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1957-05-18 第26回国会 参議院 文教委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十八日(土曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  委員異動 五月十八日委員近藤鶴代君辞任につ き、その補欠として下條康麿君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            林田 正治君            矢嶋 三義君            常岡 一郎君    委員            川口爲之助君            木村篤太郎君            左藤 義詮君            下條 康麿君            関根 久藏君            谷口弥三郎君            林屋亀次郎君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君            加賀山之雄君   衆議院議員            赤城 宗徳君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君    政府委員自治庁    政務次官    加藤 精三君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業又は水産に係る産業教育に従事  する国立及び公立高等学校教員  に対する産業教育手当支給に関す  る法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、近藤鶴代君が辞任され、補欠として下條康麿君が選任されました。   —————————————
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) まず、農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律案議題といたします。  発議者から提案理由説明を聴取いたします。
  4. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ただいま議題となりました農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律案につき、その立案趣旨を御説明申し上げますとともに、内容概略について御説明申し上げます。  産業教育振興につきましては、さき産業教育振興法の制定以来見るべきものがありますことはすでに御承知通りでありまして、同法に基く国庫補助金により特に産業教育関係高等学校施設設備が充実されつつあることは、御同慶の至りであります。しかしながら、教育振興は、施設設備など物的な面の充実のみでは達成できないのでありまして、教員指導者)に優秀な人材を得ることがぜひとも必要なのであります。しかも、産業教育におきましては、その勤務特殊性から見まして、その資格定員待遇等につき特別の措置を講ずる必要があるのであります。産業教育振興法におきましては、特にこのような観点から第三条の三において「産業教育に従事する教員資格定員及び待遇については、産業教育特殊性に基き、特別の措置が講ぜられなければならない。」と規定しているのであります。ところが、教育職員免許法資格についての若干の配慮がなされたのみで、待遇については、今日まで何らの措置もとられなかったのであります。そこで本案は、この規定に基き、農業及び水産関係教員待遇について特別の措置を講じようとするものであります。  従来、農業水産に関する教育は、第一次産業に直結するきわめて重要なものであるにもかかわらず、仕事がじみであるため、とかく敬遠されがちであり、さらにその勤務内容は、自然的条件に支配されやすく、かつ、生物相手とするものでありまして、時間を超越し、寸時もゆるがせにできない性質のものであります。たとえば、高等学校農業科教員は、農場、畜舎等において作物、家畜など、生命を持つものの栽培飼育等を担当し、その管理責任から寸時も解放されることはないのであり、さらに、生徒教育に際しましても、これらの栽培飼育実習等、他の一般教科よりも極度に困難な実習を伴うものなのであります。また、水産科教員は、生徒教育のほか、実習船、和船、カッターを初め海中に設置した漁具、水中に養殖中の生物製造工場管理等、特に困難かつ複雑さを伴う業務に当らなければならない責務を有するものであります。従って、これらの責務から生ずる早朝、夜間の作業天候異変疾病等に応ずる細心周到を要する適時適切措置など、その勤務は全く特殊なものでありまして、これらの勤務に服する者に対しては、当然特別措置を講ずる必要があると考えられるのであります。  そこで本案は、これらの教員に対しまして、産業教育手当支給することといたしました次第でございます。  次に本案概略を御説明申し上げます。  まず、産業教育手当支給する者の範囲は、産業教育に従事する者のうち、高等学校において農業教育水産教育に従事する者に限定しております。すなわち、農業または水産に関する課程を置く国立及び公立高等学校農業農業実習水産または水産実習教諭または助教諭免許状を有する者または法令により免許状を有しないでも当該教科を担任し得る者が農業または水産に関する課程において、実習を伴う農業または水産に関する科目を主として担任する教諭助教諭及び常勤講師産業教育手当支給されるわけであります。  ここで支給対象農業水産関係に限定しましたのは、さきに述べましたように、他の産業教育勤務と比較いたしまして署しく特殊なものでありますため、まずその必要性を痛感いたしますのでこれを取り上げた次第であります。また、農業水産関係のうちでも特に高等学校教員にのみ産業教育手当支給することといたしましたのは、高等学校産業教育が特に実務者養成の中核として、実習に多くの時間をさいていることにかんがみましてこれを取り上げたわけであります。なお、本案立案に際しましては、実習助手対象とすべきかいなかについて考慮いたしたのでありますが、実習助手は、責任度合いも低く、資格も明確でありませんので、この際は、一応支給対象からはずした次第であります。  次に産業教育手当支給の額並びに方法でありますが、国立学校教員につきましては、俸給月額の百分の十の範囲内で、文部大臣人事院の意見を聞いて定めることになっておりますが、この場合俸給月額一定率を乗じた金額を月額支給することを予想いたしております。  公立学校教員につきましては、地方公共団体の条例で定めるところにより、産業教育手当支給されるのでありますが、国立高等学校教員産業教育手当を基準として定めることといたしております。  なお、この法律は、昭和三十二年四月一日にさかのぼって適用することとし、本年の四月分から産業教育手当支給できるようにいたしております。  以上、はなはだ簡単でございますが、提案理由説明を申し上げます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記停止。    〔速記中止
  6. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 提案者の御努力を多とするわけですが、この法案には問題点が率直に言ってたくさんあると思うのですね。それで若干その基本的なところから明確にしなきゃならぬと思うのですが、それは私はこの法律提案された根拠となる産業教育振興法を本院において審議した一人として当時この第三条の三というものはずいぶん議論されたところです。で、産業教育振興法の第二条に、産業教育定義が明確であり、そしてその定義を受けて第三条の三が書かれてあるわけですね。この建前からいうと、どうもこの法律は筋の通らないところがあるという感がしてならないのですが、そういう点はどういうふうにこの立法作業段階で御検討なさったのか承わりたいと思います。
  8. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 矢嶋さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、われわれ遺憾に思っておりましたのは、産業教育振興法ができ、また第三条の三の規定が二十七年から御努力によりまして追加されたのでありますが、特別の措置を講じなければならないということだけで、じんぜんとして今まで特別の措置が講ぜられておらなかったのであります。そこで私どもといたしましてもこの点につきまして率直に申し上げますと、人事院規則によってこの措置を講ずべきではないかということを人事院と相当交渉したのでありますが、人事院といたしましては、国立高等学校農業あるいは水産関係実習に携わっておるという人が非常に少い、九人しかないというような格好なものですから、そのために人事院規則を新たに追加するというようなことが非常に困難だというようなことがありました。しかし、われわれは公立高等学校対象としておるので、そういうことであるならば、法律をもってきめていきたい、こういうことが第一点です。  第二は、御指摘だと思いますが、農業及び水産だけを取り上げたのはどうなのだ、第二条にあるように、「工業商業水産業その他の産業」というような定義があるのだから、工業の方に対してなぜ取り上げなかったかというような御議論もごもっともだと思うのであります。しかし先ほど申し上げましたように、措置を捨てておかれておりましたので、まず第一に農業及び水産の問題を第一段階として取上げていこうじゃないかということでこれを取り上げたわけであります。従って工業方面についてこれを全然考えに置かないというわけではありませんが、農業及び水産の方については、今提案理由説明しましたように、はっきりした調査というものが出てきたのであります。工業については時間的に十分なる調査を遂げることが困難でありましたので、まずもって一つ一つ片づけていこうじゃないかというような考え方から、農業及び水産を取り上げたというわけであります。  なお、私の方で足りませんことは、御質疑によりましてお答えしたいと思います。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 立法府立法をやる場合は普遍性があり、公平、公正、妥当でなければならぬことは申すまでもないと思うのですね。それも一つ一つ漸進的に解決していくという常識的な言葉はあり得るまたわかるのですが、少くとも立法をやる場合は、専門的な立場から見た場合に、やはり立法技術の面からも筋の通ったものでなくちゃならぬと、そういう立場から考えますと、まれに見る私はおかしなものじゃないかと思うのです。お骨折りに対しては非常に敬意を表し、感謝するわけですが、この法の根拠になる産業教育振興法の二条には、産業教育中学校高等学校ということもはっきり明記してありますしね。それからあなたがおっしゃったように、農業工業商業水産業という活字もはっきりと活字として並べられており、そして三条の三に、産業教育に従事する教員資格給与と、かように条章が立てられているわけで、当時私はこの法律案を審議した一人ですが、この第三条の三を具体的に立法化する場合に、こういう形で出てくるというようなことは、当時この文教委員会で審議した委員諸君与野党ともにだれ一人こういう形でくるとは予想しなかったと思うのです。それでそういう事情であるにかかわらず、ここに農、水産だけをピック・アップし、それから中、高等学校の中の高等学校だけピック・アップして、第一段階として立法されたということが、十分納得されるような資料なり説明が私は必要だと思うのです。それらの点について、以下若干お伺いいたしたいと思うのですが、その実質的な質疑に入る前に、この第三条の三の「産業教育に従事する教員」というのは、赤城さんの方ではどういうふうに規定されておられますか。
  10. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 教員一般定義による教員でありまして、そこでこの教員の中に助手までも、実習助手を含むかどうかという問題でありますが、法文上からはこれは含まないように考えておりますが、今度の提案の中には、含ませれば含ませ得る。これは単独立法でありますからそれは考えておりません。産業教育振興法の中には、実習助手としては含まないのじゃないかというふうに考えております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 学校教育法の五十条の二項には、「高等学校には、前項の外、養護教諭助教諭技術職員その他必要な職員を置くことができる。」とありますが、助手はこの技術職員の中に入るんでしょうか、入らぬのでしょうか。どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  12. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 実習助手は、今の定義の中には入らないという解釈であります。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると、あなたの方では何ですね、そういう術語の定義というものは、それぞれの法律によってやるわけですから、この法律では教員は「教諭助教諭又は常時勤務に服することを要する講師」と、かように規定しているわけですけれども助手を入れてもいいというお考えですね、先ほどの答弁は。
  14. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) この点について単独立法でありますから入れ得ると思います——入れ得ると思いますが、これは御質疑のらち外まで申し上げるかと思いますが、実はこれを立案するときに実習助手も入れるべきかどうかということを非常に研究したのであります。そこでこの産業教育手当というのは俗に、言葉をかえて言えば実習手当のようなものでありますので、実習助手実習をするための手当をもらっておるのに、また実習のための手当をもう一つ加えるということはちょっとおかしいじゃないかという気がいたしたのであります。そこで実習助手給与が低いとか、待遇も非常に悪いということはわれわれも承知しておりまするので、これは人事院規則級別資格表ですか、そういうものの中で実習助手待遇をこれは向上するということが、まあ筋としては筋ではないか。しかしその方ができないということであるならば、この法案の中に実習助手も含めてもいいというふうに考えたのであります。しかしながら、今提案いたしましたところにおきましては、先ほども説明申し上げましたように、実習助手は一応含んでおらないと、こういう事情であります。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その説明は通らぬと思うのですね。この手当は大体実習手当だ。助手実習を目的として実習手当をもらっている。また実習手当はおかしいと言えば、この手当は何でしょう、農業または水産における科目を担当している人で、主として実習を伴う人に手当を出すわけですね。そういう面からも免許状が出て学校に赴任する場合に、実習を伴うということを承知の上で免許状が出て赴任しているわけですからね。実習助手実習をやるのだから、だから今度のような実習手当を出されぬということは私は区別がつかぬと思うのですがね。ところが、非常にその筋が通らぬ、それと、この提案理由の中に「責任度合いも低く、資格も明確でありませんので、」云々と書かれてあるのですが、資格が明確でなければ教員とか職員の身分を準用するようになっているのですが、まず資格を明確にして、そうして助手給与を適正化するとともに、彼らに希望を持たせるとともに、さらに質的向上をはかるということは産業教育に欠くべからざることだと思うのです。この立法趣旨、この提案理由を拝見しますと、まっ先にこの実習助手というものが出てこなくちゃおかしいと思うのですがね。これを落されたというのはどうしても理解できない。で、今それで伺ったけれども、納得させるだけの答弁にならぬと思うのです。  それから、逐次伺いますが、中学校高等学校を分離されたのはどういうことです。どういうわけでございますか。
  16. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 第一の、御納得できないということで、御趣旨は私も十分わかるような気がいたしますが、もう一度申し上げますと、決して実習助手を粗末にするわけじゃありませんが、普通の教員ですと教員をした上に実習を伴う。御承知通り、私から申し上げるのは恐縮ですが、学校教員には超過勤務手当も何もないわけであります。それは給与の中に含んでおるというようなことであるのでしょうけれども、ないわけであります。普通の授業をした上に朝にあるいは夜に、夕方に生徒指導し、あるいは農村あるいは海の方に出て実習をする、そういうことに対して産業教育手当を出そうということでありまするし、それから実習助手資格の点でありますが、これはなお深く調査をしたいと思うのですが、大体雇用というような形でおります。しかし雇用であるからこれを粗末にしていいということはありませんから、先ほど申し上げましたように、実習助手としての給与待遇等が非常に低いということは、私どもも十二分に認めておるのでありますから、これに対しては人事院規則や何かにおきまして格づけ等において相当これは考慮すべきものはないかというふうに考えたのであります。しかし、御説の通り、これを含めないというようなことについて、私ども提案するときにも研究したのでありまするが、相当考慮しておるわけであります。でありまするから、この法案の中に入れても差しつかえないと考えております。しいて注意すべきものだとも考えてはおりません。  それから第二点の、特に大学とか小中学校を除いて、高等学校だけを取り上げたのはどうか、という御質問でありましたが、これは提案理由にも申し上げましたように、高等学校実習教育といいますか、これは実務者を養成するという相当他とは違った仕事をしておるといいますか、そういうような観点から高等学校を取り上げた、こういう事情であります。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 幅広く産業教育振興産業教育に従事する教員の優遇という立場から考えれば、当然中学校高等学校というものを、第二条の定義から同一扱いをしなくちゃならぬと思いますが、とりあえずあなたの方ではそのまま一部を取り上げたと、こう言われるわけですが、それはその説明で承わっておきますが、とすれば、先ほど農水先生方支給される手当教員をした上に、実習をされるからという説明でしたね。そうすると、工業学校教諭をした上に実習をされるわけですね。確かに、私は農学校水産なんかの実情も知っておりますが、生きものを扱って、風の吹く日も雨の降る日も、照るにつけ、曇るにつけ、寒いにつけ、暑いにつけ、夏休み中も冬休み中もめんどうを見なくちゃならぬほんとうにお骨折りだと思っておるのですが、そういう天然現象工業の場合には比較的少いにしても、また他面工業には相当危険が伴いますし、薬品を使う、電気を使う、それから刃物類を扱うし、生徒指導に当っては常に弓の弦が張ったような緊張感をもって接しなければ、場合によっては生命にもかかわるほど危険の伴う実習もあるわけですね。そういうことを考えますと、私はこの工業実習を落したというようなところは、どういう意味で落されたか、よほど納得のできるような説明がなければ、審議するわれわれとしても、工業学校の現場の先生から追及されたときに答弁に窮すると思うのですね。また、工業教育に携わっておる先生方としては私は非常に私どもの推測しがたいほどの心境になっておられるのじゃないかと、かようにさえ私は推察いたしますので、その点勤労条件その他についておそらくデータを持たれているのかとも思いますが、持たれているならば提示していただきたいので、この際説明を承わっておきたい。
  18. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御説の通りだと思います。それで工業もどうしようかという実はさかのぼって提案をする前に十分研究をしようとしたのでありますが、これは人事院及び文部省とも法案を出そうか出すまいかということになりましても、二、三研究や打ち合せをしたのであります。ところで、一面は予算の面でありますが、その前に予算の点で、地方財政計画の中に、財政需要額として、実は予算の面で、農業及び水産の方を私どもといたしましてだいぶ推進しておったものですから、大体それを見込んで予算が計上されておるということが一つであります。それからもう一つは、工業について非常な危険も伴うし、農業以上の見方によっては場合もありますけれども農業の点には、今矢嶋さんがお話のようにわかっておる、工業の面においては、まあある程度時間的に実習を打ち切るというようなこともできるのじゃないか、しかしだんだん調査の結果は打ち切れない場合もありますし、危険な場合もあるということは、われわれは承知してきたのであります。いずれにいたしましても、今御指摘のように、工業について除いた正確なデータとか何かがあるかどうかということでありますが、実はそのはっきりしたデータを持ちませんので、まあ段階的にといいますか、第二次的にこれを研究して入れようじゃないか。第一段階としては、農業及び水産を取り上げて、多年捨てておかれた産業教育関係教員待遇一つずつ片づけていこうじゃないか、こういうようなことから農業及び水産を取り上げたのでありまして、御質疑のように工業を捨てたと、捨てるためのデータがあるというのじゃなくて、工業も入れたい、入れたいが、そのデータをまだ十分に承知していなかったということと、予算関係ということで、段階的に取り上げていこう、その段階として農業及び水産業を取り上げる、こういう事情でございます。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この産業教育振興法の第三条の三並びにこの工業商業を分離したところについては、所管局長としてはどういう見解を持っておられるのですか。
  20. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私ども産業教育振興法の第三条の趣旨に基きまして、農、工、商、水産等につきまし一応全部特別な措置が講ぜられることが望ましいという見解でございますが、事実上私ども関係方面とも、特に大蔵省給与課及び人事院あるいは自治庁とも打ち合せした範囲では、なかなか農水と、工業については多小違うのじゃなかろうかと、ただいま赤城議員からお話のように、農水の場合には自然的な条件と、生きものを扱っておると、こういう点が非常に特色があるし、超過勤務的な要素が非常に多い、工業の場合になりますと、ある程度人為的に操作ができる面もありますので、この工業については、また非常に種類が多いし、十分な検討がされなかった。で、農水産については、大体まあ各方面とも異論がなかったようでございますので、いろいろと私どもとしては、異論のないところから逐次やっていきたいという赤城議員お話と同じような見解で、できるところからやって、工業その他の産業教育手当について努力をしていきたい、こういう気持であります。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 所管局長提案者趣旨を尊重して発言される、その心がけはわかりますが、所管局長答弁としてはおかしいと思うのです。工業も商船も農業水産もみなあなたの所管です。それを人為的に云々とか、自然現象相手云々なんかといっても、われわれは納得できない。特に工業学校先生方を納得させるだけの説明は出てこないですよ。第一、データがないじゃありませんか。さらにまた、この人事行政の面からいっても、最近のわが国の経済規模の拡大とともに、工業学校方面では優秀なる技術者を手に入れることは困難な状況になっている。優秀な技術者はみな引っこ抜かれていく状況なんです。そういうこの人事行政面とあわせ考えるとき、行政府としては、当然これは同じ扱いにしてもらわなくちゃ困るという私は考えが出てこなければならぬ。そういう面があって僕はしかるべきだと思うのです。これは提出者には失礼かもしらぬが、この法は一つ一つ漸進的に解決していくと、こういう言葉はわかりますけれども、僕は立法府の権威に関するほどの問題じゃないかと思うのですがね。私が工業学校教員だったら、決して立法府でこういう立法をやったからといって敬意は表さないですよ。なんだ、立法府とはそんなものか、すべてまかしておけば公正妥当にやってくれると思っておったが、こんなへんぱな見方をするものかと、さびしい気持になるとともに、私はむしろ反抗心が起ってくる。こういう点にお骨折りをいただいておることは、繰り返し敬意と感謝を表するが、僕は立法府の権威にかかわると思う。ましてや、行政府の責任局長が先ほどのような答弁では私も不満ですし、工業教育の第一線に働いている人は、さぞかし私は心外に思われるだろうと思うのです。
  22. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) ただいま私の言葉が不十分だったので、誤解を招いたようでございますが、工業についても非常に私どもは重視しておるわけでございますし、決して農水産と区別しておるわけではございません。ただ、私ども考え方は、先ほど矢嶋委員お話のように、人事行政その他の面において、工業必要性は十分感じておるわけでございます。ただ農水産の場合と工業では、優遇の質が違うという、あるいは観点が違うと申しますか、多少ニュアンスが違うのではなかろうか。こういう点でいろいろ問題があったわけなんです。工業教育について十分しなければならぬことは、私どもあなたと同じように必要性を痛感しておるのであります。
  23. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ちょっと私の方からなお申し上げますが、矢嶋委員のおっしゃることは、私もごもっともだと思うのです。立法府の権威に関するかどうかという問題で、その点も考えないわけではないのであります。ただ、この法案提案するまでのいきさつから申し上げますと、産業教育法第三条の三が規定されて、それから数年たっております。措置を講ずるべきであるということであるにかかわらず、実際に政府においてこれを講じない。私ども文部関係におったこともありましたが、そのときなどでも、これを早く文部省で出したらいいじゃないかということも、ずいぶん言われた。いつまでたっても政府としても措置を講じない、こういう事情であるならば、私ども立法政府の一員といたしまして、法律を作って、それが生きていない、死文のような格好でいるということは、これはわれわれ立法府の者としては責任を感ぜざるを得ない。そこで、これを人事院にやらせようといたしましたが、人事院の方でも手をつけようとはなかなかしなかったのです。いろいろ、そのいきさつを申し述べると長くなりますが、手をつけようとはしない。文部当局もおりますが、文部当局に対して、もう数年たっておるのだから、この問題はもう措置を講じて解決すべき問題じゃないかということでしたが、文部省の方としても、まだ研究も足らない面もあるからというようなことで渋っておったようなわけでございます。一方、予算を計上されておった。それでは、これは次官通牒ででも出したらいいじゃないかという話になったのですが、こういう給与の問題を次官通牒等でやっても、地方でこれを取り上げればいいけれども、取り上げなかったり、あるいはまた不均衡を生ずるというようなことでも、これはせっかくの予算、国の費用を十二分に生かして使うというわけにはいかないような場合もあるかもしれない。それでは、とにかく農業及び水産関係だけでも一つ取り上げて、そうして工業方面も、調査がそう長くかかるわけでもありませんから、この調査ができ次第これを解決していこうじゃないか。実は衆議院の方でもそういう議論がありまして、この法案につきましても、付帯決議によって、三十三年度からはこの解決をはかるように、こういう付帯決議にもなっておるような事情でございまして、矢嶋委員の御趣旨については、十分に了承でき得ることであります。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 赤城議員と私の意見は同じようなようですから、私は念のために伺いますが、本院で、助手並びに工業学校、商船学校等の関係者について修正をして、あなたの衆議院の方に回付したならば、衆議院でそれに同意、成立する御用意がございますか、念のために。
  25. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 衆議院の方でもそういう議論がありまして、各党に戻りましていろいろ研究いたしたのであります。私の方では率直に言いますと、修正はしたくない、三十三年度から必ずやろうというようなことで、党議といいますか、私の方の党でいえば総務会の方で、この付帯決議をする前に、付帯決議を確認いたしまして、そうして次年度においてこれをやろう、こういうことになりました。それから社会党の方でも、衆議院の委員会におきましては修正の意見も出たのでありますが、理事会やその他でいろいろ協議した結果、修正ということでなくて、せっかくこの法律ができてきて、しかも会期もほんとうに切迫しておるのであるから、付帯決議ということで同調しようじゃないか、こういうようないきさつを持っております。でありますから、せっかくのお話でありますが、今、御修正をいただいたということになって衆議院へ持ち帰るということになりますというと、この法案はちょっと日の目を見ないのじゃないかという予想を持っております。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内藤局長に伺いますが、かりにこの法律案が原案のまま参院で可決成立した暁においては、行政府としては、当然産業教育振興法の第二条並びに第三条の三に即応するような立場から、立法府においてこういう意思が決定すればそれに即応するような法律案を次回の国会には行政府としては用意すべきものだと、かような態度を行政府はとるべきものだ、かように私は考えますが、その決意と御用意ございますか、その辺のところを承わりたいと思います。
  27. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) もちろん両院の意思でございますので、私どもはその決議の線に沿って努力をいたすつもりでございます。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は念のために申し上げておきますが、産業教育振興法の二条と三条の三項の立法精神というものは貫かなければならないと思うのです。それは学校別で言うならば中学校高等学校がありますね。それから高等学校の種類にすれば、この二条に書かれておる通りです。ただ、先ほどから提案者説明されますように、そのワン・ステップとして、みずからも認めておるように若干不備の点があるけれども、ワン・ステップとしてこういう決議をされたというわけで、その根底は産業教育振興産業教育に従事する教員の適切な待遇というところから出ておるわけですから、それをその立法府の意思を尊重し、体してやるところの行政府としては先ほど私が申し上げましたように、二条と三条の三項の筋を通した私は立法作業をされて、次の機会には立法府に御審議を仰ぐ態度に出てくべきだ、そういうふうに努力することが私は責任だと思うのです。あなた方のそういう努力をされるされないとは別個に、議員は立法権を持っておるのですから、議員は議員でまたそれぞれ対処はいたしますが、行政府としてはこういう若干不公正で筋の通らないような立法のままで放置されるというようなことはとらるべき態度じゃないと思いますので、この点は強くあなたに要請をしておきます。  そのほか、予算その他について伺いたい点がございますが、私はここで質疑を打ち切って、他の委員質疑のあと、また質疑させていただきたいと思います。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは産業教育法に基くものですが、特に全体としての総合的な計画の上に今度の法律が出されたようにも受け取られるし、どうも政府の方は熱意がないからここからやっていこうというようにもとれますが、今度の立法はあれですか、文部省としては総合計画の上に立った一段階というふうにはっきりと見て、これをお認めになったような形なんですか、いかがですか。
  30. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 政府の意見としてはまた別にございますが、私どもこの法案を拝見いたしまして、高田委員お話のように、総合的に考えた第一歩だと、こういうふうに見るのでございます。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 政府の意見はまた別にあるというのはどういうふうに別にあるのですか、この際明らかにしていただけば矢嶋委員の数々の疑問にも答えるようになるんじゃないかと思いますが、別の意見というのはどういう意見ですか。
  32. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これはまあ閣議できめた意見でございますので、これを申し上げさせていただきたいのですが、産業振興に従事する教員待遇について特別の措置を講ずることについては、産業教育振興法第三条の三の規定もあり、趣旨には賛成であるが、本案には種々検討すべき問題が残されておるので今にわかに賛成いたしかねます。これが政府の公式見解になっておるのであります。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 種々残された問題というのはどういう問題ですか。もし具体的に言っていただければ大へん参考になりますから。問題点というのはどういう点を……。
  34. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) まあ財源の問題はともかくとしまして、先ほどから御議論が出ておりましたように、高等学校の問題、あるいは大学の問題、その他高等学校の中でも工業の場合をどうするとか、あるいは商業その他をどうするか、大学助手をどうするか、今お話実習助手の問題、そういういろいろな問題が十分検討を尽されておりませんので、さらに私どもは検討を要すべき問題と考えておりまして、こういう公式見解を出したのであります。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねてお尋ねいたしますが、産業教育の中央審議会でも総会的な計画を立てることになっておるわけですが、ただいまの政府側の意見ももっともな意見であると思うし、同時に審議会等においても、教員待遇などについてはかねがね私は論議されてきておるようにも承わっておりますが、もし審議会の意見がこの法案とどういう関係をもった結論が出ておるか、おわかりになっておればこの際承わっておきたいと思います。
  36. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 審議会の方でもいろいろ御心配して、もちろんこの優遇だけの問題じゃございませんが、定員の問題、あるいは教育内容の問題、施設設備の問題、あるいは教員養成の問題、こういうものが取り上げられておるわけでありまして、この優遇の問題について具体的にどうしろというような御意見はないわけでございますが、ともかくまあいろいろ検討するように、ということでございますので、私どもも検討して参ったのですが、超過勤務の性格もありますし、あるいは非常にいやな作業とか危険な作業、こういうような特殊勤務手当のような性格もありますし、あるいは調整号俸というような点もありますし、技術的にはいろいろと私どもも検討しなければならぬと思っておりますが、まあ具体的に技術的な問題も相当ございますので、こまかくは審議会では意見が出ていないのでございます。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねて別個の問題についてお尋ねをしていきたいのですが、この法案に要する予算の概要、またその内容等について立案者の方から詳しく御説明いただきたい。
  38. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 私ども調査によりまするというと、農業関係で全日制の教員数は五千八百六十七人であります。定時制が一千六百十五人、この計が七千四百八十二人であります。水産の方で全日制が三百九十四人、定時制が三十五人、この小計が四百二十九人で、全部といたしまして七千九百十一人が対象になっておるわけであります。それにつきまして月額の、法案のように百分の十を産業教育手当として支給するといたしまするならば、二億一千九百十六万余かかるわけであります。それから百分の六の場合はどうかという計算もいたしましたが、それについては、その数字は一億三千百四十九万、こういう数字になっておるのであります。  そこで予算措置でありますが、この辺を法案提出前に予算の折衝などをいたしましたので、予算といたしましては、自治庁地方財政計画の中に地方の財政需要額として一億六千五百万ほど組まれておるように承知しております。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、大体予算の面から考えると、百分の六程度のところに落ちつくということになるわけですか。
  40. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) この法案によりますと二億一千九百万、それから百分の六というと一億三千百万、そのちょうど中間ぐらいの一億六千五百万、こういうのが予算に載っておるわけであります。でありますから十分の一ということじゃありませんで、この法案支給できる程度の額が見積られております。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん技術的なことを伺いますが、この法文によりますと、百分の十以内というふうには法文には表わされて、また提出者の側としては本俸額に定率をかけたものというふうな表現にしてあります。従って今度地方交付税の中に入っているのは一億六千万だとすれば、大体百分の六ないし七というような数字が出てくるように思いますが、という質問をしたのです。そうなのですね。
  42. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) わかりました、お説の通りであります。百分の十以内でありますから、正確な計算を持っておりませんが、八か七かその程度になると思います。
  43. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  44. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  45. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと私お伺いしたいのですが、先ほどから赤城さんのお話だと、予算が計上されていたとか、あるいは地方財政計画の中に一億六千五百万とかあるというお話があるのですが、これは私どもちょっとその話がわからぬのですが、法案が通ってもおらないのに地方財政計画の中にこれが盛られておるというのは、どういうわけなんでございますか。
  46. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 実は内輪の折衝でありますが、こういうものを今年解決しようということで、まあ率直に言って、与党でもありますのでそれを出させようということで自治庁文部省、大蔵省、その他と予算を作るときに折衝を続けてきたわけであります。そういう関係で、これは法律になるか、あるいは次官通達になるか、人事院規則できめるか、まあいずれかは知らぬが、こういうことを実現させたいというふうに私どもで強く要望したものですから、法律提案前に地方財政計画の中に、これに相当する程度の予算といいますか見積りがなされておった、こういう事情であります。
  47. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 松永君簡略にお願いします。
  48. 松永忠二

