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1957-11-08 第27回国会 衆議院 農林水産委員会農林漁業災害対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十二年十一月五日(火曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       五十嵐吉藏君    石坂  繁君       川村善八郎君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    綱島 正興君       丹羽 兵助君    原  捨思君       松野 頼三君    伊瀬幸太郎君       稲富 稜人君    楯 兼次郎君       中村 時雄君    芳賀  貢君 同日  田口長治郎君が委員長指名で小委員長に選任  された。     ————————————— 会議 昭和三十二年十一月八日(金曜日)     午後三時三十四分開議  出席小委員    小委員長 田口長治郎君       石坂  繁君    川村善八郎君       綱島 正興君    原  捨思君       楯 兼次郎君    芳賀  貢君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君  小委員外出席者         議     員 吉川 久衛君         議     員 井手 以誠君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     岡崎 三郎君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    小林 誠一君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  藤巻 吉生君         農林事務官         (農地局総務課         長)      厚味荘之助君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   石田  朗君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (振興局総務課         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (振興局振興課         長)      桧垣徳太郎君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      藤本 和平君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      新沢  寧君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道並び西日本等における冷害による稲作  等の被害状況及びその対策に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより農林漁業災害対策に関する小委員会を開会いたします。  本日農林省から齋藤官房長清野建設部長酒折振興局総務課長藤本林野庁業務部長新沢水産庁漁政部長出席になっております。  最初に北海道並び西日本等における冷害による稲作等被害について調査を進めます。  まず政府当局よりその被害状況について説明を求めます。齋藤官房長
  3. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 本年の西南地方における水稲あるいは北海道における冷害状況につきまして、現在までわれわれの方でわかっておりますことにつきまして申し上げてみたいと思います。  本年における気温は、当初七月以来から一般的に低温でございまして、さらにそれに加えまして日照が例年よりもこれまた少い。特に西南地方におきましては、先ほど陳情の中にもあったかと思いますけれども分けつ期あるいは出穂期にかけまして特に例年よりも三、四度程度低いというような状態でありまして、本年度の一般的な遅延型の冷害状況というものを、西南地方において示したというふうな状況になっておるように見受けられるのであります。その冷害の特色といたしましては、本年度における一般的な冷害というよりも、非常に局地的な発生の現われ方をしておるようでございます。とりわけ山間部においては、その被害が大きく現われておるというような状況になっております。また平坦部におきましても、二期作であるとか、あるいは極晩稲であるとかというようなおくてのものにつきまして、そういうふうな冷害の現象が現われておるというような状況に相なっております。  それから北海道におきましても同じように、北海道全体としての作は平年作以上でございますけれども、特に道東北見十勝方面におきましては、一部五分作程度であるというようなところも出ておりまして、局部的には冷害の地帯も現われておるという状況に相なっております。  これを数字的に申しますと、冷害の全体の状況といたしましては、全国の冷害によると思われますところの被害面積は十三万四千六百町歩と相なっておりまして、これに対する冷害減収被害量と見込まれるものが五十万一千石に上っております。冷害による被害量としては平年に比べましてはむしろ相当低いのでありまして、平年の冷害による被害面積と対比いたしますと、面積といたしまして、平年三十三万三千町歩、それに対する十三万四千町歩ということに相なっております。被害石数におきましても、百六十二万三千石というのが平年における被害量でございまして、それに対する五十万石でございますから、約三割程度である。面積において四割、被害額において三割程度というのが現在までの状況でございます。先ほども申しましたように、低温寡照であった。それが地域的にも非常に局部的に現われてきた。先ほどの御陳情にもありましたように、山間部におきましても、い草、タバコ、野菜等被害、あるいは平坦地におきましては、二期作稲の、特に極晩稲被害が現われております。その主要な被害県について申し上げれば、現在までわかっておりまするところの被害面積では、北海道が一番多くて二万一千七百二十町歩被害額にいたしまして約十四万九千石となっております。それに次ぎまして青森の一万五千三百九十町歩被害額約五万三千石でございます。西日本九州あるいは四国でございますが、佐賀が一万七千四百八十町歩被害額四万二千九百十石、それに次いで大分が一万七百二十町歩被害額三万九十石、それから高知二期作相当被害を受けまして、高知では三千百町歩被害面積に対して、被害額二万九千三百十石という状況になっております。そのほかに長野であるとか、あるいは大阪、兵庫、静岡等が主要な冷害による被害県になっておる状況であります。被害の現在までわかっております概況から申し上げれば、そのような状況になっております。
  4. 田口長治郎

