのではないか。今までの、過去の例を見てもそういう結果が出ておりますので、そういうことをするのが解決の早道ではないかと考えまして、私たちとしてはそういう交渉をやったのでありますが、経営者の方はそうじゃなくて、やはり各単組でやりたいと、私たちは強行するつもりですが、まあ各単組解決できるならば、回答が出されるならば、今すぐここでそれを主張して、どうでもこうでもそれでなければ解決できないのだという方向でやっているのではございません。私たち賃上げ、退職金は何とか解決したいという、それだけにしぼりまして交渉をやっておりますから、統一で、一緒に交渉するということはやりたいと思っておりますし、将来もやりたいと思っておりますが、これをやらなければ解決できないかというと、決してそうではありません。これをやることが一番早く解決する道だと私たちは考えておるということであります。
  60. 木島虎藏

    木島虎藏君 ちょっと西口さんにお伺いしますが、先ほどの最初からのお話で、今度の問題は賃上げと退職金の話で、退職金の話が出ませんが、大体幾らで、現在のやつはいつ上って、それから今度はどういう要求をなされたか、簡単に一つ……。
  61. 西口義人

    参考人西口義人君) 退職金の方は、初めにちょっと申し上げただけで、時間の関係で略さしていただいたのですが、退職金は現在大手で大体三十年で百四十五万、これは三十年勤続で、定年でやめたときです。定年でなくてやめますと、これはそれだけはもらえない。いわゆる功労金と申しますか、そういう意味が含まれておると思いますが、一応そういう形でございます。それから中小におきましては必ずしも一律でございません。七、八十万円のところもありますし、はなはだしいところになると、全然ここでは申し上げかねるようなところもございますが、これはそれぞれの企業によっても多少の変動はございますし、まあ中小はいずれにしても総体的にずっとこれから下りまして、百万円以下というのがほとんど。最近今度のあれで百十万円、二十万円と出ておるところもございますが、大体そういう状態です。それからとりましたのは、昨年賃金要求いたしまして、これは一昨年は前より、ずっと鉄鋼はずいぶん賃金ストップということが実は当分続いたことがございまして、ようやく賃上げが 一昨年、昨年と続けて参ったわけですが、昨年賃金と退職金の要求をいたしまして、賃金大手では七百円上りました。この七百円は、私たちは基本給で、いわゆる基準内で上げてもらいたいと言っておったんですが、これは能率給の中で七百円という形で一応出されました。これは残念ながら要求と全然ほど遠いことでありましたけれども、私たちはやむを得ぬとしてそのときはのんだのであります。これはそのときのことで、ことしは昨年の要求に対してさらにまた物価の上昇、それからさらに苦しくなっておるというようなことから要求したのですが、そういうことで、昨年要求してそれだけになりまして、ことしは二百十万円、大手でございます。中小は必ずしもこれだけにはいっておりません。ですからやはり会社によって、基本給を基礎にして大体計算いたしますので、必ずしも何万何千円とぴたっと一致いたしません、基礎が多少違いますので。大体二百十万円を一応基礎にいたしまして、だからそれの少いところもあるし、多いところもあるということで、大体そういう形で要求しておるというのが現状です。
  62. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうしますと、この退職年金の方ですね、先ほど御説明のように、賃金と同じように組合員の投票をやって、そうしてこう投票の票が出たからこれくらい、こういうふうにおきめになったんですか、どういうふうにおきめになったんですか。
  63. 西口義人

    参考人西口義人君) 退職金はそうではございません。これはここで、詳しいあれはあるのですが、いわゆる十年とか十五年の老後の保障ですね、今のところ鉄鋼労働者は、これはよく満ころとかいう言葉がはやっておりますが、定年満期になったらすぐ死ぬというようなことがよく言われておるのですが、これもなかなか、高熱重筋でさっき問題になったようでございますけれども、これは別といたしまして、とにかくそういうあれもございます。退職するとほとんど今のあれでは、翌日から、鉄鋼労働者は特別な技術と申しますか、特別商売をするとかいろいろなことができませんので、年を取りますと、どうしてもやめると同時に何か働かなければならない。そうなりますと、また地下たびをはいて人夫に出るとかいろいろなことをやられております。ですから今のあれでいろいろやりくりして何とかやつでいく。これも昨年ようやく百四十五万円になりまして、それまでは百五万円くらいだったようでございますし、多少急に最近上がってきたということは事実です。昔は全然問題にならなかったのです。ですから、からだがそんな状態になって、しかも定年満期になって、さらにまた働かなければならぬ、これでは非常に困る。まだ今社会保障もそれだけ国家的にも完備しておりませんし、どうしてもわれわれはこれが一番重点だと思っておりますけれども、とにかくわれわれは働いて、そこで貢献し、しかも会社がどんどん利益を上げて大きくなっていくし、それでまあそういう基礎をわれわれ作ったんでございますので、一応そういうふうに出したのであります。
  64. 木島虎藏

    木島虎藏君 そこで今度は別な話ですけれども、私ども新聞を見ますと、何月何日に大手五社ストとか何とか出ていますね。スケジュールは、あの時間表は一体いつごろおきめになったんですか。
  65. 西口義人

    参考人西口義人君) これは、今のは実は私の方は拡大中央闘争委員会、これはちょっと申し上げないとわかりかねますと思いますが、拡大中央闘争委員会というものを持っております。ここは先ほども申し上げましたように、一般投票で、ここに一般の人の指令権、団結権——団体交渉することは当然ですが、こういう一切の指令権をここに全部委譲するということで、それでよろしいかどうかで投票さしたわけです。第一回の投票のときにこういうことをやりました。何月何日、大体これまで交渉をするんだというはっきり日程を出したわけです。だからわれわれは基礎的には団体交渉と書いて一カ月間とりました。そうして今までの例からとりますと、何にもやらないで、団体交渉だけで、会社は何かストライキをやらなければ出さぬという悪い習慣をつけているようですが、そういう一面から見ましてもなかなか出さない。だからもし出さない場合には、われわれこれまで交渉を長くやるけれども、どうしても出さない場合にはここでストライキの手を打っていかざるを得ない、だからそういうものを出したわけでありまして、これによってあなたたちは賛成か、反対か、反対ならばこれはできない。賛成かどうかで、一切一人々々投票さして集めたのです。それをやっても出さないから入りました。その後は、これは中央の役員と、それから地方に各会社組合がありますから、その組合から代表者何人々々、これは初め員数をきめて構成しているわけです。これは決して地方だけでやっておるのではない。その各代表が出ているわけであります。そこで、会社回答を求めても、ストをやってもどうしてもその回答が出ない。これは交渉をするけれども交渉は軌道に乗らない。だからわれわれとしてはわれわれの持っているストライキ権を行使せざるを得ない。いわゆるその機関で次の日程は、こうしてストライキをやろうということで、その後は拡大中央闘争委員会で一切の権限をもって、妥結する権限をもってそこでやっているわけです。もちろんそれには各組合から各代表が現地に帰っていろいろな意見を聞いて中央に上ってきて、そこで意見を反映する。そういうことでそのたびごとに出しております。
  66. 木島虎藏

    木島虎藏君 そこでその内部的な問題はともかくとしまして、新聞に出るような、外に発表なさる時期ですね。それから会社回答の出た時期とどちらが先ですか。今度会社からゼロ回答が出たとおっしゃいましたね。その回答が出たのと、これからやるぞというのとどちらが先ですか。回答の方が先ですか。
  67. 西口義人

    参考人西口義人君) 今言ったように、第一回はそういうことをやったのです。ところが、あとは幾ら交渉いたしましても全然ゼロで、これ以上はもう一切できない。だから組合はもうここらあたりでやめたらどうか。幾ら言ったって出さないから、やめろ、やめろ、これ一点張りで、もちろん理由は何にもない。だから、われわれはそういう上に立って、ゼロならばやらざるを得ない。だから、もし向うが回答を出してきたら、私たちはいつでも集まっているから、これからどうするかということをきめられますけれども、やむを得ないからそういうことになった。
  68. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、言葉が適当かどうかわかりませんが、げんこをあげて交渉と、じゃまあこういう格好なんですね、簡単に言うと。
  69. 西口義人

    参考人西口義人君) これはまあいろいろ表現の仕方はあると思います。だから、そういう気持でごらんになる方と、それと今まで実際に会社側組合側お互同士は、従来のどこの組合を見ても、また、どの争議を見ましても、一応それをやらないと回答を出さないということもあるわけです。世間体があるかもしれませんけれども、こういうことは一つやめてもらいたい。話し合いの中から解決したいと思っておるのですが、ただの交渉だけでは今まで回答を出したことがない。だから、どうしてもやむを得ない場合には、われわれの唯一の力を発揮せざるを得ないということになるのです。
  70. 木島虎藏

    木島虎藏君 わかりました。そこで、水津さんにちょっとお聞きしたいのですが、先ほど鉄鋼市況がどうの、こうのとおっしゃっておりましたが、言葉だけでは私どもはわからない。最高から何割ぐらいの下げになっているか。国際市場に比べてみるとどのくらいになっているか。会社神武景気は逃げたと言いますが、私どもがほのかに聞いておるところによりますと、下請の払いが、現金のものが手形になったとか手形の期限が延びたというようなことがありますが、一体そういうようなことが数字的に見てどういう割合に下っておるのか。あるいは抽象的におっしゃったのではわかりませんから、まあ建値の関係がどうであるとかいうようなことを、ちょっと最後参考にお聞かせ願いたいと思います。簡単に一つ
  71. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 価格先ほどちょっと申し上げましたが、市中価格はマル公で申しますと、今年の春ごろ八万四千円でしたのが、最近は四万二千円に下っております。それから八幡などは建値でやっておりますから、建値の方は最高のときに比べて二千円くらいあたり下るかと思いますが、それから国際価格の方でありますが、国際価格は、欧州の市場価格は百十ドルくらいで取引されております。これは市中相場であります。市中相場でありますから、幾分かの出入りはありますけれども、大体マル公で百十ドルくらい。ところが、日本の赤字とんとんくらいのところで輸出し得る価格は百四十ドルくらいでございます。ですから、どうしても三、四十ドルくらいは負けるということになっておりますから……。それから外国の、ドイツの国内価格と、それから日本の国内価格と比較しますというと、大体二割見当は日本の方が高く取引されているという実情でございます。
  72. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと私から質問いたしますが、今のお話の中で、八が四千円のが四万一千円に……。
  73. 水津利輔

    参考人水津利輔君) 四万二千円です。市価……。
  74. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 市価で……。
  75. 水津利輔

    参考人水津利輔君) ええ、市価です。
  76. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) そうなりますと、どうも私どもの感覚では、非常にぴんとこないんです。半分以下に落ちたということであるとするならば、逆に、言えば相当膨大な何があったと、非常に大きな利潤があったのだと、こういうことになってきますしね、時間が非常にありませんが、これによっても相当な質問が出てくると思うのです。だから、できますならば、そういうのを資料にして一つ正確なものをお出し願いたい。そういたしませんと、あまりにも価格が離れ過ぎているので、それが事実とするならば、われわれしろうととして判断に迷うのです。だから、今日は時間もございませんので、委員諸君の質問もこれで打ち切りたいと思いますから、そういう点、お願いできますか。
  77. 水津利輔

