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竹中参考人 私は、ただいま御
指名を受けました
日本ガス協会常務理事をいたしております
竹中でございます。かねてから国会におかれましては、私どもの携わっております
ガス事業が、国家的にも国民経済的にも、きわめて重要であるとされまして、たびたび御
調査になられているのでございます。本日は、重ねてその後の実情をお調べになるために御
指名がございまして、
意見を述べる機会をお与え下さいましたことを、まず
業者を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。
ただいま
小出公益事業局長さんから、このたびの
通産省で
省議決定されました
都市ガスの
普及計画について、詳細な御
説明がありましたが、現在の
経済事情や
社会情勢から申しまして、この第二次の五カ年
計画の
規模は、妥当なものと存じている次第でございまして、われわれ
ガス事業者は、
一意専心この
計画の
達成に邁進したい、こう考えている次第でございます。
第一次五カ年
計画は、日ごろの
皆様方の御
支援によりまして、本年末をもって
新規需要家の
拡張は、
計画よりも約二三%上回るというような結果で終了する予定でございます。この席をかりまして厚く御礼申し上げる次第でございます。
第一次五カ年
計画を立てました
昭和二十八年ごろは、非常に
金融事情の悪いときでございまして、そのころは
東京瓦斯では月に五千軒、それから大阪瓦斯では月に三千軒、それから
名古屋の
東邦瓦斯では月一千軒以上の
新規需要家を
拡張することが許されなかったときでございまして、そういうときに
計画をいたしたものでございまして、二十九年の下期ごろからだんだんと
金融事情がよくなりましたので、
社債の新
発行もある
程度認められるようになりました。それから
市中銀行などからの借入金もだんだんと可能になりましたので、それまで
新規需要家の
拡張を押えに押えて参りましたが、これを急速に工事を進めて参るようになりまして、
東京瓦斯の場合では最高一万三千軒まで
拡張いたしました。しかしまた最近の
金融引き締めによりまして、これが押えざるを得なくなりまして、大体一万一千軒という
程度に縮少せざるを得なくなった
事情でございます。またこの間におきまして、
石炭価格が一応安定しておりましたし、それから
コークス価格も堅調に推移いたしましたので、
ガス料金を、五カ年間にわたって、ほとんどこの
業者が
改訂することがなく今日に至った次第でございます。かような好条件がありましたので、第一次五カ年
計画は順調に参った次第であります。すなわち、第一次五カ年
計画では、
設備資金は五百八十七億円、
新設需要家九十八万軒の
契約に対し、実際は七百五十億円の
設備資金の
調達が可能になりましたので、先ほど申しましたように、
新設需要家も百二十万軒を
拡張する、二三%
程度の
契約を上回るような
拡張計画をすることができたような次第でございます。
しかしながら、第二次五カ年
計画は、ただいま
金融引き締めの最中でありますが、過去の
実績と
経験からいたしまして、
設備資金千二百八十七億円、
新設需要家百五十三万軒に
計画いたしておりますが、この膨大な
資金が円滑にまかなえないときは、その分だけ
計画は
達成されないことになって参る次第でございます。このような膨大な
計画を遂行するためには、幾多の隘路があることは申すまでもありませんが、一応要約して申し上げますと、
設備資金の円滑な
調達と、
ガス原価の
高騰をいかに吸収するか、また
原料が果してわれわれの
希望通りに
確保されるかの大体三点に尽きるのであると思います。
ガス事業者は、もちろんあらゆる
企業努力をいたしまして、
新規需要にこたえるべきでありますが、このただいま申し上げました三つの問題は、
事業者の
努力だけでは、なかなか解決されない問題でありますので、
皆様方の一方ならない御
援助を切望してやまいところでございます。
設備資金につきましては、
ガスにおいては、今日まで
国家資金の
援助はほとんど受けられなかったのであります。これはわれわれとしてはぜひ希望しておったのでありますが、残念ながら受けられなかったのでございまして、
増資等によりまして、この膨大な
資金をまかなって参りますと、
コスト高になりまして、
ガス料金の
改訂が直ちに問題になって参りますので、でき得る限り
日本開発銀行とか、それから
中小企業金融公庫あるいは
北海道東北開発公庫等からの
融資を受けられるようにお願いいたして参ったのであります。
社債の
新規発行も、ただいまのところは認められておりませんが、このような事態が今後続きますと、この五カ年
計画は全くペーパー・プランに終るようなことになってしまうのではないかということをおそれておる次第であります。
次に、この
計画が、
ガス原価にどういうふうに
影響を及ぼすかというその
影響ですが、
