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1957-12-19 第27回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年十二月十九日(木曜日) 午前十時四十三分開会
—————————————
委員
の
異動
十一月十三日
委員紅露みつ
君及び坂本 昭君
辞任
につき、その
補欠
として
松村
秀逸
君及び
藤原道子
君を
議長
において 指名した。 十一月十四日
委員松村秀逸
君及び
西岡
ハル
君
辞任
につき、その
補欠
として紅
露みつ
君及び
大野木秀次郎
君を
議長
に おいて指名した。 十一月十六日
委員大野木秀次郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
西岡ハル
君を
議長
において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
阿
具根
登君 理事 勝俣 稔君 有馬 英二君 山下 義信君 中山 福藏君
委員
草葉
隆圓
君
紅露
みつ
君 高野 一夫君
谷口弥三郎
君
西岡
ハル
君 横山 フク君 片岡
文重
君 木下
友敬
君
藤田藤太郎
君
藤原
道子
君 山本 經勝君 竹中 恒夫君
事務局側
常任委員会専門
員 増本
甲吉
君
説明員
国税庁次長
原 三郎君
農林省農林経済
局長
渡部
伍良
君
通商産業省鉱山
保安局長
小岩井康朔
君
労働省労働基準
局長
堀 秀夫君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
労働情勢
に圏する
調査
の件 (
神田青果市場組合
の
労働賃金
未払 問題に関する件) (
炭鉱災害
に関する件) (
国税庁
の
労働
問題に関する件) (
報告書
に関する件) ○
審査報告書
に関する件 ○
社会保障制度
に関する
調査
の件 (
報告書
に関する件)
—————————————
阿具根登
1
○
委員長
(阿
具根登
君) 開会いたします。
委員
の
異動
を
報告
いたします。 十一月十三日日付をもって、
坂木昭
君及び
紅露みつ
君が
辞任
され、その
補欠
として
藤原道子
君及び
松村秀逸
君が選任されました。十一月十四日付をもって
松村秀逸
君及び
西岡ハル
君が
辞任
され、その
補欠
として
紅露みつ
君及び
大野木秀次郎
君が選任されました。十一月十六日付をもって、
大野木秀次郎
君が
辞任
され、その
補欠
として
西岡ハル
君が選任されました。
—————————————
阿具根登
2
○
委員長
(阿
具根登
君)
労働情勢
に関する
調査
の一環として、
神田青果市場組合
の
労働賃金
未払い
問題を
議題
といたします。
本件
について、
関係当局
から
説明
を願います。
渡部伍良
3
○
説明員
(
渡部伍良
君)
東京
の
卸売市場神田分場
の
東京神田青果株式会社丸東
の
常業許可取消
につきまして、それに関する
同社
の社員の
俸給
の
未払い
、
退職金
の
未払い等
について
議題
になっておりますので、それに関連して、
本件
の
経過
を御
説明
申し上げます。 最終的な結果はまだ出ておりませんが、簡単に一枚刷りで、「
東京神田青果株式会社許可取消
について」という書類をお配りいたしておきました。この
会社
は、ここに書いてありますように、八月二日から三十一日まで、さらに九月一日から九月二十日まで、
東京都知事
すなわち
市場
の
開設者
である知事から
営業
の
停止
を受けたのであります。その後に、
営業停止
になった
原因
が解消する見込みがないということで、九月十六日に、
中央卸売市場法
の
規定
に基きまして、
同社
が
資力信用
がないから、取り消すことが適当であるという副信をつけて
農林大臣
に申請がありましたので、
聴聞会
を開いた結果、
東京
都の言うことが正しいということで、九月二十日に
丸東
の
常業許可
を取り消したのであります。 釈迦に説法になりますが、
中央卸売市場
は、
中央卸売市場法
に基きまして、
開設者
は一定の人口を持っておる以上の
公共団体
、それに対して
農林大臣
が
市場
の
開設
の
許可
をすると、さらに
市場
の中で
卸売
の
業務
を営む者を、同じく
中央卸売市場法
に基きまして、
農林大臣
が
許可
をするということになっておるのであります。
生鮮食料品
は、
米麦
その他貯蔵のきく食品でありませんので、非常に
取引
がめんどうである。しかし、一日も欠かすことはできない。そのかわりに、農家の方あるいは漁家の方の
生産
は、
工場生産
と違って、天候あるいは
自然的条件
で供給がまちまちである。その間をつなぐのが
卸売市場
でありまして、
卸売人
は、産地から荷を
生産者
の
委託
を受けて
市場
に
提供
しまして、
市場
で
せり
にかける。そうして仲買、
小売
に流して、
消費者
に届ける。そういう役目を果しておるのでありますが、現在全国で、たしか十五市に
中央卸売市場
がありまして、その中で
東京
都が一番大きいのでありまして、
東京
都は、築地、
神田
、淀橋、豊島、荏原、江東という所に
分場
を設けて、
卸売人
の数は、
丸東
は取り消しましたが、二十三の
卸売人
がありまして、
先ほど
申しましたように、
野菜
、果物、
魚類等
を
生産地
から引き受けて、それを
せり
にかけておるのであります。その
卸売人
は、
水産物
は六%の
手数料
、
野菜
は八%の
手数料
をもらっておるのであります。従って、通常の
業務
をやっておれば、
丸東
のように
営業
上の不始末を起すということは、
常識
では
考え
られないのでありますが、
終戦
後の
生鮮食料品
の
不足等
から、
生産地
に対する
荷引き競争
が非常に激しくなりまして、大体、
手数料
の二割から三割あるいは三割五分までの
荷引き奨励金
というものを払っております。
生産地
に対する
奨励金
、それから仲買い、
小売人
に対する
奨励金
というものを払っておるのであります。そういう
関係
で、普通の
商売常識
では……、
手数料
が確保されておるにもかかわらず、そういう
過当競争
による
奨励金
を払うために、
東京
都二十数社の中の三分の一は、今に至りましても
営業成績
が非常に悪くて、
赤字
を続けておるのであります。従ってかような仕事は、一
商事会社
に
行政庁
が
許可
を与えてやらすことがいいか悪いか、むしろ
公共団体
それ
自身
が荷を引いて
せり
にかけたらいいじゃないかと、あるいは二十数社を一社にして、そこで
過当競争
をなくして、現在は、
農林水産物
の
生産
が
終戦
後の
米麦重点主義
の
生産
とかわって、
生産
が潤沢になっておるのだから、その当時もらった
奨励金
をもらわなくても出せるのじゃないか。どうしても取るなら、そういうふうに
市場
の
機構え
のものを変えたらいいじゃないかという議論もありますけれども、現在はそういう
状態
であります。 その中にこの
神田青果
というものがあるのであります。
神田青果
は、
昭和
二十三年十月に
果実部
の
許可
をいたし、二十四年の四月に
蔬菜部
を
許可
いたし、二十六年七月に
つけもの部
を
許可
いたしたのであります。
同社
の
資本金
は四千万円で、
取扱い高
は、
昭和
三十一年の一年間をとりますと、約二十一億、
東京
都
卸売市場
の
神田分場
の総
取扱い高
は百億余りであります。その中で、
神田
の青果物の
卸屋
は六軒あったのでありますが、二十億でありますから、
取扱い高
といたしましては、上から数えた方が早い順序に立っております。
同社
の
資本金
は四千万円でありまして、
社長
は
中村
氏、
取締役会長
は
本多市郎
氏であります。
同社
は、
昭和
二十六年三月三十一日を締め切りとする
決算期
から
損失
を起しまして
累年損失
を累加いたしまして
常業許可
を取り消すときの
会社
の
内容
は、
資本金
四千万円に対しまして
会社
の考課状に載っている
マイナス
は二億二百十九万四千、本省がその当時、三十二年三月三十一日現在の
決算
で検査しますと、二億というのは実は三億三千八百七万六千円と、こういうことになっておったのであります。この
取消
に至りますまでに、ただいま申し上げますように、
昭和
二十六年から
累年欠損
であります。
昭和
二十八年にこの
会社
の
整理
をいたしまして、
再建計画
を立てまして、これの
立て直し
をはかったのでありますが、その後
常業成績
が上らず、毎年
市場開設者
である
東京
都が検査をいたしましてそのつどこれが
立て直し
の
回答
をとっておったのでありますが、その後
営業成績
は
改善
を見ませんで、本年の七月に至りまして、
金融引き締め等
の影響の現われとも言えましようが、
生産者
の
委託
に対する
仕切金
の
支払い
ができなくなって、その
金額
は、ここに書いておりますように、
売買仕切金
未払額八千三百万と出ておりますが、これが払えなくなったのであります。払えなくなりますと、
卸売市場法
に基きまして
業務
の
停止
を
市場開設者
がいたしましてその間に
仕切金
の
支払い
をできるように
会社
に努力をさす。それもできないとなれば、
卸売市場法
第十条の六によりまして、
会社
の
資力信用
が欠けるに至ったときには、
許可権
を持っている
農林大臣
は、
許可
を受けたる者が
資力信用
を欠くに至ったときは
許可
を取り相すことができると、こういう
規定
がありますので、取り消したのであります。その間に、取り消すに当りましては、
市場法
の
規定
によりまして
関係者
を呼びまして、
聴聞
にかけまして、
再建計画
、かような事態に立ち至った
経過
、そういうものを聞いてやらなければならない。その際に、私の方で
関係会社
を呼びまして聞きましたところ、非常に
市場
の
公共的性格
を無視して ここ数年、毎年
会社経理改善
の
誓約書
を出して、その
誓約書
の実行についての
回答
に
誠意
がないのみならず、将来にわたってすぐ支払わなければならない
仕切金
に対する金のめどというようなものも形式的に提示がないし、私の前で、
会社
の中の重役間で、お互いに
責任
の転嫁の見にくい
状況等
を露呈いたしまして、これはとうてい、このような
会社
を存続することが
卸売市場
の
公共性
、
信用保持
のためによくないということで、
市場開設者
と相談いたしまして九月二十日に
業務
の
許可
の
取消
をしたのであります。そのときの
負債
の
状況
を見ますと、ここに書いておりますように、
生産者
に対する
売買仕切金
の未払額は八千三百万円、
買受人等個人
からの
借入金
一億四百万円、銀行その他
金融機関
からの
長期借入金
二億三千七百万円でありまして、これは、大口は千葉銀行その他の
信用金庫等
であります。この中に、一億の
買受人等個人
からの
借入金
というのがありますが、これは、相当部分が
高利
でありましてその
高利
によって
雪だるま式
に
会社
の
内容
が悪くなったということも、
過当競争
による
生産者
あるいは
買受人
に対する
奨励金
と、重ねての
会社常業成績
の不振だった
原因
であろうかと私は
考え
ております。そういうものがあるのであります。そういうわけで、これだけの四億以上の
負債
を背負って、
資本
の増額とか、あるいは
高利債
をもっと低利に借りかえるとか、あるいは
会社
の役員に
中村社長
、
本多市郎会長等
の相当の
有力者
がおっても、
私財
の
提供
とか何とかいうことも
一つ
もやってくれないし、こういうことでは、だんだん各方面に御迷惑をかけるばかりだということで、
取消
をいたしたのでございます。 現在これの
善後処理
につきましては、横浜その他の
市場
におきまして、こういう倒産した
会社
の
善後処理
の例にならいましてその
市場
に残った
会社
で
あと
の処分をしてもらおうということで、
神田
の
残存会社
に相談いたしまして、前例もあることだから、
一つ
よろしく願いますということで
お話
をいたしまして、二十数億の売り上げが
残存会社
の
取扱い高
の増になる。それからまた、
取消会社
の
東京
都
開設者
から借りておりました
市場
の売場を残った
会社
が使うことができる。そういうふうないろいろな
関係
がありますから、
残存会社
も、それは
あと
処理
することはやむを得ないであろうという大体の空気も確かめまして
取消
をいたしました。現在その
趣旨
に従って
残存会社
にこの四億の
負債
を、
会社
の私的な
借入金等
よりも、
委託者
に対する未払金の
支払い
、それから
従業員
の未払給料と
退職金等
の
支払い
、そういうものを
優先
的に払って、
残り
があれば、一般的な
清算会社
の
財産
に対する
請求権
としての
債権者
に支払ってもらいたいという
趣旨
で、
残存会社
に一億を、毎年の
残存会社
の
売上高
の千分の一・五ずつ
東京
都に
寄付
をさせまして、これをまず
生産者
に対して、
生産者
の中にもいろいろな性質のものがありますから、よく調べまして、払うべきものは払っていく。それからまた、
退職金
あるいは
俸給
の
未払い
がありますから、これも払っていく。さらに
残り
があれば、
残り
の
債権者
のうちで、
東京
都が適当と認めるものは払うように、こういうことで
処理
をいたしております。ただいままでのところ、最終的に一億を払うのには何年かかるだろうか、あるいは一億では多過ぎるから
最小限度
にしてくれ、そういうふうな
残存会社
からの要求がありましてただいま折衝中であります。まだ
結論
は出ておりません。先般参議院の
農林委員会
で、いつまでに解決するのだ、こういう御質問がありました。
農林省
、
東京
都、ともに
年内
には是が非でも片づけたい、こういうことをお答えいたしておるのであります。
年内
押し迫りましたけれども、まだ最終的に
結論
は出ておりません。これは、何と申しますか、
中央卸売市場
の
開設者
が
公共団体
である。その中で
卸売
の
業務
を営むものは
許可常業
である。従って、新しく
許可
上ない限りは、
残存会社
には
利益
があり、
卸売市場
も
提供
する。従って
卸売市場
のことは
卸売市場
の中の人が解決すべきであるということをそれぞれの
卸売人
も言っておるのでありますが、何しろ金銭の支出のことでありすから、
会社
としては非常に慎重であるのは当然だと思いますが、この解決のためにはまだ数日を要する、こういうような
状態
であるのであります。 大体
経過
は以上の
通り
です。
阿具根登
4
○
委員長
(阿
具根登
君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
政府側
から、ただいまの
渡部農林経済局長鈴木企業市場課長
、
堀労働基準局長
が見えております。お含みの上、質問願います。
藤田藤太郎
5
○
藤田藤太郎
君 今の
丸東会社
の
経過
については、今までにおいて一応お聞きしたのですけれども、私は、ここで主として
労働
問題を中心に取り上げていきたい。この問題を取り上げて参りますと、この
会社
の
経理
というものがどうしても明らかにならないと、なかなか納得いかないと思います。そういう
建前
で、今最終的におっしゃった、
委託者
、
労働者
の
賃金
を
優先
的に取扱う。で、問題は八月二十日から
経過
を経て、九月の二十日に
取消命令
で、むしろこの
会社
は解放の
状態
にある。そこで働いてた人は、今九月以後の給料、または
予告手当
、
退職金
というような
給与関係
はそのままの
状態
に羅かれて、非常に不安定な
状態
に置かれている。だから、ここで第一にお聞きしたいことは、
年内
にやると言われるけれども、
労働者
の
給与
というものは、どういう
工合
に支払おうとしておられるか。私は、この問題は、
労働者
の生活の問題ですから、
年内
に
労働者
に関する千五百五十万ですか、今数字はおっしゃらなかったですけれども、私の聞く
範囲
では千五百五十万円、これは、年末までに解決してもらいたいということを、さっきの
お話
の続きとして、どういう
工合
に
考え
られるか、お聞きしたい。
渡部伍良
6
○
説明員
(
渡部伍良
君)
丸東
の
従業員
は、
常業許可取消
の当時、百四十八名おりました。その
取消
の当時、ここにも傍聴で見えております
労働組合
の方が見えまして
未払い俸給
を払うように
会社
に言ってくれと、
退職規程
があるのだから、それを払うように言ってくれと、こういう
お話
がありまして、それは当然のことであるから、僕の方でも話そうということで、お約束いたしたのであります。しかし、
未払い俸給
、
退職金
よりも、その人々が、もうこの
会社
は継続する
可能性
がないのであるから、
従業員
の方も、何とかして
許可
を継続してくれれば、われわれが建て直すというような
お話
もありました。だけれども、ともかく四億の
負債
を抱えて
資本金
四千万円、
会社当局者
が増資の
計画
もないし、
私財
の
提供
もない。そういうふうなところでそんなことを言っても無駄じゃないか。それよりも、ほかの方に就職した方が先決ではないかということで、
労働組合
の
幹部
の入が非常に努力されて、現在までに百三十八名が就職しております。
あと残り
十名が
未払い俸給
なり、
未払い退職金
の獲得のために非常に努力されておるのであります。その
金額
は、私の方の
計算
は、普通の
規定
通り
計算
いたしますと、
俸給未払い
は、一ヵ月の
予告分
を含めまして約四百七十万円であります。
退職金
が、
会社
の
退職規程
によると一千万円になります。ですから、
お話
のように、約一千五百万円内外のものが
未払い分
ということになると思う。しかしこれは、
会社
が正常な
清算
をするとか、あるいは
会社
が継続中にやめる場合の
計算
でありまして、このものが四億の
負債
を持ってるところから払えるものか払えないものかということは別問題でありまして、私の方でも、このもの全部を払いたいのはやまやまでありますけれども、
転職先
の
俸給
とかいろいろなもの、あるいは
会社
の
事情等
を勘案しまして、これからこのうちの何割を支払うことになるか、あるいは人によって変えることになるのかならないのか、これは、おそらく
残存
の
労働組合
の
幹部
の方が骨を折られることになると思いますが、とにかくこの
金額
を目標にいたしまして、
先ほど
申しました一億の中から払っていきたい。こういうふうに
考え
ております。 それから、その前に私も、
取消
の際に、
労働組合
の方に約策しておるのでありますから、大体普通ならば、当然
会社
が解散したら、
会社
の
残余財産
でもらうべきだが、
残余財産
が、
先ほど
申し上げましたように、
マイナス
一億でありますので、とうていそういうものを期待することはできない。そうかといって、これはほかのところから出せといっても、これはできないことでありましてそこに
市場
の中における
卸売人
の
性格
というものが、今のような単純な商法の
会社
でいいのかどうかというような問題も含んでおると思いますが、とにかくにも現在は、単純な
商事会社
であります。
商事会社
が解散すれば、その解散に対して
労働者
としての
従業員
の
俸給
というものは
優先権
があることは、
法律
上当然でありますけれども、ものがなければ仕方がない。そこで私は、とにかく
先ほど
申し上げましたように、
有力者
が
社長
