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1957-05-14 第26回国会 参議院 法務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            一松 定吉君            宮城タマヨ君            棚橋 小虎君    委員            青山 正一君            大川 光三君            小林 英三君            吉野 信次君            赤松 常子君            河合 義一君            小酒井義男君            後藤 文夫君            辻  武寿君   政府委員    警察庁刑事部長 中川 董治君    法務政務次官  松平 勇雄君    法務大臣官房経    理部長     竹内 壽平君    法務省民事局長 村上 朝一君    法務省保護局長 福原 忠男君    法務省入国管理    局長      伊關佑次郎君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務大臣官房調    査課課付検事  田坂 友男君    法務省民事局参    事官      平賀 健太君    法務省刑事局刑    事課長     横井 大三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際海上物品運送法案内閣提出、  衆議院送付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (畜犬取締対策に関する件) ○恩赦審議会設置に関する請願(第二  〇五三号)(第二〇七一号) ○巣鴨刑務所在所戦犯者釈放促進に  関する請願(第二五〇号) ○群馬県前橋地方法務局沼田支局庁舎  新築促進に関する請願(第三三七  号) ○岡山地方法務局高梁支局庁舎新築に  関する請願(第六八七号) ○香川県丸亀拘置支所新築移転反対に  関する請願(第二二八五号) ○印鑑法制定等に関する請願(第六〇  一号) ○中国通商代表部員入国滞在に関す  る請願(第一〇八二号) ○司法官等の優遇に関する請願(第一  八一九号)   —————————————
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) これより本日の会議を開きます。  国際海上物品運送法案議題といたします。御質疑の方は発言を願います——質問はございませんか、別に御発言もなければ質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本米治

    委員長山本米治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  4. 山本米治

    委員長山本米治君) 御異議ないと認めます。  それでは採決に入ります。国際海上物品運送法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  5. 山本米治

    委員長山本米治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山本米治

    委員長山本米治君) 御異議ないと認めます。  それでは順次御署名を願います。   多数意見者署名     一松 定吉  大川 光三     青山 正一  小酒井義男     河合 義一  小林 英三     赤松 常子  宮城タマヨ     棚橋 小虎  吉野 信次     後藤 文夫  辻  武壽   —————————————
  7. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に、畜犬取締り対策議題といたします。  近時畜犬による咬傷のみならず、これがため死に至るというがごとき事態が続発しておりますが、一般には狂犬病予病の観点から取締りが行われるにすぎず、はなはだしく実情に沿わない現状ではないかと考えられます。従いまして、保安上の取締り強化、ひいては罰則適用等、何らかの対策を推進する必要はないかと考えた次第でございます。  それでは、まず厚生省及び警察庁当局から取締り現状及び御意見等をお伺いいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記を始めて下さい。
  9. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 畜犬取締りにつきまして概要を申し上げたいと存じます。元来、犬は狂犬病予防見地から取り締っておるものでございまして、従いまして、現在狂犬病予防法によってこれを措置いたしておる次第でございます。従って、この狂犬病というものを中心にして考えますために、常時犬の飼い方あるいは常時犬の飼育方法というようなことを規定したものではございませんので、もっぱら狂犬病予防という見地に立っておるわけでございます。と申しますのは、狂犬病の蔓延はもっぱら犬によって行われております。また一方、咬傷というようなものがあった場合には、必ずかまれた人は狂犬病を疑いまして非常におそれる慣習になっておりますので、かような措置をとっておるわけでございます。この概要を申し上げますと、犬には従って予防注射を命ずるとか、あるいは登録制を実施いたしますとか、さらにまた狂犬病予防上必要があると思いますときには係留命令、つまりつないで飼えということを命令し得ることになっております。ただこの場合、狂犬病予防法現行法範囲におきましては、あくまで発生時防疫的な性格を持っております。従って狂犬病予防の必要がないと思われたときには、必ずしもこの法律適用いたしますことには多大の疑義があるわけでございます。ところが狂犬病発生状況につきましては、戦後はかなり全国的に狂犬病が蔓延いたしましたが、その後狂犬病予防法効果等も手伝いまして、最近はきわめて減少をいたしまして、東京都等におきましても過去一年間は狂犬病発生いたしておりません。かようになりますと、勢い発生時防疫的な狂犬病予防法を発動いたしまして、犬をつないでおくとか、犬の飼い方を処理いたしますことはきわめて困難な事情に相なってくるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、現在多数の飼い犬を、今直ちに狂犬病発生時防疫的な必要がないからといって、これを野放しにいたしますことは、都民に対しまするいろいろな支障も出るものと予想されますので、ざっくばらんに申し上げますと、多少法律解釈上は疑義がございましても、東京都に対しましては、今日まで犬をつないで飼っておくことを命令いたしておる次第でございます。しかしながら、これは万来狂犬病予防発生切疫的性格を持っておりますために、都民の間にもかなりこの措置につきましては疑義をいだくものがございまして、勢い係留命令が徹底しないというような実情がないではございません。それから一方係留命令をはずした地方におきましては、たとえ狂犬病の直接の被害がなくても、たとえば咬傷あるいは清掃上または畑を荒すというようないろいろな苦情が出ております、特に咬傷につきましては、全国的にもかなりその被害が見られます、私どもといたしましては、現在は必ずしもこの係留命令を徹底させることが法の建前でできませんので、指導上犬の正しい飼い方というようなことを指導いたしておる次第でございます。これらの点につきましては、狂犬病法そのものにも若干研究をしなければならぬ点もございます。また、われわれの畜犬指導立場からも、いろいろ今後研究しなければならぬ点があろうかと存じますが、これらの問題に関しましては、いずれ御意見を伺いまして、十分に善処をいたす所存でございます。
  10. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に、警察庁の方から、この取締り問題について実情及び意見等一つお述べ願います。
  11. 中川董治

    政府委員中川董治君) このただいま議題になっておりますものは、犬の問題にからむ犯罪並びにこれの事故防止の問題のように承わったのでありますが、ただいまの厚生省環境衛生部長からお話がありました通り、本件につきましては、現行法令といたしましては狂犬病予防法がある。これが特別法としてある。それ以外は御案内刑法軽犯罪法、こういった法律に基きまして、私ども警察におきましては取締りに当っておるのであります。刑法について申し上げまするならば、皆さん非常に深い御造詣があるわけですけれども、犬にかまれた場合等において、当該犬飼い主または犬を管理しておる人に過失があったかどうか、過失がありました場合におきましては、過失傷害という問題が起って参るのであります。ことに飼うことについて業務責任があるものについては、業務過失傷害の罪、こういう点も考えられるのでありまして、犬によるところの災害が起きました場合におきましては、刑法規定によりまして事案を問擬して、警察庁におきましてはこれを立件して送致して参る。検察庁におきましては必要により起訴されて、あるいは裁判において有罪の判決を受けたような事例もあるようであります。そのほかに軽犯罪法がございますので、軽犯罪法に基きまして、軽犯罪を犯すというものにつきましての取締りを励行いたしておるのであります。ところが、根本的にその飼い犬係留するとかいうような問題につきましては、ただいまお話がありましたように、狂犬病予防法適用に基いて狂犬病予防見地から係留命令が出された区域につきましては、その取締りがございますけれども、それ以外にはその飼い犬取締りについてコントロールすべき法規はございません。私ども警察としてやっております事柄は、そういった事項等について犯罪として問擬する、こういう点をやっておるのでありますが、何と申しましても、犬というものを全然なくすれば一番事故がなくなると思いますけれども、なくすわけにいかぬ場合におきましては、厚生省その他、こういう飼い犬に関する指導といいますか、そういう技術経験をお持ちの方が飼い犬をよく指導する、こういうことが一番根本だろうと思うのであります。そういった点につきましては、私ども警察機関におきましては、そういう特別の技能等を持った職員等もございませんので、刑法犯軽犯罪法犯に触れる点等につきましては、事案に基いて間擬しておりますけれども、犬の飼い方自身につきましては、現存そういう指導能力を持っておりませんので、厚生省下部機構に、各都道府県庁にそういった狂犬病予防見地から指導なさっていらっしゃる方々にお願いをいたしまして、そういう方々の活動を期待すると、こういう状況でございます。それで、まあ根本的に飼い犬事故を全然なくすためにはどうしたらいいかということになりますけれども、これは大へん困難な問題でございまして、特別にそういう法律を立法するか、ないしは府県によりましては、ある程度都道府県条例等によりまして、その犬を飼うこと自体について若干の規制をやっている点もあるのでありますが、これもやはり警察と申すよりも、やはり犬の保護育成等について経験を有する方、具体的に申しますと、狂犬病予防等に関して犬に関する知識を持っておられる方々等中心になって指導をされておるような状態でございます。警察という立場のみから申しますと、やほり犯罪という点に触れる——たとえば過失によって人を殺傷する、こういった点の防止という程度しか現行法上仕方がございませんので、そういうふうな点についてのみ努力をしておるのでありますけれども、根本問題ということになりますとむずかしい問題になります。飼い犬を全然やめさしてしまうわけにもまたいかんぬかと思われる点もございますので、そういう飼い犬についての知識経験を有せられる部局等において、できるだけの指導を施していただく、これしか手がないのじゃないかと思って、苦心いたしておる状況でございます。
  12. 山本米治

    委員長山本米治君) 御意見、御質疑おありの方は御発言を願います。
  13. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 刑事部長にお尋ねしますが、軽犯罪法というのはどういうことを内容としているか、犬の取締りに関する関係のある取締りの点と、それからして、都の条例とかあるいは府県条例とかいうようなものも一部あるようでありますが、それと軽犯罪法との関係はどういうふうになっているか、その点をお尋ねいたします、
  14. 中川董治

