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1957-10-15 第26回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月十五日(火曜日)    午前十時五十二分   ―――――――――――――   委員の異動 五月十八日委員田中啓一君及び大川光 三君辞任につき、その補欠として川村 松助君及び横山フク君を議長おい指名した。 五月十九日委員横山フク君及び河合義 一君辞任につき、その補欠として大川 光三君及び千葉信君を議長おいて指 名した。 五月二十一日委員雨森常夫考及び青山 正一君辞任につき、その補欠として平 井太郎考及び寺尾豊君を議長おい指名した。 五月三十日委員平井太郎辞任につ き、その補欠として雨森常夫君を議長おい指名した。 六月十三日委員赤松常子辞任につ き、その補欠として安部清美君を議長おい指名した。 七月八日委員雨森常夫辞任につき、 その補欠として平井太郎君を議長にお いて指名した。 七月十九日委員安部清美辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長おい指名した。 七月二十二日委員千葉信辞任につ き、その補欠として山口重彦君を議長おい指名した。 七月三十一日委員山口重彦君及び岡田 宗司辞任につき、その補欠として千 葉信者及び加藤シヅエ君を議長おい指名した。 八月十日委員千葉信辞任につき、そ の補欠として田畑金光君を議長おい指名した。 九月二十一日委員田畑金光辞任につ き、その補欠として千葉信君を議長おい指名した。 十月九日委員赤松常子辞任につき、 その補欠として片岡文重君を議長にお いて指名した。 十月十日委員片岡文重辞任につき、 その補欠として山下義信君を議長にお いて指名した。 十月十一日委員郡祐一辞任につき、 その補欠として白井勇君を議長おい指名した。 十月十二日委員山下義信辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長おい指名した。 十月十四日委員寺尾豊君及び千葉信辞任につき、その補欠として雨森常夫 君及び岡田宗両君議長おい指名 した。  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            棚橋 小虎君            宮城タマヨ君    委員            雨森 常夫君            大川 光三君            大谷 瑩潤君            赤松 常子君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            小酒井義男君            辻  武将君   国務大臣    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   事務府側    常任委員会専門    委員      西村 高兄君   説明員    警察庁刑事部長 中川 董治君    法務政務次官  横川 信夫君    法務大臣官房秘    書課長     津田  実君    法務省刑事局長 竹内 壽平君    最高裁判所事務    総長      五鬼上堅磐君    最高裁判所事務    総局人事局長  鈴木 忠一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (法務行政に関する諸問題)  (売春防止法施行運営に関する  件)  (第一審強化に関する件)  (報告書に関する件) ○派遣委員報告審査報告書に関する件    午前十時五十二分開会
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) これより本日の会議を開きます。  唐澤法務大臣は、当委員会には初めての御出席でありますので、この際、ごあいさつかたがた法務行政基本方針につき、御報告などをお伺いいたしたいと思います。
  3. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 私、ただいま委員兵長から御指名のありました唐澤俊樹でございます。過般の内閣改造に当りまして、法務大臣を拝命いたしました。責任の重大を痛感いたしまして、一生懸命勉強して、大過なきを期したいと考えております。どうぞ御指導、御鞭撻を賜わりまするようにお願いをいたします。  ただいま委員長から法務行政一般についての考えをおただしになったのでございますが、法務行政の要諦は、一言で言えば、正しくあるということに尽きるかと考えております。こういう考え方から、私といたしましては、厳正公平、また不倫不覚の立場におきまして自分の職責を果して参りたいと考えております。  なお、法務行政のおもな事項につきまして二、三申し上げてみたいと思いますが、御承知のように、三悪の追放貧乏汚職暴力、この追放ということが現内閣重要政策一つとなっております。そのうちの貧乏は別といたしまして、汚職暴力追放ということが私ども法務当局と至大な関係を持っておるわけでございますが、この汚職関係、また暴力関係の事犯が、近年、年ごとに累増して参っておることは、まことになげかわしいことでございまして、法務当局といたしましては、これに対しては徹底的に、また継続的に取組りを執行いたしておる次第でございます。なお、現行法をもってして足りないような点がございまするので、さらに新しい立法をしてこれを補いたいという考えをもちまして、汚職並びに暴力取締り双方立法につきまして、でき得ますならば次の通常国会に新しい法律案を提出いたしたいと、目下鋭意準備中でございます。また、先年国会おいて可決になりまして、そうして現在施行されておりまする売春防止法でございますが、今日までは一部施行でございますが、いよいよ来年の四月一日からその中の刑事規定施行されまして、いわゆる全面施行になるのでございます。この問題につきましては、皆さん新聞紙等でいろいろとごらんいただきまして、また中には四月一日の施行が延期されるのではないかというような思惑を伝える者もあり、この思惑によりまして、業者の方におきましては、多少拡廃業を見送っておるというような情勢もあったのでございますが、政府におきましては、すでに国会皆さんの御同意を得て、そうしてすでに基本方針は確立しておるわけでございますから、当初から四月一日の施行を延期する考えは毛頭ないということを官明して、その誤解の解明に努めたわけでございますが、最近に至りまして、そういう望みを持って転廃業をちゅうちょしておっても、結局は四月一日の施行ということは延期にならぬということを業者の側でも観念して参りつつあるような情勢でございまして、自発的に転廃業の方の準備をしようという気配が濃厚になってきたように看取されるのでございます。これは主として厚生省の方のことでございますから、いずれ厚生大臣から詳しくお話があることと思いますが、いろいろの点について転廃業を助けて、そうして四月一日の罰則規定の通用の際には、それに触れるものがないようにということを念願して進めておるようなわけでございます。それからこれに関連いたしまして、参議院の付帯決議のあります例の保安処分のことでございますが、これにつきましては法務省でもだんだんと準備を進めておりますし、過般売春対策審議会でこの保安処分関係におきまして補導処分に関する法律案要綱、それから婦人補導に関する法律案要綱等も可決されて、政府に答申になっております。これもこの要綱に基きまして新しく立法いたしまして、来たるべき通常国会に御審議を願いたいと考えております。  なお、最高裁機構改革の問題でございますが、これも御承知のように、前回の国会に、政府より提出されておる法案がございます。目下継続審議中になっております。私といたしましては、前内閣――前法務大臣のこの案を継承いたしたまして、この案に基いて引き続き御審議を願いたいと、かように考えておる次第でございます。  その他申し上げたい事項もございますけれども、ごく大綱につきまして、一応法務省仕事について、私の考え方並びに仕事現状についての御報告を申し上げた次第でございます。何とぞ今後御支援、御教導を賜わりますようにお願いをいたします。
  4. 山本米治

    委員長山本米治君) 次に横川法務政務次官から就任のごあいさつお願いいたします。
  5. 横川信夫

    説明員横川信夫君) 先般、法務政務次官を拝命いたしました。御承知のように法務行政につきましては、きわめて知識経験の浅い者でございますができ得まするだけ努力をいたしまして、職責を果して参りたいと、かように覚悟をいたしております。将来何分よろしく御教導お願いいたします。
  6. 山本米治

    委員長山本米治君) 先ほど伺いました大臣基本方針につきましては、御質疑もいろいろあることと存じますが、本日はこの程度にとどめまして、次の日程に移りたいと存じます。   ―――――――――――――
  7. 山本米治

    委員長山本米治君) 去る六月、七月実施いたしました委員派遣につきましての報告を聴取することといたします。  まず第一班の報告を私から申し上げます。  閉会中の委員派遣のうち、第一班の現地調査の結果を御報告いたします。  第一班は、私と辻委員西村専門員三原法制局課長及び奥村調査員を伴い、六月十六日から六日間にわたり、秋田、青森、盛岡の各地方裁判所及び仙台等裁判所おいて、裁判所検察庁及び弁腰上会から最高裁判所機構改革問題について意見を聴取し、実情調査を行って参りました。  また、売春防止法運用に関する調査は、秋田県のみについて行い、六月十七日午後秋田保庁知事室関係者の参集を得、約二時間にわたって説明を聞いた後、秋田婦人相談所及び社会福祉法人秋田婦人ホームを視察いたしました。  なお、最高裁判所機構改革問題の調査に当って、法務省影山検下及び最高裁判所事務総局柏井判事補が回席され便宜を供与されたことを、この際、あわせて報告いたします。  以下最高裁判所機構改革問題、売春防止法運用問題の順に調査結果を申し上げたいと存じます。  まず、現在の最高裁判所に関する一般的問題のうち、違憲審査権については特に内容的な積極的意見はありませんでしたが、ただ、田取高裁判所には抽象的法令審査権を認めるのは適当でない。また、憲法問題の審判をおもな権限とすることに賛成であるというのが、裁判所及び検察庁一般的意見であり、弁護士会おいては、前者について立法論的考慮を要すべきものとし、後者についてはおおむれ賛成のようであります。  上告範囲の点につきましては、主として刑市上告範囲が論議され、刑事の場合、その範囲政府提出案の線まで拡大することもやむを得ないとする意見で一致を見ておりますが、裁判所及び検察庁は、民刑事それぞれ上告理由も異なって差しつかえないとするのが多いのに対し、各地弁護士会では、民事同一上告理由にすべきであるとの意見が強いようであります。  最高裁判所裁判官の数につき、裁判所及び検察庁側は、裁判における合議性格を考慮して、むしろこれをこれを減員する方が妥当であるとの意見で一致しておりましたが、これに対し弁護士会側は、裁判合議の点についてはさほど厳格に解釈せず、かえって現在の訴訟遅延原因裁判官の少人数にあるとし、これを三十人程度増員し、各部に分けて裁判を行うを妥当とするという意見で、両者対立を見せております。ただ、盛岡地方裁判所長は、最高裁判所裁判官はこれを増員すべきである。増員を行いながら裁判官質低下を来たさしめないためには、いささか旧大審院判事性格に近くなるが、まず裁判官平均年令を低くし、調査官なくして判決作成に当ることができるように、若い有能判事を多数任命することが必要である。現在、最高裁判所訴訟遅延は、裁判官高齢にして執務不適というところに最人の原因がある。すなわち裁判官能力下足でもなく、職務怠慢でもない。要するに少人数高齢裁判官に旧大審院的職務をももわせる現在の機構上の欠陥であるというのでありますが、裁判所他意見として異色のものと考えられるのであります。  なお、裁判官任命諮問機関を設けることの可否については、裁判所検察庁及び弁護士会とも一致して、これが設置賛成の意を表しております。  現地裁判所検察庁では、憲法問題の裁判は、憲法解釈統一または判例統一のためにも、当然ワンベンチでなければならないとなし、特定の裁判官または部におい違憲審査をすることに反対であります。これに対し、弁護士会は、ワンベンチ憲法上の絶対的要請ではなく、また裁判官増員には賛成するが、憲法問題の審判に当ってのワンベンチは、事実上至難と思われるなどの理由で、反対であります。次に裁判所法等の一部を改正する法律案についての現地意見を申し述べまずと、まず、最高裁判所法廷制度については、現在の最高裁判所訴訟遅延実情から、最高裁判所上告部のごとき制度として最高裁判所法廷を設け、一般上告件を扱わせることはやむを得ない改正であり、小法廷判決確定力を認めることも妥当と思われる。憲法問題についての小法廷判決に対する異議申し立て件数もさほど多くはなかろうというのが、裁判所検察庁の見方であります。これに対し、弁護士会は、最高最上級裁判所裁判を受けたいという強い国民感情がある限り、最高裁判所法廷という制度をもってしても、最高裁判所受理件数は減少しないだろう。また、法案設置せんとする小法廷性格はあいまいであって、異議申し立て最高限度に活用されるであろうし、ついには審級制度も乱すことになるたろうとして、その設置にはきわめて消極的であり、むしろ最高裁判所小法廷判事全員最高裁判所裁判官とすべきであるという違憲が有力でありました。  最高裁判所法廷という名称はこれでよいかというについて、弁護士側はもちろん、小法廷設置賛成裁判所検察庁おいても積極的意見はなく、政府原案を支持するというだけであります。次に第一審強化に関する問題でありますが、これは最高裁判所機構改革問題と密接な関係があり、これと付して、あるいはこれに先がけて行うべき重要問題であるとの意見は、各方面とも一致しております。  その具体策として、裁判所及び検察庁おいては、特に刑事について第一審裁判所の公判、中心主義を徹底し、これにより双方に満足を与える結果として、一掃をして終審たらしめる理想を実現すべきである。人的には若い有能判事を第一審に回し、あるいは最高裁判所調査を廃してこれを第一審に配置し、また、判事補も相当年限を経た者については進んで判事職務を行わせた力かよく、さらに裁判運用を安定させるためには、単独制より合議制に移行する策を講ずることが必要であるとの意見が強く述べられました。弁護士会側おいても第一審強化に関する右の意見等にはもちろん異議はないのでありますが、特に刑事の場合、控訴審をむしろ覆審とせよとの根本的議論がしばしば述べられました。  法曹一元化問題については、各方面とも一致してその実現に賛意を表しておりますが、ただ、実際問題として待遇の点が障害であるから、たとえば恩給法改正積極的措置を講ずる必要がある等の意見が述べられました。  なお、秋田おいて、はからずも仙台出等裁判所秋田支部の存廃問題が提起せられ、これに関する陳情のあったことを申し添えます。すなわち同支部昭和二十四三月十日最高裁判所規則により設置せられましたところ、最近これを廃止するとのうわさがあるが、これは現地実情に反するとして、同支部及び秋田弁護士会側から強く反対表明がなされたのであります。すでに昭和二十九年三月、仙台高等裁判所秋田支部弁護士親和会から、最高裁判所長官及び仙台高等裁判所長官あてに同支部の拡充、民刑事同両部の完全設置を要望する決議が送付されておる山でありますから、当委員会としてもあらためてこれらのです事情につき研究したいと存じます。以上にて調査の結果を概略申し述べましたが、これをさらに要約いたしますと、次の通りであります。  一最高裁判所機構改革問題に関する各地裁判所及び検察庁意見は、原則的に政府提出案に同調的であり――ただし、訴訟遅延問題の解決のみならば現制度運営改善でも十分可能であるとの意見もある――これに対し、弁護士会へ側の意見は、日本弁護士連合会案に原則的に同調しております。  二、第一審強化の問題は、これこそ目下の急務であるという意見現地おいては、圧倒的であります。  次に秋田県における売春防止法運用に関する調査結果を申し上げます。秋県においては、昭和三十年中に売春防止法趣旨に基き、関係行政機関連絡調整婦人転落防止及び保護厚生対策強力推進目的とする婦人保護対策連絡協議会設置が決定せられ、人選を経て本年一月第一回の会合が行われました。また、本年六月協議会二つ専門委員会すなわち転落防止啓発専門委員会及び転廃業対策専門委員会が設けられ、同協議会目的遂行に寄与することになっております。  婦人保護更正施設の面では、県は本年一月一日四名の婦人相談員を任命し、県内四カ所の福祉事務所に駐在させ、要保護子指導に当らせており、四月一日所長以下七名の職員からなる婦人相談所を開設いたしましたが、特にその婦人相談所長は、仕事に対し深い認識と熱意を持つ適任者と認められました。しかしながら、今日まで婦人相談員等が取扱った件数はわずか六十八件で、必ずしも満足すべき実績ではありません。これは従業婦の問にこの種の保護更生施設の存在が知られていないこと、売春社会悪たることの自党に乏しく、更生意識の低いことなどが原因でありますが、ともかく今後従業婦のよき相談所指導所たるべく、施設等の整備のため早急の予算増額が望まれております。また、一時保護施設母子察たる社会福祉法人秋田婦人ホーム内に仮住居の状態でありますが、秋田県としては、任意設置たる婦人保穫施設実現も見込みの立たない現状であります。  次に最近の業者及び従業婦転廃業、その他の動向について申し上げます。県警察調査では、本年五月一日現在、営利売春業者及び場所提供者の数は五百三十四人、これに属する従業婦は合計千二百八人と推定されておりますが、法律施行後転廃したものは営利業者十三人、従業婦百二十九人で、その数はきわめて少いのであります。  業者従業婦は、法律施行後世論が予想外にきびしいにもかかわらず、せめて刑事処分の実施されるときまで現状を維持する腹がまえでおり、明年四月に至り法律全面施行になって初めて転廃業考えようというひより見的態度であります。法律全面施行が一年延期されるだろうといううわさも、業者のこの態度を支持する結果になっておりますが、さらに当地方おいてこのように転廃業意識の低い特殊原因としては、東北の特殊性、なかんずく経済生活の貧困及び封建的義理人情の因習であります。このため秋田県北地区では業者従業婦が世襲化し、県南地区おいては人身売買が半ば公然と行われております。  秋田県には売春取締条例はなく、市もまた同様であるので、取締り昭和二十二年勅今九違反児童福祉法違反職業安定法違反として行なっているのでありますが、法旅行後本年五月末までの検挙数は七十八件、被疑者六十六名、うち業者が十一件、十一名となっております。売春の実態に化し、取組りは必ずしも徹底したものとは言えないようでありますが、事実伝統的因習化した売春取締りについては、きわめて困難な面があり、たとえば、地方温水場おいては、現在もなお索泊りという習俗が残っている由であります。そこで取組当局としては、法全面施行後も果して十分取締りの効果を上げるここがでまるかどうか危惧の念を持っている実情上であります。  以上にて簡単ながら第一班の出張報告を終ります。第二班、雨森常夫君にお願いいたします。
  8. 雨森常夫

