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1957-04-25 第26回国会 参議院 法務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十五日(木曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員異動 四月二十四日委員吉田萬次辞任につ き、その補欠として井上知治君を議長 において指名した。 本日委員加藤シヅエ辞任につき、そ の補欠として赤松常子君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            雨森 常夫君            一松 定吉君            棚橋 小虎君    委員            青山 正一君            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            小林 英三君            西郷吉之助君            田中 啓一君            吉野 信次君            河合 義一君            小酒井義男君            辻  武寿君   政府委員    法務政務次官  松平 勇雄君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省民事局長 村上 朝一君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局長)     関根 小郷君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局人事    局長)     鈴木 忠一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○滞納処分強制執行等との手続の調  整に関する法律案内閣提出衆議  院送付) ○裁判官報酬等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議  院送付) ○検察官俸給等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議  院送付)   —————————————
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) これより本日の会議を開きます。   委員異動について報告いたします。本二十五口付加藤シヅエ辞任赤松常子君選任。以上であります。   —————————————
  3. 山本米治

    委員長山本米治君) まず初めに、滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案議題といたします。御質疑の方の御発言を願います。
  4. 一松定吉

    一松定吉君 本法案に対しましては、すでに慎重審議の上、その争点も、修正しなければならぬ点等もよく理解できたようでございます。私は、この法案は今まで滞納処分強制執行また差し押えの執行拒否等手続についていろいろな手違いがあって、思うように調整のできなかったことを、この法案において調整することのできるようになったことは、一歩前進であると非常に喜んでおるのであります。ただ、この法案につきまして、御承知通り自動車等の差し押え処分等につきまして、包含されていないことがまだ欠点であると考えますので、この点につきましてもすでに政府当局においても将来そういう点を考慮して、そうして万遺漏なきを期したいという御意見の御発表がございましたので、この委員会におきましては、その政府の御趣旨のあるところを了としまして、これはこの程度において採決すべきものと思いますが、私はその採決に当りまして、政府の言われましたそういう趣旨を前提として、一つ付帯決議提出いたしまして、皆様の御意見を徴したいと思うのであります。皆様におかせられましても、この程度審議は打ち切ってよろしいということでありまするならば、一つ決議案を出して御参考に供してみたいと思います。
  5. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めてよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山本米治

    委員長山本米治君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  7. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記をつけて。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  8. 一松定吉

    一松定吉君 私は、この原案賛成をいたします。ただし、それに付帯いたしまして一つ付帯決議を動議として提出いたしたいと思います。一応読み上げます。    附帯決議   本法制定の目的及び趣旨の徹底を計るため、政府は、すみやかに、最高裁判所とも協議提携の上、国税徴収法その他関係法規改正につき全面的検討を加え、民事訴訟法以外の強制執行手続による自動車等特にその必要あるものにつき滞納処分強制執行等との手続調整し、私債権行使の保護に遺漏なきを期すべきである。  右決議する。  こういうのを一つ付帯決議にいたしたいと思います。
  9. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山本米治

    委員長山本米治君) では、これより採決に入ります。滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  11. 山本米治

    委員長山本米治君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に、討論中に述べられました一松提出付帯決議案議題といたします。一松提出付帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  12. 山本米治

    委員長山本米治君) 全会一致でございます。よって本付帯決議案は、全会一致をもって本委員会決議とすることに決しました。  ただいまの付帯決議について、政府側の所信をお伺いいたします。
  13. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 政府といたしましても、今回の改正案におきまして、自動車等調整の対象から除外されておりますことは、現行関係法規の不備からくる技術的な理由でございまして、調整の必要は十分あると考えておりますので、付帯決議の御趣旨に従いまして、すみやかに関係法規の整備をはかり、これを取り入れる法律案を提案いたして、御審議を願うつもりでおります。
  14. 山本米治

    委員長山本米治君) なお、本会議における口頭報告内容及び報告書等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 山本米治

