○高橋
参考人 それでは、ただいま私の担当しておりまする
原子燃料公社の仕事の
概要を御報告申し上げます。
一番問題となって、実際的に仕事をしておるのは人形峠
方面、今年の七月以来あそこに独立した出張所を設けまして、そのほか施設としましては
事務所、分析所、それから独身寮、これを非常に急いで、この夏中に八月の二十日ごろに大体あそこで仕事ができる
ようになりました。その後順調に進んでおります。人形峠の鉱床は、前から御承知の
通り、
日本としてはとに毛かくにも一応まとまった鉱床として、ある鉱量が見られるという状態になっております。残念ながら、品位の点については、当初われわれが着手した当時とあまり大差ございませんので、依然として万分の四ないし五というふうな低品位な鉱床であるということには間違いない
ようでありまするが、
範囲はだんだん拡張されまして、従来峠地区を探査しておりましたのが、さらに四次、赤和瀬という
ように、だんだん隣りの方に向って探鉱が進んで、
開発されてきております。できれば三十三
年度に幾分広大に採鉱
計画を立てて、予算の
範囲内において、これを実際に掘ってみたいという考えを持っております。これはいずれ三十三
年度の予算に計上されることと思いますので、今はっきりした案はありますけれども、まだそこまでいっておりません。同時に、そういう貧鉱を処理するということが、どうも
日本の宿命の
ように考えられますので、今外国の例の
ような品位の高いものをわれわれが相手として将来考えるということは、ちょっとこれは無理である、どうしてもわれわれは貧鉱処理に主力を注ぐべきであるという考え方を持っております。そういう意味で、
日本に独特の製錬方法、つまり貧鉱を処理するに最も有利な
経済的な方法をわれわれは見出さなければならぬ。つまり、
経済的な自主的
体制をわれわれは早く
確立し
ようという意味から、
海外にも担当即事をわれわれは今年の春以来派遣して調べた結果、オークリッジのナショナル・ラボラトリーでいろいろ
研究された方法で、
アメリカでは今やっておりませんけれども、
日本としては最も将来性あり、有効な方法だということがわかりまして、その方法を
日本に
技術導入するという考え方で、現にその契約ができておる、現に今担当者を向うに派遣して、いろいろこまかい点を打ち合せて、来年の七、八月までには、多分
日本でパイロット・プラントが動き出すのじゃないか、こういうふうに思っておるのです。今その努力を傾注しておるわけでございます。
それから、そのほかの探鉱
計画は、全国的に網を広げております。数年前までは
日本のウラン鉱というものは非常に悲観的でありましたが、現在やってみますと、スケールの点においてはどうかわかりませんが、とにかく
日本の北は東北岩手県から南は九州の鹿児島県まで、続々その徴候を現わしておりまして、今それを地質
調査所の方と協力して、探鉱の網をかけております。現に今雪の降る前が東北
方面は非常に急ぐために、総出でもって、東北の気仙沼の
方面、それから北は町田玉川鉱山の
方面を今手分けしてやっております。それから、最近になりまして、山口県の宇部の東北、あの付近が非常に地質的には当然あり得る性質の地帯でございますので、その
方面にも今
調査し、また民間からいろいろ申し出がありまして、それを
総合しますと、あの
方面、山口県下もまた将来発展の可能性が大いにあるというふうに考えられます。これは全県の方ともいろいろ連絡をとって、まだ具体的には動いておりませんけれども、その準備を進めております。これも将来三十三
年度中には、何か具体的な方法が考えられる、こう思っております。東は東北地方、南の方は山口県、九州の方までは今までの
ところまだ具体的なそういう問題は出ておりませんけれども、全国的に綱を張って、それが清々進みつつあるということだけは申しあげられると思います。なお、落しましたが、人形峠の隣にある倉吉、一番初めに手をつけた倉吉地区の探鉱も予定
通りどんどん今探鉱を進め、ボーリングをやっております。さらに円谷地区というものが、新しい地区としてクローズ・アップされてきました。これも今探鉱を、どんどんボーリング、あるいは近いうちに、年内には坑道掘進にまで入るだろうと思っております。そういうふうなわけで、国内の探鉱
計画は、非常に今の
ところは予定の方向に、順調というか、進んでおります。将来は、まだはっきりしたことは申し上げかねますけれども、御承知の
通り、
長期計画の線に沿いまして、できれば三十八年ごろには
日本の国産ウランをどうしてもわれわれは出したい、こういうふうな方法で探鉱、採鉱、それから製錬、この
方面を並行して今進めつつあるのです。現に
東海村の方は精錬の試験所を今建設中でございまして、同時に住宅を並行してやりつつありますから、本
年度の予算内では、かなり仕事が
進展する見込みであります。大体こんな程度であります。