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1957-12-10 第27回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月十日(火曜日)    午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 吉田 重延君    理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    加藤 精三君       川崎末五郎君    川島正次郎君       菅野和太郎君    木崎 茂男君       楠美 省吾君    淺沼稻次郎君       北山 愛郎君    西村 力弥君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  委員外出席者         自治庁政務次官 中島 茂喜君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 十一月十四日  委員青木正辞任につき、その補欠として林唯  義君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員林唯義君及び山中貞則辞任につき、その  補欠として青木正君及び三木武夫君が議長の指  名で委員に選任された。 十二月十日  委員三木武夫君及び大矢省三辞任につき、そ  の補欠として山中貞則君及び西村力弥君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員西村力弥君及び山中貞則辞任につき、そ  の補欠として大矢省三君及び三木武夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  山中貞則君が理事補欠当選した。     ————————————— 十一月十四日  一、寄附募集規制に関する法律案北山愛郎   君外十名提出衆法第一一号) の閉会審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  派遣委員より報告聴取  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたしたいと思います。理事でございました山中貞則君が、先月の十五日に木委員辞任されました件について、理事が一名欠員となっておったのでございます。山中貞則君が本日再び本委員となられましたので、山中貞則君を再び理事指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 門司亮

    門司委員長 御異議なきものと認めまして、山中貞則君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 門司亮

    門司委員長 次に地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方自治及び地方財政実情調査のため、十一月二十五日より三十日まで六日間、議長承認を得まして福岡県に委員派遣いたしたのでございますが、この際派遣委員より御報告を求めることといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 門司亮

    門司委員長 それでは加藤精主君
  6. 加藤精三

    加藤(精)委員 さきの臨時国会閉会後行われました当委員会委員派遣による国政調査の概況につきまして便宜私から御報告申し上げます。  御承知のように今回の委員派遣は、福岡県における知事解職請求の問題がその直接の動機であったのでありますが、派遣目的といたしましては、委員派遣承認申請に対する議長承認にもありましたごとく、広く福岡県における地方自治及び地方財政実情調査のためといたしたのであります。なお先国会におきまして当委員会に直接福岡県議会筋から陳情のありました北九州における警察官定員増の問題もありますので、あわせてこの機会にその実情調査することとし、従って具体的な調査事項といたしましては、一、知事解職請求施行状況、二、財政再建市町村財政運営状況、三、北九州における警備力の充実問題、以上の三点を掲げ、その実態調査することといたしました。  派遣委員は纐纈彌三君、加藤精主君川村継義君、中井徳次郎君の四人でありますが、調査員丸山稲君を帯同して十一月二十五日東京を出発し、翌二十六日から三日間福岡県内現地において調査を行いました。  まず第一に知事解職請求の問題でありますが、申すまでもなく、これまで市町村長等に対するリコールはしばしばその実例はありましても、知事に対するものは今回が初めてであります。特に今回の福岡県のように人口三百五十有余万の大県におきましては、解職請求に必要な有権者署名数は七十万をこえるのでありまして、その全県にわたる規模といい、半年を越える長期手続の連続といい、その地方自治に影響するところといい、従来にその比を見ない最大のものであって、直接請求制度及びその運用上も注目すべく、かつ検討に値するものがあろうと思うのであります。  もとより、直接請求はわが国としては戦後の地方自治制に新しく設けられた制度であって、地方住民が直接政治に参与する機会を与え、間接民主政治機関としての議会の欠を補うもので、住民自治基本原理地方自治運営に重大な機能を果す典型的な制度でありますが、各種の直接請求のうち、長の解職の直接請求において、特に知事段階になりますと、右申しましたような諸点について、大いに問題があるように思われるのであります。  従って今回のこの問題についての私ども調査の態度としては、もっぱらこの点に主眼を置き、このような規模において行われるリコール手続や、これをめぐる賛否運動がどのように進行し、行われているか、また現行制度改正を加えるべき点はないかどうかを調査することとし、本件に関連する個々事件実態に触れて、いたずらに紛争を激成するがごときことのないよう慎重を期したのであります。  それゆえ、調査はもっぱら県選挙管理委員会について行い、知事リコール運動動機あるいは解職請求理由とされる県公金の不当管理問題や、リコール運動関与による県吏員懲戒処分問題等については、その内容に立ち入ることを避けたのであります。もとよりこれらの案件はすでに裁判所あるいは人事委員会等それぞれの機関において処理されつつあり、国会国政調査権はかかる個々事件内容に関与し、その適否を判定するものではなく、法律制度運用についてその実態を把握し、地方自治及び地方行政の円滑なる運営遂行をはかるため、法律改正等参考資料を得ることがその目的であると考えたからであります。  ただリコール運動に関与したとのゆえをもって罷免処分を受けた県吏員友松某についてはその申し出に応じ、本人並びに県職員組合代表者から、知事処分は不当であるとする旨の陳情を聴取しました。  要するに本人の言うところは、知事処分理由は、本人が県の事務吏員の身分を持ちながら、県知事リコール運動に関与したのは、地方公務員法の違反であるとするにあるが、事実無根で処分納得がいかない。よって処分の辞令は返上し、副知事とも面談し、その個々処分理由となった事実についてただしたが、納得がいかなかったので、知事処分地方公務員の権利を侵害したものだとして、人事委員会に提訴したというにあり、また組合代表者の言うところは、本人行動組合決定に基き、組合運動として行動したのに、知事組合に通知なく、突然本人処分したのは不当であるというにありました。  さて、知事解職請求事件手続進行状況等につき、県選挙管理委員会調査したのでありますが、委員長の語るところ及び提出した資料によれば、手続は大よそ順調に進んでいるようであります。すなわち、去る十一月四日、直方大字直方六百七十番地橋詰又一郎外二名の連署をもって、県選挙管理委員会に対し、知事解職請求代表者証明書交付申請があり、これに対して同委員会は、右三名の申請者住所地各市選挙管理委員会に対し、申請者はそれぞれ選挙人名簿に記載された者であるかどうか、また地元の各市長に対しては、申請者は国または地方公共団体公務員であるかどうかの照会をなし、それぞれその確認と回答を得た上、十一月九日委員長名をもって、右三名は福岡県知事解職請求代表者であることの証明書を交付するとともに、同委員会告示第三十号をもってその旨告示しました。  解職請求代表者がその証明書交付申請に当って添付した知事解職請求要旨によれば、その解職請求理由とするところは「第一相互銀行に一億円といへ巨額の県公金を貸し出して、約一千万円の謝礼金を着服し、土屋知事政治資金に使った不正事実は、すでに検察庁の手によって明らかにされ、山本知事岩佐出納長ら県最高幹部背任収賄の罪名で起訴された。土屋知事はその金は全部戻ったので、県民には少しも実害を与えていないと言いのがれ、罪を腹心の山本知事岩佐出納長らにかぶせて知らぬ顔をしているが、県政においては知事、副知事出納長は三役として一心同体のものであるし、事件の発端は土屋知事が許可の印を押したからこそ動かせた金である、この事件行政上の最高責任者である土屋知事は、もはや知事としてふさわしくない人物であると判断するから、知事解職請求署名運動を起した。」というのであります。  十一月十七日、土屋知事は、右の県選挙管理委員会請求代表者証明書交付及び告示第三十号の取り消しを求める異議申し立てを行なったのでありますが、その理由とするところは、第一に、解職請求代表者の一人である行橋市大学福原六百三十番地藤重千代一は、本年七月十四日門司市に転住しており、十二月二十日以降選挙権を喪失することは明らかであるから、告示のあった日から向う二カ月間署名を求めることができることを考えれば、解職請求代表者証明書交付申請の当時に、選挙人名簿に記載された者であるからとて、直ちに証明書を交付し、告示を行なったことは地方自治法施行令第九十一条第二項の解釈適用を誤った違法の処置であり、第二に解職請求要旨が事実と相違し、虚偽があっても形式が具備すれば解職請求書を受理しなければならないとすることは法解釈の誤りであるが、本件の場合において知事は山兼弘外三名に関する刑事事件共犯者ではなく、起訴もされていないことは公知の事実であるにもかかわらず、解職請求書請求要旨の文言はあたかも知事が、右刑事事件共犯者、特に主犯者なるがごとき記載があって、これは同事件に関する検察官の起訴状に照らし、虚偽虚構なることは一見明白であるから、右請求者は詐偽に基く無効の署名収集する結果となる。よって選挙管理委員会解職請求権乱用を無視すべきではなく、また名誉毀損罪に該当する事実を流布助勢してよいという性格のものでないから、本請求は直ちに却下すべきであるにかかわらず、これまた漫然交付かつ告示をなしたのは、同一法令条項解釈適用を誤まった違法があるというのであります。  この異議申し立てを受けた県選挙管理委員会知事請求を却下し、地方自治法上、長の解職請求については、本件異議申立書のごとき申し立ては、署名簿署名効力に関して争う場合のほか、特にこれを認めた規定がないから、申立人請求は受理することができないとしたのでありますが、この決定の行われたのは十一月二十五日で、ちょうど私ども調査を行なった日の前日であります。  かくて現在手続は第三の署名収集段階に入っているのでありますが、これは十一月十日から一月九日まで二カ月が法定期間となっております。この期間内に請求代表者において署名簿を作成し、本人みずからまたは他のものに委任して署名収集するわけでありますが、十一月二十二日現在の調べによりますと、福岡県全県下有権者数は二百十二万七千二百二十人であり、署名収集人としての届出数は七千九百九十四人となっております。しこうして長の解職請求に必要な署名数の最低限すなわち選挙権を有する者の三分の一の数は七十万九千七十四人となっております。  署名収集を終った事後に続く一連の手続は、各市町村選挙管理委員会単位において、まず署名簿提出、その署名審査署名簿の縦覧が行われ、署名簿署名に関する異議申し立てあるときは異議決定を行い、最後署名簿の末尾に署名者の数等を記載して請求代表者に返付されますが、有権者総数の三分の一以上の有効署名があった場合は、請求代表者署名簿返還の日から十日以内に県の選挙管理委員会に対して解職正式請求を行うのであって、その時期はおそくも三月十二日となるのであります。その後は県の選挙管理委員会において、正式請求の欠陥の補正あるいは請求の却下を行い、請求を受理したときはその告示や公表を行い、最後解職投票を行う段階となるのでありますが、投票段階においては、知事弁明書を徴収し、投票期日告示し、その後投票期日まで引き続き請求要旨及び弁明要旨告示するとともに、投票所入口等に原文のまま掲示するのであります。  請求代表者証明書交付申請のあった十一月四日を起点として法令の定める最大期間によって計算すると、投票期日告示は四月十六日、投票日はこれより三十日後の五月十六日と予想されます。もっとも署名簿署名効力に関して請求代表者において訴願訴訟を提起した場合は、正式請求以後の日程は変更され、また手続進行によってはこの日程予想は大幅に変更されることは申すまでもありません。  以上が本件に関する現在までの経過及び法律上今後に予想される手続を概観したのでありますが、この概観によっても直ちにわれわれの注意を引くことは、まず第一に、この手続は性質上はなはだ煩瑣であり、かつ長期にわたることであります。もしも投票段階に入るとすれば、初めからでは手続は六カ月以上に及び、投票に至らぬとしても四カ月に及ぶのであります。この間県下市町村において署名収集署名効力審査等複雑多岐手続が行われ、また署名に関する賛否運動投票についての論議が行われることは注目すべきことと考えます。  第二は、知事解職請求には多数の署名を必要とすること、特に福岡県のごとき大県においては前述の通り七十万以上の署名を必要とし、その効力確定には容易ならぬ困難が伴うものと推察されます。特に福岡市のごとく五十有余万の人口を有する都市にあっては、有権者は三十万人をこえ、署名簿提出の日から法定の二十日間では署名審査は困難ではないかと心配されているのであります。  第三に、知事解職請求は、その手続が全県下の広域にわたり、かつ半年にも及ぶ長期間にわたって行われ、多数の人々がこれに関与し、署名投票をめぐって賛否運動が行われる結果、本来の県政運営を阻害し、派生する各種紛争事件のために円滑なる地方自治運営を害するおそれはないかということであります。  すでに本件に関連して一、二の問題が起っておりますが、なお県政を阻害するほどのこととは申されないにしても、今後の推移に注目して十分検討すべき点であろうと考えます。  第四に、直接請求は直接民主主義から生まれた制度で、その実施住民政治的自覚の高揚には役立つとはいえ、もとよりその乱用は避くべきであるが、現行法制上果して十分な用意があるかどうか。地方自治法ではただ署名の適正を守るための規定のほか、何らの規制がないことは福岡県選挙管理委員会の指摘する通りでありますが、これは一つ問題点と思われるのであります。  第正に、直接請求目的であるところの政治に対する直接民意の反映を的確かつ敏速に実現するためには、さらに手続簡素化期間の短縮が望まれるのでありますが、これが前項の直接請求乱用防止のための規制と両立するかどうか、ここに問題があります。  すでに民選の議会があり、知事公選制のもとにおいて、右のような諸点をあわせ考えると、知事段階において解職請求制度は果して適当であるかどうかという根本問題が最後に考えられるのでありますが、それはともあれ、全問の福岡県における実施実例に徴し、今後の手続の進展とその状況をしさいに検討し、制度全般の問題として研究する必要があろうと感じた次第であります。  次に調査の第二項目、市町村財政再建の問題でありますが、これについては翌二十七日、県庁において精密な資料に基き県下市町村財政再建状況を聴取し、さらに財政再建団体であって、しかも町村合併による新市として建設途上にある県南部八女市を訪問し、しさいにその再建計画実施状況調査いたしました。  その詳細はすべてここには省略いたしますが、ただその結論だけを申し上げますと、本県市町村財政状況は、昭和二十一年度決算によれば大体好調であり、全体で八億三千百万円の黒字となり、前年の歳入不足額八億九百万円に比較すれば、十六億四千万円の単年度黒字となっております。もっともこのうち十億九千九百万円の再建債があるので、差引五億四千百万円の赤字を解消したことになりますが、赤字団体だけについて見ても、実質赤字は四億七千百万円で前年度の二十億九千二百万円に比較すると、十六億三千百万円の減となっており、そのうち右の再建債十億九千九百万円を差し引けば、五億三千二百万円の赤字解消がはかられたわけであります。  大体本県における赤字発生原因は、昭和二十八年の災害と炭坑の不況がおもなるもので、最近の好転化の原因は県の指導や赤字団体の努力もさるととながら、何といっても税収の伸びと地方交付税の増額にあるように見受けられますが、この情勢に即応し再建団体もその再建計画を再検討し、一般財源増収分のおおむね六割を行政水準維持向上に、四割を赤字解消に充当するよう全面的計画変更をはかりつつあるのが現状であります。  最後警察事情調査につきましては、さらに翌二十八日、警察本部をたずね、本部長以下県警察幹部公安委員県議会警察常任委員等参集のもとに、詳細な資料に基き、北九州における警察関係特殊事情を聴取し、その後現地におもむきまして、北九州五市を一望のうちに瞰下する若松市高塔山に登り、小倉市に県警察北九州連絡所をたずねて、北九州五市における警察総合運営状況を視察し、また同地方交通警察に至大の関係を有する完成間近き国道関門トンネルを見学して、つぶさに同地方特殊事情調査しました。  もとよりその詳細はここには割愛しますが、これを要するに、百万の人口が集中する北九州においては、現在警察行動化と質の向上の必要もさることながら、さらにその限界をこえて警察官定員増が強く要望せられており、特に県警察の当面の課題としては、八幡製鉄所の五カ年拡張工事進行と、国道関門トンネル完成による交通警察対処策であります。  現在警察官一人当りの担当人口数刑事犯罪件数等においては、北九州五市は他の六大部市の三倍あるいは二倍となっており、これを他府県に比しても、凶悪犯交通事故等でも他の県の数を凌駕し、二倍にも達している状況で、確かに全国的に見て警察官の負担は重く、本県警察官定員増の必要は理由があるように思われます。特に北九州の位置からくる対外国関係や、右に述べた交通警察の対策からその必要は痛感されるのであります。ひとり本県だけの立場からでなく、全国的視野に立って定員問題の解決が必要であり、今直ちに定員増が実現できぬとするも、他の面で北九州警備力充実の方途を講じてほしいというのが現地要望でありますが、県議会においてもこれを重視して、他県の例とは逆に警察常任委員会を新設し、その推進をはかることになったとのことでありました。  以上、調査の結果を要約して御報告にかえます。
  7. 門司亮

    門司委員長 以上をもちまして派遣委員の御報告を聴取することを終りますが、何か御質疑ございますか。
  8. 中井徳次郎

    中井委員 私も今報告されました福岡県のリコールの問題、それから北九州警察の問題、財政再建団体に指定されました八女市等々拝見してきたわけでありますが、大体ただいま加藤さんから御報告のありましたような事情でございました。そこでそういうものに開通をいたしまして二、三点私はこの際自治庁当局にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  第一のリコールの問題でありまするが、加藤さんからもたっての御要望がありまして、事実このリコール問題が進行の途中であるから、われわれ地方行政委員としてはリコールの動いておる姿をきわめて事務的に一つ調査をして、将来の法の改正その他の参考にする、あまり政党的な立場を出すととはどうかと思うからという御懇談もございました。本質的にはこの問題については、そういう問題一つにしましてもいろいろ議論があろうと思いまするが、円満な調査の運行のために、私どもはそれではそういう程度でもやむを得ないじゃないかということで参ったのであります。率直に申しましてそういうことでございます。参りまして、いろいろ調査をいたしました。大いに得るところも多かったのでありまするが、済みましてから新聞記者会見がありましたところが、まず第一に開口一番、きょうのニュースによると、自治庁郡大臣福岡県のリコールの問題は非常に混乱した状態である、そうしてこういう状態では知事リコールというふうな制度については考えねばならぬという発言があったことを、実はきょうのラジオのニュースで聞いた、それについてあなた方はどう思うか、こういうふうな質問がありました。  そこでお尋ねするのでありますが、その場には選挙管理委員長もおりましたので、私どもがちょうど話を聞きましたあとで、管理委員長さんに、そういうことを言うておるが、このリコール手続はそんなに混乱をしておるのかと言ったら、ちっともしておらぬ、まことに事務的には順序を踏んで明確に参っております。きょうも土屋知事の方からリコール請求に対する異議申し立てがあったけれども、これは一人でも請求権というものは現在ある。三人の連名でなされてそのうちの一人が先ほど加藤さんからお話がありましたように、請求をしてから住所を変更したにすぎない、従ってあとの二人ももちろん請求は有効であるし、あとの一人もあと二カ月は有効である。従って私どもは法の命ずるところに従って堂々とやっておって、現在のところまではちっともそんな混乱がございません。こういうふうなはっきりとした回答があったのであります。ところが東京においてはそういうふうな放送がなされておるということになりますと、私ども自治庁とされましてとの福岡リコールの問題について果して正確に把握されておるのかどうかということについて、非常な疑義を実は持ったのでございます。加えて申しまするが、福岡につきまして数時間の間でございましたが、福岡県民は冷静でございました。ただリコール請求者はそれは請求をした以上は成功させなければいかぬでありましょう。また逆に受けた知事側の方では非常に興奮をいたしまして、私どもが行きましても、知事室には全然おらぬ、そうして先ほども言いましたような異議申し立てだとか、そういうことをやっておるというのでございましたが、しかし県民はきわめて冷静であります。私は現地に行きまして、事態を見てまことに自治庁の御解釈は少しどうも変じゃないか、こういうふうな印象を受けたのであります。大臣はそういうことを記者会見において言われたのでありましょうが、どういう御認識のもとにそういうことをおっしゃったのか、実はきょうは大臣が見えたらお尋ねしようと思っておったのですが、おそらく皆さんからの御報告に基いたことであろうと思いますので、この福岡県のリコールの問題は法的には堂々と進んでおると私どもは考えておるが、自治庁としてはどういう御見解であるか、その点を先ほどの大臣の言明などを織りまぜて、一つ自治庁のお考えを私はこの際はっきりしておいてもらいたい、かように思うのであります。
  9. 中島茂喜

    中島説明員 ただいま中井委員の御質問の点でございますが、ああいう新聞記事が出ましたので、私も大臣がどういう気持で記者会見の際に言われたのか、お尋ねしたのでございますが、大臣リコールが非常に混乱のうちに進められているというような考え方をもってそういう表現はしていない。ただ自治庁にいろいろ福岡の方から事務的な問題で問い合せ等が参ります。そのことを見ておりますと、何と申しましても、ただいま加藤委員の御報告の中にもありましたように、非常に多くの有権者を対象としたリコールでありますし、全国的にも初めての大きなケースでございますので、法の解釈等についての疑義が相当地方でもあるようでございますので、そういう点はいずれリコール運動が済みましたならば、適当な機会に一応検討してみる必要があろう、こういうことは私ども大臣と話したこともございますので、そういう意味で発言をされたものだと解釈をいたしております。福岡リコール問題は、ただいま中井委員が言われましたように、そういう取扱いの面につきましての幾らかの疑義はありますけれども自治庁の方ともよく打ち合せをいたしまして、解釈の統一をはかり、事務的にも何ら混乱を起さないように順調に取り進められておるように承知をいたしております。
  10. 中井徳次郎

    中井委員 今の中島さんの御答弁ではっきりいたしましたが、そういたしますと、この大臣の言明は間違いであった、こういうことになるわけでございますか。そういうふうに承知をしてよろしいのですね。
  11. 中島茂喜

