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1957-05-07 第26回国会 参議院 法務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月七日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員異動 四月二十六日議長において大川光三君 を委員に指名した。 四月三十日委員田中啓一君辞任につ き、その補欠として川村松助君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            雨森 常夫君            一松 定吉君            棚橋 小虎君    委員            大川 光三君            大谷 瑩潤君            吉野 信次君            赤松 常子君            河合 義一君            後藤 文夫君            辻  武寿君   国務大臣    法 務 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局総務課長)  海部 安昌君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局人事    局長)     鈴木 忠一君   —————————————   本日の会議に付した案件裁判官報酬等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議  院送付) ○検察官俸給等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議  院送付)   —————————————
  2. 雨森常夫

    理事雨森常夫君) ただいまから委員会を開会いたします。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、両案を一括して議題に供します。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  3. 大川光三

    大川光三君 議題となっておりまする両法案に対しましては、すでに衆議院において慎重審議の上、一部修正が加えられ、また本委員会におきましても去る二月の二十五日一松委員よりきわめて適切なる質疑が重ねられておりまするので、私は、なるべく重複を避けて二、三の質問をいたしたいと存じます。  両法案提出趣旨は、裁判官及び検察官報酬または俸給について、一般政府職員との権衡考慮し、適切なる報酬または俸給の各月額を定めるというにありまして、御趣旨はまことにけっこうと存じまするが、ただこれだけでは、裁判官及び検察官が表面上の報酬または俸給が、一般政府職員権衡が保たれるというにすぎないのでありまして、実質的にはいまだ問着の不権衡を免れません。申すまでもなく裁判官一般政府職員と異なりまして、みずからの責任においてのみ国民の生命、身体、財産について関与もし、他のいかなるものに対してもその責任を転嫁することが許されない重要な立場に置かれております。また検察官は、上命下従関係にありといえども、常に被疑者被告人と直接に取り組み、担当事件については常に勤務時間を超過し、寝食を忘れ、身命を賭して公益擁護の任についているのであります。この重い責任を負荷されておる裁判官検察官責任を容易に上官に転嫁することのできる政府職員とを一視同仁に、同一待遇をすること自体がすでに不権衡であると言わなければなりません。しかるに、近来この点に関する考慮が少しも払われていないのみならず、政府職員にはかえって管理職手当本俸に対して一二%ないし二五%の支給をされておりながら、裁判官検察官にはこのことがない。権衡を失するもまたはなはだしいと言わなければなりませんが、この実質的な不権衡を、いかにして調整せられんとしておられるか、法務大臣並びに最高裁判所の御所見をまず伺いたいのであります。
