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1957-03-22 第26回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十二日(金曜日)    午後四時九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十六号   昭和三十二年三月二十二日    午前十時開議  第一 裁判官弾劾裁判所裁判員辞   任の件  第二 放送法第三十七条第二項の   規定に基き、国会承認を求め   るの件(衆議院送付)           (委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、御報告いたします。去る十八日、議長からフィリピン共和国上院議長あてマグサイサイ大統領逝去につき弔電を送りましたのに対し、一昨二十日、次の謝電を受領いたしました。  フィリピン共和国上院を代表し、わが国大統領遭難に対する貴院の御弔電を感謝いたします。現政府は故マグサイサイ大統領の貴国に対する親善政策を継承することを表明しております。      ——————————
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、裁判官弾劾裁判所裁判員辞任の件。  有馬英二君から、裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官弾劾裁判所裁判員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
  8. 宮田重文

    宮田重文君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  9. 光村甚助

    光村甚助君 私は、ただいまの宮田君の動議賛成いたします。
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮田君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に一松定吉君を指名いたします。      ——————————
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長剱木亨弘君。   〔剱木亨弘登壇拍手
  13. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件について、逓信委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会昭和三十二年度収支予算事業計画及び資金計画について国会承認を求めんとするものでありまして、その内容を申し上げますと、まず収支予算につきましては、ラジオ関係においては、支出総額百二十七億一千百余万円に対して、収入百二十六億一千百余万円、前期繰越収支剰余金一億円を予定しておりまして、これを前年度に比べますと、総額において八億九千四百余万円の増加となっております。しかして収入増加のおもなものは、放送設備建設に充当するための放送債券三億円及び受信者新規増加四十五万に伴う四億四千余万円であり、支出増加のおもなものは、建設費四億三千五百万円及び給与費二億六千三百余万円であります。  また、テレビジョン関係におきましては、収支総額おのおの二十九億一千二百余万円でありまして、前年度に比べて、それぞれ十億四千七百余万円の増加となっております。しかして収入増加のそのほとんどが、受信者三十万の新規増加によるものであり、支出増加のおもなるものは、建設費二億五千四百余万円、給与費一億一千七百余万円及び放送費四億三百余万円であります。受信料収入については、ラジオ及びテレビジョンともに前年度と同額の、ラジオ月額六十七円、三カ月二百円、テレビジョン月額三百円として、それぞれ算出しております。  また、事業計画につきましては、その主眼を、ラジオにおいては難聴地域解消老朽設備改善及び放送番組内容充実等に、テレビジョンにおいては、岡山、熊本、鹿児島の完成のほか、八局の建設、福岡の増力及び既設局改善並びに放送番組内容充実等に、技術研究においては、放送技術の基礎的並びに実用的研究を積極的に行い、特に受信機及び受像機改善研究とともに、カラーテレビジョン及びFMの実験放送を行うことに置いております。  次に、資金計画につきましては、右の収支予算及び事業計画に基いて、年度中における資金の出入に関する計画をいたしてあります。これら収支予算等に対し、郵政大臣は、おおむね妥当なものと認める旨の意見を付してあります。  