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1957-04-04 第26回国会 参議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月四日(木曜日)    午後二時二分開会   —————————————   委員異動 本日委員野田俊作君辞任につき、その 補欠として加賀山之雄君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            野本 品吉君            矢嶋 三義君            常岡 一郎君    委員            川口爲之助君            近藤 鶴代君            林田 正治君            林屋亀次郎君            三浦 義男君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君   政府委員    外務政務次官  井上 清一君    外務省アメリカ    局長      千葉  皓君    文部政務次官  稻葉  修君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件教育文化及び学術に関する調査の  件  (茨城県における焚書事件に関する  件)  (米国上院都留教授喚問に関する  件)  (盲・聾学校幼稚部及び高等部に  おける学校給食に関する件)  (公立の盲・聾学校幼稚部及び高  等部の整備に関する件)  (盲・聾学校及び養護学校への就学  奨励に関する件)  (公立の小学校及び中学校特殊学  級における教育振興に関する件)  (高等学校定時制教育及び通信教  育の振興に関する件)  (へき地教育振興に関する件)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。本日、野田俊作君が辞任され、加賀山之雄君が選任されました。   —————————————
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 茨城県における焚書事件に関する件を議題といたします。  まず、先に文部当局から御報告を願った方がいいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは内藤文部省初中局長
  5. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この事件は、昭和三十一年の十二月二十四日の朝日新聞の夕刊に掲載された記事でございますが、校長島根政雄は、助教諭石沢米蔵に対しまして誓約書を出させ、蔵書を焼却させたと、こういう事件がございましたので、文部省といたしましては、山方教育委員会協力を得て調査いたしましたところ、この事件の真相につきましては、なかなかつかみにくいのでございます。それは当事者が校長助教諭二人の間柄で話されたことで、それが双方とも意見が食い違っておる、第三者として、下宿先主人証言がございますが、これもはっきりいたしませんので、そういう点で私どもが知り得たことを御参考までに申し上げたいと存じます。  島根校長言い分といたしましては、三十一年の十一月五日の晩に、間借先において、本人の不注意から、石油ランプが爆発してボヤを起した。本人がいなかった。これに対して本人は、まあある所へ出かけた、場所は黙して語らない。下宿先主人小野さんがおっしゃるには、どうも新聞を読んでおるときに、プンとにおいがして、煙が出ておったので、あわてて消しとめた。そこで畳、障子書籍等の一部を焼いたわけであります。これはボや程度で、火事には至らなかった。そこで本人の机の上にあった本が、書籍雑誌、それから障子の半分をまあ焼いておる。約一年前にも手ランプからボヤを起した事実があるわけであります。本人は、下宿先主人小野さんの言によれば、木村安明氏の宅の会合に行ったと、こういうふうに証言が述べられておるわけであります。ボヤを起したそのあとで、五日後の、すなわち、十一月の九日に山方町の時計店に、黒こげの目ざまし時計の修理を頼んだ。これから事情がわかったわけで、校長は、平素から勤務成績もよくないし、きわめて芳ばしからないと認めておって、本人に一ペん話そうと、こういうことで、本人にしっかり勤務するようにということを命じたと、こう言っております。で、誓約書について、校長は、児童教育に熱心に励みます、職務に専念するということは言うた。しかし、進歩的な研究はいたしませんとか、あるいは進歩的な会合にも出席せず、また進歩的な人とも交際いたしませんというようなことは、これは自発的に本人が懇談の結果書いたんだ、こう言っている。しかし石沢助教諭の言によれば、これは校長から強制されて、命令されたんだ、校長の口移しに、言われるままに書いたんだ、そうして翌朝清書して提出した、こう言っている。それから下宿先主人の言によれば、校長の人柄から見て、それほど強制したとは思われない。しかし誓約書は強制されたのか、自主的に書いたのか、これはわからないということを、まあ結論的には下宿先主人が言っておるわけなんです。その後、これは十一月の十日に誓約書を出して、そうして同日本を焼いたわけなんです。校長の言によれば、蔵書を焼くことは決して要求してない、しかし助教諭は、校長の命令で、仕方なしに焼いた、こう言っておる。その下宿先主人の言によれば、どうも石沢君が自発的になしたように思う、こう言っておる。それで焼いた本は、本だなやボール箱に入れてあったアカハタ等で、単行本は二、三冊程度ではなかったか、こういうことをその主人は言っておる。庭先で焼いた現物は見なかったが、焼いた時間は十五分ないし二十分程度で、灰の分量は大したことはない。焼いたあと本人の表情は実に晴れ晴れとしていて、一年半の同居中、かつて見たことがないほど晴れ晴れとしておった。こういうふうに下宿主人は言っているのであります。  それから焼いた本は、本人説明によれば、単行本並びに雑誌類約八十冊と、こう言っている。焼いた本の種類は自分で選んだが、あと考えると、焼く必要のないと思われる本まで焼いたと、こう言っている。社会史社会主義講座女工哀史、世界、中央公論、人民中国、入民中国画報等と出ておりますが、それから校長は帰るときに、石沢助教諭から、本を焼いたということを告げられたと。で、校長がそのあとそのお宅をたずねた。本人の方は——石沢助教諭は、焼却の状況を見にきたのだと、こういうふうに言っておりますが、校長の言によれば、今後とも一つ下宿に置いてくれ、まあこういう事件があったからといって追い出すのはかわいそうだから、今後とも一つ下宿に置いていただきたい、こうお願いに行ったのだと、こう言っております。どうも、そのあと職員会議が十一月の二十一日にあって、まあいろいろと議論があった。石沢助教諭から言わせれば、学問、思想の自由の侵害であるから、誓約書に書いたことは否定する、で校長には、校長陳謝要求をした、しかし、校長は応じなかったと、まあ以上のようなことでございまして、誓約書を書いたこと、この誓約書は、この助教諭石沢米蔵が書いたものですが、   右の者今後左記のこと固く誓いま  す。      記  一、今後進歩的な研究は致しませ   ん。  一、進歩的な会合にも出席せず、又   進歩的な人とも交際致しません。  一、児童教育に熱心に励みます。   昭和三十一年十一月十日  右           石沢 米蔵    北富田小学校長島根政雄殿  これが誓約書の原文でございまして、焼いた書物については、先ほど申しましたように、本人は八十冊と言っておりますが、この下宿主人の言によれば、アカハタ、その他単行本は二、三冊程度ではないかと、こう言っておりますが、ここに食い違いがあるのです。校長は焼くことを要求してはいないと、こう言っておりまして、どうもこの辺のところが、だれも立ち会っておりませんので、助教諭校長と二人の話し合いですからよくわからぬし、まあその際に、下宿の御主人意見を徴した。で、教育委員会としても、これに対して、こういう事件があったことは遺憾であるが、的確な資料がつかめないので、双方とも何ら処置をしないで現在にきておる、こういう状況でございます。
  6. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 以上の報告に対して質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 報告内容について詳しく聞くことは避けますが、この調査方法について、もう少し詳しく知りたいのですが、今の御報告によると、山方町の教育委員会協力を得て調査をした、こういうことになっておりますので、今ここに御報告になったことは、教育委員会調査に基く報告であるのか、この点について……。
  8. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 主として教育委員会報告に基くものであります。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 主として教育委員会報告に基くと言いますと、どの点と、どの点が教育委員会調査に基いて、しからざる点はどこで、どういう方法調査をされているか。
  10. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 教育委員会から来ていただきまして、この私の方でまとめをしたという意味でありまして、教育委員会の調書そのままという意味ではないと、こういう意味でございます。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 教育委員会はどういう方法調査をしたか、その調査方法について話はなかったでしょうか。
  12. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 教育委員会自体も、この本件に関しては、校長助教諭の二人と、それに下宿主人というものが関係者でございまして、それ以外の者は関係者がない。まあつまり委員会としても、非常に事情が判明しにくいらしいのでございます。そういう点から、委員会もこれは処分を保留しているわけで、どちらにも処分をしておりませんので、委員会が、その校長言い分、それから石沢助教諭言い分と、下宿主人言い分、この三者の言い分をまとめておる程度でございまして、まあ一、二、参考人に、学校の教諭の意見もつけ加えてございますけれども、それ以上にどうもこの二人だけの話し合いなので、真偽がわからぬことを教育委員会も、申しております。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は、今一応の調査の状態を聞きましたが、本問題は御承知のように、茨城教職員組合としても問題をかなり重視しております。しかし校長助教諭というきわめて近接した関係間柄にあり、双方とも組合員である、こういうようの点から、できるだけ円満に事を解決したい。だがしかし筋だけはこれは通していかなければならない、こういうような態度でもって調査をされておるようですが、今の教育委員会報告と、それから教員組合自体が直接現場に行って、直接校長並びに助教諭に尋ねた分とは、かなり今の報告事情がそごしている。この問題は、教育中立性維持するというような、かつて吉田内閣時代から、わが国の文教政策の中で、教育中立性維持ということが非常に高く取り上げられて、そのための法改正もある。私どももまた教育中立性維持することにやぶさかであってはならないし、また中立維持のためにうんとがんばらなきやならないと思うのですが、この解釈がたまたま一方的な解釈のために、不当に人権を侵害されるという問題が非常に各地に今起っています。で、私はこの茨城の問題について、かなり問題を重視して、前々からいろいろ個人的に調査をしておりましたが、文部省から今御報告があったことと事実というものは非常に違っておる。で、これはもう少し教組側の方の調査をした部分も、文部省としては材料としてお調べになるなり、またできるならば本人からも直接その様子を聞くような——中間がない方法調査するなり、もう少し私は慎重な調査の仕方が考えられていいのではないか。これは人権擁護局あたりからも御報告はあなたの方にきておりますか、それとも擁護局を通じて調査をしようとしておられますか、これで調査は済んだというふうに考えておられますか。
  14. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 一応教育委員会調査として、私どもは了承したわけでありますが、さらに教育委員会でもちろん事情が判明いたしますれば追加報告をしていただきたいと思っております。ただ私どもは、文部省が直接行政をするわけでございませんので、できるだけ県なり市町村の教育委員会を通じて、従来も調査をとっておりますので、本人に直接当って調査ということは従来避けておりますので、その責任者である地方の教育委員会調査を信頼するということ以上には困難ではないかと思っております。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つ調査の大切な点があるわけですが、産経時事新聞記者、その他、朝日の新聞記者、その他の新聞の方々も、現地でいろいろ事情調査されたようですが、全然氏名のわからないものがこの問題の間に介在して、しきりに同校の同僚の先生方に、石沢君の肩を持つとためにならないからこの問題についてはものを言わない方がいいというような言動が行われていたらしい。これは明らかに警察官であると考えられるのですが、あるいはまた好ましからざる交友関係として指摘されている木村氏のもとには、大宮の林という警部補調査に行っておるようです。こういう問題は、本問題のバックになる非常に重要な素材教権確立のための非常に重要な素材でありますから、こういう点については、文部省は何も聞いておられませんでしょうか。伺います。
  16. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) そういうことは全然聞いておりません。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 こういう背後関係についても、お調べになる用意はないでしょうか。もう一度私はそういうものも調査してもらいたいと思う。私ども調査ではちょっと手落ちになりますから、人権擁護局、あるいは大宮林警部補が現に好ましからざると思われる木村氏の宅に行っていろいろ石沢氏との交友関係についてただしている模様でありますが、こういうような点も手抜かりのない調査をして、私はもう一度公式な席で御報告を伺って、そして考えさしてもらいたいと思います。委員長において、私のこのことを文部省の方に十分早く調査ができるように申し入れていただきたいと思います。
  18. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまの高田委員の御要望ですが、文部省の方にそのように督促いたしますが、文部省の方として何か御答弁ございますか。
  19. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 今お話しの警察官が行ったというようなことは私ども聞いておりませんので、関係の方面とよく連絡してさらに事情の詳細な判明ができるように努力いたしたいと考えます。
  20. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 以上で御了承願えますか。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 けっこうです。
  22. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それではそのように文部省当局において取り計らっていただきたいと思います。  ほかに御質疑ございますか、本件について……。   —————————————
  23. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは次に、米国上院都留教授喚問に関する件を議題といたします。  まず初めに、外務省の方より本件に関して御報告をいただきたいと思います。
  24. 井上清一

