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1957-11-11 第27回国会 衆議院 商工委員会木材利用の合理化に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十二年十一月八日(金曜日)委 員長指名で次の通り選任された。  木材利用合理化に関する小委員       有馬 英治君    宇田 耕一君       櫻内 義雄君    笹本 一雄君       篠田 弘作君    島村 一郎君       首藤 新八君    田中 彰治君       伊藤卯四郎君    加藤 清二君       中崎  敏君    松平 忠久君 同 日  島村一郎君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 会議 昭和三十二年十一月十一日(月曜日)     午後二時二十三分開議  出席小委員    小委員長 島村 一郎君       櫻内 義雄君    笹本 一雄君       首藤 新八君    加藤 清二君       松平 忠久君  出席政府委員         経済企画政務次         官       鹿野 彦吉君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         林野庁長官   石谷 憲男君  小委員外出席者         議     員 松岡 松平君         議     員 石山 權作君         議     員 多賀谷真稔君         議     員 永井勝次郎君         議     員 帆足  計君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小出 榮一君         通商産業事務官         (公益事業局ガ         ス課長)    渡辺 五六君         参  考  人         (日本ガス協会         常務理事)   竹中 傳一君         参  考  人         (紙パルプ連合         会理事長)   松永  幹君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  木材利用合理化に関する件  広葉樹パルプ利用に関する問題について参考人  より意見聴取  都市ガス拡充に関する問題について参考人より  意見聴取     —————————————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  木材利用合理化に関し調査を進めます。  本日は、当面の木材資源利用合理化問題のうち、特に重要な二つの問題、すなわち都市ガス拡充計画に関する問題及び広葉樹パルプ利用促進に関する問題を取り上げまして、これらを中心調査を進めて参りたいと思います。  この際鹿野経済企画庁政務次官より発言を求められております。これを許します。鹿野政務次官
  3. 鹿野彦吉

    鹿野政府委員 私は、ついこの閥まで、この木材利用合理化に関する小委員会の小委員長を勤めさしていただいておったものでございますが、その関係上、六月に九州の水俣工場中心としての広葉樹パルプ利用促進問題について、国政調査に参りました。その後、私は企画庁に入るようなことになったわけでございますが、この際広葉樹パルプ利用するという建前から一番大きな眼目でございます木材化学の問題について、私は水俣工場を視察いたして参りましたことに関連して、簡単に触れてみたいと思います。  従来、木材化学企業化、工業化問題については、両三年のうちに実現するのではないかというふうに思い込んできておったわけでございますけれども、実際上、水俣工場を視察いたして、向うの工場長技師長、その他の諸君と十分話し合いをいたしました結果では、現状のままでいく限り、十年くらいの月日が要るのではないかというような結論でございます。  私は、このことにつきましては、木材化学そのものが、栽培林業との関連性において、あるいはまた酪農経営との関連性において、日本経済の基本問題である雇用の創造問題と密接不可分関係がある次第でございますから、一日も早くこの基礎になるところの木材化学の諸研究が進められて木材化学という、樹木に八分通り九分通りの花を、非常に短かい期間に咲かせなくてはならないのではないかというような考え方をもちまして、現在企画庁に入りましても、その立場からいろいろと私も研究推進をいたしている次第でありますが、委員各位におかれましては、この問題に格別の御関心を持っていただいておる方々でございますから、今さらこうして私から申し上げる必要もございませんが、ぜひ一つその点について、特別なる御協力をお願い申し上げたいと思っておる次第でございます。  なお、来年の予算問題を中心にいたしまして、そうした木材化学というものだけでなく、広葉樹利用という全般的な積極的な利用という問題から、いろいろとやってみたいというような考え方に基いて、今準備をいたしております。近くまた成案を得ました折に、皆様に御相談を申し上げて、御協力をお願いいたしたいと思っておる次第でございます。  なお、こうした木材利用をやっていきますにつきましては、本日議題となります都市ガスの普及問題なども、非常に大きな問題でございますが、私がかつてこうした木材利用の問題と少しく取り組んできた経験からいたしますと、非常に反響がなさ過ぎる。日本経済にとって、非常に大きな影響力を持ちますものであるにかかわらず、反響がなさ過ぎるというような感を深くいたすわけでございます。今後、私も、皆さんの御指導によって、できる限りの努力をいたしたいと考えておりますので、ぜひ一つ指導、御協力をお願いいたします。  私、政務次官になりましてから、初めて皆さんとお目にかかるわけでございますが、ごあいさつかたがた、お願いの言葉にさせていただく次第でございます。よろしくお願いいたします。
  4. 島村一郎

    島村委員長 それでは、まず小出公益事業局長より、都市ガス拡充計画に関し、政府構想等について説明を承わりたいと存じます。小出公益事業局長
  5. 小出榮一

    小出説明員 木材資源利用合理化の一環としましての都市ガス普及の第二次五カ年計画につきまして、概略御説明を申し上げたいと思います。お手元に資料が二、三お配りしてありますが、その中で「都市ガス普及第二次五カ年計画」という文章になっております資料がございますので、これに基きまして大体の御説明を申し上げたいと思います。  この案は、去る十一月七日に、通産省省議におきまして決定されましたものでございまして、今後この計画推進につきまして、各方面の御協力をわずらわしたい、かように考えておる次第でございます。  この都市ガスの五カ年計画の第一次と申しまするか、現在の五カ年計画というのは、御承知のように昭和二十八年から三十二年、ことしが最終年度でございまして、これは歴年の計画になっておりますので、間もなく第一次の五カ年計画年度が終了するわけでございます。しかしながら、全般的な情勢は、ますますガス拡充を必要とするという情勢でございますので、さらに引き続きまして第二次の五カ年計画を策定した次第でございます。従いまして、今回の計画は、昭和三十三年から三十七年までの五カ年計画ということになるわけでございます。  第一次五カ年計画実績ざざいますが、従来の計画におきましては、基準年次昭和二十七年ということにいたしまして、その基準年次昭和二十七年におきまするガス需要家戸数は百八十七万二千戸であったのでございますが、ことし——ことしがつまり目標年次であったのでありますが、これは二百八十四万八千戸、この五カ年間に九十七万六千戸の増加を期するという目標で出発をしました。供給量は十五億二千二百万立方メートルから二十八億六千七百万立方メートルというふうに十三億四千五百万立方メートルの増加をはかるという計画であったのであります。この計画の実施の状況はきわめて順調でございまして、最終年度でありまする本年未における需要家戸数は三百八万七千戸、供給量は三十億五千九百万立方メートルというふうにいずれも目標を突破いたしまして、戸数においては二十四万戸、供給量においては一億九千二百万立方メートルだけ計画を上回ったという状況でございます。しかしながら、最初に申しましたように、ますますガス需要というものは旺盛でございまして、またエネルギー資源効率的利用あるいは国民生活の向上といういろいろな見地からいたしまして、さらに一そう拡充をする必要があるということで、この計画を作ったわけでございます。  この計画必要性につきましては、今から申し上げるまでもないのでありますけれども、一応そこに書いてありますのは、第一には、要するに需要が非常に旺盛である、従ってそれに対して円滑な供給をしなければならぬということが、何と申しましても第一の計画必要性であります。現在、ガスが普及したと申しましても、その普及率は、まだ供給区域範囲内におきます戸数のわずか四一%にすぎない、全国の全部の戸数に比較いたしますと、わずかに一六%しかガスが引かれていないというような状況であります。一方ガスを引きたいという申し込みは非常にたくさんありまして、とうてい供給能力がこれに追いつかないというような状況でございます。一方におきまして、ますます人口は都市に集中し、住宅も着着建設されるというようなことが、新規需要というものは、ますます増大する傾向にあり、住宅の様式もだんだん高層アパートとかあるいは不燃住宅というようなことで、ガスを引くに適した形態になりつつありますので、一そう長期的な観点から、供給設備なり製造設備拡張をはかる必要があるというのが第一点であります。  それから第二点が、木材利用合理化との関連におきまして、家庭燃料確保ということと関連するわけでありまして、家庭燃料消費量は、わが国におきまして消費されます全熱源の二〇%をこえるというような大きなウエートを占めております。この傾向はますます増大するわけでありまして、しかもその家庭燃料の中で五〇%というものは、本質系燃料にたよっておるというような状態であります。ところが、木材の、特に薪炭林は非常に過伐の状態でありまして、現状以上に薪炭供給をふやすということは、非常に危険であります。また困難であります。従って、今後家庭燃料の需給というものは、当然逼迫する、特に都市におきまして、その逼迫度は著しいのであります。そこで、こういった家庭燃料の将来における円滑な供給確保するためには、どうしても長期的な見通しの上に立ってガス拡充計画を進め、貴重な森林資源を、もっとより有益な用途に向けていく必要があろう、これが第二点であります。  それから第三は、エネルギー資源効率的利用ということであります。同じエネルギー資源の中におきましても、ガスは、家庭燃料として一番便利であり、かつ経済的でありますばかりでなく、熱効率からいっても一番ロスの少い燃料であります。しかも、一方において、日本エネルギー資源は、御承知のように非常に貧弱でありまして、どうしても外貨を使って輸入をしていかなければならぬというような傾向にあります。従って、消費の面におきましても、一番効率的なエネルギー資源利用をはかる必要がある。その意味において、都市ガスというものを大いに活用する必要があります。またガスは、副産物としてコークス、タール、ベンゾールというようなものを生産いたしますが、これらの副産物は、いずれも他の産業の重要な原材料になっております。従って、経済規模全体の拡大に役立つであろう、こういう観点からいたしまして、今回の計画を算定したのであります。  以下この計画内容でございますが、まず第一に、需要家戸数でございます。これは先ほど申しましたように、三十二年末が約三百万戸でありますが、これを第二次五カ年計画最終年次であります三十七年末には四百六十二万三千戸、今後の五カ年間に約百五十三万六千戸戸数をふやそう。そういたしますと、供給区域内の普及率はどうなるかと申しますと、三十二年末には四〇・八%でありますが、三十七年末には四八・五%まで向上する。そうしまして、現在供給区域に入っていない新たな供給区域といたしまして、約四十の都市に新たにガス供給される見込みでございます。  それから、第二に供給量ざざいますが昭和三十二年の年間の供給量は、三十億五千九百万立方メートルでございますが、三十七年におきましては四十九億八千二百万立方メートルというふうに、今後の五カ年間において十九億二千三百万立方メートルの増加をはかっております。  それから第三に、先ほど申しました原材料副産物との関係であります。昭和三十二年におきまして、原料炭は四百四十八万四千トンを消費し、原油あるいは重油というものは十八万八千キロリッターでありますが、これを三十七年におきましては原料炭六百六十一万六千トン、原油及び重油は四十九万四千キロリッターというものが必要になって参ります。それから副産物でありますコークス販売量は、三十二年におきましては二百十四万一千トン、三十七年には三百十万三千トンというふうに、いずれも増加することになっております。  それから第四に、設備関係資金関係でございますが、計画期間中におきまする製造能力増加は九百三十六万立方メートル——これは一日でありますが、そういう製造能力、それから貯蔵設備におきましても三百四十八万九千立方メートルというふうに増加をいたします。それからガスの導管の延長は、やはり一万五千キロメートル増加するわけでありまして、これらのそれぞれの設備の増強のために必要な設備資金は、約千三百億円というふうに概算いたしております。  これが今回の第二次五カ年計画内容でございまして、こういうような計画を策定いたしまして、これにつきましては、詳細はそこについておりまする別表において一覧表になっておりますが、こういうような計画推進いたし、あるいは実施していきますためには、もちろん現在のままの状態なり、現状措置のみでは、とうていまかないきれないのでありまして、従いまして、この第二次五カ年計画達成のための措置といたしまして、そこに、第一に設備資金確保の問題がまずあるわけであります。設備資金は、どうしても長期資金を、量的にもまた質的にも、なるべく金利の安い金を借りるという必要があります。開発銀行を第一といたしまして、中小企業金融公庫、あるいは地域的には北海道東北開発公庫というふうな、それぞれの財政投融資によりまする政府資金の導入をはかる。それから社債なり地方債発行円滑化というふうな措置を積極的に推進する必要があるのであります。開銀につきましては、御承知のように、現在その他産業というようなワクの中で一応まかなわれておりまして、従来から会社側要望等に対しましては、実績は非常に少いのでありますが、来年度におきましては、少くともこの拡充計画の初年度におきましては、通産省といたしましては二十億円くらいの開銀融資を要求したい、かように考えております。それから中小企業金融公庫につきましては、これは実は融資を受けます企業の対象の限度の問題もございます。現在は三千万円ということでありますが、これがもし将来においてさらに五千万円というくらいのところまで拡充されることになりますと、ガス会社の中には、相当中小企業会社もございますので、かなり中小企業金融公庫によって、資金的にも比較的潤沢に導入できる可能性も出てくるというふうに考えます。それから北海道東北開発公庫、これはいずれも地域的な制約はもちろんございますけれども、できるだけこういうものも活用して参りたい、かように考えます。  それから第二は、資本費高騰傾向の抑制ということであります。要するに、ガス料金の問題であります。これは御承知のように、電気料金と同様に、設備拡充をいたしますと、資本費高騰し、電気料金と同じように、原価主義料金算定でありますので、当然料金原価が上ってきて、ガス値上げになるという傾向にございます。それでは非常に消費者にとって迷惑でありますので、できるだけそういう資本費が上る傾向を押えなければならぬ。そのためには、もちろん設備近代化あるいは経営管理合理化というふうな企業努力推進することはもちろんでございますが、一方において、今申しました長期低利資金をできるだけ潤沢に導入する。それから国税、地方税、いろいろな税がございます。地方税におきましては事業税とかあるいは固定資産税とかあるいは電気ガス税というようなもの、いろいろな税制面において、できますならば、優遇措置を講ずるという必要があろうかと思います。  それから最後に、原料確保という問題であります。先ほど申しましたように、原料炭の問題、油の問題、国産のできます分におきましては、できるだけ国産開発、それから国際収支の許します範囲において、必要な輸入原材料確保しなければならぬ。また天然ガス資源開発というようなことも、やはり原料確保の面において重要であろう、かように考えます。  これが大体拡充計画の骨子でございまして、これを先般通産省において、第一次五カ年計画と同様に省議決定をいたしました。最後に、この計画達成のための措置にもございますように、通産省だけでは、とうていやりきれないような問題がいろいろございまして、経済企画庁あるいは大蔵省というふうな関係各省の御協力はもちろん、当小委員会等におかれましてこの計画達成のために、また格段の御支援と御協力をわずらわしたい、かように存ずる次第であります。  簡単でございますが、これで説明を終ります。
  6. 島村一郎

