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1957-11-12 第27回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月十二日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 島村 一郎君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       阿左美廣治君    有馬 英治君       内田 常雄君    川野 芳滿君       菅  太郎君    佐々木秀世君       首藤 新八君    横井 太郎君       伊藤卯四郎君    片島  港君       佐竹 新市君    田中 武夫君       田中 利勝君    多賀谷真稔君       永井勝次郎君    帆足  計君       水谷長三郎君    八木  昇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小笠 公韶君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君  委員外出席者         通商産業務事官         (石炭局長)  村田  恒君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小出 榮一君         通商産業事務官         (公益事業局ガ         ス課長)    渡辺 五六君         参  考  人         (東京瓦斯株式         会社社長)   本田 弘敏君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十一月十二日  委員片島港君及び楯兼次郎君辞任につき、その  補欠として伊藤卯四郎君及び田中利勝君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十一日  新増梳毛紡績に対する原毛割当に関する請願(  江崎真澄紹介)(第一二八三号)  バナナ輸入外貨資金割当に関する請願菅太郎  君紹介)(第一二六四号)  鉱業法改正等に関する請願中村寅太紹介)  (第一二八五号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  瓦斯使用管理及び不使用瓦斯管整備調査に関  する件  木材利用合理化に関する小委員長より中間報  告聴取  木材利用合理化に関する件  請願審査小委員長より報告聴取   請 願  一 播州織物輸出振興に関する請願田中武夫    君紹介)(第四六号)  二 中小企業育成強化に関する請願今井耕君    紹介)(第四七号)  三 県営発電電力県内売電制度確立に関する    請願唐澤俊樹紹介)(第四八号)  四 中小企業対策費確保に関する請願田中武    夫君紹介)(第一〇八号)  五 県営発電電力県内売電制度確立に関する    請願原茂紹介)(第二二四号)  六 政府系中小企業専門金融機関強化に関する    請願原茂紹介)(第二二五号)  七 余市地方産りんごを日ソ通商協定による輸    出品目に指定の請願椎熊三郎紹介)(    第二二六号)  八 鉱業法改正等に関する請願伊藤卯四郎君    外八名紹介)(第二二七号)  九 中小企業対策に関する請願田中彰治君紹    介)(第四三八号) 一〇 中小企業金融公庫新潟支店設置に関する請    願(田中彰治紹介)(第四三九号) 一一 中小企業関係三法の早期成立に関する請願    (愛知揆一君紹介)(第四四〇号) 一二 県営発電電力県内売電制度確立に関する    請願松平忠久紹介)(第四四七号) 一三 政府系中小企業専門金融機関強化に関する    請願松平忠久紹介)(第四四八号) 一四 鉱業法改正等に関する請願松平忠久君紹    介)(第四四九号) 一五 鉱業法改正等に関する請願伊藤卯四郎君    紹介)(第五六九号) 一六 光麦中小企業安定法第二九条の対象より    除外の請願伊瀬幸太郎紹介)(第七四    三号) 一七 水洗炭業に対する法的措置に関する請願(    多賀谷真稔君外二名紹介)(第七四四号) 一八 同(井手以誠君紹介)(第七四五号) 一九 金属シリコン精製助成に関する請願小平    忠君紹介)(第七四六号) 二〇 鉱害復旧に関する請願多賀谷真稔君紹    介)(第七四七号) 二一 中小企業団体組織法案反対に関する請願(    中村時雄紹介)(第七四八号) 二二 県営発電電力県内売電制度確立に関する    請願下平正一紹介)(第七四九号) 二三 バナナ輸入外貨資金割当に関する請願(井    谷正吉紹介)(第八三八号) 二四 新増梳毛紡績に対する原毛割当に関する請    願(江崎真澄紹介)(第一二八三号) 二五 バナナ輸入外貨資金割当に関する請願(菅    太郎紹介)(第一二八四号) 二六 鉱業法改正等に関する請願中村寅太君紹    介)(第一二八五号)     ―――――――――――――
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  本日、公報に掲載いたしました請願二十六件について一括審査に入ります。  まず請願審査小委員長報告を求めます。請願審査小委員長小平久雄君。
  3. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいま議題となりました請願二十六件につきまして、小委員会審査経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。  請願の内容について見ますと、中小企業鉱業、貿易、電力関係等を含んでおります。本小委員会は、本日これらの請願について、紹介議員説明を聴取し、あるいは文書表等により、慎重に審査検討をいたしました結果、次の通り決定いたした次第であります。  すなわち、本日の請願日程中、第一ないし第一〇、第一二ないし第二〇、第二二、第二四及び第二六、以上の各請願は、いずれもその趣旨妥当と認められますので、採択の上、内閣に送付すべきものと決した次第であります。  なお残余の請願につきましては、今後慎重に検討を要すべきものと思われますので、採否の決定は留保いたしました。  以上、簡単でありますが、御報告申し上げます。
  4. 福田篤泰

    福田委員長 採決いたします。ただいまの小委員長報告通り、二十二件の請願採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、ただいま議決いたしました各請願委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、すでに御承知通り、本委員会参考のために送付せられたる陳情書は、産業集中排除に関する国策樹立に関する請願書ほか二十九件であります。右、念のため御報告をいたしておきます。     ―――――――――――――
  7. 福田篤泰

    福田委員長 この際木材利用合理化に関する小委員長島村一郎君より、小委員会経過について報告いたしたいとの申し出があります。これを許します。木材利用合理化に関する小委員長島村一郎君。
  8. 島村一郎

    島村委員 木材利用合理化に関する小委員会審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  小委員会は昨十一月十一日開会し、当面最も緊急を要する木材利用合理化施策につき審議を行い、主として都市ガスの拡充、及び広葉樹利用等につきまして政府委員並びに参考人より意見を聴取するとともに、質疑を行いました。この詳細は会議録を参照願います。  審議の結果、緊急を要する問題を促進するために、小委員会の意思を守るべきであるとの意見がありましたので、皆様のお手元にお配りしてあります案文全会一致をもって作成した次第であります。  一応案文を朗読いたします。    木材利用合理化に関する件   木材資源利用合理化施策は、関係者努力にもかかわらず、その成果は遅々として進まず、依然として森林の過伐が行われ、木材供給に逼迫をきたし、経済の発展と民生の安定上、大きな障害となっている。   よって政府は、当面最も緊急を要する合理化施策につき、次の点を考慮して、有効適切な措置を講ずべきである。  一、原料パルプとしての広葉樹パルプ一定量以上使用するものについては、設備機械に対する特別償却制度の適用、長期低利資金の融通、及び輸入関税免除等、必要な措置を講ずること。  二、今次決定の「都市ガス普及第二次五ケ年計画」の実施にあたっては、ガス料金値上げ抑制と、計画の完全な達成を計るため、   イ、長期低利政府資金の円滑な供給   ロ、家庭炊事用ガスに対する電気ガス税の減免、他の公益事業の例にならい固定資産税及び道路占用料等における優遇措置を講ずること。  三、木材化学工業及び関連産業の画期的な発展並びに木材資源利用合理化運動の推進をはかるため、所要の予算を増額すること。 以上の通りであります。  何とぞ商工委員会におかれましては、本小委員会で作成した案文を御検討の上、商工委員会決議とされますようお願いいたします。
  9. 福田篤泰

    福田委員長 お諮りいたします。ただいまの小委員長報告中、御提案のありました木材利用合理化に関する件を、小委員長提案通り委員会決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお関係当局への参考送付その他の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、小笠通商産業政務次官より発言を求められております。これを許します。小笠通商産業政務次官
  12. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいま当委員会で御決議になりました点につきましては、十分その御趣旨を体しまして、その実現に努力いたしたいと思っております。     ―――――――――――――
  13. 福田篤泰

    福田委員長 前会に引き続き通商産業基本施策に関して調査を進めます。  質疑を継続いたします。八木昇君。
  14. 八木昇

    八木(昇)委員 私は、この際、先般来全国的にも相当に反響を呼びまして、特に炭労同情スト問題をめぐって、労働大臣の声明の発表というようなことにまで発展をいたしました、佐賀杵島炭礦の問題について、ごく簡潔に御質問をいたしたいと思います。  それで、今の労働争議そのものについては、商工委員会でございますから、これは触れないつもりにいたしておりますが、あれほどの大問題で、九十六日間のストライキが行われたできごとでございます。この杵島炭礦というのは、すでに政府当局もよく御承知だと思いますが、工員の数だけで約四千五百名を有しておりまして、職員も入れますと約五千名を有する大炭礦でございます。そうして約五十年の歴史を有する炭礦でございまして、特に佐賀県におきましては、実は唯一最大企業でございます。この杵島炭礦が、どういうわけでああいう大きな紛争になったかと申しますと、この春ごろ、特に開銀融資を断わられたということから、市中銀行あたり金融をとめまして、今のような格好で杵島炭礦経営を続けておる限りは、今後お前のところの会社への金融はできないということで、非常な圧力がかかってきた。そのために、会社側は、やむを得ず、従来の労働条件の切り下げを組合側提案をしてきたということに端を発して、実に九十六日間の大ストライキになったわけでございます。  この炭礦先ほども申しましたように、五十年の歴史を有する大炭鉱で、年間約六十万トンの出炭をいたしております。しかも、その炭は非常に優秀な炭でございまして、今後も、少くとも何十年かは十分掘れるだけの埋蔵炭を持っておる。こういう杵島炭礦でございまして、これが現在のような形で、一応争議は解決したとはいうものの、今後、一体この炭鉱が続けていけるかどうかということについては、非常に重大な関頭に立っておるわけでございます。そこで、労働大臣が、炭労同情ストについて、これは違法なりとして非常に圧力をかけられたことについて、私はどうも納得がいきませんが、しかし、労働大臣立場立場といたしまして、通産省としては、こういう非常に重大な地方産業について、一体これからどういうふうにしていくべきものだとお考えになっておるか。すなわち、石炭鉱業界全般は、必ずしも不況ではない。それにもかかわらず、一時金融がストップをかけられておるというようなことから、この由緒ある、長年の歴史を持つ大炭鉱が、つぶれるかつぶれないかという重大なせとぎわに立って非常に苦しんでおるという状態に対処して、通産省としては、今後どういうふうにやっていこうとお考えになっておるか。そういう基本的な態度について、幸い政務次官も御出席でございますから、政務次官並びに石炭局長から、最初に簡単にお考えをお伺いしたい、こう思います。
  15. 小笠公韶

    小笠政府委員 非常に由緒のある炭礦であり、しかも、将来相当な採炭可能の炭量を持っておるようであります。私は、そういうものはつぶさないように、これを盛り立てていくということが、新しい経営形態に持っていくよりも、より早道だと思うのであります。もちろん、この会社の自主的な再建計画を土台といたさなければなりませんが、その再建の方策に対しまして、政府で可能な限り援助して、立ち直るようなふうに持っていきたいものだと、私はこう考えております。
  16. 村田恒

    村田説明員 ただいま政務次官から申し上げましたように、こういう山は、実は争議の最中からも、われわれは、問題は主として労働省の所管事項でございましたけれども、非常に重大な関心を持って、この経過を見て参りました。どんなことがあっても、この山をつぶしてはならないというかたい決意で、石炭局としては終始して参りました。今後におきましても、会社側から、組合と相談の上に、合理的な再建計画が樹立されました場合には、できるだけの援助をいたしたいと考えております。
  17. 八木昇

    八木(昇)委員 基本的な態度について、ただいま非常に明快なお答えをいただいて、けっこうでありますけれども、これが具体的になって参りますと、実際はとんと事態はうまく進んでいないのであります。この杵島炭礦の問題が、いかにいなかの県において重大な影響を及ぼしておるかということを申し上げますと、佐賀県の財政にも、それから関連する三つの町がございますが、この町の財政にも、なお関連します各県下産業にも、それから労働者について商売をしておる小売業者にも、それから周囲の農村にも、非常に重大な影響を実は及ぼしております。  ところが、一体なぜにわかに杵島炭礦がこういう不況に入ったのかということの原因を突き詰めてみますと、一番大きな要素としては、何といってもさっき申しましたように、金融機関協力というものが得られない。それがこの春から急速に得られなくなった。その背後には金融機関の何らかの別の意図すらあるのではないかと疑われるほど急激にその態度か変った。従来取引をしておる銀行筋、こういうところにあるようでございます。そこで、問題は、この点に一番大きくかかってくるわけでございます。ところが、その杵島炭礦というのは、年間六十万トンも掘り、五千名の従業員をかかえておる大炭鉱であるにかかわらず、実際にはほとんど自己資金でやってきております。そして銀行筋からどのくらい金を借りておるのかということを調べてみますと、開銀から設備資金を借りておるのが、二億八千万円ばかりでございます。これもそう多くございません。それから運転資金として、第一銀行から二億七千万円、佐賀銀行から三億三千万円、それから興業銀行――これは一般設備資金も入っておりますが、興業銀行から一億六千万円、合せまして十億五千万円くらいの金しか銀行筋からは借りていないのでございます。それにもかかわらず、従来貸しておる程度金融さえも、何とかかんとか言って、資本家に貸そうとしないような状況らしくございますが、こういうような状況について、通産当局としてはどういうお考えか、一体杵島炭礦というものが、にわかにこういう苦境に立つということについては、何かはかに理由があるとお考えか、この辺のところについての御見解を承わっておきたいと思います。
  18. 村田恒