    政府委員中川董治君) まず第一点の軽犯罪法でございますが、軽犯罪法第一条第三十号をまず読みます。三十号は、御案内かとも存じますが、「人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者一これが第一条でございますが、「拘留又は科料に処する。」こういう一項がございます。そのほかに十一号でございますが、「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠ってこれを逃がした者」、軽犯罪法に、ただいま読み上げました十二号と三十号に該当する事案につきましては、軽犯罪法拘留または科料に処せられることに相なっておりますので、こういった点の事案等があります場合におきましては、これに基いて警告もいたしますし、あるいは警告いたしまして目的を達成せぬ場合等につきましては、拘留科料でございますけれども刑事手続を進めて参る、こういうことになろうかと思います。ただし、罪が拘留または科料でございますので、こういう十二号または三十号に該当する事案ありと思料した場合等におきましては、多くの場合、との犯罪に該当する意をもって警告等を発しまして、よく関係者注意を促してもらいたい、こういうことをやっているわけでございます。  それから、この軽犯罪法で私ども警察におきまして問擬いたしました件数は、いろいろ調べ方がありますけれども昭和三十年におきましては、十二号違反で六十七件、三十号違反で二件、こういう程度のものが検挙になっている状況でございまして、その他等につきましては、警告等を実施いたしまして、事案解決に当っている状況でございます。  それから御質問の第二点の、都道府県条例についての御指摘でございますが、これは多くの県でございませんでして、私とこに今資料を持ち合していないで、まことに恐縮なんですが、埼玉県にあったように理解しております。埼玉県の場合におきましては、そういう犬を飼うことにつきましての……記憶でございますので、埼玉県の点はちょっと厚生省関係の方は違うようでございますが、私の記憶では埼玉県かどこかの県で、そういう条例が立案されたということを聞いておりますが、これはいずれも当核県衛生当局が詳しいのでございますので、厚生省の方が詳しいと思いますので、厚生省でおわかりでございましたらお聞き願いたいと思います。私はちょっと聞いた程度でございまして、厚生省の方がざらに詳しいかと思いますので、さらに調べましてから御回答いたしたいと思います。
  15. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 第二点の御指摘の点につきましては、現在条例を持っておりますのは、長崎市が畜犬条例を作っております。この内容は、みだりに犬を屋敷外に出してはならないというような規定中心となっております。ところが、この条例につきましては、ただいま中川部長からお話のありました軽犯罪法、あるいは狂犬病予防法との関係において、まことに疑義のある条例でございまして、私どもこれを検討をいたしておりますが、かような条例が現在の法律体系範囲内においてできるかどうかということは疑義がございますので、これらの点につきましては、今後さらに検討をいたしまして、一つ解決をいたしたいと思っておりますが、ただ、今までの私ども研究では、現行法令、各法令範囲内においては、多少の無理があるのではなかろうかということでございます。
  16. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 この、犬が人にかみついたというような場合には、過失傷害というようなことで罰則があるのですが、そういう事件全国で検挙された事犯の統計というようなものはできておりますか。
  17. 中川董治

    政府委員中川董治君) 軽犯罪法につきましては、罪別がこういうふうに一号、二号というふうに出ておりますので、統計がはっきり出るのでございますが、過失傷害ということになって参りますと、刑法犯一緒になって参るわけでございますので、犬によらない、犬以外による過失傷害一緒統計に入って参っておりますので、犬を原因とする過失傷害統計は、私どもただいま持っておりませんので、ちょっとお答えしかねるのですけれども、たとえばこの間東京でありました、千代田区の事件も、業務過失傷害でやったわけでございますが、二十件か三十件程度しかないのじゃないかと、私記憶に基いて想像するのでございますが、しっかりした統計は、罪種別に出ておりますので、明確にお答えできないのでございます。
  18. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 ただいまのお話で、はっきりした統計の数は出ておらないが、全国で二、三十件くらいな程度はあるであろうというふうなお話でありましたが、これは当局として、実際犬にかまれたというようなことは、わずかそのくらいなことであるとお考えになるか。事件として浮び上ってきたものはそのくらいな数であっても、実際は犬にかまれたというような事件はもっとはるかに多い、こういうふうにお認めになりますか、その点いかがですか。
  19. 中川董治

    政府委員中川董治君) これは犬にかまれて、いろいろけがをしたりなんかした事件はそれよりも多いと思います。私ども過失傷害等で問擬いたしますのには、その関係過失があったということがもちろん立証されなければいけませんことが一つと、それから過失があった場合でも、大体そういうことが被疑者関係者が大へん注意をしておった状況もあるし、若干の過失があった点も、大体警告等で事なくしておるという点もあろうかと思いますけれども、私ども考え方といたしましては、何でもかんでも刑罰でおどかしていくという考え方は適当でありませんので、でき得べくんば、関係者方々の御注意を促していく。ところが、まれにひどいやつ等につきましては、刑事責任等について問擬して参ると、こういう気持でやっておるわけでございますが、問題解決の要点は、刑法犯適用をびしびしやることのみをもって目的を達成できない点もあろうと思いますので、先ほども厚生省部長がおっしゃいましたように、飼い方の指導、これはむずかしい問題でございますが、そういった点と、並びに犬をお飼いになる方々の非常な御注意を喚起いたして、それが度をこえて悪かった場合、あるいはけががひどかった場合等につきまして、刑事責任として律していく、こういうのが実情であろうと思います。ただし、私どもは、最近こういった事故等が浮んで参りますので、われわれ刑罰のみをもっておどかすという態度は適当でございませんけれども、とかく犬にかまれたというくらいな感じを持ちがちであった住民も、犬によるところの事故を相当心配される向きも多いという、そういう社会意識も高まって参っておりますので、そういう健全な社会意識に基いて警察運営することが正しい警察運営でございますので、犬にかまれたくらいという感じを持たないで、だんだんこういうことについて注意を喚起する意味におきまして、こういった事件もできるだけ扱って参ると、こういう気持で各府県とも運営努力をしておるような次第でございます。
  20. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) ただいまお尋ねのございました咬傷件数というものは、東京都におきましては年間約八千件にわたっております。ただし、これは非常に数が多いように思われますが、犬にかまれますると、だれしもが狂犬病予防の心配をいたしますので、直ちに保健所等に届け出て参りますので、きわめて経度の咬傷も含まれるために、かく数字が多くなるのだろうと思います。なお、これらが必ずしも畜犬被害だけかと申しますと、そうではございませんで、野犬による咬傷というようなものも含まれておることは申すまでもございません。
  21. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 その軽犯罪法で犬を係留するということは、人をかむ習性のある犬については係留をしなければならぬ、こういう規定があるようにお聞きしましたが、そういう習性があるかないかということは、一ぺんかまなければ、その習性があるかないかわからぬわけです。しかし、いつ何どき犬がそのときの状況で人に普通の犬でもかみつくことがあるかもしらぬ。そうするというと、そういう普通の犬でも飼い主はやはり係留しておくことでなければ、社会一般の人が非常に脅威を感ずるわけなんです。そういう点についての取締りということはできないわけでございますか。
  22. 中川董治