    島村委員長 なお、本日は、本問題について御意見を伺うため、日本ガス協会会長本田弘敏君の御出席をお願いいたしておりましたが、本日、参考人は病気のため出席できかねるとのことでありますので、同協会常務理事竹中伝一君に参考人として御出席をお願いすることに、委員長において決定をしていただきましたので、御了承を願います。  それでは、さっそく竹中参考人より御意見を伺いたいと存じます。竹中参考人
  7. 竹中傳一

    竹中参考人 私は、ただいま御指名を受けました日本ガス協会常務理事をいたしております竹中でございます。かねてから国会におかれましては、私どもの携わっておりますガス事業が、国家的にも国民経済的にも、きわめて重要であるとされまして、たびたび御調査になられているのでございます。本日は、重ねてその後の実情をお調べになるために御指名がございまして、意見を述べる機会をお与え下さいましたことを、まず業者を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。  ただいま小出公益事業局長さんから、このたびの通産省省議決定されました都市ガス普及計画について、詳細な御説明がありましたが、現在の経済事情社会情勢から申しまして、この第二次の五カ年計画規模は、妥当なものと存じている次第でございまして、われわれガス事業者は、一意専心この計画達成に邁進したい、こう考えている次第でございます。  第一次五カ年計画は、日ごろの皆様方の御支援によりまして、本年末をもって新規需要家拡張は、計画よりも約二三%上回るというような結果で終了する予定でございます。この席をかりまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  第一次五カ年計画を立てました昭和二十八年ごろは、非常に金融事情の悪いときでございまして、そのころは東京瓦斯では月に五千軒、それから大阪瓦斯では月に三千軒、それから名古屋東邦瓦斯では月一千軒以上の新規需要家拡張することが許されなかったときでございまして、そういうときに計画をいたしたものでございまして、二十九年の下期ごろからだんだんと金融事情がよくなりましたので、社債の新発行もある程度認められるようになりました。それから市中銀行などからの借入金もだんだんと可能になりましたので、それまで新規需要家拡張を押えに押えて参りましたが、これを急速に工事を進めて参るようになりまして、東京瓦斯の場合では最高一万三千軒まで拡張いたしました。しかしまた最近の金融引き締めによりまして、これが押えざるを得なくなりまして、大体一万一千軒という程度に縮少せざるを得なくなった事情でございます。またこの間におきまして、石炭価格が一応安定しておりましたし、それからコークス価格も堅調に推移いたしましたので、ガス料金を、五カ年間にわたって、ほとんどこの業者改訂することがなく今日に至った次第でございます。かような好条件がありましたので、第一次五カ年計画は順調に参った次第であります。すなわち、第一次五カ年計画では、設備資金は五百八十七億円、新設需要家九十八万軒の契約に対し、実際は七百五十億円の設備資金調達が可能になりましたので、先ほど申しましたように、新設需要家も百二十万軒を拡張する、二三%程度契約を上回るような拡張計画をすることができたような次第でございます。  しかしながら、第二次五カ年計画は、ただいま金融引き締めの最中でありますが、過去の実績経験からいたしまして、設備資金千二百八十七億円、新設需要家百五十三万軒に計画いたしておりますが、この膨大な資金が円滑にまかなえないときは、その分だけ計画達成されないことになって参る次第でございます。このような膨大な計画を遂行するためには、幾多の隘路があることは申すまでもありませんが、一応要約して申し上げますと、設備資金の円滑な調達と、ガス原価高騰をいかに吸収するか、また原料が果してわれわれの希望通り確保されるかの大体三点に尽きるのであると思います。ガス事業者は、もちろんあらゆる企業努力をいたしまして、新規需要にこたえるべきでありますが、このただいま申し上げました三つの問題は、事業者努力だけでは、なかなか解決されない問題でありますので、皆様方の一方ならない御援助を切望してやまいところでございます。  設備資金につきましては、ガスにおいては、今日まで国家資金援助はほとんど受けられなかったのであります。これはわれわれとしてはぜひ希望しておったのでありますが、残念ながら受けられなかったのでございまして、増資等によりまして、この膨大な資金をまかなって参りますと、コスト高になりまして、ガス料金改訂が直ちに問題になって参りますので、でき得る限り日本開発銀行とか、それから中小企業金融公庫あるいは北海道東北開発公庫等からの融資を受けられるようにお願いいたして参ったのであります。社債新規発行も、ただいまのところは認められておりませんが、このような事態が今後続きますと、この五カ年計画は全くペーパー・プランに終るようなことになってしまうのではないかということをおそれておる次第であります。  次に、この計画が、ガス原価にどういうふうに影響を及ぼすかというその影響ですが、ガス事業は、電気事業や電鉄などのような公益事業と同様に、いわゆる設備産業でありまして、従いまして、設備拡充に伴って必然的に支払い不足固定資産税減価償却費などの諸費高騰いたして参りますので、設備拡充の割合の多い事業者、たとえば東京とか大阪とか名古屋というようなガス事業者にとりましては、直ちにガス料金改訂を行わなければ立っていかないようなことになってくるのではないかと思うのであります。もちろん、ガス事業者は、設備近代化とか経営管理合理化に最大の努力を払いまして、値上げは最終的に考えていいのでありますが、これらの諸費は、その性質上、事業自体企業努力のいいというものがきわめて少いのでありまして、金利とか租税公課減免措置が行われない限りは、コスト高騰を吸収することはできないのでございます。今、かりに設備資金増資によりまかなう計画は、年六分五厘の政府資金によると仮定いたしますと、その部分のコスト増資をいたしまして、配当を一割三分というふうに見ますと、その配当とそれに法人税それから住民税を加えたものを一応一〇〇と仮定いたします。そうしますと、それに対してその四分の一の二五%くらいで済むという計算となるのであります。それでありますからして、今後も延ばさなければならないことになる。郊外地の採算のとれない地区などには、低利の国家資金融資がなければ、なかなか普及が可能ではないのではないか、こう考えておるのであります。ぜひ一つ国家資金融資がされまして、普及を可能にしてもらいたいと思います。また固定資産税につきましては、電気とか電鉄の場合は、拡張分に対しては、長期にわたって大幅な減税措置が講じられておるのですが、ガス事業は適用されておりません。のみならず、ガス導管につきましては、御承知通り固定資産税のほかに道路占用料を課せられておりますので、全く二重課税になっておるような実情でございます。なおまた、諸外国ではもちろんのこと、薪炭や燈油に課されていない消費税をガスに課しておりまして、その率も一〇%という高率でありまして、本年度においては、このガス税の納税額は五十億円にもなり、それから第二次拡張の終ります三十七年度には百億にも達するような予想であります。租税公課は、いずれも地方税でありますが、ガスの普及が、家庭燃料対策として最も重要であることは、当委員会を初め政府当局も、つとに認めておられることですが、これを阻害する税制の改正について、われわれガス事業者の長年にわたる要望がいまだに実現されていないという現状でございます。そこで、固定資産税を他の公益事業並みに軽減するとともに、道路の効用を何ら阻害しない道路占用料を撤廃していただき、家庭の炊事用ガスについては、ガス税を免除していただいて、消費者の負担の軽減をはかることが、今後におけるガスの普及向上をはかるために、絶対必要不可欠となって参るのであります。すなわち、第一次計画では、一戸当りの設備の投資額は、大体六万三千円ぐらいでございました。それが第二次計画では非常に密度の低い郊外の需要を目ざしてまかなうために、導管費が非常にかさむために二戸当り八万四千円もかかるように思われますので、これらの一連の措置がなければ、地方小都市や、郊外地のガスの普及を促進することは非常に困難であります。  次に、主要原料問題でありますが、本年は、石炭は四百五十万トン、石油は十九万キロリッター消費することになっておりますが、この第二次五カ年計画の最終年であります昭和三十七年には、石炭が六百六十二万トン、石油が四十九万リッター必要になって参ります。そのうち石炭の百六十万トンと石油の全量を輸入に仰がなければならないということになりますので、これらの原料が優先的に確保されません場合は、ガスの円滑な供給ができないことになることは言うまでもないことであります。  以上、第二次五カ年計断の諸問題につきまして、あらましを申し述べましたが、どれを見ましても関連いたしておりまして、並行的に解決されませんと、現状を維持する程度のことになりまして、新規需要は極度に制限せざるを得ないようなことになって参ります。そうなりますと、家庭燃料としての薪炭需要は依然として減少いたしませんので、これまで進めて参りました木材資源の節約は、とうてい望むことができなくなりますし、これがひいては薪炭価格の高騰ともなるばかりでなく、山林の荒廃による損害が激化いたしまして、国民にはかり知れない被害をもたらすことになると思うのでございます。われわれガス業者は、今後ともでき得る限りの努力をいたしまして、これらの困難を排除いたしまして、この大事業を推進する所存でございますので、委員各位におかれましては、この上とも、何とか御指導、御鞭撻を下さいますようお願い申し上げる次第でございます。   長い間御清聴下さいましてありがと  うございました。
  8. 島村一郎