    雨森常夫君 第二班の派遣委員は一松、安部宮城の各委員に私の四名でありまして随行は田向調査委員及び島野主事、この一行六名で、去る六月二十三日から二十九日まで、一週間、福岡長崎佐賀大分、の順に四県を回って参りました。  すなわち、最高裁機構改革問題については、福岡高裁長崎佐賀大分各地裁におい現地法曹関係者と一堂に懇談を行い、また、売春防止法運用問題については、佐賀長崎関係庁より説明を聴取いたしました。特に佐世保市における西海国立公園観光株式会社問題については、佐世保市役所おい関係者より実情を聴取するとともに、現地の状況を視察いたしました。  それから日程外ではありましたが、途中長崎刑務所の視察もいたしました。  以下、調査要綱記載の順序に従いまして、調査結果を概略御説明申し上げます。  まず第一に、最高機構改革問題でありますが、このうち抽象的法令審査権上告範囲裁判官の数、さらにワンベンチ論並びに政府提出法案に対する冬問題点については、ただいまの第一班の調査結果とほとんど同様でありますので、ここでは重複を避けるため、現地主流的意見の内合を説明することを省略いたしましてただ、少数の興味ある意見を御参考までにお伝えしておきます。  その一つは、抽象的法令審査権について、長崎検事正から第一審刑事事件審理過程おいて、往々にして被告側が適用すべき法令の今憲、違憲性を強く争い、これに対し検察官反駁立証にいちじるしく労力と時間を費し、いたずらに法廷論争を長引かすことのある事態にかんがみて、このような法令の効力問題については、争点のみについて飛躍的に最高裁終局判断を受けられるようにするという意味おいて、ある種の抽象的法令審査権を認めるようにしたいとの意見が述べられました。  その二は、裁判官の数について、佐賀検事正裁判検外側の中でただ一人異論を吐き、最高裁判事長官以下四十五名に増員し、これを五名ずつで構成する九つの小法廷に分つという日弁連案基本とし、若干の修正を施した独自の構想を披瀝したことであります。しかしながら、結局狭い意味における最高裁機構改革問題に関する現地動向は、一班の報告のように、裁判検察庁側政府賛成弁護士会側はこれに反対であって、政府及び最高裁側日弁連及び衆議院法務小委員会側との間の二つの定型的な見解の相違が、そのままに、下部系統に尾を引いて現われています。私どもは、問題の重要性にかんがみて、現地法曹打開的意見にひそかに期待していたのでありますが、この意味では期待はすれの感がありました。この現象は神々の意味に解することもできますが、とにかく現地状態は、中央の二大意見に従って固まっていると結論しても差しつかえないようであります。  次に第一審強化に関する問題については、各地とも活発な発言があり、現地がこれにいかに関心を寄せているかがわかります。まず、裁判官の任期十年の制度については、現状維持論のほか格別の意見もありませんでしたが、判事補制度については、裁判の威信の上から補の名称を廃止すべしとの意見が多く、中には法曽一元化達成の暁に、制度自体を廃止せよとか、判事補の基間を五年に短縮せよとの意見も出ましたが、とにかく、かように議論のあるこの制度は、今後なお十分検討すべき必要のあるものと考えます。  法的一元化については、もちろん反対はありませんが、現実問題として給与待遇上の隘路をいかに打開するかが論議の中心となりました。方法論として、弁護士在職年数を任官後の恩給年限に通算する措置を論ずべきだとか、あるいは裁判官検察官になる前提として、一定年限弁護士コースを経ることを要件とすべきであるとか、日弁連案並み意見弁護側から吐かれましたが、これには裁判検察側とも原則的には賛成しております。ただ、福岡佐賀の地検からですが、弁護士上り検察官実績が思わしくないので、法曹三元化に当っては、特に検察捜査技術特殊性について考慮すべきだという意見が注目されました。  裁判官検察官待遇については、現状一般行政官より劣っておるとして改善を望む不満の声が非常に多く、これは法曹一元化推進ともからんで、留意すべき点でございます。私どもは、政府が本委員会の過般の付帯決成趣旨に沿い、すみやかに待遇改善措置を講ずることを希望しておきます。  それから、裁判官に与えられている転所の保障の乱用がとかく人事停滞の一因をなしている傾向がありますが、これについて検察側から転所の保障に検討を加え、人事異動に新方策を立てようとの傾聴ずべき批判がありました。また、人事の公平を期し有能な検察官賛成するため、裁判官待遇と同一にすべきであるとの意見が校察側から出ました。  施設面については、十分実情を見る時間がありませんでしたが、概して裁判所側は官舎及び法廷検察庁側は同じく官舎及び取調べ室がなかんずく貧弱に思われます。官舎不足のため若い判事補が高い間借り代を払い、あるいはか子と一時別居を余儀なくされ、あるいは有罪の裁判を受けた家主から追い立てを食った実例などを、耳にいたしましたが、官舎の充実は、法廷とともに現地の切実な訴えであります。庁舎としては、佐賀長崎の地裁が老朽化し、早急に新改築を要する状態にあります。検察官の取調べ案不足のため、大分地検のごときは会議室を区切って代用しておりますが、このような状態は、捜査の秘密保持、人権尊重の見地からもすみやかに改善されなければなりません。  とにかく、ここではごくわすかな例をあげたにすぎませんが、施設画の充実完備化については、政府及び最高裁の格段の御努力を望むとともに、本委員会おいても予算審議その他の機会には十分留意すべき点であろうかと思います。  なお、二、三、話題に上った問題としては、法服の件、これについては現在の法服の様式は威信を保つに適切でないから、改善した方がよいというのが多くの声でありました。  その他、最高裁調査官をしている老練な判事を第一教化に充て、若い人をもってかえる方がよいとか、あるいは第一審の刑事事件について綿密的確な調査をするために、裁判官の補助者たる調査官を地裁にも置いてもらいたいとか、簡易裁判所名称は、威信上から区裁判所とする方がよいとか、簡易裁判所判事及び副検事の制度を検討すべきであるとか、裁判官法廷での位置は高過ぎるから少し下げる方がよいとか、あるいは証人保護のため専用の控室を設けるべきであるとか、さらには審理促進のため刑事訴訟法を改正すべきであるなど、他にも数多くの意見、要望が出ましたが、長くなりますので、ここでは報告上品に譲って省略をいたします。  第二に、売春防止法運用並びに西海国立公開観光株式会社に関する問題について申し上げます。  まず、売春防止法運用問題については、佐賀県は時間の都合上、佐賀家裁及び売春関係事犯の数字的資料の提出を受けたにとどまり、特に申し上げることはありません。  長崎県は本年一月も委員派遣が行われたばかりでありますが、今回は西海国立公園観光株式会社問題の調査にからんで、符随的にその後の状況を調査したわけてあります。おもな事項としては、四百万円の予算で婦人相談所設置されたこと、婦人相談員は県内に六名配置され、本年五月まで六十五件の相談を受け付け、半数以上解決を見ています。転廃業の状況を昨年九月と本年五月と比較してみますと、業者は約五%三十四人、従業婦は約三%七十三人が明らかに転廃業をしております。佐世保市の場合は、あとの問題に関連して述べますが、長崎市でも業者転廃業のための資金対策に乗り出しており、一般にわずかながらも転廃業の方向に動いていますが、これをさらに促進し、かつ保緩更生の実をあげるためには、融資あっせん、母子福祉資金等の賃し付け、要保護女子のための住宅建設、児童養護施設の拡充等について国が特別の措置をとることを県当局では要望しております。  次に、西海国立公園観光株式会社の問題については、まず佐世保市役所おいて市及び市議会、会社及び業者代表その他関係者が多数一堂に会しまして懇談を遂げた上、問題の核心である大衆溶湯の建設予定地である佐世保市内鹿子前集団施設地区及び弓張岳頂上等を視察しました。この問題の内容については、去る五月九日の委員会審議によって大体御承知のことと思いますが、念のためごく概略を説明いたしますと、佐世保市勝冨町の貸席業者六十一名が、転業の一策として西海国立公園の区域内である鹿子前集団施設地区において各種の観光的事業を営むため、昨年五月資本金六百十万円をもって株式会社を設立し、事業の手始めに本年五月公衆溶場事業の特許を受けたのでありますが、これに現在の従業婦多数を従業員として吸収し、かつ将来増資を政府からの借り入れあるいは補助等によって調達する計画であるというところから、これは巧妙なる偽装転業の疑いがあるとして、特許を与えた政府の態度が追及されたのであります。  それで、私どもは冒頭に述べましたように、佐世保市役所における関係者との懇談及び事業施設予定地の視察を通じて、いろいろの角度から実態の究明に当りましたが、その結果によれば、ただいま説明した事実関係は、おおむねその通りである。また偽装転業の疑いについては、将来の運営のいかんによることではありますけれども、現在においてはほぼその疑いは解けたように思いますが、ただ一言つけ加えておきますが、一行中の宮城委員は、少しくその判断を異にしておられますようですので、適当な機会にその見解の御表明があろうかと存じます。  さらに補足して申し述べますと、本件の会社事業に参加した貸席業者は、佐世保市内の約八割を占め、将来五カ年計画で観光遊覧を主軸とする各種の交通運輸、宿泊、衛生、休養、教化の施設を経営することをもくろみ、さしあたって公衆浴場に主力を、注ぐこととし、その建設運転資金五千百万円を商工組合中央金庫より借り入れを予定するとともに、政府にも資金のあっせん力を希望し、なお、将来各種の事業を拡張する場合の一部は、政府借り入れ及び国、県、市の補助金によってまかなうことを基本方針としております。  そこで、肝心の公衆浴場の形態はどうかと申しますと、本年八月十五日までに厚生省に工事施行認可を申請することになっていて、またその日一体的状況を明らかにすべき段階はありませんでしたか、大体その設計図笠によりますと、浴場は男女別の大浴場各一カ所だけで、これに脱衣場、休憩室、売店、ホール、食堂等を配置し、いわば舟橋ヘルス・センター式の六八大衆向きの開放的な様式を計画をしており、トルコぶろあるいは秘密式の風俗的なものではないようであります。  一方、業者従業婦対策の内容をうかがいますと、現在勝富従業婦連合会にに所属している者、二百九十七名、このうち約七十三を名会社へ、さらにそのうち十六名を公衆浴場に吸収し、約四十名を現在の貸席施設を将来夫切りかえる観光旅館へ吸収し、残り約百八十七名を他にへ転職あるいは州郷させる更生策を立てておりますが、とにかく公衆浴場に吸収される従業婦はごく少数のようであります。  以Lの客観的な状況に業者側の説明を参酌して、本件問題の結論を出しますと、応業者には転業の誠意が見受けられること、少くとも集団的偽装転業の疑いは、まず現在のところはないのであるが、今後事業の執行運営上の監督指導に当っては、従業婦の更生に特段の配慮を必要とするということであります。  すなわち、第一に会社の事業計画は、国立公園法に定める各種の事業に広くまたがっており、特に風紀上の問題を招きやすい業態のみに偏しているわけではないこと。第二に、現在勝富町の従業婦業者に前借金を負っている者はない由でありますから、業者が前借金取り立てのために従業婦との雇用関係を持続しようとする意図ありとは認めがたいこと。第三に、会社は少数の従業員に売春行為を行わせるようなことは通常は考えられない、つまり業者としては事業上の止常な収益をはかることが利益であること。第四に、公衆浴湯の施設は、公衆浴湯法、長崎県条例その他の監督規制を受け、これに違反すれば特許取り消しの危険かあること。第五に、現在業者は従来婦の転業のため八本教育を施しており、将来も女子従業員を、一カ所に寝泊りさせるとか、あるいは制服を着用させる等、その生活の指導監督について種々考慮を仏っている由であること。これらが結論の前段を生み出したゆえんであります。  しかしながら、翻って注意すべきことは、業者は会社事業の成功によって救われるとしても、従業婦の方は約八七%か扶養家族を有しており、しかも転業後の固定給が月五千円ないし八千円と聞いていますが、この現実では真に幾ばくの従業婦の更生が可能であるか、生活難から再び転落への道を逆行する憂いがないとは言い切れないのであります。従って、私ども業者に対しては、その善意を了とするけれども、なおそう会社設立の動機にかんがみ、従業婦の更生に特段の努力を払うべきことを望みます。それから会社に吸収されない大半の従業婦はもちろんのこと、現在約三百名をこえる外国人相手の婦女子の行方についても深い関心を寄せなければなりません。これらの者が広く救済されない限り、多数客の蝟集する観光事業の特殊性から、事業施設の周辺に新しい地下売春の根が張られないとは、必ずしも保証できないのであります。これらの見地から政府並びに地元関係機関においては、会社の運営、並びに一般従業婦の保護の更生について十分強力な指導監督を加えることを要望する次第であります。  本件の問題に関する被告内容については、宮城委員におかれては、先ほど申しましたように、若干異なっておるようでありますので、申し添えます。  第三に、長崎刑務所の視察の結果については、格別申し述べることもありません。ただ、ここでは他の刑務所でも珍しい作業として、りっはな墓石を囚人が作っていましたが、これは技術修得ばかりでなく、人生反省にも役立つから、なるべく広く採用した方がよいと感じたことを付言しておきます、  最後に、佐賀おいて調停協会連合公副会長から、佐賀家裁の庁舎の早急新築について陳情がありました。現在家裁は地裁庁舎に同居しているために、狭くて事務上不便であることが理由でありますが、視察の結果、なるほどその通りでありました。敷地の手当もあるようでありますから、政府及び最高裁の特段の御善処を要望しておきます。  以上大要のみを申し述べましたが、詳細の報告現地より提出の資料を付して調査室に備えつけておきますから、それについてごらんを願います。  これをもって第二班の報告を終ります。
  9. 山本米治