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま大川委員からの御発言拝聴いたしまして、私どもといたしましてもまことにごもっともと存じます。裁判官検察官一般行政職員と非常に本質を異にいたしておりまする点は、全く御指摘通りと思っております。従いまして、本来裁判官検察官給与に関する法律は、一般職とは別立になっておりまして、まず出発に際して御指摘のような観点から立案をされておったものと思うのでありますが、逐次一般職給与改善をされて参りましたが、裁判官検察官につきましては、いわば頭打ち状態を来たしておりまして、上層部給与改訂がなかなか容易でありません関係上、頭打ちを来たして意のごとくに改善をされない状況にありますることは、私どもも十分この点にかんがみまして改善に努力すべき事項である、かように存じております。ただ、今回の給与改訂に当りまして、裁判官検察官という認証官給与は、当然改訂をされなければならない筋であったと思うのでありますが、そうなりますというと、他の認証官及び国会議員報酬等、いろいろな方面関係を及ぼしますので、とりあえず今回は認証官給与には政府原案としては手をつけない、近く検討を加えて是正の道を考慮するということで、今回は手をつけない方針を立てましたので、そういう関係上、いろいろなアンバランスを来たすような実情にもなって参っておるのであります。  なお、管理職手当につきましては、御指摘通り従来管理職手当はありませんでしたが、この問題につきましては、政府部内におきましていろいろ協議をいたしました結果、今年から、ある程度の人員につきましては管理職手当をつけることができるような話し合いになりまして、本法案が成立いたしましたならば、すみやかに大蔵大臣と所管の法務大臣とが協議をいたしまして、管理職手当制度実施する運びに話し合いがついておるような次第であります。  なお、事務当局から詳細の点についてはお答えすることにいたします。
  5. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 大川委員からただいま述べられたところは、裁判所にとりましても非常に御理解のあるお言葉でございまして、私どもも全く同感でございます。裁判官給与一般行政職給与に比して劣っているのはどの点が劣っておるかと申しますと、大体において裁判官の一番のトップになっておる判事の一号、それから判事の二号の古い人たち、それを認証官たる裁判官すなわち高等裁判所長官最高裁判所裁判官、こういうクラス一般行政職トップクラスに比して実質が劣っておるのでございまして、その理由は、結局ただいま大川委員が御指摘になりました政府の上級の職員には管理職手当というのが一二%ないし二五%ついているというその管理職手当が、裁判官にはついておらないという点で劣勢になっておるわけでございます。で、これは理屈を申せば、三権分立の建前からしても、とにかく裁判官実質上の給与行政官に劣るということは、形式論からいってもおかしな話でございますし、そもそも裁判官報酬法が制定されました当時の国会が認められた原則にも反しますし、法律の精神にも反すると思うのでございます。それで、私ども事務当局といたしましては、本俸が同じであっても、今申し上げましたような管理職手当が一方にはつき、裁判官にはつかないということの不均衡は、どうしても是正しなければならないという方針で、予算を組む際、あるいは給与ベース改訂がある際には、政府その他の方面にいろいろと努力をして、この不均衡是正考慮をお願いいたしたわけでございますけれども、結局本体を非常に増して一般行政官の上に置くということが、事務的な見通しでは、なかなかできない、それならば、結局は一般行政職に認められておるところの管理職手当という制度裁判官に持ってきて、そして管理職手当裁判官につけることによって実際の劣勢を補うということで、実際上の手段としてはそれ以外にないだろうというようなことを考えまして、この点は検察官についても同様でありますので、昨年末以来、大蔵当局等といろいろ折衝いたしました結果、ただいま大臣から申されましたように、ある程度裁判官検察官にも管理職手当がつくということに、今度事務的には了解がつき、この報酬及び俸給法が通過すれば、その実施ができるという見通しになっております。ただ、管理職手当をそれならばどの程度つけられることになったかと申しますと結局一般職の方の十五級職には二三%ついておるのを、裁判官検察官には一二%ということで、なお劣勢でございます。しかし、これは従来裁判官検察官については、超過勤務手当というものがなかった、しかるに現在一般職トップクラスについておる管理者手当というのは——俗に管理者手当と申しております。——管理者手当超過勤務をもらっていたのを廃して管理者手当にしたんだ、だからもともと超過勤務手当をもらっておらなかった裁判官検察官には管理者手当というものは性質上つけられないのだということで、大蔵省はその理論でがんばっておったわけなんでございます。それを、今回はとにかく一二%にしろ、それから数は制限はございますけれども大蔵省が一歩後退をしたということで、実質においては裁判官にも管理職手当がつけられるということになったわけでございますから、事務当局といたしましては、理論は第二といたして、実際上の方法としては、このいわば大蔵省が一歩後退して、不満足ながらも、私どもから言えば、認めたところの管理職手当の率と範囲を、将来さらに大蔵省に再考を願って、そして実質上の不均衡是正しようというのが事務当局としての考えでございます。