    島村委員長 次に、参考人として御出席をいただいております森林資源総合対策協議会常務理事紙パルプ連合会理事長であられる松永幹君より、業界における広葉樹パルプ利用状況並びにこれらに関する御意見を伺うことにいたします。松永参考人
  9. 松永幹

    ○松永参考人 ただいま御紹介いただきました森林資源総合対策協議会の常務理事の松永でございます。木材利用合理化につきましては、つとに当小委員会で御推進願っておる次第でございますが、その重要部門を占めております広葉樹パルプ利用促進につきまして、若干お願いを申し上げたいと存じます。  御承知のように、戦争によりまして木材資源の半ばを占める外地を失ったわけでございまして、木材需給は著しいアンバランスとなりまして、森林蓄積の減少から、この状態は今後も相当期間続くものと推定されております。ために、針葉樹に用材が集中しまして、非常に需給が窮迫しておるにもかかわりませず、一方森林資源の半ばを占めております広葉樹は、大部分は付加価値の低い薪炭林等に使われまして、その他は未利用資源として放置されておるような状況でございます。かような森林資源の実情からしまして、木材資源利用合理化につきまして、昭和三十年一月二十一日閣議決定を見まして、それ以来、木材利用合理化の重要部門を占める木材の生産加工の合理々と高度利用の促進につきまして、各藩施策が実施されまして、順次その成果が上りつつあるのでございます。従来、針葉樹を原則としましたパルプも、広葉樹を利用する、BKP、SCP、CGP等の製造方法に対しまして、法制上では重要物産の指定により、法人税の三年間免除、固定資産税の軽減等の措置が講ぜられまして、これらの設備投資については、金融上では開銀融資措置が講じられてきておるのでございます。その結果、現在ではパルプの二割内外が広葉樹によりまして生産されることとなった次第でございます。  しかるに、これら広葉樹パルプを紙に使用する場合を見ますと、針葉樹パルプに比べまして、広葉樹パルプが短繊維である特性を有しておりますので、このパルプを使用するには離解、叩解等のために、針葉樹パルプよりもよけいに操作を必要とするのでございまして、その操作のために新規設備投資を必要とするような状況でございます。従いまして一貫作業でパルプから紙をすいております企業につきましては、一連の設備投資を行なっておるのでございますが、市。パルプに依存する製紙メーカーというものは、とかく従来の針葉樹パルプを重要視しまして、新たな設備投資をきらう傾向がございます。特にそういうような市販パルプに依存するメーカーというものは、大部分が中小企業でもございまして、おのずから設備投資にも限度があるような次第でございます。しかも、一方広葉樹パルプの出産は、さように国策として推進されますので、順次増大する傾向にあり、また増大させることが国策上必要であるのでございますから、広葉樹パルプの使用面に対しましても何らかの助成措置を講じなければ、木材利用合理化の一環として、パルプにおける広葉樹利用推進困難な状況に陥りつつあるのであります。従いまして、次のような措置を講じて、広葉樹パルプの使用方を推進されていただきたいと思うのでございます。  と申しますことは、原料パルプとしての広葉樹パルプを一定量以上、これは大体五〇%くらいが、日本の資源の状況から見まして至当じゃないかと思うのでございますが、一定量以上使用するようなものにつきましては、法制上の必要な措置としまして、設備機械に対して特別償却制度の適用を受けさせる。たとえば企業合理化促進法の指定業種として、新聞用紙製造業を指定するようなこと、あるいは設備投資に対して、開銀または中小企業金融公庫から長期低利資金融資するようなこと、あるいは広葉樹パルプを使用する製造方法の機械の輸入資金並びに関税免除についても特別の考慮を払うというようなことをお願いしたいと存ずるのでございます。  閣議決定によりまして、パルプの段階は推進されておるのでございますが、歩一歩進めまして、そのパルプを使用する方面にも、同様な優遇措置を講じまして、使う方の促進をはかれば、勢いパルプの製造も促進され、国策である木材利用合理化の完成ができるのではないかと思うのでございます。さような方面につきましても、当委員会とされましても、十分御配慮をお願いしたいと思う次第でございます。
  10. 島村一郎

    島村委員長 これより質疑に入ります。通告に従いましてこれを許します。松平忠久君。
  11. 松平忠久

    松平委員 鹿野政務次官にお伺いしたいと思うのですが、今あなたのごあいさつの中にありましては、木材化学工業というものは認識が間違っておって、今後十年くらいものにならぬ、こういうお話だったわけです。先般私ども社会党の議員がソビエトへ大ぜい行って参りまして、特に永井君は当委員会委員でありますが、ソビエトの木材化学工業をつぶさに調べてくるという使命を持って行ったわけであります。その報告によりますと、現在十八社くらいが木材化学工業として動いておる、こういうことを聞いております。パルプの廃液は、来年度までには全部パルプ工場において処理する設備が完成するということでありますし、あの膨大な森林資源を持っておるソビエトにして、そういうむだを省いていくということを徹底的にやっておることをわれわれ承知したわけでありますが、日本木材化学工業というものは遅々として進まない。この工業化には今後十年も要するということは、一体どこにそういう欠陥があるのか。考えられることは、技術の秘密性と申しますか、非公開性と申しますか、どこの会社もかなり秘密にしておって技術の交換等をやっておりません。従って、いつまでたっても、自分だけのことしかわからない、こういうところにあることも、一つの原因でありましようし、また試験研究に大して金を使わない、こういうところにも欠陥があるのではなかろうか、こう思うのです。従って、それらの問題を解決することができるならば、十年というものを五年なり三年なりに縮めていくことができるはずであるわけでありますが、視察の結論から、今のような見込みか当分ないということになるのか、その点をまずお尋ねしたいと思うのです。
  12. 鹿野彦吉

    鹿野政府委員 ただいま松平委員の御質問中にありましたソビエトの木材化学現状というようなものをお聞きしまして、私も非常に感慨無量のものを覚えますが、現在の日本が、いろいろな点において資源が不足でございます。日本にとって、木材化学は、私は特別に日本経済にとって重要な関連性を持つものじゃないかと常日ごろ考えておるものでございますが、今、松平委員の言われるように、非常に長年月たたなければ——私の言う木材化学が十年後というのは、一部分の糖化の問題の研究というようなことだけですと、二、三年で完成するかもわかりませんが、私は木材化学はやはりリグニンの完全な利用、糖化の研究の完成あるいはセルローズの方面の研究の完成というような、こうしたおもな三つの幹を中心として発展していく。いろいろなものが全般的に八分咲き、九分咲きの花を咲かせるような状態でなければ、木材化学は真に発展の段階をスタートするということにいかないのじゃないかと考えておりますので、そうしたことを基準にして私は申し上げたわけです。ソビエトの木材化学が、こうした全体のものを中心として発展いたしておりますのか、あるいは木材化学の中で、糖化の部分だけが発展しておるのかということも、私、ちょっとわからないのでございますが、そういうような全体の研究の完成ということについて十年を必要とする。その十年を三年なり五年なりに縮める方法があるじゃないか、こういう御質問に対しまして、私もそのような気がいたすわけでございますが、これに対しましては、何といってもこの原因は非常に大きいのではないか、こういうような気がいたします。なぜならば、ただ金をつぎ込んだだけで、急にそれが発展するかというと、それだけではとうていいかない、やはり国民の関心事が木材化学の重要性というものに全般的に注ぎ込まれなければ、私はこうした非常な短時日におけるところの発展というものを期待することはできないのじゃないかというような考えを持っております。ところが、これは私の言い過ぎかもわかりませんが、われわれ日本民族は、世界が、たとえばアメリカその他の先進諸国が、原子力の平和利用ということで騒ぐ、あるいはまた石炭化学、石油化学ということで騒ぐと、日本民族も、これは騒がなくてはならないということになって、こうしたことに世論が非常に沸騰してくる。世論が沸騰してくると、学生もこうしたことを目標にして集まっていく、勢い講座も盛んになるというようなことで、こうしたことを研究する人々がふえてくるということが非常にありがちです。ところが、木材化学という問題が、他の先進諸国、アメリカ、ソビエト、ドイツその他の先進諸国がこの木材化学関連する程度と、日本経済木材化学関連する程度というものは、比較できないほど大きな差異がある。日本経済にとってこそ、一番重要な問題ではあるまいかと考えるのですが、日本国民の通有性から、外国が騒いだあとでないと、みんなが騒がぬというところに、これはジャーナリズムもそうでございますが、大きな問題があるのじゃないかと常日ごろ考えておるわけでございます。これを、どうしてそうしたことにやっていくかということにつきましては、私も経済企画庁におります立場から、できるだけそうしたことに努力をいたしたいと考えておるわけでございますが、委員各位の御協力をぜひ一つお願いいたす次第でございます。
  13. 松平忠久

    松平委員 ソビエトのことは、今、永井委員もお見えになりましたから、永井委員からも詳しく御発言があるかと思いますけれども、リグニン等も全部処理しておるということを承わっておるわけであります。しかし、私は、日本の今の木材化学は、現在のような採算をもととするやり方をしていこうということに、非常に大きな間違いがあるのではないかと思うのです。新日本窒素におきましても、政府の補助等を受けないでやっていけるのだ、独立採算制でやっていくということを目標にして研究しておるそうでありますが、現在の木材をパルプに利用するという場合、その廃液等が出るわけでありますが、これもリグニン等が相当ある。しかし、パルプはそういうものを全部捨てておっても、非常な採算をあげておるわけであるます。従って、木材糖化ということが、パルプと同じくらい採算か合わなければ、ほかのセミ・セルローズとか、あるいはリグニンというものをいかにやってみたところで、これは発達しない。すなわち、今のパルプよりも、木材糖化の方が採算が合うのだということでなければ、日本の今の経済機構、この資本主義の経済体制下にあっては、これは成功しっこない、私はこういうふうに見ておるわけであります。すなわち、相当政治的な考慮というものを加えなければ、木材化学工業は日本では発達しない、いつまでたっても試験の段階を長く続けて、十年一日のごとくやっていくにすぎない。もしリグニンあるいはセミ・セルローズが、その工業化が完成するといたしますならば、現在やっておるパルプ工業が、自分の廃液をどんどんやっていきます。そういたしますと、結局主産物であるところのパルプ並びに木糖というものとの競争になるわけであって、この二つが大体似たような利益率になるというのでなければ、木糖を中心とした木材化学工業はそう発達しない、こういうふうに私は考えておるわけでありますが、これに対して、政務次官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 鹿野彦吉

