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1957-04-26 第26回国会 参議院 文教委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十六日(金曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員異動 四月二十五日委員吉田萬次辞任につ き、その補欠として森田豊壽君を議長 において指名した。 本日委員森田豊壽辞任につき、その 補欠として吉田萬次君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            野本 品吉君            矢嶋 三義君    委員           大野木秀次郎君            川口爲之助君            近藤 鶴代君            左藤 義詮君            関根 久藏君            林田 正治君            林屋亀次郎君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松永 忠二君            湯山  勇君            加賀山之雄君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    警察庁長官   石井 榮三君    警察庁警備部長 山口 喜雄君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省社会教育    局長      福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会教育法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (愛媛県における勤務評定に伴う小  中学校長懲戒処分に関する件)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。昨二十五日吉田萬次君が辞任され、補欠として森田豊壽君が選任されました。  また本日森田豊壽君が辞任され、補欠として吉田萬次君が選任されました。
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 社会教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。  昨日大臣から聴取いたしました提案理由補足説明社会教育局長から聴取することにいたします。
  4. 福田繁

    政府委員福田繁君) 文部大臣説明に補足して、その内容について概要を申し上げます。  社会教育関係団体と申しますのは、社会教育法第十条に規定する団体のことでありまして、法人であるといなとを問わず公けの支配に属しない団体で、社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とする団体であります。ここでいう社会教育に関する事業とは、言うまでもなく、社会教育法第二条の規定により、体育やレクリエーションの活動までも含んだきわめて広い活動領域のものであります。  従来、社会教育関係団体につきましては、その活動自主性を尊重するために、社会教育法第十三条によりまして、国及び地方公共団体はこれに対し補助金支出してはならないものと定めているのであります。  しかしながら、何分にも社会教育活動範囲は広く、これに関する事業を行う団体も多岐にわたるのでありまして、これらのすべてに対して一律に補助金支出を禁じてしまうことについては検討すべき問題が生じて来たのであります。  ことに、全国的及び国際的な運動競技に関する事業を行うことを主たる目的とする社会教育関係団体、たとえば、日本体育協会のように、国内的には各種運動競技団体をその傘下におさめてそれらの連絡に当り、あるいは国民体育大会開催のごとく全国的な事業を行い、また国際的には国際オリンピック委員会アジア競技連盟事業に対し日本を代表し、さらにオリンピックアジア競技大会等選手、役員の選定、派遣等国際的な事業を行う団体については、その事業の規模が全国的であるばかりでなく、国際的性格のものであるので、政府国家的見地からその事業助成をはかる必要があるのであります。従ってこれらの団体の行う事業に関して行う国の補助につきましては、当分の間、社会教育法第十三条の適用を緩和するというのがこの法律案内容であります。  なお、補助対象となる経費は、右のような団体の行う全国的及び国際的な事業と、これに関し必要な経費であります。また国の補助のみに限ったのは、対象となる団体及びその事業が全国的、国際的なもので、地方的なものではないからであります。さらに本措置恒久的措置としなかったのは、社会教育関係団体性格及び本措置の緊急な必要性等にかんがみまして、当分の間の措置とするのが適当と考えられるからであります。  もっともこれによりまして、国がこれらの社会教育関係団体活動助成することになりましても、社会教育法第十二条の規定によって明らかなように、国はこれらの団体に対して不当に統制的支配を及ぼし、あるいはその事業干渉を加えたりしてはならないものであることは論を待たないのでありまして、民間スポーツ団体自主的活動の一そうの発展が期待されるのであります。  以上がこの法律案内容概要であります。
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは補足説明が終りましたので、これより本案に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松永忠二

    松永忠二君 二、三点不明なところがありますので、お尋ねしたいわけであります。  今の御説明で、たとえば日本体育協会というふうなお話でありましたが、ここで該当している、全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする社会教育関係団体というのは、日本体育協会をさしているのか、そのほかのものもこれに含まれているのか、その点一つ
  7. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまのお尋ねでございますが、法律案が、「社会教育関係団体運動競技に関する全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする」と、こういうように表現してございますので、仰せのように、この表現の中に入ってきますものは、ひとり日本体育協会だけでなしに、その運動競技に関する事業として全国的な事業を行い、かつ国際的な事業もあわせ行うというような団体はこの中に入ってくるわけでございます。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 具体的に、日本体育協会以外にどういう団体があるのかお聞かせいただきたい。
  9. 福田繁

    政府委員福田繁君) いろいろございますが、ただいま全国的及び国際的な事業を行う運動競技団体としましては、法人組織になっているものと、そうでない任意団体とのものがございます。しかしながら、このいずれの団体におきましても、全国的なそれぞれの運動競技事業を行いますと同時に、国際的には国際競技連盟に加盟しまして、その競技については日本を代表するというような、国際的な事業を行なっている団体でございます。その具体的な名称をあげますと、財団法人になっておるものにつきましては、体育協会のほかに、全日本スキー連盟とか、日本馬術連盟、それから日本ラグビーフットボール協会、これは財団法人になっている法人組織のものでございます。その四つでございますが、そのほかに任意団体といたしましては、日本アマチュアレスリング協会日本ヨット協会、あるいは日本水泳連盟日本陸上競技連盟日本蹴球協会といったような任意団体が二十ばかりございます。それらをさしております、具体的に。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 よくわかりました。  その次の点として、「当該事業に関し必要な経費について行う」こういうようなことが出ておるわけであります。これは、たとえば日本体育協会国体を行うとか、あるいはアジア大会主催は別でありますが、国体を行うというような場合に、その国体に対する事業に直接な事業費に対する補助、並びにまあそれに関係した必要な事務費とかということであって、たとえば日本体育協会の経常的な費用というものに対しては、これは補助対象にならないのか、どうなんですか。
  11. 福田繁

    政府委員福田繁君) この規定の仕方は、「当該事業に関し必要な経費について行う補助に関しては、」こういうふうに表現してございます。従って「当該事業」は仰せのように、全国的及び国際的な事業をさしておることはもちろんでございますが、「関し」という表現を使っておりますので、そういった全国的、国際的な事業を行うことを主たる目的とする団体に対しましては、その事業そのものでなくして、経常的な経費補助ができる、こういうような解釈をいたすのでございます。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 その点はよくわかりました。  その次の点として、これらの経費補助については、従前どんな形で支出をされておったのですか。
  13. 福田繁

    政府委員福田繁君) お尋ねの点がどうも具体的にはっきりいたしませんけれども、たとえばかつて日本体育協会には補助が出せませんので、国が行うべき事業体育協会に委託するという形で委託金を出したこともございます。現在出しておりませんが、そういった過去の例もございます。そのほかには現在は、たとえばある特定の種目の選手が、国際的な競技に参加するとか何とかいうような場合におきましては、その団体に対する補助金でなしに、選手個人に対する、たとえば渡航費の援助というような形でもって文部省は援助いたしております。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 従前体協に対する補助助成というものは文部省国体主催者として、入った金を県がこれを受け入れ、それをそのまままた県の議会の決議によって体協補助するという形をとって、こうした法案と同じような目的を果していたというように聞いておるのでありますが、それは誤まりはないのですか。
  15. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまのお尋ねの点でございますが、これは現在の国体開催の仕方、あるいはまた体協がそれから一定の納付金を得ておる問題をさしておると思いますが、現在は、たとえば昨年の例をとりますと、昨年は文部省から七百万円の国体補助金府県に出しまして、府県はもちろん国体運営費としてはとにかくそれのみでは足りるものではございませんが、もっと膨大なものでございますが、府県国体開催しました場合に、体協主催でございますので、体協に対しまして、入場料等の収入の中から、納付金を、府県から体協に納めておったのであります。その納付金をもって体協の相当な経費をまかなっておるというのが現状だと思います。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 今の点について、少し日本体育協会経理がどんなふうにやられておるかというような点に触れられてお話があったわけでありますが、問題をもとへ戻して、この法案文面解釈していくと、第十三条というのは、社会教育関係団体に対する補助金ということであって、別にその社会教育関係団体事業内容について拘束をしているものではないように思うわけであります。しかも社会教育団体という、ここで言う社会教育団体というのは第十条に規定をされていることから考えてみると、むしろはっきりとこの社会教育団体補助金をするのだというふうな、当分の間この補助金をすることを法で禁止しておるものをゆるめているというふうなことがはっきりわかるような表現にする方がいいじゃないか。また補助金を出したものが、その補助金が果してその当該事業に関して必要な経費であるかないかということをせんさくをするということは、補助金を与えてその活動拘束をしないという、自主的な運営をはからせるという上からも非常に必要なことだと考えるわけです。私はむしろこの「当該事業に関し必要な経費」などという言葉ではなくて、たとえばここで言うように「社会教育関係団体運動競技に関する全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とするものに対して行う補助に関しては、当分の間」というようなことで、この内容については省略をする方が明確になる。しかも第十三条の団体に対する補助金という意味からもあえてその内容拘束するような文面を入れておく必要はないのではないかというように私は考えるわけですが、その点についてはどういう御意見を持っておられるのですか。
  17. 福田繁

    政府委員福田繁君) 確かに仰せのようにそういう趣旨で十三条のこの禁止規定をはずすにつきましては、社会教育関係団体としてこの運動競技を行なっている団体についてそのままはずすということも、これは考えられるのでございます。しかしながら、一つは当面しますところの問題は、たとえば体協のようなものにつきまして緊急に措置する必要があるというような関係からこれを当分の間に限定いたしますことと、それからもう一つ仰せになりましたように、この直接にはずすということも考えられますけれども、こういう「全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする」というような表現を使っておりますのは、それ以外に何か若干の事業をされる場合も相当ありますので、そういう事業については特に国としては考えない、やはり「全国的及び国際的な事業」ということは、国家的に必要と認められる事業についてこれを援助していこう、こういうような趣旨でございますので、いろいろその付随的な事業考えます場合に、それらを一応はずす意味においてこういう表現を使ったのでございます。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 今の御答弁のようなことになると、それじゃ出したその金が当該事業に必要な経費に使われているかどうかということを監査をしなければいけないということにもなってくると思うわけです。その団体自身社会教育関係団体であってしかも「運動競技に関する全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする」ということに出ている以上、別にそれを主たる目的としていることであるしするので、出した補助金に対しても、もしこういうことを入れているとすれば果してその団体がそれ以外のものに使っているかいないかということについてのいわゆるその検査も必要になってくると思うわけなんです。その団体があくまでそういう認定のもとに立っている以上その団体に対する補助なんだから、事業に対する補助ということは十三条の中には出ておらないわけなんだから、私どもは常識的に考えてくると、そういうことを主たる目的とするものに対して、そういう団体に対して補助をするのであって、そういう事業に対して補助をするということでないわけであります。しかもこういうことを入れておくことによって、今後補助金検査ということも出てこなければいけまいし、あるいはその補助金検査を行うことによって、たとえば日本体育協会活動についても相当な規制が出てくるということから考えてみて、もっと端的に団体補助するのだ、そういうことを主たる目的とする社会教育団体補助を行うのだということでする方が非常に明確になってくるのではないかというふうに私は考えるわけなんです。どうですか、その点は。
  19. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいま仰せの点は、まことにもっともな点だと考えますが、この十三条の「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、補助金を与えてはならない。」という規定は、団体補助でございますけれども、当然に事業もその中に含んでおるものと私ども解釈しております。従ってこの社会教育法の一部改正の法律によりまして、こういった事業に関し云々いたしましても、今おっしゃるような点はこの国の補助金を出すという建前から申しますと、なるべく厳格に狭くしたいという趣旨からこういう表現を使ったのでありまして、十三条との関係におきまして平仄が合っておるものと私は考えます。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 そうするとその次の質問なんですが、この団体に対して補助をした場合に、その当該事業に関して必要な経費であるかどうかという点、そういう点についての一体検査とか、そういうことは行われるのですか、どういう形で行われるのですか。
  21. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは御承知と存じますけれども補助金等に係る予算執行適正化に関する法律がございますので、これによって補助事業内容の確定なり、あるいはそれらの報告を徴するとか、あるいはそれを調査するといったような点から、この補助金等に係る予算執行適正化に関する法律のそれぞれの条項に従いまして、そういう監督なり調査をするわけでございます。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 そうするともう一点、それに関係するわけですが、従前はそうすると、そういう点については補助金ではなしに、主催団体として出した金なんだということであって、そういう点については別に法的な検査は行われておらなかったわけなので、そうすると今度はそういうものがこういう形になって出てくることによって、そういう点はむしろ強化をされて、制約を受けてくるという解釈になるわけなんですが、そういう点はいかがなんですか。
  23. 福田繁