    政府委員井上清一君) 一橋大学教授都留重人君が先般アメリカ国会上院司法委員会国内治安小委員会より召喚状を受けまして、当委員会出頭陳述証言をいたしました件につきまして、御説明を申し上げたいと思います。  このまず第一の経過を申し上げますと、都留教授に対しまする上院司法委員会国内治安小委員会喚問状が出ましたのは三月十四日のことであります。で、都留氏は三月十六日にこの喚問状を接受いたしております。その喚問状によりますと、二十一日出頭を要請されておったのでございますけれども、同教授から二十六日に変更方の申請をいたしておりまして、そのことが受理されております。で、二十五日の夕刻でございますが、わが在米大使館都留教授連絡をいたしました。こうこうこうした召喚状を受けておるということを報告をいたしております。二十六日午前十時上院司法委員会治安小委員会秘密会出席をいたしまして陳述をいたしたのでございますが、その秘密会は中途から公聴会に変更されました。二十七日に第二回の公聴会が開かれ、その同日終っております。で、都留教授はどういうことを一体証言をしたかということでございますが、二十六日の最初の一時間ほどの秘密会においてなされました証言内容は不明でございますが、自後の公聴会における証言内容は、同教授が一九四二年にハーバード大学から引き揚げた際に下宿に残した同教授の書簡に関連いたしまして、同教授交友関係共産主義的行為との関係を中心に質疑が行われた模様であります。同教授証言の中において、自分は一度も共産党員になったことはないということを強調しておるということでございます。なお公聴会速記録は、もちろんこれは公聴会でございますので、この速記録アメリカ大使館にも来ておりますし、後日これは公開されても差しつかえない性質のものと考えておるわけであります。この事実といたしましては今申し上げた通りでございます。
  25. 湯山勇

