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1957-11-11 第27回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月十一日(月曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 高橋  等君 理事 床次 徳二君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    薄田 美朝君       辻  政信君    灘尾 弘吉君       船田  中君    眞崎 勝次君      茜ケ久保重光君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    木原津與志君       西村 力弥君  出席国務大臣         国 務 大 臣 津島 壽一君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十一月九日  増加恩給及び傷い年金増額等に関する請願(高  瀬傳紹介)(第五五九号)  金鵄勲章年金復活に関する請願薩摩雄次君紹  介)(第六一二号)  恩給額調整に関する請願永山忠則紹介)(  第六一三号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(中  馬辰猪紹介)(第六一四号)  同外八件(永山忠則紹介)(第六一五号)  同(中馬辰猪紹介)(第七八三号)  行政機関職員定員法第二条第一項の建設省職員  の定数改正に関する請願三鍋義三紹介)(  第六一六号)  寒冷地手当支給額改正に関する請願櫻井奎  夫君紹介)(第六一七号)  岩手県の寒冷地手当増額等に関する請願(田子  一民君紹介)(第六一八号)  朝日町の寒冷地手当引上げに関する請願(黒金  泰美君紹介)(第六一九号)  飛行騒音による被害補償に関する請願辻原弘  市君紹介)(第六二〇号)  北海道開発局行政機関職員定員増加に関する請  願(三鍋義三紹介)(第七六二号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当支給に関する法律の一部改正等に関  する請願外十三件(矢尾喜三郎紹介)(第七  八五号)  同外十一件(草野一郎平紹介)(第七六三  号)  同(正木清紹介)(第七六四号)  同(本名武紹介)(第七六五号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第七六六号)  元外地鉄道職員に関する恩給法等特例制定に  関する請願岡良一紹介)(第七八一号)  岩手県の寒冷地手当増額等に関する請願外一件  (北山愛郎紹介)(第七八二号)  内科疾患恩給項症基準引上げ等に関する請願  (辻政信紹介)(第七八四号) の審査を本委員会に付託された。 十一月九日  駐留軍労務者失業対策に関する陳情書  (第一七号)  駐留軍労務者人員整理期日延期に関する陳情  書(第一八号)  金鵄勲章年金復活に関する陳情書外九十二件  (第一〇七号)  小松島港周辺米軍水上機訓練水域設置反対の  陳情書外一件  (第一九九号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件  国の防衛に関する件     ―――――――――――――
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑の通告がありますので、この際順次これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 先回の十月八日でしたか、内閣委員会におきまして、私、岸・アイク共同声明に基いて作られました安保委員会安保条約あるいは行政協定との関連についていろいろ大臣お尋ねいたしたわけでございますが、明快なお答えが願えなかったわけでございます。それ以後本臨時国会が始まりますまで、別にこれといった回答もなかったわけでございますが、今回文書政府意見として回答をいただいたわけでございますけれども、その内容についても私としては非常に不満に思っております。これは単に内容だけの問題ではなくして、時間的な問題としては非常に不満を持っておるわけであります。大臣はしばらく時を貸してもらうならば、権威ある方面から十分納得いくような意見を聞いて答弁をされるというようなお話でしたので、私待っておったのですけれども、そのしばらくが延々一カ月というふうなことでは非常に残念だと思うのでございます。しかし一カ月間もかかっておりましたならば、おそらく十分に総理大臣あるいは外務大臣等とも話し合いをなさいまして、本日は私が納得いくような御答弁が願えるものと考える次第でございますが、まず第一に十分閣内意見統一はできておるものかどうかということについてお答えを願っておきたいと思います。
  4. 津島壽一

    津島国務大臣 行政協定二十四条と岸・アイゼンハワー共同声明関係について、特にアメリカ駐留軍配備使用という点についての御質問について、政府都内のこの問題に対する統一的の解釈というものを、過日書きものによって委員長に差し上げた次第でございます。これが非常におくれたということについては、まことに恐縮に存じております。書面で差し上げるということ以外に、あるいは当委員会が開催されたならば、臨時国会前といえども、政府解釈を申し上げるというように考えておりましたために、文書による回答がおくれた次第でございます。その点はまことに恐縮に存じておる次第でございます。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私がお伺いしているのは政府見解としてこのような文書回答をいただいたわけですが、単にこの文書をまとめて回答としてこちらに持ってきたというだけではなくして、十分この問題については政府部内の意見統一ですか、集約ですか、そういうものがなされておるということですかというお尋ねをしている。
  6. 津島壽一

    津島国務大臣 これは内閣側法制局長官、また外務省側の者が主になりまして、こういった解釈をすべきだろうという意見一致したわけでございます。もちろん防衛庁側としてもこの解釈に同意をいたしておるわけでございます。そういった意味において関係省意見をまとめたものでございます。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私がお尋ねいたしましたのは、こういった技術的な問題というよりもやはり政治的な角度から尋ねた部面が非常に多かったと思うのです。特に総理大臣が再三国会において、あるいは国民に向って言明しておった安保委員会性格というものがどうもふに落ちないという角度からお尋ねしておったわけでございますので、法制局やその他そういったところの事務的な意見を幾ら聞いても、これは答弁にならないわけなんです。私あなたに、岸総理外務委員会でこういうお答えをしている、内閣委員会ではこういうお答えをしている、これと食い違うではないかということをただしたわけでありますが、それではこの問題について総理にお会いになって、総理の真意をお伺いするというようなことは一度もやられなかったわけですか。
  8. 津島壽一

    津島国務大臣 当委員会における質疑応答の状況は総理にも私から直接報告し、また外務大臣にもこのことは私から報告いたしました。その結果として関係者において協議したのでございまして、法制局長官と言ったのは、これはただこういったものに対する法制的の考え方があるだろうというので意見を徴したという次第でございまして、その意見であるという趣旨ではございません。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは明快なお答えが願えるものと考えますので、お尋ねをいたします。この間の私の質問に対する答弁を読んでみまして非常に問題なのは、一番肝心なところを実は答えていないわけなんです。最後の三行にまとめてあるわけでございますが、「共同声明にうたわれている「使用について」の「協議」は第二十四条の場合以外でも行われるのであって」ということであるが、この二十四条の場合以外にどういう場合があるかということをお尋ねしているわけですが、この点御説明を願いたいと思います。
  10. 津島壽一

    津島国務大臣 それにお答えする前に一応問題の一点だったと思いました共同声明における駐留軍配備及び使用という問題は、行政協定の二十四条のこの緊急事態に処する日米両国政府間の協議という問題とは別のものであって、これは共同声明によって何ら影響を受けない。従って日米安保委員会においてこの二十四条に該当するようなことについては協議課題にならぬ、こういう点は御了承願ったと思います。すなわち緊急事態は二十四条でいくのであって、それには関係のない事項において共同声明に基き日米安保委員会協議をする。ともに協議でありますけれども、その範囲が違っておる。それ以外の問題で配置使用に関したことを協議するのである、こういう点はこの前も申し上げたと思いますが、その点はここにもまた明らかにされている次第でございます。しからば二十四条以外の事項日米安保委員会において協議目的となるべき配置または使用について、またそれがあとう限りの方法においてというようなことにつけ足しの言葉もございますが、それは何であるか、今のはこういう御質問だったと思います。これは米軍日本におけるという字がございますから、日本における使用配置についてはあまり御質問がなかったように承わっておりますが、使用の場合だろうと思うのです。使用の場合は、これは今後起るべきいろいろな場合を想定して、これにも協議すべきことであるという原則が立てられたわけであります、共同声明において。それを受けて日米安保委員会任務がそれをも含むということでございます。これは具体的の例を言えば今後どういうことがあるかということは、これは具体的の事例によってこういう場合があり、またこういう場合は協議すべきだということになるかと存じます。たとえばこれはほんの一例でございますが、日本における米駐留軍哨戒というような、これは緊急事態に処するための行動ではない、そういったような場合にこれは勝手にやるかというと、こういう方法でやろうという場合にもやはり協議目的になるだろう、こういうようなことは一つの例でございます。今後どういうものが起るか。起るにいたしましても、ここには日米安保委員会にこのことを協議するというような任務が与えられている、こういう解釈でございます。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 哨戒などという苦しい御答弁でございますが、私はそういうのはこじつけだと思うのです。この岸・アイク共同声明あるいは安保委員会設置に関する共同発表というものに盛られております配備使用というのは、やはり安全保障条約第一条に使われております配備使用を私はそのまま受けてこなければいかぬと思う。御承知と思いますけれども、安保条約の第一条には明らかにこの配備使用という字句が使われている。まず第一に配備の問題ですが、「平和条約及びこの条約効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」この「配備」だと思う。それから使用はそのあとに書いてあります。「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模内乱及び騒じょう鎮圧するため日本国政府明示要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」この安保条約の第一条にそれぞれ配備使用という字句が使われている。私はこの言葉をそのまま受けて岸・アイク声明ができたと思いますし、そうしてこれに基いて安保委員会というものが設置され、その審議すべき事項の第一にやはりこの配備使用の問題が掲げられてきたと思う。そう解釈するのが一番すなおですよ。飛行機で哨戒する、それも使用には間違いございますまい。しかしその程度の問題をぎょうぎょうしく共同声明の中に織り込むとかあるいは安保委員会の審議の事項の第一に掲げるとかいうようなことは常識的にも考えられないと思う。私はそういう意味で納得できません。しかもこれは九月二日の日に私総理大臣質問をしている。今私が述べたような見解の上に立って質問をしているわけです。どういう質問をしたかと申しますと、結局在日米軍使用することができる場合というものは、安保条約の第一条によって三つある。その第一は「極東における国際の平和と安全の維持寄与」するため、このために在日米軍使用できる。それからもう一つは「一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模内乱及び騒じょう鎮圧するため」、これには条件がついている。「日本政府明示要請」という条件がついております。それから第三に「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するため」、この三つの場合にのみ在日米軍使用することができるとこの安保条約で規定してあるわけです。ところがこの内乱騒擾鎮圧の場合だけが日本政府明示要請を必要とするのであって、「極東における国際の平和と安全の維持」のためとかあるいは「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するため」とかいう場合には、安保条約の第一条だけを読んでいくと、米軍が勝手に在日米軍使用することができるという解釈になる。これではおかしい。ここにまた日本国民日本隷属性ということへの批判も出てくるのであって、その批判が非常に苦しいので何とかしてもう少し平等なものに、アメリカが勝手に在日米軍を自由自在に動かせないようにしようという意図のもとに、岸さんわざわざアメリカに行ってアイク大統領意見を交換して、その結果共同声明が発表された。その共同声明内容を読めば、また岸さんの説明を聞けば、直ちに条約改訂というところまではいかぬ、これはアメリカのいろいろな事情もあっていかぬけれども、実質的にはここのところを安保委員会で話し合って、そうして両国意見一致を見なければ勝手に動かないようにずる、規制するという実質運用の面で自主性を獲得したのだ、とこう言って内外に宜明しているんですよ。そう解釈するのはおかしいですか。まずそこからお尋ねいたします。
  12. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。冒頭の部分でございますが、安保条約第一条を御引用になって、これには配備及び使用という文句があるから、それをそのまま文句または内容においてともに安保委員会課題にする、こういうようになるのじゃないかというような質問だったと承わります。これは私はその見解解釈を異にしております。安保条約第一条は、外部から日本に対しての武力の行使があった場合に、使用について協議するという建前で、その実行方法行政協定の二十四条にあるわけであります。従って共同コミュニケに書かれたところのこの「使用」と、安保第一条の「使用」というものとはその範囲内容が違うと思うのでございます。従って第一条に「使用」とあるからこれを全部安保委員会議題に供するとなると、行政協定二十四条はこのあと共同コミュニケによって改廃されたという問題が起るわけでございます。従って安保条約第一条の「使用」というものは行政協定二十四条によりましてどういう手続でやるかということを書いたものでございまして、同じ文字でありますけれども、その対象が違っていると思います。なおまた全般的な問題でありますが、日米安保委員会というものができましたのは、この日米間における問題として特に緊切である点、すなわち行政協定二十四条以外の場合においても配置及び使用の問題が起れば、これはここで協議しようという特殊の申し合せでございます。でありますから「使用」という文字はありますけれども、対象となるものは違うという点は御了承願いたいと思うのでございます。  次の第二点と思いますが、しからば日米安保条約における「極東における国際の平和と安全の維持寄与」するための軍の行動についてはどうなるかという御質問でございます。もしそれが日本における使用配備というようなものに関すれば具体的の事例はどういうものであるかはわかりませんが、そういった場合には日米安保委員会に諮るということになっておりますが、これはどんな事態が起るかということは、まだ十分に検討を遂げておりません。従って日米間の今回の問題については、主として日本に関する限りにおいての問題を議するということであって、それが内地の配置にかかわるというような場合には、おそらくこの日本における駐留軍配備という問題であれば、日米安保委員会協議の目標となる。もちろんここにあとう限りにおいてというような例外的なことはございますが、そう解釈すべきでありましょう。  もう一つ最後に御意見があったかどうかわかりませんが、この日米安保委員会任務と申しますか、協議すべき課題は、必ずしもこの安保条約そのものの中にある字句を使った場合もなくて、最後の第三の課題のごときは、両国民の所望及び願望によって両国間の関係調整するようなことも協議したらどうかというようなことがあるのです。     〔委員長退席床次委員長代理着席日米安保条約には意見調整というようなことがございません。従ってこの委員会というものは、両国友好親善関係を増進するものである。起るべきいろいろな問題についてこういったいわゆる課題に相応したものは一応ここで協議しよう、政府間の交渉ではない、これは有益であろうという見解から、こういった意見一致を見て現に委員会が発足した、こういうように思うのでございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はそこのところが岸総理の再三の言明と大いに食い違うと思うのです。岸総理がわざわざアメリカに行って、アイゼンハワー大統領と話した、そのときの話し合い主眼としておったのは何ですか。そして国民がまたそのときに岸総理に期待しておったのは何ですか。これはこの不平等条約改訂という問題なんです。岸さんもこの問題に一番真剣に取り組んでおったはずなんです。問題は何とかしてこの安保条約不平等条約である、だからこの不平等条約を平等なものにしたいという国民の熱願の上に立って、岸さんはアイゼンハワー大統領話し合い、そして直ちにその改訂問題は片づかなかったけれども、その改訂のかわりとして、この安保委員会というものを作ったということを再三言っているじゃありませんか。実際に条約条文を改正できなくたって、運用面日本自主性を十分に生かすようなことをやっていけば、それで不平等性というものは幾らかでもなくなるということを再三言明していらっしゃるじゃありませんか。この間も私速記録で何度も岸さんの弁明を読み上げてみました。きょうあらためて読み上げてもいいのですが、そのことは今さら読み上げなくたって、大臣にしても、ほかの各委員にしてももう印象に残っておると思う。岸総理が渡米に当って一番主眼を置いたのは、不平等条約改訂なんです。ところがこれはどうしてもすぐにはできない、なぜできないかという質問に答えてアメリカのいろいろな事情がございます、これはもう繰り返し繰り返し言っている。それじゃ何にもならなかったのじゃないか、国民不平等条約をもう少し平等なものにしろと言っている、そのことは何もおみやげがなかったのじゃないかといわれるのがつらいからかどうか知りませんが、とにかくいやそうじゃない、改訂はできなかったけれども、安保委員会というものを作って、実質運用の面でこの平等性というものを持たせていくのだ、条文ではアメリカが勝手にできるようになっておるけれども、実際運用面ではそうはいかないようにするのが安保委員会の使命なんだ、こういうことを何度もおっしゃっている。そうすると当然この安保条約の第一条の、いわゆる国民が不平等だと言っている問題についての論議が安保委員会でなされ、かつ条約をこえた形で運営されるということでなければ、岸さんはうそを言ったことになりますよ、われわれに対しても国民に対しても。あなたは総理うそを言ったんだということを肯定するような答弁をなさっている。少くとも安保条約の第一条のこの配備が、アメリカの勝手きままにできるという問題、それから在日米軍使用の問題において、いわゆる内乱騒擾鎮圧以外の場合には、アメリカが勝手にできるという、ここに不平等性がある。この不平等性を是正するために安保委員会というものができた、こういうように解釈するのが正しいのじゃありませんか。その点に限って一つお答えを願いたいと思います。
  14. 津島壽一