    政府委員福田繁君) 御承知通りに、この補助金等に係る予算執行適正化に関する法律昭和三十年にできましたので、それ以前の問題については、これは当然適用がないわけでございまして、体協は現在そういった補助金は出しておりません。そういった関係から別に問題になる点はないと思いますが、ただ今仰せのような、この補助金適正化に関する法律によりますところのいろいろな制約が加わるではないかというようなお説のようでありますが、これにつきましては、この補助金交付につきましては、それぞれ各省各庁の長は条件をつけることはできるわけでありますが、これはあくまで補助金の使用の適正化に基くところの条件でございます。それ以外のものではない。従ってこの補助金適正化に関する法律の中にも「補助金等交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等交付目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであってはならない。」というような規定がわざわざ置いてあるのもそういう趣旨だと思います。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 大体お話趣旨はわかりましたので、私としては、特に今いった従前行われたことが、むしろ法的にはっきりしてきて、しかも明らかにそうした関係団体にそうした補助ができるということは、けっこうなことだと思うわけです。従ってそれを与えたことによって、その団体従前よりも非常に窮屈な状況に入り込んでくるということのないように、特にこういう民間社会教育団体活動の自主的な発展をはかるために御留意いただきたいと思うわけであります。  それから関連して、地方自治団体府県市町村にこうした体育団体があるわけです。こういう団体に対するこうした助成とか、そういうものについては、積極的に文部省は進めていくというような気持を持っておられるのか。これについては、相当現在の法規では拘束を持っているわけなんですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておられますか。
  25. 福田繁

    政府委員福田繁君) 地方団体におきましても、当然社会教育関係団体でありますれば、第十三条の規定が働きますので、補助金は出せないわけであります。従って補助金は出していないわけでありますが、実際に各府県でいろいろな競技大会を催したり、そういう事業を行うことの必要に迫られているわけです。そういった場合に、府県体育団体等と共催という形におきましては、府県があるいは分担金を出すというような場合もあり得ると思います。そういった場合に、そういった分担金を出すなということは申しませんが、これは各自治体におきまして、適当と認める範囲においてそれらの事業執行していくということは、これは文部省としてとかく申す筋ではないと、かように考えております。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、この法律案は、国体主催した団体が行なっておった納付金制度を改めて、直接的に補助できるようにするためにのみ改正したのか、さらにそれをも含めて、今後日本体育協会とか、あるいは将来予想されるアジアオリンピック大会あるいは世界オリンピック大会等を行う団体に対して、国から積極的に助成をしようという意図をも含められてこの法律案を提案されたのか。その点大臣の御所見を伺いたいと思います。
  27. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この法案を提出いたしますにつきましては、お話通りに、国体関係におきまして、体育協会地方から納付金をもらって、しかもそれが体育協会運営費用に充てられておるというふうな事実がありますので、この事実はあまり感心いたしません。こういう点はぜひ是正したいというふうなことも確かに一つの考慮のうちに入りました問題でございますが、ただ単にそれだけではございませんので、御承知のように、最近いろいろ全国的あるいは国際的な事業運動競技に関して行われ、かなり国家的な意義を持つものもあり、しかもこれらを主催する団体等が、経理の点において非常に窮屈になっておると、こういうふうなこともございますので、さしあたり当面の必要に応じますために社会教育法を改正いたしまして、さような特別なものに対しまして、必要に応じて補助することができるという道だけは一つ聞いておいていただきたい、こういうような気持で提案いたした次第であります。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は、現在のわが国の学校体育社会体育の実情を、どのような眼をもって見られておるか。さらに、かつて本国会において、スポーツ振興ということを発言されたこともあるんですが、具体的にどういうスポーツ振興政策、さらに学校体育社会体育を、どういう形に持っていきたいという構想を持たれておりますか。概括承わりたいと思います。
  29. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今日、学校体育は、かなり盛んに行われておると思うのであります。これが健全な振興をはかって参りたいと思っております。また一般の国民スポーツに対する関心も、かなり高いものと考えるのでありますが、私は国民生活の全体から考えまして、ただ単にスポーツ熱が高いというだけでなくて、ほんとうに皆がスポーツを理解し、スポーツを楽しむというような社会に持っていかなければならないのではないか、こういうような考えをいたしておりますので、言葉は妙でありましょうが、いわゆるスポーツ人口をふやして参りたい。しかもそれは健康な、健全なスポーツとして普及するようにやりたい、こういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。それにつきましては、三十二年度の予算におきましては、きわめてわずかでございますけれども地方スポーツ振興に関する予算を出しまして、御賛成を得ておるわけでございますが、さらに今後のことを考えまして、御承知通りに、内閣スポーツ振興に関する審議会を設けまして、各方面の権威のある人たちの御協力を願って、国民スポーツ振興方策というようなものについて、今協議をしていただいておるような状況でございます。その結果によりまして、さらに今後の施策を考えて参りたいと思っております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 戦後において日本スポーツ界が、世界の孤児となった日本国際社会への復帰に、国民外交立場から尽した功績が非常に大きかった。また国内的には、国民の体位の向上並びに国民精神方面における明るさを取り戻す立場においても、戦後における日本スポーツの内外における功績というものは、きわめて私は高く評価さるべきだと、かように私は考えます。ただいまの大臣スポーツ振興に対する一般的な御意見は、私も同感でございますが、ここに具体的に提案されております法律案内容である日本体育協会に一千万円の助成、こういう基準額は、私はもう少し積極的に増額されてしかるべきではないかと考えます。私は寡聞にして世界の情勢を多く知らないわけですが、しかし私が聞いておる範囲では、諸外国においても相当の助成がなされておるということを承わっております。もちろん助成をしたからといって、統制的立場でやってはならないし、どこまでもそうでなくちゃならぬ。これはもう民主国家として議論以前の問題でございますが、助成を積極化するということについて、文部大臣はどういう御見解を持っておられるか。また世界先進国において、かような団体国家との関係はいかようになっておるか、その点についてお答え願いたいと思います。
  31. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 本年度の予算では、とりあえず体育協会に対する補助金を計上し、御賛成をいただいたのでございますが、私といたしましては、もちろんスポーツの持っておりますところの国内的あるいは国際的な意義が、かなり重要な問題であるということは十分認識いたしておるつもりでございますので、必要に応じましてはもっともっと予算を増額したい、今日の、今年度の予算計上をもって決して満足しておるものではないということを御了承願いたいと思います。そのほかの点につきましては政府委員からお答えさしていただきます。
  32. 福田繁

    政府委員福田繁君) 後段の御質問でございますが、スポーツと国の助成との関係でございますが、特に諸外国におきましてこういった団体に対して補助金を出しているかということはつまびらかでございませんが、この前のメルボルンのオリンピック大会考えてみましても、最近まであまり国の経費として出しておりませんでしたアメリカにおきましても、相当本格的に国家選手派遣に必要な経費を国で負担するというような傾向がかなり強くなって参っておるようでございます。それからまた従来このソ連圏等の国家におきましては、これは申すまでもなく国でまるがかえというような形をとっておるようでありまして、そういった面で最近諸外国におきましても、だんだんとそういったスポーツ振興について国が援助するという傾向が強まっているものと考えております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は中央並びに地方のこのスポーツ関係団体を私が知っておる範囲内でながめてみますと、特定な法人、会社とか、あるいは特定な個人がその経常費を多額に出される関係上、そのスポーツ団体が私的性格を帯びている傾向が私は非常に強いと思うのです。それが数人あるいは数百人の個人が諸種の立場でグループを作っているのならそれでよろしいと思うのですが、わが国においては中央、地方におけるところのスポーツ団体というものは、国家的に、あるいは国民的にながめた場合に、半ば公共性を私は帯びていると思うのです。そういう団体が個人のカラーが非常に強く出ているという、こういう私は運営の仕方はまずいのじゃないか、そのよって来たるところは、結局その団体を維持していくところのこの費用の捻出という立場から出てきているわけで、国あるいは地方自治体の権力をもってこれを統制的に支配する、その自主的運営をそこなうというようなことは万般あってはなりませんが、私はその公正な、健全なる発展をはかるためには、中央地方を通じてできるだけ可能な範囲内において適正なる助成をされるという方向に進む方がよろしいのではないかと、かような私は見解を持っているものですが、大臣の見解はいかがでございましょうか。
  34. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ごもっともな点も多々あるように思うのでありまして、御承知のように、今日の社会教育法におきましては、国及び地方団体社会教育関係団体に対しては補助してはならないという原則があるわけであります。これはこの事柄の性質上、いわゆる自主的に民主的に仕事が運ばれなくちゃならぬというところから起ってくる条項であろうと思うのであります。これをスポーツに関する限りにおいてどう考えるかという点も確かに大いに研究を要する問題だと思うのでございます。スポーツ界の現状から申しましても、また今お話しになりましたような点もございまするし、国あるいは地方公共団体でもっと窓口を広げて助成したらどうかというような考え方も確かにあるのでありますが、われわれもいろいろ検討いたしましたけれども、この問題は社会教育法の基本原則にも関係する問題でございますので、なおよく検討を重ねて参りたい、こういうような考えで、とりあえずの措置といたしまして、今回のような提案をいたしましたようなわけでございます。お話の御趣旨につきましては十分一つ今後とも検討を重ねて参りたいと思っております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長に伺いますが、従来国際庭球選手選手派遣費、オリンピック選手派遣費の旅費は個人々々に補助しておったのですがね、これは法律があるからそういう形で脱法行為をやったわけで、それでそういうふうに弁明されていると思うのですが、今後こういうこの法律が通過した後には、オリンピックとか、庭球選手権の選手派遣補助費は個人々々でなくて、それを派遣する団体補助するという形に変えられるのでしょうね、どうですか。
  36. 福田繁