    参考人水津利輔君) あとで資料を出します。  ただちょっとつけ加えて申しておきたいのは、先ほども申しました、ように、八万四千円が四万二千円に下がったのは、いわゆる市中価格である。だから八幡などの大手は、建値ということで、市中価格と別の建値を出しております。建値は、八幡の方向では二千円くらいしか下っておりません。
  78. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 参考人に対する質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  参考人の方々には長い問、貴重なる御意見を聞かしていただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  なお、水津参考人に対しまして、委員長から資料の要求をお願いしておきましたのを、できますならば早い機会に御提出をお願いいたします。
  80. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 資料一の問題でお願いしておきたいのは、組合の問題です。賃金の問題、それから利潤の問題、それから今の資料の問題を、組合の方からも出してもらいたい。これを一つお願いしておきます。
  81. 木島虎藏

    木島虎藏君 もう一つ資料でお願いしたいのは、先ほど賃金の点で、西口さんの方は低い賃金だとおっしゃり、片方は高い賃金だとおっしゃる。だから電気産業だとか、あるいは石炭産業とか、それぞれの比較を、大きな似たような産業では、一体どういうふうになっているのかということを一緒に教えていただければけっこうだと思います。
  82. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 両参考人の方にお願いいたします。ただいまの委員よりの資料提出のお願いに対しまして、御協力をお願いいたします。  では休憩いたします。    午後一時九分休憩      —————・—————    午後二時二十七分開会
  83. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。  駐留軍の撤退に伴う労務者失業対策に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次お願いいたします。
  84. 山本經勝

    山本經勝君 きょうここに御出席いただいておるのはどういう……、労働関係、お見えにならぬようですが。
  85. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 労働関係は安定局長の百田正弘君が見えております。政務次官はおっつけ見えることになっておりますが、大臣は予算委員会で欠席でございます。
  86. 山本經勝

    山本經勝君 それではお伺いをしたいのですが、実は前回の委員会であったと記憶いたしておりますが、駐留軍労務者対策について、いろいろ閣議決定あるいは特需等対策委員会で審議検討された結果等について、しばしば発表を見ております。ところが、その中の中身なるものが一向に予算の裏づけがないものですから、どうもたよりないということでいろいろと質疑を続けておりましたところが、実は考えておるが、金の問題で、予算の問題であるから、いきなりこの委員会お話を申し上げることは、どうも工合が悪いのだということで、調達庁並びに労働君当局の方でもたもたしておられたので、それでは委員会で公然とお話することができぬなれば、あるいは困難ならば、それは委員会閉会後において伺ってもいいという実は話を申し上げた。そこで委員会閉会後話を聞きましたところが、すでに新聞で発表された自民党の政策要綱の中に載っておる七億円の企業融資の問題、それからもう一点は、職業総合補導所に必要とする予算の面で一千四百万円を支出する計画を持っておるということである、ところが、そういうことであれば、そう委員会で公けに論議をしたりあるいは質疑をするということは困るということではなくて、それならばすでに発表されたものであって、何ら大切にとって置くようなものでないのではないかということをそのときに話をしたわけですが、その後何ら変化があっておりません。そこで、今まですでに予算の裏づけとしてあの九項目ばかり駐留軍関係労務者要求があって、職業補導に関する国の費用といいますか、補助の支出額千四百万円が一応浮んで、調達、労働両方でどうしてもその千四百万円ということで、まことに申しわけと言っても非常に……、とにかく駐留軍労務者は、最小限見積っても二億そこいらの金は要るだろうというのに、お話しにならぬということであったわけです。そういう状況であるから、しばしば閣議決定がありながら、また、りっぱな項目だけが羅列されておって、予算の裏づけがないために、実際上は救われぬというのが現実だと思います。きょうの委員会で、この臨時国会の会期中にできれば……時期的にももうすでにおそきに失すると言ってもいいと思いますが、何らかの総決算をしたいと私ども思っている。しかも御承知のように、駐留軍労務者はすでに実力行使をやっておる段階である。その中心になっている問題は、今問題になっている多くの政策の中で、特に当面する要求の立ち上り資金といいますか、食い繋ぎ資金といいますか、特別支給金という形で要求をしておりますが、一人当五万円の要求が出ている。ところが、今度の臨時国会は補正予算を中心にして召集されたと伺っておりますが、ところが、補正予算そのものの中にも私どもの資料として受け取った範囲では何らそういうものは盛られていない。一体ほんとうに政府としては、この駐留軍労務者の、今度来年六月までに六万六千人という大量の解雇が行われる。あるいは引き続いて空軍その他から約四千人、合計七万という大量の解雇が行われる。こういう状態に対して、私どもこの委員会でしばしば追及をしたように、国が雇用をして米軍に労務を提供しているという建前から、労働の形態はともあれ、雇用主は国であるという意味において責任のある政策を求めてきたところが、立法が必要とあれば立法をやってもいいぞということで、いろいろ自民党の特別対策委員会とも連絡をとっているのですが、それには及ばぬ、石田労働大臣の意見によれば、行政措置でりっぱにやれますということを公言してこられた。ところが、依然として今申し上げたような状態で、何ら真意がつかめぬのみか、実際はデスク・プランを羅列したにすぎぬ対策としか受け取れぬ。ですからその点についてまず調達庁から、その後の考え方あるいは推移、状況をあわせてお答え願いたい。時間もありませんから、なるべく焦点をしぼっていただいて、まず五万円の特別支給金の問題、あの当面する予算措置、必要とする予算措置をなぜこの臨時国会に提出して国会の審議を求めなかったか。私はこの点から伺って参りたいと思います。
  87. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) お話通り駐留軍労務者は政府が雇用者でありまして、調達庁が管理者の立場にあります。   〔委員長退席、理事木島虎藏君着席〕  私どもといたしましては、今回の離職に伴いまして政府各省に対しまして離職者に対する処置についてできるだけの手厚い方策を講じていただきたいということをお願いをいたしております。  全般的の対策に関連いたしまして、この特別支給金と申しますか、の問題につきましても話を持ち出しておりまするけれども、今日までの間におきましては、最終の決定に至っておりません。と申しますのは、特別支給金の問題は退職金の問題とやや性質が異なりまして、退職金は大体公務員と同様の額を労務契約によって出資することになっております。しかし、これでもやはり離職者の方々が非常に因られるという状況は私ども承知いたしておりまするが、しかし、何分にも他の戦争犠牲者あるいは他の国策による犠牲者との均衡の上からいきまして、なかなか財政当局その他が踏み切ってこれを出そうという態度にはなってくれないのであります。従いまして、臨時国会まではもちろん間に合いませんでしたし、また、まだ最終の決定には至っておりませんが、しかし、今後も相当困難な問題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  88. 山本經勝

    山本經勝君 困難な問題だと考えているというのでは困るのです。問題はたとえば私ども聞くところによりますというと、一例をあげますと、補正予算の資料——補正予算の要求を一応されておったように、補正予算として出されたかどうか知りませんが、ところが、この駐留軍労務者要求しております、たとえば職業補導に関して、調達庁では千七百万円見当の要求をされている。今出されているのは労働省と両方一緒にして千四百万、さらに労働省はこの要求を七千三百万円ばかりなされている。これは私当てずっぽうの数字ではなかろうと思うのですが、これは事実ですか。労働省の方からまずお答えいただきたい。労働者駐留軍労務者の離職に関する対策の一環として、職業補導に必要な経費の、国の負担分を今回大蔵省の方に七千三百万円ばかり要求されているということも聞くのですが、それはほんとうですか、うそですか。
  89. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) ただいまお話がございました補助の問題でありますが、この前の十月十一日だったと思いますが、委員会のときに、実は十五日に予備費支出が閣議決定になりました。結局折衝の途中でございましたので、不本意ながら数字につきましては、政府の決定としての数字は申し上げられませんかったわけでございます。労働省関係だけで千四百五十万、予備費支出決定いたしたわけでございます。  さらに今七千三百万円とかいうお話がございましたが、これはいろいろと折衝の過程においてはそういうこともあったこともございましたが、その要求の数字等につきましては、いろいろ事情もございまするので、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、最後までこの前申し上げませんでしたのも、補助率問題その他につきましての大蔵省との折衝が残っておりました。きまっておりませんかったものですから申し上げなかったような次第でございます。決定いたしましたのは、労働省だけで予備費支出は千四百五十万円でございます。
  90. 山本經勝

    山本經勝君 調進庁の方はいかがですか。
  91. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 調達庁といたしましては、予備費支出をしていただいたのは九百二十八万二千円でございます。これは労務者の基準内における職業補導を実施するための経費でございます。
  92. 山本經勝

    山本經勝君 それを伺っているのじゃない。それは私ども一応わかっております。今度閣議決定がありまして先々月の二十何日か、その決定後において、この委員会でこのことをいろいろ論議をしたわけですが、その後だと私は思っているのですが、つまり先ほど申し上げた、労働省は七千三百万円、あるいは調達庁の方は千七百万円という要求が一応なされた。これは努力をなさったことと私ども評価をしているのですが、そういう線が出されたのかどうかということを伺っている。大蔵省の方はそれは認めぬという結果になったのでしょうが、そういう意味において伺っている。
  93. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) その当時の要求は、大体お話の金額その通りでございます。大蔵省の査定を受けまして九百二十八万のあれをもらったわけであります。
  94. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、実際にまあなされているのは、職業補導費の国の負担分として合計千四百五十万円ですかになるわけですか。
  95. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 千四百五十万円というのは労働省だけでございます。調達庁分は別であります。
  96. 山本經勝

    山本經勝君 それに今お話しの九百二十八万二千円、これがプラスされたということなんですね。  それから駐留軍離職者の企業組合の結成によって企業融資をしようということで七億円の、一応この間話が出た、それは決定ですか、まだ考え方として出されただけであって、実際にはきまっていないのか、その点明らかにしておいていただきたい。
  97. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) これは、国民金融公庫は普通貸付のワクを約六百何億持っておりまして、そのうちから七億円程度のものは今回の措置に融資が可能である、なおこの金額を超過しましても融資はできるという大蔵省側との了解をとっております。
  98. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、三十二年十月十四日付の大蔵省管財局長名の通達が出ておりますね。それから、やはり同時に大蔵省銀行局長の名において、国民金融公庫の総裁、中小企業金融公庫総裁、商工組合中央金庫の理事長、こういった者あての通牒が出ているのは、これはひもつき融資というような形ではっきりと線が引かれておりますか。その辺の運営面についての関係は直接銀行局等の関係かもわかりませんが、その線がはっきりしておらなければ、今までもしばしば言われる中小企業金融公庫の資金を融通するとか、国民金融公庫の金を融資するとか、口の先で言っても、実際には一つも、回らないのですよ。そこに不平が今まであるわけです。だから、そこのところを具体的にはっきり指示をなさっているのか。ここで見ますというと、指示なり通達というものはまことに抽象的なものであって、これならいつでも出してやれると言っても過言ではないと思いますが、これでは閣議決定の趣旨のものではないと思う。現に、先ほど申し上げるように、約七万に達する大量の人員整理が行われて、その人々が企業組合を作って、新しい企業を営まなければ生活できないのですから、その現実を政府が知っておる。それであればこそ閣議決定をなされて、関係当局から通達を出されてやっておるのだけれども、それが実際身に入らぬというのは、要するに業務的な問題が残っておると思うんですよ。企業組合の主体的な問題もあるでしょう。しかしながら、それもさることながら、さて金がほしいということで窓口に借りに行きますと、いろいろと因縁がついて、実際には手に渡らぬ、こういうのが実情のように思う。  それから、一つはっきりさしてもらいたいのですが、当面の調達庁、あるいは労働省当局の方で、これは実際問題として困っているのだから、一つ責任ある御回答をいただかぬと、この際はおさまらぬと思う。その不平を打開するために今ストライキをやっておるという現状ですから、その点も含んで、まず労働次官の方から御説明を伺っておきたいと思う。
  99. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) この金融措置のあっせんの問題につきましては、これは大蔵省銀行局当局から御答弁をしていただくのが適当かと思っておりますが、具体的にこの金融あっせんの申し出があった場合には、前の委員会において大臣もしばしば申しました通り、積極的に労をとるということを申されておるわけであります。そのようにまた積極的に協力していこうという考えを持っております。
  100. 山本經勝