    委員長山本米治君) 第三班の報告を棚橋小虎君からお願いします。
  10. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 本委員会の決定によりまして、最高裁判所機構改革に関する一般的問題点、並びに裁判所法等の一部を改正する法律案に関する問題等について、現地法曹意見及び司法の運営の実情調査し、今後の同法案審議に資するため、また、検察及び裁判運営等に関する調査の一環として、現地における売春防止法運用の状況、特に更生保護並びに転業の実情調査し、法目的の適正な推進に寄与するため、大川委員と私とが第三班として北海道地方に派遣されましたのて、本委員会調査室の大久調査員を同伴いたし、昭和二十二年七月十日以降九日間にわたり札幌、旭川、紀元、川路、函館の現地裁判所に出張いたしまして所定の調査をやって参りました。調査の結果とわれわれの所感とを簡単に御報告申し上げます。  なお、本調査には当院法制局小島参事、法務省刑事局安借判事最高裁判所事務総局総務局宮瀬事補が同行され、御協力いただいたことを申し添えておきます。  一、最高裁判所機構改革問題等について。今回の調査の結果を要約しますと、裁判所検察庁側は概して、政府原案は理想的なものではないが、現下のわが国情からしてやむを得ない妥協案として、政府原案を支持し、弁護士会側は日本弁護士連合会から提出された対策、すなわち最為裁判所裁判官増員上告理由を拡張する案を支持し、政府原案には反対でありました。  結局両者の対立は、国家経済と訴訟経済の観点に立脚した政府例の見解と、もっぱら被告人の弁護の任に当る弁護士側の立場の相違から生するもので、ある妥協点を見出していかねば解決のつかない問題であると思考されました。はっきり申し上げますと、本問題は最後は政治力の問題に帰着するのではあるまいかとの印象を強く受けましたのであります。  次に調査事項について、現地の一般的見解を申し上げますと、すなわち、抽象的法令審査権の有無については裁判所検察庁弁護士上会側とも、最高裁判所は司法裁判所として、具体的な法律のの争訟について、審判をするための必要な範囲おい違憲審査権を有するもので、具体的紛争がないのにかかわらず、一般的法令が制定されたからといって、その法令の合憲、違憲について判断する権限、すなわち抽象的法令審査権は持っていないという解釈をとっているようでありました。  憲法問題の審判をおもな権限とすることの可否につきましては、裁判所検察官側は、最高裁判所憲法の付与した高い使命と性格から見まして、当然憲法違反等にその審判範囲を限定すべきであるとし、弁護士側は、現行法のように憲法違反、判例抵触等のみをその審判の対象にすることは、最高裁判所と一般国民とか遊離するから、一般法令違反まで拡張すべきてあると強調していました。  現行の上告範囲を拡大または縮小することの可否については、裁判所検察庁側ともに現行法より拡大することは、原則として賛成であるが、拡大しても政府原案程度にとめておきたい意向であり、弁護士会側は国民の人権保護のため、法令違反も全部上告理由とすべきであるとの考え方でありました。従って、政府原案刑事訴訟法第四百五条の二項の上告理由、すなわち「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反することを理由とするとき」となっておりますが、この原案を判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反かあったとき」と改正し、同項の「法令違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反することを理由とするときを削除すべきであると強調されました。  上告理由を民、刑事とも回一にすることの可否については、裁判所、警察庁側は民訴、刑訴とも訴訟という意味では差異がないから、民刑訴とも歩調を合せた方がよいが、刑訴は事実の認定、刑の量定が特に重要であるから、刑事訴訟法の方の上告理由をしぼることはやむを得ないとし、弁ご士会側は本質的差異がないから同一にすべきであるでありました。  裁判官の数については、裁判所検察庁側は、現在の数より増加すことは、憲法の精神並びに裁判の性質上でてあるが、減員をするとすれば、政府原案にした方がよいの考え方てあり、弁護士側は、最高裁判所機構改革の問題は、最高裁判所の事件処理の地帯により発生したものであるから、三十名くらいの裁判官増員を主張しております。  裁判官任命諮問機関設置することは、ぜひ設置してもらいたいが、その構成メンバーについては、実務家の裁判官検察官及び弁護士をもって半数以上の席を占めるべきであるとする見解が多いようでありました。  ワンベンチ論については、裁判所及び検察庁側憲法の精神及び裁判合議を尺すという特殊性から、最高裁判所ワンベンチでなければいかないとする意見でありましたが、弁護士会側ワンベンチ論を否定して、交代制または互選の方法、部等を設けて差しつかえないとする見解をとっておりました。  最高裁判所法廷制度については、裁判所検察庁側は、他に名案がないから、現実的な妥協の観点から、最高裁判所法廷なる上告裁判所設置するのもやむを得ないとし、弁護士会側は、最高裁判所法廷制度を廃止し、現行の小法廷と大法廷名称は、裁判をする場所的意味にとどめ、民、刑各部と民事連合部、刑事連合部、民事連合部とすべきであると主張しておりました。  最高裁判所法廷名称については、裁判所検察片側は、すっきりしないが、別に名案も見つからないからやむを得ないとする考え方が多かったのであります。中には、はっきり上告裁判所名称を改むべきであるとする意見もありました。  上告制度との関係おいて、異議申し立ての可否については、異議申し立てを認めることは、実質的に四審制度になるが憲法問題については、最高裁判所の最終の判断を受けさせることが、憲法の要請するところであるから、この道を開いておくことは当然であるとの考え方でありました。  小法廷の判決が確定力、執行力を打つことは、異議権乱用防止上ぜひ必要であると強調しておりました。以上はいずれも裁判所検察庁の見解で、弁護士会側は、裁判官増員論を支持するため、その制度の必要性を認めないと主張したのであります。なお、有力な個人の意見として、現在の最高裁判所機構をそのままにしておいて、最高裁判所裁判官諸公を再検討すべきであるとする意見と、最高裁判所法廷を上告裁判所として四審制度を採用しても、別に現行法上の禁止規定がないから、そのようにすっきりさせた方がよくはないかという議論もありました。この両議論は、個人的見解として述べられたもので、なお検討の余地があるものと思考されるのでありますが、このような意見もあったことを御参考までに御紹介いたしておきます。  二、第一審強化に関する問題として、最高裁判所機構改革問題との関係上、特に考慮すべき事項については、裁判所検察庁側は、第一審教化が叫ばれている今日、下級裁判所裁判官の実人員を見るに、その定員すら欠いている実情である。第一審強化は、まずこの定員を確保するところから出発すべきてある。しかるに政府原案及び増員論をとるも、ともに第一壇強化に逆行するものである。しかも、今秋の裁判官任命が之に当っては、さらに裁判官の実人員の減少を来たし、その補充にいよいよ困難が予想される。このうな下級裁判所の窮状を解決しないで、いかなる最高裁判所機構改革案も、その実効件に疑いを待つものであり、最高裁判所機構改革よりも、むしろ下級裁判所の充実強化をはかるべきである。そうすることにより、上告事件も減少することになるとの見解が強いようでありました。  次の点について特に考慮すべき事項を申し上げますと、裁判官の任期につきましては、裁判所検察庁側は、軍法改正問題であるから、今にわかにそのぜひを論断することはできないというのが一般的な態度でありましたが、この制度裁判官の身分保障制度を弱体化するおそれがあるという意見もあり、また、裁判官の人事交流にぜひ必要であるとする見解もあたのであります。  判事補制度については、裁判所検察庁側は一般的に現行制度を維持する傾向であり、この思想を打つものの中には、特例法を現行法よりもう少し判事補の権限を広くして、その制度をさらに有効に活用すべきであると希望しているのでありますが、しかし、若干裁判官弁護士会側では、五年ぐらいに短縮して、現在の第一審、裁判所の欠員を、これをもって補充すべきであるという積極的な意見もうかがわれました。  法曹一元化については、弁護士会側は、理想であって、現在の裁判官の報酬では、とうてい一元化の可能性ない。裁判官待遇をさらに何らかの方法で優遇しなければ実現困難であると主張され、この点については官民共通の見解でありました。たとえば裁判官恩給年限を十年に短縮するような措置を講じて、老後の生活の保障を考慮すべきであると強調されました。  その他、北海道の特殊事情から生ずる現地関係機関の共通した要望事項としましては、第一、石炭丁当は税金の対象となるので、税金が賦課されても市価で購入できる必要な範囲まで増額してもらうか、あるいは現物支給の方法を講じてもらうかすること。  第二、物価高、交通不便による時間的不経済等を考慮して、僻地割増制度の創設。  第三、官舎は北海道の特殊事情を考慮に入れた在宅政策に基いて実施すること。  第四、旭川、釧路管内の欠員は、今に始まったものでなく、慢性的なものであり、これを充当するには前に述べた要望事項を実視するとともに、裁判官検察官に対しては、在任中に必ず三年間北海道に在勤するように法制化すべきである等の強い要望がありました。  旭川地方検察庁及び釧路地方検察庁等の庁舌新営について申し上げます。  旭川地方検察庁については、同庁舎は武徳殿として建てられたもので、利用価値が低いこと。(ロ)官舎周辺に特飲店、劇場等のある繁華街にあって、しかも事実関係上証拠品は、官舎二階の一部を改造し、格納保管し、火災等の場合に危険が大で、検察庁々舎として不適当であるごと。(ハ)被疑者等の取調べ個室がなく、いわゆる大部屋で取調を行なっているため、他の被取調べの供述内容の漏洩の懸念があること等の事情があるから、すみやかに他所に移転新築の要かあるものして、当局は強く訴えておりました。  釧路地方検察庁々新営については、(イ)同庁舎は釧路地方裁判所、同簡易裁判所と共同建物で、木造トタンぶき、平家建であり、四十七年を経過し、腐朽がはなはだしく、同庁使用部分は特に採光不十分のため、日中常に電灯をつけて執務しなければならない状態であり、保健衛生上もきわめて悪いこと。(ロ)、検察官の取調べ室は二十四坪の大部屋一室で、九名の検察官が共用し、事件関係人の収容にきわめて困難を感じている実情である。しかも、特殊事件共犯者あるいは女子被疑者等の取調べを行う場合には、きわめて支障を来たすこと。(ハ)、身柄同行室は旧時代の牢獄を思わしめるしろもので、採光、通風は全く考慮されてなく、しかも多湿という悪条件を持つもので、被疑者の人権保護に欠くところが大きいこと等の実情であるから、すみやかに移築を要するものと、当局は強く訴えておりました。  三、売春防止法運用に関する問題は、婦人相談所(仮事務所)は、本年四月一日に開設、七月三十一日完成の予定であり、婦人相談員は全通で定員二十三名、内道五名、市十八名でありますが、十三名は選任され、人選中のものが十名でありました。  婦人保護施設は本年中に建設の予定でありますが、一時保護施設かないため不自由を感じていると係官が不満を訴えておりました。  最近における業者及び従業婦転廃業その他の動向については、道内におけるこれらの業者は、北海道料理店組合連合会及び全国性病予防自治会北海道支部のもとに結集され、政治的にあるいは表面を糊塗する脱法的な業態への転換等を画策している状況で、転廃業等もきわめて低調で、まずやれるだけやるといった実情でありました。  売春婦の動向も、一般的動向としては、法の全面的施行までは継続就業するという意向の者が多いようでありました。  四、なお、北見市長から、地方裁判所を北見市に設置する前提として現在の釧路地方裁判所、北見支部(乙号)を甲号支部に昇格させること及び北見拘置所等を新たに設置せられたい趣旨の陳情と、千歳町長から、千歳町に地方法務局出張所を設置されたい旨の陳情がありましたことを申し添えておきます。  右陳情は、後日当委員会に正式の請願として提出される由、申し出がありました。  右、御報告申し上げます。   ―――――――――――――
  11. 山本米治

