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1957-03-14 第26回国会 参議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十四日(木曜日)    午前十一時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            雨森 常夫君            一松 定吉君    委員            青山 正一君            大谷 瑩潤君            田中 啓一君            赤松 常子君            河合 義一君            小酒井義男君            宮城タマヨ君   国務大臣    法 務 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    法務政務次官  松平 勇雄君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省民事局長 村上 朝一君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   吉国 二郎君    国税庁徴収部長 飯田 良一君    最高裁判所長官    代理者    (事務総長)  五鬼上堅磐君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局総務課長)  海部 安昌君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局民事    局長)     関根 小郷君   —————————————   本日の会議に付した案件裁判所法等の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○裁判官報酬等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○検察官俸給等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○滞納処分強制執行等との手続の調  整に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) ただいまから法務委員会を開催いたします。  本日は、初めに、裁判所法等の一部を改正する法律案裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を受けるべきですが、大臣の都合により、これはあと回しにいたしまして、最高裁機構改革裁判官待遇等案件審査と関連いたしまして、裁判審理促進法曹一元化等に関する諸問題におきまする基本方針について、最高裁当局の見解を明らかにいたしておくことが必要であると考えますので、これに関して御意見または御質疑のおありの方は、この際、御発言を願います。
  3. 一松定吉

    一松定吉君 幸いに、最高裁判所事務総長の五鬼上君がいらっしゃいますから、裁判所法等の一部を改正する法律案についての所見を伺ってみたいのであります。  最高裁判所は、識見の高い、法律素養のある十五人の裁判官をもって構成されることになっておる、その通りであります。ところが最高裁判所に、識見の高い、法律素養のある十五人の人を得るということが、なかなかむずかしいように私は思うのです。裁判所の方から出る裁判官とかいうような方は、裁判所長官だとか、部長だとかいうような方面からとることによって、相当人材はあるようでありますが、この十五人の裁判官は、今までの慣例から見ますと、判事から五名、学識経験者から五名、弁護士から五名というようになっておるようでありますが、そういういわゆる弁護士からとるという三分の一の五人というものが、在野法曹においてそういう適任者、すなわち識見の高い、法律素養のあるというような人が、容易に得られておりますかどうですか、それを一つ五鬼上さんから、腹臓なく一つ実際のお話を伺ってみたいのであります。
  4. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) これは申すまでもなく内閣最高裁判事を任命するのでありまして、主として政府の方でいろいろ人選をしたりするのですが、今おっしゃったように、大体の慣例は、判、検事弁護士学識経験者、こういうふうになっておりますが、まあ判事検事からは大体五人ぐらいの人数ですから、そう人を得るに困難ということはないのですが、学識経験者あるいは在野弁護士として最高裁判所判事にふさわしいような人を求めるということは、どちらかというと最近は相当やはり好んでおられない、入ってくる人に交渉しても、あるいは受けられないというような事態がございます。
  5. 一松定吉

    一松定吉君 いわゆる弁護士の方で、最高裁判所裁判官になることを好んで出てくる人が少いというその原因はどういうところですか。
  6. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) いろいろなこともあるでしょうけれども、大体弁護士として御成功され、そして相当の年令に達しておられて、いろいろ生活程度相当高くされておる人が、今さら今日のいわゆる最高裁判所判事給与とかその他の待遇では、非常にそういう人から見ると苦労します。そんなにしなくてもというようなお考えが、相当在野弁護士方々から私ども非公式にいろいろお話を伺っております。
  7. 一松定吉

    一松定吉君 しからばそういうような弊害を除去する方法いかん
  8. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) これは実はやはり給与問題等に、主として裁判官給与を上げるとかいうようなところに、重点をおいて改善していかなければならないと思うのですが、実は最高裁判所のスタートした時分には、参議院の法務委員会、衆議院の法務委員会でも、裁判官給与というものは一般行政官より高くなければいけない、そうして非常に長い年数裁判所におられるのだから、相当待遇をしなければならぬ、最高裁判所裁判官国務大臣と同じ待遇を与えてよかろうということで、この給与法というものができたのでありますが、実際国務大臣報酬は、制度的にはやはり最高裁判所裁判官と同じランクにございますけれども、その後数回のベースアップにおいてもやはり国務大臣給与ベースアップというものは行われないために、最高裁判所裁判官給与も据置きのままになっておるし、そのほかにいろいろ一般官吏待遇としては、あるいは勤勉手当とか、管理者手当とかいうものもありますけれども最高裁判所裁判官についてはそういうものは全然ございません。従って実収は非常に下回っておる。むしろずっと一般行政官の上の方のクラスの実収から考えてみますと、下回っておるじゃないかというようなところに、非常にいい人を得るのに困難しておるということがありますが、われわれといたしましては、政府の方に向っても何とか裁判官待遇改善をやってくれということをお願いしておるのですが、今日まで実現していないような状態です。
  9. 一松定吉

    一松定吉君 そういたしますと、そういうような弊害を除去するところの何か具体案でもお持ちでしょうか、それを一つ
  10. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 具体案と申しましても、給与の引き上げの問題、これはどの程度まで上げていいかということは、今ちょっと具体的な案は持っておりませんが、たとえば最高裁判所判事になられた方は、相当在野で長い間おられた人が多い。在野でずっと長くおられても、今度は最高裁判所に入ってこられるというと、結局そう長い間二十年も三十年も最高裁判所におられるということはめつたにないのでありまして、従って、たとえば退職なされても、恩給というようなものは全然つかない。そういうところにも隘路がございまして、私ども昭和二十三年以来、恩給局あるいは内閣等に向って、最高裁判所裁判官恩給を、少くも恩給法には国務大臣が七年で恩給がつくというようになっておるから、あのところへ、一つ恩給法改正をやってくれということを再三再四お願いしておるのですが、これまたいまだに実現できないような状態であります。
  11. 一松定吉

    一松定吉君 今のは改善方法として恩給の問題に触れられたのでありますが、その恩給国務大臣が七年であるということに対して、最高裁判所判事恩給国務大臣と同様にするということを、最高裁の方から政府に要求しておって、それが今日に至るまでできない。二十三年からもうほとんど十年に近い間最高裁の方では心配されておるのですが、できない。そのできないという理由はどういうふうなことでそれが実現できないのですか。できないならばその実現できるような方法を講ずるということに努力せられましたか。その経過一つ説明願いたい。
  12. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) ただいまの恩給の問題につきましては、私ども事務当局といたしましては、最初恩給局長等といろいろ御懇談をしたのですが、大体恩給局の御意見は、この七年というのは、それは法律はあるけれども実際にそういうものを適用された例もないし、そうして賛成しがたいという強い反対の御意見恩給局あたりにある。これは実は私どもとしては、一昨年あたりからいろいろ政務調査会方々とかあるいは官房長官あるいは法務大臣等に再三お願いをいたしておりまして、前の牧野法務大臣のときにも数回私どもお願いいたしまして、大体何とか適当な時期に考慮しようというところまでのお話はあったのですが、まだ実現されておらない、そういう経過でございます。
  13. 一松定吉