    山本經勝君 私心配するのは、ここにこういう文書が出ておりますが、銀行局上長並びに管財局長等の指示といいますか、通達が出ている。ところが、これは非常に抽象的なものなんですよ。申し出があれば優先的にこれをやってやれというふうにははっきりなっておりませんし、しかもその窓口における貸付業務上の問題があるから、それでうまくいかぬのであって、これがうまくいくようにひもつき融資を——たとえば七億なら七億を別会計で、これはこの方面に回すのであるというワクを与えておかなければ、実際の利用効果は上らぬと思う。そこら、辺のあたたかい配慮がなければ、机上の対策の羅列にすぎぬと言っても私は過言でないと思う。そこを申し上げておる。これは職安の局長の方でも、しかるべき手があるのかないのか。なければないで、これは予算委員会等でまた検討しなければならぬ問題だと思っておりますが、その辺を一つお答え願っておきたいと思います。
  101. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 実は大蔵省の方でも、今お話のありましたように、各金融機関に対しましてそれぞれ通達をされており、具体的には、従って、個個の事業の計画ができ上ったときに申し込むということになろうかと思います、これらのことが果して閣議決定の趣旨通り実行されるかどうかにつきましては、これは私から申し上げるのも変でありまするが、駐留軍関係の推進本部におきましてやっていくわけでありまして、地方におきましては、離職者対策本部におきまして、この実際の推進状況といったものをさらに指導して参りまして、それで、具体的な事例がありまして、この閣議決定の趣旨に沿わないという場合には、それを本部で取り上げて、これをいろいろ解決していくというようなことで推進しておると、こういうふうに考えます。
  102. 山本經勝

    山本經勝君 そういう話では、実は率直に申し上げて納得がいかぬわけなんです。まあその点はその程度にいたしておきますが、このこまかな具体的な例を一つあげておきたい。それは、前回も、また、その前回の委員会でも、この委員会で論議があったのです。ところが、そのときに石田労働大臣は、たとえばタクシー業の組合一を従事者が集まって作る、そうすると、その組合は業務の認可を申請する、ところが、これは町業者の強い圧力によってそれがどうしても認可されぬというような事態が発生して困るじゃないかという話が出た際に、それは私の方からしかるべく政治的な手を打って解決してやるから心配するな、具体的にはこういう事例があったというようなことまでお話しになった。ところが、これは福岡の例ですが、福岡の小倉市のある駐留軍労務者が作っておる企業組合でタクシー業をやろうとして、西南運輸という名において申請しておりますが、約一年二カ月たってなお今日まで認可されない、こういう具体的な事例があった。石田労働大臣の言を借りて言えば、当然しかるべき手を打っていかなければならぬ。こういう問題が具体的に解決ついていかなければ、閣議決定も通達も実効があがらぬというわけですから、極端に言えば、無責任な決定だけしてほったらかしておるというふうに言っても過言ではない。さらに突き詰めて言えば、七万人の大量解雇が国の雇っておる労務者の中に起っておりながら、それに対して手厚い親心を示した国の施策というものは一向できておらぬということが端的に言えると思うが、この点は大臣の前言もあるから、一つ次官の方から御解明願っておきたいと思う。
  103. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 大臣の手元にそういう依頼が届いておるかどうかということについては、私伺っておりません。しかし、そういう具体的な申し出があれば、積極的にあっせんの労をとるということは、大臣がおっしゃった通りであると思いますので、さらにこのことも大臣と協議して、推進してもらうように私としてはお話をいたすつもりであります。
  104. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、二階堂次官に伺いたいのですが、大臣の力に申し出なければだめですか。労働省からも職業安定局長の名において、各都道府県知事あてに通達が出されておる。その中身には、今のお話のような問題がずらっと並べてある。融資の問題から、すべて載っておる。そうすると、それらの必要な措置は、ここで小倉だの、あるいは門司だの、あるいはまた横浜だのというので、一々具体的な例を取り上げてやることは困難でしょう。であればこそ、各都道府県知事等に、またあるいは関係出先等に対して通達が出されておる。その通達が出されておる状態からいっても、この取扱いがもう浸透してもよい時期になっているのですよ。ちょうど今度の通常国会の最終段階からずっとこのことを続けてこの委員会はやってきておる。ですから、ゆっくり十分手を回し得る時日があると思うのですが、それらの実際の対策というものは一向できてこない。現に今申し上げたような事例が起っておる。私も小倉の陸運局に参りまして、関係者と一緒に陳情したのですが、書類や手続上、あるいは事業主体等に問題があるのか、それはありません、どこに問題があるのか、端的に言ったならば同業者の圧力でありますと、こういうことなんです。同業者の圧力によって政府あるいは政府機関が屈服して、そうして、その政府が雇用しておる従業員が離職するので、その離職者が企業組合を作って、そうして企業を営もう、そうして生活をしていこうという努力に対して、後先的な取扱いができないということに対しては、私はどうしても納得ができない。そこを解明願いたいというのですよ。
  105. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 局長の方から具体的に申し上げたいと思います。
  106. 藤原節夫

    政府委員藤原節夫君) ただいまのタクシー業の免許の問題につきましては、これは運輸省当局からお答え願うのが一番適当かと思いますが、これは参っておりませんので、総括的に今回の離職者対策の推進について、私どもの方から申し上げますが、今おっしゃいますように、中央で閣議決定いたしました方針が、末端に十分に浸透していないという事実は確かにあると思います。私どもとしましては、絶えず各省の責任者に対しまして力強くこれを推進するように、末端にいってこの趣旨が希薄にならないように、ことに具体的な、ただいまのような事例につきましても、具体的な問題まで取り出して、ぜひこれを推進し、実現するようにやってくれということを再三申しております。申しておりますが、確かにおっしゃるように、十分にそれが徹底していないうらみも多分にございますので、実は今回そういう意味をもちまして、昨日の閣議におきまして、これ   〔理事木島虎藏君退席、委員長着席〕 の対策の趣旨がよく末端に徹底するように、そしてまた、これが推進を一そう強力にするようにという意味で、中央の各関係官庁から人を出しまして、視察推進班というようなものを作って、なるべく早い機会に、問題のある地点におもむいて、出先の、直接これを扱っておる官庁に参りまして、実情を見、かつこれを推進しているのでありまして、陸運局あるいは金融機関等に参りまして、具体的な市例について調査をし、ぜひ許可、認可あるいは承認すべきものについては早急にこれをやってもらうように出先でも話をし、また、その材料に基いて中央に持ち帰って、中央においてもまた中央官庁も話し合いを進める、こういうことをやろうということで、ただいま申しました視察推進班を派遣するということを昨日閣議で決定したような次第であります。ただいまおっしゃるような点は、十分留意しまして、さらに一そう促進していくようにしたいと思います。
  107. 山本經勝

    山本經勝君 今年の九月二十八日付で、運輸省の自動車局長名で、各地方の陸運局長あての通達が出ておる。その中には、今の、たとえばタクシー業の許可を申請した者に対する特別な取り扱いの具体的な内容は書いてありませんが、とにかく推進をするようにというような指示はあっております。ところが、こういう形式だけではさっぱりだめなんです。今、強力な施策の推進をするために視察推進班なるものを作られて、そうしてそれを地方に送られる。それもけっこうでしょう。しかし、問題は、政府自身が具体的な対策を推進する熱意をどの程度持っておられるかということにかかっておると思う。私はこういう具体的な問題を、時間がありませんから、きょうは詳細は省略いたしますが、こういうような形だけの政策を一応羅列して、要求があったからその要求にこたえる。一応の文章上の、作文上の羅列をして、それで事足れりと考えておられるならば、私は、当初から申し上げる、国が雇用した労務者の離職に対する親心ある政府の施策とは受け取れない。私は、まず根本問題を、きょうは突っ込んで伺っておきたいんですが、当面する問題の中で何が重大かといえば、すでに年末が近づいておる。そこですでに今まで二万何がし離職しており、さらに残る年内に離職する者は、年度内の離職が大体四万というのは調達庁自身で発表されておる数字だ。そうすると、来年の六月、すなわち米国の会計年度までには六万五千人という大量の解雇が行われますが、この者をどうするかということは、今までやった例がないからということで逃れるわけにいかぬ。私は、政府に責任があると思われる。ですからまず当面の問題を、一人あて五万円の特別支給金を一体どうなさるつもりか。これは本来大臣におってもらいたいけれども、次官しかお見えになっておりませんから、次官の方から私ははっきりと伺っておきたい。今度の補正予算の中には入っておりません。先ほど申し上げたように、補正予算には入っておりません。あれほど論議され、しかも大臣自身手厚く処遇をいたしたいとおっしゃっておりながら、口では言われて果してやられるかと言えば、先ほどの諸政策の問題だけでなく、この根本問題、しかも当面の死活にかかわる重大な問題ですから、まず特別支給金を支給して食いつなぎをさして、そうして自後の対策が推進されなければならぬと思うのですが、そういう意味から、なぜ今度の補正予算にこの問題を労働省なりあるいは調達庁が積極的に打ち出しておられぬのか。私はそのことがほんとうに政府が腹の底からこの駐留軍労務者に対するいたわりのある政策をとろうとしているのかいないのか。これがまだ疑えるということがそこにある。ですから、この点をまず労働省の二階堂次官から伺っておきたい。次に調達庁の方に重ねてこのことをはっきり説明を伺わなければならない。  大体今度の補正予算の中には当然入れられるべき問題だったと思う。一人当り五万円にいたしますと、かりに六万五千人を対象といたしましても、約三十三億という金額になる。これを下目に見て、組合は二十二億五千万円を要求している。そうしてそれを中心にした特別立法をせよという要請を受けている。自民党の特別対策委員会でもこの金額をこういうふうには言ってないが、何らかの方法は講じなければならないであろうということを言っておる。それでありながら政府が自分たち雇い主の立場でこうしなければならぬという立場を積極的に打ち出されるならば、もっと親切な対策が打ち出されて——いやしくも働いている者が好んでストライキをやっているのではない。あの駐留軍労務者がみじめな姿でストライキをやっている姿から救われると思うのですが、この点をまず私は労働省当局と調達庁の両方からはっきり伺っておきたい。予算になぜ盛られなかったか。要求しなかったか。
  108. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) これは労働省だけの私は問題ではないと思っておりますが、私どもの方といたしましては、職業補導機関の充実とか、職業のあっせんとか、この離職者の対策についてはいろいろ具体的に対策を進めているつもりでございますが、ただこの五万円の問題につきましては、今回離職される方だけに五万円をやることが妥当かどうかということについては、いろいろ問題があろうかと考えておりまして検討はいたしたつもりでございますけれども、補正予算にこれを計上するということは問題がございましたので、これを計上しておらなかったわけであります。
  109. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先ほど申し上げましたが、私どもは管理者の立場におきましてできるだけの手厚い措置というものを関係各省並びに総理府等にお願いをしておりまするが、しかし、先ほども申し上げました通り一般公務員と同等の退職金を労務契約によって決定をいたしておりますので、特例給付金の問題は退職金の問題と性質がやや異なりまして、やはり離職される方々が困られることは十分わかっておりますけれども、しかし、他の国策による犠牲者、引揚者を初めとしまして、その他の特需産業労務者その他との比較権衡もありますし、もっぱらこういう人たちとの均衡上から見まして財政当局その他もすぐには賛成してくれないと、従いまして、形式的の予算要求というものについて今回の臨時国会に出すような状況には至っておらないのでございます。
  110. 山本經勝