    委員長山本米治君) 続いて売春防止法施行運営に関する件を議題といたします。本件に関しましては、ただいまの、派遣議員の報告にもありました通り、明年四月一日を控えまして多くの問題をはらんでおりますので、この際、十分検討いたしたいと存じます。順次御発言を願います。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近の新聞を見まするというと、売春防止法の実施前に、非常に忌まわしい事件か起っております。昨日の衆議院の法務委員会におきましても、この問題が取り上げられたわけでございますが、この事件が広まって参りますと、非常に大きな影響をあらゆる方面に与える。特に政界にも大きな影響を与えるものであるというふうにまあ私どもは観測しておるのでありますが、この事件について、法務大臣の方はすでに何か報告を受けておられるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  13. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) ただいまのお話の件につきましては、昨日衆議院の法務委員会でもお尋ねがございました。まだ当時は捜査に着手しておったばかりでございましたから、私の手元へはまた報告が届いておりませんでしたが、法務委員会が終りましたところで、刑事局長を通じて一応のことを問い合せてみまして一応の報告がございますが、何分にもまた着手したばかりでございまするから、特に御報告を申し上げるほどの段階に、至っておりませんが、お求めがございますれば刑事局長の方から申し上げたいと思います。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは今まで報告を求めて、その報告せられた点について刑事局長からお伺いします。
  15. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) お答え申し上げます。ただいままで私どもの方でわかっておりますことは、新宿カフエー協同組合安藤理事長が去る九月取調べを受けておりました。これは組合員から集めた金を業務上期間中に横領した事実でございまして、この点は去る九月二十七日に提訴を受けておるのでございます。ところがその事件の取調べ中に、さらにまた新宿の協同組合員の中から全国性病予防自治会に金が出ているというようなことがわかって参りまして、その関係からして内偵を近めていた結果、十月一日に全性と申しますか、全国性病予防自治会の事務局長でおります今津一雄を業務上横領の嫌疑で逮捕いたしました。そのまた取調べ過程におきまして、先週の土曜日でございます十月十二日、長谷川康及び鈴木明の両名をそれぞれ容疑のもとに逮捕をいたしたのでございまして、これから取り調べる段階でございます。従いまして、その内容等は詳しいことはわかっておらないのでございます。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの刑事局長のお話ですと、ただここのところであげられた人間四人の名前と、それからその日付だけなんですね。一体、検察庁からこれたけの問題になったのに、あげられた名前と日付だけの被告だけで、刑事局長のところへそれたけで済むもんなんですか。すでに新聞では真鍋代議士の名前さえ出ている、そういうようなときに、検察庁の方から、もうとっくに新聞では毎日々々名前か出ているでしょう。それを議会に行ってただ名前と日にちだけ報告して、それで刑事局長が報化を受けました、国会で聞かれた、それに答弁いたします、で済みますか。そんななめた話はないですよ。
  17. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) 報告のどういう内容を検察庁から受けているかということをお答えしたのではございませんので、お答えできる範囲のことをここでただいまお答えしたのでございます。検察庁から報告を受けております内容は、もちろんさらに詳細なものを受けておりますが、ただいまは今申しました通り捜査に着手したばかりでございますので、私どもとしましては慎重に厳正に徹底した捜査をしていたたくという意味におきまして、いましばらく発表を押えさしていたたきたいというふうに考えておるのでございます。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 今法務大臣報告を受けておる、それじやあそれについて刑事局長から報告させる、こう言った。それなら初めからどういう範囲報告するか言えばいい。それをただ日にちと名前だけあげて、これで法務委員会での答弁だ、こんな人をばかにした話はない。新聞に出ているのはずいぶん出ているのです。ことにこの新聞を見ますと真鍋代議士の名前が浮かんでいるだけじゃない、そのほかにある新聞には二十人、ある新聞には十数人、こういうような国会関係者が金を受けたとか受けないとかいうようなことまで出ておるのです。しかもなおその金をばらまいたということについては、かなりな証拠があがっているらしいことも新聞に出ている。特に私朝日新聞の昨日の記事を見ますと、何か性病予防自治会の会議の議事録があがっておるというようなことも出ておるのですが、その議事録に基いて何か新聞の方でも書いておるでしょう。とにかくあるいけそれはすでに新聞の方で前に見たのかどうか知りませんが、その議事録のうちに何か代議士の名前がたくさんあがっている。その名前の上に済という字が書いてある。真鍋代議士もその一人だというふうに書いてあるのですが、そういう議事録があがったということ、そしてその議事録の中にそういうものかあったということ、これは新聞に出ておることなんですよ。そういうことについて報告を受けたかどうか、これ一つお伺いしたい。
  19. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) 新聞に出ておりますのは私も見ておるのでございますが、その新聞に出ておりますような詳細なものは、もとより検察庁にはわかっておらないのでございまして、一つの資料として検察庁承知しておる程度のものでございます。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 その議事録は検察庁には出ていないのですか、出ているのですか。
  21. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) 議事録の点は承知しておりません。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 議事録の点は承知してないのですか。しかし新聞の方ではこれは検察庁の方に出ているように書いてあるのです。検察庁ではそれを握っているように書いてあるのですが、刑事局長はそれを知らないのですか。
  23. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) 昨日承わった報告の中にはそのことはございませんでした。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃああなた報告を受けてただ聞いているだけで、どういう証拠が出ているかどうかということは、逆にお問い返しにはなっておらないのですか。
  25. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) 問い返したか問い返さぬかという問題につきましては、もちろん必要なことは問い返しもいたしますが、いずれこの問題はもう少し捜査が進展いたしまして、適当な機会に御報告をさしていただくつもりでございます。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも新聞にこれだけの問題が出ておって、検察当局から報告を受けておって、まあ今までのところの概括の報告さえできないというようでは、私どもとすれば非常に何といいますか、おかしいと思うのです。  それはそれとしまして、こういうふうな事件が出て参りますと、よくもみ消し運動が起るのです。これは唐澤さんもよく御存じのことだと思うのですが、造船疑獄のときにはとうとうしまいに指揮権発動というようなことによってもみ消されてしまったのです。それまでにも指揮権発動なんかああいう形をとらないでも、なおかつもみ消し起動が起って、相当な根拠あるにかかわらずそれがやみからやみへと葬られる事例が多いのです。今度の事件については事が売春防止法であり、これは全国注視の的になっておる事件です。もしこれがうやむやになるということになりますと、それこそ造船疑獄のとき以上にこれは国民の疑惑を深めるばかりだと私は思うのです。一方におきまして岸首相は三悪追放のうちに、汚職追放ということをずいぶんうたっておられる。こういう点から見まして、一体唐澤法務大臣はこの一件についてどういう決意をもりて臨まれるか、それをまずお伺いしたい。
  27. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) この事件についての私の決意をおただしてございます。私は冒頭に申し述べました、あるいは岡田委員まだお見えにならなかったときかと思うのでございますが、この事件といわずおよそ法務の要諦は、すべてその考え方が正しくあるという一点に帰すると思っておりまするから、冒頭にも申し上げたのでございますが、すべて私といたしましては厳止公平不偏不党、理非曲直はどこまでもただす、白いものは白い黒いものは黒いと判定して参るように指導していきたい、かように考えております。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の法務大臣の切り口上でございまして、そういうことは前に犬養さんだって言っていたのです。でありますからそれたけでは保証にならないのですよ。私どもはこういうことでなくて、こういうような事態が起ったらそれこそ法務大臣としてはもっとはっきりさせるために、相当な決意でこの事件を早く明らかにするために、むしろ自分が指揮をするくらいのことをやらなければいけないのであって、ただ不偏不党、公平無私ということをあなたがここで言っただけではなお私どもは不安があるのです。これはやはり世論の力もございましょうけれども、しかし法務当局でも相当な決意をもっていかないとどこからもみ消しの手が伸びてくるかわりません。私どもは、この事件については一代議士の名前が浮んでいるだけではないのでありまして、相当な数の名前が浮んでおる。しかも自民党において相当な地位の方の名前が浮んでいるといううわさも聞いておるのです。そうなってくると、これは一人の陣笠とかあるいはほんの一人の代議士の間違いから起ったことじゃない、ということが予想されてくるのであります。たとえば今この問題について自民党の中に委員会が設けられておる。その委員会おい皆さん議論されておるところを聞いておりますと、その議論は性病予防自治会の方から出しております議論と全く一致をしておるのです。この間も世耕弘一君が長野県でやりました放送討論会のその内容を開きましても、これは全くどう考えましてもうしろに何かあるんじゃないかということを疑わしめるような議論をしておるのであります。私らはこれをもって世耕君がどうこうというのではございません。しかし自民党のこの問題に関する有力な方々の意見がみんな同じである、しかもその意見を公然と述べられておる。その人たちがかなりひもつきになるのじゃないかという疑いさえ今世間から打たれておるこうなってくると、一人の代議士やなんかでしたら、あるいはもみ消しなんかということもなかなかできないでありましょう。しかし自民党の中にそういうふうな疑いを持たれている人がたくさんおる。こういうことになって参りますと、その波及するところが大きいということになればもみ消し運動が起ってくることはこれは明瞭なんです。だから私はあなたに、一体そういうときに、今の切り口上で済むのかどうか、こういうお尋ねをしたわけですが、まあ指揮権発動のようなことが、まさか起るまいとは思いますけれども、そういうようなときに、あなたが一体これをはね返すのかどうか、これをはっきり今からお約束願いたいと思います。
  29. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 切り口上というおとがめでございますが、私はまっ正直に自分の考えていることを申し述べているたけございます。今指揮権発動というお言葉がございましたが、それがある意味におきましては、今日の検察当局がいかに厳正であるか、外部からのもみ消しなどには迷わないような心待ちに立っている、という一つの、証拠になるのではないかと思うのでございます。でありまするから、罪あるところはどこまでも追及して参ります、そこにおいて、過去については申しませんけれども、指揮権発動とか何とかいう問題が起きるのでございます。私は今の検察当局には絶対の信頼を置いております。  なお私自身といたしましても、外部のもみ出し起動等によりまして、この正しい道を踏みあやまるようなことは絶対にいたしません。
  30. 赤松常子