    一松定吉君 実は打ちあけ話をいたしますと、ちょうど片山内閣のときに、この裁判官のなかんずく最高裁判所裁判官待遇というものは、国務大臣同一待遇、私はその当時厚生大臣をしておりましたが、より以上の待遇をしなければ、ほんとう国民権利義務の伸張はできない。国民が一番たよるべきものは裁判官である。しかも、その裁判官のうちでも最高裁判所裁判官が一番国民信頼を高めなければならない。そういう建前からいたしまして、いわゆる国務大臣、もしくは国務大臣以上の待遇をすることにしなければいけないのだということが問題となりまして、御承知の通り国務大臣同一待遇というところに待遇を引き上げた。そのことは五鬼上事務総長の言われる通りであります。ところがそのときに、官舎とか秘書官だとかいうようなものは大臣と同じようにいたしたのでありましたけれども恩給のことは、そこまで気がつかなかった。それがため恩給という問題についてそのままに放任せられておりました。ところが大臣は七年、放任せられておった最高裁判所判事はいわゆる公務員でありまするから、十七年の任期がこなければ恩給がつかない。こういうことが判明したのでありまして、この点について、非常に実はわれわれにも責任があり、最高裁判所判事諸君にもお気の毒であり、また弁護士界から就任せられる人についてもそういうような点が大いに考慮されなければならぬのに、それが放擲されておる。それがため弁護士から最高裁判所裁判官になるのにはたいがい弁護士界において功成り名を遂げた人で、財産のあるような人が、もうこれ以上民間におる必要もないから、一つ最高裁に出て、最高司法制度に関与しようかというような考えを持っておる人が最高裁判所判事になることはありましょう。ところが必ずしもそういう人ばかりじゃない。そういう人は、ここまでやったのだからこれから先、年取って楽隠居でもしようという人は、わざわざ最高裁判所判事になって、自分が筆をとって判決を書かなければならぬという仕事に携ることは、もういやだからというので、お断わりする人もある。ところが年はとったは、事件はないが、何とかして生活を保持したいが、弁護士としてははやらないので、最高裁に採用してくれというような連中は出てくるというようなことになってくる。裁判官待遇はどうであるかということよりも、自分生活を守る意味において最高裁判所判事を希望するものがあるというようなことでは、いわゆる識見の高い、法律素養の十分にある人が得られないのが今日の実情なんです。そこで、今事務総長の言われるような待遇改善しなければならない、待遇改善には俸給を引き上げるとか、あるいはその他の給与を増加するだとか、あるいは恩給年限大臣同様にするというような問題が起ってくるのでありましょうが、政府当局者大臣と同じように七年にするということに異議を唱えるということは、いろいろ事情もありましょうが、そういうことは今まで例がないということ、七年間継続して大臣を務めておって恩給になった例は、それはありません。しかしながら大臣になって、大臣そのものが七年でなくても、以前からの官歴を加えてやれば、大臣を一年しても大臣恩給、三年しても大臣恩給ということになる。現に私はそうなんです。私は普通のいわゆる司法官をして十五年何ヵ月、司法官恩給をもらっておったのに、大臣になったために、大臣恩給ということにすぐなった。そういうようなことは、弁護士のように前官の年数のないような人にはない。けれども官吏からなった人にはもう七年どころじゃない。一年やっても二年やってもすぐに恩給になるということになる。大臣だけで七年ということは、なかなか七年間大臣を続けてやるということはできません。吉田さんのような方でも六年何ヵ月しかやっていない。そこで、大臣になって七年で恩給になるものはないということは、その通りであるが、しからば弁護士から判事になって七年というものは、これはすぐできる。あれは六十から採用されても、七十が停年でありますから、十年ということでありますれば、七年はできるわけであるが、なかなか清貧に安んじて国家ために御奉公しようというような、いわゆる誠心誠意国を憂える人は少い。途中でたいがいのものはやめる。今まで弁護士からなってやめた人間はたくさんある。そういう人がみんな一人も恩給になっていない。だから大臣で七年で恩給になるものは少い。裁判官は七年たつと恩給になるということになってくると、次々に恩給がつく者がたくさんできるからということであるならば、七年が短いというなら、あるいは八年、あるいは十年でもいいと思う。普通の公務員の十七年の恩給よりもう少し下げて、最高裁判事は十年なら十年、あるいは九年なら九年というふうに規定すれば、弁護士から最高裁判所判事になって、そして最後には国家の恩恵に浴して、恩給によって生活もできるじゃないかというので、それじゃ国家ために尽そうというので、弁護士学識経験のある、法律素養のある人が進んでなるということになるでしょう。そういうようなことを最高裁の方ではお考えになったでしょうか、大臣と同じ七年で悪いというならば、公務員の十七年より下げた九年とか、十年とかにしようというようなことを考えて今まで行動したことがありますか。もしないならば、その点についてどうお考えになっているか。
  14. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 最高裁裁判官報酬等について、ただいま一松委員の言われたように、片山内閣の時代に、所管外大臣であられるにもかかわらず非常に御理解、御尽力下さったことを私ども常に想起いたし、感謝いたしておるのでありますが、今の恩給の問題につきましては、当時は当局の方でもそこまでは考えられなかったのではないかと思います。間もなく翌年あたり、これは何とかしなければならぬということで、動き出したのであります。その一つとして十年ということが出ました。日本弁護士連合会あたりでも、弁護士から裁判官にいってどうも恩給がつかないと困る。給与を一時に引き上げることができないなら、せめて恩給をつける。憲法にも裁判官任期は十年と定めてあるのだから、少くとも十年ぐらいやったら、やめるときには恩給がつくというところまでやらないと、在野法曹からいい人が得られない。法曹一元化がただのから念仏に終ったのではいけない。かようなことから、強く弁護士連合会あたりでも要望されております。当時下級裁判所判事任期は十年というようなことから、下級裁判所判事にも十年で恩給をつけてもらいたいということを政府に要望したことが数回ございます。それから今の最高裁判事に対して十年にしてくれと具体的にそういう要望したことはございませんが、ただいまどうだということでありますので、私ども七年ができないなら、十年けっこうだと、こう考えております。
  15. 一松定吉

