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1957-03-14 第26回国会 参議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十四日(木曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            野本 品吉君            矢嶋 三義君            常岡 一郎君    委員            川口爲之助君            田中 茂穂君            林田 正治君            林屋亀次郎君            三浦 義男君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    郵政政務次官  伊東 岩男君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省管理局振    興課長     赤石 清悦君   —————————————   本日の会議に付した案件委員長報告教育文化及び学術に関する調査の  件  (学校環境維持に関する件)  (教育テレビジョンに関する件) ○理科教育振興法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○私立大学研究設備に対する国の補  助に関する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) これより文教委員会開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会経過について報告いたします。  本日は、午前中は、かねて当委員会において調査検討を行なってきた教育環境浄化について一応の具体案ができましたので、これに対して御検討を願うことといたしました。午後は、前回の委員会ですでに質疑を終局しております理科教育振興法の一部を改正する法律案について討論採決を行い、引き続き私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律案について質疑を行うことといたしました。  なお、理科教育振興法の一部を改正する法律案に対し付帯決議案が提出されておりまするので、本件については後刻御協議をお願いいたします。  また、矢嶋委員から教育テレビジョンについて郵政大臣及び電波監理局長に対し緊急質問が提出されましたので、これを許可することといたしました。  以上の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは学校環境維持に関する件を議題といたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  この学校環境維持に関する法律案は、先般来鳩森小学校周辺に起っておりました温泉マークの旅館が学校教育に非常な影響を及ぼしておりまするので、いろいろと参考人を招いて実情を調査する等、鋭意解決努力して参ったのでありまするが、その締めくくりとして、四月一日以降売春防止法が施行されるという条件とも兼ね合せて、急速にまとめる必要があろうと思って、お手元に配付いたした次第であります。で、これを本日御協議願って、各党派で御検討の上、来週十九日を目標にしてこの法案を可決したい、こういうふうになっておる次第であります。  以上お含みの上、御検討を願いたいと思います。
  6. 野本品吉

    野本品吉君 ちょっと速記をとめて下さい。
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    午前十一時十七分速記中止    ——————————    午後零時十六分速記開始
  8. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。  ただいまの懇談によりまして、この学校環境維持に関する法律案、仮案ですね、これを各党派で急速に御検討ただいて、先ほど申し上げましたように、十九日を目途にして御協議が成立するように御努力をお願いいたします。  以上で午前中の審議を終りまして暫時休憩といたします。    午後零時十七分休憩    ——————————    午後一時四十八分開会
  9. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  理科教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対してはすでに質疑を終局いたしておりまするので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 日本社会党を代表いたしまして、理科教育振興法の一部を改正する法律案について賛成意見を申し上げます。  もともと理科教育文化的な国家建設基礎として特に重要なる使命を有することにかんがみ、教育基本法及び学校教育法の精神にのっとり理科教育を通じて科学的な知識、技能及び態度を修得させるとともに工夫創造の能力を養い、もって日常生活を合理的に営み、かつわが国発展に貢献し得る有為な国民を育成するため理科教育振興をはかることを目的とするこの理科教育振興法目的にかんがみまして、今回特に私立学校が国のあたたかい手によってこうした目的が達せられ、わが国科学水準の向上とともに日本文化国家建設への大きな基礎を開け得たということは、まことに実は御同慶にたえないところであります。  顧みまして私立学校教育の問題については、はなはだこの日本においては国の手が伸び過ぎない。私はたびたびこの委員会の席上でも申し上げましたように、イギリスのようなところでは大体国が七〇%の手を伸べている。自己負担は三〇%にすぎない。わが国においては自己負担は七〇%である。国の負担は三〇%であるというこういう現状でありますので、この法律の中で、私立学校計画の中で国の手によって目的を達成し得るというこのことについては、まことにけっこうな点であろうと思うわけであります。しかしながら、この一歩前進した姿を見ますとはなはだ現状にかけはなれているような予算が組まれているのではないか。私立学校理科教育現状はすでに非常なむしろ窮乏状態に達している。しかるにかかわらずはなはだ今回の予算の立て方が少い。三十二年度は約一千万円である。従って中学校当りでは一校八万円である。高等学校では十万円である。児童生徒当り一人前にすると大体四円か五円ぐらいのものでありまして、今日紙芝居を見るのにでも五円や十円の金は子供はやはり使っている。文化国家を目ざす理科教育振興予算の組み方はこのような零細のものであってはならないのです。ぜひこれは予算の面においても相当考慮されなければならない。私はこの点を強く主張しなければならないわけであります。特に理科教育振興法の規定によれば、国は理科教育に対する総合計画を樹立しなければならないことになっておりますが、この総合計画の樹立の面においてももっともっと私は研究されなければならない面があるのではないだろうか。すなわち今回文部省説明によれば、最低水準まで達するために国の予算は八億五千万円が計上されている模様であります。しかもこの八億五千万円の費用をもって最低水準を達するまでの計画年次としては十三年という長年月を要している模様であります。わが国文化の発達は実に急速な進歩を遂げつつあり、なかんずく科学発展は最近目ざましいものがあるのでありますが、十三年計画の中で八億五千万円をもって最低水準をきめていこうとするこの計画そのものについても、さらにもう一段の研究が必要ではないか。私どもただ単に文部省が提示した十三年計画、八億五千万円の予算をもって十三年後のわが国文化水準を維持し得るその基礎になるとは、どうしても考えられない。従って文部省はこの法案を通された暁において、早急にこれが対策を樹立され、再検討をされて、予算の面においても格段の御検討をわずらわしたい、このように考えるわけであります。  さらに希望したいことは、予算配分方法であります。貧困な現状で零細な予算配分されるということになりますと、そこに非常なその配分のむずかしさができてくるのではないでしょうか。中央においては監理局がその衝に当ると言われておりますが、単に中央監理局のみでこのわずかの予算を公平に、かつ、適正に配分するということはしかく困難ではないかというふうに考えられます。産振法を通過させますときにも、予算配分問題は当委員会でもかなりきびしく論議されたと記憶しております。従いまして理振法の予算配分においても、単に中央機関がその衝に当るだけでなく、配分のためというよりは、予算の公平な実効の上る使い方をさせるためには、各都道府県においてもそれぞれ審議会を設置されて、そうして予算配分並びにその配分から出発するところの総合的な計画が常に上部機関に反映し得るような、そういう機構が考慮されていいのではないか。もしそういう方法が考慮されないとするならば、予算の比較的余裕のある学校は二分の一の国の補助を受けることがありましょうけれども、まことに予算の少い、言うならば最も弱小な私立学校予算配分の面において置き忘れられるという危険性があり、ここに生ずる学校差の問題は、教育機会均等という面に非常な悪影響を及ぼしてくるのではないか。しかのみならず、この予算配分を受けたいために、私立学校自体がPTAの寄付、あるいはその他の寄付行為に狂奔して、教育者教育の本来を離れて寄付募集人員になり下ったり、あるいは一部の金力者に対して教育者の権威を失墜するような、こういうような状況に陥らないともこれは予想できない状態であって、しかくこの配分の問題については、予算の増額とともに相当私立学校理科教育現状と相待って再検討しなければならない問題ではないか。私どもはこの点に非常な危惧を感ずるとともに、こうした危惧を一掃されるように特段に文部当局の御努力をわずらわしまして、私は本法案に対して賛成意見を終りたいと思います。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は本法律案を可決するに当りまして、付帯決議をなすことを提案いたします。  本法律案審議の過程においてわが国科学技術振興並びに科学教育振興がいかに重要であり、また現状はいかなるものであるかということが明確になったわけでありまして、今後日本科学技術水準科学教育振興をはかるためには、理科教育振興というものをぜひともその基本として達成させなければならぬという立場から、この法律案を可決するに当りまして、理科教育振興に関して全般的な立場から、以下申し上げますような付帯決議を提案申し上げる次第でございます。朗読をいたします。    本委員会は、理科教育振興法の一部を改正する法律案を可決するに際し、次の附帯決議を附する。政府は次の事項の実施に努めるべきである。  一、理科教育振興のための設備基準を可及的速かに高めるべく、省令を改めるとともに、設備充実の経費について、強力な予算措置を講ずること。  二、理科教育における実験、実習に従事する助手の定数を確保するとともに、その特選を改善するため速かに適切な措置を講ずること。  三、理科教育振興のため、教員養成計画を樹立し、特に現職教員の再教育に意を注ぐこと。  以上であります。御賛同をお願いいたします。
  12. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 別に御意見もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  速記をとめて。    〔速記中止
  14. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  これより採決に入ります。  理科教育振興法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     吉田 萬次  湯山  勇     高田なほ子  田中 茂穂     松澤 靖介  安部 清美     三浦 義男  林田 正治     野本 品吉  有馬 英二     常岡 一郎  矢嶋 三義
  17. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、討論矢嶋委員から提出されました付帯決議案議題といたします。  矢嶋委員提出付帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  18. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致であります。よって本付帯決議案は可決されました。   —————————————
  19. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、午前中御相談申し上げました矢嶋委員より緊急質問が提出されておりまする教育テレビについて、矢嶋委員質問を許します。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まず、委員長にお尋ねいたしますが、ただいまたださんとする教育テレビの問題に関しては、かつて本委員会でちょっと取り上げられたことがあり、それ以来、郵政大臣並びに電波監理局長出席をいただいて、そして緊急なる案件であるがゆえに、問題の所在を明確にいたしたい、こういう考えであったわけでありますが、郵政大臣しばらくの間御病気で登院なさっておられなかったので、それができなかったわけでございます。しかるところ、御病気もおなおりになって登院なさいましたので、緊急な問題であるだけに、責任者の御出席をいただいてたださんとしたわけでございますが、本日なお大臣見えになっていないようですが、どういう理由でおいでにならないのか、また監理局長おいでになっておられるのか、またこれからおいでになられるのか、質問に先だってその点、委員長からお答えいただきたいと思います。
  21. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまの矢嶋委員の御質問にお答え申し上げます。午前中からの御要求によりまして、平井郵政大臣郵政省電波監理局長濱田君に当委員会出席を督促して参りましたが、平井郵政大臣は、病後のこととて病院診察に参りたいということで、衆議院の本会議にも出席できずにお帰りになった様子であります。それから電波監理局長につきましては、現在出席方を督促中でありまするので、お待ちを願いたいと思います。なお郵政大臣かわり郵政政務次官伊東岩男君が出席されておりまするので、御質疑をお願いいたしたいと思いまするが、いかがでしょうか。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 監理局次長、お見えになっておりませんか。
  23. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  24. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 平井郵政大臣かわり出席されました伊東次官にまず御要望申し上げておきます。文教委員長は、逓信委員会審議も考慮しまして、ずいぶん紳士的に、御都合のつくときに御出席願いたい、こういう態度を堅持されて参ったのですが、平井郵政大臣病気ならいたし方ないわけですが、その後、電波監理局長、それができなければ次長出席と言っても、言を左右にしてなかなか出席されない、この態度は、立法府としては許すことはできないと思うのです。何も、政府委員に任命され国会から承認されておる方は、特定の委員会政府委員じゃなくて、国会に対する政府委員ですから、委員長も、今要請してすぐ出てこなければならぬというわけじゃないのですから、相当余裕が与えられておるわけですから、大臣あるいは政務次官局長次長という方々は、相当誠意を持って委員会出席されるようされなければならない。これは当然のことだと思います。従って私は強く要望いたしておきます。おそらく次官部下の方、おいでになっておると思いますから、局長に至急に本委員会出席するよう御指示いただきたいと思います。
  26. 岡三郎

