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濱野委員 ちょっと聞きたいですけれ
ども、
国鉄の労組に対する経営者側の態度は大体わかっております。この労働
組合法ができたときに——その当時は昔の鉄道省時代であって、佐藤榮作君が鉄道総局長官だった。そこで労働
組合法ができた当時は、
国鉄の従業員はその労働
組合法によってすぐ団体を作るということに積極的に動かなかった。むしろ佐藤榮作君などは、早く作って、正常な運行をしてもらいたいものだという希望を持って、あの当時は内面指導をしておったことは私は
承知しておる。
国鉄の労働
組合運動というものは、実際をいえば片山潜が先覚者なんです。その次二、三あったが、私
どもがその次の時代をになうて、そうして数百名も首切られた歴史を持っておるわけです。そういう経験を持っておる方々が少かったものだから、佐藤榮作君は私に会費の問題や、その他の問題をいろいろ
質問してきたわけです。そこで私は、これは鉄道の労働
組合の将来の組織の仕方、あり方というものは、職能的にいった方がいいじゃないか。ところが佐藤榮作君、当時の鉄道総局長官としては、これは単一
組合がいい、私は職能的にいったのがよろしい、この
二つの意見が対立した。なぜ佐藤榮作君が単一
組合にすることがよろしいと主張したかというと、
団体交渉、団体
協約等においては、それが最も簡潔であって、それできまればたくさんの職種の団体と
交渉するトラブルを避け得ることができるから、非常に合理的だという意見を持って動かずに今日まで至ったわけです。しかるにその後単一
組合ができて、そうして
国鉄という
一つの職場の中にいろいろの職種の労働
組合がむしろ事実上否定されて、佐藤榮作君の期待しておった
通り単一
組合かできたのだが、時代を経るに従ってだんだんと職能
組合ができてきた そうして今日この
委員会でも議論されるように、新しい
組合であるとか、あるいは
機労であるとかいうような、
団体交渉を幾つも持たなければならぬようになった。こういう意味からいけば、私は
最初から職能
組合でいくべきじゃなかったか。たとえば通信
関係の従業員と、
機労関係の従業員と、それから保線
関係の従業員との仕事の内容も違うし、さらにまた給与の内容も実は変らなくちゃならぬはずだ。それを単一化したところに佐藤君の運営上の期待だけを、効率だけを自分の側からばかり計算して、このやり方を内面指導してきて、今日の
国鉄に再び混乱ができる原因を生んだことと思うのであります。そこで将来
国鉄を経営する方々は——今の趨勢からいけば、
機労ばかりではなしに、通信
関係が独立するであろう、いま施設と言っているが、レール、あの保線
関係もやがて独立するであろう。仕事の質も違う。内容も違ってくる。従って賃金、手当というものが違ってくるはずなんだ。そしてこれを総合的にやることは今日になってはかなり困難になってきた。その現われが今日
機労という
一つの団体ができてきた、そう私は見ているのです。そうなってきますと
労働協約、ことに賃金とか手当とか、あるいはまた賞与とかいうような問題は、だんだんそれぞれの職種に応じて区分して経営者は考えなくちゃならぬであろう、こう私
どもは考えているのです。先ほどこの間の事情を副
総裁からるる御
説明があったが、この程度でへこたれたのでは
国鉄副
総裁は勤まらぬ。今後ますます複雑になってくるが、これが正しい賃金の立て方であり、賞与のやり方である、こういうふうに私は見ているわけであります。先ほど社会党の同僚からいろいろ話があって、そして
あっせん案が出る前に二%やったとかやらぬとか、あるいはこれを決定したことは常識的でないとか、不穏当であるとか、どっちにしても惻隠の情があってしかるべきだ、こういうようなことは
吾孫子さんいろいろな御
説明があるけれ
ども、この四十万に上る人々を早く
昇給させたいという
要望がある、新しい団体が強く
要望してきている、このこともあったであろうと思うけれ
ども、やはり私はこれは子供らのために待って——子供らと言っては失礼だけれ
ども、従業員のために待ってやった方がいいと思うのです。これは
国鉄側でももう一歩正常な姿に取り戻すという形において、
一つお考えがあってほしいものだ。ここにはだれもいませんから申し上げることはできませんけれ
ども、
国鉄労組の小柳君だって私はそうだと思う。何も小柳君だって自分が首になって——あとに人材がないわけではない。四十数万の中には小柳君以上の人がたくさんあると
承知している。それが何のためにがんばっているか、こういうことは謙虚な気持で、山口君だって
下平君あたりもよくわかっているのだから、国のために、あるいは国民のために政治家として、政党として強く勧告してもらわなければ、山口君のおっしゃるようにばかを見てひどい目に合うのは国民ばかりだ。そんなばかなことはないでしょう。
国鉄ばかり責めて、運輸大臣にばかり注文つけて、自分の方の小柳君は素
通りで、お前いいのだ、こういうことはないでしょう。そういうことはフランクな
立場で、
下平君なんか特にそういう経験者だから、
お互い苦労してきたのだから——失礼な話だが、四十数万のうちには幾らでもある、雲のごとくある。そういうものを
委員長にして、堂々と
正常化した
交渉をおやりになることが国のために、日本社会のために正しい行き方だろうと私は思う。それから私は今の政府の
労働関係のある人々の言論には全部は賛成できない。というのは、これはいろいろ事情もある。事情もあるが、しかし
法律は守ろうじゃないかというこの原則だけは、われわれの後輩である
国鉄の現場の人も守らなければいかぬ。社会党の諸君だって立法府におれば、
法律を守らなくていいということは言えないはずだ。だから守れない個所は
労働関係のおやじから言わせるようにしなければならぬ。これもやはり反省し合って、そうして
お互いに国のための輸送機関でありますから、これは社会党に特にお願いするのですが、強い勧告を正しい
立場に立ってやってくれれば、非常にありがたいものだ。聞いてみると、あなた方の言うごとにも賛成したいが、あなた方はあの労働
組合の行き過ぎについてはちっとも反省の議論が見えない。全部いいような前提に立って
国鉄当局ばかりいじめておる。何も私はこの人
たちにおせじを言うのではないけれ
ども、
下平君の言う惻隠の情とか、いま少し考えてやってやったらよかりそうだとか、常識とかいうことを百万言並べたって、なかなか言葉
通り受け取れないと思う。ですから
一つそういうことを前提として、
労使関係が
正常化されるという考えをわれわれは鮮明にして、
国鉄も十分自重してもらいたい。それから何も社会党の諸君がやかましいことを言うからといって、国民にかわって
国鉄の経営の責任を持っておる人は、萎縮することはない。どんどん言ったらいいのです。若い者は威勢がよいから、言わなければわからないことがたくさんある。
吾孫子さんもかなり遠慮しておると思う。しかしどっちにしても言うことだけは言って、やることだけはやって、そうして
一つ仕事をしようじゃないか。そして
お互いにそういう気持でおやりになれば、私は
団交な
どもうまくいくのではないかと思う。こういうように考えておる。ですから
一つ愉快にやっていただきたい。