    一松定吉君 私は十年ということは、ただ例として申したので、七年が悪ければすぐに十年ということでなく、八年なら八年、九年なら九年、十年なら十年というふうにして、つまり国会議員の承認のできるように期間を定めて、恩給を支給することができるようにしてもらいたいという趣旨であります。そこで御相談ですが、実はこの問題について私は非常に責任を感じておって、最高裁判事諸君ために、何とかしてこれを実現したいということで、打ちあけ話になりますが、わが自由民主党の政調会法務部の部会にこれを提案しておりますが、なかなか私どものようにそういう経験を持っていない委員諸君が多いようでありまして、理解が得られないで実は困っております。そこで一つ相談ですが、最高裁の方から、まだ会期もあることですし、何もこれをしたからといって、今すぐに予算を伴う問題でもありませんから、今からでも提案してやっていけば、私ども司法部から出た友人等にだんだん相談してみると、それはもっともだというようなことも申しておりますから、一つあなたの方から提案なさるというようなお考えはありませんか。あれば、私どももその驥尾に付して、大いに実現に努力したいと考えておりますので、所見をお伺いします。
  16. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) まことに御理解ある御質問なのですが、最高裁判所といたしましては、国会に対して司法行政実情説明するという立場が与えられているのですが、まあ提案をして、立法をしてくれということをお願いはできると思いますけれども、結局これはこういう問題になってくると、政府の方からやはり立法をして提案するということが道じゃないかというようなことで、いまだに実現しない立場になっておるのであります。打ちあけ話でございましたが、私どもも実はこの清瀬委員政調会長時分にもいろいろお話して、なにしたのですが、やはり意見としては十分わかる、意見としてはわかるが、一つ自分意見としては、これは政府を鞭撻して、政府から提案さす方が一番いいというようなことで、それでまあ官房長官とかいろいろな方面法務大臣等お話をして要望しておるというような状態です。
  17. 一松定吉

    一松定吉君 それならば、一つそのことを急に実現するようにしていただくと大へんありがたいのですが……。実は私こういう案を出しまして、今自民党の法務部提案しているのでありますが、なかなかこういうようなことを直接知らない連中が多いので、これを多く平気に考えておるようでありますが、私は今度のような、別に予算がこれに伴うて、この恩給法が一部修正されればすぐに予算をどうしなければならぬという問題じゃないのですから、今弁護士が五人おる。五人の中で七、八年になった人が二人あるようですが、あとの方はまだ何ごともない。しかもその人が今やめるというような関係にないのですから、これも法案が通ったからといって、すぐに予算をどうしなければならぬということもありませんから、私も午後に法務大臣が出ますれば法務大臣にもこのことを要求したい、そして院内でも寄り寄り有志と語らっておりまするが、あなたの方も一つそういう方針に向ってやっていただくことを特にお願いしておきますが、それはいかがでしょうか。
  18. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 私の方からもいろいろ資料の御要求があればいつでも提出いたしまして、御協力申し上げます。
  19. 一松定吉

    一松定吉君 今のは恩給法の問題だけでありまするが、この給与の問題、この恩給以外に、最高裁判所裁判官は、与えられた俸給以外には一文もないのですね。そうすると、その俸給の中から税金を引かれる。いろんな費用等を引かれるというと、手に入るものは五万円そこらよりしか入らぬということを私は聞いておる。これでは最高裁判所判事諸公自分の品位を保ち、そして国民から信頼を受けるというような生活はできぬのじゃないか、現にできていない。こういう点について、恩給のことは今お話し下さったので、私も力をあわせて努力いたしますが、恩給以外の俸給に対する給与、たとえば家族手当とか、あるいは一時金だとか、あるいは研究費だとか、図書費とかいうようなことで、もう少しこの収入が多く出て、生活に困らぬような方法をおとりになるということを、今の恩給法の一部改正と同じような方法によって、これを実現すべく御努力するというようなお考えは持っておりませんかどうですか。
  20. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 私どもといたしましては、過去四年ばかり前からして予算折衝のときに最高裁判所裁判官に月額五万円の研究手当をつけてくれということで、大蔵省と絶えず折衝、毎年々々折衝しておるのですが、いまだ実現せられないので、はなはだ遺憾に存じておる次第であります。
  21. 一松定吉

    一松定吉君 そう毎年々々やっておるにかかわらず大蔵省等から採用せられぬというと、いかにも最高裁判所司法府は無力のように見えるのだが、それはもう少しそういう時分にはやはり大蔵省だけじゃなしに国会議員に対しても世論を起すようなふうにあなたの方から各国会議員に働きかけて、そういう世論を起して、これが実現されるような方法をおとりになっちゃいかがですか。そういうことはできぬのですか。
  22. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) ただ法務委員会等において予算説明のときには、大体こういう項目で要求しておるのだということは申し上げておるつもりでありますけれども、とにかくもう少し御理解いただく方法を講じたいと思っております。
  23. 一松定吉