    ○松永忠二君 一つ文部当局の方に御答弁をいただきたいのですが、いろいろわれわれは、この御趣旨は非常によくわかるわけでありますが、各方面において教育予算が非常に逼迫をしている、しかも定数の基準等においてもなかなか通らない、予算単価を引き上げなければできないというようなときに、法律も通らないうちに、一体財政計画の中にそれが盛られているということについては一体どういう御見解をお持ちなんですか。
  49. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私どもとしては、地方財政計画に十分な財源措置をするのが当然だと思います。実は本年度の地方財政計画におきましても、教育費につきまして約二百億の増額をはかったわけであります。このうち義務教育の分と、それから高等学校の分に分けまして、従来高等学校の積算基準が非常に低いのでこれを大幅に改訂いたしまして約八十億ほどの財源措置を講じたわけであります。この中に約一億六千五百万という農水産手当が一応含まれておる、これは産業教育振興法の第三条に基く規定でございますので、私どもの見通しとしては、これは人事院国立学校について指定して、それが地方公務員に及ぶという関係だと私どもは理解しておりましたところ、なかなか人事院の指定が出ないので、特に国立学校の該当者が非常に少いという点と、国立学校については付則でもございますので、対象としてなかなか困難だというような気持もございまして、実は人事院の指定がされなかったという関係でございます。
  50. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは少し御説明がよく私わからないのでありますが、そうすると、先ほど矢嶋委員からお話があったように、文部省ではすでにこういう構想のもとに大蔵省、自治庁あたりと折衝しておったのですか。
  51. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) もちろん、この産業教育振興法第三条の三の解決を政府はしなければならない義務を課せられております。私どももこの解決のために努力をして参ったわけであります。しかし、まあ先ほど赤城議員からお話のように、農水産だけなら何とか一歩前進であるということで、ある程度の了解ができかけておった、こういうことでございます。
  52. 松永忠二