    山本經勝君 どうもおかしいですね。たとえば労働省の御意見によれば、今度の離職者に限ってそういうことをすることは困難である、それから調達庁の方では、一般公務員の退職金を支払っておるのだから、それには特別の退職金をやることは均衡上不都合である。さらに特需あるいはその地引き揚げ等の犠牲者に対する取扱い、そういうものとの均衡を保つということを言われておる。そうすれば、私が第一番に労働省に伺っておきたいのは、今度の離職者はだめというのならば、だめだということはさかのぼってもらってもいいのですよ。ところが、そういうことはないのじゃないかと思うのですから突っ込んだ質問を申し上げておるのです。どうもおかしいのです。この間のたとえば労働大臣の意見をそのまま用いるなれば、いわゆる恒久的な民間企業の振興、誘致等の方法を講じて、当該都道府県もしくは市町村等の公共団体を基礎にして、そこに恒久的な職場を与えて、そこに送り込むのが本来の方向であるということが言われておる。そのとき次官がおいでになったかどうかわかりませんが、そう言われておる。そうだとするならば、それに対する根本対策が進められなければならぬ、もともと。それが各当該都道府県、市町村等公共団体が中心になって、まず自分のところの所管の中に発生する駐留軍労務者失業者をかかえるのですから、そこで企業計画あるいは国有財産の利用等を含めて対策を立てて持っていきなさい、そうすれば国の投融資その他で直接に指導もいたしますし、協力もいたしますという、こういうお話であった。その基本方策が一向進まない間に時間がたって、すでにあの問題が問題になったのは九月だったと思う。すでに二カ月を経過しておる。なるほどあのときにやかましく言った通達は出してもらった。しかし、通達の中身は全くない。こういうことで計画を出しておられるのであって、そうしますというと、今言われたようなことはどこをどう考えてみたってどれを見てもないのです。今度の離職者だけが悪いならば、駐留軍労務者は国の雇用の限りにおいては間違いないので、さかのぼってやってもらえばけっこうであるが、それは少しむずかしい、五万円がむずかしいなら、あるいはそれは三万円、四万円ということであるならば、なるほど熱意はあった、しかし、財政的な事情もあったということでわかってきますが、全然それを問題にせずに、しかも補正予算のための臨時国会を開きながら、そこに予算の、要求もしておらないということは、一体労働省はどういう意味ですか。私はこのことは次官に追及しても無理だと思いますが、私は大臣に聞きたい。大臣はあれだけりっぱなことを言われておるが、あるいは閣議決定もなされておりますが、その中身がないということをその点を言っておる。一体やる気があるのかどうか。やる気がないならはっきり言って下さい。
  111. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 先ほどの退職金五万円の問題につきましての説明は不十分だったかと思いますが、一般公務員の、先ほど調達庁長官が申されました通りに、ほかの退職金との均衡の関係もありまして、なおまた財政上の理由もありまして、この検討はいろいろいたしたのでございますけれども、今回予算提出の運びに至らなかったということであります。私は基本的には大臣が申された通り、離職する者に仕事を与えてやるということが基本的な解決の方策でなければならぬと考えております。従いまして、大臣も積極的に返還の施設の転用をはかるとか、あるいは工場の誘致を積極的にはかってそこに離職者を吸収していくということが、これが根本的な解決の策でなければならぬと考えております。また、その具体的なことにつきましては、府県には離職者の対策本部というものが設けられ、また、中央におきましても、その対策本部というものが設けられまして、そこで具体的な案を持ってくるならば、それについていろいろ政府としても積極的にこれを推進していくということになっておるのでありまして、そのことを大臣も申されたのではないかと思っております。そうすることが私は基本的に、この離職される方々の対策の基本的な私は考え方であろうと、こういうふうに考えております。
  112. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連して一言今の件についてお尋ねしておきたいのですが、そうすると、この前から山本委員中心になってこの問題を明らかにしたい、そうして何とか措置をしたいというので、われわれもこの問題をもっともっと深く聞きたい、知りたいと思っております。大臣も次官も、今のお話を聞いておると、たとえばさしあたりの更生の問題については予算要求もされていない。府県に特別委員会があって云々、そうして融資の問題もできるだけやりたい、ここまでの話は聞くのですけれども、実態はどうなっておりますか。実態はどういうことをおやりになっておるか、その実態を……おやりになっておることをちょっとお知らせ願えませんか。この前の委員会でも私一つ例を申し上げましたが、神奈川県においても四千人からの実態調査が行われて、政府の保護というものが、四千人からの一年間の失業者の中で保護の手というものは差し伸べられていないように思う。だから差し迫ってこういう問題がどんどんきて、特別の措置——法律を作って措置しなければならぬというところまできておるのに、今のようなこの状態ではどうも納得せぬ。今それじゃ何から手をつけておやりになっておるか、そこのところちょっと聞かせていただきたい。
  113. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 労働省といたしましては、職業補導に関するこの施設あるいけ臨時職業補導所、夜間補導といったようなものをば、この離職者が多い地域には特に増設いたしまして、それらの補導を行なって、具体的にやってきておるつもりでおります。
  114. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どういう具体的な例証を、地方的にどういう工合になっておるかということを、おつかみになっておればお聞かせ願いたい。
  115. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 労働省といたしましては、今、政務次官から申し上げました通り、この十月以降職業補導が非常に駐留軍組合からも要望され、また、就職、再就職の道を容易ならしめる手段でもございますので、この点につきまして、まずできるだけ既設の補導所を活用するほか、夜間補導所を併設する、あるいは新たに種目を増加する、あるいはまた、既設のものの利用困難なところにおきましては、分所といたしまして臨時の補導所を設置するということで、現在具体的に実施いたしておりますのは、既設の補導所に千五百七十名、それから新設のところに新たに四百二十五名分の種目を新設し、さらにまた、予備費によりまして千三百人収容できる。さらにまた、各県に大体……大きな県にはできておりますが、総合補導所というものがございまして、これは県の施設として、国の全額でやっておるわけでありますが、これに対しまして三百六十名、そのほかに調達庁が基地内でやるというわけで、労働省国係分だけで三千六百五十人をこの十月から具体的にやるように、もうすでに各県にも予算も示達いたしまして、そうしてその予算は、大体各県の計画をそのまま大体そのままのめるという程度の予算を配付いたした次第でございます。
  116. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その三千六百五十人の補導所というのは、職業補導をせられるわけですね、職業補導をせられるので、そこでまあ補導されておるわけなんだが、六万人、六万六千人からあるいは七万人の失業される方、それから今までの失業者についても神奈川県の例を申し上げましたが、補導の問題はどうしておやりになるか。就職をどういう工合にしておつけになったか。そういう計画
  117. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) もちろん補導することも——実は補導が目的ではないんで、就職が目的です。大体補導所に入っている人たちの就職口は確保されるような種目を選んでおるわけでございます。  さらに、現在駐留軍関係労務者が九月末で一万三千人の求職者がおられるわけです。そのうちで失業保険を受給中の方が約一万人現在おります。で、労働省といたしましては、お話通り、これは職業あっせんが一番重要な仕事でございますので、これに関しましても多少の予備費ももらいまして、第一に、臨時職業相談所で大量に出てくる場合にはすぐ相談に出かけるというふうなことを実施いたしております。同時にまた、一地域だけでは困難でございますので、広域な、たとえば宮城県の人を東京にといったように、できるだけ広い範囲で求人の開拓もし、就職のあっせんもはかりたい。こういう計画で現在進めております。  なお、本年の一月以降約五千三百人程度の方が就職されております。今後さらに馬力をかけまして努力したいと思っております。
  118. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 五千三百人というのは、労働省駐留軍失業者に対する特別処置として行われた処置ですか。
  119. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 五千三百人と申しますのは、駐留軍関係労務者の離職者であって、安定所の手によって就職された数です。
  120. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、今日まで二万五千人というのはもう今出ているわけですね、失業者が。今の補導が三千六百五十人。そうすると、五千三百人というのは安定所の一般的な窓口でその失業された方々が就職された、こういう数字をおっしゃったわけですね。
  121. 山本經勝

    山本經勝君 今のお話も非常に大事なんですが、私はもう少し五万円の件をはっきりしておいてもらいたい。そうすると、労働省の方では今の五万円は金額上無理だというのじゃなくて、根本的にだめだということですね。他の、たとえば公務員との振り合いで、公務員の退職金と同等のものを払ってあるからそれ以上は払えない。あるいはこれは調達庁の御意見だったのだが、特需等の労務者やあるいは引揚者やそのほかの人々との振り合いをお考えになっておって、その点の要するに五万円の特別支給金という問題は困難だというふうに、だめだということなんですか。そこをはっきりしてくれませんか。
  122. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) この問題は調達庁の方からお答え願った方が適当だと思いますが、私は根本的には全然だめだというふうしは考えておりません。
  123. 山本經勝