    鹿野政府委員 松平委員に同感でございます。
  15. 松平忠久

    松平委員 同感だというなら、これは全然考えを改めて、国家が相当手厚い保護をこれに加えて発展させていく、国家の指導によって発展させていく、こういう措置を私はとらなければならぬと思う。そこで、同感であるというならば、今後そういうような方針でやっていかれるお考えであるかどうか。従って、たとえば、来年度はそれらのことについてどういうような計画で予算措置を講ぜられる考えであるか、腹案があったならば、お聞かせ願いたい。
  16. 鹿野彦吉

    鹿野政府委員 全然考え方を改めることが必要であるかどうかということは、問題がありますが、政治的な考慮を払って国の力をここに注いで、そうして発展をさせていかなければならないということについては、同感でございまして、来年度の予算問題についてどういうふうにこれをやっていくかということについては、先ほども私があいさつの中で申し述べましたように、幾分今やろうといたしておることもございますので、これが成案ができましたならば、委員各位にも御相談をいたしたい、このような考え方を持っておりますので、この点しばらくお待ち願いたいと思います。
  17. 松平忠久

    松平委員 その点は、あらためて後刻お伺いすることにいたしまして、この際ちょっと参考人の各位に御質問申し上げたいのですか、今、広葉樹パルプ利用の問題について、お話があったわけであります。このパルプを使って作る紙は、普通の針葉樹の場合より短繊維であるために弱いのであるかどうか。つまり、印刷用紙の規格というものがあると思うのです。破裂度がどうだとか、いろいろな紙の規格があるわけでありますが、そういう規格に合せまして広葉樹パルプをかりに五〇%入れたというような場合におきましては、現在の高速輪転機等にかける場合の規格に合せ得るかどうか。また、そういうようなものをかけ得るような輪転機というものが、日本の国内に使われておるのかどうか、こういう技術的な問題でありますが、お伺いしたいと思います。
  18. 松永幹

    ○松永参考人 広葉樹パルプは、短繊維でございますので、針葉樹パルプのような長繊維のものと比べまして、紙にする場合に、繊維のからみ合せによけい時間をかけなければならぬということで、ここに書いてありますように離解、叩解等に、よけい時間がかかる。よけい時間がかかるということは、設備容量を大きくしなければならぬということを御説明したわけでございますが、その二段目といたしまして、それでは、そういう操作に手間をよけいかければ、でき上った紙の強度はどうか、こういう御質問でございます。紙にもいろいろございまして、新聞紙、クラフトあるいは普通の上等紙、それぞれ要求せられる引裂度、破裂度という問題があるわけでございます。オール広葉樹で作っております上質紙——こういう上等な紙でございます——これの強度というものは、針葉樹で作ったものの強度と変らない強度のものが、現にできておるわけでございます。ここへ表を差し上げておきましたが、この第二表に、将来の計画としましてCGPは相当量使う計画になっております。CGPと申しますと、針葉樹でやりますGPのかわりに、広葉樹でやるCGPを相当量を使っていこうということになるわけでございます。お話のように、輪転機の速度がだんだん早くなってくる、合理化されてくる。それに対応させるだけの紙の強さを持たせる、こういうことになるわけですが、このCGPを使いまして同じような強度を持たせるということに研究は進めておりますし、また事業としても確信を持っております。若干補強のために強度の強いパルプを、KP法のパルプをまぜなければならぬという場合もあるかと思いますが、大体広葉樹を利用しましたCGPでいけるという確信を持って推進しておるわけでございます。しかしながら、針葉樹に比べまして短繊維でございますので、重包装用のクラフト紙なんかにつきましては、まだ目下のところ短繊維の広葉樹で置きかえるというところまでには至っておりませんけれども、これも技術の進歩によって、次々に解決方法が見出されてくるというふうに確信しておるわけでございます。
  19. 松平忠久

    松平委員 その離解叩解はやはりビーターとか、そういうふうな機械を、もっと増強しなくちゃならぬというようなことであろうと思うのですが、それらの機械を増強したという場合において、やはり電力がかかるとか、人件費がよけいかかるということで、採算の方からも若干の問題点があろうかと思うのでありますが、もう一つは、この広葉樹パルプというものは大体紙の、今お聞きすれば、クラフトには向かないというお話ですが、上質紙あるいは新聞用紙、こういった各方面のクラフト以外のものには、何でもかんでもSPがわりに使っていける。もしくは、その中で、たとえば新聞紙の方によけい使うとか、何かパーセンテージとか、そういうようなものはございませんか。上質には何%くらい、新聞紙には何%くらい、中質はどうだ、ロールはどうだ、こういうようなパーセンテージ的なのは、今日各製紙会社で行われておりませんか。
  20. 松永幹

    ○松永参考人 お答え申し上げます。現在上質紙につきましては、一〇〇%入れてやっておるところもございます。しかし八〇%くらいのものが多いのじゃなかろうかと思います。新聞紙等につきましても、少くとも五〇%以上は入れられるということになっておりまして、現在その規格でどういう紙には何%ということでなしに、やはりその強度の持たせ方とパルプの配合工合によりまして一定の効果を上げておる。その効果を上げるについて、なるべくその広葉樹パルプの使用比率をだんだんと高めて、同一効果を上げていこうというふうに考えておりまして、別に紙別に使用パルプの規格がきまっておるというような状況ではないわけであります。各社まちまちであります。しかし、できるだけ使用比率を高めるような方向へ持っていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  21. 松平忠久

    松平委員 そういたしますと、現在は、大きくいって、パルプ設備を持っておるところの製紙会社、これは広葉樹を相当程度使っておられるだろうと思うが、パルプ設備を、つまり、私の言うのは、細目じゃなくて、そういう化学的なパルプ設備を持っておらないところの製紙工場というのは、広葉樹パルプはどの程度使われておりますか。
  22. 松永幹

    ○松永参考人 化学パルプの製造設備を持っていないところにおきましても、広葉樹を使用しますSCP法を採用しますと、これはグラウンド・パルプとケミカル・パルプのあいのこのようなものでございますが、割合に設備も少く、広葉樹が使えるということで、順次SCP法を採用しているというような方向になっております。それ以外のものは広葉樹で作りましたBKPを購入してやるというふうになっておりまして、ただいまその詳細の統計は持ってきておりません。御必要があればお届けしたいと考えております。
  23. 松平忠久

    松平委員 私ちょっと考えが違っておったのですが、たとえば新聞紙の場合、SPを一割か二割、あとはみなGPという場合に、八割というものはGPである。従ってGPに広葉樹がうんと使われなければ意味がないと思うのです。そこで今の新聞紙を作っている場合は、GPとしてどの程度の広葉樹が使われておるのか、それからSPとして、あるいはSCPとして、どの程度のものが使われておるのか、たとえば今の新聞紙に関してお伺いしたい。
  24. 松永幹

    ○松永参考人 お答え申し上げます。新聞紙に限ってみますと、SPを使っておるものをSCPに置きかえる、そうしますと、針葉樹でなく広葉樹が使える。さらに八〇%も使っておるGPをCGPにかえる、ケミ・グラウンド・パルプにかえると、広葉樹が使えるというような工合になりまして、SCPとCGPとの混用、あるいはこれに若干のSP等の混入というようなことになりますると、現在針葉樹が七、八割占めておりますものが、二割とか一割とかいうふうに下ってくるというような方向になると思います。その現在の配合歩合は、各社の立地条件でまちまちでございまして、別に規格があるわけでなしに、一定の紙切れのない強度と印刷適性ということで、紙の質できまってくるのでございます。使用のパルプについては、別にそう規制するような規格というものはないわけでございます。
  25. 松平忠久

    松平委員 最後に松永さんにお伺いしたいのは、そういうものをやる場合の施設というものは、今、私、ちょっとビーターのことを申し上げましたが、そのほかに、一体どういう機械が必要なのか、CGPを作る場合にも、特異の装置が要るのじゃないかと思うのですが、どういうものを新規に必要とするのであるか、その機械の名前とか、効能というものをお聞かせ願いたい。
  26. 松永幹

    ○松永参考人 お答え申し上げます。パルプを製造する段階につきましては、閣議決定によりまして、パルプは全部広葉樹使用で推進されるわけであります。広葉樹パルプを使います場合に、どうしてもなければならぬということになりますと、お話のビーターとかレファイナー、そういうものを増強する、あるいは紙切れを防ぐためにはピック・アップ装置をつける、そういうことが大部分になるかと思います。
  27. 松平忠久

    松平委員 次に、ガスについて若干お伺いしたいのですが、こういうことをお伺いしたい。第一次五カ年計画と第二次五カ年計画を比べてみまして、資金、資材は一体一戸当り何パーセントくらいふえるものか。どなたでもいいのですが、お聞かせ願いたい。つまり、第一次五カ年計画と第二次五カ年計画と比べて、二戸当りの建設費並びに建設の資材が何パーセントふえるのか。
  28. 竹中傳一

    竹中参考人 資金も資材も約三〇%くらいふえる見込みでございます。
  29. 松平忠久

    松平委員 もう一つお伺いしたいのは、ただいまの御説明によりますと、電気ガス税が五十億程度現在支払われておるものが、三十七年度には九十億から百億、こういうことでありましたが、そのほかの固定資産税法人税並びに道路占用料というものは、どの程度金額としてふえるのか。表がちょっと見当りませんけれども、そういうことがわかりましたら……。
  30. 竹中傳一

    竹中参考人 参考資料としてお手元にお配りしております「都市ガス普及第二次五カ年計画」の十九ページに載せてございますが、法人税で申し上げますと、三十二年度が三十億でございましたものが、三十七年度末には五十五億になります。それから住民税が、三十二年度に四億一千万程度のものが三十七年度には七億四千万、それから固定資産税が八億二千万程度のものが、ずっとふえまして二十億七千万、それから電気ガス税で言いますと、これはさきに申し上げました。道路占用料が、三億二千万程度のものが、その倍以上になりまして、約七億という程度になるのであります。
  31. 松平忠久

    松平委員 この点について、この前の委員会のときに通産省にお伺いしたが、要領を得なかったのですが、税金問題、その中で私が伺ったのは、固定資産税の問題であったわけですが、通産省では、その後自治庁との間に、どういうような折衝をしておられるか、その折衝の経過をお伺いしたいと思います。
  32. 小出榮一

    小出説明員 税制金融の問題もそうでございますが、先ほど申し上げましたように、通産省だけでは措置できない問題が大部分でございまして、今、御指摘のように、特に地方税制につきましては、地方自治庁との間に、従来からも、電気の問題も含めまして、かねがねあらゆる機会において折衝しておるのでございます。今度も第二次五カ年計画が正式に決定になりまして、これは通産省省議決定ではございますけれども、必要に応じまして、さらに政府全体といたしまして、税制の問題等につきましても一そう推進いたしまするように、第二次五カ年計画に即しまして、今後地方自治庁と折衝を進めていきたい、かように考えております。
  33. 松平忠久