    村田説明員 ただいま御質問の、金融機関の方にある特定の意図があったかどうかということについては、何ら関知しておりません。ただ開銀が、ただいまお話がございましたように、本年の四月に融資を拒絶いたしました、これは事実でございます。この際、別に金融機関のレポをいたすつもりはございませんが、ただ客観的に最近の杵島炭礦が、どういうふうな経営状況であったかということを簡単に申し上げまして、御理解に資したいと思う次第であります。  三十年の下期の損益状況を見ますと、三千六百万円の赤字でございます。さらに三十一年の上期、これは九千三百万円の赤字になっております。もちろん、三十一年の下期におきましても、営業は不振でございまして、三十一年度の決算を通して見ますと、八千五百万円ほどの赤字、こういうふうな状況で、きわめて経営不振を続けてきたわけでございます。その状態のままでストライキが始まりまして、八月二日から十一月六日までストライキがあったわけでございますが、この間におきます上期における会社生産計画というものは、三十三万トンを出炭しようという考えでございますが、このストライキの間で約十二万五千トンの生産減になっております。この生産減を概数で金額に直してみますと、約七億円ほどのマイナスになるわけでございます。従いまして、こういう趨勢から見ますと、ことしの上期の決算というものも非常に苦しい状態であろう、今後下期の決算、来年の三月までどうなるか。やっと今度ストライキも片づきまして、どういう形でもって今後再建されていくかというところが、重点になるわけでございますが、これは今後の推移を見たいと思います。  それから、なお、この会社の現実の利益状況は、どういうふうであったかということでありますが、トン当りの収益を見ますと、三十一年度から三十二年にかけまして、一般石炭業界は相当景気がよかったようであります。大手十八社で見ますと、トン当り百十三円程度の黒字を出しております。しかるに、その同じ時期のこの杵島炭礦、一トン当り百二十七円の赤字を出しております。これをもってしましても、いかにこの会社経営が非常に不振であったかということを示すものと考えられます。あるいは御質問に対します直接のお答えにならないかもしれませんが、若干経営状況を申し上げた次第でございます。
  19. 八木昇

    八木(昇)委員 ただいまの点でございますが、なるほど若干の赤字経営であったということは、言えるのでございますが、今の御説明のように、その額はわずかでございまして、何十年かの経営を続けていく過程において、一億以内の赤字が出るくらいのことは、これはほとんど大した理由にならぬのじゃないかと私思うのでございます。それから、経営不振といいましても、それは技術的なおくれや、その他もいろいろあるのでございましょうが、それも急速にその事態が現われておるとも見えません。そうしますと、ストライキが始まったといいますが、ストライキ銀行が金を貸さぬものですから、そこで、何がしかでも労働条件を切り下げて、かくしましたから、一つ銀行に金を貸して下さい、経営者としてはこういかざるを得ないので、従来の賃金協定、時間外協定の八通告を労働者にした、このことから端を発してストライキに入った。こういうことからいきますと、どうしてもこれは金融筋の問題にやはりかかってくるように思います。ところで、金融側意見というものは、たとえば、ある銀行の重役さんの言っておられるところでは――高取という人が社長でございますが、株をその人が独占をしておって、前近代的な経営をやっておる。そうして資本経営一体になっておって、そのやり方がどうも思わしくない。トンネル会社なんかもたくさんある。そこで、少くとも持ち株の三割公開なんということではだめだ、持ち株の三分の二は公開しろ、そうして徹底的に経営近代化民主化をやれ、そうするならば金を貸そうじゃないか、貸すことについても考えようじゃないか、こういうふうな態度のようでございますが、何かそういった銀行筋の主張、それから杵島炭礦経営者のとってきておる態度、こういうものとの間のいろいろな問題が、今日の杵島問題の一番中心をなしておるように思います。そうだとするならば、これはつい二年ぐらい前までは石炭鉱業合理化法案というものを出して、年間四千万トンから四千三、四百万トンぐらいで、国内石炭需要はよかろうなどと通産省は言っておられましたが、今日は五千五百万トン体制から、河野大臣あたりに言わせますと、七千五百万トン体制、こういうことを言い出されておる今日において、こういう金融資本家側と一部前近代的だと称せられておる経営者との間のいろいろな問題のために、この重要な国家的な資源である石炭鉱業、特に佐賀県における一大支柱をなしておる杵島炭鉱石炭鉱業というものが、前途についてよたよたしておるということについては、きわめて遺憾であると思います。そういった点について、何か具体的にこういう手を打ちたいというお考えがあれば、一つこの際御表明をいただきたいと思います。
  20. 村田恒

    村田説明員 やっと今、長い間のストライキが片づいたばかりでありまして、会社側労働組合側も、真剣に会社再建をやろうというときでございますから、政府の方から労働組合なり、あるいは会社側態度に対するものの考え方、批判というものは、差し控えさせていただきたいと考えます。  ただ、ただいまお言葉がございましたように、将来総合石炭対策の中で国内石炭を増産するということが、大きな方向としてきまっておりますので、その中の一環としての杵島炭礦重要性ということは、幾ら強調しても強調し過ぎることはないと思います。従いまして、今後の再建につきましては、できるだけ協力いたすわけでございますが、その再建をしていく場合に、やはり根本は、開発銀行融資ということを先にとって、開発銀行融資ができたから市中銀行やその他がついてくるのだという考え方は、なかなかとりにくいと思います。まず先ほどお話がございましたように、これは地元としては大へんに大事な産業でありますので、佐賀県知事は申すに及ばず、その他のあらゆる地元機関協力を得まして、地元銀行、それからあるいは第一銀行、興銀、それらに対して、今度の再建計画というものに対して十分なる説明、それから十分なる協力、支援をぜひ求めねばならない。そういう形で、まず大口債権者である一般金融筋協力を得まして、その上でわれわれの方としても開銀に対する融資のあっせんということを強力に働きかけたい、こういうふうに考えております。従いまして、具体的な方法があるかというお言葉でございますが、具体的な方法は、まず第一段階には、地元の非常に強い協力態勢を打ち立てていただく、これが第一段階の問題だと思います。
  21. 八木昇

    八木(昇)委員 これは非常に不満足でございまして、地元協力態勢は大体あるのです。それで、今日までも実に涙ぐましい努力をしております。そこで、通産省自体として、もっと積極的にやってもらいたいと思うのです。そういうことが、やはり通産省の仕事ではないかと思うのです。結局は、いろいろ言われましても、成り行きを傍観しておられるように見えて仕方がないわけです。そこで、その点は、私として切実に要望しておきたいと思いますが、この春開銀融資を断わられたということについて、これは通産省で御承知になっている範囲内でけっこうでありますが、どういう理由で断わられたのでしょうか、それが今日こんなことになってしまっているのですが。
  22. 村田恒

    村田説明員 これは詳細な点につきまして、まだ現地の方から報告を聞いておりませんが、要するに、将来の経営につきまして見通しがつかない、非常に不安定であるというところが、一番おもな原因であったように聞いております。
  23. 八木昇

    八木(昇)委員 ただそういうことだけでぽんと断わられると、産業資本家たるものも、たまったものではないのです。それならば、一体どうしてきて、どうすればどうしてやるんだということになってこないと、問題にならないのです。そこで、どういう事情だったのでしょうか、その間の事情は。
  24. 村田恒

    村田説明員 一般的に申しまして、銀行筋からいろいろな要求あるいは拒否するというような態度がございましたときに、一つ一つの具体的な問題につきまして、通産省といたしましては、復活要求をいたしますとか、あるいは銀行に強力に働きかけるとか、いろいろな措置を必要な場合にとっておりますが、本件の場合には、開銀からの拒絶を受けて、経営者側の方も、一応やむを得ないというような非常に消極的な態度であったようにも感じましたので、それ以上われわれとしては特別な措置はとらなかったというのが実情でございます。
  25. 八木昇

    八木(昇)委員 そういった点もあったようには、私も一応は聞き及んでおります。今日に及んで、経営者側の相当の自己反省という点もあったんだろう。今御説明になった要素が若干あるだろうということも想像が、私は私なりにつかないわけでもありません。そこで、今後の方針としては、どうお考えでございましょうか。先ほど冒頭にお答えになりましたように、できる限りこの杵島炭礦をつぶさないよう盛り立てていくという方針でいきたいというお考えであるとするならば、今後の開銀融資という問題について、どういうふうにお考えになっておりましょうか。それからまた、経営者に対して、どういうふうに指導したいとお考えになっておりましょうか、基本的な態度をお聞かせ願いたい。こまかくは必要ございません。
  26. 小笠公韶

    小笠政府委員 一つ企業が健全に発達していくというためには、何を申しましても、経営のやり方が健全化する、堅実でなければなりません。杵島炭礦の場合におきまして、ただいま問題になりますのは、再建計画が妥当性を得るかどうか、こういうところにある。その妥当性を得た再建計画に対して、関係者が積極的に熱心に協力することでなければならぬと思います。今後の再建計画が、そういうふうな妥当な再建計画ができ、それに応じまして、たとえば政府開銀融資等につきましてごあっせんするという場合には、その計画の妥当性を強調して、しかも一方、日本のエネルギー関係におきまするこの鉱山の位置というものを十分に強調をして、極力金融機関の理解を深めていくという方向に努力をして参りたい、こう考えております。
  27. 八木昇

    八木(昇)委員 この場合、妥当な再建計画、抽象的な表現としては、ごもっともでございますが、一番妥当を欠く点はどこにあるのでしょうか、従来の杵島のやり方として。これは局長でもけっこうでございます。
  28. 村田恒

    村田説明員 何が一番妥当を欠いておるかということを的確に申し上げることは、非常にむずかしいいろいろな要素を含んでおると思われますけれども、これもただ数字の点で申し上げて、御理解に資したいと思います。  先ほど申し上げましたほかの会社が百十三円の黒字を出しておるときに杵島は百二十七円の赤字であったというその期間におきまするほかの会社との生産費の比較の中で、非常に大きな要素を占めておるものが二つあると考えられます。第一点は、労務費の問題、第二点は物品費でございます。数字で申し上げますと、ほかの炭鉱が、労務費が二千百五十五円でありますときに、杵島は二千四百四十七円程度、それから物品費が、ほかの炭鉱が七百八十一円程度でありますものが、杵島は九百四十三円、これはトン当りでございますが、こういうふうに大きく開いております。これは何を物語るかと申しますと、労務費の問題は一応離れまして、物品費がこれだけ要るということは、坑内の合理的な採掘計画ができていないのではないかというところが、問題ではなかろうかと思います。言いかえますと、合理化計画が徹底していない。たとえば、切羽の集約化が必要であるという場合にも、なかなかそれが行われていないというふうな点に、相当大きな原因があると考えられます。従いまして、今後再建計画をいろいろ審査いたします場合には、あの炭鉱を合理的に開発していくために、技術面においてどういう点が必要であるかという点をわれわれとしては強調したい、こういうふうに考えております。
  29. 八木昇

    八木(昇)委員 今の技術面についての改善という点を通産省としては十分考えていきたい、なるほど、ごもっともだと思います。それともう一点は、金融資本筋が中心的に主張しておる点は、経営陣の刷新、持ち株の公開、それから会社に対する労働組合の不信感の解消、こういう点に重点を置いておるようですが、こういう点については、いかがお考えですか。
  30. 村田恒