    山本經勝君 では調達庁の方へお伺いしますが、一般公務員と比べて同じようないわゆる退職金の支払いがなされておるからそれ以上にはする必要がないと、それからまた、特需労務の問題を一緒に出されておりますが、その引き合いに出されている特需労務者は私はLSOの駐留軍労務者とは性質が違うと思う。というのは、なるほど特需を中心にして、企業を営んでいるという意味において駐留軍関係の労務提供とつながりはあると思う。全然ないとは申しません。ところが、本来は雇用主が違うのですよ。はっきりとしているのは個人の、いわゆる資本家が企業をしてその企業の中に雇われておるという関係にある。私はここに画然とした一線を画されていいんじゃないかと思う。ですから特需の問題やあるいはまた、戦災者、引揚者等の問題をこの場合ここに引き合いに出されることは全く意味が違うと思う。戦争犠牲や何かというものでないと思う。性格が違う。戦争のあとで講和条約が締結されて、そうしていわゆる無条件降伏を受諾して、そうして米軍が進駐して以来、その労務関係の提供をあの日米行政協定で取り決めをして、そこから生まれた結果が今日ある姿の駐留軍労務者なんです。しかもこれを国が雇用をして労務提供をしておるという姿、この関係は次の通常国会で法案を中心にして議論になるでしょうが、性格が違う、はっきりと。ですから、その場合に一般公務員の退職金と同等の退職金を払っておるではないかと言われても、これは当然——何べんでも申し上げることだが、駐留軍はいつまでもおるものではない。占領軍はすでにいなくなって駐留軍という形に名称が変っている。やがては駐留軍も引き揚げて行った暁には当然失職する運命に置かれている。そういう運命に置かれてる。しかも不安定な労働環境をもって生活を続けておる。これらの労務者は国の雇用の関係においてあるのですから、それが、今度のこの地上戦闘部隊の全面的な撤退に伴って、きわめて大量に、まとまった姿である期間離職をするという状態で、私はこれは特別な状態だと思う。そうしますと、当然これに対する国の特別の配慮があってしかるべきではないか。それも右から左へ今の離職者を民間の企業の中に配置すると、あるいは他のいわゆる官庁関係の企業の中に配置転換をするということで片づくなら私はそう文句は申しません。これは離職するのです、一応。そのあとの生活の問題は別途に考えていかなければならぬ状態に置かれるのだから、このことを基礎にして考えますと、ここで普通退職金がこれこれやられているからそれでいいものであるということにはなっていない。この関係は民間の企業の中における労使の関係でも同様だと思う。企業整理の場合は労働者の意思に反してやらなければならないということも発生したことは、過去の歴史で御承知通りである。ですから、そういう場合には民間の会社といえども特別の支給金を出している。名称は違うけれども出している。たとえばパージ等のごとく特殊な期間を特殊な理由でもってやめさすような場合には、およそ皆さん御承知通り、特別な取扱いがなされておる。これを考えてみても、この際大量の、計画をされなかった、予定しなかった事態、しかもいずれは離職するであろう不安定な職場を守ってきたこれらの労務者に対するそれくらいの取扱いが考えられていいんじゃないかと思う。何で今度の補正予算にそういう予算を要求しなかったのか。そこが私はどうしてもふに落ちぬ。調達庁の方からお答え願いたいのだが、今の労働省のお考え方は、ただここでむげに出せないとは考えておらないということですから、私はそれを了としまして、次の問題に私は移る。しかし、調達庁の見解はそうではない。これは一般公務員並みにやっておるから退職金はよろしいではないか。あるいは戦災者、引揚者等の例もあると、あるいは特需等の労務者の問題もある。それから比べてみてそう悪くないからよろしいではないか。こういうお考え方を持っておる。あなたたちが直接雇用の責任者になって労務提供をしておる。そういう関係からいってどうも理解に苦しむのだが、その点はどうなんでしょう。
  124. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先ほど申し上げましたのは、少しあるいは誤解をいただいたかもしれませんが、私ども駐留軍の今度の離職者が非常に満足すべき状態にあるということは全然考えておりません。従いまして、あらゆる措置をしていただいて、そうして政策の面、あるいは退職金の面その他につきましてもできるだけの措置をやっていただきたい。これは私ども管理者側からの要望でございます。しかし、特別支給金の問題になりますると、公務員との比較ということがすぐ起るわけでございます。政府は雇用者であるから出せと私ども言いまするけれども、財政当局から見ますれば、公務員との比較ということがすぐ出てくるのであります。公務員と比較いたしまして、公務員には一時恩給があり、そういうような恩典もありまするが、今度の離職者につきましては失業保険制度がある。公務員にはない。こういうことを、いろいろな条件を総合いたしますと、大体公務員の強制退職者に対する待遇と同等ではないかという反論を受けるわけであります。決して私は今回の退職金だけでけっこうだというような考えは持っておりません。もっぱら、そうなりますると、退職金の問題でなくて、国の政策変更によって生ずる犠牲を受ける方々、これはいろいろあると思いまするが、そういう方々に対する措置をどうするか。行政措置、いろいろなあらゆる手を使って、自立して営業される方に全面的な協力を申し上げるとか、あるいは職業のあっせん、公益職業紹介というようなものを十分にやるとか、あるいは職業補導をやる、そういうようなことによってやるほかに、立上り資金というものを出すべきかどうかということについて、まだ政府におきましては最終的の結論に至っておらないのでございます。従いまして、今回の臨時国会に予算を要求するというような段階にまでは至っておらない、こういうことでございます。
  125. 山本經勝

    山本經勝君 それでは調達庁の方に伺いますが、こういうふうに理解してよろしいのですか。今のお話しを引用しますと、言われるような議論は、たとえば、特需等の労務者や、あるいはその他の例を、即そのままに考えておるのではない。いわゆる管理をなさっておる調達庁の立場からいっても、何らかの措置を要求したいところであるという気持ですね。しかし、今までの措置が満足なものではない——断片的に申し上げますが、とお考えになって、そういうものは今度の補正予算に取り入れるべき、出すべき——打ち出してはいないが今後ともさらに努力をするものである。こういうふうに理解してよろしいのですか。
  126. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) お話しの通りであります。しかし、見通しといたしましては、そのように容易に実現をするかどうかということは、今簡単には申し上げられないと思います。しかし、私どもの考えておりまするところはお話しの通りでございます。
  127. 山本經勝

    山本經勝君 だいぶわかったような、わからぬようなのですが、実はこれは五万円を、団体交渉じゃないのですから、私の方から要求を出して、値切ったり、区切ったりして話し合いをまとめるという筋合いじゃないのですが、端的に申し上げまして、五万円という額は多過ぎる。これは先ほど申し上げたように、四万円なり三万円なりでよろしいのだということなのか。何ぼかでも出してあげたいということなのか。そうじゃなくて、根こそぎだめなのかということをはっきりしてもらいたいと思ったのですが、根こそぎだめだということではないようである。管理者の立場からいっても、新しく要求をしたい点でもあるのだ。現状において満足しておるわけではないという気持の上に立って今後とも考えていくという点は私理解いたします。ところが、ただそれだけではさっぱり今後の話を進めていく上に、あるいは対策を推進する上に軸を失う。ですから、これはいたずらに調達庁長官の言質をとることを目的にしているのじゃない。やはり私どもともともに国策に従って国の労務提供として駐留軍に奉仕してくれた人々に対する対策を推進しなければならぬ。この不安定なしかも、環境の異なった労働条件のもとに、非常に苦しい労働をした人々に報いる方法をともども進めていかなければならぬ。ここは一つ誤解のないようにしていただかなければならぬ点だとにしていただかなければならぬ点だと思う。  そこで労働省の方も、この五万円の立上り資金要求に対して、そのことが全面的にだめだというのではなくて、さらに今後とも努力をするものであるという点では調達庁も同様に一致しておるわけです。そういたしますと、先ほども申し上げましたように、来年の六月を期して、大体六万五千人という予定された米軍の地上部隊の撤退に伴う離職者はせつ然となってくると思う。その中でなるほど一部配置転換、その他によって片づく人々もあるでしょう。また、その間に自分の力で、独自で、あるいは転業、あるいは転職等をされる人々もあるでしょう。しかし、いずれにせよ、この大量の人々がすでに現在六十何万人という失業者をかかえた日本産業労働状態の中で、簡単に解決されるとは思わぬ。そういう状態であるから、少くとも今まで出ておるのは大体二万五千程度のようですが、今月の月末までに完全に離職する。それが来年の四月、つまり会計年度までに大体四万、それから残る何がしかが来年の六月までに離職するという状態のように承わっていますから、そうしますと、若干の期間があると思う。少くとも次の通常国会、第二十八通常国会には、労働省なりあるいは調達庁は、これは責任を持って新しい予算を要求されなければならぬと思うのですが、その点の心がまえはどうなんでしょうか。このことは、今度の臨時国会に補正予算として出されなかったから、それはやむを得ぬものとしてそれをたな上げにして考えているのではないのです。これは予算委員会で一応私ども追及しなければならぬ点だと思っております。いずれそのことは、大蔵大臣から聞きたい点なんですからそういうことにしたいのですが、それはそれとして、少くとも現在の状態の中で早急には困難であるという点でまた一致しておるのですから、そうしますと、少くとも次の通常国会には何らかの具体的な——金額の点については一応別といたしましても、この要求の切実なものをどう政府は受けて、そうして予算化する措置を講じようとするのか。これが問題は熱意のほどにかかっていると思う。労働省並びに調達庁両方からこれも伺っておきたい。まず労働省の方からお願いしたい。
  128. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 現在政府のとっております政策が万全なものではないということは、私も承知いたしております。さらにその最善の努力をば尽してみたいと、こういうふうに考えております。
  129. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 調達庁といたしましても、労働省お話しと同じでございます。
  130. 山本經勝

    山本經勝君 最後一つだけ、時間がありませんから伺っておきたいのですが、そのことは、現在は五万円の要求ですが、その要求中心にした予算措置をもあわせて考えると、こう理解してよろしいですか。予算ができるかできぬかはこれは大蔵省が査定するので別ですよ。とにかく少くとも当面の関係当事者として、調達庁あるいはそのあとを受けて処理されなければならぬ労働省として、予算がなければ口の先で何を言ったってできませんよ。そうなりますと、少くとも予算を組んで大蔵省に要求することがなければ熱意を示したということにならぬと思うのですが、そこら辺のお考え方をはっきりと伺っておきたい。
  131. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先ほども申し上げました通り、今年度の問題もまだ最終的決定に至っておりませんので、今年度の問題が決定いたしましてから来年度の問題というものを考えなければならぬと思っております。現存のところ、来年度の問題だけを切り離してお答え申し上げるわけには参らぬと思います。
  132. 山本經勝

    山本經勝君 そうなると実におかしい。今年度の解決がついていない。これはお説の通りで私もよく存じておる。ところが、今年度を解決しようとすれば、少くとも今度の臨時国会の補正予算の中に積極的に打ち出さなければならぬ。それは出していないんでしょう。気持ではそれはあるけれども、諸般の情勢上困難であると先ほど言われた。そうすると、次の国会に出すのか。あるいはいつ出すのですか。ですから少くとも予算を必要とするから、これは自民党の皆さんとも話し合って、具体的には予算措置を含めた立法をしようかとさえ話した問題なんです。いろいろ事情があって必ずしも内容について賛成ではないかもわからぬが、そういう立法措置もむげに断わる筋じゃないというところまで話はいっている。そうしますと、そこでやはり考えてもらわなければならないのは、今年度に解決すべきはずの問題であったけれども、それができなかったが、その中で、もしそれをやる熱意があったなら、今度の補正予算の中にこれをとり入れるように要請すべきである。その要請さえしていない。それはうそであったということだ。ところが、その次の問題は、今度ここでかく論議をして、労働省も調達庁の方もともどもこれで満足するものではないというお考え方があるならば、次の国会には、ということは私はあると思うのですが、それがなければ、これは全く今まで話してこられたことはうそ八百であるというふうに断言してもはばからないと、こう思うのですが、どうなんですか。
  133. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 今年度と申し上げましたのはちょっと語弊がありましたが、ただいまの段階において、まだ最終的決定になっておりませんので、来年の問題は、現在の問題がきまりましてから当然考慮されるべきでありますし、今のさしあたっての問題の最終結論は出ておりませんので、来年度につきましては、今のところ、要求するとかしないとか、あるいは予算要求を出すとかいうような問題まで申し上げる段階に至ってないということを申し上げるつもりだったのであります。
  134. 山本經勝