    赤松常子君 私もただいまの問題につきまして重ねて政府当局に御要望申し上げ、さらに決意を伺いたいと思うのでございます。  昨年この売春防止法の通過の前後をめぐりまして、私自身もこの廊下で業者らしき人の会話を耳にいたしたのであります。あの議員には二十万円渡してある、あの議員には三十万円渡してあるのだということをひそひそと話しているところを私が通りかかって聞いたのでございます。私はまことにこの証拠があがればと思ったのですけれども、そういうことまで調べる手だてを持っておりません。ほんとうに切歯扼腕いたしまして、こういう金が流れているということは、当時世論も言っておりましたし世間周知の事実であるのでございます。はからずもこういうきっかけから明るみに出てきたということは、大へんおそくはございましたけれども、私は、天網かいかい疎にして漏らさずということわざの通り、やはりこういうことは許されないことであったということで非常に喜んでいるわけでございます。どうぞ唐津法務大臣も就任御早々の御決意にもございましたように、断固この問題のためには、完全施行の線に沿ってやっていくという言葉を新聞で拜見いたしまして、非常に力強く思うわけでございますが、どうぞこのことが竜頭蛇尾に終りませぬようにはっきりした結論を出して下さいますことを国民の良識は待っていると存じます。それで、先ほどから刑事局長の御答弁にございましたように、それが発表できる内容、あるいはそうでない限界もあると思います。まだ研究中でいらっしゃると思いますから、その点のことはよくわかるわけでございますが、どうぞ随時検挙の進行状態国会法務委員会に御報告下さいます御用意を常にしておいていただきたいことを重ねて御要望申しまして、もう一度法務大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。
  31. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) ただいま赤松委員からの御要望はその通りにいたしたいと考えております。
  32. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は法務大臣厚生大臣にまずお礼を申し上げたい。それは業者をはじめ世間に、来春四月一日から絶対この五条違反の処罰について政府はようやらないということをいろいろ言っておりましたので、私は心配しましていろいろ電話なんかで連絡いたしましたのでございますが、総理大臣はじめやるのだ、しっかりやるのだから心配ないということをおっしゃって、下さいまして、今日でははっきりした線が出てきましたことを私はまず両大臣にお礼を申し上げます。ありがとうございます。当然ではございますけれども、今日当然が当然にいかないので私ども弱っておりますから、お礼を申し上げます。  それから、これはまああるときが来たら発表しようか、するときがあるかもしれぬ、どうだろうかと思っておりましたのでございますが、何かきょう両大臣見ておりましたら言いたくなりましたから、私事を申し上げますが、私がずっと売春問題についてやっておりましたので、いろいろ業者からおどかされたり、ときには命をとるぞと言われたこともございましたのですけれども、金に関係しましたことを一つ御参考までに申し上げておきます。まだ場所も人も、あるときが来まして私が検事廷に出まして言うときまではこれをお聞き願わない方がいいのでございますから申しませんけれども、ある所に私が参りましたときに、業者が三十人も宿屋に詰めかけて参りまして、そしていろいろ私におどしたり、すかしたりの文句を申しました。第一には、あなたのところに、あなたは参議院でも大へん人格者だそうですが、お家に便所がありませんでしょうねというのが三十人の大男が来て私に一番先に言うたことなんです。私は返事しません、にたにた笑っておりました。その次にはあなたは公衆便所を認めませんかとこう言うのです。にたにたしておりましたがしばらくして、しかし人間に排泄物がある以上は仕方がないだろうねとこう言ったのです。ああそうですか、それじゃ私ども仕事をお認め下さるか、私ども仕事は公衆便所の仕事でございますと業者が申しました。それからとにかく一時間あまり、しかも私はそのときは死を覚悟しておりました。えらいけんまくで大男が三十人も宿に詰めかけてきました。でまるで禅問答みたいなことをいたしたのでございますが、そのときに私の宿の床の間の上にとても大きな、それこそ大きな包みがございましたから、私もこれは何だと言いましたら、先生そんな神経過敏におなりにならんでもこれは当地名産のカステラでございます。下に金は敷いてございませんよと業者は申しました。そしてとにかく禅問答をすましまして、しかし宿屋は非常に物騒がりまして、いざというときはこの道を逃げろと言う、小さい廊下を。私はゆうゆうと業者を送っておいて出てきましたら、その中の一人が、それは忘れもしません一月十四日で、その地方はめったに雪も降らないのに大雪になっておりましたが、私羽織を着ておりました。そうして出ようと思っておりましたら、廊下で私つかまりまして、ある業者宮城さんと言った。先生と言わないで、宮城さん、あんた大ばか者だねと、その業者に私たびたび会っております、調査に行ったときもよく案内して、おみやげをやるやらぬで問題を起したことがあるその業者でございますが、宮城さん、あんたばかだね、ことしの四月にあんた選挙するじゃないか、選挙に金が要るわねと言うのです。私、後を見てねめつけてやった。そしてあんたそんなばかなことを言わんで、きょうは数千万円と言いました、数千万円今持ってきているがどうだと言いました。私はねめつけてやりました。でもそのときにうんと袖を引っぱりましたのでございます、私の羽織の袖を。画地さん、あんたばか言いなさんな。まだ一つその前に、しゃべっておりますときに、あなた方ことし出そうというあの売春防止法、そのときは売春処罰法案てございました。それを私どもは作って、そして極秘にして、そのできた謄写版を私もハンドバッグの中に入れて歩いておりましたが、宮城さん、今度出す法律案はここにあるぞと言うて業者が持っておりました。それには秘と書いてありました。私はけしからぬと思いました。それは何を一体意味することだろうと思って、非常に憤慨しながら、話は前後しますけれども、廊下を歩いておりましたら、私の紋付じゃありませんが、黒い羽織の袖をうんと引っぱりまして、そして数千万円金を持ってきておるがどうだ、ことし選挙があるじゃないかと言いました。私はあんたたち女をばかにしつけているけれども、私の方の裏には法務省関係の夫がついているよと言って、私ぱっと袖をひっぱたいてねめつけてやったそうしてそのときに私のその袖を引っぱった人は割合に親しい人で、今日はある県会に出ている人ですけれども、その人が私にしかられて私玄関におくればせ来て、和服できておりましたからげたをはきながら、ああお母さんにしかられた、それは大きい声で私がどなったからみんなわかっている、体裁が悪かったのかもしれませんが、お母さんにしかられた、でもね国家のお母さんだから仕方がないわといってけたをはいて一緒に帰った、そういう場面がありました、私はその羽織をこの売春問題についての記念として取っておこうと思ってそのほころびたよまを紙に包んでおりましたら、私がヨーロッパに行きました留守に、着物を整理する人が残念なことに縫い直した。(笑声)惜しいことをしましたが、でもそれは私は今の段階においては場所も人も言うことはできませんけれども、私はその人に、あなたたちがりっぱに転業して下さい、そうすれば私はこういう問題も何も世間に言うことない、私はあなた方業者の転業を見守っていますよと言って今日まできております。だけれども、まあそれを発表する、検事廷に行って私が申し上げなければならないような時期がこないようにと私は祈っているのでございます。そういうことも一つ参考に含んでいていただきたい。そうして法務大臣には今度うんとやっていただきたい。せっかくこういう線が出ておりますから、もう津々浦々まで、そうして私材料を出せとおっしゃれば幾らでも出します業者から全国的に金を集めているというような材料も私、事によったら出します、にぎっておりますから。まあその問題はそれで、これは言うつもりはございませんでしたけれども、先ほどからの発言を聞いていてちょっと秘密のとびらを開きました。(笑声)まだまだございます。  今度はちょっと唐澤大臣にお尋ねいたしますが、おかげさんで来年の四月一日からこの五条違反の処罰の問題が片づくようでございます。これは私は、建物は一体法務省はどう考えていらっしゃるか、つまり施設はどうなりましょうか。それから予算措置の問題はどうなっておりましょうか、私非常に心配しているんです。建物はそんなに、人形の家じやございませんから一晩でできるわけではございません。一体どのようなところに五条違反の者をお入れになるのでございましょうか。それだけ今日はお伺いいたしたい。
  33. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) まず予算の点から申し上げたいと思いますが、今法務省考えておりまして大蔵省へ要求いたしておりまする施設婦人の捕導院、これを全国に七カ所ばかり作っていく、それから現在の少年院を六カ所ばかり改造したい。かように考えまして、その総予算といたしまして八億六千万余りを要求いたしております。しかし今お話のありました通り施行当初における建物をどういうふうに心配しているかということ、ごもっともな話でございます。この予算が取れましても新築するまでには相当の時間を要しまするのでございまして、そのための用意といたしましては、今日女子の刑務所、それからして女子少年院等で多少余裕のある所がございます。さしずめこれを流用いたしまして、これに多少の改進を加えて一時そこで収容をして参りたいと思います。このやり方は、かつて少年院を全国に一斉に作りましたときに、やはり過渡的にやったやり方でございまして、それでまかなっていけるかと考えております。
  34. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 少年院に売春婦を入れるということは、女子少年院でございましょうが、これはどんなものでございましょうか。これは私考えていただきたい。それはむしろ私の考えでは五条違反にひっかかってくる売春婦というのは、そんなにたくさんいないと思っております。そしてできればそういう所へ収容しないでも、私の考えではたくさん金をもうけさせてやりさえすれば、そして今まで外部との悪因縁があるのを断ち切る意味では、それは、隔離教育もしなければなりませんけれども、その意味合でよほど施設については考えていただきたいと思います。女子少年院を使うということよりも、むしろ今まで、ございました保護団体、保護団体という、言葉は今通用しませんでしょうが、たとえば東京で両全会というようなのは、もと執行猶余、起訴猶余の婦人を入れた施設が、これは私ちょっと関係しておりましたが、がらあきになっております。そういったようなものが地方にきっとあると思っております。だからそういうものを、つまり小規模でいいから、家庭的にそれは事案から申しますと、また女の性質から申しますと、へいも必要だ、鍵も必要だという者も中にはあると思います。だが大部分は、ことに私が保護して刑務所にやりたくないというのは、子供をかかえたお母さん方で、金がほしくて何回も何回も繰り返して売春をする、そういう人たちを救う意味合のことを私は解釈しております。そういう意味合でございましたら、これは今保護されておる女子少年院の娘たちに私はあの姿を見せたくないと思いますが、一つ考え直していただきたい。それはほんとうにお願い申し上げます。
  35. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) あるいは御意見かと思いますが、いかにもごもっともなお考えと存じます。ただ今私お答え申し上げましたのは、一応さように計画をしておるというだけでございますが、この種の女子の少年院に収容されておる人たちに対する影響なども考えまして、この点はずいぶん法務局でも原局では心配をして研究をしておったのでございます。今のような柄合いの施設がございますればもちろんそれを利用することにやぶさかではございませんし、どうしても少年院へ収容するというようなことでございますれば、その隔絶装置などは十分にいたしまして、その影響のないように考えなければならぬということでございますが、なお御要求によりましてはいろいろ研究をしております刑事局長も参っておりますから、御説明申し上げてもよろしゅうございます。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 法務大臣にお伺いしたいのですが、今度の事件でも国会議員がだいぶ関係があるということがうわさされておるわけでございます。すでに名前もあがって召喚かというような記事も出ております。この議員が召喚される、そして容疑濃厚ということで逮捕ということも往々あるわけです。そういう場合にはやはり一々最高検あるいは法務大臣の方へ召喚についての何かお伺いをたてるというような、了解を求めるというような、そういうことがあるのですか。そういう習慣になっておりますか。
  37. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 私は就任後三カ月の経験でございますが、私の経験だけでは国会議員をあるいは召喚する、逮捕するというときに事前に法務大臣の了解を求める、そういうようなしきたりはございません。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは刑事局長に伺いますが、いつも全然そういうことなしに召喚なり逮捕なりが行われているのですか。
  39. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) お答え申し上げます。今大臣から経験に徴しまして実例がないというお話でございました。ちょうど実例がなかったのでございますけれども、もちろん国会議員の召喚というような問題になりますれば、私どもが知らずにいてやられるということもこれはないとも申しがたいのでございますけれども、おおむね報告を受けまして大臣にも御報告を申し上げるようにいたして、私もまだ就任間もないことでございますが、運用といたしましてはそういうようにいたしております。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 すでに新聞にああいうふうにどんどん出ておりますが、これについて刑事局長の方にすでに、その必要を認めて召喚をするからあるいは逮捕をするからということで、地検の方から何か了解を求めてきましたですか。
  41. 竹内壽平

    説明員(竹内壽平君) さような了解を求められておりません。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 今後そういうふうなことがもし起ってきた場合に、これは非常に長い考慮を要する、あるいはたとえば閣議に報告してからでないとなかなか了解を与えにくいものか。それとも大体において地検の方でこれだけの確たる証拠の容疑であるからということであるならば、これは法務大臣の一存でよろしかろうということになるのかどうか。閣議報告するものか、あるいはそれとも法務大臣の一存でやるものか、そこのところを一つ
  43. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) ただいまのお尋ねでございますが、かりに、検察当局から国会議員を召喚するとか、あるいは逮捕するということに対して法務大臣に了解を求めてきた、そういう際に法務大臣がその了解を与えるか否かということについて閣議でも諮ることがあるか。こういうお尋ねかと思いますが、これは法律の上におきまして閣議におる必要のないことでございます。法務大臣の一存できめ得ることでございます。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 必要はないけれども事が重大でそして多数の関係者があり、それがたとえば内閣の基礎をなしておる与党の相当な人であるというようなことであって、その政局に波及するところがあるということになれば、これは御報告になるということもあり得るわけですね、どうでしょうか。
  45. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) まあ仮想の場合でございますからはっきりお答えすることもできませんけれども、今のとこるさようなことは想像しておりません。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の事件は単に収賄というだけの問題ではない、これは国民全体に及ぶ政治道徳上の非常に大きな問題です。しかもこれに与党の議員が相当多数嫌疑を受けるということになりますと、これは政局にも響くかもしらぬ問題なんですね。そうなればこれは仮定の問題かもしれませんけれども、おそらく三悪追放をスローガンにしておられる首相としたって考えなきゃならぬ問題です。内閣全体としても考えなきゃならぬ問題だから、これは当然そこまで行かぬにいたしましても、まだ逮捕者が出ぬうちでも、この問題については相当開成で政治的に御論議になることもあり得るのじゃないかと思うのですが、これはやはりそういうふうにきちっときまってからでないと問題にならないのですか。
  47. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 今新聞で伝えられておる事件でございますが、これはまあ新聞紙によっても違いますけれども、いろいろ見込みを立てて将来の見通上などを記事にいたしておるようでございます。しかし検察当局といたしましては、先ほど刑事局長から申し述べましただけの段階でございまして、逮捕いたしましたのは先ほど申し上げましたたけの人数でございます。それから先にどういうふうにこの事件が進展いたしますか、これは検察当局の捜査がどう発展するかということによって、この事件がきまるわけでございます。でありまするから、この今の段階におきまして、どういうふうにこれを処置するかということを申し上げることはできないと思うのでございます。これはこの事件がどういうふうに発展していくかということを見きわめてからにお答えをしたいと思うのでございます。  なお、先ほど法務大臣に対して逮捕の要求があった際に、それは閣議に了解を求める必要のないことであると申しあげましたが、これを補足して申し上げますが、国会開会中はおのずから規定がございます、御承知通りでありますから、それは別でございます。
  48. 赤松常子