    湯山勇君 文部省の方からも、一応このことに対して文部省の立場においての御報告をいただきたいと思います。
  26. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 文部教官一橋大学教授都留重人氏の文部省関係における身分でありますが、昭和三十一年十月四日から昭和三十二年十月一日まで、約一年間アメリカにおける経済学及び経済事情調査研究のため、ハーバード大学客員講師——ビジティング・レクチュラーというのですが、どう訳しますか、客員講師として留学されておるわけです。費用は、渡航費につきましては知的交流委員会滞在費につきましてはハーバード大学の負担になっております。旅券公用旅券であります。交換者訪問査証を受けて渡米されたのでありますが、ただいま外務政務次官から御報告になりましたような事情で、事前文部省あるいは外務省等との連絡がありませんで、アメリカ上院召喚により応ぜられ、証言をされたというわけでございます。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 経過の概要はただいまの御説明でわかったわけでございますが、いろいろこの問題については、アメリカ国内においても都留旋風といったような表現を用いられているほど大きい波紋を投げておるようでございます。その問題はまた別にお尋ねするといたしまして、一つはこの手続について日本の国民であり、日本主権下にある都留教授が、こういう手続のもとに、たとえば日本大使館の了解も米議会からはなくして、そしてしかもこの召喚手続にはかなりきつい罰則があると私は聞いておりますが、この点についても御答弁いただきたいわけですが、そういう形の召喚を受ける、こういうことについては直接監督の長にある文部省はどうお考えになっておられるか。それからまたこの手続が何ら大使館等へなされないで、直接個人になされた、こういうことについて外務当局としてはどういうふうにお考えになっておられるかを承わりたいと思います。
  28. 井上清一

