○
加藤(精)
委員 本日の
中井委員及び
北山委員からのいろいろな御
質問に関連して考えるのでございますが、かつて前々
国会におきまして、決算
委員会においてこの問題は十分討議されておるのでございまして、その節に特に私感じましたのは、一体社会党の皆様が
地方自治というものをどういうふうに考えているのか。
福岡県
知事はけしからぬから、
自治庁でしかりおいたらいいじゃないか。場合によったらそんな
知事はやめさせたらいいじゃないかというような気魄の御議論もあるのは
地方自治を侮辱したものである。わが国の本然たる、わが国古来の誇りであるところの
地方自治に対して、
地方自治否定の議論なんです。かかる暴論をはかれることに対して苦々しいと思っておりましたのにかかわらず、本日またある県庁の歳計金の預入先を調べて、それを引き揚げるように
自治庁が命令をしたらいいじゃないかという少し乱暴にわたるような御議論があったのでございます。これは
地方自治の否定でございます。そういう議論は
地方自治の否定じゃないかということについて、
行政局長さん大所高所からの御見解を伺いたい。
なお申し上げますが、財政局長さんの御答弁に若干の思い違いがあるのじゃないか。その点は私の考えますところによりますれば、こういう議論をすること自身がこの歳計金預託の問題を政争の具に供しておるのではないか。たとえば、中井氏もわが国でのきわめて優秀なる都市の市長であった。
北山氏のごときに至っては全国町村長会の
幹部、県の町村長会長までやっておられる。歳計金預託の問題は必ず町村
議会、府
県議会等の議決を経なければならぬという思想を持っておられると仮定すれば、これは
福岡県問題が発生する前に御議論があったはずであります。それくらいこの自治
行政にお詳しい、与野党を通じてのエキスパートであります。エキスパートであるがゆえにそういう必要を痛感しておられたら、何ゆえ
福岡県
事件より先にこの歳計金の預託は
地方議会の議決を経るという
地方制度の
改正法案を御
提出なさらぬか。光輝ある衆議院の
地方行政委員会が
個々の
事件の、たまたま
紛争の渦中にある問題を通じて、
地方行政を第三義的
目的のために利用されることを、私はきわめて遺憾に思います。何のために預託問題をこの
福岡県
事件の発生する前に問題にされなかったかという気がするのでございます。これは非常に感情に走って申し上げましたので、大へんごきげんを害したかもしれませんが、事の成り行きを申し上げるために申し上げたのであります。しかしながら、一たびこの
事件の御
質問があった。そして政府当局がそれに対して答弁をしたという問題に対しまして、このままに放置しますときには、意外なる
地方自治蔑視の風潮を日本の国内の
地方行政に与えて、
地方行政当局者が何をやっても、
自治庁や衆議院の
地方行政委員会にひねられるだろうということで卑屈になることをおそれまして、この立論をしたいのです。財政局長の御意見に対しまして私の考えますのは、出納事務については
出納長が独立権限を持っておる。しかしながら会計事務については
知事が独立権限を持っておる。しかるがゆえに
出納長に預託の事務について最終権限があるがごとき、なきがごとき御答弁でございます。これはこの
委員会におきまして御調を傍聴していたものは、だれしも考える点たろうと思います。その点は
法律の例外は——特別法は一般法にまさるということから、会計事務から出納事務を取り出しまして
出納長の権限にいたしました以上は、
出納長権限の出納事務を省いた会計事務については
知事が監督権かある、こう
解釈するのが
法律上正当な
解釈だと考えております。しからば会計事務について出納事務を省いた範囲の事務があるかどうかという問題になる。これは私はあると考えております。たとえは会計事務を執行するにつきましての予算
規模とか設備とか、あるいは預託をします場合に、普通の出納は現金を県金庫において出納する。県金庫に資金を回しておくのが通常でございますけれ
ども、これは
県政全体を考えまして、この資金を
県政の最も必要とするところに効率よく活用するというような意味におきまして、たとえは
福岡県の場合におきまして、住宅建設という国策について、頭金に苦しむ者がある場合におきまして、住宅協会に預託するというようなことは、
県政全般をにらみまして、出納に第二次的なサービスをする場面でありまして、そういう場面のごときも会計事務に入っていると思う。しかしてその会計事務の預託先につきましては、
自治庁の指導しました内規によりまして、
知事の決裁を経さしめるというような道を設けたことも、
県政全般の進展の上から妥当であろうということの見解に基くものだと私は考えております。住宅協会というものは、資金がだぶついておって、どうしても預託なんかの必要がないのに、それに預託するというのは、
知事としてはやらないでありましょう。そういう場合の用意のために
知事の
承認を得せしめるということは、
理由のあることであります。しかしながらその県の歳司現金に損失を与える可能性のある
機関であるかどうか。あるいはその
機関のやり口か県の財政に損失を与え、県の資金に損失を与える危険性かあるかどうかということについての判断は、
知事は絶対一文一毛といえ
どもしてはいかぬ。もしもそれをするならば、出納の権限を侵すものである。かるがゆえに先ほど
中井委員かおっしゃいました
知事か不適当と思えは、あるいは適当と思えはここに預けろといえはできるじゃないかという御議論は、とうていわれわれのとらざるところであります。わが国の
行政機関におきましては、
制度の立て万でご
さいますけれ
ども、国の一般の
行政から独立いたしまして、会計検査院かあり人事院があります、それで内閣総理
大臣は国政の全般を総理するものであるから、人事院を制肘し、また会計検査院を制肘し得るか。それと同等の権限の配分において、
地方自治法におきましては
理事機関と出納
機関との権限の分立があるのでございます。これらを全部否定して、すべて
知事に責任ありというような議論をすることは、私は本質的に間違っていると思います。会計事務に対しての
知事の権限というものは、
出納長の出納事務を除いた会計事務についての権限である、私はそう
解釈するものでご
さいますが、私の考えは
地方自治を愛するの余り言う議論でございまして、とかく感情に走り、あるいは間違っているかもしれません。また正しいかもしれません。財政局長におかれましては、とくこ
地方自治を熱愛する一人の
地方行政会員の意見であるということを念頭に直さまして、十分御研究になった上、次の
機会において御
回答願いたいと思います。