    一松定吉君 まあ一つ、これは笑いごとじゃない、ほんとうにこれは一つやらなければ、いい最高裁判所判事は得られませんよ。今度のチャタレー夫人の問題がきのうきょうからだいぶやかましくなっております。これに対して反対意見を述べている判事もあるようだが、国民信頼を受けるような裁判をしてもらって、頼るべきところは最高裁判所裁判官だというような信任を高めるについては、いい判事を得なければならぬことはもちろんであります。いい判事を得るためには待遇をよくしなければならない、改善をしなければならないのですから、そこを一つやるようにしなければ、普通の行政官が、いや家族手当である、いや勤勉手当である、居残り手当である、時間外手当であるというふうにして、手につけ足につけ取ることによって、長官よりも多く取るというような実情考えれば、ほんとうに何とかして上げなければならぬと私は思っているのでありますから、その点について今後一そう御尽力を賜りたい。私ども驥尾に付して実現に努力してみたいと思いますから、どうか一つそれをお願いしておきます。  それから法曹一元化の問題も、結局今のようなところがねらいでありまして、今最高裁判所裁判官が当りまえの裁判所判事に対しても、法曹一元化ということで弁護士からも裁判官になり、裁判官からも検事になり弁護士になる。検事から判事になり弁護士になるというように、自由自在に法曹ほんとう一元化になることについては、今言うように待遇改善ということが一番大事であると思うのでありますが、今度のこの機構改革について少しく伺ってみたいのでありますが、一体今までの最高裁判所が始って以来、事件数が非常に停滞をして、昭和二十六年のごときは七千件を突破するというような実情であったということが、その後だんだん数も減って今は四千件、五千件になったというようなこともありますが、十五人の裁判官が一体七千件だとか五千件だとかいうことを担当して、これを判決しなければならぬということは、これは非常に困難なことであることは言うまでもありません。従って判決が遅延する、従って権利が不確定状態に長く置かれるということは、これは国民ために非常に不利益であるのであるから、これを一つ是正しようということが、この機構改革の第一の原因であろうと思うのでありますが、なぜにこういうように事件数がたくさんふえ、どうしてこれを処理ができなかったのだということと、今度機構改革すればどういうわけでこの事件がだんだん減って、国民信頼を受けるような、短時日に権利確定ができるようになるかということを一つ具体的に、私ども多少わかっておりますが、わからない法務委員というと失礼になるからそうは言いませんが、もう少しわかるように、あなた一つここで説明してもらいたい。
  24. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 機構改革の法案については、法務省から御説明願った方がいいと思いますが、実際この最高裁判所が出発しまして、そうして従来大審院の、多いときには四十五名くらいの判事がおった。それを十五人の裁判官で処理していくということについては、少し無理があるのではないかというような、裁判所法のできる時分からそういう御意見は他の方面にあったのであります。しかし、まあそう識見の高い法曹をたくさん得ることはなかなか困難であるというようなこともありますし、なるべく上告事件というものを、ほんとうに上告に値するような事件一つ審理するようなことにしてというところで、大体十五人でスタートしたのでありますが、ところが当時の予想をはるかに上回って、上告事件が非常にふえている。これじゃいけないというので民事の事件で特例法を設けて、一応真に上告に値するような事件ならいいけれども、ただ引き延ばしのための上告とか、あるいは刑事では、ただ憲法違反に名をかりた上告というものは、なるべく一つ最高の方にこないようにということで、いろいろ手当をしてみたのですが、しかし、なかなかそれはいろいろ国民の側においては受け入れしてくれない、上告を制限するということはけしからぬというような意見が非常に強く、民事特例法はついに廃止になり、しかも一般法令の違反も最高裁判所でやれ、それから刑事の方もまだこれは法律改正になっていないのですが、法制審議会あたりでは、やはり一般法令違反でやれということになった。一方、憲法問題、違憲審査権というようなものを持っておる最高裁でありますからして、どうしても今日の機構ではそうなってくるとたえられないのじゃないかというようなところから、法制審議会あたりで、政府が三年ばかりかかって、そうしてようやく結論を得たのが、今日の、今国会提案されておる最高裁判所機構改革案だろうと思うのであります。これは私どもも法制審議会に参加いたしまして、いろいろ論議をしたのでありますが、結局法令違反もやるのだから、最高裁判所裁判官の、たとえば憲法問題とかあるいは判例抵触とか、そういうようなものをやる裁判官は、これは数を減らして九人にしたらいいだろう、それで九人にして、そうして一般法令違反をやる判事をふやしたらいいじゃないかというので、最高裁判所小法廷というようなものを考えて、そこで一般法令違反をやる、こういうようなところでやってみたらいいじゃないかということで、まあ最高裁判所といたしましても大体法制審議会の案に対しては賛成をいたしておるような次第であります。
  25. 一松定吉

    一松定吉君 詳細なことは裁判所法の一部を改正する法律案提案理由の中に書いてありますから、これを見ればよくわかるのでありますが、そこで一つ伺ってみたいのは、調査官というのが最高裁判所にたくさんおるようですが、ああいう方はなんですか、裁判官の手足となって判決の原稿を書くとか、記録を読んで、その調査の結果を判事に報告するとかいう任務ですか、任務の範囲はどうなんですか。
  26. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) ただいま最高裁の調査官が二十四名であります。これは各事件がきますと、その事件を調べまして、調査報告書というものを作って、そして各判事のところに回す、それから各判事のところでは記録によってこの調査書によって審議をしておる、こういうことでございます。
  27. 一松定吉

    一松定吉君 最高裁判所判事で、判決の書けないような判事がおりますか。調査官をして書かせるような人がおりますか。あるいは全部自分で書きますか。
  28. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 最高裁判所判事判決が書けない人はないと私どもは確信しております。
  29. 一松定吉