    政府委員福田繁君) おっしゃるように従来の派遣費は、選手個人渡航費を援助するという形で、国は補助金のなにを出しておりました。従って団体には直接に出しておりませんが、そういった点も考え方によっては必ずしも合法的でありませんので、今後この法律が成立をいたしました暁におきましては、そういったそれぞれの団体に直接渡航費を出すという形に漸次改めていきたいと考えております。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次は大臣に伺いますが、私は社会教育団体スポーツ団体に限って、先ほど大臣の御意見を承わったわけでございますが、その際私は、スポーツを除く社会教育団体に対する地方自治体の寄付行為ですね、これは私は、法にそむいた寄付行為が、助成行為が相当数行われていると思う。特に地方自治体の首長の選挙を前にしているような年度においては、再び立候補しようという首長の選挙戦の思惑もあって、社会教育法上からいかがかと思うような助成がかなりなされていると私は確認をいたしておりますが、そういう事態に気づいておられないかどうか。もし気づいておられないとすれば、調査をしていただきたい。また、そういう事態があれば、内閣としてもしかるべく注意を私は喚起さるべきだと思いますが、これらの点についてお答え願いたいと思います。
  38. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 地方団体も国と同様に、社会教育関係団体に対しては補助してはならないということになっておりますることは御承知通りであります。従いましてこの精神に反するような行為が行われておるといたしますならば、これは是正して参らなければならぬ問題だと思うのであります。ただ問題といたしましては、実際問題といたしまして、実際の必要からしてこの法律には触れないやり方で実質的な助成をしておるというようなものもあるいはあろうかと思うのであります。そういう問題につきましては、本筋に戻るように今後とも考えていかなければならぬかと考えます。また、もし今のお話のような別の意味をもちまして今のことが行われるというようなことでありますれば、これは地方団体に対して指導の立場にあります政府といたしましては、十分に考慮しなければならぬ問題であると思っております。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さらに承わりたい点は、前文部大臣の当時も私は質問をいたした次第ですが、その後発展していないようですから、この際重ねて灘尾文部大臣に伺いますが、学校体育社会体育を総合的にこれを所管して参る体育の総合行政機関というようなものが、日本では私は整っていない、かように今の私は行政機構を批判しているわけです。内閣に、もちろんこれは行政組織法に基いていないけれども、とにかく審議会というものを設けてスポーツ振興をはかられようとされている文部大臣としては、まず私はそういう総合的に体育行政を扱うところの行政機構を整備される必要があると思うのです。この点についていろいろ申し上げたいのですが、一つ具体的な例をあげますと、たとえば義務制である中学校の全国的な体育大会というものは奨励してない、今のところ禁止してある。ところが司法省関係では、少年不良化防止というような立場から、全国的に野球大会を催す、それについては何ら文部省にある体育行政機関としては周知していない、タッチしていないというような形は、私は全くちぐはぐだと思うのですね。さらに文部省内の社会教育学校体育に限定いたしましても、必ずしも私は有機的に総合的に行政が運営されているとは思いません。これらの点について大臣はどういう反省を持たれて、さらに今後どういう構想のもとで体育行政を適正に活発に行なっていかんとするのか、御所見を承わりたいと思います。
  40. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 国民体育振興いたしますためには、各方面の協力が必要だろうということは私も考えます。従いまして、必ずしも文部省関係だけでなくて、他の方面におかれましても、いろいろな形において体育のことをやっていただくことを大いに歓迎すべきだと存じますが、同時にまたこれがあまりばらばらになるということももちろん考えなければなりません。お話の点は、文部省体育行政に関する機構でも考えたらどうか、こういう意味だろうと思うのでございます。これにつきましては、前大臣のときにも考えられておることでありますし、私も引き続いて、予算の際に文部省体育局というような機構を一つ設けたいという趣旨でもって大蔵省と折衝もいたしたのでございますが、遺憾ながら今回はその目的を達することはできなかったのであります。しかし、この考えは捨てておるつもりはございません。今後ともその方角に向って努力して参りたいと思います。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その問題は、戦後長きにわたる問題でございますから、おそらく大臣も長く文部大臣に就任されているのでしょうが、大臣の就任期間中に一日も早く解決されるよう、さらに御努力いただきたいと思います。  国民体育振興という立場から、国民体育大会昭和三十三年の富山県開催までが決定確認されているわけですが、御承知のごとく、地方財政も前向きの姿勢になってきておりますし、こういう状況であれば、国民体育大会というものは三十四年以降も継続されるように、文部大臣としては努力され、またそういう見通しである、こういう立場に立たれているものと思いますが、念のために承わっておきます。
  42. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 国民体育会につきましては、御承知のような事情で、地方開催することについてかなりの制約が今日あるわけでございます。ことしは静岡県で開催するということになっておるのでございます。今年以降のことにつきましては、まだ確定をいたしておるわけではございません。今お話しになりました富山県は、これは熱心に富山県で開催することを希望しておられるという状況でございます。この問題につきましては、事の起りは、私の承知いたしておりますところによれば、地方の財政がかなり苦しい、そういうふうな状態のもとに、無理に国民体育会というふうなものをやって、また地方の負担を重くしたり、あるいは赤字の種を作るというようなことは避けたらばどうかという、地方財政上の考慮が主たる理由であろうと思うのであります。そういうふうなことから、今日までとられました措置もあるいはやむを得なかったという点はあろうかと思いますけれども、一面におきまして、これを開催することの可能な府県も私はあるだろうと思います。それからまた、国民体育会をやはり地方に、あちらこちらで開催するということが、国民体育振興の上から申しますというと、非常に意義があるというふうにも私は考えるのであります。そういうことでありますので、今日とっておりますところの方針については、実は再検討いたしたい、こう考えまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、今回開催しておりますところのスポーツ振興に関する審議会一つの問題として検討を願っておるような次第でございます。できることならば、やはり各地で開催することがけっこうではないかというふうに私は考えております。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一、二点伺いますが、メルボルンのオリンピック大会参加費用ですね、この一部を競輪の収益金から寄付を仰いだということがきっかけとなって、体育協会からラグビー協会の方が離脱されたままになっておりますが、まことに私は遺憾なことだと思っております。これも、結局は派遣費用が不十分であるところから起ったことと思うんですが、私の党では、地方財政に対する競輪のプラスという面は微々たるものに最近なってきつつあるし、むしろ弊害が多いので、競輪、モーターボートは廃止するという党議を決定して、その意思表示をしておるわけですが、ちょうどラグビー協会の離脱という問題は、競輪の収益金をもって派遣費の一部に充てたということで、意見が対立して分裂という形にまでなっているわけですが、この国際競技大会選手を派遣する場合、競輪とかモーターボート等の収益金をもって遠征費の一部に充てるというような、こういう行き方を文部大臣としてはどういう見解を持ってながめておられますか、この際承わりたいと思います。
  44. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 国際的なスポーツの会に出場いたしまするために、競輪等の方面から寄付金を受けたという事実はあるように承知いたしております。これも、お話通りに、各関係団体がその派遣費用の捻出に苦しんだ結果の産物であろうと、私は思うのであります。もとより、競輪といえども今日公認せられておる事業でございますので、そこから金をとったことがどうであるとかこうであるとかというふうな論定はよほど慎重にしなければならぬと、私は思うのであります。私一個の考えとしてこれはお聞き取り願いたいと思うのでありますが、私はさような事態はきわめて望ましくない事態だと考えております。できることならば、そういう方面からは一つアマチュア・スポーツについては金をもらわないでやってもらいたいというのが、私一個のこれは考え方でございます。今回のこの立法をいたしまする心持の裏にも、多少はそういう点も考え、できるだけ必要ならば国でめんどう見ようというような心持で実はこの立法もお願いをしておるような次第でございます。今後の推移はどういうことに相なるか存じませんが、私一個といたしましては、さような心持を持ってこの問題をながめておると、御承知を願いたいと思うのであります。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それと関連して伺いますが、国民体育大会主催する自治体が、その開催費を捻出する立場から、その自治体が持っておるところの競輪場において、臨時に競輪を行なって、その収益を充てるという立場から臨時に開催することを通産省に要求するというようなことは私はあるべきでもないし、またかりにそういう申請があったからといって当局は許可すべきものではない、国民大会はそういう形で私は開かれるべきものではないと、かように考えますが、大臣の御所見はいかがですか。
  46. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私の一個の心持はただいま申しました通りでございます。競輪の仕事が地方財政を援助するためにできておるようなことにもなっておりますが、実際問題として万やむを得なければこれはいたし方がなかろうと思いますけれども、願わくばさようなことのないように希望いたしておる次第でございます。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に承わりたい点は、先ほどもちょっと出ました、内閣に設けられましたスポーツ審議会ですが、この委員には労働者の代表を入れられてないように私は新聞で拝見しております。スポーツ人口をふやすという立場から私は全国的な、この労働者を結集した団体の代表等はそういう審議会委員に入れて、いろいろと意見を述べていただくことがいいのではないかと思っていますが、この点と、それからこの審議会に対して、具体的に大臣がこの点を研究していただきたいという、まず第一番の大きな問題として御研究を願おう、まあいわば諮問をしようという問題はどういう案件でございますか、その二点について承わりたいと思います。
  48. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ただいま会議を開いておりますので、その研究をお願いしております題目は、一つは国内スポーツ振興に関する方策いかんという問題、いま一つスポーツの国際交換を促進するための方策いかん、こういう大体二つの項目について検討をお願いいたしております。  それから委員ですが、これは二十人の委員をもって構成いたしておるのでありますが、スポーツ関係する各方面の権威者を網羅したいという考えのもとに人選もいたしました次第であります。必要に応じましては、またたとえばただいまお話しになりましたような労働関係の方の御意見を聴取するというようなことももちろんできるわけでありますが、委員といたしましては特にどの産業界のどの部門、あるいは労働界のどの部門というようなところで選考はいたしませんで、スポーツ関係の深い方々を委員としてお願い申し上げておる次第でございます。
  49. 野本品吉

    ○野本品吉君 きわめて簡単なことですが、お伺いいたしたいと思うのです。御承知通りに来年の五月に東京都において第三回のアジア競技大会が開かれる、都としてもこの受け入れ態勢の整備をいろいろと考えられておるようでありますが、この大会はやがての国際オリンピック競技大会にもつながるものであるようにも考えられますし、また国民体育振興あるいはアジア諸国と体育を通じての善隣友好、こういう点におきまして相当重大な意義を持ってくると私は考えるわけであります。このことにつきまして、国といたしましてはどんなような心がまえでおられますか、どういうふうにお考えになっておられますか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  50. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 来年の五月に東京で第三回アジア競技大会を行う予定をもちまして、今いろいろその準備をいたしておる次第でございます。これにつきましては政府もその計画に参画をいたし、また政府としてできるだけの協力はいたしたいと考えております。  次のもう一つの問題は、お話のように、国際オリンピック日本に招致するという問題でございます。これは年来わが国といたしましてその運動をいたしている次第でありますが、政府におきましても、これが実現のためにできるだけ尽力したいと考えております。
  51. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいまの大臣の御答弁で大体わかりましたが、私も来年のアジア競技大会というものを、国内的にも国際的にも、どういうふうに価値づけるかということにつきましては、会場の所在地はもちろん、国といたしましても十分な考慮を払って万遺憾なきを期すべきである、まあ、かように考えている次第であります。それだけです。
  52. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この改正はまことに私は趣旨としてけっこうだと思うのですが、大臣予算分科会でもちょっとお伺いいたしたのでありますけれども、この運動競技という解釈でございますね、これはまあスポーツという意味だろうと私は思うのですが、非常にばく然としている。まあ、たとえばゲームというか、勝敗を争うことを主とするものと、そうでないものとある。そこでたとえば山登り、登山といったようなもの、これにまあ全国的な事業を行うことを主たる目的とするものがあれば、こういう団体にやはり補助考えられるかという点をまずお伺いいたしたいと思います。
  53. 福田繁

    政府委員福田繁君) お話の点は、レクリエーション等を行います団体についても補助対象になるかどうかというような御質問のように承知いたしたのでございますが、この法律は「運動競技に関する全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする」団体と、こういうふうに書いてございますので、運動競技に類似のものでございますけれども、問題のレクリエーション活動等を行いまするところの団体については、たとえ全国的な団体でありましても直接この法律対象にはならない、こういうように解釈しております。
  54. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 レクリエーションと何も限定する必要はないのですが、運動競技スポーツがどういうふうに国の中で行われているかという様子を見ると、これはいわゆる国際競技1これはオリンピック種目に入らないところのテニスというようなものは非常に国際競技としてはなやかなものであることは事実です。この国際競技というものに力を入れられるということは私は納得できる。これはまあスポーツ振興には非常に大事だし、国際親善にも大切なものであると思うのですが、国内でスポーツが行われている、広い面でどういうふうに行われているかということを見ると、むしろ国際的な競技に出場する、あるいは国内の大会に出場する選手というものは数はきわめてわずかであって、たとえば学校にしろ、社会団体にしろ大ぜいの人はわずかの広場でスポンジボールをやる、あるいはテニスボールをやる、あるいは最近はサイクリング、あるいはハイキング等も非常に盛んになってきておる、私は社会教育面におけるこういうスポーツを取り上げた場合には、こういう面の振興あるいは善導ということは国際競技を主としたものの団体補助する以上にこれは大事だ。なおいわゆる選手養成というようなものはピラミッド型になっているので、全国のいわゆるスポーツ層が広くなることがまた優秀な選手、国際的な選手が出る原因なんです。たとえばピンポンのごときはその適例でもあると思いますが、かような意味からいったら私は解釈の仕方を、もう少しそういった意味で先ほど局長が言われたレクリエーション的に行われているスポーツ等についても適用するように考えるのが私は至当であり、また効果があるのではないか、かように思うわけです。現在はそれは入っていないというように局長は言われましたが、大臣はそういう点についていかに考えられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  55. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この法律適用を受ける団体範囲という意味から申しますれば、局長が申した通りだろうと私も考えております。ただしかしお話のように国民スポーツ振興をはかる。国民スポーツを普及させるという意味合いにおきましては、必ずしもここで書いておるものに限定する必要はもちろんないと思います。広くそういうものにつきましても、健全な発達を遂げるように尽力して参りたい。今回政府の方でスポーツ振興関係審議会を設けて検討を願っておりますのも、これは広く国民スポーツ振興はこれからどうしたらいいかというようなことを、御検討願っておるようなわけでありまして、決してこれを狭く限定する趣旨ではございません。ただこの法律適用関係から申しますと、お話のような点はこれは入らない、私もこのように考えております。
  56. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 さらに伺いますが、いわゆる国際競技、あるいはそういった選手主義のスポーツ主催し、あるいはこれを世話しておる団体がいわゆる日本体育協会だと思うわけです。これは明らかにそういった競技ということに中心を置いて、優秀な選手の指導養成をしていく、ここに重点を置いていると思う。ところが一方国民の各層に非常に広く広まっているいわゆるレクリエーションとして行われるようなスポーツを指導する民間団体というものは、現在のところはあまりない。私これは一つ関係しているので非常に言いにくいのですが、日本レクリエーション協会というものが実はあるにはあるのです。これは三笠宮殿下を総裁にいただいて由緒ある団体であるわけですが、これがはなやかさがない。いわゆるオリンピック出場というような名目があれば、あるいは日本的な選手権を争うというような名目があれば、だれしもこれに応援するということはこれはあると思う。しかしそういったじみな国民的な体育、あるいは生活改善のためにやっている、そういったものに対してはきわめて冷淡と申しますか、一般の支援がない。私はこれは大臣のお考えとしてこの法律適用、不適用を伺っているわけではありませんで、将来そういった場合に、いわゆる体育協会を国として援助するならば、一方そういったレクリエーション協会というような性質のものも援助する、これがいわゆる選手本位のスポーツの奨励、あるいは非常に国民の階層に広く行き渡っておる、レクリエーション的な行き方をしておるスポーツの指導、善導ということ、この両建てを考えられるのが私は文部大臣としては当然ではなかろうか、かように考えるわけですが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  57. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御趣旨のあるところにつきましては私も全く同感であります。私は国民スポーツ振興をはかりたいという考えにつきましても、ただ単に競技本位の、ことにまた選手本位のスポーツ振興ということでなくて、先ほどもお話がございましたが、スポーツ人口をうんとふやしていくという方角に向って進んで参りたいと思うのでありまして、三十二年度まことにわずかでございますけれども、二千万円ばかりの経費を計上いたしましたのも、さような趣旨があるものと御承知を願いたいのであります。で、この法律につきましては、先ほどもちょっと他の委員の方の御質問にお答え申し上げたのでございますが、現在の社会教育法の原則といたしまして、国あるいは地方公共団体が、社会教育関係団体補助してはならぬというふうな原則があります。その例外をお認め願いたいと思いまして、かような立法をいたしたわけでございますが、社会教育法のその原則に対しまして、今後どういうふうにこれを運用していくか、その点につきましても十分検討を必要といたしまするし、また現にスポーツ審議会等では、国民スポーツ振興に関する方策も諮問いたしているわけでありまして、それらの検討の結果を待ちまして、また次の施策について考えて参りたいと存じます。
  58. 吉田萬次