    政府委員井上清一君) 都留教授に対しまして出されました喚問状は、大略次のようでございます。喚問状を一応翻訳したものを申し上げますと、都留重人氏あてでございますが、   法律に基く権限に従って貴殿はこ  こに一九五七年三月二十一日午前十  時アメリカ合衆国上院司法委員会国  内治安小委員会出頭し、右委員会  によって検討されておる案件に関  し、貴殿の承知しておることを証言  することを命ぜらる。右怠ることな  きよう、何となれば貴殿はかかる場  合の所定の苦痛と刑罰をもって貴殿  の懈怠に対して責めを負うものであ  るからである。    一九五七年三月十四日。   委員会の命により、司法委員会委  員長国内治安小委員会という召集状になっておりますので、これは任意の出頭でなくやはり強制力……、まあ何と申しますか、召喚を受けたわけであります。で、米国国内にある外国人に対しまして、そういう召喚する権限があるかないかという法律論でございますが、純法律論から申しますと、一国内に滞在いたしております外国人は、治外法権を有しておる者、たとえば外交官等でございますが、これはまあそのほかに領事館もありますし、また特別な協定によって外交特権を付与する場合もございますし、また軍隊等の場合にもいろいろ例がございますが、治外法権を有している者を除きましては、その国の国内法に従うということは、これは公務員であろうが、一般私人であろうが同様でございまして、純法律的な見解から申しますと、アメリカ領土内にあります外国人は、アメリカ国内法によって召喚をされる。その場合にほこれに応じなければならぬ義務があるものと解釈されるのが当然であると思います。今度の場合の召喚法律的な根拠でございますが、それは一九五〇年のインターナル・セキュリティ・アクトというアメリカ法律、並びにアメリカの第八十一議会上院決議第三百六十六号第二条によって召喚をされておるようでございます。ただ私が今申し上げましたことは、一般的な法律議論でございまして、外国人をその国会において国政調査権に基いて召喚をするというような場合におきましては、大体やはりあらかじめ出先外交官に話があるというのが普通の場合というように私ども考えます。今度の場合はきわめて異例な措置であるというふうに私どもは了解いたしておるようなわけであります。  で、都留教授は、先ほども申し上げましたように、三月十四日に喚問状を発送されて、十六日に喚問状を受けておる。しかも二十一日の出頭要請を二十六日に変更方都留教授は願い出て、それが承認をされておるようなわけであります。ところが、都留教授アメリカの在米日本大使館連絡いたしましたのは、二十五日の夕刻であったわけであります。私どもといたしましては、もしそうした事態があった場合にアメリカ日本大使館連絡をしてくれておったならば、あるいはいろいろその間にあっせんをする、あるいはまた話し合いすることが成功したかしないかわかりませんが、相当あとになって考えてみますと、そういう手段も必要ではあったのじゃないかということを、今になって私どもまあ考えておるわけでございますが、とにかく在米日本大使館連絡がございましたのは、召喚を受けました二十六日の日の前日の夕刻であったのであります。この点私どもはまことに遺憾に思うわけでございます。  今度のアメリカ措置というのは、従来の国際的な慣行——まあ国際慣行というのは、非常にこれは何です、慣行というのは取り消しまして、国際的な礼譲という点から見ますと、ちょっと私は行き過ぎな点がある。これは法律論は別にしまして、そうした点から遺憾であるというふうに考えるわけでありまして、さような見地から今後在米日本人に対してこうした措置が再びとられちゃいかぬ、またこうしたことがあってはならぬという見解をもちまして、出先アメリカ大使館に対しまして、アメリカ国務省に、こうしたことの今後ないように、ということを強く申し出でるよう措置をいたしているような次第でございます。
  29. 湯山勇

    湯山勇君 文部省の……。
  30. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 都留教授身分は先ほど申しました通り公務員であります。しかも公務員を、その米国滞在の目的が文化交流という点から見ましても、事前に何らの連絡がなく喚問をしたというアメリカ側の行き方は、ただいま外務政務次官からも申し上げました通り異例のことであり、遺憾であると、文部省としてもそう感ずる次第でありまして、外務省を通じて今後そういう事態の起きないよう措置をとってもらっていることは文部省としては満足であります。
  31. 湯山勇

    湯山勇君 ただいまの両政務次官の御答弁によって、このことはきわめて遺憾なことなので、そのことについては今後こういう事態の起らないように、アメリカ大使館を通じて国務省に申し入れをなさる、こういうことですけれども、これも新聞の報ずるところによりますと、むしろ国務省としてはこういうやり方は好まない、この上院の、特に司法委員会と申しますか、この司法委員会が非常に行き過ぎた行為をしているというような気持を持っておるのではないかということも伝えられております。そうすると、国務省へ申し入れをしただけで、果して上院委員会のこういう行動の規制ができるかどうか、この点についてはどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  32. 井上清一

    政府委員井上清一君) アメリカ国務省アメリカ上院のこの行為に対してはいろいろ意見があるというような御説でありますが、私ども新聞報道で若干ちょっとそういう気配を見ましたが、これは新聞の報道でありまして、公式に確認いたしたわけではございませんので、ここで何とも申し上げるあれはございません。外交的な方法といたしましては、これはアメリカ国務省にそうした申し入れをするのは正式のルートでございまして、それ以外に私どもはちょっとルートを、外交的な手段としてはとることはできないと私は考えております。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 これは、アメリカに対し、日本大使館から米上院に申し入れるというような方法はとれないものでございますか。
  34. 井上清一

    政府委員井上清一君) これは事実上はできると思いますけれども、外交的手段としてはそれは正しき手段ではないと考えます。
  35. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま外務省千葉アメリカ局長が参っておりますので、申し伝えます。
  36. 湯山勇

    湯山勇君 こういう事態をなくするということのために、確かに形式的には次官のおっしゃったような方法しかあるいはないかもしれませぬが、できるだけ手を尽す必要があるのではないかというように思いますので、日本政府の意思を直接上院に伝えるというような方法もおとりになられる御予定なのかどうか、伺いたいと思います。
  37. 井上清一

    政府委員井上清一君) 日本政府といたしましてアメリカ上院に直接この意思を伝達いたしますということは、外交的な従来の慣行のみならず、外交の正しきルートを破ることになりますので、上院に直接申し入れをする意思は今のところございません。
  38. 湯山勇

    湯山勇君 そこで、ただいまの申し入れですけれども、カナダはかつて抗議を申し入れたことがあると聞いております、こういう問題について。そこで、日本政府からの申し入れというのは、単なる申し入れなのか、抗議という形をとるのか、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  39. 井上清一