    中島説明員 私もその席に立ち合ったわけではございませんが、非常に軽い意味で言われた、かように私は聞いております。
  12. 中井徳次郎

    中井委員 そうしますと、少くとも混乱を生じておるというふうな表現は間違いであった、こう解釈して差しつかえないわけでございますな。
  13. 中島茂喜

    中島説明員 その通りでございます。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 それからもう一つ、これはただいまも中島さんの御発言の中にもありましたが、非常に緊密な連絡をとって事務的にやっていらっしゃるということでありますが、それに関連をいたしまして、実はリコール請求期間が切れますと審査期間に入る、しかしながらその審査期間は法上二十日間ときめられておる、小さな町や村や市でありますると二十日間でけっこうできると思いまするが、福岡のごとく有権者三十数万というところではなかなか二十日間ではやりにくい、そこでどうするんだという質問をいたしましたところが、たとえば具体的に言いますると、福岡市の調査が三十万のうちまだ四、五万しか済まぬけれども、全県下的に見ると法定の三分の一以上になったというふうな場合には、それで打ち切りというふうなこともあるかもしれぬけれども、そうでない限りは、二十日になってまだ法定に達しない、そうしてまだ調査は終っておらぬという場合には、その期間は延ばすということになっておる、こうはっきり選挙管理委員長は言うておりましたが、この点は自治庁の方も十分御了承の上であろうと思うのでありまするが、ちょっと御回答が賜わりたい。
  15. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 御承知のように、法律では二十日間というものを審査期間に充てておるのであります。そういうふうに法律でも明定をいたしております。ただ私たちの従来の解釈といたしましては、この期限は、いわゆる期限を経過してしまえば、あとの行為は全部無効という意味の規定ではないというふうに解釈をいたしております。この法律に書いてある通りでございますので、この期限内に終ることは最も望ましいことでありますが、やむを得ない仕義として、かりに若干延びるというような場合には、それ自体が審査効力その他の一連の手続に影響のあるものとしては従来も解釈いたしておりませんし、本件についてもそのように考えておる次第であります。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 その点は明快になりました。  そこで、このリコール問題について最後に一点だけ重ねて念を押しておきたいのでありますが、実は私ども福岡に参りまするに際しまして、たしか前々回の委員会でありましたか、委員長から発言がありまして、リコールを受けて立つ知事側においていやしくも県費を使うというふうなことがあっては、選挙違反になるのじゃないかという質問がありました。その点について、兼子選挙局長から明快に、それはあくまで私費でやらるべきものであるという回答があったのであります。これはもとより当然のことでございまするが、ところが向うに参りますと、新聞に大きく記事が出ておりまして、知事はどうもリコール反対の運動——これはやるのも当然であります。政党がやり、あるいは一個人がおやりになるのは当然でありまするが、その運動の本部が知事の公舎にあるらしいというふうなことでありまして、特にリコールの反対のビラなど知事の公舎にたくさん山と積んであった、それをまた新聞などに出されまして大騒ぎをいたしておりましたが、こういうことになりますと、これはこの席では、ここは裁判所ではありませんから、選挙違反とかなんとかいうことまでは言いませんけれども、どうも自治庁の選挙局長ですかの言われたことと現実とはあまり離れておりましたので、私もこれは政党政派を超越しまして、あまりどうも常識のない男だなと実は思ったわけでありまするが、こういう点について自治庁あたりに何か問い合せや経過報告や、そんなものがございませんか、ちょっと伺っておきます。
  17. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 ただいま御指摘になりましたことにつきましては、特別の報告あるいは問い合せということは現在の段階では受けておりません。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 今特別の報告や何かを受けていないということになりますると、私は大きな問題だろうと思うのであります。と申しまするのは、先ほどの私の質問に戻りまするが、自治庁長官がどうも福岡県のリコール問題は混乱しているということについては、それだけの印象を受けられたのだと私は思うのです。その奥にありまするものは、どうも県当局が今の知事でございまするから、これは公私の区別をつけるべきでありまするが、とかくやはりそういうものはつけにくいというふうな事情から、今の知事個人がやっておりますることについてはあまり報告しない、非常に行き過ぎや何かがあってもあまり報告しない、そういうふうな形が、あなた方がまだ知らないというふうなことに出て参っておるのじゃないか。実はそういうものがあるというので、これはけしからぬというて文句を言いに行った男を、知事側で実は告発をいたしております。そうして逮捕状まで出ました。これは東京の男でありまするが、そういう騒ぎになって、そうしておいて、一方自分の公舎にリコール反対運動のビラを実は積んでおったんだ、こういうことはどうだろうか、選挙違反になるものだろうか、どうだろうかということは、一切自治庁の方には聞いてないというふうなことになりますると、まことに私どもとしてはどうも納得できないのであります。私はこれは今回参りました四人といつも話したことでありまするが、今回のこの事件はどうも政党の争いのように表面はなっておりまするけれども内容を見ると政党以前の問題のようにも思いました。そういう面から私は申し上げるのですが、これは事実なんでございます。もし公舎でそういうリコール反対運動をやっておるというふうなことになりますると、これはどういうことになりましょうか。これは一つ自治庁の見解を伺っておきたいと思います。
  19. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 ただいまの問題は、私たちといたしまして、先刻ちょっとお述べ申し上げましたように、報告を受けておりません。ただ原則論といたしましては、受けて立つ側の知事というものは、これはあくまで個人としての地位でございますから、それに公器を使うというようなことが行われますことは、これは厳に戒めていかなければならぬ事柄でございます。またそれに類するような疑わしい行為というものも、十分に戒心をしていっていただかなければならぬ事柄でございます。私たちといたしましては、そういう点法の適正な執行、厳正な執行という点を中心といたしまして、今後もいろいろな関係が出て参ります折につきまして、判断をし指導をして参りたい、かように考えております。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 この問題は、実はあなたの方に報告がないということで突っぱねておられますが、うわさ話くらいは私は聞いておられるのじゃないかと思います。しかし皆さん正式な報告は受けてないということでありますから、きょうはこの程度にいたしておきますが、明らかにこれは選挙違反であろうと思うのであります。これははっきりいたしておきたいと思います。  それからもう一つ、少し重要なことになるのでありますが、私は県庁に行きまして、一応これは選挙管理委員会の仕事でありまするが、それをお尋ねする。しかし同時に北九州警察の問題もあり、あるいは財政再建の問題もあり、福岡県の財政の状況も伺えると思った。ところが行きまして四、五時間たちましたら、知事室に入ってくれというわけで、知事室へ入ったのでありますが、いつまでたっても知事さんが現われない。伺いますと、どこかの橋の起工式に行っておられるということでありましたので、明日は一つお目にかかりたいと言うておきました。そうして明朝新聞を見ますと、その橋の起工式はあったことはあったのでありますが、知事はその晩にリコール反対の演説会にずっと回っておられて、はっきり言えば、新聞記者に聞いてみたら、ここ一月ばかり知事室に現われないということであります。これは私はまことに重大なことであると思います。知事は現職であります。福岡県におるのであります。私ども知事の部屋でお話を聞く——国会議員が参りましたら、礼儀としてごあいさつくらいはあってもいいじゃないかと私が言い出しまして、あくる日に十分くらいお目にかかりました。しかし一向話はなさらぬ。どうもこの形を見まして、そうしてまた新聞などを見ますと、リコールが始まったから、この県の仕事があいてしもうて知事もおれぬようになった、こういうのでありますが、これはどうも逆じゃないかと思うのでございます。それはさらに忙しくはなりましょうけれども、こういう問題と別に、私は県政というものは現職の知事がやはり毎日見なければいくまい、かように考えるのであります。それを逆にすりかえて、リコールみたいなものをやられるから、もう県政は空白状態であるというのは、これはいよいよもって私は実際今リコールをやられておる知事知事たる資格がないような気持がいたしました。この点についてどうでしょうか。それは勤務時間外でありましたら、運動もけっこうであります。勤務時間中でも、それは政治的なものでございまして特別職でありますから、そう八時半から四時半まできっかり県庁におれなんて、そんなやぼなことは言いませんし、仕事があれば東京にいらっしゃることもいいし、どこへ行かれることもいいのでありますが、半月も一月も知事室にも顔を出さぬということでは、私はこれはリコールの問題に藉口するというよりも、やはりそういう性格の知事さんであり、どうも地方自治体の長としてどんなものであろうか、こういうふうな気がいたしましたが、どうでございましょうか。こういう点について、この際自治庁の意見をちょっと聞かしておいてもらいたいと思います。
  21. 中島茂喜

    中島説明員 ただいまの中井委員の御指摘になりました、知事がどうも県庁に出てこないで、長い間自分の部屋をあけておるという点でございますが、このことにつきましては、一カ月もの長い期間にわたりまして一回も顔を出さないというような話は、私ども耳にいたしておりませんけれども、どうも県庁に顔を出す機会が非常に少いという話でございまして、その点につきましては、他の方からもそういうお話を聞いたことはございますので、先般大臣と会っております際にも、そんな話が出まして、それはどうも知事としてはもう少し顔を出さなければいけない、リコール問題のために全然県庁をあけておるというそのやり方はおもしろくない、この点は注意しよう、こういうことでございました。私本月の三日の日に福岡県の地方自治法施行十週年の記念式典に出ました際にも、知事に特にそういううわさを聞くので、今後登庁されるようにということを注意をしておきました。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 中島さんも福岡県の御選出で、そういう事情もよく御存じだと思いますが、適切な私はお話だったと思います。今後ともそういう点については、一つ自治庁としても、しっかりした態度でお願いをしたいと思います。  それからその翌日に八女市に参りまして、いろいろ事情を聞きましたら、相当な赤字でございます。そうしてその原因は、先ほども災害の話がありましたが、どうも私ども内容を見て参りますと、人口が三万八百くらいであります。そうしてことしの普通交付税がたしか三千四百万円くらいだったと思います。私は率としては、おそらく日本一くらいの、人口から考えましてすばらしい率だと思います。それなれば、仕事をどんどんやっているかというと、やっておりませんし、それから職員の給与はそれじゃべらぼうに高いかというと、ちっともそうじゃない。特に市と名前がつくのでありますから、私は失業対策事業でも、何人失対はおりますかと言うと、一人もおらぬ、やっておらぬというわけです。そこでさらにお尋ねいたしました。それなれば、少しこまかいことになるけれども、生活援護を受けておる世帯は何人くらいおりますかと言いましたら、六十人とか八十人とかいうことでありました。そんな少いことはないだろうというので、さらに突っ込んで詳細聞きましたところが、結局のところ人口の一・四%ということであります。これもおそらく私は日本の都市では最低であろうと思います。一・四%程度の生活援護で、失対も一名もなくて、そうして交付税はもう十分たっぷりもらって、しかもまだ赤字である。これが地方の弱小市町村の現状であると、私、まことにがく然といたしました。私も昔そういう仕事を多少やったことがあるものですから、もう少しは余裕があるだろうと思いましたところが、そういうことでございました。しかも八女市というところは、今を時めく石井副総理以下政界の最有力の人たちの選挙区であります。そうしてなおかつ、しかりというふうなことになりますというと、最近とかく問題になりますのは、どうも府県の赤字のようでありまして、皆さんのうちには市町村赤字は一応済んだ、一応峠を越えたという感じの方が多かろうと思うのでありますが、私どもが視察をした結果において、これは大へんなことだというふうな印象を受けましたが、この点について、どうも市町村はもういいのじゃないかというふうな考え方が私はあるのじゃないかと思います。この際小林君が見えておりますが、大体こういう市は一体全国でどのくらいあるのか、これは市になったはなったけれども、何ともなりませんよ。こんな状態ですと五年、十年どういうふうな解決をすればいいのか、一つ自治庁の意見を聞かしてもらいたいのです。はなはだ一般論になりますけれども、事は重大だと私は思いますので、伺っておきたい。
  23. 小林與三次

    ○小林説明員 今のお話の通り八女市の具体的のことは私は詳しいことは知りませんが、おそらく災害の跡始末の問題が大きな原因になっているだろうと思います。そういう特殊な事情のあるところは、災害の始末ということについても措置がうまくいくなり、あるいは災害債に対する償還の問題がございますから、この始末がつけば何とかなろうとは思います。ただ全般的に見て、今三十一年度の収支の決算を集めておる最中でありますが、全体としては市も収支はよくなっていることは事実ですが、必ずしも五百もある市が全部よくなっておるかというとそうでもない。多少赤字が増加しておる市もあるようでございます。数は少いが十幾つか増加するという話を聞いております。その他四百幾つの市はみな今一応黒字が増加するなり、あるいは少くとも赤字が減少しておる、こういう形になっておるようでございます。それでございまして、まだやはり赤字も市では相当残っておるのでございまして、おそらくは赤字団体赤字は市だけでもまだ四、五十億以上あろうと私は思います。それも今の再建債とかいろいろな問題を考慮すれば、やはり二百億近い赤字が市にあるのじゃないか、こまかい資料はありませんが、私はそういうふうに大観しておるのでございます。それでございますから、やはり市町村の財政上の基礎を固めてやるということは、何としてもまだ必要でございまして、われわれも府県だけのことを考えておるわけでもなし、市の実態にも即して問題を考えなくちゃいかぬ。結局市町村の財源の確保というものも考えなくちゃいかぬ、こういうふうに存じております。お話の交付税も従来の市並みには相当行っておるだろうと思いますが、その行っておる額自体が、市そのものの行政実態から見ていいか悪いかということになれば、やはり問題点があるのでございまして、そういう面から見ましても形だけ、格好だけが多少よくなったということは、まだ少しも実質的なレベルを上げる段階に行っておらぬ。こういうのがわれわれ基本的な観察でございます。それでございますから来年度の財政措置の場合には、どうしてもそういう実態的なレベルというものを、もう少しまともにするという意味において、われわれといたしましてはぜひ必要な財源措置を確保しなければいかぬ、こういう考え方で参っておるのでございます。  それからなお非常に特殊な市で特別な事情赤字を出しておるのもあると思います。これも委員会などでしばしば御議論になっておる問題でございまして、私はやはり一般的な対策とともに、個別的な事情で個別の赤の原因になっておることは、やはり個別的に対策を考える必要があろうかという考えを今でも持っておるのでございまして、今決算の全体の集計が終れば、そうした個別的な市町村についも実態を明らかにして、策を考えなくちゃならないというふうに存じておるのでございます。ぜひ来年の財源措置をしかるべく考え、そうしてそれの配分方法を、やはり実態的にうまく行き渡るように考えなければならぬ、今はまだわれわれも抽象的な意見しか申し上げられませんが、そういう基本的な考えを持って検討を進めております。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 これで私質問を終りますが、八女市は町村合併促進法によって新しくできた新市でありますが、この促進法に基く新市町村の育成の経費を来年度はどれくらい考えておるのであるか、それをちょっと伺っておきたいと思います。ことしで二年目になりますが……。
  25. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 自治庁関係の新市町村育成関係の経費は、交付税の関係、起債関係そういう一般的な問題でいろいろございますが、そのほかに補助金といたしましては本年度から調整費を含めまして、一市町村平均二百十五万という単価が大体きまっております。この単価自体平均といたしましてはいろいろ少いのではないかという議論毛あったわけでございますが、一応本年度から発足をいたしております建前もございまして、また一面本年度における実施状況等を見ておりますと、言い分はいろいろございましょうけれども、かなり見るべき成果をあげておる点もあるのではないかというふうに考えられる点もございます。そういう点から来年度につきましては、できるだけ新市町村の一体化というものを早急に完成するような方向に努力を注ぐべきではないかということを考えまして、そういう点で対象町村というものをできるだけ広げるということに重点を置いて、今予算折衝を行なっておる段階でございます。今私たちの方として大蔵省に提案をいたしておりますのは、来年度については対象を千五百市町村に広めましてやって参りたいということで、総額といたしまして約三十七億円程度の要求をいたしておるわけであります。今いろいろ折衝中でございまして、まだ具体的に見当はついておりませんが、できるだけ新市町村の育成という見地から要望にこたえる意味もあり、またわれわれといたしましてもできるだけすみやかに、一体化というものを確立するという方向に持っていくためには、どうしてもこの種の補助金が必要であるということを考えておりまして、こういう線に沿ってさらに一つ折衝に努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 その千五百町村というのは新しくできた町村の数ですか。それとも合併された旧村の数であるか。新しく合併した町村千五百ということになりますと、そればかりの金額ではくその役にも立たぬと思うのです。どうですか、その辺のところは。それから一回やったら二度やらない、これっきり、こういうことでありますのか、当分五年ぐらいは毎年同じ町に定期的に金額を配付するということを考えておるのであるかどうか、これもおそらく一回きりだろうと思うのでありますが、念のためにちょっとお伺いしておきます。
  27. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 千五百市町村は新しくできました市町村の数でございます。関係した町村の数ではなくて、新しくできました市町村の数であります。なおこの補助金は一体化ということを中心にいたしております関係もございまして、一回対象になれば何回もなるという筋合いのものではございません。一回で終る種類の補助金でございます。ただそれぞれの市町村実情によりまして、事業の内容あるいは市町村実態というものから見まして、一回でその事業が終らない、年度をまたがってやることが適当であるというような町村もございます。そういう町村につきましては例外的には年度をまたがってやる措置を考えておりまして、現実に実施をいたしております。ただあくまで対象といたしましては、本来的には、補助金の対象になるのは一回ということが建前でございます。
  28. 北山愛郎

    北山委員 福岡県の問題が出ましたから、この際お伺いしておきたいのですが、この前の国会でも、この福岡県の例の一億円の公金を第一相互に預託した事件についてお伺いしたところが、調査の結果が最終的にははっきりしなかったわけであります。たしか刑事事件進行中でもあって、十分な調査ができないというようなこともありました。問題はその後進展をして、刑事事件の方は公判ということになって、先月の末に東京の裁判所で第一回の公判が行われた。その際の検察庁側の陳述を見ますと、やはり一億円というものを昭和三十年の十二月に住宅資金という名目で、住宅協会を通じて、それから第一相互に三回に分けて予託をされ、その裏で、当時の山本知事が、ブローカーの向井という人から現金を受け取ったということがわかっておるのですね。また本人も、その金をもらったというのじゃなくて、六百五十万ですか、借りたということだけは認めておるのです。その後、検察庁の方の陳述によれば、三十一年の八月に二千万円を返した、三十二年、本年の三月になって、検察庁側の問題になったもので、そこであわてて、どうやらさらに西日本相互銀行福岡相互銀行という二つの銀行に七千万円というものを、これは中小企業の振興資金の名目で預託をして、その二つの相互銀行からさらにそれが第一相互に渡って、それからその金が七千万円か八千万円になって県の金庫の方に戻ってきた、こういうふうにぐるっと、ことしの三月になりて、一週間くらいの間に回ってきた。こういう事実を検事も、検察庁側の調べでもって陳述をされておるわけであります。そこでお伺いしたいのは、一体自治庁というのは、地方団体の財政運営については十分な調査もし、また監視もするという権限を持っているはずなんです。従って、どういうふうな調査をなさったか、こういうような事実については自治庁はわかっておるのかわかっておらないのか、またわかっておるとするならば、どういうふうな措置を講じたか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  29. 小林與三次

    ○小林説明員 自治庁といたしましては、要するに福岡県の公金の管理状況がどうなっているかということは、一応調査いたしております。それでございますから、福岡県の公金が、今の福岡の信用組合に一億円の金が預託されたことも承知いたしております。それから今の、ことしになって福岡相互と西日本相互ということですか、正確な名前をちょっと忘れましたが、その二つには数千万の金が預託になっておるということも聞いております。その金は、今北山委員仰せられました通り、三月、つまり年度末の中小企業対策として預託されたものであって、これは三カ月の預託期間が過ぎて、みな県に戻っております。そういう点ももちろん、調査いたしまして承知いたしております。  それからあとの、今の本件の問題は、そういう問題じゃなしに、その信用組合自体がさらにその先でどういう融資をやったか、それに関連して、今いろんな容疑事件が起っておる。こういう刑事問題が別に発生しておる問題があるわけでございます。それからまた福岡相互と西日本相互、それから先の資金の運転とか動きというようなものは、これは自治庁といたしましても調べる必要もありませんし、そういう問題については、全然関与いたしておりません。要するに公金が、第一次に預託された金融機関との間において、無事に福岡県に返っておるかどうか、その預託につきまして妙なことがあったかなかったか、それ自体だけは、これははりきり突きとめておりまして、ともかくも、いろいろな問題を起して世間に誤解を招いておるのは事実でございますから、そういう問題の起らぬような管理、預託の方法をとるべきことだけは、厳重に注意をいたしております。今後再びそんな誤解を招くようなことをするはずは、全然ないと存じております。
  30. 北山愛郎

    北山委員 今の話によりますと、ことしの三月に西日本相互と福岡相互に頂けた七千万円というものは、これは戻ってきたということですが、そうすると、現在二つの相互銀行には預託しておる金はない、こういうことですか。
  31. 小林與三次

    ○小林説明員 三月末のが六月に戻っておることは、われわれ確認いたしております。それから、おそらくは盆暮れなどにまだ多少の預託があるかもしれません。そこのところの事実は、ちょっと今確認いたしておりません。全然ゼロであるとも言いかねるところがあろうと思います。従来そういう時期は預託いたしておりますから、おそらく年度末になれば、また資金の余裕があれば、多少の預託をしておることも考えられるのじゃないか、そういうふうに存じております。
  32. 北山愛郎

    北山委員 その三十年の預託の場合に、住宅資金として回したものが住宅資金に使われないで、ほかに運用されたという事実は、自治庁も認めておるのですが、その点についてはどういうような措置をしたか。
  33. 小林與三次

    ○小林説明員 その事実はわれわれも確認いたしております。それでございますから、自治庁といたしまして、本来住宅建設資金のために預託するのなら、これはそれぞれ地方行政判断の問題ですから、こっちでとやかく申す必要はないと思いますが、その預託金が目的通りに動かなかったというところに一つの問題があるのでありまして、預託する以上は、預託目的を達成するようにすべきで、目的に反するような預託はすみやかに解消さるべきことは当然でございまして、われわれといたしましては、今後預託目的を逸脱するようなことがあってはならぬというところに十分注意を喚起して、そういう誤りのないことを求めておる次第でございます。
  34. 北山愛郎

    北山委員 それから、前にお伺いしたときに、出納長が預かっておる公金の保管の問題であるから、これは出納長の責任だ、ただ知事は会計監督上の責任があるんだというようなお話があったと思うのです。ところがこの際の問題は、たしか三十年末の預託の場合においても、あるいはまた本年の預託の場合においても、知事が決裁をしておるわけですね。そうなりますと、これは単に出納長の保管上の責任というのじゃなくて、やり方についての知事の監督上の責任じゃなくて、自分が判を押しておるんだから、自分も同じような行政上の責任があるんじゃないか。これは私はこの前の国会でも、公金の保管方法についていろいろお伺いしたはずなんです。自治庁でも研究するというお話でありましたが、その責任関係は一体どうなるんですか。出納長が、自分の保管しておる公金を勝手にあっちに預けたり、こっちに預けたりすることができるのか。そうでなくて、これは知事の決裁を受けておるのですから、そうしてみると出納長としては正当にやっておるのか。だから、出納長に責任があるといえば、これに判を押した知事の方の責任もあるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  35. 小林與三次