    山本經勝君 いや、今のところでですよ、いいですか、今のところで、あなたが予算を要求する考え方はないと言われるのか、あるいは、少くともできる、できぬは別問題として、要求すべきであるとお考えになっているのか、そこを明らかにしてもらわぬと、いつまでもこれは水かけ論で、時間ばかり食っていると思う。どうなんですか。
  135. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 形式的に予算要求群を出すことは非常に簡単でございまして、今、国会の問題につきまして、出すべきであるという最終結論が出ますれば、予算書を作りまして出すように送付するわけでございます。従いまして、出すか出さないかという政策の決定が一番先でありまして、来年度予算に要求すべきかどうかということは、それによって私はきまってくると思うのであります。ただ、どうなんだというお話につきましては、先ほど申し上げました通りに、私どもとしては、管理者の立場から、できるだけ手厚い措置、方策というものをとっていただきたいという要望を持っておることを申し上げるほかないと思います。
  136. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も、一、二点聞いておきたいと思うのです。調達庁、長官にお伺いしたいと思うのです。今の話を聞いておりますと、駐留軍労務者の担当責任者として、長官は、労働配置の問題、あわせてその労働者の身分の問題の責任を持っておられると私は思うのです。私たちは、労働省に対する労働配置の問題全体について質問をいたしておりますけれども、一番の直接責任は調達庁長官だと私らは認識している。で、いろいろの問題が出ております。たとえば、国有財産を払い下げて、その撤退した所に事業体を作る、または、そこで離職した人を就職さすような会社をそこに設立する、または、タクシー、要するに運転技術を持った者がタクシーとか自動車の営業をやる、こういう具体的の対策がむしろ労働者の中から出ている。これは、当然雇用関係にあった政府としては、そういう問題をまず第一に私は考えるべき問題だと思う。  もう一つの問題は、今後のもそこまでのつなぎ、その他による生活の問題、更正資金の問題やその他の問題、退職金の問題やその他の問題が出てくる。いずれにいたしましても、責任を持って、この方々の生活、生命を守っていくという責任は、私は調達庁が一番大きくあるのじゃないか、こういう工合に思っておるのです。ところが、ちょっとお聞きしておりますと、どこかの所でそういうことが行われておるようで、自分は予算要求しても、どうも直接はだに触れてないようなものの言い方をされるし、そういうふうに感じるわけです。政府の今の重要な役割を持っておられる調達庁長官としては、今の内閣の中で、駐留軍労働者の問題はかくかくせなければならぬということを明確にやっぱり責任を持って仕事をしてもらわなければならぬ。  それじゃもう一つの面から見てどうかというと、労働大臣は、きょう出てきておられないのは、私は非常に残念だと思うけれども、この前、駐留軍労務者の離職者の今後の更生については、積極的にやられると、こういう工合に言っておられる。それから内閣の中における対策委員会お話を聞きましても、その点の話だけはずっと進んでおる。ところが、聞いておりますと、どうも責任がみんなにかぶっているような感じで、だれが責任を持って、どう処置するという責任体制が薄いように思う。なすり合い、いやな言葉で言えば、なすり合い的なような感じが私らにはするわけなんです。こういうことでは、もうこれは相当長くこの問題をやりましても、けじめというものは一つもつかない。たとえば、五万円の問題一つ取り上げてみましても、いや、それはあかんといっているのではない、努力しようと思っている、こういうお話だけでずっと続いている。それでは、いついっかまで結論を出してどうするという御返事は一つも出てこない。それで、困っているのはどこかというと、駐留軍労務者なんです。この方々をどう救済するかというところのヒントが一つも出てこない、そういう感じを私は受けている。だから、私は、やはり今度の通常国会の二十三年度の予算にはどうする、それまでの緊急な処置はどうする、この結論はいつ幾日まで出してどうするという工合に、調達庁長官が、明らかに、責任体制の中でそういう工合に御返答いただかないとこれは困る、そういう感じを持つのです。そういうお気持はどうなんですか。調達庁長官
  137. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 御承知のように、私は、労務管理者といたしまして、駐留軍労務者の身分あるいは退職処遇ということについては、第一番の責任を持っております。従いまして、その管理者の立場に立ちまして、今回の問題については、最も手厚い措置ということをとっていただきたいという願いもいたしておりますし、また、努力もいたしております。しかし、金の問題、あるいはその他の問題になりますると、各省に一応お願いに上りまして、そうしてやっていただく、ハイヤー、タクシーの問題にいたしましても、あるいは国有財産払い下げの問題につきましても、その他、企業組合に対する融資の問題につきましても、私どもは、管理者の立場から、直接具体的の問題を取り上げまして、総理府なり、あるいは各省に強力に推進をしていただくようにお願いに上っております。しかし、それではどうするかという問題についての方針になりますると、私は、やはり管理者の立場であると同時に、政府の公務員の一人でございまするので、政府はどうやろうとかまわないのだ、ただ、できようができまいが、予算を要求して、予約書さえ出せばいいのだということは、私は、公務員としては職責遂行ができないと思います。やはり、要求すべきものならば、何度も何度も繰り返してお願いをする、最後に、方針がまだきまっておりませんが、決定いたしましたら、やはりその政府の方針に従いまして、外部に対しては、公務員として言動をしなければならないことになるじゃないかというふうに私は考えておるのであります。
  138. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうも私は、長官のお話がもう一つ納得いかないです。長官は、今まで三十何方、今はだんだん減って参りましたけれども、面接政府が雇っている調達庁の業務の一切の責任者である。だから、私は、内閣の責任を持っているものだと思うのです。閣員の一人ではないことは、それは私もよく知っておりますけれども、しかし、調達庁に直接関係のある、今まで労働者でしたが、今は防衛庁ですか、大臣ですかの、そして、その調達業務の一切の責任を持った仕事をしている長官、もっと判って言えば、雇主というか、政府が雇っているけれども、そこの一番の責任者という立場であるならば、各省に頼みに行ってどうこうとか、お願いをしてどうこうというようなことではないと思う。長官としての発言はそういうことではない。そういう工合に今の政府の中でこれだけの責任を持っていこうとする、こういうことをお願いじゃなしに、むしろ処置をするという立場にお立ちにならなければ私はいかぬのじゃないかと思うのですが、それはあなたが直接言えなければ大胆がおられるわけですから、大臣があなたの今日の業務について明確にそこのところをはっきりされるということにおいて責任体制が明確になると思うのです。あちらに頼み、こちらに頼んでお願いをしておるのだ、その見通しがつかなければ予算も出せませんということでは、労働者はどうなるのか。私はそんな直接はだにさわらないような責任体制で駐留軍労働者関係を見ておられるというところにも根本的に僕らは納得できないのです。どうですか、そこのところもっと責任体制の中でやってもらいたい。
  139. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 御承知通り、大臣を通じまして内閣の問題あるいは政府全体の問題を取り上げておるわけであります。私といたしましては、自分の担当大臣を通じて政府にお願いをする、内閣にお願いをする以外はございません。その他におきましては、できるだけ各省にお願いをして措置の万全を期したいということを申し上げたのであります。
  140. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうも今もお話しが出たように、まあ何かこそっとおって狭いワクの中において、政府に、あちらにお願いをするというような感じを私は持っておられるから決断をつける措置というものは出てこないと思うのです。そこで、副長官に私はお尋ねをしたいのですけれども、そういう機構なんですか、調達庁というのは。私は公務員だと、長官は言われましたけども、福長官にお尋ねしたいのだが、こういう国家が雇っておる責任のものを私は閣議の責任、その仕事の具体的な責任者として調達庁長官がおいでになるなら、実際の責任というのは今の政府にあると思うのです。それを一番肝心の長官があちらにお願いをするとかこういう関係でこの問題を——気持の問題ですけれども、そういう工合に処理されておるのですか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  141. 藤原節夫

    政府委員藤原節夫君) 調進庁長官はただいまおっしゃいますような立場におきまして、その責任と権限によってこの問題の処理に当っておられるわけであります。ただ問題の性質上、財政その他の関係あるいは他の官庁の行政措置を要する点が多分にありますので、その面において調整をしなければならぬ点が多々あります。その調整をするためにこの対策連絡会議というようなものを設けてわれわれもその調整のお手伝いをしておるようなわけであります。調整を保ちつつ調達庁長官の責任と権限において処理されておる、こういうふうに私は考えます。
  142. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこであの駐留軍労働者は、各省があるように、各省の責任において、運輸省でも労働省でもいろいろありますけれども、それは大臣の責任、駐留軍の問題は、調達庁の関係は今まで労働省の管轄でありましたけれども、今度変って今どうなっておるか、今の問題は私よく知りませんが、そういうことで私は政府が責任を持って雇っておる準公務員だと思うのです。公務員だと思うのです。まあはっきりものを言えば、そういうものを私はそんなことじゃなしに、内閣の責任をもつて、調達庁の六万も七万も失業しているということを、その処置するという内閣の責任が、その出先の長が調達庁長官だということであれば、私は調達庁長官がお願いにいくということじゃなしに、内閣の責任をもってその問題を処置するという腹がまえができないと私はこの問題はなかなか進まないのじゃないかと思いますからそのことをお尋ねしているのです。だから私はこの問題はもっと明確にいついつまでにどうする、来年度の予算はどうするというふうに明確に副長官の方からお聞かせを願っておきたいと思います。
  143. 藤原節夫

    政府委員藤原節夫君) 私も内閣の責任者でございませんし、政府全体を代表する立場ではございません。ただいま申し上げましたように、この各省に関連がありますので、その調整について私も総理府の立場で発言をしておるのでありますが、おっしゃいますように、確かに問題は内閣の責任、内閣において責任を持ってこれは解決すべき問題だと考えております。たとえばこの不満足とは申しますが、先般決定しました処置対策につきましても閣議の決定をもって、内閣の責任をもってこれを処理するという、私、意味であると思っております。そういう意味におきまして、ただいま問題になっております特別支給金の問題につきましては、所管の調達庁の方では非常に強い要望はございまするが、財政当局等で非常にまた異論がありまして、私どもも調整には努力しておりますが、まだ結論に至っておりません。従って、今政府としても次の国会に予算を提出するということは申し上げかねると思います。
  144. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を落して。   〔速記中止〕
  145. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。
  146. 山本經勝

    山本經勝君 これは私は大へん失礼な言い分だけれども先ほどから申し上げているように、何らかの具体的な方法で——具体的な方法というのはですよ、問題点は同じじゃないのですよ、やはりそれをやるには実際金が要るでしょう。たとえば推進班を派遣されて、つまり督戦隊を送って回らしてみたって、物なしじゃさっぱり動きませんよ。予算の裏づけを、これをやはり内閣で閣議決定されるときに、必要な予算の裏づけをもって閣議決定してもらわなきゃ、こんな閣議決定を何ぼしても、何ぼ通達を出してもほんの紙くずにひとしいのですよ、率直に申し上げて、失礼だけれども、こういうものを出しても、もう申しわけとしか受け取れぬ。出したことが悪いというのじゃなくて、この中身に裏づけをしてもらわなければならぬ。その裏づけは予算であるということなんだ。この裏づけを、今の委員長お話しの通りであって、きょう何ぼ追及してみても責任のある御答弁を願えぬということであれば、私は委員長にお願いをしておきたいのですが、次回は十一日が本委員会の予定でありますから、この予定日には労働大臣、それから防衛庁長官、それから大蔵大臣、もしくはいわゆる予算関係担当責任者、この三者に出てもらわなければ、何ぼ議論しても話にならぬ。そういうことを一つ委員長の方に要望を申し上げまして本日の質問は終りたいと思います。
  147. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  149. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、日雇労務者期末手当に関する件を議題といたします。  質疑を願います。
  150. 山本經勝