    津島国務大臣 日米安保委員会設置ということは、日米安保条約改訂をやることが現実の問題として具体化しなかったという事実、これにすぐかわるというか、そういった方向に向けるべくいろいろな隔意なき意見の交換を行う場面として考えられたことは、第三項の議題がこれを現わしているように思います。すなわち委員会性格が、そういった見地からある面において改訂を行う委員会であるといったところまではっきり出てきておらなかったのは、あるいは御期待にそむいているかもわかりません。しかしながらこの委員会というものはだから従来よりも後退したというような御意見がもしあれば、私はこれは公正な判断でないと思います。この点において私は総理改訂も今日はできなかったということを率直にお認めになっておるようでございます。これはだんだんそういった方向に向けるということでありまして、そのままを述べておると思うのでありまして、ここに何らの粉飾はないと私は思っております。また私としましてこの安保委員会というものは、そういった日本国民願望に沿うべく委員会としては大いに努力をしていくものだ、こう思っておるわけでありまして、ただいまお述べになりました質問中に現われました御所見のうちには、これは足らざるところありという点は、平等、対等という立場から見て平等、対等を完全にここにかち得たとは私は申し上げられぬと思いますが、その方向に向けるべくこういった組織も一歩前進である、こういう見解を私は持っておるわけであります。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではなぜわざわざ実行可能なきという字句を入れておるわけですか。
  16. 津島壽一

    津島国務大臣 これは例外的の場合あるいは緊急の事態もあるかもわからぬといったような考慮に基いたものだと思います。しかしながらおそらく実際の運用については、こういった文句があるから、ことさらに協議を避けようというような事態を私は考えておりません。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 例外的な場合というのは、今おっしゃったように緊急の場合ですか。
  18. 津島壽一

    津島国務大臣 おそらく想像されることは、協議のひまもなかったといったような事態があった場合、こういうことだろうと思います。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どういう場合ですか、その緊急の場合というのは。
  20. 津島壽一

    津島国務大臣 そうなりますと、これはどうも法律的な解釈の問題になるようでございまして、あとう限りという場合は例外的の場合を想定したものだ、例外の場合はどうか、緊急の場合だろう、緊急の場合はどうだ、こうおっしゃってくると、なかなかそういった具体的の事例をここに申し上げるだけの能力は私にはございません。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣が答え切れなければ私が答えましょう。その緊急の場合こそ行政協定の二十四条ではありませんか。これ以上の緊急の場合がございますか。二十四条には「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合」これが一番緊急の場合ですよ。こういう場合には協議ができるのです。協議しなくてはならないのです。これ以上の緊急の場合があり得ようはずがないではありませんか。そうとするならば、わざわざ実行可能という言葉を入れたというのは、これは意味が通じませんよ。
  22. 津島壽一

    津島国務大臣 今の行政協定二十四条の緊急事態ということは、これは説明申し上げるまでもなく日本に対する直接の侵略またはその脅威が起った場合、これは二十四条の規定によって、この場合あとう限り協議するという建前じゃないのでございます。共同コミュニケの場合におけるあとう限りというのはおそらく緊急というと、事実上不可能な場合を想定しただけで私は質問したのであって、二十四条の緊急の場合はかけられるから、ほかの場合でも全部かけられるだろうかということになりますと、これはおのおの想像の問題になるのですが、二十四条の場合の緊急は絶対でございます。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、二十四条で今私が読み上げたような、日本区域内において敵対行為または敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、安保委員会にはかからぬ、こういうわけですか。
  24. 津島壽一

    津島国務大臣 その点はたびたび申し上げたと思いますが、二十四条の場合は、安保委員会でなくて、両国政府の直接の協議になるわけです。日米安保委員会政府の者が入っておりますが、単純なる協議機関であるので、決定機関ではないわけであります。政府がこの協議の結果がいいと見れば、正式の経路によって両国間が交渉するという建前委員会でございまして、二十四条の両国政府というのは、これは直接責任者が政府を代表して協議する、こういう建前でございます。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、表現は異なりますが、安保条約の第一条の、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために、在日米軍使用する場合、これは安保委員会協議するのですか。
  26. 津島壽一

    津島国務大臣 安保委員会はそういった手続が今できておらぬわけであって、二十四条があるから、安保条約第一条の場合の適用するその措置を講ずる場合は、安保委員会にはかからぬわけでございます。かかるかかからぬかわかりませんが、かけるべき義務は相互にないわけでございます。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、安保委員会協議する内容というのは何ですか。一体哨戒とか演習とか、そういうようなことについて協議するというだけですか。
  28. 津島壽一

    津島国務大臣 配備の問題は非常に重大だろうと思います。しかして使用もここに付加してあるわけであります。それで安保委員会任務というか、協議事項というものとしては当面において重要なのは、配備の問題が一番大きいだろうと思っております。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこではっきりと岸総理答弁と違ってきたわけですが、九月二日でしたか、私は岸総理質問をいたしました。大切なところですから、ちょっと読みましょう。私は総理大臣にこういう質問をいたしました。今のことですよ。大臣ははっきりと、安保条約の第一条の外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために米軍使用する場合には、安保委員会にかからないとおっしゃいましたけれども、総理は明快にかかるとおっしゃいました。私の質問は、「今の日米安全保障条約によれば外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために米軍使用することができるとなっておる。これは何も日本政府のいわゆる明示要請を必要としないということになっておるのです。日本が危険だとか安全を脅かされたとか考えなくても、極端にいえばアメリカ日本が危険だからといって戦争状態に訴えるようなこともできる、そういう幅を持った条約になっておる、これが」番根本じゃないかというのです。これを直さなければあなた方が非難しているハンガリーの問題だって非難できませんよ。日本が危険だから助けてくれと言わないのに、アリカは日本を守るためにという名のもとに自由に軍を動かせるというような、非常なでたらめな条約は私は許されないと思う。国民の一番叫んでおる平等性というものの究極はここにくると思うのですが、この条文も、今の日本の状態がほかに憲法を改正するとかなんとかということなしに、あるいはアメリカのバンデンバーグ決議というものか何か知りませんが、こういうものが現存する限り、こういう情勢の中で果して改正することができるのかということをお尋ねしておるわけです。」こういう質問をしたのに対して、総理大臣は、「今度の合同委員会では、第一に日本国内におけるところの兵力の配備使用を含めて、安全保障条約からするところの各般の問題をここで協議するということになっております。従いまして日本に駐屯しておるところの兵力を、今言ったような意味において用いる場合においては、当然合同委員会において話し合いをしていくということになると思います。条文上、あなたがおっしゃる通り、今の現行の条文は一方的にそういうことを決定するのは、アメリカだけの考えでするという条文になっておることは御指摘の通りであります。従って根本的にいえばやはり改訂しなければならぬけれども、改訂には困難があるがゆえに、現実の問題としては日本を無視してやるということはないというのが、今度の合同委員会の趣旨でございます。」はっきりこうおっしゃっております。あなたの今の御答弁総理大臣答弁は明確に異なっておりますが、これはどういうことですか。
  30. 津島壽一

    津島国務大臣 総理大臣答弁速記録で読みました。総理行政協定二十四条の両国政府協議を除外する、またそれを含んでここでやるとも言わず、またそれにかわるべきものであるというような発言も、答弁中にはなかったように思うのでございます。従って、この法律上の解釈あるいは共同声明に対する解釈から申し上げれば、二十四条そのものを廃して全部ここへ持ってくるという趣旨が、御答弁のうちにはなかったように読んでおるのです。なおまたこの答弁の中にあったという文句は、安保条約に関して生ずる問題ということは、これはこういった二十四条以外において安保条約からいろいろ生ずる問題というものもあり得るから、これは委員会協議課題の中に入れてあるわけでございまして、二十四条のような場合はこっちへ移ったのだという、私はそういった意味の積極的の答弁ではなかったように解釈いたしたのでございます。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はあなたの解釈を聞いているのではないのです。私は総理大臣に明確に安保条約第一条を引例して質問しているのです。いわゆる「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」と今の安保条約第一条でなっておる。これは日本政府明示要請を必要としない、アメリカの方で勝手に日本があぶないと判断して米軍使用することができるということになって、まことにおっかないから、こういう問題についても今度の安保委員会協議をするのでございますかと質問したら、その通りだと言っているのですよ。これだけのことなんです。あなたは今明確にそういう問題は安保委員会では協議しませんと言うのですから、これほど食い違いのはっきりした問題はないじゃありませんか。
  32. 津島壽一

    津島国務大臣 政府統一解釈として、総理を含んでこの問題についての意見は書き物で差し上げた通りでありまして、私も政府の一員としてはこの書き物が正当なるまた有権的な解釈、こう判断しております。それによってお答えしておるわけでございます。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは大へんなことですよ。それでは岸総理がこの間私に答えたのはでたらめであって、今度のこの半ぴらが正しい答弁だ、これを認めたということなんですか。岸さんいつの間にかそういうふうに態度を豹変されたのですか。しかもこの文書による回答の中にはもう一つ重大な問題を含んでいる。何かといえば、「安全保障条約に基いて両国政府が合意して定めた行政協定第二十四条の規定が、共同声明というような形式で変更されるものではない」と断定し切っている。これは私は共同声明というものと直接結びつけておらない、共同声明に発して設置された安保委員会協議、決定事項という問題については、この間も質問しているのですが、そういうものは結局安全保障条約に基いて両国政府が合意で定めた行政協定に優先しない、こういう回答もしている。これも前言を翻しておりますよ。岸総理大臣は——同じく私の質問あとで飛鳥田委員質問しておる。これはどういうことかというと、実質的には改訂以上のことが運用面でやれるのかという飛鳥田委員質問に対して、その通り御了承になってけっこうですと言っておる。二つの点において総理大臣は食言をやっておりますが、私はこれは重大だと思います。やはり当初の予定通り総理大臣の出席を願います。
  34. 床次徳二

    床次委員長代理 ただいまの問題は理事会において相談したいと思います。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ちょっと休憩して下さい。
  36. 床次徳二

    床次委員長代理 今ほかの質問を続けて……。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いえいえ、それはやれません。この重要な問題をたな上げしておいて、一カ月間時間をかしているのですから、ちょっと休憩して下さい。
  38. 床次徳二

    床次委員長代理 暫時休想いたします。     午前十一時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  39. 相川勝六

    相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件を議題とし、質疑を続行いたしますが、この際閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。御承知の通り国会法第四十七条第二項の規定によりまして、委員会は議院の決議で特に付託された案件について閉会中もなおこれを審査することができることになっております。当委員会といたしましては、閉会中もその審査を進めて参りたいと存じますので、閉会中審査案件を議長に申し出ることとし、その案件といたしましては一、駐留軍関係離職者等臨時措置法案、一、国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法律案、一、大蔵省設置法の一部を改正する法律案、一、国家公務員法の一部を改正する法律案、一、内政省設置法案、一、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案、一、内政省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、一、防衛設置法の一部を改正する法律案、一、憲法調査会法を廃止する法律案、及び一、行政機構並びにその運営に関する件、一、恩給及び法制一般に関する件、一、国の防衛に関する件、一、公務員の制度及び給与に関する件といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  なおその手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  42. 相川勝六

    相川委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。閉会中におきまして行政機構並びにその運営、自衛隊、駐留軍基地及び公務員制度等の実情を実地に調査するため、各地に委員を派遣したいと存じますので、議長に対し承認方を申請いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  なお派遣委員の選定、期間、派遣地等、並びに申請書の提出手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  45. 相川勝六