逓信委員会におきましては、政府及び日本放送協会の各当局につき詳細にわたり質疑を行い、本件慎重審議をいたしたのでありますが、そのおもなる点を申し上げますと、政府より交付すべき国際放送に要する費用の不足分一般放送費より補てんすることの可否、テレビジョン放送建設に伴い、放送債券発行限度三十億円の適否ラジオ電力局配置計画についての方針教育テレビジョン放送の構想、テレビジョン受像機低廉化ラジオテレビジョンとの経費流用禁止適否及び厚生施設拡充並びに従業員待遇改善等でありました。なお、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かく質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して、山田委員より、次のような希望を付して本案に賛成する旨の意見が述べられました。その要旨は、「日本放送協会使命は、ますます重要性を加えてきた今日、政府及び協会は相協力して、次の諸事項の実現に努められたい。一、ラジオテレビともに、番組編成に当っては教育的番組拡充に努めること。二、すみやかにテレビ全国放送網を完成するため適切な措置を講ずること。三、外国放送電波の混信を防止するため中波大電力放送設備を強化すること。四、技術、文化の調査研究充実をはかり、使命達成に努めること。五、国際放送に対しては、政府及び協会一体となって万全の措置を講ずること。六、厚生施設拡充職員給与改善に一そう努力すること」というのであります。  かく討論を終え、採決をいたしましたところ、全会一致をもって、原案通り承認すべきものと議決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件採決をいたします。  本件全部を問題に供します。委員長報告通り本件承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事報告させます。   〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)可決報告書      ——————————
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)  昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)  昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)  昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)  以上、五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長苫米地義三君。   〔苫米地義三登壇拍手
  19. 苫米地義三

    苫米地義三君 ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第1号)、同一般会計予算補正(第2号)、同特別会計予算補正(特第2号)及び同政府関係機関予算補正(機第1号)の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  一般会計及び特別会計の第一次補正は、経済好況に伴う一般会計自然増収の一部を、産業投資特別会計に新たに設ける資金繰り入れ、今後の産業投資経済情勢に応じて計画的に行う道を開くとともに、所得税及び法人税増収額に見合う地方交付税交付金を追加計上することを内容とするものであります。すなわち、所得税及び法人税増収四百億円を財源とし、そのうち三百億円を産業投資特別会計資金繰り入れ、同会計原資の補完に充当するとともに、百億円を地方交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れ地方交付税交付金財源に充当しようとするものであります。  次に、一般会計予算補正(第2号)ほか二件の第二次補正は、三十一年度予算作成後に生じた事由により、当面必要とされる最小限度所要額を計上いたしたものであります。すなわち、戦傷病者戦没者遺族等援護費二十八億円、国民健康保険助成費十億円、義務教育費国庫負担金十七億円、旧軍人遺族等恩給費二十六億円、地方交付税交付金十億円等を追加計上するとともに、沖縄関係特別措置費十一億円を新規計上し、なお、食糧管理特別会計の三十年度赤字補てんのため、三十四億円を同特別会計繰り入れることといたしております。  第二次補正財源といたしましては、酒税物品税、関税の増収百三十億円のほか、雑収入等約十七億円を計上いたしております。  第一次及び第二次補正の結果といたしまして、昭和三十一年度一般会計予算総額は、歳入歳出ともに五百四十七億円を増加いたしまして、一兆八百九十六億円と相なるのであります。なお、特別会計及び政府関係機関予算についても、所要補正が行われております。以上が昭和三十一年度予算補正の概要の内容であります。  