    委員長岡三郎君) さよう、ただいま矢嶋委員が言われた通りに督促いたします。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まず私は文部大臣に伺います。文部大臣はこの前の本委員会において、チャンネルプランの設定に際しては、テレビ教育に対する重要性から、教育用テレビチャンネルをぜひ確保いたしたい、また郵政大臣ともこのことを連絡をとって期待に沿いたい、こういう発言をされたわけでございますが、この際承わりたいことは、本日まで郵政当局にいかような交渉をされ、その経過はどうなっておるかということと、それから基本的に、この教育テレビについて文部大臣はどういう基本的なお考えを持っておるか。さらにそれを掘り下げて具体的に言うならば、チャンネルの確保に当っては、いかような形態が望ましいと、こういうふうにお考えになって交渉を持たれつつあるのか、その点についてまず文部大臣からお答え願いたいと思います。
  28. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) テレビが青少年の教育の上に大きな影響を持つものであるというふうに私は考えるのでございます。従って現在のテレビにつきましても、教育的効果がなるべく上るような配慮を払ってほしいと思っておるわけであります。現在特に教育のためにテレビをやろうじゃないかというような話が出ておるわけであります。これらにつきましては、私といたしましては非常にいいことだと思うのであります。そこで、しかし、やり方が間違ってくるというと、とんでもないことになってしまうというような心配もある問題でございますので、郵政当局においていろいろ御検討中と伺っておりますので、特に郵政大臣に対しまして、おやりになるのならしっかりしたものを一つやってほしい、心配の要らないようなりっぱなものを一つやり上げていただきたい、こういうことをお願いしているわけでございます。私と郵政大臣との間におきましては、別にそれ以上の話は今日までございません。目下郵政当局においてこの問題について御検討中と伺っているわけでございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般、大臣努力されるということを御答弁なさったので、私は御期待いたしておったわけですが、ただいまの答弁では私は納得できません。少くともテレビ教育に対する影響性、それからその効果というものを認識されてお考えになっておられる以上は、最近相当大きな問題になっているこの問題の解決に当っては、文部大臣としては教育テレビ日本で行われるようにしたい、あってほしい、そういう積極的な自主性のある文部省文部大臣のお考えをもって、私は郵政当局交渉を持たれなければならないと思いますし、また特に今の段階というものは私はそういう時期にきていると思うんです。従って今文部大臣は、きわめてばく然としたお答えをいただいたわけですが、私はもう少し文部大臣としてはお考えを持っていらっしゃるだろうと思うのです。たとえばこの教育テレビをやるに当っては、教育基本法に書いてありますように、教育機会均等地域差の是正、こういう点は一つぜひとも貫きたいとか、たとえていえばそういうことですが、そういうようなお考え方をやはり教育テレビに対してあなたは持たれているはずだと思います。それを今お答えいただけませんでしたので、その点、基本的な問題でございますから、お聞かせいただきたいと思います。
  30. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 郵政大臣ないし郵政当局におかれましても、この教育テレビの実現ということについてお考えを持っていらっしゃることと考えます。そのつもりで、それを前提としての話でございますが、それ以上の問題につきまして、まだ私、あるいは文部省郵政省との間に検討をする、あるいは交渉をするという段階にまで至っておらないように思うのでございまして、目下郵政当局の方におきましていろいろこの電波の問題について御検討中と伺っているわけであります。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここでちょっと文部大臣に対する質疑をはずして、政務次官の方に伺って、それからまた文部大臣質問を返したいと思います。  政務次官に伺いますが、この一月二十一日に「テレビジョン放送用周波数割当計画基本方針の一部修正及び周波数具体的割当計画について」というものを電波監理審議会に諮問されておられますが、この答申はいつごろ行われると予想されておられるのか。さらに具体的なチャンネルプラン郵政省としていつごろ決定されようという目途のもとに事を運ばれておられるのか。その間においてこの教育用テレビというものはずいぶん国民関心事であります。かかるがゆえに私は文教委員会であえて緊急質問をしているわけですが、それらの点について最終決定するに当って、文部省とどういう交渉を持たれようとされているのか、まずそれをお答え願いたいと思います。
  32. 伊東岩男

