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1957-12-19 第27回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月十九日(木曜日)    午後二時八分開会   —————————————   委員の異動 十一月十四日委員後藤義隆辞任につ き、その補欠として下條康麿君を議長 において指名した。 十一月十六日委員下條康麿辞任につ き、その補欠として後藤義隆君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            江藤  智君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            植竹 春彦君            後藤 義隆君            平島 敏夫君            廣瀬 久忠君            相澤 重明君            柴谷  要君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (通運及び自動車行政に関する件)  (新潟市の地盤沈下に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 江藤智

    理事江藤智君) これより運輸委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。十一月十四日後藤義隆君が辞任下條康麿君が補欠、十一月十六日下條康麿辞任後藤義隆補欠選任せられました。
  3. 江藤智

    理事江藤智君) 運輸事情に関する調査中、通運及び自動車行政に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 大倉精一

    大倉精一君 最近、特にハイヤータクシーあるいはトラック道路運送事業面において、いわゆる免許のない車ですね、自家用車営業的行為によって、中小企業は非常に乱れておるということを方々で見聞するのでありますが、こういう一般の最近の情勢が、これを放置するにはあまりにも深刻な状態が出てきておるのじゃないか、こう考えるのですが、この問題に関する一般行政について、局長はどのように御認識になっておるか、あるいはこれに対するどういう対策を考えられるか、総合的な問題について、まずお伺いしてみたいと思います。
  5. 山内公猷

    説明員山内公猷君) トラック事業におきます営業類似行為と申しますか、いわゆるもぐり営業というものは、当委員会におきましてもしばしば御調査を願ったことでございまして、なかなか跡を断たないので、われわれの方も苦慮いたしておる次第でございます。それに対しましては、道路運送法上禁止された事項でございまして、各陸運局におきましては、それぞれ取締りを厳重にいたしておるわけでございまして、特に最近ひどくなったということはわれわれ聞いていないわけでございますが、常時そういうものが街頭監査のつど発生しておるということは、相当広範囲にそういうものが行われておるということをわれわれの方も知っておりまして、それらの点につきましては、常に街頭監査その他の方法で、そういうものがわかり次第、厳重な処分をしまして、そういうもののないように努力をいたしておるわけでございます。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 ことに、この問題の措置について、取締り当局であるところの陸運事務所等陣容について、やはり従来、旧態依然として改まっていない。つまり車両増加数に比例して要員の増加これに伴っていない、あるいは設備これに伴っていないという面が方々にあるのですが、実際問題として、この取締りに当る陣容ですね、そういうものについて、当局としてはどういうふうにお考えになっておるか。
  7. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 陸運事務所に限らず、自動車行政の全般につきましては、御承知のように、戦後新しくスタートをいたしました行政でございまして、全般的に定員の面におきましては不足しておりますことは、われわれも常に考えておるところでございます。特に御指摘にありましたような取締り方面あるいは車両検査登録という方面におきまして、自動車の数がふえるに伴いまして人手を要しますが、なかなかその定員がもらえないということも事実でございますが、来年度におきましては、先般もこの委員会で御調査を願ったと思いますが、十分その点が要請にこたえるだけの定員を獲得したいと、今度の予算におきまして努力をいたしたいと思っております。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 事務当局としての問題についてお伺いするのですが、地方陸運局あるいは陸運事務所、これの行なっておるところの輸送秩序の確立に関するいろいろな行政行為、これに対して中央としてはどういうような点までそれにタッチし、指導しておられるのか、たとえばトラックあるいはハイヤータクシー、これは地方陸運局長免許権限があるわけですね。一切それをまかしておいて、中央としてはあまりこれにはタッチしないという方針をとっておられるのか、あるいはそういうのを詳細に報告を受けて、中央としても具体的に指導をし、監督をしておると、こういう方針をとっておられるのか、どういう方針になっておるのか、それをお伺いいたします。
  9. 山内公猷

    説明員山内公猷君) そういう点につきましては、各陸運局長権限にまかせられたことでございまして、具体的の事例につきましては、各陸運局長が自己の権限の行使としてやっておりますことはもちろんでございます。しかし、一般的なそういう問題を取り上げる場合に、本省といたしましては、各陸運局報告を受け、それに基いて指示すべきはしておるということでございまして、具体的に申しますと、各陸運局長あるいは自動車部長というものの会同の席において各陸運局事情を聞き、各陸運局において、一つ陸運局効果のある方法は他の陸運局でもやらせるといった一般的な監督の範疇に属する問題でございますので、そのように指導をいたしております。この点につきましては、特にたびたび衆参両院委員会におきましても問題になりましたが、問題になりましたからわれわれが一生懸命にやっておるというわけじゃございませんが、事実上そういう交通秩序を保つということも、常にわれわれ大きな行政目的にいたしておりますので、そういう営業類似行為あるいは営業違反行為というものの根絶には、本省も非常に大きな勇気をもって当っておるわけでございます。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 恥先般私は新潟へ行ったときに、新潟では道路運送法違反行為を堂々とやっておる。特に十数台の車両を持って、そうして陸運局ひざ元免許を持っていない自家用車の車を持って看板をかけて営業行為をやっておる。マル運という看板をかけて、堂々と何々運輸という看板をかけて、しかも、車の横っ腹にそういう表示をして営業行為をやっておる、こういうことがずっと数年続いておるということを聞いておるのですが、こういう事情について、中央の方では何か報告を受けておられるかどうか。
  11. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 新潟におきましてそういう事例があるといたしますと、山田六松なる方がたびたびそういう違反行為をしたという事例を承わっております。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 この問題に対して、これはもうここで私が詳しく申し上げるまでもなく、御承知のような御様子でございますが、中央としてどういうような措置をとられておったか、こういうようなことについてお伺いしたい。
  13. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 行政上の処分といたしましては、そういう事実を知れば行政上の処分をし、かつまた、これは司法権告発をしなければならないということは、全国的に指導しておる方針でございまして、新潟陸運局もそのように取り扱っております。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 きょうも陳情書をもらったんでありまするが、これを見るというと、なるほど告発はした、そうして罰金刑も言い渡した。ところが、山田六松という者はこれに従わず、依然として白ナンバーをもって運送業看板をかけて新潟市内を横行しておる。こういうことで地元当局としましては、法の不備だから仕方がない、こういうことでもう黙認されておるような格好になっておるということですが、こういうことが事実であるとするならば、一体、この道路運送法というものは有名無実であるのかどうか、こういう法律というものは一体免許業者を規制する法律になる資格がないのかどうか、こういうところまでくるのですが、この事態が事実とすれば、こういう事態に対して、どういう工合に対処しようという御方針があるのかどうか。
  15. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 現行法のもとにおきましては、違反があれば行政処分をし、告発すべきものは告発する。二番目に違反があればまた処分をするということで、新潟陸運局はしばしばその処分をいたしておるわけでございます。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 処分をしておっても、なおかつ、今便々としてこのもぐり業者営業を継続しておる。さらには、だんだん発展していって、とにかく免許というようなめんどうくさいことをやらないで、新潟市内白ナンバーをもって入ればどうにかなるんだ、こういうことで新潟管内は無警察状態であると聞いておるのですが、事実はその通りであるかどうか。
  17. 山内公猷

    説明員山内公猷君) そういう点におきましては、こういう違反事例処分及びその取扱いにつきましては、やはり警察権協力も得なければなりませんので、警察当局も十分その点承知してくれておりますので、無警察状態という状態とは考えられておりません。まあしかし、処分をしてもまた違反をするというような、法治国におきまして法を無視した方になりますと、たとえばどろぼうをいたしまして、処分されてもまたどろぼうするということと同じような格好でございまして、これはどうしてもそのつどやはり処罰するよりほか、今行政上とるべき手段がないわけでございます。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますというと、いわゆる公益事業道路運送事業あるいは通運事業、こういうものをやる場合には免許を受けなければならぬわけなんでありますが、この免許には法律上相当やはり資格要件が要求されておるわけなんであります。その資格要件を備えて、そうして免許をもらって営業しているわけです。これはいわゆる自由営業と違って国家免許をする、国家がその資格なり、あるいはこの諸条件を認定したりっぱな資格のある業者なんです。この業者がその法にかなった営業をやり、そうして公益のために努力しておるにもかかわらず、片一方においてそういう工合な無免許業者がばっこをしておる。これがために法律でもって認めておるところの業者が非常な損害をこうむるが、しかしながら、これはどうにもしようがない、一体その業者はどこべその問題についての救済を求めるか、こういう問題が今出てきていると私は思うのです。そこで、陸運当局並びに中央においても、あれは法の不備であるから仕方がない、あるいは本人が悪いから仕方がないのだということで放置しておいて差しつかえないとするならば、一体、ここにそういう無免許というものとどこで区別することになるのか、こういう問題になるのです。こういう点についての見解はどうなんですか。
  19. 山内公猷