    委員長山本米治君) 御異議ないと認めます。  それでは、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     郡  祐一  雨森 常夫     大谷 瑩潤  吉野 信次     辻  武寿  青山 正一     棚橋 小虎  西郷吉之助     小林 英三  小酒井義男     河合 義一 一松定吉     田中 啓一
  16. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。  両案は、衆議院において修正議決せられておりますので、まず、衆議院修正点について政府説明を求めます。
  17. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 修正部分をお手元に配布いたしておりますが、まず裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案修正点でございますが、これは付則部分改正でございます。この法律案提出をいたしました際には四月一日から施行するというふうな考え方でおりましたのでありますが、法案成立一般職給与の場合と同じようにおくれましたので、その関係修正を必要としたのであります。すなわち裁判官につきましても、一般政府職員の例にならいまして、この法律を四月一日にさかのぼって適用することといたしました。四月一日以後の分としてすでに支給を受けました報酬その他の給与は、この法律による新しい報酬その他の給与の内払いとみなすということにいたしたのであります。  それからなおこの付則の第二項の後段を加えましたが、それは、四月一日以後この法律施行の日までの間に新しく判事補に任命された者等がございますので、これらの者に対しましても、その任命の日にさかのぼってこの法律による新しい報酬支給できるようにするための手当でございます。裁判官報酬関係修正部分はそれだけでございます。  次に、検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案修正点を御説明します。これは認証官のうち次長検事及び東京以外の高等検察庁検事長俸給月額が、原案では七万三千円となっておったのでありますが、これを七万一五千円と修正したのであります。これは原案では、御承知のように、認証官等につきましては、一般的に今度の給与改訂が及んでおらなかったわけ、です。認証官につきましては給与改訂をしないという建前でありましたので、現行法のまま七万三千円ということで、改正をいたさない建前原案を提案いたしたのでありましたが、衆議院の方で審議をされまして、結局七万五千円に修正する方がいいということになったのでありまして、その理由は、検事最高俸給を受けている人は、今七万二千円を受けるということになっております。それが今度の改正案によりまして、その号俸でいて長い間たっておるような人には、一般政府職員の例にならいまして、さらにその上の俸給を定めることができる。その上の月額俸給支給することができるというふうな制度が設けられたのであります。いわゆる年功加俸制度と申しますか、こういうふうな制度が設けられましたので、これが適用になりますと、大体七万四千円以上、七万四千円くらいになるのじゃないか。この額は一般職の場合にもきめられておりませんので、後に人事院規則できめるというふうなことになっておりますので、法律金額はまだはっきりいたしておりませんが、大体のところ二千四百円刻み加俸がなされるのじゃないかということが予想されておりますが、そういたします。と、七万四千四百円というものを一般検事の方が受けるということになるわけであります。そういたしますと、手当の方は別といたしまして、本俸自身についてもすでに次長検事とか検事長俸給を超過するということになりまして、上席の人が部下よりも少い金額を受けるということは非常に不都合であるということかう、わずか六百円ではございますが、その上の金額として七万五千円ということにするのが適当じゃないかということになりまして、このように修正されたわけでございます。  それから検察官等俸給に関する法律の第四条には、待命検事扶養手当及び勤務地手当支給するという規定がございますが、一般政府職員勤務地手当は御承知のように廃止されまして、当分の間、暫定手当支給されるということになりますので、これに伴いまして、この規定に所要の改正を加える必要ができてきたので、そのように修正をいたざれたのでございます。その他、施行期日等につきましての修正部分は、裁判官について申し上げたのと同様であります。
  18. 山本米治