    吉田萬次君 加賀山委員のに関連して……。先ほど加賀山委員からレクリエーション云々ということが出ましたが、私もレクリエーションという観点からだけじゃなしに、やはり社会教育という方面から考えましても、今日農村におけるところの娯楽というものが非常に少い。しかもスポーツに関することについてはきわめて恵まれておらないというような点を考えております。近時自転車に乗って遠くを旅行する、いわゆる名所旧跡をたずねるというような行為が相当盛んになってきたと思います。これにつきましては、地方団体としてもやはり補助などということもありませんですけれども、しかしこういう事柄というものは、一面において団体的な行動ということ、あるいは名所旧跡をたずねるという情操的な教育という方面から考えましても、私は実に意義の深いものであると思うのであります。従って社会教育というものの観点からして、かような行為というものに対して、あるいはかようなことを主体とする行動について、相当考慮せなければならぬと思う。これは農村におけるところの青年というものの指導ということに対して、私は重要な一つの問題であると考えまするが、かようなことに対するいわゆる社会教育という観点からの補助とか、あるいは奨励とか何とかという意味において、文部省としての方針はありますか、どうですか。
  59. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ただいまお述べになりましたような事柄は非常にはいいことだと思うのであります。文部省といたしましても、社会教育行政の一部といたしまして、青少年の野外教育活動、こういうようなものは奨励をいたしているような次第でございまするが、今後ともにかような健全な、しかも情操を涵養するというふうなものにつきましては、できるだけ奨励、援助して参りたいと存じます。
  60. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと簡単に……。この法律を「当分の間」と限定した理由が局長の御説明の中に簡単に書いてあるわけでございますけれども、今、まあ大臣の御答弁から伺いましても、将来さらにオリンピック等に、まあ競輪等の費用を使わないでいけるような配慮も幾らかこの法律には含まれているというような、これはどうもそういうふうに断定するのはちょっと無理かもしれませんけれども、お気持はそういうお気持も含まれている、こういうお話ですから、またこういうやり方が非常に必要だということは各委員とも御指摘になったところなので、そうだとすれば私は「当分の間」というふうにしなくても、むしろ将来これはもっと拡充すべきものだと、予算の面からも、対象の面からも、こういうふうに思いますので、私は「当分の間」ということについては、実際は不必要じゃないかという感じを持つわけですが、どうしてそういうふうになさったか。もう一度一つ、これは局長から御説明願えればけっこうです。
  61. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいま御質問のありましたような趣旨ももちろんあると存じますが、立法上の問題としては、これは社会教育関係団体性格と申しますか、これは第十三条にも明瞭になっておりますが、そういった性格の点と同時に、こういった補助を出す道を開くということは、まあ緊急な必要性があるという観点からやったのでございまして、今おっしゃるような点もございますので、将来にわたっては社会教育法の全面的検討ということを予期しながら、こういう措置考えたのでございます。
  62. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではこういうふうに解釈してよろしゅうございますか。この法律社会教育法の例外規定だから、その例外規定を恒久的なものにするということには立法上にもやや問題があるのじゃないかというような観点から、趣旨はそういう気持だけれども、特にこういうふうに「当分の間」という字句を挿入したのだ、こういうふうに解釈したのでいいわけでございますか。
  63. 福田繁

    政府委員福田繁君) 問題があると申しますよりもこういった十三条のような本則がございますので、それに対して一応例外措置を講ずるという場合には、とりあえず緊急なものに限定して、しかも将来の見当を予想しますと、やはり当分の間の暫定措置にしておいた方がいいと、こういうような考えからやったのでございます。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは憲法問題とか何とかそういうことを言おうというのじゃないのです。どうか御用心なさらないでお答えを願いたい。(笑声)これはほんとうのことを言っておるのですから。で、この法律が今のように体育協会だけに補助するという法律であれば、確かにおっしゃるような問題があると思いますけれども、そうじゃなくて、この対象とする団体はこれは固有のものじゃなくて、こういう条件に当てはまるものという規定ですから、従って必ずしも言われるように今ここは緊急だからと、そういうものではないと思う。それからこの本措置の緊急な必要性というものも今言われた通り、将来もっと対象も広げていこう、それからオリンピックを言うのも変ですけれども、まあ例外を引けばオリンピック等もこういう措置によってやつていこう、こういうことであれば私は法律の精神としては将来にわたってやっていこうという気持が当然あるべきだと思うのです。ただ社会教育法の建前がああいう建前になっておるから、そこはまあ憲法の建前がああいう建前だからそこでこういう法律があまりそういうふうに正確になってくると若干問題も起るかもしれないというようないろいろそればかりでないでしょうが、そういった点も考慮してまあともかく「当分の間」ということにしたのだといえば私はそれで了解できるのですが、そういうお考えではないわけですか。
  65. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この条項のただいま湯山さんの御解釈、しいて反対をいたそうとは思っておりません。この「当分の間」という言葉を作りますのにはお話にありましたようないろいろな事情もございまして「当分の間」といたしたわけでございます。わが国の国情の上から申しましてこれがそう簡単にやめられるものとは私は考えておりません。むしろさらにこういう考え方が発展していってもっとはっきりした立法措置考えられる時期もおそらく起るであろうというふうに私は考えるのであります。ともかくいろいろな都合がございまして、「当分の間」というふうに御了承願いたいと思います。
  66. 湯山勇

    ○湯山勇君 了解いたしました。
  67. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 私ここから質問をするのはちょっと面はゆいのですが、許していただきたいと思うのですが、私はこの財団法人体育協会の問題と関連して、財団法人日本相撲協会についての質問をちょっとしたいと思うのですが、いろいろと衆議院において検討されて、そうして現在衆議院においては要望を四カ条にまとめて、これは文相に提出し善処を願うということになってきておると思うのですが、あの四項目を見ると、第一項目は、この相撲協会の定款の目的の第一項に相撲専修学校の設立、維持、こういうものがあります。これは現在できておりませんが、これを通して相撲道の発達に寄与して奨励していきたい。それから第二項は茶屋を廃止すべきである。それから第三項はいわゆるお客さんに見せる場合にあの状態では万一火災、その他があった場合に危険ではないか、ああいう「ます」のようなもので狭い所に大ぜい詰め込んでおいて一朝事があったときにはあれが非常な災害を呼ぶ問題であるから、ああいう「さじき」その他の点についても検討を加えていかなくてはならぬ。それから第四項目においては年寄り制度というものの待遇の改善、あるいは社会保険にこれを適用させていくような方途を講じなければならぬ、こういうふうにしぼっておりますが、私の考えでいうと、そのような目的が達成せられた場合に、これが公益法人としての資格をそれでは持っているかという問題になると思うのですが、その点、これは局長に御答弁願いたいと思うのですが、いかがですか。
  68. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問でございますが、衆議院の文教委員会でお示しになりました四項目の関係でございますが、この相撲協会の財団法人としての性格と申しますか、あり方についてはいろいろ問題があろうかと存じます。従って果して今お示しになりましたような四項目を完全にすれば財団法人として公益性があるかどうかというような点は、よほど検討を要すると存じております。と申しますのは、現在この寄付行為の中には直接現われておりませんけれども、相撲協会自体としては、今お話のような学校を設けるとか、あるいは学生、青年団、その他に対しまして相撲を普及するとか、あるいは力士の養成とかいろいろな公益的な事業を掲げてございますが、そのほかに相撲興行をやっておりますこの相撲興行の比重が財団法人相撲協会の事業の中でかなり大きな比重を占めておることは御承知通りでございます。従ってこの相撲興行のあり方というものが、やはり現在の相撲協会としては相当重点になってくるのではなかろうか。かように考えておりますので、この点をさらに相当検討いたしませんと、今御質問のようなその四項目のみで財団法人の公益性を持つかどうかという点は直ちに言えないと存じます。
  69. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 私はもしも以上の四項目で大体相撲協会の姿が財団法人に適するということになると、たとえばプロ・スポーツの中で野球などは子供も大人も、男女を問わず非常に愛好されておるわけです。これは今株式会社でやっておりますが、この野球連盟がやはり野球学校というふうなものを作ってそうしてプロ選手の現役に役に立たないような方々をここで養成し、そしてそれによって斯道の発達に資すると、それからもちろん野球には茶屋などというものはないのですからこれはいいとして、次に野球場を危険のないように整備はしてありますし、それから野球連盟の係員、そういったいわゆる従前の、今までやってきた人々の待遇、その他のものを考えればこういったプロ・スポーツ財団法人として適格であるというふうに、やはり相当要望が出てくるというふうに私は考えるのです。そうなってしまうというと、文部省として所轄している公益法人に対するところの取扱い方が非常に混迷してくるのではないか。混迷したあげくの果ては結局解決がつかないということになってしまえば、これはやはり大きな問題だろうと思うので私は質問しているわけですが、従って現在こういうように非常にウエートを持っている大日本相撲協会に対して財団法人ということを許可したことは逆にありがた迷惑ではないかという意見もあるし、これは間違っておったんではないかという意見もあるのです。あの賜杯にしても天皇から下されたものではない、金一封をもらったのを協会が勝手にああいうふうに賜杯を作って、そしてあれを天皇杯という名前をつけて宙ぶらりんな性格にしてしまったということも言われておるわけです。私は相撲協会にとやかく言うわけではなくして、相撲協会が興行的に成り立たない、すっきりと財団法人に適格になるようなことになったならば、興行的に成り立たない場合は、やはりこの同じ財団法人体協に国が補助しておるわけですから、やはり筋を通して考えればすっきりさして、それでなお相撲というものが全国民に愛好されておるし、これを発達さしていこうと、維持していこうという気持国民に私はあると思う。そうなればそういう形の中で国の補助金を出してまぎらわしくないようにすることが協会としてもいいんではないかと思いますし、監督しておるところの文部省としてもこういう問題についてわずらわされることがないと思うのですが、その点いかがですか。これは灘尾文部大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
  70. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ごもっともな御質問でございまして、この問題につきましては、先ほどお述べになりました通りに、衆議院の文教委員会の方からも私に対する御要望も出ておる。われわれといたしましては、省内の保健体育審議会意見も徴しておるようなわけでございまして、何とか適正な結論を得たいと思いまして今お述べになりました点も確かにあると私は思うのであります。この問題の解決の方法につきましてはいろいろ考慮すべき点があろうと思うのでありますが、お述べになりましたような点も十分頭の中に入れまして、今回はできることなら一つすっきりした解決を見たいものと、かように考えておる次第でございます。
  71. 岡三郎