    政府委員井上清一君) 抗議を内容とした申し入れでございます。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 それでよくわかりました。  稻葉政務次官にお尋ねいたしたいのは、今回のようなことがあれば将来文化交流というものについて非常に悪影響があるのではないか、行く人の側もそうだし、受け入れる方の側も非常に迷惑をするというような事態が起るのではないかと思うのでございますけれども、その点について何か文部省としてお考えの点があれば承わりたい。
  41. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 先ほども申し上げました通り文化交流の点について支障のありますことは申すまでもないのでありまして、将来こういうことの繰り返されないための措置といたしまして、文部省としては、外務省を通じてただいまのような処置をとってもらっていくことについて、適切な方法で満足いたしておるという次第でございます。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 特に私がお尋ねいたしたいのは、都留教授が過去においてそういうような、先ほど外務政務次官から御報告のあったような事実があった。そういうことで今回のようなことが起ったのだから、日本の政府では事前にもし交換文化交流の申し入れがあっても、あるいはそういうことに該当しそうな人、今回のような問題を起しそうな人についてはチェックするというような態度をおとりになっては、私は大へんだと思うわけで、その点に対する御見解を伺いたいわけです。
  43. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 過去の経歴等を調査して選択をするというようなことは断じていたしませんでございますから、御安心を願います。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 よくわかりました。  それから、最後に両政務次官にお尋ねいたしたいのは召喚内容ですね、意図です。これが那辺にあるか。私どもはまだその速記録を拝見していないためにわかりませんけれども、まあ、井上政務次官から、その速記録を公開していいということでございますから、これはぜひ一つ訳したものをお配り願いたいと思うのですが、いずれにしても、この意図が、伝えられるところでは、どうも了解できないのでございます。で、いかなる意図で呼ばれたのか、それからそういう意図で、御把握になっておられるような意図で呼ぶこと自体一体適切なことかどうか、手続の問題じゃなくて、実質の問題です。これについてはどういうふうにお考えなのかを伺いたいと思います。
  45. 井上清一

    政府委員井上清一君) 都留教授召喚いたしました目的は、ある第三国の外交官の活動に関する調査及び都留教授個人に関する調査のため、こういうことに相なっております。この調査が妥当であるかどうかは、これはアメリカの問題でございまして、私どもがここでかれこれ申し上げる筋合いではないと考えます。
  46. 湯山勇

    湯山勇君 私もそこで非常に問題があると思うのは、第三国の外交官の活動の調査のために日本の国家公務員召喚される、そのことが第三国の外交官の活動なり、あるいはその他のことに影響するということになれば、これは単なる国内問題ではなくて、日米間の問題だけではなくて、もっと大きい意味での国際的な問題になるのではないか、こう思いますが、今度のことがそういう別な意味における国際的な影響を持つというような懸念がないかどうか、そういう点について外務政務次官の御見解を伺いたいと思います。
  47. 井上清一

    政府委員井上清一君) 私どもは、これはあくまで都留教授個人の問題でございまして、国際間の問題になるような事件ではないと考えております。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 伺いますが、日本の大学に外国の教授が招聘されている場合にある事件が起った。それが、事件が裁判所の所管に移らない前の段階においては、日本国会では、証人あるいは参考人として喚問できるかどうか、どういう見解を持っておられるか、承わりたいと思います。
  49. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいまの御質問は、日本に滞在いたします外国人が犯罪に至らない事前の問題について日本国会がそれを召喚し得るかどうか、こういうことであったと思います。  日本国会国会法によりまして国政調査のために召喚権を持っておりますことは御承知の通りでございます。日本に居住いたします外国人外交特権を持っていない者に対しましては、当然私は日本国内法によって召喚し、証言を求めることができると、これは一般法律論であります。しかしこれが妥当であるかどうかはまた別な問題であり、また呼ぶ手続、やり方についてどうするかということは別問題といたしまして、法律的にはできると考えております。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私も大体同一見解です。日本国会法あるいは衆参の議院規則というものがアメリカのそれを模倣してやっているわけですから、都留さんの召喚されたのもそういう解釈だと思いますが、しかしもう二、三点私は伺いたいのですが、それは、けしからぬと思うのですよ。入国ビザを許しておきながら、そうしてしかも客員教授その人を十五年前の問題についてアメリカ上院召喚するということは非常識だと思うのだ。で、日本政府としては私は憤慨されてしかるべきだと思う。抗議を、内容としては申し入れをすると言いますが、その申し入れに対して、折り返し回答を求める内容の申し入れをしてもらいたい。その回答が来たならば、できるだけ早い機会にその写しを本委員会に出していただきたいと思いますが、かような申し入れをする意思があるかどうか。ただ鉄砲玉みたいな申し入れをしてもだめです。回答を早急に求めるという内容の、強力なる抗議の形でやっていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  51. 井上清一

    政府委員井上清一君) 都留教授喚問につきましては、先ほども申し上げました通り、三月十四日に喚問状が出て、十六日に喚問状を接受して、二十一日に出頭要請を受けておったわけでありますが、都留教授は都合により二十六日に延ばしてくれということをアメリカ上院に申し入れているわけであります。それで二十六日に出頭したのでございますが、日本大使館にわかりましたのは、都留教授から連絡がございましたのは二十五日の夕刻なんです。もしこの間にいろいろこの事情がもっとはっきりしておりますれば、外務省としてもいろいろ折衝の余地があり、先ほども申し上げたように、うまくいったかどうかはわかりませぬけれども、とにかく何とか処置をとるという手段方法もあったわけでございます。しかし今日そうした事態になりましたことについては、私どもまことに残念に思うわけでございますが、こうした措置は国際法上もまことに異例な措置でございますので、私どもといたしましては、アメリカ大使館を通じて厳重な申し入れをしておるのでございます。で、この回答については後日あると思います。あると思いますけれども、外交文書については、そのままここに提示いたしますことは、これは従来の慣行として、また外交の秘密保持という点から、そのままを提示するわけには参りませんが、内容の趣旨については十分に一つ御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点はお願いしておきます。  千葉局長に承わりたいのですが、あの場合、都留教授召喚に応じなかった場合はどういう具体的取扱いを受けたであろうと想像されますか。
  53. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) これはまあ仮定の問題について想像するわけでございますが、はっきりしたことを申されませんが、都留教授に発せられました喚問状を見ますと、これに応じなければ所定の処罰をするということが書いてございますので、そういう処罰を受けられることになったのではないかと思います。ただ実際問題として直ちに何かそういう手続の執行が行われるかどうかということは、ちょっと私も前例をよく存じませんので、想像いたしかねております。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、都留教授が三月十五日に通告を受けて、それから二十六日、二十七日に出頭するまでの時間的経過については、この点には触れません。ただアメリカ国会が、応じない場合は罰するぞと、そういう形で召喚したそのことにしぼって私はこの際伺っておるわけでございますが、伝えられるところによりますと、都留教授召喚によって五、六十人のアメリカ教授が思想調査を受けるであろうということが新聞に報ぜられておるわけですが、そういう情報は外務省の欧米局に入っておりますかどうか。この事件が起って、あなた方の方としては当然在外公館等と私はすでに連絡をとられておると思うのですが、その点お伺いいたしたいと思います。
  55. 井上清一