    村田説明員 通産省といたしましては、いろいろな場合に、金融機関から日本の産業活動に対していろいろな意見が出てくると思いますが、それをそのまま全部うのみにしていくというような態度は、なかなかとれないのではないかと考えます。かと申しまして、全然金融の筋に乗らないような、全然コマーシャル・べースに乗らないような乱暴な計画も、排撃しなければならぬと考えます。従いまして、杵島の具体的な問題につきましても、まず第一段階としては、お金を貸してくれるところの金融機関意見を十分尊重しながら、それに対して、また産業資本のあり方という線を打ち出しまして、その調整を十分にはかりながら再建計画を指示していきたい、こう考えております。
  31. 八木昇

    八木(昇)委員 時間をあまり長くとりたくありませんので、あと一、二点だけで一応終りたいと思うのでございますが、もう一つの問題は、やはり九十六日間の大ストライキでございまして、西九州方面では、戦後におきましても、いまだかつてない大争議でございます。そのために、杵島炭礦自体としては、得意先といいますか、販路を相当失っておる。その販路回復には、少くとも今後十年を要するのではなかろうか、こういうことが一般に言われておるわけであります。こういう点についての対策といいますか、お考えをお伺いしたい。
  32. 村田恒

    村田説明員 ただいま御指摘の点は、石炭局として一番心配しておるところでございます。御承知通り、杵島の炭というものは、特に中小企業の方面において従来非常に受けのよかった炭でございます。特にガラス工業あるいは窯業部門、それらに対して、非常な長年の根強い需要を持っていた炭でございます。ところが、こういうストライキの間に、こういう中小企業が、ついに杵島の炭が来ないので、それを待ち切れずに、あるものは重油に転換したものもございます。そういう点が、今後われわれとして、一応紙の上の再建計画ができましも、これを今度具体的にその販路をもう一回取り戻していくということは、大へんな困難な問題であろうと考えます。この点につきましては、何分にもああいういい炭でございますから、現地の通産局を督励いたしまして、またその他現地関係方面とも協力を得まして、できるだけ販路の回復あるいは新しい販売分野を開拓していく、こういう面において努力いたしたいと考えております。
  33. 八木昇

    八木(昇)委員 一応争議が解決して、私どもも、ちょっとほっとしておりますので、これ以上あまり追及しようと思わないのでございますが、ただ、残る今後の問題としては、立ち上りのために当面四、五億の金が何としてでも要るのです。将来については、先ほど来御答弁をいただいたような大筋で事態が進んでいくということについては、私もぜひ一つ積極的に政府当局もやっていただきたいと思うのですが、当面の立ち上りについて四、五億の金が要る。こういう問題についての対策も、この際承わっておきたいと思います。
  34. 村田恒

    村田説明員 当面の対策について、今すぐにどうこうということは申し上げられませんが、繰り返して申し上げますように、会社から再建計画が参りまして、それを契機にいたしまして、場合によりましては中央から現地へわれわれが参り、あるいは人を派遣する等のことによって、少しでも新しい金融の道が開けるならば、そういう方向において努力いたしたいと考えております。
  35. 八木昇

    八木(昇)委員 最後に、今の杵島炭礦とは別の問題で、政務次官に伺いたい。できれば大臣に伺いたいと思ったのですが、今日からちょっといなくなるものですから、一点だけ電力問題をお伺いしておきたいと思うのです。私の持っておるのは、ことしの八月八日の西日本新聞でありますが、自民党の特別委員会で電力の再々編成の問題が検討をされたという大きな見出しの記事が出ておる。それで、早急に具体案を出すという、これも見出しでございます。その中身を読みますと、小出公益事業局長がいろいろな理由をあげれまして、この際電力の再々編成がぜひとも必要であるという旨の説明をなされておる。電力問題については、通常国会に入りましてから、本格的に私も質問をいたしたいと思うのでありますが、いろいろと、原子力発電問題をめぐり、また先般来の東北、北陸の電気料金の値上げ問題をめぐり、またその間電力需給の地方による非常なアンバランスな問題があり、いろいろと問題になっておる折柄でございますので、この点についての政府のお考えを端的に一言だけ伺っておきたい。
  36. 小笠公韶

    小笠政府委員 電力の再編成と申しますか、そういうものにつきましては、結論から申しますと、政府側として再編成をするとかどうとかいう考え方を、まだ固めておりません。ただ、御指摘のように、八月ごろ自由民主党の重要産業特別委員会におきまして、電力事情の調査をいたしておったので、その調査の際におきまして、現在の九ブロックの電力会社というものが、各会社に格差がだんだん広くついて、また従って電気料金の地域差の問題も相当ふえてきたというような状況で、いわゆる電力の供給地域が適正でない、こういうふうな結論になりまして、何らかいわゆる広域供給圏を持つような形が望ましいというような大体の考え方になったと承知いたしておるのでございます。私どもといたしましては、電力の再々編成問題は、非常に重要問題でありますので、現在の体制において、どういうところが工合が悪いか、その工合の悪いのをどういうふうな形で持っていくことが適当かということで、内々検討は進めておる状況でございます。ただいまのところ、それ以上進んでおるというわけではありません。
  37. 八木昇

    八木(昇)委員 終ります。     ―――――――――――――
  38. 福田篤泰

    福田委員長 加藤清二君。
  39. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はこの際、緊急事態の発生にかんがみまして、当局の監督及び責任の所在等を明らかにし、もって都民の心配を払拭するために、次のような質問を試みたいと思うわけでございます。  昨晩の夕刊によりますと、一斉に各紙がこぞって、都内でガス中毒のおかげでとうとい人命を七名も葬り去った、こういうことが報ぜられております。まことに遺憾きわまりないことでございますが、監督官庁である公益事業局としては、こういう問題について、どの程度調査をなさっていらっしゃいますか。まずその点から承わりたいと存じます。
  40. 小出榮一

    ○小出説明員 昨日のガス中毒に関する事件の発生につきましては、まことに前例のない非常に大きな事故でございまして、私どもといたしましても、非常に驚きまして、さっそく関係会社等を督励いたしまして、まず実態の究明に当ったわけでございますが、ただいままでに判明いたしておりまするのは、後ほど会社の責任者も参るかと思いますが、現場はまだ警察関係その他の注意もございまして現場を掘り起していろいろな管の配置状況を見るというところまでやっておりませんが、事故が起りました伊藤さんのお宅は、本管のところから家屋の方に二本の導管が入っておりますが、その中間に、戦争中使っておりまして、それがその後不使用管になっております管が一本あったことが判明したのであります。それが室内に――地下に戦争中作られました防空壕がございまして、その防空壕が現在地下室を兼ねておるのでございますが、そこのところに、その現在使用されていない不使用管の出品が、元の防空壕のところに出ておったのであります。そこからガスが絶えず漏れた形跡がありまして、それが室内に充満して、こういうようなまことに大きな事故を引き起したのでございます。従って、その地下に十一人ばかりの方が休んでおられたそうでありますが、これらの方は被害がなくて、つまり、ガスが上に上りました関係上、一階以上におられた方が死亡された、こういうようなことであります。  そこで、今回のような形態のガス中毒の発生というものは、おそらく前例がないのでございますが、しかし、御承知のように、昨年末から今年にかけまして、東京都を初め大都市において、ガス中毒が非常に発生したことがございます。そこで、その際におきましても、関係方面においては、非常にこの問題の重要性を認識いたしまして、通産省におきましては、もちろん監督官庁といたしまして、ガス事業者に対しまして、事故防止についての厳重な周知徹底の警告を発したのであります。東京瓦斯におきましては、ことしの一月二十八日から二月十五日にかけまして、管内の全需要家の巡回を一応やりました。その後も引き続き中毒事故がございましたので、さらに事故防止につきまして、あらゆる角度から検討して、有効な防止策をとるということのため、瓦斯協会に、ガス中毒事故防止対策委員会というものを設けまして、その機関を中心として、業界の自主的活動によりまして、対策の検討と実施を推進する、かようなことをいたしたのであります。不幸にして、今回の事件は、実は加藤先生も御承知通り、十一月の初めからガス使用安全強調週間を始めたばかりのときに、こういう事故が発生いたしまして、まことに遺憾でございます。それで、少くとも今回の事故につきましては、原因の事実の糾明に、まず重点を置きまして、その結果、もし事業者の方に手落ちがあるということになりますれば、これにつきましては厳重な措置をいたしたい、かように考えております。
  41. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本委員会といたしましては、このガス事業の振興のために、折も折、昨日と今日にかけて、振興促進のために決議をしたやさきでございます。その上、なお、ただいま局長の言われましたように、ガス安全使用を強調するための週間が設けられている。これは御承知通り秋から冬にかけて、ガス使用が必然的に多くなる。安心して、都民を初め日本国民にガスを使ってもらいたい、こういう意図にほかならないわけです。しかも、そのやさきに、その趣旨とは全く相反するこういう事態が出来したということについては、当局の責任や、あるいはガス会社の責任はもちろんでございまするけれども、私が最も遺憾とするところは、都民が、このために、ガス使用というものに疑心暗鬼となりまして、せっかくの本委員会における決議もこれは水泡に帰するのじゃないか。そこで、ここに原因を糾明して、広くこの事件について注目をしておられる日本国民に、ガスを安心して使用できるような措置を、この際はっきりと打ち立てることが必要である、かように考えますればこそ、質問するのでございます。従って、質問しないことは答えてもらわぬでもいいですから、一つ一つ順序を追うて聞きます。  あなたは、ただいま、ガスの安全使用について、過去に相当努力もしたとおっしゃっておられますが、ガスによるところの中毒は、年々歳々えふる一方でございます。自分の意思によって、ガスを使用して死んでいくというケースもございますけれども、自分の意思にあらずして、ガスのおかげで死んでいくというケースが年々歳々ふえている。一体この数字はどのように相なっておりまするか、この点をまず……。
  42. 小出榮一

    ○小出説明員 ガス中毒によります事故の実情でございますが、東京瓦斯の管内におきます昭和二十六年度から今年度までの最近六カ年間のガス器具による中毒事故の件数は、次のようになっております。昭和二十六年におきましては死亡者が十五人、二十七年に十六人、二十八年に十八人、二十九年が二十三人、三十年が十八人、三十一年が二十四人、非常に多くなりました。三十二年度におきましては、九月末までの件数――今回の事故は入っておりません――五十一件、死亡者が三十九名、こういう状況になっております。  この原因でございますが、大体一番多いのは、何らかの理由によりまして、ゴム管がはずれて漏れたというのが、約四割を占めております。それからその次には、器具のせんを締め忘れたというのが約二割、それから燃焼が不完全燃焼で、従って有毒なガスが出たというのが約一一%、その他部屋の換気が悪かったとか、あるいはゴム管に亀裂を生じておったとか、その他の事故によるものが他の割合を占めておる、こういうような状況でございまして、従って、今回の事故の原因は、まだはっきりわかりませんけれども、おそらく今回のようなケースに基く原因による事故というものは、従来には例がなかった、こういうことであります。
  43. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 例がないと言うて、責任のがれのことを言ってもらっちゃ困ります。ただいま局長の答弁にありましたごとく、自分の意思によらずして、ガス設備の不備から、ないしは、たまには本人の過失もありますけれども、ほとんど多くは設備の不完全からくるところの死亡が多いのであります。この数は、わが党の調査したところはよれば、人命を軽視した徳川時代の辻切り強盗、ためし切りよりも、はるかに数が多い。ある時代でさえも、辻切り強盗、ためし切りはいけないということで、巻きわらや、わら人形にかえて、ためし切りをするように、幕府からおふれが出たこともある。こういうケースが年々再々累加しているにもかかわりませず、通産当局としては、どういうものの間違いか、一向効果が上っていない。特に、このたびの事件については、あとから詳細に調査をしたいと思いますが、事と次第によっては過失致死罪が構成しないとも限らない。監督官庁としては、過去においてこういう事例がたくさん上っているのについて、今までどのような措置をとってこられましたか。本委員会としては、この件については、再三再四、今まで論議になった点でございます。一体当局としては、その論議をどのように尊重し、どのように実行に移されておりまするか。
  44. 小出榮一