  6. 大川光三

    大川光三君 ただいま管理職手当がついておるかどうかということが、行政官裁判官または検察官との劣勢一つの標準であるかのように伺いましたが、そのほかに、多少問題は小さいのでございますが、たとえば政府職員局長級は、ことごとくと言っていいほど公用自動車の便に惠まれておる。ところが、一体裁判所局長級に匹敵する裁判官に、どれほどの公用自動車があてがわれておるか、もしこの点についての不権衡があれば、どうしてこれを是正せられるか、その点を伺いたい。
  7. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 一般行政庁局長クラスに比すべき裁判官と申しますと、大体二十年以上、二十二、三年以上少くとも裁判官として勤務している人たちだと思いますが、その数は、大体七百人くらいあるんじゃないかと存じます。そうしますと、この七百人に対して一台ずつの自動車ということになりますと、これも相当現在の国家の予算上から見ますと無理だろうと思いますけれども、たとえば私どもの、せめてこの程度はと考えておるところは、一人一台でなくとも、三人に一台であるとか、一部の部に一台であるとかいうようなことになりたいと存じておりますけれども、それも現在はかなわない程度であります。高等裁判所裁判長クラスが、おそらく一台は持っておらないことはもちろんですし、相乗りと申しますか、二人あるいは三人で一台という程度にもなっていないのではないかと存じます。そういう点からいえば、人数が多いということもございますけれども行政官に比べて、同じ経験年数を持っておりながら、そういう本俸以外の物質的な待遇面において裁判官劣勢に置かれるということは、御指摘通りどもも痛感いたしておるわけで、これを何とかして解決をしたいと思って、毎年自動車の車両の予算等も出しておりますけれども、思うようにはならないのでありますが、大きな裁判所では、一時よりは現在やや好転いたしまして、もちろん一人一台というわけではございませんけれども、道筋の同じな裁判官には、ある程度自動車相乗りで配付されているというようなのが現在の状態だと存じます。
  8. 大川光三

    大川光三君 ただいまの自動車の点は、鈴木局長お話し通り、とうてい裁判官並びに検察官は満足すべき状態にないのでありまするから、どうぞこういう点は御遠慮なしに当局に向って要求もし、常にその主張をしていただきたい。多年われわれは在野法曹立場におるのでございますが、従前からどうも司法省、法務省というものは消極的である、お上品であるということをよく聞くのでありまするが、予算要求についてお上品であったり、消極的であるということは、決して日本の司法をよくするゆえんでないと心得えますので、大胆率直にそういう面について勇往邁進されんことを希望いたします。  次に、私はいま一つ重要な問題について伺いたいのでありますが、それは、政府職員は、官舎と申しますか、公舎と申しますか、そういう営造物に居住することによほど恵まれておられる。これに反しまして裁判官検察官には、長官または上席部長を除いては、このことがきわめて少いのでございまして、裁判官公舎または官舎の問題とは、ぜいたくな意味でなしに、裁判官住宅問題とは、現下最も深刻な問題でございまして、ことに法務省でも最高裁判所でも、ともにこれを重要視していただかなければならない案件かと私は考えております。と申しまするのは、申すまでもなく、憲法第八十条によりまして、本年の十一月からは下級裁判官の十年の任期が終了いたしまして、新たに名簿を作成して、内閣裁判官任命されなければならぬ時期に際会をいたしておるこの際、不適任な裁判官退官さ世、適任者のみ再任されることはもとよりでございますが、一審裁判所の充実をはかるために、高等裁判所の優秀なる裁判官地方裁判所におろす必要のあることは、今さら論ずるまでもないところでございます。しかるに、この高等裁判所の優秀なる裁判官が、地方裁判所へ新たに任命される場合、または適材適所に配置する場合、裁判官の方で、思わしい住宅が見当らないために、心ならずも退官してしまうというようなことがないかどうか、私はこの点を深く憂うるものでございます。