    委員長山本米治君) 御質疑の方の御発言を願います。
  19. 一松定吉

    一松定吉君 私は、法文書き方がちょっとわからんのですがね。この裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律の第二条の二「最高裁判所は、前条の規定にかかわらず、判事がその最高額報酬を受けるに至った時から長期間を経過した」という長期間というのは、あまり抽象的でわからない。「長期間を経過した場合に支給すべき報酬として、一般官吏の例に準じて、その最高額を超える報酬月額」「その最高額を超える」というと、この法律最高額がきまっている。最高額というのは、つまり裁判官であると、ここに書いてあるのは、たとえば最高裁判所長官は十一万円、これが最高額、「その最高額を超える報酬月頭」というのは、どういう意味なんですか。あるいは最嵐裁判所判事最高額は八万八千円、それが最高額、「その最高額を超える報酬月額」というと、一体それは数字幾らだ。東京高等裁判所長官最高額は八万二千円、これも最高額一つ。それを超える報酬月額というのは幾らか、さっぱりわからない。こういう書き方をやると。それから判事のところにしても、判事の一号俸は七万二千円、その七万二千円を超える最高額………七万二千円というのが最高額、「その最高額を超える報酬月額」というと幾らになる。こういう書き方はよくわからんが、これを具体的に説明していただきたい。まず「長期間」から。
  20. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) この改正規定は、一般職職員給与法の改正案内容にならって規定いたしておりますので、具体的な内容がそちらにもきまっておりません。法律上はっきり書いてございませんので、ややわかりにくいところもございますと思いますが、上長期間と申しますのは、大体一般職の方の例にならって、向うの方がきめられましたときに、それと均衡をあわせて、具体的には最高裁判所規則できめるということになると思います。が、大体今予想されておるところは、三年以上というくらいになるのじゃないかということが、一般職の方について考えられておりますようでありますから、裁判官の場合にも、その程度になることが予想されると思います。それから「判事がその最高領報酬を受けるに至った時」というのは、判事最高額報酬ということでございますから、判事の一号の七万二千円というものがそれに当るわけであります。七万二千円の、すなわち一号の報酬を受けるに至った時から三年以上を経過したような場合というふうなことに、具体的にはなろうかと考えております。
  21. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると、「長期間」というのは、三年というようなことは言だきまぞおらぬのだとすると、この法案の実施は、昭和三十二年四月一日から施行するのですが、その四月一日から施行するときには、「長期間」というのがきまっておらぬとすれば、どうするのですか。それが一つと、それから「その最高額を超える報酬月額を定めることができる」、その最高額判事であると、判事最高額は一号の七万二千円、その七万二千円をこえる報酬月額、その報酬月額がわからない。最高額の七万二千円をこえる報酬月額というと、その報酬月額というのはどういう意味ですか。それを具体的に数字一つ説明していただきたい。
  22. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) この制度は、一般職給与に関する年功加俸制度にならって考えておるのでございますので、そちらの方が、先ほども申し上げましたように、法案としては具体的な内容をまだ規定しておらないのであります。そうしてこの法案成立後に、具体的に個々の場合に応じて運用の方面で検討して決定をする。こういうふうなことになっておるように聞いておりますが、それにならいまして、裁判官の場合にもその内容がきまるごろに、それにならって同じような、大体準じた内容がきまることになるのだというふうに考えておるのであります。  差額でございますが、「その最高額を超える報酬月額」、この金額も実はまだ具体的にはきまっておらないのでありますが、大体今予想されておるところでは二千四百円刻み差額で増額をしていくということが予想されておるのであります。
  23. 一松定吉

    一松定吉君 そういうきまらないことを法文に書いて、それに従うのだということになると、それは勝手な解釈である。きまらないのならば、むしろここにそういう具体的の明文を一つ入れた方が疑いがなくなるのじゃないかと私は思うのですが、それはどうですか。もしくは長期間というのは三年以上というようなことを、勝手にそういう解釈を、法律にもどこにもないことを……。そういうことをするよりも、最高額報酬を受けるに至った時から三年を経過した場合には云々、あるいは一般職官吏の例に準じて……。その最高額を、一般職官吏のがまたできておらぬのに、こういうものをこしらえるよりも、抽象的でなくて、ここに具体的に、この法案はこの法案独特に、そういうような了解ができるようなきめ方をきめて規定した方がいいのじゃないですか。その辺はどうですか。
  24. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) ごもっともなことでございますが、一般の場合におきまして、制度として法律で具体的に規定しないで、運用において特別の場合として行うという制度を設けておりますが、しかもその具体的な内容がまだ決定いたしておらないのでございます。それでございますから、こちらだけを具体的に決定して法律に書くということは困難でございまして、この一般職の場合の規定ができます際に、並行して規則が制定ざれるというふうなことにならざるを得ないというふうに考えております。
  25. 一松定吉