    田口委員長 長崎はどうなっておりますか。
  5. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 長崎は二千四百町歩被害量として四千七百五十石であります。
  6. 田口長治郎

    田口委員長 ただいまの政府説明に対しまして、質疑がありますればこれを許します。芳賀貢君。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま官房長から冷害関係被害状況お話がありましたが、その中で、特に北海道道東地域の豪雨、長雨、低温等による農業被害関係について、もう少し詳しくお尋ねしたいと思うのであります。ただいま官房長お話によりますと、当局調査された被害面積はおよそ二万一千七百二十町歩で、これにより減収石数が十四万九千石ということになっておるのだが、この内訳は水稲だけですか。
  8. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 水稲だけでございます。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 水稲だけの被害が二万一千七百二十町歩で、その減収が十四万九千石、それ以外に特にこの道東地方被害の場合には、全体の耕作面積に比べまして水稲耕作反別は非常に少いのです。まあ最北限というようなことまでいいますから。その場合、被害現況を把握するためには、どうしても水稲以外の畑地農作物被害がどの程度であるかということをあわせてお尋ねしたいと思うのであります。
  10. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今お話がございましたように、北海道における冷害地域につきましては、そのわたるところが石狩から空知、天塩、上川、北見、後志、檜山、渡島、胆振でございまして、従って水稲以外におきましても、雑穀、蔬菜類麦類等、それ以外の作物毛相当あるところでございます。それらの被害につきましては、道庁からはその調査の概要が私どもの方に参っておりますけれども、まだ私の方として具体的な数字はつかんでおりません。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 統計調査部長が見えておりますが、統計調査部の方ではどのような調査になっておりますか。
  12. 藤巻吉生