    赤松常子君 私堀木厚生大臣にお尋ねいたしたいのでございますが、先ほど第一班、第二班、第三班の視察報告中にごさいましたように、現に各地売春業者転廃業の機運というものは非常にまだ低いし、あわよくばという気持でなかなかおみこしを上げていない状態でございます。これにはいろいろ原因もございまして、まず一番大きな原因は、やはり政府の態度が閣議の再確認なんとおっしゃっておりましても、またどこかにくずれる、そういう気配があるということを業者が見抜いているからと思うのでしか、どうぞこういうことに対してもう転廃業をどんどん促進するように督促していただきたいと思っております。こういう現地にまだ中央の意向がはっきり届かないという段階かと思うのでございますけれども、もう余すところあと五月でございます。半年にも足りないこの年月にこういう大事業を促進するというには、大へんな決意が要ると思うのでございますが、そういうことに対する厚生大臣の御決意のほども伺いたいと思っております。  第二点は、いろいろ私たちも現地に参って見ました。最近には奈良にも私参ってみたのでございますが、やはりいずこも同じなかなか業者はあぐらをかいておるわけでございます。一方また収容施設がほとんどがらあき同然でございまして、まことにわびしい状態でございます。でそういう場合に聞いてみますとやはりいつも金がない、こういう県当局の弁明でございますが、こういうことで進めていかなければ、いつも業者が申しておりますように、四月一日になって従業婦をトラックに乗せて国会へ送り込むとかいういやがらせをしょっちゅう申しておるのでありますが、こういう受け入れ態勢というものに金かないということ、それをないからと言って来年四月までほうっておくのでありましょうか。どういう便宜の処置を考えておられましょうか。この点第二の御質問まで申し上げておきます。
  49. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私の決意はあらためてお聞きにならなくてもよくおわかりになって……、従来私かやってきたことを口で言ったって御承認になりませんが、私のやってきたことを顧みていただければ、私はあらためて申し上げるほどのことはないのじゃないかと思いますが、とりあえず岸内閣ができますと同時に関係閣僚及び閣議まで打ち出しまして御承知の閣議決定をいたしました。しかし今おっしゃいますように事態をながめてみますとなかなか問題が進捗いたしません。従業婦転廃業の問題もむしろ足踏みの状態でございます。またおっしゃるように更生保護に関する婦人相談所設置及び保護施設、あるいは性病予防の問題その他の問題が、当面しながら実は進まないような状態でございましたので、現地おいでになりました以後でございますが、地方関係部長を集めまして、そうして政府の決意を申し述べますと同時に、特に収容保護施設任意設置になっているからといって、遷延することは許されない、ぜひやってもらいたいということを強調いたしました次第でございます。この点に関しましては、ごく最近でございますからまだ本当に末端までは届いていないと思いますが、私自身も過般現地と末端の機関を見て歩くというようなことをスタートいたしております。と何時にそう申しましても予算的な処置を講じてやらなければならない。ことに地方の収容施設は御承知通り任意設置でございます。で地方の方は業者の足踏み状態があるものでございますから、そういうものを早急にやる必要というものを幾分痛感しなかったという傾向もございます。しかし私はただいまは、それらに要する予算的処置をさしあたり予備費のうちから流用いたしまして整備いたして参りたい、こういうふうに考えております。  なお内閣にあります売春対策審議会におきましても、ちょうど私どもの意図しておるような御答申かごさいましたので、これに従って実施方を講じてみたいと思うのでございます。と何時にごく最近におきまして業者を代表いたしまして、ともかくも法の刑罰規定の実施に備えて自分たちは転廃業をいたすという決意を持って参っておるのでございます。でまあ大体業界の推移の方向もきまりましたかと思いますが、率直にいえば今まで卵が先か鶏が先かというような議論が多かったのですが、私としては実は業者自身がまず転廃業する決意を早くしなさい、われわれ自身も施設を促進するが、その保護施設のできないことに籍口してあなた方がちゅうちょする理由はないではありませんか、という態度をとってきたわけであります。しかし業者側におきましてすでに軽廃業を決意いたしました以上、そういう方向に向いまして、今度は私どもがいろいろのことを言われないで済むようにぜひいたしたい、こういうふうに考えまして促進力及び予算的処置をただいま講じておる最中でございます。大体今申し上げることでお答えになっているのじやなかろうかと思います。
  50. 赤松常子

    赤松常子君 それには付随いたしまして婦人相談員の任命がまた全国的に完備いたしておりませんのですが、この前の国会のときもこれが問題になって相当やかましく申し上げたわけでございますが最近はどういうふうになっておりましょうか。またどのくらい設置されていないのでごさいましょうか。
  51. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 大体婦人相談員は各県に全部できたわけでございますが、しかし定員数にはまだ満ちておりません。適格者を得ることに非常に困難なのと、そしてまあ率直に言えば、今まで私ども推進方が足りなかったのかとも思いますが、至急整備いたしてこれは大体私は婦人相談員は見込みかあると思うのであります。それから相談所設置の問題は、これはたしか三県くらいしか残ってないと記憶しております。婦人相談所は栃木と群馬と冨山だけの三県だけがまだ未設置のようでありますが、近く開設するということを言って参っております。婦人相談員の数年は四百六十八名でございますが、任命された者が三百九十三名でございます。これもこの間県の関係者として相談をしております。それから保護施設が一番問題でありまして二十四県まだ未設置でございます。これが先はど申し上げましたような状態でございます。従いましてこれに対して予算的にはある程度の国庫の補助をして設置を促進いたしたいといって、今大蔵省と交渉はいたしておりますが、予算の関係だけでなしに、県としては当然私は新しい社会的なものの一つとして考えるべきであろうということを考え基本にはいたしておりますが、厚生省としては予算的処置も講じたい。それからこの間会議をいたしましたのは、売春防止対策本部ができておりません県が相当ありましたので、それに対して売春対策本部を作ってこの事業を推進するようにということを言っておるのであります。売春対策本部もおいおいできて参りますが、すでに十四都府県はできております。ただもう少しそれに合せまして売春対策推進委員、ちょうど中央にありますように民間の経験者によって促進する委員会、そういうものを合せて作るように言っているわけでございます。過般地方の担当官を招致いたしまし、強力に推進方を命じまして事後報告を取っておりますから、省議の通りいくのじやゃなかろうかというふうに考えております。
  52. 赤松常子

    赤松常子君 従業婦の更正問題が非常に大事だと思いますし、政府指導もさることながら、やはり民間及びこの地方の自治体も協力しなくちゃいけないと思っております。この間私奈良県に参りまして婦人団体及び自治団体の方々との懇談会をいたしました節に、こういう要望がございまいましたのでついでに本省も考えてもらいたいと思うのでございます。それはやはり技術指導が大事であって、食べていく生活の基礎というものをいろんな技術をつけさしてあげることは大事だと思うのですが、しかし技術を教えるにいたしましても、特別にそこにまた保護所に技術指導所授産場を設けるということは予算上非常にかさみますから、すでに県立なりあるいは私立なりのそういう授産場がございます場合には、そこを開放してもらってそこにこの従業婦を通わして習うようにしたい、という御要望もあったのでございますが、これもぜひ御考慮を願いまして、中央から各地方にそういう便宜をはかるようにということもしていただきたいと、こういりふうに考えております。  それからこれちょっと小さいことでございますが、奈良の場合でこれは事務の方からお答え願いたいとも思いますし、またちょっと御注意申し上げておきたいと思いますが、奈良の相談員は全部で六名の定員でございますにかかわらず、私の参りましたときには二名しか任命されていない、つい先月のことで、まだ四名どうなっているのですか。こう伺ったら、実はこの六名の定員の基準というものが、あそこにRRセンターがございます、駐留軍が何か三千人いましてそれに付随した従業婦の数を推定して、三名というふうに割り出したのだ。ところがこのRRセンターはもう数カ月前に撤退いたしております。ですからこれはほんとうは要らないのですということだったのでございますが、そういう何か事務のはっきりしない手違いもあるようでございまして、私どもそういう実情を聞いたので、それならばそういうふうに解釈して定員六名も要らないのでしょう。それであとどうなっているかと伺いましたらあと一名、郡山に赤線地帯があるわけです、そこに一人も婦人相談員を置いていない、そこに補充したいということで帰りてきたのでございますか、行ってみますと、何か最初のきめ方と現在のズレがあるのでございますが、これは事務当局の方に、はっきりして間違いなく訂正していただきたいと思います。
  53. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 今おっしやるように生活の更正には技術指導は非常に大切だと思います。同町に先ほどから予算の問題等もございますが、実はすべて遊休施設があったら、保護施設も使ってもいいし、それから民間のそういう仕事推進していただくような人の力は全部借りろと、現在幾ら人間を作りましても、私は率直に言って足りないだろうと思うのでございます。そんなことは予算的に満足にできるわけではございませんで、やはり民間の力をできるだけ借りるというふうなことをしなくてはならないと思います。でありまするから、同時に、今おっしゃいました奈良県の相談員の欠員の模様、RRセンターの模様等は私詳しく存じませんですが、事務の方によく御注意を受けて、促したいと思います。と同時に、これはやっぱり数だけそろえたってだめなんであります。できるだけそういうことに熱意を持ち、そうして推進するという人を選ばなくちゃなりません。そういう点についても民間の力を十分借りる。しかしいずれにいたしましても定員が充足いたしませんことは申しわけないと思いますから、至急定員を満たすように指示してございますが、なおチェックをしてみたいと思っております。
  54. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 法務大臣に伺いたいのでございますが、浅草の警察署の巡査が立法精神をよく理解せずに、特飲店勤めを希望する家出娘を補導せす、かえって特飲店に勤めるように勧めたいというような事件があったということを伺ったのでございますが、これは警察官というものは窓口のようなもので、何か困ればいきなりそこへ、警察官が一々専門でなくても、まあ転廃業したいとかけ込む場合が非常に多いと思うのでございますから、そういうようなときに警察官がこの立法精神をよく理解していて、適当な補導ができるようにしておくということが非常に大半なことだと思うのでございます。それがなかなかできにくくて、とかくそういうような傾向の婦人たちはその身なり、態度などもあまりよくないことが多いのでございますから、そういうようなときに警察官なんかがそういう婦人に対して非常に妙な表情なんかで対応する、しかも立法精神が何にも徹底していないために、とんでもない補導をするというようなことはずいぶん考えられることですから、こういうようなことをほんとうに立法精神の徹底化ということは、一朝一夕にできることではないと思いますが、なお、法務大臣としては、大へんな抱負をお打ちでいらっしゃいますので、どんなふうな精神でこの徹底化をなさる御所見でございますか。また、その御所見を伺いまして、なお、中川刑事部長もおいでだそうでございますから、また具体的なお話は刑事部長からも続いて伺いたいと思います。
  55. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) ただいまの問題は、担当から申しますると、正力国務大臣からお答えした方が適当と思いますが、これは、だれが考えてみましても、今の加藤委員の御意見通りでございまして、ことに新法を施行いたします際などには、警察官の末端まで、よくその法の精神を熟知させるように教養しなければならないことでありますが、なかなか多人数のことでございますし、末端のことでございますから、つい教養がいき届かないような場合がございまして、そしていろいろ遺憾なことを起すようなことがございます。これはあってはならないことと存じます。いずれさような御意見のあったことは、警察の方へもよく伝達をいたしますが、中川さんの方からお答えかありますればどうぞ……。
  56. 中川董治

    説明員(中川董治君) ただいま、法務大臣からおっしゃいましたように、警察官に対して教養するという問題は、大へん重要な問題でありまして、ひとり売春防止法に限りませんが、警察の活動の適正を期するということは、何といっても教養が最も重要でございますので、私ども警察の責任者といたしましては、教養に最も力を注いでいるのでございます。警察学校等も各地に設けまして、それぞれ一般的な教養を施すほかに、専科といたしましていろいろ係ごとに、専門的にも教養を施しておるのでございます。御指摘のありました、巡行の上取扱いが適性を欠いた事件でございますが、これは、本年の八月十七日に、家出娘と思われる方が浅草の方面に来た。このことについて連絡を受け交番の巡査でございますが、交番の巡査が取扱いが適性を欠いたのではなかろうかという件も、確かに当時新聞にも出まして、警視庁におきましても、厳正に調べて参りました。駐在の巡査と申しますというと、いろいろ、パトロールをしておりまして、交通事故等もやっておりますので、繁劇の最中だったということも考えてやらなければならないと思いますが、家出娘のあったことを認知いたしまして、家出娘に会いまして、あなたは親の承諾もなしに飛び出しているのじゃないか。早くお帰りなさいということを勧奨はしておるのであります。外勤の巡査は勧奨はしておりますが、その家出娘ががんとして帰らない。こちらが勧奨をしましても、なかなか帰らないという事情がありましたので、そこに一応行っております業者のおかみさんに頼んで、この娘さんを早く帰していただきたいということを頼んで、帰って参ったという事情があったのであります。その後、警察の本署にわかりましたので、本署の方では係官を派しまして、その家出娘を保護いたしまして、保護者に引き決しておりまして、実害は結果においてなかったのでありますが、その巡査の取扱いがもう少し――勧奨をしたのはいいかもしれませんが、もっと徹底して勧奨したら、さらに誤解を受けなくてよかろう、こういうこともありましたので、警視庁におきましては、当該巡査に対しましては、今後の教養を、一生懸命やることはもちろんでありますが、処分といたしましても戒告処分に付しまして、こういう取扱いの適正を徹底する、その保護をも確保しておような状態でございます。
  57. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 厚生大臣にちょっと伺っておきたいのでございますが、この従業婦転廃業につきましては、母子福祉資金とか、要保護女子住宅建設、児童養護施設、こういうものの拡充ということは非常に大切でございまして、ことにこの母子福祉資金がもっと手っとり早く、あんまりむずかしいことを言わないで貸し付けられるようなことがなければ、この母子福祉資金というものがございましても、結局ほんとうに借りなければならない人には渡らないというような現状じゃないかと思うのでございますが、今、予算編成期で、これをもう少しおふやしになるお考えはないのか。また、どの程度におふやしになるのか。また、その取扱いについて、もう少し簡素化というようなことについて、何かお考えでもおありになりませんか。それを承わりたいと思います。
  58. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) さっきの新聞の問題に関しても、ちょっと一言言わしていただきたいと思います。婦人相談所の方からも、積極的に警察の方と連絡をとっていくことが必要だと思います。現に全体の件数としまして、私もこの間新宿の婦人相談所を見ますと、割合に警察との連絡が――何と申しますか、警察の方から回ってきたというようなことがありますので、なお積極的に今後は警察と連絡をとりたいというふうに考えております。  それから、今おっしやいました、ともかくこの問題は、深くいろいろな社会的な問題に属しておりますので、結局突きつめて参りますと、いろいろな問題が根本に伏在いたしております。今お尋ねの、私は、生活保護及びボーダー・ライン層に対する対策等も結局やっていかなければならぬし、それから、何と申しますか、知能指数の少い人も割合に多いわけてありますから、それらに対しても考えていかなければならぬというふうに考えますが、今お尋ねの母子福祉資金の貸付については、実はこの間現場を見ましても、子供を打っている人もある。生活に困っているような人がいる。そういうふうなのに対しては、配偶者がない女子であって、児童を抱えている、扶養しているというようなのは、当然今おっしゃいましたような生業資金その他七種名の母子福祉資金の貸付の対象になるのでありますから、積極的にいたしたい、こういうふうに考えておりますが、手続が非常に簡素化してないと、言うことと実際とがなかなかうまくいかないというお話でございます。実はまたそこまで研究いたしておりません。手続の簡素化については、当然われわれ、そのために保護の対象を保護しないで済ますことのないように、さらに研究を重ねて参りたい、こういうふうに思っております。  住宅問題につきまして、これまた転廃をいたしますと、その問題が婦女子については起って参るわけでございますが、公営住宅の問題は、建設省が一応所管しておりますが、私どもの方からも、こういう低所得階層その他の人につきましては、積極的に建設者と連絡はとっております。なお、建設省も、母子過程の人居等について優先的に取り扱うようにはなっております。なおそのほかに、私どもとしては、母子寮式なものを作って参るということを考えなければならぬのではないかというので、母子寮式のものをさらに積極的に拡充いたしたい、こういうふうに考えているような次第でございます。
  59. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょっと申し上げます。大分時間が経過しました。昼飯の時間がおそくなっておりますけれども、午後は答弁側の政府側においてお差しつかえの方も多いようでございますから、いましばらくごしんぼう願いまして、質疑を続行したいと思います。
  60. 赤松常子

