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一松定吉君 私が申し上げたのは、
判事補と
判事と区別したわけを聞くんじゃないのです。それは区別したのは今あなたの仰せになるように、学識経一験を十分に備えた者をして
判事たうしめ、そうして裁判をさせるということによって裁判の
権威を保つのだ、司法修習を終えたような者をすぐに裁判に携わらしめるということは、裁判の威信を害するかう、むしろ十年間は
判事補ということで下働きをして、そうして自然に
判事の地位を高めるようにしたらよかろうという、そういう
趣旨からできたことでありましょう、ありましょうが、しかしながら、実際はあなたも御存じの
通り、
判事補というものは今単独で裁判をやっておる。単独裁判をやっておるその
判事補が、
判事補という名前を使うということが、裁判の威信について国民がどう思うかというようなことのお
考えもあるでしょう。
裁判官という名前を使って今やっておる
裁判官といえば、
判事補も
判事も同じだからというところからきておるのじゃないかと思うが、しかしそれではおもしろくないのです、私のいうのは。
判事補はつまり十年間は単独で裁判をやらせたりしないのだというこであれば、それは今あなたの仰せになる
判事補は裁判しないから、いつも
判事が裁判するのだから、裁判の威信というものを傷つけるという論理はちっともないのだけれども、実際は
判事補が裁判しているのですから、それではおもしろくないから、
判事補という補の字を取って、
判事というふうなことにして、そうして十分の修習の積むまでは陪席
判事などに使って、単独に裁判をきせないという方針をとればとるでいいのに、今、現在十年の
期間内における
判事補をして、単独に裁判をさせておるじゃありませんか。こういうことであるならば、むしろ補という字を取って、
判事ということにして、そうして事務の修習のできるまでは陪席
判事に使うとかいうようにする方がようはないか。それの方が裁判の威信を高める上に必要ではないですか。こういうことを申し上げる。だからして、これは将来私の申し上げることが御参考になって、もっともだという御
意見でありますならば、
一つ将来はそういうことについて御検討の上、改めていただきたい。元の旧
制度の方がいい、そういうことを
考えております。
それから副
検事ですね。副
検事は、これは副という字がついてもいいと思う。なぜかというと、何も高文を受けた者でも何でもない、ただ
裁判所の書記官あるいは警察官をした者が、昔の判任官の試験を受けて、そうして多年書記をし、警察事務を取り扱ったという人が、特に
運用的に副
検事ということに採用されるのでしょうから、それは副
検事の方がよろしい。また、判下補というものと同一のような、同じような
意味に使も職責を設けられても………。設けたからといって、
検事の方について私は別に異論は持っておりませんが、そういうような点について、
一つ考慮していただきたい。
それからあまりに月給の
号俸が多過ぎるかう、これをもう少し縮めて、いただく方がようはないかということ。
それから先刻の
政府委員の御
説明によりますると、簡易
裁判所の
判事の十四号なんというものはほとんどないので、大がいのものは十号か八号ぐらいが最下の
俸給額であるというなら、むしろこういうものは削ってしまった方がようはないか。そうして最下低を今の十
号俸か八
号俸の二万六千四百円か三万四百円かということにして、そうして優秀な人を採用する方がようはないかということです。
それから、今どうも
裁判官になる希望者が少い。これはなぜかというと、こういうような特別の
待遇を受くべき
制度であるにかかわらず、他の
一般行政官に比べれば収入が少いというようなことでもあるし、それがために、もう
裁判官にいくよりも他の行政官にいった方がいいやというようなことで、いわゆる高等試験を受けた者が、司法官を望まずして他の
一般行政官の方へ就職する者が多いという結果であるのではなかろうか。それがために司法官を希望せぬ者が多い。従って、いつも
裁判官の転任補充ということが、当局において非常に困っておる。
最高裁判所の
裁判官を採用するにしても、なかなか人物が、僅か十五人くらいを採るというふうなことでも、思うようにいかぬということは、そういう地位を望まない人が多い。それはなぜかというと、
待遇がようないというようなことが起因するのであろうから、そういうようによくして、国家試験を受けて、どしどしわれもわれもと司法官を望んでくるというようなことにするには、
待遇をよくするということが一番いいことであろうと思うから、こういうことは私が申し上げるまでもなく、当局においても十分御考慮の上、こういう
号俸の、月給が低ければ低いということについては、高等
裁判所とよく相談をして、もう少し高い
原案を出して
審議した方がよくはないかと私は思っているが、御参考までに
考えを申し上げる。