    ○小出説明員 ただいま御指摘の通り、特に昨年末から今年にかけまして、非常にガス中毒事故が頻発いたしましたので、国会におきましても、もちろんこの問題が取り上げられました関係もございますけれども、通産省におきましては、監督官庁の責任におきまして、事故防止対策については、特に重点を置きましてやって参ったのでございます。その内容を申し上げますと、先ほど申しましたように、大体東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯、この三大ガス会社の関係に集中的に事故が発生しておりまして、その原因が、従来はゴム管のはずれとか、あるいはガスせんの締め忘れとか、あるいはガスぶろの不完全燃焼というのが、一番大きな部分を占めておりました。従いまして、地域的には、まずこの大手三社の区域内に重点を置きました。また防止対策の対象といたしましては、そういったところに重点を置くということにいたしたのでございます。そこで、具体的には、先ほども申しましたように、瓦斯協会の中に、事故防止特別委員会というものを設けまして、事故防止に関するいろいろの角度からの問題を検討いたさせたのであります。この委員会は三月に発足いたしまして、本委員会あるいは専門小委員会それぞれ設けまして、技術的にも検討いたしております。そこで取り上げられました問題は、まず第一に、ガスストーブのゴム管がはずれて中毒した場合というのが、一番多いのでございます。このゴム管のはずれに対する対策といたしまして、ストーブを持っております需要家のカードを作成いたしまして、これらの需要家に対するサービスの強化、あるいはストーブの器具に、ゴム管どめを無償でサービスするというような対策、まだガスぶろにつきましては、ガスぶろを持っております需要家に対しまする巡回サービスを増加するというようなことであります。それから、従来の原因の中には、使う方の側におけるガスの使用法、いろいろな新しい器具の使用法に関するPRの不足という点もありまして、これらの点につきましても、ある程度いろいろな方法によりましてPRをいたします。それから、ガス器具そのものに対する対策でございますが、これはガス事業者自体、ガス会社自体がガス器具を付帯事業として販売しておる例もございますが、そういう場合におきましては、ガス事業者は絶対にビニールのガス管を販売しないということをいたしまして。それからガスの出口のところに、二つ三つ出口があるといたしますれば、全然使わない口がある。そういう使わないホース・コックのところには、ゴムキャップを取りつけるというようなサービスをする。それから、従来使っておりますホース・コックには、さらにゴム管どめをそれに付設いたしまして漏れないようにする。それから、開閉する場合に詰め押えがないホース・コックがありますれば、そういうものは詰め押えのあるものにかえる。それからストーブ、ガス火ばち、あるいはすき焼用の器具というようなものにつきましては、ゴム管は歩いていて踏みますと消えやすいのでございますが、そういうものが消えないようなゴム管の使用を勧奨するとか、非常に長いゴム管は、あまり販売しないというようないろいろな対策を販売面においても、ガス器具についてとらせました。  さらに、その後に引き続きまして研究をいたしております問題は、まず第一に、においの問題でございます。この付臭、においというものについては、特に試験の結果、現在の供給ガスのにおいでもって、相当に通常の場合におきましてはわかるわけでございますけれども、これに対して、さらにかなりのにおいをつけるために、いろいろの技術がございますけれどもさらに輸入品を使用しなければならぬというようなこともございますので、それらのことにつきましては、付臭剤と申しますか、そういうものの研究をさらに今後続ける。それから一酸化炭素の含有量の問題が実はあるのでございまして、設備的にも、あるいは季節的にも、一酸化炭素の含有量というものは変動があるわけでございます。これは、もちろん、炭米等の先進国のガスの場合につきましても、やはり含有度のいろいろの変化がございますが、これについて、できるだけ一酸化炭素の含有量の減少をはかり、あるいはCOを、さらにほかの水素とか尿素というようなものに転化する措置をやるということも考えられますが、これにつきましては、相当コスト的にも金がかかりまして、結局、料金にはね返るという問題もございますので、それは今後の研究をさらに進めて参りたい。さらに、器具が自動的に開閉する装置もございます。しかし、これはまだ現在のところ、非常に高いものでございまして、アメリカ等にはございますがアメリカにおいても非常に高いと思います。そういうものをさらに安く供給できるようなことも、考案いたしております。  ただ、以上申し上げましたようないろいろの対策は、今回の事故が、まだ早々でございますが、戦争中の不使用管、戦争中に布設されまして使用していない……。
  45. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこはまだ聞いていない。質問だけに答えてもらえばいい。責任のがれの答弁はあとで聞きますから……。  時間の関係上、簡単に聞きますが、私のお尋ねしておるのは、要は過去に起きたガス中毒の事故を、よく調査の結果、それの責任が会社側にあった場合に、どのような措置をとっておられるかということを尋ねているわけです。その措置のとり方いかんが、今後における会社側態度に大きく影響し、その態度は、やがて事故を続発させる原因になっておるからでございます。私の聞きたいところだけを答えていただければけっこう。会社側努力を盛んにおっしゃいましたが、これは当該責任の会社である東京瓦斯が来られましたら、それに尋ねるとして、過去に、この原因こそは会社側に責任があったというケースが、ずいぶん多くあったと思います。その際に、どのような措置公益事業局としてはとっておられたか、この点もう一度。
  46. 小出榮一

    ○小出説明員 お答えいたします。従来の中毒の原因は、先ほど申し上げましたように、ガス事業側の不注意と申しまするか、手落ちによりまする原因というものが、実際におきましては比較的少なかったのでありまして、具体的には、導管の本管と支管との接触のところが非常に不十分でございまして、そこから漏れて中毒になったという例がございました。そういうものにつきましては、もちろんそのつど当該会社に対しまして、厳重に警告を発しまして、今後そういうことのないようにいたさせるように措置いたしております。さらに重大な会社側に手落ちがあります場合には、御承知のようにガス事業法第二十八条に、ガス工作物につきましては、一定の保安上の基準に適合しなければならないという規定がございます。その保安上の基準は、詳細に通産省令においてきめられておりますし、その省令に適合しない工作物があります場合には、これに対して修理、改造、あるいは移転を命ずるという措置もできるようになっております。従来の例におきましては、そのつど会社側に直ちに警告を発しまして、これらの改善なり、あるいは将来の事業の事故の防止のために措置をとらせる、こういうことをいたしております。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 加藤委員質問に関連して一、二お伺いいたしたいと思います。  今回のこの事故は、先ほど話が出ておるように、本人たちの何ら過失の伴わないところの事故であります。そうして、一夜のうちに平和な家庭が、長男一人を残して全部死んでしまった。これが何ら本人たちの過失でもなければ、意識もしていない、無意識のうちにこういう事故が起った。それが戦時中の不使用管が原因ではなかろうか、こういうことですが、そうするならば、この戦時中の不使用管といいますか、現在使用していないところのそういった管が、まだ都内に各所にあるのじゃないかと思いますが、そういう調査はできておるのか。もし、そういうところがはっきりしておるとするならば、今後またこれと同じような事故がいつ起るかもわからない。そうするならば、都民のいわゆるガス使用に対する信頼といいますか、安心感を与えるために、どういう対策が考えられているか。あるいはまた十分にわかっていないとするなら、今後どうしてこういったような不使用管が都内あるいはその他に幾らほど残っておるかということを調査するのに、どういうような調査方法考えておられるか、そういうような点についてお伺いいたします。
  48. 小出榮一

    ○小出説明員 先ほど申し上げましたのは、今回の事故以前の、従来の事故に関することを申し上げたのでありますが、今回の事故は、御指摘の通り、まだ詳細わかりませんけれども、おそらくは戦時中の不使用管が、そのまま放置されておって、そこから漏れた。ただ、絶えず漏れておるといたしますれば、平素からわかっておるはずだというふうにも考えられますけれども、それが何かの原因で、急激に突如として非常に多量に漏れてきたということではないかと思われます。しかし、いずれにいたしましても、戦時中の不使用管が相当に残っておるということは、これは事実であると思います。そこで、会社側におきましては、もちろん戦前から継続しておりまする会社でございますので、戦前からの台帳というのも、相当整備されておるはずでございますが、ただ会社側自体の資料も、戦争等によりまして、各営業所ごとの資料が焼失しておるという面もあろうと思います。今後は、至急そういった不使用管の存在につきまして、もちろん会社自身も、その対策を考えておると思いますけれども、会社を督励いたしまして、詳細に調査をいたさせまして、そして同様の事故が今後発生しないように、危険なものにつきましては、次々に措置をさせる、かように考えております。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの御答弁によると、戦時中の不使用管がまだ相当残っておる。こういうことは前からわかっておったような御答弁ですが、わかっておるならば、そういう不使用管から、こういったような事故が絶対発生しないということを確信を持っておられたのか。持っておられたとしても、現実にこれが起っておれば、その確信が間違っていたということになりますが、わかっておったならば、今までなぜこのことについて適当な措置をしなかったか。
  50. 小出榮一

    ○小出説明員 戦時中の不使用管が、戦後におきまして相当残っておったということは、もちろん、これは戦後直ちに想像できたことでありますし、わかっておったことであります。従いまして、ガス会社といたしましては、戦後、漸次手の及びまする限りにおきまして、できるだけその不使用管の調査をしては、それに対して、危険なところはもちろん次々に措置をして参ったのであります。従いまして、今回の事故発生の問題につきましては、不使用管がそういう状態になっておったということを知らなかったということは、事実でございます。その点につきましては、まだ調査が十分でなかったということは認めざるを得ませんが、わかりまする範囲におきましては、もちろん調査はいたさせまして、次々に措置するということはやって参りました。ただ、大体、相当に危険なところは片づいておったと実は思っておったのが、まだ残っておった、こういうことが実態だろうと思います。     ―――――――――――――
  51. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 議事進行。問題が会社企業努力に及んでいるようでございます。幸い会社の方から責任者の方がここへいらしっていらっしゃるようでございますので、ぜひ一つこの方々を参考人としてお選びいただきますよう、委員長にお取り計らい方をお願いいたします。
  52. 福田篤泰

    福田委員長 承知いたしました。  この際お諮りいたします。ガス使用管理及び不使用ガス管の整備調査に関する問題につきまして、参考人東京瓦斯株式会社社長本田弘敏君より、意見を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本田参考人の発言を求めます。
  54. 本田弘敏