    山本經勝君 実はこの問題もまた中心が——問題たくさんありますが、その中で当面する問題は、すでに労働者も御承知通りなんだが、職業安定局長の方に要望が出て、団体交渉もなされておると聞いております。そういう状態の中でこの年末の賞与をどうしてもらうということが中心課題。もう一点はその問題に関連して、今の現在言われる自由労務者と言われるのは、対象になっているのは職安の窓口に毎日の仕事を求めて集まる皆さんのことをさしていると思うのです。その中身はまた複雑で内容が非常にはっきりせぬ。これも予算を伴いますからなかなかこれは容易な問題じゃないと思いますが、明らかにしておいていただきたいのは、当面のまず第一点は、この期末賞与に関する要求に対してどういう措置をなさろうとしているか。これは基本的にはその要求が不当であるならば不当であると、時間がありません、簡単に、明瞭に答えていただきたい。あるいは正当であるけれども、何らかの資金上の処置が困難であるとか何とか、そこに具体的な内容を持った御答弁を願わぬと、いつまでもくだらぬ質疑をぐるぐる回りして繰り返さなければならぬということになりますから、基本的には何とかしてやりたいということであれば、それに対する基本的な考え方を次官の方から説明していただきたいことが第一点。
  151. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) この日雇労務者の方々からの陳情は承っておりますし、けさも午前中代表の方ともお会いいたしまして、まあできることなら何とか要望にこたえるように努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  152. 山本經勝

    山本經勝君 次官の今のようなお話は、これはいつも通り一ぺんのごあいさつで、いつも承わっていることなんですよ。現に要求が出ているのですよ。そうしますと、その要求に対してどういうふうにお考えになっているか、その考え方を言っていただかなければ、それは何とか善処をしたいのだということでは、今や事態は相済まぬと私は思う。だから、まずその基本的な考え方を、労働省の方はこの自由労組の要求をどうお考えになっているか。何とかしたいのであるが、現在のところ、まだはっきりきまっておりませんというようなことじゃなくて、もうすでに要求が出て、年末手当も他の民間産業でもあるいは官公庁、公共企業体等でもいずれも今月一ぱいにはみんな大体解決つくのですよ。そこで、なるほど私は性格の問題になってきますが、それはあと解決つけるとして、当面聞きたいのは、なるほど要求は不当とは思いませんので何とかしたいと思いますが、現在何らきまっておりませんと、これが通り文句なんで、そうじゃなくて、一体この要求をどう思っておられるのか。それが出発点であり基礎なんであると思うのですよ。その要求を何とかしてやりたいということなら、それをどうするか、あるいは今まで交渉の経過はどうなっているかということは言えると思いますが、そういうふうに順序を追うてもらわぬと、むだな時間がついえますよ。それで、この要求に対して労働省当局の考え方、これをまず一点明らかにしておいてもらわなければいかぬ。
  153. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 昨年も、国家公務員の期末手当の増額に見合いまして、日雇労務者期末手当を一日分ですか増額いたしたことは御承知通りでありまして、本年度も大体それに見合う程度の措置を何とかしてみたいと、こういうふうに考えております。
  154. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、前年のあれで、前年は何でしたか、六日の要求でしたか、七日ですか。
  155. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 七日です。
  156. 山本經勝

    山本經勝君 七日の要求……。それで、最終的にきまったのが七日というところでしょう。今度は十日分要求していますね。そうすると、こういうふうに受け取ってよろしいのですね。公務員の年末賞与の額にスライドして出すようにするというお考え方ですか。これは大事な点ですからよく……。どうもあなたたちの方で勝手な話ばかりしてさっぱりわからない。
  157. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 大体それに見合って増額するというふうに御了解願っていいと思います。
  158. 山本經勝

    山本經勝君 そうすると、その十日分の要求ですね、これについてはどうお考えになるのですか、次官としては。
  159. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 御要求は十日となっておりますけれども、まあ実際問題といたしまして、率直に申し上げては私は十日は無理じゃないかとこういうふうに考えております。しかし、これは最後的に決定したわけじゃありませんので、これは私の気持を申し上げている次第であります。
  160. 山本經勝

    山本經勝君 どういう関係で無理なんですか。これはあるいは局長の方からお答えしていただいてもいいんですか。
  161. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 御承知通りに、昭和二十五、六年当時は、この措置はなかったわけですが、昭和二十七年に、たしかこの参議院の御決議だったと思います——衆議院でございましたか、御決議で三日分というものが当時きめられたのでございます。その後まあそれまでのいろいろないきさつといたしましては、失業対策事業の労務者は日々雇用が更新されるという建前から、手当という観念が性質上出てこないというようなことで、就労日数の増加、あるいは賃金の増給という形で行われたわけであります。その後の経過といたしまして、大体公務員の期末手当が増額になるというときに、この方も増額されてきたような経過になっております。それで、従来の経過から申し上げますと、昭和三十年でございましたか、国家公務員の年末手当が〇・二五上りましたときに、それまで三日が、二十九年には五日になっておりましたが、その後一日ということで増額された。昨年度におきまして国家公務員の年末手当が〇・一五増額されましたその際におきまして、〇・二五で実は一日だからということで非常に実は実施困難であったのでございますが、しかしながら、厳密に従来のことで計算すれば〇・六でいい——〇・六日なんというのは実際問題としておかしな数字でございますので、昨年度におきましては、それを一日ということで現存のように夏期三日、冬七日ということになっておるわけでございますが、本年度におきまして国家公務員につきましては、さらに〇・一五が増額されるというふうに政府としてこれに関係法案の提出を国会にいたしておるわけでございますが、これが決定いたしますれば、去年の例もありますので、少くとも従来のいきさつからいえば昨年同様な措置は労働省としては少くともとるべきではないかというふうにわれわれ考えております。今までのいきさつがそうでございますために、これを十日にしてはなぜいけないかと言われましても、これは十日がいけない、九日ならいい、十一日なら悪いということにもならないかと思いますが、従来のいきさつがそういうことでございましたので、事務的には大体現在の折衝の段階では、そういうところまで参っておるような状況でございます。最終的には決定いたしておりません。
  162. 山本經勝

    山本經勝君 局長にお伺いしたいのですが、公務員に準ずるという思想は一応わかるわけですが、そこでちょっと言いたいのは、やはり金の額だと私は思うのですね。民間における一般産業——中小企業を含めて大体最低が九千円から一万円の線にあるように聞いている。最高は七万円くらいある。産業別に見ても最高クラスはそうたくさんないと思います。ですから、年末賞与あるいは期末賞与と名前は変っておりましても、この賞与というものの性格もいろいろ議論もありましょう。あるいは賃金あと払いと言われたこともありますが、最近はそういう考え方の中では実際変っておりはせぬか、それはともあれ思想としては、公務員に準ずるという思想が底流にあって、金額にしてわずか十日分にして三千七十円ですか、になる。そうすると、わずかに三千七十円といったら、今の賞与という一般概念、つまり利益の配分だと考える考え方や、あるいは賃金あと払いという考え方ととり合せて考えてみましても、思想的にどうもあまりにもみじめな、あまりにも悲惨な状態だと思う。年末というのは、やはり特殊な、いわゆる人間生活の一つの区切りだと思うのです。だから新年——正月、そうして心機一転して新しい年の生活態勢を整えようという、その区切りにあるのですよ。そういうときに、私はやはりこれが国の設備であり、施設であり、機関であるのだから、職安の窓口を通して、今いわれる失業対策事業や公益事業や民間等へあっせんするという、現在、思想としては公務員に準ずるという思想の底流は、国が雇用をしておらないけれども、ある期間を切って、これらの失業者を国がかかえておるとも考えられる。そういう考え方の上に立ちますというとこれらの最大限度の要求を満たしてやるようなことは当然すべきである。しかし、十日でもまことにこれはささやかな年末賞与の要求であると思うんですが、それができないという理由は、今言ったような思想の上に立っていえば、むしろつまみ銭といいますか、そういう考え方の上に立ってもよろしいのであって、理屈はない。現実にたとえば十日分三千何がしというわずかな金であるから、何とかしてやろうという政府の親心がなければ、皆様も、よい正月を迎えるということになってこないと思うのです。そこが非常に大事な点であって、これらの職安の窓口を通して日々就労し、そうして生活をするという非常に悲惨な立場に追い詰められている人々に対する対策はやはりそういう思想が、私は政府もあわせ用いられなければならぬと思うのです。そうしますと、十日は不当だという御意見も、どうも考え方があまりにもこだわり過ぎているというふうに思う。まあ三千円、五千円より一万円、一万円より三万円がいいということは間違いありませんが、しかし、そういうむちゃな要求をしているのじゃない。三千七十円のささやかな要求を出している。それに対しては最大限度の何らかの方法を講じてもらうということでないと、事態の収拾は困難である、皆さん、労働省の前にすわり込んでおられる状況も、私も今度たびたび見ました。あるいは地方等においては、都道府県あるいは市町村等に対してまたいろいろな、現地における要求が出て、年末闘争というものがやられておる。これは年々歳々、年中行事のごとく繰り返されているのです。そういう状態であることを思い起されて労働省として中央のいわゆる中心でもって基本的な解決をしてやらなければ、地方の至る所に問題が起ってくる。そういうことでありますから、その点から私は、まず思想的に考え方を是正してもらう必要があるというふうに考えておりますが、そういう点については局長の方の考え方はどうでしょうか。
  163. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) おっしゃることは、非常に私どもよくわかるわけでございます。ただわれわれとして、事務的なあれをいたします場合には、労基局といたしましては、一応一つの、何と申しますか、根拠と申しますか、主張し得る根拠というものに立ってやらざるを得ないということになりますので、あれがただつまみで三千円、四千円ということで、この予算を要求するわけにも参らないので、その点は御了承願いたいと思います。
  164. 山本經勝

    山本經勝君 これは若干話が違うのですが、聞くところによりますと、年々歳々この要求が出て、本省は本省で論議があり、交渉がある。それで今度は地方で申し上げますと、市町村もしくは都道府県等が地元でいろいろ就労したときには雇用主のような立場になりますから、そういう意味での要求もある。ところが、地方公共団体に対して労働省は、地方公共団体で従来あったようないろいろな現地の交渉や折衝が行われ、大なり小なり地方でも多少色をつけてきた。その色をつけたことに対してそういうことをしても国が責任を持たないし、また、そういうことをすることは不都合であるというようなことを、指示をなさったように聞いているのですが、そういう指示をなさっているかどうか、次官の方からお伺いしたいと思います。
  165. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 国として予算面にも本年度においては一年七日、三日というふうに組んでおりますので、いつもそれに従うべきでありますが、従いまして、これに対しまして、この分についての国庫補助金を見ておるわけであります。従いまして、それ以上に府県が出したから、こちらがその補助金も見るというわけには参らないのであります。  第二に、やはり財政上いろいろな措置もあろうかと思いますが、それぞれの要求をしまして、一方が出せば片っ方も出さなければいかぬというわけで、地方としてもいろいろと小さな財政の貧弱な団体等においては競争で——競争というと語弊がございますが、そういうようなことに、一つがやれば片方が財政困難でもやむを得ずそれだけぐらいの措置はしなければいかぬというわけで、地方財政上の問題にもなりますので、これは自治庁の関係にもなるかと思いますが、不十分だとは思いますけれども、また、府県独自でやることはとめるわけには参りませんけれども、ただそういうふうに、何と申しますか、ほかの所にまで財政上の悪影響を与えるというような措置については、地方でもお考え願いたいというようなことはかねがね申してあるように私承知しております。
  166. 山本經勝