    政府委員井上清一君) 都留教授調査の結果によって相当のアメリカの、あるいは外交官なり、教授、学者が調査を受けるであろうというようなことにつきましては、新聞には出ております。出ておりますけれども、公けには私どもの方に連絡はありません。また報告はありません。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 アメリカ上院の小委員会の、国内治安特別委員会のモーリス議員と、ジェンナー議員というのは名だたる共産党ぎらいの、赤狩りに興味を持っておられる議員だということが定評になっておるわけですが、この問題は私は相当悪質だと思うのです。今後の事件の発展を見守らなくちゃなりませぬが、発展次第では十五年前の問題で召喚して、そうして結果としては、それは速記録を見なければ、都留さんがどういうことをお話しになったかわからないけれども日本の交換教授である都留教授は、その人はアメリカの最近の、力による世界政策並びに対日政策については学者として批判を持っておられた方です。みずからも証言されておるように、決して反米主義者じゃないけれどもアメリカの今の政策については批判をされておる方です。その方がその上院証言された結果、アメリカ国内教授を次々に召換して思想調査をするように問題が発展していけば、これは見方によっては、わざわざ日本教授を向うに客員教授として呼んでおきながら、ちょっと都留さんを利用した形にならないとも私は限らないと思う。これは日本国民として感情的にも許せない。また日米両国民の友好関係にも私は大きなみぞをこしらえると思うのですね。そういうふうに考えざるを得ないわけで、事はきわめて重大だと思います。従って先ほどから湯山委員も約束されておりましたが、通り一ペんの抗議では了承できません。強力なる抗議をしてもらいたい。そうして回答をそのまま出されない、外交慣例として出されないとすれば、内容を正確に伝えて下さい。その結果によってはまたわれわれはただしたいし、またアメリカ国会日本国会と、院と院との関係として私はこの問題を発展さしてもいい内容をもっておると思います。その点強く要望しておきます。  もう一つ私は、ちょうど議題になっておる関係でお伺いしたいのですが、それは、ちょうど私党務の関係でここに出席するのがおくれて、先般委員長に要請しておきました茨城県の北富田小学校の問題は、すでに高田委員によって質疑が行われたと申しますから、多くを聞きませんが、都留さんの問題と関連して一つだけ聞いておきたい。それは、この都留さんの問題は、これはアメリカの赤狩りの一環として国際的な背景をもって出てきたということに間違いないと思う。これは私何とも否定できないと思う。それでなければ何のために十五年前の客員教授をこんなに呼びますか。間違いないです。赤狩りの手段としてやったに違いない。それから茨城の北富田の小学校校長さんはそのまま現職にあるという話です。そんなことで文部省は何しているのですか。これは、こういうふうに教育中立性を侵している、校長権限を越えた越権じゃないか、校長は部下を監督するとありますが、本人から私に詳しく手紙が来ている。はっきりと誓約書を書かせている。時間がかかるから言いませんが、高田委員から指摘されたでしょう、教職員の前で誓わせて、そうして焼かれているじゃありませんか。これは憲法の各条項に反しますよ。人権侵害でもありますよ。そういう校長さんが新しい教育委員会法によって人事について内申権を持つというのは、ナンセンスです。そんな人間に内申権を与えられますか。当然校長さんに対しては文部省としてはそういうのは好ましくないという解釈を出して、全国にこういう事件が起ったから、注意しなければならぬということを各県教育委員会に通牒を出し、校長さんには反省を求めると同時に、しかるべき取扱い方をしなければ、教育は曲ってしまいます。何らその後取り扱いせず、われわれはきょうはどういう処置をされているか、今どうなっているか、報告を聞くということだったのです。ところが、報告を聞いた結果を間接に承わると、何にもつかんでおられない。そんなことで政治的中立なんか守れますか。早急に処置しなさいよ。そうして本を焼かれた教師がちゃんと顔が立つようにしなさい。次の文教委員会報告してもらいたい。電話連絡は不十分ならば、茨城県は近いのですから、あなたのところの所管局の担当官を派遣して、茨城教育委員会との連絡をとり、早急に処置して、その結果を報告してもらいたい。  お答え願いたい点は、あの校長の態度が行き過ぎであったのかどうか、そのままでいいのかどうか、どういう見解を持っておられるのか、それをお答え願うとともに、係官を派遣して調査し、その結果を早急に報告できるかどうか、その二点をお答え願いたい。
  57. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 先ほど高田委員の御質問に対して局長からお答えいたしましたように、なお関係機関を通じて綿密に事情調査した上、教育の政治的中立性を厳に守るために適当な措置を講じます。現在なお実情を調査している段階でありますので、今ここで現在の段階で処分の問題についてはっきりした御答弁を申し上げることは差し控えさせていただきたい。こう存じます。
  58. 湯山勇

    湯山勇君 関連質問ですが、井上政務次官にお尋ねいたします。ただいまの矢嶋委員の質問に対しまして申入書の内容は公表できない、こういうことでございますか。実は先ほど私がお尋ねしたときには、抗議を含めた申し入れをするという、将来の問題というような御表現であったのですが、先ほど矢嶋委員に対しては申し入れをした、申し入れの内容は公表できない、こういうことなのか、その辺は若干あいまいだったと思いますので、お尋ねいたしたいのと、それから申入書に対してはもちろん回答が参ると思います。それらのものは一応申し入れがあって回答が来た段階では公表できるのかどうか。たとえば原水爆禁止についてのイギリスの回答等は公表されておりますので、私は外交慣例からいって公表できないという筋合いのものでもないのじゃないかというふうにも考えます。そこでその点と、さっきの速記録の問題ですけれども速記録は私は当委員会にも訳したものを配っていただきたいということをお願いしたのですけれども、そういうことはやっていただけるのかどうか、この二点お尋ねいたしたいと思います。
  59. 井上清一