    ○小林説明員 今の責任の問題は、現金の出納長保管の問題は、これは自治法ではっきりいたしておりまして、出納長の単独と申しますか、絶対権限にあるわけでございます。従いまして出納の管理、保管上起る一切の問題につきましては、出納長は責任を免れることができないことは明瞭でございます。それにつきまして知事は全然無関係かといえば、そうではなしに、知事もやはり会計を監督すべき権限も持っておるのでございますから、監督上の責任は私はあり得ると思うのでございます。そこで今の預託の場合につきましては、出納長の責任で、どうせだれに相談したからといって、出納長の責任が免れるわけではありませんけれども行政運用自治庁といたしましては、これは知事部局にも相談しろという指導をいたしておりまして、その指導に基いて全団体が実際の運用をやっております。そこで本件の場合も知事に相談をして知事の了解も得ておるのでございます。それでございますから、知事が相談に応じた以上、特に知事といたしましては会計についての監督の責任を免れることができないわけでございますから、そういう意味の責任は知事さんにももちろんあろうと思います。
  36. 中井徳次郎

    中井委員 関連して。今の小林さんの話のうちで、事実が少し違っておると思うので、僕は尋ねるのだけれども、中小企業に対する融資だというて、出納長が貸して、それを返しておる、こういう陳弁をしているけれども、中小企業に対する貸付金なら、知事の判をとる前にどうして商工部長の判をとらないのか。商工部長なんか全然知らない。中小企業関係の部課長は全然知らない。知事出納長だけ判を押している。これは現実なんです。ですから、単に法上出納長の責任だから、判は知事が押そうが何が押そうがというふうな簡単な事態ではありません。普通の決裁の方式ではなくて、非常に異例な形をとっておる。それは知事は商工部長が判を押したか押さぬか見ずに押すこともあるでしょうが、現在の府県の行政運営上から見て、現実の姿としてはそんなことはあり得ません。従って、これは私もしろうと考えではあるが、知事の方から、あそこへ貸せ、名義はこうだ、こういうことであろうと私どもは実は信じているのです。その点についてこの間から自治庁で調べてくれと言ったが、調べがつかぬのか、一向報告がありません。私は先ほども触れましたように、もっと厳格な調査をやってもらいたい。そういう意味で、ちょっと事実が違うから、この際申し上げておきたいと思います。
  37. 北山愛郎

    北山委員 今私もその点をお伺いしようと思ったが、あとの本年の預託というのは、中小企業振興資金として預託をされておる。政策金融ですよ。この前の住宅資金も政策金融なんです。政策金融だからこそ、出納長はやはり知事の決裁を得たに違いない。だから単に出納長なり収入役が保管している現金を、Aの銀行からBの銀行に預けるというような技術的な問題ではなくて、こういうような政策的な金融の目的でもって預託される場合におきましては、普通の現金保管と公金の保管とは、財政運営上別途に考えなければならぬじゃないか。そこに私は疑問を持つから、この前の国会以来聞いている。ところが、何でもかでも出納長の権限である、しかしながら知事の判こを押してもらっても差しつかえないのだというような、あいまいな行政指導をしているから、こういう問題が起る。これは自治庁が断固たる態度をとって、福岡県のそういうようなでたらめな財政の内容についてしっかりとした調査をし、また指導をしていれば、こんなリコール問題なんか起らぬでも済んだ。どうなんです。一体今の中井君の問題なんか、中小企業の振興資金として出しておりながら、出納長知事だけで判こを押してやっているというふうな財政運営をしていいのでしょうか。
  38. 小林與三次

    ○小林説明員 これは今までも御報告申し上げたと思いますが、福岡県で金庫銀行以外に預託する手続がきまっておりまして、それには出納長が自分で発議をする場合もあるし、それからそれぞれの知事部局から要請があってやる場合もあるし、これは両方あることになっております。それで今の場合に商工部長から発議があったかなかったかということは、率直に申しまして、私もその事実は承知いたしておりません。それだから、なかったのかもしれません。しかし今申しました通り福岡県ではそういう年度末とか盆暮れとかいうようなときには、ほとんど慣行的に預託を励行いたしておりまして、その場合には、金融機関から直接に出納長の方に行くのか、知事部局の方に行ったのか、そこは知りませんが、それで出納長といたしましては、ともかく金庫銀行以外に預託する場合には、出納長限りでやることは法律上できぬわけではありませんが、それは政策的な配慮もあるし、会計の監督上の配慮もあり得るから、知事に必ず相談せよという、はっきりと自治庁としてはそういう指導をいたしておるわけでございます。それでございますから、知事は執行の全責任者として協議に応じて相談に乗ったものだと存じております。それぞれの関係部局に一々相談しろとかするなとかまでは、実は自治庁は申しておりません。それはそれぞれの必要によって部内の扱いで適当にやっておるだろう、だからそこまではわれわれも言う必要はあるまいという考えでやっております。
  39. 北山愛郎

    北山委員 どうも自治庁福岡県の問題については同情的というか、好意的のようですが、もう少し事実をしっかり調査したものをもって説明をお願いしたいと思う。少くともああいう大きな問題が起きておる。しかも公金の保管方法について他の地方公共団体に対しても影響のある問題です。出納長や収入役が保管しておる現金をどのように扱ってもいいのか、私はそうでないと思う。やはり金庫制度がある以上は、金庫を中心にしてやっていくのが当り前だと思う。例外的な場合にそのほかの金融機関等に預ける。その金融機関等もしっかりとした金融機関でなければならぬわけです。みんなの金なんです。ただ出納長の責任で何でもできるのだ、おまけに知事の判こを押してもらえばなおいいのだ、そんなことでは困ると思う。しかも預託と言っておるが、見方によれば、これは金融機関に対する貸付金なんです。とにかく金を銀行に預ければ、所有権が移るのですから、所有権が債権に変ってしまう。そういうふうな財産上の非常に大きな危険のある行為をするのですから、中小企業金融なり、あるいは住宅の資金という政策金融をする場合には、知事限りの決裁では不適当だと思う。議会の議決を要すると思う。地方財政法にも、財産の運用については、条例なりあるいは議会の議決を経てやるのが原則だというふうに書いてある。やはり同じような理屈で、歳計現金、公金というものを運用する場合には、それだけのけじめをつけておかなければこういう問題が起るわけです。だから私は申し上げる。何も福岡県だけの問題ではないと思うのですが、一つのケースとして大きく浮び上った問題だから、自治庁としては十分実態調査して、そうして直すべきものは直させるという処置をとるのが当然なんです。今までとっておらない。この委員会で問題になると、何でも福岡県のやり方を弁護するような言い方をされておるので、そこで結局はリコールにまで行ってしまうのです。自治法の中にも、わざわざ改正をして、財政の監視並びにその不適当な財政の運営については是正を求めるような規定すら、この前の改正で入れたのじゃないですか。そういうことが適切に行われておれば、こういう問題は未然に防ぐことができるし、また是正することができるのです。そういうことを自治庁はしておらない。しておらないからめんどうな手数をかけてリコールをしなければならぬようになってくる。どうでしょう、政務次官、それに対するお答えを願いたい。
  40. 中島茂喜

    中島説明員 北山委員の御質問でございますが、自治庁といたしましてはただいま財政局長から御答弁申し上げましたように、自治庁としての指導は万全を期しておったと思います。しかしああいう問題が起きましたので、今後ああした問題が再び起きないように十分注意をして参りたいと思っております。
  41. 北山愛郎

    北山委員 それと前の副知事はとにかく金を借りたんだというのですが、金を受け取っておるのです。その金の運用について小林という議長ですか、その議長に対して金を渡した。その金が前の知事選挙の選挙費の借りた金の支払いだということになっておる。そうなりますと、今の知事の選挙費というものについては、相当膨大なものとなって、法定選挙費を超過するのではないかと思いますが、こういう点についてもどういう調査をしておるのか。時効にかかったと言えばそれまでですが……。また副知事、それから出納長起訴になった、依願免職して退職金を払っておる、こういうことも一体どう思うのか。行政局長、どう思いますか。
  42. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 選挙費用の点は、ちょっと私主管も違いますので、その点は聞いてもおりませんし、まだ調べてもおりませんのでお答えをいたしかねるのであります。退職手当の問題あるいは一般的に申してああいう事件が起きました場合の退職の手続についてどうやるかという点につきましては、いろいろ議論があるわけでございます。場合によりましては刑事事件ということに相なりますると、休職にいたしますることが通例の事態であります。あるいは刑事事件とは別に心証を得まするならば、懲戒という行政措置をやるということも並行して行われております。あるいは依願免というような手続でやっておるというような事態もあり得るわけでございます。本件の場合におきまして、どういうような措置をとることがいいのかというようなことにつきましては、実は私の方でこういう事態のときにはこうなんだというようなそういう退職発令の際の手続、どういうふうにするかというところまでは指導を実はいたしておりません。具体的に何か事例をあげて、一般的な問題として照会がございますれば、これに対する一般的な見解を示すという程度にとどめておるような次第でございます。
  43. 北山愛郎

    北山委員 このケースは少くとも明らかになっておるのは、この一億円預託に関連をして、その中に働いたブローカーが第一相互から一千万円もらって、そのブローカーから副知事が金をもらっているのです。借りていると称している。その事実だけはわかっておる。そこまでだけでも懲戒免職の値打があるのではないですか。どうなんでしょう。こういう場合は一般的に見て……。
  44. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 起訴事実等の関係で明白になっておるようではございますが、この点については、現在裁判においていろいろ審査を行われている段階でもございます。そういう段階におきまして、これはしかるべきではないか、これはこうすべきであったかということを申すのはいかがかと思いますので、その点については見解を申し上げることは差し控えたいと思うのでありますが、現実に今まで行われておる事例を申しますると、任命権者側におきまして、心証を得たある職員について、刑事事件が起きまして、これに並行して任命権者側で事実上の私行監査あるいは考査等の方法をもちまして心証を得た場合におきましては、行政処分をやっておるという事例がかなり多いことは事実でございます。
  45. 北山愛郎

    北山委員 とにかく起訴をして、その裁判の結果を見なければわからぬでしょうが、見なくても、とにかくブローカーから金をもらって、それが知事の選挙資金になったということだけで、そうしてその副知事起訴されたのに対しては、今度は依願免職で退職金を払う、それからまたリコール問題で、何か職員は直ちに免職をするというような措置はどうなんでしょうか。私は福岡県の問題は、何も政党政派の問題ではないと思う。こういうような財政上のいろいろ疑惑があり、いろいろな点で、常識的に考えてみてもおかしい問題がたくさんある。起訴されるのは当然なのです。その上に人事上についても不当な点がある。これについて自治庁が適切なる指導なり是正の措置をとればいいのではないかと思うのだけれども、そういう考えはないのですか。
  46. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 一般的にはそういうような指導は適宜やっておるつもりであります。ただいろいろ目の届かない点もございまして、そういう点については御照会があり、あるいは御指摘があったような場合におきましては、法令等の手続規定の精神その他をしんしゃくいたしまして、できるだけ適正な法の趣旨に合うような運営というものを指導いたしておるつもりでございます。ただ福岡県の場合におきましてはその問題が、いろいろ刑事事件あるいはリコールにからんだ特殊問題等が、まず公けに問題になってきておりますので、そういう段階において個々の点につきまして、いろいろこちらから積極的に申すということがまた別の意味の問題を起すというような点がございますので、ただいまのところではそういった個々の問題についていろいろの見解を発表することは差し控えた方がいいではないか、こういう考えでおります。
  47. 北山愛郎

    北山委員 最後に一点確かめておきたいのですが、小林さんがさっき言われたのですが、出納長なり収入役が保管しておる現金、公金についてその首長の知事なり市町村長の判こをもらってももらわなくても、かってに適当な金融機関なりその他のところに預けることができるのかどうか。今の制度上はそれでいいのですか。
  48. 小林與三次

    ○小林説明員 法律論だけを申しますとそれはできます。現金の出納保管は出納長の権限で、そうしてその預金先につきましては、他に金庫銀行以外の金融機関に対しては別に銀行とかあるいは何とか特殊銀行とかいって限定をしておりません。金融機関に対しで預金ができる建前になっております。でございますから、預金の管理上どの金融機関にどう預けるかということは法律論だけを言いますれば、出納長の保管の権限内においてできる、こういうふうにわれわれは解釈いたしております。
  49. 北山愛郎

    北山委員 その福岡県の場合たど、いろいろな政策金融というか中小企業振興とか、そういうふうな預託の場合に、議決をとった場合ととらない場合がある。何かそれに区分があるのですか。
  50. 小林與三次

    ○小林説明員 議決をとっております場合は、ほとんど一年長期的に寝かしておく、こういう貸付金とほとんどかわらない状態長期的のものにつきましては、あらかじめ予算で議決をとっております。そうでなしにきわめて短期に、三カ月くらいのやつでやる場合におきましてはそういう手続をとっておりません。予算に載せるほどの必要がない。ほんとうの金の出し入れの一時的のものだ、こういう扱いをいたしておるようでございます。
  51. 中井徳次郎

    中井委員 今の小林さんの回答ですが、私先ほどから伺っておってどうも納得ができないので、大へん素朴な質問をして恐縮ですけれども、どうなんですか。知事というものは出納長に対して命令権はないのですか。私は法律の範囲内、それから条例の範囲内では知事出納長に対して命令権があるように思うのですが、その点はいかがですか。
  52. 小林與三次

    ○小林説明員 収支は当然御承知の通り知事の命令に基いてやるわけです。知事の命令に基かないでは出納長は全然やれない。そうでなしに、あと出納長の職務の執行についてどういう指揮監督権と申しますか、指示権があるか、こういう問題だろうと思います。それにつきましては、出納長の出納保管では、これは独立機関でございますから独立権限を持っております。だから側々の事務につきましての指示は、普通の内部部局と違ってこれはできないといわざるを得ない。しかし知事の権限の中に会計を監督するという権限の規定があります。だから出納保管の事務も、もちろん会計上の事務の一種でありますから、その会計上の監督をするという権限を私は行使することは、ある程度許される問題だと考えておるのでございます。それで今の自治庁が通知いたしまして知事に相談しろと言いましたのは、知事の会計上の監督権のワク内でやることには、出納長としての独立権限の建前を侵すものではあるまい、こういう私の考えで、そこで監督権の発動の一つの姿として、相談させて知事の意見も聞かせるという仕組みにいたしたのでございます。
  53. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっとそれはおかしいと思うのですが、出納長は現金の出し入れについては知事の命令以外には出せない。知事はそういう権力を持っているわけです。従って保管金をあっちに預ける、こっちに預けるということについて命令権がないということは考えられないので、それは法令違反あるいは条例違反であればそれはできませんというのでしょうけれども、それ以外のことであれば、こっちへ預けろと言われたら預けざるを得ない。当然知事はそれくらいの命令権はあると私は解釈すべきだと思うのですがどうですか。それがないというのはおかしい。
  54. 小林與三次

    ○小林説明員 そこは私が申しました通り、会計の監督権はあります。しかしながら出納長は出納の保管について絶対の責任を持っております。だから出納保管を誤まれば自分が賠償責任に任じなくてはならないし、いかに知事の命令があっても法令違反であれば審査権も持っているわけでございますから、知事が言うたから必ず出納長は聞かねばならぬというものじゃない。聞いてしかるべき場合と聞くべからざる場合とは、出納長の責任で当然判断すべきものだ、こういうふうに考えております。それならば知事は全然発言権がないかといえば、会計の監督権の作用の一つとして、出納長につきましても私は監督権を及ぼし得るのではないか。しかし、おのずから出納長に独立権限がありますから、その間において当然法律上にも限度がある。部下に対して指揮命令して聞かなかったら、直ちに職務命令違反ということにはならない、こういうふうに私は了解をいたしております。
  55. 中井徳次郎

    中井委員 私は何も法令違反を知事が命令して、それに出納長が従うとか従わねばならぬとか、そういうようなことを言うておるのではない。法の範囲内において適法なるものとその知事が考えて、あっちへ預けろこっちへ預けろと言った場合に、出納長が現実の問題でそんなものを断われますか。私はどうもあなたの言うことはわからぬのだが……。
  56. 小林與三次

    ○小林説明員 事実上断わるか断わらぬかは別問題といたしまして、あいまいな金融機関に金を持って行けとか、その条件が悪いとかいうような場合は、当然に出納長の独立責任上断わってしかるべきで、それは一向にかまわないと思うのであります。だから一切がっさい知事がいかに言い出しましても、最終的な責任は出納長からは免れようがない、こういうふうに考えております。またそうしなかったら出納長の権限を独立にする必要も理由もないわけでございまして、これはあくまでも絶対的な権限と責任を少くとも出納保管については持っておる、こういうふうに了解せざるを得ないと思います。
  57. 北山愛郎

    北山委員 さっきの小林さんのお話ですが、今度の福岡の場合は、初めの一億円の預託金を三十年の十二月から、短期であったかもしれないが、ずっと今日まで預けておった。一年限りではない。これはもしも期限が短期であるとするならば、継続の手続をやっておったに違いないと思いますが、今年の初めになって二千万円を返してきたというような格好になっております。非常に長いのです。その事態もおかしいのじゃないか。こんなことを知事が知らないわけがない。  それから、検事の陳述にあるように、西日本相互と福岡相互のこの二つの銀行に七千万円預けてそれが回り回って県に返ったという疑いがそこにある。従ってこの点は一つ調べてもらいたいのです。短期の預託かもしれないが、それから三カ月日にまた別な預託をしたかもしれない。そういう疑いもあるわけなんで、自治庁としては、この二つの相互銀行に一体現在どのくらいの預託があるのか。この預託を全部引き揚げてもらうように措置する方が正しいと思います。そうすれば初めてその損失がないといったようなことが承認できるような気もするのですが、そういうようなことをおやりになる考えはないですか。
  58. 小林與三次

    ○小林説明員 前のは三カ月で切りかえ切りかえをやっておったということは事実であります。現在の預託の状況を調べてみよということならば、それはいつでも調べてみるということを申し上げます。しかし、これは預託をしているからやめろという必要はないのでありまして、ほんとうに従来からこの問題に関係のないことで、年度末とかいうときに現に預託をいたしておるのであります。その他の金融機関にもやっておりまして、従来県の行政上の必要があってやっておるものをとやかく申す必要はない。ただ今の問題に関連のあるような、誤解の起るような預託の仕方は私は避けた方がいいと思います。その点はわれわれも言いますけれども、そうでなしに普通の必要があって従来からやっているものについてとやかく言うのは、自治庁としては行き過ぎだというふうに私は考えております。
  59. 北山愛郎

    北山委員 少くとも今これは裁判の問題になっており、第一相互が返済をする資金を、この二つの銀行を通じて七千万円やったのじゃないかということで問題になっておるのですから、それを明らかにする意味においてそういう措置を自治庁から要求されることが適当じゃないかと思います。ほかの場合と違うんですよ。一般的にはあなたの言う通りだが、しかしこの際の問題は、これを明らかにする意味においてはそういう措置をさせる方が適当じゃないかと思いますが、政務次官はどのようにお考えになりますか。
  60. 中島茂喜

    中島説明員 ただいまの北山委員の御指摘の点でありますが、問題になっております金はすでに返っておると思いますので、そのほかの金についてまで自治庁の方から全部県に回収するようにという命令をいたしますことは、ただいま財政局長が申しましたように、自治庁としては行き過ぎではないかという考えを私も持っております。
  61. 加藤精三