    相川委員長 それでは、これより国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。稻村隆一君。
  46. 稻村隆一

    ○稻村委員 私は今、日本の自衛隊は根本的に再検討しなければならぬと思うのです。私は軍事専門家でもないし、科学者でもないですから、軍事科学の知識は全くの小学生なんです。そのくらいの知識の者でも、新聞や雑誌を見て、今日の自衛隊の行き方について、非常に私は日本のために憂慮にたえないのです。そこで長官に私教えていただくという意味で御質問申し上げるのです。これは私は長官をやっつけるとか何とかいう能力もないし、そんな気持もありませんが、一つ小学生に教えるつもりで、率直に御答弁を願いたいと思います。  まず第一に私は、今日の軍事科学の段階は、もう空軍の時代が過ぎて、ロケットの時代に入ったことは間違いはないと思います。もっと率直に言えば戦闘機とか、爆撃機とかいうようなものは必要なくなったんじゃないですか。その点長官の御意向を聞きたいのです。
  47. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問は、近代科学兵器の進歩に伴って、空軍のごときもロケットを中心として、爆撃機その他の飛行機のごときも、その必要がなくなった時代にきたんじゃないか、こういう点だろうと思います。それで、これは単に空軍関係だけの問題でなくて、全体の防衛の体制というものに関連のある御質問と承わったのでございます。なるほど今日の科学の進歩による、究極兵器といわれるまでの進歩を見たということは、まことに驚くべきことでございます。しかしそういったものができたために、在来の兵器とか飛行機を含んで、艦船または陸上部隊等が必要ないんだというような判断は、まだ早いのではないかと考えるのでございます。その意味において、こういった時代になってからも、諸外国の防衛体制において、在来兵器あるいは通常兵器を持ったこれらの各種の部隊というものは、なお役割の大きいものがあるというのが、一般の見解だと私は承知しており、現に責任ある軍当局、権威者においても、そういった意見が発表されておる、こういうように思うのでございまして、なるほど今後の情勢に即応した種々の研究、開発、装備の改善といったことは、もちろん必要であって、現状そのものがいいという趣旨ではございません。ただ空軍、飛行機も従来型のものに改装したものであっても、この時代はもうだめだというようなことは、実際に当る者としては、そういった観念で防衛をやるということはまだその段階、時期でない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  48. 稻村隆一

    ○稻村委員 これはスエズ戦争の一年前ですが、一九五五年の五月、ソ連のジカレフ空軍元帥が、航空戦略に関する考察なる。パンフレットを書いております。これはソ連で五万部売れたそうですが、各国で翻訳されております。それによりますと、彼はこういうことを言っている。戦略爆撃機は廃物となった。それは金と時間がかかり過ぎる。戦時には人員と物資の消耗が、たえられぬ負担となる。その上人員の補充と燃料の補給のほか、膨大にして複雑、かつ脆弱な地上組織というハンディキャップがある。大陸間ロケットはそれに比べて短期、簡単、かつ安上りにできる。その速度と射程は爆撃機より大きい。地上の人員や組織も少くて済む。そして発射基地は地下に作られ、カムフラジュすることができる。こういうことをスエズ戦争の一年前、一昨年すでに大胆に言ってるわけです。ところが一年後にスエズ戦争が起ったときに、ブルガーニンはロケットでもってロンドンを攻撃すると言ってどうかつした。その結果これで英仏が撤兵したことは、アメリカの方でもはっきりそういうことを言っております。とにかくICBM、人工衛星等で今は地球のいかなる地点に対しても原水爆の攻撃が可能になったということは、はっきりしてるわけです。西欧でもそういう議論が前からあった。たとえばアメリカの軍事評論家のハンソン・ボールドウィンは、陸上基地の戦略空軍というものは、これはもうだめだ、とにかく移動のできる基地でなければならぬ、こういうことを言ってるんです。それでノルウエーの空軍雑誌で、ヨルゲンセンという中佐ですが、ソ連の爆撃に対抗するためには陸上の空軍の爆撃基地などは問題にならぬ。基地の最も安全なものは移動性のあるものでなければならぬ。たとえば航空母艦やロケットの発射装置を持つ原子力潜水鑑または巡洋艦によって、ソ連と対抗しなければならぬ、こういうことを言ってるわけです。ところがこれも最近の話を聞きますと、地球の反対側のやつもテレビでわかるそうですが、これも実際は価値なくなってるのかもしれませんが、地上による戦略空軍はだめだということは、ソ連だけでなく、西欧の軍事評論家も言っておる、この間の八日のアイクの演説はまさしくそのことを実際言ってるんです。長距離弾道兵器は現在のところでは、わが戦略空軍の攻撃力と阻止力を無意味にするものではないと弁護しておりますが、しかしソ連のICBMロケットに対抗するため、アメリカは海外基地によるIRBMを活用すれば大丈夫だ、こういうことを言ってる。これはすでにアイクは戦略空軍の弁護をしながら、戦略空軍はもう力がない、無力になったということをみずから語っておるのです。そういたしますと、これはどこの人々も、軍事専門家も、戦略空軍の時代が去ったことは、これは実際認めておるわけであります。飛行機など今日の戦争においてまだ非常に将来性を持つ、あるいは現実においてまた非常な力を持ってるというようなことは、これは私はちょっと間違ってるんじゃないかと考える。  そこで、これは時間の関係上続けて申し上げますが、今日のこうした時代において、ミサイルの時代において、爆撃機の滑走路を拡張するというようなことは、およそこれは無意味なんです。そのために砂川なんかで青年が監獄に入れられたり、農民が土地を取り上げられて血を流したり、日本国民がお互いに血を流し合うような、こんなばかげた話はないんだ。率直に申しますが、こういうことをお考えになって、もうああいう基地の拡張のようなばかげたことはやめられたらいい。現にアメリカではやめている。新聞などを見ると、空軍基地拡張の中止命付を出したということが出ております。これは当然の話なんです。ところが新聞を見ると、今度は防衛庁が、アメリカがやめればこっちで拡張をやるんだというようなことを言っている。私はこれは実に愚の骨頂だと思う。どんな石頭の人でも、すでにそんな爆撃機基地の拡張をやる必要のないことはわかり切っているはずなんです。わが聡明な防衛当局にそれがわからぬはずがない。はずはないけれども過去の戦略にとらわれているのです。こういうことはよくある、戦争の歴史を見ればわかるのです。新しい武器を使うなどというときには軍事専門家はいつも反対する。たとえば第一次大戦に戦車を使おうというとき軍事専門家は反対をした。それをチャーチルが軍事専門家を押えて無理に採用したのです。第一次大戦後のフランスは伝統にとらわれて古い戦略に立っていた。一方ドイツは軍備も何もない、飛行機も戦車も与えられなかった。それが新しい科学にマッチした新しい軍隊を編成したものだから、ドイツの方がずっと進んじゃった。日本も裸になったが、裸になったからかえって都合のいいこともあるのです。過去の経験にとらわれないで自由に研究ができる。私は再軍備反対ですが、軍事科学の研究は差しつかえないと思う。大いにやればいいと思う。それを他人の糟粕をなめて飛行場の拡張をやり、日本国民がお互いに血を流すようなばかなことはおやめになったらどうですか。その点を私ははっきりと防衛庁長官からお聞きしたいと思うのです。
  49. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。ごもっともの御意見だと拝承したのでありますが、現実の問題ということも同時に考慮をしなければならぬ点が多いと思います。ロケットによるミサイルの発達が将来の装備関係に変更を与えるということは全然同感でございます。しかしながらこういった新式の武器が非常に発展したところにおいても、これだけにたよって防衛するかという問題は各国共通の問題だろうと思います。こういう新式の核兵器なり超音速のミサイルといったようなものを持っている国においても、陸海空軍また空軍の基地その他のいわゆる今日までの防衛の体制はなお保持しておるというのが現状でございます。これは各国の予算をごらんになってもわかるわけでございます。こういうものを廃止するといったことは、将来はどうなるかわかりませんが、現実の事態また近き将来において、これが無用であると各国の防衛当局は考えないだろうと思うのでございます。その点において仰せのごとく科学技術の進歩による新しい時代に即応するような体制に切りかえるのはけっこうなことだと思います。先ほどのお話にもありましたように、たとえばロケット弾による、あるいは核兵器による攻撃あるいは防備というものが非常に効果的であり、またそれが経費においても節約されるということにも同様の関心を持っているのでございますが、それをでかすまでの科学技術のために費した金、設備といえども膨大なものになっているわけでございます。だからできたものは、一個のロケットは安くできるかもわかりませんが、これを作るためにどれだけの人員を使い金を使ったかということで、それらに投資した資本、費した資金は莫大なものであり、これはいろんな観点はございますが必ずしも安上りだというところには私はまだいかぬだろうと思います。これは資金の問題でございまして今の問題とはかけ離れた問題でございますが、そういった観点からも考えまして、わが国の防衛の上からいけば、こういった事態に善処するだけのあらゆる手段は考えなければならぬ。けれども大体わが自衛隊の整備の方針というものは、今日まで一貫して国力、国情に応じて最小限度の国を守るだけの体制を作り上げていこうという基本方針でございます。この基本方針から今これを変更して、この時代に全然自衛隊は必要ない存在であろうといってこれをどうするかという問題については、内容の問題なら別でございましょうが、基本的にこういった整備の目標に改変を加えるということを決定するのは、あまりに時期が早過ぎるのではなかろうか。これはアジア諸国をごらんになっても、こういうところには新式の科学兵器は少いわけです。ヨーロッパの国においてもそれが多いのでございます。でありまするから、どうしてもここに世界の全体を見て、平和外交によってこういったような究極兵器といわれるようなもの、その他のもの、原水爆はもちろん、これを軍事の目的に使わないようにすることが非常な大きな外交問題である。これは外交上の問題でございますが、しかしながらそれがどういったことになるかということは今後の推移に待たなければならぬのですけれども、同様の装備をここに作らなければ無意味だと割切ってしまうのは、現実の事態に対してはまだ時期としてまた方法として考慮する問題ではなかろうかと考えている次第でございます。
  50. 稻村隆一

    ○稻村委員 それでは、これは小さいことを言うようですが、私どもの方なんかでも、新潟の飛行場の拡張が今問題になっているのですが、これは非常にわれわれに重大な関係があるのですが、空軍基地の拡張をアメリカがやめても自衛隊で引き受けてやられるのですか、その点を率直に聞きたいのです。
  51. 津島壽一

    津島国務大臣 空軍の飛行場の問題でございますが、わが国は非常に少いのでございます。そういった部面の配置を考えまして、日本海面においてある程度の滑走路を持った飛行基地をもっと運用できるというようなことが必要だという方針で参ったのでございます。  今の具体的の新潟の分をどうするかということについては、自衛隊としてはその希望を持っておりますが、しかし実行の段階については私は地元民のいろんな意向その他も考え、これは慎重に検討すべき問題であると考えている次第でございます。
  52. 稻村隆一

    ○稻村委員 とにかく飛行場の基地はこういう時代には私は必要ないと思いますが、やはり従来通り拡張されるのですか。
  53. 津島壽一

    津島国務大臣 米駐留軍の撤退により、またそれを使用しないことになった場合に、でき得る限りはこれを自衛隊に引き継ぐというような考え方は持っております。これはどこの基地はどうと申し上げる段階ではございません。しかしながらある一定の飛行機の基地と申しますか、滑走路を持った航空の基地といったものは、最小限度必要なものについては実行しなければならないということに相なるわけでございます。  場所の問題は、さっき申し上げましたように、慎重に考慮しなければいかぬ問題でございまして、そう数は多くやるわけでございません。最小限度においてやるという方針で参っているわけで、個々の場合についてこういう問題は十分検討しなければならぬ問題であると考えている次第でございます。
  54. 稻村隆一

    ○稻村委員 引き継ぐということをお聞きしているのではないので、新しく米軍がやろうとしてやめたところ、まだ実行してないところも実行するのですか。今のお話しでは実行するというのですね。
  55. 津島壽一

    津島国務大臣 今仰せになりましたのは、具体的の問題だろうと思うのでございますが、これは基地としては非常に大切なものだという場所的の関係その他からいって、しかしながら、これを現実にすぐ実行するかどうかというお話しのように承わりますが、それは先ほどお答えいたしましたように、十分地元のお方々の意向も徴し、その上で具体的にものを進めたいというので、これらについては慎重に考慮いたしておるということが現状であります。
  56. 稻村隆一

    ○稻村委員 これは質問でなくて議論になりますけれども、せっかく今まで既定方針を進めてきたのだから、費用その他の関係でこれをやめるのはどうも困る、こういう御意見のようなんですがね。そこに私は大きな誤謬があるのじゃないかと思うのです。たとえば、ソ連とアメリカですけれども、これはむろん軍事工業力とか力からいえば、アメリカは石油の生産だって、鉄の生産だってソ連の何倍であるということは子供だって知っている。なぜソ連が進んだかといえば、これは簡単な理屈だと思うのです。というのは、ソ連は実力を持っているのじゃない。ソ連は必要生産だから、時代おくれのやつはスクラップにしてしまうのです。それで別なものを作っちゃうのです。ところが、アメリカは利潤生産なものですから、これは全体主義とか、共産主義とかいうむずかしい議論をすればいろいろ議論になりますから、そういう言葉は使わぬですけれども、利潤生産というものは、かりにどんないいものとわかっていても、たとえば航空会社が承知しないとか、それを背景にしておる政治家が承知しないということになるのです。それでおくれてしまう。軍備は浪費ですから、必要の前には大胆にこれを切りかえていかなければならぬのです。これはあとで私は申し上げますけれども、そんなあなたのおっしゃったような、今までやってきたからどうだ。現実に必要だが、急に転換するのは非常に不経済だというふうな議論にとらわれて、そして防衛の方針をやっておったら、時代おくれになることはきまっておる。ちょうどソ連とアメリカのような格好になる。そういう点を考えて、だれが考えても、今日もうちゃちな飛行機なんて用をなさない。あとで御質問申し上げますが、だから今の自衛隊を根本的に改めていくことを一つ考えていただきたい。これは私の意見ですから、答弁の必要はありません。実は私は飛行機のことも知らないのですからいろいろお聞きしたいのですけれども、私は最近週刊読売やその他を見てびっくりしたのですが、それでお尋ねするのですが、ワシントン六日発AP電報によると、こういうことが出ておる。東京からの報道によれば、日本政府は来年歩兵一万人分の装備オネストジョン、各種誘導弾、戦車、航空機を含む近代兵器の供給を米国に要請した、こういっておるのです。これは航空機のことはいずれだんだん質問しますが、最初ミサイルの問題をお尋ねしたいと思う。こういう事実があるのですか、それをお聞かせ願いたい。     〔委員長退席床次委員長代理着席
  57. 津島壽一