であり
会長
であるのだから、まずその中の
会社
の
責任者
としての
私財
をたとえ少額でも出して、そうして
労働組合
の人に
誠意
を示したらどうかというようなことも言っておりますけれども、それも、ただいままでのところ、やったという話を聞いておりません。ただ、その
開設者東京
都あるいは
農林省
の方に言われておるのでありますが、私の方の
支払い
の
経過
は、
先ほど
も申し上げましたように、おそくても
年内
に出したいということで、ただいませっかく折衝しておるような
状態
であります。
藤田藤太郎
7
○
藤田藤太郎
君 今
お話
を聞いておりますと、大体千五百万円ぐらいある。しかし、その中で割引して払う
云々
という
お話
が出てくるわけです。私は、
労働者
が働いた
賃金
を……
会社
の
経過
は、二十六年から
赤字
を出してきて、債務を負いながら今日まで
業務
を続けてきた。
労働者
の
立場
からすれば、
労働者
は
労働
によってその
業務
をはかってきた。そういうものを、
会社
が解散したから、割引して
賃金
を払うとか払わんとかいうことを……これは
会社
対
従業員
の
関係
ですね。
農林省
がそういうお
考え
なんですか。割引して払うというようなお
考え
なんですか。あなたの方は
清算人
なんですか。
会社そのもの自身
の
人格
ですね、
人格
、法人……。一面からいえば、
認可許可権
を持っておる都と
農林省
の
関係
、だから、
取消
された形においての
会社
の問題について、
責任
の
関係
はどうなんですか。
渡部伍良
8
○
説明員
(
渡部伍良
君) これは、非常にむずかしい問題でありまして、
先ほど
から申し上げましたように、
丸東
は
商事会社
でありますから、
商事会社
が
常業
を廃止すれば、当然
清算
に入るわけであります。
清算財産
に対して
従業員賃金
が最
優先
を持つことは、
法律
できめられたことでありますから、それはそれでやっていく。私の方は、その
商事会社
が
市場
の中に入ることを
許可
しておるのでありまして、その
意味
においては
責任
はあります。しかし私の方は、
会社
の
清算
には全然
関係
ないことでありますから、しかし、場に入ることを
許可
した
建前
から、
会社
がまっとうに
業務
を行うことを監督する必要がある。解散した場合に、方々に迷惑のかからないように、
整理
を監督する
責任
がありますから、その
意味
において
先ほど
から申し上げますように、
会社
は
マイナス
でありますから、
会社
から出っこないわけでありますから、ほかから銭を持ってきて支払うように努力しておるわけであります。他人から金を持ってきて払うわけでありますから、
会社
が正常にやっているときに
退職金
をもらうというようにはいかぬのが、これはまあやむを得ないことではないか。
労働組合
の方が百パーセントもらいたいと言っても、それも無理じゃないか。だから、それよりも、できるだけ早く、少しでも多く、われわれは努力するから、百パーセントくれなかったらおれは承知しないぞ、こういうように言わぬようにしてくれ、こういうことを申し上げておるのです。
藤田藤太郎
9
○
藤田藤太郎
君
賃金給与
の問題は最
優先
に払う、これは
会社
と
従業員
との
関係
なんです。
農林省
と都は、
監督行政
の
立場
にあるので、
あと
のこの
会社自信
の
整理
をどうするかという、お手伝いか、または
責任
があるか、その点は
あと
で私は明らかにしてもらいたいと思うのですけれども、いずれにいたしましても、
労働者
の
賃金
というものは、最
優先
に私は全額払わるべきものが
建前
だと思うのです。だから、そういう
立場
においては、
監督官庁
の止揚からすれば、
労働者
の
賃金給与
は
割引云々
ということではなしに、
個人
、でどう思われようと、
監督官庁
の
立場
からすれば、
賃金給与
というものは最
優先
に払いなさい。
会社
の
整理
その他の
あと
の処置についてはあなた方が相談される、努力されるということは私はいいと思うのですけれども、しかし、頭から、
監督官庁
の
立場
から、割引して
云々
ということは言えるものかどうか。
渡部伍良
10
○
説明員
(
渡部伍良
君) これは、
先ほど
から申し上げましたように、
会社
はさかさに振っても、
会社
の
財産
としては
マイナス
三億なんであります。ですから、払えっこないわけであります。そこで、
開設者
なる
東京
都と
農林省
が、それは、とにかくわれわれが
許可
した建物であるから、相済まぬことであるから、ほかから金を取ってきて、その
会社
の
負債
を
会社
に代って、
見舞金
としてそれぞれ迷惑をかけているところべ払おうと、こういうことをやっているわけであります。ですから、
会社
に
財産
が残ってその中から最
優先
的に天引きで百パーセント全部払えと、私は言わなければいかぬと思います。だけれども、ほかから金を持ってきて、その金が十分でないわけてすから、
負債
四億あるわけですから、四億の中で、一億しか用立てができないわけですから、そこで、その中から全部を要求されても、私の方としては困る。ですから、できるだけ多く払いたいけれども、百パーセントは言わんでくれということを
労働組合
の人に申し上げておるのであります。
藤田藤太郎
11
○
藤田藤太郎
君 それは私は、
会社
の
整理
、その中における
会社
と
従業員
との間における
取引
ならともかくとして、
監督官庁
がそういうものの言い方をされるということは、私は納得がいかない。これは、
建前
として、
労働者
が
労働力
を
提供
して、その
賃金
を、
会社
がいかなる理由でやろうと、あなた、百パーセント払うのが
建前
ですよ。当然なことなんです。払える払えぬという交渉の問題その他の問題は、その
あと
の問題であって、だから私は、
監督官庁
としては、
賃金給与
を
優先
して払いなさい。その中で、
あと
で問題が出てくるけれども、私が聞いている
範囲
では、
丸東
は、三つの
会社
がその場所を分けあって
商売
をすることになるだろうということを、
先ほど
も少し
報告
がありましたが、そういう形の中から、
残存会社
の、そこで官業する人の
利益
というものから一億円というものを五年間で都に
寄付
という形にする。そういう形において一応
整理
しようとするのだが、この一億円それ
自身
が適当であるかどうかということは、私はよくわかりませんけれども、しかし百パーセント、四億何千万円かある
負債
を
あと
の
残存会社
に負担せいということは、私は問題があろう〉思います。あろうと思いますけれども、そこで継続して
利益
を受けながら
営業
するという
会社
は、ある程度の受益者として、
あと
の
処理
をしていくという心がまえがあって第一にしかるべきことである。だから、そういう
関係
を、今の
丸東
と
残存会社
の間の
整理
のための努力というものが都と
農林省
によって行われるということは、私は正常ないいことだと、うんと努力をされて、たとえば仕切り、
委託者
ですか、
生産者
やその他に迷惑のかからぬように、
監督官庁
ば
責任
をもって
処理
をされることが私ほいいことだと思うのです。しかし、その
関係
はいいことですけれども、
賃金
を割引して
云々
ということを
監督官庁
の
立場
から言われることは、私はちょっと納得しにくい。そこで私は、
労働
基準
局長
にお聞きしておきたいけれども、今のような公式的な話において、割引して
云々
というようなこと、
労働者
の
賃金給与
というものが、そういう形で払われていいかどうかということですね。
会社
と
従業員
との話はともかくとして、
監督官庁
としてそういう格好で指導されるということは、私らとしては、なかなかちょっと納得がしにくい。基準
局長
の見解をこの場所で聞いておきたい。
阿具根登
12
○
委員長
(阿
具根登
君) 時間の都合で、ちょっと関連して私から質問したいと思いますから、その場でお答えを願いたいと思います。かりに四億の
会社
がつぶれて、
整理
をしたところが、一億円の金が残ったというような場合には、これは、何を一番最初に
整理
すべきであるか。
労働者
の
賃金
を当然やるべきだろうと思うが、その点について、基準
局長
と経済
局長
の見解をお尋ねしたいことと、それから第二点は、いずれにしても、一億という金が出てきたということは、これは何かということ。今まで
神田
に四つの
市場
を
許可
しておって、そしてそれを三つに減らした。そうするならば、三つの
市場
というものは非常な
利益
をこうむることになっていくんじゃないか。おそらくこれを権利金で評価するならば、莫大な金になるだろうと思う。だからこそ一億という金が出てきた。そうするならば、その金の性質というものは、
先ほど
言ったような、四億の借財の中から
整理
したならば一億出てきたものとみなされるのかどうか。そうした場合、まず働かしておいて、多い人は二十万からの金が
未払い
になっておる。そういう人たちに最
優先
的に支払った上で、残ったものを他の
負債
に回すというのが、当然じゃなかろうか、こういうふうに
考え
るわけです。藤田君の質問も、その点に尽きていると思う。簡潔に
一つ
、そういう点を言っていただきたい。
渡部伍良
13
○
説明員
(
渡部伍良
君) ちょっと
説明
を私端折っておりまして、
会社
と
従業員
の
関係
は、
賃金
、
退職金
の
支払い
請求権
はあくまで残るわけであります。ところが、
先ほど
申し上げましたように、
会社
は純資産が
マイナス
でありますから、幾ら権利が残っても、
マイナス
の資産から支払ってもらうことはできないから、ほかから
監督官庁
といたしまして金を調達して、この幾分でも支払うようにしようということになっておるのであります。従って、
会社
が払うならば、百パーセントその
未払い俸給
なり
未払い退職金
を払うことは当然であります。ところが、その
会社
の
残余財産
が一億できたのでなくて、これは、
法律
的に申しまして、全然
関係
のない一
商事会社
として——残った
会社
も
商事会社
でありますから——何のためにその金を払わなければいかぬのかということが非常に問題になりまして、これを出せば、商法上の背任罪で訴えられる。こういう問題ができてきまして、そこで、私の方から通牒を出しまして、
東京
都に対する指定
寄付
という格好をとりまして、法制局等の
法律
的見解も整えていただきまして、
東京
都から
見舞金
としてそれぞれの
債権者
に、
先ほど
申しましたような
仕切金
、労賃を
優先
にして、
残り
があればほかの
債権者
にも払う、こういうこともやっているのであります。従って、そういうことでありまするから、
生産者
に対しましても、たとえば未払金に対して遅延利息を払うのも当然であるけれども、その利子はがまんしてくれ、これはがまんしよう、こういうことになっておるのであります。従って労賃に対しても、労賃の
未払い
の
支払い
でなくして、
未払い
労賃に見合うものをその
監督官庁
なり
開設者
がほかの
会社
から取り上げた中から
見舞金
として出す、こういうふうな形式になっておるのであります。従って、私の方ももっと、今
お話
がありましたような、
残存会社
がつぶれた
会社
の取扱いだけに見合う
営業
が拡大する
可能性
があるんじゃないか。しかし
可能性
でありまして、果してもとのように
神田
市場
に荷物が寄るか、あるいは新宿なり荏原なり、そのほかにいくかわからないのであります。それから
卸売人
の持つ売場の権利、これは私は、今
委員長
がおっしゃるように、これは、
東京
都が
手数料
を取って貸し付けておるのであります。従って、
東京
都の見解によれば、これは
財産
権でないという。しかし、現にそこで
営業
しているのだから、幾ら
東京
都が貸付料をとっているだけだといっても、これは経済
常識
上
財産
権じゃないか。それを
財産
権として確認したらどうか。こういうことを、これは少し言い過ぎかもしれませんけれども、中の議論ではやったのです。ところが、今の
市場法
の法制からいくと、これは法制局に聞きましたけれども、
財産
権として評価することは無理だというのです。無理といっても、とにかく経済の
常識
では店舗じゃないか。それならば、それに見合うものを残った
会社
から無理でも出させろということで、相当
法律
上は不備な点がありまして、解釈上疑義がありましたけれども、できるだけ有権的な法制局等の解釈で、
法律
で
財産
権と評価できなくても、しかし気持的にそういうことがあるならば、そういうことを率直に認めてくれということで、すったもんだの結果一億出すという、何といいますか、相当強圧的な資産になっておるわけでありますが、そういうところへ来ておるわけであります。従って、私のしゃべり方が相当はっきり申し上げまして、
労働組合
の人にもがまんしてもらいたい。
見舞金
だからがまんしてもらいたい。君らの権利を抑えるのじゃない。
会社
に対する権利はいつまでも残るのだけれども、しかしそれは、今の
清算会社
に幾ら請求しても、空の権利じゃないかということを申し上げておるのでありまして、
法律
的な解釈では、あくまで百パーセント払うのが当然だと思います。
堀秀夫
14
○
説明員
(堀秀夫君) この問題につきましては、
労働
省といたしましても、非常に
労働者
の生活に重大な影響のある問題でございますので、
農林省
、
東京
都とも連絡し、また、
会社
の経営者あるいは
労働者
側の意向も聞きながら、この問題の解決のために努力してきておるところでございますが、
法律
的に申しますと、これは、九月分の
賃金
、それから解雇手当並びに
退職金
が
未払い
になっておる
状態
でありまするから、これはもとより
労働
基準法選反になるわけでございます。しかし、まあこれは、経営者のみならず、
労働者
側の御意見も聞いたわけでありますから、ただ、違反だからといって、送検すれば事はきわめて簡単でございまするが、
労働者
側も、それじゃ困る、要するに金を払えるようにしてもらいたい、こういう御意向でありまするので、私の方としては、そういうことでなしに、ほんとうに払えるようにするにはどうしたらいいかという見地から事を
処理
したいと思っておるわけでございます。そこで、
法律
的に
考え
ますると、これは
会社
の、そのいろいろな
会社
に対する債権がありまする場合に、その債権をいかなる順位で
処理
するかという問題になりますると、これは、
賃金
債権は、言うまでもなく、抵当権に次ぎまして、最
優先
的に支払わるべきものということになっておることは、民法その他で御承知の
通り
でございます。まあしかし、その論法でいきますと、相当ほかに債権がございまするので、
賃金
がその抵当権に
優先
するということには、現在の民法上なっておりませんので、いろいろな問題も出てくるわけでございまするが、それにしても、基準法の違反にもなることでございまするし、それから、特に今問題になっておりまする、この一億円の
見舞金
をいかに配分するかという問題になりましてこれは、
法律
問題というよりも、それを離れまして、やはり
労働者
が
労働力
を
提供
して
賃金
を求めると、それが払われていないということは、年末を控えて、
労働者
の生活にきわめて影響が重大な問題でございまするから、私の方といたしましては、なるべくこの
賃金
債権が
優先
的に支払われるということが望ましいことは当然であると思っております。そのような見地から、今後
農林省
、
東京
都と十分に折衝をいたしまして、なるべく
優先
的に配分されるように努力いたしたいと思います。
阿具根登
15
○
委員長
(阿
具根登
君)
農林省
に二言私申し上げたいのは、たとえば通産省
関係
で、石炭合理化法案なるものがあってこれは、炭鉱がやっていけなかった場合に、事業団が買い上げるわけなんです。ところが、ちょうど
金額
をそれに合して申し上げるならば、四億の
負債
があったのを一億で買い上げた話になります。買い上げた場合に、その
負債
に対して何を一番最初に払うべきか。
労働賃金
は必ず払います。ちゃんと通産省ではきまっておる。それに
性格
は少し違うようだけれども、農林経済
局長
の話では、この通産省の
考え
方とも離れておる。できるできないは別として、こういう問題の場合には、労賃に対する
負債
は最
優先
的に払うべきである。これが
考え
の中に入っておらずに、あなた方も、まるまる百パーセント要求されてもそれは無理ですよというようなことを最初から
考え
ておられる。私は、その
立場
が間違っておると思う。石炭合理化法案をきめたときは、やっていけない炭鉱を買い上げる、そのかわり、買い上げてしまって、銀行もどこも均分にやるならば、一番困るのは
労働者
じゃないか。だから、その
労働者
の少い労賃に対して早く払って、銀行その他の
負債
はその次に払いますということがはっきりなっておるのですよ。それが
法律
の根本的な気持なんです。ところが、それに当てはまらないといいながら、一億という金が現に出てくるということははっきりしておる。そうすれば、一千五百万の労賃を暮に払うのだということがまず
考え
られるべきであってその
あと
にいろいろな問題が起きてくることもあるでしょう。しかし最初からこれを均分にやるべきであるというような
考え
であったならば、これは、当然
労働者
というものは泣き寝入りしなければならない。だから、そういう親心を持っていただかねば、非常に片づかないじゃないかと、こういうふうに思うのですが、この合理化法案の精神と今度の事件と比べてみて、どうも
農林省
は
労働者
に対して冷たいような気がするのですが、これは、合理化法案の
考え
方が間違っておるのかどうか、
一つ
お答え願いたいと思います。
渡部伍良
16
○
説明員
(
渡部伍良
君)
お話
、私も全く同感であります。でありますから、そういうことをやるためには、特別の
法律
を出しているのじゃないかと思います。今回は、その
趣旨
でやろうとすれば、
先ほど
申し上げます
通り
、いろいろな問題が出てくるわけです。従って、
法律
をこのために出すことも
一つ
の方法だと思いますが、
法律
を出すことをしないで、
市場法
の
関係
そのほか民法なり商法なり
労働
基準法の
関係
に照らし合せて、そうして勘案した結果、現在では、私は率直に申し上げているのですが、現状の解決方法としては、初めから私が、幾ら百%払うといっても、できないことを
労働組合
の方に約束しても、私の
立場
としては困るわけですから、その点はがまんしてもらいたいということを申し上げておるのでありまして、私は当然そういうふうに、たとえば、
会社
が何かの
関係
で解散した場合、ことに政府が関与して
営業
の
許可
をしているものを取り消した場合、こういうときはこういうふうに払うべしという
法律
がほしいと思います。そのかわりに、
会社
が取り消しに至るまでに代表者——これも、われわれの近寄れないようなえらい人がやっておるわけですから、そういう人がおって
市場
でも、毎年欠損が出ておりますから、検査をやりまして、こうやれこうやれといって、証文が出ておるけれども、
一つ
もやっていない。そうして破局に行ったわけですから、そういうことが起らんように、
許可
する
会社
には、そういう代表者がおるならば、それを入れかえることくらいの権限をいただかなければ、現在の問題として、石炭と同じようにやれと私に要求されても、私は非常に困ると思うのです。だから、それは
法律
上の問題と、実際、事案の解決の問題、そのときの具体的な問題の