    加藤(精)委員 本日の中井委員及び北山委員からのいろいろな御質問に関連して考えるのでございますが、かつて前々国会におきまして、決算委員会においてこの問題は十分討議されておるのでございまして、その節に特に私感じましたのは、一体社会党の皆様が地方自治というものをどういうふうに考えているのか。福岡知事はけしからぬから、自治庁でしかりおいたらいいじゃないか。場合によったらそんな知事はやめさせたらいいじゃないかというような気魄の御議論もあるのは地方自治を侮辱したものである。わが国の本然たる、わが国古来の誇りであるところの地方自治に対して、地方自治否定の議論なんです。かかる暴論をはかれることに対して苦々しいと思っておりましたのにかかわらず、本日またある県庁の歳計金の預入先を調べて、それを引き揚げるように自治庁が命令をしたらいいじゃないかという少し乱暴にわたるような御議論があったのでございます。これは地方自治の否定でございます。そういう議論は地方自治の否定じゃないかということについて、行政局長さん大所高所からの御見解を伺いたい。  なお申し上げますが、財政局長さんの御答弁に若干の思い違いがあるのじゃないか。その点は私の考えますところによりますれば、こういう議論をすること自身がこの歳計金預託の問題を政争の具に供しておるのではないか。たとえば、中井氏もわが国でのきわめて優秀なる都市の市長であった。北山氏のごときに至っては全国町村長会の幹部、県の町村長会長までやっておられる。歳計金預託の問題は必ず町村議会、府県議会等の議決を経なければならぬという思想を持っておられると仮定すれば、これは福岡県問題が発生する前に御議論があったはずであります。それくらいこの自治行政にお詳しい、与野党を通じてのエキスパートであります。エキスパートであるがゆえにそういう必要を痛感しておられたら、何ゆえ福岡事件より先にこの歳計金の預託は地方議会の議決を経るという地方制度改正法案を御提出なさらぬか。光輝ある衆議院の地方行政委員会が個々事件の、たまたま紛争の渦中にある問題を通じて、地方行政を第三義的目的のために利用されることを、私はきわめて遺憾に思います。何のために預託問題をこの福岡事件の発生する前に問題にされなかったかという気がするのでございます。これは非常に感情に走って申し上げましたので、大へんごきげんを害したかもしれませんが、事の成り行きを申し上げるために申し上げたのであります。しかしながら、一たびこの事件の御質問があった。そして政府当局がそれに対して答弁をしたという問題に対しまして、このままに放置しますときには、意外なる地方自治蔑視の風潮を日本の国内の地方行政に与えて、地方行政当局者が何をやっても、自治庁や衆議院の地方行政委員会にひねられるだろうということで卑屈になることをおそれまして、この立論をしたいのです。財政局長の御意見に対しまして私の考えますのは、出納事務については出納長が独立権限を持っておる。しかしながら会計事務については知事が独立権限を持っておる。しかるがゆえに出納長に預託の事務について最終権限があるがごとき、なきがごとき御答弁でございます。これはこの委員会におきまして御調を傍聴していたものは、だれしも考える点たろうと思います。その点は法律の例外は——特別法は一般法にまさるということから、会計事務から出納事務を取り出しまして出納長の権限にいたしました以上は、出納長権限の出納事務を省いた会計事務については知事が監督権かある、こう解釈するのが法律上正当な解釈だと考えております。しからば会計事務について出納事務を省いた範囲の事務があるかどうかという問題になる。これは私はあると考えております。たとえは会計事務を執行するにつきましての予算規模とか設備とか、あるいは預託をします場合に、普通の出納は現金を県金庫において出納する。県金庫に資金を回しておくのが通常でございますけれども、これは県政全体を考えまして、この資金を県政の最も必要とするところに効率よく活用するというような意味におきまして、たとえは福岡県の場合におきまして、住宅建設という国策について、頭金に苦しむ者がある場合におきまして、住宅協会に預託するというようなことは、県政全般をにらみまして、出納に第二次的なサービスをする場面でありまして、そういう場面のごときも会計事務に入っていると思う。しかしてその会計事務の預託先につきましては、自治庁の指導しました内規によりまして、知事の決裁を経さしめるというような道を設けたことも、県政全般の進展の上から妥当であろうということの見解に基くものだと私は考えております。住宅協会というものは、資金がだぶついておって、どうしても預託なんかの必要がないのに、それに預託するというのは、知事としてはやらないでありましょう。そういう場合の用意のために知事承認を得せしめるということは、理由のあることであります。しかしながらその県の歳司現金に損失を与える可能性のある機関であるかどうか。あるいはその機関のやり口か県の財政に損失を与え、県の資金に損失を与える危険性かあるかどうかということについての判断は、知事は絶対一文一毛といえどもしてはいかぬ。もしもそれをするならば、出納の権限を侵すものである。かるがゆえに先ほど中井委員かおっしゃいました知事か不適当と思えは、あるいは適当と思えはここに預けろといえはできるじゃないかという御議論は、とうていわれわれのとらざるところであります。わが国の行政機関におきましては、制度の立て万でごさいますけれども、国の一般の行政から独立いたしまして、会計検査院かあり人事院があります、それで内閣総理大臣は国政の全般を総理するものであるから、人事院を制肘し、また会計検査院を制肘し得るか。それと同等の権限の配分において、地方自治法におきましては理事機関と出納機関との権限の分立があるのでございます。これらを全部否定して、すべて知事に責任ありというような議論をすることは、私は本質的に間違っていると思います。会計事務に対しての知事の権限というものは、出納長の出納事務を除いた会計事務についての権限である、私はそう解釈するものでごさいますが、私の考えは地方自治を愛するの余り言う議論でございまして、とかく感情に走り、あるいは間違っているかもしれません。また正しいかもしれません。財政局長におかれましては、とくこ地方自治を熱愛する一人の地方行政会員の意見であるということを念頭に直さまして、十分御研究になった上、次の機会において御回答願いたいと思います。
  62. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいま加藤委員から、地方自治の本義を守り、地方自治を愛するままの御先言、われわれに対する批判、叱正、そういうことがありましたので、その地方自治の本義を守るに関連のある問題について、いささかお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。事は山形県の湯野浜という一局所の町村合併にかかわる問題でございますが、しかしこの事件昭和三十年の一月から始まりまして、あらゆる方面の人たちが努力をし、調停委員も努力をし、あるいは新市町村建設促進審議会委員も努力をし、議会知事側も努力をした。その努力がとうとう結実を見ずに、このままじんぜん日を送ることができないという結論に達して、住民投票以外にない、こういう結論を自治庁側に持ち込んだ。ところが政府としましては、もう一応努力すべきである、一定期間、冷却期間を置くべきであるという裁定をされた。それに基いてまた県側その他すべて努力を重ねたけれども、結局その努力は実を結ばないで、このまま日を送れば住民の不幸はますます大になってくる、そうして事と次第によっては流血の惨事を引き起すのではないだろうか、こういうふうな状況になってきておるわけなのでございまして、それでありますので、新市町村建設促進審議会においても、このことについては住民投票によって決定する以外にないという結論を出した、県議会もさような結論を出し、知事もその結論を出し、去る十一月の何日かに自治庁側に協議方を申し入れてきたわけでございますが、新聞で承知しますると、自民党の川島幹事長も自治庁当局を呼んでいろいろ事情を聞いた、その結論として早期解決方を要請したということであります。わが党におきましても、住民の深刻なる苦労をこれ以上座視することは不当であるという結論に達しまして、淺沼書記長が去る十一月の末に、自治庁側に党の意向としてその件を申し入れた、こういうことになっておるのでありまして、局所の問題でありますけれども、事はまことに深刻になってきておりまするし、またこの地方自治体側、県民全体の関心と、あるいは県議会その他の意向を基礎にしたものが自治庁に持ち込まれてきておるのでございまして、このことに対して自治庁は今慎重考慮中だろうと思うのでございますが、私はそう突っ込んで事をお聞きしようと思うのではございませんが、先ほどの加藤委員の話にもありましたように、自治体が最後最後まで自治庁側の意向を入れて、ここまで来ておるということは、自治体の立場がもうきりぎりの段階に来ておるのだ、これはやはり相当尊重せねばならぬのじゃないかという見解を持っておる。そこでお聞きいたしたいのは、これに対する自治庁側、政府側といいますか、それの回答はいつごろお出しになる予定でございますか、これをまず第一にお聞きしたいと思います。
  63. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して。本委員は、ただいま西村委員より提起されました質疑案件につきましては、これは個々行政事件の執行に関することでありまして、国会個々処分に対して介入する権限はないだろうと思う。これは立法権と行政権の明らかなる区分であります。これを取り上げるとすれば、本委員会の非常な不名誉だと思う。かかる問題につきましては、地方行政を守る熱意におきまして、過去十数年間、わが衆議院地方行政委員会におきまして節操を死守されましたところの賢明なる門司委員長は、お取り上げにならぬだろうと確信しております。なお本件につきまして、私非常に奇怪なことを承わりましたが、わが国の二大政党の一つの執行部であるところの淺沼書記長が、この紛争に介入して、そうして行政処置を左右するがごとき申し入れを行なったということを聞いておるのであります。かかることはあり得べからざることだと私は考える。これら遺憾な問題は、われらわが国の地方自治を守る者が死守してもこれをはねのけなければならぬ問題だと思うのであります。その点におきまして、事きわめて重大であります。われわれは政党に奉仕するか、それとも地方自治を守るか、今や重大なる危機に差し迫っていると思う。わが国の地方自治はとかく混迷な時代があったのであります。その時代におきましては、私……。
  64. 門司亮

    門司委員長 御質問を簡単に願います。お昼になりましたし、申し合せの時間を経過しておりますから。
  65. 加藤精三

    加藤(精)委員 私、青年時代に、わが国の政争の最も苛烈であったところのあの熊本県等におきまして、地方課の事務等をとっておったのであります。この政争の苛烈な中にあってこそ地方自治体は腐敗して、実に見るにたえなかったのであります。当時、熊本県の御出身の委員もおられますので申しわけないのでございますが、熊本県がこの地方自治に対する政党のゆがめられたる不自然なる干渉のために、どれだけ毒されたかということにつきましては、川村委員も当時を回想して、うたた感慨にむせばれることと思うのであります。それについて一、二の国会議員がかれこれ意見を言うということは、また常にあることでありますが、もしわが国二大政党の一つであるところの大政党の書記長が、かかる個々行政事件に介入して、そしてこれに影響を及ぼすごとき言辞を公式に公然と発表されたということであるならば、これはゆゆしき大事件であります。わが国の地方自治が終戦後、実に美しき実りをもって発展して参りまして、今日に至るその十数年間においての最大の不詳事件だと思う。かかる意味におきまして、われらの最も信頼する、終戦後の国会における衆議院地方行政委員会におきまして、地方自治の進展、地方自治の独立、地方自治の浄化のために、そしてそれを政党化より防ぐために、終始熱烈なる反骨を持ち、また終始熱烈なる願望を持って、節操を守ってこられた、われらの輝ける門司委員長の御裁断によることでございますが、かかる問題を御採択になるということならば、これはわが衆議院地方行政委員会の恥辱この上もないことだと私は考える。その点につきまして、本件の議事につきましては、門司委員長より、これが採択か採択せざるかにつきまして、十分なる御研究をいただきたいのでございまして、私の特にお願いしますところは、理事会を開きまして、十分本件を採択するかいなかにつきましては慎重研究させていただきたい、こういう考えでございます。
  66. 西村力弥

    西村(力)委員 私は加藤委員地方自治を守ろうという共通の立場でお話をしたい、何もあなたと口をとがらせて目をいからせて対立しようとは思わない。せっかくあなたが地方自治を守ろうという熱烈たる御意見をはかれましたから、これに関連する問題として私は一応提起したわけなのでございます。そしてまた私の質問は、その回答をいつごろなさるかということをお聞きしているだけなのです。それにもかかわらずそれが地方行政委員会の権威を失墜するというようなところまで突っ走られることはあまりに気が早いのじゃないか、こういう工合に思うのであります。そしてまた執行権、行政権に対する不当なる圧迫、こういうことを言われますが、当委員会におきまして個々の問題を取り上げる場合の立場というものは、やはり地方自治というものは行政権によってゆがめられる、あるいは地方財政再建促進法なり町村合併促進法なりの趣旨というものが行政上ゆがめられておるというような疑義があった場合においては、その個々の問題を契機として法律上の趣旨というものが守られるかどうかということをやるのが当然であると思う。であるからこそ今まで当委員会においてもそういう個々の問題を提起して、個々の問題をそれだけの立場においてではなく、やはり地方自治とかあるいは法のほんとうの意義、そういう毛のをねらっての討論がなされておるはずなのです。そういう点から見てこの問題が単に一局部の問題と違った地方自治というもの、あるいは住民の福祉というもの、あるいはわれわれが当委員会において審議決定した関係法令等の趣旨、そういうこととの重要な関連があるからこそ私は提起しておる。そういう点からいうて、あなたと私の真に憂えておる、願っておる根本は変りがないはずだと思うわけなのであります。  それから淺沼書記長云々がありますが、それは何も行政権を左右しようという意向ではない。これはやはり社会党の県連の意向、県議会の与野党を問わずの意向、それがわれわれに持ち込まれた。住民が苦しんでおるとするならば早期解決さるべきであるのが当然ではないかという一つの御要請を自治庁に申し上げたのであって、これをもって行政権を左右しようということはいささかも考えていない。また一方最も行政権に強い影響力を持つであろう与党においても、川島幹事長がそういうことをされたということは伏されまして、淺沼書記長が云々ということだけを取り上げて、地方自治を侵害する、終戦以来初めてのゆゆしい大事であるというような言い方は、どうも少し突っ走り過ぎるのではないかと思います。そういう考えで取り上げておるのですから、お互い一つ住民の福祉、地方自治の本旨を守り、われわれが審議した法律を守るという立場に立って、一つ冷静に問題を突っ込んでいったらいいのではないか。またこの点について私が先ほど申しましたように事を突っ込んで、変に取り上げようとすることは全然考えていないのだということを申し上げておるわけなのであります。  ところで先ほどの質問に対する御答弁はどうですか。
  67. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。山形県知事から出て参りました湯野浜問題に関する書類に対する回答の問題につきましては、従来の経過並びにその他諸般の情勢を勘案いたしまして目下慎重に検討中でございます。
  68. 西村力弥

    西村(力)委員 御検討中とはすっぽらかしているということではないのですから、いつごろ回答なさるつもりか。前の県側の協議要請については、五月に出して六月十九日に政府の回答があったが、一カ月とちょっとかかっておりますが、常識的に考えてそう望ましいことではない。あまり長びけば何か事情があるものと考えられますが、いつごろまでかかるかということを私はお聞きしているわけです。
  69. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 六月の場合に結論を出しました書類と今度の書類とは、実は法律上の内容が若干違うわけでございますが、いずれにいたしましても、県知事といたしましては、ああいう書類をお出しになったわけでございます。従いまして、私たちの方といたしましても、これをそのままほおかむりして、いつまでもほっておくということは考えておりません。何らかの回答を出さなければならぬと思っておりますが、その時期等につきましてもいろいろ関連をいたします点が多うございますので、こういう点も含めまして目下検討中でございます。従って現在の段階では、いつごろまでにその回答を出すかということをお答えいたします段階に至っておりませんことを御了承願います。
  70. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいま慎重考慮中だというのですが、検討されている事項、要素、そういうものにはどういうものがありますか。いろいろ総合的に検討されておると思いますけれども、それぞれの要素があると思いますが、どういうことを御検討になっておりますか。
  71. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 個々事情と申しましても、本件西村委員もよく御承知のように、いろいろな点が実は輻湊いたしております。正直に申しまして、なかなかむずかしい問題であります。そういう点につきまして、従来のいきさつ上、その他いろいろな面を考慮いたしておりますので、一々取り上げて、こういう点、こういう点ということではなくて、あらゆる点から慎重に考慮いたして、検討いたしておるということでございます。
  72. 西村力弥

    西村(力)委員 慎重に考慮せられるということも、まためんどうな問題ですから簡単に御答弁ができないという事情もわからないわけではないが、その場合考慮せられている問題の中にあの湯野浜の問題が入っておるか。ここ二、三年この紛争のために、あそこは温泉地であり、海水浴場であるのですが、遊興飲食税というものの納入がずっと減じておる。このためにそこの観光地が衰微の一途をたどらなければならないという事情が考慮されておるかどうか。それからいろいろ施策を行うことによって住民の意向は転換するであろうというような希望、そういうものが事実その通りに進められておるかどうかということになると、われわれが知っておる範囲においては全く逆である。全くおそろしい直接的な紛争を阻止するに懸命になっているという事情にあるのだが、そういうような事情は考慮の中に入れておるかどうか。それから来年の二月に鶴岡市の市長選挙があるわけですが、この市長選挙があるということが、この回答をする場合考慮の要素になっているかどうか、なっているとするならば、住民の真の意思を問うにはこの分市分村の問題を全部解決すべきが当然であると思うが、その市長選挙の問題は考慮の中に入っているかどうか、それから政府側の立場とか、あるいはそのほかの片々たる関係、そういうようなものが問題にされているではないだろうかというような巷間の疑義、そういうようなことは全然ないことになっているかどうか、そういう点についてお尋ねしたい。
  73. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 現地からあるいは県当局その他の方から、本件につきましてはいろいろな情勢が報告をされております。われわれも非常に関心を持っておりますので、そういうような事情の推移につきましては十分見守っておるつもりでございます。今お話に出ましたような問題につきましても、そういうようなことが事実行われておるか、行われている場合に、実際にそういうような結果を生ぜしめた原因がどこにあるのかというような点につきましても、これはただ一部だけの主張ということにとらわれないつもりを持ちまして、慎重に考慮の対象にしておるのでありますが、ただ、最後にいろいろお話になりましたような点につきましては、われわれはあくまで新市町村建設促進法というものの法の適用の問題といたしまして、厳正に事務的に処理をして参りたい、かように考えております。
  74. 中井徳次郎

    中井委員 議事進行。だいぶ時間もたちましたが……。先ほど来加藤先生から地方自治を守るというお話があって、私どもその意味では御趣旨に賛成であるけれども内容については、私どもの一身上のことにまで御言及があって、福岡県の問題についても御批判がありました。私ども御趣旨の一端はわからぬわけではありません。できるだけ賛成をしたいと思ってお聞きしたのであるけれども、どうもしかし個々の事態を取り上げちゃいかぬ、そんなことを言われたって——たとえば出納の問題にいたしましても、加藤さんのお話のように私どもやっておりました。やっておりましたが、今福岡がやっておるようなことを世間でやられておるというふうなことについては、そんなことはまさかあるまいということで、それならば法律改正せいなどという御意見もあったけれども、そんな知事があろうとは一向思いませんでしたから、そういうことまで考え及ばなかった。そういうふうな次第でありまして、きょうの最初からの御質問もきわめて私は冷静に申し上げたつもりであります。しかるに、ああいうふうな御意見がありますと、ちょっとここで弁解だけは申しておかなければならぬ。しかし、こういうふうに議論がわいて参りますとなかなか尽きるとも思いませんから、ここのところで少し休憩していただいて、理事会なり何なり開いていただいて御懇談願いたい、私はこう思います。委員長に取り計らっていただきたいと思います。
  75. 門司亮

    門司委員長 今中井君から意見がありましたが、一時休憩してよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 門司亮

    門司委員長 それでは休憩して、午後は二時からあらためて会議を開くことにいたしますので、御参集を願いたいと思います。    午後一時十五分休憩      ————◇—————    午後二時二十六分開議
  77. 門司亮

    門司委員長 休憩前に引き続きまして、これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について、調査を進めたいと思います。  質疑の通告がございますので、これを許します。川村君。
  78. 川村継義

    川村(継)委員 私は財政局長に、再建団体の一、二の問題についてお聞きいたしたいと思います。  実は五日の新聞だったと思うのでありますが、新聞を見て大へん驚いたのであります。再建団体関係を中心にする給与切りかえの問題について、自治庁当局が、あるいは十一月の二十八日でしたか、関係の府県の総務部長会を開いて、そこで新たに給与問題についての指示をした。こえて今月初めに、関係知事を呼んで、給与切りかえ等についてのいろいろ勧告をしておるのだというようなことでありました。実は地方公務員の給与切りかえについては、この委員会でもたびたび取り上げられまして、自治庁当局の見解をただし、大体自治庁当局の考え方というもの、あるいは給与切りかえについての指導方針というものは、明らかになっておったと思うのであります。もちろん今回の給与切りかえについては、幾多の問題点を残しておることは私が申し上げるまでもありません。給与を受ける職員の側から申しますと、あるいは給与表の区分の問題であるとか、あるいは号給のきざみ方の問題であるとか、あるいは役職給の問題であるとか、この給与表の切りかえについて、その適用の上から考えて問題点を残しておりますし、たくさんの問題点があることも指摘されております。ところが今日になりまして、それらの不満足な点は残しながらも、地方公務員の給与切りかえについても、自治庁当局の大体の方針に準じて地方団体においては実施の運びになっておるのであります。すでに九月県議会を中心として、各府県では条例の制定もでき上っておりますし、今発令を終っているところ、あるいは発令の期日を急いでおるというような状況であろうと思うのであります。そういうようなときに、なぜこの時期になって自治庁があのように関係の団体の首脳部を呼んで、この給与切りかえについてあらためて強い勧告、あるいは指導をやらねばならなくなったか、その点について非常に遺憾に思うと同時に、自治庁のその考え方について、どうも納得のいかない点を感じたのでございます。従ってまず第一にお聞きしたいことは、この十一月末、十二月初めのこの時期になって、自治庁がどうしてあのような手段に出なければならなかったか、それらの見解を一つお聞かせ願いたいと思います。さきにも申し上げましたように、この切りかえについては、ずいぶん問題点はあった。また地方の職員の間には不満な点もあった。しかしこの職員の間、あるいは府県理事者側の間といろいろの折衝の結果、あるいは県議会当局もこれを認めて、大体給与の切りかえができる段階になった。そういう情勢をおそらく自治庁としてもよくわかっておられるだろうと思うのに、急になぜあのような手段をとらねばならなくなったか、その辺のところの考え方を一つはっきりとお聞かせおき願いたいのであります。
  79. 小林與三次

    ○小林説明員 給与の切りかえの問題についていろいろ御論議になっておりますことは、私どもも恐縮に存じております。今回の給与の切りかえにつきましては、自治庁といたしましては、これは今回だけの問題ではありませんで、常に地方公務員の給与の問題を考えるときには、国家公務員の基準を原則としてその線をぜひ確保したい、制度的にも財政的にも確保したい、これはもう一貫した方針で参っておったのでございます。今度の切りかえにつきましても、もちろんそういう趣旨で、制度上も国家公務員に準じて切りかえるし、それに見合う財源措置も保障するということでわれわれも参りまして、当初から一貫したその方針をもって地方に臨んで参ったのであります。ところが不幸にいたしまして、実際ふたをあけてみますとなかなか給与の現実のきめ方が、地方にもいろいろな事情があったかもしれませんが、ちぐはぐになっておりまして、そのちぐはぐと申しますのは、国家公務員の基準よりいわば上回って行われておる、こういう事例があらわに見受けられたのでございます。これははなはだ遺憾でございまして、特に再建団体の問題になりますと、財政再建という大きな仕事をかかえておるし、これはやっぱり国家公務員の基準の線にとどめてもらわなければ、今後の財政運営にも大きな影響がある、こういう考え方で、再建団体に対しましては特に強くその点を要望して参ったのでございます。それで再建団体のうちには、御案内の通りわれわれの考え通りに始末をせられたところもございます。ところによってはそうじゃないところもあったのでございまして、その範囲を逸脱するものにつきましては、これは恒久的な制度として将来ずっと影響のある問題でございますので、やはり国家公務員の基準の範囲内にとどめてもらいたい一そういうことはかねがね申し上げておったのでございます。ともかくも全体の給与の切りかえと申しますか、始末についての態勢を一応見きわめて、そして統一的な考え方ではっきり終局的な態度を申し上げた方がよかろう、こういうことで今日に参ったのでございます。それ以外に気持は他意ございません。初めからそういう方針で個別的にはそういうふうに申し上げておったのでございますが、今では大体の態勢も見きわめがつきましたので、一つの統一的な考え方で、一つぜひ各県においてももう一ぺん再検討を願いたいという結論に達したのでございます。それで先ほど仰せになりました二十八日かに総務部長会議——これは総務部長会議はわれわれの方と全然関係ございません。知事会の方で自主的に会議を招集されましたので、この会議につきましては、われわれはその問題について全然言及いたしておりません。いずれにしろ地方にも大きな影響のある問題ですから、個別的に総務部長の御意見もよく受けて、こっちの趣旨も納得してもらおう、しかし総務部長だけではとても問題が扱いかねるところもあるだろうと思いまして、知事さんにも一つとっくり相談して、われわれの意のあるところも察してもらって御協力を願おう、こういうことで、ここ何日か前から知事さんにぼつぼつお会いいたしておるところでございます。
  80. 川村継義