この住宅問題が隘路となって高等裁判所の指名も内閣任命もむなしく、優秀なる裁判官を失うことはないか、全く憂慮にたえないのでございます。  卑近な一例を申し上げておそれ入りますが、私の知っております簡易裁判所判事で、赴任後五年も経過いたしておるのに、いまだに二階借りをしておりながら、家を探しておるというような人がございますが、たまたまその二階の貸し主、いわば家主でありますが、家主刑事被告人となって、二階借りの裁判官がみずからその裁判をする立場に置かれた、たとえ家主といえども、法は曲げられないとあって、相当の刑を言い渡しました。ところが、被告人である家主並びにその家族たちは、それを非常に憤慨いたしまして、二階を明け渡せ、すぐ家を出て行けというようなことを言う。裁判官は、出て行くにも家がない。やむなく刑事被告人やその家族に平身低頭せざるを得なかったというような実例があるのでございますが、このことは、単に一例にすぎないのでございまして、これに類することが他にも多々あろうと存じますが、一体こういうことで裁判官の威信が保てるでございましょうか。またこれとは反対に、長らくかかってせっかく適当な家を見つけた裁判官が、今度新たなる任命によって他に赴任する身となった、こういう場合に、またまた家探しに苦労する、そのわずらわしさから、この際いっそ退官をして、在野法曹に転向しようというような裁判官も、またなきにしもあらずと私は心得るのであります。  こういうことを考えてみますると、裁判官住宅の問題は、司法の使命の重要性にかんがみまして、緊急に解決をしなければならぬ重要案件かと考えるのでございまするが、時たまたま下級裁判官全員の再任期に当りまして、この点に関しまして当局はいかなる対策を持ち、御所見を持っておられるかを伺いたいのであります。
  9. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 裁判官人事交流の問題につきまして、住宅問題がきわめて大切であることは申すまでもございませんし、それでなくとも現在の住宅の払底の状況から見ますと、裁判官がその居住に安住し得るように司法行政上配慮すべきことは、人事交流の面を除きましても、必要であることは御指摘通りでございます。ことに、ただいま御指摘になりましたように、この十一月以降は裁判官任命後十年になった者が約千名くらい出て参りますので、その再任の時期に際して、適材適所に配置をするということを行うためには、住宅がことに必要であることはその通りでございます。で、最高裁判所といたしましてもその必要を痛感いたしまして、特に今年度の予算として官舎の費用を予算に計上しまして大蔵省の方に特にお願いをしたわけでございますけれども、結局現在大蔵省から割当がありましたのは、多分八千万円か八千五百万円程度住宅費が割当てられておると存じます。これではおそらくせいぜい六十戸くらいしか建てられないと経理の方では言っておるのでございますが、裁判官再任に際して、転任が行われる際に、住宅がないためにやむを得ないで退官をするとかいうようなことは、もちろん最高裁判所としてはそういうことのないように十分気をつけるつもりでございますし、住宅のために裁判官赴任ができない、従ってやめるというようなことは、これは絶対にないように、人事を行うつもりでございますけれども、ただ絶対量から申しますと、ただいまの官舎の数の状態では、人事異動に差しつかえるという面が必ず生じて参りますので、思うように人事が行えないというような結果が生じないとも限らない、その点は大へん心配しておるわけでございます。ただ、そのために裁判官の独立を害するというような結果にならないように、十分注意をいたすつもりでございます。現在どの程度全国裁判官官舎に入っておるかと申しますと、大体三割程度裁判官官舎に入っております。それ以外の者は自分の家屋であるとか借家であるとかというような状態でございます。
  10. 大川光三

    大川光三君 いろいろ御答弁をいただきましたが、なお先ほども申しまするように、法務当局並びに最高裁判所では、どうぞ司法重要性にかんがみて、予算請求についてはあくまでも積極的に、根強く進まれることを希望いたしまして私の質問を終ります。
  11. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 この管理職手当というものの支給率は一二%と承わったのですが、支給範囲はどういう範囲の人に支給するのでございますか。