処理
とは、やはり多少の余裕をもってお
考え
いただきたいと、 こういうふうに思います。
阿具根登
17
○
委員長
(阿
具根登
君) 私はこれでやめますが、
あと
藤田君から質問しますが、そういう解釈を私は言っているわけではないので、この問題は、一億の金そのものが非常にあいまいな金なのです。何のために出したかということになってくると、出さないと言えば、出さなくてもいいわけなんです。ところが、出さなければならない理由がそこにあるのです。非常な利潤を受けるわげなのです。その利潤の一部が出てきておるわけです。そういう金だから、
法律
で割って、そういうふうにやるということじゃなくて、
法律
できまった場合は、石炭合理化法案等はこういう精神があるのだ。これは、そういうようなあいまいもこというのか、あるいはこれは、非常に根の深いやつというのか、そういう一億の金が出てきておるのであるから、そういう
法律
の精神をもってこれを片づけなさいと私は言っているわけなんです。
法律
できめろとか何とかじゃない。
法律
を作れというのならば、一億は何のために出るのだ、あそこの
利益
はどのくらいあるのだ、権利金はどこから取っておるのだと、実際問題を調べなければならぬことになる。しかし、今はそういうことは言っておらぬのだから、実際一億という金が出てきておるのであるから、なぜもっと政治的に、基準法や石炭合理化法案の精神をもって解決しなさらんのかということを私は言っておるわけです。
藤田藤太郎
18
○
藤田藤太郎
君 問題は、突き詰めていきますと、まず第一に浮んでくるのは、一億円の
見舞金
というのが妥当かどうか。
財産
があるとかないとか言ってみたところで、その
利益
を受ける人がそこへ
市場
を開くのだ。そこで、一億円という
見舞金
が妥当かどうかという
一つ
の問題が出てきます。 もう
一つ
、第二に出てくる問題は、今、えらい人が
会社
の経営者であって、私らの手がつかぬとかつくとか言われるけれども、行政府というものは、立法府と離れて、
一つ
の法の規律によってやはりあるものだ。
監督行政
というものは、その事態に即した行政をやられるという
立場
に置かれておる。私らは
局長
だから、えらい人には手がつかぬというようなことであってはならないと思うのです。そういう私は意見をここで述べてもらいたくない。そういうことになってくると、経営者はどのようになったか、
内容
というものにはあなたはむしろ触れられないような
状態
で、たなの上へ上げておいて、経営者が二十六年からどれだけ経営不振をやっておったかどうか知らないけれども、最後の犠牲は
労働者
にかせぶるという手は、これは私は納得いかない。業者の
責任者
を全部洗って社会的に納得されるような処置を講じさすというところに
監督官庁
の責務があると私は思うのです。そういうものに触れないで、今一億の金が出たから、その金の配分で、今やるには辛抱してもらいたいとか、辛抱してもらわなければしょうがないというような論議を、
監督官庁
が僕はするべきじゃないと思うのです。私はそう思うのです。ここのところを
一つ
考え
てもらいたい。だから、基準法の
建前
からいっても、今基準
局長
が言われたように、要するに
給与
と
予告手当
、
退職金
というようなものは当然支払うべきものであるという
建前
に立って、私はだんだん話を聞いていると、
農林省
がこの
清算人
になっておられるのかどうかというところまで感ずるのです。
あと
の残務
整理
は
農林省
が全部、何があっても引き受けました、
農林省
と都とが引き受けました、あなた方
責任
業者には
責任
を問いませんというような感じで
処理
されているような印象を受けるのです。私は、そんな問題じゃないと思うのです。だから私は、いかにしてその
あと
の残務
処理
、一億円か二億円か、いずれにいたしましても、
あと
利益
を受けるものから取ってきて、何とかこの
清算
を国民大衆に迷惑のかからないように処置されるのが、
農林省
の
立場
だと私は思うのです。だから、そのための努力をしていただかなければなりません。しかし、あなたが矢おもてに立って——
会社
はえらい人だからということで横へよけておいて、
農林省
が矢おもてに立って、
労働者
に対して何割引でどうやるとかというような議論をここでされるということは、そこのところはとても納得がいかない。だから私は、やはり第一の原則として
あと
の話の
経過
はいろいろあるでしょう。いろいろの
処理
の問題はあるでしょうけれども、最
優先
的に
労働者
の
賃金
はやはり支払わなければならなぬという
建前
に立って、この問題に取っ組んでもらわなければいかぬと私は思うのです。それで、一億円とか一億五千万円とか、
利益
を受ける問題の
関係
というものは、
農林省
と都とで努力をされて
労働者
の
賃金
というものを最
優先
的に払ってその
処理
をする。そこで、一億円が高いか安いかという議論が出てくるのと、それからまたあわせて二十六年以後の
責任
を追及するなら、追及してもいいが、その全体の中において業者の中で重役間の争いが起きておる
云々
、公益性が守れないということで、解散の命令を出したと言われるけれども、それならなおさらのこと、この問題を明確にして、業者をつまびらかに、社会的
責任
を明らかにさして
処理
をするというところに立ってもらわなければ、
労働者
というものはどこへすがれるのですか。第一、だれも救ってくれるものがないじゃないですか。ほんとうにそういうことを守るのが
監督官庁
であり、法だと思うのですが、私はそれを明確にしてもらいたいと思います。そこのところの
考え
方を
一つ
。
渡部伍良
19
○
説明員
(
渡部伍良
君)
お話
はわかるので、私は
結論
を急いでおって、払える限度を先に言ったものですから、理屈が
あと
になってなんですが、私の気持も、とにかく労賃、
委託者
に対する
仕切金
を最
優先
的に払って、
あと
の銀行
負債
等は、それは
会社
の固有の債務だから、それは
会社
同士で片づけてもらいたい、こういうことを言っておるので、気持は同じでありますけれども、
先ほど
申し上げますように、今の
法律
の
建前
では、
先ほど
から売場の問題とか、
あと
から
取消会社
の分だけ
取扱い高
がふえるだろうという問題などが非常に残っている。割り切れない問題が残っているわけであります。従ってそれを判り切って処置せいと、現在の法制のもとで言われてもできないもですから、私は、
建前
として、
労働者
の
賃金
は何が何でも払えと言っています。それで、
先ほど
御
説明
申し上げましたように、まず、その使った重役は
私財
を
提供
して、
労働者
の
賃金
を払ったらいいじゃないかということは、これは、面と向ってきつく言っております。だけれども、それは
可能性
はどのくらい出るかわかりません。それを足しても、一億の金の中では払いたくても払えぬ。従って今後これを一億以上増して、
残り
の分を払うようにせいというような
お話
でありますが、それは、これから努力いたしますけれども、今までの
経過
では、この限度一ぱいだと、従って、その中では百パーセントは出しにくい、こういうことを申し上げておるわけであります。なお、
あと
基準
局長
とも、もっとよくいろいろな
法律
的な問題等を御相談をいたしましてさらに努力を続けたいと
考え
ております。
山本經勝
20
○山本經勝君 これはもう一度、私は、
先ほど
の基準
局長
の
お話
ではっきりさしておいていただきたい。現行基準法は、
賃金
その他
給与
に関する
支払い
がその他の債権に
優先
するという原則を私ははっきり示しておると思っております。それは、御承知のように、たとえば
賃金
を受けるべき労務者がもし
負債
があっても、支払う側がそれを天引きをして取ってはならぬということは
規定
されておると思うのです。これは、一般的にいって、
支払い
に関する
賃金
優先
の私はやはり原則だと思うのです。 それから、
先ほど
委員長
の話しました、石炭合理化に伴う労務者の貸金
給与
の
支払い
等についても、これは同様の精神が盛り込まれておる。生かされておる。そうしますと、とにかく私は、その金が上げられた理由をここで論議はいたしません。ともかく一億円出るということ、この一億円の支払についても、それが名目は、何といいますか、
見舞金
である。形式のいかんを問わず、一応この債務の
整理
のために引き当てられる金であるということには変りはないと思います。これは、ます
局長
にはっきり伺っておきたいのですが、これをどう
局長
がお
考え
になるかということが一点と、いま
一つ
は、そうしますと、その金の中から
賃金
優先
の原則に基いて、
未払い
賃金
並びに
退職金
、こうしたものの
支払い
が
優先
すべきだと私は
考え
る。これは、
労働
省の見解がもしそうでなかったならば、
労働
基準法も
労働
関係
の法適用について私は
労働
省の全く怠慢きわまる点だと思います。しかも、
農林省
の
立場
を聞いておると、不都合きわまることは、いやしくも今の内閣が持っておる政策の方向で、やはりこの
法律
を中心にして、
労働
関係
の問題については、
労働
関係
法を中心にしてやっておると思っておる。ところが、思想の統一がない。
労働
省と
農林省
の間では、
賃金
の取扱いについて
考え
方が違っておる。明らかにこれは全く不都合きわまると思います。であるから、今一応申し上げた二点について
局長
の方から、はっきりしたここで御言明を願っておきたい。
堀秀夫
21
○
説明員
(堀秀夫君)
先ほど
申し上げましたように、基準法は、
賃金
債権は
優先
的に支払うべきであるという原則から、いろいろな
規定
を設けております。そこで、これを払わなければどうなるか。これは言うまでもなく、基準法違反になるわけでございます。私どもの方としては、基準法違反であれば、
責任
ある経営者を基準法違反として送検する、こういう手段はあるわけでございますが、しかし、これは、
先ほど
から申し上げておりまするように、両当事者とも、それよりも現実に払われるようにしてもらいたい。こういうお
考え
でございます。従って、そのお
考え
方を尊重いたしまして、私どもの方としては、農林当局とも今後十分御連絡いたしまして、
優先
的になるべく払われるように、
農林省
としても、いろいろ農林行政の面から、御苦心願っておる面が多々あると思いますが、私どもの方としては、ただいま申しあげましたような見地から、今後十分
農林省
と御連絡をして、御
趣旨
に沿うような解決が現われまするように努力する所存でございます。
山本經勝
22
○山本經勝君 続いてお願いしたいのですが、これは、今の
局長
お話
ですと、送検すれば事は済むというようなお
考え
方、これは、まことに官僚的な
考え
方ですよ。こういう
考え
方を私は希望しておるのじゃないでよ。
農林省
の
責任
そのものが、送検すれば事務的には
責任
は済みます。こういうような開き直り方をしてはいかぬと思う。それでこそ、
労働
省段間法の
規定
をたびたび私は繰り返しておる。もう少し
考え
てもらいたい。 そこで私は、こういうことをお願いしておきたい。今も申し上げたように、
労働
省と
農林省
の間に見解の相違が若干あるようです。そこの点が十分解明されなければ、問題の解決にはなりません。いま
一つ
は、この
委員
会に都の
関係者
を呼んでもらいたい。次回の
委員
会で、さらにはっきりした
結論
が得られるような検討をいたしたいと思う。そういうことをお願いをいたしまして、一応質疑を打ち切りたいと思います。
堀秀夫
23
○
説明員
(堀秀夫君) ただいまの私の答弁で、やや誤解があるように思いまするが、私は、送検すれば
責任
が済むと申し上げたのではございません。送検すれば、基準法の方の違反の問題は済むという
考え
方もあるけれども、当事者がそれを希望しておられない。だから私は、そのような
考え
方はとらない。こう申し上げておるのでございまするから、その点、誤解のないようにお願いいたします。
藤田藤太郎
24
○
藤田藤太郎
君 僕は、
農林省
の
局長
に一言申し上げておきたいと思います。私は、この
委員
会で、えらい人がどうやから手がつかぬというような発言はしてもらいたくない。(「取り消したらどうです」と呼ぶ者あり)そういう私は発言してもらいたくない。そういう
立場
じゃなしに、法を守る行政府としてりっぱに僕はやってもらいたい。だから、そのことを延長すれば、この問題というものは、私は、
考え
方はやはり
労働
基準法の基準の
建前
に立って
処理
をすると——
あと
の方で、先を見越して言ったのだけれども、努力をするとおっしゃいましたが、その根本の精神に立って
一つ
努力をしていただいて、今度日の
委員
会に、都と一緒に最大の努力をして、ここへ臨んでいただきたい。根本的な精神を私はそこへ置いてもらってこの次の
委員
会に臨んでいただきたいということを私は希望しておきます。
渡部伍良
25
○
説明員
(
渡部伍良
君) 私、いなか者で、言葉が不十分でして、不穏当な言葉が出たことはおわび申し上げます。取り消していただきたいと思います。 ただ、私申しあげたいのは、この私の方で、これは
決算
委員
会でやられるのですが、会計検査をして、こう直せと、そう言って繰り返し繰り返しやっても、
一つ
も直してくれない。そういうときには、その
会社
の
責任者
を取りかえるぐらいなことを有権的に、
法律
的にできる
規定
を置いていただかなければ、また同じような問題が起ってくるのでないかということを申し上げたかったのであります。それを、たまたまこの
会社
には非常に
有力者
がおりまして、そうしたものだから、ついそ、ういう言葉が出たわけでありますが、その辺は、
一つ
あしからず御了承願いたいと思います。
中山福藏
26
○中山福藏君 ちょっと関連してお尋ねしておきますがね。これは一体人的構成の欠陥からきた結果か、あるいは資金操作面の欠陥からきた結果か、あるいは行政府の監督の不行き届きからきた結果か、どっちなんです。そこをはっきりして下さい。
渡部伍良
27
○
説明員
(
渡部伍良
君) これは、みんなだと思います。少し
説明
申しあげますと、
市場
問題、最初に私、
経過
について御
報告
申しあげましたように、
市場
は、
公共団体
が
開設
して、そこに
卸売人
を
許可
して、
卸売人
は、要するに
生産者
から
委託
を受けて
せり
の場を
提供
する。これだけなんです。従ってその
せり
の場を
提供
するならば、
手数料
、
野菜
では八%
東京
では渡しておるわけですが、絶対に損の出るわけがないのです。そのわけはないのが、数がたくさんあると、その
荷引き競争
ができて、使わんでもいい金を使う。それからまた、これはいまのこの
会社
では、
会社
の
社長
が警視庁に呼ばれて、いろいろほかへ金を回したのじゃないかという取調べを受けておりますが、まだ
結論
が出ないから、この
結論
を申し上げることはできませんが、そういうこともあるわけです、従って、今御指摘の三点は、それならば
行政庁
はもっと
市場
制度を変えたらいいじゃないか。こういう問題があるわけです。従って私は、一部の改正を今度の通常国会に出すように、今上司の
許可
を得ておりますが、申し上げましたように、最低この
資力信用
が維持できるような
規定
を置いていただかなければ、何べんやったってまたこういう問題が起ってくる
可能性
があるんじゃなかろうか、こういうふうに
考え
ております。
中山福藏
28
○中山福藏君 そこで、お尋ねしておくのですが、
市場
——いわゆる
営業
者の
許可
を与えるとき、これに対しては、相当
調査
なさる
責任
があるわけですね。そうすると、その
許可
を与えたことについての
責任
というものが一方においてはある。それから、
昭和
二十六年からこういう問題が継続して惹起されておる。この前に。これに対する行政府としての
責任
——
許可
の
責任
と監督の不行き届きに対する
責任
は、だれが負うのですか。はっきりして下さい。
渡部伍良
29
○
説明員
(
渡部伍良
君) これは、その
開設者
と、
監督官庁
である
農林大臣
であります。
中山福藏
30
○中山福藏君 そこで、今回この問題を解決するためには、
責任
を果すということでなければ問題は解決し得ないと思うのですね。一千四百七十万円の解雇手当金あるいは
退職金
、これらの問題は、ただいま承わるところによれば、一千万円というものは、これは
東京
都の特別の贈与ですか。そうすると、その贈与に対する分け前というものについても、
農林省
は関与なさるのですか。その分割の点はどうなんです。
渡部伍良
31
○
説明員
(
渡部伍良
君)
東京
都に指定
寄付
をさせたときに、こういう用途に使うんだということで指定
寄付
をさしておるわけで、ありますから、その
意味
においては、関与をすることになっております。
中山福藏
32
○中山福藏君 そこで、今は正月を前に控えておるのです。私は、この問題は将来に
一つ
の先例を開くものだと思うのです。いわば
労働者
に対しては
一つ
の非常時にこれは直面しておると言っていいわけですね、正月を控えておれば。だから、平常時における
考え
とおのずからそこに差別というものが現われてくるのじゃないかと思うのです。もし
農林省
が、私の先に述べました二つの
責任
を感じておられるならば、この非常時に遭遇しておるような
労働者
に対しては、相当の考慮を払われていいのじゃないかと私は思うのですがね。しかし、正月を控えてのこういう
労働
資金問題は、これは
一つ
の先例にもなるから、相当慎重な態度をもって臨まれていかなければならぬのですね。今のあなたの答弁では、ちょっとどんなものかと思う。その
責任
を果されるということにおいて十分でないような感じがするのですが、どうですか。これは最後の私の質問です。
渡部伍良
33
○
説明員
(
渡部伍良
君)
先ほど
御
説明
申し上げましたように、
年内
に解決したいということで、これは九月からやっているわけです。しかし、御
説明
申し上げます
通り
、出す方の
会社
から言えば、他人の不始末のために金を出すのであります。から、これは、
会社
の内部手続とか、
あと
で
法律
の問題にならないようにするとか、いろいろな手続が要るわけでありますから、私の方で幾らじだんだ踏んでも、やはり一定の時期がかかるのはやむを得ないのじゃないか。それからまた、
先ほど
申し上げますように、
会社
の
責任者
は相当な
私財
を持っているはずですから、またそっちから正月のもち代ぐらい出したらどうだということまで言っておるのですから、
責任
は非常に感じていろいろやっておるのでありまするが、なかなか結果が早急に得られない、こういうふうな
状態
なのであります。
中山福藏
34
○中山福藏君 もう
一つ
お尋ねしておきますが、これは、特別背任罪が起っておる
会社
ですね。書類が送検されたという問題があるでしょう。私は、
昭和
二十六年から毎年々々、年次的にこういうような問題が起ってきて今日に及んでおることから
考え
ますと、これは六、七年にわたってこういうものが繰り返されておる。あまりに
監督官庁
としては怠慢じゃないかという気もするのですね。しかも、一千万円の金についての特別背任罪ということで、すでに送検されておるということが新聞に出ている。これは、あなたが今、いわゆる駐役の
立場
におられる人から
個人
的に、道義上金を出すのが至当じゃないかというようなことをおっしゃいましたが、これは、
法律
と道義とは全然別個に分けて
考え