    ○松永忠二君 それなら何も議員立法でこういうふうに出さないで、そういう御折衝をなさったならば、そういう財政計画に組まれている範囲内であなた方文部省が最も妥当と考えられるところの案を御提案になるべきではないか、議員立法をすでに会期末の最終段階になってこういう形に表わさなくても、そういう責任を持っておいでになるのが文部省のお役目でしょう。
  53. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) このことにつきましては、いろいろと検討すべき問題がありますので、先ほど赤城議員お話のような次官通達、自治庁との共同通達のことも考えましたし、あるいは人事院の指定等も、人事院で指定をいたしますと、これが公立学校に及びますので、そういうことも検討を十分いたしましたが、遺憾ながら十分な目的を達することができませんので、党の方でこの問題は前から御関心がありまして、議員提案でこういう法案をお出しになったわけであります。
  54. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は今の局長の御答弁では納得いたしません。いずれまた文部大臣が出て来られると思いますので、その問題について文部大臣見解を私はお尋ねいたしたいと思います。
  55. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 松永さんの御質疑でございますが、いきさつをくどくど申し上げるのも恐縮ですが、私は人事院の指定でやるべきだ、こういうことで人事院にずいぶん折衝をしたのですが、先ほど内藤局長も言われておりましたように、国立は九人なんです。実際の対象として私ども公立が多いから——七千九百人もいるのでありますから、公立を扱うのに、人事院は九人だ、しかも付則でというようなことでうんと言わない、私どもはそれで解決しようと思っておりましたが、そういうことでだんだん……、それじゃ文部省から出すべきではないか、政府提案でやるべきじゃないかというと、文部省の方ではまだ工業方面については十分調査をしなければならない、そういうことでいろいろないきさつがあったので、やむを得ず議員提出という事情になったので、その点を一つ御了承を願います。
  56. 松永忠二

    ○松永忠二君 もう一つ、私は、そこが実はもう少し高田委員のあとで、お聞きしたいところであります。九人の国家公務員の管理者であって、そのため二十万の国家の財源を出す、あとは地方予算で何億という金を出す、一体そういうことを法律として提案をするということが、今与党や国家の考えられているところの政策に合致をするものであるかどうか。御趣旨はよくわかりますが、そういう建前は、やはりわれわれは超党派的に取り扱っていただきたい。また今の予算の問題についても、われわれがいろいろ考えていることについては、いずれも明年の予算を拘束するということだけで、われわれの議員提案についてもなかなか御賛意を得られない現段階において、法律が通らない以前にこれが地方財政計画の中に盛られているということについては、やはり私は責任ある文部大臣の御答弁を聞かない限り納得はいきかねますので、実はそういう問題についてももう少しお尋ねをしたいのでありますが、私ただ関連して立ちましたので、高田議員の方からしていただくことにして、御趣旨はそういうことで……。
  57. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと関連して……、今の問題で人事院規則に入れればやれるということは、私はちょっと解釈が適切じゃないじゃないかと思うのです。今御指摘になっておるのは、国家公務員についてではなくて、地方公務員の関係ですから、人事院規則に入れればそれで法律はなくてもいいとか、あるいはそれが入れられなかったから法律が必要だということは、よく事情がおわかりになっておる局長や、あるいは提案者の御意見としてはちょっと了承できかねますが、これはどういう関係ですか。(「実際これはおかしい」と呼ぶ者あり)
  58. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御承知通り人事院は国家公務員の給与を扱っております。それで国家公務員の給与について人事院規則や何かで規定いたします、そうすると教育公務員特例法の二十五条の五でありますが、「公立学校教育公務員の給与の種類及びその額は、当分の間、国立学校教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定めるものとする。」こういう規定がございまして、大体国家公務員の給与の種類とか額がきまりまするならば、地方公務員の場合は地方の条例によりまして、国家公務員の例によって、基準によって定められるわけです。こういうことでありまするから、私どもといたしましては国家公務員の方を一つきめていくべきじゃないか、そこで人事院の指定をさしたい。それで指定をさせれば、教育公務員特例法第二十五条の五によって地方条例を作って、地方の公務員にもそれと同じような形で給与の体系ができてくる。こういうふうに思いましたので、人事院の指定を実は促したのでありますが、先ほど申し上げました事情で、人事院の指定がありませんでした。しからば、われわれが対象としている教員としては、地方公務員がほとんど全部を占めておりますので、それについてはそれを対象とした一つ法律にしていこう、こういう事情であります。
  59. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    午後二時四十四分速記中止    —————・—————    午後三時三分速記開始
  60. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  続行いたします。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 念のため伺っておきますが、問題になっている助手実習助手、その数字等については御調査になっておられましょうか。
  62. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 農業に関する課程実習助手が総数で千四百四十八人おります。雇用人が七百二十六人です。なお、水産に関する課程実習助手が八十八人、雇用人が六十七人、工業に関して参考に申し上げますと実習助手が千六百五十六人、雇用人が百六十七人という数字でございます。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 助手の問題は、先ほどからも問題になっておりますが、数字を聞けば大へん多い数でもなさそうでございますから、これは後刻、先ほどの予算の問題等と関連して強く善処されることを要望するわけです。  次にお尋ねをしたいことは、先ほどからの御質問の中にもありましたが、水産農業関係する者のみここに取り上げてありますが、仕事の種類から申しますと、土木実習などについてはこれを時間を切ろうと思っても中途半端なところでは切ることのできない性格を持っているもの、そうだといたしますと、実習に伴って途中でそれを断ち切った場合にあとに支障が残っていく。これは単に生きものではなくて、継続してやらなければその実効が上らない、継続してやらなければその仕事を完結していくことができない、こういうように同種類のものに対しては御論議の途中でどういうような観点からこれを切ってしまったのか。私は林業あるいは土木、そういう面から非常な疑問を持っておりますから、立案者にこの疑問を解くに足る御答弁をいただきたいのです。
  64. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 土木の問題の御質疑でありますが、農業関係の土木は農業の中に入っておると思います。工業関係につきましては、工業一般との関連上先ほど申し上げましたように、十分な調査検討ができておりませんので、その点は入っておらぬといいますか、こういう事情です。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 農業土木と一般の建築の実習の中で行われることと、私は仕事内容は若干違うかもわかりませんが、実習そのものに対する労苦またその継続的に行なっていかなければならない、こういうような性格では全く同じものだと思うのですが、どうしてこれを区別しなきゃならなかったのでしょう。
  66. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 工業に関する問題は、先ほどから繰り返して申し上げますように、工業につてなお研究したいという考え方から、その土木をも含めて工業として研究していく、こう考えておるのであります。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 およそ立法の任に当る私どもとしては実際行政面で非常に差別的な取扱いが起るようなやり方というものについては極力これは避けなければならないもので、もしそういう法の不備があるとするならば、暫定的に同種類のものに対しては同じような措置を与えることは、これは考えな、ければなりませんが、これは何とか方法がありませんか。
  68. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 不均衡な措置は私どもとりたくないと思っておるのでありますが、工業の面についての調査法案を提出するまでには十二分でなかったものですから、そこで工業の土木だけを入れるということになりますと、工業一般とも関連を持ってくるわけであります。高田さんの御意見のように工業そのものにも時間的に切れないものがたくさんほかにも、そういうカテゴリーといいますか、範疇に属するものが非常に多いと思います。そういうこと等との関連においてそういう研究をいたしまして工業全体として第二次的に取り扱っていきたい、こういう考えでございます。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 この問題については質問を切りますが、立案者の方の側でも特に土木に関する場合には非常な不均衡を認めておられる。農業土木に関する場合には他の土木事業の実習に比して非常な優遇を受けているのだということは、これはまあ御確認になっておるようでありますので、この点は私どもとしては了承できない実は問題なのですが、今後責任を持ってこういう不均衡がなくなるような方向に一層努力していただきたいということを申し上げたい。  次にお尋ねいたしたいことは……。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと質疑の前に、政府委員の出席を要求したいのですが、よろしゅうございますね。——実は先ほど予算関係答弁があり、また全国知事会から反対陳情があったのでありますので、法成立後混乱が起らないように、念のために私は自治庁の長官、あるいは政務次官、財政部長、だれでもいいから出席してほしいと、質問二、三分で済むからと要求いたしましたところが、財政部長は地方行政委員会に交付税関係で入っておる——これはいたし方ない。政務次官でけっこうだからと言ってやると、政務次官、衆議院の本会議に入っておって来られないと、だからあらためて、政務次官でけっこうですから、四、五分で済むのですから、ぜひどなたか一人、ちょっと出席するように、正式に委員長を通じお願いいたします。
  71. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  72. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  ただいまの矢嶋委員の要請は直ちにいたします。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に、この産業教育手当の実際の面でありますが、産業に従事する教師並びにその事業に関連する方々、養蚕業です。これは時期的な場面もありますか。大へん忙しくなくなった場合には、この産業手当支給しないという、時期的な給与というような面も考えておられるのでしょうか。いかがでしょう。
  74. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) この産業教育手当は、農業及び水産に関しましては、超過勤務的な性質を持っておるのでありますが、超過勤務手当として、これを時間的に、あるいは季節的に出すということは、実際上非常に困難である、こういう建前から、新たに産業教育手当というものを、国家公務員の給与の体系にもありません、地方公務員の給与の体系にもない産業教育手当というものを新たに作ったわけでございます。これは法律の中にもそれはありますから、そういう事情でありますから、養蚕のことで、時期的に忙しくないから、その時期には支給しないということはありませんで、実習に伴う教科を担当してやっておるということになっておりますならば、時期的に忙しくないときでもつくと、こういうふうに解釈をしております。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、ますますもって、これは実習に当るすべてのものが、この給与対象となることは明確であって、やはり立案者において、そういう点を明確にしながら、なおかつ農林、水産だけを取り上げたという点については、私としては、はなはだ遺憾ながら納得しがたいものがあるわけです。まあ、納得しがたいから反対するという理由では決してありませんが、あまりにも政治的なにおいがするのではないか。まことに申し上げにくいことですけれども、そういったような気持がいたしまして、はなはだ遺憾に感ずるわけであります。
  76. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) お話ごもっともでございますが、ただ一つだけ私から申し上げさしていただきたいと思うのですが、政治的においということではない点だけは御了承願いたいと思います。別にそういうものを排斥するという気持があったわけではありませんで、先ほどから繰り返して申し上げましたように、人事院においても、文部省準おいても、なかなかこれが取り上げられないで、長く捨てておかれたと、こういうことでありまするから、一つ解決をこの面からやっていこうと、こういうことで、御説のことはよくわかりますが、あえて政治的にどうこうということだけは考えておりませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは意見の相違になりますが、超過勤務手当でない、実習のための手当という性格がはっきりしておる限りは、もう少しやはり、立案者において、時期をかけ、公平な方法がとられた方が望ましかったと思うのですが、逆に言えば、文部省の怠慢がしゃくにさわるということにもなったのかもわかりませんが、その点は論議いたしません。これだけで質問を終ります。
  78. 湯山勇

    ○湯山勇君 なるべく簡単にお尋ねいたしたいと思います。  第一点は、やはり私どもとしても、趣旨には賛成ですけれども、不十分な点が多々あると思います。で、その点からお尋ねいたしたいと思うわけですが、今度お出しになったのは、一体特殊勤務手当、特殊な勤務を重視してお出しになったのか、いわゆる法に示された産業教育手当、こういう待遇の問題を重視してお取り上げになったのか、その点に非常に不明確な点があると思います。この点一つ明確にしていただきたいと思います。
  79. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 産業教育振興法第三条の三によりまして「教育資格定員及び待遇については、産業教育特殊性に基き、特別の措置が講ぜられなければならない。」、こうあります。それで待遇についての特別の措置でありますが、それは二つの面があると思うのですが、一面は産業教育に従事する教員を優遇して、優秀な人材を産業教育界に誘致すると、こういう面。それから勤務内容特殊性に基いて、特別の措置を講ずる、これに相応する待遇をする、こういう二つの面があると思うのであります。前者にウエートを置きますると、これは工業の面などは前者に非常にウエートが置かれるだろうと思うのであります。後者にウエートを考えますると、勤務特殊性ということを考えると、農業及び水産ということがまず浮ぶのではないか、こういうふうに考えております。  そこで超過勤務手当ということでしているのかということでありますが、それだけのものではないと思います。今の産業教育振興法第三条の趣旨から言いまして、特殊性待遇の改善、こういう意味が非常に強いのでありますが、事実上支給する手続といいますか、そいう面からして、超過勤務として支給するということになりますると、非常に何といいますか、まちまちになりましたり、基準を作るのに困難もある、こういう考え方から新たに産業教育手当、今までにもう給与の種類の中にこれはありません、超勤手当とか、いろいろな手当等もありますが、それにない産業教育手当という手当を新たに起しまして、その法律の中にもそういう手当一つ加えてあるわけであります。でありまするので、待遇ということを十分に考えたのでありますが、超過勤務的な意味も含めております特殊な手当と、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  80. 湯山勇