    ○本田参考人 本田でございます。ちょっと流感ぎみでございますので、マスクのままお答えいたすことをお許し願いたいと思います。  まずもちまして、今回の事故によりましてとうとい数多くの人命を失いましたこと、私、ほんとうに心から申しわけなく思っております。これは国民全部の皆様方に対して、深甚のおわびの意を表します。  先ほどから伺っておりますと、今回の事故につきまして、東京瓦斯は何をしていたかというようなことが、御質問の要旨のように思います。また、今後どうするかということについても、自然言及しなくてはならぬと思いますが、ガスの漏洩ということは、会社にとりましては、これは危険この上もないことでありますと同時に、また、これは国家的に申しましても、ほんとうにもったいないことでございますので、われわれとしては、終戦直後から、この漏洩防止ということについては、できるだけの努力をして参ったつもりでございます。  その経過を一応簡単に申し上げますと、ちょうど終戦直後、空襲のためにガス漏洩が非常に多うございまして、昭和二十一年の二月には、漏洩の率が五四・八%もございました。これは、当時黒ダイヤと言われました貴重な石炭を使って、半分以上のガスの漏洩ということでは、国家的にも大へん申しわけないことでありますし、会社経営上も、とんだことになるということで、たまたま、そのころ労働組合の方から待遇改善の要求もありましたし、それでは一つ総動員でこの漏洩防止をやって、それによって浮くものを待遇改善の方に回そうじゃないかということで、三月の二十二日から、本社も営業所も工場も、あげてそのガスの漏洩防止の運動に参加したのであります。御承知通り、当時は、東京都の大半が焼け野原でございまして、ガスも、そのころ石炭が少いものでありますから、五時半から七時くらいまで、一時間半ぐらいしか出ていないのであります。われわれは総動員をもって、非常に原始的なやり方でありますが、その焼け野原を、においをかいで回って、そこへしるしをつけて、昼間になってそれを直したものでございます。いわゆる栄養失調時代で、これは並み大ていのことではありませんでした。しかし、人の一心といいますか、みんなの協力を得まして、ちょうど三月の二十二日から七月二十九日まで百三十日の間に、延べ人員五万四千人の労力によりまして、七月には漏洩率が二五%下りまして二十九・八%になりました。同時に十一万四千三百五十本のむだな引き込み管を整理し、これを全部本管から取りはずして回収を施行しました。  しかし、これではまだ十分でございませんので、これを根本的にやらなくちゃいかぬ。ということは、結局焼け野原の本管を、布掘りと申しまして、ほとんど洗いざらいに掘りまして、それから出ている無用の引き込み管を整理する。これは昭和二十二年の八月一日に、営業部に漏洩対策本部というものを設置しまして、焼け跡、疎開跡の本、枝管の整理をやりました。それがちょうど二年かかりまして、昭和二十四年の八月一日に漏洩対策本部が解消した次第であります。  そのときやりました具体的な数字を申しますと、実施しました延長が百四十一万九千メートル、整理しました供給管が八万二千二百個、修理しました延長が三十八万七千メートル、掘さくしました面積が八十二万九千四百平方メートル、整理したブランチ・パイプが一万三千二百個、ゆるみましたプラグを締め直したものが七万個、供給管の入れかえが一万五千メートル、これに参加しました人員は延べ十六万七千人を数えております。  私ども、どうしてそういう布掘りなどという、手数と金のかかることをやりましたかというと、結局、一本でも残っていることは、禍根を残すことであるから、金や時間はかかっても、スロー・バット・ステディでどうしてもやらなくちゃいかぬということで、他のガス会社に先がけてこれをやったわけであります。その後も引き続きまして漏洩防止ということは、何か漏れの修理がありますと、伝票の端を赤で染めておりまして、ほかのものはうっちゃってもやるくらいにいたしております。  それから、昨年来、今年の春にかけまして、皆さん御承知のように中毒事故がございまして、これに対しまして、二月から急遽総動員して一巡いたしましたが、それでも追っつきませんので、この五月の十一日から十月の十五日まで、約五カ月をかけまして、ここに参っております安西副社長委員長となって、需要家を全部巡回しまして、要するにお客さんの不注意のものが中毒のもとになっておりますので、そういうことがないように、できるだけの御注意を申し上げ、その他テレビ、ラジオ、あらゆる機関を動員して、この冬は、もうほんとうにガスの漏洩が少くなり、中毒がなくなるようにと思って、そこに希望をつなぎ、さらに引き続いて現在も瓦斯協会といたしまして、全国的にガスの安全使用強調を推進しているわけであります。そのやさきに、こういう事故があったということは、ほんとうに神様から見放されたのかと思って、ほんとうに打ちのめされたような気持になっております。  自分の品から申し上げるのはなんですけれども、私は、これほどよその何よりほんとうに力を尽してやっているにもかかわらず、こういう事故が起きる、やはりわれわれの努力のどこかに至らないところがあるのか。実は私は毎朝神様にお祈りして、ガスの中毒事故その他の事故がないように、私はそれをひたすら神様にお願いしております。それにもかかわらずこういう事故があったというので、きのう、ほんとうに何というのですか、一度は打ちのめされたような情ない気持になりました。しかし、これではいかぬ、とにかく申しわけないことをしたのだから、ほんとうに今後絶対にこういうことのないようにしたいというふうに考えております。  この事故の起りました不使用管というのは、私どもが万全を尽す意味で布掘りをしましたその布掘りのうちで、大ぜいのやることで、たまたまその整理の漏れ、あるいはその当時整理しようとしても、道路に家のこわれた塵芥というようなものが山ほど積んであって、そこの整理ができなかった。それがとれたあとでやろうと思っておったのが、たまたまそのとれたあとにやらなかった。そういう真相は究明されておりませんけれども、その辺の工事をやったのは社外組の郡司組がやったということまでは、ちゃんと突き詰めております。いずれにしましても、そういう禍根を一掃しまして、少しでも早く、都民の皆様、国民一般の方々に安心してガスを使っていただくようにということは、私ども本来の使命であるし、どうしても早く皆様に御安心いただけるようにと考えて、実は昨日以来、対策本部をこしらえまして、その案を練っているわけでございます。  衷情かくのごとくでございまして、全くこういう事故を起しまして、とうとい人命を数多くなくしましたことにつきましては、幾らおわびしても、おわびし足りない。またその御供養の意味からいっても、私は会社として万全の策をして、そういうことが絶対にないように、そうして皆様方が安心してガスを使えるようにしたいと思います。  これをもって私の陣述を終ります。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 本田参考人にお尋ねします。今、参考人は、過去において、漏洩対策本部等を設けて、この種の事故のないように相当御苦労なさった、こういうお話でございます。しかし、今回、現実にこういう問題が起きたわけですが、すでに不使用管というようなものは全部撤去した、こういう確信を持っておられて、もうほかには、都内にはそんなものは一本もない、このような考え方でおったのか、まだほかにも残っているような心配があるのか、この点を一つお伺いいたします。  なお、今回事故が起りました港区芝西久保広町ですか、あの付近に、そういうような不使用管が残っているというような見通しというか、そういうようなことはなかったかを伺います。
  56. 本田弘敏

    ○本田参考人 御質問、ごもっともでございます。私どもとしましては、先ほど申し上げました通り、焼け跡の本管、メーン・パイプ、ブランチ・パイプ、全部布掘りをいたしました。だから、われわれとしましては、そういう不整理済みの供給管が残っているとは全然考えておりませんし、それから西久保広町ですか、今回の惨害の起きましたところにおきまして、そういう不使用管があるというようなことは、もちろん全然考えておりませんでした。そういうものがあれば、当然早く処理いたしております。知っていてそのままにしておくということは、絶対にございません。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 その地区にそういうものが残っておるとは、全然考えておらなかった、こういうことですね。しかし、実際残っておったからこそ、こういう事故が起ったわけですが、それはどういうところに原因があったのですか。
  58. 本田弘敏

    ○本田参考人 これは多数の、日ごろ使っております社外組を動員しまして応援に参加させまして、たまたま郡司組というものがその仕事をやったということに記録に残っております。郡司組なるものが布掘りをやっておるうちに、たまたま一件残したものか、または終戦直後でございますから、家のこわれたものや何かが、道路のわきにうんと積んであるのです。それを片づけなければそこを掘れないような実情が、しばしばありました。そういうものが、うずたかくそこにあって仕事ができなくて、それが片づいてから取ろうと思って、それを掘りそこなったかもしれないが、それはまだはっきりいたしません。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまのお話ですと、結局大ぜいの人にやらせた、社外組も動員してやった、だから、たまたま見落しがあったかもしれない、こういうことですが、そうすると、今まで全地区にわたっておやりになっても、会社から見れば、全然そんなものはないと確信を持っておられるが、工事現場の大ぜいの人のことであるから、忘れておったというような地区があったのかもしれないと思うのですが、現実にこういう中毒が起きると、何だか自分の床下に時限爆弾でもあるような気持で、いつ爆発するかわからない。うかうかすると一夜のうちに一家が全部死んでしまう、こういうことで、都民は一つでもこういう事故が起れば安心できない。しかし、絶対間違いないと思っておったが、起きた。それは多くの人たちがやっておったので、たまたまそういうところがあったのだろう、こういうこともいえると思いますが、いかがですか。
  60. 本田弘敏

    ○本田参考人 御質問、ごもっともだと思います。私どもとしては、万全を期してやったのでありますから、昨日のような事故が起るとは、ほんとうに夢にも思っておりませんでした。私は、大正の大震災の前から会社に入っておりますが、大正の大震災のあと、焼け野原になって、いわゆる不整理の引っ込み管のために、大なり小なり事故が起きたことがしばしばございます。そういう体験を持っておりますだけに、今度の戦争のあとにつきましては、ほんとうに万全を尽したつもりでございます。それが、たまたま昨日のような事故がありますと、仰せのように、あるいはまだほかにもあるのではないかというようなことは、当然考えられますし、また都民の皆さんがそういう不安を抱かれるということも、これまたごもっともだと思います。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、この問題について、緊急対策の委員会をこしらえまして、パイプ・ロケーターあるいはその他のいわゆる新技術、あるいは新しい知識をできるだけ採用いたしましてできるだけ早い間に、しかも緻密な行き届いた調査をし、その手当をやりたい、こういうふうに考えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、今では、会社の方としては、もう都内のどこにもそんなものは一本も残っていないと思っておる。しかし、工事の都合で、たまたま残っておるところもあったかもしれないから、なお今後対策本部を作って調査していく、こういうことですか。
  62. 本田弘敏

    ○本田参考人 そうです。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、都民なり、ガスの需要者が安心できるかどうか、こういうことになるのです。きょうのあなたのここにおける発言は、相当都民の方の信頼というものに関係があると思うのです。こういう事故が再び起らないように、はっきりと阻止するという確信を持っておられるのか、もう一ぺん、はっきりここで御答弁願いたいと思います。
  64. 本田弘敏

    ○本田参考人 万全を尽しまして、こういう事故の絶無を、できるだけ早い間に対策を立てて取り計らいます。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど局長の御答弁によると、昭和二十六年以降本年までの、ガス中毒でなくなった人数をずっと聞いたわけです。二十六年以降見てみますと、若干のでこぼこはあると思いますが、だんだんと死亡者がふえておる。これにはいろいろと原因はあったと思います。今年に入ってから、今回の事故等を除いて、九月までに五十一件、なくなった人が三十九名と局長は言っておられた。きょうの朝日新聞の天声人語には、本年に入ってから、すでに三百人の中毒者が出て、うち五十五名が死亡しているとある。これは東京瓦斯以外のガス関係も入っておるので、件数が違うのだと思いますが、いずれにいたしましても、だんだんとこういう人がふえておるということに対して、もちろん、過去において、本人の過失なりいろいろな点もあったと思いますが、会社当局として、どのような御施策を具体的にとられたか、一つ伺います。
  66. 本田弘敏

    ○本田参考人 お話のように、ガスの中毒事故は、需要家のふえるにつれて漸増しております。ことに、ガス・ストーブを使われるガスのピーク時、ことしの正月、二月あたりは、毎日のようにそういう事故が起きまして、私どもまことに申しわけなく思っております。ただ、今までの事故の大部分は、お客様の不注意あるいは知識が足りないということが多くありまして、器具が悪いとか、ガス会社の工事の疎漏によるものによっての事故は、数パーセントにすぎないような状態でありました。しかし、われわれガス事業者といたしましては、事情がいかがであろうとも、とにかくガスで中毒をされ死亡をされるというようなことは、とてもたまらないわけでありますので、一番寒い時期に総動員をやりまして、二月だったと思いますが、雪の日に私も回りました。それが済んでやれやれと思っても、やはり数が減らない。一時減ったと思ったら、また出てくるので、根本的にお客さんの認識を変えていただだくよりほにないというようなことで、五月十五日から十月十五日まで五カ月間にわたりまして、延べ人員三万九千百人を出動させまして、巡回をいたしました件数が百十七万九千七百九十九件、京浜地区、地方の支社合せて、事故を受け付けた件数が二十八万四百七十一件、そのうち、ガス漏れの修理件数と申しますか、即座に修理いたしました件数が五万二千百七十三件、器具その他の工合が悪くて修理しましたのが二十二万八千二百九十八、ガスせんの取りかえたものが三万八千五百九十六個、安全バンドを取りつけました数が七万九千四百七十九個、ゴム・キャップこれは夏場でストーブや何か使わないで、口のところにキャップをはめましたのが六十一万二千六百九十六件、それからビニール管を使用されて、これを会社あたりでゴム管に取りかえ願うようにお話したのが四万三千三百五十七件、大体そういうようなものでありまして、このうち、ガスせんを取りかえましたもの、あるいは安全バンドを取りつけましたもの、ゴム・キャップ、これはみな会社としてのサービスでいたしました。それくらいに注意いたしまして、この十月の十五日まででお客様を一巡いたしましたから、そのあと引き続き特殊器具、つまりガス・ストーブあるいは湯沸かし、ふろ、そういうものについての特別巡回をいたしまして、その使用上の注意を喚起して、間違いのないようにいたしました。そういう工合に手を打っております。それだけに、私はこの冬のピーク時に際しましても、今度は去年よりもガスの中毒事故はもっと減るな、それをほんとうに心から期待していたやさきに、昨日のようなことがありましたので、私は一時ぼう然自失して、ほんとうに打ちのめされたような気持になって、どうしたらいいかというように、ぼんやりいたすくらいのことでございました。打つべき手は、私どもとしては、万全とまでは申し上げられなくても、できるだけのことは、今までやってきたつもりでございます。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 いずれにいたしましても、ガス使用安全強調月間中にこういう事故が起きたということは、はなはだ遺憾だと思うのです。そこで、今日、このガス中毒というのは、いわゆる一酸化炭素中毒ですか、それで一般家庭の使用しておるガスの量からいって、すでに一酸化炭素が致死量をこえる量が、どこの家庭でも入っていく、また使われておるわけであります。言いかえるならば、命をとる毒素と同居しておる、こういうことも言えると思う。そこで、結局、局長からも、若干これに関する御答弁がありましたが、今日のガスは、ある種のにおいはありますが、無色である。こういうところから、漏れておっても気がつかない場合があるのではないか、こう思われるわけです。先ほどから、二十六年以降の死亡者の話も出ましたが、いずれにしても、過失だとかりにいたしましても、やはり自分の意思に基かない死亡だということになる。かりに、せんを締めるのがゆるかったとかなんとかいうような場合でも、直ちに気がつくような方法、たとえば、何らか特殊な色をつけるとか――においは若干ありますが、もっと早く気がつくというような方法を、会社当局として、こういうような事故にかんがみまして――たといこういった不時のことが起きたとしても、あるいは自己の過失から漏れたにしても、気がついたときには、もう命を奪われるようなところにきておった。今回の事故でも、何か気がついて、二女か三女か女の子が、逃げ出そうとしたのだろうと思いますが、階段の途中で倒れておった、こういう報道が新聞に出ておりますが、少くとも気がついたときには、逃げ出そうとしても命がとられるというところまでいっておるという状況である。だから、そういうことになる以前に気がつくような、においとか色とか、何かそういうことは考えられませんか。
  68. 本田弘敏