予算委員会におきましては、池田大蔵大臣より提案理由説明を聞き、三月十九日、二十日及び二十二日の三日間にわたって、岸内閣総理大臣並びに関係閣僚に対し質疑を行いました。以下、これら質疑のうち二、三のものについて簡単に御報告申し上げます。  「今回の補正予算は、産投特別会計資金への繰り入れ及び地方交付税増額などのように、三十一年度自然増収を三十二年度以降の財源として使用しようとするものが多く、補正予算の要件たる緊急性を欠くのみならず、財政法会計年度独立原則に違反する疑いがある。食管会計赤字は、何ゆえに三十年度分だけを補てんして三十一年度分を補てんしないのか。また、地方交付税増額合計百十億円については、当然三十一年度分として地方に交付すべきものを、ほとんど全部三十二年度分として交付するばかりでなく、これをひもつきとして地方債元利償還に充てさせることは交付税の建前に反するものではないか。また、地方債元利補給金は、本来、交付税とは別途に国から支出すべきものであり、これを交付税でまかなうのは、地方にとっては自分自分財源を食うに過ぎないではないか」などの質疑がありました。  これに対して政府側から、大体次のような答弁がございました。「各会計年度経費は、その年度歳入をもって支弁するのが原則であるが、それと同時に、財政法継続費や特別の資金等の例外も認めている。三十一年度には千百億円にも上る異常な自然増収が見込まれるので、財政法第四十四条の規定に基く資金を設けることは、何ら財政法違反でないばかりでなく、財政弾力性を持たせ、その効率化をはかる上に必要かつ適切である。三十一年度食管会計赤字については、決算確定後にこれを補てんするのが本則である。ことに今回は政府内に設けられた臨時食糧管理調査会において、価格体系や損失の処理等について根本的検討を加えることとなっているので、決算確定を待って措置することにした次第である。また、地方交付税増額は、所得税法人税及び酒税増収に伴う当然の結果であるが、三十一年度中に全部は使用しきれないので、二十四億円を三十一年度分として交付するほか、残余は三十二年度交付税に加算して交付することとした。しこうして三十二年度においては、地方交付税配分基準公債費が加えられるので、今回の補正による地方交付税増額は、結局、公債費対策の一環となるのである。」以上のような政府側答弁がありました。このほか委員会における質疑は、きわめて広範多岐にわたっておりましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくして本日をもちまして、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して吉田委員反対自由民主党を代表して迫水委員賛成緑風会を代表して森委員賛成の旨それぞれ述べられました。  これで討論を終り、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十一年度補正予算五案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 五案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。吉田法晴君。   〔吉田法晴登壇拍手
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和三十一年度予算補正五案に対する反対論をなさんとするものであります。  反対理由の第一は、今回の補正は、財政法精神を根本的に踏みにじっておることであります。すなわち、第一次の補正予算に計上された産業投資特別会計への繰り入れ及び地方交付税特別会計への繰り入れは、いずれも三十二年度またはそれ以降において使われるものであり、会計年度独立という財政法根本原則を踏みにじっております。特に今回提案されております産業投資特別会計への資金三百億円は、三十二年度、三十三年度に使用しようとして、無理に財政法第四十四条の資金の形にでっち上げて、合法の形をとっているのであります。池田大蔵大臣は、本年度自然増収が異例なものだとして、これを財政投融資に使うのが日本経済にとって最も緊急であると、ひとりぎめをして、当初の産業投資資金減少方針をひっくり返して、官僚統制への第一歩を踏み出しておるので侮りますが、三十三年度に百五十億円を何に使うのが最も適当であるかは、今日とうていきめ縛ることではありません。今回の措置は、三十三年度歳出を今から拘束するもので、はなはだ不当と言わなければなりません。  さらに、第二次補正のごときは、その大部分が三十二年度予算編成に際しての復活要求のはみ出し分であります。大蔵省原案に対し二千五、六百億円に上る復活要求を出された政府が、ついに一般会計において二百二十九億円の復活を認めざるを得なくなり、昭和三十二年度財政規模の膨張をごまかすために、そのうちの八十一億円を三十一年度予算補正として組んだものであることは明白な事実でありまして、単年度予算主義により、その年の租税収入と、その年に支出せられる財政支出は、その年の予算として、国会国民承認し、監督するという財政法精神をじゅうりんする以外の何ものでもありません。