    ○湯山勇君 やはりよくわからないのです、大へん理解しにくい御説明なので。で、従来の給与の体系からいえば、これは特殊勤務手当、あるいは今おっしゃった起動手当、その他こういうものを入れる方法は、法律によってやればあると思います。で、そういう方法をおとりにならないで、特に産業教育振興法に基いておやりになったということであれば、私は今の提案者の御説明のような混乱はなくて、もっとすっきりした説明ができるのじゃないかと思うのです。で、少し時間を倹約するためにそんたくして申し上げますが、そういう産業教育手当という点からいえば、これはこの農業水産業だけじゃなくて、当然その他の産業教育従事の教職員が入る。ところが、どうもそれはちょっと予算その他の関係でむずかしい。そこでそういうことを何とか理屈つけるために、今おっしゃったような現行給与体系の中にある勤務手当、あるいは特殊勤務手当、そういうものと何か関連づけないと、どうも説明ができないというところから、今のような御説明をなさったので、産業教育手当本来のものからいえば、当然これは農林、水産だけじゃなくて、その他全部包括されるものだ、こういう私は御答弁があってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  81. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 私の言葉が足らなかったのでありますが、今お話しの通りであります。今までの給与体系の中に入るべき給与ではない、どうしても入らない、いろいろ研究いたしました結果。そこで産業教育振興法の第三条の三に基く産業教育手当というものを、新たに起したものであります。でありまするから、他の産業に関するものにも、これは教育手当というものは出してしかるべきものだ、ただ先ほどから申し上げましたように、研究不十分な点がありますので、この農林、水産だけ一応取り上げただけだということでありますから、お話通りに了解しております。
  82. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで研究不十分というのは、産業教育に従事している教員責任ではありません。これは提案者責任であり、政府の責任です、調査ができていないということは。そこで提案者責任、政府の責任が、ただ調査ができていないという理由のもとに取り残されるということは私はよくないことだと思うのですが、提案者のお考えを承わりたい。
  83. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 繰り返して申し上げるようでありますが、あまり捨てておかれた問題だからして、何といいますか、ワン・ステップとして解決していこう、でありまするから、はっきりしないものまでこれを入れるのはどうかと思いましたので、一応こうしたのでありますが、しからばはっきりするまで待っていたらいいじゃないかという御趣旨も一応ごもっともだと思うのであります。(「いやそうではない」と呼ぶ者あり)そうでないとすればあれでございますが、そういうようなことで、予算も実は裏づけした、あるいは人事院の方で指定をすべきだということで進めてもきた、こういうようなことでありますので、事務的になるかもわかりませんが、一つ一つ解決していこう、ことしはこれを取り上げて解決して、まあ俗な言葉で言いますが、突破口といいますか、今まで棄てておかれた一つの道を開いていこう、こういう考え方で提案したのでございます。
  84. 湯山勇

    ○湯山勇君 大へん申し上げにくいことを申し上げますけれども、結局今回の措置から漏れた産業教育従事員は、これは本人たちの責任でも何でもなくて、悪い言葉で言えば、政府の怠慢によって取り残された、つまり調査ができていないわけですから。こういうふうに私は今の御答弁からは言い得るのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  85. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) そういうふうにも解せるかもわかりませんが、私どもの気持といたしましては、怠慢によって取り残したというよりも、私ども努力によって一つ解決して、そうしてまたわれわれの努力によってこれを解決していこうというこれは気持であります。
  86. 湯山勇

    ○湯山勇君 両方ほんとうということで了承いたしますが、これは先ほど委員長からも指摘がありましたように、法律ができて、しなければならないという規定ができて今日までほうっておりたというそのことは、これは今回取り残された教員にとっては、非常に不満であるということだけは指摘しておきたいと思うのです。  それからなお質問があるのです。これは局長にお尋ねしたいのですが、先般の理振法のときにも、それから私学の研究費のときにも、予算措置はしたけれども、来年以降の見通しが立たなかったから、法律措置はしなかったと、いう大臣の答弁があったことは、局長も御存じの通りです。そこで今回の場合も、この予算措置はどうも私にはちょっと了解できかねますけれども、かりに提案者説明を了承したとしても、政府の方でその予算措置をしても、それは来年度以降そういう約束ができたということではなくて、今年だけというつもりでやったということが、前の文部大臣答弁からもいえると思うのです。そうすると、提案者趣旨文部省予算措置をしたということとの間には、その趣旨において若干違いがある、こういうことになると思うのですが、局長の御意見を伺いたい。
  87. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この前理振法のときに申し上げましたのは、国庫補助でございますので、経過を一応見て、それから後に実施するために法律の改正をいたしたわけでございます。今回は、これは地方財政計画でございまして、直接の国庫の補助ではございませんので、一たび地方財政計画に組み入れられますと、今後ずっと動かないものと一応私は了承しているのであります。その点が違うわけであります。
  88. 湯山勇

    ○湯山勇君 それならば当然政府提案になすべきです。そういう御見解ならば、当然この法律は議員提案でなくて、政府提案でなければならない。なぜかといえば議員提案がなされる以前に政府の方から予算措置について考慮されているわけですから、そこでこれはやはり松永さんと同じように、大臣がお見えになってから伺うことにします。  その次にお尋ねいたしたいことは、提案者の方にお尋ねいたしますが、この法律によって全国一齊に実施されるという保証はできないと思います。それについて何かお考えになっておられるかどうか、特に私がこういう質問を申し上げるのは、全国の知事会議が反対しております。全国の知事会議が反対している中で、こういう法律ができたからといって、各府県ともできるということの私は保証がなければ、これはせっかくの好意がその通り実施されないということになります。これについて御確信があれば一つ伺いたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 地方においては、条例によってきめることでありまするから、知事の反対があると実現が困難でないかという御意見だと思いますが、法案が通らない前ならば、この法案に対しましていろいろ議論はあると思います。しかし、法律案が幸いにして通ったということで、法律ができたということになりまするならば、また国の交付税の裏づけもあるということでありまするならば、反対であるからその金を使わない、出さないというようなことではなく、やはりこの法律に準拠して、地方でも条例を作って、給与を出すということになるというふうに私は見ております。法案の審議中でありまするから反対はありましょうけれども、通ればこの問題はある程度といいますか、相当程度解決して実施されるというふうに私どもは予想しております。
  90. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこに問題があると思うのです。矢嶋委員自治庁を呼んだ趣旨もそこにあると思うのですが、今日法律ができておりましても、あるいはその他の措置がなされましても、必ずしも府県はこちらの希望通りにはやっておりません。あるいは法律通りにはやっておりません。特に今回のように、全国の知事全部がそろって反対しているような問題については、条例権限は知事にあるわけですから、なかなか私は条例提案しないのじゃないか。ことに、これは提案者も御存じのように、再建団体は財政負担が非常に大きいという中にあって困難性があると思いますし、もう一つそういう困難さを裏づける材料として、今の学校種別の差別があると思うのです。県の事情はいろいろでありますから、どうしてもこれは農林水産だけでなくて、やるなら工業その他も含めてやりたいというようなところも出て参りまして、それができるまで一つ待とうというように、こういうせっかくの法律がかえってやりにくくするというような要素さえも私は出てくると思うので、提案者の言われたように、法律ができればこれによって大体やるのじゃないか、こういうようなことであれば、すし詰め教室もできないだろうし、昇給の延伸とかそういうこともなくて済む、極端な首切り等もなくて済むと思うのです。それができないところに今日の地方財政の実態があると思います。そこでもう少しそのお見通しについて具体的な御説明ができるのであれば伺いたいと思います。
  91. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 残念ながら具体的な見通しの材料を持っておりませんが、地方財政のいろいろな事情もありましょうけれども、交付税の中に含まれているし、また衆議院の委員会で付帯決議にありますように、工業及び実習助手等については来年度措置を講ずべきである。また社会党もそうでありますが、私の方の党でも、これは来年においてはやろうということになっておりまするから、私の気持を、提案者の気持を果してのんでくれるかどうか非常に疑問でありますけれども、私は法律として通った以上は、これは実施する見込みが非常に強いように私は思います。
  92. 湯山勇

    ○湯山勇君 その点は私は政府ももちろんですし、提案者ももちろん、それからこれに賛成するわれわれも、力を合してやはり実現の方向へ努力しなければならないと思うのです。そうするためにはやはり来年以降は他の学校にも及ぼすんだというような明確な何と申しますか、決定とまでは行かぬにしても、言質があることが必要だと思いますが、この点については政府はどうお考えでしょうか。
  93. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 衆議院の決議もありますので、決議の線に沿って最善の努力をいたします。
  94. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一点承わります。それは地方交付税に見込むということは、これは当然といえば当然の措置かもしれませんけれども、現在の交付税率の問題がこれと関連してくると思います。で、突如としてといえば突如としてですけれども、こういう問題を今交付税率がごたごたしておる中へ持ち込むということは、これもまた非常にこの法律の実施に不利な条件になると思います。そこでこれの実施に当っては、何か特別交付の方途を考えなければやはり思うような実施はできにくいのじゃないかと思うのですけれども、そういう点についての御検討があったかどうか、あるいは将来そういう点についての御努力をなされるのかどうか、これも提案者のお考えをまず伺っておきたいと思います。なお、自治庁が見えたら自治庁にも伺いたいと思います。
  95. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ひもつきといいますか、特別にこの分を引き離してやったらいいじゃないかという御趣旨には私ども賛成でありますが、自治庁のやり方を私も詳しく承知しておりませんので、そういうことができるかどうかは、ここで私が申し上げることはできません。地方税率の、交付税の税率の引き上げの際にこれはどうかと、御同感であります。これについて一応申し上げておきますと、私の方の党といたしましても、これと同じように税率の引き上げにつきましては、党として来年度から二七・五%に引き上げる——法律には書いてありませんが、そういう決定にはなっておりますので、念のために申し上げます。
  96. 湯山勇

    ○湯山勇君 自治庁の政務次官お見えになっておるようですから……。
  97. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) 公立学校教育公務員の給与につきましては、教育公務員特例法の第二十五条の五。それから地方自治法の第二百四条の第二項で、地方公共団体はそういう支払いが、特殊勤務手当というような概念で支給し得ることが規定いたしてございますが、その具体的なワクを新しい法律で、産業教育振興法の第三条の三等もあるので、具体的なワクをお作りになるということにつきましては、文部省自治庁人事院等皆了解いたしていることでございまして、また地方財政計画及び地方交付税の計算の中にもそれが積算されておるわけであります。で、その点につきましては、自治庁の方といたしましてもこの法律案につきまして異存はないのでございます。なお、これらが果して実行できるかどうかという点につきましては、本法第三条を拝見いたしますと、「その者の俸給月額の百分の十に相当する額をこえない範囲内において、」条例で額を決定するわけでございますので、各地方団体のこれは運営でございまして、新しい教育委員会法によりますれば、知事は教育委員会と協議して教育予算を定めることになっておりますので、適切妥当に運営をいたすものと存じております。また御心配の地方財政再後整備促進法の指定団体につきましては困るじゃないかというお話でございますけれども、しかしながらこれにつきましては、地方財政計画で予定しなかったり、交付税で予定していない範囲の支出でございますればお説の通りでございまするが、政府の方といたしましてもこれらを受け入れる意味におきまして、措置をしております場合におきましては、その団体の特殊性によって問題があることはあるかもしれませんが、それは第三条の「百分の十に相当する額をこえない範囲内」でございますから、各団体の財政力とにらみ合せまして適切なる範囲内で条例で決定いたしますればできると思います。で、必ずしも自治庁が再建計画の変更の際にこれを拒否する理由にならぬと思うのでございまして、財政上妥当な範囲の率で支給なさる分におきましてはこれを支給し得るものであるし、また支給することになるだろうと想像いたします。
  98. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の次官の御答弁は私は非常に重大な点で、大へんな御答弁だと思うのですよ。そういうことでは提案者趣旨と全然違ってきます。一つは財政状態の悪い府県は少くてもよろしい、こういうことでしょう、次官のおっしゃるのは……。で、そういうことが一体いいとか悪いとか、そういうことが一体この法律趣旨なのかどうなのか、これが第一点です。  第二点は、あなたは特殊勤務手当として認める、こういうことですけれども、そうじゃないのです。特殊勤務手当でないという立場で認める、こうなっておるのです。だから、もし自治庁がそういう観点からこれと認めたとすれば、これはもう一ぺんやり直してもらわなければならぬということになるのですね。申し上げておるのは、その再建団体等で困っておるところについても、何らかの方法でやはり全国並みの水準において実施されるように自治庁としても努力する、別途考慮するということでなければ、これはやりませんよ、知事はみな反対しておるのですから……。それをお聞きしておるのです。
  99. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいま私は、この法律にある通り条例で額をきめるということを書いてあるからそう申し上げましたので、何も法律に、提案者の意見に、私は反対しているわけじゃない。それで、大へんなことになるというお話でございますが、私は何もこの法律案をぶちこわす意図も何もございません。で、すでに政府が受け入れるつもりで各省了解を得ておることでございますので、それで、その条例によって額をきめるので、全国一律に率をきめるのでないことは、この法律の中に書いてあるから申し上げておるのであります。それは御了解いただきます。それから、どうも特別手当という概念で、あるいは産業教育手当という名前でありましょうが何であろうが、地方自治法の第二百四条の第二項におきましてはそういうのを特殊勤務手当と呼ぶのでございまして、それでここに列挙していない給与は絶対に出せないのです、現実の財政事情で……。そこで特殊勤務手当の概念の中に産業教育手当があるのでございまして、これは法律解釈の問題でありますから念のために申し上げておきます。(湯山勇君「違うですよ。大違いですよ。間違っています」と述ぶ)
  100. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 今、自治庁政務次官が特殊勤務の中だと言いましたが、これは産業教育手当というものを一つつけ加えて、その法律の中で地方自治法の中の出すほかの勤務と、また新たに産業教育手当というものができておるのでございますから。
  101. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) 今のこの附則の方を見落しましてまことに申しわけございませんでした。自治法の二百四条の二項の中に、列挙の中にこの産業教育手当というのを入れまして、特殊勤務手当と同様な種類のものが新しく列挙されますので、産業教育手当というのは一種のまた特別の手当というふうに観念するのが適当と思いますので、この点まことに失礼でございました、見落しまして……。訂正いたします。
  102. 湯山勇