    政府委員伊東岩男君) 電波事業は文明の先駆を行くもので、非常に有益性を持っております。ことに今問題になっておる教育テレビの問題でございまするが、これに関連する波の分け方、決定等はこの基本をなすものでございまして、この重要な問題については、郵政大臣から答うるべきものだと、こう考えます。お断わり申し上げまするが、ちょっと午前中こちらに出ておりましたけれども、実際は病院診察に参って、きょうただいままで本会議もございまして、私かわって出てきておるような次第で、この点はお許しを願いたいと思います。  御質問の点について、審議会答申の問題でございまするが、今、答申がいつあるかということについてはまだ決定をいたしておりません。さらに教育テレビの免許の方針のごときについても、今検討中でございまして、どういう工合にこれをどうするか、どこにどうするかというようなことも決定をいたしておりませんが、しかしいずれにいたしましても、これは混乱するようなことがあっても困りまするので、なるべく早く決定すべきものだと思いまするが、今の場合、いつ決定するかということも、今検討中でございましてわかりませんが、事をはっきりお答えできぬことを遺憾に存じます。  なお、教育テレビに対しては、これは文教政策と不可分の関係がありまするので、いよいよ実施に当っては、よくこの点も御協議申し上げなければならないと、かように考えておる次第でございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、具体的に伺って参りますが、このテレビ放送をするに当っては、電波の質がいいものを確保されなければならないということを言われているわけです。それでUHFとVHF電波があって、VHF電波の質がよろしい、これを確保しなければならないということは、教育界等でも叫ばれているわけですが、VHFという質のいい電波教育用テレビに確保するということについては、郵政省としても方針としてきめられていることと思いますが、その点あなたのお考えはいかがでございますか。
  34. 伊東岩男

    政府委員伊東岩男君) さっきから申し上げるように、どの電波をどこに、またどの方向にこれをどうするというようなことは、これは非常に重要な問題でございまするので、ただいま事務当局でも熱心に検討をいたしておるので、これははっきり申し上げられません。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そんなものは答弁にならんですよ。そういう点について、あなたは部下と話されたことがございますか、その点をお答え願います。せっかく郵政大臣かわりおいでになって、そういう御答弁では、質疑を続けていくことはできません。もう少しあなたのお考えを承わりたいと思います。
  36. 伊東岩男

    政府委員伊東岩男君) これは重大な問題でございまするので、いろいろ打ち合せはいたしておりまするが、まだここではっきり発表するまでの段階に参っておりませんし、なおそういう技術上のことについては、これはむしろ大臣あるいは政務次官というよりも、電波局長の方がよかろうと思いまするので、今出席するように催促をしたようなわけでございます。果して出るかどうか、今ちょうど委員会に臨んでおりまするのでわかりませんが、どうぞその意味でお許しを願いたいと思います。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣、その点どうお考えになっていらっしゃいますか。承わるところによりますと、アメリカあたりではUHFの電波は余っているけれども、こういうものではチューナーも必要であるし、サービス・エリアも狭くなった上によく出ないので、それでそういう波はあるにかかわらず、これを申し込まない実情だと、かように承わっているわけです。われわれ教育界並びに各方面からいろいろ、ぜひともVHFの質のいい電波教育用に確保されなければならぬという声を聞くわけですが、文部大臣としてはその点いかようにお考えになっていらっしゃいますか、お答え願いたい。
  38. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 専門の知識を持ちませんので、きわめてばくたるお答えしかできないのでありますが、正確なところは一つ専門家からお聞き取りを願いたいと思うのですが、私の希望といたしましては、もちろんいいものが割当てられるということを希望することは、これは当然のことであります。その趣旨をもちまして、郵政当局でもぜひお考えを願いたいと思っております。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一般的に伺いますが、伊東次官教育テレビは重視されますか、それともあまり教育テレビについては御熱意を持っておられないのでございましょうか。私はあなたの過去並びに現在を知っているだけに、教育テレビについては政務次官として相当お骨折りをいただいていると思いますわけですが、教育テレビに対する御見解はいかがでございましょうか、伺いたいと思います。
  40. 伊東岩男

    政府委員伊東岩男君) 率直に申し上げますると、テレビの問題については専門的の知識をもちろん持ち合せはございませんので、従いまして完全なお答えはできないと、こう思っております。大体教育テレビが時代の寵児として非常に要求を受けておること、従いまして非常なる重要性を持っておりまするので、教育テレビをどうするかということについては、決してこれは軽率にできないということばかりでなくて、郵政行政のうちでも今回のこの波の分配及びテレビ等の許可方針等については慎重の態度をとらなければ、万一これで誤まったならば日本電波事業に非常なる支障を起さしめるばかりでなくて、このような教育という重大性を持っておるこのテレビに対しては、特別の配慮をいたさなければならないと思っておりまするので、省内においてもっとに注意して慎重なる検討を加えておるばかりでなくて、今一般の専門家、有識者等の意見も聞き、むろん私どももこれは郵政事業の重大なる問題で、そうしてこの問題の責任を持っておるわけでございまするので、われわれは委員会においても、十分委員会の意も体さなければならない。さらに教育テレビに至っては、やはり文政上非常に大事な問題であるから、皆さんたちの御意見を聞きつつ、そうしてほんとうに誤まりなき教育テレビとしての実現を期したいと、こういう見解を持っております。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常に重要な問題でありますから、慎重にやらなければならぬということはわかります。だから、先般も湯山委員から一応文部大臣ただされたわけですが、文部大臣の先ほどの答弁の範囲内から推察すると、慎重な態度をとられていることは了としても、前進していないということですね、そういう印象を私は受けます。文部大臣にしても、政務次官にしても、早急に専門家の意見も聞き、御研究なさって、これは緊急の問題になっているわけですから、将来悔いを残さないように、早くこの適当なる結論が出るように努力していただかなくちゃならぬと思うのです。私は、基本方針としてこの電波監理審議会に諮問された事項の中に次のように書かれておる点は、教育テレビを軽視しておると思うのです。それは第一番に、この日本放送協会とそれから民放、これを並立させる。さらに、重要地域については民放を許すと、そうしてその第三番目にこういうことを書いてある。「学術、技芸、職能教育等もっぱら教育的効果目的とする放送を行う局の設置を必要かつ適当とする場合においては、その実施を可能にするごとく考慮する。」云々と書いてあるわけですね。だから、この諮問した原案というものは、私は教育テレビというものを非常に軽視しておると思う。従って、今の方向で行けば、私は全国の国民教育テレビを聴視することができるような事態におそらくならぬだろうという私は悲観的な見方をしておるわけです。教育テレビ学校教育の面に、社会教育の面に大きな貢献をするであろうということは、先進国の実績が示しておるところですし、従って教育機会均等地域差の是正という立場から、ぜひとも質のいい波を確保して、全国津々浦々の人がこれを聴視できるというようにしなければならぬと思う。そのためには、この基本方針からは出てこないと思う。東京に一つチャンネルを確保しても、この地域の人は聴視できるでしょうけれども、九州の果の人は聴視できなくなりましょう。また、たとえば九州の福岡に一つ持ってきても、南の方はできなくなってくるでしょう。他の民放とネットワークを張ってやるということにしても、そういうことになりますというと、朝人の寝ているうちか、あるいは夜人が寝てから後に教育放送が行われるようになって、人が一番聴視するに都合のいい、いわゆるゴールデン・アワーというようなときには、教育的なものは一切波が送られてこないと、こういう事態になることは、これは簡単に想像できると思う。従って、私は主張し、またあなた方の御意見を承わりたいことは、テレビ教育に対する非常に価値あるものだという判断のもとに、教育テレビを徹底的にやるという方針に立てば、VHFのような質のいい波というものをまずもって教育テレビ用として確保すると、このくらいな線を打ち出さなければ、全国に教育テレビの聴視を可能ならしめることはできないと、こう思うのです。そういう立場から、ここに示しておる基本方針というものはきわめてなまぬるいと思うのですね。この点政務次官の御見解はいかがでしょうか。そのあとで私は文部大臣の御見解を伺いたいと思います。
  42. 伊東岩男