    津島国務大臣 その問題は、私の就任前、昨年の夏ごろかと思います。アメリカからの供与の装備等に関連して、四、五のミサイルを研究のために日本に供与できないか、そのような申し入れがあったようでございます。しかし、この問題は、今AP電報の報ずるところは、最近にこういった申し入れをしたというような電報の趣旨であるように承わったのでありますが、この事実は、もしありとすれば、おそらく昨年の初めか、一年半か二年前に、そういったような事実があったということを私は承わっておるのでございます。そういう事実でございます。
  58. 稻村隆一

    ○稻村委員 七月二十九日、アメリカ空軍参謀本部の将校と、海軍技術本部の将校と二人が来日して、秘密兵器のコーポラル、スパロー、ファルコン、ラスカル、ボマーク等各種の小型誘導弾の青写真を持って来たというのです。これは去年の秋あたりから、誘導弾の研究試作のため、見本または青写真を売るか貸すかしてもらいたいと、日本側からアメリカ軍事顧問団に申し入れてあった。ところがアメリカ側は、日本側は軍事機密を守るための法律がないからといって渋っていた。ところが岸首相が渡米後、アメリカの態度が急に変った。そうして概略RSだけでも見せようということで持って来たというのです。秘密保護法ができ次第精密な青写真なり見本の現物なりを貸してやろう、こういう情報があるのですがね。これは事実ですか。
  59. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまのは、私としては承わっておりません。承知しておる事実は、ただいま申し上げましたように、昨年の夏ごろか、前半でありましたか、研究開発といったような意味で、四、五種のミサイル、いわゆる誘導兵器でありますが、これの研究のために供与を受けたいという申し出をした、こういう事実を知っております。その後は何らこれについて積極的の措置を講じておらぬ。少くとも私在任中は、そういう事実はなかったということをお答えする次第でございます。
  60. 稻村隆一

    ○稻村委員 六月相馬原で行われた国産誘導弾は失敗に終りましたね。そのあとアメリカから持ってきたRSを囲んで猛烈な訓練研究を始めた、こういうことを週報に書いております。こういう事実はほんとうにないのですか。
  61. 津島壽一

    津島国務大臣 今のは技術研究所で試作をしておるロケットでございます。それの試射を相馬原でありましたか、やった事実がございます。これは単純なるロケットの研究でございます。これは先月富士の演習場で試験をいたしました。これはちゃんと回収し、その実験に成功したという事実がございまして、ロケットの研究試作というものを技術研究所においてかねてから行なっておる、こういう問題だろうと思いますが、あるいはお話の点と私の今申したことが違うかわかりませんが、私の承知しておるのはそういう問題でございます。
  62. 稻村隆一

    ○稻村委員 実は私は防衛庁の内情も何も知らないのですが、防衛庁技術研究所というのがありますか。——ところがこの技術研究所の秘密報告文書の中に、昭和三十四年度末までに実戦に使用し得る国産誘導弾を生産する予定であるが、それには秘密保護法の早急な制定と核兵器弾頭の供与が絶対必要な条件であると思うと言った、こういう報告書をあなたの方へ出しておるはずですね。これは間違いなく出しておるはずですよ、これはどうですか。
  63. 津島壽一

    津島国務大臣 それはどういう文書に載っておりましょうか。私はそういった文書を見たこともなし、記憶に全然残っておりませんが……。
  64. 稻村隆一

    ○稻村委員 これはやはり日本週報に出ておるのです。日本週報に五島勉という人ですが、この人が「アメリカの敗北と防衛庁に躍る怪美人」というようなことを書いておる。
  65. 津島壽一

    津島国務大臣 取り調べます。しかし私としては今申し上げましたように、そういった文書を出したという事実を知らないし、見たこともない。よく調べますから……。
  66. 稻村隆一

    ○稻村委員 これはどうもうそに思われないのですが、あなたの方でもよく調べて下さい。ところが昨日の東京新聞の夕刊も書いておりますが、防衛庁事務当局が秘密保護法の制定を要求したところが、長官がまだあいまいだ、こういうふうなことがきのうの東京新聞の夕刊に出ておりますね。私はもし防衛庁当局が秘密保護法の制定を長官に要求しているということであれば、ゆゆしい問題だと思うのです。私この前内閣委員会で、秘密保護法を制定する意思があるかどうかということをあなたに質問したでしょう、そうしたら適当な時期にこれを制定したいと思うというふうなことを言っておられたでしょう。これは防衛庁当局の要請がなければ、あなたがあのような答弁をされるはずがないじゃないですか。ここに今速記録を持っておりませんけれども、秘密保護法の制定はしなければならぬと思うと言ったはずじゃないですか。これは防衛庁当局が要求したのでしょう、要求しなければそんな答弁をされるはずがない。岸首相も必要だと言っておりましたね。
  67. 津島壽一

    津島国務大臣 秘密保護法の問題については、当委員会において質問がありまして、お答えしたことを記憶いたしております。要約すれば、もし将来かかる兵器を譲り受けた場合には、当然秘密保護法を必要とするかというような御質問だったと思います。私はこれらの兵器の供与を受けるといった場合には、秘密保護法が——受けるとすればですよ、先方はそれなくしては供与しない、こういうものでございますから、必要あるだろう。しかしながらこの問題はそういった部面からのみならず、全体を考えて十分に検討すべき問題だということをお答えしたわけであります。今の段階においても、大体前会ここでお答えした通りの考えを持っております。
  68. 稻村隆一

    ○稻村委員 じゃ、まだあなたのお考えははっきりきまっておらぬわけですな。
  69. 津島壽一

    津島国務大臣 検討中でございます。
  70. 稻村隆一

    ○稻村委員 そこでまた私の意見になるのですけれども、大体秘密なんていうものは、自分が一つの最高の軍事技術を持っているとか、あるいは一流の軍事技術を持っておるとかいう場合に初めて秘密は役に立つのです、必要なんです。ところが日本はそんなものは全然持っておりませんよ。持っておらないのに何で秘密にする必要があるか。むしろ秘密にしては悪い場合があるのじゃないですか。アメリカから変なロケットのようなものの青写真をもらってきて何か製作をする、だから秘密保護法が必要なんだと考えたら、これはとんでもない時代錯誤の考えなんです。これは後塵を拝するだけですよ。現にアイゼンハワー大統領の演説にも、マクマホン法を何とか廃止しなければならぬと言っているじゃありませんか、それが要するに西欧とアメリカの技術の交流を妨げた、おくらせたと言っているじゃないですか。とにかく自分が世界で一番最高の技術を持っておったときに初めて秘密というものの価値が出てくるので、おくれているときになぜそんなものが必要か、これは時代錯誤もはなはだしい。昔の軍というものは、ここに辻君もおられるけれども、全くくだらぬことを秘密々々ということにして、かえって軍の機密という名のもとに進歩をおくらせたが、それが現にアメリカにも出てきている。だからアメリカでも、アイゼンハワー大統領はこの国会にマクマホン法をやめるよう提案したいと言っているのです。またかって一昨年あたり国防次官補であったミサイルの専門家のファーナス博士も、ICBMでも人工衛星でもアメリカの方が早く完成できたはずだ、ところがアメリカでこれがおくれたのは、国防省の重大な過失、政府の重大な過失でおくれたのだと言っている。というのは、ソ連は科学者の粋をどこからでも連れてきたが、わがアメリカは科学者に愛国心を強要したように科学者の忠誠を疑った、たとえばオッぺンハイマー教授などを追放している、こういうことが人工衛星とかあるいはICBMをおくらせた原因だと言って反省しているのです。そういうことを反省しているときに、一体日本が何も秘密を持たないのに、アメリカから妙な時代おくれのミサイルの青写真をもらってこれを製作する、そこで今度は秘密保護法を制定しなければならぬという、こういうばかな考えを持つからこそ学問の進歩をおくらせるのです。これは科学の問題じゃないです。実際今の日本はほんとうの基礎的な軍事科学の研究をすることが第一で、われわれは再軍備反対であっても軍事科学の研究は幾らやっても差しつかえないことだと思うのです。たとえばそのうち原水爆の禁止ができますれば、この軍事科学の研究はそのまま平和利用に応用できるのですから、それをこんなばかげたことをやっている。私はあなたにこの前も言ったのだけれども、日本の憲法では言論、集会、出版の基本的人権を法律をもって制限できないことになっている。ところがあなたは公共の福祉に対する面では、秘密保護法も制定できるという議論なんです。こんなことは全く憲法の曲解なんです。というのは言論の自由をどろぼうやすりや強盗などと一緒にして、公共の福祉を害するということで制限されてはたまらない。第一憲法に抵触するのです。平気で憲法をじゅうりんして秘密保護法などを制定したらかえって害ありで、そういう考えでもってどうして新しい時代に処して自衛隊の再編成ができるか。その点どうですか。
  71. 津島壽一

    津島国務大臣 ちょっと聞き漏らしたと思いますから念のために申し上げておきたいと思いますが、現在もすでに昭和二十九年に秘密保護法というものは制定され、今日実施されておるわけです。その内容日米相互防衛援助協定その他船舶貸与協定とか、供与された物資で秘密保護の必要あるものについて適用する法律が現にあるわけでございます。全然今まで何もないということではなしに、これはあるという事実だけを申し上げておきます。  それから第二に、最近の事態において米大統領または英米の首脳部会談から発展して、その中にマクマホン法の制限緩和という問題にもお触れになっておるのであります。あの趣旨は、私が考えておりますところを申しますと、これは権威ある解釈というわけではございませんが、あれは従来原子力を利用するに当って、アメリカ一国の内部で保有すべきものであって、外部に対してはこれは機密であるというような法律の趣旨からできておるのがマクマホン法でございます。その後、原子力の平和利用については除外して、各国にも情報をやろうというようなことで、この改正が四、五年前に行われたわけでございます。今回の改正というか緩和という趣旨は、SEATOの諸国であるとかNATOの諸国であるとか、こういうものもこの法律に制約されて、情報の交換その他技術の交換等も不可能であるから、アメリカがすでに開発し持っておるものすらも、英国その他のNATO諸国にもやれない、これを緩和しようというのであります。この緩和の意味は、とにかくこれは秘密をとって、だれにでも見せるという趣旨の改正ということが問題になっておるとは思いません。英当局あるいは軍事当局に対して、こういった情報をやって開発を促進しようという趣旨でありまして、今ちょっと伺っておりますと、あたかもマクマホン法の改正は、全般の機密を一般人に広げて、機密をなくしてしまおうという話し合いがあったということには、私は了解しておらぬわけでございます。でありますから、各国ともこういう事態に応じて、技術の開発、科学の研究を促進し、共同の体制をとっていこうという時代にあって、その方法としては、今まで機密保持を自分の方だけに限ったものを、もう少し必要なる範囲に情報その他を出そうという点にある、こう読んでおるわけでございます。その解釈の相違から、あるいは日本はこうではないかという御議論があったようでございますが、その点は私の受け取っておるところとはちょっと違うように思います。全体に対して機密をなくしようといったことで共同の声明が出たという趣旨には解しておりません。
  72. 稻村隆一

    ○稻村委員 それはむろん、全体に対してだれにでも秘密を開放するという意味ではないでしょう。その点は、あなたの言う通りかもしれぬ。しかし、自分が最高のものを持っておるときには秘密も意味があるだろうけれども、日本のようなおくれた国が、何でも秘密秘密といって学問上の自由を奪うようなことをやったらだめだと言うのです。だから前にもMSAの問題で秘密保護法のようなものはあっただろうけれども、またさらに作るというようなことは意味をなさないのじゃないか、そんなことは必要ない、そんなことをやれば、だんだん学問がおくれてしまうと言うのです。それを私は言っておる。そのことはもうこれくらいでやめておきますが、とにかく私が防衛庁当局に申し上げたいのは、外国の後塵を拝するような——むろん参考とするのはいいけれども、そんなものを持ってきてちゃちなものを作るのはやめてもらいたいのです。日本の学問だって進んでいます。学問としては進んでいるのだから、数学だって世界で一番だし、理論物理学だっておくれていないのだから、あらゆる学者を集めて、そうして基礎的な研究をしたらどうか。そうしたら時代に適合できる、そう言っているのです。私は第一次大戦のときのドイツの例も言ったのですが、そういうふうにやってもらいたい。そうして今のような時代錯誤なやり方をやめてもらいたい、こう言うのです。それを私は希望を申し上げるだけだから、御答弁の必要はないです。  その次に、私は飛行機のことについて質問を申し上げたいのですが、実は飛行機の知識は私は全然ありませんから、雑誌に出ているものを見て、こんなことがあっては大へんだということで御質問を申し上げるのですから、これもやはり率直に御答弁願いたいのです。  今自衛隊で使っている戦闘機、これはF86Fという飛行機ですね、これはどういうふうになっているのですか。アメリカから買っているのでか、それとも国内で生産しているのですか。これも実は私は知らないですから、率直にお尋ねするのです。
  73. 津島壽一