    ○湯山勇君 自治庁の次官、ちょっと聞いて下さい。法律の条文通りいけば府県の条例できめるのだからいいということは私もよくわかっております。そのことは、もっと言えば条例できめるのだから、この法律が通ってもやるところもやらぬところもでてくるじゃないかということを提案者にお聞きしたわけです。そういうことはまずない、法律ができるのだし、やってくれるのだ、こういうことですから、そうだとすれば、あなたのおっしゃったように、府県の財政状態で、でこぼこがあってもいいとかそういうことじゃなくて、やはりできるだけそろえて支給したい。これが提案者趣旨です。そこで、むずかしいところについては、何か考えてやらなければいかぬじゃないか、ということを提案者にも申し上げるし、それから幸い次官がおいでになったから次官にもお尋ねしたところが、次官は、それは条例できめることになっておるのだからいいじゃないかと、こういうことになると、御答弁の    一内容趣旨が、条文が違うとか何とかじゃなくて、趣旨が食い違う。そこで、今のように非常に困って、それの実施できないようなところ等については、何か考えてやる方法がないだろうかというのですから、一つ考え願えないものですか、そういう点については。
  103. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) それはその問題につきましては、ただ法律にはそういうふうに条例できめてやることになっておりますから、条例でなしに全国一律の率によれということは、私たちはその法律による府県知事の義務とか、そういうものでなしに、これは全国の教育委員会の方の意見を聞いて、府県知事が予算をきめるわけでございますので、教育委員会を主管する方の政府当局の方で十分御指導をしていただきまして、また自治庁もせっかくこうした、たとえば農場で農業の生産勤労収入等でもって農場をまかなうというような場合とか、あるいは練習船なんかが相当激務に従事しておる場合もございますので、そういうような現状にかんがみまして、自治庁の方といたしましても、十分了解いたしまして、主務省の方針に協力いたしたいと、こう考えております。
  104. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと違うですよ。
  105. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ちょっと政務次官に補足いたしますが、この第四条「教員産業教育手当」を、第四条ですか、「国立高等学校教員産業教育手当を基準として定める」と、「基準として定める」ということは国できめたと同じにやるということが、これは今までの例であります。これは教育公務員特例法の場合にも国で定める給与と同じで、地方でも定める例でありますから、率の場合はこれは国に九人の該当者がありますので、これについて国の方できめた率として地方の方においてもそのままの率として採用されなければならぬ、こういうふうに私どもは了解しております。
  106. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部省、今のどうですか。
  107. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 赤城委員お話のように、教育公務員特例法によりまして、地方の教育公務員につきましては、国の額を基準として条例で定める、こうなっております。ただ、今加藤政務次官のお話は、法案としては条例できめるのですから、条例の権限で、条例できまるということですが、実質は赤城委員お話のように、大体私は一律になると思いますし、私どももそういう指導をいたしたいと考えております。
  108. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一ぺん政務次官答弁願います。
  109. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいま内藤初中局長のお答えと同様の見解を持っております。
  110. 湯山勇

    ○湯山勇君 しっかりしてくれんと困りますよ。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 加藤次官に、ただいまのに関連して一、二お伺いしたいと思います。加藤次官もそうですし、あるいはまた赤城議員にもお願いします。参議院はおとなしくて気が小さいのでびっくりしないように、親切に御答弁願いたいと思うのですが、まずざっくばらんにいって、この法律が通って、該当教員手当をもらえればいいわけなんですね。問題はそこなんです。そこで私は、条例で定めるようにいたしているわけですが、いろいろ論じられているが、私は赤城議員の、当初予算に対する答弁からは、私は次のように了承したわけなんです。そのことを自治庁責任者から確認しておきたいと思っておいで願ったわけなんです。その私が了承したことは、予算も伴うことであるし、国家公務員は九人おるからそれに必要な二十万円はこの法案につけて出してあるように措置ができると、問題は地方公務員である、該当者であるが、その支出が必要であるから地方財政計画に織り込んであると、従って国家公務員に準じてということは、ほとんど過去の実績では、同じように条例で作るのがならわしになっているわけですが、従って知事に誠意があれば、知事にやる意思さえあれば、この法にある一〇%の産業手当を出すための条例を県議会に提案することができる、かように地方の計画に織り込んである。こう私は赤城議員答弁を了承しているのですが、政務次官、その通りでございますね。
  112. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) この条文通りの財政措置がしてありますので、地方自治法の第二百四条の二ですか、それから教育公務員特例法の第二十五条の五によりまして、国の措置に、大体におきまして右へならえができると考えております。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 再建団体でないところはもちろんのこと、再建団体においては再建計画の変更を持ってくれば、自治庁としてはそれを承認するということは答弁されているわけですから、すべての自治体において首長がその決意と誠意さえあれば、この法の精神を尊重されれば、この法にある一〇%の産業手当は出せる、かように該当者は期待してよろしい、かように了承してよろしゅうございますね。
  114. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 法律規定されてあるのでありますから、私はそう期待します。ただ条文に、百分の十以内とありますから、十がはっきりしていませんけれども、私は国家公務員の場合にきめた率と同じように、地方においてもこれがきめるべきであり、きめられるものと期待しております。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、政務次官に伺いたいのですが、この知事会議の反対要望を見ますと、五項目に書いてあるのですが、ごもっともな点もあるわけです。その内容を伺う前に、私は基本的な点を政務次官に伺いたいのですが、それは国家公務員並びに地方公務員で、この産業教育、さらに産業の発展のために専念されている、この国家公務員、地方公務員を通じて、この法の立法精神で処遇を扱われるという、こういう考え方にはもちろん政務次官としては全面的に御賛成の立場をとっておられると思うのですが、念のため伺いたいと思います。
  116. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) 私どもの方といたしましては、皆様の御提案法律ですが、「農業、又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律案」という、この法律案について意見を求められて、各省と協議いたしております。で、それ以外のこの教育公務員ないし一般公務員の給与の間の均衡をとるとか何とかいう問題につきましては、よく自治庁も当該主務官庁である文部省とか、あるいは人事院の御意見を聞きまして、十分将来打ち合せをいたす存念でございます。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回お伺いいたしたいと思うのですがね、私はこの知事会議の反対の決議の中で、知事の立場としてはごもっともだと、これはわれわれとしてこの法律を成立させるために考慮しなければならぬ、かように考えたことは、産業教育に従事する技術吏員、たとえば農業練習農場、農業講習所、水産講習所と、こういうところに勤務する地方公務員を知事はかかえているわけですね。従って、まあ知事としては産業教育の場で、あるいは農業、あるいは水産に関して働いておられる教育地方公務員にかような手当を出すところの条例を制定するとすれば、知事は同じその自治体の公務員である、こういう水産講習所、農業練習農場、こういうところの公務員に対してもかような手当支給されるような条例を作らなけりゃ不均衡になると、かように知事は書かれているわけで、ごもっともだと思うのです。そういう手当が将来地方公務員の該当者にも支給されるように、かような条例を自治体が制定することについては、次官としては、むしろこの法案に賛成しているだけに奨励する立場をとり、また再建団体等で、そういう点から再建計画の修正等が申し入れられてこられた場合に、承認される態度をおとりになるお考えだと思うのですが、念のために伺っておきたいと思います。
  118. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) まあ非常に複雑な御質問でございますが、また非常にはっきり御質問の趣旨は私にわかっているのでございまして、たとえば農業改良普及負等がこういう問題に刺激されたかもしれませんが、号俸調整の要望を出しているという事実も知っております。しかしながら、地方団体の公務員の給与が国の公務員の給与に準ずるという大原則があるようでございまして、それらにつきまして地方団体側といたしましては、今度国の公務員も地方の公務員もひとしく新しい法律によりまして均衡を保って財源措置されるというような場合でございますから、われわれといたしましては各省で打ち合せいたしまして、政府としてはまあ反対はいたさないことになっておるわけでございます。そういうような関係から、私たちはこの問題を処理しているのでございまして、さらに広い範囲一般公務員とか、教育公務員とか、そういったたくさんの公務員の間の給与の均衡をとるというような問題に関しましては、さらに広く自治庁といたしましては各事項を主務省または人事院と十分に打ち合せを遂げまして、研究をさしていただくことにいたしております。
  119. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ただいまの農業練習農場とか、農業講習所、産業講習所、水産講習所等技術吏員でもこの法案によって刺激されるところはあると思います。刺激されるといいますか、これにならいたいというお気持はあると思います。しかし、これは技術職員は、御承知のように、一般給与の中でこの間も改正をされているようでありますが、技術職員は——ほかの一般職員のうちでも技術職員は、特に給与をよけいに見るというような形が一般の原則としてできているようにも考えられます。これは別な給与の体系の中である。そういうことでありますから、直接にこの法案ができたから、知事会として心配しているように、農業練習農場とか、その他農業講習所でこれにならって上げなくちゃならないという直接的なあれはないというふうに考えております。
  120. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 関連して。ただいまの政務次官の御答弁によりますと、政府がこの問題に対して御賛成なんであるというようなことをおっしゃったが、先ほどの局長説明によりますと、政府はこの法律案に対して反対であるということをお聞きしたのですが、その食い違いに対してどういう——政府というのは二つあるのですか、三つあるのですか。(笑声)その点お聞きしたいと思います。
  121. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) まあ、この給与に関しまする主務省におきまして、まあどうしても昭和三十二年度よりこういう手当を実施しようということでございましたら、政府提案として率先提案したんだろうと思うのでございますが、しかしながら、それらにはまだ若干の研究を要する点があると思っておられるということと、また国会におきましてそういう法律案が出たら、それに対しまして最後まで反対申し上げるという政府の態度とはまた別問題であろうと思うのであります。自治庁といたしましては、各省とよく協議をいたしましたのでございますが、自治庁見解といたしましては、こうした法律が出、そうして地方の歳出を要する場合には、地方自治団体が歳出をしても一向差しつかえない、こういうふうな見解を持っておりますので、その点まあ大体におきまして皆様御了解だろうと思いますのですが、(笑声)大体そういうふうに了解しております。(笑声、「閣議決定と違うのですか」と呼ぶ者あり)
  122. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ただいまの政務次官の御答弁に対しまして、局長が先ほど政府の所信態度を述べられたそのことと食い違いがあるかどうか、局長より御答弁を願います。
  123. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 先ほど申し上げましたことと、加藤政務次官からお話しになった御趣旨は表現においては多少違いがあるようでありますけれども、実質的には食い違いはないように私は思います。
  124. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  125. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  126. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 いろいろと拝聴いたしますと、一言にして言うならば、支離滅裂というのが皆様方の御答弁の事柄じゃないか、私はさように受取っておりますので、はなはだ、これらの問題に対しましても、もう少しほんとうにお互いに連絡というものが、あるいは欠けておる点があるのじゃないか、そういうものに対しまして、われわれに提案する場合においてもう少し詳細に真剣な調査なり連絡があってしかるべきじゃないかと私は考えるので一言この点の不満を申し上げまして質問を終ります。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内藤局長にこの際二、三点伺っておきたいと思うのです。それは、この法律と直接関係することですから伺わせてもらいますが、産業教育振興法が施行されてから四年目ごろに大蔵事務当局の意向があって、一応この産業教育振興法に基く補助金が下向きになってきた、ところが本年度の予算を見ると、昨年の六億九千万に対して七億二千万余が認められているわけですが、もちろん文部省としては十一億一千万要求しておるわけですが、文部省並びに、参考に聞くのですが、大蔵事務当局の見解というものは、今のわが国の産業経済の実情からこの産業教育振興法に基く補助金というのは下降状態をたどるのじゃなくて、むしろ上昇線を描く方向にあるかと思うのですが、念のため文部省並びに大蔵事務当局はどういうふうに考えておるか、この点伺っておきたい。
  128. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) もちろん全体的に見ますれば、科学技術振興という観点から上昇をたどるべきものと私ども考えております。ただ設備費につきましては、これは五ヵ年計画が一応本年で終りますので、従来のような積み上げ方式というような形のものについては少し検討をいたしたい。しかしながら、今後産業界の新しい要請によって理科教育とともに産業教育につきましては、格段の努力をしなければならぬと考えております。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その五ヵ年計画は一応終ったから云々というのを、文部省所管局長からそういう発言があっては工合が悪いのですよ、大蔵の当局の事務官僚からそういう言葉が出るのは僕はまあやむを得ないと思うのですが、あなたとしてはそういうことを速記に残されても困ると思う。なるほど設備費は五ヵ年計画である程度まで行っておるわけだが、設備の更新というものを考えなくちゃならぬ。外国の大学は機械設備にしても最新の、先端を行くものが大学実習、実験所に入っておる。日本においては一流大学でも、言葉は適当でないかもしれないが、役に立たぬものを入れるという意味での博物館行きのような前時代的な設備が入っておる、そういう大学がたくさんあります。ましてやこの高等学校になりますと、ある程度機械等の設備は整っているでしょうが、日進月歩の現代非常に時代的におくれたものがある、そういう設備教育を受けた子供が、近代的な施設設備を持っておる職場に行って十分能率を上げ得ないわけですから、だから何十年前に入れた機械があるからそれでいいような考え方では、私は産業教育振興ははかれないし、また日本の経済の振興に即応していけないと思う、そういう期待に即応していけないと思う。従ってそういう角度から、設備の近代化、更新ということの角度からさらに積極的な計画を立てられ、これらの予算というものは下降線どころか、むしろ上昇線をたどるべきものである、こういう点について文部省はもとより努力をされなければならぬ、かように考えておるのですが、もちろんあなたの方もそういう考えを持っておられると思いますが、大蔵事務当局の考えはどういうことを言っておりますか、この際私は時間がないので直接呼ぶわけにはいかぬから、あなたを通じて参考になる程度でお伺いしたい。
  130. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 大蔵事務当局が、私どう思っておりますかはっきり真意はつかみかねますが、私どもと大蔵省とがある程度考えが一致しておりますのは、一応五ヵ年計画が本年で七〇%のところは完了する、で私の先ほど申し上げましたように、積み上げ方式による一律のやり方について検討する、こう申しましたので、あなたのおっしゃるように設備更新の問題もあるし、新しく工業学校の増設問題が今後特に経済五ヵ年計画に応じて起きてくると思うんです、また各工業学校特殊性を十分考えなければならぬ、特殊性に基いた設備の拡充ということも起きると思う、こういう意味を考えて新しい角度からこれを検討して大いに振興いたしたい、この点について私は大蔵省も別に異存はないと思います。従来の行き方について私どもは検討していきたい、こういう意味でございます。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それらの点については、事務当局としては文部大臣によく話してありますか、いずれきょうは文部大臣がおいでになるでしょうから、その点聞きますがね、十分そういう点は文部大臣説明してありますか。
  132. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 十分説明しておるつもりでおります。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に伺いたい点は、これは産業教育振興法が発足して以来もう再三お尋ねした点ですが、それは中学校産業教育ですね、この法発足以来高等学校施設費があまりにも惨たんたるものであるからというので、これを重点的にして中学校は指定校方式で来たわけですね、そのワクを拡大すべきだという要望は再三再四したわけですけれども、依然としてきわめてワクの小さな指定校方式になっているわけですね、父兄にしてみれば昔と違って義務教育は六年から九年に三ヵ年延びた、六・三の九ヵ年間子供を学校にやって卒業したときに何らかのものを身につけていないということは、私は中学校高等学校の受験準備教育をするところでないだけに父兄の期待に十分沿えないものがあると思うんですよ。従って中学校の職業、産業教育振興というものは、義務教育を三年延長した制度における現在のわが国の教育法としては大事なことだと思うのですが、いまだにこの指定校方式をとっておられますが、高等学校関係予算さえ少いんですから、これをさいて中学校に持っていけという考えは毛頭持っておりませんが、この総ワクをふやすことによって中学校にももう少しウエートをかけてゆくべきじゃないかと思うのですが、これらについてどう考えておられるか。そういう点について、予算編成段階において事務当局間で相当のディスカッションも行われたのかどうか、それらについて承わりたい。
  134. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 文部省といたしましては、予算に提出いたしましたように、中学校については今年度相当な増額をいたしております。で、今後ますます中学校に重点を置くという点につきましては矢嶋委員と全く同感でございますので努力するつもりでおります。
  135. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確かに去年は二千五百万円で、本年は六千万円になっているから二倍ちょっとになっているわけです。しかし、全国に中学校は一体幾つあるんですかね、六千万円では……、産業教育といえば機械設備なんがいろいろしなくちゃならぬだろう、確かに二千五百万円が六千万円になったのは相当の増額だろうけれども、私はその絶対額を言っているのだが、今後とも私の意のあるところを十分含んでおいていただきたい。
  136. 松永忠二