    委員長岡三郎君) そこでその中で一番悩ましい問題は、やはりこの大日本相撲協会が興行にウエートを多くしてやっていかなければならぬということ、これは力士の養成をしたり、あるいはああいうふうな団体を維持していくためには相当の収益を得なければならぬということもわかるわけです。  そこで今度は角度をかえて見るというと、先般の朝日新聞にも、協会はどうしたらいいかというふうに、これは攻撃することではなくして、これをみんなで考えてやる必要があるのではないかというふうにも出ていたと思うのです。そしてこの茶屋制度とか、そういったような随伴して起っている問題ということも重要ですが、財団法人、公益法人というものを許可する場合に、文部省としては今後やはりこういうふうなあいまいな点を残しておけば、これはいつまででもひっかかってくるということをお気づきになっておられると思うのです。大日本相撲協会の現在の性格というものは、これはもう興行がほとんどであるということになってくるというと、やはり相撲協会に対しては、君たちはどうしても興行を中心にして日本のいわゆるその相撲道というものを発揚していきたいというならばその方向へ行ったらどうかというふうに私は積極的に言って、そしてその中で相撲法人というものを作っていくということになるとほかの方の面がまた出てくるという心配があるならば、やはりこれは一方においては株式会社として堂々と彼らが希望しているところの茶屋も温存し、そうしてその他の面についてもやっていく、しかしその反面においてその相撲の国民的普及というものは別個にやはりその財団法人を作って、そうしてそれと唇歯輔車の関係でやらせるならやらせるとその間に明確に一線を画してやらなければ私はとてもこの難問題に適当な妥当な結論が得られないのではないかと思っておりますが、これは意見にわたりましたが、一つ意見ですが……。  私は次に、先ほど言ったようにあの衆議院の四カ条では法人に適格にはならぬと思う。それは今言ったように、他のプロ・スポーツとの関係から考えてみてもすぐ私は御判断がつくと思う。そこで相撲興行を中心にやっている大日本相撲協会に対して、今言ったような私は文部省として意見を出していくべきだと思うのですが、私は現在の保健体育審議会の中で検討している問題についても聞いておりますが、なかなかこれは思ったような方向へ行かぬようなことを聞いておりますが、私の意見としては、これは財団法人でいくということはかえって工合が悪いというふうに文部省考えられていると思うのですが、その点いかがでしょうかね。
  72. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現状のままでは工合が悪いということは、これははっきりしておると思うのであります。どういうふうな解決策を立てるかということにつきましては、まだ文部省といたしまして結論を得ておるわけではございません。先ほど申しましたような機関の意見も徴し、また皆さん方の御意見も伺い、文部省考え方をきめて参りたいと思いますが、いずれにいたしましても、しかしお言葉にもありましたけれども、私は一方的に一つの解決策を押しつけるというようなことよりも、これはどうしたらいいかという意味におきましては、協会自体に一つ考えてもらう必要があろうと思うのであります。そういう意味におきまして十分一つ協会の相談相手になって参りたいと思っておりますが、協会自身がいかにすべきやということを十分一つ考えて、一番妥当なところで結論を見出し、その結果によりましては、ただいまお話になりましたような点につきましても何らかの措置を講じなければならぬということになるのではなかろうかと思うのであります。現在といたしまして委員長のお述べになりましたような意見も確かにあるのであります。私どもも伺ってもおります。そういうふうな問題も十分頭の中には入れておるわけでございますが、今こうするという結論を作り上げているという段階には至っておりません。
  73. 岡三郎

    委員長岡三郎君) その点について灘尾文部大臣においては私はそれでいいと思うのだが、社会教育局としては、これは今始まった問題ではなくて、かなり前から問題になってきて、国会で論議されたのは今年になって初めてですが、相当社会教育局としては頭を悩ましてきた問題だと思うのです。それでわれわれの考えとしては保健体育審議会にかける前に、やはりかける試案というものを局としては一応考え財団法人として認可しているわけですから、その監督指導をしなければならぬ建前上、これはこうしなければならぬという考え方は一応あると思うのです。なかなかデリケートな問題だから申し述べられない点もわかりますが、あると思う。だからそういうふうな点について私がこれ以上無理にお聞きしませんが、私は日本においてやはりプロと、それからアマ・スポーツというもの、このけじめが非常につけかねているのではないか。外国においてはプロ・スポーツというものは相当発達しておりますから明確になっておりますが、大日本相撲協会自体というものは、私はプロだと思うのです。プロなるがゆえに興行を主としてやっているのではないか、こういうことに考えるのですが、このプロというものを公益法人としていくということを依然として認めていくということになったら困ると思うのですが、その点どうですか、社会教育局長
  74. 福田繁

    政府委員福田繁君) お話のような点も確かに検討を要する点だと存じますが、プロ・スポーツだから財団法人に、あるいは公益法人になれないという結論は直ちには出てこないかと存じます。と申しますのは、この財団法人性格なり、あるいは事業というものをよく検討する必要があると思います。従ってまあ現在相撲協会は財団法人で昔から認可しておりますので、その財団法人としてのあり方を研究いたしておるわけであります。大筋はただいま大臣から申し上げた通りでございます。私どもとしては事務的にいろいろな案が、あるいはいろいろな方法が考えられるとしますれば、それを残さずいろいろ検討しまして、また各方面意見も聞きましてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  75. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでこれは文部省の方でお調べになっているかどうかわかりませんが、テレビで非常に相撲が放送されますね。で、この栃木等で調査した結果が、教育委員会で調査した結果が出ておるのですが、その相撲が興行されておるときの学校におけるけがは非常に体育、あらゆる運動、スポーツの中で相撲が一番多いという統計が出ているのです。というのは、このプロの相撲とアマの相撲とは違うということを言われておるわけです。現在の相撲要目ですね、体育における相撲要目においても、プロ・スポーツの現在やっている相撲と違うということを言っておるのだが、子供はそういうことはわからないからただ取っ組んでまわしのかわりに手を使ってそれでやるから非常にけがが多い。こういうふうな現象から見て相撲選手学校を作って、プロ・スポーツのそのままの人を体育指導に向けておってもこれは実際目的を達成できぬじゃないか、こういう意見も現在一部においてはあるわけなんです。それでこの体協の中においても日本相撲連盟というものがあるし、一面においては小学校の相撲を指導するための教師の機関として相撲研修会というものがあるということを聞いておりますが、この学生、青年団その他について、相撲を中心として体育の指導奨励を大日本相撲協会がやることがふさわしいかどうかという点についての御検討もこれはわずらわさなければならぬと思う。ということは、プロ出身の相撲が指導してはいかんということを言っておるわけじゃないので、相撲選手学校を設立し、学生なり青年団なり子供たちに指導するということが現在の機構の中でできるのかどうか。これを、結局利潤追求のために前の指導部というものをやめたということになったということを聞いておりますが、根本的に私はやはりアマチュアのスポーツの相撲とプロの相撲というものは違うのだ、野球とかその他のものとは比較にならぬ違いがあるのだということで、その問題をやはり検討してもらわぬと私は困ると思う。つまり大日本相撲協会自体がアマチュアのスポーツとしての相撲を指導するということは、これは実際適格であるのかどうかという問題について、これは福田さんはどういうふうにお考えになっているでしょうか。
  76. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御意見のような点は確かに大いに研究しなければならぬ点だと私ども考えています。ただその前に申し上げておきたいと思いますのは、御承知だと思いますが、相撲協会で相撲選手学校を設立するというこのことにつきまして、衆議院でもいろいろ論議が出たのでありまして、二通り考え方があるようでございます。今おっしゃるような相撲の指導者を養成するという点と、あるいは若い力士を、弟子を養成するという面と二通り考えられるのでございます。どこに重点を置くかといえば、従来やっておりませんけれども相撲協会としては、むしろ後者の方に考えを置いているのではないだろうかという意見もあるのであります。それは別といたしまして、おっしゃるようなプロの力士がアマを指導するという点につきましては、よほどその技量的には非常にプロはすぐれておりますので申し分ないと思いますけれども、アマチュアに対してそれを、特に学生生徒に対してそれを指導するという場合には、よほどこの指導の仕方がむずかしいのではないかと思うのであります。理想的に申すと、そういったプロ力士と並んで、やはり体育の指導者というのがおった方がいいんじゃなかろうかと私ども考えるわけでありますが、と申しますのは、学生あるいは生徒に対する指導の仕方というものは、やはり教育的に相当配慮する必要がある、こういうように考える。従ってプロ力士のそのままを子供に移すということは、これはかなり危険な場合が生ずると考えております。そういった点にはよほど研究も要し、よほど指導の仕方を考えなければならないというように私ども考えております。
  77. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 最後に二つ三つやりますが、私は現在の相撲協会はやはり力士の養成は非常に金も要するし、困難も要するし、それから茶屋制度というもの自体も相撲と随伴して起っている問題で、なかなかこれは大きい問題だと思うのです。そういうふうな点で現在の状態から見れば、これを公益法人のワク内にとどめて、どうこうしようということがかえって相撲協会を奇型にしてしまうということも逆に考えられると思う、そういうふうな点からやはり積極的にこれは現在の興行の仕方というものを整備するということは当然であるとしても、この方向をやるとするならば、これは株式組織なり、株式組織を公開して株を他の者にとられるなんていうことを言っておりますが、これは特例を設ければ公開する必要もないわけですからそういうふうな形で、これは堂々と相撲というものを大衆に見せるという面で、これはやはり一つの興行としてやらせていくということと、それから相撲というものを国民に敷衍し、体育としてこれを振興していこうという場合においては、これは別個のやはり団体というものを作って、そうしてそれを財団法人なり公益法人にして、そして混合しないようにやっていく方法が、私は今の一つの解決方法ではないかと考えておるわけなんです。そうせぬと、これは一つの例になりますが、古い例をきょうは申しておきます、新しい例は申しませんが、古い例で言うと、協会が景気のいいときはいいが、景気の悪いときは云々という問題がありますが、しかし、戦時中に通産省あたりでゆかたでぶらぶら歩っている相撲さんを見て、これは工合が悪いというのできちんとした服地を配給したところが、服地はみんな横流しになって、そうしてあとは、相撲を見るというと、配給された服地を着てないで、そうしてゆかたでぶらぶら歩いている。一体あの服地はどこへいったんだろうといったところが、あれは役員がみんな横流ししているということを聞いておるわけですね。それから戦時中米の配給なんかも相当やったんだが、相撲は粉食その他でほとんど米は少い割当しかなくて、そういったものをどんどん横流ししてやっておったということを聞いておるわけなんです。これには証人がおるわけですが、現状においても、現在の大日本相撲協会における運営を見ているというと、脱税行為、それから背任濱職というふうな問題が明確にあるということを指摘しておる者があるわけなんです。私はきょうはそういうことを言いたくないけれども、結局、相撲協会内部のいろいろな運営ですね、こういったものに非常に困難がある。そういったために、一部の幹部に対する攻撃という形で表われてみたり、あるいは協会の内部における年寄りの問題として、まるで年寄り株が何百万円もとるというふうな形、茶屋の何百万円もとるというようなことからいろいろと金銭上のことにおいても紛議が絶えない、こういういろいろな問題を含んでいる協会に対しては、問題が表面化しない前に私はやはり文部省としては相当監督し、指導していくことが私は善意であろうというふうに実は考えておるわけなんです。そういう点で本日は具体的な問題に私は直接触れませんが、この問題については保健体育審議会にまかせておくことも、やはり一応の行き方だと思いますが、やはり文部省としても善意をもって相撲協会自体のあり方というものについて、もう少し法人格というものに対する責任があるわけです。法人としての許可する立場があるわけですから、そういうものが今後においていろいろな問題が発生しないように、この際一つ英断をもって相撲協会の幹部と十分話し合いの上で保健体育審議会の結論は近々に出るそうですが、やっていただきたいというふうに私はこれは要望をしておくわけです。体育審議会についての結論が、どういう結論が出るか刮目して待っているわけですが、私としては今後ともこの問題についてはやはり公益法人というものを文部省が今後プロに許していく場合、これが一つの基盤になり、今後の問題に影響を与えるということで私がここで言っているわけですから、もっと百尺竿頭一歩を進めて公益法人としてのワク内でどうしても相撲協会がいくというならば、抜本的に、そういうふうな他の団体からそういうことが言われないように、この際やる。それが無理ならば株式会社相撲協会と、それから別の国民体育指導という面については、これは公益法人にする、こういうふうなセパレートなやり方で、遺憾のないようにするというやり方が私は必要だと思うのです。そういう問題がどうもあいまいになるというと、いろいろとその協会内部というものが、陳情され、あるいはそれが具体的な話に乗り、そういったためにですね、必要以上に協会自体というものが内部的に私は崩壊するのじゃないかというふうにも、一面心配するわけです。私は、崩壊すべき材料というものが私としてはあると断言しておきます、ここで一つの問題として。しかしこれは今ここで言うべき問題でないから私は健全な姿に帰ることを期待して今公開を控えておきますが、しかし、私の方にそういう材料が具体的に一、二集まっておりますので、こういう点についても協会の内部と十分話をして、御善処を一つわずらわしたいというふうに考える次第であります。
  78. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) きわめて御理解の深い御意見でございます。  先ほど申しましたように、私もなかなか困難な問題でありますために、従来解決がおくれておったと思うのでありますが、この機会にできるだけこの問題の解決に努力いたしたいと考えている次第であります。  お述べになりました御意見につきましては、十分われわれの頭に置いて、また御要望の御趣旨につきましてはこれを尊重して参りたいと考えております。
  79. 岡三郎