    政府委員伊東岩男君) 諮問したる事項に対してどういう答えが出てくるか、これはよくわかりませんが、しかし郵政当局としては、決して教育テレビというものを軽視すべきものじゃないということだけははっきり申し上げてよろしいと思います。そこで波の問題については、これは専門的技術にわたりまするけれども、やはりいい波を確保するということについては、これは当然なことであります。ことに、ただいまでも公共放送であるNHKが教育放送をやり、高度の教養放送もやっておるのでございまするけれども、さらに今後はいわゆる学校教育放送というようなことになりますると、お話のように、中央におるものは大学があり、高等学校があり、自由に学問の機会均等もできるのでございますけれども、いなかの方では、なかなかそこまでいけませんし、なかんずく勤労青年に対する教育のごときは最も手っとり早くて効果的なものは、やはり教育テレビだと、かように考えるのであります。さような見地から申しますると、今御質問のように、なかなかこのテレビを徹底させるということについては、波の確保、その他諸般の関係等もございまするわけで、よほどこれは考えなければならぬ問題でございますから、いわゆる諮問はいたしておりまする上に、さらにただいま慎重に研究をいたしまする点もそこにあるのであります。  一体教育テレビというものを、だれにやらせるかというようなことが、一番問題でございます。公共放送であるNHKがよろしいのか、あるいは民放がいいのか、ただいま民放のごときは、やはりこれは営利本位でやっておりまするし、なお番組等についても、これは感心のできない点もございますので、これをどういう工合に浄化するか。ああいうふうな番組の中で、完全な教育的、教養的な放送というものは、多少困難性もあるわけでございますので、今後いわゆる番組において、どうすればどの程度の教養が進め得られるか、あるいはこれをほんとうの学校教育的放送をするについては、企業形態、いろいろな経理関係等もございまするので、果してどうする方がよいかというようなことについても、相当、省においても研究を進めておるのでございます。従いまして、この決定のおくれるのも、そういう段階でございますからおくれるのでございます。まあこの断を下す場合においては、きわめて公正妥当に、そうしてさっきから申し上げるように、真に今後教育テレビの本領を発揮して誤まらないようにやらなければならぬと、こう考えておることを率直に申し上げておきます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一言申して文部大臣のお答えを求めます。  教育テレビが実現したあとに、これが中立公正であり、不偏不党であらねばならないということは、これは申すまでもないと思います。教育テレビ考えた場合に、むしろ私は都会よりは僻地、地方の人々にとって事は重大だ。しかも教育テレビは、教育でございますから長期的計画も必要でありましょうし、また体系的、専門的でなければならぬ、こういうことが私は言えると思うのでございます。そうして先ほども私申し上げましたように、教育機会均等という立場から全国の人々に教育テレビを聴視していただくためには私はすっきりしたチャンネルを確保しなければできることではないと思います。東京に一つの教育テレビがあって、そうして民放とネットワークを張るといっても、商業放送の場合はなかなかうまくいくものではない。これはラジオの場合を見ても私は簡単に推察できると思うのです。しかもラジオと違ってテレビの場合は今度の十一チャンネルプランが終ればもうあとはないと承わっておりますので、それだけに誤まりなきようにしなければならないと考えられるのであえて伺っておるわけですが、文部大臣としては、全国の国民教育テレビが均等に聴視できるような、かようなチャンネルプランを立てたい、こういうお考えのもとに今後善処されんとしておられるのだと、かように私は推察するわけでございますが、その点大臣の御見解はいかがでございますか。
  44. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御質問の御趣旨と大体同じような考え方をしております。
  45. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  46. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に最後に伺いますが、先ほども政務次官がだれにやらせるかが問題だと言われたんですが、これは確かに問題だと思うのです。商業放送のチャンネルについても、あるいは教育放送のチャンネルについても、猛烈なる競争が行われておるということを承わっておるわけです。だから教育テレビについてもあまり競争が激しくなるというと、商業放送の方にぽんと持っていかれて、教育用を確保できないような、非常に最悪の事態にならぬとも限らぬ情勢と私は推察をしているわけなんです。そこでこの態度を早くきめて、文部大臣として善処していただかなくてはならぬと思うのですが、公共性という立場からやはり公共機関、公共放送をやっているたとえばNHK、こういうところに教育テレビはやらせる方が私は無難で妥当だと、こういう考えを持つものですが、その点、文部大臣はいかようにお考えになられるか。最悪の場合でも先ほど私申し上げましたように、競争をして、その間に他からさらわれていくというような事態にならないように善処を願いたいと思う。そして郵政大臣もすでに病気がなおられて登院されておることでもありますし、こういう事態はいつまでも放置しておけばおくほどこういう混乱が起ってくるわけですから、次の委員会までには、きょうのような答弁でなくて、郵政大臣と十分この専門的な面も掘り下げて検討されて、もう少し前進した姿における報告を本委員会にして下さるように要請をいたすわけであります。質問と要請でございます。お答え願います。
  48. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この問題について、郵政大臣もきわめて真剣に、熱意を持って御検討になっておるものと私は承知いたしております。まだ郵政大臣から私の方にどうだというようなお話がある段階に到達しておらないものと私は了解いたしておるのであります。お話がありますれば、むろんわれわれといたしましても十分に御相談には乗るつもりでおりますし、また、お話がなくても、ただいまお話しになりましたような趣旨につきましては、私からもすでに十分申し上げておるつもりでございます。そのことは御了解を願っておることと私は思っております。これを一体だれにやらせるか、いかなる企業体にやらせるかということにつきましては、私は抽象的な結論しか持っておりません。今具体的に、どちらに、だれにやらせるというようなことをお答えする結論を持ちません。いずれにいたしましても、どこがやるにいたしましても、ほんとうにやるだけの力があり、しかもその仕事の性質にかんがみまして、心配の要らない、信頼のできるスタッフを持ち、経営者を持っておるところにやってもらいたいということを考えておるわけでありまして、今日の場合、私がどちらがいいとか悪いとかいうことを申し上げる時期でもないし、また私自身といたしましても結論を持っておりません。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次回の要請についてはよろしゅうございますね。
  50. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 報告と言われたのがよくわからないのですが……。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本日の御答弁では、郵政大臣とどのくらい掘り下げて御協議され、どういう点に意見の相違があり、どこがネックになっておるかという点は、こちらは答弁からはわからないのです。従って、問題は非常に進展して緊急性を帯びてきておるわけでございますから、幸い郵政大臣も御病気が全快されて登院されておるわけでございますから、次の文教委員会までに、さらに専門的に掘り下げた御協議を、また文部大臣としての要請を郵政大臣にされて、その後の経過について本委員会においてお答え願いたい。かように御要望申し上げておきます。
  52. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今日までのところは、先ほど来申し上げておる通りでありまして、特に申し上げることはないのであります。ネックがあるとかないとか、そういうことも郵政大臣と私との間には何もございません。次の機会におきまして、願わくは一つ郵政大臣にも御出席を願って、郵政大臣の方からいろいろまた説明を聴取していただきたいと思いますが、その間、私と郵政大臣との間におきまして何かのことがあればもちろんその際申し上げます。
  53. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 矢嶋委員に申し上げますが、間もなく濱田電波監理局長出席するようでありますから、しばらくお待ちを願いたいと思うのですが、よろしゅうございますか……。  速記をとめて。    〔速記中止
  54. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起して。  それでは質疑を続けます。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間の制約がありますから、数点について簡単にお伺いしますから、明確にお答え願いたいと思います。十一チャンネルの配当については、ずいぶんと国民関心の的になっていることは御承知の通りだと思います。で、私どもは、監理当局は教育テレビについては比較的に不熱心ではないかという印象を受けるわけです。ということは、一月二十一日付で電波監理審議会に諮問した第六項目の中には、このNHKと民放を並立させ、さらに重要な地域については民放を割り当て、そしてあと余ったら教育テレビというような、一、二、三の段階になっていますね。これでいきますとね、私は全国の国民教育テレビを聴視できるという事態にはなってこない、こう私は見通しを立てるわけなんです。先ほど申し上げたことで、繰り返して申し上げませんが、テレビ学校教育、社会教育に及ぼす影響効果というものは、きわめて大きいし、都会よりも地方の人にとって重大だし、これはやはり教育機会均等地域差の是正ということになるわけですから、もちろん公正、不偏不党なものでなければなりませぬが、全国の人々がひとしく聴視できるように、質のいい電波ですね、承わるとVHFはいいので、ぜひともこれでなくちゃならぬということを専門家から承わっておるわけです。それを確保して、全国の方が聴視できるような、かような積極方針教育テレビについては確保していただきたい。そうあるべきじゃないか、こういう見解を持っているわけですが、どうもあなたの言葉は非常に消極的で、商業テレビに押されて、おそらくプランができ上ったときには、日本の国土のうちで東京とか大阪とか、あるいは福岡とか、ごく一部の人だけがサービス・エリアの中に入るような事態になるのじゃないか、こういうような点、懸念いたしますゆえに、あえてお伺い申し上げているのです。
  56. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 放送は、申し上げるまでもなく最も重要なマスコミュニケーションの方法でありますが、でありますから、この文字のごとく大衆とのつながりがきわめて重要であると考えております。大衆の要望にこたえるような番組をまず第一に考えるのが順序だろうと思うのでありまして、そういう意味におきまして、教養、教育も含んだ放送、それから健全な娯楽というようなものをまず第一にとりまして、いわゆる総合番組として、NHK、民放の両者にやってもらうと、そういう見地から十一チャンネルを、先ほどおっしゃいましたような基本方針で割り当てたらいかがなものだろう、こういう提案をしている次第でございまして、私ども決して教育に不熱心では毛頭ございません。できますことならば、お説のごとく津々浦々、特に山間僻地の文化に遠いところに教育を及ぼしたい、そういう念願を非常に強く持っておるわけでありますけれども、まず第一段として、かような総合番組を放送していただき、次に順を追って教育に及ぼすのがよかろうと考えました次第でございます。これにつきまして、現段階ではVHFを使うのが一番手早く、また便宜が多いのじゃないか。それで、この基本方針にうたいましたように、教育的効果をもっぱらねらうような放送に電波を割り当てて、そうしてその数はこれで予想されますように少いわけです。局の数は少いのですけれども、それによって逐次これを、この総合番組の中にも教育に重要な影響を及ぼす、さらに全国にあまねく教育放送を実施する必要があると考えました場合には、VHF以外にたとえばUHFの単位を使うことも考えられるのでありまして、かようにいたしまして、全国あまねく教育放送を実施することも可能であろうと、そう考えている次第であります。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やはり私が心配した通りです。あなたのところは……UHFという言葉が出てきましたが、これはやはりチューナーをつけなければ聞えないので、しかもそれをつけるのに一万円かかる。結局テレビを二台持たなければならぬ。そういうUHFという波ではだめだ。アメリカでは経験済みである。アメリカではこれは余っているけれども、だれも申し込み手はないということをわれわれは聞いているわけです。ですからVHFの波が、教育テレビとして十分割当できんときはUHFで間に合わしてもいいじゃないか、こういう考え方は、私は根本的に捨ててもらいたい。それではだめですよ。それからこの一般番組の中にちょいちょいと教育的な番組を入れたらいいだろうなんて言っても、そんなことをしたら、先ほども言ったのですが、ゴールデン・アワーなんかに入りやしない。大体今の子供に聞くというと、君、一体大きくなったら何になるかと言うと、松竹歌劇のダンサーか、あるいは職業野球の選手だというぐらいのものですよ。それほど視聴覚から子供にそういうふうに影響していっているわけです。だからこのチャンネルは十一あるわけですからね、私は今の日本の実情を、文化国家を指向する憲法を持っている日本の国としては、しかも最近この日本の経済力が伸びて来たと言っても、しかし日本国民所得なんというのは、先進国のそれに比べれば、何分の一、何十分の一ですからね、従って義務教育すら十分に行われていない状況で、特にこの学校教育はさることながら、社会教育においては先進国よりはるかに劣っている、こういうふうに指摘されている日本の実情からいえば、私はここで思い切って教育用テレビを全国に通じて一本優先的に確保するというくらいな、私は基本方針があってしかるべきじゃないか。まあわれわれの考え方とあなた方がお考えになっているのとでは、非常に隔たりがあり、今の情勢でいけば、結局商業テレビに押されて、スポンサーの関係もありますし、実際は娯楽ものばかりになって、教育放送というものは聴視できない。つまり日本の国内のごく一部の人だけで、ほんとうに必要な地方の人は、そういう恩典には浴することができない、こういう事態になる可能性が私は七、八割ある。だからあえて皆様方の意見ただすとともに、こちらの意見を申し述べ、御善処を要望しているわけであります。もう少し日本教育文化関係の人々の意見をお聞き下すって、教育テレビについて、積極的な態度をとっていただきたい。あの監理局の方で案を作られて、ごもっともらしく説明しますとね、そうするともう大臣次官も、ああそうかということになるわけですね。あなたのところがほんとうに積極的であり適当であるかどうかということは、立案者であるだけに、私は非常に影響性が大きいと思いますので、特に強く要望申し上げる次第であります。いかがでございますか。
  58. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 教育放送についての熱心が足らないというおしかりでありますけれども、私どもといたしましては非常な熱心をもってこのことを考えておるし、また今日の日本において最も実現しやすい適当な方法は一つにこれだろう、そう判断しまして、こういう案を御提案申し上げた次第でございます。大方の御意見を広く聞きまして、これによって結論を出していこう、そういう考え方の案でございます。  なお、今度の十一チャンネルは全国に割り当てますというと、全体で百局くらいの放送局ができるわけでありまして、先ほど申し上げましたNHKに対しても総合番組をまず全国的にやってもらうように希望する。それから民放——民間放送もこれによって総合番組を多くやるようになるでありましょうし、そういうスタートをして、そうして残りの方を教育に充てたということは少し残念に思う次第でございます。それは全く御説のごとく私も残念に思いますけれども、現段階においてはそれでやむを得ない。これをなるべく教育に回すように努力をし、なおただいま考えられておりますような百局以外になお可能性があるかどうかにつきましても検討しまして、なるべくたくさんの局が置局できるように配慮しよう、そう考えておる次第であります。なお私の考えといたしましては、教育放送なるものは今日の日本の情勢では一日も早く開始すべきものである、教育番組の実施は早急を要する。今日まで民間放送、NHKを問わずやって参りましたところの番組は、ある方面では娯楽過剰とまで言われております。この青少年に及ぼす影響、青少年ばかりでなしに一般の大衆に及ぼす影響は必ずしもよくない。何とかしてこれをよい番組——健全な娯楽もけっこうです、なるべく健全な娯楽、それから社会教育、あるいは宗教教育という方面にまで持っていきまして、そうしてその効果日本の民族のためによくするようにしなければいかぬという非常に強い私どもは熱情を持っておるわけであります。その一番実行しやすい方法は今日行なっているところのテレビ放送の番組に午前と午後は相当あいております、そういうものの中になるべく早く入れてもらいたい、そういう強い希望を持っておるのでありまして、これからチャンネルプランが確定しまして、実際に置局ができて電波が出ますまでには約一年、一番早いものが一年、一年半、それからそのあとは数年を要します。百局が全部できるまでには数年を要しますので、その間においてそれを放擲できないわけです。どんどんできていくテレビ放送局によって教育番組が非常に盛んに放送されるように非常に希望するわけでありまして、少くともまずその刺激になり、根拠になりまして、健全なる教育放送が日本全国に広がりますように念願してやまない次第であります。  それで外国の例を、アメリカの例を申し上げますならば、アメリカは一九四七年ごろから教育テレビ考えておりまして、今日ではテレビ放送局は全部で三十局くらいできております。これにつきましては聴視率が少いとか、いろいろな論議が行われておりますけれども、識者はアメリカの青少年の教育、あるいは社会の改良という見地からいたしまして絶対に必要である、ますますこれを盛んにしなければいかぬということを非常に強く論じておりますのを聞いておるのであります。日本においてこのテレビジョンのチャンネルプランを策定するに当りまして、今日教育テレビという放送を打ち出して、そうして国民大衆にテレビジョンの問題をまじめに考えていただくことが絶対に必要である。そういう見地から私どもは慎重審議いたしました結果、かような最も実行しやすい方法をまず打ち出して、やがて及ぼしてただいま仰せのような理想に到達するように持っていこう、そういう情熱を持ってやっておる次第でありますから、どうぞ御了承願いたい。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が過ぎましたので遠慮いたします。
  60. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは教育テレビ質疑は一応本日はこの程度でやめていただきまして、次回にこの問題についての御審議郵政大臣出席を得るようにして行いたいと思います。御了承願います。   —————————————
  61. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律議題といたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 安部清美