    津島国務大臣 F86Fという飛行機のことだと思いますが、これはアメリカからの供与を受けたものもございます。また、大部分は国産ということで、現にそれは一定の計画のもとに内地で生産中のものでございます。
  74. 稻村隆一

    ○稻村委員 その飛行機は、普通一航空団には飛行機五十五機に六十四人のパイロットを必要とする、こういうことが週刊読売に書いてあるのですが、これは事実ですか。
  75. 津島壽一

    津島国務大臣 私から答弁申し上げるよりは、その方の担当の政府委員からお答えした方が正確でいいだろうと思いますから、お許し願います。
  76. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 F86Fの塔乗員と機数の関係でございますが、今お話しになりました数字は、一応アメリカの米空軍の採用しておりまする諸元を採用いたしまして私の方で立てました計画によった数字でございます。
  77. 稻村隆一

    ○稻村委員 やはり同じ週刊読売に出ているのですが、北海道へこの間だれかが行ったときのことですが、この飛行機が二十機に対して。パイロットが十三人しかいなかった、こういうことが書いてありますが、それは事実ですね。
  78. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 この機会に、現在のF86Fの飛行機の数及び。パイロットの数の問題について御説明いたしたいと思います。  現在F86Fは二百二十機ございます。このうち第二航空団、これは千歳でございますが、この第二航空団にあります数が二十四機であります。七十七機が浜松の第一航空団、十五機が同じく浜松にございます整備学校、一機が浜松の実験航空隊、それから補給処にございますものが四十五機、整備中のものが五十八機。最後の五十八機のうち四十八機は三菱にございまして、あとの十機は九州の築城にございます。パイロットの数は、十月中旬におきましても五十五人でございます。この五十五人に対しまして、現在学生として入っております者が四十四名、十一月に入りました者が数名、六、七名でございます。年末におきましては、操縦者の養成の終ります者が約百八名というふうに考えております。それから、本会計年度末におきます在隊の学生数が六十五名というふうに考えております。
  79. 稻村隆一

    ○稻村委員 この飛行機ですか、よく落ちるのは。しょっちゅう落ちているのです。乗り手がないなんて新聞に出たのですが、それはF86Fなんですか。
  80. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 F86Fにつきましては、今年になりまして浜松で三回であります。
  81. 稻村隆一

    ○稻村委員 こういうふうなことは、これはよほどあなた方の方からよく考えてもらいたいのです。さっき言った通り、五十五機で六十四人のパイロットが要るというのでしょう。そうすると、今二百何十機か全部であるうちに、パイロットは五十五人しかおらない、学生とまたいろいろなのがある、こういうのですが、つまりパイロットが足りないのでしょう。実際上足りない。週刊読売によると、乗り手がないのに、今度はF100とかF104とかいうものを新しく製作することにして、それをもう何か注文したようなことを書いてありますね。これは一体どういうわけですか。乗り手がない飛行機を作っている、これはどういうことなんです。F100とかF104とかいうものは、これはもっと性能のいい飛行機だそうですね。F104なんというのは、人間が乗る飛行機のうちで一番最高のものだそうです。まだF86Fの。パイロットも十分でないのに、どういうわけで今からこんなものを注文するのです。その内容をちょっと聞かして下さい。F100とF104とかいうものは私はよくわからないのです。
  82. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 F86Fの現状においての御説明を先ほどいたしたわけでございますが、これにつきましては、パイロットの方も逐年養成の計画ができておりまして、今アメリカから供与を受けております百八十機と、国内で生産をしておりますのは月産八機くらいの割合になっておりますが、これとを合せて考えまして、三十二年度末におきましては、六十数機の過剰になる見込みでございますが、三十三年度末になりますと五十機くらい、三十四年度末になりますと十四機くらいの過剰になり、三十五年度くらいでは大体バランスがとれるか、少し足りないというようなことになるような計画を立てておるのであります。このF86Fは三十四年で生産が打ち切られる予定になっております。新しいF86の次の飛行機のどれを生産するかということが現在問題なのでありますが、新しい機種の生産に入りますためには、二年ぐらいの準備期間が必要なのでございまして、三十三年度にどの機種を採用するかということを決定いたしましても、第一機が出て参りますのは約二年後になるわけでございます。飛行機も世界各国を通じまして逐次発達をして参りますので、F86Fの次に作ります飛行機は、より性能のいいものをわれわれとしては持ちたい希望を持っておりまして、現在どの機種に決定するかということを熱心にやっておるわけであります。
  83. 稻村隆一

    ○稻村委員 まだF100をやるかF104をやるか、きまってないのですか。
  84. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 まだ決定になっておりません。
  85. 稻村隆一

    ○稻村委員 いずれこれは決定して三菱か川崎に注文するのでしょう。     〔床次委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 新機種に関連いたします事項は、まだ機種そのものも決定いたしておらない段階でありますので、もちろんどういうところに注文するかということも決定になっておらないわけであります。
  87. 稻村隆一

    ○稻村委員 ではまだこれは全然きまっておらぬわけですね。近いうちにきめるようなこともないわけですか。この週刊読売を見るとF100が採用されれば新三菱重工というふうに書いておりますが、これはどうなんですが。ほんとうにそういう話はないのですか。
  88. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ただいま申し述べましたごとく、決定をいたしておりません。私どもといたしましてはなるべく早い機会に御決定を願いたいとは思っております。
  89. 稻村隆一

    ○稻村委員 とにかくこれもまた意見になりますが、大体F86Fのパイロットもまだ十分でない、足りない。三十五年になったら充足する、こういうときに、F100とかF104とかいうものを今から計画して新しく生産するなんていうことをもし防衛庁が考えておるならばやめてもらいたい。実除国民の血税をしぼって、一度こういうものを注文して軍需工場を膨脹させると、実際問題としてやめられなくなるのです。そこに私は非常に困った問題が起ると思うのです。もう飛行機が要らなくなった、こういう飛行機はだめだ、ミサイルの前にはおそらくこんなものはだめですよ、ミサイル防衛になるのだから、実際上中距離ミサイルならば音速の十倍でしょう。戦術的なものでも音速の三倍を持っておる。こういうときにこんなものがだめなのはきまっておるじゃありませんか。そういうものを注文して軍需工場を膨脹させるとやめられなくなる。やめようとすればいろいろな政治上の問題が起きてくる。そこで軍需工場、資本家と軍人がいろいろな不平を起したり政治に関与したりする原因になっておることは、過去の日本の軍隊の歴史を見れば明瞭にわかるのです。なかなか転換できない。アメリカだって同じことなんです。こういうミサイル防衛時代においてこんなものを作ることは、辻委員がこの前言ったようにやめたらいい。これが日本防衛のために一番安全なんです。こんなものはすぐだめになるにきまっておる。そんなことはあなた方わかるはずなんです。私は軍事上の知識は何にもない、小学生と同じことですけれども、そんなことは常識的にわかるのです。そういうものを作って、要らない金を使って、今度スクラップにできないから内乱に必要だ、こんなものが内乱に必要であるはずはない。内乱にこんなものが要るはずはありませんよ。こんなものを作って、あとでのっぴきならぬようにしないように、防衛庁長官はよく考えてもらいたい。事務当局がどうあろうともやるのは政治が決定するのですから、あんなものを作るのはやめなさいよ。これはどうですか。
  90. 津島壽一

    津島国務大臣 御意見として承わっておきます。
  91. 稻村隆一

    ○稻村委員 それからいろいろな不合理があるわけなんです。これも私しろうとで全然わからないのです。新聞や雑誌を見てびっくりしたのですが、実際日本の自衛隊は全く要らない金を使って、僕は何にもならぬことをやっておると思うのです。たとえばこれはやはり週刊読売に出ておる。自衛隊の持っておる自動車は、師団単位で千百五十台あるそうでありますね。日本の悪い道路を走らせると、沼津へ最初のものが着いたときに、最後のものは東京をようやく出る勘定になる。一日の行進力がわずかに二十キロだから旧軍隊の徒歩の行軍と同じなんです。これも私はとんでもないむだだと思うのです。M4戦車というものがあるそうです。七十六ミリの大砲を持つ、重量が三十三トンだという、日本にはそれに耐える橋がない、こういうものに六百一億も予算を出して作っておるわけなんです。一体こういうことをする必要があるのですか、これが実際どこかまた海外派兵を予定して、そうして局地戦に参加するという予定なら別として、こんなものは全然使われぬじゃないですか。どうしてこういうふうなことをやるのですか。そういう時代錯誤的ないらない金を使うのをやめなさい、私はそういうのです。どうですか長官、こういうことは全くむだをやっていますよ。こういうことはむだだと思わぬですか。
  92. 津島壽一

    津島国務大臣 御指摘の点ですが、これはよほど具体的の事実を引用になったようでございますが、今の前の場合は、沼津から東京まで一本の道だけを走るとか、そういったような場合を想定してこれは何分かかるというような計算かもわかりません。これはよく調査いたします。  それから道、橋が日本の全体として悪いということはこれは全く同感でございます。しかしこれらも今持っておるものが、使用できないというほどのものではないように思っております。そういった点において、非常に活動がおくれるということは、これは国情との関係においてあるわけでございまして、そういった事態に応じても、最善を尽してこれを運営していくということが必要だろう、こう思う次第でございます。
  93. 稻村隆一

    ○稻村委員 私はあなたや自衛隊の当局を何もあげ足をとっていじめたりするためにやっているのではないのです。こういうふうな古い考えで再軍備計画を進められては全くだめなんです。国費を乱費して人民を苦しめて何にもならぬことをやっている。過去の軍部と同じことをやっている。それを私は言うのです。だからこれはもう少しほんとうにまじめに考えてやってもらいたい。あなた方の方もまじめに考えているかもしらぬがなっておらぬ。この間もこれは自民党のあれですが、与党の国防部会で陸上自衛隊が一万人を増員するということに反対しているでしょう。それは防衛庁当局としてはどうしても一万人ふやしたいという、こういうことも実際はこれはだれだって当然のことです。今陸上自衛隊なんかをふやす必要は常識的に考えてもないはずです。それをどうしてもふやす、それはどういうわけでしょうね。防衛とか軍事科学を扱う人は、一番進歩的、新しい科学を理解していなければいけない。より新しい立場に立っていなければならぬのです。これは時代おくれのものをやったって何にもならぬのです。それを無理にふやそうという、陸上自衛隊なんというものを……。こういうことはどう考えるのですか。ちっとも僕はまじめに日本の国防を考えているとは思われないのです。これは一体どういうわけですか。どういうふうにお考えになるのですか。
  94. 津島壽一

    津島国務大臣 今の問題は陸上自衛隊を将来増強するということについてどう考えるか、こういう御質問と受けとります。それで自衛隊の中で、陸、海、航空と三つのもの、これについておのおのこれを整備していくということの必要を非常な検討の結果、国防会議においてもそういった政府の目標というものは一応決定したわけでございます。その目標の達成の段階として陸上自衛隊をある程度増強する必要があるという結論に達しておるわけでございます。それを具体化するために来年度においては概算要求をいたしまして、これから政府としての御検討を願うということでございます。なぜこれが必要かということになりますと、元来日本の全体の陸上自衛隊の配置から見まして、北辺または西部、中部という、大まかに見まして非常に配置が手薄のために、あるいはその装備の上においても不完全であるために、自衛のためにも最小限度必要と認むる数量に達していないという見解でございます。これは一々こまかく申し上げる段階でないと思いますが、そういったような方針でせっかくわれわれは検討した結果、そういった計画を、今大蔵省のあたりで御検討願っておる、基本的な将来にわたって、三十五年度までのこの程度は国力に相応し、また国情に応じて必要なる限度をここに作り上げていこう、整備しよう、こういう方針になっておるわけでございます。
  95. 木原津與志

    ○木原委員 関連して。今長官は自衛隊の配置が完全にできておらぬのだ、均衡を失しておる向きがあるのだ。このため増強しなければならぬというような御趣旨の発言がございましたが、自衛隊の配置ということになれば、何か目的がなければならぬ。目的なしに配置をするわけはない。そうすると、一体その自衛隊の配置は何を目的にしておるのか、どこかに侵入するおそれがあるという敵国を仮想して、その仮想のもとに配置をする。その配置が不完全だということだろうと思うのですが、それならばあなたにお尋ねしますが、現在日本防衛体制というか、あるいは自衛隊の体制というか、どこか仮想敵国を作ってそれに対する配置を考えておるのかどうか、その点をちょっとお伺いします。
  96. 津島壽一

    津島国務大臣 言葉が足りなかったと思いまするから、ただいまの御質問によって補足したいと思います。交通機関その他非常に不便なところは、常時配置を多くするという考え方で今やられております。仮想敵国ありや、こういう御質問がございましたが、それは想定いたしておりません。ただいかなる直接の侵略ある場合においても、また間接の侵略ある場合においても、国の独立と平和というものを守らなければいかぬ。この国民の生活に大きな動揺、不安感がないような配置にしたい、こういうだけのことでございます。
  97. 木原津與志