    委員長岡三郎君) どうも……、以上で質疑を終ります。私の質疑は終ります。
  80. 高田なほ子

    高田なほ子君 意見にわたる質問になりますが、私はこの法案の必要性や緊急性については、善意をもって認めなければならないと思うのですが、根本的には法改正のあり方としては、かなり変則的なものであると考えますので、この趣旨に基いて、やたらにこれが拡大されることのないよう、と同時に、スポーツ審議会における審議等についても進んでおるようでありますが、できるだけすみやかにこの結論が出されて、正しい法改正が行われるように、私は強く要望したいし、またこれに対する時期の見通し等についても、大臣からも御意見をこの際承わっておきたいのです。  もう一つは、社会教育全般に対して、文相としては再検討の用意はないか。つまり文部省内における社会教育立場というものは、必ずしも重視されておる立場にはないように考えられております。しかし現在の社会から要求される、社会教育に対する期待と要望は、かなり強いものがあり、私は特に公民館の運営、あるいはまた公民館側から寄せられている、公民館に対するいろいろな諸法規の整備等についての要望等に対してもさらに文部省としては検討され、全般の態勢を整えていく必要があるのではないか、こういう意見を持っておりますが、これに対する文相の意見もあわせて伺っておきたい。  さらに先ほど矢嶋さんが触れられた問題でありますが、特に社会教育が十分に整備されないというところに、地方における封建的な空気の中で、かなり選挙運動等に小さな団体が悪用される危険性を持っています。私は社会教育を通して、正しい政治教育のあり方というものが指導され、善導されるということについては望ましいのでありますが、しかしそれが悪用、あるいは乱用の方向にいくようなことがあっては相ならない。なかんずく婦人団体におけるこの乱用等が各所に見られることは、私ども地方に参りまして非常に多く聞く点であります。こういう点についても十分御留意の上に、よい御指導がなされることを望んでやまないのであります。  総体的に言うならば、社会教育に対する再検討の用意はないのか、こういうところに尽きると思います。お答え願います。
  81. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この法案の形につきまして御意見がございましたが、私どももかなり変則的な形になっておると思うのでありますが、その趣意につきましては、先ほど矢嶋君の御質問にお答え申しました通りでございますので、御了承願いたいと思うのであります。  国民スポーツ、その他につきまして、目下体育スポーツ振興審議会に諮問をいたしておりますが、その結論は、早ければこの八、九月の候には出てくるのじゃないか、できるだけ次の国会には間に合わしたいというふうな心持で進行いたしております。  なお社会教育についての御要望でございましたが、御趣旨につきましては私全く同感でございます。今日の文部省の役割というものにつきましては、それは今の時代に即応して考えて参らなければならぬと思いますけれども、それにいたしましても、社会教育施設等に対する従来の措置というものが、決して十分でないということは、私も感じております。できるだけ予算、その他の面におきましては、これが増額をはかり、また検討を要するものにつきましては、これが是正に努めていく、かような考え方をいたしておる次第でございます。決して今の状態でもって満足をいたしておるわけでもございません。また皆様方の御示教によりまして、社会教育の充実振興ということにつきましても及ばずながら努力して参りたいと思っております。
  82. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    午後零時三十七分速記中止    —————・—————    午後零時五十三分速記開始
  83. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは速記を起して下さい。  他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  85. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、政府提案にかかる社会教育法の一部を改正する法律案に賛意を表します。  なおこの際付帯決議を付したいと思いますので、各派の共同提案による付帯決議を、便宜私から提出いたします。  その案文を朗読いたしますから、皆様の御賛同を仰ぎたいと思います。付帯決議の案文を朗読いたします。    附帯決議案   国民の体位向上と国際親善を図るため、政府は次の事項に関し特段の措置を講じ、その実現を期すべきである。  一、体育行政機構を整備充実すること。  一、国民体育大会地方持廻り制を維持すること。  一、第三回アジア競技大会の成果を充分に高めるよう必要な措置を講ずること。  一、国際オリンピック大会を東京に招致すること。  右決議する。  以上であります。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は社会党を代表いたしまして、本法律案賛成をいたします。  質疑の段階においていろいろと各委員から質疑をされ、また文部大臣が答弁された内容を積極的に公正に運用されて参るよう、特に強く要望いたしておく次第でございます。  なお、各派協議の上、野本委員から提案されました決議案が、本委員会で議決されました暁におきましては、この決議案の内容の実現のために、政府当局においては格段の努力をされるよう、強く要望いたしまして、本案並びに決議案に賛成の意を表する次第でございます。
  87. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 緑風会を代表いたしまして、本改正案に賛成いたします。なお、野本委員御提出の付帯決議もあわせて賛成をいたします。  ただ、先ほど質疑の過程で申し上げましたように、これは例外規定でございますが、当文部省においては、この適用について十分御検討になって、公正なことはもちろんのこと、真に日本体育、あるいは国際親善に役立つように運用せられんことを希望いたす次第であります。
  88. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  社会教育法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名     矢嶋 三義  左藤 義詮     大野木秀次郎 湯山  勇     高田なほ子  加賀山之雄     安部 清美  松永 忠二     関根、久藏  近藤 鶴代     吉田 萬次  林田 正治     川口爲之助  林屋亀次郎     有馬 英二  野本 品吉
  92. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、討論中野本委員から提出されました付帯決議案についてお諮りいたします。本付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  93. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致であります。よって野本委員提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
  94. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ただいまの各派の御提案による付帯決議の御趣旨につきましては、政府は十分これを尊重いたしまして善処いたしたいと思います。   —————————————
  95. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、昨日議題に供しました佐賀県における問題につきまして、その後の経過報告を聴取することにいたします。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  96. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  97. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 一昨日の午前六時を期して、佐賀県の警察本部におきまして検挙いたしましたその後の状況について報告するようにという委員長からの御趣旨でございますので、問題の点に関することを申し述べたいと思います。  一昨日、関係者の任意出頭を求め、また任意出頭を拒否された方に対しましては逮捕令状を執行いたしまして、合計十名の方について取調べを開始いたしたのでございますが、昨日、さらに二人の方に任意出頭を求めまして、これはいずれも任意出頭に応ぜられまして、取調べを進めて参ったのでございます。一昨日取調べを開始いたしました十名の方のうち、一名だけ、昨日検察庁の方に送致をいたしております。昨日任意出頭を求めまして取調べを開始いたしました二人の方につきましては、昨日の分は一応取調べを終りまして、本日再び任意出頭をお願いしておるというふうに報告を聞いております。  以上、御参考までに概況を申し上げました。
  98. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは、次に、文部省の方から報告願います。
  99. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私どもの方に参っておる報告は、主として現地の状況でございましたが、大体、現地が比較的平静であるということと、それから、県の教育長が佐賀県警察の本部長に対して、児童生徒に対する教育上影響がありますので、慎重に配慮されたいというふうに申し入れをした。これに対して、佐賀県警察本部長は了承したと、こういうふうに聞いております。
  100. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまの報告に対し、質疑のある方は、順次御発言願います。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの報告について、二、三点伺います。  一昨日、官房長官は、十二名の者に対して任意出頭を求めた、しかも、逮捕令状を準備して任意出頭を求めたと記者会見で発表されたと承わっているわけですが、石井長官の昨日来の報告と違う点があるわけですが、それはどういうわけでかように違う発表があったのですか。
  102. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 官房長官の方には口頭で連絡をいたしたために、あるいはお聞き違いがあったのではないかと思うのでございまして、私どもの方では、おいでを願う関係者は全部で十二名予定をいたしておりましたが、そのうちの二人の方は婦人の先生でございます。当初から逮捕令状執行ということは考えておらなかったのであります。従いまして、おいでをいただく全部の十二名という数字を官房長官はお聞きになって、それがすべて逮捕令状を執行予定の者、こういうふうに曲解されたのではないかというふうに想像いたしております。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、逮捕令状を準備して任意出頭を求めたというのは何名ですか。
  104. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 十名でございます。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのうち、現在逮捕されている人は何名ですか。
  106. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 十名でございます。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日の報告では八人でございましたが、その後さらに二名逮捕したということなんですね。
  108. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 昨日、八名ということを申し上げたように思わないのでございますが、もしそういうふうにお聞き取りになっておられるとしますならば、この機会に訂正をさせていただきます。十名というのが正しい数字でございます。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警察当局では、任意出頭を求める場合に、あらかじめ逮捕令状を準備しておいてそうして任意出頭を求めるというのが普通のあり方ですか。
  110. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 任意出頭で捜査の目的が達せられるならば、それが最も望ましいのでありますので、一応そういう態度で最初は臨むことを建前といたしておるのでございますが、それによって捜査目的が達せられない場合には、遺憾ながら逮捕令状を執行していただく、こういうことに相なっておるのでございます。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は昨日お伺いし、私の見解を述べたわけですが、任意出頭で私は十分調べ得ると思うのですが、しかし現地の警察はそういう認識に立たなかったにしても、一応の任意出頭で、ここで調べて、そうしてどうも捜査ができぬというような場合に逮捕令状を要求したというのならば幾らか話はわかるけれども、初めから十人全員に対して逮捕令状を準備して、そうして任意出頭を求めたということは、私の知る範囲内の他の事件の捜査の場合と違うと思う。よくわれわれ新聞、ラジオとかで見聞するところによりましても、任意出頭である程度調べて、一、二回調べて、さらに逮捕令状が出るという場合が普通われわれの関知しておるところです。逮捕そのものが目的ではなかったですか。しかもこれは教壇に立っている先生だから、生徒、児童に対する影響も大きいので、佐賀県教育委員会としては本部長に慎重な態度を要請したのでしょう、報告にありますように。それに対して本部長は了承されたという報告が文部省に届いているということですが、あなたの方では教育的な考慮も払って、できるだけ最小限にとどめ、早く釈放してほしいと、そういう配慮を払えという意味の連絡は現地にはとっておりませんですか、どうですか。
  112. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 全く仰せ通りでありまして、私どももそういうように考えておるのでございまして、不必要に長くとどめて取調べをするということは最も慎しむべきことでありますので、たびたび申しますように、いわゆる任意捜査、任意出頭によって取調べの目的を達するということが望ましいのでございますので、現地の警察に対しましても、事柄の性質上十分そういう点については慎重なる考慮を払うように前々から申しておりますし、今後の扱いについても重ねて注意を喚起いたしておる次第でございます。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 佐賀の教組の問題に関する限り秘密事項というのは何もないのですよ。私は書類で一切知っております。出せと言われるなら私を通じて出してもいい、その証拠隠滅をはかったり隠しておかなければならぬということは何もない、法的に法律の専門家等の意見も聞いて、合法的だというのでそれで手続をし、そういう決議機関の通達を出してやっているのであって、証拠隠滅をはかったりすることはない。従って、私は弁護士でもなければ検察官でもない、常識的に考えて、あなた方二カ月検討されたといえば相当検討したでしょうが、もう逮捕されて一昼夜以上経過しておる、それ以上私は逮捕する必要はない。逮捕そのものが目的じゃないかと思うのです。これは弾圧ですよ。私はそれほど日本の検察当局は捜査に当って無能力じゃないと思うのです。石井長官の方から早急に配慮を払って、佐賀県教育委員会の要請にこたえて、一刻も早く任意捜査の形に移るように連絡をとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  114. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 逮捕が初めから目的であるというようなことは毛頭ないのでありまして、先ほど来たびたび申し上げます通り、捜査の目的を達成すればいいわけでございますので、それを任意捜査の形をもって目的が達せられるならば、これが最も望ましいことでありますが、警察の側といたしましては、そういうことは十分に考慮したものと思うのでございまして、結果におきましては、先ほど来御報告しましたような結果に相なっておるのでございます。証拠のうち物的証拠については、これははっきりしたものはあると思いますが、同時に人的証拠といいますか、お互いどういうように、いわゆる共謀といいますか、どうしてこういう事態になったかというようなことの真相を究明する点につきましては、必ずしも十分でないというような点がありまして、遺憾ながら留置取調べを続行しなければならぬという必要があって、現地警察としてはそういう措置をとっているものと考えているのでございます。しかしながらたびたび申し上げます通り、一刻もすみやかに真相を把握し、捜査の目的を達してお帰りを願うというふうに最善を尽すべきことは当然のことでございますので、当委員会における皆様方の御意向も十分に現地の方に伝えまして善処させるように、重ねて注意を喚起することにいたしたいと思います。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの御報告では逮捕令状を準備して出頭を命じたのが十人と、それから逮捕令状を準備しないで任意出頭だけ求めたのが二人、合計十二人ですね。ところが、佐賀県の教育委員会が停職の行政処分をしたのは十一人ですね。その十一と十二の関係はどういうふうになっておりますか。
  116. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 行政処分と司法処分とは必ずしも一致をしないのでございます。行政処分を受けるような者は、おおむねまた今回の場合のような事件については刑事処分の対象になるというのが、まあ常識ではありましょうが、必ずしも一致しないということはこれはあり得ると思うのでございまして、従いまして行政処分をされました教育委員会の方におかれては、教育委員会においていろいろ検討せられた資料に基いて行政処分をされたものと思うのです。現地の警察は警察の立場において、いろいろ内偵捜査をいたしました資料に基いて刑事処分の対象として取調べの必要がある者を十名というふうに結論を出した、かように思うのであります。十一名と十二名の食い違っている数字につきまして、私ども報告に接しているところによりますと、行政処分を受けました十一名の方のうち十名が警察の取調べの対象になっているというような報告に接しております。
  117. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して。私はこの十名の逮捕についてもきわめて不当なものであると考えておりますが、伺いたいことは昨日の夕刊紙によりますと、二人の婦人の方が今の御報告のように任意出頭の形で取調べを受けていることが報道されております。しかしその報道の中でお聞きしなければならない点は、すでに四十一カ所も洗いざらい書物を持っていき、十名の者を不当に逮捕しておりながら、なおかつ二名の婦人教師に対して逮捕状が近いうちに発せられる旨の新聞報道があった。私はこの新聞記事の真偽のほどは知りませんが、まさか新聞社が架空なことを書くはずはないと思う。何がゆえにこのような不当な上にさらに不当な追い打ちをかけて政治的な効果をねらおうとするのか。私はまことに遺憾きわまりない点だと思うが、この真相について伺いたい、どういう方針なのか。
  118. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 私その新聞記事を正確に見ておりませんので記憶がありませんですが、ただいまのところ私ども現地からの報告に接しているところによりますと、逮捕令状を用意するというようなことは毛頭ないようであります。何か新聞社の取材された方の聞き違いか何かで、そういう記事になっているのではないかと思っております。
  119. 高田なほ子