    安部清美君 私はこの法案の内容につきまして、もう少し的確な御説明を願いたいと思っておるのでありますが、二、三点について御質問申し上げたいと思うのでありますが、この法案私立大学における学術研究設備ということになっておりますが、主として教師側の研究設備であるかどうかということをお伺いしたいのであります。  それから第二点は、設備の補助となっておりますが、そういう学術研究について補助をいたします場合には、施設の面についても補助をする必要があるのではないかと、こう思うのでありますが、この点が除かれている理由はどこにあるか伺いたいのであります。  それから第三点は、この法案で一番大きな問題点になるであろうと思われる点は、審議会の問題であろうと思いますが、審議会補助金の分配もやるようになっております。諮問によってやるようになっておりますが、そういう点から考えて、審議会の権限その他は省令でおきめになるのでございますか。その点をお伺いしたいのであります。以上三点。
  63. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 第一点の学術研究を促進するための設備でございますが、大学としての学術研究でございまして、これは今お話のように御指摘のように、主として教官の研究施設、こういうことでございます。しかし大学としての研究でございますから、それに学生を教育するといいますか、学生とともに研究するということはこれは当然であります。しかしお話のように学校としての研究のことでございます。かようなことになっております。  第二点の設備だけで、施設は対象としていないのはどういう理由かというお尋ねでございますけれども、この法律研究設備を特に私立大学につきまして行うということは、御承知のように最近の研究方法とか、あるいは研究の組織とか、研究の規模といったようなものが非常に前と変って参りまして、研究設備に経費のかかる面も非常に多くなって参ったのであります。特に自然科学の面についてはさようでございます。なお、また私立大学が戦災を受けたりして、前の設備がなくなったということもございますし、そういうふうな更新の必要もございます。さような意味で特に研究設備について私立学校でありますけれども、国から補助して、助成をしまして、研究の充実をはかっていきたい、かような趣旨でございます。従いまして、施設につきましては、対象外にいたしたわけでございます。  それから第三点の審議会の権限でございますが、一応第三条にこれは書いてございます。で、この目的はここにありますように、補助金に関しまして配分方法を定める、また交付に関する決定をするために、あらかじめこの審議会意見を聞かなければならない、文部大臣が諮問をいたしましてこの補助金の配分方針とか、あるいは交付に関する決定をやっていくわけでございます。その他の最後の点につきましては政令で定めることになっております。
  64. 安部清美