ガス事業は、
電気事業や電鉄などのような
公益事業と同様に、いわゆる
設備産業でありまして、従いまして、
設備拡充に伴って必然的に
支払い不足や
固定資産税、
減価償却費などの
諸費が
高騰いたして参りますので、
設備拡充の割合の多い
事業者、たとえば東京とか大阪とか
名古屋というような
ガス事業者にとりましては、直ちに
ガス料金改訂を行わなければ立っていかないようなことになってくるのではないかと思うのであります。もちろん、
ガス事業者は、
設備の
近代化とか
経営管理の
合理化に最大の
努力を払いまして、
値上げは最終的に考えていいのでありますが、これらの
諸費は、その性質上、
事業自体の
企業努力のいいというものがきわめて少いのでありまして、
金利とか
租税公課の
減免措置が行われない限りは、
コストの
高騰を吸収することはできないのでございます。今、かりに
設備資金を
増資によりまかなう
計画は、年六分五厘の
政府資金によると仮定いたしますと、その部分の
コストは
増資をいたしまして、
配当を一割三分というふうに見ますと、その
配当とそれに
法人税それから
住民税を加えたものを一応一〇〇と仮定いたします。そうしますと、それに対してその四分の一の二五%くらいで済むという計算となるのであります。それでありますからして、今後も延ばさなければならないことになる。郊外地の採算のとれない地区などには、低利の
国家資金の
融資がなければ、なかなか普及が可能ではないのではないか、こう考えておるのであります。ぜひ
一つ国家資金の
融資がされまして、普及を可能にしてもらいたいと思います。また
固定資産税につきましては、電気とか電鉄の場合は、
拡張分に対しては、長期にわたって大幅な減税
措置が講じられておるのですが、
ガス事業は適用されておりません。のみならず、
ガス導管につきましては、御
承知の
通り固定資産税のほかに道路占用料を課せられておりますので、全く二重課税になっておるような実情でございます。なおまた、諸外国ではもちろんのこと、
薪炭や燈油に課されていない
消費税を
ガスに課しておりまして、その率も一〇%という高率でありまして、本
年度においては、この
ガス税の納税額は五十億円にもなり、それから第二次
拡張の終ります三十七
年度には百億にも達するような予想であります。
租税公課は、いずれも
地方税でありますが、
ガスの普及が、
家庭燃料対策として最も重要であることは、当
委員会を初め
政府当局も、つとに認めておられることですが、これを阻害する税制の改正について、われわれ
ガス事業者の長年にわたる要望がいまだに実現されていないという
現状でございます。そこで、
固定資産税を他の
公益事業並みに軽減するとともに、道路の効用を何ら阻害しない道路占用料を撤廃していただき、家庭の炊事用
ガスについては、
ガス税を免除していただいて、
消費者の負担の軽減をはかることが、今後における
ガスの普及向上をはかるために、絶対必要不可欠となって参るのであります。すなわち、第一次
計画では、一戸当りの
設備の投資額は、大体六万三千円ぐらいでございました。それが第二次
計画では非常に密度の低い郊外の
需要を目ざしてまかなうために、導管費が非常にかさむために二戸当り八万四千円もかかるように思われますので、これらの一連の
措置がなければ、地方小
都市や、郊外地の
ガスの普及を促進することは非常に困難であります。
次に、主要
原料問題でありますが、本年は、石炭は四百五十万トン、石油は十九万キロ
リッターを
消費することになっておりますが、この第二次五カ年
計画の最終年であります
昭和三十七年には、石炭が六百六十二万トン、石油が四十九万
リッター必要になって参ります。そのうち石炭の百六十万トンと石油の全量を
輸入に仰がなければならないということになりますので、これらの
原料が優先的に
確保されません場合は、
ガスの円滑な
供給ができないことになることは言うまでもないことであります。
以上、第二次五カ年計断の諸問題につきまして、あらましを申し述べましたが、どれを見ましても
関連いたしておりまして、並行的に解決されませんと、
現状を維持する
程度のことになりまして、
新規需要は極度に制限せざるを得ないようなことになって参ります。そうなりますと、
家庭燃料としての
薪炭の
需要は依然として減少いたしませんので、これまで進めて参りました
木材資源の節約は、とうてい望むことができなくなりますし、これがひいては
薪炭価格の
高騰ともなるばかりでなく、山林の荒廃による損害が激化いたしまして、国民にはかり知れない被害をもたらすことになると思うのでございます。われわれ
ガス専
業者は、今後ともでき得る限りの
努力をいたしまして、これらの困難を排除いたしまして、この大事業を
推進する所存でございますので、
委員各位におかれましては、この上とも、何とか御
指導、御鞭撻を下さいますようお願い申し上げる次第でございます。
長い間御清聴下さいましてありがと
うございました。