    政府委員中川董治君) 棚橋委員の御指摘のごとく、軽犯軍法はすべての場合について係留を義務づけることを前提とした規定でございませんので、事柄軽犯罪法でございますから、健全なる社会常識で判断するより手はないのでありますが、こういう危ない犬を持っておる。条文は「明らかな」という文字を使っておりますので、どうもだれが見ても性質の悪い犬を放しておる。こういう場合にしか問題にできません。従いまして立法論としては、ちょうど狂犬病予防見地のみからする係留命令があると同様な点を、狂犬病予防の点以外のすべての点からそういうことを立法する可否の問題もあろうかと思いますが、この問題等につきましては、厚生省ともよく研究いたしまして、研究を続けてみたいと思いますけれども、例外なく犬をいかなる場合においても係留する必要、社会的必要があるかどうか、こういう点は、相当害を防ぐという見地からいえば、その方がいいにきまっておると思うのでございますけれども、犬を飼っておる方々が根こそぎつながなければならぬかどうかという点につきましては、その辺の考慮もあわせ考える必要があるかと思います。立法論としては、害悪、それに基く関係者の不便と、両者を考える必要があると思います。こういった点は、いろいろ厚生省とも研究を重ねて参りたいと、こう思っております。
  23. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 飼い犬ということがはっきりわかっておるものは別といたしまして、普通ののら犬、あるいは飼い犬であるという表示のない犬、そういうものに対しては、これを捕獲するとか、何かそういったようなことがあるのですか。それはどういう法規によってやっておるわけですか。
  24. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) お答え申し上げますが、現在狂犬病予防法によりまして、飼い主のないいわゆる野犬、あるいは飼い主がある標識のついていない犬、予防注射をしていない、標識のない犬等は、これを捕獲することになっております。捕獲いたしましたものを一カ所に二日間集めておきまして、その間、飼い主野犬でございますから無登録犬でございますから、無登録者飼い主がそこに見に行って、もらい下げを受ける、その場合には私どもは、ぜひ登録をするということを、あるいは予防注射をするということを勧めて、一々無登録飼い主にお返ししておるわけでございます。なお、飼い主のない野犬、純然たる野犬につきましては、それぞれこれを処分いたしておる次第でございます。
  25. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 標識がなくて係留されておらぬところの犬を捕獲人が取ったところが、それはうちの飼い犬であるということで、飼い主の方から、実際飼い主かどうかわかりませんけれども、その方からしてよく異議を言われて、そうしてついにそれを放したというようなことを先ごろ新聞で見たのですが、そういうふうに、捕獲人がそういう人たちにおどされて、十分に自分の考えを強行することができないような場合が始終あるのじゃないですか。その点はどうなんですか。
  26. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 飼い主捕獲人がおどされるというようなことはあまり聞かぬのでございますが、何分にもちょっとした不注意から登録をしなかったというようなこともでございますし、また犬は何分にも子供と深い愛情でつながっておりますために、私どもはその辺の心情を考えますと、一々違法だといって処分してしまうということよりも、むしろよく御理解を願ってお返しをする方がいいのじゃないかという感じで、今まで行政を指導しております。そうしてできるだけ正しい犬の飼い方が普及するように考慮をいたしておる次第でございます。これらのやり方につきましては、しかし再三この捕獲をされても反省のないようなものにつきましては、これはやはり強い態度で反省を促す必要があろうかと、かように存じております。
  27. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 今日の犬の取締りというものは、ただいまお話によるというと、狂犬病の予防ということに中心を置いてすべて取締りをされているように思うのでありますが、今日、社会が犬について非常に迷惑をこうむっているのは、狂犬病はもちろんのことでありますが、野犬でない普通の飼い犬、それが野放しになっておったり、また飼い主飼い主たるの責任を十分果さぬために、それによって非常に社会が迷惑を受けていることが多いように考えられるので、ことにまた、野犬というものは、狂犬病などはこれは特別でありましょうけれども、普通の犬は、野犬では非常に気の弱いのが普通であるが、飼い犬というものは飼い主というものをうしろだてにしているというか、非常に気が強くて、ことに番犬などが多いのでありますから、猛犬があるということで、むしろ今一般の社会に脅威を与えているのは飼い犬じゃないかと思うのですね。ところが犬の飼い主というものは、特別な犬に対する愛情があるというか、自分が飼い主であるために、うちの犬は絶対に人にかみつくことはないんだというような甘い考えを持っている。ところが犬というものはやはり一種の野獣みたいなものでありますから、何かの刺激にあったり、何かショックを受けるというと、たちまち狂暴な野性を発揮する、こういうことになって、往来なんかでああいうことが起るのだろうと思いますが、現在の取締り法規というものは、飼い主に対する取締りというものは、ほとんど何もできておらぬので、全く飼い主というものは野放しのような状態にあると考えられるのでありまして、この点について、取締り官憲としてもっと飼い犬に対する取締り方を強化する、そうして飼い主責任というものをもっと加重する、こういう点をお考えになっておらぬかどうか。現在におきましては、一ぺん犬がかみつかなければ飼い主をどうすることもできないというようなことになっているようでありますが、これでは私は非常に法律として盲点があると思いますので、こういう点はもっと飼い主に対する厳重な責任を負わせる、そうして取締り法規を強化することが必要ではないか。こういうことに対して取締り当局としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  28. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) お答えを申しますが、ただいま御指摘通りでございまして、なるほど現在は野犬よりも、むしろ大きな咬傷事件は日ごろ訓練を積んでおります飼い犬に多いわけでございます。ところで、先ほどもお答えを申し上げましたように、現在の狂犬病予防法は、何分にも発生時の防疫的な措置をとっております。で、狂犬病予防法ができましたのは昭和二十四年かと存じますが、その当時は終戦のごたごたにまぎれまして、全国的にかなり狂犬の発生が著しかったために、一応急場をしのぐ目的から発生時防疫的な狂犬病予防法ができまして、これによって確かに効果をあげて参ったのでございます。ところが現在はすでに発生時防疫的な必要性よりも、むしろ常時防疫的な性格を必要とする段階になっております。つまり正しい犬の飼い方の指導、あるいはその責任、かようなものが現在は必要となっておりますので、厚生省といたしましては、すでにこれらの点につきましても研究をいたしまして、近い将来にぜひ従前の発生時防疫的な、発生措置的な狂犬病予防法を改正いたしまして、これを常時措置的な性格に切りかえるために研究をいたしておりますから、いずれこまかいことはさらに御意見をお教えいただくなり、あるいはまた具体的には警察当局とも十分に連絡をいたしまして善処いたしたい所存でございます。
  29. 大川光三

    大川光三君 棚橋委員の御質問に関連するんですが、軽犯罪法の第一条の十二号に「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠ってこれを逃がした者一、解放とか、あるいは逃がしたという場合に、軽犯罪法は限定してあるんですが、私は、この点について、もう少し取締りを厳にする、たとえば人畜に害を加える性癖のある犬それ自体を飼うことを禁止するというところまで進まなければならぬのじゃないかという考えを持っておる。はなはだ卑近な例でありますが、私の近所に、そこの主人公が大へん犬が好きなんです。その犬がそこの娘ざんの手をかむ、しまいには顔をかむ、その娘さんに限って害を加える、たまたまその娘が連れ子というので、しょっちゆうその夫婦間にけんかがあって、もうあの犬を捕獲してもらうんだ、早う死んでくれたらいいと言って、お嫁さんもそう思っておる、娘ざんもそう思っておる、ところが御主人公が、もし犬を外へやるのなら女房をいなす、子供をいなすという工合の、狂犬じゃなくてこれは狂人なんですが、そういう犬好きがおって、それがはしなくも近所隣みな広がっておりますから、そこの家はおそろしいと言って寄りつかない、ところがこれを第三者、局外からどうしても犬を撲殺したり捕獲してもらうという方法はないのでありまして、そういう意味からいうと、そういう性癖のある犬自体を飼うことを禁止するというところまで進んでいかにゃならぬと思うのですが、それに関する当局の御意見を伺いたい。
  30. 中川董治

    政府委員中川董治君) 確かに御指摘のように現行軽犯罪法は非常に限定しておりまして、軽犯罪法といえども一種の刑罰でございますので、なるべく構成要件を狭くしぼっておるのであります。ところが社会的必要と申しますか、犬による被害状況が、だたいま御指摘のありましたように、また棚橋委員からも御指摘のありましたように、大へん人に迷惑をかけておる、迷惑だけじゃなしに、恐怖感といいますか、それに暴いて安寧な社会生活ができがたいという状態等もありますので、そういった点の立法等につきましては、研究を重ねるべき問題だと思うのであります。ところが厚生省部長からもお答えになりましたように、狂犬病予防法という狂犬病予防目的とする法律には違いございませんが、犬に関する法律があるので、それとの関連等も考える必要がございますし、それからまたいろいろ刑罰法令を広くするということは、何といっても慎重にしなくちゃなりませんので、いろいろ指導とかそういう面でまかなえる点があるかどうかということの考慮も必要であろうかと思いますので、そういう点もあわせ考えて、大きな研究題目であることは私どもも同様に考えておりますので、法務省、厚生省、私どもの方でこういった問題をよく研究を進めたいと考えておりますので、若干これを広げるという案を直ちに立案するということは、直ちにお約束できませんが、よく関係の向きと相談をして参りたいと考えておるのでございます。
  31. 大川光三