    安部清美君 第一点のお答えにつきましてさらにもう一点お伺いしたいと思っておりますが、そういたしますと、人文、自然科学各般にわたっての研究設備に対する補助でございます。    〔委員長退席、理事矢嶋三義君着席〕 それについて予算が八千八百万でありますかという程度になっておるようでありますが、この場合にそういう程度の予算で一応の私大の学術研究がやれるとお考えになっておるものか、この点をもう一回お伺いしたいと思うのであります。それから審議会の権限につきましては、今法案の中にもうたわれておる点もあるようでありますが、これは政令でおきめになる場合に審議会委員はどういう方針でお選びになりますのかお伺いしたいと思うのであります。
  65. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 第一点の御質問は、御質問通り人文科学も自然科学も両方含みます。従来これも御承知でございますけれども、これは昭和二十八年以来私立大学に対しましても補助をいたしておるわけであります。もっとも予算額は最初二十八年度はこれは三千万円、二十九年度は二千八百五十万円ということでございました。それから三十年度に三千八百万の予算がつきまして、三十一年度も同様な金額であります。いずれもこれの配分は人文科学、自然科学両方に対しまして行なって参りました。三十二年度の予算として計上して今御審議願っておる予算におきましては、八千八百万円を計上いたしております。で、一応今年度五千万円増額を見まして一応のめどもついたように思いますので、従来やっておりました補助を、私立大学に対します補助を法制化いたしまして補助をしていこうと、こういうようなことでございます。それから、なお、審議会の構成、組織のことでありますが、今考えております案といたしましては、私立大学の学長、あるいは私立大学教員、それから私立大学を設置いたします学校法人の役員というようなところから出ていただく、それから、なお、そのほか学術に関し識見のある者というものを考えまして組織をしていきたいと考えております。
  66. 安部清美

    安部清美君 大体私は今の質問法案に対する私の持っておりました一応の疑義はわかりましたのですが、この機会に大臣にお伺いしたいと思いますが、私立学校は、ことに大学はここにも資料として出されておりますのを見ましても、莫大な生徒負担のいわゆる学費を要する状態であると思うのでありますし、なお現状の大学の経営を見てみましても財政的にずいぶん困難な状態にある。その際において国が学術研究その他に補助をして私立大学の育成に当るということは、これはけっこうなことだと思いますけれども、私はこの私立大学自体の、先般も申しました自主性というようなことから考えまして、いわゆる財閥、あるいは篤志家がそういう公共的な大学に相当の金を寄付するということはけっこうなことだろうと思っておるのでありますが、そういう場合において特別のいわゆる免税措置というようなものが講ぜられておるものであるかどうか、またそういうことがないとすればそれについて大臣は何らかの手を打っていただくようなお考えがあるかどうか、こういう点についてお伺いしたいと思うのであります。
  67. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 免税関係をまず一つ政府委員から御説明いたさせます。
  68. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 学校法人に対しましては、これは大幅な免税措置をとっております。
  69. 安部清美

    安部清美君 具体的な内容はわかりませんですか。
  70. 赤石清悦

    説明員(赤石清悦君) 学校法人に対します免税でございますが、一番大きいのは法人税でございますが、これは免税でございます。それから順序は異なるかもしれませぬが、固定資産税、これは直接の教育の用に供する場合、これは免税でございます。その他こういったまあ数限りなくあるんでございますが、おもなる例を申し上げて……。
  71. 安部清美

    安部清美君 今のは法人自体に対する免税でありますが、私の尋ねておりますのはいわゆる寄付の問題、寄付者に対する免税です。
  72. 赤石清悦

    説明員(赤石清悦君) 失礼いたしました。個人が学校法人に対して寄付した場合の免税でございますが、これは法人税法によりまして所得のうちの損金に算入いたしまして現実上免税の措置になっております。ただし、これにつきましては当然の措置でございませんで大蔵大臣の承認を要することになっております。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 私立大学の文科系、理科系別在籍学生数のパーセンテージを見ますと、文科系は大体七三%という数字が資料として出ております。理科系はこれに比べて二四%というので非常に比率が低いように考えます。そこでなぜこのような低い比率が出てくるのかということについてはいろいろそれは原因があると思うのです。受験する者が理科系を望まないという場合もあるでしょうし、また施設が非常に少いために実際は希望しても受験の結果ふるい落されてしまう、こういうような原因もあるかと思われますが、私はこの二四%というあまりにも低い比率は施設の関係によるものではないだろうかというような疑問を深く持つのであります。この私の見方が誤まっているのかどうかですね、施設が足りないからこうなのかということについて当局はこの数字をどういうふうに把握されておるか、お伺いしたい。
  74. 矢嶋三義