てみる必要がある問題で、はありまするけれども、この二十六年から継続しておるということ自体が、現に役員をして
責任
の衝に当る人と、
昭和
二十六年から今月まで、相当ふところをぬくめてやめられた人に対しては、やはり交渉しておられるのでしょうか。
渡部伍良
35
○
説明員
(
渡部伍良
君) 私の知る
範囲
では、現在の役員がずっと前からやっておると思います。
中山福藏
36
○中山福藏君 やっているんですか。
渡部伍良
37
○
説明員
(
渡部伍良
君) ええ。それからちょっと、私、現在の
法律
の
建前
で
農林省
が全
責任
を負うのでありますが、実は三十一年に
法律
が改正になりまして、こういうことがあるから、
農林省
がもっと
市場
に対して監督権を持たなければいかぬということで、三十一年六月から
法律
改正になっておるわけです。それから、私の方が相当積極的に動き出しておるのでありまして、それまでは
開設者
が、
東京
なり大阪なりの
公共団体
がやっておられたのでありましてそうだからといってその
責任
を逃れるわけではありませんが、そういう
経過
もお含みおきいただきたいと思うのであります。
中山福藏
38
○中山福藏君
農林省
がよく政府の伏魔殿だといって、しばしば新聞に書かれておる。それで行政監督の面において、いろんな事情というものが伏在しているんじゃないかということをふだんから私は
考え
ているんですがね。であるから、この問題は、
労働賃金
の問題にからんでおりますが、毎年々々欠損して、非常に業態の悪いところの青果
会社
をそのままに見逃して、見送っていらっしゃるのじゃないかという感じがするのですが、そういうことはないのですか。
渡部伍良
39
○
説明員
(
渡部伍良
君) でありますから、
先ほど
申したように、話がそこまでいきますと、昨年の六月の
法律
改正までは
東京
都がやっておったのであります。しかし今は、
農林省
が全
責任
を負わなければいけませんから、私が全
責任
を持ってやっているわけで、そういういろんな事情がありますから、
農林省
は直接
市場
に対して監督を発動するという
法律
に昨年六月に変えてもらったわけですが、一年たつかたたないうちにこういう事件が起きたのであります。そうこう事情は前から十分あったと、こういうふうに私は理解しております。
中山福藏
40
○中山福藏君 もうこれでしまいますが、私は、
農林省
の問題については、非常に関心をふだんから持っている一人ですが、どうも今度、こういうふうな不幸な事態を惹起した。一下四百七十万円の
労働賃金
すらも払えないようなこの
市場
の
状態
は、これを
一つ
、何といいますか、これを起点として
市場法
の改正、あるいは監督の面に関するところの
法律
の改正というものをなさなきゃ、とうていただいまのような話を聞いておってわれわれは
消費者
として満足できぬ。だから、そういうふうなことを感じております。
あと
の三つの
会社
がこの肩がわりをして引き受けるわけなんでしょう。今度、いわゆるつぶれた
会社
の仕事を引き受けるということになるのですか。そうじゃないのですか。
渡部伍良
41
○
説明員
(
渡部伍良
君)
可能性
があるわけです。
中山福藏
42
○中山福藏君
可能性
がある……
可能性
というのはどういう
意味
ですか。
渡部伍良
43
○
説明員
(
渡部伍良
君) というのは、
東京
都には六つの
市場
がありまして
生産者
はどこに出そうとも自由なんです。
中山福藏
44
○中山福藏君
可能性
があるということは……、結局そこに来なければいかぬのじゃないですか。
渡部伍良
45
○
説明員
(
渡部伍良
君) いや、ほかの
市場
に出してもいいのです。
中山福藏
46
○中山福藏君 距離が離れてきまずから……。
渡部伍良
47
○
説明員
(
渡部伍良
君) そんなことありません。だから
可能性
はあるのです。必ずそこへ来るということになれば問題の
処理
がはっきりするわけです。
神田
の
市場
へ出すのはいやだと
生産者
がいえばそれまでなんです。
中山福藏
48
○中山福藏君 私は
消費者
の
範囲
というものは、距離の
関係
で、大体あなたの言われるような方向に向っていかぬと思う。結局はそういうことになると思うのです。 私は大阪の中央
市場
の
状態
をよく見ておるのですが、あなたの言われるようなふうにはならぬと思う。これは見解の相違だからそれ以上申し上げませんがね。 そこで一千四百七十万円というのはそう大した金でないのですよ。正月を控えておって、これはお隣の
局長
さんが言われるように、
法律
上の問題を論議しようとは思わぬですよ。それが時が時だから、もう少しお
考え
になったらどうかという
考え
を持つのですが、社会党の人でなくても、私も
考え
させられるのです。(「
常識
ですよ」と呼ぶ者あり)だから、その点はもう動きがとれぬのですから、最後の最後でやっておるわけですが、最後のお尋ねですが、できぬですか。
渡部伍良
49
○
説明員
(
渡部伍良
君) たびたび申し上げますように、
年内
に是が非でも解決したいということを
東京
都と一結に努力しておる最中であります。
阿具根登
50
○
委員長
(阿
具根登
君) 速記とめて。 〔速記中止〕
阿具根登
51
○
委員長
(阿
具根登
君) 速記起して下さい。 本案に対する本日の
調査
は、この程度にいたしたいと存じます。御異議ございせんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
52
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。
—————————————
阿具根登
53
○
委員長
(阿
具根登
君) 次に、
炭鉱災害
に関する件を
議題
といたします。 まず、
関係当局
から最近起りました爆発事故、水びたしによる事故等の起きました
炭鉱災害
についての概況及び対策等について御
説明
を願います。
小岩井康朔
54
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 最近重大災害が頻発いたしまして世間をお騒がせいたしまして大へん申しわけないと感じております。大之浦、東中鶴、籾井の三つの炭鉱につきましてごく最近起りました概略を御
説明
申し上げます。 大之浦炭鉱は、今年の十一月十六日の朝の五時五十五分でございました。西卸の右一片三尺払という切羽で爆発を起しまして、死亡九名、重傷三名、計十二名という罹災者を出しております。これは福岡県の鞍手郡の宮田町に一ありまして、この災害のありました坑口は、新芦牟田という坑口でございます。
労働者
は二千四百名近くの
労働者
が月四千トンくらい出しております坑口でございます。災害のありました払は約七十メートルばかりの払で、御承知のように、あそこは採掘をしました
あと
は、炭層の
関係
で全部土砂の充填をいたしております。ちょうど災害のありました切羽は、片の方にたまたま断層が出ておりまして、この新断層が払いが進むにつれまして、だんだん上に上る
関係
で払が長くなってくる。しかもちょうど悪いことには数日前にその充填用のパイプを破壊しまして、充填ができずにかなりおくれておるような
状態
にありました。従って払の片の部にはガスがたまる
関係
で扇風機をつけておったわけであります。そうしてたまたまこの扇風機が故障を起しまして電工がこれを修理いたしたわけでありますが、
規定
に従いませず使用条件を守らずにガスの検定もせずに防爆の機器のふたをあけたままスイッチを入れまして、要するにガスのあります所に火焔を出しましてガス爆発を起したというような
状態
でございます。 次に、東中鶴はこれは十一月二十五日二十三時十五分でありますが、これは第二根上卸左五片の延先で災害を起しております。これは隣坑区の旧坑に延先がぶつかりまして、旧坑にたまっておりました水が一挙に流れ込みまして、そうして今罹災災者としては十八名が死亡しておるわけであります。これは中鶴炭鉱の租鉱炭鉱でございまして、災害の
内容
としてはきわめて簡単なもので、隣の坑区の水たまりにぶち当てて坑内出水を起しておる、こういう災害であります。これは今排水中でありまして十八名の死体ばまだ一名も収容されておりません。大体現在の排水の
状況
はかなり順調に進んでおるつもりでありますけれども、当初六十日ぐらいの予定を立てておったのでありますが、排水をいたしておりますと予想してなかった坑道の荒れがかなり広
範囲
に出て参りまして、今後なお六十数日かかるのではないかという予想で相当長期間かかる予定にいたしております。一刻も早く死体収容のできまするように現地を督励いたしておりますが、坑内が狭いために十分ポンプはありますけれども、いたずらに台数を並べるというわけにも参りませず、排水にはかなり困難をいたしておるような
状況
であります。 それから籾井炭鉱でありますが、籾井炭鉱は十一月三十日にこれも同様旧坑にぶち当てまして坑内出水をいたしまして、行方不明四名、もちろん死亡でございますが、四名のうち一名が収容されまして
残り
三名がまだ未収容であります。これも排水はかなり順調に参りましたが、過般の大雨と突風のために送電線が熔断されまして排水が不可能となりました。で、この送電線の
関係
を補修しませんとこの排水ができないという
関係
で、これもちょっと数日間日数がかかるのではないかというように
考え
ております。災害の
内容
としましてはいずれも旧坑にぶち当てまして自鉱区内に坑内出水を来たした、かような災害であります。 ごく概略でありますが、最近勃発いたしました重大災害の三炭鉱の概況を申し上げた次第であります。
阿具根登
55
○
委員長
(阿
具根登
君) 御質疑を願います。
山本經勝
56
○山本經勝君 今
局長
の方の
お話
しなんですが、これは、まず貝島の問題から入っていきたいのですが、実はこの詳細な問題についてば直接母島大之浦炭鉱の保安管理者、あるいは担当係の
責任
のある人が、直接この
委員
会に出て十分当時の実情、坑内の実態等を明らかにしてもらわないと、実は
委員
会で審議するのにも困るというふうに
考え
ますので、その点は
一つ
委員長
の方でしかるべくお取り計らいを願っておきたいと思います。 そこで、今
お話
しの現場の
状況
なんですが、私どもの聞いた
範囲
では
局長
の言われるようなまことに大ざっぱな形ではなくて、問題の核心ともなるべきものはその災害予防の対策といいますか、あるいは保安管理者のしかるべき職員あるいは鉱員に対する指導、現場の
改善
等に関する諸条件がもう少し具体的に
説明
されなきやわからぬと思うんです。それで私の聞いたところでは、たとえば延先におけるいわゆる充填と、それから切羽面との間の間隔が約七メーターも延びておったという話を聞いて、非常に通風
状況
が悪いにもかかわらず、そういう広い空間ができている。ですから勢い延先の方に空気はやはり自然の姿で動くなれば、なるべく最短距離を流れていく。そうしますとどうしても流れない個所ができてくるのは、そういう広い幅のところ、しかも片側に停滞するという実情だ、と思う。こういうことは、むしろあらかじめ保安
監督行政
が十分に参っておるとかりに仮定するなれば、予防措置が講ぜられてしかるべきだと思う。しかもそこにはエア・セットによる簡単な通風装置をやっておって、これでは不十分だというので現場の係員が片に持っていって何馬力かの特殊扇風機を据えて、そうして排気に努めたと、こういうふうなことが言われている。こういう
状況
は大体日常保安行政、
監督行政
上どういう現場指導なり、
調査
、あるいは腰掛、指示、勧告等をなさっておったのか、そういうところが明らかにされてこないというと、この
責任
がただスイッチの、防爆機器装置が
云々
という、いわゆる簡単な物理的現象ではないと思う。そこを
一つ
局長
の方から御解明を願っておきたい。
小岩井康朔
57
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 私の方の巡回監督につきましては、一定の予算がございまして、なかなか全炭鉱、全鉱山を回るということが不可能でございます。従いまして目下私どもの実施しております
内容
は、坑口別に危険の程度によりまして格づけをいたしております。これは要するに私の方のブラック・リストでございます。で、この格づけの中で、たとえばガス爆発の相当おそれのある山、坑内出水のおそれのある山、あるいは自然発火を起しやすいおそれのある山、これらはいずれも一種、二種、三種というような段階をつけまして、坑口別の格づけをいたしておるわけであります。で、この中で一種と称します相当危険を内包しておると、こういうような山につきましては、非常に苦しい予算の中から、毎月一回回ることを原則といたしております。その他のものにつきましては二ヵ月に一回とかもあるいは四ヵ月に一回、あるいは半年に一回、あるいは年に一回というふうにいろいろ段階をつけ、あるいはそういった段階の中でも各地区別にいろいろ事情が違っております。たとえば最近のように、北海道ではあまり大きい変災がこのところではございませんけれども、九州には頻発をしておる、というようなところには、また特別に現地の監督部長と相談をいたしまして別途にわずかな予算でも特別につけたり、あるいは回る山でも特別に相談をいたしまして多少の変更をいたしておるというわけで、なかなか毎日回るということができません。従いまして大之浦の災害のように、払が充填がおくれておるというような現象につきまして、たまたま監督官が行っておればもちろん具体的に注意いたすはずでありますけれども、ただいま申し上げましたように、一番危険を内包しておると思われる山でも、月に一回ぐらいしか回れないのであります。で、その間の
状態
では一一こまかく注意することができません。従いましてやはり保安規則の中でも、保安に関する
責任
体制というものは非常に保安管理者以下、もう残るすき間のないように
責任
分野というものを明らかにきめてあるのであります。なお、もう少しその監督が十分にできますとけっこうなのでありますが、私どももでき得る限り持導行政でこれらの欠点を補って参りたいというふうに、かように
考え
ておるわけでございます。で、
先ほど
の充填が非常におくれておる、こういう事実は監督が不十分であるからだというふうにお聞きしましたが、たまたまこの場合では、……もう少し具体的に
お話
申し上げますと、変災は十六日でありますが、十四日の午前三時に、この土砂充填のパイプが破壊いたしまして、これがようやく十六日の災害直前に完了しておる。そこでその災害の起りました方で、二間だけ充填ができる予定になっておったのでありますが、これができない前で、非常に普通の
状態
よりもおくれた
状態
にあったことは確かであります。そこで、保安管理者も充填がおくれておりますから、そこでやめるか、あるいは仕事を継続するなら当然ガス排除を考慮しなければいかぬ。そこで局扇をつけましてガスを排除したものと、私はかように
考え
ておるものでございます。現在の規則では電気機器というような、あるいは局扇、そういうようなものも、ガスが一%以内のところならば据え付けても差しつかえないというふうになっておりますし、また電気
関係
でありましたならば一・五%をこえる場合は送電を
停止
しなければいけないというふうに、かなりこまかく
規定
してありますので、保安管理者以下の係員の
責任
におきまして同房を据えたということは、別に差しつかえないではないか、というふうに
考え
ております。
山本經勝
58
○山本經勝君 今の
局長
さんの
お話
を伺っていると、こまかな注意ができない。特に一種、二種、三種というように種別にしておって重点的な、いわゆる
調査
や、あるいは検査、指導等をやっておるんだということは、いつも言われておるんです。……。ところが問題は——今度の場合は、私とも現地について大体の
状況
を見ておりますし、あるいはまた
関係者
から
状況
を聞いてきております。また福岡の石炭局の保安部の方にも
関係者
と話し合って、
状況
は大体つかんでおるつもりなんですが、問題は、一ヵ月に一回あるいは一年に一回、とにかくそういう
監督行政
が、これは綿密にやれないという事情は、予算面その他の問題があるかもしれません。しかし、それがあるなら、ある程度それに必要な処置を講じていかなければならぬ。注意ができればけ、こうだ、けれども、というのんきなことではないんですよ。いつでも申し上げるように、ここに十二名の罹災者が出てそのうち九名が死んでいる、貴重な人命が失われている、そういう実情から、もう少し何といいますか、災害を防止したいという熱意のある
局長
自身
の態度でなければ、こういうことは年々歳々繰り返していく。この前一昨年来、北海道で打ち続く、ガス爆発の災害があって私ども
労働
省に対しても強く要望して、通産省に要求を出してもらった。しかしその後においても途次起っている。ところが今度はまた福岡で御承知うように連続して大きな事故が起った、東中鶴炭鉱のいわゆる出水の問題にしましても十八名という貴重な人間がいまだに死体が上らない。すでに一ヵ月余りになってている。その間に死体が上がらないという
状態
が発生している。
監督行政
がどうしても徹底しておらないということしか言えぬのでありますが、
局長
の方から言われるように大之浦、籾井等に対する検査はいつごろなさったんですか、この実情を、そのときにはどういう
報告
が出ておるのか、あるいは勧告等がなされているのかどうか、その点を明らかにしてもらいたい。
小岩井康朔
59
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 大之浦の場合につきましては、災害の前に回りましたのは八月十九日から二十一日までの三日間遠藤という監督官が回っております。それからその後十月の十四日から十六日まで甲斐田という監督賞が回っております。前の遠藤監督官のときには別に具体的な違反
内容
もございませんでしたが、甲斐田監督官の場合には局部の通気それからハッパ用の込物、それからハッパ係員の順守規程、これらの条項につきましていずれも注意をいたしております。それからそのときの災害を起しました区域の炭塵の掃除が十分でない、今後もう少し徹底して掃除をするようにという注意を与えております。
山本經勝
60
○山本經勝君 現場に炭塵並びにガスですね、今炭塵の
お話
があったのですが、ガスの
状況
はどうだったのですか。
小岩井康朔
61
○
説明員
(
小岩井康朔
君) ガスの
状況
はもちろん特別に注意いたしていないところを見ますと、所定の規則以内の、ガス量展で操業が行われておったものと
考え
ております。
山本經勝
62
○山本經勝君 この問題は、
先ほど
申し上げたように、明日の
委員
会で、一応御相談願って、直接組合
関係
の保安担当をやっております
委員
、それから同時蒔に
会社
側の保安管理者、できれば。できなければ、しかるべき
責任者
を参考人として呼んでいただいて話をしなければ、今のような
局長
の
お話
ではさっぱりつかみどころがございません。
一つ
そういうようにお取り計らいを願います。 それから、その次の東中鶴の炭鉱についてお伺いしたいのですが、ここは
先ほど
申しあげたように、
局長
の御
報告
もあったように、十八名という大量の
従業員
が水びたしになって、いまだに死体が上らないという事故が起っております。ここの場合も私は保安
監督行政
の面で非常に重大なミスがある、また不行き届きの点があったのではないかということを疑わざるを得ない。ここは延先であります。左五片ですか、の延先というのは、ここでいわゆる施業案に盛られている
内容
と実際の延先の現場の
状況
が違っているということが言われておる。私どもこれは