    松平委員 今のお話によりますと、電気とともにガス固定資産税を、自治庁と折衝もし、また今後もするというお話であったのですが、私の言っておるのは、ガス固定資産税を電気並みにしろ、こういうことなんです。だから、電気とともにガス固定資産税を下げろといってみたところで、これは問題にならぬと思います。つまり電気と同じような意味の取扱いをガスについてもする。電気はすでにそういうことをしているわけですから、そういうことでなければならぬと思うのです。今あなたの御答弁によると、電気と一緒にやる、こういうお話であったけれども、何か認識がちょっと間違っておるのじゃありませんか。
  34. 小出榮一

    小出説明員 私の申し上げ方がちょっと悪かったのでありますが、税制の問題、金利の問題等は、ガスに限らず、電気についても、従来から料金を抑制するという見地においては、同じような問題があるという意味におきまして、国税、地方税を通じまして、関係方面と折衝をしておる、こういうことでございます。今、御指摘の通りガスは大体いろいろな措置が電気よりもやや一歩おくれてきておる。融資の問題につきましても、たとえば金利の問題等につきましては、電気ほどの政策金利はとられていないというような面もございまして、従って従来からの実績で申しますれば、電気についていろいろな措置ができますと、それを追っかけてガスが一歩、あるいは数歩おくれてきておるというのが事実でございます。従いまして、これを分けて申し上げますれば、松平先生御指摘の通り、まず電気並みのところまで持っていく、ガスにつきましては、そういう意味で折衝をしておるわけであり出す。
  35. 松平忠久

    松平委員 最後一つお伺いしいのは、今の御答弁にありましたように、五年後にいろいろな税金、諸税が上っていく、それから一方において資本費は三割以上上る、こういうお話しあったわけであります。そういたしますと、これは副産物の値段にもよるわけでありますが、料金というものを、現在の料金でずっと五年間やっていけるかどうか、あるいは今の計画のような国家の投融資を当てにし、それから税金もそのままだということだと、料金はどういうような工合になるのか、お見通しがありましたら、聞かせてただきたいと思います。
  36. 小出榮一

    小出説明員 ガスの料金につきまては、現在のままの税体系、あるいは金利融資関係等、そういうような条件が、もし現状通りであるといたしますれば、どうしても設備拡充に伴いまして原価が高騰いたしまするので、料金が上ってこざるを得ないという傾向にございます。ただ、電力会社は全国で九つしかございませんで、大体同じような形態でございますけれども、ガスにつきましては、御承知のように非常にたくさんの企業がございまして、その企業形態なり企業内容というものは、一口に申しますれば、いわゆる千差万別でございまして、従いまして、どの会社の料金がどういうふうになるか、あるいは公営のものにつきましては将来どういうふうになるかというようなことは、具体的には申し上げかねますけれども——もし現状のままであるといたしますれば、どうしても料金は高騰せざるを得ないという傾向にあることは事実でございます。ただ、ここ差し迫って、今すぐ料金値上げをしなければならぬというようなものがあるかどうかということにつきましては、私どもとしては、それほどのものは今のところない、かように考えております。
  37. 松平忠久

    松平委員 林野庁長官に伺いたいのですが、薪炭は現在何千万石使われているか。それから、薪炭林の帰趨と申しますか、この将来というものは、どういうふうに判断されているのか、ちょっと御所見を伺っておきたいと思います。
  38. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 大体、薪炭林として年間伐採されておりますものは、針葉樹、広葉樹を含めまして、立木で七千七、八百万石ないし八千万石でございます。このおおむね八千万石に近い線は、かれこれ数年来の傾向でございまして、ふえもせず減りもせずというのが今日までの大勢でございます。なるほど、大都市並びに大都市の周辺地域におきましては、薪炭が家庭の燃料として使われる程度というものは、かなり目立って減ってはおりますが、国全体を通じますと、大体減りもせず、ふえもせず、こういうことで当分の間はいくのではなかろうか、私どもはかように考えております。
  39. 島村一郎

    島村委員長 この際、議員多賀谷真稔君及び石山權作君より、それぞれ発言の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。まず多賀谷議員の発言を許します。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 まず第一に、石炭が非常な不況のときには、低品位炭利用というものが、かなり叫ばれ、そういう時代には、コークスの市況も非常に悪かった関係で、コークスを生産するようなガス発生の方式はいけない——いけないと言えば語弊がありますけれども、なるべく避けたい、そうして石炭の市況とコークスの市況は軌を一にしておりますから、石炭の不況のときには、コークスもやはり不況だ、こういうところから、なるべく完全ガス化の方にいきたい、こういう状態であったと存じます。ところが、今日は、市況はがらりと変りまして、コークスは確かにまだ不足をするという状態にあると思いますが、コークスを作る、ガス発生の方式というのは、日本の地には少い現状です。いわゆる粘結炭でありますから、結局足りない分は輸入しなければならぬ、こういう状態になると思う。そこで、私は、今、政府で奨励をされ、また方針とされているのは、どういう方式のガス発生をやられんとされているか、これをお聞かせ願いたい。
  42. 小出榮一

    小出説明員 ガスの発生装置というような問題につきましては、この第二次五ヶ年計画におきましては、ただいま多賀谷先生の御指摘になりましたような完全ガス化の問題等は、何と申しますか、もっと新しいと申しますか、多方面にわたりまして技術的に研究をして、そういうものをこの計画の中に織り込むということも、当然考えられるわけでございますけれども、一応この計画におきましては、そういったようないろいろな研究がもう少し熟しました場合には、計画を必要に応じて修正するなり、計画に織り込むということにいたしまして、この計画といたしましては、大体第一次五カ年計画の従来の方式を、設備的には踏襲してやっていく。ただコークスなり、今の原料炭の問題につきましては、御指摘の通り、将来原料炭需要もふえてくるわけであります。従って、国際収支との関係等から申しますれば、できるだけそういった輸入炭を減らすという方向にいかなくちゃならぬということは当然でございますけれども、完全ガス化の問題等につきましては、さらにもっと研究の完成と申しますか、これを企業的に取り入れていく方途がはっきりいたしました場合におきまして、必要に応じて将来計画を修正していく、こういうふうに考えております。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 ガス需要はどんどん伸びておりますし、それから第二次五カ年計画も着々として実行されておる、こういう段階だと思います。そこで、私は、政府がある方針を持ってこういうものは指導しなければ、企業家としては、安全な、そうして安易な方向に行くと思うのです。そこで、電気なんかは、水源地帯でも、いい水源地帯はなくなって、コストの高い水源地帯しかない、こういう場合と、ガスは違うと私は思うのです。なるほど、工場の配置状態によりましては、確かに遠距離に運ばなければなりません。あるいは密集度が変わってくる。密集度が変ってきますから、割にコストがかかるということは理解できるのですが、それはむしろ私は生産方式の進歩によって補うべきである、かように考えるわけです。電力のように、ここでなければ水源地がないという場合とは違うのです。先ほどお話を聞いておりますと、あるいはこのガスコストはだんだん上っていく傾向にある、あるいは炭価を上げていかなければならぬということは、これはもってのほかであり、それはむしろいろいろ研究に待って補うべきである。これは電気と同じような状態にはないと思うのです。ですから、私は、むしろ生産方式を改良しなければならない、依然としてガスが、日本に少いような原料炭を使っておるところに問題があると思う。そこで東京瓦斯あたりはGI方式を一部採用されましたし、また日本水素なんかはコッパース方式でやっておる。もっともコッパース方式ではカロリーが低いので、これは都市ガスにならないということを聞いております。ルルギー方式だって、唱えられてからかなり長くなるし、かなりの国で相当現に行われておるという状態でありますが、コークスの市況がよくなってきた関係か、そういう声を聞かなくなった。コークスが売れないという状態のときには、何とかしなければならないという声を聞いておりましたが、そういう声を聞かないし、また炭界の方も非常に情勢がよくなったから、低品位炭利用ということもあまり言わなくなった。こういうように私たちは考えるわけですが、ここは政府が大局的な見地に立って指導しなければ、私は日本のエネルギー対策をあやまつと思うのですが、それらの点についてお聞かせ願いたいと思います。
  44. 小出榮一

    小出説明員 御指導通り新しい生産方式にできるだけ移行いたしまして、日本といたしまして資源に乏しい原料炭の対策といたしましても、あわせて考えていくということは、当然必要でございます。ただ、五カ年という長期の計画でございますので、私どもの考えといたしましても、そのときどきの石炭の市況であるとか、あるいはこれに関連するコークスの市況というものに左右されつつ計画を作るということは、もちろんできないわけでございまして、やはり一貫した長期の計画という観点に立って作っておるつもりでございます。従って、今の一般炭なりあるいは低品位炭の利用という面につきましても、従来からも研究をしておりますし、また業界におきましても一般炭、低品位炭の利用等につきましては、さらに研究を続けておるはずでございます。従って、政府としては、そういうものを全然閑却して、ただ、今、目先の市況がいいから、それに乗っかっていくという考えは持っておりません。従って、先ほど申しましたように、この計画内容といたしましては一応従来の生産方式を踏襲しておりますけれども、研究のすみやかな完成によりまして、必要に応じてこの計画を修正していくという態度で考えておる次第でございます。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 その生産方式の研究は、どこでやっておるのですか。
  46. 小出榮一

    小出説明員 これは政府関係におきましても、また民間においても研究しておるわけでありまして、政府関係におきましては、工業技術院関係燃料研究所でありますとか、いろいろな方面におきまして研究をし、また企業におきましても、企業の中の研究部門におきまして研究を続けておる、こういう態勢でございます。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 私も、研究所に行ってみましたが、一応よその文献とかそういうもので見ると、ルルギー方式が採用できるのだ。それ以上は、ガスでタービンを回すガス・タービンの研究を見ましたが、それら以外にはあまり研究してないのじゃないか。あるいは私企業に待ちましても、これはやはり私企業としては、国家の政策よりも、まず自分の企業のことを考えますから、私企業昭和五十年度まで見通して、決してコークス需要が減らないという見通しになれば、むしろ安全性を考えて、私はあまり生産方式の改革はやらないのじゃないか、こういうように考えるわけです。そこで、むしろ政府が積極的にやらなければ、この問題は解決しない、私はかように考えて質問をしておるわけです。どっかでやっているということでは、われわれ非常に困るので、具体的に、一体どこでやっておるか、これをお聞かせ願いたい。
  48. 渡辺五六

    ○渡辺説明員 ただいまの一般炭利用等につきましては、具体的に研究をしますのは川口の資源技術試験所で、これは北海道の太平洋炭鉱の一般炭をガス化するという方式の企業化を、太平洋炭鉱と共同で研究を進めて、ある程度のデータを得ておるようなわけであります。  それから低品位炭利用の問題は、確かに最近の石炭業界の景況の影響を受けまして、関係業界の力も若干熱意が下ったように思いますが、引き続き石炭業界、ガス業界等が、低品位炭利用委員会をもちまして、お互いのデータを交換し合って研究を続けています。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 川口の試験所では、一応の結論を得て中間試験所を作る段階になっているのでしょう。むしろ今からの問題は、研究でなくて、中間試験所を作ってみて、そうして中間プラントを作ってみて、これで企業としてやれるかどうか、こういう段階に私はなっておるのじゃないかと思う。一時的な研究は終っているのです。それからもう二、三年たっているのです。そうして、今、中間プラントを作って、ほんとうに百億以上の金を費してそういう方式を作ることが可能であるかどうかというのは、少くとも五、六億の金をつぎ込んで研究所を作らなければならぬ段階に、むしろきておるのじゃないか、かように考えるわけです。もう太平洋炭鉱の炭を使って完全ガス化の研究をしてから、かなり時日もたって、一応の結論が出て、それが放置されておるのじゃないだろうか、こういうように私は考えるのですが、どうですか。
  50. 渡辺五六