従って補正予算緊急性のごときは、五案ともどこにも、ごうまつも発見することができないところであります。  反対理由の第二は、昭和三十一年度予算説明にうたわれた方針政策は、ことごとくくつがえされ、自民党の失政が明瞭となり、危険信号さえ出ているが、補正予算五案は、何らこれを救うべき方向を示していないからであります。昭和三十一年度自然増千百億円は、自民党資本主義原則によれば、減税として国民に還元すべきものであります。もしそうでなければ、計画的、社会的に経済及び国民に還元支出さるべきものであります。しかるに、そのいずれの措置もとられていないのであります。昭和三十一年度予算説明書には、こう書いてあります。「貿易収支は黒字となり、財政資金支払い超過となる。投資需要消費需要貯蓄傾向とも保ち合いで、金融機関資金繰りは好転し、日銀依存度は低下し、オーバーローンは解消され、金利は低下し、金融正常化は急速に進行する」と、しかるに事態は、全く現在逆であります。国際経済の繁栄、景気の上昇の頭打ちの影響を受けて、三十一年度予算編成当時の欧米の経済事情同様に現在なりつつあります。輸出の伸び悩みに反し、輸入は増大し、手持ち外貨減少し、年度末現象もございますけれども、引き揚げ超過となり、公定歩合の引き上げ等、ついに金融部面赤字信号が出て参るに至りました。防衛関係費軍人恩給等のみ確実に増加し、インフレ傾向さえ見え始めております。経済外交を呼号しつつも、アメリカにのみ依存して、欧州共同体市場に対する対策も十分でないし、中国貿易アジア貿易の進展もなく、自主経済は望むべくもありません。説明にある経済健全化通貨価値の安定、インフレを避け、経済自立目標とし、生産基盤の強化をはかり、輸出振興雇用の促進をはかるという目標政策も、今や完全に失敗しておることがすでに明々白々であります。(拍手)これひとえに、政治が計画的、社会的でないからであります。しかも、補正予算五案は、これを救うべき何らの方向も持っておりません。反対理由の第二であります。  反対理由の第三は、食管特別会計の三十一年度赤字補正に組んでいないということであります。食管会計は毎年赤字を出しており、三十二年度に予想される赤字を加えると、三百三十五億円の多額に上るのであります。政府は、今回の補正において、三十年度末の赤字三十三億円だけを組み、確実に予想される三十一年度赤字百六十一億円を補正に組んでいないのであります。その年度歳出はその年度歳入をもって充てるという財政法精神に照しましても、当然三十一年度赤字補正に組むべきものであります。しかのみならず、今回の補正に組まれております三十年度赤字も、河野農林大臣責任であります。河野前農相は、三十年度予算補正に際して、三十年度はこれ以上赤字を出さない、迷惑をかけないと約束をいたしましたけれども、こういう事態が生じて参りまして、三十年度決算において、三十三億の赤字を生じたものでありまして、ずさんきわまる収支予想を組み、国会をだましたというほかございません。また現内閣は、三十二年度予算編成方針決定に当って、消費者米価値上げを一たん閣議決定をしておきながら、党内抗争選挙を考慮したのか、その方針を変更し、調査会の結論を待って処置をするというごまかし方法をとるに至ったのでありますが、三十一年度分の赤字を今回の補正に組まないところを見ますと、依然として消費者米価値上げ方針を捨てていないものと解さざるを得ないのであります。かくのごときあいまいなる、国民を欺く政府態度は断じて許すことができません。(拍手)  反対理由の第四は、地方財政に対する措置であります。地方交付税交付金は、第一次補正で百億円、第二次補正で十億円、計百十億円を追加計上しておりますが、これは、国税三税の二五%という税率をそのままにして、自然増収に見合う額を計上しただけで、三十三年度において精算交付される分の先食いをしたにすぎません。断じて増額ではないのであります。しかも、このうち八十六億円は、地方債元利補給に充当されるものであって、自主財源たるべき交付税特定財源に充当いたしますならば、これまた不当な措置であります。地方債の現在高は実に五千二百億、ここ数年をいでずして地方債償還額借入額がひとしくなると言われておる地方財政の現状から考えてみますならば、かくのごときなまやさしい措置では、とうてい地方債の重圧から地方財政窮乏を救うことはできません。これでは明らかに地方財政窮乏を、三十一年度自然増収で救うというものでは決してありません。公債費元利補給要望している自治体の要請にこたえるゆえんでもありません。これ反対の第四の理由であります。  第五の反対理由は、独占資本に回る産業投資特別会計への三百億と旧軍人等遺家族恩給費等消費的支出がおもなものであって、中小企業金融にも、農業投資にも、公務員給与改善等にも、ほとんど見るべき支出がないか、あるいは皆無であります。