    大川光三君 ちょっとそれに関連して質問したい。先ほどの御答弁のうちで、犬にかまれるのは畜犬だけでなしに野犬にかまれる場合もあるのだということでございましたが、そういう場合に捕獲の励行されるというのは、あれは何か定時的におやりになっておるのですか。随時必要に応じて野犬捕獲というような手を打たれているのでしょうか。その点に関する取扱い上のことをお伺いいたします。
  32. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは定時には大体年三回定時捕獲をいたしております。そのほか特に地域的に野犬の多い、まあ放し飼いの多い地域等につきましては、随時捕獲人を差し向けておるというやり方をいたしております。
  33. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 きょうはこの問題について法務省のお考えをお聞きしたいと思いますが、法務省の方はおいでにならぬのですか。
  34. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょつと速記をとめて。    〔速記中止
  35. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記をつけて。
  36. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これは厚生省の方に伺った方がよろしいのでございますか。犬にかまれました場合に、それが狂犬病か何かわかりませんにしましても、今日ではりっぱな手当がございますか。狂犬病であった場合にも全治できましょうか。
  37. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現在犬にかまれました場合には、直ちにかんだ犬を調べまして、これが狂犬であるかどうかを判定いたします。しかしながら、夜間等にかまれた場合には、えてしてどういう犬であったかということがわからぬ場合がございます。かような場合が一番困難をいたすのでございますが、いずれにいたしましても、狂犬にかまれたことが明らかになった場合、あるいは何か不明の犬にかまれた場合には、これは狂犬病予防注射を実施いたします。狂犬病予防注射を実施いたしますれば、これは絶対に狂犬病は発病いたしません。予防ができますが、しかしながら、一たん不幸にいたしまして狂犬病が発病した以上は、これは絶対現在なおらない病気でございまして、治療法はございません。予防注射以外にはございません。ただ困ることには、予防注射はかなりこれは副作用を伴うものでございまして、従って、私どもはできるだけ犬が果して狂犬であったかどうかを調べまして、その結果に基いて、若干の副作用という危険を冒しても、その必要があった場合にのみ予防注射をするようにいたしたいと思っております。従って、私ども指導といたしましては、犬にかまれた場合には、必ず犬の格好、色等をよく覚えておくということを指導いたしておりますが、なかなか先ほど申しましたように、夜間あるいは子供がかまれたような場合には、これが徹底いたしませんので、まことに困難を感じておる次第でございます。
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私ども親しくしておる者が、間違えて予防注射をされまして、それがもとで死んでしまった人がおりますので、これはその的確な診断をするというところまでどうしていかないだろうかということをはがゆく思っておりますが、研究されておりますでしょうか。
  39. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 犬にかまれた後、そのかんだ犬が果して狂犬であったかどうかということを、かまれた人について明らかにするということは、今日の技術では不可能でございます。将来もきわめて困難な問題であろうと存じております。しかし、かんだ犬が果して狂犬であったかどうかということは、これは明らかに区別ができますので、私どもはかんだ犬の実体さえとれれば、むだな注射はせぬですむわけでございます。
  40. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 いま一つ。今日の野犬狩りの実情について、ちょっと中川さんからでも、どちらからでも、お伺いしましょうか。
  41. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 野犬狩りは、先ほどもお答え申し上げましたように、各府県捕獲人というものが雇ってございまして、これが一つの機動力を持ちまして、定期的には年三回、その他常時必要な場所に出動いたしまして、野犬を、野犬と申しましょうか、野犬並びに無登録犬その他を捕獲いたしております。ただし東京におきましては、これは係留命令が出ておることでございますから、いずれも野放しの犬は係留命令違反でございますから、すべてこれをとらえることになっております。そういたしまして、これを、先ほどもお答え申しました、一カ所に二日間だけとめておきまして、そうして飼っている方があればこれをお返しをするということにいたしております。  それから一方、どうしても野犬が多すぎて、犬の捕獲はなかなかこれは困難な作業でございますので、かような場合には、しかも早急に野犬を防がなければならぬというようなときには、前もって飼い主には十分予告をいたしました上で、夜中の一定時期を定めまして薬殺をいたしております。この薬殺は、まかり間違って飼い犬等に被害を与える、その他の人畜被害を与えてはなりませんので、夜間作業といたしまして、しかも捕獲人その他、狂犬病予防関係の職員に見張りをきせまして、間違いのないようにいたして薬殺をいたしております。この薬殺の効果はかなり現在まであがっております。しかし、これが一方、動物愛護協会というようなところからは、しばしば反対を受けております。私どもはしかし先ほど来申し上げておりますように、狂犬病のおそろしさ、これにかまれた場合のどうにもならぬ方法、かようなことを考えますと、とれまたやむを得ぬことと存じて、これを現在続行いたしておる次第でございます。
  42. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 薬殺というのは、毒まんじゅうなんか放るやり方なんでございますか。
  43. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 大体、肉にストリキニーネを入れたものを使っております。
  44. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それじゃ即座に死ぬわけでございますね。
  45. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 大体これはきわめて即座に死にますので、犬の死骸はその都度取り片づけることにいたしております。
  46. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 捕獲人の資格資格とえらいことを言うのじゃございませんけれども、それはどういう人なんですか。また、どういう手当をもらっているのですか。
  47. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 捕獲人は、これは役所で申します用員でございまして、どちらかというと労務者に匹敵するようなのでございます。ただし、この捕獲人だけで作業をさせますと、えてして行き過ぎその他の弊害もございますので、必ず当該の職員、これを狂犬病予防員といっておりますが、専門の獣医に指揮きせまして、かような人夫を使って処理いたしております。給料の点、待遇等につきましては、これは役所のことでもございますし、また人夫仕事でもございますので、きわめて微々たる収入だというふうにお考えいただくよりほかにないと思います。
  48. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は犬が好きで、ずっと犬を飼っておりまして、このごろやかましくなったから門から出やしないかと思って、門を夜、表も裏も厳重に締めておりますけれども、その中で飼っておりますがね、何かの拍子に出ないかというので、このごろ私ノイローゼになっております。ということは、被害をおそれる  それこそ先ほどからも出ましたが、飼い主にとっては、わが犬こそは人にかみつかぬということを私どもも思っております。けれども、こわいのは夜犬狩りで、これは毒まんじゅうをやるのでございますから、今も伺った通りですけれどもね。しかも捕獲人標識をときどき取るのです、つかまえましたときにね。私どもの家はそういうことは今までございませんけれども、取って、そうしてどこの犬だかわからないようにしておいて、二日間とめられております間に取りにいきますと、そうするとなかなかただでは返してくれないらしい。その実例を私はたくさん知っております。何かそれにそでの下を使わなかったら、何かかにか言って、そして番号なんか言っても、なかなか、そんなものはないというようなことで、問題がございますらしいのですが、一体そういう取締りは、さっきのお医者さんがしている……、その辺までも届いておりますでしょうか。これは、犬を愛してかわいがって飼っておるものにとりましては、非常に問題だと思っているのです。
  49. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 犬の捕獲作業につきまして、いろいろ行き過ぎのある点につきましては、ただいま御指摘のあったほかにも、いろいろ私ども伺って、苦慮いたしておるわけでございます。そこで、できるだけ行き過ぎのないようにいたしますために、先ほどもお答え申し上げましたように、特に責任のある職員をつけまして、それに指揮監督をさせて実施をいたしておるわけでありますが、なお行き過ぎ等のないように、一つ今後は厳重に注意を、従来もいたしておりますが、一そう厳重に注意をいたしたいと存じます。  なお、捕獲人は屋内の立ち入り権を持っておりません。ただ犬が屋内に逃げ込んだような場合には、その家の許可を得て入ることはできますけれども、立ち入り権を禁止いたしまして、私どもは行き過ぎを注意いたしておる次第でございます。なおこの点につきましては、一そう注意をいたしたいと存じます。一方、二日間係留いたしておきます間にお返しをすることになっております。この場合にそでの下がなければ返さぬと、こういうことは、私は実は初めて伺います。もちろんこれは私存じませんけれども、あったら大へんでございます。今後はできるだけさようなことが絶対にないように、一つ十分な注意をいたしたいと思います。  なお、一言申さしていただきますと、私ども犬を飼っておる方々、あるいは先ほどもちょっと触れましたように、子供と犬との愛情のつながり、かようなものを考えますと、やはりそう一方的な無理なことはできないということはよく存じております。そこで、私どもは、犬を生けどりにするということはなかなか困難でございますが、この困難を冒して犬を生けどるようにいたしまして、しかも二日間これを飼っておくというようなことも、そうした私ども気持の表われでございます。今後も犬に対する国民の気持というものを十分に考えまして、私どもといたしましても、行政を実施していきたい、かように考えております。
  50. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょっと委員長から申し上げますが、中川刑事部長が他に呼ばれておりますので、中川部長に対する質問を優先的にお願いいたします。
  51. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 先ほどからいろいろお話を承わりまして、当局としても犬の取締りということについては、現在非常に不完全である、これを強化しなくちゃならぬということをお考えで、私は非常に同感するわけでありますが、今日警察当局なんかが、非常に町の明朗化ということを考えて、町の暴力団とか町のダニなどというものに対する非常に取締りを強化しているが、この点は非常にけっこうだと思うのでありまして、しかし人権をじゅうりんするとか、あるいは善良な市民を苦しめるということは、必ずしも人間だけじゃないので、犬なんというものは、その私は一つだろうと思うが、人間は、たとい暴力団であっても、これは人間ですから、まあ、話し合いによってどうにもなるが、犬というものは、これはわからないのですから、これを野放しにしておくということになると、私は非常に町が不明朗な暗いものになってくるだろうと考える。私どもの近辺にも大きな犬を飼っておる人がありまして、小牛ほどの犬であります。それが野放しになって、夜はそいつがのそのそ町に出歩くと、そうすると近所の女や子供はみんなそれをおそれて自分の家に帰れない。その犬が出て歩いていると、遠回りして、そうして家に帰るとか、そういうことになっているわけでありまして、これはかまないけれども、そういう非常に脅威を与えているわけであります。こういうことは私は許すべきことじゃないと思う。人権じゅうりんということを言うけれども、人権じゅうりんは何も人間だけが人権じゅうりんするわけじゃない。犬の人権じゅうりんもある。それは犬の人権じゅうりんということは、むしろ飼い主の方がほかの人の人権をじゅうりんしていることに私はなるだろうと思う。犬を飼う人が犬をかわいがるということは、それは私十分に情としてお察しすることができるのでありますが、しかし、自今の犬ばかりかわいがって、それが社会にどういう脅威を与えているか、社会にどういう不安を与えているかということを忘れて、自分の犬ばかりかわいがっているということでは、これは飼い主としての、私は、社会に対する義務が済まないだろうと思います。責任感じない人だろうと思います。そういう点からいって、犬の取締りを強化する法律を早く作っていただきたい。また現在の法規のもとにおいても、取締りに当られる官庁といたしましては、びしびしと私は取締りをしていただかなければならぬと、こう考えるわけでありまして、特に希望を申し添えてお願いいたす次第であります。
  52. 一松定吉

    一松定吉君 この軽犯罪法の一条の十二号、三十号だけでは犬の取締りはできないのじゃないですか。なぜかというと軽犯罪法の一条の十二号では「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬」で、明らかでない犬を解放しておって、これがたまたま人に食いついたという犬の取締りはどうなるか。
  53. 中川董治

    政府委員中川董治君) 一松委員指摘通り、現行軽犯罪法は非常にしぼってございますので、これだけを一生懸命やっておっただけでは、まだ残りの犬でいろいろ迷惑を受けるものがあるということは事実でございます。それで、ただいまお話のありましたように、立法で解決する問題が、研究問題としてあるわけでございますが、その点はたとえば現行狂犬病予防法というものを改正してどうこうするかという問題と、それから狂犬病予防法狂犬病予防法だけにしておいて、全面的に軽犯罪法を改正する問題がいいのか、ただしは独立の法律とした方がいいのかということの技術論もございますし、それから内容的に犬の愛情ということも考えなければならぬ。それから犬を飼っている人たちの便益の点も考えて、そうしたことは十分に研究問題として積極、消極の利害の点を十分研究しで、だんだん善処いたして参りたいと、こう思っておりますので、御指摘通り、現行軽犯罪法で犬に関することは全しだと、こう考えてはおりません。
  54. 一松定吉