    ○木原委員 そういう意味配置ということは私どもも了解できるのだが、具体的には、国内に内乱の可能性があるとか、あるいはどこか外からの侵略があるとか、そういったようなものを仮想せずに軍の配置というようなことは、あなた方軍事専門家が言われるはずはないと思うのです。われわれしろうととしてはそこのところが一番不安なんです。一体盛んに軍備を強化する、自衛隊の増強をするというような状態ならば、一体そんなら国はどこかから外敵の侵入について今さしあたっての問題があるのじゃないか、またはそれがないとすれば、国内の事情の中からそういう内乱というような危険性があるのじゃないか。だから自衛隊の増強ということを軍事専門家であるあなた方が急ぐのだろう、こういうように私どもは考える。だからあなた方の今さしあたっての増強目標というのが内乱に対するものか、あるいは外敵からの侵入というものに対するものか、もしそれが外敵だというならば、一体どこの国が現在の世界情勢の中で日本を侵そうとするおそれのあるものであるか、それに対抗する措置をあなた方が考えておられるか、それが明らかにならなければ、むやみやたらにこういうものを——憲法上われわれは自衛隊というものを認められぬという立場に立っているのだが、既成事実としてこういうものができておるが、その中でも一応そういったような増強があるということになれば、何かそこに具体的なものを説明がなければ納得するわけにはいかないのであります。
  98. 津島壽一

    津島国務大臣 重ねて申しますが、仮想敵国を想定して自衛隊の増強というものは考えておりません。また間接直接の侵略あるいは内地の治安の撹乱とかいったようなことに対処して、そういった事態が万一起った場合においても、ふだんからそれだけの訓練をしておかないと、急に人を集めていろいろなことをやるということは、これは実行不可能なことでございます。そういう意味においてわれわれは、先ほど申しましたように、仮想敵国という目標でこれだけは絶対必要だ、こういうような考え方ではなくて、万一起るべき直接、間接の侵略、国内治安の維持という見地から、最小限度に自衛のためにこれだけは必要だろう、こういう算定をいたした、こういうのでございます。丁
  99. 木原津與志

    ○木原委員 間接侵略とおっしゃるその治安上の問題に備えて主としてやられるというような御趣旨の説明と承わりますが、その点についてわれわれはそういうような不安が一体どこにあるかということで、さらに長官にもお尋ねしたいと思うのでございます。関連質問でございますから、長く問うわけにいきませんからこの程度にいたしますが、ただこういうことだけ私はお尋ねしたい。あなた方が外敵の侵略を仮想して、そのために自衛隊の増強をはからなければならぬという意味ならば、あなた方にもう一ぺんさらに考慮し直していただかなければならぬ段階に来ているのじゃないかと思う。御承知のようにミサイルの時代に入って、大陸間弾道弾が飛んで、人工衛星も現在空間を飛んでおる、こういうような状態の中で、今あなた方が企画しておられる自衛隊で、これが国土と国民を守るのだというようなことは、もうすでにナンセンスじゃないかと思う。この点についてはあなた方はそれも認められる。認められておりながら、なおかつ自衛隊の増強をされるというについては、これはまた必要に迫られる何かの理由が私はなければならぬと思う。その何かの理由というのは一体あるのかないのか、率直にその理由を説明していただいて、そしてそれによって自衛隊を増強することがどういう意味において具体的に国の防衛に役立つかということを、あなた方当局者から率直に忌憚のない意見をここで吐露していただきたいと思う。
  100. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいままで申し上げたところで、自衛隊設置並びに整備の問題は、ほかに何らか背後にあるという問題じゃないのです。率直に私は今までの御答弁を申し上げたわけであります。
  101. 木原津與志

    ○木原委員 それならばこう解してよろしゅうございますか。自衛隊を増強するというのは、外敵からの侵入によるいわゆる戦争からの防衛という意味ではなくて、主として国内の治安確保のためにのみこの増強の必要があるのだ、こういうように解釈してお聞きして差しつかえありませんか。
  102. 津島壽一

    津島国務大臣 先ほど来お答えしたのですが、直接というのは外敵の意味でございます。間接侵略並びに治安維持というような意味でございまして、間接侵略のためのものだけであるというように了解していいかというのは、私が申し上げたのとちょっと違っておるように思います。先ほどの答弁が私の考えでございますから、御承知願います。
  103. 木原津與志

    ○木原委員 今のお答えはちょっと明確を欠くところがありますから、もう一回重ねて答弁願います。
  104. 津島壽一

    津島国務大臣 重ねて申し上げます。自衛隊の任務は、自衛隊法の第三条にはっきり書いてある通りでございまして、これには私が今まで申し上げました直接、間接侵略というのに対処するということと並びに必要に応じて公共の秩序の維持、こういうことでございます。先ほどのお問いの中には、間接侵略に対するために増強するのであるかというようなお問いがございましたから、そういう意味ではございません、こう申し上げたわけでございます。
  105. 木原津與志

    ○木原委員 直接侵略にも対抗する意義があるのだとおっしゃるならば、今日直接侵略ということになりますと、日本は御承知のようにアメリカとの体制に結ばれておるのでございますから、自由諸国からの攻撃を受けるという段階には現在ないというても差しつかえないと思う。そうなると、結局これと対抗的な立場をとっておる共産圏からの侵略の危険というものをあなた方は仮想しておられると思う。そうすると、その共産圏から攻撃を受けるということになれば、初めから原爆とかあるいはミサイル、大陸間弾道弾というような形になってくるかどうか、そういうことはわかりませんけれども、勢いのおもむくところ、もし戦争という手段に訴えれば、結局大陸間弾道弾が飛んでくるということを期待しなければならぬ。一体そういう場合の国の防衛措置、こんなものはそのまま歩いてくるのだ、歩いてくるやつだけに対抗するという意味じゃなかろうと思う。今ごろだれも鉄砲かついで、機関銃引いてのこのこ日本に歩いてくる国、そんな侵略の方法で来るようなものはないのだ。そんなばかなことを考える人も私いないと思う。そうなると、そういうような今の大陸間弾道弾で来るというような場合の自衛ということを、一体具体的にどういうふうに考えられておるか、その点を最後に御説明願いたい。
  106. 津島壽一

    津島国務大臣 これ以上は非常に答弁にも苦しむのでありますが、そこは一つ見解の違う点があるかもしれません。私どもはどこの国を目当てにどうだということを今すぐここで考えておるという趣旨ではございません。それで御了承願いたいと思います。それを私どもはどうしても平和——ことにICBMとかああいったような究極兵器は軍事上の目的に使うべきではないという見解は、私は国民の輿望であると思う。従って国連においてもすでにこういったような大気圏外において、ミサイルは平和目的以外には使用しないという決議案も、決議されておるわけでございます。また、新聞情報でありますからこれは私は確かにどうであるということを確めたわけではありませんけれども、これは各国ともこういうものをすぐ全面的に戦争に使う、こういうことは反省すべき世界の世論のバックというものがあると思うのでございまして、七日のフルシチョフの演説というか、その中にも外部から攻撃を受けなければこういったものは全然使わぬといったような演説もあったかと思うのでありまして、それらのことを考えてすぐわれわれがほかの部隊というか、それが絶対必要ないという結論までは——実際問題としては、どうも防衛の責任がとれぬということを申し上げるほかはないと思う次第でございます。
  107. 稻村隆一

    ○稻村委員 陸上自衛隊を一万人ふやすという今の長官のお話では、これは戦争をやるためではない、万一の場合のためにふやすのだ、こう言われておるのでありますが、これはどういうことですか。陸上自衛隊を一万ふやしたって、そういうことはないだろうけれども、かりにソ連や何かがやってきたときに、何の役にも立たないわけです。ミサイル戦争ですから、こんなものは何の役にも立たない。そこで局地戦が朝鮮とかどこかにある、こういう場合でなければ一万人の兵隊は必要ないでしょう。外敵を防衛するためには必要ないでしょう。これはどういう意味ですか。万一の場合の局地戦に使うという意味ですか、外敵の場合は。
  108. 津島壽一

    津島国務大臣 あらゆる防衛上の見地から四囲の様相、情勢を検討した結果、この程度に一応するという防衛当局の考え方でございます。これは全面戦争とか局地戦とか何とかいういろいろな場合がありましょう。また使用武器についても想定をする場合がございましょう。そういったいろいろな条件を十分検討した上で、われわれとしてはこの程度の防衛を必要とするという結論になったのでありまして、まだこれがどういうふうになりますか、私らはこれは絶対に必要だという見地を持っておるわけでございます。
  109. 稻村隆一

    ○稻村委員 そのあらゆる想定の結論として必要だというならば、どういうことですか。ちょっと教えて下さいよ。その戦略、戦術を教えて下さいよ。
  110. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいま申し上げましたように、あらゆる将来の見通し、現在の状況、今後の国際情勢といったようなことも考慮に入れて結論を出したものである、こういう趣旨でございます。
  111. 稻村隆一

    ○稻村委員 それは全く、そういっては失礼ですが、私はごまかしの答弁としか受け取れないのです、一万人の増強は、これははっきりしておるじゃないですか。こういう想定のもとだと思うのです。要するに全面戦争では一万の増強では役に立たぬということはだれだってわかるでしょう。まさか津島長官、全面戦争に陸上自衛隊一万人の増強が必要だということを考えるといったら気違いですよ。結局、局地戦に備えるために必要だということになるのではないのですか。それ以外にないじゃないですか、外敵だけに使うというならば。内敵に使うことはまた別の問題ですが……。
  112. 津島壽一

    津島国務大臣 全面戦争の公算よりも、局地戦の思想の方が公算が多いという見通しは持っております。
  113. 稻村隆一

    ○稻村委員 そうすると、これは局地戦だったならば重大問題です。局地戦というのは、これはもう局地戦のあるところはきまっておるでしょう。朝鮮とかヴェトナムとか中近東とか、今現実の問題として使うところは。日本内地に局地戦なんか起きませんよ。それはどこか内乱でもやる——政治的な大きな内乱なんか起ることはないと思う。そんなものはないと思う。これは要するに局地戦といえばつまり朝鮮とかヴェトナムとか中近東なんです。そうなったら、局地戦を予想するならば、海外派兵を予想しなければならぬでしょう。そういう点が考えられるのですけれども、飛行機なんかを増強するとか、自動車隊にもM4戦車とか、そういうものを見ても局地戦を想定して一万人の増強をやることは明瞭じゃないですか。きまっているじゃないですか。あらゆる想定が、それ以外にないでしょう。
  114. 津島壽一

    津島国務大臣 先ほど申し上げましたように、公算としては局地戦の方が将来多いだろうという想定はいたしております。
  115. 稻村隆一

    ○稻村委員 局地戦をやるなら海外派兵をしなければならぬ。どうして海外へ派兵するのです。公務員の集団出張とか何とかいうことでやればできるという話もあるのですが、そんなことをやるのですか。どうするのですか。憲法を改正しなければ絶対に海外派兵はできませんよ。局地戦の場所へ行けませんよ。
  116. 津島壽一

    津島国務大臣 今の局地戦というと、そこに事態が起った順に、どことも限らず日本の自衛隊が出ていくという趣旨じゃございません。それは日本の自衛隊は自分の国を守るという趣旨でございます。だから日本に直接の侵略がなければ、自衛隊というものの発動はないわけでございます。今のは、あるいは聞き違いかもわかりませんが、海外における局地戦が起った場合に、自衛隊が出かけるのかというお話でございましたが、それは絶対ございません。
  117. 稻村隆一

    ○稻村委員 それでは局地戦を日本内地に予想するのですね、あなたの御答弁は。そうすると、常識上日本に侵略してくるような国は局地戦、そうして局地戦が内地で行われるなんという国はどこですか、一体。場合によれば、そういうことを言うのはどうかと思うけれども、韓国ですか、それとも蒋介石ですか。国民政権は、沖繩はおれのものだとこの前言っておったんですよ。そういう場合ですか。どうも局地戦で日本に攻めてくるような国は今のところないじゃないですか。現実にないものを、そういう想定で国費を乱費して一万人の自衛隊をふやすなんて、そんなばかなことはないですよ。そういう何か三百的といってははなはだ失礼であるけれども、そういう答弁は聞きたくないのです。ほんとうに日本の運命を考えてこうしょうという防衛長官の答弁を聞きたいと思うのですよ。
  118. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいまのは御意見として十分拝承いたしておきます。今までの答弁が私の考えておるところでございます。
  119. 稻村隆一