  12. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 裁判所の方についてのみ私は申し上げます。一二%でその人数は百二十人ということにただいま大蔵省了解ができております。そういたしますと結局一号の判つまり判事で一番上の俸給をもらっておる者が現在百九十名ばかりございますから、その一号をもらっておる判事全員には渡らないわけで、不足をいたすわけでございます。従ってただいま最高裁判所としてどういうように実施をするかということについては非常に悩んでおるわけでございますけれども全国裁判官の中で、地方裁判所所長及び家庭裁判所所長以外に、これは全部一号でございますが、それ以外の一号判事の中で一号の号俸支給されてから五年以上たった者に一二%をつける、そういたしますと大体百二十名をまかない得るのでございますが、非常に不満足ではございますけれども、数が限られておる関係上、結局実施面といたしましては今申し上げましたようにならざるを得ないと存じます。
  13. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 この法律改正によって、その管理職手当というものが出されるようになると、一般職と、それから裁判官検事との給与の不均衡というものはどの程度是正されることになりますか。またこれはすっかり解消をするというところまではいかないのですか。その点をちょっと伺っておきたい。
  14. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) お答えいたします。たとえば今の御質問に対しては、結局不均衡は結論としてはまだ解消をされないのであります。と申しますのは、判事の一号を例にとってみますと、判事の一号は本俸が七万二千円でございます。それからこれに対応する行政職号俸は、現在で申しますと十五の四というのが七万二千円でございます。ですからかりに十五の四の行政職——現在これはないようでございますが、あるといたしますと、七万二千円に二三%が加わったのが行政職でありますのに、七万二千円に一二%が加わったのが裁判官の一号ということになりますから、その間一一%の差があるわけでございます。  それから十五の三というのが大体今の次官クラスでのトップと存じますが、十五の三が六万六千三百円でございます。六万六千三百円に二三%をかけたものを加えたのと、七万二千円に一二%をかけたものを加えたのとでは、やはり十五の三の方が上回っておるわけでございますから、一二%をつけられたことによって裁判官の中で百二十名が管理職手当をもらうということになりましても、それによって劣勢ということはまだ解消をされないという状態でございます。
  15. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 今度の管理職手当を出すことになりますと、判事一号などの給与というものは、東京以外の高裁長官給与額以上になるようですが、これに対する対策なんか、何か方法なんか考えなくていいですか。
  16. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 御指摘のように七万二千円に一二%がつきますと、東京高等裁判所長官以外の高等裁判所長官俸給額をオーバーいたすことになります。東京だけは辛うじて優位を保っております。これは事務当局としては非常に困るわけでございますけれども、いずれ最近のうちに認証官であるところの高等裁判所長官以上の俸給も早晩改訂されるに相違ない。それまで一二%をつけるのを待つというのも愚でありますから、しばらくの不均衡は目をつぶっていただいて、とにかく裁判官劣勢を幾らかでも取り返えそうというわけで一二%をつけるという形になったわけであります。ただ、今度の俸給表改正によりまして、認証官には特別手当というのがつくことになっております。特別手当の額がそれならどの程度つくか、これはまだ法律が上りませんのでわかりませんけれども、四千円つきますか、五千円つきますか、その辺、私ども的確なところはわかりませんけれども、それによって、やや若干、一二%ついたことによって生ずる不均衡が、少しは是正をされるということになるだろうと存じます。
  17. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 今度の改正によっては、判事二号それから検事一号以下は給与が増額されるけれども、その上の給与には手をつけていないということになっておる。これはどういう理由ですか。