    赤松常子君 私、一つ厚生省にお願いがございます。この間、新聞て見ますと、里帰りの婦人が、政府があちらに帰る旅費を出ししぶっておりますような結果から、売春に身を落しているというような記事が出ておりました。熊本県の事例であったようでありますが、一応そういう辺のことを正確に御調査願いたいことが一つであります。里帰り婦人がこちらに来られている間に、今言ったような、生活の困窮から売春に落ちている事例かございますので、これをよく御正確に調査していただきたいと思います。  それからもう一つは、きょう第二項の視察報告の中で、宮城委員の御意見は、先ほどの御報告とは違う、こういう御意見もあるというふうに伺っております。宮城委員も、今お帰りでいらっしゃいますが、この次には、ぜひ宮城委員の御意見もはっきりお伺いするような機会をお打ち下さいまして、私も、この西海国立公国株式会社の問題については、非常に多くの疑問を持っておりますので、今日ではその疑問の点を保留いたしておきますが、この次の機会に、宮城委員の正確な御報告の機会をお持ちいただきたいと思います。
  61. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 里帰りの婦人には、実はいろいろな生活状態の方があるように見受けられます。それで、私どもとしては、ほんとうに生活に困っておられる方は生活保護法の適用で考える、地方では事実その運用をしておるようなところもあるように即いております。しかし、今おあけになりました、熊本県の例につきましては、私詳しく了知いたしておりません。さっそく調べさしてみたいと思います。  西海国立公園、これは今度、質問を保留されたようですから、そのときにさしていただきます。   ―――――――――――――
  62. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは、売春防止関係の件につきましてはこの程度にとどめまして、次に、第一審強化に関する件を議題といたしますから、御質疑願います。
  63. 大川光三

    大川光三君 私は、派遣委員調査報告に基きまして、いろいろのお尋ねをいたしたいのでありますが、時間の関係もございますので、ごく重要な問題二、三についてお尋ねいたします。  まず第一に、第一審強化に関連する問題でありますが、最高裁判所機構改革と第一審強化との関連について伺います。  先ほど調査員の報告によりますると、現地の方では、最高裁判所機構改革問題については、どちらかといえば熱意を欠いておる。それよりも、むしろ第一審強化が先決問題であるし、また第一審強化で事が足るんだという意味意見が多いのでありまするが、今日最高裁機構改革に関する問題は、すでに法律案として国会審議をするまでに進展いたしておるのでありまして、この機会に私は、あらためて第一審強化最高裁判所機構改革問題の関連性について、当局の御所見を伺いたい。  なお、それに関連いたしまして、昨年の六月二十五日に第一審強化方策協議会が強化要綱を答申いたしておりますが、その要綱中で、すでに実施済みとなっておる点並びにその状況、成績等がいかがなっておるか、まずその点を伺いたいのであります。
  64. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) この第一審の強化ということは、これはもう一審ばかりではなく、裁判所全体の強化をはからなければならないということは、問題ないことだと思いますが、特に最高裁判所おいて、第一審を強化しなければならないというので、一昨年でしたか、第一審強化に関する対策の審議会を設けまして、いろいろ裁判官検察官あるいは学者、弁護士という方々の代表の方々にお集まりを願って、そして第一審強化というものについて検討いたしてもらったのであります。その結果、第一審強化の方策要綱というものができまして、いろいろこまかい訴訟手続の運用とか、あるいは当事者の協力とか、あるいは検察官弁護士裁判手続に関する協力とかいうようなことを、要綱を答弁申したのであります。そこで、最高裁判所おいては、この要綱に基きまして、第一審強化方策審議会を各地方裁判所ごとに設けまして、そこでも検察官弁護士裁判官もとよりですが、そのほかあるいは学者とかいうような人に御参加を願って、その地方々々における特殊の第一審強化について御審議を願って、いろいろ方策を立てておる。その結果として、まず全国に、第一審強化方策の大要を通達いたしました。そうしてそれに基いて、個々のところでいろいろ御協議を願って、今日でもすっと引き続いていろいろの御協議を願っておるのであります。だからまあ結局、いろいろなこまかい手続をどうするかこうするかということは、これは当然のことでありますが、問題は、やはり適当な裁判官を十分各地に配置して、そうしていわゆる裁判に対して、裁判というものは第一審だけで大体国民が納得してくれるというところに裁判の重点を置いていきたい。そうすれば、控訴、上告というものがだんだん減ってきて、そして最高裁判所機構改革という問題にも結局関連してくるのじゃないか、かように考えております。おりますが、何しろ今のところは欠員もございますし、それから、定員の点でも相当不自由をしておることもあります。その他施設についても、いろいろ私どもとしては予算を要求いたしておるのでありますが、わずかに大阪の裁判所法廷を増設することを認められたということくらいのことで、具体的に実現することは、相当長い川間を待たないといけないじゃないか、かように考えております。
  65. 大川光三

    大川光三君 強化要綱に基いての実情をある程度まで御報告いただいたのでありますが、これに関連して、率直に言いまして、第一審強化、強化と言っておるが、各地実情を調べてみましても、肝心の裁判官が定員を欠いておるというのがあるのでありまして、この点がます、第一審強化の先決問題だというようにも考えられるのであります。調査によりますと、現在判事の方で三十三名定員を欠いておる。判事補で九名不足、簡易裁判所判事で十六名、合計五十八人の判事あるいは判事補等が定員に満ちていないという現状でございますが、一体こういう定員をいかにして充実するかということについて、当局意見を伺いたい。
  66. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 御指摘の通り、やはり定員欠員がございます。これは、御承知通り裁判官の採用は、司法試験を受けて、そうして研修所で二年修習させて、それからまた試験をして、そうして判事補になる。十年して判事になるというような、非常な厳格な制限がございますから、採用に当っては、どこからでも採用できるというわけではございません。従って、まず判事の欠員を埋めるには、判事補の十年たったものから埋めるというのと、もう一つは、検察官弁護士の方から裁判官として来てもらう。この二点になるのであります。最初昭和二十四、五年ごろには、弁護士から裁判官になられる方か相当多かったのであります。しかし、だんだん減ってきまして、ことに今年は、裁判官の任期が、ちょうど大体大部分十月から十一月にかけて、任期十年が参りまして、やめていかれる人もありますし、またやめてもらう人もありますために、一そう欠員が生じてくる。このために私どもとしては、非常に弁護士連合会の方にお願いして、どうか弁護士から一つ実際に裁判所にやってきて、一線の裁判官として働ける相当若い人を寄こしてくれ。十年も、十五年もたったところを、せひよこしてくれというので、再三私どもの方でお願いしておるのでありますが、なかなか人は得られないのであります。と申しますのは、やはり今日裁判官待遇というものが、弁護士として十年、十五年して、よくはやってきた有能な弁護士の方が進んで裁判所に入ってその現在の待遇では満足できないというのが、これは実情じゃないかと思います。私どもの方としては、しかしながら、極力いろいろ高等裁判所長官あるいは地方裁判所長にお願いして、いい弁護士の人ってくることを勧誘してくれというようなことをやっておるのであります。しかし、実情は今申しましたような程度でありまして、そのほかに私どもの方では、これは、法律が昨年の議会で通りましたのですが、職権特例のついておる判事補、すなわち判事補になってから五年以上の者、大体七年くらいの者を高等裁判別の代理裁判官として入れる。そうして、高等裁判所の老練な有能な判事を一審に回して、そうして第一審強化ということをはかりたい。かように考えまして、あの法律の実施がされておることでもありますし、現実にそういう方面に運営していきたい。かように考えております。
  67. 大川光三

    大川光三君 裁判官の補充を弁護士会に求める。それもまた一つの方法だと考えるのでありますが、問題は、そうなりますと、いわゆる法曹一元化の問題に及んでくるのでありますが、御承知通り、本月一日最高裁判所の十周年記念式典に続きまして、裁判所検察官弁護士会の合同協議会におきましても、この法曹一元化の問題が取る上げられたのでございますが、そこで、日本弁護士会連合会は、従来から決定をいたしておりまする法曹一元要綱及び弁護士会改正法案に基きまして、すべての裁判官あるいは検察官も、相当期間弁護士の経験あるものから選ぶべしということを骨子とした意見を述べておるのでありますが、その点に関する裁判所意見などを伺いますと、あるいはそれは時期尚早だという意見もあるのでありまするけれども当局のこの弁護士会法曹一元化案についての考え方をお伺いしたい。
  68. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 法曹一元と申しますと、いろいろの意味今日いがございましょうが、検事、判事、それから弁護士の人事交流ということも法曹一元と言われておるようでありますが、大体今御質疑にあったように、一応弁護士をやって、そうしてその弁護士から裁判官あるいは検察官、あるいは検察官弁護士から裁判官をとるというのが法曹一元の基本だろうと思います。そこで、まことにけっこうなんで、私どもは、理想としては賛成いたしておるのでありまして、ぜひその方に持っていきたいと思うのですが、何と申しましても、裁判官になるのには、やはり弁護士の中から相当尊敬される、有能な人に来てもらわなくては困る。弁護士をしておって、どうもこれははやらんから、裁判所にでも入るというようなことになると、これは国家の司法制度として非常に考えるべきことじゃないか。従って、これも結局待遇の問題にかかってくるのじゃないかと私ども考えておるのでありますが、一昨昨日ですか、衆議院の法務委員の方々がアメリカの司法制度を視察されたときに、私どもの方からついて行ったものからの報告によりますと、ニューコークあたりでは、非常にいい弁護士裁判官に選挙される。というのは、あそこの裁判官の年俸が三万三千八百ドル、弁護士の平均収入は二万三千くらいであるというようなことをパー・アソシエイションでの話に聞いたということを私の方で聞きました。従って、もし法曹一元を実現するとするなら、相当思いきった裁判官待遇というものをお考え願わないと、裁判所が流れてくるくずを拾はなければならないというようなことになると、これはちょっと困るのじゃないか、かように考えております。
  69. 大川光三

    大川光三君 ただいまの問題でありますが、待遇問題も、それは重要な一つの。ポイントであります。ところが、先ほど委員報告にございましたように、現在判事補という期間があまり長すぎるのじゃないか。たとえば試験に受かりまして、司法修習生を二年やり、そうしてなおかつ十年の判事補を経て普通の判事になる。そこで、かりに若い在野法曹裁判官になろうといたしましても、弁護士であれば、これはもう翌日から一人前の弁護士になる。年の若いいかんにかかわらず経験の浅いいかんにかかわらず。ところが、その弁護士裁判官に任官する。そうすると、判事補という、補がつく。そこで、判事補という名称について、一つは在野法曹として若い弁護士が任官するにも判事補という、その補のあることが魅力を欠いておると、こういう意見も実際問題としてあるのでありますが、これは、法改正に関する問題でありますけれども、いわゆる特例によって、少くとも五年以上の経験のある人は一応判事職務ができるというその特例と、いわゆる判事補との関係について、この判事補という名称を何とかして変更できないだろうかと考えるのでありますが、その点に関する御意見を伺いたい。
  70. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) いわゆる裁判所法ができたときに、判事補制度が設けられました当時は、理想としては、裁判官は相当やはり年輩の方がいい、経験を経た方が、裁判官になられるのがいいというような考え方から、研修所を出て十年くらいは一つ経験をさせて、そうして、一人前の裁判官にした方がいい、こういう考え方からおそらく裁判所法は出発したのだろうと思うのです。もとより、先ほど申し上げました、弁護士からずっととれるということになれば、これはもうこの判事補制度というものは要らんのじゃないかと思いますが、やはり裁判官賛成として、判事補制度というものは現在では推持していかなければならない。これは、判事補という名前がいけないという、今のお言葉にもありましたし、ほかでも私ども承わっておるんですが、名称の問題はどれがいいか別として、しからば判事補の期間を今のように十年にしておくのがいいか、あるいは五年にするのがいいか、七年にするのがいいかということは、これは相当問題がございますが、こういうような点については、法務省の方の法制審議会の方でいろいろ御検討願っておることでありますからして、いずれこれは立法問題でございますので、私どもの方としては、希望を政府の方へ申し上げるという程度であります。
  71. 大川光三