関係者
から聞いたことだし、また坑内には入りませんけれども、直接実情を聞いているのですが、そこで今図面によりますというと、左五片の延先が二百八十メートルの所にあるということになっている。実際はその認可された施業案による延先よりはるかに延びている、四百メートルから伸びているというのですから百二十メートルは優に延びていることになる。そういう
状況
になりますと、あらかじめの個所が空洞に近くなっている、あるいはかって採掘された坑道が吸収されたもの、新手二坑の延先に近づいている。でありますと、当然古洞にぶつつかるということが予想されておる、しかも断層があって、その近辺に十一本のハッパ穴を掘って、その十一本のうちの九本まで掘ったときに、ごうっと音がして猛烈な出水が起ったという話です。その十一本掘った穴のうち深けでのみを抜きますと、猛烈にその穴から水がはね出したと言われておる。またその百の作業を始める方が来たとき、あるいは天井から、あるいは炭塵から水が強く浸透して雨が降っておったということが言われておる。そうすると普通であれば——
局長
よくお聞き願いたいのですが、この種の古洞に近い
状況
のときには、少くとも先進ボーリングというのをやってそれでガスが停滞しておりはしないか、水がたまって浸水しておりはしないかということをやって作業を進めるのが当然なんです。しかも、そのちょっと前に、先月ですか数日前かに保安
調査
の現地派遣班がその現場にまで行っておりますが、その坑道の適当なところまで行っておらない。延先までも行っておらない。従ってそういう
状況
から私は保官
監督行政
というものが全くでたらめで、いいかげんのことがなされておる、こういうふうに解釈せざるを得ぬ。あるいは
先ほど
お話
しのあった籾井炭鉱にいたしましても、租鉱権では一応あったけれども、現在施業案で認可された作業場ではない、そういう所をどうして掘るのですか。そういうことがあればこそ、こういう予期しない事故が続いて発生したりすると思う。むしろ私は
局長
自身
が一々山を見られるわけではないが、少くともあなたの部下か、あるいは出先がそれぞれ派遣班を現地に置いて、そうして厳重な検視なり、あるいは指導監督をやっておられるならば、この種の災害は明らかに予防でぎたのです。この前の明治、赤池の場合には、あすこはガスが噴出したのですが、これにしても先進ボーリングをやっていない。単に普通ののみでもって探りを入れて見るという程度のことしかやっていない、ここなんかは明らに初めから法に違反する採掘をやっておる。それから今度は一方もしそうであるならば、当然派遣班は現地の
状況
を見てとめるべきであったのだが、それもやっておらない。先進ボーリング等適切な指示を当然して掘るべき個所である。認可を受けて当然の合法的な採掘であるならば、しかるべき技術指導がなされておらなければならぬと思うのであります。それもなされておらぬ。これは一体どういう
責任者
であるのか、私はその点を
局長
から解明していただかんと、どうも今後の話の進めようがないと思うのですが、お願いをいたします。
小岩井康朔
63
○
説明員
(
小岩井康朔
君) ただいまの
お話
し仰せの
通り
でありまして、鉱区外に相当坑道が進出しておったということは事実であります。しかしまだ排水が完了しておりませんので、果してどのくらい延びておったかというような点については、はっきりは場わかりませんが、相当出ているのじゃないかという点は承知いたしております。当時の監督官も坑道が鉱区外に出ておるのじゃないかという点については気づいておったようであります。しかしながらその場ですぐ作業の
停止
命令とか、そういうようなことは保安法上はできない
建前
になっておりまして、保安法、保安規則は正当な鉱業権に基いた鉱区内のものだけを対象に扱っておるのであります。従いまして鉱区外に出たという事実が監督官がもし認定いたしましたときには、直ちに帰りまして通産町長に連絡をいたすことにいたしております。従来も必ず文書で通産
局長
あてに出しております。これは通産
局長
の方で鉱業法に基いて鉱区外進出の措置をとっていただくというために、そういう措置をとっておるのでありまして、この場合も明らかに甲斐田監督官は現地に参りまして、どうも延先が鉱、区外に相当出ている点を認識いたしまして、帰りましてすぐ
報告書
には記載しているのであります。しかし、それがまだ回覧をいたしておりますときに、次の事故が起りまして課長も出てしまっておりましてまだそれが正式に取り上げられていなかったというような
状態
でありまして、決してそのまま放置しておったという事態ではなかったわけでございます。従来も必ず鉱区外に出たという事実をつかみますと、通産町長に連絡いたしまして鉱業法に基いて取締りをしていただくという方法をとっておるわけであります。
山本經勝
64
○山本經勝君 その甲斐田監督官が、現地について見られたのはいつですか。
小岩井康朔
65
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 甲斐田君が参りましたのは十一月十五日、十六日でございます。
山本經勝
66
○山本經勝君 その際に予定された認可を受けている当然採掘すべく予定された延先が延び過ぎておるということは、一応確認されておるわけですね。
小岩井康朔
67
○
説明員
(
小岩井康朔
君) その点につきましては十分確認いたしまして本人の話では、保安管理者にその点を伝えた、しかし自分としては、保安法に基いてすぐやめなさいと言うわけには参りませんので、坑道が延び過ぎておる、これは注意せねばいかぬということは、十分に伝えたいというふうに連絡を受けております。また本人の書きました
報告
にも記載されておりまして、これは従来もそういう方法をとっておりましたし、私は当然とった処置で敏はいかというふうに
考え
ております。
山本經勝
68
○山本經勝君 今の
局長
さんの
お話
で、大体私ども現地の話と合って参るのですが、そうしますと、一応どれくらい延び過ぎておるという想定がついたのでしょうか。今の
お話
ですと、十一月の十五日、十六日両日にわたって現地を検査された。その際に予定されたあれよりもはるかに延び過ぎておるということは一応わかった、はかったりしているのかどうか、その点はきりしておればお知らせを願いたいと思います。
小岩井康朔
69
○
説明員
(
小岩井康朔
君) もちろんこれは監督官が実測しておりませんし、歩測で大体はかっておるので、何メートルということはわかりませんけれども、かなり出ておるということは十分に承知しておったようでございます。
山本經勝
70
○山本經勝君 そうしますと、今
局長
さんの
お話
のように、つまり予定された施業案が認可をされてそして作業を進めていくわけなんですが、その際に、それ以上たとえば延びておるということは認定されている。これはとめることが現場でできない、一応鉱業法上、通産
局長
に
報告
をしてしかるべき措置を求めると、こういうことなんですか。
小岩井康朔
71
○
説明員
(
小岩井康朔
君) もちろん監督官は、自分の方では
建前
上できませんけれども、できないからといって、黙って帰ってくるわけではございません。もちろんこれは延び過ぎておるから、これは施業案違反になっておる、気をつけるようにということは申し上げますけれども、具体的に作業を
停止
しろとかという、そういう措置はとらないと
考え
ておりますので、やはり一応帰りまして鉱業法を取り扱っておる通産局の方で、鉱業法上に基いて違法性を措置してもらうということ以外にはないのでございます。
山本經勝
72
○山本經勝君 そうしますと、これは一応排水せなければ、現場の実情を再確認はできぬわけですが、問題は、今
お話
のように、
報告
を受けて、通産
局長
が、これは一応やめなさいという、強権をもってとめるようなことにはいかない。ところがその間に事故が起った。そうしますと、今の派遣班が現地の
状況
を見て、これは違法であるぞという、経営者あるいは保安管理者に注意を与えた。これはどういう様式で与えられておりますか。あすこの佐藤
社長
に与えられたわけですが。
小岩井康朔
73
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 保安の
責任者
、保安管理者というふうに聞いておりますが、管理者には十分口頭をもって伝えたということを連絡を受けております。
山本經勝
74
○山本經勝君 大体この認可の際の問題は、
局長
さんよりも現地の出先の方の福岡通産局の保安監督官がよく知っておられるので、私ども一応聞いてきております。そこでこの認可をされた際にも、古洞の
状況
、特にこの地区はこれは一般にわからない人もあると思うのですが、鉱区が層によって鉱業権を設定している。鉱区といえば
一つ
の鉱区ですが、その鉱業権は上層、中間、下層というふうに分れている。所によると四層になって
一つ
の鉱区という言葉で包含できる地域がある。炭層を炭層別に鉱業権が設定されている。ですから非常に込み入った地域ですが、そういう
状況
のときに、十分な施業案の認可に対する審議がなされているかどうか。これはどういうふうに
局長
からあれは御指示になっているのか、その点はどうなんでしょうか。
小岩井康朔
75
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 施業案が山から提出されますと、地域によって違いますが、九州におきましては石炭事務所がございます。石炭事務所で一応直接審査をいたします。それからその中で、保安に関する部面につきましては、監督部の派遣班の方に回ります。現地の石炭事務所派遣班で、新鉱区の採掘坑内図面がございますから、隣鉱区の採掘跡とよく対照いたしまして、隣鉱区の
関係
で危ないという点があれば、そこに保安炭壁か、あるいは適当な措置をとることといたしております。それらの審査されました書類が通産局に参りますと、通産局の方ではさらにその書類を監督部に回しまして、監督部ではさらにその保安の面を見るわけであります。で、監督部長は、施業案中の保安に関する部分についての意見をつけまして通産局の方に出します。通産
局長
が最後に、窓口一本で
局長
名で認可するわけでございます。従ってこの施業案につきましては、ただいま
お話
しの
通り
、九州などでは二重、三重に鉱区が重なっております。従って施業案が出ましたときては、非常に入念に現地の石炭事務所派遣班では、図面と対照いたしましてはっきりわかっている
内容
につきましては、それぞれの手を打っているわけであります。しかし、中にはやはり坑内の採掘跡その他は、いずれも山から提出したものを資料にいたしておりますので、その辺漏れたり、あるいは多少形が誤まっているといたしますと、あるいはその隣鉱区の採掘跡の
関係
で、多少まあ、五十メーターであったものが実際は二十メーターであったとかいうようなことは、まま今までにありましたけれども、大体坑内実測図に基いて対照いたしますれば、隣鉱区との
関係
は明瞭にわかるものと
考え
ております。
山本經勝
76
○山本經勝君 これは
局長
があるいは在任よりもだいぶ前の話ですから、むろんこれはわからぬでしょうけれども、なにがどうかは福岡におった私どもはよく存じません。しかしこれは一応専門的な
立場
から御承知であろうと思う。
昭和
十六年に今の九州採炭の新手二坑の赤石本属というのを採掘している。ところが、その払が採掘中にこのような出水によって、三十数名の鉱員が水びたしになって死んだことがある。そのうちで死体が上ったのは二十何名かで、なお五名の死体が残っているという古洞がある。この古洞は実は二百万坪という広範な地域にわたっているのです。この古洞に突き当ったのではないかというふうに想定されているのですが、しかもその隣接鉱区がある。隣接鉱区によって一応基礎的な諸知識をもって、十分検討されて認可されるというのですから、当然その配慮がなされたものと
考え
る。そこで福岡の鉱山保安監督部の
お話
を聞くというと、ここには古洞はこの採掘区域においてはないという一応の前提で、認可をしているというように言われている。そうすると延びるということは、その危険な区域に突入していくということなんです、危険区域に……。大よそ図面によりまして大体当時の延べメーターは、
会社
が出している資料では二百八十メーター、現場の話は、大体現場の係員がそう言っているのですが、四百メーター延びている。そうすると、百二十メーターの延び過ぎがある。その延び過ぎを甲斐田監督官も認めている。こういうメートルは長さはわからないけれども、歩測で普通の歩く幅でもって大体測定しているということを言われている。そうしますと、すでに危険な区域に接近していることは明らかだ、重大な危険区域に。そうすると、これをもしそこでとめておいたならば、もう掘り下げをやめるというふうな措置をとってておいたならば、十八名の貴重な人命は私は救われたと思う。そうなると、私はやはり保安
監督行政
の面の法的不備か人的不備かしりませんが、とにかく私は重大なこれは不備があると思う。この点は
局長
はどうお
考え
になっておるか。
小岩井康朔
77
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 仰せの
通り
でありまして、この問題につきましてたまたま甲斐田監督官が参りましたときに、とめられれば災害は未然に防げたかもしれませんが、要するにこれは保安法と鉱業法との
関係
が非常に密接にすみやかに直ちに実行に移されれば未然に防止ができたものというふうに
考え
られますが、われわれの方の処置としましてもでき得る限りの正しい一番早い方法で連絡の過程にあったわけでありまして、まあこれの一番大きい問題は、鉱業権者が成規の手続を経ずして鉱区外の操業を行なっておったというところにあるのでありまして、当然鉱区外に坑道を掘進させるならば、鉱業権者が鉱区内に増区の出願をしまして、正しい鉱業権を設定した土で延びるのが常態でございます。それの手続の済まないうちに鉱区外に仕事を始めたという点は明らかに鉱業権者の施業案違反ということになるわけでございます。
山本經勝
78
○山本經勝君 それで
局長
さんの今の
お話
を毎度申し上げるまでもなく、成規の手続を経ず不当に鉱業権者が採掘を進めたということが災害の
原因
である、その前に死んだ十八名の鉱員は一体どうすればいいんですか。これはどういう
責任者
が、だれが一体
責任者
になってこういう災害を将来起さんような保証をつけるか、もしくはこれに対する措置が
考え
られるか、起ったことを今さらどう言っても仕方がないんですが、しかしこれは重大なんですよ。ですから私強調しているのは、どこかにこういう不備な、重大な結果をもたらすような不備なことがあるのじゃないか、そうすると将来にはそういうことをなくさにゃならぬ。そのためには
局長
はどうお
考え
になっておるのか、そこを私は伺っておる。
小岩井康朔
79
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 自分の分野を少し逃げるような感じを受けられるかもわかりませんが、保安の対象としましては正しい鉱業権の設定されたものだけを対象としておるのでありまして、鉱区外に出ておるような場合は対象にならないんであります。これは非常に冷たい判定でありますけれども、法的にはそういう
工合
になるわけであります。それはどこで取り締るかということになりますと、鉱業法に基いて取締りをするわけでありまして、これはもう保安法で、はなくて鉱業法ということになるわけであります。従って私の方はそういう事態を発見しましたときはすみやかに、鉱業法を所管しておる通産
局長
にすみやかに連絡をとっておるわけであります。しかし、連絡を受けました通産局でもやはり予算はもっと少いんでありまして、これは当然鉱業権者が自主的に正しい鉱業権の設定のないところべ無断で掘り進むということのないように鉱業権者が当然とるべきでありましてしかしま
あと
れないような鉱業権者に対しては、やはり取締りを厳にする以外にはないんではないかというふうに、かように
考え
ております。
山本經勝
80
○山本經勝君
局長
の言われるように、まあ要するに、
責任
はもっぱら不当に、成規の手続を経ずして鉱業権者が不当に掘り進んだという、その鉱業権者が悪いんだということになるが、これはいわばこの事故によって十八名の人命を奪っても、殺人ということになりますか。その点は
局長
どうお
考え
になりますか。
小岩井康朔
81
○
説明員
(
小岩井康朔
君) これはまだ処置につきましては決定いたしておりませんが、おそらく私どもの
考え
では施業案の違反であることは確かでありますから、
先ほど
来申し上げておりますように、鉱業法上の問題で告発なり適当な処置がとられるものというふうに
考え
ております。
山本經勝
82
○山本經勝君 つまり施業案の認可をしていないところを掘ったんであるから施業案違反であると、こういうことですね。そうすると、死んだ人はどうなるのですか。これは施業案違反の業者のもとで働いておったからやむを得ぬと、こういうことなんですか。
小岩井康朔
83
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 死んだ者はどうなるかという御質問が、はっきりわかりませんが、
責任
はだれが負うかという……。
山本經勝
84
○山本經勝君 そういうことです。
小岩井康朔
85
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 御質問だろうと思いますが、これはいずれ
原因
がはっきり、排水が完了しまして
原因
が明確になればいずれはっきりきまることと思いますが、まあ鉱区外に進出して大きい過失のために死亡者を出したというようなケースであれば、もちろん労災のような
関係
も完全には出ません。従って鉱業権者が全
責任
を負うと、もし鉱業権者がどうしてもできない場合はあるいは破産宣告というようなところまでいきまして、全然それを実行する力がないという場合に限っては、国で持つ場合もございますが、これはいずれも
労働者
の
関係
で私から明確にお答えすることはできません。
山本經勝
86
○山本經勝君 どうも
局長
おかしいですよ。いつでも
炭鉱災害
について小岩井
局長
とけんかをしておるのですが、どうも納得がいかない、もし、これは、私は単に監督官や官庁そのものを責めるわけではないんですよ。法の不備なら不備で法を直さないかんのですよ。ところがそういう積極的な熱意を一向に持っておいでにならぬ。何回話をしてもそうなんです。のらりくらりと抜けていかれる。のらりくらりと抜けていくということは、
立場
上
責任
を回避する、悪意のものとは受け取りませんが、いやしくも保安
監督行政
の最高
責任者
としてこの事態を見られるならば、これはどうしてもこういうところに不備がある、たとえばこの違法は採掘をやっていることが、現地派遣班の監督官が認定しておって注意をすることはできるけれども、
報告
をして別に
局長
の指示を受けなければならぬ、そこに不備がある、その間にこの事態が起っておる、もしここで申し上るように、保安監督官が現場でストップということできちっと命令をすることができたならば、これは明らかにとめ得たと思う、とめ得た災害ですよ。ところがストップがきかなくて、
報告書
を出して審議をするというところに、手間取る時間の間にこの事故が発生している、そうしたらこれはどうなんですか、あなたは。将来にまた問題の起る心配も多数あると思う。
先ほど
お話