社会保険社会保障関係費も申しわけ的であります。千百億の自然増収国民生活の安定のために支出するについて、皆無であるか、きわめて不十分であると言わなければなりません。公務員給与は、民間給与に比して一昨年五月、一一%の差があるとして、昨年七月、千二百円ベース改訂を勧告していることは御承知通りであります。従来は補正予算において、たとえば本年一月一日以降ベース改訂をすべきにもかかわらず、今次補正予算において何らの措置もしてございません。雇用の増大をうたいながら、日雇いの首切りが行われ、ふえたのは臨時工のみであって、事態は三十一年度予算説明に全く逆行をいたしておるのであります。新農村計画は多く有線放送施設に終っているし、農業改良費その他農業投資減少補正でカバーすべき何ものもございません。国民金融公庫や商工中金等中小企業者金融実態は、希望を公けにつのることができず、関係者はせめて三倍の原資要望しておるのでありますが、補正予算においては何の考慮も払っておりません。義務教育費については、本院予算委員会において、湯山委員が指摘いたしましたように、六十名以上の学級が六千、市町村負担学級が三千五百八十九、PTA負担の分が総額百億、未報告分の推定を加えますと百二、三十億が市町村PTA等負担において行われ、国が責任を持たない不十分な教育が行われておるという実情であります。第二次補正十七億、しかもその一部は年末手当でしかありません。これをもってしては、とうてい事態解消には資することができません。科学技術振興実態は、宗谷の当面した困難に何よりもよく証明されておるところであります。国民生活の安定、その他政府の約束いたしました面に充当せられない点が反対の第五の理由であります。  最後に、第二次補正に組まれました沖縄関係特別措置費についてでありますが、今回補正に組まれましたのは、土地等所有者に対する見舞金十億円と、引揚げ困窮者に対する貸付金一億円にすぎませんが、土地等補償百七十一億円は、当然米国が行うべきものであり、沖縄を含む九千万の日本国民の強い要望である祖国復帰、四原則貫徹実現をいたしますならば、かようなこそくな措置はとらなくてもいいものであります。政府は、「施政権返還に努力する、四原則貫徹を申し入れておる」と申しておりますけれども、裏では、自民党としてレムニッツアー声明の線で解決に努力し、この十一億の支出も、その緩和された軍用地新規接収一括払い協力せんとしつつあるかのごとくであります。わが党は、強い国民運動によって、四原則貫徹施政権返還を要求し、米国補償見合いの本見舞金も、小笠原の例を考えますならば、少くとも二十五億円は支出すべきものであり、退職吏員への恩給四千万円、徴用船舶への補償一億、郵便貯金簡易保険等六千五百万円、引揚者厚生資金二億七千万円は支出すべきものであって、合計三十億円の支出を要求いたしたのであります。交通も自由でなく、問題解決祖国協力をひたすら切望をいたしております沖縄八十万の県民切望に対して、政府自民党は、なお対米協力態度を捨てておりませんが、子供たちまま子でないならば、まま兄弟でないならば、祖国のお母さん、お父さん、お兄さん、お姉さん、家族団結して私どもに手を差し伸べてもらいたい、解放してもらいたいという沖縄八十万の県民要望は、直ちに実現せられるべきであり、補正予算に計上せられました十一億の見舞金等も不十分であります。  以上、六点の理由をあげて、補正予算五案に対します社会党反対討論といたす次第であります。(拍手)     —————————————
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 安井謙君。   〔安井謙登壇拍手
  23. 安井謙

    安井謙君 私は参議院自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました第一次及び第二次補正予算に対しまして、賛成の意を表明するものであります。  昭和三十一年度におけるわが国の経済情勢を顧みますと、わが党年来の宿願であります経済基盤の拡大強化と国民生活の向上の方途は、着々その効果を現わして参りまして、三十一年度には、いわゆる神武以来の景気と言われる好況を招くに至りました。(拍手)この好況に伴って、租税収入予算編成当時の見通しをはるかに上回る大幅な増加がもたらされたのであります。今回の二次にわたる予算補正は、この増収をもって、本予算作成後に生じた事由により、当面必要とされる最小限度所要額に充てるとともに、将来にわたり最も有効と認められる目的に充当いたさんとするものでありまして、その性格は、各般の経済情勢に即応したきわめて弾力的な財政政策であるということができるのであります。  