    高田なほ子君 もちろん逃亡のおそれもない、かつまた多くの資料を捜査によって集めているのに、かようなことがあるべき筋合いのものではないと考えたのですが、新聞社にしても、このような報道については責任をもって報道されていると思っておるのであり、まことに遺憾な上に遺憾を重ねているものだ、こういう観点から質問をしたわけでありますが、さような方針でないということであれば、これはあなたの御報告をここで信じたいと思います。  次にお伺いしたいことは、先ほど矢嶋さんからの質問に対して、佐賀県の警察に対しては皆様の御意向を体して善処するように十分に私どもも注意し、かつ申し入れたいというような意味の御答弁があったのですが、私の聞き違いでしょうか。つかめないと思いますから……矢嶋委員の質問の要旨は、教育上きわめて本問題については非常な悪影響を持っておる、教育委員会の方からもこの点について憂慮をされて申し入れられた、こういうような御発言、それから警察当局に対しては、即刻これを釈放すべきであるという趣旨の御質問があったわけです。これに対して石井長官の御答弁は、皆様の御意向を体して善処するように申し入れたいというような御答弁があったが、善処ということは具体的にどういうことでありますか。どういう形で佐賀県警察に対して連絡をとられておるのか、善処の具体的な内容、これについてお伺いいたします。
  120. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 当委員会におきまして真剣に諸先生からいろいろ御意見の御開陳がありましたことを現地の警察当局に十分伝えまして、捜査をすみやかに続行し捜査の目的を達成して、一日もすみやかに身柄釈放のできるように最善を尽すように現地の執行責任者である佐賀県警察本部長の方に伝達をしたい、かように考えております。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 きのうからだんだんの御説明によると、地公法の適用によるこうした処分というものは初めてのケースである、こういうような観点から佐賀県の警察に対しても長官は非常に態度を重視された結果、いろいろの思量されておるようであります。この問題の解決については、特段に石井長官の私は良心的な処断が必要ではないかというふうに考えられますが、一日も早くこのような不当な逮捕は釈放すべきであると私ども考えていますが、長官は善処の内容の中に具体的にどういうふうにこれを取り扱っていくのか、一日も早く、即刻釈放すべきである、こういうふうな考えのもとに臨んでおられるのかどうか、重ねてお尋ねをします。
  122. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 個々の捜査は現地の執行の最高責任者である佐賀県警察本部長が指揮をいたしてやっておるのでございまして、それに対して国が直接、ああしろ、こうしろという指揮をすることは現在の警察法の建前からいって許されておらないのでございます。従いまして、先ほど来申し上げます通り、当委員会における皆様の御発言の趣旨を十分尊重いたしまして、これを現地の最高執行責任者である佐賀県警察本部長に十分伝達をいたしまして、先ほど来たびたび申し上げます通り、捜査の目的を一日もすみやかに達成をするように最善の努力を払い、そうしてその結果として一日もすみやかに釈放ができるように努力をするようにということを重ねて本部長に伝達をしたい、かように思っておるわけであります。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 この問題については、私は石井長官の態度は、非常に何と申しますか、明確を欠くと思うのです。なるほど佐賀県警察本部が実際に捜査の執行に当られることは当然でありましょう。しかし、本問題が、先般から言われているように、初のテスト・ケースとして、地方でもって非常に重視しているとしたならば、当然この問題についての処理についても石井長官を中心として解決の方途をすみやかに見出されるような具体策が指示されてしかるべきものだと思うのです。各都道府県における犯罪の事犯があがった場合でも、これが非常に重大問題であるという場合には、単に地方にのみまかせておくのではなくて、中央本部においても捜査方針、またこの解決の方法等については鳩首協議をいたされておると聞いております。しかるにもかかわらず、このような教育上の重大汚点を残し、かつ日本の全学童に対しても悪影響を与えるような事態に対して、単に佐賀県警察本部が捜査の執行に当る責任者であるという観点から、これに対して早急なる解決策、善処策を伝達できない、ただ単に報告連絡するというような、あいまいもこたる態度であっては私は相済むまいと思うのであります。法の解釈を中央が与えた以上は、これが対策についても、積極的にこの悪影響を除去されるような善処こそ、私は本庁の貫祿というべきものだと思う。再度御答弁をわずらわしたい。
  124. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 御要望の点十分にわかりましたので、今後私の立場においてできますことにつきましては最善を尽したいと考えております。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣質疑する前に私は最後に石井長官にお聞き取り置き願いたいと思うのです。  ここでどういう答弁をされようとも、この佐賀県の問題の真相というものは時間の経過とともに明白になり、日本教育史上に、さらに組合運動史上に、さらに警察史上に大きく私は残されると思うのです。しかも、この問題が石井警察庁長官の時代に起ったということも永久に私は記憶に残されるだろう、かように私は考えます。この問題は佐賀県警察本部長独自でやった問題じゃない。これは将来時間の経過とともに私は明白になってくると思うのです。地公法三十七条違反か、あるいは合法かという点については、佐賀県の教職員の方々が違法だと思って、そうして法網をくぐってやろうという考えだったら、いろいろ秘密の申し合せとか秘密文書を流している。さにあらず、佐賀県教職員組合は合法のワク内だと信じてやっているわけですから、秘密文書なんかあろうはずがないですよ。秘密会なんかあろうはずがない。私はしろうとですが、明日でも私は警察官になったら、捜索など佐賀県の教職員組合一カ所だけ捜索することによって、十分私は捜査の目的を達します。私自身は、合法か非合法か、とにかく真相をつかむことは、私はあす警察官の服を着てできますよ。それを四十数カ所家宅捜索して、しかも逮捕令状を執行したということは、どうしてもこれは納得できない。弾圧以外の何ものでもない。おそらく地公法三十七条違反、こういう行政処分があってから、佐賀県の革新陣営ももちろんそうですが、保守的な県民層においても、確かに先生あたりが三、三、四割であのときに集まっていただいたのは困った、工合が悪かった。しかし、先生方があの定数を確保しようというのは無理はない。非常に県の財政が窮迫のために教育にしわ寄せされたそのことがいけないのだ。しかも、その責任は国にある。佐賀県は昭和二十八年以来大水害にあって、その災害復旧に非常に予算支出があった。ところが国が約束通り補助を出さなかった。また二十九年、三十年と、中小炭鉱をたくさんかかえておりますが、非常に不況にあった。その不況に対して、社会政策的な立場から、相当の県の財政支出をやった。しかしそれに対する国の庇護というものもなかった。佐賀県の財政がこんなに苦しくなったのはすべて国の責任だと、それが教育にしわ寄せされてきて、かわいい子供に教員が与えられないようになってくると、そこに原因があるので、先生方がそういう声をあげるために集まられたことは、保守的な人は必ずしも賛成しないが、問題は国に責任があるのだと、それを先生方を行政処分の形でやるのは少しかわいそうだという県民の世論というのは相当盛り上ってきている。そうして佐教組あるいは佐賀県総評は、地公法のこの発動というものはわが国初めてであり、これは不当弾圧であるという立場から、その戦い体制をもりもりと盛り上げてきたことは当然だと思う。この頂点に達しようというときに、佐賀県教職員組合のその動きを窒息させようという戦略的な、政治的な目的のもとに逮捕令状を執行したものと私は考えております。この矢嶋の見解が間違いであるか間違いでないかということは、これは歴史が証明しますよ。新旧委員長二人だけ残して、あとは全部逮捕している。今、県民の世論がほうはいと、すべては国の責任だという立場に向いてこようとしているこの矢先に、組合のかような盛り上げ、声というものを窒息させようという立場から、必要以上に強硬に出て、逮捕令状を執行したものと、かように私は確信を持って申し上げます。速記に残っているのですから、将来この矢嶋の見解が間違いであったかどうかということは明快になりましょう。いずれにしてもこの問題は石井警察庁長官の時代に起ったということは、この矢嶋は忘れることはできません。不都合ですよ。常識で考えてごらんなさい。逮捕しなければ捜査できぬのか。一体、私はあす警官の服を着たら一日二日でやってみますよ。願わくば、長官としては先ほどここで答弁されているわけですが、それを通牒で出すと同時に、現地に一つ私は責任ある人を派遣して、佐賀県の警察本部の捜査が限度を越えないように、十分私は指導してもらいたいと思うのです。逮捕された人は被疑者ですよ。被疑者であっても、法廷において最終的に有罪が確定しない限りは、これは今の刑事訴訟法からいうならば、犯人扱い、罪人扱いをしてはならない。ましてそれらの先生方はいやしくも教師として純真な生徒児童の前に立っているのじゃございませんか。格別慎重な態度で臨まれなければならないのに、このたびの佐賀県警察本部の——結局はあなたの指揮のもとに動いているわけですが——行動というものは、日本の警察史上を汚すものである。日本教育界に一大汚点を残すものと私は断定せざるを得ない。矢嶋の言うことがむちゃであるか間違いであるかということは、将来、時間の経過とともに……、あなたとあらためて対決をいたしましょう。先ほど私に、あるいは高田委員に答えられた線で、今からでもおそくない、私は善処していただきたいことを強く要望しておきます。  次に文部大臣に伺いますが……。
  126. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をちょっととめて。    〔速記中止〕
  127. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  128. 湯山勇