    ○本田参考人 仰せ、ごもっともでございます。石炭ガスの成分に、一酸化炭素が多いということは、燃焼率をよくするということには、非常に役立つのでございます。現在、それを少くしてやるということは、採算上の問題もありますし、結局ガス料金の値上げとか、石炭の量が多くなって間に合わないとか、そういう相当研究すべき材料といいますか、部分があるので、これは会社といたしましても、十分研究いたしております。  それから、においをつけるという問題ですが、これは新しくガスを引きました場合に、ガスの漏洩を調べるときに、ときどきやっております。これまたなかなか費用がかかるのでありまして、これは今、日本であまりいいものができませんで、アメリカあたりのものを輸入して使いますと、相当費用がかかる。これを全般的にやるとなりますと、これは先ほど申しました料金問題にも波及するというようなおそれがある。結局、大局的に見まして、一部のの方々の不注意といいますか、ちょっと手抜かりのために、全部の需要家の方に料金を高くするとかなんとかいうことも、相当私は研究しなければならぬ問題じゃないかと考えるわけです。なろうことなら、私どもPRによりまして、お客様、需要家全部が御注意下されば、それに越したことはないのでありまして、その他のことも、今御指示のありましたことは、簡単にさようできるという見通しは、今のところ持っておりません。ただ、研究だけは続けて、もしこれで採算が合うとかいうような見通しがつけば、もちろんこれは進んで会社自体がやらなくちゃならぬことだ、そういうように考えております。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 ガスの料金等も、それは問題だと思います。そこで、そういった事故が早く発見できるような研究を進めていただいて、都民使用者に安心感を与えるような方法を、企業家として努力していただきたいと思います。  あとで加藤委員からの御質問があるようですから、私これで終りたいと思いますが、本田参考人と局長とにお伺いいたします。  先ほど局長は、もし今回の事故がガス会社の責任であるということが、調査の結果はっきりすれば、厳重に処置したい、こういうように申されましたが、もし結果がそうであったとしたら、局長はどういう処置を考えておられるか、あるいはまた会社のいわゆる責任による事故であるということであるなら、会社はどういうことを考えておられるか。  それから、先ほど局長は、ガス事業法では、安全基準ですか、保全基準というものがあって監督している、こういうことだったのですが、それでは、たとえば、今回の事故のような場合、これはガス事業法による保全基準からいって、どういうことになるのか。  それから、もう一つ局長にお伺いいたしますが、先ほどもちょっとこれらのことに類する御答弁があったようですが、ガス供給業者、いわゆるガス会社に対するこういう事故を防止するための監督の方法及びガス器具の欠陥から起きる事故もあると思いますので、ガス器具に対する監督、検査、そういうことについて、具体的にどのようなことを考えておられるか。これをあわせてお伺いしまして、私の質問を終ります。
  70. 小出榮一

    ○小出説明員 今回の事故の原因が、もし詳細調査の結果、不使用管の調査調査漏れであって、従ってそのために事故を発生したということが明らかになりました場合には、先ほど社長も言われましたように、もちろんガス事業者としても、われわれとしても、そういうことはなかったと思っておったのに、そういう漏れがあったということでございますので、従って、こういうことから判断すれば、ほかにもまだあるかもしれないということが、当然想像されるわけでありますので、まず第一に、そういう不使用管の残存しておるものがありはしないかということについて、徹底的に会社供給地域内において再調査をするということを命じたいと思います。  それから、保安の責任の問題につきましては、先ほど指摘しましたように、ガス事業法の第二十八条におきまして、ガス工作物の維持につきましては、通商産業省令では、施行規則第十九条に詳細規定をしておりまして、これはその保安上の基準が出ておりますが、その基準に適合するように工作物を維持しなければならないという規定がございます。従って、この保安基準に合致していないということが認められました場合におきましては、その第二項におきまして、ガス事業者に対し保安基準に適合するように、必要があればガス工作物を修理し、あるいは改造し、場所を移転するということを命ずることができるようになっております。それから、ガスの成分の、先ほど申しました一酸化炭素等によりまして、人体に危害を及ぼしたり、あるいは物件に損害を与えるおそれがあるというような量、これはやはり政令で、その数量がきめられておりまして、その数量を越えていないかどうかを、ガス事業者自身が検査し、その量を記録しておかなければならないというガスの成分の検査義務が、ガス事業者に課せられております。これは法律の第二十九条に、その規定があるわけであります。従いまして、これらの義務に違反をしておるという事実がありますれば、その法律の規定に基きまして、それぞれの行政命令なりあるいは罰則を適用するという場合があろうかと考えております。
  71. 本田弘敏

    ○本田参考人 法の命ずるところに従って、いかなる処罰も私は喜んでお受けします。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど局長の御答弁によると、厳重に処置する、こう聞いたのですが、もちろん通産省公益事業局長とすれば、監督上の処置だと思うのです。今また本田参考人から、法の命ずるところに従って、いかなる処置でも、受けますということです。きょうは法務関係が見えていない。これは法務関係の人に聞くのがほんとうだと思うのですが、民事上の問題もあるだろうし、刑事上の問題もあると思う。これが、あくまでも過失によるものであるということならば、過失傷害致死というようなことも考えられると思うのです。いかがでしょうか。これは通産省に聞くのは無理でしょうか。
  73. 小出榮一

    ○小出説明員 事故の内容がはっきりしませんと、何とも申し上げられませんけれども、刑事上の責任の問題につきましては、通産省の責任は、行政上の問題でございますので、私から答弁するは、いかがかと思いますから差し控えます。
  74. 松平忠久

    松平委員 私は、関連しまして二つばかりお伺いしたいのです。さっき、五月以降、いろいろな器具その他の部分品等について、詳細に検査をした、こういうお話があったのです。しかも、取りかえたものもかなりあったようであります。数をはっきり記憶しておりませんが、いろいろなゴム管もしくはその他の器具について、かなり取りかえたものがあるというお話であったわけであります。わずか五月から九月までの間の一斉調査によって、相当多数のものを取りかえなければならない、こういうようなことがあったとするならば、これは将来にわたっても、常時一斉検査を行わないと、なかなか偶然な発生事故は絶えないのじゃないか、こういう印象を今の御説明から私は受けたわけでありますが、ガス器具というものは、一体どの程度の耐久力があるのか。どの程度使用した場合に、必ず一斉検査をするというようなことをお考えになっているのか。これは、今の御説明によると、相当重大な問題のように伺ったわけでありますが、将来の問題として、その点、一つお示しを願いたいと思います。
  75. 本田弘敏

    ○本田参考人 御質問、ごもっともだと思います。従前は、巡回修理と申しまして、三カ月に一度あるいは半年に一度ぐらい各需要家を、事故のあるなしにかかわらず巡回をいたしまして、器具に異常ないか、使用上差しつかえないかどうかを調べた時代も、戦前ございました。また特別修理と申しまして、特殊器具、つまり湯沸かし、ふろ、ストーブ、そういうボイラーとか大きな特別の器具については、特別修理班を組織して年に二回やっておりました。ただ、終戦後、急激に需要がふえて参りまして、従業員の数を、それに比してそうふやすというわけに参らないこともございまして、巡回が従来ほど行き届いていなかったということは、ある程度認めます。こういう事故があってみれば、巡回いたしまして、一度そういう器具を直しますれば、あとはそうたびたび回る必要がないことでございますが、もちろん今後も引き続いて巡回制度を採用していきたいと思います。  器具の耐用年数につきましては、これはいろいろ器具の種類によって違うのでありまして、大体早くて三、四年、長いのは十年くらい平気で使えるというような現状であります。ただお客さんの手入れが悪うございますと、たとえば、七輪みたいなものでも、煮こぼれがそのままかかって穴をふさぐと、結局不燃焼を起すということもあるのですが、それをちょっと金のブラシでやっていただくと、持ちがいいし、不燃焼を起さない。そういう需要家の不手入れのところを、私ども従業員を巡回させて掃除してあげるということも、巡回修理の一つの仕事になっておるわけです。こういう事故が起きて参りますと、あらゆる点に万全を尽さなければならぬということは、われわれの当然の使命でございますから、なお一そう十分注意いたしまして、こういう事故を繰り返さないように、あらゆる面におきまして努めたいと思います。
  76. 松平忠久

    松平委員 もう一点お伺いしたいのは、今回の古い管のために起きた事故について、対策委員会を設けて、さらに細密な、しかも早急な対策を講ずる、こういうお話であったわけでありますが、これは具体的にいいますと、やはり一斉検査か何かで、そういう古い管のありそうなところを調べるというようなことをされるのか。あるいは聞くところによると、何か古い管のいかっておる地図のようなものがあって、それが一部焼けておるとかなんとか、こういうようなことで、どこへいかっておるかわからぬ、こういうような新聞記事を見たのでありますが、今後の防止策、つまり不使用管を発見して措置をするということは、具体的にどういうことを対策委員会としてお考えであるのか、この点を承わっておきたいと思います。
  77. 本田弘敏

    ○本田参考人 これは、具体的にこうやるというはっきりしたものは、まだ立っておりませんが、ただいままで考えておりますことは、要するに、先ほど申し上げました布掘りしました焼け野原の地図は残っております。これを基準にいたしまして、その当時の関係者が、まだ会社におりますから、そういうものを営業所ごとにチェックしまして、不安に思われるようなところを、まずパイプ・ロケーター、管があれば電気で動く調べがございます。とりあえずそれからやりまして、一番危ないと思われそうなところを先に調べまして、それから範囲をだんだん拡大しまして、危険とおぼしきところを全部やる。私は、先ほども申し上げましたように、そう不使用管は現存してないと信じておりますが、なお、とりあえずやりました調査で、どういう結果が出ますかによって、こっちのやり方もさらに力を入れなければならぬかとも考えております。
  78. 福田篤泰

  79. 小平久雄

    小平(久)委員 私は、簡単に二、三の点についてこの際お尋ねをいたしておきたい。その前に、今回の事故が起きまして、被害を受けられた方々に対して、心から御同情を申し上げることはもとよりのこと、会社当局におかれても、常々非常な努力を払っておられるにもかかわらず、このような事故が起きた。ましてや、さっきから切々たる御感想の御発表を受けたのでありまして、これまた御同情を申し上げるのにやぶさかでないのであります。ただ何と申しましても、数名の人命が失われた。この事実の前には、都民の大多数の者が非常な不安に脅えておると思う。  そこで、若干お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、先ほど来の本田社長さんの御陣述によりますと、また新聞紙などからすると、いわゆる不使用管なるものは、大体もう存在しないのじゃないかというお話でありますが、今朝の毎日新聞、これにも「惨事はまだ出る?」という大きな見出しが出ておりまして、そこに不使用管の関係の記事が載っております。この記事によると、東京ガスの調べによると、昭和十七年には百十六万四千本の供給管があった。ところが、戦争が終った二十年には、わずか三十六万九千本に減ってしまった。こうしますと差引七十八万五千本からが、いわゆる不使用管に当時なったのじゃないか、われわれしろうとには、そういうふうに見られるわけです。ところが、その後御調査をなされ、これが撤去をされた。その撤去は、二十二年までに十一万四千本を撤去した、こういう記事になっております。従って、戦後に不使用になった七十八万五千本から、さらに二十二年までに撤去した十一万四千本というものを引くと、六十七万一千本の不使用管がさらに残っておるのじゃないか。この記事からすると、われわれしろうとには、そういう不安が感じられるわけです。先ほど来のお話によると、会社としては、もうほとんどないと思っておるというような御陳述ですが、この私どもの計算が、しろうとで間違っておるかもしれませんし、さらに二十二年以後撤去したものも相当あるかとも思うのですが、私のこういう計算は間違っておるのかどうか。どういうことになっておるか。おそらくこの記事も、会社から出た資料によって記者の諸君が書いたのだと思うのですが、会社の数字ではどういうことになっておるのか、そこを伺いたい。
  80. 本田弘敏