    一松定吉君 つまりその点について取締りができていないということと、いま一つ狂犬病予防法規定を見ると、罰則規定が二十六条以下に規定してある。そこでこの二十七条の第二号、第三号、第四号で見ると、犬に予防注射を受けさせなかった、あるいは予防注射済票をつけなかった、あるいは犬の隔離について指示に従わなかった、あるいは犬に口輪をかけまたこれを係留する命令に従わなかったということの制裁はあるね。この通りしたけれども、それがしてあった犬が食いついたことに対しては制裁がないね。こういうようなことで、今、棚橋料の言うのは、取締りが不十分だからして、それを十分に取締るような法規の制定をしちゃどうだというのが、棚橋君の趣旨じゃないかと思う。その点をあなた考えなければいかぬじゃないか。どうです。あなたも、それからそのお隣りの厚生省も。
  55. 中川董治

    政府委員中川董治君) これは厚生省部長も同じ考えだと思うのですが、現行法はお説の通り狂犬病を予防するということについてずっと書いてありますので、狂犬病以外のことについて、飼い犬の問題その他については、法律はまだ不完備である、その点は研究問題である。だから、研究問題だけれども研究するに当りましては、犬に対する愛情、飼い主の愛情をも勘案して研究すべき問題である。関係省といたしましては、法務省、厚生省、私どもの方で研究して参りたいと思っております。
  56. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 御指摘通りでございまして、先ほど来棚橋先生にもお答え申し上げておりますように、現行狂犬病予防法は若干目的が違いまして、発生措置を主としてうたっている。しかし、これもその法律が制定されました当時の社会情勢からいえば当然のことだったと思います。幸いにいたしまして、現在は狂犬病というものが非常に減って参っておる現在しかも一方飼い犬が非常にふえております現在、これらの点につきましては、十分現状に即する考え方研究していかなければならぬと思いまして、近い将来、必ずとの点を関係省とも相談をいたしまして、善処することをお笑えしておく次第であります。
  57. 一松定吉

    一松定吉君 今、つまり、人にかみつく犬の取締りというようなことに対しては、現行法では欠陥だらけだというゆえに、なるたけ急速にこれを整備して、そういう危険をなからしめるような方法を講ずるということによって、棚橋君あたりの質問の趣旨が徹底すると思いまするから、なるたけそういうようなふうに、急速にこの取締り法をこしらえぬといけませんから、それだけ申し上げておきます。
  58. 赤松常子

    赤松常子君 簡単なことですけれども、最近飼い犬が子供たちに非常に危害を加える、そういう問題がひんぴんと起きましたので、きょう取り上げられたと思うわけでございますが、ほんとうに私は犬こそ迷惑だと思います。私も犬が好きでございますが、飼い主のこれは非常に責任だと思うのでございますから、さっそくこういう抜け道のないような法令をお作りいただきたいと思うわけでございます。で、問題は、飼い主もそろでございますけれども、もっとこれが行き過ぎますと、何かもう犬さえ見ればこわがるというような、犬——動物と人間とが非常に何か対立して、けんかでもすぐおっ始めるという関係も、これは社会的不幸だと思うのでございまして、どうぞもっと、特に子供たちにこういう勅物をとわがらせないような、そういう指導というものが非常に大事だと思うのでございます。よく見受けますことは、子供たちが野犬の子とか、ネコの子だとか、こういうのを妙にいじめて、そして残虐な遊びをいたしておりますがそういうふうなこともぜひ含めて、子供の教育を中心に、動物と人間がほんとうに仲よくしていけるような、そういう環境を作っていくということに、もっと積極的に考えていただくことがいいんじゃないかと思います。それで、私は子犬が生まれたら、これを川に捨てたり池に捨てたりしましてね、非常にかわいそうなんでございますから、そういう点をどうぞお考え下さいまして、買い上げるとか、あるいは保健所に持っていくとかするような指導も含めて考えていただきたいと、こう思うわけでございます。私の申し上げるのは、あんまり犬をこわがらせるようなことになるから、犬が逆にかみつくわけですから、どうぞ、そういうもっと積極的に動物と人間がほんとうに仲よくしていけるような指導が大事だと思います。これは教育も大事でございましょう、学校でもそういうことを教えていただかなければならぬと思いますけれども、そういう取締りの方でもあんまり取締りということばかりに力をお入れにならないで、また人間の態度を責めることも、これは十分していただきたいと思うのでございますけれども。動物そのものをもっと愛していただくような、そういうことも考えていただきたいと思います。  それからもう一つ、犬ばかりではなくて、ネコも、よく赤ん坊がネコにかみ殺されるということを地方でよく聞くわけでございます。こういうネコということになると、これまた範囲が広くなりますけれども、こういうふうなこともございますので、犬及びネコ、人間生活の身近かな動物をひっくるめてそれを積極的に愛していくようなことも一面考慮して、取締り法令をお作り下さいますようにお願い申し上げておきます。
  59. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 私ども先ほど来お答え申し上げておりますように、狂犬病予防法の施行にいたしましても、できるだけこの指導方針といたしましては、犬に対する愛情、かようなものを踏みにじらないように注意をいたしていることは申すまでもございません。特に今御指摘のように、まあ私ども子供の時代のことを考えてみますれば、人間と勅物との愛情の芽ばえは、犬によってくるやにも思われますので、かような点は今後も十分注意いたしまして、立法措置等を研究いたしますと同時に、また現行法の施行につきましても、かようなことに一そう留意いたしたいと存じます。なお、法律を強化いたしまして、飼い主責任その他を明らかにすることは、先ほど来御指摘のございますように、これは私どもも必ずこの点は実行をいたしたいと存じております。ただしかし、法律だけでこの問題を解決できるかというと、そうでもないと思います。この点は、やはり国民の良識あるいは国民の責任あるいはその他犬と子供との関係、かようなものは、すべて指導によることでございます。できるだけ今後はこの点につきましても十分な国民の指導を徹底いたしたい所存でございます。  なお、先ほどお話のございました子犬が生まれたときにこれを残虐な扱いをすることにつきましては、私ども全く困っております。また、むだな子犬が野犬のもとをなしておりますので、現在では子犬が生まれた場合には、保健所に電話をかけていただきますれば、そこに取りに行くなり、あるいは持っていけば、喜んでこれを扱って、適当に処分をすることに相なっております。これらの点につきましても、なお行政の方針が徹底いたしておりませんので、今後これらの点を十分徹底させまして、間違いのないことを期して参りたいと存じます。
  60. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 いま一つお伺いしたいのでございますが、毒まんじゅうは屋敷の中に投げることはできないことになっておりますか。屋敷の中に投げてもいいのですか。
  61. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 薬殺をいやします場合には、これはもちろん屋敷内にかようなものを投げることは絶対にできません。実際実行いたしておりますことは、前もって、一週間前によく飼い主にこの地域で薬殺をするから、いつ幾日どこで薬殺をするからということを通知をいたして、御注意しております。その結果、その地域にちゃんとその地図の上にこの薬を置いた所を書きまして、さらに時間がきましたならば、またすっかり残った薬は除きまして、さらに、食べたものはすぐにこれは死にますので、その近所を探しまして、死体を片づけまして、その間の数をちゃんと整理いたしまして、決してこれが正規に飼っている犬、あるいは他の人畜等に絶対に被害のないようにいたしております。この点は、今まで間違ったことは出ておりません。この点は御安心を願います。
  62. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 畜犬でやられたのもありましょう。野犬だけじゃありませんでしょう。
  63. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもはこの地域で藥殺をするからということを飼い主にみな手紙で御通知を申し上げます。その場合に、その日だけは——もう本来ならば犬はつないで飼っておくことなんですけれども、その日は特に犬をつないでおかなければならぬわけであります。従って、屋敷内に捨てるわけではございませんので、たとえ畜犬でもさような注意をしたにもかかわらず、予告しているにもかかわらず、野放しにすれば、それはその薬を食べて死ぬことになる、これはやむを得ぬことと存じます。
  64. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 もう一つ。さっきからの話で、私は犬の立場で犬の代弁をしたいのですけれども、私ども犬を飼って、犬に親しんでおります者は、どうかした人間よりよほど犬の方がものわかりがよくて、それでよく人の言葉もわかりますし、それから感情も通じますし、むしろ犬をきらって、おそれて逃げ歩く人にかみつくのじゃないか。私のうちの犬は一ぺんも人にかみついたことはございませんからわかりませんが、だからこれは新しい立法のときなんかは、よくそういう点も一つ加味していただいて、今日動物愛護ということが言われまして、かつてこの法務委員会で動物愛護の立法をしようというところまでいきましたけれども、それはとうとう立法するまでにはいろいろな事情で参りませんでしたが、日本ぐらい動物を虐待している所は世界的にないのだということを申し上げているのでございますが、かつて英国大使のガスコイン夫人が非常にやかましくおっしゃって、国会でやれ、やれとおっしゃったのでございます。ですから、そういうことも一つ加味した上で立法していただきたいと、こういうように思っております。
  65. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 法務省にお伺いいたしますが、この犬の取締りということについて、最近いろいろ事件が起っておりまして、犬にかみつかれたというようなことが新聞などに報道されております。それからまた、先ほどの警察庁の方の中川刑事部長お話では、ずいぶん全国にそういう事案もたくさんあるようでありますが、ただいまの取締り法規というものは、狂犬病の予防ということを中心にしておって、まあその点については相当目的を達しておると思うのでありますけれども一般飼い犬というものについて、それが人にかみついたりすることのないように、それを予防するという見地に立って見るというと、現在の法というものは非常に不備な、ほとんど取締り法がなくて放任されておるというような状態であります。それが結局今日こういう被害が起っておる原因であると思いますが、現在法務省として、町を明朗化するということで、暴力団の取締りとか、いろいろやっておりまするが、この犬の取締りということについては、私は暴力団も取締りは厳粛にしなければならぬが、犬の取締りということも、最近のようにいろいろ事件が起ってくるというと、ないがしろにすることのできない重要性を非常に持ってきておると思いますが、これに対して、法務省としてはどういうお考えですか。
  66. 横井大三