    一松定吉君 私はそれが不徹底だと思う。この裁判官報酬なんというようなものは、一般職給与とは違って、特別のこれは規定を設けられて、裁判官検察官を優遇するという趣旨でできているものです。一般職がきまうなければこっちはきまらぬというよりは、これをきめて、一般職がむしろこれに順応してきめる方がいいのであって、これはあべこべです、一般職がきまるまではこれはきまらぬのだというようなことになるのだったら。「長期間」というようなものを抽象的に書いて、それは三年以上なんというようなことをしてみたり、一般職官吏の例がきまったうそれに準ずるというようなことは。それならば、一般職がきまらぬうちにこういうようなものを出すということそれ自体おかしいのだ。だからして、これはむしろさっき私が申しましたように、報酬を受けるに至った時から三年を経過した場合に支給すべき報酬として、この最高額にその何分の一を加えたものを支給するというように書く方が一そうよくわかる。一般職を待つまでもなく、こっちはこっちで特別職でやって、特別の待遇を受くべし、特別に報酬額は他の一般職よりも高く評価されて規定されておるのが法の精神なんだから、そういうようにした方がいいと思うのに、あべこべに一般職を原則として、それに従ってきめるというようなことは、おかしいと思うのですが、そういうことはお考えになりませんか。やはりこの原案通りでよろしいとおっしゃるか。この点を一つ
  26. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) ごもっともな御質問でございますが、これは結局一松委員のようなお考えで、裁判所を主にして考えて下されば、この本法の中にその年限、額ということまでもはっきり入れて規定をするということは、確かに一つのお考えで、むしろ裁判官報酬等を中心にして考えれば、そうあるべきかとも思いますけれども、従来の考え方といたしましては、裁判官報酬等に関する法律の第九条に、「裁判官には、一般官吏の例に準じて最高裁判所の定めるところによりこれを支給をする。」と、こういう条文がございます。従って、今問題になっておりますこの年功加俸規定は、一般職の方の規定の法、案を見ますと、結局最高の額を受けた時から長期間を経過したときは、その最高号俸をこえる月額を定めることができるというように、抽象的に一般職の方にも書いてありまして、その長期間というのをどういうふうに定めるか。それから最高号俸をこえる俸給月額をいかように定めるか。つまり最高額幾らプラスしたものを定められるかということは、人事院規則でまかなおう、こういう方針らしいのです。というのは、結局年限とか、プラスの金額というようなことは、必ずしも将来変更がないものではないだろう、というような考えで、これを人事院規則にまかせておいた方が、法律自体規定するよりもフレキシブルだろうと、こういうので、人事院規則にその期間金額というものは定めるということに、一般職給与に関する法律の方でそうきめてあるわけです。従って、裁判官報酬等に関する法律改正法案についても、それを受けまして、人事院規則が必ず出るものですから、その例に準じて、その年限金額というのを裁判所においては裁判所規則で定めるというそういう考え方でございます。結局、御趣旨はよくわかりますけれども、まあ在来の行き方の通りにしたものですから、こういう形になったのだと思います。
  27. 一松定吉

    一松定吉君 それが、その考えが私は間違っておると思うのですね。人事院というのは、規則なんです。人事院規則は、それは国権最高機関である国会の承認を得たものじゃない。だかうして、こういうような裁判官報酬等に関するようなやつは、国権最高機関である国会の関与した法律によってきめることの方が権威がある。それを、こういう抽象的にしておいて、何かわかりもしないような文句を使ってやる。そうして、その疑問の点は人事院規則できめるなんかいうことは、あまりにも私は不見識だと思う。それよりも、むしろこれを明うかに明記して、そうして国会審議を経た法律できめるということの方が、予算を組む上においても裁判官権威を高むる上においても、人事院等かうの規則で左右されるようなことでない方がいいと私は思うのです。しかし、それはどう思いますかと聞くのです。人事院にまかせる方がいいとおっしゃるのですか。今私の言うようにきめた方がいいとおっしゃるのですか。国権最高機関である国会できめるよりも、人事院規則できめる方が、予算を組む上においても、裁判官権威を高むる上においても、その方がいいとおっしゃれば、また何をか言わんやでありますが、その点を聞くのです。
  28. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 私のお答えしましたのは、人事院規則最高裁判所の傘下にあるところの裁判官を縛るというのではなくして、一般職給与に関する法律規定のいわば委任によって、人事院一般職について規定をしたその内容を見て、裁判所の方では人事院規則とは別個に、その規則に準ずるような内容規則を、最高裁判所規則として形式の上では出すということになるわけでございます。ですから、人事院規則そのものに縛られるというわけではないと思います。
  29. 一松定吉

