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矢嶋三義君
文部大臣に
質疑する前に私は最後に石井長官にお聞き取り置き願いたいと思うのです。
ここでどういう答弁をされようとも、この佐賀県の問題の真相というものは時間の経過とともに明白になり、
日本の
教育史上に、さらに組合運動史上に、さらに警察史上に大きく私は残されると思うのです。しかも、この問題が石井
警察庁長官の時代に起ったということも永久に私は記憶に残されるだろう、かように私は
考えます。この問題は佐賀県警察本部長独自でやった問題じゃない。これは将来時間の経過とともに私は明白になってくると思うのです。地公法三十七条違反か、あるいは合法かという点については、佐賀県の教職員の方々が違法だと思って、そうして法網をくぐってやろうという
考えだったら、いろいろ秘密の申し合せとか秘密文書を流している。さにあらず、佐賀県教職員組合は合法のワク内だと信じてやっているわけですから、秘密文書なんかあろうはずがないですよ。秘密会なんかあろうはずがない。私はしろうとですが、明日でも私は警察官になったら、捜索など佐賀県の教職員組合一カ所だけ捜索することによって、十分私は捜査の
目的を達します。私自身は、合法か非合法か、とにかく真相をつかむことは、私はあす警察官の服を着てできますよ。それを四十数カ所家宅捜索して、しかも逮捕令状を
執行したということは、どうしてもこれは納得できない。弾圧以外の何ものでもない。おそらく地公法三十七条違反、こういう行政処分があってから、佐賀県の革新陣営ももちろんそうですが、保守的な県民層においても、確かに先生あたりが三、三、四割であのときに集まっていただいたのは困った、工合が悪かった。しかし、先生方があの定数を確保しようというのは無理はない。非常に県の財政が窮迫のために
教育にしわ寄せされたそのことがいけないのだ。しかも、その責任は国にある。佐賀県は
昭和二十八年以来大水害にあって、その災害復旧に非常に
予算の
支出があった。ところが国が約束
通りの
補助を出さなかった。また二十九年、三十年と、中小炭鉱をたくさんかかえておりますが、非常に不況にあった。その不況に対して、
社会政策的な
立場から、相当の県の財政
支出をやった。しかしそれに対する国の庇護というものもなかった。佐賀県の財政がこんなに苦しくなったのはすべて国の責任だと、それが
教育にしわ寄せされてきて、かわいい子供に教員が与えられないようになってくると、そこに原因があるので、先生方がそういう声をあげるために集まられたことは、保守的な人は必ずしも
賛成しないが、問題は国に責任があるのだと、それを先生方を行政処分の形でやるのは少しかわいそうだという県民の世論というのは相当盛り上ってきている。そうして佐教組あるいは佐賀県総評は、地公法のこの発動というものはわが国初めてであり、これは不当弾圧であるという
立場から、その戦い体制をもりもりと盛り上げてきたことは当然だと思う。この頂点に達しようというときに、佐賀県教職員組合のその動きを窒息させようという戦略的な、政治的な
目的のもとに逮捕令状を
執行したものと私は
考えております。この
矢嶋の見解が間違いであるか間違いでないかということは、これは歴史が証明しますよ。新旧
委員長二人だけ残して、あとは全部逮捕している。今、県民の世論がほうはいと、すべては国の責任だという
立場に向いてこようとしているこの矢先に、組合のかような盛り上げ、声というものを窒息させようという
立場から、必要以上に強硬に出て、逮捕令状を
執行したものと、かように私は確信を持って申し上げます。速記に残っているのですから、将来この
矢嶋の見解が間違いであったかどうかということは明快になりましょう。いずれにしてもこの問題は石井
警察庁長官の時代に起ったということは、この
矢嶋は忘れることはできません。不都合ですよ。常識で
考えてごらんなさい。逮捕しなければ捜査できぬのか。一体、私はあす警官の服を着たら一日二日でやってみますよ。願わくば、長官としては先ほどここで答弁されているわけですが、それを通牒で出すと同時に、現地に
一つ私は責任ある人を派遣して、佐賀県の警察本部の捜査が限度を越えないように、十分私は指導してもらいたいと思うのです。逮捕された人は被疑者ですよ。被疑者であっても、法廷において最終的に有罪が確定しない限りは、これは今の刑事訴訟法からいうならば、犯人扱い、罪人扱いをしてはならない。ましてそれらの先生方はいやしくも教師として純真な生徒児童の前に立っているのじゃございませんか。格別慎重な態度で臨まれなければならないのに、このたびの佐賀県警察本部の——結局はあなたの指揮のもとに動いているわけですが——行動というものは、
日本の警察史上を汚すものである。
日本の
教育界に一大汚点を残すものと私は断定せざるを得ない。
矢嶋の言うことがむちゃであるか間違いであるかということは、将来、時間の経過とともに……、あなたとあらためて対決をいたしましょう。先ほど私に、あるいは高田
委員に答えられた線で、今からでもおそくない、私は善処していただきたいことを強く要望しておきます。
次に
文部大臣に伺いますが……。