○杉村
政府委員 輸出の
振興をはかりますためには、もちろん単に
税制面で
輸出所得に対して優遇
措置を講ずるだけでは足りないということは、申すまでもございません。
政府といたしましては、でき得る限りあらゆる
施策を講じまして、
輸出振興を期しておる次第でございます。
輸出振興施策と申しましても、きょうやってあす効果があるということは、なかなかむずかしいわけでございますが、常にたゆまず努力を続けることが大切だという
意味で、従来のいろいろやっている
施策を続けて参る面もございますし、それからそういう面につきましては、直接的な面といたしましては、海外のいろいろな輸入制限運動に対しまして、市場維持の
対策をはかる、あるいは積極的に海外広報宣伝を活発にするとか、あるいは
輸出意匠をさらに改善するとか、その他
輸出市場の調査をさらに詳密にして行くとか、そういう海外に向けての事業を将来ともさらに強力に進めて行く必要があると
考えて、ジェトロその他を中心としまして、この種の事業の拡充をはかりたいと
考えております。
そのほか
日本の
輸出としまして、従来からしばしば
日本人みずからの過当競争で
輸出を阻害しておるということがいわれておりますが、確かにそういう面もございますので、過当競争防止のための取引秩序の整備をはかりたい。それには
輸出入取引法とか、あるいは中小
企業安定法というような
法律的な
制度の力もかりまして、
輸出取引の面で過当競争ができるだけ少いようにやって行きたい。
さらに最近の傾向としましては、海外に投資をするというような形でさらに
輸出を伸ばすという必要がございますので、そういう面につきまして、保険
制度の充実をはかるというようなことも進めて参りたいと思います。
そのほか価格の変動が
日本の商品については常にありて、これが
輸出の阻害の非常な原因になっておりますので、
輸出用品、あるいはその原材用品について価格の変動ができるだけないように、価格の安定策も講ずる必要があると
考えて、その方面の
施策も講じておる次第でございます。
また、これらの
対策は、単に役所だけでできるものではございません。結局は、よいものを安く、しかも安定した形で売るという民間
業者の
態勢も必要でございますので、こういう点に心がけまして、官民合同の形で
輸出会議というものを設けておりますが、これを積極的に活用いたしまして、
輸出態勢を確立して、
輸出の
振興のために官民力を合せて進むということにいたしたいと
考えております。
こういうような直接
輸出に関連しました
施策面のほか、
経済協力という形を通じまして
輸出の増進をはかることが、最近の傾向としては非常に大切であろうと
考えられております。これは、
日本ばかりではなく、諸外国が低位開発国の
経済開発の協力をするという形で、資本財その他の
輸出を進めておりますが、
日本もこのままでは立ちおくれるおそれもありますので、ぜひこういうことをやりたい。ただ、これは遺憾ながら
日本の
経済力の限度もございますので、技術協力あるいは中小
企業の進出というような形を中心としまして、将来の資本財を中心とした
輸出の安定した市場を求めるようにしていきたいと
考えておるわけでございます。
そのほか
経済外交の面につきましても、
輸出拡大のために通商協定の締結、あるいは従来ありましたものの改善をはかる、あるいは在外公館との連絡を一そう緊密にするというようなことでやって参りたいと
考えております。特に私たちとして一番大切と思いますことは、こういう諸般の
輸出そのものの
対策ももちろん重要でございますが、何と申しましても、直接
輸出品を作る生産
態勢の面で
企業の合理化が徹底的に行われ、設備の近代化が進み、そこで諸外国の競争品に負けない優秀な製品ができるということが結局は根本でありますので、そういう点につきましては、
輸出会議その他を通じまして、
業者にこの点も特に認識してもらうことも必要と
考えておりますが、こういう面で、御審議願っております
税制上の優遇の
措置が特に効果的であろうかと
考えておる次第でございます。
こういう
施策を講じて、われわれはできるだけの
輸出の増加を期待しておるのでございますが、特に
税制の
改正をしていただく結果幾ら
輸出が伸びるかという御
質問かと承わっておりますけれ
ども、
税制の
改正の結果幾らかということは、なかなか申し上げにくいと思いますが、私らといたしましては、来年は少くとも三十一億二千万ドル
程度、あるいは三十一億をこえる
程度はぜひ
輸出をしたいものだと
考えておることを申し出げまして、御了解願いたいと思います。