    ○湯山勇君 昨日、許可を得ないで行った者、許可を得て行った者という数について私は質問をしたところが、十分な御答弁がなかったわけです。で、推測によるお答えがあったわけですけれども、正確にお調べになった資料があれば、お答え願いたいと思います。
  129. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 佐賀県における教職員の総数は、休職者、病欠者を除き五千九百二十九名ということであります。今回の休暇闘争に際し、年次有給休暇請求書を提出し、承認を受けて休んだ者十一名、年次有給休暇請求書を提出したが承認されず休んだ者五千百七十一名、年次有給休暇請求書を提出したが承認されなかったので撤回した者三十一名、書類を提出せずに休んだ者二十六名、以上であります。
  130. 湯山勇

    ○湯山勇君 提出したが承認されずに休んだ者五千百七十一名ですね。これは、どうもあなた方に私の言うことを理解させることが非常にむずかしいのですけれども、黙秘ということがあるのと同じように、黙認というものもあるわけです。承認を受けなかったということは、とめられたということとは違うわけです。おわかりでしょうか。そこで五千百七十一名の内容を、承認を受けなかったというそのことの中に、行ってはいけないというようにとめられた者と、校長からは何の意思表示もなかった、行ってもいいともいけないとも言われなかった、これも承認を受けなかったという中に入ります。何にも言われないで行った者と、はっきり行ってはいけないと言われて行った者との区別、これをお尋ねしているわけですから、あらためて、そういう資料がなければ、調査して御答弁願いたいと思います。
  131. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 私がただいま申し述べました資料は、佐賀県教育委員会が、学校長から聴取された資料に基いてお答えをいたしたものであります。
  132. 湯山勇

    ○湯山勇君 出どころをお尋ねしておるのではありません。今のように承認されなかったという内容は二通りある。これはおわかりですか。校長から、許すとも許さないとも、どちらの意思表示もない場合は、やはり承認されたということにはなりません。それからはっきり許さないと言われたのも承認されてないわけです。この二つを区別しなければならないと思いますから、この二つの区別をお調べになってもらいたい。これは委員会をお通しになってもけっこうです。あなた方が直接校長さんにお当りになってもけっこうですけれども、いずれにしてもこれがわかるということが非常に重要なことですから、これを明確にしていただきたい、こう思うわけです。
  133. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) もしどうしても御必要ということであれば、各校長さんに任意出頭、あるいはこちらから出向いてお聞きするということになりますが、よろしゅうございますか。
  134. 湯山勇

    ○湯山勇君 それはどういう意味でそういうことを言うのですか。
  135. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  136. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  137. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 校長に聞いてくれとおっしゃったものですから、校長さんにそうたくさん当るということが、先ほどの佐賀県教育委員会のお申し出もありますので、そういうことをやってよろしいものでしょうかと申し上げたのです。
  138. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のあなたの反問は非常に失礼だと思うのです。私は何にも直接当るか当らないかでなく、その他の方法も言っておりますよ。その方法だけとは言っておりません。きのうからの問題は、直接学校長から聞いたかどうか、校長さんが教員にどう言ったかということを繰り返し繰り返し聞いておるのです。今のあなたの答弁によって、そういうことをやっていない、その内容が明瞭でないということがはっきりしたわけです。よろしいですね、それがはっきりしなければ、あなた方が佐賀県の警察からいってきたことに対して、これは地公法違反だという断定を下した根拠がゆらいでくるのです。それを私は確かめるためにきのうから繰り返し言っておって、ようやくただいま私の聞いていることがわかった。それらをみな呼んで調べてかまわぬか、それはどういうわけですか、なぜそういう反問をなさいますか。
  139. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 先ほど校長さんに聞いて調べたらどうかということでございましたからそう申し上げたのです。私ども教育委員会等を通じ、できるだけいろいろの方面に波及しないような方法でやるような措置をとって参っておるのであります。それをどうしても個々の校長さんがどう言われたか、はっきりとだれとだれに許可されたか、だれには黙っておったかということを調べる必要があるということであれば、これはやむを得ずいろいろお聞き合せをしなければならぬだろう。それはやはり私どもとしましては、直接よりもその他のいろいろな方法でやった方がいいんではないか、かように思っております。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはきわめて重要なポイントだと思う。三十七条違反と断定される要素としては、私は監督する権限がある校長が許さなかったのにそれをとった。それから正常なる学校運営に支障があったかどうか、これはきわめて私は重要な要素と考えるわけです。で、警察庁としては、佐賀県の教育委員会から報告があったとして、十一人をいわれているわけですが、私が聞いた現地の事情とはずいぶんと違います。また正式に佐賀県教育委員会から私がいただいた数字の中の一つを申し上げますと、十四、十五、十六日で学校に出勤しなくて休んだ人が合計五千二百八人になっております。これは佐賀県教育委員会が正式に私に渡した書類です。五千二百八人、ずいぶん数字に狂いがあるわけです。それからまた許しがはっきりあった、あるいは拒否されたか、または黙認の形になったかということは、これは私は校長側と教員側と聞いてみなければ明確にならないと思う。そういう不明確な要素を重要なる要素として地公法三十七条の違反と断定をし、しかも逮捕令状へと発展するということは、私はこれはゆゆしき問題だと、かように考えます。そこで私は委員長に要請したいのですが、それは佐賀の本事態が起ったのは、佐賀県の再建団体としての再建計画、それからその中に占める教育予算の問題、さらにこれらの休暇をとる場合のいざこざ、さらにあとの処分の問題等はいわゆる新しい教育委員会法における県教委と、市町村教委との関係に非常に微妙なものがございます。さらに県教委が出された数字というものがいろいろ違いますし、そういう認定が十分できませんので、私は佐賀県、さらに広く全国の再建団体教育をプラスにさせるために、佐賀県の関係当事者を本委員会に召喚して、そうして原因、経過を究明するとともに、今後いかにしてこの日本教育振興をはかるかという資に供したい、かように私は考える次第でして、その点委員長の方からお諮り、御善処いただきたいことを要望、提案いたします。これはあとで諮っていただきます。
  141. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  142. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  143. 林田正治

    ○林田正治君 長官に参考までに一応伺いたいと思いますが、今回の事件が先生方を相手にされた検挙である、従ってそれは非常に重大問題であることは異論のないところであります。先ほど矢嶋委員から、この問題は将来歴史が証明するであろうと言われた、私もそういうふうに考えますが、しかしここに至りましたのには、それは相当にやむを得ざるところのもの、先生方を検挙するということは真にやむを得ざるところの理由に出でたものである、私はこういうふうに考えているのであります。先生であるから、これは必ずしも検挙してはならないという理屈にはならないと思います。先生である身分の方を検挙されたのでありまするから、それにはほんとうに深刻な相当の理由があっておやりのことであると、私はこういうふうに考えます。その点はもう申し上げるまでもないのでありまするが、それについて私は石井長官が相当の決意と決心と慎重なる態度をもって臨んでいることを先ほどから十分に伺いましたが、ところが石井長官は最初二回ばかりはこういうふうに御答弁になっているのであります。いわく、できるだけ早く捜査の目的を達成して、一日も早く釈放することに努力すると、こういうような御答弁であったと思いまするが、それが二回ばかりあったと思います。最後に高田委員の御質問は、その検挙されるものが、あるいは不当であるからして、無条件と申しまするか、即刻、早く釈放せよ、こういうような御意見のように私は聞きました。それに対して石井長官は、自分の職権の範囲内であるから、自分の職権のもとにおいて善処する、こういうような御答弁であったようでございます。そうしますると、長官が最初二回お話しになったことと、最後の答弁の間に私は相当の食い違いがあるようにこれを感ずるのであります。これは長官はどういうお考えでありまするか、それほど心境が変化されましたかどうか、その点を伺いたい。私はおそらく長官が二度言われましたところの、捜査を早く完了して、そうして一日も早く釈放するということが長官の真意であると思いまするが、もう一度その点をはっきりと長官の意見を承わりたいと思います。
  144. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) ただいまの御意見通り私としましては、この事件の捜査を一刻も早く終るように現地の警察に対しまして、最善の努力をするように注意を喚起したいと、こういう心境でいるのでございます。
  145. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  146. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、佐賀県教育委員会の報告を聴取されるに当って私はその報告をそのまま受けられることはけっこうですが、さらに佐賀県教育委員会を取り巻く諸情勢等についてもう少し文部省は真相、情勢の把握に努力されて、そうしてその上に結論を打ち出すように慎重な態度を私はとってもらいたい。でき得べくんば調査官くらい私は派遣してもらいたいと思うのです。一、二を申し上げますと、現に休んだ人の数字なんかというのは、私は社会党の調査団として正式に行って県の教育委員長からいただいた数字と警察当局に出している数字というのは、大きな食い違いがあるのです。また行政処分を受けた前藤山委員長は当時は海外旅行中だったのです。海外旅行中で、一月の五日から佐賀を留守にしているわけです。問題の起ったのは二月十四、十五、十六日ですがね、その十四、十五、十六日に集会があったのです。それを決定した大会は二月十一日に行われておる。海外に行っておった藤山氏を行政処分にしたり、それから私らの判断からいえば、はっきり人間違いだというような処分もあるわけです。厚生部におって品物を販売しておる人がされて、あの人が処分されるならば、あの人もやはり一緒にやられそうなものだと、私には思えるような人が処分されていない。その人と名字が同じなのです。女性の方ですが、その女性の名前は男みたいな名前なのです。これあたりどうしても間違いだとしか思えないような点がある。また佐賀県教委の自主性というものは相当メスを入れなければならぬと思う。これはふらふらしておって、三月末なんか、県の教育委員会は公けの建物の中にほとんど姿を見せなかった。市内を転々と動かれておる。しかも転々と動かれた場所は私はここで公言しませんが、公けの場所じゃございません。ある特定の人の私宅を転々としてどこに行っておったかわからぬというようなことで、一体その佐賀県教育委員会の自主性というものがどこにあるのかという疑点を持つ点が多々ございます。で、こういう状況下に佐賀県教委から警察の要請によってあの数を出した、それを十分検討することもなく直ちにこれはけしからぬ、地公法三十七条違反だ、いや逮捕だというようにずいぶん私はとんとんに飛躍していっている形跡が多分にあると思うのです。もう少しこの佐賀県のあらゆる角度からの真相を文部省としては把握されるようにさらに努力してもらいたい、それは必要だということが一点と、それからこの事件があって以後文部大臣は担当国務大臣である大久保国務大臣にお会いになられたかどうか、お会いになられたならばどういうお話し合いがされたか、ここでお答えできる範囲内においてお答えを願いたいと思います。
  148. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 佐賀県下の状況について、真相について十分把握に努めるようにという御希望につきましては、私どもといたしましてもその御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。  それから関係大臣との問題でございますが、実はけさも閣議がありましたわけでございますので、もちろん会っております。そして様子も一応伺ったわけであります。私といたしましては、先ほども佐賀県教委のお申し入れがございましたが同様なことを関係大臣には申しておるわけでございます。なるべくすみやかにこの問題の調査をやってほしいというふうに申しております。また事柄が教育に関することでありますので取扱いを慎重にしてほしいということも申しております。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、あの事態は、ここにも大臣は三十七条違反だと、私は三十七条違反にはならない、すれすれの問題である、こういうように私は考えております。こういうふうに意見は違っているわけですが、しかし今度の警察当局がとられた仕打というものはあまりにもひどいと私は思う。大臣は常識をもって考えた場合に、これは実際ひどいですよ。この児童生徒の前に教師として立つべき人を扱うやり方ではないと私は思う。教師なるがゆえによほど慎重にして、しかも万々逮捕せざるを得ないような立場から逮捕したんだろうと林田委員は推察されておるが、かような納得できるような立場からの答弁は一言もない、あろうはずがない。あまりにもひどいと私は思う。警察当局としては疑いを持てば調べることは権利でしょう。このやり方というものは度を過ぎておることもあまりにもはなはだしいと思う。先ほど大臣としては佐賀県教育委員会と同じような気持で法務相とも話されたということですから、さらに国務相とも連絡をとられて、逮捕という事態が起っておるのですが、それを最小限度に、時間的に最小限度にとどめて一刻も早く釈放するようにさらに交渉をもっていただきたい。新たなる事態が起ったならば委員会を通じてわれわれ委員にその報告をしていただきたいということを要望しておきます。
  150. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。    午後二時六分速記中止    —————・—————    午後二時三十分速記開始
  151. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を始めて、それでは暫時休憩いたします。    午後二時三十一分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