    説明員山内公猷君) しょうがないということではないわけでございまして、これは法におきましてこういう違反行為をすれば罰則罰金刑に処する、あるいは車両停止をするという司法行政、両方の規定があるわけでございまして、これに基きましてやはり罰則を適用するわけでございまして、まあそれだけそういう違反行為をした者は国家的な処罰を受けることになるわけでございます。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 法律はその通りになっておる。ところが、その通りに一応やったにもかかわらず、なおかつ、依然として不当なる営業行為が続けられておる。これは厳然とした事実なんです。かつ、これによって地元免許業者が大へん迷惑をこうむっている、これも事実なんです。この事実に対して当局としては何らの手を打つ方法がない、こうなった場合にこれはどうなんです。つまり上告をして、そうしてその判決を決定されるのはまあ二年か三年か、かかるといった場合に、その間は知らぬ顔をして白ナンバーをつけて、そして看板をかけて荷主を誘致して堂々と外交員まで置いて普通の免許業者と同じことをやっていても差しつかえないものかどうか、手がつかぬものかどうか、この点はどうですか。
  21. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その場合は行政処分といたしまして車両停止処分をしているわけでございます。新潟陸運局は二回にわたりましてこの車両停止処分を行なっております。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 停止処分しても動いておる、商売をやっておるのです。どうなんですか。
  23. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その違反行為がある間は行政処分をしなければならないわけでございまして、こういうまあ常習的にやっている方につきましては、それは他人名義車両を使いましたり、合法性を擬装するということで陸運事務所行政処分をします場合には、相当確たる証拠をつかんだ上でやっておりまして、その点、陸運局も非常に苦労してこの業者には対処しておるわけでございます。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 ないしょでこそこそやっている場合には、確たる証拠が以要だと思う。この場合には、ないしょでこそこそやっていればかわいいのだけれども、そうじゃなくて、陸運局のおひざ元白ナンバーの車が、車の横っちょに何々運送株式会社ということを表示して、しかも、事務所にはちゃんと何々運送株式会社という看板をかけやっておる、こういう事実があるにもかかわらず、何か証拠固めをする努力が要るのですか。
  25. 山内公猷

    説明員山内公猷君) やはりこの法律によります他人の物品を運送したという事実をつかんだ上でやらなければならないわけでございまして、そういう点は常にはっきりさせて、証拠の上で処分をしておるわけでございます。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 そういうことについては、これはあすこにたしか何か輸送秩序協力のために委員会か何か作られておるはずですが、その委員会によって、米の輸送の事実をもうすでに指摘して摘発されておる、そういう事実もあり、さっき申しましたような、明らかに車の横っちょうに何々運送株式会社といって外交員まで置いておる、そういう事実がはっきりしておるのです。そうしてそれが堂々とまだ営業行為をやっておる。これは手がつかないものかどうか、結局手がつかないのですか。
  27. 山内公猷

    説明員山内公猷君) しばしば申し上げておりますように、この会社につきましては、昭和二十九年の六月以来調査の結果、抹消登録をいたしました。自後も営業行為の疑いがありまして、再三再四呼び出しましたが、出て参りませんので、トヨタの車両一両を三十年八月十二日から同年の十一月十  一日まで三ヵ月の使用停止処分をいたしますとともに、新潟西警察署長あてに、道路運送法四条違反告発をいたしまして、三十一年十二月六日に罰金十万円の判決を得ております。自後三十二年の——今年でございますが、八月七日にも処分をいたしておりまして、自家用トラック三両を一ヵ月間使用停止をいたしております。この際はナンバー領置車両検査証返納をしております。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 そういう点については、きょう私がいただいた陳情書の中に詳しく書いておりますが、しかしながら、山田という男はそういうような一当局行政処分には従っていないということ、あるいは罰金刑を言い渡されてもこれを不服として上告して裁判中である。さらに業者の方から陳情するというと、当局はこういう工合答弁をしておられるようです。すなわち、一いわゆるこの法律によって使用禁止をやっても本人は無視するからこれでは効果が上らない。むしろそういうような法規を適用するよりも、そろそろなだめて少しずつ効果の上るような方法をやってゆく、こういうことをやってゆきたいと、こういう答弁をされておる。そうしますというと、その法律があっても、法律を無視しておっても、どろぼうをしておっても、どろぼうを認めながら改心をするようにということを一生懸命に慫慂しておるような格好になるが、それより手がないのですか、現実としては。
  29. 山内公猷

    説明員山内公猷君) それは悪いことは処分をするし、行政予防処分が大切でございますので、自後そういうことのないように厳重な戒告をしておることであろうと思います。ただ、われわれの方で与えられておる権限といたしましては、悪いことをすればその法律によって罰すると、どうしてもそのように何回も繰り返せば、われわれの方の処罰も何回も繰り返さなければならないというわけでございまして、法律を初めから無視して使ったものにつきましては、やはりそのつど罰する以外に方法はないわけでございます。これを陸運局行政上の手段でどうするというような警察権も持っておりませんので、その点はやむを得ないのじゃないかと思っております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 それでは私は結論的なことを伺いたいのでありますが、まあいろいろ理屈はあるのでしょう、事情はあるでしょう。あるでしょうが、現在、現実新潟においては十数両という白ナンバーを持って、そして運送屋看板を掲げて、車の横っ腹運送屋名前を書いて外交員まで置いて荷主を誘致して、そして営業行為を堂々とやっておる。この男は相当なボスらしいのでありまして、当局が行っても、だれが行っても、運輸大臣が行ってもこれは承知しないぞと言っておるそうでございます。こういう現実を解消させることができるかできぬか、やむを得ないとして、これはいわゆる十万円の上告判決が下るまで黙認しておくより方法がないのか、あるいはこういう現実の姿を、事実を解消させることができるかできぬか、これが私は問題だと思う。これができないならば、道路運送法は何のためにあるのだ、行政官庁は何のためにあるのだ、現実におきましては、陸運局長ばかにされておる、法律ばかにされておる、こうなるわけですが、この現実一体解消させることができるかできないか、これは局長、どうですか。
  31. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その場合におきましては、司法処分を待たずして、行政処分使用車両停止処分を繰り返すこと以外に、現在の道路運送法上陸運局長に与えられておる権限はございませんので、そのつど法の範囲内におきます使用停止処分を繰り返さざるを得ないのではないかと思います。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 かりにそういうことを繰り返しておっても、なおかつ、いわゆるナンバーを返せ、あるいは車両証を返せといっても返さない、知らぬ顔をしておる。街頭でその車をつかまえれば、これはその車を使用することができないようにすることはできるわけですか。街頭でつかまえればそれはやることできますか。
  33. 山内公猷