    川村(継)委員 今局長が答弁されたような内容は、これはもう前からあなたたちが繰り返して言われておることでありまして、何べんかわれわれも承知をいたしておるのであります。ただ私がお聞きしておるのは、この十一月末、十二月の初めに急に総務部長、知事を呼んで、この修正等についての決定を迫られたということについてでありまして、今財政局長は、今までの方針通りを、結局今日でき上った全体的の見通しにおいて立ててもらう、実行してもらう、そういうほかに他意はないということでありますけれども、その点についてはわれわれは非常に納得いかないものを感じます。今あなたの答弁の言葉の中に、給与改訂の初りかえの状況を見ると、いわゆるふたをあけてみたら、こういう状況であったから、こういう態度に出たのだということがありましたが、その点について実は自治庁としては、これはもう七月、八月、九月、いわゆる各府県が九月の県議会を目途として、給与切りかえに非常に精力的に努力をしてきた。その事前に、すでに自分の県ではこういう形で給与改訂をやりたいというようなことを、幾たびとなく自治庁とは折衝しておるはずであります。これはもう間違いない事実でありまして、また自治庁の通牒等によりましても、いわゆる再建計画を樹立する場合に、当初はこの給与改訂についてのみの計画を考えてやるようにという通牒も出ておったと私は承知しております。そういうようなこと等から、七月、八月あるいは九月初めにかけて、幾たびとなく地方団体があなたのところに来て、この給与改訂についての事前交渉を行い、大体自治庁の了解を得て、いわゆる内的交渉を得て、大体の承認の見通しを立てて県議会の方に提案した、そうして条例制定をやった、こういう段階になっていると私は思うのです。それを今さら、われわれは、前からこうやってきた方針を、そのまま今度の切りかえの完結を見て、総体的に見て、これを前の方針を実行してもらうんだ、こう言われても、なかなかわれわれとしては納得できないものがあります。まあそれはまたそれといたしまして、今度知事を呼んでやられたということについては、これはまあ考え方の相違かもしれませんけれども、私、自治庁としてやはり注意してもらいたいと思っておりますことは、各県の知事というのは、やはりこれは公選されたところの知事でありまして、その団体の首長であるし、いわゆる自治権を持っておるものでありますから、ただこの給与の表の問題等で、あなたたちが知事を呼びつけてどうこうするというその考え方に私は一つの疑問も持つし、知事を呼んであれやこれや、こうしろ、ああしろという指示をなさることは、これはやはりどうしても地方の自治権を侵しているんじゃないか、こういうふうに見ざるを得ないのであります。特に今度の、条例改正もできておるというのに、話を聞けば、新聞等の記事によりますと、条例の改正まで知事等に迫っておるということについては、これは大問題でなければならぬ。これくらい大きな自治干渉はない、こういうふうに考えておるものでありますが、さて今全部の知事との折衝は終っていないというような言葉でありますが、知事に勧告をされた、こうしてもらいたいというようなことを要求された、その結果、一体各関係の団体の知事等は、あなたに対してどういうような態度を表明しておりますか。その点も一つこの際あわせて、明らかにお聞かせ願いたい。
  81. 小林與三次

    ○小林説明員 各県の知事さんの申されましたことについて、一々私の方から申し上げるのもどうかと思いますが、知事さんはおそらく現地に帰って、この結果について、現地でもいろいろ新聞にも発表しておられるに違いないと思います。大体その心持は今まで数人の知事さんにお会いしたわけですが、いずれも自治庁の気持もわからぬではないが、地方にもいろいろ問題もある、それで自治庁の方針も十分できるだけ検討したい、こういうような趣旨でお帰りになっておるのでございます。これは、自治庁といたしまして、知事さんにおいでを願ったのは、むしろ自治庁がこの再建計画の変更の承認等で、文書でただ一方的にどうこう、自治庁の気持を出すということは、むしろこれは穏やかではないんであって、とっくり知事さんのお気持も聞いて、そうして出すべき文書の見通しもした方がよかろう、こういう考え方でわれわれといたしましては、今仰せの通り重要な問題でございますので、特別にそういう措置をとったのでございます。普通なら財政計画の上におきましては、予算の問題、増税の問題みなからんでおりますが、ただこっちも事務的に一方的に申し上げておった事例が多いのでございますが、今度の問題はそうもいくまい、そういうことで特別に慎重にしようという心組みから知事方の意向も十分聞く、こういう仕組みをとったのでございます。
  82. 川村継義

    川村(継)委員 各県の知事がそのような態度を表明しておられるということはもちろん当然だと思います。そこで先ほど私がこの時期になってという、この私の一番最も疑問としておるところの問題でありますが、実は先ほどもちょっと申し上げましたように、小林財政局長が、これは九月の委員会であったと思うのでありますが、そのあなたの答弁の中に、こういうことを言っておられます。ただこれらの団体についてお前どうしろというような趣旨の個別的な発言をすることはいたしておりません。一々とやかく干渉するようなことはいたさない、こういうような趣旨をあなたは答弁をしております。われわれももちろん給与切りかえについては、国家公務員に準じた措置がとられることは当りまえであるし、それにならって自治庁一つの指導方針あるいは基準というものを示して指導することについても異論はないのでありますが、ただ個々の団体に、それぞれの地方自治団体に、こうせよ、ああせよというふうなことはやらないというような自治庁の見解を一つ了として、当初申し上げましたようにいろいろ問題が起ったけれども地方団体もあるいは職員の諸君も、一つの了解をもってこれの解決に努力してきたと思うのであります。ところが今日再建団体という一つのワクははめられておりますけれども、それらの団体について今度急にこういう処置をなさろうということについては、あなたの答弁にありましたようなただ一つの方針であったからというそれだけでは割り切れないものをわれわれは感ずるのです。率直に、こういうような財政計画あるいは来年度の財政等を見合ってこうなるんだからというような、やはりもっと考え方の奥深いものがあってなさったのじゃないかと思うのですが、その点はどうでございますか。もう少し率直にお聞かせ願えないものですか。
  83. 小林與三次

    ○小林説明員 給与改訂その他個々再建計画の達成の問題につきましては、自治庁といたしましては全然考えが変っておるわけではなしに、どうしても国家公務員の基準を逸脱しておるもので、そのままいってはいかがかと思うものにつきましては、機会を見て調整を願わなくてはならぬ、こういう気は持っておったのでございます。ただいまのお話がいろいろ来年の財政計画に関連して、まあ時期が丁度そういう時期でもあり、何か問題があるのじゃないかというふうなお尋ねでございますれば、われわれといたしましては直接そういう問題に関係があろうとも思いませんが、しかしいずれにいたしましても地方の財源全般を見ますと、われわれとしてはなお地方行政実態から考えましても、個々の大きな赤字をかかえておることから考えましても、早く赤字の始末をし、歳出の面におきましても是正すべきものは是正したい。歳入の面におきましても、無理な、何と申しますか制限外課税とか法定外課税とかいろいろやってもおるし、場合によっては住民にまでいろいろな経費を負担させておる、そういう事態は一日も早く改善したいということは、これはもうわれわれの念願でございまして、来年度の予算編成に対しましても、自治庁といたしましてはそういう立場から財政上の措置を地方に対して十分講ぜらるべきことを主張しておることも、これは事実でございます。しかしいろいろ国税の問題や減税問題がからんでおるというのも御承知おきの通りでございます。われわれといたしましては、やはり地方行政は、やるべき経費は補助しなくちゃならないが、実質的にやはりいろいろ無理があるのだから、早く財政の運営が軌道に乗って、そうしてほんとうに住民のための仕事がまっとうに伸びていくという体制を確立しなくちゃならぬので、それは個々の団体の財政運営の問題であるとともに、国全体としても財源の充足の問題でもあるのでございまして、個々の団体の財政運営におきましても、それをやはり念頭に置いて考えてもらいたい。そこで給与等の問題につきましては、従来からいろいろやかましいのでございますが、特に地方団体における給与の構成というものは大きな比重を占めておりまして、これがやはりある程度合理的な範囲にとどまって、実質的に仕事を伸ばすことを考えなければ、自治体としての活動ができないのじゃないか、こういう気持がございまして、そこで与えるべきものは保障するから、それ以上のことはがまんをしてもらいたい、そういうのがわれわれの気持なのでございます。特に来年の問題と何も直接からんでいるわけじゃありませんが、それはそうした気持を持っておることは事実でございまして、われわれといたしましては、国家公務員よりもいろいろ苦労をしておるのだからよい月給表を使わせろ、こういう形で事が動くということは必ずしも適当じゃない、そういうふうに考えておることは、これは偽わらぬ気持でございます。
  84. 川村継義

    川村(継)委員 よくわかります。ただ先ほどもちょっと申しましたように、自治庁の財政上のいろいろな指導、それはその通りだと思いますし、別に異論はないわけですけれども、それを考えると同時に、やはり地方の自治体の自治権というものは十分尊重してもらわなければ困るのじゃないか、こう考えるわけです。今度のごとく、もうちゃんと県議会の議決を経てでき上った条例の改正まで迫るということは、いろいろ財政上から考えると、それは問題はあるし、自治庁としても心配ないところもあるでしょうけれども、これはやはりちょっと問題が残る、これは十分一つ考えてもらわねばならない、こういうふうに考えるわけです。そこで今あなたの答弁を聞いて、結論的なものを率直にお聞きしますが、もし今度の知事さん方に対する自治庁の交渉が、あなた方の思うようにいかずに、現在制定されたところの条例をそのまま実行していくという決定が各庁県においてなされて実施された場合に、これは結局あなた方の勧告と申しますか、要求に地方団体が応じなかったという結果になるわけですが、その場合には一体どういうようにしようと考えておられるのか、大へん結論的なものでありますけれども、お聞かせ願いたい。
  85. 小林與三次

    ○小林説明員 自治庁としての意見を申し述べておりまして、協力を求めておるのでございまして、先ほど申しました通り、引き受けた、すぐやりますとおっしゃる方は、今までのところ一人もありません。しかしながら、われわれといたしましては、あくまでもそういう方向で一つ御協力を願いたいと存じております。もし従わなかったらどうするつもりか、そういうことまで具体的にわれわれ考えておるわけじゃないのでございまして、これは地方におかれましても、われわれの意のあるところは十分御了解ができる日があって、われわれの思うように御協力願えることを心から期待しておる次第でございます。
  86. 川村継義

    川村(継)委員 うまくまとまらなかった場合にはどうこうしようということを具体的に考えていない、これは現状においては当然そうなければならないと思いますし、また今あなたたちが、うまくいかなかったときに、こうするぞなんてことは、これは大へんなことだと思うわけであります。ただ先ほども繰り返して申し上げますように、今度の折衝の面はただ単なる給与の切りかえに当っての給与表の問題だ、それが中心だ、こういうふうに聞いておるわけでございまして、それならば、先ほども申し上げますように、あまりにも自治庁の力が立ち入り過ぎている、いわゆる干渉がましくはないか、こう考えられてならないのであります。今ここに大臣がおられませんけれども、六日の閣議であったと思うのですが、これも私は新聞で承知したのですが、長官の閣議の席上で、十一府県の地方団体の知事とあなた方自治庁との対立の状況報告して、次のように確認をされておるということであります。それは財政再建団体赤字の解消が急務であるから、地方公務員の給与水準を国家公務員の水準に引き下げるべきであるとの既定方針に変りはない、こういうように言っておられますが、これは長官がおられませんからどうかと思うのでありますけれども、この点についてまた今まで小林さんが答弁下さった問題と合せて少しお聞きしたいと思うのです。赤字解消の急務、こういうことを非常に強調しておられる。その赤字を解消するということについては、もちろんわれわれといたしましても異論はありません。ところがこの赤字解消の急務ということについて、私は自治庁としてどう考えておられるかということをお聞きしたいのでありますが、この赤字を解消するということは、それぞれの再建団体が持っておるいわゆる財政再建計画、それを自治庁承認を受けておる七年なら七年、八年なら八年、五年なら五年、その年度内に完遂すればよろしいという考え方に立っておられるのか、あるいは五年のやつは二年でやらせろというような格好で、一年でも早く繰り上げて赤字を解消させようという方針で臨んでおられるのか、その点を一つ財政局長からお話願いたい。
  87. 小林與三次

    ○小林説明員 私は赤字団体が早く赤字を解消してまともになることは、これはもう率直に申しまして一日も早い方がいいという気は持っております。しかし再建団体につきましては、もうすでに再建計画を作って今踏み出したばかりでございまして、その計画自体に非常に無理がある。このことは今までにもこの委員会でしばしば申し上げております。もう毎年々々仕事を減らしたり、人件費を減らしたりしていって、おまけに場合によっては赤字を単年度で作るというような計画になっておった。場合によっては十年も十五年春かかるような計画を作っておるのでありまして、これは計画そのものがまともな計画だとは私は必ずしも言えぬのであります。計画通りやったら、もう自治団体の実が上らなくなってしまう。そういう意味の計画さえ少くないのでございまして、むしろその計画を早く是正して、長期的に考えて、とにかく計画通りやって、一応まともな行政運営ができるような姿に早くするということ、これが基本だと私は思うのでございます。そういう考え方で本年度の計画につきましてもわれわれは指導して参ったのでございます。ただ団体によりましては、自主的に非常に計画以上の財源がたくさんありまして、経過期間を短縮しようとしておる団体が現にあります。それからもう再建団体と縁を切ってしまおうという団体も、私は年度末には全国幾つか出てくるということを考えております。しかしこれにつきましては、われわれは今のところ積極的にそうしようという考えは持っておりませんが、自治的にできるだけそういう機会が早くくることを期待はいたしております。結局この問題は明年度以降の地方財源の問題がどうなるか、そういうことに非常にかかっておるのでございまして、ことしの場合では、御案内の通り、公債費の問題も終局的に解決はついていない。来年度以降の交付税の問題が確定しなければ、公債費の問題も解決がつかないりで、十分見通しもつかない。それにからんで来年はまたいろいろな財源問題で議論があるということもあることでありますから、この問題も十分に見通しをつけなければ、とうてい今仰せになりました通り期間短縮云々とかいう時期ではない、そういうふうに考えておるのでございます。
  88. 川村継義

    川村(継)委員 赤字の解消はなるだけ早い方がいい、それはだれでも異論はありませんね。ところが長官が赤字の解消が急務だという、あの言葉の中から感じられることは、結局あらゆる問題を犠牲にしても赤字をなくさせる、いわば赤字団体として抜けさせるというような点を含みとして、その手段として給与改訂の押えにかかるというような考え方があるのじゃなかろうか、そういうような感じがある。今財政局長が答弁された内容はよく了解いきます。これは必ずしも五年なら五年の計画を何も三年に繰り上げて、しかも三年間はすべてのものを犠牲にして、ただ国から借りておるものを返す、あるいは赤字をなくすというようなことでないというふうに了解いたしまして、その点はよくわかるわけでありますが、ただ、あなたの説明で後段にありましたように、非常に財政の状態が好転をして赤字団体から抜けたいというような場合に、自治庁としては即刻それをその通り処置する。しかしそれも、その地方団体の財政状態あるいは行政水準等の問題を考えながら処置せねばならないというようなことは考えておられるようでありますけれども、先ほど申し上げますように、長官の言われた言葉の中に、そこから考えて参りますと、実はどこの町であったかどこの市であったか私記憶いたしませんが、たしか非常に財政がうまく好転して、今年度再建団体としてのワクをはずしてもらいたい、再建団体から抜けよう、そういう意思表示があったときに、それを待ってくれというようなことがあったようであります。そういうようなことを考えて参りますと、おそらくその団体は一戸市でしたか、とにかくどこかの市がそのような意向で自治庁に折衝したときに、それを待ってもらった。その市は、再建団体のワクからはずれても、将来自分の団体の財政運営がうまくいくという見通しのもとに、そういう自治庁に対する申し出をしたのではないかと思いますが、それを待たせたというような事例があるようなことから考えると、長官が閣議で発言されたようなことは、結局赤字の解消が急務であるというようなことに大きなウエートを置かれて、しかも財政の中にそう大きな問題でないと思われます給与表の適用の部分までも押えていこうとされる。その方針についてはやや疑問が出てくるわけです。赤字の解消ということについては異論がありませんけれども、こういう点に自治庁としての指導の方針がやや一貫性を欠いているというか、あるいはその指導が給与面にのみ大きな圧力をかけて、是が非でも自治庁の考えているところの基準に従わせねばならぬという一つの面子上の問題等がからんでおるのじゃなかろうか、そういうふうに考えるわけでありますが、その点についてもう一応局長のお考えをお聞かせいただきたい。   〔委員長退席、中井委員長代理着席〕
  89. 小林與三次

    ○小林説明員 長官が閣議で給与の問題の報告をしたということも聞いております。給与の問題がいろいろ新聞にも出たものでありますから、自治庁の考え方を報告されたのであって、その結果自治庁の考え方によってやることについて、各閣僚の了承を得たという報告も私聞いております。そのときの赤字を解消するという意味は、要するに財政再建があったということでございまして、その財政の再建が給与の面からくずれてきては困る、こういう趣旨でそういう言葉をお使いになったものとわれわれは考えておるのであります。それでわれわれといたしましても、面子とかそういう問題を考えておるわけではございませんで、結局財政の再建の問題は、財政の帳じり自体をどうするかという問題が一つ、それから財政の内部の構造をどうするかという問題、これは両方を考えなければいけないのでございまして、帳じりだけ合っても、さっぱり住民の仕事が進まないというようなことでは、全く給与支払い団体であって意味がないことになる。給与ももちろん国民に一生懸命働いてもらわなければならぬですから大切な要素でありますが、それはともかくも国家公務員並みにしていただいて、そうしてできるだけ自治的な仕事をするように考える必要がある。そういう意味で、この歳出の内部の構造というものを合理化することが、財政再建というものの考え方の重点の一つでなければならないというふうに、われわれは考えておるのでございます。ほんとうの財政再建赤字を作らないだけではなしに、ほんとうに実のある行政を実質的にやっていく態勢を作らなければならないという考え方を持っておるのでございまして、そういう意味で給与の根幹をなすのが給与制度であるから、給与制度についても御検討願いたい。  もう一つは、定員の問題がありますが、定員の問題と給与制度の両方の面から、給与費というものはある程度合理的なワク内でとどまるべきではないかというような考え方を持っておるのでございます。  それから、どこかの団体でもう再建をやめたいと言ったときに、自治庁が待ったをかけたというお話でありますが、私詳しいことは聞いておりませんが、自治的にやめたいというものを引きとめる必要はないと私は思います。ただほんとうに今後の財政の運営についてのはっきりした見通しをつけて、そのあと運営指導の方針をどうするか、そういうことをはっきりさせたいという気持はあったと思いますが、大体そういうことで今年度末になれば、当然そういう団体が表に出てくるのが幾つかあると考えておりますので、そういうものについての今後の財政運営の方針もきめまして、その線に沿って一つ動いてもらいたいという気持でおるのでございます。
  90. 川村継義

    川村(継)委員 私はこの前の委員会のときに、ちょっと給与切りかえの問題に触れまして、大体おもなる関係府県等の切りかえの状況についての資料をもらえないかということを申し上げておいたわけでありますが、そういう資料がございませんから、いろいろ団体の問題について詳しくお尋ねするわけには参りませんが、今度の給与の切りかえについて、いわゆる再建団体といわれるものが十府県あったと思うのです。その中で、今度のいわゆる自治庁が呼び出してやられたのが十一団体、その十一団体の概況をこの際一つお話し願い、特に佐賀とか、徳島とか、山梨、福島、秋田、宮城というようなものが自治庁に呼ばれておらないという根拠となるもの、それから呼ばれた団体が、いわゆる給与表の適用を受けて、どういうように財政計画の上に問題になっているのか、どのくらいそれが将来に影響をするのか、そういうところの状態を少しお話し願いたい。
  91. 小林與三次

    ○小林説明員 今お話しの通り、宮城、秋田、福島、山梨、京都、徳島、大分ですか、この七団体については呼んでおりません。これは、われわれの見るところでは、給与条例がわれわれの考えておる国の基準通りになっておりますので、特別に問題にする必要がなかったからでございます。これらの団体におきましても、率直に申しまして、知事県議会に議案を出したときに、いろいろ県議会の内部においても議論のあったことは、われわれもよく聞いております。またそれまでに、知事自身もわれわれのところへ参られまして、いろいろ論議をせられたこともよく承知いたしております。しかし、いずれも一つここは国の基準のワク内でがまんをしてもらいたいということで、知事さんにも御了承を願い、県議会の方々にも了承を願って、基準通りやった次第でございます。その他の十一府県につきましても、県によって実情が違います。給与表の基本にたるものは一般行政職と公安職と教育職とございまして、この三つの表につきましての扱いが各県まちまちでございます。われわれといたしましては公安職と教育職につきましては、それぞれの法律の建前からいいましても、給与の落差基準は国家公務員の基準によってやるべしと、きちっと出ておりますので、これは国の表通りにやってもらおう、その場合に今の十一県のうちの半分ぐらいは教育職につきましてはその通りになっております。あとの四県でございましたかが教育職の表が変っておる。その部分を是正を願いたい。公安職につきましては十一県のうちの二県は法律規定通りになっておりまして、あとの県が違っておりますので、その部分の是正を願いたい。それから行政職につきましては、われわれの考え通りに行っているところはやはりそのうち二県ございまして、その他の県におきまして一つ御検討を願いたい、こういうわけでございまして、それぞれの県によって一つ一つ県の行き方が違っておりますので、個別にお話し申し上げるよりしようがない、こういうことでお話し申し上げておるのでございます。  それからなおこれが将来財政計画にどういう影響があるか、これはなかなかむずかしい問題でございます。現在の職員がどうなり、その伸びがどうなる、その後の新陳代謝がどうなり、それからそもそも今の再建計画上のいろいろな給与費がどうなるといういろいろな問題があって、なかなかめんどうなところがあるのでございますが、いずれにしろこれは将来それが土台になり、その上におっかぶせ、おっかぶせしていくのでございますから、今日ただいまのことだけで論議するわけにいかぬ、長い将来の問題として、軌道ができてしまえば、その軌道を歩まざるを得ないのでございまして、そういう出発点でございますので、一つ筋を立てていただこうという考えで参っておるのでございます。
  92. 川村継義

