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国務大臣(池田勇人君) 昨日も本
委員会で申し上げたのでございますが、世界の
経済の
見通し、またわが国の
経済の今後の
状況につきまして、私は以前とあまり
考えを変えておりません。先般も申し上げましたごとく、上半期は相当輸入超過で、一億ドル余りの上半期に
赤字が出た、こう申しておりました。それは昨年のスエズ問題から相当輸入が旺盛になりまして、御
承知の
通り昨年の十二月には三億ドルをこえる輸入信用状が発行されております。一、二月がだんだん減ってくる傾向でございましたが、三月、四月が非常にふえております。三月ごろの
見通しでは、まあ五、六月ごろで輸入も相当減ってくるのじゃないか、それは輸入在庫がかなりふえております。三月末ぐらいで二カ月半ぐらいの
状況でございますが、相当輸入が減ってくるだろう。こういう
見通しでおったのでございまするが、三月、四月になりましても投資が非常にやはり盛んでございまして、私は過当とは申しませんが、わが国の力以上の投資が行われつつある。これは世界
経済の動きから申しまして、またわが国の実力から申しまして、少し行き過ぎるのではないか、こういう気がいたしたので、今回金利の引き上げに同意いたしたのでございます。この問題は、私も
考え、
日本銀行の総裁も
考えております。期せずして一致いたしましたので、早急にやった方がいいというので上げたのでございます。で、先般、高率適用の緩和と一厘引き上げ、こういう問題のときも、将来において、私は金利の引き上げ、金利の引き下げがあると、こう予想しておりました。そこで、あの当時の説明は、将来弾力的な金融
政策を行う下地を作るんだと、こう私は本
委員会で説明いたしました。
経済界、金融界の情勢によりまして常に弾力的に金利を動かしていこう。で、私はこの金利
政策あるいは
物価対策のもとは、公定歩合と支払い準備金
制度と申しますか、
政府が今、
国会に提案しておりまする預金準備金
制度、この二つでやらないと、社債市場、長期市場のまだ発達していない
日本といたしましては調整のしようがない。私は原則としては、やはり支払い準備金
制度と、この二つを兼ねて行うのが一番いいと思います。そういう準備はいたしておりまするが、支払い準備金
制度がございませんので、今回、金利水準の引き上げ、こういうことにいたして、そうして過当な投資の行われないようにいたしたい。で、過当な投資が行われますると、そこにやはり、最近の輸入超過の主たる原因は、機械の輸入、鉄鉱石あるいはくず鉄の輸入が多いので、綿花、羊毛の輸入は、これはまあ再輸出の部分でございます。羊毛はそうでもございません。やはり過剰投資を押えることが、輸入の制限と申しますか、輸入を減らす原因にもなりますので、そういう措置をとり、ひいて国際収支を正常な姿に返す、こういう気持でいるのであります。全般の金利水準を私は上げるという気持はございません。社債等の長期資金につきましては、私はこのままでいきたいと
考えておるのであります。いずれこれは臨時金利調整法に基きまして、大蔵省と日銀とで相談いたしまして、近日のうちに、銀行の貸出金利、預金利子等につきましては決定いたしたいと思いまするが、長期社債の引き上げ等は
考えたくないつもりでおります。ただ一般の割引貸付の方につきましては、やはり引き上げざるを得ない、こういう気持を持っております。で、金利の安いことは
産業の発達に最も必要なことでございまするが、やはりこれが
経済の中枢をなすものでございまするから、今の現状から申しますると、貸出金利がある
程度上っても、こういう措置をとることが至当であると
考えたのでございます。一般預金金利につきましても今
検討中でございます。