    説明員山内公猷君) ただいま陸運局長権限使用停止処分と言いましたのは誤まりでございまして、県知事権限でございまして、事務上の権限でございますので、県知事が指揮をいたしまして、県知事名前でやるわけでございます。街頭でやりました場合には、領置することができるということになっておりまして、いやだと言った場合には、強制で取れるかどうかということは、当委員会でもいろいろ問題になったわけでございますが、現在法制局にこの点の法解釈を十分ただしておるわけでございますが、代執行におきましては、著しく公益を阻害する行為があった場合に、代執行ができるということになっておりまして、この場合に、法制局解釈としては、著しくというふうには妥当しないのではないか、それで行政代執行をもって、その車両証領置ということはむずかしいということになっております。それで任意呈示を求めなければならないのでございますが、まず三十年八月の場合には、その任意呈示をいたしませんでした結果、三十年八月十日付で、トラック一両を昭和三十年八月十二日より同年十一月十一日まで三ヵ月間使用停止処分しました。それから三十二年に処分いたしましたときには、ナンバー領置車両証返納ということを任意にいたしております。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 それで今私の尋ねたことは、白ナンバー現実営業行為をやっておる車両街頭でひっつかまえた場合に、この場合に、これはその車を動かないように車両証を取るとか、ナンバーを取るとかという措置ができるかできないか、この場合には、著しく公益を害した行為があると認めざるを得ないと思う。長い聞こういう行為をやっておる、行政処分には服従せず、司法処分にも服従しない、しかも、堂々と看板をかけておる、十何台もやっておる、一台か二台やっておるなら著しくと言えないかもしれませんが、十何台も持って、そして営業行為をやって地元業者に多大の迷惑を及ぼしている、こういうことになれば、これは著しく公益を害しておる。でありますから、これを街頭でひっつかまえた場合に、当然私はそういう車両証を取り上げて以後使えないようにすることは当りまえだと思うのですが、それはできないのですか。
  35. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その点、われわれもできるのではないかということで、法制局に伺ったわけでございますが、行政代執行におきましては、相当厳重な制限のもとに行使すべきものであって、著しく公益を阻害したということの解釈はむずかしいというふうに政府におきます法解釈の機関がやっておりますので、われわれの方もそれに従いまして、現陸運局強制をもって取り上げるということをいたしておりません。しかし、任意呈示するようにすることを強く勧告いたしておるわけであります。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 今の法が不備不備だとおっしゃるのですけれども、やろうと思ったらやる手段は私はあると思う。今のように昭和二十七、八年ころからずっとこういうような行為を平気でやってきている。警察が言っても言うことを聞かぬ、あるいは陸運事務所が言っても言うことを聞かぬ、陸運局が言っても言うことを聞かぬ、こういうことになれば、そういうような行政処分をするより方法がないじゃないか。それができるとするならば、十何両くらいのものはやろうと思えばいつでも私はできると思う。それもできないということになれば、何をもってこの事態を解消することができるか、道路運送法一体何のためにあるのか、免許証は何のためにあるのか、免許業者は何のためにあるのか、何のために免許証をもらわなければならぬということになるのか、当局免許をする以上は、免許した責任があると思う。それで運輸大臣にちょっとお伺いしたいのですが、今の答弁からいきますというと、今の法令ではどうにもならぬというようなふうに言われるのですが、そうしますというと、運輸大臣の目の前で、道路運送法を打ち破って知らぬ顔をして白ナンバー営業をやっているのを黙って指をくわえて見ていなければならぬことになる、そういうばかなことはないと思うのですが、大臣どうでしょう、御見解を……。
  37. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今局長からお答え申し上げたのは、現在の法律解釈であると思います。しかし、公けの秩序を著しく害し、ことに交通秩序を阻害するものにつきましては、これは私は行政上許すべきものでないと思います。従って、われわれが法より行き過ぎるということのない範囲におきまして、適当な処置は私は考えております。従って、陳情書も受けました。また、局長からの答弁もございましたが、私自身の決心を固めるために、先刻新潟陸運局長を電報をもって呼び寄せまして、いろいろ現地の事情も聞いて、そして私は適当な措置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 私はこの問題は新潟で起った問題ではあるけれども、一つの重大なるケースだと思う。こういう問題を法の不備云々に籍口して中途半端にやっておくということになれば、ますますこの種の問題を増長することになり、ひいては監督官庁も、法自身もなめられるということになる。そこで、ハンカチ・タクシーや、そんなものが出てくると思う。そういうようなものが次から次へと出てくるのは、いわゆる法の不備ということに籍口して、厳然たる態度をとっていない、そういうところからくるのではないかと私は思っている。特にそういうものがだんだん蔓延して参りますというと、最近の風潮では、免許業者というものは私はもっと厳然たるものだと思う。そういうような風潮から、新潟におきましては、いわゆる公益事業は二ヵ月になんなんとする長期にわたって公益活動をやっていない、こういう事態新潟に出てきている。いわゆる新潟電鉄の場合ですけれども、これは一駅一店の通運事業であるだけに、ほかに通運業者にかわるべきものがない。かわるべき通運業者のいない九ヵ所かの駅におきましては、二ヵ月にわたって公益事業の事業活動をしていない。それを当局者も何もほとんど手を打っていない。しかも、これは経営者の方が争議を解決するという意欲が全然ない。むしろ労働組合の方には何とか早く解決したいという意欲があるらしいのですけれども、経営者の方に何ら解決する意思がない。そうして、だれが来てもおれは言うことを聞かぬのだ、こういうわけで公益事業たるものが二ヵ月も事業活動をせずにいるということ、それを黙って見ているということ、ここにも私は一つの変則的なものが最近出てきているのではないかと思う。この新潟電鉄の場合におきましては、いろいろな影響があると思うのですが、これは局長中央の方に何か報告せられておりますか。報告されておりましたらその状況を一つお聞かせいただきたいと思います。
  39. 山内公猷

    説明員山内公猷君) ただいまのお話は新潟電鉄通運の問題ではないかと思いますが、この会社につきましてストライキが起っているという実情は陸運局から聞いております。だいぶ長いストライキでございまして、問題の根本は会社の経営が相当赤字でございますのに対して、組合のベース・アップというものが受け入れられないということで、ストライキに入っているわけでございます。この問題につきましては、地労委が相当あっせんを進められておりますが、実は労働問題でございますので、地労委の御努力によりまして解決されることをわれわれ期待しておるわけでございます。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 そこが私は問題だと思うんですが、なるほどこれは労働問題であります。労働問題でありますけれども、一般の事業におけるところの労働問題とは少し違うと私は思う。かりにこの新潟電鉄通運というものが、ほかにもう一店なり二店なりこの駅で通運事業を行うものがあるとするならば、私はそれにやらせればいいと思う。いいと思うのですが、新潟電鉄通運以外に通運事業を行うものがない、一店しかない、これが事業活動を停止するならば、その通運事業というものはなくなってしまうわけなんです。従って、二ヵ月もやっているということで、農業協同組合や商工会議所の諸君や、あるいは町の皆さんが非常に困っているということで陳情も受けている。そういう状態のもとに、これは労働問題だから、何といいますか、担当にまかせておく、こういうふうにほうっておいていいものかどうか、これは大臣、どうでしょうか。通運事業が——通運事業に限らず、余企業をもってかえることができないという公益事業が、一月も二月も事業活動を停止していてやらないという場合に、これが原因が労働問題であるにしろ、何であるにしろ、これが公益事業であり、免許事業である限り、相当大きな関心を持って積極的に場合によっては解決に乗り出すことが必要ではないかと思いますが、大臣見解いかがでしょうか。
  41. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 労働問題、労働争議につきましては、運輸省が別に介入するということはこれはできるものではございません。しかしその結果、交通事業についていろいろの問題が起ってくる。それですから交通運搬事業プロパーについて適当な処置をとるということは、これは当然運輸省がやらなければならぬところであると私は考えております。従いまして、先ほど申しましたように、私は現地の者を呼んで、そして詳細事情を聞いて私の判断をいたしたいと思うておるのであります。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 これは、ともするというと、小さい争議というものは案外世間の片すみに忘れられがちでありますけれども、この争議が同じ交通運輸関係としまして、日通の争議とか、国鉄の争議とか、あるいは私鉄の争議ということになると大騒きするが、しかしながら、わずか従業員が六十名か七十名でしょう、でしょうが、しかし地域的にはこれが動かなかったら汽車に積み込むものがないということなんです。私はやはりこれは国鉄、日通、私鉄と並んで、一つの大きな問題ではないかと思うのです。ただ規模が小さいからあまり関心を持たれないのじゃないかと思いますが、一応調査されて善処されることはけっこうなんですけれども、労働問題には労働省があるわけです。でありますから、これは運輸省と労働省と緊密に連絡されて、そうしてこの問題を早期に解決するという、こういう方向に積極的に動く段階に来ているのじゃないかと私は思う。確かに運輸大臣のあなたが労働問題に介入するということはこれはいけないでしょう。いけないでしょうが、運輸事情という問題に関連して労働問題担当者であるところの労働大臣と十分協議連絡をなすって、そして一日も早く通運事業が開始されるような措置を講ぜられるということは、これは当然でもあるし、時期に来ているのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう、これは二ヵ月も停止しているのですから。
  43. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それは仰せの通りでありまして、これを捨てておくということはできないと思います。従いまして、私は、繰り返し申すごとき方法をとりまして処置をしていきたいと思うのであります。実はこの間新潟に私は地盤沈下の視察に行ったのです。あのとき耳にしておけば、もう少し私も早く処置できるのだったのですが、わずか半日しかおりませんので、また向うからも詳しいまだ報告を受けなかったものでありますから、どうも私自身もチャンスを逸しまして非常に残念に思っております。この点は御了解願うと同時に、今申しました現地の者を呼んで私はやります。いずれ年末までには何とか態度をきめたい。これをほうっておけばますます大きくなると思いますのて、そういうふうに決心をしております。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 もう一点だけお伺いしておきたいのですが、これに関連しまして、また輸送の確保とも関連しまして、先般私も新潟に参りまして、陸運局並びに陸運事務所に寄って、そうして陸運局陸運事務所の非常な窮屈な状態を見せてもらってきました。この際、大臣陸運事務所関係あるいは陸運局関係の仕事の実態について十分一つ御認識を願って、そうして来年度においてはこの役所が十分な仕事が、任務が遂行できるように、大いに設備その他万全を期する、こういうためにも、少くともこの際実情について御調査願って御努力を願いたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  45. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は地方を視察いたしまするごとに陸運事務所を見ております。中にはいいのもあります。必ずしもそうひどいものもないと思いますが、しかし、大都会を中心として見ますると、ずいぶんいろいろの窮屈な面もあります。これはおそらく車の数に比例するのじゃないか。同時にまた、中には現在借りておる土地を返してくれと言われてそれをまたかえ地でやらなければならぬというようなものもございまして、この点私は常に注意を怠らず視察をいたしておりますから、予算の折衝と同時に、私はほんとうにやって参りたいと思います。しかし、ある部分については、私はそう一部分で言われるほどひどいものでないと思うのでございますが、ひどい点は直していきたいと思います。
  46. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連して。大臣はどのような視察をしてこられたのか、私にはちょっとわからぬけれども、かつて私がこの問題について御質問申し上げたときに、事実をもって申し上げたときに、なるほどそれはひどい、こういうことで大いに努力するということだったのですが、大臣がごらんになってひどくないというところの場所と、それから状況を一つお話し願いたい。私は少くとも運輸行政の問題については、特に陸運事務所の問題については、少くともエキスパートをもって任じておるので、大臣見解が異なるようでは、今後行政問題を十分にやっていく上に進言するのにまずいので、他と比較して悪くないという陸運事務所があったら一つお聞かせ願いたい。
  47. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は新潟なども見ました。それは私は理想であるとは申しませんよ。しかし、ある程度運用されておりまして、ただ土地の問題とか、さっき申しましたようにかえなければならないというようなところもありますが、しかし、土曜は休んで、それから日曜も休んでおりますし、そういう点は全然休養がないとも私は言えないように見たのでございますよ。これは私の見方が悪いとおっしゃればそれは悪いかもしれませんが、決して無休憩でやっていると思えない。その点も私はできるだけ休養を与えて上げるということをこの間も注意いたしておきました。それでございますから、私の見た範囲では、東京あたりはこれはひどい。これはもう私は改善しなければならぬ。大阪も見ましたが、これも一体車検場が少いのじゃないかと思います。もう一つぐらい大阪などは設けたらどうかと思うのです。これも予算の関係でございますから、まあそういうふうに私は考えておりまして、決して楽観をして何でもいいのだとは申しません。しかし、といって、何から何まで悪いとは、こう極端に言わなくちゃならないということは私はない、ある程度やはり自動車局、陸運局努力している、あとをどうぞ見ていただかなければならない、こういうふうに私は考えているのでございます。
  48. 柴谷要