    ○渡辺説明員 その企業化の問題でありますが、先般資源技術試験所で一応テスト・プラントの公開があったのでございまして、それについて、いわゆる企業化の問題は今後に残っておるわけです。お説の通りでございます。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 お説の通りでは、非常に困るわけです。やはりかなり犠牲を考えなければならない企業ですから、こういうのは政・府が積極的に中間プラントを作って、これで丈夫だという判を押さなければ、なかなか企業家としては踏み切れない。まあ政府も出費多端の折でありますけれども、このくらいはやらなければ、技術の振興なんか言ってみても、私は全く空文に終ると思うのです。ですから、通産省としては、しっかりまた予算をとってもらいたいと思うのです。  次に、私は、この輸送の問題で、少し質問をしてみたいと思う。輸送の問題と申しますのは、石炭は、御存じのように国鉄の貨物輸送の二五%を占めておる。そこで、常磐炭鉱付近でガス化をして東京に送るということが、かなり言われ、研究もかなり進んでおると思うのです。ところが、私、先般福島に行きましたが、率直に言いまして、常磐炭鉱の石炭というのは、東京に近い関係で、売れるわけです。何も、現地でガス化しなくても売れる。そこで、比較的現地の炭鉱業者というのは、乗り気でないようです。乗り気でないといえば、語弊があるかもしれませんけれども、それほど痛痒を感じてない。ところが、日本の輸送状態その他からいいますと、これは非常に大切なことなんです。ですから、私はこういう点でも、やはり政府指導的な役割りをして、推進していかなければいけないと思うのですが、この点についてどういうように考えられておるか。たとえば、日本水素が、せっかく常磐炭鉱の炭を使うためにコッパースを作りましても、実は北海道の石炭を使っておる、こういう状態なんです。あまり協力が得られないで、北海道の石炭をわざわざ小名浜に持ってきて使っておる。常磐炭鉱の石炭は、東京に送られておる。ですから、初めの志と違っておる。こういう状態ですから、こういう問題は、積極的に政府推進をしなければならぬと思いますけれども、今申しました常磐でガス化して東京までパイプで送るというような問題は、どの程度話しが進んでおるのか、あるいは研究が進んでおるのか、これをお聞かせ願いたい。
  52. 渡辺五六

    ○渡辺説明員 常磐炭を現地でガス化して東京まで遠距離輸送するという問題は、二年ほど前、関係業界でも、いろいろ検討したのですが、その際の結論としては、ガス化して送るよりも、石炭で輸送して消費地でガス化した方が、コスト的には安いという結論が出ましたし、それから、実際問題としまして、鉄道沿線に沿って導管を敷設するとかいうことになるだろうと思いますが、その場合の借地権等の諸問題、これはなかなか大へんな問題だろうと思いますが、そういうような隘路事情があって、現在のところは、一応先ほど申しました二年ほど前の結論で終っている状態であります。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 私は率直にいいまして、鉄道というのは、だんだん運賃は高くなるだろう。これは、世界の情勢を見ればわかるのです。陸上輸送、ことに鉄道というのは、だんだん高くなる状態にある。しかも、日本の場合は、公益的な要素が非常に多いものですから、開発のために鉄道の新線が強要されておる。国鉄でありますから、当然そういう使命を持っておる。そうすると、やはり鉄道の運賃というのは、ここ当分は下るというような状態には考えられないと思うわけです。ですから、これも短期に見ますと、今は鉄道で送った方が安い、こういうことは、考えられますけれども、とにかく二五%が石炭の輸送に費されておる。輸送は隘路だ、こういうような状態にあるわけです。一方、常磐の地域は、御存じのように、小炭鉱を非常に控えており、そして石炭の好況、不況によって、失業者が非常に出たり、あるいは吸収されていくなりして、不安定な失業地域である。こういうことを考えますと、やはり安定をした雇用を持つような産業というものが望ましい。そういう総合的な判断をして、こういう問題は研究をしていただきたいと思うのです。鉄道はだんだん上っていく傾向にあるだろう、ここ十年くらいの間は、強力に推進すればするほど上っていく傾向にあるだろう、こういうふうに考えられるわけです。そうすると、今の時期で判断をするのと、今後時期をずらして判断をするのとは、かなり違うし、また雇用の面も、常磐地域のように炭鉱で一色という地域には、のぼる産業を持ってくるなり、あるいは安定をした産業を持ってくるなりすることが、工業配置からも必要である。そうすると少々ここで無理がありましても、そういう計画をすべきではないか、あるいは実施の段階に至らなくても、もうとにかく、いろいろな点から見て、すべり出しのできる態勢にすべきでなかろうか、というように考えるわけですが、その点について、局長から一言ここで御答弁願いたい。
  54. 小出榮一

    小出説明員 先ほどガス課長から申しましたように、産炭地におきましてガス化をして消費地に運ぶという場合と、石炭のままでもって輸送しまして、消費地においてこれをガス化するという場合とのコスト比較につきましては、おそらくそれは長期的な立場に立ちまして検討したと思うのであります。従いまして、国鉄の輸送費は将来どうなるかという問題もございますから、これはいろいろな見方ができるかと思いますけれども、われわれといたしましては、一応そういうふうなコスト計算のもとにおきまして、ガスもやはり公益事業でありますが、一つ企業でございますし、また石炭業界も、それぞれの企業形態にあるわけです。その各企業コスト的な見地から見まして、そういうふうな結論を出されたと思うのであります。もちろん、輸送関係なりあるいは産業の配置計画というようなものにつきましては、より広い観点から総合的に考えなければならぬことは、よくわかるのでございますけれども、一応ガス計画といたしましては、そういうふうな見地から結論を出した、かように考えております。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 それはおかしいのです。長期的な見通しから輸送の面を考えたということは、どうも私は実際考慮されていないんじゃなかろうかと思う。局長はそういうようにおっしゃいますけれども、あのときの鉄道の単価でこれは計算をしたのではなかろうか、こういうふうに考える。その後、御存じのように運賃は上っておる、また上る可能性も将来ある、こういうようにも考えられますし、それからガスの単価の方も、あのときはルルギーの方式でしたが、局長の説明によると、まだルルギーも十分に研究されていないということで、かなり不安定な要素に立っておる。ですから、私は、やはりもう少し官庁としては、綿密な計算をして、いい、悪いは別ですが、もう少し綿密な計算をして、スタートできるという態勢になれば、早くすべり出しのできるような準備を整えるべきではなかろうか、こういうように考えるわけです。
  56. 小出榮一

    小出説明員 計画の作成に当りましては、今お話しのように、輸送費の関係とか、あるいは石炭価格の問題と申しますか、そういうふうな点につきましては、計算上算定することは非常に困難でございますので、こういうふうな長期の計画におきましては、大体現況を一応前提といたしまして、動かない要素のもとにおいて計算をしなければできないということは確かでございます。従いまして、御指摘の、将来の輸送費の動きなどにつきましては、この情勢を見きわめまして、なお研究させていただきたい、かように考えます。
  57. 島村一郎

    島村委員長 石山權作君。
  58. 石山權作

    ○石山權作君 私、次官にお願いいたしますが、農林省側では林野庁が主体になっておりますが、これは生産の方の側でございます。通産省の方は、消費の力を受け持つという立場だろうと思います。林野庁で出している資料を見ますと、三十一年では、概算七百万石くらい不足ですが、あとは三十二年、三年、四年、五年と、概して毎年一千百万石、二百万石、三百万石というふうに、百万単位くらいずつ年々不足を告げていくという計数が出ております。この不足分は、使用量の全体から見ますと、一割にも当っておりません。ですから、やり方によっては、これはカバーできるのではないか。特に、今通産省がとっておられる施策、たとえば都市ガス化、その都市ガス化が行われれば、昭和五十年ですか、六十年くらいになると、ほとんど薪炭が省かれる。木のまま使うのが、一番ばかげた、経済的にはおもしろみのないやり方というふうに、まずもって指摘されているので、政府が今となっておられる、たとえば木材糖化の問題、あるいは都市ガス化の問題等は、当を得た施策だと考えられます。普通、糖化の問題には、いろいろあると思いますが、たとえば、糖化の次にアルコールをとる、糖化をば酪農のえさにする、こういうふうな点もありますが、それからもう一つは、この糖化が廃物利用なのかどうか、それとも新しい資源を開発して、それに集中的にやって大活動を起すのか。先ほど次官は、紙パルプと同じ程度に糖化問題を考えなければ、日本木材化学というものは、経済的にうまくいかぬというふうに言われておるので、そういう点も一つお聞かせを願いたい。
  59. 鹿野彦吉

    鹿野政府委員 私は、木材利用の中の木材化学というものが、紙パルプと同じようにということは申し上げなかったと思っておりますが、もし申し上げたのでしたら、それを取り消すことにいたします。  私は、木材利用の中の木材化学の占める将来の重要性というものは、紙パルプ工業などと比較にならないものであると考えておるものです。なぜならば、パルプによって消費するところの木材の量というものは、ある限度がありますけれども、木材化学によって消費する木材には限度がないというところに、日本経済にとって、比較にならない重要さがあるのではないか、このような認識をいたしておるものでございます。
  60. 石山權作

    ○石山權作君 そういう表現もありましよう、私もそういう点はよくわかるのですが、具体的に、木材化学の中で木材を糖化する、こういうことをさっきおっしゃったものですから、糖化の中では、いわゆるアルコール化するというやり方もあるし、それから糖化してこれを動物等のえさにするというやり方もあるのでございますから、今政府でお考えになっている木材糖化というのは、何を目的としておやりになるのか。それは、もっぱら廃物利用なのか、それとも、大々的に新しい資源も開拓しておやりになるのか、こういうふうにお開きしているのです。
  61. 鹿野彦吉

    鹿野政府委員 現在のところ、まだ政府としましては、この問題を積極的に取り上げていくという段階に遺憾ながら達しておりません。私が先ほどこの問題に触れましたのは、廃物利用の面からでなく、日本経済のために積極的に木材化学という化学工業を発展させていかなければならない、こういうふうに申したのでございます。しかも、木材化学の中の糖化だけではだめなので、その他の繊維素の処理問題とか、いろいろな全体の問題を解決することによって、木材化学全体の生産品のコストが経済的になってくる、こういうことでございます。  なお、えさにするというような問題について、それは酵母のことと思いますが、木材化学工業からは、酵母がたくさん生まれて生産されて参りますので、この酵母を家畜の飼料にするというようなことも、非常に大きな意味を持つものであると認識いたしておるものでございます。
  62. 石山權作