    藤巻説明員 水稲以外の麦類、菜種、バレイショ等被害につきまして、目下最近の数字を取りまとめておりますが、もうしばらくかかるというので、ただいまのところ冷害関係数字が私どもの方でまとまっておらないのでございます。一週間くらいで数字が参ることになっております。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 被害の全体がまだ把握されておらぬようですが、特に北海道はもう十一月下旬になると降雪期に入るのですから、もし政府が真剣に北海道道東中心とした災害地域に対して施策の手を伸べるとすれば、すみやかにやってもらわぬと非常に被害農民は困惑するということに当然なると思うわけでありまして、北海道のごとき毎年災害があって、今年は北海道全体をながめますと、水稲畑作ともに平年作であるということが言えるわけです。そういう全体が平年作の中において、一部の地域においては相当ひどい災害を受けているということになるとも先ほど官房長も言われたように、全国的には平年の災害に比べてその量は非常に少いと言われましたので、それは非常にけっこうなことであるけれども、この小さい地域においても、国全体から見て小地域であっても、その亀域内における被害者救済ということは放任できない事態であるというふうに考えられますので、毎年の災害等によって、どういうような施策を講ずればいいという一応の基礎は、毎年のように踏襲されておりますので、この際これらの冷害地域等に対して、政府はおよそどのような対策を立てようとなさっておるか、この点をできるだけ具体的に御説明願いたい。
  14. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 冷害、特に北海道における冷害につきましては、一昨年、昨年の例もございますし、またこれまでも災害に対する大体の慣例というと語弊がありますが、それに対する措置をとって参っておりますので、従来の方法を踏襲して遺憾のない万全の措置をとって参りたいと考えておるわけであります。主要な方法といえば、芳賀委員もよく御承知の通りでございまして、特にこれということではないのでございますが、その根幹になる一つは、申すまでもなく天災法による資金融通措置でございます。これにつきましては大体われわれの方におきましても被害状況がわかって参っておりますので、早急にこれについての融資所要額を算定し、必要な時期に間に合うような措置をとって参りたいと考えておる次第でございます。大体は、先般九州災害における融資措置天災法でとって参ったわけでありますが、そういう方法によって行うことになろうかと考えておるわけであります。  第二は農業共済保険についてでございますが、農業保険概算払い早期支払いにつきましても、目下関係団体からこれに要する所要額なり手続なりを進めるようにいたしておりますので、そういうことができるだけ早く早期支払いができるように努力いたしたいと考えておるわけであります。これは北海道の特殊な事情になろうかと思いますが、北海道からは被害農家救済策として薪炭林の払い下げをしてもらいたいという要求がございます。これらの例もございますので、昨年度と同じような意味におきまして必要な措置をとって参りたい。もう現在帯広、北見営林局管内におきましては、それに対する若干の計画を進めておるような次第でございます。北海道におきましては、三十一年度冷害を受けた米麦代金につきまして、再延納措置をしてもらいたい——つまり米代金に関するいろいろの救済要望がございます。その一つ代金につきまして再延納措置を講じてもらいたい、あるいは本年度概算払いに対する金利減免、あるいは返済延期措置を講じてもらいたい、こういう御要望があるわけでございます。これにつきましても従来の例によりまして実施いたしたいと考えておりますが、三十一年の冷害によって買い受けた米麦代金の再延納措置につきましては、三十一年度の特殊な事情に基いてできたものでございますので、本年度これを適用することについては、われわれとしては無理ではなかろうか、この点についてはきょうに考えておるわけであります。予約概算金金利減免は、今年から契約時におきましてそれぞれの災害状況に応じて金利減免を行う措置をとっておりますので、これは生産者災害実情によって、その条件に合致しておれば利子の減免は当然やることができると思うのであります。ただ返済延期ということにつきましては、概算金制度の本旨から見てやや困難ではなかろうかと思うのであります。これはこの前の九州災害における措置等におきましても、われわれとしてはこういう考慮の毛とに運用するならば、概算金延納措置をとらなくても、実質上はまかなえるのではなかろうかという意味におきまして、実は天災法における融資措置、あるいは自作農維持資金等につきましても、そういう概算払いの困難な農家について十分考慮して資金融通ずる、こういうことを考えたのでありますが、今回もこれにつきましてはそういうふうな考え方で処して参りたいと考えておる次第でございます。今申しました自作農資金につきましても、先般さしあたり四億の割当をいたして配分を終ったのでありますけれども、その後における十号台風あるいは冷害対策ともあわせまして、被害状況に応じて現地にも人を派遣いたしまして、所要額についての調査もいたしたような次第でもございますし、これに対する御要望毛非常に強いのでありますので、その所要額につきましては目下大蔵省とも折衝いたしておるような次第でございまして、自作農創設資金融通については、できるだけ従来通り方法をとるように努力いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。大体一般的な今回の冷害対策として考えておりますところの措置は、以上申し上げたようなところでございます。  ただ今回の冷害を受けた水稲種子対策につきましては、十分来年度における手配をいたすべき必要がございますので、従来すでにこれに必要な種子を確保している場合においては問題ありませんけれども、それによってこの種の種子の不足を来たすような場合におきましては、準種子採種圃からの種子と同様の扱いで食糧庁で買い上げるとかいうような方法をもあわせ考慮いたす必要があろうかと思います。この点についても今検討をいたしておるところでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの官房長説明によって、周到な用意をきれたという点に対してはそれを認めるわけですが、内容について若干具体的なお尋ねをしたいと思います。  第一の点は天災融資法に関する点でありますが、今までの例から見ると、この天災融資法規定を準用する場合は、国民経済に与える影響が四億五千なら四億五千というものを一つの尺度にして用いているようでありますけれども北海道の今回の冷害あるいは九州の特殊の県における冷害等天災法適用によって救済する場合は、この地域だけに限るものであるか、たとえば北海道なら北海道ということでいくか、道府県単位地域を指定して天災法適用をやるお考えであるか、また道内とか県内における特別の地域だけを指定するようなお考えであるか、その運用はどのようにやられるつもりですか。
  16. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘のように現在天災融資法対象にする場合には、政令で災害ごとにその災害を指定するということになっておりまして、それが国民経済上重要な影響を与えるものであるかどうかということにつきましては、われわれとしてもなかなか判定に困る、かつまた大蔵省法制局と折衝する場合におきましても、目安が必ずしもはっきりしていないという点については、事務当局としても実は弱っておる点の一つで、運用扱いにくい点の一つになっておるのでありますが、しかし被害実情から見まして相当被害額が出てくるということでありますならば、従来と同じような考えで指定をいたすということにいたしておるのであります。従って今回の場合におきましても、従来と同じように県単位災害の種類をあげまして、県単位農林省は指定する、あるいは道ということで指定し、その中をさらに道知事地域を指定する、こういうような扱いになろうかと思います。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 その点はわかるのですが、そうすると、今の段階では、水稲以外の被害はまだ明確になっておらぬのですが、それらのものが明確になった場合においては、北海道における冷温の災害等資金的にはこの天災融資法適用を受けるということは、これは予測できるわけですね。