    山本經勝君 その点は、先ほど局長お話とだいぶ違ってくると思う。これは当該都道府県もしくは市町村等に対して地元で折衝することはこれは当然だと思う。国がしっかり基本的に、たとえば十日なら十日の要求を満たしてやればそうなってこないと思う。そうでないものだから、勢い現地でそれぞれ当該市町村あるいは県等に対して要求が出てくる。そこでいろいろすったもんだをやる。年々歳々紛争は起るのですよ。もしあなたたちがそれをとめられるというならば、国がやるべきですよ。国が統一的にやるべきじゃないですか。そうすると、十日というささやかな要求に対してさえも、それにいろいろ理屈がついて、それはむずかしいということで、たとえば公務員の年末手当に比例して支給するものであるという考え方をもっておられるくらいであるならば、しかも思想的にはその取扱いの思想はやはり国との関係において考えるということなんであって、雇用主が国ということではないけれども、それに準ずる姿にあると思う。だからそういう意味で考えていくならば、国がもともと要求を満たしてやるならば、そういうように地方で問題を起さなくて済むと思う。そこのところが割り切れぬ不満が残っていて、その残った不満を地方にもっていくという姿が私は現実だと思う。それまでとめてしまうと、あたかも袋の中に入れて、袋の口を縛って水の中へつけてたたくという格好で、全く行き場がない。そのことが紛争の種をまいていると思うのです。そこら辺が、労働省という労働者保護の立場に立つ当局としては、少し考え方を変えてもらわぬというと、この際いかぬという考え方をもつのですが、その点は局長、どうなるのですか。
  167. 百田正弘

    説明員(百田正弘君) 私は先ほど申し上げました通り要求は確かに十日でございます。従いまして、われわれといたしましても、できるだけ考えたいという気持には変りはございません。ただ事務的な経過を御説明申し上げたにすぎません。
  168. 山本經勝

    山本經勝君 時間もございませんからこの問題も、次の労働大臣がお見えになった際にもう一度やり直さなければならぬですが、問題は今地方の公共団体が競争をして弊害を他に及ぼすというようなことがあるかもわからぬですよ。起り得ることだと私は考える。ところが、そういうことをなすことは労働省自身が統一的にこの要求を認めてやって、国が対策を具体的に講じてやらぬから起るのであって、その責任は労働省の方にあると思いますよ、端的にいって。そういうようなことにならぬようにする方法を、私は講じてもらう必要があると思う。重ねて私はお伺いしたいのだが、次官の方から答えておいていただきたい。言質を取っておくというわけではありませんが、どうせ大臣来てもらわねば困る。ですから、今要望を含めて申し上げたいのは、少くとも地方公共団体に対してそのような、先ほど局長からお話のあったような指示をして地方を押えて、お前たちがもし地方財政が豊かであればいざ知らず、赤字財政のところでも競争をして自由労組の要求を入れてはつまらぬぞ、ということで押えられるということならば、それは政府が見るべきだということなんです。この考え方はどうなんでしょうか、次官としての見解を承わっておきたい。
  169. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 地方が勝手にたとえば十日なら十日の要求をそのまま認めてはいかない、地方でそれらの要求を自由にきめてはならないというふうな通達を、私は労働省が出したということは聞いておりませんけれども、しかし、国としてきめたこの責任を持てる分についてはこれはもう当然国が責任を負うべきものであると思いまするけれども、地方が国できめた予算をこえて勝手にきめる分についてまで国が責任を負うということは、これは問題があろうと思います。
  170. 山本經勝

    山本經勝君 私はそう言ってるんじゃないんです。次官誤解があると思う。考え方として、今言うように、十日の要求をしている。ところが、かりにそれが七日になる、あるいは八日になる。そうすると二日という差が生まれますから、その不満を今度は地方へもっていくんだ。どうしてもそうなるんですよ。少くとも賞与という概念から言えば、先ほど申し上げたように、一年間の一つの区切りとしてお正月を迎えて、酒の一ぱいも飲み、子供たちにも新しい着物を着せ、下駄も買うてやりたい、というような気持から出た、これが一つの重要な要素になっていると思う。もう一つ賃金あと払いとか昔言われた問題、いろいろ問題もありましょうし、あるいは賞与の性格そのものがいろいろな考え方があると思うんです。だがしかし、ともあれ一年の締めくくりであるという機会である、そういう意味において求めておるものであって、十日というものは私はささやかな要求だと思う。ところが、それが満たされぬために、地方へもっていって、地方公共団体に対する要求なり、あるいは交渉なり、紛争になっているんだから、もしそれをやっちゃならぬ、悪い競争をして、脆弱な地方財政に負担をかけるということは、政府はそういうことの責任持たぬぞ、というおどかしをやられるなれば、地方公共団体は萎縮してしまいます。積極的にかかえている失業者に対するあったかい親心を示すことができなくなる。そういうふうにして押えるなれば、少くともそのことを政府の責任において解決つけてやるという立場をとってもらわなければ困るんですが、そのことが予算上どうこうということを伺ってるんじゃなくて、考え方として、次官はどのようにお思いになるかということを伺っている。
  171. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 私は気持としては、できるだけ要望を満たしてやるようにすべきだと考えております。
  172. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、たとえば地方の方にしいてそういう指示をしないでもいいと。むしろここで十日の要求をどうするかということを解決つけてやるという方が私は本筋だと思うんです。私の考えは、ここは考え方は違うかもわからぬが、一応そういう考え方を持っている。ですからあなたの考え方は、何とか希望は入れてやりたいということは考えておるということを言われておるが、それがばく然としておる。そうすると、地方を押えるということが私は問題だと思うんですよ。ここで要求は満たされない。地方へもっていかれて不満の点をぶちまけて、そこで交渉をし、紛争を起すことはおもしろくない。従って、その方は別の面から、あるいは自治庁の名においてびしっとした指示を出して、そういうものを受け付けるなというふうに閉ざしてしまうならば、いくところがなくなるんです。不満のはけ口がなくなる、やはり不満のはけ口を作ってやることが正常の形における労使の関係なり、あるいは国民として労働者の、失業者の保護の道であると私は思う。その思想がいいか悪いか、いいと考えられるのか、悪いと考えられるのか、そのことを伺っておる。かいつまんで御回答を願いたい。
  173. 二階堂進

    政府委員(二階堂進君) 私は、気持は先ほど申し上げた通りであります。しかし、非常にまあきびしく一銭も出してならぬというようなことを申し伝えるのは、これは正しくないと思う。しかしながら、地方があっちもこっちも勝手に要求通りにしていくということは、これはまた地方財政上その他に影響もいろいろあろうかと思っておりますので、この点については検討をすべき問題であろうかと思っております。
  174. 山本經勝

    山本經勝君 要望……、先ほど駐留軍労務者の問題もありますし、この問題も予算案を伴っておりますから、これはやはり皆さんだけではなかなか困難であろうと思いますが、私は政府当局にお願いしておきたいのは、大臣を中心として皆さんの方の内部で、ここで合議をなさるんでなくて、事前に十分の協議を遂げて思想を統一してもらいたい。ここでびしびしと答えていただいて簡単に議事が進行できるような方向にお願いしておきたいと思います。  それから委員長に、次の労働大臣出席の際に、なおもう一度明らかにしたいですから、そのことをお含み願います。  私の質疑、これで終ります。
  175. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事務的な問題ですけれども——申し上げたいことはたくさんありますけれどもあとに譲りまして、事務的な問題ですが、今の就労はどうなっておりますか、平均就労は。ここ三カ月ほどの間でけっこうです。
  176. 三治重信

    説明員(三治重信君) 現在第一・四半期は二十一日ちょっと出て、第二・四半期は二十二日近くなっております。第三・四半期はまだ月平均としては出ておりませんが、予算上で予定しておりました二十一日の就労は確保しているつもりでございます。
  177. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 第一・四半期と第二・四半期の、多くやっておるところと少くやっておるところの問題をちょっと言って下さい。
  178. 三治重信

    説明員(三治重信君) 一般、われわれの方で知っておりますのは、一番多いところは東京都じゃないかと思います。これは都で単独に予算も組んでおりますので、さらにプラスして就労を組んでおります。  それから一番少いところは、やはり京都府じゃないかと思います。大体われわれの知っておるところでは、十七、八日というふうに承知しております。
  179. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 第二・四半期もそうですか。
  180. 三治重信

    説明員(三治重信君) 大体そうでございます。
  181. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで日雇の方々ですね、緊急失対事業の労働者の方々からいろいろの要求が出ておると思うのです。そうしてこの要求についてほんとうに一つ一つ体系的に、体系的という言い方はどうか知らないけれども、お考えになっているんでしょうか。それを一つ聞いておきたい。たとえば今の賃金を五十円値上げしてくれと、それから就労を二十五日にしてもらいたい、いろいろ皆さんのところに言っておると思うのです。この問題について、この次大臣が出られたときには詳しくこの関係の、たとえば保険の問題についても、待ち時間の問題についても、いろいろの問題を、今度大臣が出られたときには、この臨時国会中にありますから、ぜひ詳しく資料とあわせてお答えを願いたい。これが一つです。  もう一つの問題は、年末の十日分という問題が今議題に出ております。しかし、私は、過去の歴史を振り返ってみて、日本の慣習からくる年末年始において特別の出費という問題の概念は、生活研究所か労研か、ちょっとその研究したところの場所を忘れましたけれども、少くとも月々の生活費にプラス五割は最低必要だというような数字が出ております。そういう面からきて、今慣習だから六日だとか七日だとかいうことを言っておられますけれども、それでは私は理屈がないと思うのです。実際問題として、今日のこの失対事業に働いておられる方々の生活水準というのは非常に低いと思うのです。これは総体的に低い生活をされて、何とか年末年始の中において、自分の生活のカバー、それから子供も家族もあることですから、何とかほかに方法を見つけようと思ってもできないものですから、やはり今の政府または府県の自分の雇用関係にある対象に、自分の生活を守ってもらいたいと言うのは当然な要求だと思うのです。ですから、そういう関係で、皆さん労働省の方で、年末年始に、特別な出費が大体どれくらい要る、どれくらいのお金を上げたら年末年始に、月々の生活の低さという問題を言うのじゃなく、どれくらいのところが必要なのだというやはり解明も、私はこの次一緒にしてもらいたいと思うのです。そうでなければ、今までの慣例が三日から五日になって、二割五分も上って、今度は一割五分だから一日だとか、去年のように、〇・一五だから一日ふやすのだというようなことだけでは、私はもう満足できないときにきているのじゃないかと思うのです。だから、地方の自治体に対する問題も、自分の要求のはけ場というものは当然問題で、通牒を出したとか出さぬとかいう問題にまで発展すると思いますけれども、そこらあたりの問題を明確にして、今度の委員会にぜひ出ていただきたい。私はそれをお願いしておきたい。
  182. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて閉会いたします。    午後四時二十二分散会