のように、九州には輻湊した上下部に炭層をそれぞれ分けて鉱業権の設定がなされた所がたくさんある。そうしますと、下を掘ると上は空洞になっておる、こういう場合がたくさんあるのです。そうすると、こういう出水事故を起しかねない、また停滞した、ガスの爆発を免れない、突発な大きな災害が起りかねない、どこでもあり得る、こういう事情を何とか
改善
するためこういう立法措置が必要であるという所信と信念に燃えてもらわなければならない。保安
監督行政
の最高
責任者
として私は全く適当ではないと思う、失礼な言い分だが、私はそう思います。死んだ人の身になってごらんなさい、働いている人の保安を思ってごらんなさい、いつどこでこういう事故が発生しない、こういう保証が
一つ
もついていない、そのために必要な
監督行政
指導ができるということに法的欠陥があるならば、その法的欠陥を是正すべきだということをこの前から強調しているのですが、一向に熱意を示されない、いまだに一昨年の北海道の赤平炭鉱の当時から
局長
とは論争をしてきているのです、よく
考え
てもらいたい。もし
局長
の手でだめだということになると、鉱山
局長
なり通産大臣に出てもらって掘り下げた御検討を願わなければならぬと思うのですが、その点の所信は
局長
どうお持ちになっているのですか。
阿具根登
87
○
委員長
(阿
具根登
君)
先ほど
非常に重大な意見を小岩井
局長
が言われたと思いますので、関連質問しておきたいと思います。それは施業案の中を掘る場合は、施業案を認可するときは十分それは
調査
されておるから、私はそういうものはほとんど起らないのが
建前
だと、ところが施業案の外に出て行ったことをすでに認めておられる、そうするならば施業案の外の古洞のあることは十分知っておられるのです。施業案の外を掘っているのを監督官がとめることはできない。とめることはできないけれども、掘っておることがわかってすぐその横に古洞があるんだ、こういうことは坑内の
常識
で、古洞があるとガスや水が入っている、それがわかっていながら注意もしなかった、自分たちは施業案の外を掘る場合には
責任
がありませんと。ところが、一番知っているのは、鉱業権者と監督官だろうと私は思う。掘っておる人は、そういうことは知らない。古洞があるということを知っておるなら、山本
委員
が言ったように、水がすでに出て来だしておる。マイトの穴を掘ったところが、その穴から水が出て、そうしてマイトをその穴に込められなかった。十一本のうち、六本か九本しかマイトを入れられなかった。もし古洞がこの付近にありますよ、注意して掘りなさいという注意をしてくれているなら、掘っているその穴からもし水が出ておるような場合、マイトを打つどころか皆逃げ出します。マイトの穴から水が出てきている。そこに大きな二十何万トンも水がたまっている。そこヘマイトを打ったものだから、一分間に六十トンもの水が出てきた。そういうのにもかかわらず、通産省のこれが古洞に行き当てたという
報告
は、私は五日たって現場に行ってそうして福岡の通産
局長
に、これは古洞に当っているのだろう、それ以外にどから水が出て、一分間に六十トンの水が噴出しているならば、それを教えてもらいたいというようなことを言ってその晩に古洞に当ったようですという発表になったわけです。何を通産省はやろうとしておられるか。すでに子供が川に行って危ないということがわかっておっても、
法律
上それをとめなかったから自分は刑罰を受けるということはないかもしれません。それと同じで、そんな危険なことをやっておるのに、施業案外のところを掘っておるのであるから、これは保安監督官としての
責任
ではございませんと、あまりにも私は冷たい言い方ではないかと。当然とめる権利はなくても、こういう危険がありますということを言うのは、当然な私は義務だと思うのだが、その点どうですか。
小岩井康朔
88
○
説明員
(
小岩井康朔
君) それは監督官も現場を見ましたときに、これは危険で放置ができないというはっきりした事態を認識すれば、もちろん監督官自体でその危険な作業場をストップさせることはできます。しかしこの場合は、監督官は鉱区外に出ておるということは承知しておりましたけれども、このまますぐこれが大きな事故になるとか、多数の人間が死ぬというところまでの危険
状態
は認識していなかったものと
考え
ております。従って帰りまして連絡をとって処置をつけるという通常の段階で十分に足りるという認定を私はいたしたものではないかというふうに
考え
ております。
山本經勝
89
○山本經勝君 今の
お話
ですが、大体この甲斐田監督官は当日どの程度見ていますか、現場の
状況
を延先までずっと行って調べて
報告書
を出していますか。
小岩井康朔
90
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 回りました区域のこまかい点につきましては、詳細に
報告
を受けておりません。おそらくそう広い坑内でもございませんし、主要な労務者の作業いたしております個所については、一応全部回ったものと通常まあ
考え
られますけれども、どこをどう回ったかという点については、一々
報告
を受けておりません。
山本經勝
91
○山本經勝君 私が
先ほど
質問を申し上げた点についてはお答えになっておらぬのですが、つまり私の言うたことをもう一回繰り返すならばですね……。
小岩井康朔
92
○
説明員
(
小岩井康朔
君) よろしゅうございます。
山本經勝
93
○山本經勝君 繰り返さなくても……。
小岩井康朔
94
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 施業案を見ますときに、隣接の鉱区その他の
状況
をよく照らし合せるという点を申し上げましたが、もちろん照らし合わしておるのであります。しかしながら現在の東中鶴の鉱区の位置と照らし合わした場合には、相当旧坑が遠くにありましてもちろんその近くにあるのならば、直ちにその方法は指示をいたしますけれども、現存の鉱区の位置では、そう近くにないという認定で、従って断層のあることも、それから旧坑もそう近いという認定はしてないのであります。たまたま鉱区外にずっと延びたんで危険
状態
になっておるので、施業案として認定する場合には、それほど接近していなかった。従って十分な注意が与えてないというふうに
考え
ておるわけであります。私どもも図面では当然そうなるのでありましてたまたまその鉱区内をはるかに出ておるので、危険なものに近づいたという結果になったものというふうに
考え
ております。これはまあ排水完了してよくはかってみれば、その実情は詳細に私は判明するというふうに
考え
ております。
山本經勝
95
○山本經勝君 私の質問はそういうことを今御答弁求めているわけじゃなかったのですよ。いわゆる鉱区外、つまり鉱区外というよりも施業案に盛られている予定の採掘
計画
がそれからずっと延びて延び過ぎて、そのために危険な問題が起った。その危険な問題が起ったんですが、その起った事柄は
先ほど
の
委員長
の質問にもあったように、すでに予定されたつまり施業案の
範囲
内における採掘については
法律
上当然保安に関する
監督行政
指導の
責任
があるけれども、それはないというわけだ。そうすると、もし私が仮定の上に立って言うなれば、もしこのときに保安監督官がこの強力な権限を発動してストップをさせておくなればこういう事故が起こらなかったあろうということを申し上げた。そうすると、その間の
報告
を出して認可を受ける間に事故が起った。
停止
の決定は通産
局長
によってなされておらぬ。その間に災害が起っているのですから、ここに私は
一つ
の何といいますか、欠陥がありはしないかと思う。あなたは欠陥ないと思いますか。
小岩井康朔
96
○
説明員
(
小岩井康朔
君)
先ほど
も御
説明
いたしましたように、監督官が危険な急迫な
状態
であるという認定をいたしました場合は直ちにストップすることはできます。これはできるのであります。しかしまあこの場合は、おそらく監督官も鉱区外に出たということは承知しておりましても、すぐこれが危険な急迫な、その場で処置をつけなければならないというほど差し迫った危険
状態
という認定はしなかったものと
考え
ております。従って、まあ帰りまして自分もみずから
報告
も書いておりますし、連絡をして処置をつけるということで十分事足りるというふうな認定をいたしたのではないか、かように
考え
ております。
阿具根登
97
○
委員長
(阿
具根登
君)
局長
はただ
報告
を聞いてここで言っておられますので、現地を見て来た私どもの方がかえって詳しいようなんです。
局長
の答弁はどうも私らに納得できない。なぜかならば、八月三十一日の炭鉱の保安図ではすでに施業案の線まで採掘し終っている。そういうのを十一月十五、十六日に行かれた監督官は十分見ておられるはずです。
会社
の保安図でもうすでにきめておる。それから九月、十月、十一月と三ヵ月掘って、相当深く掘っていることはわかっている。そうするならばその付近に古洞があるということは保安監督官が一番よく知っている。一番よく知っている、それにもかかわらず知らなかったからこそこれに対して注意を与えておらない。五日たっても古洞の水だという判定もつけ切れない。そういうことで保安監督官の任務を全うしておると言えますか。私ども
常識
で
考え
てもこれは古洞に当っておるということをどなり込んでいって、古洞に当っておるでしょうが、古洞でなかったならばどうしてそんなにたくさんの水が近くにわいておりますかということを
常識
で
考え
て言って、そうして
常識
ではそうなります。
常識
でないならどういうふうになりますか、というようなことで、これがその晩発表された。そのためになったとは言いません、しかし私どもが注意したその晩に、古洞に当っている、その古洞は九採の掘った
あと
で二十一万トンの水がありますという発表があった。だから二十一万トンの水を出すためにはポンプを何台つけて何日すればこの水は減るだろうということがやっとその晩たったわけです。そんなことで完全に保安監督
業務
がなされておるとお思いになっているかどうかお伺いいたしましす。
小岩井康朔
98
○
説明員
(
小岩井康朔
君) もちろんただいまの
お話
のように、隣接の採掘跡が実際にどうなっているかという点につきましては、いずれも
先ほど
の御
説明
のように各社から提出されました鉱内採掘の実測図に基いて判定いたしておるのでありまして、実際の現状と寸分たがわぬ正確なところまでは確信は持っておりません。しかし大体まあ監督は相当入念にやっておりますので、非常に大きく食い違うというようなことは
考え
られませんけれども、間々やはり多少図面などとは食い違うようなケースも私はあり得るのではないかというふうに
考え
ております。
山本經勝
99
○山本經勝君 いわゆる今度の災害で、もう
一つ
、私はどうしても
局長
から聞かなければわからぬのですが、体どういうところにこの
原因
があるかといえば、水が途中で出たといわれるかもわからない。ところが、その前に問題がある。すでにるる御
説明
もあったし、私どもも質問申し上げておる。ですから、そういう
状況
はわかっているのですが、もしこの災害を防止するためにこういう手が打たれたならば、おそらくこういう事故にはぶっからないであったろう。というのは、やはりすでに延び過ぎた、行き過ぎた鉱業権者の採掘の実際が、施業案と違うというその事実に基いてこれをとめておったならば、こういう
状態
にはならなかったであろうと思うのです。これは
一つ
の重大な欠陥ではありませんか。
小岩井康朔
100
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 坑内出水の場合は、私どもの技術的な
考え
方といたしましては、旧坑が予想されれば、必ず先進穿孔をやるということが
常識
になっております。しかし、私どもの従来ぶつかりました経験では、もちろん先進穿孔は必要でありますけれども、
先ほど
の
お話
の
通り
、旧坑水に近づいて大量の坑内水に近づいておるような場合には、だんだん水が移出してきまして、その港町の度合いも増してくるのであります。しかし保安管理者、係員も、必ずしも水が増してきたからそれは旧坑水という逆な判定はできないけれども、旧坑に近づいた場合にはもちろんその滲出してくる水量も増してくるのであります。従って水が出ましたら、これはおかしい、何の水かというくらいな懸念は、当然私は持っていただきたい。これは技術的にいって当然なのであります。 これは過般天草でやはり坑内出水で三十六名死亡者を出した災害があるのでありますが、この場合を
考え
ていただきますと、非常にわかりやすいのでありますが、仕事を始めますときに、旧坑の
関係
をあらゆる努力を尽して図面を集めたのでありますが、なかなかうまい資料が集まらない。従って、
会社
としては付近の故老、老人、年とった方、あるいは片その炭鉱に
関係
していたような古い方々に
お話
をいろいろ伺って、大体の旧坑の想像図を作ったのであります。その想像図に従って、旧坑からは七十メートルも離れた所に坑道を切っておったのであります。大丈夫と思って切っておったのであります。ところが坑道を掘進させますと、やはり水が少しずつ出てくる。それが進むに従いましてだんだん増してくる。従って保安管理者初め重大な会議をやっておるのであります。しかし、これはどうも旧坑の水というふうにはなかなか判定がしかね。たまたま天草の地質
状態
としましては、かなり地表水を坑内に引き出す地質的なクラックがありまして、かなり地表の水を全般的に坑内に引き込む傾向が強い地質
状態
であったために、これは天草の特有の地質の
関係
ではないかという判定をいたしまして会議をやって 一時仕事をやめたのでありますけれども、会議の結果、旧坑水ではなかろう、自分たちの集めたあらゆる資料、あらゆる古い人の
お話
を聞いて作った図面からも、相当離れておるというので、仕事を進めましたところが、一挙にくずれ出して、三十六名の死亡者を出したのであります。これは排水をしましてよく
調査
をしまやと、もうそのころには旧坑が自分たちの掘っておる坑道の頭のもうずっと上にきておったという事実が初めてわかったのでありまして、なかなか昔掘りました旧坑の正確な位置というものは、現在正しく判定するいうことは非常に困難な
状態
であるのでございます。 私ども決してこういうような仕事をのがれる気持はございません。でき得る限り正しく判定をして、その判定に従って仕事をする。仕事をする上におきましても、やはり絶えず坑内の旧坑水ということを頭に置いて、水が少しでも滲出すれば何の水かという懸念を持っていただく。また方法としましても、かなりいろいろの科学的な方法もございますけれども、いずれも現段階におきましては、これですぐ百発百中といううまい方法がないのであります。今後はアイソトープによる旧坑水の発見というようなものにつきましても、目下予算を取りましてぜひこの実験も早急にやってみたいというふうに
考え
ておりまして、決してこれを放置しておるわけではございません。何とか早くこの旧坑水を認知する方法というものも、技術的にきわめたいという熱意には燃えておるわけでありますが、いかんせん現在のところ、うまくこれを的確に見出す方法がないわけであります。従って……
山本經勝
101
○山本經勝君 そういう御
説明
を伺っておるのではない。伺っているのは、回りくどい御
説明
ではないわけですよ。今の、たとえば、ここの場合には、もしここでストップをしておれば、施業案と違反した採掘をやっておるのであるから、現場に派遣された監督官がとめておれば、私は事故を起きなかったと
考え
ておりますが、もしかりに作業を進められて現在おるのであるから、その作業現場まで甲斐田監督官が行って見て、そうして現場の
状況
によって、たとえば判定し得る最大の努力がされて、これが必要であるとして
考え
れば、これは先進ボーリングなり何なりを指示されるのが普通なんでしょう。ところが、これは予定された鉱区外であるから、そういう監督指導もなさない。ストップもできない。そうして事故を大きくした。これは通産
局長
が審議した結果、やめろという命令が出るまでは、できない。その間に事故が起っておる。この事故をこの時期をとらえて
考え
るならば、この予防措置は、何といっても、ここに行った監督官が、延び過ぎておるという事情のもとで、まずとめて、そうして検討されるか、あるいはしかるべき
局長
の指示を受けて、その後の採掘が、調べた上で進められておるということであるならば、それで私はこの事故はとめられると思うのですが、これは単に
局長
の
責任
を追及するのではありません。もし法が不備であるならば、この
委員
会なり、国会の任務です。法の改正を必要とするならば、その手続をしなければ、将来次々にこの種の事故が起る条件を持っておるから私は申し上げておる。ところが、どうもうまいこと何かくだらぬ話や引例まで持ってきて、だらだらと
説明
されるだけで事足れりとお
考え
になっておいでになるのか、私は疑問が起きてきた。
局長
どうですか。一体どういうことにこの災害を予防するに必要な措置に不備があったのか。これをはっきりしてもらわぬと、今後の対策になってこないと思う。私どもはここでこの問題を取り上げて
局長
を責めたりあるいは論議をしたりするということを目的とするのではない。今、炭鉱で働く大勢の
労働者
が、安心をして働き、職場の
生産
も向上するよう念願すればです。ひとつの事故が起れば、これは炭鉱の全生命にかかわる。
一つ
の企業としても問題ですが、かりに排水されて遺体は揚ったが、しかし
営業
を続けるかどうかこれは疑問です。そうしますと、大きな問題が社会的にも起こってくるわけです。そうして
考え
てみますと、この種の災害を予防するということは、企業を存続する上からも、また地下資源の開発という重大な国家的な使命から見ても、必要なことなんです。それを担当されておるのが
局長
だと思うのですよ。そうであれば、単に監督官やあるいは
局長
以下当路者の皆さん方の
責任
ということよりも、あるいはその他の問題があるならばその他の問題を解決しなければならないかぬ。こういうことに私はなってくると思うのですが、そこら辺をもっと正直に、端的に御
説明
願いたい。回りくどい御
説明
は私は要らぬ。
小岩井康朔
102
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 端的に
説明
しておるつもりなんでありますけれども、監督官が参りまして、急迫の危険は認めない、しかし鉱区外に進出しておるということを認知しておるのでありますから、これはできるだけ早く通産
局長
に連絡をとって、早く鉱業法に基いてとめてもらう。従って先進穿孔をやれとかそういう指示をやりますと、違法性を認めることになって指示ができないわけであります。これは当然鉱区外に出ておるのであるからとめてもらうという認定のもとに帰ってくるのでありまして、これに先進穿孔をやれとか、そういうふうな指示をいたすことは、法規しできないわけであります。鉱区外に進出しておりますから違反はしておる。一刻も早く通産局、長に連絡をしてとめてもらうということが、私どもの方向なんです。
山本經勝
103
○山本經勝君 それがけしからぬのですよ。たとえば現地に行かれた派遣班の監督官が、現場で一応注意されたのでしょう。これはすでに鉱区外に出ているから採掘は違法であるぞという注意はしたのでしょう。ところが、して毛やめない。その違法線を突破して、自分で知っていながら、注意を受けながら、なおかつやっておる業者なんです。注意をして、その足で直ちに甲斐田監督官が局、長のもとに帰ってきて、これは重大である、すぐにとめてもらわなければならぬ、これは目測ですから、もし誤りがあったならば、検討した上で採掘を続けてもいい、私はこういう応急の措置は取り得ると思う。そういう措置をやらないところに、こういう事故が起る重大な