  18. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今回の低温寡照による冷害というものについては、北海道のほか西南地方においても同じような状況に相なっておるわけでありますので、この冷害一つにして全体の被害額というような考え方をとれば、制度上は対象になり得るのではなかろうかと考えておりますけれども、この点は今後の被害融資額算定の場合におきまする問題といたしまして検討させていただきたいと思います。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 制度上なり得るということは、これは農林省としては当然ならせるように努力してもらわなければいけません。  その次にお聞きしたい点は、今官房長から種子対策お話がありましたが、特に今年の道東地区中心にした水稲災害予想外被害が大きかったのは、昨年この地域は収穫がほとんど皆無だったわけです。それで現地において種子の確保をすることが全くできなかった。同じ北海道の中でもこの地域外から種子を取り寄せたわけです。それでその種子は必ずしもこの地域立地条件に全面的に適合するような種子だけが用意されたわけではないのであって、そういう種子の不適正からきた災害の度合いが大きかったということもいえますので、この点に対しましては先ほど官房長の言われた通り早期に、来年度またこういうことが繰り返されることのないように、種子対策に対しては農林省においても万全の措置を講じてもらいたいということを申し上げておく次第であります。  それからその次にお尋ねしたい点は、これもやはり融資関係に関連を持つわけでございますが、昨年の非常に激甚な冷害によって北海道相当額冷害米麦を借り受けているわけです。今度のまた被害者の中においても昨年の冷害米麦代金を金部償還できない向き相当多いと思うわけです。そういう場合には当然被害を受けた個々農家からこれを回収するということは絶対にできないと思うわけです。そういう現実の事態を十分勘案した場合においては、再延納措置が至難であるとすれば、一体国はどこからこれを回収するお考えであるか、その点はどうですか。
  20. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 われわれといたしましても、今御指摘になりました問題につきましては、何らかの方法運用上なかろうかといろいろ法律的にも検討をしてみたのでございますけれども、現在の法制のもとにおきましてはどうも不可能である、端的に言いますと、債権管理法規定解釈上ではどうしても無理ではなかろうか、こういうことで運用の面によってこれを解決するということがむずかしい、かようなふうに今のところは考えておるわけであります。これはその被害農家につきまして直接それの資金延納という問題が端的な解決でございますけれども、それ以外の融資その他の措置もあわせ農家の方において操作されまして、これはこれとして返納措置をとっていただくということをやっていただく以外に目下のところ方法はないのではないか、従って他の融資方法ともあわせてこれはこれとして解決していただく、かように考えております。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は事前に考慮しておいてもらわないと、結局冷害飯米を借り受けたのは被害農家個々なんですから、それがまたことしの災害によって善意を尽しても返済ができない、しかし国としてはこれは都道府県知事に貸し付けたということになっておるので、建前上は都道府県から回収できるということになるかもしれないが、そういうことをやると、地方財政の面においても非常に無理がかかってくるということは必至なわけです。ですから、この点は再延納措置がもし運用上絶対にできないというような場合には、今官房長の言われた通り、何らかそれにかわるような適宜な行政的な配慮の中で、たとえば諸般の資金対策等の中においてもこれを勘案してやるというようなことがある程度明確になれば、現地において今後冷害対策を進める上においてもやりやすいのではないか、こう私は考えるのですが、その点についてもう少し意のあるところを示してもらいたいわけです。
  22. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今お話がございましたように、債権管理法におきましては直接災害を受けた者に対する債務の返還が困難な場合に延期することができるようになっております。今回のこの飯米につきましては、今お話がありましたように、道に一たん貸し付けるという形式をとっておりますので、直接債権管理法の、今申しました延納規定適用することが困難なわけでございます。われわれとしては、この解釈運用につきましてなお検討はいたしてみたい、関係当局の方にもその解釈についての検討も進めてみたいと思っておりますけれども、現在の法規の一応の解釈からいきますと困難である。従ってもし困難であるとしますれば、一般的な融資方法等によって、結果的には金に糸目はないわけでありますから、何らかの形によって返納ができるということになるようにいたしたい、かように考えております。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 次に被害農家のうち、本年度予約供出をやるための概算金を受けておる人が相当あると思います。この点につきましても官房長から御説明があったのですが、今年度から契約条項の中において、それに適合するような事態が起れば自動的に処理されるということになっておるわけですが、先ほどの御説明の中にも、一部天災融資法等のごときものも勘案してというようなお話もあったのですが、その点はどういう含みですか。もう少し具体的に御説明願いたい。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 契約概算払い金利につきましての処置につきましては、予約をいたしますときの売買条件の中に、当初からどういう条件に該当した場合、災害程度に応じて金利減免ができるということになっておりますので、それは今申しました条件に従って処理する。それに該当すれば該当したような運用ができる。従って減免措置ができる。こういうことになることを申し上げたわけであります。  第二点の返納の問題につきましては、これまた九州災害の場合におきまして、いろいろと御要望があったところでございますけれども、私の今申し上げ、ましたのは、さきの飯米と同じような考え方でございますが、結局何らかの融資措置がそこに講ぜられるならば、結果的にはその中から概算金返納ということができるのではなかろうかということを申し上げたわけであります。それで九州災害の場合におきましても封じような考慮をわれわれは払いまして、具体的に天災法融資対象となる農家につきまして、概算払い概算金返納に窮しておるという農家につきましては、二月当りの貸付限度額というものがあるわけでありますから、その額の範囲内におきましてはそういう事情考慮して貸付額をきめるというようなことを考えて、実質運用によって返納のできるような措置をとって参りたい、かように申し上げたのであります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 さらに融資関係ですが、今年の災害によって、昨年以前に借りた冷害資金等の今年度返済すべき分があるわけですが、これらも順調に返せない向きも出てくると思います。今までの例を見ますと、これは新しい災害によるところの貸付と、それから旧災分に対する借りかえ資金という二つの形で天災融資を行なっておったのですが、今年度の場合においてもそういう事態は必ず生ずると思うのですが、この点も念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  26. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘通り、現行法におきましては、償還の延期措置と借りかえの措置と両様の建前ができることになっております。ただし延納措置の方につきましては、従来の対象となるべき災害が法令上明記されておりますので、もしそれだけに該当する農家があれば別でありますけれども、それ以外の被害によって借り受けているという農家もありますので、われわれ事務当局といたしましては、むしろ法律改正をやるということによらずして、結果的には借りかえによって同じような措置ができるのではなかろうか。連続災害を受けて借り受けを行う場合におきましては、償還期限を延長する、通常の場合よりも延長するというような措置は講ずることにいたしまして、借りかえ等の措置によりまして、今のお話の点については対処して参った方がよかろう、かように考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 次に自作農創設維持資金関係ですが、これも毎年の災害のときには、自作農の維持資金の中から重点的に被害地域に配分を行なった事例があるのであります。この点については先ほどお話があったのですが、今年度自作農創設資金の消化状態は現在どうなっておって、今後の冷害等に配分する余地がまだあるかないか、その点はいかがですか。もしもそれがないとすれば、今後どういうことをやってこのワクを拡大して被害地域に配分を行うことになるのですか、それらの点についてお尋ねいたします。
  28. 小林誠一

