○森八三一君 私は、ただいま
議題となりました
昭和三十一
年度一般会計予算補正第1号ほか四案につきまして、
緑風会を代表して、以下申し述べまする
希望意見を付し、
政府の格段の留意と努力を期待し、
原案に賛意を表する次第であります。
まず、
補正第1号についてであります。本案は、世界的な好況に伴い、わが国産業が予期以上の驚くべき進展を示し、
経済界も未曾有の活況を呈し、
昭和三十一
年度の
歳入におきまして一千億円余の
自然増収を見込み得ることになったのでありまして、これが
自然増収を
財源として
昭和三十一
年度予算に四百億円を追加
補正し、うち百億は
地方交付金に、三百億円は
産業投資特別会計に
繰り入れんとするものであります。元来、わが国
財政制度は単
年度制度を採用して参っておるのでありまして、
財政法第十二条には、各
会計年度における
経費は、その
年度の
歳入をもってこれを支弁すべきことを明確に
規定いたしております。さらにまた、追加
予算は、
原則として緊急必要やむを得ない
経費を
所要する場合においてのみ計上さるべきであると存ずる次第であります。しかるに、
産業投資特別会計に
繰り入れまする三百億円は、その半分を
昭和三十二
年度に、残額百五十億円を
昭和三十三
年度以降に使用せんとするものでありまして、これが
措置のために別途
所要の法律案を提出されておりまするのと、
財政法に
資金の保有をなし得るの
規定等もありますので、法律的、形式的には必ずしも違法の
措置と申すべきではないかと存じますが、前にも申し述べましたように、必ずしも妥当なものとは申しがたいように存じます。特に
昭和三十三
年度以降に使用することを予定いたしておりまする百五十億円につきましては、
財政法第六条の
原則に従って、
決算確定を待って、
昭和三十三
年度に
措置いたしましても不都合を生ずるようなことにはならないのでありまして、今回の
措置が、前例として将来も当然のこととして繰り返されませんよう、
財政法の解釈なり運用は、あくまで厳密にされますることを
希望する次第であります。
次に、わが国産業
経済の異常な進展に即応し、さらに一段と飛躍的な発展を講じまするために、電力等基幹産業の
拡充を講じますることも、きわめて困難な状況にある住宅問題を
解決することも、目下の最大急務でありまして、
政府が重点施策として、これらの問題の
解決に対処されんとする趣旨に対しましては、全く同感でありまして、すみやかにこれが成果を期待するものでありまするが、しかし、
産業投資特別会計を通じまして住宅問題の
解決をはからんとせられておりますることは、どうかと存じまする次第であります。すなわち、
産業投資特別会計は、電力、石炭等基幹産業の発展を目途として設定されたものであることは申すまでもありません。住宅の
建設も、産業の発展に全然関係ないとは申し切れないと存じますが、少くとも常識上は産業の範囲を逸脱しておると解すべきでありましょう。存在する幾多の
特別会計は、いずれも一定の限られた目的をもって設けられております以上、時の
政府の都合によって拡大解釈がとられて運用されるということになりますれば、ついには収拾すべからざる混乱を生ずる危険を感ずるのでありまして、
特別会計の運用につきましては、その
会計本来の
使命を厳密に理解し、善処されんことを要求するものであります。
次に、
補正第2号についてであります。
食管特別会計の
昭和三十
年度赤字三十余億円は、本案によりまして
一般会計から補給することになっておりますが、現に予見されておる
昭和三十一
年度赤字見込額百六十億円につきましては、
決算確定を待ってこれが処理を行うということでありまして、
特別会計の
規定に照して一応了承されるところでありますが、さきに石橋
内閣におきましては、
食管特別会計の
赤字対策として
消費者米価の
値上げを
決定されたのでありますが、その後諸般の情勢よりして、
消費者米価値上げの閣議
決定を白紙に還元し、
調査会を設けて
食管特別会計の全体にわたって調査を行い、その結論を参考として
赤字処理の根本的方策を講ずることになりました。もちろん本
調査会の運営に何らの作為があるものとは存じませんが、世上、前後のいきさつからいたしまして、
消費者米価値上げを理論づけようとするためのものであるというような危惧がないわけでもありません。
政府は、わが国
経済の自立と
インフレ回避という至上命題に立って、食糧自給度の向上に対処しつつ、
食管会計の合理的健全化をはかるとともに、生産者、消費者双方の米価に遺憾なきを期せられたいのであります。
次に、
沖縄県民に対する土地
補償に充てられる十億円であります。本来、
米国政府の
責任において処置されるべきものでありまするが、諸般の手続上、急速に
解決し得ない現状にかんがみ、取りあえず
見舞金として立てかえを行うものでありまして、きわめて適切な
措置と存じますが、
本件解決上、十億円が
補償に対する基準であるかのごとき印象を与えて、合理的な
解決に対する障害となるようなことがありましては、親切がかえってあだになるのでありまして、
かくのごとき遺憾な結果が生じませんよう留意を払うとともに、
本件の具体的
解決に対し、日本
政府としてなし得る最善を尽して、同胞
沖縄県
関係者のために努力せられまするよう
希望する次第であります。
以上、四点を申し述べ、重ねて
原案に賛意を表し、
討論を終ります。(
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