原因
が伏在していると思う。法を、簡単に機械的に割り切って取り扱う、そういう官僚の傾向があると思う。私は、極端な上古葉でいえば、保安監督というようなことは、普通のことと違って、直接人命にかかわる重大な問題です。それを今の町長の答弁のように、いいかげんな答弁では、のらりくらりと時間をかせいで、早くこの時間が終ればいいというような印象を一受けてどうにもならぬ。だから、少くともこういう問題を起さぬようにするためには、この場合の例をとれば、どうしたらよかったのか、私は、
局長
自身
の所信があろうと思うそれを、うまく答弁して逃げていくというところに私は不満がある。これは私の不満というよりも、炭鉱
労働者
の共通の不満です。一体この場合に、私が申し上げておるように単に行政面の、あるいは現行法上の不備があるなれば、端的にこういう点について不備があったというたらば、それを直すとか、何とかもっと横柄的な解決の方向に進めていくことができると思うのですが、そういう努力を
局長
はなさろうとしないで、回避することにもっぱらこれ努めている。こういう姿では、私はいけないと思う。 私はもう一度念のために聞くのですが、お答えできなければ次回に通産大臣に出てもらって、詳細に検討したい。お伺いしたいことは、この場合、違法にも施業、案に反する採掘が行われているということが、甲斐田監督官によって認定された。従って、保安管理者に対してこれは違法であるぞという通告をして、そうして
報告書
を通産
局長
に出された。その一週間後にこの事態が発生した、ところがその間には、通産
局長
から採掘をとめるという命令は出ておらぬ。私ほそこに
一つ
のあまりにも時間がかかり過ぎた、ロスがあるよう気がします。あるいは手続上のやむを得ぬ方法かもしれぬが、もっとこういう違反の事実は、具体的に指摘された監督官
自身
がかけ回って、はっきりした手続をすみやかにとらなければならぬと思うのですが、こういう点については、
局長
はどうお思いになるか。
小岩井康朔
104
○
説明員
(
小岩井康朔
君) ただいまの
お話
でありますが、通産局の方にはまだ出してないのであります。そういう事実を知りまして、監督官は帰って、局に連絡をする途中に、全部課長まで回らないうちに、課長が次の災害で出ておりますので、まだ通産局の方には、いってないのであります。連絡の過程においてこの災害が起ってしまったというような事情であります。 それから
先ほど
の先生の
お話
なんでありますが、もちろん危なければとめるのであり、ますけれども、おそらく甲斐田監督官は、それほどの急迫な感じほ持てなかったのではないかというふうに、私ども想像しておるのであります。もちろん危険な
状態
であり、急迫な
状態
であるという認定ができれば、その場でとめてくることは、もう必ずとめてくるのであります。監督官自体でできる権限も与えられておるのであります。しかし、自分も局へ連絡をして、そうしてとめてもらうというそのときに、自分では保安法ではできないけれども、これは鉱区外に出ておるからおやめなさいということは、一応口頭で述べて、それから成規の手続に移る過程に、この災害が起ってしまったので、暗闘がおそいとおっしゃれば、おそいのであります。しかし、この急迫な場合には監督官がとめる権限があるし、鉱業法に基いたものは鉱業法を扱っている通産局に連絡をして処置をとってもらうので、別に法規的にはそう大きな欠陥はないのではないか。時間的に早くとめなかったということは、私も十分に認めまして、非常に残念に思いますが、これは全国の………
山本經勝
105
○山本經勝君 私は全く不
誠意
きわまると思う。この十一月の十五、十六両日にわたって派遣班の甲斐田監督官は、現地において現実に違法な採掘が行われている事実を認めて、保安管理者に注意を与えた。それから事故の起ったのは十一月の二十五日の午後十一時十五分、そうしますと、約十日間ある。しかもこの十日間に、これは施業案の認可とほ違った採掘をしているのであれば、当然とめるべき措置を監督官はすべきだと私は思う。とめるべき措置をしなければならぬ当然の義務を負っておったと思うのでありますが、これは義務はありませんでしたか、
局長
。
小岩井康朔
106
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 何回も申し上げておりますように、保安法では、鉱区外に出ておるのはとめることはできません。
山本經勝
107
○山本經勝君 それでは私はさらに伺いたい。この保安法上のとめる権限はない。そこで、とめるための手続が、
先ほど
冒頭の話では、一応通産
局長
の指示を受けるために
報告書
を出されていたと言われたが、今度その
報告書
は出していないのですよ。自分で握っている自分で。こういうことが当然あるべき監督官富の任務なんですか。それをはっきりしておいていただきたい。
小岩井康朔
108
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 私の
説明
が足りなかったかもわかりませんが、初めから通産
局長
に出したということは、このことでは言っていないのであります。甲斐田監督官が事実を承知して、そうして山側に伝えて帰りまして、
報告
を書いて、ずっと課長まで回覧の途中に、課長が出てしまっておって、まだ判がとれなかった。その間に災害が起っておるのでありまして一般の鉱区外の進出の場合には、必ず帰りまして成規の手続をとって通産
局長
の方に連絡をしておるのであります。
山本經勝
109
○山本經勝君 そうしますと、もう一ぺん念を押しておきたいのですが、これはきわめて重要な点だと思う。当時の模様は十一月の十五、十六両日に、甲斐田派遣班が現地に行って
調査
した結果、施業、案と違った鉱区外採掘、つまり掘り過ぎている。悪い言葉で言うと盗掘をやっている。こういうことになるのですが、その盗掘をやっているという事実を認めて、そうして保安管理者に注意を与えて、中止をしておくべきではないかということで注意をされた、そうすると、その実情は当然監督官が文書をもってやるのだろうと思いますが、
報告書
を出して、しかるべき指示を仰がなければならぬ。ところがそれは実はやっていなかった。出したけれども、課長が不在で判がもらえなかったということで、延びておった。その間十日間、まる九日、そういう時日を
経過
した。そうしてその間に事故が発生しているのですよ。そうすると、一体これは
責任者
というのはだれか。この災害の
責任
は那辺にあるのか。だれが
責任
を持つのですか。この点は、もう一度私ははっきりしておいてもらわなければならぬ。
小岩井康朔
110
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 私の側の方で申せば、監督官が、そういう急迫な事態が結果としてはあったのでありますが、それを十分認識せずに、通常の行政措置によって取り進めるという態度をとりましたことは、結果から見て私どもは遺憾に
考え
ております。今後でき得る限り早く連絡をとって、その間に長時間もかからないように努めたいと
考え
ております。
勝俣稔
111
○勝俣稔君 私は議事進行について申し上げたいのです。山本さんからの御質問について
局長
の
お話
が、要領を得ないように私も
考え
られる節もあったのです。事が相当重大な問題じゃなかろうか。法の改正もしなくちゃならぬのではなかろうか。いろいろな問題があるのじゃなかろうかと、私は
考え
られるような節もあるのです。こういう点については、
一つ
よく、今ここで法の改正までしなくちゃいかぬという決意があるかどうかというような事柄は、
局長
としては、なかなか今この際お述べになることもできないのじゃなかろうか、たとえてみれば、私の方で急性伝染病の方でございまするが、この改正に、コレラ菌があるかないかということを証明しないけれども、推定はできる。コレラ患者はそこの魚をとって食って死んだろう、死んだと推定できた場合には、漁労禁止をすぐできることになっているわけなんでございます。そういったようなことが、やはりコレラの防疫には非常に重大な
関係
があるのでございまして、だからこういったような事柄も、山本さんからはいろいろの御質問があるのじゃなかろうか、こういうふうに思うのでございますが、これは
一つ
私はなお十分御研究をなさってそれで
お話
を、願った方がいいのじゃなかろうか、こういうように思うので、ちょっと議事進行につきまして申し上げます。
阿具根登
112
○
委員長
(阿
具根登
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
阿具根登
113
○襲爵長(阿
具根登
君) 速記を始めて。
中山福藏
114
○中山福藏君
局長
にお尋ねしますが、その十日間という
報告
のつまり期間ですね、それをなおざりにしたから、その怠慢は十分認めるという御答弁があったのですが、そうすると、憲法十七条で公務員の行為というものが、その怠慢という一種の行為が、重大な過失ということになって、
法律
上当然賠償の
責任
が国家にあるということなんですがね、あなたはそれを今明答されたんですが、それはどうなんですか、はっきりこの場合、ここで
一つ
それが速記録に出ると、証拠になりますよ。
小岩井康朔
115
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 監督官が巡回監督をいたしまして、その結果の
報告
をするのはもちろんでき得る限り早くすることになっておるのでありますが、監督官の分担はたくさんございます。その間に災害が間々ございますし、
報告
のおくれるということはこれはたびたびございます。しかし、今回の場合はちょうど帰ってすぐ自分で
報告
を書きまして、その書類の回覧中に大の浦の災害がございまして、
幹部
一同出てしまった
関係
で、書類が多少おくれたという点は、私ども結果から見て、災害が、もしそこで早くやっておれ、ば、とまっておったじゃないかという山本先生の
お話
の
通り
、もっと早く処置ができれば、あるいはこれはとめられたかもしれない。しかし、これは私どもの方の仕事の
関係
で、たまたまその間に大きな災害がございまして、
幹部
一同出てしまった、それでおくれてしまったと
考え
ております。
中山福藏
116
○中山福藏君 どうもあなたの答弁では、重大な過失が公務員の方にあったと思うのですがね。十日間ということは、相当長いです。しかも施業案を逸脱して、いわゆる盗掘をやった、これは監督官として当然早急に処置しなければならぬ、しかも、古洞には水が満々とたたえられておるということは、
常識
で判断できることですね、そうすると、これについての相当の処置というものが早急にとられて間髪を入れずそれについて何らかの処置に出なければ、これは重大な結果を招来することは、これはだれが
考え
ても一応肯定できる問題だと思うのです。それを十日間も期間があるのに、課長が留守だったからというわけで、そのまま放置されたというところに、私は
法律
上の当然の重大な過失というものが、公務員の方にあるのじゃないかという気がいたします。しかも、あなたが十分それを認めておられる。これは証拠は十分だと思うのですね、
法律
的には。どうですか、その点は。
小岩井康朔
117
○
説明員
(
小岩井康朔
君) 私も最近ちょっと現地の仕事を離れておりますから、詳細はわかりませんが、少くとも私どものおりましたとき——おそらく現在もそうだと思いますが、巡回監督の
あと
の
報告
は、この点で十日間くらいは当然たっておるのでありまして緊急を要する場合のほかは、決しておそいとは
考え
ていないのであります。特別にこの
報告
に対して、監督官が重大な
責任
過失があるという点については、私はそう強く
考え
ていないのであります。ただ、山本先生の
お話
のように、その間に早くできればよかったじゃないかということは、結果から見ればその
通り
でありますが、これは、監督官の危険認知の
状態
がそれほど急迫に
考え
てなかった。しかも
先ほど
来、隣鉱区には旧坑水が満々としているという
お話
でありますけれども、これが十分に詳細にわかっておれば、当然処置を山側でもとるはずなんであります。経営者自体が当然とるはずなんでありますが、この旧坑の
状態
については、十分によくわかっていなかったという
関係
で、この災害が起っているわけであります。
阿具根登
118
○
委員長
(阿
具根登
君) 今の問題でも、小岩井
局長
は、知らずにいて答弁しておる、そんな答弁してはつまらぬですよ、あなたは現地へ行ってきなさい。十六年前に三十何人の人が死んでおる、それで旧坑の水を出すためにその仕事がやられておることは知っておるはずだ。また業者側もそういう水がたまっておるなら手を打つでしょうと言っているけれども、こういう旧坑があることは、業者
自身
百も知っておる、水がたまっておる。十六年前に三十何人も死んでおる、それを取るために八千万円の予算まで組んで仕事をしている。それを知らなかったみたいに、あなたがここで答弁している法はありますか。あなた現場べ行って見てきなさい。業者も知っているはずだ、監督官も知っているはずです。八千万円も金を使って、この水を出す作業をやっています。それを業者側も知らなかった、監督官も知らなかった、監督官の
責任
じゃありませんと、そういうことでどうしますか。監督官は二つの今度誤まりを犯していますよ、人間だからやむを得ぬ場合もあります。監督官が、あなたがおっしゃったように、危険であったら監督官
自身
で採掘が中止できるという権限が持たせてあるにもかかわらず、危険を察知しなかったというのが
一つ
。それから今中山先生から、あるいは山本先生から言われたように、これを通産省に
報告
して中止するやつが十日もかかっておる、二つも大きなミスを犯している。そのために十八人の人間がまだ水没しているのですよ。行って見なさい。おばあさんが孫の手を握ってむすこの上ってくるのを今でも待っていますよ、そういう大きな災害を起しておいて、
一つ
も
責任
を感じないような答弁をしているのでは、死んだ人は浮かばれませんよ。あなた行って見なさい。知らないなら知らないという答弁をしなさい。それはわかっておらなかったのですか、そういう古洞があるということを。業者も古洞があったことを知っておるなら中止するでしょうし……、業者も十分知っておる、知っておるから古洞の水を取ろうとしておるじゃありませんか。そういう業者側の
立場
にまで立ってあなたがここで答弁するならば、
労働者
はだれをたよりにしていきますか。
山本經勝
119
○山本經勝君 これは私ども現地で福岡通産局の石炭部並びに保安監督部の
幹部
の皆さんと膝を交えて、資料を突き合して図面まで作った。ところがそれを公然と出すことについては、いろいろ部内の
業務
上の問題があるから遠慮してくれというから、私どもはそれを了解して持ってこなかった、これはあなたの部下が現地において、そう見ておる。今私の言う事実を認めておる。むしろ私どもよりも事実をよく知っておられる。だからこそ、たとえば赤石本属を採掘したその
あと
が空洞になっているのですよ、それは二百万坪といわれている。その水を、今九州採炭の新手二坑から坑道を作って排水する作業をやって、再びそれを取ろうとしている、そういう施薬案が出ているじゃないですか。あなたの輩下の福岡の石炭部に出ている。それをとぼけたようなことじゃだめだと思う、そういう事実がはっきりしている。さらにこの事案は、大正鉱業の宣島総務部長とも当時特に話し合って、大正鉱業でもその事実をよく知っている。
昭和
十六年に事故が起こって、三十何名の人が死んで、その上五名の遺骨がまだ揚らずに、そのまま埋まっているということがいわれている。そういうことがいいかげんの間に合せの、
委員
会の時間かせぎの答弁じゃ困るということを、
先ほど
から申し上げておる。
先ほど
の勝俣先生の
お話
のように、当面の問題としてここで明らかにできなければ、仕方がないから次回にでも、
労働
省の
幹部
にでもお聞きになればいいのです。ことに基準
局長
にしてもあるいは
労働
省の
幹部
に出てもらってそして、
労働者
がこの
状態
では保護されておらぬのだからどうしたらいいかということを、
労働
省
自身
も真剣に
考え
てもらわなければ炭鉱
労働者
は働けぬ。私は時間等の
関係
もあるから、本日はこの程度に一応いたしまして次回には
労働
省も
責任
ある大臣に出てもらいたい。それから通産大臣、それから
保安局長
その他
関係
各部
局長
のお立ち会いのところで、もう少し掘り下げて検討しなければ、小岩井
局長
のような御答弁では——実際そういう御答弁を、私ども帰って、
局長
がこう言っておりますと言ったら、大へんなことが起りますよ。そういうことだけははっきりしておいてもらいたい。そういうことで、 一応私の質疑はこの程度で終りたい。
阿具根登
120
○
委員長
(阿
具根登
君) 本問題に対する本日の
調査
は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
121
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。
—————————————
阿具根登
122
○
委員長
(阿
具根登
君) 次に、
国税庁
の
労働
問題に関する件を
議題
といたします。 質疑を願います。
政府側
出席は、
国税庁次長
原三郎君。労政
局長
亀井光君が見えております。
藤田藤太郎
123
○
藤田藤太郎
君 この
国税庁
の
労働
問題なんですが、私の聞いている
範囲
、また私の見てきた
範囲
を見ましても、通常に
労働
運動として行われていることに対して、
国税庁
がその
労働者
の要求を討議するとか、集めるとか行動すること
自身
を、権力といいますか、そういう格好で拘束されてというか弾圧されておる。そういう例がたくさんある。たとえば
一つ
の例を申し上げると、京都の問題、先日起りました検束問題を取り上げてみましても、各税務署ごとに支部がある。支部に上部機関の人や地域の機関の人が行って、そして
国税庁
労働組合
全般のいろいろの仕事について、税務署の与えられた謄写版とかの職場——一定した場所に行って活動を行おうとしても、退去命令で出て下さいという。ところが直ちにうしろに警察を置いておいて、出て下さい出て下さいと。そこで仕事をさせないで、ものの十分か二十分くらいの間に検束してしまう。こういうことでは、せっかく
労働組合
というのはあなた方は認められておる認められておって組合活動について何ら活動ができないようにしてしまうというようなことでは、私はどうお
考え
になっているのか、なかなか理解ができないのです。そこのところをまず聞きたいのです。
原三郎
124
○
説明員
(原三郎君) お答え申し上げます。ただいまの藤田先生の
お話
、一般的の問題と承わりましたのですが、もちろん私たちは組合活動と申しますか、組合の健全な発達を願っている点におきましては、問題はないと思っております。正常な組合活動につきまして、私たちがとやかく言うべき筋合いのものではございません。また、組合の交渉の問題につきましても、これは局でも省でも全国的にしょっちゅうと申しますか、絶えず持たれておるわけでありますし、その間に警官が入っておるとかあるいはどうというような、そういうような事例というものは、むしろそういう交渉の場合においてはありませんが、何か非常に特殊な、たとえば外部のいろいろの
労働組合
の方々、ういう人たちが大ぜい見えて、いろいろ喧騒にわたる背景を伺うと、時間内のたとえば集会をやる、こういうような事例におきまして、執務の