    ○小林説明員 御説明申し上げます。自作農の本年度のワクは五十億でありまして、そのうち四十億はすでに各県に配付済みで実ります。あとの五億分でありますが、これは農林水産委員会の附帯決議にありましたように、開拓分として保留すべき額であります。そのほか、あとの一億は移民関係として現在保留しております。残りました四億は、先ほど官房長から御説明されましたように、すでに配付済みでございまして、現在のところ五十億のワクは、開拓分等の予定の額を考慮いたしますと残っておりません。従いまして、その面につきまして先ほども御説明いたしましたように、大蔵省と現在折衝中であります。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 昨年も、当初の融資計画のワクがなくなって、返還金の方からそれを資金源にして災害対策用の自作農創設資金に振り向けたというような前例のあることも記憶しておるのですが、結局今年もそういうようなことをやれば可能であるとも考えられますが、その点はいかがですか。
  30. 小林誠一

    ○小林説明員 その点につきまして目下大蔵省と協議中なのであります。ただ、今非常に問題となります点は、自作農のワクというものと、それから一般の災害融資その他のけじめの問題につきましてまだ問題がございますので、その点について大蔵省との間にまだ話がつかないというような状態であります。そういうようなことで、現在のところまだ最終的な結論に到達いたしておりません。
  31. 田口長治郎