    ○本田参考人 お答え申し上げます。お話のように、二十二年以後撤去した不使用管も相当あるわけでございますし、また一本の引き込み管から、三つも四つも撤去するときもありますし、そういうことで、毎日新聞の記事がどこまで正鵠を得ておるかどうかというようなことは、まだ会社で再調査しなければ、それが正確な数字とは申し上げかねると思いますが、われわれの見るところでは、不使用管というものはかりに少しぐらい漏れがあっても、そういうふうな大きな数字にはならないというふうに考えております。
  81. 小平久雄

    小平(久)委員 先ほど申した通り、毎日新聞の記事が出たのには、会社のどなたかわかりませんが、その話等によって苦いたものだろうと思う。しろうとの計算によると、先ほど申す通りに、いまだに七十万本の不使用管がどこかにあるのではないか、こういう不安がここに生まれるわけであります。従って、私は、記事を信ずるわけではありませんが、どうもこういう記事から見ると、そういう解釈ができますから、会社としても、さらに詳細な調査をされて、数的な根拠によって、もうそういう心配はないのだとか、この程度のものは遺憾ながら発見できずにいるのだとか、もう少し根拠のある資料によって都民の不安を一掃される、こういう方途をこの際ぜひ御配慮願いたい、希望として申し上げておきます。  もう一点は、公益事業局長にまず尋ねたいのですが、公益事業の保安関係は、先ほど局長が言われたように、ガス事業法の第二十一条以下、だんだん規定されておるわけでありますが、これを一読して感じますことは、たとえば、同じ公益事業であっても、電気事業などの場合は、私も詳しくは承知いたしませんが、何らかの施設をして使う、特に自家用施設等の関係においては、一々竣工届をする、竣工検査をする、使用認可の申請をする、使用認可をする。当局がみずから検査の相当の責任を持ってやらせておるように私は記憶しておる。ところが、ガス事業の場合には、もちろん、電気事業とは、規模その他において相当違うことはわかりますが、ほとんどは業者の、いわば自主的な保安処置にまかせてある。もちろん保安の基準とか、いろいろ当局の示すところに従ってやらなければならぬことにはなっておりますが、当局がみずから検査を行うと、そういう規定は見当らないようであります。こういったような仕組みで、特に今回のようなことをおもに考えますならば、若干当局の責任のがれのようにできているようなきらいがするのでございます。もちろん、業者の自主性を重んずるということはけっこうですが、当局が責任を回避するような仕組みにできておるのではないかというような感が若干するのでありますが、そのような感がしませんか。
  82. 小出榮一

    ○小出説明員 ガス事業の保安関係、施設関係についての規制に関する法的な制限に、電気事業との場合の比較について御指摘がございましたが、お話通り、電気事業については、水力発電の設備等については、工事の段階と申しますか、その規模なり内容が非常に違っておりまして、ガスとは確かに違うようでございます。従って、一応その間のニュアンスの相違というものはございますが、ガスについても、保安基準については、施行規則の十九条以下をごらん願いますとわかるように、詳細をきわめて、その基準に照らせば、すぐわかるような程度にまで、こまかく実は規定をしておるわけでございます。従って、この基準を与えておいて、これに基いて措置したり、これに対して行政官庁が必要に広じて検査もできるわけでございますので、それによって十分監督の目的は達せられる、かように考えておるわけでございまして、これ以上行政官庁が、直接的に許可したり措置するという必要は、現在のところはないのではないか、かように考えております。
  83. 小平久雄

    小平(久)委員 今、局長が説明された通り、現在の建前からすれば、一定の基準を与えてやる建前になっておる。そこで、必要があれば、当局が何とかできるということがありますが、現実にそういう検査などをやっている場合があるのですか。どういう場合に検査しますか。十九条もあるし、いろいろありますが、一体検査をみずからやるということはないのじゃないですか。
  84. 小出榮一

    ○小出説明員 具体的に何月何日どこに行ったという資料は、持っておりませんけれども、ガスホルダーの設置等については、もちろん現場に行きましてそのつど臨みまして、ガス課なり各通産局の担当課の責任者なり技術者が参って検査をいたしております。  それからガス事業本体の方の業務監査と申しますか、そういうものについては、それぞれの担当官が定期的に、全国でありますが、それぞれのガス事業者について監査をするということをやっております。
  85. 小平久雄

    小平(久)委員 その点は、一つ今後検討を願いたいと思います。  それから、ついでに承わりたいのですが、ガス事業法の規定によると、ただいま申した保安業務なども、ほとんど直接の責任はガス主任技術者にまかせてあるわけですね。それは三十二条にも規定がある。この規定によると、「ガス事業者は、事業場ごとに、通商産業省令で定める区分に従い、」云々、こういうことになっておる。そこでこの「事業場ごと」とはどういうことですか。たとえば、東京瓦斯さんの場合の事業場ごとというのは、具体的にどういうことでありますか。
  86. 小出榮一

    ○小出説明員 御指摘の通り、ガスの主任技術者の資格については、非常に厳重な試験制度になっておるのでありますが、この事業場と申しますのは、ガス事業には、いろいろな設備があります。たとえば、ガスを製造する設備、ガスを保管しているガスホルダーの設備、圧力に関する整圧だとか、そういったそれぞれガス事業に属しております各種の事業場があります。その事業場ごとにと、こういう意味でございます。
  87. 小平久雄

    小平(久)委員 そうしますと供給区域との関係というものは、どういうことになっておるか。たとえば、東京都一円なら東京都一円が、その東京瓦斯さんの供給地域になっているということになると、これは一つの事業場なんですか、どういうことになるのですか。――つまり、全区域を、一人のガス主任技術者が、これだけの保安の責任を持っているということですか。
  88. 渡辺五六

    ○渡辺説明員 私から答弁いたします。施行規則の二十六条に「主任技術者の選任」というところがありまして、三十二条の事業場ごとというのは「製造所、ガスホルダーを有する供給所およびガスの供給の設備を管理する事業場とする。」としてあります。具体的に、東京瓦斯の場合は、豊州工場初め工場が幾つかあります。その工場ごとに整圧所も相当数あるわけでありますが、整圧所ごとに置く。それから各営業所ごとに置くというふうにして、東京瓦斯では、主任技術者というのは数十名に上っておると思います。
  89. 小平久雄

    小平(久)委員 東京瓦斯さんの方にお尋ねしますが、一体主任技術者というのは、何名くらい置いておりますか。また一人で、供給家屋何戸について何人くらいで大体管理をしているものですか。そういう点で、何か手薄だというようなきらいはございませんか。
  90. 本田弘敏

    ○本田参考人 今、主任技術者の正確な数字は存じておりませんが、ともかく技術上のことは、私ども会社は、人後に落ちないというか、いろいろな面において指導者的立場にありますだけに、技術者については、主任技術者とかなんとかいう名前でなくても、その点については、かりに豊州の新工場を作る、これは外人が参りましても、こんな工場が日本にできておるかと驚嘆するくらいの新技術を持っていて、いい技術者をそろえて、いろいろ勉強させておることは事実でございます。国家試験もあって、甲種と乙種の主任技術者があり、それにパスした者が採用されておるわけでございますけれども、大学出は当然中程の主任技術者になるわけでございます。その点は、技術がまずいために、こういう中毒とかなんとかいう事故になるということは、私万々考えられません。
  91. 小平久雄

    小平(久)委員 それはそうでしょうが、この三十二条によると、単にガスを製造する方の責任はかりではなくて、「ガス主任技術者を選任し、ガスの製造及び供給の作業に関して保安の監督をさせなければならない。」とあります。保安監督も主任技術者がするということに、少くとも法律上はなっておる。従って、主任技術者という肩書を持っていようが、いなかろうが、相当の技術者を配置しておるという御趣旨のようですが、私は、法律的には、主任技術者というものが保安の責任を持つのですから、従って、ある程度供給区域には、その法律上責任を負う主任技術者というものを配置して、保安の責任に十分当らせる、こういうことがどうしても必要なのではないか、こういう感がするわけです。そこで、先ほど来もお尋ねしておるわけなので、この点、主任技術者の配置の基準、こういうものも当局としては一つ検討してもらいたい。そして、少くとも都民としても、われわれのために責任者がいて、保安のことも一切必配してくれるのだ、こういう態勢を当局もとるようにすべきであり、会社当局もそれくらいの配慮があってしかるべきではないか。今後、一つ御研究、善処を願います。私の質問はこれで終ります。
  92. 本田弘敏

    ○本田参考人 ただいまお話がありましたように、工場においても、供給所においても、あるいは整圧所においても、みな主任技術者はおります。そういう連中が、お話のように供給上、保安上の責めを負うことになっております。これはみな配置してあります。
  93. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 質問の主体の人が、よそにおっぽり出されるほど、本件に関しては、皆さんが御熱心であります。先ほど承わっておりますと、会社側としては、非常に敬虔な態度で、このたびの事件に関して、改悛の情と申しましょうか、顕著なるものがございますので、私は会社を責めようとか、当局を責めようと考え質問するのではございません。御承知通り、本委員会としては、この問題について、長年にわたって調査も進め、審議もして参りましたし、きのう、きょうにわたりましては、ガス事業振興のための決議まで行なっておるわけでございます。そのやさきに、こういうその振興とはおよそ逆コース的な事件が出来いたしましたので、本委員会委員といたしましては、ちょうど会社の責任者のおっしゃった通り、本田さんと同じ気持であるわけです。非常に遺憾でございます。そこで、あなたの答弁と局長の答弁いかんが、都民の危惧の念を払拭するのみならず、ガス事業振興に大きな影響がありますので、そのおつもりで、一時半になっておりまして、まことにお気の毒でございますけれども、お答え願いたいと存じます。  先ほど、本田さんのお答えでございますと、もうこの不使用管は全然ないのだ、そういうものはない、こういうお答えでございます。ところが、過去においても、そう思っていらしたのではないかと思うのです。今度のこの事件が、初めから予見されているならば、こういうことは起らなかったはずです。これも、あなたはないと思っていたところに、こういう問題が出来したわけです。もしそれ承知の助で、あなた方がこれを放置しておかれたといえば、これは完全に行政上の問題でなくして、刑法上の過失致死罪が生ずるわけです。そして知っておられたのではなくて、知らずにこういうことが起きたわけです。そうすると今後にもなお起き得るという予想は――そういうことは全然ない、もう不使用管なんかありません、ガスの漏洩なんかありません、こうおっしゃるけれども、あるいは起き得るかもしれない。こういう危惧の念は、私のみならず、一般都民も抱いていると思うのです。そして、この点については、数年来企業努力によってそういうことのないようにということは、ガスのみならず、電気会社に対しても、同じようなことが公益事業立場から、再三繰り返して本委員会から、何と申しましょうか、注意と申しましょうか、勧告と申しましょうか、それがいっているはずであります。そういう審議に安西さんも加わっていらっしゃるはずでございます。本田さんが高熱であれば、安西さんからお答えいただければけっこうでございますが、私の尋ねたい要点は、企業努力によって、ロスがだんだん少くなってきたとおっしゃいますが、今日漏洩のロスがありますかありませんか、その点を……。
  94. 本田弘敏