    理事矢嶋三義君) その答弁のある前に、この資料について説明、釈明してもらいたいと思います。私は資料を要求するに当っては、私立大学の学生がどの程度学費を負担しているのか。また国立大学の学生に対して、国はどの程度の費用を備えているのか、きわめて簡単に、わかりやすくするために資料を要求したわけですが、国立の方の費用関係一切出ていないんですが、従ってそういう点の説明並びに釈明を高田委員に対する答弁と一緒にやってもらいたいと思います。
  75. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) それではこの資料につきまして御説明申し上げ、また御了解も得なければならないと思っているところでございますが、それから先にいたします。  御要求といたしまして国立、私立について文理系統別にまず在籍者の数というものを出しております。これは第一ページにございます。この表をごらんいただきたいと思います。  まず、ここでちょっと説明を加えますと、文科系、理科系、これははっきりいたしますが、「その他」とございます。これは教員養成、あるいは芸術、体育といったような教科のものがここに含まれております。これはいずれも両方に分れるのでございますが、分けることはむずかしいので「その他」といたしました。  それから第二ページでございますが、これは私立学校の、これも文科、理科系統別に国費の補助をしているその一人当りの金額を出すようにという御要求でございましたが、直接私立大学に対しまして補助金として出しておりますのは、ここにあります研究基礎設備助成補助金三千八百万円—三十一年度の金額でございます。これはただいまこの法律について御質疑を願っている資料であります。  次は私立大学に対する理科特別助成補助金五千万円でございます。この二つを合せまして八千八百万円になりますが、これを文科系、理科系に分けまして、そうしてその学生数で割りましたものがこの数でございます。この三千八百万円の方が文科の方にも参りますので、それを割ったものがこの金額でございます。  それから次のページでありますが、この上の表は私立大学の理科系学生の一人当りの学費の負担であります。一番左に学校納付金というのがありますけれども、これはこの注に書いてございますように、各大学の昭和三十二年度の入学案内からとりました授業料、あるいは入学金というものであります。  それから修学費、食住費、日常費その他、これは特に理科系ということじゃございませんけれども文部省で調べておりました「学生の経済生活の実態」からの調べでございます。  それから一番下の入学に対しまする寄付金でありますが、これも御要求がありましたので調べてみたのでございますが、やはり三十二年度の入学案内から、わかっただけのものをとってここに掲げました。入学案内は(1)の下の注釈にございますように、これは二十二大学のものでございまして、これだけのものがはっきりいたしておりましたから、これからとったわけでございます。非常に制限された資料でございますけれども、その範囲におきまして調製いたしましてお出し申し上げてあります。  それからなおそのほか、ただいまお話のありましたように、国立学校私立学校の文理科別に、学生一人当りの教育費を出せというお話でございました。これにつきましていろいろ努力をいたしてみましたけれども、国立の学生につきましては私はすぐ出るかと初め思いましたけれども、御承知のように予算の組み方が非常に入り組んでおりまして、文科、理科別に一人当りということは非常に出にくいわけでございます。それで一つの方法といたしまして、文科関係、あるいは理科関係の単科大学をあげまして、それを学生数で割るといったような作業をいたしてみましたけれども、どうもこれは代表的な計数にはなりませんので、なお研究いたしております。  それから私立の方はなお一そうわかりにくいので、資料といたしますことは困難でございまして、ただいまなお作業いたしておりますが、今日は出てきておりませんことを御了承願いたいと思います。資料につきまして以上申し上げました。  先ほど高田委員の御質問でございますが、私立大学におきましては御指摘のように文科、理科系の比率が七三%対二四%となっております。  その原因は、今も御指摘のありましたように、いろいろあるかと存じますけれども、一つの原因といたしましては、これもやはり御指摘のように、やはり施設、設備、研究設備等に理科の方は経費を要しますが、文科系の方は比較的その関係が軽くなりますのでやりやすいという点があると存じます。
  76. 高田なほ子

    高田なほ子君 この施設、設備の関係から、理科系を青年たちが志望しておっても入れないということは、まことに私は残念なことだと思うのです。こういう現状に対して、私立大学の理科系の学生がこれからどんどんふえていって、大いに日本科学振興のために実際に役立つような傾向に進んでもらいたいということを強く要望するわけでありますが、通例文科、理科の比率というものはどのくらいまで一体進んでいったならばいいのか、表現の仕方がまずいかもしれませぬが、非常にこれは文科と理科のアンバランスではないか、特に日本科学振興ということを今強く目ざしているときでありますから、この比率がもっともっと狭まってこなければならないように考えられますが、この点に対して大臣は、特に私立学校の理科系の学生の比率をどういうふうにまで高めていくのかというようなことについても相当考えになって、予算もお組みになっているのではないかと思いますので、それについての大臣の御主張を一応承わっておきたいと思います。
  77. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文科系と理科系とを一体どういうふうな比率であってほしいかということにつきましては、私は今日何らの結論を持っておりません。それだけのまだ時期でもないのでございます。ただ現在の日本の現実にある、またそれに学んでおりますところの学生というものを代表にして考えました場合においては、私といたしましては、ことに日本の産業経済の状態から考えまして、理科系の学生をもっともっと養成する必要があるというような考えをいたしておりますので、先般も申し上げたと思うのでありますけれども科学技術教育振興をはかり、理科系の学生をふやしていく、こういう考え方をいたしておるわけでございます。  今日御審議をお願いいたしておりますところの予算でございますが、これはそう的確な目標をもって予算を組まれたものではないというふうに御了解を願いたいと思うのでありますが、今後の問題といたしましては、できうべくんば少くとも国立についてはこの程度の学生を作りたい、また私学に対してはこの程度の学生を作るように持っていきたいという計画ができれば非常に幸いだと思っております。その方向に向って検討を進めて参りたいと考えております。
  78. 高田なほ子

    高田なほ子君 日本の経済の独立ということを高く岸内閣もうたっておられるようでございますが、わが国の経済の独立のためには、やはり国際的には特にAAグループとの経済提携、あるいは技術の交流ということが緊急不可欠の問題としてあげられなければならない問題だというふうに考えているわけです。国の方針がそうであるならば、やはりそれに準ずる教育方針ということ、教育の行政というものがやはり緊急に立てられてしかるべきではないだろうかと思うのです。それで中国やソビエトとはもちろん日本の歴史も国情も違いますが、やはり中国あたりの非常に建設的な、また緊急な発展状態を見ると、国の施策に従って教育施設というものはこれに比例して拡充されていく。たとえば中国における最近の重工業の発展のためには、各大学をあげて技術養成に力を注ぎ、理科教育に非常な力を注いでいる。国民の健康を守るという政府方針決定すれば、やはり医学方面にどんどんと学生を養成し、国費もまたこれに導入しているというような、きわめて立体的な政策が講じられているように思う。岸内閣がたびたびAAグループとの経済交流、文化提携というようなことを言われておりますが、現実に見るこの姿というものと、御主張というものがはなはだ食い違っておることに対して、私ははなはだ遺憾の意を表したい。が、大臣はこの点に留意せられまして、積極的に国の経済の独立と発展のために、科学振興がいかにあるべきかという具体的なやはり方策をもって臨まれてしかるべきだというふうに考えるわけでございますが、重ねてこれに対する御意見を拝聴したいと思います。
  79. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 日本経済の発展日本の独立の完成と申しますか、経済の自立を達成いたしますために、科学技術振興をはからなければならぬということは全く同感であります。さように私も考えておる次第でございます。それにつきましては、お話の中にもございましたAA諸国との経済交流、あるいは経済提携というようなことも重要な施策でございますので、学校教育の面におきましても、その方向に向って施設するところがなければならないという御注意もその通り考えます。今日までの状況が、目標はそこにありましても、現実はなかなかそこに伴わない、また一朝一夕にできることでもございません。その方角に向って今後努力して参りたいと考えておる次第であります。なお、また、中国の例を引いてのお話でございますが中国と日本とは御承知の通りに成り立ちも違っております。学校施設等を考えます場合にも、御承知のように、日本では私立大学を設置するということはこれは自由なんです。一定の基準さえ合っておればこれは認められるということにもなっておりますので、よほど状態は違っておると思うのでございますが、国の必要からいたしまして、およそこのくらいのものはぜひほしいというような場合におきましては、それに相応するだけのことをこれは国の側として考えなければなるまいかと思っております。
  80. 高田なほ子