    ○稻村委員 それで私実はもう二、三質問してやめますが、私がいろいろなことを申し上げるのは、さっき申し上げた通り、防衛庁の悪口をいうためにいうのじゃないのです。いろいろな新聞や雑誌を見ると、実に日本防衛庁というものは困ったものだ、これでは大へんじゃないかという心配から私は申し上げる。それだからこの際根本的に自衛隊を再検討したらどうかとこういうのです。その点は再軍備論者のあなた方でも私は十分に考えなければならぬ問題だと思うのです。とにかく私は今の自衛隊というものは実に時代おくれで、なっていないと思う。こういうことを先ほどは申し上げたのですが、もっとひどいことが書いてある。これも私は悪口をいうためにいうのじゃないのだ。こんなことじゃしょうがない。これもまた週刊読売これを見て初めて知った、特車というのがある。「アメリカ製の悲劇」というのですが、「この種の、おしきせが生んだ笑えない話を拾えば限りがない。特車のアクセルには足がとどかぬので、ゲタをはかせてあるし、各種の火砲は踏み台がないと計器にとどかない」。こういうのです。「防衛庁ではこの十月からトラック、ジープの車両類を皮切りに国産品への切替えを行なっているが簡単には片づかない。例えば小銃一丁とりあげても、現在のカービン銃は小男の日本人には大きすぎるといって、改めてつくりなおすと、試作品で一丁十二万円、量産しても六万円、十八万人の陸上部隊に持たせるには、なんと百八億円かかる。」こういうことが書いてある。なっていないじゃないですか。飛行機もそうです。だから時代おくれの飛行機を——パイロットがないのに飛行機だけを作ったり、さらに全然パイロットのない飛行機を作るとか、こういうふうなむだなことをやめて、根本的に再検討したらどうですか。私は、時間がないから続けて言いますが、非常に進歩した近代的な軍隊というものは、決してクーデターとか政治に関与しないのです。ドイツの例を見てごらんなさい。ドイツの軍隊はあれだけの軍国主義に固まっておっても、第二次大戦のドイツの軍隊は政治に直接絶対に関与していません。進歩せる軍隊はそうなんです。それだから、これも一つの参考意見でありますけれども、マッカーサーがああいう非常に偉大な将軍だが、政治の範囲に品を出した場合にトルーマンが首を切ったのです。これはみんなが認めているのです。ジューコフが首を切られた事情は知らぬけれども、どんなりっぱな軍人でも、軍の組織によって政治に関与すると、どうしてもナポレオンになるのです。ボナパルチズムになるのです。そうならざるを得ないのです。ジューコフというりっぱな軍人でも、マッカーサーというりっぱな軍人でも。そこで政治が軍の政治関与を押えることに非常に頭をやんでいるのです。こういうふうに近代的軍隊は軍みずから政治に関与しないのだ。これは私はあなた方にいろんな議論を吹っかけて答弁を要求するためにだけ言っているのではない。しかし近代的軍隊でないやつは常にクーデターを起したり、武器を持って反乱をやったりすることは歴史が示すことです。一部のラテンアメリカの軍隊とか、非常におくれたところの中近東やアラビアあたりの軍隊というものは、そういうことをやって非常に国民に不幸を与えている。日本の過去の軍隊はそうでしょう。宇垣大将が非常に軍から恨まれた。ところが宇垣大将は軍の機械化のために軍縮をやったのです。職業将校を首を切った。それが非常に恨まれて反抗を受けた。そしてその機械化を不可能にして、五・一五事件、二・二六事件を起して日本の軍隊は非常に政治に関与した。こんなばかげたことはない。実際今どんどん軍事科学が進んでいる。全く軍事科学と関係ないような時代錯誤の軍隊を作っておって——局地戦なんてあり得ませんよ。自衛隊一万人ふやす必要はありませんよ。内乱なんか押えるのに一万人なんか要りませんよ。そういう時代錯誤な軍隊を作り上げて——そうなってくると、今度はこれを急転換しなければならない。何とか時代おくれの飛行機を急転換しなければならない。そのときに、さっき言った通り、軍需工場のまず抵抗があり、職業将校の抵抗がある。そういうことになってくるのは必然なんです。そこで私はそういうことを心配して、こんな時代錯誤な、時勢にマッチしない軍隊などはやめてしまって、再出発したらどうか。再軍備論者のあなた方でも、もっと軍事科学の研究の上に立って再出発したらどうか。こんな時代おくれの軍隊は結局どうにもならぬから、そこで転換をやっていく。そうすると不平を持って内乱を起すとかクーデターを起すとかあるいは政治に介入することになる。その場合日本の自衛隊は何にも罰則がないでしょう。どうしてこれを押えるか。今は何でもないけれども、だんだん今度はまるで人をばかにしたようなわがままをやってくる。過去の軍隊がやっていた。今そういうことが現にいろいろ現われている。根拠がないのに、どうしても一万人ふやせとか、秘密保護法をどうしてもやれなんということを、自分たちの方から強要し、あなた方に要求してくるでしょう。それをあなたがロボットになってそんなことをやっておったらどうなりますか。これは全く私は困った方向に進んでいると思うのですが、一体どうしてこういう軍を統制していきますか。軍の統制というのは絶対必要ですよ。武力を持つ者の集団の統制を誤ったら国を滅ぼすのですから、それはどう考えられますか。
  120. 津島壽一

    津島国務大臣 御承知のように、自衛隊法というものが非常に厳密に規定されまして、自衛隊全体に対して政治的の行動は絶対にとれないということが規定されているのでございます。また組織においても、従来のわが国の軍の組織とは全然違っております。そういった意味において御懸念の点はあり得ない、こう私は考えているところでございます。なおまたいろいろ御注意もございましたが、防衛関係の仕事の上においていろいろ今日まで御批判を仰ぐような点があったかと思います。しかしながら私はとにかく自衛隊の規律ということを最も大切なこととし、また経理面においても就任以来むだのないように、監査の制度も充実し、そういった部面においては相当苦慮もし、またそれに対する施策も講じて参っている次第でございますから、御意見のあるところは十分に了承いたしておりますが、こういった事情に相なっているということを御了承願いたいと存ずる次第であります。
  121. 稻村隆一

    ○稻村委員 私はもう一点御質問してやめますけれども、自衛隊が、この前も内閣委員会で問題になった、青森その他において政治に関与した実例がずいぶんありますよ。これは御答弁していただかぬでもいいですが、そういう実例がたくさんあるのです。そういう危険性は出ているのですよ。だからその点私はあなたの方でよほど今後気をつけてもらって、いかなることがあっても自衛隊が政治にくちばしをいれるようなことがないように——市長選にくちばしをいれたり市会選にくちばしをいれたりすることのないように、厳格にやってもらいたい。そうしてそういうものがあったらどんどん首を切ってもらいたい。それだけ私はお願いするのでありますが、よろしゅうございますね。  それから最後に私は、石橋委員との質問に関連する問題ですが、アイゼンハワー大統領が、ソ連のICBMに対抗するためには、アメリカの海外基地におけるIRBMによって対抗すれば大丈夫だ、こういうことを言っているわけです。そこで必然的に日本もこれが対象になります。そこで参議院並びに衆議院の外務委員会においても、この問題で岸総理にわれわれの方の人が聞いているはずです。そのときに岸さんも、原水爆を持ち込むことはもちろん、ミサイルについても反対する、こう言っている。これは反対する根拠があるかどうかの問題について石橋さんが質問されているわけです。それから松本七郎氏もこの間の外務委員会質問されたはずですが、それはあとに譲りまして、あなたも岸首相と同じように、もしアメリカからミサイル基地を要求された場合にはこれを断わりますか。
  122. 津島壽一

    津島国務大臣 岸総理の言明の通りで、この問題に対する態度は防衛当局として何ら変っておりませんので、さよう御承知願いたいと思います。
  123. 相川勝六

    相川委員長 西村君。
  124. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は日本における国際連合の軍隊の地位に関する協定について質問する予定でございましたが、調達庁の長官も外務省当局も本日は出席できないということでありますので、それは後日一つお願いしたいと思います。  そこで防衛庁長官にお尋ねしたい。ただいまの稻村君の質問に関連してということになりますが、御答弁をお聞きしておりますと、国民の知る権利というものがどうもあなたの巧妙な御答弁によってぽかされているような気がする、こういう感じを持つのであります。国民には知る権利があり、われわれは知らしめなければならぬ義務を持っているわけです。そこで具体的にお尋ねします。日本海方面に飛行場を持ちたいということを仰せられましたが、現在考えられている個所は、新潟と小松と美保の三カ所を考えておられるか、そのほかにも考えておられるか、その点をお伺いしたい。
  125. 津島壽一

    津島国務大臣 今御指摘になりました個所が、一応われわれとして考えておるという程度の場所でございます。
  126. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その三カ所のうち話し合いのついたところに持とうというお考えのようでございますが、私たちにわからない点は、日本海岸にどうしても飛行場を一カ所以上持たなければならぬという戦略戦術上の意味で、これはやはり知らしめていただかなければならぬ。それを知らさないで、飛行場を持つんだから協力してもらいたいといっても、地元の人々は協力しないわけです。その戦略上の重要性というものをどういう工合にお考えになっていらっしゃるのか、どうしても置かなければならぬ理由を一つお話し願いたい。
  127. 津島壽一

    津島国務大臣 御承知のように、国内における配置を適正にするという意味でありまして、北海道あるいは関東、九州、中部、東北、近畿といった配置の現状から、あらゆる点において適当であるという見地から、日本海方面においても一方に偏しないように置きたいという構想を持っている、こういう次第でございます。
  128. 西村力弥

    ○西村(力)委員 橋をかけたり道を作ったりする公共事業の予算を、代議士の顔を立てて各県に公平に配備しようということとは事の性質が違うのじゃないか。そういう理由は軍の配備に関しては成り立たない。そういう御答弁をなさるから、国民の知る権利をあなたはぼかしているのだ、私はそう申し上げざるを得ないわけなんです。そんな単純な理由によってどうしても必要だなどということが出てくるはずがないじゃないか、もっと端的におっしゃっていただいたらどうか。そうやって、一方において手練手管を用いて反対する地元民をろうらくして強引に押していこうとする。あるいはいろいろとる手段というものが、私たちから言うと国の機関としての権威にかかわるような手段を弄して、現地の人をごまかして拡張をやっている。それをあなたの手先の者がやっているのです。そんな苦労をさせる前に、どうしても必要だという理由を率直にお話し願ったらどうかと思うのです。
  129. 津島壽一

    津島国務大臣 今まで基地に関していろいろ施設をするとか、その他滑走路の延長であるとかいうことを計画しておりますのは、いずれも必要な場所だということでございまして、どれがどうこうというわけではないのでございます。全体の計画を適当に調整して考えた結果が今のようなことになっている、それ以上率直に申し上げる余地はないわけでございます。
  130. 西村力弥

    ○西村(力)委員 日本海岸にどうしても飛行場を一カ所以上持たなければならないという主張をなさる限り、その理由があるはずだと僕は思うのですよ。日本海岸にという場合に、その一つのどこか近接する地域、南面だか北面だか、西面だかわからないけれども、そういう地域に一つ基地を置かなければならない理由がやはりあるのではないかと思う。地域の均衡、公平に分配するというようなことを言うならば、北海道によけいいって、九州方面によけい配置していること自体からあなたのおっしゃることはもうくずれてきている。だからそれは必要によって配置するのであって、日本海岸に置きたいという必要性を私はもう少しはっきりおっしゃっていただきたいと思う。
  131. 津島壽一

    津島国務大臣 今の御質問に対しては、防衛局長から政府委員としてお答えすることで御了承願います。
  132. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 現在のわが航空自衛隊の基地は、御承知であろうと思いますが、大体太平洋岸に位置しているのでございます。私どもといたしましては、別にどの国がどうということはございませんけれども、いかなる方向よりする日本への侵略に対しましても、十分にこれに対処し得るような配置をすることがやはり必要だろうと思うのでございます。現在飛行機は非常に高速になっておりまして、数分間で非常な距離を進んで参ります。大体一マッハをこえるようなものが多くなっているのでございますが、その状態におきますと、もしかりにでございますよ、もしかりに日本海方面から侵略の意図を持った飛行機が入るといたしますと、既存の飛行場から飛び立ちますと、数分間というものがロスになる。この数分間が私どもの立場からいたしますと貴重な数分間でございまして、わが本土、領海に入れるか入れぬかということにもなりかねないような状態となりますので、要撃の距離をなるべく本土を離れて持ちたいというところに大きな意味があるのでございます。
  133. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの答弁ではっきりしましたが、日本海を越えて西方より来たるとき、それに備えるのだ、こういうことが明瞭になりましたが、そうしますとその敵は爆撃機によって攻めてくるという想定を立てておられるのか、もう一度承わっておきたいと思います。
  134. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 普通の場合は爆撃機でございましょうけれども、必ずしも爆撃機に限るというふうには考えておりません。いろいろな前提を立てましてそれに対処する方策を考えております。
  135. 西村力弥

    ○西村(力)委員 普通の場合爆撃機だということですが、こちらの戦闘機が向うのは敵の爆撃機が主になると思うのですが、そのほかのものにも日本海岸に置いた飛行場から飛び出た戦闘機が、日本の領海に入れないように戦闘行為をやろうとするのか、この点明確にしておいていただきたい。
  136. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ただいまお答えいたしました通り、主として爆撃機を考えておりますけれども、今後における各国の戦闘機の進歩、改良状況からいたしますと、戦闘機をもってする侵略ということもだんだん可能になる時代が出てくるのではないかというふうにも考えております。
  137. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それではその西方から来た敵に対して、われわれの持っておるレーダーというものはどれだけの性能を持っておるか。
  138. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 レーダーの性能につきましては、われわれの方でまだ持っておりませんので、米軍のレーダーでありますから、ちょっと申し上げかねます。
  139. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、米軍のレーダーがキャッチして、日本の飛行場に連絡をして、そうして飛行士が乗って飛び立ってそれを邀撃する、こういう手順に相なるわけですね。米軍からの連絡がたとえば虚偽であるというような場合もなきにしもあらず、そうすると日本の内閣は緊急事態としての国会の承認を得ないで戦闘行為に入るというようなこともあり得る。そうしてそういうことがきっかけとなって、こちらは自衛という形で飛び立ったが、向うは何だ、日本が先制攻撃を加えてきた、それではいって向うからやる、こういうようなことも想定されるのです。それは謀略も激しいでしょうが、とにかく米軍のレーダーにしてもあなた方どのくらいの性能を持っておるか、知らないというはずはないわけなんだ。現在のレーダーの科学水準というものはあなた方研究されておるのじゃないですか、これは全然おわかりにならないですか。
  140. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 レーダーの性能については知らないとは申し上げておらない、米軍の武器でありますので、ここで申し上げられないということを申し上げたのでございます。
  141. 西村力弥

    ○西村(力)委員 米軍に限らず、世界的なレーダーの水準というものはどんな程度です。
  142. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 一般的に申しますと、これはどこも秘密にいたしておりますので、推定で申し上げるほかないのでありますが、気象の状況あるいは高度等によっていろいろ違います。大体数百キロメートルというところが常識であろうと思いますが、最近米国方面の発表したものによりますと、四千キロくらいまで達するレーダを開発中であるということを申しております。
  143. 西村力弥

    ○西村(力)委員 かりに五百キロとしましても、向うの戦闘機なりあるいは爆撃機なりのキャッチされる個所というものは大体想定がつく。それをキャッチして、方向なり高度なりそういうものを測定して、日本の自衛隊の基地にそれを連絡して、それを受けて発進用意をさせて発進させる、それまでの所要時間はどれくらいかかりますか。
  144. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 まず敵、味方の識別でございますが、この点につきましては、われわれの得ております情報によりますれば、これは完全に敵、味方の識別ができるようになっております。その点は御心配ないと思います。  何分間かということは、どの点でキャッチするかということで非常に違うのでありまして、だんだんと申し上げていくと、レーダーの性能を申し上げなければならないようなことになりますので、御勘弁願いたいと思います。
  145. 西村力弥