関係
上、職場の秩序を維持するために、警官の動員を要請する事例もないわけではございませんけれども、通常の場合におきましては、そういうことはないわけでございまして、その辺につきまして誤解がおありなのかしらんと、かように感じたのでございますが、繰り返して申しますが、正常な組合の運動、健全な組合の発展というものにつきまして私たちに、組合の弾圧というようなあるいは組合の活動を抑制するというような気持は決してないことを、はっきり申し上げておきたいと思います。
藤田藤太郎
125
○
藤田藤太郎
君 正常な組合活動についてむしろ助力しているくらいの気持だと、こうおっしゃるわけですね。じゃ、京都の例を
一つ
聞きたいのです。京都では大会も開かれなければ何にも開かれていない。開かれていないところに、国警の本部の人とそれから東山の税務署の人、上京の税務署の支部長二人が、そこの組合の中の、税務署の中の謄写版の置いてある所へ行ってそこの組合の人と少し話をしただけで、話をしているのに、退去命令を出して、署長が退去命令を出して、出て下さい出て下さいとやかましく言って、直ちに文書で出して、間髪を入れずといいましょうか、警察を動員してきて、百人も百五十人も……、そこで二人をしょっぴいて行ったのですよ。こういう場合はどうなんですか。
原三郎
126
○
説明員
(原三郎君) 御答弁申し上げます。その前に、こういうことを
一つ
申し上げておきたいと思うのですが、京都支部におきまして、五月だったと思いますが、上京税務署で実は問題がございました。あるいはお聞き及びになっておるかもしれませんが、当時外部の組合の方々が、数十名でしたか、百名くらいでしたか、まあ税務署の前にピケを張って職場大会を開く、こういうことで非常に混乱いたしまして、一日執務がとまってしまった。その後六月でございましたか、同じ大阪局管内で束税務署でやはりそういうような事態が起きました。その後、この辺の千葉の税務署あるいは宇都宮の税務署とか、あるいは金沢税務署あるいは北海道の旭川、いろいろと全国にわたりましていろいろの事態が起きまして、かなり事務がこれについては渋滞のみならず、非常に混乱した、こういうような事態が実は背景になっておるわけでございまして、何にもないところにまあ二、三人やってきて、いきなりどうこうするというようなことは、
常識
的に私は
考え
られないことじゃないかと、かように思うております。きのう藤田先生から東山の事件について詳しい
説明
を求められましたので、とりあえず大阪の方に連絡しまして、当時の事情を聞いて参りましたが、詳細知らないので、あるいは若干の食い違いが出るかもしれませんが、その知っている
範囲
内でお答えしたいと思うのですが、まあそういう背景のもとで、東山税務署ではまあ物事を
考え
ておったわけでございますが、たまたまその前の日あるいはその直前でありましたか、二、三日前でありましたか、京都におきましては東山税務署において京都心内の組合の方々が動員されて、東山の税務署に二十五日に集まるらしい、こういう話を聞いておったようであります。また税務署の組合旗等も東山税務署にあらかじめ持ち込まれておったようなことで、上京の、同じ京都市内である上京税務署あるいは東税務署とか、いろいろ全国的に問題が起りました。そういう事例というものが自分の署にも起るのではなかろうか、かように署長としては判断したようでありまして、万全の対策をとって、できるだけ執務に支障のないような、納税者に迷惑をかけないような、かような配慮で対策を
考え
ておった。まあそこへ二十五日になりまして、早朝、七時幾らでありますか、全国税の杉山君と、それから上京の税務署の入沢執行
委員
でありますか、その辺が入って参ったのでありますが、そこで、そのときに、
先ほど
申しおくれましたけれども、当日はまあどういう事態になるか、なってみなければわかりませんのですけれども、まあ一番大事を踏んでおけば支障がなかろう、こういう
考え
方でもって一般職員というものは通用門から入っていたわけであります。それからその署の職員以外の方は、署長の了解を得た人だけ入っていただく、一般の納税者は正面の方から入っていただく、こういうふうに手配をしておったようであります。どうして早朝からということになりましたかというと、ほかにも
先ほど
申し上げましたような各種の事例を見ておりますると、朝非常に早く組合の方々が見えて、いろいろの対策を立てると申しますか、何と申しますか、かりにピケを張るにしましても、一般の職員が登庁する前にピケを張る、そういうような事例が普通でありまして、従ってこちらの方としましては、その前に役所に入って万全の対策を立てる、あるいは立てたい、こういう
考え
方で、朝七時半ごろでありますか、あるいはもう少し前でありますか、署長等
幹部
の人なりが署内に入って、そういう手配をしておった。そこへ
先ほど
申し上げたその二人と、支部長をしている
藤原
君でありましたかが入って来た。こういう際でもありますし、いろいろの、各署からの動員態勢で大勢やって来るらしいというような不安もありましたものですから、こういう際は
一つ
入らぬで出てくれということで頼んだようでありますが、まあいれられずに入ってきた。それで一般の人も入ってくるわけで、何分あまり混乱してもいかぬ、かような気持からしまして、この際は出てもらいたいこういうふうに話した、こういうふうに私は話を聞いておるわけであります。
藤田藤太郎
127
○
藤田藤太郎
君 今あなたのいろいろの問題が起るであろうという想定ですね、想定だけであらゆるところで、それじゃ支部にも本部の
幹部
が行けない。上部の、全国税の本部の人、それからおのおのの支部の
幹部
の人も、たくさん動員して行ったならばともかくとして、その人が活動のことで話に行くことで何か問題が起るだろうという想定でまあ出て下さいという話をされたがどうか知りませんけれども、しかし、ものの三十分かそこらたたない間に警察を動員してきて、それをしょっ引いていくということですね、組合の正常な活動をやっている者を、そこには動員もされていないし、職場大会も行われ、ているわけじゃなし、何も気のないところに、組合のそこの支部の人と話し合っておるという
状態
だけでしょっ引いていく。僕が聞きたいのは、どういう意図のもとにそういうことをおやりになるのか、組合の正常な活動に対してそういうことを。千葉にも同じような問題を聞いているのです。これは、私は総合的に、きょうの問題は別として、総合的にこの問題を
調査
しまして、そして明らかにしたいと思うのです。国税の方々、組合の本部の方々が、おいでになって、私らがお聞きしますと、非常に超過勤務が多い。それから休暇ももらえない。だからせめてまず完全休暇がほしい、それを交渉するけれども、さっぱりらちがあかない。そして自分らの意見は
一つ
も取り上げてくれない。こういうやほり問題が焦点になって、いろいろの問題があるようです。そこで私はそういう形の中で、皆の職場の不満というものが、私は組合員の組織の中でいろいろ論議されていると思う。それは連絡もあるでしょう。ところが、そういうものをその職場の中で活動できると
規定
したところにおいて相談することも何も、とにかく一切いけない。聞くところによると、平生私服の警官を何人かいつも入れておって一人々々監視しているというような話まで聞く。これは真偽のほどは私は知りません。しかしそういう話も聞くわけです。そして今の京都の東山の例のように、連絡に行って、そこの組合の
幹部
、支部長と本部の執行
委員
と
幹部
がそこで話し合っているのを、出てくれと言って、警察にしょっ引いていく。これで正常な活動を願っているとか、正常な
労働
運動に手を加えてないということが言えますか。
原三郎
128
○
説明員
(原三郎君) ただいまの
お話
に関連しまして、若干あるいは誤解があるかもしれぬと、あるいはこちらの方の誤解もあるかもしれませんが、
説明
を加えておきたいと思うのでありますが、たとえば超勤が毎日多くて休暇もとれぬ。そういうような
お話
もありましたが、実態を御
説明
した方が早いのじゃないかと思うのですが、早い話が、昨年とことしと税務署に行きまして、一体どの程度に実際残っているか、居
残り
の仕事の時間ですね、どれぐらい変っているかという一事を、これは具体的に署に行っていただけばわかると思うのでありますが、非常に減っております。私たちは組合の、要求でも正しいものはできるだけとり入れていく。できるものはやっていきたい。この
考え
方には変りはないのです。まあよく私は申し上げるのですけれども、組合の
委員長
の組合員の皆さんに対する愛情というものは、これはわかる。しかし、私たちの部下職員に対する愛情と一体どちらがどうだろうか、一ぺん比べてみてもどうだと、よく組合の交渉などに冗談詰みたいに申し上げるのでありますけれども、私たちも同じ職場に入って働いている職員でございます。同じ人が組合員という看板を張るか、税務職員という看板を張るかによって、そんなに差別待遇もできるものでなし、自分たちの部下がかわいくない管理者はおそらくないと思います。病人も前は多かったし、あるいは仕事が非常に忙しいものでありますから、居
残り
することも以前は多かったのでありますが、しかし仕事のやりようによって、だんだんと手を抜くところは抜くというようなことでもって、たえず仕事のやり方等も工夫をこらしまして、簡素化の線なんか、今、
国税庁
で取り上げている最も大きな線なんです。きょうも実は直税部長会議をやっておりまして、やはりそういうところが中心
議題
になって、できるだけ部下職員がやりやすいように、また働いてもらうなら効果的な仕事をむだのないようにというようなことで、いろいろ苦心しており、それは、おそらく第三者がごらんになって、過去と比べていただければ、私は、ただいまここで申し上げておるのが、なるほどと思われるようないろいろの具体的実例が、職場にたくさんおありになることがわかると存じますから、私たちとしましては、絶えずそういう配慮をもってやっておりまするし、今後もそういうつもりでやっておることには、変りはないのであります。それから、
先ほど
何でございましたか、はなはだ恐縮でございますけれども、ちょっと
あと
先ほど
の御質問はどんなところでしたか。
藤田藤太郎
129
○
藤田藤太郎
君 私は、今の要求
内容
の問題については、ここでこれにタッチしょうと思わないのです。それはいろいろと機構の問題その他の改正の問題は、日々の努力の問題で……。ただ、私の聞いておる要求の
内容
の中心は、やっぱり超過勤務や、また休暇がもらえないから非常に体が悪くなるので困るという要求だと私は聞いておりますから、これは一般的な共通な問題で、これこそほんとうに、基準法の精神からいっても、守ってやらなければならない、要求の問題だと思うのです。その問題はその問題として、今私の言っておるのは、そういう格好で千葉にも起きておる、その千葉の問題もちょっと資料を見てみますと詳しく出ておりますけれども、とにかく組合活動という格好で上部の機関と下部の機関とが活動の問題で話をやるとか普通の活動に対して、あらゆる面でその組合活動がやれないように、
国税庁
の
監督行政
といいますか、あなたは正常な
労働
運動が起きることが頼もしい
状態
だと言いながら、そういうことに非常に干渉されておる。京都の例なんか、ほんとうに何々が起るだろとか、一人でも入れることによって何々が起るだろうとか、そういう推定で、上部と下部との
関係
の問題までも断ち切って、警察までしょっ引く、そういう問題の構想のもとにちょっとでも職場の連絡事項ですらやらせないという
状態
のもとで、それが正常な
労働
運動を期待するということに連なるのかどうかということを、私は言っておるのです。そういうようなことを職場へ非常指令をされて、そうして連絡を、職場や職場の中におけるグループとさしたらいかぬとか、連絡をしたらいかぬとか、それからまだまだもっとほかにもあるかもしれませんけれども、いろいろの面から
労働
運動に対する制圧を加えておるのじゃないかという私は疑念を持つものだから、お尋ねしておる。それでなければ京都のような問題は起らないと思います。何も起らない。二人入って来ただけでしょっ引いたのだから、そういう問題は起らない。だから、どういう
工合
にして
労働組合
を保護育成し、皆さんとの間に
関係
を持っておられるかどうかということの方法を聞きたい。それの根本を聞かないと、京都のような問題は、客観的に見て、私は納得がいかない。
原三郎
130
○
説明員
(原三郎君) この東山の例でございますと、二十五日以前には、つまり全国税と申しますか、大阪の国税単組と申しますか、その辺の言葉で言いますと、拠点闘争という言葉がございますが、東山税務署が言っておる拠点闘争の対象にどうもなるらしい、それは結果じゃなくて、当時の予想でございますから、そういうふうに
考え
たときの以前と以後とでは、若干署の対策が変っておるようでございます。二十五日以前は、普通の形でその東山署において組合交渉を何回か持っておるのであります。それは普通の形で持たれておりまして、警官が入ってくる形でもない、別にどうということばない普通の、全国で普通に行われているような、そういう形の普通の組合交渉が何回か持たれた。数回持たれているのでございます。ただ、そういうふうないろいろの惰勢から、相当これは慎重にやらなければならぬということで、署としての姿が変ってきた。その見方でございますけれども、非常に慎重過ぎるのじゃないかというような見方は、あるいは成り立つのかもしれません。まあしかし、署長としますと、これは署長の弁護のように聞えるかもしれませんけれども、やはり
先ほど
申し上げましたように、全国的にもうたくんの署が、たとえば京都市内におきましても、上京とかあるいは大阪の東とか、いろいろな場所におきまして非常な混乱
状況
が続いているとか、その
あと
の何日閥かは仕事が非常にたまっておる、あるいは納税者もなかなか困ったというような事例というものを、たくさん見せつけられておった。こういう全体の
一つ
の環境というものを
考え
てみると、やはりある程度の注意というものは、当然管理者として、してもらいたいと私たちも希望しておるわけでありまするし、その辺で十分な大事をとった、こういうことになるのじゃなかろうかと思います。だから二十五日以前のふだんのあり方というものを、東山署についてごらんいただければ、私たちのふだんの組合に対する姿というものは、よくおわかりになるのじゃないか、さように
考え
ます。
藤田藤太郎
131
○
藤田藤太郎
君 今の京都の例は、あなた方は臆測や、事前処置や何とかと理屈をつけて、今のような処置をされたのです。だからこの処置というものは、何にも波乱の起きていないところにそういう問題が起きている。私は今まで税務署にも行ったことがあります、大阪、京都ばかりでなく。むろん問題として交渉されることもあるでしょう。しかし私は、特別な何かの指示、指令によって
労働組合
運動に対する制圧を講じられるとしか
考え
られない。だからきょうあなたのおっしゃったことは、そういう何もない正常な
労働
運動というものを期待して、むしろ努力するつもりはあるのだ、こういうことを言われた。しかし、現地の
状態
というものは、今私は京都の例を言いましたけれども、千葉にもある、ほかにもあるということを聞いている。だから私は、最近の情勢は、具体的な京都の例を今あげましたけれども、なかなか納得いきません。しかしほかの事例もあげて、この問題は、今一番最初に言われた正常な
労働
運動に対する制圧や干渉や、そういうことをしないという
建前
に立って事実行われているかどうかということを、私は
調査
をいたしまして、きょうは時間が午前中から非常に延びておりますから、これで打ち切りますが、そのときに
一つ
明確にしていただきたい。だから、あなたが一番最初に言われた方針というか、
考え
方というもの、ほんとうに全
国税庁
の、税務署の労使の
関係
が正常に行われるように、運動が正常に行われるように、私はしてもらいたいということと、あなたのおっしゃったことが事実として行われているかどうかということを、緊急のうちによく具体的な
調査
をいたしまして、この次の
委員
会で明確に
一つ
してもらいたいと思う。そうして私の願うところは、やはり
労働
運動というものに対する官側から、何らかの意図——われわれから
考え
ると、何らかの意図としか
考え
られないようなそういう意図によって、
労働
運動に対する干渉をしたり、制圧をしたりすることのないように、私としては、この日本の
労働
行政、労使
関係
というものを願っている。そういう
立場
からこの点を明らかにしたいと思いますので、そういう点をよろしくお
考え
おき願いたいと思います。きょうはこれで打ち切ります。
阿具根登
132
○
委員長
(阿
具根登
君) 本問題に対する本日の
調査
は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
133
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。
阿具根登
134
○
委員長
(阿
具根登
君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する
法律
案、
労働者
災害補償保険法の一部を改正する
法律
案、慰老年金法案、公共企業体等
労働
関係
法等の一部を改正する
法律
案、最低
賃金
法案、家内
労働
法、案、病理細菌検査技師法案、角膜移植に関する
法律
案、地区衛生組織の育成に関する
法律
案、駐留軍
関係
離職者等臨時措置法案、国又は地方
公共団体
が失業対策事業のため雇用した職員に対する期末手当に関する
法律
案、公共企業体等
労働
関係
法の一部を改正する
法律
案、地方公営企業
労働
関係
法の一部を改正する
法律
案、以上の案件についてお諮りをいたします。 右の案件は、第二十七回国会閉会中、審査を完了するに至りませんので、閉会中審査未了の旨の
報告書
を、本院規則第七十二条の三によりまして、
議長
あて提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
135
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。 なお、
報告書
の
内容
及び手続等は、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
136
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。
—————————————
阿具根登
137
○
委員長
(阿
具根登
君) 次に、
社会保障制度
に関する
調査
、及び
労働情勢
に関する
調査
についてお諮りいたします。 右は、いずれも閉会中
調査
を完了するに至りませんので、閉会中
調査
未了の旨の
報告書
を、本院規則第七十二条の三によりまして、
議長
あて提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
138
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。 なお、
報告書
の
内容
及び手続等は、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
阿具根登
139
○
委員長
(阿
具根登
君) 御異議ないと認めます。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十二分散会 ————・————