すなわち、第一次補正予算において、一般会計から三百億円を産業投資特別会計繰り入れ、三十二年度及び三十三年度財政投融資原資に充てておりますのは、三十一年度自然増収をもって積極的に国民経済を発展させ、産業基盤を拡大強化せんとするものでありまして、この考えは、三十二年度予算編成を通してとられたわが党の積極政策と全く緊密一体をなすものであるということができるのであります。  三十一年度増収分を三十二年度財政投融資原資に充てることについては、財政法違反との意見社会党にあるようでありますが、この繰入措置は、財政法規定に従って特別立法を行い、財政弾力性を与えているのでありまして、何ら財政法に抵触するところはないのであります。三十一年度における異常な増収を、全額三十三年度で使用するよりは、むしろ財政需要の増大が予想される三十二年度と三十三年度を通じて、適宜有効に使用することが、財政基盤を確保し、経済弾力性を持たせて行く上に、きわめて適切な措置であることは言うまでもありません。  食管会計赤字補てんにつきましては、政府案は、三十年度決算確定分三十四億円を第二次補正措置し、三十一年度赤字については、決算の確定を待って措置する方針でありますが、これに対して社会党の諸君は、過去の赤字全部について直ちに処理するため、産業投資特別会計への繰入金を全額削除して、これに充てよというようであります。これは食管会計の過去の赤字全部を直接消費者に負担させるのではないかとの疑いからと思われますが、そのようなことが絶対にあり得ないことは、しばしば大蔵大臣が明確に答弁をいたしておる次第でも明らかであります。  米価の問題につきましては、わが党は、新たに設置いたします臨時食糧管理調査会の公正妥当な結論に待つという方針に変りはないのであります。いまだ確定もしていない三十一年度赤字をあくまでも補てんすべしという態度には、にわかに賛成いたしかねるのであります。なお、第一次、第二次補正により、地方交付税交付金が百十億増加いたしており、そのうち八十六億円をもって、三十二年度給与財源その他に充当された地方債の処理に充てしめる措置をとっておりますことも、地方財政強化に一歩前進したものと言い得るでありましょう。  さらに、今回の補正予算において、沖縄住民に対する十一億円の特別措置費が計上されております。この金額は決して十分であるとは存じませんが、多年アメリカの施政のもとにおって、いろいろと苦労されております沖縄の同胞諸君に対する心からなるお見舞の金であります。わが党といたしましては、占領以来の土地問題が、アメリカ政府の理解と好意のもとに、すみやかに解決いたしますことを期待することはもちろん、進んで沖縄施政権そのものが、日本に返還される日の一日もすみやかならんことを切望する次第であります。  要するに、この二つの補正予算は、当面必要な最小限度措置を講ずるとともに、三十一年度の異常なる自然増収を、各年度を通じて適宜にこれを使用するさとによって、わが党の掲げる積極的域策をより効果的に推進せんとするものでありまして、最も当を得た措置として賛意を表する次第であります。  以上をもって補正予算に対する賛成討論といたします。(拍手)     —————————————
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 森八三一君。   〔森八三一君登壇拍手
  25. 森八三一

    ○森八三一君 私は、ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計予算補正第1号ほか四案につきまして、緑風会を代表して、以下申し述べまする希望意見を付し、政府の格段の留意と努力を期待し、原案に賛意を表する次第であります。  まず、補正第1号についてであります。本案は、世界的な好況に伴い、わが国産業が予期以上の驚くべき進展を示し、経済界も未曾有の活況を呈し、昭和三十一年度歳入におきまして一千億円余の自然増収を見込み得ることになったのでありまして、これが自然増収財源として昭和三十一年度予算に四百億円を追加補正し、うち百億は地方交付金に、三百億円は産業投資特別会計繰り入れんとするものであります。元来、わが国財政制度は単年度制度を採用して参っておるのでありまして、財政法第十二条には、各会計年度における経費は、その年度歳入をもってこれを支弁すべきことを明確に規定いたしております。さらにまた、追加予算は、原則として緊急必要やむを得ない経費所要する場合においてのみ計上さるべきであると存ずる次第であります。しかるに、産業投資特別会計繰り入れまする三百億円は、その半分を昭和三十二年度に、残額百五十億円を昭和三十三年度以降に使用せんとするものでありまして、これが措置のために別途所要の法律案を提出されておりまするのと、財政法資金の保有をなし得るの規定等もありますので、法律的、形式的には必ずしも違法の措置と申すべきではないかと存じますが、前にも申し述べましたように、必ずしも妥当なものとは申しがたいように存じます。