    政府委員井上清一君) 速記録につきましては、先ほど衆議院の外務委員会でも御要望がございましたので、原文をさっそく刷りまして、お届けするようにいたします。訳すると百数十ページございますので、なかなか簡単には訳せませんので、原文を大急ぎで印刷をして、お届けするようにいたします。  なお対米申し入れの件につきましては、これはこちらから申し入れました内容もそっくりそのままはお出しすることは、今のところ困難に存じます。それから向うからおそらく返事がくると思います。その返事が来たものにつきましても、これは向うの同意を得ますれば、これは出して差しつかえございませんが、同意がない限りにおいては大体その要旨、要点についてはお答えを申し上げますけれども、そっくりそのままをお出しすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 井上さんにちょっとお尋ねしますが、こういうふうな文書は外交上秘密文書ですか。私はこういう点については外交の機微に触れるというものは全然ないので、これは政治的に見てわれわれが必要とするので、こういうところまで出さんと言ったらとんでもないと思うのだが、いかんと思うのだがね。
  61. 井上清一

    政府委員井上清一君) 文書の内容自体の問題じゃありませんで、外交的な慣例といたしまして外交文書につきましては、とにかく相手の文書は相手方の同意を得て出すというのが、国際的な慣行になっております。
  62. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それならば日本の政府から出したのは何も外国の許可を求める必要がないのでしょう。なぜ私がそういうことを言うかというと、あの申入書が果して抗議を内容とした申入書であるかどうかという問題点が私はあると思う。ただそういうことはやらないようにしてもらいたいという嘆願書みたいなものだったら、これはやらない方がいいと、こういうふうに委員長として毛考えるわけです。向うの返答書はさておいて、こちらの文書だけは見せなさい。
  63. 井上清一

    政府委員井上清一君) こちらから出しますのは、何も別に差しつかえないと、私どもも思います。しかし従来からの外交的の慣例といたしまして、向うに対する礼儀として、こちらの方にも出さないということでやっておりますので、これは政府を御信頼願うより仕方ないと思います。
  64. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それは、今委員会調査しておることに対する答えとしては、あまりに私はやはりいかぬと思う。それは確かに内容的に見て外交上の機微に触れる問題だというならば、われわれは常識上そういったものについてはそんなことは言いませんよ。ただ問題は、ことに日本アメリカの間におけるわだかまりをなくするという責任上、こういうものを通して、何か不明な点を残して両国における親密度というものをそこなってはいかぬ、こういう観点に立って見れば、やはり日本政府として正当な要請、要望、そういったものについては、日本の国民としてやはり関心を持っておるのだから、こういう点については、こういうふうに申し入れた、それに対する回答は、こうこういうような内容を含んだものであると、その要約したものをごらんに入れるということならば、話はわかりますが、こちらから出すやつが何が何だかさっぱりわからないで、御了承願いますといわれても困るので、それを出してもらいたい。委員長としてこちらの委員会権限上、外務省にそれを要請します。
  65. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいま委員長のお話がございましたが、こちらからの申し入れの書類というものは、今外交交渉の中途にあるので、いずれ向うから返事が参りますれば、また向うの承諾を得れば出します。またそれに関連しましてこちらから出したものにつきましても、なまのままでお出しして一向差しつかえないと思います。ただ従来から外交上の交渉はいろいろのやりとりがございます。そのやりとりを行いますものは、なまのままで出しますと、やはりいろいろ誤解を招くようなことがあっては、はなはだ相済まぬわけでございます。その点は御了承願います。
  66. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それは井上さん、やりとりの最中に出せと言うのじゃないでしょう、湯山さんの方も。だから一応めどがついたらこういうふうに事後処理をしましたという報告を受けたい、こう言うのですから、その点は一つ誤解ないようにしてもらいたいと思います。つまり外交、話し合いの途中の結論というものをわれわれは無理に聞こうというふうなことではなくて、一応めどがついたときに、やはり国内においてもそういうものに疑惑、疑問を持っている人々が多いので、そういうものを解消する意味において事後の処理はこういうふうにしましたというふうにしてもらいたいということだからその点誤解ないように。
  67. 井上清一

    政府委員井上清一君) 今のお話だと了承できるわけであります。向うから回答が参りましたときに、向うとも打ち合せましてその外交の経過、その他について御説明を、公表しなければなりませぬ。ただその際に、こちらから出しましたものについても十分に一つ御納得のいくようにいたしたいと思います。ただそのときに、なまのものそのままに出せるかどうかは今ここではっきり申し上げかねるのでありますが、できるだけ詳細に一つお伝えをいたしたい、これは私は前々から申し上げている通りであります。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点について、あなたの方からアメリカ大使館と接触を持つ場合に、この問題は日本の衆参両院を非常に刺激して質疑も行われた。外交文書が交換された場合に、アメリカ側の回答をなまのまま国会はぜひとも資料として出してほしいと、かように非常に刺激して強い要望があるので了承願いたい、こういう積極的な態度であなた方が接触される場合と接触されない場合とでは違うと思う。そういう積極的態度、すなわちわが国会の、立法府の意向を体してそういう積極的な外交折衝の態度をとられるお考えがあるかどうか。当然私はとるべきだと思うので、その点念のために伺っておきます。
  69. 井上清一