    一松定吉君 人事院規則で縛られることになる。人事院規則できめる場合に、最高裁判所でそれに準じてきめるというのだかう、もとは人事院規則である。そういう不見識なことよりも、法律できめた方がいいのであって、その方が裁判官報酬をきめる権威もあるし、裁判官待遇の上から見ても、人事院規則等において左右なれるようなことよりも、ようはありませんかと、こう言うのですが、しかし、あなたの方で、これは人事院のきめたところによって最高裁判所の方できめればいいとおっしゃれば、私は何も言わないが、こういうきめ方が明確を欠いて、われわれをして疑問を生ぜしむるような成文の仕方はよくないのではないかということを、ただ私は申し上げたいのです。これ以上私は質問いたしません。
  30. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 御趣旨ごもっともなんでございますが、一般職の場合になぜこの法律年功加俸の額とかあるいは期間をきめなかったかということで、結局そこが問題になることですが、これは、やはり年功加俸制度自体に起因しておるのではないかというふうに考えるのであります。で、これは普通の報酬刻みと違いまして、その職員の相当個別の場合の特殊性と申しますか、そういうものがございますし、それからその運用に相当行政的な裁量と申しますか、固定したものでなくて、相当実情に応じたきめ方をするという必要があり、その方が適当であるというような見方もできるかと思うのでありまして、それから、なお実情においてそういうふうな点を検討してきめるという必要が、実際上あるように推察されるのであります。そういうような点から、法律においては固定しないという建前をとったものと思いますが、これの是非は、御指摘のよう、に欠点もあると思います。欠点と申しますか、法律でやった方がいいということも十分考えられるのでございますが、そういうふうな点から、まあ法律に固定しないということになったのじゃないか。そこにやはりおのずから一つ理由があるのではないかというふうに考えております。それに準じてこちらの制度考えざるを得ない。今までの経過からもそういうふうなことになっておりますので、こういうふうな規定の体裁になったものでありまして、運用の実際にかんがみまして、これが不都合である、あるいは法律規定し得る時期に至りました場合においては、これはまた当然法律で定めるのが適当じゃないかといろふうに考えております。
  31. 一松定吉

    一松定吉君 その程度にしておきます。   それから、私ちょっと伺いたいのは、判事俸給から参りますと、判事というのは、結局判事補を十年勤めてから、十年経過した後に判事ということになって職務を行うことになるのでありまするが、十年たった後に五万三千円ということは、少しく私は安いのじゃないか、もう少し上をずっと上げた方がようはないかと思うことが一つ。それから判事補というものを一号から十号に分けて、一番下の十号、すなわち、国家試験を受げて司法研修をニカ年終ってそれから判事補になる。それが月に二万六千三百円というのは、あまりに低過ぎやしないか。ですから、私は一号から十号までをもう少しこれを短縮して、たとえば一号かう八号くういまでにして、そうしてその範囲内で少しずつ金額を上げた方がようはないかということが一つ。いま一つは、簡易裁判所判事の一号俸が五万七千六百円、これが判事の四号俸と同じになっている。この簡易裁判所判事号俸が一号かう十四号までで、一番下がやっぱり一万六千三百円。これの一番下があまり低給過ぎやしないかということが一つ。それから簡易裁判所判事のいわゆる一号俸を取るような人は、今までの実際からすると、定年に際してやめた連中が、隠居仕事に簡易裁判所判事になってやっておるようであります。あるいはそうじゃなくして、当りまえの判事がやめて、簡易裁判所判事になる、そういうようであれば、もう少しこの五万七千六百円というものを、判事の四号俸より上の、少くとも三号俸くらいかもしくは二号くらい上にして、下を、もう少し一万六千三戸円というものを切り詰めて、たとえば十号俸でおしまいにする方がようはないか。あまりに小さく小刻みにしているということはどうかと思うのですが、その点について御意見を伺いたい。
  32. 鈴木忠一