    ○柴谷要君 大臣が御視察なさっていろいろ見てこられたことは、今後行政の面に現われてくると思うのです。私ども大いに期待しているわけですが、確かに東京、大阪あるいは名古屋というような大きな都市の陸運局なり、あるいは陸運事務所の実態と比較して、新潟あたりはそれは多少違いはあるでしょう。ところがこれは、今ここに大倉委員からいろいろ指摘されたように、実際に行政の面に現われてきているものを見るというと、それはなるほど土曜、日曜は休んでおられるでしょう。あるいは日曜日は超過勤務が少いであろう。しかし、そのことは職員に対して勤務が非常に楽だということには私はなっていないのじゃないか。で、もっと新潟の実情等は、増員をされれば、このようなもぐり業者等も根絶できるような態勢が生まれてくるというように私は直観しているわけです。わずかなものくらいでいろいろの要するにあっせんをしておったのでは、めんどうを見ておったのでは、手が回りかねるということを再三にわたって私ども聞いているわけです。そういうことから考えあわせますと、かつて新潟陸運事務所ができた当時の人員と当時の車両数と、今日の車両増加数に比例してむしろ人員がふえてしかるべきなのに、相当量減っている、こういう事実の上に立ちますならば、あるいは東京、大阪等と比較すれば、それは多少いい点もあろうと思うのだが、これは他の官庁と比較して決していいというものではないと思うのです。この点は特にまあ大臣もかつては言明されて、大いに改善するということを約束されているのですから、どうか一つ認識を誤まらないで、他の官庁と比較されて十分一つお願えを願いたいと思う。  次の質問をいたしたいと思うのですが、なぜこのようなもぐり業者が横行するようになったか、この原因ですね、白ナンバー白ナンバーといっても、まあここに名前の出ております男が、八台も白ナンバーを持ってもぐり業ができるような態勢をどうして作り上げられたのか、その理由をしっかり握っておられるかどうか、この点を一つ自動車局長さんの方からお答え願いたいと思うのです。
  49. 山内公猷

    説明員山内公猷君) もぐり業者の存在が現在のいわゆる区域運送というものの混乱を惹起しているということは十分存じております。どういう弊害が起るかと申しますと、もぐり競争というので、公定価格を割った運送をする、それで荷主をつかむ、それにつれまして既存の営業者も公定価格を割った競争をしなければならないという、非常に運賃競争の悪循環が起って参りまして、今それでトラック企業というものは日の目を見ない企業になっております。その意味におきまして、われわれは運賃というものは、いわゆる適正な運賃を作っているわけでございまして、それをまあ割るために赤字ができるという認識を持っているわけでございます。それでまず第一には、そういうもぐり運送の存在を根絶しなければならないということは、先ほどから申し上げましたように、そういう事実を確認すれば行政司法両面にわたって罰則も適用するという、法において与えられた権限を十分に行使した防護の措置をとらなければならないということになります。もう一つは、営業者がそういうもぐり業者に、何と申しますか、脅かされないような態勢をとらなければならないわけでございますが、御承知通り、このトラック運送、特に区域の運送は、いわゆる中小企業に属するものが非常に多いのであります。まあこういう十数両というものを持っている段階でなくて、五両あるいは六両というような中小企業の段階が非常に多いために非常な苦労をする。そのためにはやはり業者自体一つ一つでなくて、これは団結した段階による合理化ということで、やはりコストを下げて、またお客さんに対して便利にして、十分対抗しなければならないという指導をいたしております。まあこれにつきましては、特に新潟におきましては、区域運送の面ではございませんで、路線の運送の面におきましては、そういった業者が全部集まりまして集荷を共同にするとか、あるいは配達を共同にするとかという、共同的なことで相当効果を上げておるわけでございます。それでわれわれの方の対策といたしましては、ただいま言いましたそういう違反行為については、厳重な態度をとって臨むとともに、そういうものに荷主を奪われないような強い態勢をとるように、業者間の団結と企業の合理化というものを指導をいたしております。まあいわば中小企業の段階でございまして、大福帳式な経営が多いわけでございますが、それにはやはり役所はできるだけそういう経営の合理化につきましても、適当な勧告をするというようなことも考えておるわけでございます。
  50. 柴谷要