    川村(継)委員 各県の切りかえの状況等の総括的な資料でもいただければ、そういう点の検討等もできると思うのですが、大ざっぱにお聞きしますと、七つの県ですか、佐賀とか徳島とか、こういうような県は、御承知の通りに古い給与を受けているときに、何回かの給与ストップを受けたり、あるいは延伸を受けたりいたしておる県であります。そこで、給与表の適用は、国家公務員、いわゆる自治庁が示した案通りにいたしましても、実際の職員の給与の待遇という面から考えると、これは非常に低いんじゃないか、こういうことが推察されます。これは問題となっておる十一の府県においてもそういう府県があると思うのです。この委員会でいつか問題になりましたように、大きな昇給延伸を受けたり、何回かのストップを受けて、古い俸給表で非常に低位にある者は、ある点国家公務員並みに引き上げて給与改訂をやるべきじゃないかというような議論も出ておることも御承知の通りでありますが、自治庁の今日までの指導の方針を考えると、おそらくそういうことはなされないで、延伸やストップを受けたまま、ただ横すべりに新しい俸給表に切りかえていったという結果になっているのじゃないか、そういうことがこの十一の府県の中にもおそらくあるに違いないと思われるのであります。  そこで今私の手元にあります簡単なる資料によりますと、たとえば行政職の給料表の二等級の表を見ましても、十二カ月の昇給間差を持っておる者は、大体三万三百円というのが自治庁から示しておる案でありますが、他の府県は大体それと同じような、あるいは一つくらい、いわゆる三万二千円程度が十二カ月の昇給間差になっておりますが、三万三千七百円あるいはもう一つ下ったというようなところの、給与表のほんの一部の調整をしておる、こういうことは自治庁としては当然認めてやられてもいいのじゃないかと僕は思うのです。   〔中井委員長代理退席、委員長着席〕 今申し上げますように、それぞれ地方の団体には、今日までの俸給の実態というものがありますし、職員は延伸やあるいはストップ等をずいぶん食っておりますから、今度一つの昇給間差を調整したからといって、何も大上段に振りかぶってその修正を求めたり、あるいは条例までも改正させようとするような手段に出なくとも、その団体の財政計画の上に大きな狂いがないなら認めてやってもいいのじゃないかと思うのですが、今この十九団体の切りかえの昇給間差のその部分だけ見ても、そういうことが思われるわけです。そういう点について自治庁としてのお考えを聞きたい。さき申し上げますように、たった一つか二つの、一段ぐらいの間差の調整をなしたからといって、理事者側と職員間で、あるいは県議会の間で十分討議されて条例化されたものを、あえて呼びつけて修正させるなどという手段に訴えなくても、財政全体のワクから考えて、そう大きな問題とならぬならば、今まで苦痛をなめた職員等の待遇面から考えても、これは当然見ていっていいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点を一つ
  93. 小林與三次

    ○小林説明員 川村委員のおっしゃった点は重々ごもっともなところが多いと思うのであります。地方の職員が従来は高いわ、安いわいろいろ議論があり、また財政再建の苦しさのためから昇給延伸等をやっているのも事実でございます。われわれといたしましても、この問題はしばしば申し上げました通り、昇給延伸等をやっておったのは、一つは国家公務員のベースよりも高かった——高いか低いか議論はありましょうが、国家公務員と同じ基準で三十年に調査をやった結果が出ているようなところでは、これはある程度合理化してもらいたい、こういうことはあります。そうでなしに、全く動きのつかぬところは、ほんとうはしょうことなしにやったことだろうと思います。そうして結果的に見て、現に国家公務員より低いものがあるではないかということも総体的にはそうないが、もちろんこれはあり得ると思います。特に市町村などには非常にあると思います。そういうところはわれわれといたしましても、再建計画に支障のない限りは早く国家公務員並みのものは、むしろ各個人に保障してやるべきだという考えは一貫して持っているわけでございますから、こういうものだけの個別的な調整を、それぞれの団体ではお考えになっていいと思いますが、そういう意味のお考えに対してはわれわれもできるだけ応ずる態勢におるのであります。ただ実際問題といたしましては、個々の団体の中で上げるものがあり、上げないものがあるという問題が実際あり得ると思いますから、上げるとなったら一度に上げる、こういう仕組みになるものだから事がこんがらがってくるのでありまして、ほんとうにこういう人たちに対しては、私はできるだけすみやかに調整してしかるべし、こういう考えを持っております。ただその問題と給料の制度という問題はやはり別でありまして、同じ給料の制度のもとにおいても事実上、運用上こういう形になったのでありますから、少くとも制度だけはきちんとしていきたい。地方公務員が国家公務員よりも早く昇給期間がくる、それはわずか三カ月か四カ月で大した問題にならぬじゃないか、——一つの昇給期間を短縮すれば、それ以後の分もずっと短縮にならざるを得ぬのでございますし、なかなか一つだけをとらまえて議論はできません。その後その年次にくる人はみんなそういうスピードになりますし、そこで給料の制度は国家公務員と同じ制度で直してもらいたい、こういうことを言っておるのでございまして、全くほかに影響がないのに、ほんの一つだけどうこうしたらどうというようなことを、われわれもそうやかましく言っているわけではないのです。しかしながら、今お呼びした府県は、いろいろ考えてみますと、どうしても直してもらわなければ全体としての調子もとれぬとかいうようなところについて、御相談を申し上げることにしたのでございます。それも、それなら具体的にこれとこれをどうこうしろということは、それぞれの団体の実情もあり得るんだから、そう無鉄砲なことを言う必要もないので、そこでとっくりお話を聞いて話を進めよう、われわれといたしましては、この調整のワク内ならばそれぞれたくさんの表があるのですからあっちが出て、こっちが引っ込むということもあるでしょう、そういうところまでもどうこうというわけではなく、全体として一つのワクの中におさまってもらうように考えてもらいたい、こういうことで御相談を申し上げておるのでございます。
  94. 北山愛郎

    北山委員 関連して。ただいまの御答弁、国家公務員と同じような水準でやろう、そういう指示をしておるんだということですが、ことしの六月一日の地方公務員の給与切りかえの自治庁の通牒を見ると、初めから若干の調整というものを認めておるんじゃないか、国家公務員の三等級の初号というものを地方公務員の一等級の初号にして、以下順次各級号をそれに準じてやるんだ、ただしその中に必要によっては調整を加えてもいい、いわゆる任用及び俸給の基準の実態等によって、必要ある場合においては、必要な調整を加える。要するに、地方公共団体が国家公務員の表に準じて、俸給表を作る場合において、すでに必要な調整を加え得るという道を自治庁の通牒によって認めておる。それをまた地方団体が表を作って事前の協議をしておる、もしもそれでいかぬなら初めからだめだと言えばいいのです。そのときに黙っておいて、あとになって、これじゃいかぬ、あれじゃいかぬ、こういうことになる。もしもそれがいかぬというならば、なぜ一体初めから必要な調整などを認めたのか。きちんと国家公務員の俸給に準じてやれ、あと認めなければよかったのじゃないか。自治庁としては、初め地方実態によって、多少は調整した表を作り得るという道を開いておきながら、そして地方団体はそれにしても勝手にはやらないで、それぞれ表を作って事前に協議をしておる。大体の内諾を得ておるような団体もあるのです。そうしておいて、あとになってからそれじゃいかぬということになったから、今の地方団体の大きな混乱が起きてきた。その点は一体どうなんです。
  95. 小林與三次

    ○小林説明員 今の六月一日の給与切りかえの通牒の解釈というか、心持というものにつきまして、今北山委員のおっしゃいましたように、われわれの考えておるところと現地でやっておるところと食い違いがあったことは事実だろうと思います。今仰せの通り国家公務員の表を百パーセントそのまま用いる、つまり中央の部長はそのまま地方の部長、課長はそのまま課長、こういうことをそのまますれば、これは率直にいって何も問題はなかったと思うのであります。警察とか教員につきましてはそれが可能なわけでございます。ところが一般職につきましては、率直に申しまして、それはやっぱりむしろ行き過ぎじゃないか。人事の実際から考えましても、交流の実際から考えましても、大体国家公務員の三等級が地方の一等級だ、つまり本省の課長級が地方の部長級だ、これが一般的にいえば常識でございますので、それをそのままさきに申しましたようにやっては、また地方がむしろ実態に合わぬむちゃをやるのじゃないかということになりますので、一応全般的のレベルとしてはそういうふうに考えたのであります。しかしながらそんならそれで貫き通せるかといえば、昔の府県と違いまして、今ではやはり人事も独立して行われております。それから職員構成等によっても実際が違うし、団体も東京、大阪その他千差万別でありますので、全部地方の部長が中央の課長並みだといったら、これは動きがつかぬ面があり得るのでございます。そこで調整のワクというものをわれわれは初めから予定したのです。その際に調整するのは自由だから、どこまでしてもいいかというのと、われわれはあくまでも国家公務員の基準のワク内でやってくれ、こういうのと、そこに気持の食い違いがあったのだと思います。われわれといたしましては、その通牒の一番冒頭に国家公務員に準じて左記によって措置されたい、こういう式にやりまして、要するに上を上げても国家公務員並み、そのワク内において一等級、二等級を下げましたから、それぞれ実際に合せて調整してもらっていいのじゃないか、こういう考え方で、これは一貫しておったのでございます。ところが実際の場合は調整だからといって、これは全く過去の例ですが、かりに地方の平職員が中央の課長補佐くらいのところまで行くようにたる。こういうようなことになっては、やはり全然趣旨に合わぬのでございます。そういう意味で、地方の課長たらばせいぜい行っても中央の課長どまり、それも県によって実際に違いますから、そのワク内において調整を考えろ、こういうのがわれわれの一貫した趣旨だったのでございます。その点が団体によって多少弾力性もあり得るからというので、そういう表現を用いたのでございますが、当初のわれわれの気持と食い違って、いろいろな例が出てきたというわけで、率直に申しまして、それはそのやり方が悪かったのではないかという御議論もあるかと思いますが、それが今のようないろいろな問題を起した原因であろうということだけは、私も率直に認めざるを得ないと思います。
  96. 北山愛郎

    北山委員 意思の疎通ではなくて、通牒にそれだけの弾力性を持たしておったのだから、その結果が出てくるのは当然なんです。しかしそれでもなおかつ今問題になっているような団体は、大体においては案を作ってきて、あらかじめ自治庁に見せておる。そうして内諾を得ておると考えておる団体もあるのです。島根にしろ、長野にしろ、新潟にしろ、岩手にしろ、大体了承されたと考えて、知事県議会にこれは自治庁も了承しておるというつもりで提案をして議決をされた。その後になって、いや、それは意思の食い違いだったとか、そういうことでは困る。だから今の給与改訂に伴う地方団体の混乱、しかも地方自治体が正規の手続を経て、そうして出された条例まで修正をしたければならぬというような大きな混乱を起したという責任の一半は少くとも自治庁にある、そういうことをお認めになるかどうか、これを郡長官からお伺いをしたい。
  97. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私は御指摘のようた責任がどうこうとかいうことではないのだろうと思います。しかしこれからの扱いについて、さらに気をつけるべきことがあろうかと思いまするが、このたびの取扱いにつきましてはただいま財政局長が申し述べましたように、再建団体というものの状況からも考え、また国家公務員と同じ扱いになっております以上、これをやってもらいたいということに格別の無理をしいているわけではございません。従いまして、どうかすみやかにそれぞれの団体においてなめらかに措置をとることを期待いたしております。
  98. 北山愛郎

    北山委員 無理をしいていないと言われるけれども、無理じゃないですか。国家公務員よりも上げちゃいかぬというならば、初めの次官通牒のときにそれをはっきりうたうべきなんです。必要な調整を講じ得るという道を開いておいて、そうして案を作ってきたときにそれでもよくないということは言わないで、大体了承しておるようなことを言っておいて、そうして今になって条例ができ上ってからだめだ、そんなばかな話はないですよ。責任を負わなければだめです。今財政局長ははっきりとそのことを言われた、原因はそこにあるということを認めざるを得ないと言った。長官はそれを否定するのですか。千葉県にしろ、長野県にしろ、新潟にしろ、岩手にしろ、ほかにもあるかもしれませんが、事前に表を作って自治庁に見せているのですよ。そのときによくないならよくないと言ったらいいじゃないですか。そのときには自治庁の内部意見が不統一であった、まだきまっていなかった、きまっていなかった責任はとらなければならぬと思うのです。もしもそれを今になって、きまった条例を引っくり返すほど強硬な手段をとるというのなら、あらかじめ六月一日の通牒のときに、はっきりすべきだと思う。それほど国家公務員ときちんと同じにしなければならぬというのなら——しかもあいまいな通牒の中に書いてあるように、なお当該団体における任用及び俸給の分布の実態により必要がある場合においては、必要な調整を加え得るということを認めたじゃないですか。認めたらなぜその通りにしないか。あとになってから国家公務員と同じにしろと言っても無理じゃないですか。長官どうなんですか。
  99. 小林與三次

    ○小林説明員 事実の問題ですから、私より先に答弁を申し上げます。先ほど通牒の話が出ましたが、通牒は先ほど御説明申し上げました通り、国家公務員の基準の範囲内において調整を加えろ、こういう趣旨で通牒にははっきり書いてあるのでございまして、私はその基準を逸脱して調整を加えてよいという趣旨には一つもなっておらぬと思うのでございます。ただそこが地方では、そういう読み方をせられなかったところがある、こういうことを申し上げておるだけでございます。給与の問題は御案内の通りことしに始まった問題でなく、ずっと前からあるのでございますが、常に自治庁は国家公務員制度が変ったときには、きわめてあっさりとこう変ったから、国家公務員の基準によって措置されたいという趣旨の通牒を出してきているのであります。そこでこの問題は、いまだかつてないほどその基準通りに行われておる、今度の場合もそういう書きっぷりをとったのでございますが、先ほど申しました通り一等級は一等級の式になってしまう、それは行き過ぎだから三等級は一等級にするが、しかしその間には無理があるから基準の範囲内において調整を加えろ、こう言っただけでございまして、通牒とか考え方におきましては、これは少しも欠けるところはなかったのであります。しかし予想に反した結果が出てきたところがある、それは県によってはわれわれの考え通りやっておるところもあるわけなのでございます。もう一つ再建団体の具体的の切りかえの問題におきましては、切りかえは国家公務員が早くやるんだからなるべく早くやらした方がよかろうというので、国家公務員のワク内においての財源を前提にして、切りかえをやるのはよろしいということもわれわれの方でも申し上げたのでありまして、その再建団体に対しましては国家公務員の基準でやってもらう、こういう趣旨と前提でやっていることは、従来あらゆるそれに類した一切の措置について行われておるところなのでございます。ただ具体的に国家公務員並みにしろということを言わなかったのは事実でありますが、そういう趣旨で一貫して参ったのでございます。
  100. 北山愛郎

    北山委員 とにかくわからぬですな。国家公務員の基準によるという一言だけでわかるなら、こういうこまかな通牒は要らないわけだ。その通牒には弾力性のあるようなことを書いておる、だからほんとうは勝手に地方団体が適当にやっても、多少の行き過ぎがあっても、自治庁としてはのまなければならぬ、それにしても地方団体は黙って勝手にやらないで、事前に八月ごろにはそれぞれの県が案を持ってきて見せているでしょう。見せていないというのですか、自治庁に持ってきているはずです。千葉県にしても何回も総務部長がやってきて、再三にわたって折衝して、大体これでよいということで県議会にかけているのです。そういうことをほかの県でもやっているのですよ。もしもこの解釈が千葉県なら千葉県が基準によっていないというならば、なぜそのときに言わないのです。条例ができてしまってからでは、自治体でも県でも困りますよ。知事だって困りますよ。これならば大丈夫通るからということで提案したに違いない。ところがそうじゃなかったんだ、自治庁はだめなんだ、それじゃ自治体としては立つ瀬がないじゃないですか。自治庁はそういう指導をやってもよいのですか。もしもそれほど強硬に国家公務員の線で、きちっとやらなければならぬというなら、なぜ初めにそういうゆとりのある通牒を出したか、出した以上は出しただけの責任を負わなければならぬのですよ。今度のやり方はおかしいじゃないですか。長官どうなんです。
  101. 小林與三次

    ○小林説明員 給与条例のこの通牒の出し方が悪かったというお話でありますが、これは今も申しました通り、その通牒の表現だけを議論をすれば、基準のワク内において調整をしろという趣旨の通牒でありまして、われわれとしては何も気にしておらぬのであります。そのワク内において調整が行われるものだと期待しておったら、調整だからどうやってもよい、こういうことが結果的に行われた、そこに私は食い違いというものがあったということでございます。
  102. 川村継義

    川村(継)委員 今通牒の質疑があったわけですが、局長がいろいろ強く言っておられますけれども、これはやはり責任はあると思うのです。結局国家公務員の給与改訂とぴったり合せてやる、そういうふうにはなかなか地方団体は読まぬのじゃないか。給与改訂に要する財源は昭和三十二年度地方財政計画の国家公務員の給与水準における本俸の六・二%が計上されておるので、これに基いて措置し、なお不足する場合は一般財源の節減等により措置するものとする。と、こういうことがありますから、これはやはり何といっても自治庁としてはある程度責任をとってもらわなければならぬ、こう思うのです。  そこでさきの問題と続いておりますが、十九の団体の中で六つの結局あなたの方で言う国家公務員並みにやられておるところには、何も今度は手を加えなかった、しかし十一の団体については国家公務員並みにやれないでずれているから、知事を呼び出して手を加えておるということでありますが、その中の兵庫や京都は私の手元にあるものを見ても、あなたの方から示した表とは昇給間差においても相当ずれておる。これは人のことをとやかく言うのではありませんけれども、兵庫や京都については十一団体の、いわゆる呼び出しの中には入っていないのですが、何か特別の考えがあってそうしておられるわけですか。その点ちょっとつけ加えて聞いておきたいのです。
  103. 小林與三次

    ○小林説明員 呼び出しましたのは、みんなきめてあるところしか呼び出していませんで、兵庫とか佐賀とかいうところは、これから条例を作ろうという問題だろうと思いますが、京都につきましては、事実もうみんな条例を作ってしまっておりまして、一般職の条例については多少ほかの県と違うところがあるじゃないかという議論はあろうと思います。それは私はやっぱり京都とか大阪とか東京とかという五大府県は、従来からある程度上の方の扱いが相当違っておりますので、その点はもうある程度考慮せざるを得ないじゃないか。それも特に並みはずれておるわけでもない、こういうので、京都の問題は従来からの五大府県の沿革の問題もあって、その程度ならばやむを得まいという結論に達したのでございます。
  104. 川村継義

    川村(継)委員 今の御意見はどうも納得できないのです。五大府県とか五大都市だからというような意味で、同じ再建団体の適用を受けておって、他の十一府県を呼び出して手痛い手心を加えさせようとしておるのに、それは特別だ、これはどうも私としては納得できない。また兵庫のごときはまだ条例ができておらぬ、条例ができておらぬなら、今呼んで国家公務員並みにやりなさい、こういう指導をなぜしないのですか。さっきのいろいろな御意見と大へんちぐはぐになってくるんじゃないですか。また兵庫は条例を作ってから呼び出すつもりですか。そうしたことではいけないと思うのです。結局私が当初申しましたように、またさっき北山委員から言いましたように、そうすべきものであったなら、むしろ条例などができない前に指導すべきが当然であって、県議会等で議決された条例をでき上ってから手直しさせるという行き方は間違いじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。その点についてどうです。
  105. 小林與三次

    ○小林説明員 この点は川村委員のおっしゃいました通りでございまして、こういう呼び方をしなかったというだけでございます。佐賀からも、兵庫からももちろん相談が参っております。兵庫につきましては、京都の基準のワク内でやる分にはやむを得まい、こういう考え方をもって指導をいたしております。
  106. 川村継義