    一松定吉君 理論はその通りでなければならないが、実際はどうであるかということは、ここであまり言うことは問題になるから言いませんが、こういう点についてもやはり問題は待遇問題に帰着するのですからして、ほんとう一つまじめにこの待遇問題を考えていただくように、特に私はお願いしておきたい。  いろいろなことについて質問したいことがありますが、あまり内部に入りますと、私なんかあまりに内部を知り過ぎておって、質問することもできぬし、答弁も困るだろうと思うので、きょうはこの程度にとどめておきます。
  30. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  31. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記を始めて下さい。  順序が逆になりましたが、ただいま議題になっております三法律案について、政府から提案理由説明を聴取いたします。
  32. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) それではまず裁判所法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。  御承知の通り、日本国憲法の施行とともに、わが国の司法制度は、旧憲法時代とは異なった新しい構想のもとに発足いたしたのであります。特に最高裁判所は、違憲審査を行う権限を有する終審裁判所とされましたばかりでなく、訴訟手続その他に関する規則の制定及び下級裁判所裁判官の指名というような重要な権限をも与えられ、旧大審院とはこれらの点において著しく趣きを異にしているのでありまして、その重大な職責にかんがみ、最高裁判所は、識見の高い法律素養のある十五人の裁判官をもって構成されることになったのであります。  最高裁判所のこのような性格及び構成にかんがみ、その取り扱う上告事件の範囲をいかにするかという問題は、すでにその発足当時から存在していたのでありますが、まず、刑事訴訟につきましては昭和二十四年から施行された新刑事訴訟法によりまして、訴訟手続に根本的改正が加えられ、第一審における公判中心主義の徹底、控訴審の事後審化とともに、上告理由の範囲は、憲法違反、判例抵触等の重要な事項に限定され、これによりまして、刑事訴訟に関する最高裁判所裁判権の範囲については、一応の調整が行われたのであります。また、民事訴訟につきましても、昭和二十五年に至り、有効期間の定めのある臨時立法として、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律、いわゆる民事上告特例法が成立いたしまして、上告理由に基く調査の範囲は、原則として憲法違反、判例抵触及び法令の解釈に関する重要な事項に限定されることになったのであります。  しかしながら、このような上告制限の措置にもかかわらず、最高裁判所における取扱い事件の件数は年々増加の一途をたどるとともに、その裁判官の負担は著しく過重となり、昭和二十六年末には、未済事件数がついに七千件を突破するに至ったのでありまして、現在の最高裁判所機構をもってしては、ますます増大する事件の負担にたえることが困難ではないかと考えられるに至ったのであります。また一方、右に述べましたような上告制限の方向に対しましては、在野法曹方面を中心として、批判的な意見が次第に強く唱えられて参りました。すなわち、従来のわが司法制度においては、長く一般法令違反が上告理由として認められてきたのでありますが、これを制限して憲法違反、判例抵触等を上告理由として認めるのみでは、個々の事件における当事者の救済に不十分であり、このような制度は、わが国の実情に適しないものであるというのであります。このようなことから、最高裁判所機構及び上告制度の改善の問題が早急に解決を要する問題として、盛んに論議されるようになりましたことは、御承知の通りであります。  政府といたしましては、前に申し上げましたいわゆる民事上告特例法が有効期間の定めのある臨時立法として成立いたしました関係もあって、すでに昭和二十六年以降、法制審議会におきまして、民事訴訟法及び刑事訴訟法の改正の問題の一環として、この上告制度改善等の問題につき研究を進めておりましたが、右に申しましたような情勢を考慮し、昭和二十八年二月、法制審議会に対しまして、新たに裁判所の制度を改善する必要があるかどうか、あるとすれば、その要綱を示されたい旨の諮問を発したのであります。  法制審議会におきましては、この諮問に基きまして、新たに司法制度部会を設け、最高裁判所機構の問題を中心として調査審議を進めたのでありますが、当初は裁判所側、在野法曹側を中心に、相当意見の相違点があったのであります。しかしながら、この問題についての審議を促進するため昭和二十九年八月、新たに司法制度部会、民事訴訟法部会及び刑事法部会から選出された小委員をもって構成する上訴制度に関する合同小委員会を設け、最高裁判所機構及び刑事事件の上告理由範囲の問題を中心として、鋭意審議を進めて参りましたところ、回数を重ねるに従いまして、次第に多数の委員の賛成を得られるような方向が明らかになり、昨年三月には右合同小委員会としての案が決定され、その後右三部会においてこの案が審議承認されました。ついで昨年五月八日法制審議会の総会において、出席委員二十一人のうち二十人の賛成により、答申案の決議が行われ、同会より最高裁判所機構及び上告制度に関する立法措置について適切な答申がなされたのであります。そこで政府は、これに基き慎重に立案いたしました結果、ここにこの法律案を提出する運びに至った次第であります。  次に、この法律案の要点につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  この法律案は、裁判所法及び刑事訴訟法の各一部改正を内容とするものでありまして、その骨子は、上告事件等の審理の円滑化をはかるため、憲法違反、判例変更等の重要な事件について審判する最高裁判所裁判官を減員するとともに、別に最高裁判所最高裁判所小法廷を置き、刑事訴訟についての上告理由の範囲を拡張して個々の事件における当事者の救済を全うしようとするものであります。  改正点のうち、特に重要と思われる数点についてその概略を申し上げますと、まず第一に、最高裁判所の構成でありますが、現在の最高裁判所は、最高裁判所長官及び最高裁判所判事十四人をもって構成され、憲法事件その他の重要事件につきましては、全員の裁判官の合議体である大法廷で審理、裁判をするとともに、その他の一般上告事件につきましては、この十五人が三人以上の員数の裁判官の合議体である小法廷に分れて審理、裁判をすることになっておりますが、このような現在の構成では、一つの合議体として重要事件を処理するためには、むしろ裁判官の数が多きに失し、また、その他の一般上告事件の処理のためには、これが少きに過ぎるのみならず、裁判官が大法廷及び小法廷の双方の事件の審判に追われて、その能率が阻害されているように思われますので、これを改め、まず、最高裁判所は、憲法違反、判例変更等の重要事件のみを取り扱うことにいたしますとともに、その取り扱う事項の重要性にかんがみ、さらに裁判の合議を全からしめ、審理を円滑ならしめることを期するため最高裁判所長官及び最高裁判所判事八人でこれを構成するものとし、その全員の裁判官の合議体で審理、裁判をすることにいたしました。また一方、一般上告事件につきましては、現在の最高裁判所の構成では、事件の処理が遅延の傾向に陥りやすく、また、裁判官の負担が著しく加重となっている点を考慮し、かつ、後に述べますように、刑事の上告理由の範囲を拡張することにより一般上告事件を処理するための負担が増大するものと予想されることに伴いまして、その審理の円滑化をはかるため、別に最高裁判所小法廷首席判事六人及び最高裁判所小法廷判事二十四人で構成する最高裁判所小法廷を最高裁判所に付属して置き、この小法廷は、三人以上の員数の裁判官の合議体で審理、裁判をすることにいたしました。  第二に、上告理由の範囲は、民事につきましては現に憲法違反のほか、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反を上告理由の範囲といたしておりますので、現行法のまま改正を加えておりませんが、刑事につきましては、上告審における個々の事件の当事者の救済を徹底させる等の見地から、現在の刑事訴訟手続の構造及び上告審の負担の点等をも考慮しつつ、その上告理由の範囲を拡張することにし、憲法違反及び判例抵触のほか、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反することをも上告の理由とすることにいたしました。  上告の間口を民事事件との均衡のとれるような措置を講じた次第でございます。  第三に、事件の審判につきましては、最高裁判所小法廷は、原則として上告その他につき最高裁判所と同一の裁判権を有し、事件はまず小法廷で審理することといたしますが、憲法問題について判断をする場合及び従来の判例を変更する場合等におきましては、最高裁判所において裁判をさせることが適当と考えられますので、事件最高裁判所に移させることとし、最高裁判所は、原則として小法廷から移されたこれらの重要事件について審判することにいたしました。また、小法廷の裁判に対しましては、憲法違反を理由とするときに限り、特に最高裁判所に異議の申し立てをすることができることにいたしました。  第四に、最高裁判所長官及び最高裁判所判事は、憲法にいう最高裁判所裁判官としてその任命を国民審査に付する点につきましては、もとより従来通りでありますが、内閣がその指名または任命を行うについては、一層慎重を期するようにするため裁判官検察官弁護士及び学識経験者で組織する裁判官任命諮問審議会に諮問すべきものといたしました。また、最高裁判所小法廷の裁判官の任命方法、任命資格等は、高等裁判所長官等と同様といたしましたが、その地位の重要性にかんがみまして、特にそのうち小法廷首席判事の任免は、天皇が認証するものといたしました。  以上が裁判所法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。  次に裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明します。  政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の俸給制度の改正を行い、これに伴って給与について必要な調整措置を講ずることとし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出し、御審議を仰いでおりますことは、御承知の通りであります。この両法律案は、一般の政府職員の例にならいまして、裁判官及び検察官報酬または俸給の額等を改正しようとするものであります。以下簡単に改正の要点を御説明申し上げます。  まず第一に、裁判官及び検察官報酬または俸給について、一般の政府職員との権衡を考慮し、適正な報酬または俸給の各月額を定めることといたしました。  第二に、裁判官及び検察官の中には、長期間にわたって同一の報酬または俸給を受けながら、昇進の道がない者が相当数に上っておりますので、最高額の報酬または俸給を受けるに至ったときから長期間を経過した判事または検事に対して、一般の政府職員の例に準じ、その額を越える月額の報酬または俸給を支給できることといたすとともに、長年勤続のいわゆる認証官以上の裁判官及び検察官については、特別職の職員の給与に関する法律第一条第一号から第十五号までに掲げる者の例により、新たに特別手当が支給できることとして、法文に必要な整理を加えることといたしました。  第三に、寒冷地に在勤する高等裁判所長官及び検事長には、これまで寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当を支給するための法令上の措置が講ぜられておりませんでしたので、この際、これを支給する旨の規定を設けることといたしました。  以上がこの両法律案の趣旨でございます。何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  33. 山本米治