    ○柴谷要君 最近トラックの自家用なり、あるいは乗用車の自家用を、免許をもらうためには簡単な手続でできるものですから、非常にトラックの自家用の申請があったり、それから乗用車の自家用の申請がある。これはもうたちまちとれるものですから、さっそく自動車を買い込む。ところが、必要の、まあ自分の目標であるトラック輸送ならトラック輸送というものが少いために、自家用車として免許を受けたものだからというので、今度はもぐりの仕事を始める。あるいは乗用車等に至っては、今言ったように、石けんを売ってみたり、ハンカチを売ったりして、白ナンバー営業する者が出てきた。このような弊害が非常に生まれてきたのですが、運輸当局としては、今後自家用車免許については何か一つ規格を設けて、厳重に取り締る考え方があるかどうか。たとえば免許に当っても、過去においては、自家用車の場合には、何坪かの車庫を持たなきゃいかぬし、車庫ができれば、火災でも発生した場合に、容易にこれは消火できるような消火弾なり、消火器を常に備えつけなきゃいかぬ、あるいは適当な砂もそこに備えつけておかなきゃならぬという、むずかしい規定が昔はあったわけですね。ところが、今日ではそういう設備はなしに、自家用車を買う、そういう自家用車が道路にはんらんをして、車庫も持たなければ、広場もないというような人たちが、自家用車を持ちながら道路に並べてあるわけです。これも交通の点からいきますと、非常な支障を来たしておるのだが、こういうような自家用車の今後の扱いについて、何か今までのような野放しのような状態ではなしに、何か厳重な規定でも設けるとか、何かこの自家用車に対する認可基準を設けるとか、そのようなことをお考えであるかどうか、一つお尋ねをしておきたいと思う。
  51. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 自家用車の場合に一番問題になりますのは車庫の問題でございますが、この点につきましては、われわれの方も目下研究をいたしております。ただ、現在のいわゆる軽車両、あるいは小型トラックというものがこの輸送上に占める地位というものはどういうものかということを考えますと、従来のリヤカー、あるいは自転車、荷車というものが現在そういうものに置き直されておるのが交通の実態でございます。それでたとえばそういう小型にいたしますと、現在日本に百八十万両のうち百万両くらいがそういう小型の車両になっております。で、主としてそういうものを持っておりますのは、大企業関係でなくて、いわゆる中小企業方々が相当そういうものを持っておりまして現在の法規制におきまして、そういうものが直ちに車庫を持たなければならないということになりますと、社会的に大きな問題になるということが、われわれ一応どうしたらいいかと考えている一つでございます。  またもう一つ、御指摘になりましたように、現在問屋街のようなところでは皆路上に放置いたしますために、さなきだに道路事情が悪いにかかわらず、道路というものがほとんど使えない。はなはだしきに至りましては、三車線ある道路が、両側に置きますために一車線しか使えないという道路の問題もできておるわけであります。われわれの方も警察ともいろいろそういう点を協議いたしておりまして、まあ来年度におきましては、警察の道路交通取締りの面と、われわれの方の面とよく協議をして、それらに対する方策を考えようではないか、まだ具体的な案はできませんが、たとえでございますが、たとえば夜間においては閑散道路を指定いたしまして、そこに集めておけとか、そういうような過渡的なものから、逐次整備の段階にいかなければならないので、これを厳重に規制をするということは、法的には考えられるわけでございますが、社会の実態にも合わせて慎重に各方面の官庁とも協議をした上、道路交通という面もあわせて研究を進めていきたいというふうに今われわれの方は考えておるわけであります。
  52. 相澤重明

    ○相澤重明君 ちょっと変ったところからお尋ねをしたいと思うのですが、今の新潟の問題が通運あるいは自動車の問題ですね、二つ問題が提起されておるのですが、新潟の産業の発達の上に、今の陸運行政の上からどういうところまでは一体許可、認可できるのかということを御研究されたことがありますか。
  53. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 輸送要請というものは常に見まして、輸送の要請量に相当した輸送力をつけるということが、われわれの方の免許基準第六条でもうたっておるわけでございます。その点につきましては、いわゆる人の動きでありますバスというものは割合につかみやすいわけでありますが、荷物というものはなかなかつかみにくいということは御指摘の通りであります。それで第一番に、われわれがもちろんそういった数字的なものは十分とった上で、全般的に現在輸送免許をすべき時期であるか、免許を差し控えなければならない時期であるかということは、全体の荷物の動きから判断をいたします。個々の問題につきましては、その申請業者が十分な荷主を持って、また資力、信用があるかどうかということは、この第六条の問題になるわけであります。それは一般の交通の動きからの問題でございます。  次に、われわれが見なければなりませんのは、業界が十分利益を上げているかどうか、赤字を出しているというような状態では、やはり需要供給というものがある程度供給過多ということもいえるわけでございまして、それらを勘案いたしますと、新潟のようなところではあまり利益を上げていないということになれば、やはり全般的にはそうまだ免許する段階ではない。ある地区におきましては相当業者が利益を上げておる。それから荷主もまた頼んでも断わられることもあるというような一般的な事例になればゆるめてもいいということでございまして、この第六条に書いております末項の「運輸大臣は、免許の申請を審査する場合において、」中略をいたしまして、「実情に沿うように努めなければならない。」槻いうこの法の趣旨は、経済の実勢を十分研究をし、それに合うようにやっていけということでございまして、画一的にやれということではないということで、各陸運局にはそのつどそういう指示をいたしております。
  54. 相澤重明

    ○相澤重明君 今のお答えで見ますというと、私はもう先ほどからの御答弁を聞いておると、もう行政指導というものは果してうまくいっているかどうかという点に若干疑問を持ってきたわけです。個人のいわゆる商業の自由ということを今言った広域ないわゆる経済、あるいは産業というものに結びつけて、そして特に交通事業については、やはりこれが適正に行われるような公益性というものを持たせるのが、私はやはり運輸省の行政監督の立場だと思うのです。そうすると、ただ法に触れるから罰金を取ればいいということだけでは、私はこの事業そのものがよくなりはしない。ですから、一面において法の不備があれば法の不備を直していくと、しかし、その前にやはり業界自体についても、そうした混乱を起さないように、できるだけこの法に即応できるような態勢というものを作っていくというような行政指導上の問題が私はやはり根本であると思う。それをやってもなおかつ法に触れるようなことをするという場合に、それは最後のだんびらを抜くのだということでなければ、ほんとうに業界の指導というものは私はむずかしいのではないか、こう思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  55. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その点はお説の通りでございましてたとえばこのもぐり営業をしております者はわれわれの方の行政の範癖に入ってこない方でございます。こという人に行政指導をすることは、われわれはできないわけでございますが、たとえばわれわれの方で、もぐり運送をいたしましたために、車両の運行停止をした、これを放置しておいたのでは意味がないわけでございます。その際に業界に指導いたしておりますのは、それぞれの荷主があるわけでございますが、それぞれの荷主はそういうことを知らないで頼んでいる者が多いので、それは業界は全部わかっておるものでございますから、そういうときに、車両運行停止をしたときに、業界としてそういう荷物を正当のレールに乗せるように努力をされることが必要ではないか。役所の処分と、やはり荷主の荷筋というものを他に移す、正当なルートに移すという努力行政指導一つとしてわれわれの方は窓通しておるわけでございます。
  56. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますというと、先ほどの山出何とかというのが公然と自家用車でもって営業をしておるということですね。それで何回か通告もし、処分もした。それは道路運送法に基く法の手続もとったことがあるのですか、申請は……。
  57. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 申請はしばしばやっております。申請のことにつきましては、三十年の十月の五日に、普通車十両としました申請をいたしております。三十一年の八月七日に却下になっております。それから三十一年の九月二十四日に申請して、三十二年の二月二十七日に取り下げをいたしております。それからまた三十二年の二月二十五日に申請をいたしまして、三十二年の七月二十九日に取り下げをいたしております。それまでは山田六松名義で申請をいたしておりますが、現在申請をいたしておりますのは、新潟マル運運輸という名前で代表者も変えまして、三十二年の八月二十五日に申請をいたしておりまして、目下審査中でございます。
  58. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、この業者というのは、もうすでにして全く焼いても煮ても食えない、みずからが申請をしてみたり、やめてみたり、もう業界の人もてんでこれは話にならぬ、こういうような形なんですね。いわゆるもう実際に、この法の盲点をつくとか、あるいは監督官庁というものはないがしろにして、自由横行しておるというのがこの人のやっておったという過去なんですね、これは。これでもし先ほど大倉委員や柴谷委員の言うように、この経過というものが明らかになっておって、そうして行政上の措置がとれないということになれば、これは私はゆゆしい問題だと思う。業界の混乱ばかりでなくして、そこに働いておる人たちの生活の問題にも非常に大きな影響を与えるだろうということなのですが、一体これについては、先ほど運輸大臣は早急に処置をしたいというお考えを述べられておりましたが、自動車局長はそういう具体的な資料を運輸大臣に提示しておるのですか、おらぬのですか、その点いかがですか。
  59. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 具体的な資料は提示をいたしておりません。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうして二ヵ月以上にもなる問題や、あるいはまた長い間そういうふうな三十年あるいは三十一年、二年というような、二ヵ年にもわたるところのそういう問題が起きておるのに、運輸大臣にはその報告ができないのですか。これは私は、前にも私鉄の運賃の値上げのときにも言ったけれども、たとえば局長権限でできるという問題でも、特別なというふうな大きな問題であれば、これはやっぱり運輸大臣に申請をし、あるいはお話をして、事情というものを十分に報告をして、適切な措置をとらなければならぬと私は思います。そういう点について、今までのお話を私はきょう初めて聞くわけです。初めてお話を聞いておっても、何回か申請もし、取り下げもし、却下もされておるということを見れば、これは申請をしておる人自身がもうどうにもならぬという人たちだと私は思います。そういうふうなものが交通業界で混乱をことさら起しでいるということに対して、単にこれは陸運事務所の問題というだけで私は片づけられる問題ではないと思います。そういう点はどうなんですか。報告はしなくてもいいということで済ませるのですか、いかがですか。
  61. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 陸運事務所として何もしないというわけではないのでありまして、先ほどから申し上げましたように、そういう事実を確認のつど、しばしば処分をしているということは理解しておるわけであります。ただ法に従わないという人を従わせる、悪人を真人間にするという方法は、今陸運行政でもなかなかないわけでありまして、そういう客観的の事実の発したときに、やはり処罰をするという以外にございません。それで先ほどまた後段で御説明いたしましたように、そういうことのないようにしなければならない、このためには現在の業者にやはり協力をしてもらって、そういう不当な、違法な運送業者に荷物を頼まないで、正当な運送業者に頼むというような行政手段も尽すように業界にも協力を頼んでおるわけでございます。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣、いかがですか、こういうことがだいぶよくわかってきたのですが、先ほど大臣は、この間新潟に行ったときにお耳にしていなかったようで、きょうお話が出たわけですが、年内にでも、そういう点について一応陸運局長もお呼びになり、今お話を自動車局長から聞いておるわけですが、処置がとれると思いますが、いかがですか。
  63. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 自動車局長は私に何も言わぬというわけじゃない、ときどき言うのです。しかし、それはなかなか私に対しても忠実にやっておられまするが、この問題は地方的の問題で、今までは相当処分もしておるようです。しかし、それを聞かない、まああなたのおっしゃるような人物なんですから、これは私も考えるのです。それでございますから、あすかあさって新潟陸運局長は来るでございましょう。そうすれば、できれば早くやらないと、これが全国にまたこういうようなことが広がるとか、あるいは運輸当局ばかにされるようでは、交通行政は私は振粛しないと思います。私はこの点、このごろ交通業者の振粛をちょっとやり過ぎる感も——某方面ではやり過ぎていると言われておりますが、私は真剣にこれは取り上げていきたいと思います。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣の今言ったことでこれは早急に一つ処置をしてもらいたい。  それからいま一つは、先ほど出た私鉄ですか、この電鉄ですね、電鉄の通運のお話が先ほど大倉委員から出されておりますが、これは認可を申請するときの条件に違反をした場合に、一体運輸省はどうするのか、こういうことになってくると思います。つまり認可を申請したときに、認可を与える場合の運輸省の基準があるはずです。それぞれの取扱いの、その法に基いた通運事業に対するところの認可条項というものが変ってきた場合に、運輸省は、それはまあ一応認可したのだからそのままでいいということになるのかどうか。これはちょっとやはりお尋ねしておかんといかぬと思うのですが、どうなんですか。
  65. 山内公猷