    説明員(横井大三君) 最近の新聞紙上に、犬の傷害を与えた事件というものが見られますので、われわれも深い関心を持っているのでございます。先般、二月六日でございましたか、朝日新聞に出ました猛犬二頭を連れて町を歩いております際に、少女にけがをさしたという事件につきましては、狂犬病予防法ばかりでございませんで、刑法過失傷害罪及び業務上の過失傷害罪の規定適用いたしまして、去る四月末公判を請求いたしまして、現在公判中でございます。従いまして、狂犬病予防法ばかりでなく、刑法も、ある場合には動いてくる、これを使うことによりまして、傷害を与えたような場合におきましては、取締りをすることができる。ことに業務上の過失の場合には、告訴も要しませんので、現在の法規といたしましては、これによって取締りをして参るという考えでおる次第でございます。
  67. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 犬が人にかみついたり人を襲ったりして、そこに実害が生じた場合には、これはもちろん傷害罪、あるいは過失傷害罪として事件の処理が行われるのは当りまえであると思いますが、お尋ねしたいことは、そういうように犬がかみついて事件を起す前に、犬がかみつかないように予防しなくちゃならぬ。それには、たとえば犬を必ず係留しておくとか、あるいは犬を連れて出る場合には必ず口輪をはめて外へ出るといったような、これは一つの例でありますが、そういう方法によって事件の起らないように予防する取締り法規というものが私は必要だろうと思いますので、これによってそういう事件を未然に防ぐことができるのでありますから、そういう点についての現在の法律というものは、非常に欠陥があるというよりも、ほとんどそういう予防法規がないと考えられるのでありまして、その点で、飼い主責任をもっと加重して、取締りを強化するという法律を制定する必要があるだろうと思いますが、その点に対するお考えを伺いたいと思います。
  68. 横井大三

    説明員(横井大三君) われわれも全く同感でございまして、確かに、そういう面からいいますと、現在の法規は不備な点がございます。この問題は、ただ飼い犬の管理と申しますか、犯罪の予防面——われわれの方から見ます。と犯罪の予防面になるわけでございますが、従いまして、法務省の本来の法律というよりも、それぞれの行政庁の本来の法律というものとの関連において考えなければなりませんので、関係省と十分協議いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うような方向に持っていきたいと考えております。
  69. 大川光三

    大川光三君 先ほどの、畜犬が人に傷害を与えた場合に、あるいは過失傷害罪、業務過失傷害罪で現に公判を請求いたしておると、こういうお話でございますが、これに関する判決の先例はあるのでしょうか。
  70. 横井大三

    説明員(横井大三君) とっさの場合でございますので、先例がありましたかどうか記憶いたしておりませんので、もし御必要であれば調査いたしました上でお答えいたしたいと思います。
  71. 大川光三

    大川光三君 お尋ねいたしたいのは、なるほど過失傷害罪で、刑法でもこれは処罰できるということは、理屈をよほど考えればそういうこともできるでしょうが、一般人の常識としては、どの法律畜犬による傷害を処罰するのだということは、常識的にはいまだないのです。そこで、一般飼い主にも、また一般人にも、常識でよくわかるようないわゆる法規の制定が必要なのではなかろうか。御承知の民法の損害賠償の場合には、特に七百十八条で「動物ノ占有者ハ」云々というように、民法の損害賠償の方ははっきり書いてございますが、刑法の方においても、そういうはっきりした条文を持つ必要があるのではなかろうかと考えるのでありますが、その点いかがでございましょうか。
  72. 横井大三

    説明員(横井大三君) 確かにそういう面もあろうかと思いますが、ただ、犬というばかりではなく、おそらくいろいろな家畜類について、すべてそういうことが考えられるのではないかと思うのでありますが、何分にもいろいろ影響するところの大きい法律問題も含んでおると考えられますので、われわれとしても十分検討いたしたいと思います。   —————————————
  73. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に、請願の審査を行います。  請願二千五十三号、二千七十一号を議題にいたします。専門員に説明いたさせます。
  74. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) 御説明を申し上げます。二千五十三号と二千七十一号を一括御説明申し上げます。これは「恩赦の公正を期するため、恩赦に関係ある国家機関の最高の地位にある者及び世論を反映する立場にある者等を委員とする恩赦審議会を内閣に設置し政令恩赦の可否を諮問するよう現行恩赦法を速かに改正されたい。」二千五十三号、二千七十一号、いずれも同趣旨でございます。で、二千五十三号は日本婦人有権者同盟渋谷支部尾高綾子さんからの請願でございまして、紹介議員は安井謙議員でございます。それから二千七十一号は、日本婦人有権者同盟芝浦支部石井稲子さんからの請願でございまして、紹介議員は岡田宗可議員でございます。  本件につきましては、ただいま恩赦法改正の議が議員提案による法律案といたしまして、本委員会で審査されております最中でございます。なお、本会期中にこれが審議されますことになるかどうか、まだ審議中のことでもございますので、調査室の方といたしましては、そのいずれかが決定されますまで御留保をいただくことが適当ではないか、こう考えておる次第でございます。
  75. 山本米治

    委員長山本米治君) 本件について政府側の御所見を伺います。
  76. 福原忠男

    政府委員(福原忠男君) ただいまの恩赦審議会設置に関します請願に対しましては、この問題はちょうど御報告の中にもございましたように、この種の審議会を設置いたしますことを内容といたします恩赦法の一部を改正する法律案が、参議院に御提出になっておられまして、御審議中でございますので、法務省におきましても、この問題を慎重に検討中でございます。
  77. 山本米治

    委員長山本米治君) 御質疑の方は御発言を願います。
  78. 一松定吉

    一松定吉君 私は、この二千五十三号並びに二千七十一号、二つとも採択していいと思います。なぜかというと、採択することによって、こういう趣旨の恩赦法を制定することについての請願なんだから、この請願そのものはいい。この請願を採択することによってどういう内容の恩赦法をこしらえるかということとこれは別問題なんです。現に今理事者の方面からお話があったように、恩赦令の改正案が緑風会方面から出されており、今審議中であることは言うまでもありませんが、請願そのものを採択することは、私はこれは異存はない。これは一つ採択すべきものだ、かように私は考えます。ただ採択されれば必ず法律にすぐできるかということは、これは先の問題です。
  79. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 私も、これは採択して差しつかえないと思います。審議会設置ということは、恩赦法の改正によって審議会を設置するという行き方もあるでしょうし、あるいは恩赦法の改正によらずに審議会設置ということも考えられるのでありますが、いずれにいたましても、これは採択して差しつかえないものと考えますので、賛成いたします。
  80. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは、本件は採択することに決定して差しつかえございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 山本米治

    委員長山本米治君) 異議ないと認め、採択することに決定いたします。  次に二百五十号。まず、専門員の説明を求めます。
  82. 西村高兄

    ○專門員(西村高兄君) 請願二百五十号は、巣鴨刑務所に入っております戦犯者の釈放促進に関する件でございまして、その請願者は社団法人全国戦争犠牲者援護会長砂田重政氏であります。紹介議員大谷贇雄議員であります。その請願内容は、要旨を申し上げますと、ソ連抑留者が帰還いたしました今日、なお巣鴨にいわゆる戦犯者が拘禁されているのは、はなはだ遺憾であるから、なるべくすみやかに全員が釈放されるよう、院議をもって促進せられたいというのでありますが、巣鴨の戦犯は、平和条約で日本が引き継ぎましたときには九百二十七名という数が巣鴨プリズンに収容されておりました。現在それがどんどん減って参りまして、ただいまのところ米国関係が七十一名、豪州関係が十四名、計八十五名でございます。これは今年五月十三日現在でございます。この問題につきましては、もちろん平和条約十一条の関係があることではございますけれども、当委員会といたしましては、終始ここの趣旨に合するような方向へ向って御活動されておることでございますから、今回もこれを御採択しかるべきものと存じます。
  83. 山本米治

    委員長山本米治君) 政府側の所見を求めます。
  84. 福原忠男

    政府委員(福原忠男君) 巣鴨刑務所在所戦犯者釈放促進に関しまする請願に対しましては、法務省といたしましても、終戦後十二カ年余、平和条約発効後満五年を経ました今日、巣鴨刑務所になお八十五名、内訳を申し上げますと米国関係が七十一名、豪州関係が十四名のはらからが戦争犯罪人の名のもとに拘禁をやむなくされており、また、A級が十一名、米国関係が三百三十八名、オランダ関係が百四十八名、英国関係が一名、計四百九十八名の多数が仮釈放を許されたとはいえ、まだ完全に戦争犯罪人の汚名を返上し得ないことは、まことに遺憾にたえないところでございます。戦争裁判受刑者は、平和条約によって政府の赦免、減刑または仮出所の勧告に対しまして、関係国が同意すれば釈放できることになっておりますので、この全員に対しまして、すでに一回ならず数回の勧告をいたし、執拗かつ熱意をもって関係国の同意を求めて参ったのでございます。その結果、平和条約発効後一時は千百四十四名に達しました巣鴨在所者の数が、現在では米国関係七十一名と豪州関係十四名のみを残すこととなりまして、このうち豪州関係の十四名につきましては、近く全員釈放される公算が多いものと期待しておるのでございます。残る米国関係七十一名については、今後あらゆる努力を傾注いたしまして、これら受刑者やその留守家族のなめつつある苦痛及び戦犯釈放に関しまする全国民の熱望を米国政府に強く訴え、もって全戦犯者の釈放実現を期する所存でございますので、御了承願います。
  85. 山本米治