    ○松永忠二君 二、三点お尋ねしておきたいと思います。いろいろ提案者から御趣旨を伺ったのですが、実は学校教育というのは一体的に行われているわけです。で、水産学校にいたしましても、農業学校にいたしましても、実業科の担任の教員と普通科の担任の教員とがあるわけです。で、実際において普通科の先生の持ち時間というようなものは、職業科の先生よりも時間数も多く持っておるわけです。あるいは学級担任について考えてみても、実業科の先生の負担を普通科の先生が負担するというのが実情であるわけです。そういうように、その学校の運営というものが、必ずしも実業学校において実業科の免許状を持っている者が中心になって行われているというのじゃなくて、一体的のものが行われているわけです。たとえば農業実習をするということであれば、それのあとの生徒管理というものは、実は普通科の先生が受け持っておるという実情であるわけです。こういうようなことを考えてみたときに、ここにやはりやや不均衡というような感じを受けるわけです。特に同一の学校において、その学校の能率を増進していくためには、一体的な活動というものがどうしてもなければ、学校教育は実施できないわけでありますが、こういう点についてどういうふうなお考えを持っておられるのか、そうしてまたこういうことを実施されたことによって、その辺の教員のそういうものに対する考え方というものについて、どういう影響があるというふうに御判断をなさっておるのか、一つ提案者と、文部省の方からの両方の御意見をお聞きしたいわけです。
  137. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御指摘のようなことも考えられると思います。しかし、この手当産業教育手当とは申しますが、その中にはやはり何か時間外勤務手当的な要素も相当含まれておりますので、そういう関係から申しますと、実習指導の方が職務の内容等につきまして、まあ簡単な言葉で言えば骨が折れる、普通の教授と同じようにしてもそれ以上に骨が折れるというふうに考えましたので、こういう手当の制度を考えたのでありますけれども、御趣旨のような懸念も全然ないとは申し上げられないかと思います。しかしウエートを実習に携わる人の方に強くわれわれが考えましたので、産業教育振興上もこういう手当を設けた方がいいとこう考えております。
  138. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) ただいま赤城委員お話しになったと同じように、私ども一般普通教員と職業教員との間に若干の御指摘のような事例がないとも限りません。こういう点は私ども懸念しております。しかし、もし普通教員にやった場合には、他の一般の普通教員にもこれは波及せざるを得なやと思います。先ほど赤城議員お話のように、実習教員、特に実習に携わるところの農水産教員の職務の特殊性にかんがみましてこれを出す方が適当である、むしろ弊害の方が少い、出すことが産業教育振興のために必要である、こういうふうに考えておるのであります。
  139. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は現実に実習を担任されている方の実情から見て、非常に長い時間勤務をされて、そうしてそのおやりになっているものに対して、それに対する手当を出すということについては、何ら不当ではないし、むしろそういうことはしかるべきだ、そういうふうに考えておるわけです。しかし学校においてその実習を担任し、またその実業教育免許状を持っていて実習を担当している者が、同一な責任度あるいは時間をもってそれを行なっているとは考えられない、その学校においても非常に不均衡であるし、今御指摘になった七千九百十一人という人の中には、むしろその学校における普通科の先生がずいぶん——今の実業学校は実業学校ではなくて、その学校——高等学校の中から進学もあるわけであります。そういうことから考えると、その進学指導等について、普通科の先生の方がむしろ責任度合いというものが多いというようなところも出てきておるわけなんです。そういう意味で私は別に、事実上実習で非常な時間を費しておやりになる方に出すということであるならば、こういう一定率支給の仕方というようなものは妥当ではない、そういうことによって不均衡が生じて……、そうでなくても実業学校の中には、実業科の先生を重んじて、そのために非常にその学校の運営のうまく行っていない実例も多くなってきているわけです。そういうところに輪をかけた不合理さが出てくると私は思うわけです。今のお話で、そういう仕事をやられている方に出すことは非常にいいことであると私は思うわけであります。そうだったらば、なぜ一体これを超過勤務の方式というような形に事実をもってやらないのか、その方がかえってそういう趣旨に合うのではないかと思うのです。その点について一つ両方から御意見を伺っておきたい。
  140. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 松永さんも御承知通り給与の中には、超過勤務手当というものがあるのでありますが、学校教員特殊性で、学校教員が相当一般にも超過勤務などをしまして時間的に何時から何時までということが非常に困難のために、教育職員に対しては超過勤務手当というものはない、こういうのが実情なんです。私から申し上げるまでもございません。そういうようなことでありまするから、ここに農業教員免許状を持って実習を伴う者にだけ超過勤務手当をやるということになるというと、学校教員給与の体系に影響もありはしないかということも一応考えられるのです。  それからもう一つは、御説の通り超過勤務でいくべきだということも相当考えたのでございますが、職務の複雑さとか内容からいって、時間的にやることは非常にけっこうなんですが、技術的に非常に困難ではないか、困難でないといえばないかもしれませんが、非常に困難もあるのではないか、そういうことから考えまして超過勤務手当という方式をとらずに、新たに産業教育手当ということで待遇をはかっていこうじゃないかという考え方から、実は産業教育手当という新しい一項を、一つ手当の制度を設けたわけであります。実は御説のような研究も相当したのでありますが、結論的にはこれがいいのじゃないかということに落ちついたわけであります。
  141. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 農水産手当につきまして、特に私どもとしては、ただいま赤城議員お話のように超過勤務の性質が非常に強い、しかしながら同時に、あまり気持のいいというか、まあ不快な点もあると思う。たとえば肥たごをかついだり、あるいは鳥の糞をいじったりいろいろ不愉快な面もあるわけです。ですから超過勤務だけの要素ではない。そういう意味で新しい手当の方がいいのではなかろうかと、こう思うわけです。特に工業あたりになりますと、これは超過勤務でない面が非常に多いと思う。もちろん超過勤務の要素もあると思いますけれども、先ほど矢嶋委員から御指摘のような人材の吸収というふうな面もあると思う。そういう意味で広く産業手当ということの方が実情に即すると私は考えたのであります、
  142. 松永忠二

    ○松永忠二君 今、そういう御答弁をいただいたわけでありますが、私、赤城さんからお話があったように、この超勤をつけることができないので、調整号俸という形で一律にやっているところに結局問題が出てきておると思うわけであります。そういうことも考えての一つの原因からこの手当の、まあ最も重要なところを見れば、嫌悪だとか、いろいろなことがお話がありましたけれども、この御提案趣旨を読んでみれば主としてそういうところに重点があるわけなんです。事実私どももそうだと思うのです。深夜豚が子を生むまで管理しなければならぬということまで、盛んにいろいろな人からお話を聞くし、ごもっともだと思う。水産学校実習における昼夜をわかたぬ御苦労ということも考えられる。そういうようなところを一体調整号俸という形でやっておられるところに実態に即さないところがある。そういう意味から言うならば、私はむしろ明らかにここで超過勤務というものでその不合理な給与体系に一つのメスを入れていくということの方が私は合理的な解決の仕方だと思うわけです。そういう点について、一つ御両者から御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  143. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 待遇の改善の方法についてどういう方法でやっていったらいいか、お説の通り調整号俸でいこうか、あるいはまた超過勤務手当でいこうかということも研究したのであります。調整号俸でいきますと、給与体系の中に調整号俸という体系がありますが、これもまあ人事院なんかといろいろ相談をしたのでありますが、調整号俸の制度はだんだん御承知通り少くしている状態であります。そこで調整号俸という形でいくこともどうか、それから超過勤務手当でいくこと……。
  144. 松永忠二

    ○松永忠二君 いや、私の言っているのは、調整号俸が教育職員には超過勤務がないのにつけてある、調整号俸をつけた方がいいということを言っているわけではない。
  145. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 教員給与体系の中には調整号俸が含まれておるというのは御承知通りであります。そこで超過勤務でいくか、調整号俸でいくかということでありますが、これは実際を言いますと、調整号俸と超過勤務の、給与体系からいくとまた中ぐらいの産業教育手当というものを新設したわけなんであります。そこで超過勤務の方から考えると、先ほど初中局長お話されましたように、産業教育振興法三条の三を見ますと、人材を吸収するという面と、それから特殊性という超過勤務の面と、二つの面がありますので、これは工業の面なども  一応頭に入れておきましたので、超過勤務というよりもこういう新しい手当の制度を設けた方がいいじゃないか。これは調整号俸の意味合いもあるのでありますが、調整号俸ということで新たに調整号俸一号をつけるとか二号を  つけるとか、こういうことが今人事院給与体系からいきますると、特に調整号俸としてつけることは少くしております。そういう意味で、中間的な意味を持った産業教育振興法に基く産業教育手当、こういうふうな考え方からこういう手当をつけるということにいたしたのでありまして、御趣旨の気持はよくわかっているのでいろいろ研究しておるのであります。まあ繰り返して申し上げるようでありますが、結論がここへ来たということを申し上げる次第であります。
  146. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 大体赤城議員お話しした通りであります。
  147. 松永忠二

    ○松永忠二君 そういうふうなお話になりますと、困難度とかそういうふうなことも考えていって、超過勤務手当の形をとらないで、特に産業教育手当というようなもので出したということであるとすれば、私は実は教育の中にはそういうふうなものがたくさんある。たとえば前々からお話の出てきておる盲ろうあ学校先生ですね、この先生あたりは、実に苦労もされて、困難なところでめんどうを見てやっておられるわけでありますが、あるいはまた特殊学級の担任の先生なんかも、これも全く時間的にも非常な超過の勤務を実施をし、非常な困難の中でこの仕事をやっておるわけであります。そういうことについては、同様な趣旨をもって今後立案努力するということであればよくわかるわけでありますけれども、もちろんそういう御意見をお持ちであろうと思うわけでありますが、そういう点について、その他たくさん事例も申し上げたいわけでありますが、どういうふうなお考えをお持ちになっているのか、両者から、特に文部省からは、一つ計画的なものもおありだと思うので十分に一つこまかく御説明いただきたいと思います。
  148. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ただいまの御指摘の中の盲ろうあ学校については、御承知通り調整号俸が二号がついております。一号、二号というような区別があるようですが、二号がついているようであります。特殊学級については、今ついておりませんけれども、これはやはりつけるべきだと思います。私ども考えております盲ろうあ学校においてはすでについております。一連の考え方としては松永さんの考え方と同様な考えを私持っております。
  149. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) ただいまお話のように、盲ろうあ学校及び特殊学級につきましては、調整号俸によってこの問題は解決いたしたい、ただこの場合、本件のような農水産手当につきましては、単に仕事が、この点は盲ろうあとか、あるいは特殊学級とは違って、非常に超過勤務の要素が一面に強く出ております。ちょっと手当の性質が違う、でむしろどちらかと申しますと、特殊勤務手当に類するものだと思います。困難度、あるいは不愉快さと、それと超勤の要素、こういうものが加わった特殊手当というふうに私どもは理解するのであります。
  150. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、文部省としては特殊学級の担任等についてはこういうふうな調整号俸の形でいく方が妥当だと考えておるわけですか。
  151. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) さようでございます。
  152. 松永忠二

    ○松永忠二君 私はこれと同じような建前で作っている法律が、まあ一つあると思うわけであります。これはへき地教育振興法がここにあると思うわけであります。当然この産業教育についてそういうふうな産業教育の第三条の三に基いてやるということになれば、むしろそれよりもこまかく規定をされている僻地教育について、現状では、その地方に責任を負わせるということではなくて、当然今言ったようなものを立案していくというのが法案の不均衡さをなくす意味でも大切ではないかと思うわけであります。こういう点につていは、やはりどんなふうなお考えを持っておられるのか、こういうことについて今後進めていくというようなお考えを持っておられるのか、お聞かせをいただきたい。
  153. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 僻地教育につきましては、これも松永さんも御承知の上で御質疑だと思いますが、僻地手当が普通の給与以上に出ておるわけでございます。でありまするから、盲ろう学校とか、特殊学級とか、僻地教育とか、こういうものについて調整号俸的な意味を持ちました給与をつけるのはこれは当然であると思います。ただ、この法案産業教育振興法に基いてこういう手当をつけることにいたしたのであります。考え方においては、すべて共通した考え方が基礎になっております。よくお説の点は私どもも了解できることであります。
  154. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この僻地教育につきましては、国の方で僻地手当というのがあるわけでございます。ですから、先生につきましてはこれに準拠して地方で条例によって支給しておるわけでございます。基礎は国の法律にあるわけであります。ただ、国立学校には事実上ないのでございまして、灯台とか、その他特殊な僻地がございますので、それを一応基礎にいたしております。で、先般この点も改正いたしまして従来定額でございましたのを定率支給に改めまして、最高は本俸の二割相当額を出すことにいたしたのであります。
  155. 松永忠二

    ○松永忠二君 今御説明になったことについては、もちろん僻地手当についてのことも承知をしておるわけでありますが、ただ私は産業教育振興法に基いて国が一定の率を作って法律化しているということになってくると、現実に僻地手当については——地方では僻地手当は完全に支給されていない所もあるわけです。それからまた僻地手当の中に含まれている単級複式手当のごときはあるいは地方によっては実施をされていない所もある、もちろん文部省では実績に基いて半額の負担をしているけれども、そういうことができないために、実は僻地におられる先生方がこういう点についてやはり立法化してもらいたいという要請のあることは御承知だと思うわけです。私はこういうふうな面の立法がなされるならば、やはり同じような建前で相当強い規制をするものをへき地振興法の中に入れていくということが法的な均衡という点からいって妥当ではないかということをお聞きをしたいわけです。またそれについて今後御措置をいただきたいと思うわけです。
  156. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御趣旨の点よくわかりますので、努力いたしたいと思います。
  157. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この産業教育手当は、これはこういう法律がなければ支給されないのでございまして、ですからこの法律が必要でございます。現に僻地教育等につきましては、その他の法律で包括的になって事実支給できるようになっております。ただ単級複式手当につきましてはお説のような議論もございますので、この点を文部省としては行政指導で十分指導して遺憾なきを期しておる次第でございますが、なおお説のような点で問題がありますれば十分検討いたしたいと思います。
  158. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  159. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  160. 左藤義詮