    説明員山内公猷君) どうもお話の趣旨がよくわからないわけでございますが、免許だろうと思いますが、認可でございますか。
  66. 相澤重明

    ○相澤重明君 免許を含んでだね。
  67. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 事業の免許の条件といいますものは、その企業開始のときに、道路運送法第六条の所定の項目を要請しておるかどうかということによってなされるわけでございます。それで、これらはやはり流動する要素もございますので、具体的にどういうものである、どういうものが変った場合にどうであるということでないと、ちょっとお答えしにくいわけでございます。
  68. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほど大倉委員から言った新潟の電鉄通運株式会社というものについては、それじゃ別に何も聞いておりませんか。どんなことになっておるか、今どういう事態にあるかということは聞いておらぬですか。
  69. 山内公猷

    説明員山内公猷君) それはストライキが発生をいたしまして、現在取扱いが停止しておるという状態は聞いております。
  70. 相澤重明

    ○相澤重明君 ストライキだけですか。これはストライキというと、普通は組合員が権利を使ってストライキをやるんだ、こういうことになると思うのですが、ストライキだけですか。何かほかに業者の方が変ったことをやっておるとか、やらぬとかということはないんですか。
  71. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 別にそのほかの理由は、現地から報告をわれわれの方は聞いておりません。
  72. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、先ほど大倉委員の質問されておったことは、あなたはどういうふうに聞いておったんです。大倉委員の先ほどの御質問というものは、あなたはどういうふうに聞いておったのですか。
  73. 山内公猷

    説明員山内公猷君) そういう何といいますか、ストライキによりまして、組合側が労務につかないために、この争議の関係で事業の取扱いを停止せざるを得なくなったという事実は、現地から聞いておるわけでございまして、その点におきましては、運輸行政上の見地については、陸運局長も十分関心を持って事態の推移をながめて参ったわけでございますが、この点につきましては、地労委がもうすでにあっせんに入っておりまして、しばしばあっせんをいたしておるわけでございます。で、事は、労働争議が本体でございますので、その解決の端緒であります地労委の調停というものに、陸運局長はその結果を待っておるということであろうと思います。ただ輸送上のことにつきましては、まあいわゆるこの電鉄は、幸いにいたしまして、国鉄線と並行をいたしておりまして、国鉄の集配区域から近いということで、荷主に不便をかけないために、そういう点につきましては十分手配をいたしておるように現地から報告を受けております。
  74. 相澤重明

    ○相澤重明君 だいぶ局長答弁と先ほどの大倉委員の質問の内容と、私食い違いがあると思うのですがね。大倉委員の質問に対しては、だいぶあなたの答弁努力されるようなお話だったが、今の答弁だというと、現地では国鉄線と並行線であるから、関係の業界からの出荷についても、国鉄線に吸収するようになっておるというようなお話なんですが、どうなんですか、そんな状態になっておりますか。先ほどの大倉委員の御質問に、あなたが答弁される御答弁を聞いておるというと、この電鉄線については、一駅一営業ということに内容を切りかえて、そうして実際には通運事業そのものを破壊されていくような私企業の最も悪質な方向をとろうとしておるというようなことが言われておったと思うのですが、そういう点はないんですか。そのために沿線の、特に東京や横浜の消費地に来るお米なんかが、いわゆる駅頭にたくさん荷物がストップしておる、こういうようなお話を聞いておるんですが、どうなんですか、そういうことありませんか。
  75. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 先ほどの御答弁と矛盾しておるとは思わないわけでございますが、ただいま大臣も御答弁なさいましたように、陸運局長に言いまして、早急に何らか対策を講ずるように考えておるということは繰り返さなかったわけでございますが、従来陸運局長のとっておりました手段といたしましては、幸いにして国鉄線に並行をいたしておる線でございまして、国鉄線の各駅にはそれぞれの通運業者がございますので、もちろん不便は不便であろうと思います、その一駅一店でございますから。しかし、交通関係としては、その不便を幾分でも除くための努力は加えて参ったということをつけ加えて申し上げたわけでございまして、前言を否定したわけではございません。
  76. 大倉精一

    大倉精一君 今の相澤君も若干誤解があるかもしれませんが、今の局長答弁の中で、これは国鉄線と並行しておるのだから、それぞれ手段を講じてやっておるから大した不便はないというお話なんですけれども、この新潟電鉄を利用せずに国鉄線へ出すという場合には、それだけ費用がかさむわけです。その費用を農業協同組合も、お米を出す場合には国もよけいな費用を負担しておるわけです。これは二ヵ月もストップしておる。そういうことも含めて、私は運輸大臣が今度局長を呼んで早急に措置すると、こうおっしゃるから、私も一応は納得しておったのですが、それと同時に、今相澤君の質問の中で、どうも局長はピンと来られぬところがあったかもしれませんが、これは局長をお呼びになって調べるとわかると思うのですが、組合の要求の中で、あるいは会社のやらんとする中で、事実上会社を分断しようとする、経営を分断しようとする事実があるのです。これは免許条件とまるきり変ったことをやるのであって、経営を分断するということになれば、私は勝手にできないと思う。免許業者はやはり承認を得るか、認可を得るかしなければできないと思うのですが、看板、名義は一つにして、実際内容的に分断する、こういうことをやろうとするから、これは一つの組合との争議の焦点にもなっておる、こういう事実なんです。こうなるというと、その内容については、これは労働争議と切り離して、監督官庁としても関心を持たなければならないと思うのですが、これは大きな問題ですが、局長、どうですか。
  77. 山内公猷

