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加藤シヅエ君 私は
日本社会党を代表いたしまして、ただいま問題になっております
在外公館の
名称及び
位置を定める
法律等の一部を改正する
法律案に賛成いたしたいと思います。特にこの
法律が、去る八月二十一日に独立いたしましたマラヤ連邦に
大使館を設置するというようなことを含んでおりますことに、非常に意義があると思うのでございます。ただいま
日本の
外交がアジア諸国と密接な連係をとつて立てていかなければならないという基本方針が定まっておりますときに、このマラヤ連邦は人口わずか六百万かそこらで、そういう小さい所に
大使館を置くというようなことは、これは戦争前だったらとても考えられないことでございますけれ
ども、
外交上これは非常に重要なことでごさいますから、当然
大使がここに行かれまして十分にマラヤ連邦と
日本との親善
関係ということについて善処していただかなければならないと思います。マラヤ連邦と
日本との貿易の
関係を見て参りますときに、まあ
日本は非常にたくさんの物をマラヤから買っておりますが、ただ物を上手に買っていさえすればいいということではないと思うのでございます。ことに私はこの八月号十一日のマラヤ連邦が独立をいたしましたその日に、
アメリカのマキノ局のMRA国際大会に出席いたしておりました。この大会にマラヤ連邦から約二十人の
方々がやはりその大会に出席しておられまして、その中にはクワラルムブールでございますか、そこの−市長さんとか
国会議員とか労働組合の
委員長とか、いろいろな各
方面の
方々がそこにおられたのでございます。マラヤ連邦は民族も一様ではなくて、マラヤの方やあるいは華僑の方あるいはインド系の方と、たくさんの民族が一緒になって連邦をお作りになっていらっしゃる
関係上、まあそこにいろいろ複雑した
事情があると思いますけれ
ども、やはり
日本が国際連合でいろいろな働きをなさるときに対して、マラヤ連邦がやはり
日本というものをよく理解して
日本と親善
関係を打ち立てて協力していただく、アジアの平和のために非常にお互いに力になり合うというような
関係を作っていかなければならない、そういう点で非常に重要だと思うのでございます。この八月三十一日の独立祭にたまたまこのマラヤ連邦の
方々と一緒におりましたので、その
方々から率直ないわゆる
外交辞令でない言葉をそこでたくさん吐かれたことは、私
ども日本人にとって非常に参考になったことでございます。その中で言われた言葉の中に、私特に印象を強く受けましたことは、第二次世界大戦で
日本軍があそこに侵略して参りましたときに、マラヤの
方々は今まで英国の支配下にあって非常に、白人の支配のもとに苦しんでいて、今度はアジアの一員であるところの
日本人がここへ来て自分たちを助けてくれたというふうに一時は非常に喜んだ。ところがその同じアジア人の
日本人の支配下に入ってみたら、英国人の支配下にあるよりももっと圧政であって、またあるときには残虐行為さえ行われたというので、ほとほと自分たちは苦しんだ、そうして戦争が済んでまた英国人が来て、今度はまた自分たちを解放してくれたんだ、自分たちは英国の支配下にあり、あるいは
日本の支配下にあって長年苦労して、やっと今度は自分たちの民族的な独立ができたから、その喜びはとてもほかの人には考えられないほどの深い喜びであるということを述べられましたけれ
ども、そのときに英国が無血革命と申しますか、いわゆる血を流す戦争によらないでマラヤ連邦を独立させたということに、非常に深い感謝を表したいというような言葉があったのでございます。私
どもが、ただアジアの一員であればみんな
日本人の味方を簡単にしてくれるものだというような簡単な考え方を持ちましたら、非常に将来の
外交は試まるでございましょうし、そうでなくてほんとうに過去に犯した
日本人のこういうようなことに対して、十分責任を痛感した上で親善
関係を打ち立てるというようなことについて深く考慮していただきましたときに、ここに特に
大使館を設置されるということの意義は十分に認められるであろうということを考えまして、こういう私のささやかな経験をもちょっとつけ加えさしていただきまして、この
法律が成立いたしますことに賛意を表するものでございます。