    左藤義詮君 初中局長に伺いますが、これは農水産関係の私立の高等学校はどのくらいございますか。
  161. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私立は資料を今ちょっとここに持ち合わせておりませんが、すぐ調べますからちょっとお待ち下さい。
  162. 左藤義詮

    左藤義詮君 提案者にお尋ねいたしますが、国立及び公立手当はこの法律でできるわけですが、私立についてはどういうようなお考えでありますか。
  163. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 一般的にも給与の体系から言いまするというと、国会では国会が主でございます。今度の場合は公立についても給与法律を作ったわけでありまして、私立の学校について直接国会あるいは党で給与の体系を作ることはあまり例がないのじゃないかと思います。そういうことについて、もし考えるといたしまするならば、私学振興とか、その他の方へ補助を出すというような筋道から考えなければならない問題じゃないか、こう思いましたので、とりあえず国立及び公立高等学校の分について立法提案したのであります。
  164. 左藤義詮

    左藤義詮君 産業教育振興法には、第十九条ですか、私立学校に対する補助のことがありまして、国立公立振興に対して国として考慮するようなことが規定されているのですが、この振興法の趣旨から申しましても、ただいまの法律でありますと、国立公立だけは手当は出るが、私立は全然考慮されない。私学振興会等で考慮するとおっしゃいましたが、それには何らか私学振興会に対してこの分に見合う補助をふやすとか、何らかの考慮をなさることが御親切だと思いますが、その点についてはお考えがないのですか。
  165. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 産業教育法の中で、施設等につきましては当然産業教育振興法に基いて私学に対してもやらなければならないし、やっていると思います。しかし、この給与の点については現在国の方でも補助を出しておらぬようであります。でありまするから、この点についてはやはり私学の自治性といいますか、そういった方面からやってもらわなければならないのじゃないかというふうに考えております。私どもといたしましてもこれを無視するというわけじゃありませんが、先ほど申し上げましたような建前から俸給等の点については、国立あるいは公立学校というものについて法律をきめておりまするし、産業教育振興法趣旨から申しますれば私学も無視することはできませんが、これは設備等については国の方でも金を出している、こういうふうに了解しております。
  166. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) ちょっと。先ほどのがわかりましたので……。農業課程が私立で通常の全日制が十一校、定時制が一校あります。水産につきましては私立はございません。
  167. 左藤義詮

    左藤義詮君 べース・アップ等によりまして国立公立給与が若干でも引き上げられると、そのたびごとに私学の方はそう授業料の増額もできませんし、これに追随することに苦労をするわけでありますが、わずかのようでございますが、今、初中局長からのお話しのように、こういう問題に対して非常な努力をしているような私学の方が、一方ではこれがあり、一方では何らの措置もないとしますと、その点についてはよけいみじめになると思うのでありますが、何らかの親心を一つおいただくようにということが考えられぬものであるかどうか。
  168. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御趣旨はまことに同感でありますけれども、今、私学の先生方の俸給自体に対して国が金を出しておりませんので、産業教育特別手当だけを私学の方にまで出すということは、今直ちに考えるわけにはいかないと思います。非常に御趣旨の点も研究さしていただきたいと思います。
  169. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  170. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 提案者に伺いますが、先ほどから農業学校工業学校とを分離した点について各委員からいろいろと掘り下げて質疑があっているわけでありますが、伝え聞くところによると、私も若干知っておりますが、農業科工業科を併設している総合高等学校があることを私は想起しているのですが、あなたの御調査では何校でございますか。
  172. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 併置の学校の数を今正確に覚えておりません。併置している学校が相当あることは聞いております。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三点ですから、他の方が大臣に質問する前にこれちょっと聞かしてもらいます。  初中局長、伺いますが、ただいま農業科工業科が併置されている高等学校何校あるかを伺っているのですが、赤城議員の方では相当数ということなんですが、何校ございますか。
  174. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 農と工が併置されているものは通常課程公立が五校です。私立学校はございません。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 公立で五校ですが、私の記憶では、直接私調べたものでないのですが、工科と農科を併置しているのは四十校程度あると聞いているのですがね。僕が知っている範囲内でも二、三校ありますよ。五校というのは間違いじゃないですか。零が落ちているのじゃないかな。
  176. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これはいろいろ組み合せがございまして、あなたの御質問に言う農工は五校ですが、たえば農工商、こういうのは五校またあるのです。それから農、工、家政というのがこれが五校、全日制が三校、定時制が三校、そのほかになお農、工、普通課程というのがこれが四校と、いろいろ組み合せがございます。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 はい、わかりました。組み合せの数学問題やっているのじゃなくてね、先ほど各委員が質問しているように、農業課程には手当を出すが、工業課程には出さぬ、それを先生方にいかに納得できるように説明できるかという立場から、各委員質疑されてきたわけなんです。そこで、普通科、家政科が併置されている、そういうことは必要なくて、ともかく手当を受ける農と手当を受けない工とが同じ学校名のもとに教育が行われているというような学園が幾つあるかということを知りたかったわけでありますが、大体五十校程度あるということを私は聞いているのです。全国の統計をとればそのくらいになると思うのですがね。これは努力されている提案者にそういうことを言うことは忍びないのですがね。これは不用意だと思うのですね、数字を持たないことは。この法律をだれが見ても工がどうして落ちただろうかというのはこれはもっとも大きな疑問点だと思うのですよ。それが何校であるかというデータを持っていないことと、その該当教員がその併置校の中で農で該当するのが何人、工に籍を置いて該当しないのが何人というデータを持っていなければ、ちょっとわれわれがここで頭の中に描いただけでも同じ学校で、校長が一人で、そして校長が事務官を使って給与支給していくわけですが、そのときにその農業科に従事している人は一割程度の手当をいただいて帰る、工業科の人はいただかないというようなことでは、お互いに人間ですからね、これはうまくいきません。こういう点は、その立法過程において真剣に、慎重に私は考慮しなければならない問題じゃないかと思うのです。そういう点に、私は法に大きな欠点があると思うし、実際、法が通過後、施行運用する場合に問題点が起ってくると思うのですね。御所見いかがでしょうか。
  178. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御説のようなことがあり得ると思います。ただこの立法過程におきましては、御承知のように農業あるいは水産の場合には時間で実習が切れないような場合も非常に多いというところに実はウエートを置いたものですから、今の御説のようなことも少しは考えたのですが、あまり考えなかったということは率直な私の気持であります。でありまするから、工業全部を考える場合、この御趣旨は非常によくわかっておりますから、これは十二分に考究したい、こう考えております……。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 困ったものですな。
  180. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 文部大臣が来ましたから一つ質疑を願います。
  181. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣に一つお尋ねをいたしますが、大臣のおりませんときに提案者並びにまあ局長の方からお話があったわけでありますが、再度お尋ねをするわけでありますが、この議員提案がなされる以前、まあまだ立法化されておらないわけでありますが、それ前にすでに一億六千五百万円に上る金額が、地方財政計画の中に予算化されていたというお話でありますが、これは事実でありますか。
  182. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) さように承知いたしております。
  183. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、予算の折衝をなさるときにどう一体内容をもって御折衝なさったのか、それを一つお聞かせをいただきたいわけであります。
  184. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 一応文部省といたしましては、農、水と工業を含めて実はいたしかったのでございますが、諸般の情勢でともかく農、水だけをやるという前提で予算の計上を地方財政計画にはいたしたのであります。人事院と協議いたしまして、人事院の指定を待って、地方の教育公務員がこれに準ずるようにいたしたいと、かように考え努力をいたしたわけでありますが、遺憾ながら人事院の指定ができなかったので、こういう結果になったものと思います。
  185. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは局長でも、大臣でもいずれでもいいわけでありますが、現実に立法化にどういうふうに努力されたのか。すでに予算が通過したわけでありますから、立法化されて、努力をなさったと思うのです。どういう具体的な立法努力をなさったのですか。
  186. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これは教育公務員特例法に基きまして、二十五条の五ですか、国立学校の基準によりますので、国立学校に該当校が、約九人ほどおりますので、この九人について人事院が指定いたしますと、地方公務員はこれを基準として地方の条例できめる、こういうふうになっておりますので、実は人事院が、この農水に該当する国立学校の、いわゆる付属高等学校教員について特殊勤務手当で出すように、実は人事院と交渉したわけでございます。これは別に新しく立法化せないで、すでに産業教育振興法の第三条の三に法律根拠があるわけですから、これに基いて特殊勤務手当人事院が指定することを交渉したわけであります。
  187. 松永忠二

    ○松永忠二君 私がお聞きしたいのは、八人か九人の方のことではございません。一億六千五百万という、今お話しになった七千幾名の人に対する立法措置がなされなければ、これはできないわけでありますので、こういう政府提案としての提案について、どういうふうなものをお作りになってそういう努力をなさったのか。
  188. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これは教育公務員特例法に基いて、地方の教員については国立学校給与の額及び種類を基準としてきめることになっております。ですから、国立学校の方をきめますと、それが教育公務員特例法に基いて地方の公務員についてはきまることになるわけでございます。ですから、新しく地方の教育公務員については立法する必要はないわけでございます。私どもは、産業教育振興法第三条の三に基いて、人事院と協議して参った。人事院と協議ができて、人事院が指定いたしますれば、こういう法案を出さなくても目的は達したわけでございます。
  189. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  190. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  191. 松永忠二

    ○松永忠二君 こういう点について、大臣の一つ見解を聞きたいわけでありますが、ここに出されている提案は九人の人のいわゆる二十万——国として責任を負うべき予算は二十万、地方において責任を負わなければできないものが一億六千何百万というものになるわけであります。こういう立法というようなものについては、地方財政の建前からどういうふうにお考えになるのですか。
  192. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 御質問の御趣意がよくくみ取りかねたのでございますが、文部省といたしましては、先ほど局長からお答えをいたしましたが、かような給与に関する制度といたしましては、従来からありますように、地方の教育公務員については、国の公務員というふうなものを基準としてやっていくというふうに、教育公務員の持例法にも出ておることでございますので、その形を作りたかった。わずか九人ということは、お説の通りであります。実態的に申し上げますれば、地方の人がほとんど全部と申してもよろしいわけでありますけれども給与制度の上から申しますというと、今までやっておりましたような方式を採用いたしまして、国の方をまずきめて、そうしてそれに右へならえという方式をとろうとして努力いたしたわけであります。それが思うにまかせない結果になりまして、結果といたしましては、妙な形の金が実はここに残ってきたということに相なっておるわけであります。全体の趣旨から申しますというと、この法案趣旨というものにつきましては、もちろん文部省といたしまして何らの異存はないのであります。ただ、さような形のもとにやって参りたかったというのが思うにまかせぬ結果となりまして、ただいま御指摘になりましたようなものが残ってきたというふうなことになっておるわけであります。その点は一つ御了承願いたい思います。
  193. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は、立法前に与党の要望に基いて予算を組み立てるということについては、これが不当であるということは申し上げないわけであります。ただしかし、与党の要望に基き政府がこれに協力し、むしろ政府自体がこれの必要を感じて予算化されたというものについて、文部省責任において最も合理的妥当な形でもってこれが予算の執行をしていくということが私は本筋であろうと思うわけです。で、先ほど局長から閣議決定をお読みいただいたわけであります。全く賛成できかねるものができ上って、その予算がそういう形において使われていくということについては、私は文部省としての自主性がまことに乏しいというふうに考えております。こういう点については、文部大臣としてはどういうふうにお考えになるか、今後そういう点についてどういうふうに善処をしていくというお気持を持たれておるのか、その点をお聞きをしたいわけであります。
  194. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今日までの経過につきましては、率直に申し上げました通りでございます。文部省といたしましては、地方の財源関係につきましては、関係の当局と相談いたしまして、予算と仰せになりましたが、これは決して各団体の予算ではございません。地方の財政計画の中にそれを盛り込むように話をしたということであります。その財政計画に基きまして、中央として措置すべきものにつきましては、これは自治庁の方でいろいろ措置せられる、そうしてこれがまあ現実には地方のそれぞれの自治団体の予算となって現われてくると、こういうことになるわけであります。これは計画上の問題であります。そういうことをいたしますと同時に、片方では国の関係を何とかしようということで努力いたしましたけれども、これが思うにまかせない結果となって、まことに申しわけないことでありますけれども、そういう結果になりましたので、文部省としては何ら法案というようなものを出さない、しかも財政計画の上にはそういう数字が残っておる、こういうようなことになりましたわけであります。その形ははなはだまずいと思うのでありますが、さような経過でございますので、この点は御了承願いたいと思うのであります。  そこでまた、この案に対し一体政府はどう考えておるのかというようなこと、あるいはまたあらためてお聞きになる時期もあるのではないかと思いますけれども、まあこの際私の心持を申し上げますれば、そういう経過でございますので、この案の趣旨にはちっとも反対でも何でもないのでございますが、政府としてなお検討すべき問題が残っておるという状態でございますので、今しいて意見をお求めになりますれば、政府としてはにわかに賛成いたしかねる、かように申さざる得ないわけであります。ただ、先のことを申してもいかがと思いますけれども、皆様方の御検討の結果この法案が国会を通過するということになりますれば、少くともこの地方に関する限りにおきましては、この立法によりまして必要な財政措置というものができておるわけでございます。これは決してほかのことを考えておるわけじゃない。地方の関係におけるこの目的を達するための財政措置ができておるわけでございますので、その資金を使って地方ではそれぞれやっていくことができると思います。
  195. 松永忠二

    ○松永忠二君 文部大臣は、先ほどの討議を少しお聞きがないし、あるいは詳細な案そのものを御存じないが、単に予算の出し方というようなものが違ってきたということではなくて、文部省が実施をしていきたいと考え内容とは異なったものが結果的に出てきているということなんです。
  196. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省考えております内容とは私たちは違っておらないと思うのでございます。文部省といたしましては、先ほど申しましたように、国の公務員についてもいわゆる人事院の方で適当な措置をとってくれますならば、地方の関係におきましては地方財政計画にそれぞれ財源措置として盛り込むことによりまして実行ができるわけであります。この法案によりましても、あるいはまた文部省が希望しておりましたような形によりましても、実質的には地方の関係は同じことであります。その点は、私は何らの矛盾もなければ相違もない、こういうふうに考えます。
  197. 松永忠二