    説明員山内公猷君) そういう事実はまだわれわれの方も十分聞いておりませんので、そういう事実があるかどうかを十分調べたいと思います。ただ分断を勝手にすることはできないわけでございまして、分断をするならば役所の許可を得て分離営業をしなければならない。一つの会社の中の分離営業は許されないわけでございまして、そういう事実が発生すれば、われわれの方はまた行政庁としてしかるべき措置をとらなければならない、かように考えます。
  78. 大倉精一

    大倉精一君 大体質問は終ったのですが、最後に、先ほどの大臣の早急に局長を呼んでこの事態の解決に努力する、そういう決意をすると、こういうお話に御期待をして、一応私は質問を終るわけなんですよ。やはりこれは一新潟の問題でなくして、陸運行政一つの全般的なモデル・ケースとして、大なる関心を持っていきたいと思います。従って、大臣努力にも期待して、きょうは一応これで終りたいと思います。   —————————————
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 私もやはり同じ新潟の問題ですが、地盤沈下の問題、最近十五日ですか、市民大会が持たれまして、これに対する応急処置を十分やるようにというお話がありましたので、私どもも実は党を代表してこれに参加したわけでございます。従って、これに対する二、三の問題を、ことに大臣が過般新潟地盤沈下の問題を視察されたということを聞いておりますので、この機会にぜひこれに対する対策を明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのです。  まず最初にお伺いしたいのは、大臣ここに直接おいでになって、そしてこの現場をごらんになったと思うのですが、これについてどういうふうな対策を今進めておられるのですか、お伺いします。
  80. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 現在予算に要求いたしておりますのは、今まであった護岸工事が下っておるのでありますから、これをかさ上げするというようなことを今要求いたしております。その地盤沈下がどこによる原因であるかということは、もう諸説ふんぷんでありますが、私はガスを取り入れているところと、そしてガスと水とを分けて水が貯水槽から川へ流れておるという現場を見ました。しかし、私はこれに対して向うで別にどれがあるといった原因は指摘いたさなかったのでございますが、こういうことを土地の人に要求いたしました。調査会がございます、市とか県とか、それから運輸省関係のものも入っております。早く地盤沈下の原因を決定してもらいたい、こういうことです。そしてそれによって運輸省が恒久的な対策を講ずることができるようにしてもらいたいということを申して参りましたが、さしずめ現在沈下をしておる所に対しましては、応急処置といたしましてかさ上げその他の手段を講ずるよう要求いたしておりますが、ただ地元の要請といたしましては、この冬に波が出てきたらどうするか、これは私もその通り、現にこの間も出たそうでありますが、この破壊の個所は港湾局で調べまして、いわゆる災害として対策を講ずるように今調べさせておりますが、いずれに、たしましても、私の見ましたのは捨てておくわけにいかない。新潟ばかりじゃございません、大阪にも尼ヶ崎にもございます。こういう状態を港湾政策の一環として考えていく、それがため今予算を出してあるのです。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 今お話のようにいろいろ沈下に対する対策を幾分進めておられるようでありますが、基本的な原因がどこにあるか、この問題について調査を進める、こういうことは一つの政策としてとられておるようでありますが、しかし、現地の住民たちの要望というやつはもっと切迫しておる。今お話のように非常にこれは切迫した問題です。私も二月ほど前にここに参りましたが、しばしば海水の浸入を受けておる。住民たちと懇談会をしたその席上で、風が吹くというと子供が夜寝つかない、そうして母親に向ってどうも風が吹くのできょうも水が入ってくるのじゃないか、とても寝つかない、母親はこれをだまして寝かせるのに非常に苦心した、あるいは大風が吹くと家財道具になわを縛りつけて避難準備をしなければならない、こういうような切実な問題が起っておるわけです。私今度この住民大会に参加したついでに再び現状を見たわけでありますが、あの東海岸のほんとうに間に合せの板囲いの間に砂を入れてとりあえずの防波提を作っておる。ところが、十三日御承知のように新潟では四十一メートルの大風が吹いた。これは新潟測候所始まって以来の大風だそうであります。これは幸いに陸から海の方に吹いたので被害は割と少かった。これが反対に吹いたらこれはとても大へんなことになったのじゃないか。しかし、それでさえも現にもうずっと防波提を築いておりますうちの百五十メートル、二百メートルの二カ所にわたりまして砂が全部さらわれておる、こういうような格好になって、しかも、海水が浸入して相当な被害をこうむっておるわけです。ですから現地住民になると全く大へんだ。それから港湾関係あるいは新潟鉄工所関係の工場にも海水がどんどん入ってくる、こういう事態が起っておるのでありますから、これに対して応急処置を講ずるという点が今お話のように非常に重要な問題になっておると思うのです。そこで、向うの希望といたしましては、現地の希望をつぶさに聞いたのでありますが、何といってもこのようなやり方については地元負担だけではとてもやっていけない。どうしてもこれは国家の大きな補助が必要である。あるいはまたこれを補助することについて、現在の法制の形では十分なことができない。大幅な国庫負担ができない。従って、何とか法律的な措置をしてもらいたい。地すべり法案というようなものと一緒にしてこれをやろうかという話もあったそうですが、うまくいかない。何とか単独立法をやってもらいたい。このようなことが非常に地元の要求になっていると思うのです。それで、大臣はたとえば港湾行政の立場からというお話でありますが、その点だと思います。新潟の港の位置というものについて、これはどういうふうにお考えになりますか。ことに日ソ交渉、日ソ貿易は、これは協定を結んだ、それから中国との貿易はもっともっと拡大しなければならないというような状態になっております。また朝鮮との貿易も、これは日程に上り始めているのです。こういうような点に、大陸貿易という点から見ますというと、裏日本の港における新潟の位置というものは、全体の日本の貿易政策から考えましても相当重要なこれは位置を占めるのじゃないか、こういう点から考えて、国家的にやはり港のこのような荒廃を今のうちにはっきり手を打つということは非常に重要な問題だと思うのですが、大臣はこの点どうお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
  82. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 北日本の方面における今おっしゃった貿易の関係、私は新潟も重要な港であると信じております。そのほかにもありますが。日ソ貿易に伴って汽船が入ってくるだろうと思いますが、これは従来——現に入っているところもあります。あるいは、ある港のごときは木材が相当入っております。従って、新潟もそういうソ連、朝鮮等の貿易の重要港であるという重要性は私は認めております。ただ遺憾なことは、あなたもおいでになってお聞きになったと思いまするが、河口で分流するか関谷で分水するかというような問題がございまして、どうもその——私は言ったんですよ、地元の人のお集まりの前で、どうかこれは早くおきめなさい、運輸省がどちらがいいかということは言うべきものではないから、あなたの方でどちらをやるということをおきめにならないと、大蔵省としての新潟港対策が立てられない。だから早くおやりなさいということを私は勧告をして参ったのでありますが、これらもどちらかにやるということが決定いたしますならば、何も、運輸省の技術者の当局にも意見があるそうです。しかし、私はこちらの意見を通せとか、ああせよということを言いません。やはり地元できめてもらう、そうすればこちらとして新潟港の将来の発展のために対策を講じて参りたいということを申し上げたのでありまして、これも今お答えを、この通りのことをお答え申し上げたいと思います。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ分流案、分水案というのが地元で相当長い間戦わされておるということも私は聞いておるのであります。しかし、まあ、この問題もでありますけれども、この問題はとりあえずはこの地盤沈下の問題とからませると、これはまあ当面の応急問題ですね、この問題がかえってこれでおくれるというような事態になると思いますので、この問題については一応これは別の問題としまして、とりあえず、とにかくこの港がどんどん沈んでいくと、そしてもう防波堤も何も役に立たなくなっていく、あそこの臨港埠頭なんというやつはもう五、六メートルの風が吹くというと、対岸の防波堤からどんどん高波が寄せてきて、そのために港につないでおいた船が大へんに安定感を失ってしまって、ひどいときにはもう太いともづなも切れてしまう、こういう実情も私たち見て参ったのでありますけれども、そういう点から考えて、どうしても急速にこの地盤沈下の問題について手を打たなくちゃならない、こういうことにまあはっきりなっておると思うのです。そういう意味では、今年度のこの予算措置の問題でありますけれども、この前も北村知事と村田市長が当委員会に陳情に参られて参考人としていろいろ意見を徴したのでありますけれども、これはまあある意味ではおくれたのじゃないか、現に、それでもまあ二億二千万ですか、程度のこれは予算として組まれておると思うのです。とりあえず今年度の予算というやつは、これはどうでございましょう。これは今予算折衝の最中になっておるわけでありますけれども、全体の港湾の予算、この前聞きますと、二百億以上だ、昨年度の例を見ますと、百七十億ぐらい要求して百五億しか通らなかったと思います。こういう事情から考えますときに、二百億以上の予算要求をされたとして、これで新潟の緊急事態に対応する予算、これについての大臣一体見通しはどういうふうにあなたはお考えになっていられるか、これについての大臣努力の点をお伺いしたいと思います。
  84. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 今日、党の政調会におきましても、道路と並んで港の近代化ということを取り上げております。ただそれをどういう方法にしてやるかということにつきましては——方法とは会計の方法でございますが——これにはまだ議論がございますけれども、港湾の近代化をやるということは党の政策でございますから、従って、運輸省の大蔵省に対する港湾全体の近代化あるいは修築、こういうものに対する予算は、私は極力これが目的を達するためにとりたい、また、その方向に行くものと私は考えております。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 市民大会の空気を見ますというと、これはまあ自民党さんも社会党さんも、われわれも、各党派がこれに参加した。また地元の人が千人余りも集まって、こういう熱烈な要求をしているわけです。これについて、やはり新潟の問題は港湾の対策でもって、やはり一つの緊急した問題じゃないかというふうに、私も二回ほど視察をし、また地元の空気を察して考えているわけです。こういう点について特にこれは努力されることが必要じゃないかと思うのでありますが、全体の予算額の問題でありますが、これは大体この前知事さんの話しておりました地元の案として三ヵ年で二十億、そのうち来年の、三十三年度にはとりあえず十億の予算というようなことで進めているようでありますけれども、それに対しては今度の要求額は約二〇%程度ということで非常に少くなっている、この点で私は考えるのであります。あすこで懇談会をしたときは、こういうことを言っておりました。明年三十万使うなら今年十万使ってもらいたい、そうでないと先にいって破壊が大きくなってから大金を投入しても役に立たない。それより今のうちに食いとめてもらいたい、そのことを二ヵ月前の懇談会で聞いたのでありますが、今度行ってあすこで実情を見まして、四十一メートルのあの風による波によりまして防波堤が二所もやられている。首都建設でもって三百万何がしの金を注ぎ込んでやりましたこの工事というものは、全くどぶに捨てたような結果になっているわけです。そうすると、やはりあすこでは集中的な総合的な強力な対策を立てなければ非常に私は効果は薄いのじゃないか。分散的にあすこにちょっぴりちょっぴりの予算を投入しておったのでは、非常にこれは全体の国家の利益から考えても、私は不利な結果になるのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、こういう点について、大臣新潟の現状に対処するやはり決意が非常に私は必要じゃないかと思いますが、この点いかがでございますか。
  86. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も見まして、あなたと同じような感じを持っております。ただ、これは私もうっかり言えないので、言うといろいろありますから、なかなか腹へしまって知らぬ顔をして言っているのですが、どこの原因だということですね。どれによる原因だということになってくると、これまあ諸説ふんぷんとして、そこに利害関係もあるようでございます。しかし、これを私は、知事も市長も一刀両断せられるという一つ勇気を持ってもらいたいということを私はこの聞申したのであります。それによって私は対策は講じられると思うのです。ただ繰り返して申しますが、私も陳情を受けました。ことにあの区域の方面には新潟の大火で焼け出されて、そうして向うヘバラックを建てた人が、また今度は地盤沈下及び大波による災害を受けなければならぬ、これは私も感に打たれました。従って、根本政策を市も立てていただく、われわれも、国の方面努力するという結論に私は到達しておるわけでございまして、この点はわれわれあなたと考えは同様でございます。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 むろん地元の意思を尊重し、現状に合うような政策をとらなければならないのでありますが、この問題は分水、分流案というようなことにいたしますと、相当、百億をこえるような大予算で、何年計画で進めなければならないような問題かと思うのです。私の今申しましたのは、とにかくこの地盤沈下で海底へ国土の一部が沈みつつあるという、これに対してどう手を打っているかという問題ですから、ここの二つを混同してしまうというと、どうも原因がわからないから、これに対して対策ができないのだというようなことではないようでありますけれども、そういうふうに印象づけられると非常にまずいと思うのであります。市の要求しているのは、地盤沈下に対する当面の方式として三ヵ年計画、二十億というのですから、この点やはり明確にされる必要がある。もう一つは、地盤沈下の原因であるというのが、これはガスを非常にとったためだろうとか、あるいはまた海岸が非常に海水で侵食されているためだろうとか、いろいろこういうふうに言っている。しかも、その調査を待っているというと、五年もかかるということを聞いているわけでありますが、これではやはり地元の人たちの要望にはこたえることはできないので、非常に立ちおくれになるのじゃないか。ですから地元のこういうような問題についてやはり中央指導し、中央が乗り出してやる、この点に科学陣なんかも動員して明確なやはり計画を作るということが非常に重要になってきているのですが、来年は調査費なんかも相当要求されているようでありますけれども、どちらにしても、そういう点を考えてみる必要があるのじゃないか。もう一つは、天然ガスの問題でありますが、天然ガスの問題が起って、これが新潟の発展の大きな一つの基礎になっている。かりにガスの結果沈下が起っているかどうかわかりませんけれども、かりにそういうことが原因だとすれば、そういうものに対しても国家の補償の問題なんというものはどういうふうに考えられるのか、その点が明確でないので、やはり利益が相反するということで、ガス会社の方ではこれは天然ガスの結果じゃない、そうしてそうでないということを調査するための、これは調査会のようなものが作られて対決しておる、こういうことではあそこの全体の発展というような点から非常に支障が来るのじゃないか、そういう点で大きな政策面から総合的にやはりこれを指導されるということは非常に重要だと思うのでありますが、その点は大臣としてはいかがでございましょうか。
  88. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も視察に参ったのでございまするから、その意味におきまして責任を感じております。そこで、運輸省といたしましても、あの調査会に運輸省の技官が行っておる、その報告も私は受けております。ところが、今おっしゃったようにガス協会なるものが、なかなかいろいろな意見が出まして、まあそこは非常に複雑微妙なんですね。従って、私も急がなければならぬと思いますけれども、といって、へまな手も、これはちょっと手がつけられないのじゃないか、こういうふうに私思いまして、今慎重にやっているのですが、しかし、予算には、かさ上げ等の応急対策等はこれは要求してございます。これは新潟鉄工所も私見て参りました。今のところは一尺ほどかさ上げしたために、あの工場には浸水しないようですが、これを上げたのがまた下ってくれば、一年に何か一尺ほど下ってくるようでございますから——それを私は根本的に対処していかなければならぬということは、あなたと同じように考えておるのであります。その点が、私も運輸省が新潟地元のですね、その態度を統一してきてもらいたいというのはそとなんです。関谷分水、分流、これは別でございます。しかし、先ほどの御質問では、新潟港全体としてどう見るかという御質問でございまするから、この分水問題も一つの問題であるということを申し上げたのでございまして、地盤沈下と分水の問題、これは別であることは申し上げるまでもない。しかし、全体から見れば、その問題もあるということをお答え申した次第です。
  89. 江藤智