    川村(継)委員 重ねて言うようでありますけれども、給与改訂のねらいが給与改善だということは、よくここでも言われたことでありまして、実際給与改善になったかどうかは別問題といたしまして、今度の給与改訂は、先ほど申し上げたようないろいろ問題点を含んでおる点があると思うのです。職階制の強化であるとか、あるいは昇給期間の問題などいろいろありますけれども、そういう点には触れることを避けますが、地方公務員の場合を考えてみると、これはやはりあなたたちの方は国家公務員という基準を非常に強く考えておられます。またその一つの基準を示されることについて、われわれも異論はありません。しかし私の考え方からいたしますと、何といったって、地方公務員と国家公務員は従事する仕事の性格は同じでありますけれども、やはり職務内容とか、そのほか人的な構成の問題等では非常に違った実態があるわけですから、その実態も考慮して切りかえさせるという配慮があって当然でないか、こういうふうに考えるわけです。特に地方公務員は、市町村は別といたしましても、われわれの考えるところでは、府県の職員あたりは、学歴の構成にいたしましても国家公務員とは大差がない。また地方公務員は御承知の通り国家公務員に比べて、非常に高年令の職員が多いわけです。また国家公務員がいろいろ監督的な、企画的な仕事に従事しているのに比べて、地方公務員は現業部門が非常に多いわけです。そういう点からもこの給与の実態というものは違ったって差しつかえない、こういうふうにわれわれは考えるわけです。これはたびたび問題になったと思うのですけれども、今度のいわゆる給与表を適用いたして参りますと、地方公務員は俗に言う頭打ちする諸君が実にたくさん出てくる、これがどうしても救済できないじゃないかという問題点が残っているわけです。こういうことなどを考えますと、今度の給与改訂に当って、あなたたちが国家公務員の基準というそれだけを頭に置くことなくして、やはり実態に即して考えてやるということは当然考慮すべきであったんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。特に今申し上げましたように、地方公務員の方と国家公務員の方で問題となる一つの点は、結局格づけの問題だと思うのですが、私の手元にある資料によりましても実に大きな問題を含んでおる。たとえば等級別定数の関係を見てみましても、国家公務員というものは非常に役づきが多いが、地方公務員にはそういうような形が出ていない。そうしてさっき申し上げましたように、あの給与表を適用すると非常に頭打ちをする場合が出てくるじゃないか。あなた方の自治庁でも役づきが大部分なんです。そのほかの各官庁を調べてみましても非常に役づきが多い。これを統計的に見てみると、いわゆる国家公務員の場合は、各省別は申し上げませんが、三十六万六千九百九十四の中で、役づきでないものが九万九千五百九十四、これに八等級の二万三百三十一という数字が出ている、そうなりますと、あとの残りは全部役づきです。役づきの数が何と六七%を占めておる。こういう結果に国家公務員はなっておるわけです。そうすると、あなたたちがさっき言ったように、給与表の基準は地方公務員でやる、国家公務員もこうなっておるのだ、こう言われますけれども、実際の待遇面から考えてみると、国家公務員はほとんど大部分、六七%という役づきをして、いわゆる優遇をしておると考えていい。ところが地方公務員にはそういうことは実際やれない。こういうと、あるいは小林さんは、それは運用面でやったらいいじゃないかと言われるかもしれませんが、地方公務員の場合に、そういう課長補佐を作ってみたり、係長補佐を作ってみたり、そんなことは実際やれない。また地方財政の健全なる運営を考えると、それも当然やれない。こういったことを考えて参りますと、先ほどから私が申し上げておりまするように、その給与表の適用について、昇給間差がたった一つずれておるから、二つずれておるからというようなことで、知事を呼び出してああせい、こうせい、あるいは条例の修正を迫るということなどは、ちょっとまだ深く考えていただいた方がよくはなかったか、こういうことなんです。それについて局長どういう見解を持っておられますか、お聞かせ願いたい。
  107. 小林與三次

    ○小林説明員 今仰せられましたいろいろな問題も、これはあり得ると思います。われわれも、そういう問題もいろいろと検討いたしたのであります。われわれといたしましては、県と国ならば、現場の仕事が県に多いということも事実でございますが、国にも現場の仕事もありまして、大観してみれば同じふうに考えてよかろう、こういう大筋の考え方はいたしておるのであります。ただわれわれの気持は、それぞれの頭打ちの職員の数というような問題もいろいろあると思いますが、結局平たい例でいえば、地方の課長が中央の課長よりもよくなるというのは制度としておかしいじゃないか。かりにそういう給与表を作れば、すべてのものがそういう仕組みになっちゃうのでありまして、それはやはり行き過ぎじゃないか。地方の課長は普通中央の課長補佐どまりであるが、しかし実際は県の実態から考えて中央の課長並みの場合もあり得る、そこでそこのところはわれわれは調整をしよう、しかしそれを中央の課長よりもよくするということは、どう考えたってこれはなかなか世間の納得もいかぬじゃないか、こういう仕組みで一貫して参っておるのでございます。そこで一番下の役職の数の問題になれば、平吏員とその上の吏員諸君の問題で、結局われわれの方で言うと五等級の問題になると思うのでございますが、五等級の問題につきましてはやはりその問題も考慮して、これはある程度つけ足しもしてあるはずでございまして、そこが十分か不十分かといういろいろ理屈はそれぞれの立場であり得ると思いますが、われわれといたしましては大観をしてみて、やはりよくいったって同じ名前のついておる国の役職の下にとどめなかったらおかしいという考え方で、一貫しておるのでございます。そうするとまたさらに今度個人的にいろいろな人の問題があるじゃないか、私は当然それはあるだろうと思います。そういう個人的な問題までわれわれはとやかく言うつもりはございません。こういう基準を基礎にして昇給財源を計算して、そうしてそのワク内においてそれぞれ個人的に特に成績優秀な者で始末しなければならぬ人は当然始末されていいのですし、当然条例上も許される問題だと思うのでございます。ただ制度としてみんなが当然にそうなるということだけは、そこのところは考え直してもらいたい、こういうことなのでございます。ただ一つだけ違ったからその点にいくのか、われわれもまさか一つだけ違ったからという気持もございません。やはり全部見直して相当の食い違いがあるところについて御検討願いたい、こういう趣旨で申し上げておる次第でございます。
  108. 川村継義

    川村(継)委員 地方公務員が国家公務員よりも低くなければならぬとか、そういうようなことはここで申し上げませんが、高くしてもいいじゃないかという議論も、言えば成り立つわけであります。  最後にこの問題について長官のお考えを一つお聞きしたいと思うのですが、給与表の問題あるいは知事たちを呼んで折衝されておりますいきさつを聞きまして、自治庁が国家公務員並みに地方公務員の基準について給与を改訂してもらいたい、そういう気持から折衝しておられる、それについては別に問題はないと思うのですけれども、これはあくまでもあらゆる手段をとって強引にやるというようなお気持はない、そのように長官理解しておいてよろしゅうございますか。
  109. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私は私ども知事と話し合いをいたしておりますること、これについては十分地方側も理解をいたしておるように見ております。従いましてなだらかな説得を続けておりまするが、これが必ず効果を生みまして、そうして自治庁の庶幾するような結果が得られることと考えております。
  110. 川村継義

    川村(継)委員 大へん時間もたっておりますので、給与表の問題はそれくらいにしまして、次に行政局長もおられますから、私、勤務評定の問題で少しお尋ねしたいと思うのです。これは具体的な例でありますが、御承知の愛媛県で教職員の勤務評定実施をめぐって、教育上相当な混乱等が起きておる。これについていろいろ経過を伺いますと、時間が長くなりますし、御承知のことでありますから申し上げませんが、ただわれわれが第三者的立場で見ておって、非常に遺憾に思うのは、勤務評定の実施、勤務評定票の提出、そういうものをめぐって、教職員の方ではこのような勤務評定票は、一年間やってみて教育上プラスにならぬから出せないという人たちが大部分です。委員会の方ではさまったことだから出せ、こういうことで対立しておるのは御承知でありますので、こまごま申し上げません。ただこの場合に残念に思っておりますことは、いわゆる愛媛県における自民党の県会議員の人たちが中心になった県連の人たちが、あくまでも勤務評定を出させよということで、相当委員会に働きかけがあったことも事実でございます。それはそれといたしまして、そういうような問題はここでいろいろ言っている筋合いでないと思うのですが、その問題をめぐって現われて参りました問題に、勤務評定を出さなければ、年末手当の中に含まれて出てくるところの勤勉手当、これを支給しない、支給するなという圧力が政党側から教育委員会にかかっておる、これなんかは私非常に残念だと思っております。ますます教育上の問題をほかの方にずらかした、これは干渉ではないかという見解を持っておるわけでありますが、この勤務評定を出さなければ、いわゆる勤勉手当が出せない、これをやらない、こういうことが言えるのかどうか、私実に疑問に思っておるわけでありますが、これは自治庁の当局から、この法的な見解を聞くことが一番はっきりすると思いますので、一つ御説明をお願いしたい。
  111. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 期末、勤勉手当の問題につきまして、お尋ねの点を中心に一般論として申し上げてみたいと思うのであります。一口に期末手当というふうに言われておりまするものの中に、正確に申せば期末手当といわゆる勤勉手当と、この二つが含まれておりますることは御承知の通りであります。そこで期末手当と申しまするのは、これは本人の勤続期間、在職期間等を中心として機械的に出てくるものでございます。従いましてこの面については、勤務評定をからみ合せをいたしますることは適当ではないであろうという考え方をいたしておるのであります。ただ勤勉手当につきましては、これまた御承知の通り本人の勤務成績による割合というものが加味されることに相なっておるのであります。勤務評定の問題が直接成績云々ということの一つの判定資料になるという建前から申しますと、そこには関連性がどうしても出て参るということに相なりますので、勤勉手当についてはそのような措置が行われることはあり得るのではないか、かように考えております。
  112. 川村継義

    川村(継)委員 いろいろくどくど申し上げることをなるたけ遠慮したいと思いますが、勤務評定を出さなければ勤勉手当をやらぬ、こういう考え方ですね。勤務評定票を出すということと勤務評定が行われておるのだという、その考え方とは私は別じゃないかと思うのです。と申し上げますのは、愛媛で委員会に加わっておる圧力は勤務評定を出さなければ勤勉手当はやらない、こういうことなんですね。ところが愛媛で行われようとしておるところの勤務評定票を出すことと——愛媛における教職員の勤務評定が全然なされておらぬかというと、私はそういうことはいえないと思うのです。愛媛で委員会実施しようとしておる評定票、これはまだ出されておらないかもしれないけれども、実際の勤務評定というものは当然その学校長等においては、あるいは文書になっておらぬかもしれぬけれども、やはりなされておる。こういうことを考えてみますと、今勤務評定を実施するということについての考え方も、突っ込んで考えますと、やはりそういう考え方をしていかなければならぬのじゃないか。今局長の答弁にありましたように、確かにいわゆる期末手当、それはもうその通りだ。勤勉手当というものは、これもあなたの説明の通りにやはり勤務評定を出さなければ勤務成績がわからないというような前提に立てばそういうことも言えると思うのです。ところがいわゆる〇・五という勤勉手当を出さないということが、一体言えるのかどうかということになりますと疑問を持つわけです。給与法の十九条の五を見てみましても、それに対応いたしますところの人事院規則、その中の支給基準を見てみましても、その点は明らかになっているわけでありますが、その中で勤勉手当の支給基準というものを二つに分けて、勤務期間を考えておるいわゆる期間率というような考え方が一つあるわけです。これに御承知のように一つの率を考えて支給するようになっておる。いま一つは支給基準の六項にいわゆる成績を見る場合の規定があるようでありますが、この成績率という点で勤勉手当を考えている。こういうようなことが示されております。この中で成績率の中に百分の三十から百分の八十ですか、そういうような一つ規定があったと思うのですけれども、この人事院規則の支給基準から考えても、これは勤勉手当を勤務評定がないからといって出さないというようなことにはなり得ないのじゃないか、こういうように私は考えておりますが、その点はそのように考えて間違いありませんか。
  113. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 内容を詳しく御指摘に相なったわけでありますが、今御指摘のありましたように勤勉手当につきましては期間率と成績率、この二つのかみ合せになっております。期間率につきましては勤務期間によって割合を算出をいたしまして、これは百分の四十から百分の百ということになるわけであります。他の要素として成績率というのがございまして、これまた百分の三十から百分の八十ということで、おのおのを最後にかけ合せて勤勉手当の支給率というものを算出することになっておるわけであります。ところでこの成績率というものにつきましては、今申し上げた範囲内でそれぞれの任命権者が定めるということに相なるわけけでございまして、勤務成績の判定の基準といたしまして勤務評定制度というものが絶対の要件であるかどうかという、取扱いの方法いかんにかかってくるのではないかと思います。ただわれわれといたしましては事教育公務員の問題でございますので、同じ地方公務員でございますが、直接には文部省の関係ということで、こちらといたしましてもそれほど立ち入って研究いたしておらないのでありますが、愛媛県の場合におきましては勤務評定ということを実施いたしております関係から申して、勤務評定票というものの提出を、成績というものを判定する一つの重要な資料にいたしておるのではないか、そういうような立場から勤務評定の提出というものを強く求めておるということになるのではないかと考えておる次第であります。
  114. 川村継義

    川村(継)委員 見解はよくわかりますが、ただ私がいろいろ申し上げないで、はっきりしたところをお聞きしたいと思うのは、かりに勤務評定を愛媛県で重要な成績判定の材料としておる。しかし勤務評定票を出さないからといって、この人事院規則の支給基準から見ましても百分の三十を下ることができないというような一つの基準等がある上は、全然勤勉手当を支給しないというようなことにはなり得ないのじゃないですか。こういう見解でお尋ねしておる。勤務評定があるなしにかかわらず勤務というものはなされておるわけでありますから、その点から考えましてもこれは不都合だ、やらないということはあり得ない、こういう見解も成り立つわけですけれども、それは別といたしましてもこの支給基準からいってもいわゆる〇・五の勤勉手当を出さないという見解は成り立たぬじゃないか、こういうふうに考えておるので、どういうお考えかお聞きしているわけです。
  115. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 ただいま御説明申し上げましたように、勤勉手当の支給率は期間率に対しまして成績率をかけ合せて、それによって出て参ります比率を俸給と勤務地手当にかけ合せまして具体的な額を出して参るわけであります。お尋ねの趣旨は、おそらくは成績率についても最低がきまっておる、百分の三十ということで最低がきまっておるから、少くとも最低の分だけは出せるのではないかというお尋ねでございましょうか。
  116. 川村継義

    川村(継)委員 期間率、これは勤務評定を出したから出さないからといって左右されるものではないのではないか、こう思うのです。ただ成績率はあるいは任命権者が勝手にこれを解釈して、これは出し得ないということになれば、そういう見解も成り立つのではないかと思いますけれども、今お話のように、期間率と成績率を乗じてこれを支給しなければならないということでありますから、結局総じて勤務評定票を出さないからといって勤勉手当を支給しない、そういうことにはならぬのじゃないか、こういうふうにお尋ねしているわけです。
  117. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 なるほど期間率だけを取り出しますと、それぞれの勤務期間に応じて百分の四十とか百分の百とかいうものが出て参るのでございますが、これに対して、勤勉手当の場合は成績率というものをかけ合せるわけでございます。かけ合せて初めて支給率というものが出て参るおけでございますから、やはり成績率というものが出て参りませんと、どうしても勤勉手当の支給率というものには具体的にならないということに相なるのではないかと思います。
  118. 北山愛郎

    北山委員 関連。今の手当の支給の問題は、私もよく研究はいたしておりませんが、勤務評定票が出ないから、支給者としては払わないのだということは、その支給者としては一応の口実となるかもしれません。しかし受給者から見れば、そんなことは理屈にならんじゃないか、一定の日に勤勉手当をもらうというその受給の権利については、手続がそろおうとそろうまいと、やはりもらうべき権利があるのですから、その額がどのように決定されるかは別として、一般的な受給権というものはあるから、もしもきまった日にもらえないとするなら、それはやはり一つの不利益な措置である、こういう解釈になるのじゃないですか。
  119. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 法律あるいは県の条例によりましては、十二月における期末手当の支給日は十五日現在を定例と、おそらく書いているのじゃないかというふうに思うのでありますが、その場合に、十五日にやらなければ直ちに不利益処分ということになるかどうかという点につきましては、これはそういう措置を受けた職員の方々のお考えになり、あるいは手続をその後どういうふうにとっていくかということによって、非常に問題が起ってくると思うのでありますが、任命権者といたしましては、やはり成績率というものを正確に出したいというためには、勤務評定制度というものを実施いたしております手前もありまして、その勤務評定制度が具体的に出て参らないと、正確な勤務成績に対する評価ができがたいということで、任命権者の立場から勤務評定の提出を督促しておるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  120. 北山愛郎

    北山委員 これは江戸のかたきを長崎で討つような格好で、評定票が出てこないからといって、受給者に対してやらないのだということは、相手が違うのじゃないかと私は思うのですね。そうじゃないのですか。受給者は、事情がどうあろうとも、受け取るだけの権利はある。だから任命権者としては、その票が整おうが整うまいが、一応受給者に対してはその所定の期日までに支給する義務があるのだ、それが常識的な結論じゃないのですか。
  121. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 期末手当自体の一般的な建前は、御指摘のようなことになると思います。勤務評定制度というものと、任命権者が定めなければならない成績率というものとは、これは別問題であります。一応任命権者の立場に立てば、成績率を出すには、やはりどうしても勤務評定を出してもらわなければできないのだ、こういうふうに言っておりますが、出てこないからといって、ほかの認定方法があり得るからして、そういうものをたてにとって言うのはおかしいじゃないか、こういう議論は一応成り立ち得るとは思いますけれども、しかし勤務評定の内容自体についての批判等は、私といたしましてはこの席上でいたしたくございません。しかし、勤務評定制度というものを実施して、その勤務評定によって成績その他を評定する一つの有力な手段として使っていこう、もちろんこれは単なる昇給とかあるいは期末手当における勤勉手当の支給率というものだけに用いるというつもりはないだろう。その他職場改善なり、研修の問題なり、適正な人事管理の一つの手段としてこれを使って参りたいという気持でやっておると思うのでございますが、その他に成績率評定の方法があるにいたしましても、やはりこういう制度実施いたしました限りにおきましては、評定制度の結果に基くものを、この成績率を割り出す一つの基礎にしていきたい。そういうふうになりませんと、また一面申して、すでに勤務評定の出ているものとの間にも均衡問題が起きて参ります。そういうものを勘案して、今のような態度でおるのではないかというふうに考えております。
  122. 北山愛郎

    北山委員 確かめておきたいのは、任命権者には、計算機が少し故障したとか、いろいろ理屈はあるでしょう。けれども、それを理由にして、受給者に対して所定の期日に払わないということはできないんじゃないかということだけを確認しておきたい。
  123. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 その点は、法律的に言えば、何らかの方法によって勤務成績率というものが割り出されればいいんではないかということでございますけれども、一面において、成績率自体を判定するについて、愛媛県の場合におきましては、教育委員会自体が勤務評定票の結果によって判定をしたいというふうに考えておるのでございまして、そういうような事態がございます際に、ただ単に一方的に、たとえば支給期日がおくれるというような事態が起きるかどうか、今のところでは推測できませんが、そういったことのないことが望ましいことでございます。それらの点につきましては、さらにもう少し実情等も聞いてみたいというふうに考えておりますが、その場合におきまして、支給日になるべく円満に期末手当が支給されるように、われわれとしても望みたいと考えております。
  124. 北山愛郎

    北山委員 どうも私が聞いておることにお答えが願えないで残念なんですけれども、要するに、いろいろ勤務評定票をそろえて計算をして出したい、これは任命権者の言うことであって、それを理由にして所定の期日をおくらすことはできないんだ、おくらすとするならば、それは任命権者の責任なんだ、これだけははっきりしたいと思うのですが、その点だけお答え願いたい。
  125. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 形式的に見れば、支給すべき日にそれぞれの受給権者に渡っておらないという事態があることは、これは事実であります。事実でありますが、そこに持ってこさせる事態というものについて、今この立場において直ちに、どちらに責任があるかということは、一つ言明は避けたいと思います。
  126. 川村継義

    川村(継)委員 局長、何か知らぬが、愛媛の方を向いて、非常に御遠慮なさっていられるように思うのですがね、これは何も、そういうふうに御遠慮なさって見解をお聞かせいただかなくてもいいと思うのですよ。あなたの立場で、いろいろ人事院規則の支給基準等から見て、勤務評定票がないならば勤勉手当はやれないかどうか。今あなたのお答えをいろいろ聞いておりますと、逆に言うと、次のようなことが質問したくなる。それならば、愛媛県のような場合に、勤務評定票が出てこなければ勤勉手当は出さなくても何も間違いないか、こういうことに一体なるのかどうかということなんですね。ところが、今北山委員からもちょっと質問がありましたように、支給の基準等の内容を見てみても、そういうふうにはならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけなのです。一つ御遠慮なく、はっきり見解をお聞かせいただきたい。
  127. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 一般的に申し上げますと、勤務成績を判定する資料、この場合で言えば期末手当の成績率というものを判定する資料として勤務評定というものが唯一の資料かということになりますると、そうではない、そのほかの資料もあり得るという点だけを申し上げます。
  128. 川村継義

    川村(継)委員 わかりました。今の局長の答弁で私としては了解したつもりです。そこで私の結論を申し上げますと、勤務評定票というものがなくても勤勉手当は出せるものだ、また出さなければならぬものだ、こういうふうに思うのです。  大へん時間もたちましたが、もう一つ別の問題をお聞きしたい。それはやはり愛媛で起っている問題ですが、学校の先生の一部の人たちに日教組から生活資金として融資がなされておる。ところがさっき申し上げましたように、愛媛の自民党の県連の人たちが、これは地方公務員法違反だ、こういうふうに言い立てておるわけです。非常におかしいと思うのですが、局長の見解はどうでありますか。
  129. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 ただいまの点はまだ私ども全然報告を受けておりません。従って今御指摘のようなことがございまして、公務員法違反というようなことを主張する向きがありますれば、その点はどういう根拠で、どういう条項から出てくるのかということも一応調べた上でないと、ちょっと私この席上で言明いたしかねます。
  130. 川村継義

    川村(継)委員 これはお調べになっても問題はないと私は思うのですが、結局地公法にいうところの給与という面にひっかかっているのじゃないかというふうに私どもは推測をいたします。しかし何も一部の先生方が生活に困っておられるというようなことで、同僚の団体から生活資金として融資がなされたということについて、これを給与などと解釈する仕方に私は非常な疑問を持つわけです。それは愛媛で実際そういう解釈をしているかどうか私は知りません。しかしそういう形でなされた場合に、地公法違反なんというて騒ぎ立てる問題じゃない、私はこういうふうに思って見解を聞いたわけですが、まあ一つその点局長の方でよくお知りにならないならば、よくお調べおき願いたい、それだけ私申し上げておきます。いろいろお聞きいたしましたが、ほかの問題はまたこの次に譲りまして、私の質問は一応これで終りたいと思います。
  131. 北山愛郎