    ○石山權作君 私は、政府がまだ確信を持ってこの問題を調査研究なさっていないように思われてならないことは、この前、政府当局及びわれわれ同志の議員によって後進地である東北開発法ができたわけです。この東北開発沖ができてから、東北六県では、この木材糖化の工場とか木材糖化をもくろみるというように、地元民は非常にこれを取り上げているわけです。それで、何にするかというと、実際旗を振っている者も、何に持っていくかということを何も知らないで旗を振っている。そういう点で、私は今お聞きしているので、通産省は、そういう点で農林省と十分連絡をとってこの問題を出していただかないと、もくろみの中では、どこの県でも木材糖化をやるとか、こういう掲げ方をしておりますが、内容から調べると、なかなかそういうふうに簡単にはいかない面が政府の内部にあるのではないか。政府の内部では、まだなかなか許可をするとかいうふうにならないのではないか。研究所を作ってやるとか、その土地に合った製品の暗示を与えるとかいうふうな程度だというふうに、私は考えておりますので、一つ十分御研究をなさって、せっかく待望している東北地方のもくろみに対して、早いところ結果の暗示を与えて指導していただきたい、こう思っております。  次に、私は、きょう参考人においでになった松永さんにお聞きしたいのでございますが、木材を化学的に処理する、しかも、日本では、何の原料もあまり豊富ではないのでございますけれども、原料としては不足な資源である木材をたくさん使用しておられるのは紙パルプ産業でございます。特に、終戦以後、大へん大きな台風が何べんも来まして、いろいろな世間の評判では、どうも戦争中過伐をした、戦争のあとでも紙パルプの連中が少し切り過ぎていると言う。何と申しましても、当時は三日景気といいましたか、紙パルプが非常に殷盛な時代にたまたま遭遇したものですから、そういう批判も受けた時代がございます。いずれにしましても、日本木材を化学的に使用なさっているのは、何といっても紙パルプの企業でございまして、これは最も有効的に使用なさっていると私は信じております。しかし、一面廃液利用ということについては、先ほど私の方の松平委員からも質問されておりましたが、この廃液をなぜ放置しておるか、廃液を製品化している工場というものは、割合少いのではないか。資源は少いのでございます。少い資源を大へん大きな形で使用されていながら、そこから出てくる廃液その他のものを利用なさっていないということは、一体どういう理由があるのでございますか。
  63. 松永幹

    ○松永参考人 お答え申し上げます。先般の委員会でも問題になりました廃液利用につきましては、われわれ連合会に、廃液利用委員会というものを設けまして、その利用につきまして一応の結論を得まして、本日参考資料として御説明させていただく予定だったのでございますが、時間の都合で次回に譲れということで——実は今もお聞きしたので、資料はやめということで持ってきておらいので、詳しい説明は、その資料を提出して御説明申し上げたいと思いますけれども、結論的に申し上げますと、もちろん木材の中で一番付加価値の高い用途であり、また国際価格その他からいいまして、総体的に経済的に、一番可能なのはパルプでございます。けれども、ほかの製造につきましても、廃液等で有効分を流さないようにやるつもりでおることはもちろんであります。  アルコールにつきましては、すでにやっておりますが、この前の委員会でも御説明申し上げましたように、石油系のアルコールの価格の将来の見通し、それから糖みつ、あるいはカンショによるアルコールとの将来のかね合せで、大体生産量がきまっておるわけであります。これは原価からも参りますし、いろいろな政策からもなっておるわけでございますが、パルプ工業としましては、さらに増産する意欲も十分持っております。それについて、政府の方で御方針をいただければ、さらに増産する用意は持っておるわけです。もちろん、長期資金のあっせんにつきまして、ごあっせんをお願いしたいとは思っておるわけでございますが、その決意は持っておる次第であります。そのほか酵母も作っております。あるいはセメントの拡散剤、あるいはリグニンを原料にしまして合成繊維の方に持っていこうというようなことも、通産省の試験研究の補助金をもらいまして、研究を続けておるというような段階でございます。詳細につきましては、実情その他を報告書にしてございますので、あらためて説明する機会を与えていただければけっこうかと思います。
  64. 石山權作

    ○石山權作君 うっかりすると、治山治水の破壊者だという汚名を受ける、うっかりすると、毒水を流しているという汚名を受けやすい立場にある工業でございます。十分注意してもらわなければならぬと思うのですが、この毒水は、第二次副次製品を作ることによって、相当避けることができるのではないか。今までのやり方ですと、おそらくそうだと思うのです。アルコールを作っても、設備費、人件費をかけると、プラス、マイナスあまりおかげがないのだ。それよりも、本業のパルプと紙に精力を費した方が、本職でございますから、それの方がもうけが多い。こういうような単純な利害関係が、おおむねこの第二次副産物を抑制しているきらいがあったのではないか、こう思っております。一つ、こういう点は十分に考えてもよろしいものではないか。特に、いろいろと言われている際だけに、廃液の問題などは考えてよろしいのではないか。これは農林委員会でも前々から取り上げられていまして、放置のできないような段階にあるのではないか、こう思っております。  それから、あなたの方から希望がたくさん出ているわけです。たとえば、原料パルプとしての広葉樹云々から、一、二、三というような御要望が出ているわけですが、これについて、私、一つ疑問を持っていることは、ほかの産業でもそうでございますけれども、紙パルプの場合に、特に私、指摘申し上げたい点は、過剰投資、過剰設備が極端に行われたといっても過言でないと思います。しかも、その設備投資の仕方が、日本の場合には、物をば精密化するということが問題にされなければならないにもかかわらず、精密化に投資したのではなくて、単一の大量生産に投資されたという傾向があるのでございます。ですから、木がよけいに切られるという方向でございましょうし、廃液は放任するという形をとらざるを得なかったのではないか。こういう点は、原料をば一次、二次、三次というふうに転換することによって、少い資源を活用できるのですから、十分考えていただかなければならぬのですが、そういうふうには、あなた方当事者としてはお考えにならぬのでございますか。
  65. 松永幹

    ○松永参考人 アルコールその他の問題は、お役所からお答え願う方が筋じゃないかと思うのですが、当事者はどうかというこで申し上げさせていただきますと、アルコールにつきましては、今おっしゃいますように、確かに原価で買い上げていただいておるわけでございます。そのことはその通りでございますが、それはアルコール専売法で買い上げていただくよりほかないから、そうなっておるわけでございますから、お役所の方でどういう方針か、お買い上げの方針が変れば、おのずから企業意欲というものは変ってくると思います。ただ、われわれも考えまして、石油系であると四万円程度でできる、イモであると十二、三万円かかる、糖みつで八万円ぐらい、アルコールが七万円ないし八万円、こういう原価になるわけでございまして、結局、それでは消費量が急激にふえるかと申しますと、自動車等の燃料に使うのでなければ、飲用その他の一般の工業用途については、そう急激に伸びないとすれば、ほかの需要と入れかえるかどうかということについて御方針がきまらなければ、お買い上げの予約がない、従って、われわれの方は増産できない、こういう関係になるのでありまして、増産しろと言われれば、増産する意欲は十分に持っておるということを申し上げたいと存じます。  次に、過剰投資の問題でございまするが、紙というものは、終戦後の紙飢饉でおわかりになったと存じますが、どういう事務をやろうと、紙がなければ動かないわけでございます。日本の紙というものは、半分が外地で生産されておった。それから、あとの半分の内地の工場も、戦時中にほとんど転用その他爆撃等によりまして、終戦時には二割を割るような能力でございました。これは設備そのものがないわけでございます。日本の終戦時のほかの産業状態というものは、非常に悪かったわけでございますが、中でも紙パルプとうもいのが、総体的に一番壊滅の度合いが強かったのじゃないかと思うのであります。従って、二十三年、四年、五年、あの時分にも、紙が総体的に一番不足であったと思われるわけでございます。もちろん、石炭の危機につきましても、傾斜生産等行われたわけでございますが、紙はさような非常に減った割合から復興してきたのでありまして、しかも、工業あるいは文化生活の必需品であるという面から、復旧が非常に急であったわけでございます。その間、量的増強ということが非常に問題であったので、御指摘のように、あるいはほかの産業よりは、その量的の増大に急であったということが見られるかと思うのでありますが、それは産業の実情がそうであったということでございます。その後、木材資源の関係が、パルプに変えて持ってくるか、あるいは用材のまま持ってくるか、とにかく用材としての四割は外地から仰いでおったその外地がない、しかも新聞の需要あるいは一般の紙の需要等は、戦前以上になっておるという状況から、山の資源の方へ非常にロードがかかったということは、事実であろうと思うのであります。そのためにこそ、今まで未利用のまま放置されておった広葉樹を使うということになりまして、広葉樹の質的な転換の増産と、一方、量の増産の必要というものがこんがらかって増産の状況になっておりますので、増加のテンポは非常に早くなったということは、言わざるを得ないと思うのであります。しかしながら、広葉樹パルプに転換するという質的な投資をしなくてはならぬことは、ほかの産業以上に、紙パルプの業界が独いかと思うのでありまして、従って、産業自体の合理化投資としての投資をしていかなくてはならぬという実情に迫られておるかと思うのであります。あるいは他産業よりも、投資額の程度が総体的に多いというようなことかございましても、何とぞ各方面の御支援をお願いしたいと思うのであります。ただ、その間、過剰投資にならないように、品種別あるいはそういった針葉樹を使うものは一切増設しない、そういうようなことは、十分気をつけてやっていかなくてはならぬというふうに考えておる次第でございます。
  66. 石山權作

    ○石山權作君 漏れ承わりますと、パルプの品質と価格の点において、われわれはスエーデンなど、スカンジナビア半島の製品より落ちておるというふうに指摘されております。それから、最近は製紙部門は、ややもたれぎみでございまして、在庫品が重なりつつあるといわれておりますが、紙のおおむねの外地の売り先は、どこでございますか。
  67. 松永幹

    ○松永参考人 お答え申し上げます。第一点の、北欧との製品の比較でございますが、これはパルプにおきましても、紙におきましても、品質において劣っていないというふうに考えております。これは、また業界の手前みそだけでなしに、紙につきましても、パルプにつきましても、そういう外国の製造しておるところも、十分良質のものがあるということを認められておるわけであります。ただ、残念ながら、原料が年々劣ってきておる。日本の紙パルプも、樺太材を使うとか、優良な北洋材を使っております場合は、非常に品質等もいいわけでありますが、広葉樹というようなもの、雑木を使わなくてはならぬ。これもいろいろ除塵装置につきまして、最新の技術を入れまして、そういう除塵装置をしても経済的に引き合うような設備の更新があって、広葉樹パルプ利用が促進されておるわけであります。昔は、松なんかとてもパルプに使えないといわれておったものも、使いこなしておる次第であります。ただ、その原料的に外国から落ちる。それに対しまして、あるいは価格も、外国よりは割高であるというものを使いました製品であるところで国際競争力を持たなくちゃならぬということで、なかなか困難な点があるわけでございます。輸出につきましても、現在大きな市場としましてはシンガポール、タイ、香港、それからエジプト——エジプトなどは、距離から申しましても、日本からの距離は、北欧からの距離の倍以上でございますが、そこでも優に国際競争力として太刀打ちしてやっておるというような状況でございますので、決して外国製品に劣っておるのではないと存じておるわけであります。しかしながら、世界の技術は、日進月歩でございまして、たとえば、化繊等につきましても、どんどん新しい方式が採用されてくる。従いまして、パルプをそれについていける値段で製造しなければならぬという点におきまして、常にしりをたたかれる問題はあるわけでございますが、これは常に日進月歩であるから、そういう問題があるわけでございまして、現状を比べまして、決して劣っておるのではないというふうに考えておる次第でございます。
  68. 石山權作