    ○松永忠二君 先ほど局長から話があったように、この文部省考え内容というのは、農学校水産学校工業学校実習を実施している方につけたいということで、それがもっとも妥当であるし、工業学校を抜かしたことについての不合理というような問題とか、種々今まで論議がされたわけであります。そしてまた提案者御自身もそれを認め、文部省局長からもそういう点については検討を要するというようなお話があったわけでございます。そういうことが、結果的に今閣議決定の出てきたようなものに現われてきておると私たちは考えるわけであります。従って、私はやはりこういうことは文部省としてはやはり好ましい形ではなかったというような考え方であろうかと思うわけでありますが、全く少しも間違いはないのだということは、私はその答えは承諾できないわけであります。なお、そういう点について大臣としては、やはり当初考えたような構想で今後努力をするというような気持をお持ちであるかどうか、あわせてお聞きをしたいと思います。
  198. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私が参るのがおそうございましたので、その前の御議論を十分承知しておらなかったわけで、この案に含まれないもの、たとえば工業というようなものについてはどう考えておるのかというような御趣旨じゃなかろうかと今伺ったのでありますが、文部省といたしましては、ただ単に農業または水産だけでなしに、もう少し広く考えて物事をやっていこう、こう思っておったわけでございます。いろいろその間に、内部における議論もありましたし、与党との関係もございましたし、また自治庁等ともお話をする際にも、最初は農業または水産だけに限る趣旨ではもちろんなかったのでありますが、いろいろ話し合いの結果がそういうふうにしぼられて、あとは残された問題、こういうことになりましたようなわけでありますので、この範囲いかんということになりますれば、実は文部省はこれだけで必ずしも満足しておるものじゃないということは私は申し上げることができるかと思います。今後の検討に待つべき問題でございますが、十分御質問の御趣旨等も体しまして、農業水産以外の方面のことにつきましても、さらに検討を重ね、努力をして参りたいと存じます。
  199. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今、松永委員が聞かれておることは私も不明確だからもう一ぺん聞かしていただきたい。それは、先ほど湯山委員からも指摘されたことですが、地方財政計画に一億六千万円が組まれている。この地方財政計画は閣議決定されているのです。文部大臣は国務大臣としてこれに参画されているわけです。その表裏の関係法律案が議員立法でできた。それに対して内閣がにわかに賛成いたしがたい、これはおかしいじゃないかというわけです。おかしいですよ。これは、先ほど湯山委員指摘されたように、当然それだったら内閣提出法律案にしなかったらおかしいです。これは政党政治で、政府、与党の関係はあるけれども、あくまでこれは立法府と行政府の三権分立ははっきりしているのだから、憲法論から根底にさかのぼっていけば、これはずいぶん問題点がありますよ。その点が追及されている一番大きな点です。それを明確にすることと、それではこのにわかに賛成しがたいというのはどういう内容のものか。今の一億六千万円財政計画に組まれたが、その使い方が気に入らぬというのは、産業教育振興法第二条では中学校高等学校となっている。それは高等学校だけで中学を入れてない、それが不満だというのか。にわかに賛成しがたいというのか。また高等学校の中でも農と水だけに限定して工と商船を入れてない、そういうことがにわかに賛成しがたいというのか、あるいは一〇%以内において云々という、この一〇という数字がにわかに賛成しがたいというのか、そういう点が明確でないわけです。それが明確になると、今どういうふうにお考えになっており、今後行政府としてどういう予算措置をされ、あるいは次の国会にどういう内閣立法をされようとしているかというお考えがわかってくるわけで、それらの点を明確になるようにお答え願いたい。
  200. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) なるほど地方財政計画は政府として決定をしていたしましたものでございますので、その点はお話通りでございます。ただ地方財政計画はなるほどできましたけれども、私の方といたしますれば地方財政計画に盛り込むべきものは、これは地方の関係のものだけなのです。国立の方の関係はもちろん含まれていないわけです。国立の方の関係についての措置がとられていない、またそういう方式についての意見がまとまらない、こういうふうな結果になりましたので、地方財政計画だけが先行したような形に相なったわけでございます。この点は先ほど御了承を求めたわけです。そういうことでありますので、国立の方の関係がはっきりいたしませんというと、政府といたしましてはこの案に直ちに賛成するわけに参らないと申さざるを得ないのであります。
  201. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二十万円ですね。
  202. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) それに関連した問題がございますので、政府部内の議がまとまらないということで、私といたしましては、まとまっておればすぐ申し上げますのですけれども、まとまっておりませんので、にわかに賛成しがたい、かように申し上げておるわけでございますから、御了承願います。  なお、申し添えますけれども、かような立法が国会においてなされます以上は、これに即応してまた政府といたしましては次のことを考えて参りたいと思っております。
  203. 岡三郎

    委員長岡三郎君) そこで私から一つだけお伺いしますが、あとは残された問題である、つまり他の産業教育に従事している教職員、御存じのことと思うのですが、先般衆議院の本会議において決議がなされたことがあるわけです。そうして文相が諮問機関であるところの中教審へ諮問をされようという段階において、やはり工業関係というものが片手落ちであってはいかぬというのは、農水産関係の人々もそう思っていると思うのです。ただ予算措置その他から今にわかにそこまでは行き切れなかったし、資料も整備されていないということでありましたが、これはやはり院議というものを考え、国家全体のことを考えていった場合においては、これは、通り一ぺんの検討をするだけでは許されない問題と思考するわけです。そういう点で残された問題ではなくて、これは大きな問題であって、従前検討されてきた問題という形からこの実行を期待するというふうにわれわれは考えるわけですが、その点はいかがでしょう。
  204. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 御承知通り、今日文部省といたしましては、中央教育審議会に対しまして科学技術教育振興方策について意見を求めておるわけであります。これにつきましては、大学から小学校に至るまで、すべてにわたりまして全般的に検討をしてもらいたいと思っております。その中には、もちろん農業水産に関する教育もございましょうし、そのほか、工業その他の教育の問題もございましょう、決してどれを主とし、どれを従にするということでなしに、全般的に科学技術教育振興をはかる意味において検討してもらいたいと思っております。
  205. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、先ほどあなたがおいでになる前に質疑応答されたことは繰り返しません。先ほどあなたの最後の答弁で、この法律立法府で成立した暁においては、できるだけ近い機会に、先ほどから各委員から指摘されました、あるいは工業学校とか、あるいは商船学校商業学校等について、十分検討考慮する用意があるということが、先ほどの答弁でわかったわけですが、あなたがおいでになるちょっと前ですね、農業科工業科の併置校の質疑が行われたわけです。おそらく国立学校にはそれはないでしょう。しかし公立学校には約五十校ばかり、農業科工業科が併置されておる学校があるわけです。そういう学校では、これはわずかなことでも深刻な問題だと思う。一歩々々問題を解決するために提案者が非常に努力されたわけですが、そういう点は私は非常に大きな見落しがあったと思うのですよ。  そこで大臣に伺いたい点は、もしこの国会でこれが成立施行されたならば、来たるべき臨時国会に、産業教育に従事する教員というと、ずいぶん幅が広くなるわけですが、とりあえず本日非常に議論になった、工業とか、あるいは商業、商船、そういうようなところに限定しましても、臨時国会に法の改正案を出され、そして補正予算でも組む場合があったならば、昭和三十二年四月一日にさかのぼってこれを施行する——まあ予算は微々たるものだと思うのですが、地方財政計画を修正する場合は、その線で再修正するというような熱意さえあれば、やる方図はこの一年間に十分あるわけなんですから、それだけの熱意をもって私はおやりいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。ぜひこれは一つやっていただきたいのですが、大臣の御答弁を求めます。もし大臣がかわられるような場合(笑声)次の大臣に申し送っていただきたい。これは真剣な私のお願いでございます。お答え願いたい。
  206. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 将来に関する問題でございますので、あまり具体的なことを申し上げることは一つお許しを願いたいと思います。きわめて強い御要望として承わっておきたいと思うのであります。私といたしましては、誠意をもって検討いたします。
  207. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点大臣に御要望申し上げ、大臣の灘尾文教政策の一環として伺いたい点、は先ほど初中局長に伺ったんですが、この産業教育振興法が発足したときに、産業教育とは中学校高等学校対象としたわけです。義務教育は三年延長になった。従って中学校の職業、産業教育の重大性が叫ばれ、父兄の期待も大きかったわけですが、当時予算関係もありまして高等学校重点で、中学校は非常に軽視されて参ったわけです。中学校産業教育振興にも予算を十分組んでいただきたいという父兄並びに教育現場の人から熾烈なる要望が叫び続けられて参ったわけですが、本年度確かに大臣のお骨折りによって昨年度に比べますと予算が増額されております。しかし絶対額は先ほどここで数字が出ましたように、全国の中学校対象としてわずか六千万円です。従って、研究していこうとする構成をとっているわけですが、大臣は義務制が三年延長されました中学校における産業教育の飛躍的発展をはかるべく文教政策を推し進める必要があるというようなお考えでおられるかどうか、その点と、大蔵省は事あるたびに、文部の事務当局に対しては、当初の五ヵ年計画というものは一応水準に近づいたのだから、もう産業教育振興に基く補助金は、補助金政策の打ち切り、その政策の一環としてもうほどほどでいいのじゃないかということを、事あるたびに大蔵事務当局は発言するわけですが、これは私が申し上げるまでもなく、最近の科学技術というものは、刻々と進歩します、それに即応しなければなりませんし、その立場から言いますならば、今の高等学校産業教育施設設備、いずれもですが、特にこの設備の更新というものには意を払っていかなくてはならぬと思うのです。それをやるためには、その裏づけとなる予算というものを今後確保して参らなくてはならぬと思うのですが、そういう点について灘尾文政の一環として、灘尾文部大臣はどういうようにお考えになっておられますか。その二点を伺っておきたいと思います。
  208. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この方面教育につきましては、各位の一方ならぬ御協力によりましてだんだんと進んで参ったと思うのです。しかし現状をもってしては決して十分というわけには参らない、かように考えます。大蔵省の財政当局としましては、お金の方から割り出しての議論が多いわけでありますので、とかくのことを言っておるかと思うのでありますけれども、実態はなかなか、これで済んだとかなんとかいうような状態でないということは、これは私にも十分わかるのであります。一般的に申せば、ただいま矢嶋さんがお述べになりました御意見の御趣旨は、私は全く同感に存じております。具体的には専門家の審議等も十分わずらわしたいと思っておるわけでありますが、方向といたしましては私は現状をもって満足いたしませんので、ひとり中学校といわず産業教育、科学教育、さような方面につきましては、もっと力を入れて参りたいと考えております。従って、またこれが予算化につきましても、及ばずながら予算化の努力をいたしたいと思っております。
  209. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  210. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  212. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本法律案に賛成の意を表明するものでございます。  わが国の産業経済基盤の行く末と伸張とが産業教育振興に待つところが大きいということは今さら申し上げるまでもないと思います。去る昭和二十六年六月に公布施行されました産業教育振興法の第三条の三に基くところの産業教育に従事する教員の処遇の問題が本日まで解決していなかったということは、これ全く行政府の怠慢であって、その点非常に遺憾に存ずる次第でございます。  この時に当りまして、衆議院の同僚諸君が努力をされて本法案提案されて参ったということにつきましては、敬意と謝意を表するものでございます。ただ、提案者は、一歩々々と、よりよく解決するためにワン・ステップとしてこの法律案提案されたと申されるわけでございますが、しかし、法律案の審議の過程において指摘されましたように、あまたの不公平、欠陥を持っていることはまことに遺憾に存じます。それらの点につきましては、第二院のわれわれ参議院といたしましては、ぜひとも修正いたしたいと考えておりましたし、また、第二院としては当然その責務を果すべきだと考える次第でございますが、国会会期末が迫りまして修正して第一院に送るところの時間的余裕がない、かような状態におきまして第一院から本法律案が送付されて参ったことにつきましては、われわれとして修正権の発動ができない点、これまた非常に遺憾に存ずる次第でございます。今後、第一院におかれまして議案を本院に送付される場合におきましては、われわれの審議権が十分発動されるように配慮していただきたいことをこの際お願いを申し上げる次第でございます。  先ほど申し上げましたように、修正してこの法律案は成立させるのが当然でございますけれども、時間的余裕がなし、さればといって、これは継続審議あるいは廃案にする決意もつきかねるし、この際は、希望あるいは付帯決議等をつけて本院において可決成立さすべきであるという判断のもとに賛成をいたす次第でございます。  今後、この法施行後におきましては、あくまでも、この産業教育手当なるものが、産業教育振興法第二条に規定する産業教育定義、並びに第三条の三に規定するところの教員資格、この条項に合致するようにできるだけ早い機会に内閣提出の法律案の形で是正さるべきことを強く私は要望いたす次第でございます。  その内容といたしましては、中学校高等学校、同じように対象とすることも一つでございますし、さらに、先ほどから各委員から指摘されましたように、農水関係学校だけに限定して、工業あるいは商業、商船等を除外しているという点は特に強調しておかなければならないと思います。さらに、産業教育の進展のために手足となって日夜努力されているところの助手諸君に対してこの法が適用されないということは、ほんとうに気の毒、不合理に私は感ずる次第でございます。この法律案施行後においてこの法律を見た場合に、私はたとえば工業教育に従事している教職員の方々は、何と立法府というものは工業教育に理解を欠いているであろうかと嘆かれるでありましょうし、さらに突き進んで私は侮辱感さえ受けるのではないか、かように感ずる次第でございます。この法律を成立させましたわれわれは、責任もあるわけであって、われわれみずからの手によって、あるいは行政府をしてこれらの問題の解決を一日も早くさせるようにするところの義務が、この法律を成立させるとともに、われわれに負荷されるものと私は確信する次第でございます。特にこの法施行後におきまして、この法の運用に当るところの行政府、わけても文部省並びに自治庁に強く要請いたしたい点は、この法の精神に沿って各地方団体において完全にこの法が施行されるように適用されるように適正妥当なる助言と指導をされるよう、これは強く要望いたしておきます。  最後に、今後灘尾文政を推進して行くに当りまして、先ほど来質疑がございましたように、産業教育振興、わけても設備の更新による近代化、あるいは中学校段階におけるところの産業教育の向上充実のために格段の努力をされるようお願いをいたしまして賛成の討論とする次第でございます。  なお、先ほど全員協議会においてまとまりました各派共同提案によりますところの付帯決議案を、私かわりまして朗読いたしますので、本委員会においてあらためて正式決議とされるよう要望いたす次第でございます。決議案を朗読いたします。    付帯決議   政府は、産業教育振興法第三条の三の趣旨に則り、産業教育に従事する教員並びに実習助手に対しては、その教科の如何を問わず、同一の取扱がなされるよう措置すべきである。  右決議する。  以上であります。
  213. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御意見がございますか。——他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  215. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     矢嶋 三義  常岡 二郎     松永 忠二  湯山  勇     下條 康麿  左藤 義詮     高田なほ子  松澤 靖介     安部 清美  関根 久藏     林屋亀次郎  木村篤太郎     吉田 萬次  川口爲之助     谷口弥三郎  林田 正治     有馬 英二
  217. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、討論中矢嶋君から提出されました付帯決議案を問題に供します。(林田正治君発言の許可を求む)本付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  218. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致であります。よって、矢嶋君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。   ちょっと速記をとめて。    午後五時三十分速記中止    —————・—————    午後五時四十一分速記開始
  219. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  暫時休憩にいたします。    午後五時四十二分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