特に昭和三十三年度以降に使用することを予定いたしておりまする百五十億円につきましては、財政法第六条の原則に従って、決算確定を待って、昭和三十三年度措置いたしましても不都合を生ずるようなことにはならないのでありまして、今回の措置が、前例として将来も当然のこととして繰り返されませんよう、財政法の解釈なり運用は、あくまで厳密にされますることを希望する次第であります。  次に、わが国産業経済の異常な進展に即応し、さらに一段と飛躍的な発展を講じまするために、電力等基幹産業の拡充を講じますることも、きわめて困難な状況にある住宅問題を解決することも、目下の最大急務でありまして、政府が重点施策として、これらの問題の解決に対処されんとする趣旨に対しましては、全く同感でありまして、すみやかにこれが成果を期待するものでありまするが、しかし、産業投資特別会計を通じまして住宅問題の解決をはからんとせられておりますることは、どうかと存じまする次第であります。すなわち、産業投資特別会計は、電力、石炭等基幹産業の発展を目途として設定されたものであることは申すまでもありません。住宅の建設も、産業の発展に全然関係ないとは申し切れないと存じますが、少くとも常識上は産業の範囲を逸脱しておると解すべきでありましょう。存在する幾多の特別会計は、いずれも一定の限られた目的をもって設けられております以上、時の政府の都合によって拡大解釈がとられて運用されるということになりますれば、ついには収拾すべからざる混乱を生ずる危険を感ずるのでありまして、特別会計の運用につきましては、その会計本来の使命を厳密に理解し、善処されんことを要求するものであります。  次に、補正第2号についてであります。食管特別会計昭和三十年度赤字三十余億円は、本案によりまして一般会計から補給することになっておりますが、現に予見されておる昭和三十一年度赤字見込額百六十億円につきましては、決算確定を待ってこれが処理を行うということでありまして、特別会計規定に照して一応了承されるところでありますが、さきに石橋内閣におきましては、食管特別会計赤字対策として消費者米価値上げ決定されたのでありますが、その後諸般の情勢よりして、消費者米価値上げの閣議決定を白紙に還元し、調査会を設けて食管特別会計の全体にわたって調査を行い、その結論を参考として赤字処理の根本的方策を講ずることになりました。もちろん本調査会の運営に何らの作為があるものとは存じませんが、世上、前後のいきさつからいたしまして、消費者米価値上げを理論づけようとするためのものであるというような危惧がないわけでもありません。政府は、わが国経済の自立とインフレ回避という至上命題に立って、食糧自給度の向上に対処しつつ、食管会計の合理的健全化をはかるとともに、生産者、消費者双方の米価に遺憾なきを期せられたいのであります。  次に、沖縄県民に対する土地補償に充てられる十億円であります。本来、米国政府責任において処置されるべきものでありまするが、諸般の手続上、急速に解決し得ない現状にかんがみ、取りあえず見舞金として立てかえを行うものでありまして、きわめて適切な措置と存じますが、本件解決上、十億円が補償に対する基準であるかのごとき印象を与えて、合理的な解決に対する障害となるようなことがありましては、親切がかえってあだになるのでありまして、かくのごとき遺憾な結果が生じませんよう留意を払うとともに、本件の具体的解決に対し、日本政府としてなし得る最善を尽して、同胞沖縄関係者のために努力せられまするよう希望する次第であります。  以上、四点を申し述べ、重ねて原案に賛意を表し、討論を終ります。(拍手
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより五案の採決をいたします。五案全部を問題に供します。五案の表決は記名投票をもって行います。五案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名を点呼〕   〔投票執行〕
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖〕
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数   百九十票   白色票   百二十一票   青色票    六十九票  よって五案は、可決せられました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十一名       森 八三一君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    田村 文吉君       竹下 豐次君    村上 義一君       廣瀬 久忠君    大谷 贇雄君       武藤 常介君    川口爲之助君       北 勝太郎君    鹿島守之助君       石井  桂君    松岡 平市君       