    委員長山本米治君) ただいま説明を聴取いたしました三案に関する質疑は、次回に譲りたいと存じます。   —————————————
  34. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に、滞納処分強制執行等との手続の調整に関する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。政府は法務省、大蔵省、自治庁、運輸省から各監督官が来ております。
  35. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 登録されております自動車については、この法律における有体動産のうちに入っていないように思われますので、この点についてお伺いいたします。自動車は不動産と従来同一のように考えて、動産権としての確保または金融担保に供し、また債権者が強制執行または競売の目的物として、他の不動産または有体動産と同様、なおそれ以上に利用されていることは顕著なものでありますが、一方公租公課の滞納処分の目的にされやすいそれらの私債権との競合、利害の対立は、ほかのもの以上に激烈でございます。それにもかかわらずこの法律案で自動車を除外しておりますのはどういう理由でありますか。また、どういう経過でありますか。その点についてお聞きいたしたいのであります。  私の推測する考えでは、これには二つほど考えられるのでありますが、そのうちの一つは、最高裁の規則でもって、自動車強制執行規則、あるいはまた自動車競売規則というようなものがありますが、これらの規則は憲法第七十七条による最高裁の訴訟に関する手続と規則制定権に基いておるのであるから、政府としてはことさらにこの際は遠慮して、これに触れることを避けられたのではなかろうかという考え。もう一つの点は、最高裁と事前に協議の上、本法で企図するところの租税等の徴収と競合する私債権執行上の障害を排除することに関しては、自動車については本法と同趣旨で最高裁の全文規則改正考えておられるのではなかろうか、この二つを考えられるのでありますが、御答弁をお願いいたします。
  36. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) 登録自動車につきましては、御指摘のように租税公課の徴収のための手続と民事訴訟法、競売法による手続との調整措置を講じます必要性は少くないと考えるのでございます。この法案におきましてこれを調整の対象から除いております理由を申し上げますと、強制執行及び抵当権実行の手続につきましては、法律の意義に基きまして最高裁判所規則をもって自動車及び建設機械強制執行規則、自動車及び建設機械競売規則ができておりまして、これに詳細な手続が規定されておるのでございます。差し押えの方法といたしましては、不動産や船舶と同様に競売手続開始決定を裁判所がやりまして、自動車の差し押えの宣言をすると同時に、自動車を債権者の委任した執行吏に引き渡すことを命じ、その差し押えは競売手続開始決定を債務者に送達することによって効力を生ずるということになっておるのであります。一方国税徴収法におきましては登録自動車を差し押えた場合には収税官吏は差し押えの登録を関係官庁に嘱託しなければならぬという規定が一カ条設けてあるだけでございまして、その差し押えの方法が、動産差し押えの場合の規定によってやるのか、不動産差し押えの場合の規定によってやるのか、明文上必ずしも明らかになっていないのであります。従いまして国税徴収法による差し押えがあった後、これと強制執行または競売法による競売の手続との調整措置を講じますための両者の結びつきを規定いたしますのに、法律的、技術的に困難な点がございまして、あたかも国税徴収法の全文改正がたまたま問題になっております際でありますので、国税徴収法改正の際に、登録自動車等に対する差し押えの手続等を詳細に規定される場合に、この調整措置の対象として取り上げることが適当であろう、かような理由で今回は対象としてないのでございます。
  37. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 今のお話の国税徴収法の改正は、どういうふうな進行状態になっておりますか。またいつごろ改正されるお見通しでありますか。
  38. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) ただいまの御質問に簡単にお答え申し上げます。  国税徴収法が非常に古い法律でございます関係で、手続自体につきましても非常に簡潔な規定しか置いてございません。それと最近の滞納の状況は、戦前と戦後を比べてみますと、質的に変ってきておりますので、前から国税徴収法を改正すべきであるという意見がしばしば出ておったのであります。ことに最近の滞納の増加と関連いたしまして、現在の優先権その他の問題も大きくクローズアップされてきているような関係もございましたので、大蔵省といたしましても、今大体において国税徴収法を全文改正する時期がきているのではないかという判断をいたしまして、一昨年の十二月に臨時税制調査会が中間答申を出しました際に、国税徴収法についても早期に改正を行うことが適当であると、ことに滞納処分と強制執行の両手続の調整をはかることは早急にやるべきである。ただこの問題は非常に技術的な問題であるので、別に専門の委員会を設けて処理した方がよかろうという勧告を出したわけであります。大蔵省といたしましては、その中間答申に基きまして、一昨年の十二月に大蔵省限りの委員会といたしまして、租税徴収制度調査会というものを閣議決定によって設けまして、その後現在に至るまで委員会として十二回の会合を重ねているわけでございます。その間におきまして、昨年の一月の二十七日に、この滞納処分と強制執行の両手続に関する中間答申を行なっております。この法案を大蔵省として制定していただきたいという気持を持ちました一つ原因が、この中間答申になり、引き続きまして現在まで審議を続けておりますが、ただいまの進行状況といたしましては、中心的な問題である公租公課の優先権の問題について、掘り下げた検討をいただいているわけでございます。この委員会は、閣議決定におきましては一応本年の九月に終了することになっておりますが、それまでには一応の答申をいただけるものという前提で、私ども事務局においてもいろいろな準備をしております。従いまして三十二年度中にはおそらく答申が出していただけるものと思いますが、その間若干、委員長であります我妻先生が海外に出張されるという関係もございますので、あるいは場合によっては期間を若干延長していただくことになるかと思いますが、いずれにいたしましても、三十二年度中には答申がいただけるものと思う次第であります。従いまして国税徴収法の改正も、その答申をいただいてから検討して、全面的に改正の手続に入ろうという考えでおりますけれども、答申の時期のいかんによりましては、昭和三十三年度の税法改正で行い得るか、あるいは問題が問題でございますし、かなりこまかい手続、それから民事訴訟法の改正その他を見きわめる関係で、若干一年くらいずれるか、その辺はただいまのところでは十分見通しがつけられないでおりますが、できるだけ早期に答申に基いて改正をいたしたいという覚悟でおります。
  39. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に質問はございませんか。   —————————————
  40. 一松定吉

