○稻村
委員 それで私実はもう二、三
質問してやめますが、私がいろいろなことを申し上げるのは、さっき申し上げた通り、
防衛庁の悪口をいうためにいうのじゃないのです。いろいろな新聞や雑誌を見ると、実に
日本の
防衛庁というものは困ったものだ、これでは大へんじゃないかという心配から私は申し上げる。それだからこの際根本的に自衛隊を再検討したらどうかとこういうのです。その点は再軍備論者のあなた方でも私は十分に考えなければならぬ問題だと思うのです。とにかく私は今の自衛隊というものは実に時代おくれで、なっていないと思う。こういうことを先ほどは申し上げたのですが、もっとひどいことが書いてある。これも私は悪口をいうためにいうのじゃないのだ。こんなことじゃしょうがない。これもまた週刊読売これを見て初めて知った、特車というのがある。「
アメリカ製の悲劇」というのですが、「この種の、おしきせが生んだ笑えない話を拾えば限りがない。特車のアクセルには足がとどかぬので、ゲタをはかせてあるし、各種の火砲は踏み台がないと計器にとどかない」。こういうのです。「
防衛庁ではこの十月からトラック、ジープの車両類を皮切りに国産品への切替えを行なっているが簡単には片づかない。例えば小銃一丁とりあげても、現在のカービン銃は小男の
日本人には大きすぎるといって、改めてつくりなおすと、試作品で一丁十二万円、量産しても六万円、十八万人の陸上部隊に持たせるには、なんと百八億円かかる。」こういうことが書いてある。なっていないじゃないですか。飛行機もそうです。だから時代おくれの飛行機を——パイロットがないのに飛行機だけを作ったり、さらに全然パイロットのない飛行機を作るとか、こういうふうなむだなことをやめて、根本的に再検討したらどうですか。私は、時間がないから続けて言いますが、非常に進歩した近代的な軍隊というものは、決してクーデターとか政治に関与しないのです。ドイツの例を見てごらんなさい。ドイツの軍隊はあれだけの軍国主義に固まっておっても、第二次大戦のドイツの軍隊は政治に直接絶対に関与していません。進歩せる軍隊はそうなんです。それだから、これも
一つの参考
意見でありますけれども、マッカーサーがああいう非常に偉大な将軍だが、政治の
範囲に品を出した場合にトルーマンが首を切ったのです。これはみんなが認めているのです。ジューコフが首を切られた
事情は知らぬけれども、どんなりっぱな軍人でも、軍の組織によって政治に関与すると、どうしてもナポレオンになるのです。ボナパルチズムになるのです。そうならざるを得ないのです。ジューコフというりっぱな軍人でも、マッカーサーというりっぱな軍人でも。そこで政治が軍の政治関与を押えることに非常に頭をやんでいるのです。こういうふうに近代的軍隊は軍みずから政治に関与しないのだ。これは私はあなた方にいろんな議論を吹っかけて
答弁を要求するためにだけ言っているのではない。しかし近代的軍隊でないやつは常にクーデターを起したり、武器を持って反乱をやったりすることは歴史が示すことです。一部のラテン
アメリカの軍隊とか、非常におくれたところの中近東やアラビアあたりの軍隊というものは、そういうことをやって非常に
国民に不幸を与えている。
日本の過去の軍隊はそうでしょう。宇垣大将が非常に軍から恨まれた。ところが宇垣大将は軍の機械化のために軍縮をやったのです。職業将校を首を切った。それが非常に恨まれて反抗を受けた。そしてその機械化を不可能にして、五・一五事件、二・二六事件を起して
日本の軍隊は非常に政治に関与した。こんなばかげたことはない。実際今どんどん軍事科学が進んでいる。全く軍事科学と
関係ないような時代錯誤の軍隊を作っておって——局地戦なんてあり得ませんよ。自衛隊一万人ふやす必要はありませんよ。
内乱なんか押えるのに一万人なんか要りませんよ。そういう時代錯誤な軍隊を作り上げて——そうなってくると、今度はこれを急転換しなければならない。何とか時代おくれの飛行機を急転換しなければならない。そのときに、さっき言った通り、軍需工場のまず抵抗があり、職業将校の抵抗がある。そういうことになってくるのは必然なんです。そこで私はそういうことを心配して、こんな時代錯誤な、時勢にマッチしない軍隊などはやめてしまって、再出発したらどうか。再軍備論者のあなた方でも、もっと軍事科学の研究の上に立って再出発したらどうか。こんな時代おくれの軍隊は結局どうにもならぬから、そこで転換をやっていく。そうすると不平を持って
内乱を起すとかクーデターを起すとかあるいは政治に介入することになる。その場合
日本の自衛隊は何にも罰則がないでしょう。どうしてこれを押えるか。今は何でもないけれども、だんだん今度はまるで人をばかにしたようなわがままをやってくる。過去の軍隊がやっていた。今そういうことが現にいろいろ現われている。根拠がないのに、どうしても一万人ふやせとか、秘密保護法をどうしてもやれなんということを、自分たちの方から強要し、あなた方に要求してくるでしょう。それをあなたがロボットになってそんなことをやっておったらどうなりますか。これは全く私は困った
方向に進んでいると思うのですが、一体どうしてこういう軍を統制していきますか。軍の統制というのは絶対必要ですよ。
武力を持つ者の集団の統制を誤ったら国を滅ぼすのですから、それはどう考えられますか。