    政府委員井上清一君) 今私どもやはり何と申しましてもいろいろ外交的に話を進めて参ります場合には、日本国内の世論という毛のについて十分向うへ伝えることについては当然のことでございますし、また世論を代表して——世論を代表してとはおかしいのですが、国民を代表している衆参両院の意向というものは、これはもう当然伝えるわけであります。また本日の午前中の衆議院における本件に関する論議、また本日のこの本委員会における論議につきましても、おそらく、あるいはUPとかAPとかいうところでさっそくアメリカの方へこの詳細なものは伝えていると思います。私ども重ねてそうした点についてはよく伝えるようにいたしたいと思います。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは最後ですが、私先ほど断わったように、同じ質問問題だから関連して伺ったのですが、もう一回北富田の問題について伺いたいのですが、政務次官調査中で云々だと言われますが、事態は明白になっているのです。ああいう本人から誓約書を取り、また職員会議で皆さんの前で誓約させ、本を焼かした、そういう行為が行き過ぎであるという判断をあなた方は下されていないのかどうか、それが一つと、問題は十一月起ったのに本日まで調査中だなんということで委員会通せるかどうかということです。少し憲法とか教育基本法等に沿って進歩的な授業等をやれば、すぐあなた方は遺憾だとか何とか言って、教育委員会に指示なりして取り締っておる。ところが、こういう問題があれば、いまだに国会からつつかれても、まだ調査中だなんと言うている。茨城県は隣の県じゃないですか。それからまた高知県の繁藤校長さんの紀元節の問題にしても、本年度は教育委員会は望ましくないという態度を校長さんに伝えたわね。ところが校長さんはその教育委員会見解をはねのけて紀元節の式典を従来通りやった。そういうような、教育委員会の意向にそむいた学校運営をやっておられることについて、ほかの場合だったらちょっと進歩的なことをやったらあなた方はぴしゃんとやるわけなんだけれども、そういうようなのは見過ごしている。こういう状況では私は行政府の、行政官の政治的中立そのものが問題だと思う。反省されるところはございませんか。  それでさっきの第一問と、第二問としては、早急に係官を派遣して次の委員会報告できるようにしてもらいたい。それに対するお答え、以上二点伺いたい。
  71. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 文部省が直接地方公務員たる教員の任免権を持っているわけではないことは御承知の通りであります。先ほど矢嶋委員の御質問では、処罰の点に触れられましたが、事は処罰となりますとやはり重大な問題であり、しかも文部省に直接の権限もないことでありますので、先ほどの高田委員の御指摘もありましたから、一応初中局長から、教育委員会報告は先ほど申し上げておきましたけれども、なおよく高田委員の御指摘のような行き過ぎが事実あるのかどうか、そういう点についても関係機関に連絡して、正確な事実を明らかにした上で態度を決定したい、こういう考え方でおるわけであります。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 議事進行に関する問題ですが、先ほどの教育委員会文部省報告は若干信憑性に乏しいということ、それからあまりにも形式的な答弁だけで、その場を過ごすような、まことにおざなりの報告であったように思う。私は調査報告だけを伺って内容の問題には何ら触れておりません。なぜならば信憑性のないところでこの問題を進めるということは、お互いにそしりを免れないおそれもあるがゆえに、徹底的な調査を先ほど申し上げておいたわけです。従いまして矢嶋委員からの重ねての御質問もありましたように、どうか早い機会にこの村の封建制の問題から、その背後にあるすべての問題を多角的に調査して、早急にその資料を当委員会報告してもらいたい。同時に、本問題は教育中立性に関する、なかんずく文教政策に関する根本的な問題でありますから、委員長におかれましては、本問題が出されました場合には、必ず最高の責任者である灘尾文相に出席を求めて、そうして本問題が誤まりない方向にいかれるように、ということを切望し、議事進行にかえます。
  73. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま高田委員からも要望がありましたが、先ほど矢嶋、湯山委員からも要望があった通り外務省の方としてはこの都留教授の問題をいろいろとアメリカと交渉されることになると思うのですが、現在しているようですが、その結論が一応出たならば、急速に本委員会に対して御要請のように一つ行動してもらいたいと思います。  それから文部当局に対しては調査方法、その他いろいろと希望が出ておりましたが、相当長時間たっている問題ですから、これも急速に調査せられて次回の文教委員会までに御調査報告をしていただきたい。  なおちょっと申し上げますが、きょうは灘尾文相が病臥なされておるので出席できない、この点は了解願いたいと思います。  以上の点よろしゅうございますか。
  74. 稻葉修

    政府委員稻葉修君) 次回の、九日の文教委員会までになるべく間に合うように努力いたしますが、きわめて広範な御調査の要求でありましたので、高田委員の御要求はできるだけ関係機関を動員いたしまして、御要望に沿いたいと存じております。
  75. 井上清一

    政府委員井上清一君) 先ほどの御要望のございました速記録につきましては、できるだけ早く四、五日のうちにお手元にお届けを申し上げたい、かように思っております。  なおまたアメリカ本件に関しまする申し入れに対する回答が参りますればさっそく本委員会に御報告を申し上げたいと思います。
  76. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。  次に盲・ろう学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する件、公立の盲・ろう学校幼稚部及び高等部の整備に関する件、盲・ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する件、公立の小学校及び中学校特殊学級における教育振興に関する件、高等学校定時制教育及び通信教育の振興に関する件及び僻地教育振興に関する件を一括議題といたします。  本件に関しては前回の委員会において種々懇談を行なったのでありますが、本日までに各会派の態度をおきめ願っておくことになっておりますので、その報告から入りたいと存じますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それではそれから入ります。  速記中止。    午後三時二十四分速記中止    ————・————    午後三時三十六分速記開始
  79. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま懇談で種々取扱いについて御協議を願ったのでありますが、結局本日は結論を得るに至りません。従って本件については次回の委員会においてさらに協議することといたします。  これにて散会いたします。    午後三時三十七分散会