    一松定吉君 大臣がお見えになっているから、ちょっと私希望だけ述べさせていただきます。大臣にもこの前ちょっとお願いしたのですが、この裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に牽連して、この間お願いしておきました最高裁判所判事の採用について、弁護士から喜んで就任する希望者がどうも少いように思われるので、これは帰するところ、最高裁判所判事待遇がよくないということに基因する原因が多大だと思うのです。そこで、最高裁判所判事俸給等もこの際是正されるというようなことはけっこうでありまするが、同時に恩給国務大臣七年というのを、最高裁判所判事にもやはりこれを適用するようにということを私は希望し、それから弁護士会等もそういうことを希望しておるようでありますが、先刻最高裁判所事務総長の五鬼上君から聞けば、大臣恩給七年というのと同じく、最高裁判所判事を七年ということについては、多少難色があるんだというような意見を漏らされておったようですから、私は何も国務大臣と同じように七年にせよとは必ずしも主張いたしませんが、普通の公務員の十七年という恩給は、これは長過ぎる。最高裁判所判事に任命される人は大がいの者は六十才以後の人が多いようです。そうすると、在職期間があれは十年でやり直すのですからして、少くとも十年ということにして、恩給国務大臣は七年、最高裁判所判事は十年、公務員との間にそういう中間の制度を設けて、最高裁判所判事弁護士会の優秀な人が喜んで就任のできるような方法一つ考えてもらいたい。現に私自身がそういうことを自由民主党の法務部提案してあるのですが、なかなかその法務部の諸君は、そういう専門家が割合に少いので、関心が薄いようであるがために、なかなか遅々としてその審議も進まないし、この議会に提案ができるかできぬかもわかりませんので、一つ大臣はその道の権威者でもありますから、一つこの際閣内も鞭撻し、また党に対しての十分な発言権を持っておられる大臣のことでもありまするから、そういうような法案を一つ至急に出して、そうして最高裁判所判事に喜んで就任することのできるような弁護士が続出するような体制を整えたい。こういうように私は考えている。これが直ちに予算に影響はいたしません。これが通過したからといって、今年度の予算をどうしなけりゃならぬというようなことはありませんから、そういうような制度を一つ十分に御認識の上、実現方を一つ努力をお願いしたい。私どもそういうようなお立場になりますれば、喜んで驥尾に付してこれの実現に努力したいということを、先刻五鬼上君にも申し上げておきましたが、そういう提案だとか何だとかいうことは、法務大臣がかわってやるようになっておるでありましょうから、一つそういうように願いたい。それだけお願いしておきます。この裁判官報酬等に関する法案に牽連して、これだけのことを特にお願いを申し上げておきます。別にこれ以上に、私はもう過般質問もし、大臣の御意見も十分承わっておりまするから、くどくどしいことはお願いいたしませんから、よろしくお願いいたします。
  41. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 先般も先輩の一松委員からいろいろ御高説を拝聴いたしまして、私もいろいろ検討をその後いたしておるのでありますが、なるほど国務大臣については七年、恩給のつきます年限を七年といたしております。これはどうも国務大臣だけが七年であって、他はことごとく一般の恩給年限にならうということは、何か筋が通らぬような感じがいたしまして、いろいろその後研究をいたしておるのでありますが、なるほど御指摘のように、最高裁判所裁判官は、大体憲法上国務大臣と同等の待遇になっておりますので、国務大臣が七年ならば最高裁判所裁判官も七年であってしかるべきであるという感じが出て参ります。ただそうなりますと、ことに一松委員の御熱心に唱えられまする法曹一元化の問題からいいますと、ひとり裁判官だけでなく、地方関係の認証官全部についてやはり同様な研究を進める必要があるのではないか、さらにそうなりますと、他の認証官につきましてもなおつり合い上のいろいろな研究が必要であろう。こういうようなことが起って参りますので、私どもといたしましては、裁判官についてまた他の司法関係の認証官について、あるいはその他の認証官について、こういうものをいろいろにらみ合せまして、十分一つ御趣意を体して研究をいたしたいと、かように存じております。
  42. 一松定吉

