○
矢嶋三義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本
法律案に賛成の意を表明するものでございます。
わが国の
産業経済基盤の行く末と伸張とが
産業教育の
振興に待つところが大きいということは今さら申し上げるまでもないと思います。去る
昭和二十六年六月に公布施行されました
産業教育振興法の第三条の三に基くところの
産業教育に従事する
教員の処遇の問題が本日まで解決していなかったということは、これ全く行政府の怠慢であって、その点非常に遺憾に存ずる次第でございます。
この時に当りまして、衆議院の同僚諸君が
努力をされて本
法案を
提案されて参ったということにつきましては、敬意と謝意を表するものでございます。ただ、
提案者は、一歩々々と、よりよく解決するためにワン・ステップとしてこの
法律案を
提案されたと申されるわけでございますが、しかし、
法律案の審議の過程において
指摘されましたように、あまたの不公平、欠陥を持っていることはまことに遺憾に存じます。それらの点につきましては、第二院のわれわれ参議院といたしましては、ぜひとも修正いたしたいと
考えておりましたし、また、第二院としては当然その
責務を果すべきだと
考える次第でございますが、国会会期末が迫りまして修正して第一院に送るところの時間的余裕がない、かような状態におきまして第一院から本
法律案が送付されて参ったことにつきましては、われわれとして修正権の発動ができない点、これまた非常に遺憾に存ずる次第でございます。今後、第一院におかれまして議案を本院に送付される場合におきましては、われわれの審議権が十分発動されるように配慮していただきたいことをこの際お願いを申し上げる次第でございます。
先ほど申し上げましたように、修正してこの
法律案は成立させるのが当然でございますけれ
ども、時間的余裕がなし、さればといって、これは継続審議あるいは廃案にする決意もつきかねるし、この際は、希望あるいは付帯決議等をつけて本院において可決成立さすべきであるという判断のもとに賛成をいたす次第でございます。
今後、この法施行後におきましては、あくまでも、この
産業教育手当なるものが、
産業教育振興法第二条に
規定する
産業教育の
定義、並びに第三条の三に
規定するところの
教員の
資格、この条項に合致するようにできるだけ早い機会に内閣提出の
法律案の形で是正さるべきことを強く私は要望いたす次第でございます。
その
内容といたしましては、
中学校、
高等学校、同じように
対象とすることも
一つでございますし、さらに、先ほどから各
委員から
指摘されましたように、
農水関係の
学校だけに限定して、
工業あるいは
商業、商船等を除外しているという点は特に強調しておかなければならないと思います。さらに、
産業教育の進展のために手足となって日夜
努力されているところの
助手諸君に対してこの法が適用されないということは、ほんとうに気の毒、不合理に私は感ずる次第でございます。この
法律案施行後においてこの
法律を見た場合に、私はたとえば
工業教育に従事している教
職員の方々は、何と
立法府というものは
工業教育に理解を欠いているであろうかと嘆かれるでありましょうし、さらに突き進んで私は侮辱感さえ受けるのではないか、かように感ずる次第でございます。この
法律を成立させましたわれわれは、
責任もあるわけであって、われわれみずからの手によって、あるいは行政府をしてこれらの問題の解決を一日も早くさせるようにするところの義務が、この
法律を成立させるとともに、われわれに負荷されるものと私は確信する次第でございます。特にこの法施行後におきまして、この法の運用に当るところの行政府、わけても
文部省並びに
自治庁に強く要請いたしたい点は、この法の精神に沿って各地方団体において完全にこの法が施行されるように適用されるように適正妥当なる助言と
指導をされるよう、これは強く要望いたしておきます。
最後に、今後
灘尾文政を推進して行くに当りまして、先ほど来
質疑がございましたように、
産業教育の
振興、わけても
設備の更新による近代化、あるいは
中学校段階におけるところの
産業教育の向上充実のために格段の
努力をされるようお願いをいたしまして賛成の討論とする次第でございます。
なお、先ほど全員協議会においてまとまりました各派共同
提案によりますところの付帯決議案を、私かわりまして朗読いたしますので、本
委員会においてあらためて正式決議とされるよう要望いたす次第でございます。決議案を朗読いたします。
付帯決議
政府は、
産業教育振興法第三条の三の
趣旨に則り、
産業教育に従事する
教員並びに
実習助手に対しては、その
教科の如何を問わず、同一の取扱がなされるよう
措置すべきである。
右決議する。
以上であります。