伊能繁次郎君    加藤 正人君       梶原 茂嘉君    加賀山之雄君       奥 むめお君    堀末  治君       有馬 英二君    苫米地英俊君       近藤 鶴代君    上林 忠次君       佐藤 尚武君    藤野 繁雄君       西川甚五郎君    谷口弥三郎君       新谷寅三郎君    杉山 昌作君       後藤 文夫君    石黒 忠篤君       本多 市郎君    鶴見 祐輔君       草葉 隆圓君    仲原 善一君       成田 一郎君    松村 秀逸君       鈴木 万平君    柴田  栄君       大沢 雄一君    西川弥平治君       重政 庸徳君    土田國太郎君       斎藤  昇君    雨森 常夫君       永野  護君    迫水 久常君       三木與吉郎君    横川 信夫君       木島 虎藏君    安井  謙君       関根 久藏君    野本 品吉君       秋山俊一郎君    最上 英子君       岩沢 忠恭君    三浦 義男君       高野 一夫君    宮田 重文君       小柳 牧衞君    木内 四郎君       青山 正一君    左藤 義詮君       植竹 春彦君    石原幹市郎君       黒川 武雄君    苫米地義三君       中山 壽彦君    泉山 三六君       大野木秀次郎君    寺尾  豊君       井村 徳二君    伊能 芳雄君       井上 清一君    小沢久太郎君       西田 信一君    稲浦 鹿藏君       吉江 勝保君    平島 敏夫君       勝俣  稔君    小西 英雄君       佐藤清一郎君    吉田 萬次君       横山 フク君    榊原  亨君       佐野  廣君    青柳 秀夫君       白井  勇君    高橋進太郎君       山本 米治君    大谷 瑩潤君       寺本 廣作君    剱木 亨弘君       小幡 治和君    上原 正吉君       古池 信三君    小滝  彬君       館  哲二君    郡  祐一君       西郷吉之助君    小林 武治君       紅露 みつ君    小山邦太郎君       石坂 豊一君    下條 康麿君       野村吉三郎君    笹森 順造君       林屋亀次郎君    木村篤太郎君       津島 壽一君    江藤  智君       田中 茂穂君    林田 正治君       中野 文門君    白木義一郎君       大竹平八郎君    北條 雋八君       天坊 裕彦君     —————————————  反対者(青色票)氏名     六十九名       大矢  正君    森中 守義君       北村  暢君    鈴木  強君       藤田藤太郎君    相澤 重明君       松永 忠二君    占部 秀男君       森 元治郎君    木下 友敬君       平林  剛君    山本 經勝君       岡  三郎君    亀田 得治君       秋山 長造君    久保  等君       柴谷  要君    安部キミ子君       千葉  信君    戸叶  武君       大倉 精一君    田畑 金光君       吉田 法晴君    中田 吉雄君       松澤 兼人君    河合 義一君       藤田  進君    島   清君       赤松 常子君    三木 治朗君       東   隆君    荒木正三郎君       市川 房枝君    八木 幸吉君       岩間 正男君    横川 正市君       竹中 恒夫君    鈴木  壽君       大河原一次君    伊藤 顕道君       千田  正君    光村 甚助君       鈴木  一君    湯山  勇君       加瀬  完君    坂本  昭君       阿部 竹松君    安部 清美君       松澤 靖介君    椿  繁夫君       海野 三朗君    中村 正雄君       矢嶋 三義君    小林 孝平君       小酒井義男君    永岡 光治君       松浦 清一君    天田 勝正君       高田なほ子君    羽生 三七君       岡田 宗司君    佐多 忠隆君       曾禰  益君    栗山 良夫君       山下 義信君    清澤 俊英君       棚橋 小虎君    内村 清次君       山田 節男君      ——————————
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会