    説明員鈴木忠一君) 下級裁判所裁判官が、判事判事補、簡易裁判所判事というように分れておりますので、それに応じてそれぞれの報酬月額の表がきめられてありますが、判事補を十年した後に判事となる者の最初の号俸の額が五万三千二百円というのは安過ぎるということ、それから最初に判事補となる者の号俸の十号というのが一万六千三百円で安過ぎるということ、  これは私どもも実は安過ぎるというように考えておるわけでございまするが、これは、つまり裁判官に対する報酬ということが一体どういう意味を持っておるか。普通の一般職に対しては給与といい、あるいは俸給というような言葉を使ってあるのに、裁判官に対しては特別な言葉として報酬という言葉を憲法でも使っておりますし、法律でも使っておりますが、そういうところは、単に言葉を変えておるだけで、その内容というものはちっとも変りがないという意味で憲法なり法律が使っておるのかどうか、そこも問題でありまして、私どもはやはり裁判官とい、ものの職員の重大さを法律、憲法は認識をして、そこに裁判官に対する報酬というものの性格を、一般官吏とは異なった内容のものを持たしているのではないかというようにに考えますので、そういう意味から申しましても、判事の初任給、判事補の初任給、簡易裁判所判事の初任給というものは安過ぎるということは、事務局としては考えておって、裁判官俸給一般にもっと上げていただきたいということは、機会あるごとにいろいろな方面にも折衝し、希望も述べておるわけでございますけれども、在来の政府考え方としまして、は、やはり裁判官というものも一般の行政官と同じく、いわば学校を出てそれをスタートにして発足をする公務員と同列に、その経験年数、職務の内容というものをあまりに差別して考えておりませんので、一般の公務員等の俸給等を常に基礎にして、それに対して裁判官俸給というものを考えておられるために、私どもの年来の主張が通うないわけでございます。  それから簡易裁判所判事の一号が、今度改正になりますと五万七千六百円になりますが、この号も低過ぎはしないかとおっしゃられますが、それは今申し上げましたように、一般的に考えれば低過ぎるということ、私どもも決して高過ぎるとは考えておらないわけでございます。ただし、この一号の上に符号というのがございまして、これはこの案にもございますが、特号が現在は六万九百円でございますが、それを改正法によりますと『「六万二千四百円」に改める。』と書いてございますわけで、この上にもう一つ特号というのが事実上はあるわけでございます。  それから判事補も一号の上に特が二つございます。それは四万四千四百円と、その上に五万一千円という、いわゆる特号と俗に称しておりますが、この二つのランクがございます。  それから簡易裁判所判事の初任給が安過ぎるということも、これもごもっともでございますけれども、簡易裁判所判事号俸が非常に多いのもちょっと裁判官という考え方からしますと、おかしくお思いになると存じますが、これは御承知のように、簡易裁判所判事になる人たちの資格というのが、非常に変化の多いものですから、たとえば今御指摘になりましたように、判事をして定年になった者が、さらに勤めるというような場合もございましょうし、そういう者はもちろん純粋な法律家として資格を持っておる者でございますが、それ以外に、必ずしもそういう判事になる資格、検事になる資格というようなものを持っていない者からも簡易裁判所判事に任命いたしますので、そういう者があることを予定をして、号俸がこまかく刻んであるわけでございます。しかし、現在それなうば十四号とか十三号というような、あるいは十二号というような号俸を初任給に使って採用しておるかというと、この辺はほとんど使っておりません。大てい十号以上、初任給といたしますと大てい七、八号くらいが初任給になる簡易裁判所判事を任命しておるのが実際でございます。
  33. 一松定吉