    ○本田参考人 先ほどお話でございますが、つまり、私どもとしまして、不使用管が絶対にないということは申し上げ切れない。そう信じておりましたのに、たまたま昨日のような事故が出ました。これは自分らの安心が、まだまだ早過ぎたというか、ああいう事故があってみれば、今度は、先ほど申しましたパイプ・ロケーターや、ああいったような技術等の努力を払って、そういうものがありそうなところを至急調べて、そしてそういうものがあればできるだけ撤去するという方策をとらなくちゃならない。当然、昨日からそういう対策を立てて、今日は営業所長を集めまして、ある程度の指令を授けたようなわけでございます。これは、私は絶対にないということを信じていたのが、ほんとうにむざんにくつがえされましたので、これはそういうことでなしに、もう一応再調べをして、至急その対策を立てるというわけでございます。  それから、漏洩の問題でございますが、先ほども申しましたように、これは終戦直後の二十一年の二月に五四・八%もあったのが、ただいまでは大体三%、四%程度でございます。場合によるとそれ以下のこともありますが、これは世界各国を見ましても三、四%のリーケージというのは、率としては優秀な方でございます。
  95. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 漏洩が三ないし四%とおっしゃれば、これは大へんな御努力だと思うのですが、そう額面通り受け取ってようございますか。
  96. 本田弘敏

    ○本田参考人 ええ、よろしゅうございます。
  97. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 さすれば、電気事業の単価の設定の場合もそうでございますが、漏洩というものがコストに影響を及ぼしておりますね。漏洩はやがてコスト高になっておるわけです。コスト高は、消費者にとっては迷惑なことです。消費者に迷惑なコスト高が、やがて殺人罪を犯すということになってはたまったものじゃないのです。片方は値段が高い、おまけにそのお金で、知らず知らずのうちに殺されていたのでは、消費者にとってはたまったものじゃないのです。そこで、現在ほんとうに単価設定の場合に三、四%で設定しておられますか。
  98. 本田弘敏

    ○本田参考人 ガス料金は二十七年に改正しまして、その後そのままになっております。その当時のリーケージの率は、もっと多かったのであります。
  99. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、再びガス料金審議いたします折に、この問題は譲るということにいたしまして、次に承わりたいのですが、相当研究調査もしていらっしゃることと存じますし、特にガスといっても、東京瓦斯さんと大阪瓦斯さんの井口さんのところは、日本でも最も大きくて研究態勢も進んでいると思います。そう思われて、加入の使用者も安心して使用している次第でございますが、そういう最高の研究設備も持ちしていらっしゃるところが、ビニール管のおかげで、ずいぶん被害者が出たというケースが過去にあるのですが、あなたのところは、古いのは別として、新しい器具、器材を使われる場合に、人間をモルモットのかわりにしてもらっちゃ困るわけなので、実際新しい器具の使用を許す場合に、会社で採用する場合には、実験を行われるのですか。それとも、安ければいいというわけで、ぱっとやられるのですか。ビニール管の関係から、私はどうしてもこの点を心配せざるを得ない。都民は、みな心配しているわけです。
  100. 本田弘敏

    ○本田参考人 仰せの通りでありまして、会社としましては、会社のマークの入ったゴム管を、新しい器具を取りつけたときはお使い下さるように、ちゃんとそれをお勧めするようにいたしております。ただ、お客さんの御都合で、途中でゴム管が古くなったとかなんとかいう場合に、これを勝手にビニール管にお取りかえになることがあります。先ほど数字を申し上げましたけれども、今度全部巡回してみまして、相当多数にビニール管をお使いになっているので、これをゴム管にお取りかえになるように、十分お勧めをしまして、今度の巡回で四万三千三百五十七軒ほどがビニール管をお使いになっておりましたが、これはあとで会社の者が勧めまして、約八割ぐらいはゴム管にお取りかえになったと思います。しかしわれわれは、これはぜひ取りかえなくちゃガスを使わせないという権利を持っておりませんから、どうしてもお取りかえにならないと、これはやはりお勧めをする程度で、はずしてくるわけには参りません。ただ、ガスが漏れてでもありますと、これははずします。私が最初巡回に参りましたときに、あるアパートで、ちょうど若夫婦がビニール管を使っておりました。それで私は、これは危ないですからと言いましたところが給料日がまだこないから、危なくてもだめだとおっしゃいましたので、それではそのときまで待ちますから、といって、私は営業所から自分でお届けしまして、取りかえて参ったことがあります。そういう実例は、ほかでも至るところにあると思います。だから、よほどわれわれが熱意を持ってなにしないと、危険だからと言っても、金がないと買わないというようなことで、目の前に危険がぶら下っているのに、そういうことです。私が回ったあとで漏洩事故が起きて、中毒してなくなられたのでは、私が回ったかいがありませんから、私はそのときに立てかえ払いをして、ゴム管に取りかえた実例がございます。そんなふうなつもりで、みんなそれぞれ努力しているわけでございます。たまたま不注意あるいは昨日みたいなとんでもない事故が起きて、それで皆さんをお騒がせして、とんでもない御迷惑をかけるということについては、さらに一そうわれわれは勉強しなければならぬと思っております。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると、ビニール管の場合は、あなたの方の会社そのものが販売の手続をとられたのでなくして、別途の会社が勝手に売っていた、それをお客の方が知らずに買ってきて使った、こういうケースでございますか。
  102. 本田弘敏

    ○本田参考人 はい。
  103. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると、お客はそんなことを知らずに買ってくるはずはないのですから、ビニール管をガス管として、だれか奨励した人があるわけですね。それで別の人が奨励した。そうすると、あなたの方の事故については、あなたの方の会社以外の人も、相当責任を負わなければならぬ、こういうことになるわけですか。
  104. 本田弘敏

    ○本田参考人 ビニール管をこしらえているところは、商売ですからやはり勧めます。そうすると、見かけはちょっときれいだったりしますから、要するに、耐久力だとか危険の度なんか、お客さんは割に無関心でございますから、近いところで体裁のいいものがあったら、それを買おうというようなことです。会社自体は、決してビニール管をお勧めしておりません。むしろ取りはずしをお願いしているわけでございます。
  105. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は、このビニール管には恨みが数々あるのです。忘れもいたしませんが、ついせんだって、名古屋の国立大学の内科部長のお嬢さんが、大阪へめでたくお嫁入りをなさった。それで新婚間もないときに、このおかげで窒息死された。何を隠しましょう、私の教え子なのです。最も優等生です。そのおかげで名大の内科部長の先生までがしばらくノイローゼになってしまった。たった一人のお嬢さんです。こういう事件がありますので、あえてその霊を弔うためにも、また再びこういうことが起らないようにするためにも、私は承わるわけでございます。  そこで問題は、先ほど、いみじくも本田さんが、消費者の方の不注意と知識の足らざるゆえんである、こうおっしゃいました。なるほど、そういう点はあります。しかし会社側も、販売には一生懸命になって努力なさるが、アフター・サービスの点において欠ける点は、何もガスに限りませんが、日本の器具機械は、ほとんどアフター・サビスに欠けるという点は免れないと思うのです。売らんかなの宣伝は一生懸命におやりになる。しかし私は、事ガスに限っては、宣伝よりも、危惧の念を払拭するという方が先ではないかと思う。これをおやりになることの方が、よりよい宣伝になるのではないか、こう思うわけでございます。そこで、あなたの方は一体アフター・サービスをどうやっているか。私は住居が名古屋でございますが、妻がすき焼なべを買って参りました。うそも隠しもないことです。松坂屋で買ってきました。さあ、父ちゃんが久しぶりに帰ってきたからやろうというのでやったが、これは大きくしたり小さくしたする方法がわからない。なぜお前はそれを聞いて買ってこなかったかと言うたら、これが一番いいですからと言われて、包んで持ってきた、こう言うのです。これでは、てんで問題にならないのです。それで、もう一度松坂屋へ持って帰って、使い方をよく指導してもらってきた。こういうことですが、お宅の方でも、電気でもそうですけれども、売られる場合には、売ると同時に、使用の技術ぐらいは、ついでに教えてやるだけの親切心があってしかるべきではないか。なおかつ新聞、ラジオ、テレビ、雑誌というものがたくさんある時代でございますから、こういうものをうまく利用して、主婦がいながらにしてガスの知識、技能を修得するという、こういう点を御考慮いただけるならば、何も宣伝しなくても、いいにきまっている燃料でございますから、自然にふえていくのではないかと思われますが、この点いかがでございましょう。
  106. 本田弘敏

    ○本田参考人 アフター・サービスに対する御注意、一々ごもっともでございます。先ほどお宅の実例を話されておりましたが、それは会社で、おそらく東邦瓦斯もそうだろうと思いますが、会社で売る器具につきましては、一々その使用方法をちゃんと御説明申し上げまして、お客さんが不安なく、こうしたらいいということでお買い求めになられます。ただ、デパートその他になりますと、忙しかったり何かしますし、また専門家でもないものですから、あるいは十分な御説明ができないかと思います。ただいまガスのストーブその他は、大体東京のデパートでは、東京瓦斯から入れた器具を売っております。これについては、全部会社が責任を持って、あとのアフター・サービスをいたしております。それから先ほど申しましたように、五月十五日から十月十五日まで総動員をいたしまして巡回したのも、これはやはりアフター・サービスのなんでございまして、使い方については、たんねんに御納得のいくように御説明申し上げておるわけであります。  いずれにしましても、これはサービス業、私はそう考えるのでございますが、われわれガス事業者は、ガスを売るということよりも、サービスを売るというくらいまで徹底した考えでなくてはいけない。これは機会あるごとにみなにも話し、努力しているつもりでございますけれども、事業の繁栄とかなんとかいうようなことは、ただいまの御指摘のように、アフター・サービスが完全にいけば、期せずしてそういうふうなことになるということは、もう絶対動かすべからざる真理だと思います。なお一生懸命勉強して、御注意のようにやりたいと思います。
  107. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 まだ聞きたいことがたくさんありますけれども、時間が時間でございますから、これを最後にしたいと思います。そこで、会社の責任者も、非常に敬虔な態度でいらっしゃいますし、ガスを売るよりもサービスを売るのだという精神も、私と意見が完全に一致しております。そこで当該事件の被害者の家庭に対して、一体どのようになさろうとしていらっしゃるのか。もっとも、原因その他によって変ると存じますけれども、その被害者に対する会社側態度いかんが、これまた都民に大きな影響を及ぼすことだと存じます。そこで、この際わかっている程度の被害者に対する態度、これを明らかにしていただきたい、こう思うわけでございます。またの一つは、二度と再びこのことを繰り返さないために、今、具体的な方策に出つつあるということでございますが、これこそ一番大事なことでございまして、この危険防止の対策を、一つこの際はっきりと打ち立てて、それを天下に宣明することによって都民の皆さん、ひいては国民一般、ガスを使用する人、将来使用しようとする人、こういう人に安心感を与えていただきたい、こう思うわけでございますが、御所見を……。
  108. 本田弘敏

    ○本田参考人 このたびの事故の犠牲になられた方々に対しましては、冒頭に申し上げましたように、私は心から哀悼の意を表し、申しわけないと思っております。今まで、お客さんの不注意によって起きました事故の場合でも、会社としてはできるだけのことをいたしております。今度の場合は、もちろん会社として十分誠意を披瀝し、できるだけのことをいたしたい。昨日は営業部長以下の幹部を伺わせまして、香典その他をお上げしました。今度は引き続き葬儀が行われます。葬儀は、もちろんこちらでいたしますし、また慰謝料その他につきましても、私は会社としてできるだけのことをして差し上げたいということを考えております。もちろん、そういうことをしても償い切れるものではありませんが、結局会社の誠意といいますか、気持のあるところは、やはり形に表わすようにして、できるだけのことをいたしたい、こう考えております。  それから次に、今後の対策については、お話のように、できるだけ早くその対策方針を立てまして、そうして都民の皆さん方が御安心になるような何らかの方法をもって、それをお知らせいたしたい、こういうふうに考えます。
  109. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本件は、参考人として東京瓦斯さんに来ていただいたわけでございますが、たまたまこの問題がきっかけになって――しかし、こういう件は、東京瓦斯だけではございません。東邦瓦斯にしても、あるいは大阪瓦斯にしても、たくさん事例があることでございます。そこで危険防止対策なり、あるいはアフター・サービスなりにつきましては、本省においても、今後緊急適切な処置をとられると同時に、およそガスを業としていらっしゃる方々に一応お集まりいただいて、そうしてこれの対策を、本委員会とともどもに研究し、このガス事業の発展の本委員会における決議の趣旨に沿うようにしたいと、かように考えますが、委員長、いかがでありますか。
  110. 福田篤泰

    福田委員長 お申し出の件は理事会に諮りまして、適当に決定いたします。  暫時休憩いたします。     午後一時四十二分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は開会に至らなかった〕