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小林孝平君 これは、通産大臣は通産大臣としての立場で、きわめてはっきりと御
答弁になったわけであります。ところが農林大臣は、研究中——あなたもそういうことでは私は困るのです。そういうことが、農村の貧困がいわれ、今、
日本には農政がないといわれる原因なんです。農林省が研究中ではおかしいと思うのです。農林省は、これは絶対反対しなければならぬ。通産省が研究中というならいいのですが、これはおかしいです。それも井出さんは非常に期待されて農林大臣になったけれ
ども、こういう問題を研究中なんというから、やはり、ということになるのじゃないかと思う。(笑声)しっかり各方面の意見を聞きたいなら、これから私が申し上げるのをよく聞いていただきたい。明日は閣僚懇談会があって、これがかかるのじゃないかと思うのです。あなたが通産大臣に負けて、四月の一日からAA制に移行するようなことになったら、これはちょっと長野に帰れませんよ。また、
日本の農林大臣として、その
地位にとどまることができないのじゃないかと思う。しっかりと腰を落ちつけて聞いてもらはなければならぬと思うのです。
そこで、今通産大臣も言われましたけれ
ども、この外貨割当制をやめれば、農産物価格安定法があって、価格が下落しても買える、こういうふうなことを言われているのです。また、そういうことでいいという意見もあるのです。ところがこの安定法による価格は、食管会計の米の場合と違いまして、この価格は最低限にきめてあるのです。再生産を補償する価格でも何でもないのです。今通産大臣は、アメリカから入ってくる値段は大体そう安くならないからいいのじゃないかと言われたが、そんなことは当てになりませんよ。アメリカはもうどんどんと農産物ができているんです。どんどんと今世界の農業恐慌は
現実に進展しているんです。農産物の価格は安くなっているんです。どこで計算されたか知りませんけれ
ども、そんなことでは世界の経済の動きはわからぬと思うのです。またある年は高い。ある年は安いから、平均して幾らでくるだろう——そんなことはだめなんです。一回安いものがきたら、もう一ぺんで参ってしまうんです。
日本の農業の経営の規模はきわめて脆弱であります。そこで、今この外貨割当をやめて、自動承認制になれば、アメリカから入る安い大豆の価格を、あなたがさっき言われたように、アメリカの農産物の価格を、
日本の
国民の負担で支持することになる。通産大臣はこんなことを軽々しく言われますけれ
ども、こういうことをやることが——私はこんなことを言いたくありませんけれ
ども、こういうことをやられるから、自由民主党の
内閣は一部からアメリカのかいらい政権だとか、あるいはアメリカの従属国であるというようなことを言われるのです。私はこういう
言葉を使うのは非常に残念ですけれ
ども、こういうことをおやりになるから、そういう意見が出てくるのです。通産大臣は一部の人たちの強い圧力に屈されたかどうか知りませんけれ
ども、西欧諸国は何パーセントAA制にしているとか何とかと言われるが、アメリカ、西欧諸国と
日本の経済の規模と、その内容は全然違うのです。それを一律に
考えて、こういうことを外国がやっているから
日本も——そういう思想はやがて再軍備にも通ずるのです。世界各国が再軍備しているから
日本も再軍備しよう、こういうことになるのです。そんな外国のまねなどしないで、もっと自主的に、
日本の経済をどういうふうに発展させるかということを
考えていただかなければ困ると思うのです。私は、農業
関係の仕事を長くやっておりますけれ
ども、農業主義者ではありません。
日本の農業はもっと経営を安定させ、そうして国際農業に対抗できるようにしなければならんという主張を持つものでありまするけれ
ども、今の通産大臣の説には、私は納得できません。また農林大臣が、安易に、明日の閣僚懇談会で通産大臣のこの意見に屈して、自動承認制に移行するようなことがあったら、私はこれは全国の農民は納得できないと思うのです。先ほどまた農業のことについて、通産大臣は、国内の大豆を増産するとおっしゃいました。そんなことは、簡単に言いますけれ
ども、そうはいかんのです。また、増産をしても、この問題は違うのです。生産費の問題なんです。量をよけいにしたって解決しないのです。農業のことは私の方がちょっと専門家です。(笑声)そんなことはあまりおっしゃらないで、もっとまじめに
考えたらどうです。私はあなたの御
答弁を今求めようとしません。もしあなたが西欧諸国の例を引かれ、そうしてやられるならば、これよりも先にやらなければならぬ問題があるのです。たとえばテンサイ糖についてでありますが、テンサイ糖振興法によって、わが国のビート生
産業者を保護する価格になっている。これは農産物価格安定法とは全然違うのです。ビートはビート生
産業者が保護される価格になっている。従って、かりに砂糖を自動承認制にしても
関係がないのです。多少あるかもしれませんけれ
ども。大豆の場合とは違うのです。自民党は自由主義経済を政策の基調にしていられるのですから、自民党の政策からいえば、むしろ砂糖こそは自動承認制にしなければならぬ。なぜ通産大臣は砂糖の問題をおやりにならぬ、これはいろいろ議論がありましょう。私はあなたの御
答弁をいただこうとは思いませんけれ
ども、こういうようなあなたのやり方が、砂糖をなぜやらないかということは、はなはだこれも失礼でございますが、砂糖資本と
関係があると言われております自民党の一部の方のいろいろのことを
考えましておやりにならぬのじゃないか。
岸総理大臣にもこれはぜひ聞いていただきたかったんですけれ
ども、退席されました。こういうことをあなたは簡単に、明日の閣僚懇談会でおきめになるということでは私は困ると思うのです。こういう、もしおやりになるなら、まず砂糖からおやりになっていただきたい、みんなが言ってます。砂糖の外貨割当制度は、これは糖業資本の擁護であると、また、それはそれでいいでしょう。自由民主党の政策の基調からいって、そういう人を保護するのだから、それなりにいいかもしれませんけれ
ども、それだけでは私は困ると思います。しかも研究中とあなたはおっしゃいますけれ
ども、この外貨割当は四月の一日にきまるのです。やるならやるとはっきりおっしゃればいいのです。これは私は
答弁は要りませんけれ
ども。