    一松定吉君 それはだいぶ私どもの考えと違う。私どもが、裁判官は普通の行政官とは地位も待遇も異にして、そうして優秀な人を裁判官に採用するということによって裁判の威信を高める、そうして裁判官を志望する者が優秀の人が入ってくるというような意味において裁判官待遇をよくし、裁判官給与をよくするということにきめたのは、片山内閣のときに、最高裁判所判事が国務大臣と同等待遇というようなことをきめたのは、そういう頭で規定したことは、あなた方も御存じであろうと思うのですが、それだのに、やはり普通の行政官並みのような考えを持っていらっしゃるものだから、今のような御意見が出るのだと思いますが、これは将来大いに研究していただかなければならぬと私は思うのです。  それからいま一つ、判一事補というのが、私は司法修習をして裁判官になるのに、一番初め判事補として十年間も勤めさせるというようなことは、これはよくないことだと思う。私は、やはり裁判の威信を高めるという上からしても、判事補が裁判したということと、判事が裁判をしてくれるということと非常に裁判に対する信用の度も違うのだから、判事補の補というのは取ってしまう方がよろしいという考えを持っておるが、その辺のまず意見を聞きましょう。それから、それと同時に副検事、副検事というのは、これは司法試験を受けて及第した者でなくて、多く警察官上りの者を、もしくは裁判所の元のいわゆる書記、書紀官というような者から、そういう方面に採用するのであって、第一資格判事補になる者とは違うような者である。こういうような者に対してこれを四万一千円、一号、これはずいぶん上り詰めたところでありましょうが、こういうようなこととも、これはやはり考えられるのではなかろうか。そうして、この十号というのが一万六千三百円、判事補の十号の一万六千三百円とこれは同じになっておる。こういう点は、もう少し下の方を上げると同時に、判事補と副検事との俸給の比率というものを、いま少しく考える必要がありはしないか、こういうことを私は考えておるのでありますが、こういう点についても御意見一つ承わってみたいのであります。
  34. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 判事補のの制度でございますが、御承知のように、新憲法の施行後、裁判所法が制定されましたことによりまして、こういう制度ができたのでございますが、そのねらいとするところは、結局裁判官の地位を高めることである。すなわち判事として独立して裁判をするには、司法試験を通って修習を二年閥やりまして、いきなり任官した、そういう人に裁判を一人でやらせるというふうなことは適当ではないと、もう少しやはり実際の経験を経た後に裁判官としての働きをさせるという方が、司法のために適正である。こういうふうな考え方から、いきなりは判事にいたさないで、判事補として十年間以上在職し、あるいは検事または弁護士として経験を持っておる、そういうような人にして初めて判事に任命するというようなことを考えたのでありまして、その制度の、ねらいというものは、やはり一つの方向をねらっておるのでございますから、これをどういうふうな建前に今度は組み直すか、考え直すかということは、非常に大きな問題でございまして、この現実の問題といたしましては、実際上いろいろ人手の不足等もございまして、判事補の職権の特例等に関する法律というふうな臨時法なんかを設けまして、いろいろな手当を要するというふうな実情ではございますが、やはり今までのところは、そういうふうな理想は維持してきて参ったのであります。今後、これをどういうふうなことにするかということは、法曹一元というふうな論議も二面にございますので、十分いろいろな利害得失を検討した上で、慎重に考慮すべきものという、こういう考え方を持っておりまして、政府におきましても、今法制審議会でそういうような問題を検討いたすことになっております。  それから副検事と簡易裁判所判事俸給のバランスでございますが、御承知のように副検事もこれは検察庁法で一定の資格を規定しておりまして、職務といたしましても相当重要な、まあ検察官としての活動もいたすのでありますから、この待遇もこれは十分考えなければいけないというふうに思うのであります。実際的に副検事になる人も、これは相当厳重な審査をいたしまして採用いたしておるものでございまして、現在のバランスは、実際上から申しましても簡易裁判所判事と比べまして、特に均衡を失しているというふうには考えておらないのであります。
  35. 一松定吉

