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本名政府委員 経済白書についての御
批判がまずございました。その
内容については、実は今まで
農林省としてはああいうものを世間に発表いたしまして、御
批判をいただいたことはなかったのでありますが、今日の
いろいろお話がございましたようなことを基盤といたして、
農産物の、特に
食糧増産を初めとして、
増産をはかり、さらに
農家の
経営を安定するためには、何かここらで
農林省として基本的な
考え方を打ち出すべきではないか、そのためには一体
日本の
農業の現況はどうなっているかということを、まずみずからが検討いたしまして、その検討した結果を御
批判いただきたいということで初めてああいう
白書を出して御
批判いただきました。お説の
通りに、実際あの
白書ですべてが言い尽されたというわけではございませんが、少くともあの
白書を
基準にして、何か新しいものを生み出すだけの、新しいことをやり得る
一つの基礎的な資料だけはつかみ得たという進歩があったのではないかと、実はうぬぼれているわけでございます。しかし御
指摘の、さらにその上に立って、一番大事なこと、
五つの
赤信号の中でも、特にただいま御
指摘の
農地の
造成については、これは当然第一に考えられなければならぬと思います。ところがこの
農地の
造成についてはいろいろ隘路と申しますか、
支障があったことは御
指摘の
通りでございます。従いまで五百万
町歩からの
開墾あるいは
可耕地があると考えられながらも、遅々としてその開発が進まなかった。こういう事実もあることはよく
承知いたしております。そこで私は、
経済白書並びにその
白書に基いて打ち出された
政策の
内容については、
大臣から御
説明、御報告を申し上げると思いますが、若干私の主観がまじるかもしれませんが、一応本筋として考えたいことを申し上げてみたいと思います。
まず
土地の
造成については、これは
土地の
行政が今のままでいいか悪いかということが第一に取り上げられなければならないと思います。
農耕適地として考えられます場合に、直ちに
競合する問題は
林野、それから
都市計画に関連する問題、こういう問題がいろいろ起きてくるわけでございますが、基本的にやはり私は
収穫を得る
土地の
利用というものは、これは
林業によらず
農業によらず、実際これは
農民が
土地を
利用する
権利と
義務を持っている。そうするならば、その上に立って
土地の
造成の行き方というものを考えなければならない。このように考えまして、その
土地の
造成についてはいろいろ検討いたしました結果、新
政策の上には
土地の
利用の
高度化ということをうたっているわけでございます。そこで
土地の
農業としての
利用の
高度化を考えますときに、今までのような行き方ですと、なかなか思うように
造成が困難である。なぜ困難かと申しますと、
土地の
利用区分というものは的確になされていない。
都市計画の上からもあるいは
工業地帯にいたしましても、あるいは林地にいたしましても、
水利関係にいたしましても、そういうものが的確になされていないというので、まずこの
目的を達するためには、
日本の
国土の全体の
土地の
利用区分というものを考え、その中に
農業用地としてどうあるべきかということを考えたいのですが、遺憾ながら今のところ
農林省はそこまで手が着いてないので、少くとも
農林省の権限においてなし得る最大のものを
調査いたそうということで、実は官房に
土地の
総合調査機関を設けまして、来年度からこの
計画を推進していきたい、
調査を推進していきたい、かように考えておるわけでございます。この基本的な
調査がなされましたときに、先ほど御
指摘の五百万
町歩というものが果してどれだけ
耕地として可能であるか、あるいはまたそれ以上になるものかということが初めてはっきり現われてくると思います。そうしてそれが
一つのルールとして、
基準としてでき上ったときに、初めて他の
競合される部面との調整を
農林省の
責任においてみずからがはかっていきたい。たとえば
林野との
競合にいたしましても、あるいは
都市計画との
競合にいたしましても、その点から
一つ解決を見ていきたい、そういう基本的な
解決の上に立って
土地の
造成というものを考えていきたい。これがもし従来のように、いわゆる
未墾地がある、
未墾地直ちに
農耕可能地であるというような
考え方だけでなく、それを的確に
裏打ちをしてからそういう方向に進んでいきたい、このように考えまして、特に新しい予算の要求をいたして
土地に対する
考え方の基礎的な
裏打ちをいたしていきたい、このように考えております。