    委員長山本米治君) 御質疑または御意見のある方は御発言を願います。
  86. 一松定吉

    一松定吉君 私は当然かくあるべきだと思います。これはもちろん採択すべきものと考えます。
  87. 赤松常子

    赤松常子君 八十五名のうち、米国関係の方は、みな軍籍のある方ですか。民間の方もいらっしゃいますか。
  88. 福原忠男

    政府委員(福原忠男君) 大部分は軍籍にあった者でございます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは、本件は採択することに決定いたしました。  次に、三百三十七号、六百八十七号、千三百八十五号を一括議題といたします。専門員の説明を求めます。
  90. 西村高兄

    ○專門員(西村高兄君) 御説明申し上げます。三百三十七号を御説明申し上げますが、これは群馬県前橋地方法務局沼田支局庁舎新築促進に関する件でありまして、請願者は群馬県沼田市長細谷浅松氏外十九名関係市町村から出ておりまして、紹介議員は土田國太郎議員でございます。その請願の要旨は、前橋地方法務局沼田支局の庁舎は、明治二十二年の建築で、非常に古い建物でございまして、この様式もきわめて旧式でございますし、狭く、建物もすでに老朽しておりまして、登記簿などの重要簿冊の収蔵も不完全で、国の機関としてはきわめてふさわしくないものでございますので、しかも利根、沼田地方の総合開発事業が着工いたされますに伴いまして、いろいろな事件が輻湊して参りますので、すみやかに庁舎の新築を実現せられたいというのでございます。同じ地区にございました裁判所、検察庁はすでにほかへ移転されまして、この支局庁舎の敷地もすでに二十七年に買収済みでございます。それで、法務省といたされましても、この建築計画の順位としてはこれが第一順位になっているようで、A級順位になっているようでございまして、予算としましても、否認はされましたけれども、三十二年に要求されているような次第でございますので、これは一つ御採択あってしかるべきものと存じます。  それから同じような問題が六百八十七号にございますので、あわせて御説明申し上げますが、六百八十七号は、岡山地方法務局高梁支局庁舎新築に関する件、これは岡山地方法務局高梁支局庁舎は、建物といたしまして天保十年の建築にかかる民家を買収、それに補修を加えて今日に至ったものであります。往年の建築様式のために採光、通風等劣悪であり、申請書類の受付日も、申請人控室もない老朽庁舎でありますから、御詮議の上、すみやかに本庁舎を改築せられたいというのでありまして、請願者は岡山県高梁市長柏木貞一氏外一名、紹介議員は秋山長造議員であります。  それから千三百八十五号でございますが、この請願者は香川県丸亀市長三原勝英氏外二名、紹介議員は津島壽一、白川一雄両議員であります。これは丸亀の拘置支所の新築移転に関するものでございまして、昭和二十六年に法務省と丸亀市との間に土地交換の契約が成立いたしておりまして、移転先も決定されているのでございますけれども、その町の付近が市区計画の関係でもって繁華街に当ることになりましたので、その地区が適当でないという意見がまた出て参りました。三十一年、三十二年の継続計画のものでありますが、三十一年の工事に着手いたしましたのが今年の二月でございますが、それを今中止しているような状態なんでございます。この点につきましては、いろいろ地方の事情があるようでございまして、調査室といたしましても、十分これを判断できかねておりますのでございますが……。
  91. 山本米治

    委員長山本米治君) 政府側から御意見がありましたら。
  92. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 沼田支局並びに高梁支局の庁舎新営に関する請願につきましては、数年来大蔵当局に対しまして予算要求を続けているのでございますが、いまだ実現を見るに至っていないのでございます。なお今後とも実現に努力する考えでございます。  最後に丸亀の拘置支所の新築移転反対に関する請願の件でございますが、この件につきましては、隣地に裁判所建築用地といたしまして三千坪確保されてございます。その中へ拘置所を移ずという線で大体裁判所の方の了解も取りつけつつありますし、もしそういうことになりますならば、現地の方も万事円満におきまるのではないかという見通しのもとに、ただいま努力中でございまして、おそらくその線で近く解決を見るものと考えております。
  93. 一松定吉

    一松定吉君 三百三十七及び六百八十七、これは当然私は採択して差しつかえないものと思います。ただ千三百八七五は、この請願もっともだと思いますが、一応これはやはり実地を法務委員会で調査した上で決定することの方がおだやかじゃないかと思います。そうすると、これはこの会期中にできないようになるのだが、そうするとこれは継続審議ということになるのでしょうが、ちょうどこの問題は大阪の拘置所の移転と同じような状況にあるのですが、大阪のとは少し趣きを異にして、法務省も丸亀の方にはあまり御異論がないようですから、そういう意味であれば、これは採択してもけっこうだ。御異論さえなければ、これはやはり市民の要望はもっともだと私も思う。しかし、もし法務省の方でせっかく丸亀歩兵十二連隊の跡を所有に至ったのだから、ちょっと困るということであれば、この法務委員会で出張して実地を調査した上で採択するかせぬかきめるし、もし法務省が異論ないということであれば、この請願はもう直ちに採択していいと、私はかように考える。その点について法務省の意見をもう一ぺん明らかにしていただきたい。
  94. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 反対そのものにつきましては、私の方としてはいろいろ意見があるわけでございますが、反対をいたします解決の過程におきまして、私の方としてもけっこうな解決案と思って両方で今考えている先ほど申しました裁判所の敷地に入るということにつきまして、私の方としても便益を感ずるわけでございますし、またその入ることによって現地の方もおさまるという見通しのようでございますので、従いまして、この反対という点につきましては、いろいろ意見がありますけれども、今とりつつあります解決案は、私の方としても納得のいく線でございますし、現地の方も納得のいく線でございますので、も5幾ばくもなくして結論が得られるというふうに考えているわけです。
  95. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると採択して異議がないという御趣旨ですか、結論は、簡単に言って。
  96. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 採択していただいて差しつかえございません。
  97. 一松定吉

    一松定吉君 私もこれを採択すべきものと思量いたします。
  98. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは本件、三件とも採択することに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 山本米治

    委員長山本米治君) それではさように決定いたします。  次に請願第六百一号、これを議題といたします。  まず、専門員の説明を求めます。
  100. 西村高兄

    ○專門員(西村高兄君) 六百一号は、印鑑法制定に関する件でございますが、一覧表にございますから簡単に申し上げますと、これは二つに分れておりまして、一つは、印鑑法を制定してもらいたい。ただいまのところ、各市町村個々の条例によって作成されておりまして、書式及び手数料等が不統一であるから、なるべくすみやかに印鑑法を制定せられたいということと、それからもう一つは、戸籍手数料の問題でございますが、これは二十四年に制定されたものでございますけれども、物価の高騰にかんがみて、これを五十円に増額せられたい、こういうことでございます。この請願者は静岡県熱海市議会議長芦沢和雄氏、紹介議員は小林武治議員であります。
  101. 山本米治

    委員長山本米治君) 政府側の御意見を……。
  102. 平賀健太

    説明員(平賀健太君) 印鑑に関しまして請願の趣旨のような法律を制定いたしますことは、市町村の財政上の負担を増大させるおそれがございまするのみでなく、これによって国民の利便が著しく増大するとも考えられませんので、今直ちに請願の趣旨のような立法を行うことは、必ずしも適当でないと考えております。  また、戸籍手数料の増額分につきましては、国民の“常生活とも重大な関係があることでありますので、慎重を要する次第でございまして、目下法務省におきましては慎重に検討中でございます。
  103. 一松定吉

    一松定吉君 これは、伺いますが、この請願の印鑑法と戸籍手数料とは別か、一つなのか。
  104. 平賀健太

    説明員(平賀健太君) 同じ請願でございますけれども内容は別々でございます。
  105. 一松定吉

    一松定吉君 別だね。私は前段の印鑑法の制定は必要だと思量します。ただ、関係当局の言われるように、今直ちに印鑑法をこしらえて、それがために市町村の負担を増加せしめるというよりも、一体この印鑑というものは、この請願の趣旨にも明らかにしておりますように、権利義務に重大な関係を持つものであって、それが各市町村ごとに取扱いを別にするということは、これは不便きわまるばかりでありません、これは印鑑そのものの信用の維持というような方面にも重大な影響があるのでありまするから、これは一つ、印鑑法を制定するということは必要である。それが今採択があったから直ちにということでなくて、必要であるということについての請願であって、これは、われわれ法務委員会としては採択すべきものであると考えております。  それから手数料の問題ですが、これは五十円の増額をせいというようなことは、これは大いに研究の余地もありましょうが、これは今直ちにこの五十円を増額するという請願を採択するということは、これは直ちに首肯できません。この二つについては、法務委員会としては採択に二通り、一方は採択し、一方は今直ちに採択すべきものでない、これは研究の余地がある、こういうふうに私は考えております。
  106. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に御意見等ございませんか。
  107. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 一松委員の御意見と同一であります。印鑑法の制定は採択賛成、それから手数料の改訂は、これは採択反対です。
  108. 後藤文夫

    後藤文夫君 ちょっと質問したいのです、印鑑のことについて。  印鑑というものは、今、権利証明の上で非常に重要な関係がある。これは実際の慣例としてそうだと思いますが、印鑑というものは、実際にそれほど権利の証明に実質的に関係のあるものとして扱われておるのでありましようか。また将来、この印鑑というものをもって、権利の証明をするものの非常に有力な根拠にすることが適当なのでありますか。むしろサインとか何とかというようなそういうほんとうの証拠印鑑というものはずいぶん偽造ができますから、印鑑そのものにたよるということになりますと、印鑑そのものは非常に便利なものであるということはわれわれも承知しておりますが、その点はどうですか。
  109. 平賀健太