    田口委員長 委員長からも関連してちょっとお聞きいたします。今大蔵省自作農創設資金のワクについて折衝しておられるということは、これは今回の冷害分は含んでいないので、既往の分について九州の豪雨の災害その他で四億円では足りなかったから自作農創設資金を増加しろ、このことに関して官庁自体で一つ必要量を調査した上で数字を出して一つ考えましょう、こういうことであなたの方から現地調査に行かれて、それで集計されたその数字で折衝しておられると思うのでありますが、もしそうだとすれば、冷害に関するものは、それに追加して折衝をしてもらわなければならぬと思いますが、その点はどうなっておりますか。
  32. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話のように先般の四億の割当以外に、現地における要望におこたえする意味で、現地に人を派遣いたしまして調査をいたし、その所要額についての検討をいたしておったのであります。従いまして今大蔵省にはこの検討額について折衝いたしておるのであります。なおあわせて今後この冷害に伴う所要額が判明いたしますれば、それについてももちろん折衝いたすつもりでございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 次に共済金の問題ですが、この点についても官房長から述べられましたか、昨年の北海道冷害の場合には、年内に清算払いが行われて、これに対しては非常に現地の農民は感謝したわけなんですが、ことしの場合には昨年度よりも災害の規模が非常に少いですからして、今から重点的にやってもらえば年内に仮払いとか概算払いというような形でなくて清算払いをしてもらうことも可能だと思うのです。ぜひこれはそのように行なってもらいたいわけなんですが、それにあわせて北海道の場合には統計調査事務所が四つあるわけですね。その四つの事務所において災害等の認定をするわけなんですが、やはり調査事務所ごとによって若干の精査の度合いというものが違ってくることは否定できないわけです。そういう点に対しては昨年もいささか問題があったわけですが、今年度はそういうことの絶対ないように注意していただきたいということを特に統計調査部長にも申し上げておきますが、その場合、この災害の評価基準を下におろす場合において、でき得れば支庁単位の内容を明らかにしてもらいたいという希望が非常に多いわけなんです。この点については今年度の通常国会において災害補償法の一部改正をやった場合においても、これを県内において何地域かに区分した支部単位のやり方を持続するかどうかという点に対しても論議があったわけなんですが、内地府県においてはやはり一県全体を統一した形でやった方がいい。従来の経過から見てそういう方向のようでありますが、北海道の場合には非常に地域が広大でありますので、やはりその特殊性等を考えた場合においては、統計事務所の区域内における支庁単位くらいにその基準を国から示すようにできれば、非常にそれは能率も上るし的確度も強いのではないかというふうに考えられますので、年内の清算払いの問題と基準の取扱いの問題とあわせて二点をお尋ねいたします。
  34. 藤巻吉生