  18. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) これは実は内閣総理大臣以下の各大臣及び一般職の方の認証官クラスで七万二千円以上のものは今度は据え置きにするというのが政府の今度の給与改訂についての原案でございます。というのは、結局ベースアップでなくて給与の体系を変えるのだというのが建前なので、金額アップするという、従来のいわゆるベースアップの観念でないので、認証官クラスはそのままの据え置きということで、結局認証官であるところの高等裁判所長官検事庁クラス最高裁判所裁判官はもちろんですが、それが据え置きということになり、同時に七万二千円以上というのが据え置き認証官据え置きということになりましたので、認証官でないところの判事の一号、検事特号というのもそのままの金額据え置きだという、いわばおつき合いをさせられたわけなのであります。
  19. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 この認証官の、今お話の特別手当というものは、つまり判事一号、検事特号、それが今度改正になりませんから、それに対する一つ救済法ということになるのですか。その点いかがですか。
  20. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) その点、政府当局がどういうように考えておるか、理論的な正確なことはちょっと申し上げられないのでございますけれども、私ども大蔵省と折衝をした経過で、事務当局の意見から総合いたしますと、結局据え置きになったということに対して、据え置きになったから、しかし据え置きということは非常に不均衡だから、せめて特別手当という点で、その点の不均衡を幾らかでも是正をしようというのがやはり一つのねらいのように存じております。
  21. 雨森常夫

    理事雨森常夫君) 他に御質疑の方はございませんか。
  22. 赤松常子

    赤松常子君 私、しろうとでよくわからないのですけれども、この説明書に、同一俸給を受けながらも昇進の道のない力が多数あるように書いてございますが、一面、またいろいろ未決の件数がずいぶんございますね。何かそこに私は矛盾があるように思うのでございますけれども、なぜ昇進がふさがれておるのか、そういうことをちょっと具体的に教えていただきたいと思います。
  23. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) それはつまり裁判官で申しますと、裁判官俸給判事補の俸給簡易裁判所判事俸給判事俸給というようにそれぞれ分れております。ところがここで問題になりますのは、判事が一番上の俸給を受けて長年おったものというので、一番上までいきますと、その上の号俸というものはありませんので、上り詰めてしまえば何年たってもそれ以上の俸給というものはないわけでございますから、上せられないわけなんです。昔は御承知のように、そういう場合に、年功加俸というのがございました。今の俸給の体系では年功加俸ということはございません。それで、今度上り詰めたものを長年そのまま放置しておくというのはいかにも気の毒だ、実質上から申しましても生活も広がるでありましようし、勤務年限も長くなりますのに、俸給クラスがないためにそのまま放っておくというのは不都合たというので、それで今度改正になって、いわば昔でいえば年功加俸というものの性質がつけられると、こういうことになっておるわけでございます。
  24. 赤松常子

    赤松常子君 それでわかったのですが、ポストが詰まって、それで上に上れないという問題があるのか、やはり定年制の問題があるのか、ちょっとこれだけでわからなかったものですから伺ったのですが、それでわかりました。
  25. 雨森常夫

    理事雨森常夫君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  26. 雨森常夫

    理事雨森常夫君) 速記をつけて。
  27. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 先ほど棚橋委員の御質問の中に、管理職手当支給範囲の点がございましたが、検察官について答弁が落ちておりますので補充いたしたいと思います。  検察官につきましては、大体予算関係で七十九名が予定されております。大体そのポストは、地方検察庁の検事正そのほか最高検の検事、高検の次席検事等でございます。
  28. 一松定吉