    大川光三君 なお、先ほどの九州班の調査報告の中で、一般弁護士から裁判官になる、いわゆる人事交流と、いま一つ弁護士から検察官になっておる事例があるがどうも弁護士より検察官になった人の今日までの成績というものは、あまり思わしくないということで、弁護士からなった検察官に対する批判的な意見が多いというような報告がなされておりますが、その点に関する当局の見解を伺いたい。
  72. 津田実

    説明員(津田実君) 検察庁法が施行になりました昭和二十二年五月三日以降本年の九月までの間に、弁護士から検察官に採用されました者の数は百二十三名でございます。これらの検察官の成績いかんという問題でございますが、これは、人々によりましていろいろ、優秀な人もおりますしあるいはしからざる人もおるという状況でございまして、一がいにどうということは申し上げかねるのであります。ただ検察官といたしましては、法曹としての面のうちで、捜査ということにかなり重点が職務上置かれるわけでございます。捜査につきましては、いろいろ経験、技術等もございますので、さような点の習熟という点になりますと、いきなり弁護士から採用された場合、やや欠くるところがあるという問題がございます。これは、習熱の問題でございますので、やはり当該人人の素質によるというふうに申し上げるよりいたし方がないと思います。
  73. 大川光三

    大川光三君 次に、今秋行われまする裁判官の人事異動についてのお尋ねをいたします。  今秋の人事異動の対象となる裁判官が約五百名、そのうちで転任を承諾しない者あるいは再任を希望しない者、成績不良等の理由で再任されない者が約五十名だと承わっておるのでありますが、果してそういう数字になっておるかどうか。なお、この大巾な人事異動は、従来の著しい人事停滞の刷新を策するものだとして、われわれ在野法曹も大いに注目いたしておるのでありまするが、その異動方針及び先ほどお尋ねしました欠員の補充対策等について伺いたいのであります。特に私は、先般棚橋委員とともに、北海道地方の各裁判所検察庁を視察いたしたのでございまするが、北海道地方の各裁判所におきましては、欠員がもう常時のことであって、その補充に非常に悩んでおる。たまたま二年とか三年とかの期間を切って転任された判事が、後任者がないためにといって四年も五年も置かれる。そういうことでは、もしその人が将来内地に転任いたしまして、そういう実情を伝え聞くと、ますます次に北海道方面に行く人が少くなる。こういう状況でございまして、そういう北海道の欠員に対して、どういう補充方針をとられるか、あわせて伺いたいのです。
  74. 鈴木忠一

    説明員(鈴木忠一君) この十月、十一月から来年の三月末日までの間に、裁判官として任命されてから十年の任期が満了いたすものが約七百人以上あると存じます。来年三月末まででありますが、その多くは大体十一月までにくるわけでございます。それで、御質問にもありましたように、再任を希望しない者、それから、成績不良等の理由で再任されない者、それが判事の数で申しますと、大体十名ないし二十名が再任を絶対に希望しない、やめるという者、それから成績不良等の理由で、裁判所側の方で再任しない者が若干ございますから、それが大体二十名くらいだろうと思います。それからそれ以外に、希望地以外の別所では再任を希望しない、たとえば東京を希望しているけれども地方にやられるような場合には、再任を希望しないという者が大体四十名ぐらいあろうかと存じます。しかし、それも、その四十名は、結局そう言っておりながらも、希望しない所にすでに動いたような例も四、五件ございます。そういう例から推して考えますと四十名ぐらい程度、今申しましたように、希望地以外は再任を希望しないという者も、大体半分ぐらいの数と見つもっておけば大丈夫じゃないかと思います。そうすると、大体四十名、多くて五十名ぐらいの者が今度の再任によって任命をされないということに結論としてなるのではないかと存じます。かりに四十名ないし五十名の欠員が生じた場合に、それをどうするかといいますと、これは、さいぜんから問題になっておりますが、結局、裁判官のうちで最も重要視するのは判事でございます。簡易裁判所判事及び判事補の欠員は、御承知のように九名、十六名ということになっておりますから、これは現在ではほとんど欠員がないと申していいような人数でございます。しかし、第一審の地方裁判所、家庭裁判所おいて、いかなる事件でもやれるというのは判事でございますから、判事の数がどうしてもそろわなければなりません。その補充としては、さいぜんも問題になりました、在野から来ること、及び検事から来ること以外には考えられないわけでございます。在野の方とも、さいぜん総長から申し上げましたように、連絡をいたしまして、全国の弁護士に呼びかけてやっておりますけれども、ただいまのところ、大体十名くらいの希望者がありましょうか。しかしその中には、簡易裁判所判事としての希望者もありますから、判事としての希望者としては、大体六、七名程度ではないかと存じます。それから検事の方からも若干人を送ろうと言っておるのが、今二名ぐらいでございます。ですから、それ以外に補充策としては実際はないわけでございます。ただ、ここで申し上げなければならないことは、さいぜんも問題になりましたのですが、判事補の中で、五年以上の判事補には判事の職権特例に付して、判事として活動させることができるという規定がございます。この五年以上の判事補の数が、ことしの十二月現在で三百五十名ばかりございます。そのうち九年から十年、もうすぐ任官できるという者が五十七名、八年から九年の間にある者が六十六名、七年から八年の間にある者が九十二名、こういうふうになっております。でありますから、判事の欠員は、結局今最も確実なことを申し上げれば、この特例の判事補の年長者をもって充てるということ以外にはないのでありますが、これを唯一の方法として操作する以外にはないわけです。  それから、この判事補の活用としては、さいぜんも申し上げましたように、高等裁判所の左陪席あるいは右陪席の判事を第一線に出すということができるわけでございます。その数をフルにやれば、六、七十名できるかと思います。大体欠員の補充の方法としては、ただいま申し上げた通りでございます。  それから、この人事異動をするについては、御指摘になりました、北海道がどうしてもなかなか充員率が悪いものですから、北海道を優先的にして、北海道に現在おる人で、約束のある人及び衣年にわたって北海道に勤務している人を内地の裁判所に帰す。そしてその入れかわりを内地から補充する。つまり北海道との交代を今度の人事の日仮初に実現をするということで、大体この夏中に十七、八名だけで交代を終えまして、さいぜん約束があっても約束を実現されないので困るというようなことがございましたけれども、昔は多少そういう傾向があったかと思いますが、最近の最高裁判所としては、約束のある者は、これは人事でございますから、必ず二年、三年目にその人を内地に帰すというわけには参りません。若干二ヵ月おくれ、三カ月おくれ、長いのになりますと、半年おくれておる例もございますけれども、約束はかなり忠実に実現しております。それから北海道に行っていたたく人には、できるだけ優遇するというようなことも講じております。それからまた、新たに交代要員として行ってもらう人にも、三年というような期間を区切りまして、実現いたしておる次第でございます。この交流によって北海道は質的にも量的にも……量的にはあまり誇れないわけでございますけれども、質的には面目がほとんど一新したと申し上げてもいいのではないかと思っております。
  75. 大川光三

    大川光三君 時間の関係で、その他いろいろ伺いたいことがありますが省略いたします。  最後に一つだけ、暴力取締りに関することで、法務大臣に伺っておきたいと思います。  先はどのお言葉のうちで、いわゆる三悪追放のうち、汚職暴力追放ということが、所管事項として適当な処置を講ぜねばならぬということを伺ったのでありますが、まず汚職追放につきましては、あっせん収賄罪を次の国会に提案するのだということをしばしば新聞でも伺うのであります。また新聞の論調によりますと、名目はあっせん収賄罪であっても、内容的にはほとんど骨抜きになるのではないかというようなことが伝えられておりますが、一応このあっせん収賄罪に対する大臣考え方を伺いたいのであります。  なお、暴力追放については、いろいろ詳細なことを申し上げたいのですが、端的に申しまして、現在の暴力関係の刑罰法規以外に、新たに暴力を取り締るための立法化をせられる御意思があるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  76. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) あっせん収賄罪についてのお尋ねでございますが、御承知のように、あっせん収賄罪は、わが国の学界、法曹界においても多年の問題で、研究されてきておるものでございますので、私といたしましては、次の通常国会法律案を提出いたしたいという意図のもとに、今鋭意研究をいたしております。過去におけるいろいろの研究を基礎とし、さらにその上、今後の研究を加えまして、最も適当な内容を得まして、それに基いて立法をして、法律案として御協議を願いたいと、かように考えております。  それから、第二の暴力取締りのことでございますが、これにつきましても、今日の暴力事犯に対しましては、現行法をでき得る限り活用して、その取締りを徹底いたしておるわけでございますが、いろいろと研究をいたしまして、新しい事態に対応して参りまするには、今日の刑法の規定、また刑事訴訟法の規定等に多少改正を加える必要があるのではないかという考えをもちまして、これも今研究をいたしております。次の国会法律案を提出いたしたいという考えを持っております。
  77. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、議題外だと思って、あとに延ばしておいたわけでありますが、やはりあっせん収賄罪の点で最後にお尋ねしたいと思っておりましたところ、今、大川委員から御質問が出たわけですが、私が新聞などを見ておりますと、法務省では相当前から作業をお進めになっておって、それが閣議でいろいろ意見が出て、むずかしくなりそうだということが出ておるのですが、最近のいろいろ問題が起ること等を見ましても、この法案は、やはりいずれも非常に関心を持っておると思うのです。今、御答弁がありましたが、実際そういう弊害を排除するに必要な内容をもった法案を次の通常国会には出すのだ、こういう方針だというふうにお聞きしてよろしゅうございますか。
  78. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) あっせん収賄罪につきまして、閣議で何か問題がありまして、いろいろ紆余曲折があったようなお言葉でございますが、閣議であっせん収賄罪についての話が出たことはございません。  それから内容でございますが、これはまあ、非常にむずかしいもののようでございます。私どもも、御承知のように、法律の専門家でございませんから、十分理解しておらないかもしれませんけれども、今日あっせん収賄罪という罪名によってこれを取り締りたいといういろいろの社会悪がございます。しかし、これを徹底的に取り締るための広い条文を作りますと、その結果といたしまして、全くその条文では予期しておらないような人も取締りの対象に法文上はなり得る。あるいはそれをおそれて、たとえば国会議員の生活をしておる者が地方からの陳情を受ける。そういうときに、とにかく公務員たる資格を持っておる議員が他の公務員にものを話すということは危険であるというような、非常に畏怖の念を持つというようなことがありましては、これは立法趣旨にも沿いませんから、そこが非常にむずかしいもののようでございます。善意の人の活動には何らの支障も与えない。善意の人に迷惑をかけるようなことはなくて、そうしてわれわれが考えて、あっせん収賄罪としてこれを取り締りたいと思うものを網羅する、これが立法技術として非常にむずかしいようでございまして、さればこそ、今日までもう長い間刑法の改正に当りまして、学者や法曹界の権威者がいろいろ論議をしておるようでございまして、そうしてまあ一言で言いますれば、この案がよろしいという帰一したところがなかなかないようでございまして、しかし、そう言っておりましては際限がございませんから、それらの過去の研究を基礎といたしまして、私どもといたしましては、でき得る限り過当な案を得たいと、かように考えております。
  79. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に、少年犯罪者が非常に多いので、法務省としても、何か次の通常国会で出されるのではないかというような新聞報道があるのですが、それはどういうものがあるのですか。
  80. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 少年犯罪が近ごろ非常にふえまして、しかも、中には非常に悪性のものがある、まことに憂慮にたえないということは、もう御意見通りでございます。これにつきましては、いろいろと現行法規、現行制度を活用いたしまして、たとえば少年にして犯罪を犯したものの更生、復活等につきましては、一律一体にこれを扱わずに、いわゆる分数鑑別を厳重にして、ケース・バイ・ケースによって、ほんとうにその人の更生できるような取扱いをして、社会へ出すというようなことをいたしまして、現在の制度、現在の施設によってこれに対処いたしたいと考えておりますが、まだ私は、新しく次の通常国会立法するというようなことを事務当局から承わっておりませんが、あるいは何かお気づきの点があって、お尋ねがございますれば、事務当局も来ておりますから、お答えをいたします。
  81. 小酒井義男

    小酒井義男君 別に確実な私はなんじゃないのですが、新聞を通じて、そういうことで、次の通常国会立法化される問題があるのじゃないかという記事をちょっと見たものですから、それをお尋ねしたのです。
  82. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) その点がどの辺かということは、よく私にはわかりませんけれども、少年犯罪、ことに性関係の犯罪で、非常に憂うべきような事犯がございます。これらにつきましては、あるいは多少立法的な措置をしてはどうかというような意見は部内にもございまして、研究はいたしておりますが、まだそれをやるという確定的な段階までは参っておりません。
  83. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、少しこまかくこの内容について、これは警察庁の関係だと思うのですが、お尋ねをしたいと思っているのですが、時間的に非常にお急ぎになっているようですから、資料として要求をしたいのです。  まず、青少年犯罪の戦前と戦後ですね、大体大ざっぱでいいのですが、これはどういう傾向にあるのか。それから、戦後ずっと続いてどういう傾向をたどってきているか、それと最近の犯罪の種別ですね。それと年令別、できれば地域別にもどういう傾向をたどっているかという一つ資料をお出し願いたいと思うのです。
  84. 山本米治

    委員長山本米治君) ただいまのはよろしゅうございますか。
  85. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) かしこまりました。
  86. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは、質問はよろしゅうございますか。   ―――――――――――――
  87. 山本米治

    委員長山本米治君) 最後に、閉会中の未了報告書の件についてお諮りいたします。  裁判所法等の一部を改正する法律案、恩赦法の一部を改正する法律案、刑法等の、一部を改正する法律案、幼児誘拐等処罰法案検察及び裁判運営等に関する調さ、以上五件につきましては、いずれも審査及び調査を終了いたしておりませんので、未了の旨の報告書について、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 山本米治

    委員長山本米治君) では、これをもって本日の会議を終了いたします。    午後一時四十三分散会