    藤巻説明員 昨年北海道で保険の支払いにつきまして多少問題を起しましたのでございますが、本年はさような点にも考慮いたしまして年内払いが必ずできるようにいたしたいと存じます。それから支庁別にバランスのとれないようなことのないように十分注意いたしてやっておりますので、お話のような結果に相なることと思います。評価基準は私の方で全事務所同一の基準でやっておりますので、それによりまして各事務所で数字を作りますから支庁別にアンバランスのところはないと思いますが、支庁別に私の方で損害評価の額を出すようにということでございますが、道一本で出しましてそれから支庁別におろします作業は、私の方の事務所といたしましてできるだけのことをやりますが、なお支庁別の数字につきましては道の方とも御相談の上でやりたいと思います。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は現地実情に応じたようなやり方をとってもらえばいいと思うわけです。  最後にお尋ねしたい点は、被害農家の冬季間における現金収入を確保させる点ですが、この点に対しましては、先ほど国有林の薪炭林の払い下げ等の問題については官房長からお話があったのでこれは了承しますが、それ以外のいわゆる救農土木等によって冬季間の賃金収入をどうして確保するかという点に対してもやはり対策が必要だと思う。こういう点に対しては前年等の実例もありますけれども、今年度は大体どういうようなことを対象にしておやりになるか。この点は主として農地局等の所管にも関係のある点が非常に多いと思うのですが、具体的に考えられる点があればこの際できるだけ明らかにしておいてもらいたい。
  36. 清野保

    清野説明員 救農土木事業の問題につきましては昨年のいろいろの経験もございますが、現在のところ被害の実態がまだ十分判明しておりませんので、判明次第検討を進めまして、大蔵当局と交渉いたしたいと思っております。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 農地局はまだ全然わからないのですか、どういう被害があるか。同じ農林省内部でどういう被害があるか全然わからないというのはおかしいじゃないか。少しぐらいわかっていると思うのですが、どうですか。
  38. 清野保

    清野説明員 この問題に関連いたしましてわれわれ農地局当局が承知いたしましたのがごく近日でありまして、直ちに北海道開発庁並びに開発局に電報で照会いたしましたけれども、そういう基本的な数字は、たとえば現在やっております仕事がどういう仕事で、残事業がどの付近にどのくらいあるという点が明らかになりませんので、救農土木事業といたしまして賃金を農民に与える、こういう点の計算ができませんので、そういう点も含めて明らかでない。従いましてそういう点をさらに十分調査いたしました上で大蔵当局と交渉いたしたいと思います。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうはこれ以上お尋ねするのは無理だと思いますから、来週月曜日にもう一度災害委員会がある、それまでに完全なものでなくてもいいから、もう少し内容がわかるような説明を願いたいと思います。きょうはこの程度にいたしておきます。
  40. 田口長治郎

    田口委員長 なお委員長から齋藤官房長にお伺いしますが、今までの質疑応答を聞いておりますと、主として北海道対策についてお話があったようでございますが、多少の特殊事情はあるとして、お述べになりました対策北海道外の地方の冷害にも大体そうお考えになっている、かように解釈してよろしゅうございますか。
  41. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御質問の点が主として北海道冷害に対する対策いかんという御質問でございましたので、北海道中心に申し上げているのでございます。考え方といたしましては、従来の例もございますが、大体北海道におけると同じような考え方で処して参りたいと思います。
  42. 田口長治郎

    田口委員長 この際お諮りいたします。議員井手以誠君より発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 田口長治郎