    ○西村(力)委員 御勘弁願いたいといったって、国民の知る権利をあなた方が阻害してはならない、こういうことです。今の秘密保護法というものは、MSAによってですか、協定に基いた兵器のある部分の秘密を保護しなければならぬ、こういうだけであって、そういう時間的な経過の想定がわからないで、さあ備えわれにありなんということにはならない、こういう工合に私は思う。そういうことをキャッチしてから、自分たちの飛行機が立つまでの時間的なあれは立つはずですよ。それじゃわが方だけに限って言うと、もし日本の航空自衛隊の飛行機出動せよ、こういう連絡が出たということになってから、軍装備を常にやっておるかどうかわからぬが、今のところあまりやっていないかもしれぬが、やってから塔乗員が乗って飛び立つまでにはどれくらいかかりますか、連絡を受けてから飛び立つまでは……。
  146. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 これはわれわれの方ではいろいろな準備の体制を考えておりますが、第一体制、第一体制、第三体制というものを考えておりまして、非常に早い場合とそうでない場合とありますが、大体数分間というふうに考えられております。
  147. 西村力弥

    ○西村(力)委員 戦闘機はだいぶ早いというが、数分というとどのくらいになりますか。マッハ二ならマッハ二で飛んできたとしてそれを五百キロのところでキャッチし、数分間を要して飛び立った。その前に米軍のレーダーだから、こっちに来るまでの連絡の時間もあるが、この連絡を受けてから飛び立つまで数分間かかる。そうすると五百キロ向うでキャッチした飛行機に対して、自分の方で準備ができないからといってもとまってはいないでありましょう、昔の川中島とは違うのですから、やはりその数分間を要してこっちにやってくるわけです。だから大体戦闘行為の行われるのはどの辺だかということは、計算すればすぐわかるわけですね。ですからやはり自衛々々といって敵が攻めてきてから攻める、それを受けて迎え撃つということだけに、言葉としてはそう言っておっても、事実としてはそうではない事態が必ず出てくる、そういう結論を私たちは持たざるを得ない。向うからの連絡に二分間かかって、こちらが飛び立つまで五分間かかる、合せて七分間です。その七分間の間に日本にそれだけ接近するということを考えた場合において、これはもうまことに悠然と構えた、自衛のために敵が攻めてきたら撃つのだというだけでは、言葉通りにはできないように、あなた方自身も戦術上十分に計算を立てておられるのではないか、こういう工合に私たちは考えざるを得ないわけです。  次に、防衛庁長官はアメリカに誘導兵器の供与を求めたのは昨年だ、おれはそれをほのかに聞いておるということでありましたが、そういう国際的に申し込んだことがあなたに引き継ぎになっていないというはずはない。それは国内的なささたる問題ならいざ知らず、国際的に申し込んだことを、あなたは単にそのようなことを聞いた覚えがあるというだけですが、これは引き継ぎになっている事実はございませんか。
  148. 津島壽一

    津島国務大臣 覚えておるということは引き継ぎがあったということに御了承願っておきましょう。そこで内容的には空対空の関係の研究ということに相なっております。
  149. 西村力弥

    ○西村(力)委員 引き継ぎがあった、そういう重要事項ですから、さっきの稻村委員が申された青写真とか、そういうものを持って日本の憲法を侵すであろうという重大な秘密保護法の制定を要求する、そういう腹づもりでもって持ってきたということも、あなたが報告を受けていないというのは私はこまかしだと思う。その点はどうですか、またそういうことを公式に申し入れたら向うの意向がどうであって、その後の推移がどうである、こういうようなことは防衛庁としては十分に関心を払っている問題だろうと思います。きょうの新聞を見ますと、アメリカさんもだいぶソ連の人工衛星やICBMの中によろめいておったが、このごろだんだんと立ち直ってきたようでありますけれども、その意を受けてかどうか、その帰趨を見定めてのことかどうかは知らぬが、二十億ばかり計上して誘導弾の研究に本腰を入れるのだということがきょうの新聞に出ておりますが、とにかくそういう工合に向うの方に重大な申し入れをしたのだから、その推移というものは細大漏らさず重大なる関心を持って、防衛庁の首脳部はそれを受けておるだろうと思うのです。その点はどうでございましょうか。
  150. 津島壽一

    津島国務大臣 昨年室対空、地対空のミサイル研究の資料として数種のミサイル兵器の供与を申し入れた、こういう事実はあります。今仰せになりました青写真を持ってきてどうしたとか、そういうことは、ございません。またこれが最近の経過がどうなっているかという問題でございますが、これは昨年以来そのことは何ら話を続けておりません。現状はそういった状況になっておる、こういうことでございます。
  151. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それではお尋ねしますが、向うからその的確な応答がないとするならば、今度はあらためて再度強く要請するということを考えておられるのか。それはきょうの新聞を見ても、また現情勢からいっても誘導弾の研究というものに防衛庁は本腰を入れよう、相当ピッチを上げよう、金もよけいにとろう、こういうような工合になっておるのですよ。それについてはやはりエリコン社のあんなちゃちなものだけじゃなくたって、もっと広範な数種類のものを入手して研究の資にしよう、こういう工合に当然考えられると思う。ですからあなたは防衛庁長官として再度その点について強く先方に要請する意思を現在持っていらっしゃいますか。
  152. 津島壽一

    津島国務大臣 この問題についてはさらにどういう措置を講ずるかということは、いろいろな事情を考慮する必要があると思います。でありますから、これからさらに強く要求するかという御質問に対しては、まだそこまでに至っておりません。これはやはりいろいろな事情を検討する必要があるかと存じております。
  153. 西村力弥

    ○西村(力)委員 津島長官、いろいろな事情、諸般の事情ということで相当答弁をぼかされるのでございますが、それでは来年度の予算にそういう誘導弾関係の費用を相当大幅に増額なさる、こういうことはきょうの毎日新聞でしたかに出ておりましたが、そういう御意思はおありかどうか。予算要求の場合にはどれだけを見込んで折衝されておるか、その点なお修正して、現在出している予算要求以上にもっと拡大しよう、そういう意思があるかどうか。
  154. 津島壽一

    津島国務大臣 誘導兵器の研究は三十年以来やっておるわけでございます。これは急に一年間、二年間で達成する問題では、ございませんで、三十一年度において若干の予算要求をし、増加を見まして、さらに三十二年度においても増加を見たわけでございます。来年度の要求といたしましては、最近の事態に徴し、その金額の増加を要求いたしております。大体今日まで概算要求として出ておる金額は、いわゆる国庫債務負担行為というものを含めまして、大体八億見当のものだと思っております。これはいわゆる誘導兵器関係だけの問題でございます。技術研究所において使用する経費の問題でございます。
  155. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それを再修正して要求するというような考えは全然ございませんか。
  156. 津島壽一

    津島国務大臣 大蔵省の折衝の過程においてこれがどうなるか、この金額はぜひとも認めていただきたいと思っております。さらに追加要求するかどうかという問題は、まだ具体的の議に上るというわけにはいっておりません。
  157. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは技術的な話を聞きますが、誘導弾というものは敵の戦闘機なり爆撃機なりをキャッチして、それに向って追っかけていくわけですが、目的物にどこまで近接したときに触発するか、これはどういう工合ですか。
  158. 津島壽一

    津島国務大臣 今のは技術的な問題ですから、装備局長から答えさせます。
  159. 小山雄二

    ○小山政府委員 誘導弾が爆撃機なら爆撃機、目標をつかまえるやり方といたしましては、誘導弾自体の中に吸着装置といいますか、ホーミング装置といっておりますが、それを持っておりまして、それで吸着していくという機構を持っておるのが普通でございます。この吸着装置にもいろいろございますが、大きく分けますと向うが出します赤外線を追っていくやり方と、それからレーダーで、たとえばこっちから電波を出しまして、そのはね返りを追っていく、大体二色ございます。そのほかに今ちょっと申されましたが、近接信管といいますか、VT信管と申しておりますが、そういうものを持ちまして、そばに行けば触発するような信管の研究もいたしております。
  160. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ですから近接したときに、どれだけ近くなったときに爆発するかということです。それをお聞きしたい。
  161. 小山雄二

    ○小山政府委員 これもいろいろありまして、今研究の過程でございますが、なるべくそばで効果があるようなものを目標に研究している段階であります。
  162. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう研究でしょうか。普通先ほど稻村さんの質問にあったように、ああいう誘導弾は電波を発射しあるいは赤外線を使用するにしても、触れないうちは爆発しないというのではなくて、やはり近接すればそれによって爆発するという性能にみななっているだろうと思う。そうして普通一番距離の近いところに行かないと爆発しないというのは最低どのくらい、性能の進んだものは最高どのくらいの近くまで行ったときに爆発する、こういうようなことは御研究が専門的な立場の方はおありじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  163. 小山雄二

    ○小山政府委員 大体常識的には数十メートル離れたところで触発するというのが普通のようでございます。
  164. 西村力弥

    ○西村(力)委員 数十メートルということになりますか、そうするとあのエリコンならエリコンというもの、地対空の誘導弾ならば、その中にTNTを入れた場合には、爆発の有効半径というものはどのくらいあるのでありますか。
  165. 小山雄二

    ○小山政府委員 爆発の有効半径となりますと、中に装填する爆薬の分量によるわけでありまして、なおエリコンにつきましては今申しましたホーミング装置も近接信管もついておりません。それは別途の問題で別途研究したい、こういうことであります。爆発の半径になりますと中に入れます炸薬の分量とかそういう問題になると思います。
  166. 西村力弥

    ○西村(力)委員 エリコンというのを現実に日本で買おうとするなら相当性能を研究されていると思いますが、そこに普通火薬を詰めた場合、ホーミング装置がなくても爆発しなければ効果がないのだ、その爆発物の有効半径というのは性能の中に入っているだろうと思いますが、その有効半径はどのくらいあるのでありますか。
  167. 小山雄二

    ○小山政府委員 今度買いますエリコンは訓練用誘導弾で、現在たとえば炸薬を入れるべき部分に炸薬が入っておりませんで、ほかのものが入っておるわけであります。爆発した場合の有効半径はどのくらい火薬を入れてどうなるかということは資料を持っておりませんので、資料を整備いたしましてお答えいたしたいと思います。
  168. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それではいろいろアメリカに要求している誘導弾の性能一般について、それの誘導装置はどういう式になっているか、あるいは垂直距離どのくらいまでに進み得るのか、それからそれに原爆は入れないと言っているんだから、普通火薬を入れた場合にどれだけの爆発力を持っているか、すなわち有効半径はどのくらいか、こういう点を資料として一つ御提示方をお願いしたいわけです。委員長一つその点はお願いします。
  169. 稻村隆一

    ○稻村委員 ちょっと関連して、私一言だけ質問したいのですけれども、西村委員質問に対して、防衛局長は、北の方から侵略のあった場合に、これをレーダーで把握して、海上か何かでこれを防ぐのだと言われましたね。私それがどうも今の時代じゃおかしいと思う。北の方から来るのは必ずミサイルで来ますから、爆撃機で来ませんよ。おそらく中距離ミサイルは、音速の十倍だから、ウラジオストックから東京の間は六百二十マイルでしょう。回り道をしたって七百六十マイルだそうです。そうすると音速の十倍だから大分で東京に来ます。どんなに有能な戦闘機でも飛行機でどうしてこれが落せますか。だから日本防衛は根本からだめだというのです。さっきから言っているようにそういうことをやあたらいい。そんな時代おくれな防衛方針をやめたらいい。もう北の方の飛行機の軍事基地なんて要らないですよ。どう考えますか。どうやって防ぎます。これは私らのように何も知らないものが考えてもすぐわかるのですから、あなただってわかっているはずだと思う。
  170. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 IRBMの開発状況についてもいろいろ調べておりまして、ある程度実用化されたか、されつつあると思います。しかしICBMはもとより、IRBMになりますと、私は当然その程度の長距離のものになりますと、核爆発物というものを考えたければならないと思うのであります。ですから核戦争というものを想定するのかどうかということが一つの大きな問題になるのでありまして、これは先ほどから津島長官がおっしゃっておりまする通り、核戦争というものは容易に起らないのではなかろうか。先年のエジプト等の例を見ましても、核は持っておりながらも使わずに終っておる。私どもといたしましても、核の場合も考えなければいけないでありましょう。しかしながらあらゆる場合を想定いたしまして、わが国の防衛ということを考えるのでございまするから、私はやはり爆撃機等による攻略に対しまして対応する措置を考えておくということも当然だろうと思います。
  171. 稻村隆一

    ○稻村委員 それが時代おくれなんです。アメリカが言っておるじゃないですか。これはよけいなことですが、アメリカは核爆発の実験禁止に反対しておる、これは実験禁止をすれば原水爆景気というのが非常に悪くなる、恐慌がくる、そういうことで反対しておるのです。そういうことでダレス長官だってアメリカの軍の指導者だって、局地戦でも今度は核兵器の戦争だとはっきり言っておるじゃありませんか。それだから小型の原爆を作るのだと、アイゼンハワーも、ダレスもはっきり言っておるじゃありませんか。だから局地戦でも何でも、これは核兵器の戦争なんですよ。普通の爆弾なんか使ってやりません。見てごらんなさい。みんな言っているじゃないですか。そういうふうなことをおわかりにならないはずはないと思う。あなた方は十分研究しているんだからね。それを無理にわからないようなことを言うて、そうして普通の爆弾で爆撃するだろうというようなことで防衛方針を考えられたらたまらぬですよ。
  172. 相川勝六

    相川委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十六分散会