    ○石山權作君 昔は使わなかった松も、アカもクロも使うようになったし、ブナも使うようになった。しかも、最近では、広葉樹なら何でも使いこなせるようになった。これは確かに私も、りっぱなものだと考えております。そして材料そのものを屈服したということになるだろうと思いますけれども、それにしてもエゾマツ、トドマツ等の針葉樹があった時代のことを回顧すれば、向うの材料を使うことが、いい品質の紙ルパプを作り得ることは、論を待たないことだろうと思います。日本は、やはりいつでも業界というものは安易な道を歩きやすいものだろうと思いますけれども、広葉樹といっても、ブナ材その他は、民間の製材界をば相当食い込むという形になります。価格等も圧迫するというような形で、紙パルプの業界は常に小さい製材業者の怨嗟の的になっておるのでございます。ですから、アカ、クロの松を屈服し、ブナ材を使用し、広葉樹全体を使用してきているといいながらも、この繁栄をきわめている産業の陰には、資材的にも、値段的にも、圧迫を受ける弱小の製材業者があるのでございますから、これらを十分見てやるという気持が、皆さんの造林の中にもなければならぬでしょうし、それからソ連材その他の北洋材を輸入するということに対しても、業界はもっと積極的になる必要があるのではないか。東北の場合、特に秋田などでは、弱小の製材業がたくさんございまして、北洋の針葉材をば石二千七百円くらいで買っても、それでもまず何とかやっていけるというようなことを言っている。こういう時代ですから、そういう点もやはり考えてもらわなければいけないのではないか。それにかてて加えて、私が奇異に感ずるのに、たくさんの過剰投資をしながら、相当な利益を上げていながら、大へんにあれもしてくれ、これもしてくれという言い方があるのですが、こういう点はどんなものでしょう。もうけがあって実力のある産業は、いたずらに免税措置とか、あるいは利子の引き下げとか、特別の業種に入っての政府資金がほしいとかいうようなことは、どんなものでしょう。少し控え目になさった方が、外から見ていいような気がしますが、業界御自身の内部は、そういうふうに簡単にはいかない、火の車だというふうになれば、話は別ですが、われわれ一般の新聞その他の決算報告あるいは市況等を聞くと、まさか火の車でもないように思うのですが、どういうものでございましょう。
  69. 松永幹

    ○松永参考人 紙パルプは、非常にいんしん産業であるというような常識がございまして、われわれも非常に困るわけでございますが、二十六年ごろは、確かにいんしんだといわれても仕方がないと思いますのは、売上利益率を見てみましても、日銀統計で紙パルプの十七社をとってみますと、二十六年上期までは二五%の売上利益率がある、それから下期が二二%、これは非常な高収益であろうかと思うのでありますが、それが二十七年の下以来一転いたしまして、一割以下に落ちておるわけでございます。最近は八%ぐらいだろうと思うのであります。製造工業平均が六・八とか七という数字だったと思いますが、製造工業平均より多少いいというような程度でございまして、いんしん産業というからには、売上利益率が一三%とか一五%とかいうものがあれば、これは非常にもうかっておる産業といわれてもいいと思うのでありますが、利益率が非常に下っておる。それでは、二十六年の高収益というものはどうして出たかと申しますと、これは、その当時統制の撤廃で、原料安の製品高というのが人為的に出て起ったのでございまして、紙パルプというようなものは、非常に地味な産業で、ちょうど電気のように半分が産業用、それから半分が文化とかそういう国民所得に比例するものでございますから、長い年月七、八%恒久的にふえていく、国民経済と一緒に順調に伸びていく産業でございますので、従って収益の方も大体地味な伸び方であろうかと思うのでございますが、そういった終戦後一時的に非常な高収益が出ましたのと、紙が非常に不足で引っぱりだこであったというような統制時代の状況から、確かに戦後二十六年ごろまではよかった状態があったわけでございますが、そういうことが非常に災いしまして、いまだにそういうことが残っておるのは、非常に遺憾だと思うのであります。ただ、新聞面の株式配当等は、これは資本の方が寡少資本の会社もございまして、寡少資本の会社は、利益率がそういうふうに低いにかかわらず、株式資本に対する配当は高配当であるということになるわけでございますが、その会社の全体の売り上げなり設備なりから考えれば、当然寡少資本というのは、常識的にも出てくるわけでございまして、従って利回りを計算すると非常に低いということは、明らかに資本が寡少であるということを物語っておるのでございまして、業界そのものはどうかということは、売上高、利益率で大体見ていただけるのではないかと思うのでございます。  続きまして、造林その他に熱意があるかというお話でございますが、当協会としましては、年一万町歩、三十カ年間の計画を着々実行しておりまして、これは、現在つぶしておる量のまあ二割ちょっとくらいのものでございます。足らぬと言われれば、足らぬのでございますが、従来に比べますれば、そういうような造林に着手し、さらに拡大せんとする意欲は、業界としては十二分に持っておるわけでございます。何とぞ御支援のほどをお願いする次第でございます。
  70. 石山權作

    ○石山權作君 どうも紙パルプの場合は、山林の問題を論ずると、やはり経営の内容に入っていくというような格好になりまして、実際からいうと、この木材関係だけの質問をしようと思っておりましたけれども、つい経営内容まで入りました。私は、申し上げたいことは非常にたくさんありますけれども、それは経営の内容に入ることで、たとえば、私たちは、生産過程におけるところの個々の品質よりも、いいものをあげるとするならば、今のように個々に会社が秘密的に持っている研究所のようなものは、これは政府の、それこそ政府の鞭撻と協力を得て共同の研究機関を持つという方が、より効率的であるだろうと思います。ただし、その場所によって、温度等も違うのでございますから、樹種のとり方とか何か、いろいろ、それでなくても各社においてそれぞれの特徴が生まれるのでありますけれども、基本的なものは、やはり共同研究所などを持っておやりになった方が、よそから見た場合には効率的であるというふうな考え方でございます。そういう点は、皆さん、経営者の方々としょっちゅうお会いになるでしょうから、こういう話題も、委員会ではあったというふうにお伝えを願いたいと思います。  以上で終ります。
  71. 島村一郎

    島村委員長 この際、松平忠久君より、木材利用合理化に関する件について、本小委員会の結論を取りまとめるため、提案いたしたいとの申し出がございます。松平君に対して発言を許します。松平忠久君。
  72. 松平忠久

    松平委員 ただいま議題になりました木材利用合理化に関する小委員会の決議を提案したいと思います。まずその案文を朗読いたします。  木材利用合理化に関する件   木材資源利用合理化施策は、関係者の努力にもかかわらず、その成果は遅々として進まず、依然として森林の過伐が行われ、木材供給に逼迫をきたし、経済の発展と民生の安定上、大きな障害となっている。   よって政府は、当面最も緊急を要する合理化施策につき、次の点を考慮して、有効適切な措置を講ずべきである。   一、原料パルプとしての広葉樹パルプを一定量以上使用するものについては、設備機械に対する特別償却制度の適用、長期低利資金の融通、及び輸入関税免除等、必要な措置を講ずること。   二、今次決定の「都市ガス普及第二次五カ年計画」の実施にあたっては、ガス料金値上げ抑制と、計画の完全な達成を計るため、    イ、長期低利の政府資金の円滑な供給    ロ、家庭炊事用ガスに対する電気ガス税の減免、他の公益事業の例にならい固定資産税及び道路占用料等における優遇措置を講るすこと。   三、木材化学工業及び関連産業の画期的な発展並びに木材資源利用合理化運動の推進をはかるため、所要の予算を増額すること。  以上でありますが、この際この趣旨を若干弁明したいと思うのであります。  御承知のように、閣議決定で、木材資源利用合理化の運動を推進していくということがきまりまして、この委員会が同時に設置されたのでありますが、毎年、いろいろこの委員会を通じて、木材利用合理化運動の推進について審議を進めて参っておるのであります。ところが、これが、たとえば、本年度は昨年度に比べて、かなり予算も削られておるというようなことで、せっかく始まったこの木材利用合理化の非常に大きな運動というものが、龍頭蛇尾に終る、こういうふうに私たちは見ておるのであります。ところが、この木材利用合理化というようなことは、非常にじみな運動でありまして、またその効果も、なかなか予期のようには進まない。また、どの程度努力したなら、どの程度の結果がそこに現われた、こういう数字的な結果を得るということも、きわめてむずかしいような問題であります。従って、ともすれば、今申しましたように龍頭蛇尾に陥る、こういうことになるのであります。しかしながら、一面から考えてみると、やはりこれは相当国家的な大きな仕事であって、これを達成していかなければ、日本の大きな意味の国家的な経済の安定とか、あるいは発展というものが、究極的には期せられない。各方面にその影響を及ぼす。徐々ではありますけれども、その影響はきわめて深刻である、こういうふうに思うのであります。従って、この木材利用合理化というものは、長期にわたって強力に進めていかなければならぬ、こういうふうに思います。  そこで、それらの施策としましては、たとえばパルプ原料に広葉樹を使うというようなこともありますが、これが大きな産業においては、自己資本によって、ことに一貫作業等を持っておる、施設を持っておるパルプ工場、製紙工場等におきましては、自己資金でこれをやっていくことはできる、こういうふうに思いますが、しかし、やはりパルプ設備等を持たない中小のメーカーにおきましては、何かやはり措置を講じて、企業合理化促進法の適用等を受けるような措置を講じていなければならぬではないか。すなわち、一定量の広葉樹パルプを使う製紙メーカーに対しましては、企業合理化促進法の重要施設の指定を受けさせて、そうして先ほど決議案の案文の中にありますような措置を講じていくことが必要である、こういうように思うのであります。  それから第二次としまして、都市ガスの普及、第二次五カ年計画におきましても、これは再三、開銀資金の円満な供給であるとか、あるいは電気ガス税固定資産税、その他の公租公課の引き下げというようなことが、この委員会でも問題になりましたけれども、なかなか思うようにいかない。ところが、今回の第二次五カ年計画におきましては、先ほども説明がありました通りに、資本費として約三〇%以上の増加が見込まれるというようなこともあるし、また今後の都市ガスの発展というものは、結局地方の都会とか、あるいは郊外地域というところでありますので、何としても若干の優遇的措置を講じなければならぬと思います。  なお最後に、木材化学工業というものが、もっと広い見地から強力に研究を実施されて、画期的なことを考えなければいかぬのじゃないかという趣旨に基きまして、それらの試験研究等に要する費用もしくは工業試験等の費用とか、あるいはまた本運動の推進のために必要とする啓蒙その他も、あわせて長期にわたって強力に進めていかなければならぬということから、所要の予算の増額をはからなければならぬ、こういう趣旨で申し上げたのであります。  以上簡単に申し上げまして、本件を小委員会の結論として、そうしてこの決議は小委員長から商工委員会に諮られて報告をして、その議決とするように特にお取り計らいを願いたいと思うのであります。  以上、日本社会党並びに自由民主党の各委員を代表いたしまして、この決議案の趣旨の弁明といたします。
  73. 島村一郎

    島村委員長 ただいまの松平忠久君より御提案の木材利用合理化に関する件を小委員会の結論といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、この結論につきましては、追って私から商工委員会に報告いたしまして、商工委員会において決議するよう提案する運びといたしたいと存じますので、御了承をお願いいたします。  本日はこの程度にとどめます。竹中、松永両参考人には、御多用中のところ、長時間にわたり種々御意見をお述べいただき、本小委員会調査に多大の参考となりましたことを、厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会