    一松定吉君 私が申し上げたのは、判事補判事と区別したわけを聞くんじゃないのです。それは区別したのは今あなたの仰せになるように、学識経一験を十分に備えた者をして判事たうしめ、そうして裁判をさせるということによって裁判の権威を保つのだ、司法修習を終えたような者をすぐに裁判に携わらしめるということは、裁判の威信を害するかう、むしろ十年間は判事補ということで下働きをして、そうして自然に判事の地位を高めるようにしたらよかろうという、そういう趣旨からできたことでありましょう、ありましょうが、しかしながら、実際はあなたも御存じの通り判事補というものは今単独で裁判をやっておる。単独裁判をやっておるその判事補が、判事補という名前を使うということが、裁判の威信について国民がどう思うかというようなことのお考えもあるでしょう。裁判官という名前を使って今やっておる裁判官といえば、判事補判事も同じだからというところからきておるのじゃないかと思うが、しかしそれではおもしろくないのです、私のいうのは。判事補はつまり十年間は単独で裁判をやらせたりしないのだというこであれば、それは今あなたの仰せになる判事補は裁判しないから、いつも判事が裁判するのだから、裁判の威信というものを傷つけるという論理はちっともないのだけれども、実際は判事補が裁判しているのですから、それではおもしろくないから、判事補という補の字を取って、判事というふうなことにして、そうして十分の修習の積むまでは陪席判事などに使って、単独に裁判をきせないという方針をとればとるでいいのに、今、現在十年の期間内における判事補をして、単独に裁判をさせておるじゃありませんか。こういうことであるならば、むしろ補という字を取って、判事ということにして、そうして事務の修習のできるまでは陪席判事に使うとかいうようにする方がようはないか。それの方が裁判の威信を高める上に必要ではないですか。こういうことを申し上げる。だからして、これは将来私の申し上げることが御参考になって、もっともだという御意見でありますならば、一つ将来はそういうことについて御検討の上、改めていただきたい。元の旧制度の方がいい、そういうことを考えております。  それから副検事ですね。副検事は、これは副という字がついてもいいと思う。なぜかというと、何も高文を受けた者でも何でもない、ただ裁判所の書記官あるいは警察官をした者が、昔の判任官の試験を受けて、そうして多年書記をし、警察事務を取り扱ったという人が、特に運用的に副検事ということに採用されるのでしょうから、それは副検事の方がよろしい。また、判下補というものと同一のような、同じような意味に使も職責を設けられても………。設けたからといって、検事の方について私は別に異論は持っておりませんが、そういうような点について、一つ考慮していただきたい。  それからあまりに月給の号俸が多過ぎるかう、これをもう少し縮めて、いただく方がようはないかということ。  それから先刻の政府委員の御説明によりますると、簡易裁判所判事の十四号なんというものはほとんどないので、大がいのものは十号か八号ぐらいが最下の俸給額であるというなら、むしろこういうものは削ってしまった方がようはないか。そうして最下低を今の十号俸か八号俸の二万六千四百円か三万四百円かということにして、そうして優秀な人を採用する方がようはないかということです。  それから、今どうも裁判官になる希望者が少い。これはなぜかというと、こういうような特別の待遇を受くべき制度であるにかかわらず、他の一般行政官に比べれば収入が少いというようなことでもあるし、それがために、もう裁判官にいくよりも他の行政官にいった方がいいやというようなことで、いわゆる高等試験を受けた者が、司法官を望まずして他の一般行政官の方へ就職する者が多いという結果であるのではなかろうか。それがために司法官を希望せぬ者が多い。従って、いつも裁判官の転任補充ということが、当局において非常に困っておる。最高裁判所裁判官を採用するにしても、なかなか人物が、僅か十五人くらいを採るというふうなことでも、思うようにいかぬということは、そういう地位を望まない人が多い。それはなぜかというと、待遇がようないというようなことが起因するのであろうから、そういうようによくして、国家試験を受けて、どしどしわれもわれもと司法官を望んでくるというようなことにするには、待遇をよくするということが一番いいことであろうと思うから、こういうことは私が申し上げるまでもなく、当局においても十分御考慮の上、こういう号俸の、月給が低ければ低いということについては、高等裁判所とよく相談をして、もう少し高い原案を出して審議した方がよくはないかと私は思っているが、御参考までに考えを申し上げる。
  36. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) まことに御理解のあるお言葉でございますが、やはり裁判官並びに検察官待遇というものをできるだけよくしたいということは、われわれも非常に念願しておるのでございますが、力が及ばないということかう、なかなか思うにまかせないことになっておりますが、号俸の数等におきましても、これは一般政府職員の方と——これはいつも比較いたしますとおしかりをこうむりますが比較いたしますれば、これはまだ号俸の数も相当少うございます。見方によれば優遇されているという部面もあるわけでございます。しかしながう、何と申しましても不十分でございまして、いい方を裁判官検察官に吸収するというには不十分であるということは、われわれも十分自覚いたしております。今後、事務的にもそういうふうな御趣旨にも従いまして、大いに努力いたしたいと思いますが、御協力をお願いいたしたいと思います。
  37. 一松定吉

    一松定吉君 つまり、普通一般官吏と比べて裁判官を特に飛び離れて待遇するということについては、ずいぶん問題があるというような御意見のようですが、これは今の日本の制度かう見まして、最後にたよるべきものは裁判官以外にない。行政官もいろんな行政手続で国民の信用を受けないようなことをやっておるような風潮のあるときに、われわれの人権を最後に擁護してくれるものは裁判官だ。その裁判官に対する国民の信頼が厚くなければ、われわれ最後にたよるものは裁判官だという信念も起うないのじゃなかろうかというようなことで、裁判官待遇をよくするということについては、私どもは国会議員でほとんど大部分の者が今私が申し上げたような趣旨を理解しておらるるがために、普通の官吏より以上に待遇をよくしてはいかぬというような考えを持っている人はほとんどないように思う。でございまするから、そういうようなことは御遠慮なく一つどしどし裁判官待遇をよくして、国民が最後にたよるところは裁判官だというようにするためには、裁判官待遇をよくし、優秀な人を司法部に入れていただくようにした方がいいと思いまするから、これは一そう、あなた法務省のお役人として、一つ高等裁判所の裁判長その他の人ともぜひ一つお話の上に、そういう方法によられんことを、特に希望しておきます。またわれわれも国会議員としてそういう方面に働きたいということを、常々考えておりますることを、御参考のために申し上げておきます。
  38. 山本米治

    委員長山本米治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時十四分散会