    田口委員長 それでは井手君。
  44. 井手以誠

    ○井手以誠君 私もただいま委員長の話された点は考えておったわけです。質問が主として北海道ではありましたけれども冷害を受けたのは本年の特異の現象として西九州、四国、そういった従来にない冷害対策について実は私ども承わりたかったのであります。本日のうしろに控えておる傍聴者も、開会前に陳情があった西九州高知の方々でありまして、農林省の御答弁は、今後北海道についてこういう対策北海道以外についてはこういう対策だというふうに一つ明確に御答弁をいただきたいということを最初に御希望申し上げておきます。そうでたくては審議に非常にめんどうになります。  本州についても九州、四国についても北海道と同様だというただいまの官房長のお答えでございましたが、それでは薪炭原木などの払い下げ、国有林の払い下げについても同様でございますか。
  45. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど申しました点は、特に北海道からそういう強い要望がございましたので、林野庁といたしまして特にそういうことを考慮して申し上げた次第でございます。
  46. 井手以誠

    ○井手以誠君 西九州、四国についてはどういうお考えでございますか。
  47. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 具体的な御要望についてまだ伺っておりませんので、御要望によりまして、よくまた検討さしていただきたいと思います。
  48. 井手以誠

    ○井手以誠君 農林省には関係県から十分御報告になり御相談もあっておると私は考えております。その点いかがでございますか。
  49. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私の承知しておる限りにおきましては、今、被害農家に対する特別の救済措置といたしまして薪炭林の払い下げという要望はまだ聞いておりません。ただ先般の水害等の場合におきまして、応急的な建築用資材の手配をするとかというような措置については、今後かような事態がありますならば、同じように処置されることは当然と考えております。
  50. 藤本和平

    藤本説明員 ただいまの薪炭林の払い下げに関連いたしまして、官房長が言われましたように、現地の実態を必ずしも把握いたしておるわけではご争いませんけれども、ただいまここへ参りましてお伺いいたしましたような一般的な情勢につきまして、私の方で最近県から話がございまして、薪炭林の払い下げ等につきまして、国有林といたしましては北海道で行われておりますような措置を直ちにとりたい、かように考えております。
  51. 井手以誠

    ○井手以誠君 時間もおそうございますし、また月曜にも小委員会があるようでありますから、多くは申し上げません。農林省でも十分検討なさっておるようでありますから、この次の機会に私はまとまった対策をお尋ねいたしたいと考えておりますので、一つ御猶予をいただきたいと考えております。ただ私が申し上げたいのは、なるほど本年の冷害例年に比べて総体的に少いかもしれませんけれども、ことしの冷害地帯がかつてない九州や四国の西南暖地の一部の冷害であるというところに私は冷害対策の必要があると考えております。従って金額が少いとか、あるいは基準に達しないということだけで救済対策措置に乗せないというわけには参らないと考えております。たとえば先刻来問題になっております予約概算金延納あるいは利子補給の問題、昨年ずいぶん有明海地帯の災害について要望もし、また一部の措置もとられたのであります。それにかんがみて米穀の売り渡し条件も今年は変えられておるようであります。ところがそれによりますと、郡を単位として二割以上の減収があった地区内においてさらに云々というような条件になっておるのであります。しかし、ただいま申しましたように、西南暖地の冷害ということは一市町村においても一、二部落あるいは三部落というように全村冷害にかかっておるというわけには参らないのであります。さらにまた一郡にしても一カ村か二カ村冷害を受けておる。そういうことを考えて参りますと、郡全体では二割に達していないけれども冷害を受けた数部落、数町村については非常な被害にあっておる、こういうことが言えるのであります。従ってただ従来の基準に達しないとか、あるいは売買条件がこうであるとかいうふうな通り一ぺんのことでは工合が悪いと私は考えております。従って私は今日具体的にこれはどうだ、これはこうだということはこれ以上申しませんけれども、そういう意味で特異の災害である。そういう特別の災害に対しての特別の措置、私どもは決して二十八年災害同様の措置をせよというような特別なことは申しません。特にそういう地帯が何とか一カ年分食いつなぎができるような措置が願いたい。私はそういうように包括的にお願いをいたしておきますとともに、先刻お話のありました種子対策冷害を受けることも考えますと、やはり前作の麦の品種の問題も起ってくるでありましょう。また直接種子対策ということもあるでしょう。こういった今後の指導方針をもあわせて次の小委員会にはなるべくまとめて農林省対策を出していただくように今日はお願いを申し上げまして私の質問を終りたいと思います。
  52. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。     午後四時四十一分散会