    説明員(平賀健太君) 主として財産上の取引でございますが、印鑑を必要といたしますのは、その人の同一性をそれによって証明させようという趣旨なのでございます。で、署名によってかえるということも考えられるのでありますけれども、たとえば登記所であるとか、公証人の面前で署名をしたその人が、果して本人であるかどうかということが、やっぱりどうも証明のしようがないので、人の名前をかたって登記所に出て、あるいは公証人の面前に行きまして、自分が本人だと言って署名いたすことが、やはり可能であるわけでありまして、署名で直ちにかえられるとも言いがたいのでございます。実際問題といたしましては、この印鑑がものをいいますのは、不動産の登記の場合、それから公証人の所で公正証書を作る場合、それからまた実際の会社や銀行なんかの取引でも、やはり本人の同一性を確保いたしますために、印鑑証明が使われるというような実情で、取引上はかなり重大な役目をいたしております。
  110. 後藤文夫

    後藤文夫君 ちょっと重ねて伺いますが、今日法律の上、あるいはその他法規の制度上、印鑑というものを使用しろとかいうようなことがうたわれておることがありますのですか、ないのでございますか。
  111. 平賀健太

    説明員(平賀健太君) 法律にはっきり出ておりますのは、不動産登記法であります。これも法律自体でなくて、その法律に基きます不動産登記法施行細則の中に出ております——法務省令の中に出ております。それから公証人法の中に、印鑑証明なんかが出ております。私気つきましたのは二つあるわけでございます。
  112. 後藤文夫

    後藤文夫君 わかりました。私も一松委員の御意見賛成でございます。
  113. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは本件につきましては、意見書案を付して採択することに御異議ございませんか。——つまり半分イエス、半分ノーですから意見書案を付して採択するということに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 山本米治

    委員長山本米治君) では、意見書の内容については、委員長に御一任願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に、請願千八十二号を議題といたします。まず、専門員の説明を求めます。
  116. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) 千八十二号は、中国通商代表部員入国滞在に関する件でございまして、岩手県会議長内村一三氏から請願が出され、鹿島守之助議員の御紹介であります。一覧表に書いてございますが、建前といたしましては、中国——と申しますが、国民政府の方ではございませんで、中共地区の方との通商関係の問題でございまして、その通商代表部員が日本国へ入って参りますこと、並びに滞在につきましては、出入国管理令それから外国人登録法の運用を改善いたしまして、これを公務員並にいたしまして、外国人登録法による指紋押捺の手続を省略してほしいという趣旨でございます。これは根本的にもいろいろ考えなきゃならない問題もございますようでございまして、一がいに法律の運用だけの問題とは考えられない問題でございますので、諸先生方のはっきりした御意見のもとに御処理いただきたいと存じます。
  117. 山本米治

    委員長山本米治君) 政府の所見をまず御披瀝願います。
  118. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑次郎君) この問題は、中共の通商代表部員を公務員あるいは公務員に準じたものとして取り扱うか、あるいは純然たる民間人として取り扱うかということによって違って参ります。もし公務員あるいは公務員に準ずるものとして扱うことになりますれば、現行の法令のもとでわれわれの方は指紋の捺印は要求いたしません。純然たる民間人として取り扱うということになりますと、現行法令のもとで指紋の捺印は、これを免除することはできません。その際に、現行法令を改正するかどうかという問題になるのでありますが、せっかく昨年から実施いたしておりますこの指紋の捺印に例外を作りますことは、外国人登録制度をこわすということになりますので、われわれの方としましてはこれは反対でございます。
  119. 一松定吉

    一松定吉君 私はこれは政府委員の答弁が正しいと思うのです。まだわが国における中国との国交も回復されていない、そういうようなときに、今このせっかく指紋法が実施せられて、入国については相当な監督をする必要があるという建前における今日、わが国において、直ちに中国通商代表部員を公務員と同じように指紋は要らぬというようなことは、少し早急であると思う。いま少し時期を待って、適当の時期にそういう方針に改めることはいいですけれども、今直ちにこの請願を採択することは、時期尚早である、かように私は考えます。
  120. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に御質疑、または御意……。
  121. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 ちょっとお伺いしますが、ただいま御答弁になったと思うのでありますけれども、公務員に準ずる取扱いをするならば出入国管理令、それから外国人登録法というものは改正する必要ないということですか。
  122. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑次郎君) その通りでございます。
  123. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 私はやはりこれは、今非常に日中の貿易というものが要望されておるときでありますし、こういうことのためにそれが阻害されるということは残念なことでもありますから、出入国管理令、外国人登録法というものの改正を別に必要とせずに、適当に処置できるならばこれは採択していいのだろうと思います。
  124. 一松定吉

    一松定吉君 意見の相違だから採決すればいい。
  125. 赤松常子

    赤松常子君 ちょっとお聞きしたいのでありますが、こういうことは今法務省で御研究になっておるのでしょうか、いかがなんでしょうか。こういう問題をお取り上げになって何か……。
  126. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑次郎君) この公務員として扱うかどうかということは、法務省の問題ではございません。これは外交上の問題でございます。それから公務員として扱いをするという際に、法令を改正して指紋を押さないでもいいようにしたらどうかという問題になりますと私の方の問題で、それにつきましては研究いたしまして、今法令の改正はしたくないという考えでございます。
  127. 大川光三

    大川光三君 やはりこれは一松委員のお説に賛成します。そこで、日中貿易の必要なことも考えられますが、そういう面でもし一つこれをくずしますと、肝心の指紋に関する問題が総くずれになるという私はおそれがあると思いまするから、やはり特別の扱いをせずに、指紋法をよく守っていくという建前をとるのがいいと思うのであります。それと、一つは、指紋を押すことかそう大へんなことではないのでありまして、ただ感情的に何か被疑者犯罪人扱いにされるという一つの感情の問題であろうかと思いますが、その点は中国に限らず、この指紋法に適用されるあらゆる人々に十分の了解をさすということが私は必要だと思いますので、一松委員の説に賛成をいたします。
  128. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  129. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記を始めて。  では本件は、次期委員会まで留保いたします。  最後に、千八百十九号を議題といたします。専門員の説明を求めます。
  130. 西村高兄

    ○專門員(西村高兄君) 千八百十九号を御説明申します。  司法官等の優遇に関する件であります。差し上げてございます一覧表を一部訂正いたしましたわけは、標題につきまして本委員会の管轄外のものがありますので請願課の方と連絡、そういうふうにいたしました。この請願者は南担さん——兵庫県の興国研究会の方であります。紹介議員は竹中恒夫議員。内容は、その要旨を申し上げますと、司法官の職務の特殊性にかんがみまして、身分保障の強化、報酬を常に一般よりも上位に置くこと、信賞必罰の制度を強化するということでございます。この趣旨はけっこうだと存じますので、御採択してしかるべきだと思います。
  131. 山本米治

    委員長山本米治君) 本件に関する政府側の御所見を伺います。
  132. 田坂友男

    説明員(田坂友男君) 裁判官、検察官につきましては、その職務の特殊性にかんがみまして、その待遇等について十分に考慮する必要があるということは申すまでもないことでございます。政府といたしましても、これまでこれらの点についてできる限り配慮いたして参ったのでございますが、なお不十分な点もあるかと存じますので、今後十分に検討し、善処いたしたい、かように考えております。
  133. 一松定吉

    一松定吉君 これは表題は、司法官、警官及び教職員の優遇に関する件とあるのだが、これを司法官だけに限ってこの法務委員会では採択するかせぬかをきめるという意味か。これは司法官、警官、教職員と二つ一緒になっているんだが、それはどうなんですか。
  134. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) 本件につきましては法務委員会の所管が司法官関係でございますので、このあとのものにつきましては請願課を通じまして別の方法で請願をしていただく、そうして法務委員会といたしましては、その所轄のものにつきましてだけその内容を審査いたしまして、御審議をいただこうと、こう考えたわけで、請願課の方とも連絡をいたしたわけでございます。それでございますので、この表題が変りましたのはそういう趣旨でございます。
  135. 一松定吉

    一松定吉君 そういたしますと、この委員会は司法官の優遇に関する件ということで意見を述べてよろしいですか。
  136. 西村高兄

    ○專門員(西村高兄君) その通りでけっこうであります。
  137. 一松定吉

    一松定吉君 それはもう当然のことでありまして、司法官の職務の特殊性にかんがみまして、身分の保障を強化する、一般よりも報酬を上位に置く、信賞必罰の制度を強化するということは、これはもう司法官に対して、国会においてもそうでありますが、政府においてもそうであって、常にそのことは強調され、現に実行されつつある、案件でありまするから、それよりそうその保障を強化し、報酬を上位に置き、信賞必罰の制度を強化するということについては、何ら異存を差しはさむべき余地はありません。そういう趣旨の請願ならば、もちろん採択すべきものと思量いたします。
  138. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に御発言ございませんか。
  139. 大川光三

    大川光三君 ちょっとお伺いいたしますが、司法官といわれるのは、裁判官及び検察官、この二つを含んだ意味でしょうか。
  140. 田坂友男

    説明員(田坂友男君)従来司法官という言葉には、裁判官、検察官が入っておったわけでございますが、今では検察官は司法官という言葉が果して適当かどうか疑問があるわけなんです。この請願の趣旨を読んでみますと、検察官のことも言っているということでお答えいたしたわけでございます。
  141. 大川光三

    大川光三君 それじゃこの請願の司法官とは、裁判官及び検察官を含むと、かように解釈してよろしいですね。
  142. 田坂友男

    説明員(田坂友男君) さようでございます。
  143. 山本米治

    委員長山本米治君) 本件はいかが取り扱いましょうか。今までの質疑応答から申しまして、採択することとして差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 山本米治

    委員長山本米治君) 異議ないと認めます。その内容委員長に御一任願います。  これで請願の決定を一応終えましたが、ただいままで採択することに決定いたしました請願は、いずれも議院の会議に付して内閣に送付することを要するものと決定してよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 山本米治

    委員長山本米治君) 異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時六分散会