    一松定吉君 大臣のお言葉を返すようでありますが、認証官に対して今のようなお考えを持ちますると、結局認証官は非常にたくさんあるのでありまして、これは全部国務大臣同一待遇になっておりません。ただ認証官という陛下が任命を認証するというようなことはありますけれども国務大臣同一待遇というようなことは、最高裁判所判事に限られておるように私は思うのです。そういたしますると、認証官に向って云々ではなくて、私の言うのは、最高裁判所裁判官というものがいわゆる国民権利義務を擁護する最高の地位におる人であって、国民信頼というものが非常に高くなければならぬ。欧米各国等における裁判官も、むしろ国務大臣以上の待遇を受けておるというような実情にかんがみて、最高裁判所判事は、よほど優遇しなければならぬという建前から、今の恩給問題について、国務大臣は七年であり、七年も続いて国務大臣をやる者はない。最高裁判所判事は任命されると十年までやるのだというようなことで、国務大臣が七年だから最高裁判所判事も七年でいいじゃないかということについては、いろいろ難点もございましょうから、私のお願いしたいことは、七年が難点があるなら八年九年、少くとも十年には最高裁判所判事恩給になるというように御考慮をお願いしたい。  その他の認証官につきましては、まあ最高裁判所判事と同一ということは、検事総長というもの一人だけそうなっておりますが、これは同じように考えてもよろしゅうございましょうが、認証官を全部考えなければならぬからということになりますると、非常にまた立案の操作にずいぶん影響しようと思いまするから、特に私は最高裁判所裁判官恩給ということに限定して御努力を願いたい。その他の裁判官俸給を増額するとかというようなことにつきましては、これはもちろん賛成でありまして、今回もそういう改正案が出ておりまするから、こういう点についてはわれわれはこれの実現に努力するという考えを持っておりますが、特に私のお願いは、最高裁判所裁判官待遇改善の意味からして、人材を得るという意味からして、恩給年限について特に御考慮を願うということを実はお願いいたしたい。   —————————————
  43. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 国税庁の徴収部長にちょっと一点だけお伺いいたしたいのでございますが、収税官吏でございますか、直接家庭に行きましていろいろ督促なんかするあの官吏でございますが、資格や研修制度でもございますかしら、ちょっとお答え願いたいと思います。
  44. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 任用資格と申しますか、税務官吏として採用されるという意味においての任用条件としては、一般のほかのいわゆる賦課の方に当る職員と全く同様でございます。問題は、相当ないわば権限を持って、個々に納税者の方に接触するという意味において、実際の訓練ということはきわめて大事でございます。それにつきましては、内部的に常に一種の研修でございますとか、あるいは講習というふうな形において、国税徴収専門の人間を仕立てるということで、常々配意しております。もちろんその訓練の度合等について、相当な開きもあるわけでございますが、全般といたしまして、相当な訓練を現在においては積んで参ってきておりますので、それぞれ一本立ちで十分な仕事ができるという立場になってきていると思います。特に重要な事案につきましての処理をするためには、これは税務署じゃなくてその一つ上の国税局でありますが、そこには国税徴収官という特別の専門職的な職を置きまして、これに関しましては特に国税徴収官の講習ということを重ねてやって参っておりますので、これは相当、かなり高度の専門的な知識、場合によっては訴訟までいく場合もありますので、訴訟の技術的なものも身につけるように訓練さしております。
  45. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これは年令に制限がございますか。それと、もう一つは実際の監督はだれが、どこでしているのでございますか。
  46. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 特に法規的に年令に制限があるというわけのものではございませんのであります。ただ、もちろんこれはごく常識的なことでございますが、税務署なりあるいは上級官庁である国税局に採用されまして、いきなりそういうふうな事務に当るということはこれは困難でございますから、内部的に相当訓練をした上で出て参るということになる意味において、ある程度経験年数的なものはもちろん考えながらやっておるわけでございます。それから監督関係につきましては、税務署の収税官吏でありますと、もちろんそこにおける直接の監督責任者は税務署長であり、またその下に徴収関係の仕事を監督するものとしては徴収課長あるいは係長というものが、下に従属をしておりますし、さらに税務署長を含めまして、税務署の徴収事務というものに対しましては、この一つ上の上級官庁である国税局長あるいは国税局の直接の担当としまして徴収部長等がおりまして、これは間接的になりますが、大きな方針をきめるという意味において監督をしております。それからさらに職務上の、何と申しますか、不正事件というものの意味における監督といたしましては、国税局に監察官という制度がございまして、一種の司法警察権的な意味で、そういうふうな非違をただすという意味の監督も、また別の角度からやるという形になっております。
  47. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これは国家公務員の何級職くらいの人が当るのでございますか。
  48. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 大体この国税庁の職員の直接賦課徴収に当る職員につきましては、一般職とは別に税務職の俸給を適用することになっておりまして、やや級別に見ますと違った形をとっておりますが、直接外部に接触するという範囲の職員は、一般職に引き直しますと、六級ないし七級程度の職員でございます。
  49. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 六級、七級くらいな方でございますと、あまりいろいろな要求をすることは無理かもしれませんけれども、私は、政治の一番末端をいく人は、ちょうど警察官と同じようで、こういう人たちの、じかに国民に接していらっしゃる方々のいろいろな言動というものが、非常に私は根本問題にも触れていくことになるのじゃないかというふうに心配いたしておるのです。それで、監督系統や、それからまたその研修のことなんか承わったわけですが、研修所といったような所である月日をみっちり研修する、つまり知識の点だけではなくて、人間を作るという意味で特別にされる、されなければならないというようなお考えはないのでございましょうか。私ども国民としたら、何とかあの方々をもっと、何というか、人情味の豊かな、そうして人間らしい方であってほしいというように思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
  50. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 先ほど私その点申し忘れましたのは、はなはだうかつでございましたが、税務講習所という制度がございます。これは本所は東京にございまして、相当高度の講習と訓練をしております。そのほかに国税局の全部ではございませんが、主要な国税局に税務講習の支所が、独立でありますが、結局常時的に付置されるような格好になりますが、ございまして、主任の税務官吏はそこで約一年間訓練する、これを普通科と申しておりますけれども、そこで訓練をする。その教科内容につきましてはもちろん一種の職業教育でございますから、かなり税法その他についても教え込むわけでございます。私どもがその教科内容を見ました場合に、むしろ一般科目が多過ぎるのではないかと思われる程度に、一般教養的なものを盛り込んだ教育をやらしております。結局税法その他直接の仕事に役立つものは、中へ入ってからもむしろできるのだということで、ほんとうにその中へ入ってそういうものが十分消化できるような素地を築くいう意味の教育であって、むしろ一般教養的な、一般科目的なものに重きを置いて基礎的な訓練をやっております。それが結局各税務署に主任者として配属されるわけでございます。ただし、今申し上げましたのは別に徴収職員ということではなく、一般の税務官吏全部に通ずることであります。  さらに高度の教育をするためには、先ほど申した東京における中央の税務講習所に、限られた人数でございますが、入所させまして、これは将来の幹部教育的なことに重きを置いて、相当高度な専門技術を身につける。同時に一般的な教養、教養というと語弊がありますが、教養並びに一般的な基礎的な科目を教えるという組織でございます。
  51. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 だいぶわかって参りましたけれども、私の申し上げたいことは、職業教育、一般教育ということはもちろん必要でございましょうけれども、仕事が仕事でございまして、まかり間違えば差し押えされるのでございますから、受ける方から見ます。と、非常にこわい人なのでございます。ことに貧乏であったり、それから非常に生活に困っておりますような、ことに女の人、家庭婦人でございますというと、何か受け取るところは、袖の下でも使わなければならないような感じを持つ場合が多いのじゃないかと、まあ婦人会なんかにおきましての、いろんな話を伺っておりますというと、私はそういうふうに心配しているのでございます。で、結果は同じであって、自分の職責を曲げることはできませんけれども、その場合でも、やっぱり生活理解があり、同情のあるようなあり方で私はやってほしいと、その点の十分な指導を、もっとお考え願いたいと思うんでございますが、それはお願いだけにいたしまして、私はその点だけの質問にしておきます。
  52. 山本米治

    委員長山本米治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十一分散会