    北山委員 大臣がおらなくなったので、どうも残念なんですが、さっきの再建団体の給与改訂の問題です。これは先ほど小林さんは、初めの通牒の解釈に食い違いがあって、それがこういう問題の原因の一半をなしたということは認めたわけなんです。なお事前協議についても、私が申し上げたのに対して否定をしておられない。ですから、千葉県とか長野県とか岩手県とか、そういう県は事前協議にいろいろ給与表を出して、そして自治庁に持ってきて、大体内承認を得たと伝えられておる。ある県のごときは、六月の指導によって市町村地方課が指導しておった。ところが九月になって方針が変って、さらに別な方針で指導するというようなことで、自治庁の中の方針というものが初めきまっておらなかった。九月になってから変ったというように地方団体当局者も、新聞等にも語っておられる。ですからその間の事情がいろいろ私が先ほど指摘したように、やはり自治庁の方にも一貫しないものがあるのじゃないか、解釈の食い違いの危険があるなら、地方団体が表を持ってきたときに、いいとか悪いとか言えばいいのですよ。それをあいまいにしておいて、数カ月たって事がきまってから、こういうことじゃいかぬという指導はよくないのじゃないですか。
  132. 小林與三次

    ○小林説明員 自治庁の最初は、先ほど申しました通り、通牒が従来通りの通牒でございまして、そういう意味で出して、われわれはそれによって間違いが起るものとはつゆほども思っていなかったのでございます。当然基準のワク内において調整が行われるという前提で終始一貫しておったのであります。その後何かいろいろな県において聞いてきたものについて、自治庁がはっきりしなかったのじゃないかという点でございます。これは自治庁も公式にいいというようなことは言っておりませんが、あるいは部分的に相談で言っておったのかもしれません。こっちとしては事前協議の場合には、いつも国家公務員のワク内で給与表を持ってくるし、格付その他昇給もやるのだということだけは、はっきり一札入れておったのでございます。ただ具体的にこの表とこの表はいかぬ、ここまではどうでもしろというようなことまでは、一番最初の段階においては私は必ずしもはっきりしていなかったということは、これはあり得ると思うのでございます。地方でいろいろ発言をしておられるようでございますが、自治庁再建計画承認という意味からは、終局的な断定は与えておったのではない、それは困るという趣旨のことは申しておったのでございます。しかしそれならば、初めから表を作って、それでやっつけてしまったらよかったじゃないかというような点は、それはまことにそういうところはあろうと思います。そういうことまでもわれわれはしたくはなかったのですが、そうでもしなければ動きがつかなくなった、こういうことで動きのつかぬところでやったということは、これはもう事実でございます。
  133. 北山愛郎

    北山委員 いずれにしろ、初めの通牒には解釈は弾力性があった。弾力性の道を開いている。必要な調整が行えるということで、これは基準内であるか、基準外であるかというようなことは、それぞれ地方団体の中で主観的に解釈をする。そこに食い違いが出る。だから食い違いが出る原因がそこにあったということを財政局長も認めたのですから、やはり一半の責任は自治庁にあると思う。それから今あらかじめ持ってきた事前協議のいろいろな表に対して、必ずしもこれを承認したのではないということになると、これは一々関係団体を呼んできて、ここで対決をしてもらわなければならぬ。やはりいけないならいけないと、はっきり言えばいいじゃないですか。それをあとになって数カ月たってから、事がきまってから言うというところに問題があるので、やはり通牒の文章には一つの弾力性があり、しかもその後に持ってきたいわゆる事前協議の段階において、自治庁の態度のあいまいさがあり、そこに一つ原因があるということだけは、率直に言って自治庁も認めなければならぬ。従って今度の一応でき上った地方団体の条例をひっくり返すなんてことになると、これは大問題ですよ。それくらいの根拠をもってひっくり返すならば、初めから自治庁の六月一日の通牒がきちんとしたものであって、それに対して明らかに地方団体が違反をしたのだということであれば、それは自治庁としては強硬に一応でき上った条例でも変えさせてもいいかもしれない。しかしながらそうではなくて、あいまいな指導をしておきながら、その責任はほおかむりをしておいて、そうして地方団体の一応議決された条例をひっくり返すということは大問題です。政治問題です。この点は十分覚悟をして——大臣はおらなくなったから、小林さんに話してもしようがないと思いますが、その点は十分覚悟をして、そういう事態にならないように、一つ局長としても大臣を補佐してやっていただかないと、これはえらい問題になってくる。地方自治権の不当な侵害ということになって、政治問題として取り上げなければならぬ。だからこそ長崎県等においては、一たんきめた条例をもとのままで再議決をしたというようなことになったはずです。そういう点を十分考慮されてこの問題を処理してもらいたいということだけをつけ加えておきます。
  134. 門司亮

    門司委員長 この場合私から一つだけ聞いておきたいのだが、それは公安職の給与について警察庁の長官から自治庁に何か申し出があったかどうか。
  135. 小林與三次

    ○小林説明員 公安職の給与については、だいぶ前に警察のいろいろ特殊事情、勤務の特殊事情があるから検討してもらいたいという趣旨のことは来ておることは私も承知いたしております。
  136. 門司亮

    門司委員長 それについて何か具体的の話し合い、それから具体的の事実がありますか、話を聞いたというだけでなくて。
  137. 小林與三次

    ○小林説明員 どういう御趣旨か知りませんが、そういう文書が来ておりますし、私のところへも係の人が参ったことはございます。それからこっちとしてはこっちの考えで御協力を願いたい、こういうことは申し上げておるのでありますが、きまってしまったやつはできるだけそのままにしておいてくれんかというような趣旨の申し入ればないわけではございません。
  138. 門司亮

  139. 加藤精三

    加藤(精)委員 非常に長時間を要したようでございますけれども、最初から委員長にお願い申し上げたように、三十分だけは最低質問の時間を許していただけるかどうか、その点に関しまして、きょうの午前中からの私の申し立てでございますので、発言制限の問題に関します関係から、あらかじめそれをお尋ねしてから私は発言したい、その点御回答をお願いしたいと思います。
  140. 門司亮

    門司委員長 別に発言の時間は制限いたしませんが、できるだけ簡略にお願いしたいと思います。
  141. 加藤精三

    加藤(精)委員 再びお尋ねしますが、三十分以内はお認めいただけますかどうか、その点だけ……。
  142. 門司亮

    門司委員長 けっこうだと思います。どうぞ。
  143. 加藤精三

    加藤(精)委員 その点につきましては、わが国の戦後の地方自治行政についての大きな問題を残す点の論議が本日あったと私は考えております。わが国二大政党の一つのある大政党の大幹部が、党利党略のために個々のある地方団体の行政に関する処分の問題につきまして圧力をかけた、圧力をかけたからこれに従わないかというばかりの気魂の質問があったのでございまして、それを委員長が取り上げられたという問題でございます。で、この問題は単にそれ自体が立法行政の分野を混同した事態であるばかりでなくて、それを質問される委員質問の中の論理そのものにとんでもない思い違いがたくさんありますることと、なおもう一つはその質問の前提になる事実について、大きな虚偽ないし錯誤があることは、われらの地方行政委員会の名誉におきましてぜひ訂正しておいて、その毒消しをやっておく必要があると考えまするがゆえに、私は特に時間をとって質問をいたすものでございます。  で第一に質問者は町村合併促進法の趣旨が行政によってゆがめられることは、われらの地方行政委員会の委員としてたえられるところじゃないという趣旨のことを言うておるのでございますが、これは地方行政法律の適用がゆがめられたかゆがめられないかということを認定するものは、地方団体自身でございまして、しかるがゆえにゆがめられたる場合におきましては、行政救済の道が開かれ、異議申し立てその他の規定があるわけでございます。なおそれによって救済がされない場合におきましては、住民による直接請求その他の道または裁判による救済の道が開かれておるわけであります。ある法律がある地方団体によって、当局あるいは自治庁等によってゆがめられたかどうかということの認定を一つ一つ国会地方行政委員会でこれを行うならば、すなわち一つ一つ行政処分につきまして国会が圧力を加えてこれを調査し、これに対して勧告をなすということになるならば、すなわち立法権と行政権との担当区分はまったくこれを無視せられ、憲法の原則は破壊されるわけでございます。かかる幼稚なる錯誤をなしておる質問でございまするから、もはや私は何をかいわんやと思うのでございまするが、質問の論旨の重要なる部分において大きな虚偽の事項がございますので、これはわが地方行政委員会の名誉のために、また当該発言者の責任のために、これをぜひとも明らかにしておかなければならぬことを感ずるものでございます。  で、一番目に質問者は、社会党が党を代表して自治庁にある申し入れをなした、それは社会党ばかりじゃない、自民党の幹事長も自民党としてこの問題に関して自治庁の処置について申し入れをなした、こういうことを言うております。この問題につきましては、直接そういううわさを耳にしたのでございまするが、私直接党の幹事長にも面会いたしまして、なおその相手である自治庁大臣にも面接いたしまして、その絶対にしからざるゆえんの確言を得ております。かかるうそをついて虚偽のことを言うて、そうしてそれを質問いたしまして、誘導尋問をなすことは、これは委員として最も慎しまなければならぬことじゃないか、こう思うのでございます。その責任の問題につきまして、及びいかにして地方行政委員会の権威を保つかという点につきまして、私は当該質問者の釈明を聞いて、しかる後に私たちは地方行政委員会の権威におきまして、何らかの処置をとる必要があるのじゃないかと思っておりますが、これにつきまして委員長の御見解をまずお伺いいたします。
  144. 門司亮

    門司委員長 委員の発言の自由は、これを認めないわけには参りません。同時に先ほど西村委員の発言の内容は、西村委員の責任において行われたことでございまして、委員会としての権威をそこなったとは私は別段考えてはおりません。むろん委員会自体がその権威をそこなうような事態がございますなら、それについては委員会としての御相談を申し上げることも必要かと存じますが、きょうの西村君の発言の内容は、西村君個人の発言の内容でございまして、もし西村君側人の発言の内容に誤まりがあるとすれば、それは、今お話しの毒消しをする必要がおありとお認めになるなら、それはあなたの自由で、これを事実はこうであったということの御発言をされることは私は自由だと思います。しかしきょうの西村君の発言の内容について委員会がこれを処置しようということは、そこまで事態が至っていないのではないか、特に委員会の体面を汚したということは私はないと思います。
  145. 加藤精三

    加藤(精)委員 果してしからば申し上げますが、地方行政委員長と同一の人格であられる門司委員は、事大小となく地方行政における事項を、社会党の方におきまして主宰、整理、管掌せられるお立場にあるものと私は考えております。しかるにその門司委員が——前のは自民党でございましたが、今度は大政党たる社会党の書紀長が、党の決議をもって、あるいは党を代表する立場において、自治庁行政の執行に、ある意見を申し入れられたということにつきまして、これは御承知であるかどうか。もしそういう事実を御承知であるならば——御承知でなければ私はこれを申しません。架空の事実につきまして、委員長の御答弁をお願いするという礼儀を失するようなことはいたしません。ですけれども、御承知でありそうな気がする。事地方行政に関する限りは、全国各府県の諸多の事件につきまして、行政委員長は、社会党内部におられまして、御研究になっておられ、御審議をされておられるようでありますから、もし淺沼書記長が自治庁にそういう点につきまして申し入れを行われたかどうかいうことにつきまして、門司委員長の御回答をお願いしたいと思うのでございます。
  146. 門司亮

    門司委員長 私は淺沼書記長が自治庁にどういう申し出をしたかということは存じておりません。きょう初めて西村君から聞いたような次第でございます。
  147. 加藤精三

    加藤(精)委員 私も、淺沼書記長が党を代表して、全国的に見ましてのある局部の市町村の廃置分合に関しまして申し出るというようなことは、常識で想像できないのでございます。この点におきまして質問者は、第一に自民党の党としての申し入れがあったかのごとく言い、第二に社会党の党としての申し入れがあったかのごとく言って、重ねて虚偽を発表しているものではないか、私はそういうことを疑うものでございます。しかしながら、委員質問委員自身が勝手にやるのであって、何も委員が院内において拘束されるところはないということになりますれば、委員の発言は、党内におきまして、あらゆる機会に全然問題になることがない。もう少し濃厚になれば問題にするという委員長のお考えでございますが、その濃厚になる程度の問題につきまして、私は非常な微妙な関係があることを知っております。しかしながら、この濃厚の程度をさらに加えるものといたしまして、西村委員は、この問題につきまして、県議会をあげて一人も残らず早期解決の住民投票を要請しているということを発言しておるようでございます。速記録によりまして若干の些少な文句の訂正はいたさなければならぬかもしれませんけれども要旨はそのようなことを申しております。この第三番目の問題につきましても、全く虚偽の陳述でございまして、その点につきましては、過般、地元よりそうした一部県会議員の虚偽の通報を自治庁に出しましたのに対しまして、これを打ち消しますために、純然たる地元の県会議員連中が自治庁に出向いたしまして、絶対に県の議会の議決は住民投票に一致しているというようなことはない、それもこの問題が早く解決されればお互いに幸福である、あるいは分市運動をやめようとか、あるいはそのまま地方自治法によって移譲しようとか、そのいずれをも含む議決とか、そのほか自治庁の裁定の定むる線によりまして、当該鶴岡市が施設を十分にやることを促進するというこの二つの決議をしているのである、こういうことを表明しに自治庁に参ったのでございますが、その事実についての虚偽があるかいなかにつきまして判定するために、自治庁御当局にそういう県議会の議員の申し出があったかどうか。すなわち、県議会住民投票をきめたのではない、それから住民投票を望むということは県議会全部の一致した意思でないということを、明らかに自治庁に表白したものだと聞いておりますが、これらの問題につきまして自治庁当局がお聞きになっているかどうか。もしお聞きになっているとすれば、西村委員質問の大前提は虚偽であるということになるのでございまするが、その点につきまして、住民投票県議会の満場一致の決議でないという点——早期解決は別です、早期解決は両方含んでおりますから。それから住民投票を望む者は県議会の全員でないという点、それを明らかにするために、県議会の議員が自治庁当局に来てその旨を表白しているかどうか、その事実のあるなしにつきまして、自治庁当局にまずお尋ねします。
  148. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 今お話のありましたような事実について、われわれの方へいろいろ御意見の開陳なり、あるいは陳情等がございましたことは事実でございます。
  149. 加藤精三

    加藤(精)委員 私がお尋ねしているのはそういうことじゃない。右からも左からもいろいろなものがあった、それはさっきの御答弁の通りでけっこうです。時間がないからきわめて要点だけを答弁していただきたいのです。私の聞いているのは、県の議会の議員が全部住民投票を望んでいるということでないということを表白するために、県会議員の数人が自治庁に来たかどうかということなんです。それをお答え願いたいと思います。
  150. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 事実でございます。
  151. 加藤精三

    加藤(精)委員 事実であるならば、事実であると簡単に御答弁していただけば、それでいいのです。事実である以上、県議会議員全員が住民投票を要求していると述べましたところの西村委員質問の前提は虚偽であります。さらに、県の社会賞、自民党が一致して住民投票を要求している、これにもまた虚偽が入っておるのでございまして、鶴岡を中心といたしましたる一市二郡の自民党の各町村古部長連合支部の支部長、幹事長——前の各町村支部は、支部長、幹事長のほとんど全部が参っておりまして、自民党として一致して住民投票要望しているということは事実でない、責任者の全部が住民投票に反対であるということで、先に来ました県議会議員及び自民党の県連の連中の——それは一部でありますが、そうした人たちの表現をくつがえしているのでございまして、地元の自民党の幹部陳情並びに情報提供の場合におきましては、県連の幹事長、地元自民党側の言い分の正しいことを表明するために同時に同道しておるのであります。これをもって見ましても、地元自民党の全部が住民舞票を要請しておるということは虚偽であります。地元自民党支部の幹部及び県の幹事長が、県連自民党の一部の者が陳情に来たことについて、自治庁が錯誤の認識をすると困るという意味におきましてそれを訂正に来た事実があるかどうか、自治庁当局にその点をお尋ねいたします。
  152. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 事実はございます。
  153. 加藤精三

    加藤(精)委員 自治庁当局がそれを事実だとするならば、西村委員の発言は虚偽であります。  委員長にお尋ねしますが、委員会においての委員の発言は、一重にも二重には三重にも四重にもことごとく虚偽な事実を前提といたしまして、誘導尋問を当局にかけることが正しいことでありますかどうか。これが委員としてなすところの態度であるかどうか、この点につきまして委員長のお立場におきましての御判断をお聞かせいただきたいと思います。
  154. 門司亮

    門司委員長 私は委員の質疑並びに当局者の答弁、いわゆる委員会における質疑応答が間違っておるかどうかということについては、質問者の方が間違っておれば答える方でその事実を間違いとして指摘するでございましょうし、またその事実がわからなければわからないとして答弁するでございましょうし、おのずから質疑応答の間にその問題は判明してくるものだと存じます。
  155. 加藤精三

    加藤(精)委員 それは委員長のお言葉として私は重大だと思っておるのでございます。委員個々の論議の内容、意見内容が正しければ正しいことに対し、間違っておればそれに対して否定する。それは委員個々質問の論旨の内容についての問題ではないかと考えております。いたずらに事実であらざることをたくさん羅列して、そうして誘導尋問的に当局に質問いたしまして、あるいは場合によりましては政府当局者も人間でございますから、誘導尋問にひっかかることだってなきを期し得ないのです。しかるにかかわらずそういう虚偽の事実を一重にも二重にも三重にも四重にも並べまして質問することは、差しつかえないという委員長の御意見でございますか。その点将来のこともございますのではっきり承わります。
  156. 門司亮

    門司委員長 これは各委員の徳義上の問題と同時に、これは委員の権限でございまして、委員長がこれを取り上げてその事実があるかないかということを確かめて発言させるわけでも何でもないので、その委員の個人の徳義上の問題だと思います。
  157. 加藤精三

    加藤(精)委員 大体これくらい申し上げれば、委員長も苦しいお立場があろうと思いますが、しかしながら、苦しいお立場がありますがゆえに、なお同じ党派でありますので、十分若き後輩を御指導いただくことが必要ではないかと考えております。  次に、先ほど地方自治尊重の論議がございましたけれども、この点につきましては、西村委員は非常に間違った考えを持っておるのであります。このことについては私は非常に慨嘆したのでありますが、委員長が私に関連質問の時間を与えて下さらないので、これは議事整理の御都合があってやむを得ないことと信ずるのであります。この点につきまして自治庁御当局に念のために一言お尋ねしておきたいと思うのであります。町村合併促進法及び新市町村建設促進法、これらの法律の基調と申すべきものは、これは地方自治と申しましても府県の地方自治から割り出されるものであるか、市町村地方自治から割り出されるものであるかという問題であります。端的に申し上げますれば、これは一都市とその郡地域との間の地方自治上の交渉の問題じゃないかと思います。その関係といたしましては、市当局とそれからその郡地域の住民、この二つの間に関係を結んでおる一つ関係じゃないかと思います。まず合併促進法は地方自治の繁栄と独立と安定とを庶幾しておるものだと考えるのであります。この安定を促進します関係におきまして、町村合併というこういう臨時的な法律の適用の期間も、なるべく短期間にして大問題を解決したいということに地方行政委員会の方としても努力したわけであります。しかるに西村委員の言われますことは、県当局とか県議会とか、あるいは県の政党とか、そういうことをやたらに使いまして、その要望にこたえるかどうかということの質問のようであります。速記録を精査しなければならないのでありますが、行政局長はそれらの諸般の論議や主張や要請を十分に考慮してこの処分について考えたい、こう言っておられるところを見ますと、われわれ事情に詳しい者はそういう心配はつゆほどもいたしておらないのでありますが、速記録に残る問題でございまして、外部より悪用せられるならば、県の世論の方が市町村内部の地方自治のよき実を結ぶことよりも大事であるかのごとき次第に悪用されるおそれがあるのでございます。われわれは地方自治を顧みますときに、緑の森の中の御社の赤い鳥居とか、あるいは市町村のまん中の野原の中にあるいらかがかげろうておる小学校とか、具体的な町村自治の美しい姿、長年の日本的に発展した地方自治の姿を想定するのでございますが、そこの中におきましてこれに何らかの干渉あるいは関係を持つことができるものは、地方自治法とか町村合併促進法とか新市町村建設促進法とか、きわめてわずかの限られた条文によってある程度の折衝があるだけでございまして、それ以外のものは地方自治には干渉すべきものではない。花園を荒す者はだれだと私たちは言いたいのであります。しかるにもかかわらず地方自治、町村自治内面の問題を重視すべきこの問題の解決につきまして、県議会あるいは政党幹部の申し出——政党幹部の申し出はないことはわかったのでありますが、県議会の自由党の議員の要望とか、あるいは県議会の希望決議とか、それから県庁の申し出とか、そういうものだけを重視して、そうしてそれが地方自治であるかのごとき錯覚を起させるようなことになっては非常に問題であると思いますので、この点は最も私の質問の要点でございますので、明白に、まじりのないお言葉によって、行政局長から御答弁いただきたいのでございます。
  158. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 市町村合併の問題、その他各種本件をめぐります紛争の処理の問題、こういう問題は、申すまでもなく、第一義的には、基礎的地方公共団体であります市町村立場において、事柄を考えるべきだと考えております。
  159. 加藤精三

    加藤(精)委員 私も行政局長がきっとそういうお答えをなさると思っておりました。市町村は、ことにわが国地方団体におきましての固有の大事な自治体でございますので、それより地方自治体としての性格が若干は希薄な府県というものの団体を周囲として、それにからんでの各種の世論、その中にはいい世論もあるし、悪い世論もあるでしょう。悪い世論は雑音というものでしょう。そうしたものだけを中心にして、この事件の解決の御意思がないことを知って、非常に嬉しく存ずるものであります。  次に、今度は裁定の内容につきまして、これをいかに扱うかという問題に触れていくのでございます。こうしたことには触れたくなかったのでありますけれども、何としても虚偽の事実を一重にも二重にも三重にも四重にも重ねた上での質問でございますので、これの毒消しの必要がありますので、私からどうしてもお尋ねしなければならぬ羽目になったのでありまして……。(北山委員「毒消しの必要はないよ。」と呼ぶ)毒消しの必要がないそうでありますから、私の質問を打ち切ります。私はもはやあまりばかばかしくて、この質問を続ける気にもなれないのでございまして、私一人のために政府当局を長時間おとどめするのはいかがかと思いますから、私北山氏ほどの専門家が毒がないと認めて相手にしないくらいのばからしい質問であったと思いまして、質問を打ち切ります。
  160. 門司亮

    門司委員長 次会は公報でお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会