    一松定吉君 これはごく小さいことですが、一般職俸給は一番最下級が一級、一番上級は十五級というんだがね。ところが裁判官検察官の一番上級は一級、そうしてだんだん下に下って十級、十一級という、あべこべに級の数え方がなっている。これは裁判所や検察庁と一般職俸給の一級、二級というのを、話し合って、行政官の最下級が一級であって最高級が十五級であるならば、裁判官あるいは検事も、最下級が一級であって最高級が十五級と、こういうふうにした方がいいと思う。一般職と級が逢うので、われわれしろうとが見ると、普通の人間が見るとわからぬ。こういうことは、政府部内ですから、話し合いの上に一つきめなければいかぬです。これは小さいことですけれども一般人が月給の階級を見るときに、一級というと非常な最上級みたように司法百にはそう見える。ところが一般職では一番下級が一級なんです。こういうことはよくないので、これは一つ機会があるときにおいて改めていただくことがいいと思い一、ますから、そういうように……。  それからいま一つ。これは司法部の方じゃなく一般職の方ですが、あまりに俸級の階級が多過ぎるのですね。百十五階級ある。これを今私計算してみたら、一般職の一体その一級俸というものが六号俸あり、二級俸というものが七号俸まである。六級俸というものは十一号俸まであるという、こういうやり方をして、あまりに区別し過ぎているように思うのたが、これはまあ今この委員会一般職の方に関係のないあなた方に伺ってもわからぬわけ、たが、こういうことも改める必要がある。それから裁判官検察官俸給でも、裁判官の方のやつは、判事が一級から五級まである。それから検事の方は一級から十何級まである。こういうことは何とかして考えて、しろうとが見ても、なるほど一級が最上級だなとわかるように、この号数や俸給表を変えるように、機会あるごとに話し合って、これは是正する必要があると思いまするから、つまらぬことのようですけれども、これはやはりしろうと考えでは必要ですよ。私ども長い間裁判官をしておったその当時のことと、今の裁判官……、現に私のおいが東京検事をしているが、おじさん私は何級の何号俸かわからぬと……。そういうことは親切にわかるようにしたらいいと思う。私は、今この裁判官検事報酬についてという表を見てわかったのです。こういうことは、一つ機会あるごとに是正なさったらいいと思います。  それから今の局長の御説明ですが、大川君の質問に対するお答えの中に、どうも一般職の月給と判事検事の月給とにあまり差額を設けるということは、大蔵省が非常に難色があるというような御意見があったのですが、これはもってのほかで、一つ、そういう頭は、あなた方にはそういうことはないと思うが、大蔵省のそういう間違った頭を持っている人の考えを是正しなきゃならぬ。検察官は別として、裁判官は、大川委員質問したように、わが国の最高級の官吏、そうして最高の俸給を受けて、国民の最高の信頼を受けるべき地位にある人ですから、いわゆるこれにもあるように、世界各国の裁判官待遇が他の役人に比較して非常に上位に位しておるというこれらの例から見ましても、大蔵省のそういう官吏の頭は切りかえて、裁判官はどこまでも優遇して、非常に地位の高い階級であり、従って、報酬の高い階級であるというような頭を大蔵省あたりにぶち込んでやらねば、これは一体、一般職俸給表中の十五級のいわゆるカッコ内を見ると、月俸が八万八千五百六十円となっております。これは次官ですか何ですかわからぬが、あるいは次官以外の認証官ですかそれはわかりませんが、これがちょうど検事総長の八万八千円よりも五百六十円高いんですね。あるいは最高裁判所判事の八万八千円というよりも、この一般職の十五級は五百六十円高い。こういうようなことをするからいかぬのです。これは一つ改めさせるというようなことは、最高裁判所なり検察官なりの俸給等について、あなた方の方で、御関係のある官庁の方で改めさせて、裁判官検事待遇は、これは国民の最上方の階級におるから、最高級の俸給給与しなければならぬのだ、これによって法の秩序が維持でき、裁判官の地位が国民から尊敬されるのだというようなことを、大蔵省の役人の頭にぶち込まなければならぬ。国会議員はみんなそういう考えを持っておるのに、大蔵省の連中はそういう間違った考えをもって、この一般職の八万八千五百六十円が最高裁判所判事の八万八千円より高いというのはよくない。もちろん、今度これが是正されるから非常にいいのであるが、こういうことは、一つ機会あるたびごとにあなた方からも一つ大蔵省を督励し、われわれも場合により大蔵省の役人を呼んで究明をする考えを持っておりますけれども、今この法案を審議する際に、そういうことも必要なかろうからして、これはお考えの上、一つ是正するように特に私はお願いしておきます。終り。
  29. 雨森常夫

    理事雨森常夫君) 他に御質疑はございませんか。——それでは両案についての本日の審査はこの程度にとどめまして、本日は散会いたします。次回は、九日午前十時開会いたします。    午前十一時三十八分散会