    理事江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  90. 江藤智

    理事江藤智君) 速記をつけて。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ慎重にというお話がありましたが、昭和石油があそこにございますね、あそこら辺に行ってみると、ずっと侵食されている。遠くから見ると、昭和石油は海の中に孤立してしまっている。私は二ヵ月前に見て、それから二ヵ月後の姿を見てなお驚きを新たにしているのです。こういう問題がありますから、地元の住民の要求が非常に熾烈でありますので、これに対して特に鋭意努力されて、当面の予算編成期に当って、この問題を強力に、やはり大臣から実現方を努力されることを切望するのですが、これに対する御決意を承わりたいと思います。
  92. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 侵食の防止方法、これも港湾局において処置しているはずです。従いまして、新潟港は、全体としての見地から新潟港の将来のために努力はせっかくいたしておるのでございますが、まだいろいろ金額の問題も地元の要求に比べて十分でないようでありますが、可能な範囲において努力しておるということは一つ御了承を願いたいと思うのです。   —————————————
  93. 江藤智

    理事江藤智君) 運輸事情等に関する調査につきましてお諮りいたします。  本件につきましては、まだ調査を完了するに至っておりませんので、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会中調査未了の旨の報告議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 江藤智

    理事江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の内容及びその手続等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 江藤智

    理事江藤智君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十八分散会    ————・————