    高田なほ子君 もちろんそれは一朝一夕にできるというようなことは私ども考えておりませんが、これは一つの例で御参考になるかと思いますが、先般決算委員会でも問題になった黄変米の問題だったのですが、二十八年からこの三万トンからのものが現在倉庫に眠っておる。毒でこれは食べさせられない。民間にはそのまま配給できない。学者が集まって研究してしかるべき方法をということで、足かけ四年倉庫の中に眠っておるのですが、その一日の倉敷料が今日なおもって一日二百万円ずつ飛んでおる。私がこうしてしゃべっておる瞬間にも二百万円の金がむだに飛んでいっておる。こんなような金があるならば、なぜ科学振興のために、理科教育振興のために、そういうものが早急に使われないかという非常な私は政治の貧困に疑問を持つので、一朝一夕にできないということは肯定しながらも、政治面の貧困というものにはよほど文部大臣が強腰になって、予算獲得のために強引にやっていただいても、決して日本の財政には響かないという感じを持つのです。これは私見でありますので、以下事務的な問題について伺わせてもらいたいと思います。  大体、ことし、特に理科系のものに理科振興補助金は五千万円という数字が出ておるようですが、この五千万円という数字は、あれでございますか、審議会がすでに補助金の配分を行なって、ことしはこういうものを作るのだという、そういうような早急の予算として、各大学から申請されたものを基礎にして組まれた五千万円でございましょうか。五千万円の内容です。
  81. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいまお尋ねの補助金は……理科教育特別助成補助金でございますが、これは金額は五千万円でございます、研究設備助成補助金の方は八千八百万円でございます。八千八百万円につきましては、まだ配付先はきめておるというわけではございません。これから、この法案にもございますように、審議会を作りまして、審議会に交付する配分方針等もかけまして、その上で決定をする、かように考えております。
  82. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうしますと、ことし組まれた予算には、別に各大学からの申請というものを基礎にして組まれたのではなくて、新たなる観点からこれから配分をしていく、こういうふうにとってよろしいのですか。
  83. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 先ほど大臣からもお話がございましたように、この予算は一定の基準というものを想定しておるわけではございません。先ほど冒頭に私が申し上げましたように、最近の研究設備相当経費がかさみまして、その点の助成をしていきたい、毎年助成を重ねていきたいということで従来からやって参っておりますが、来年度におきましても、この法律ができました暁におきまして、審議会にかけまして、そうしてやはり方針をきめる。まだどこの大学に幾らということはきめてはございません。また申請を待ってこういう予算を組んだわけではございません。
  84. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、これからの配分方法、また予算の組み方というものについては、各大学の申請を待ってそれが基礎になって予算が組まれてくるように今聞き取れたのですが、私はやはりそうではなくて、この法律に基いて予算を組まれる場合には、最低これでよろしいというような一定の基準というものが一応考えられて、先ほどの理科教育振興法の御審議でもお話があったわけですが、計画的な、あるいは年次的なものが一応組み立てられなければならないのじゃないか。そういうものが組み立てられた上で、二分の一補助とか、あるいはまた三分の一補助とかいうふうになってくるのじゃないかと思いますが、何か計画はあっての八千八百万円なんでしょうか。年次計画はないのですか。
  85. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これはこの前御審議願いました理科教育の設備の補助金とは立て方が違うのであります。理科教育補助金の方は、これは一定の基準を定めまして、それに達成いたしまするために年次計画を立てて補助金を組む、こういうふうな建前になっております。こちらの方は研究設備が特に経費を要しますので、最近そういう傾向でございますので、私立大学に対しましてもその補助をやっていきたいということでございます。従いまして三十二年度の予算といたしましては八千八百万円すでに計上いたしまして予算の御審議を願っておるわけでございまして、この範囲におきまして補助をいたします補助は二分の一でございます。その八千八百万円の範囲におきまして二分の一の補助を大学に対して補助して参りたいと考えております。
  86. 高田なほ子

    高田なほ子君 今日までもやはり私立学校では非常に施設とか設備の費用が足りないということで、何とかこれは補助してほしいというような声もずいぶん上っておったのではないかと思います。そこで伺いたいのは、ことし組まれた八千八百万円という予算は、この現実の大学の要求に対してどのくらいの。パーセンテージに該当するのか、概略でけっこうですから伺っておきたい。
  87. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この調べは非常にむずかしいのでございまして、特に大学の研究設備でございますから、どの範囲までやるかということも非常にむずかしい問題であります。従いまして実態調査等まだ十分できておりません。従いまして八千八百万円が、その幾らを充足するか、ちょっと一がいには申しかねるのでありますが、今後十分その点につきまして調査を進めたいと思っております。
  88. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういうことになって参りますと、今度この法律補助率を規定するに当って、二分の一以内というふうにひどくこま切れに刻んであるのでございますが、二分の一以内でもって、ほぼ要求されるものが満たされるものか満たされないものかということに大へん疑問を持つことが一つ。  それから、補助率二分の一以内ということになれば、時には五分の一でもいいし、百分の一でも二分の一以内だからいいということに極論すればなるわけですけれども、なぜ二分の一以内というふうな限界をきめたのか、二分の一以内でもってそれで事足れりと考えておるのか、大へん疑問に思います。御説明ただきます。
  89. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは予算の範囲内において二分の一以内の補助をするという法律の立て方になっております。従って、大学で購入費用として購入費の補助を申請されまする場合に、その購入費に対しての二分の一以内を補助するということであります。こういうものを購入したいという申請がございます、その購入費の二分の一以内を補助するというのが法律の建前でございます。それから、二分の一以内ということでは、三分の一、あるいはそれより下回った支出をされるのではないかというお話がございますけれども、これは従来の、この法律ができません前、従来運用して参りました問題といたしましても、二分の一の補助をいたして参りました。従いまして、今後も二分の一の補助をいたして参りたいと思っております。政令でその予算補助率の方をちゃんと確定したい、かように考えております。
  90. 高田なほ子

    高田なほ子君 国の補助はいろいろの費目で出ておりますが、二分の一以内という補助率というのは私は一番低率ではないかと思うのです。教育振興に私はなぜ国がこんなにこま切れをしなければならないか、農業関係の補助費はずいぶんあるのですが、どうして教育というものに対してはこま切れをするのか。法律で二分の一以内と書いてあるということは非常に打撃ですよ。二分の一ということと、二分の一以内ということでは、これは法的に解釈すれば幾らでも伸縮自在になるような気がするのですが、大へん危険な気がするのですが、どうなんですか。
  91. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 補助立法の立て方でございますが、法律におきましては、何分の一以内というふうに書くのが普通であります。予算の範囲内において何分の一以内の補助をする、これは政令におきましてあるいは二分の一とはっきり書くというようなこともほかの法律におきましてもやっております。二分の一が少いではないかというお話でございますけれども、二分の一というのは法律補助の一つではなかろうかと思います。三分の二というものもないことはないと思いますが、あるいは三分の一の補助、たとえば御承知の産業教育振興法の補助もこれは三分の一でございます。それから先般御審議願いました理科教育の方もたしか二分の一と思います。さようなことでございまして、この二分の一というのは決して低い率ではないと思っております。
  92. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部省が低い率でないというふうに御認識になっていらっしゃるのですから、これ以上私が低いといっても文部省は低くないというならば水かけ論ですから、これは論議いたしません。しかし私立大学の理科の設備というのはずいぶん貧弱じゃないでしょうか。私は自分のむすこども私立大学を出ておりますのでおじやまをいたしましたが、それはずいぶんお粗末でお気の毒だと思いますが、一流の私立学校でもどうも大へんお気の毒なんですから、財政貧困の私立大学においておや、これはもう予想外の姿ではないかというふうに考えられるわけでありますが、そこでその二分の一補助、あるいは三分の二補助というようなことは、これはこれから研究の問題になろうかと思いますが、どうか一つ文部省は、二分の一で大体これでよろしいというようなことではなくて、やはり私立大学現状というものを一つ把握して下すって、この二四%というのは数字に現われた非常にいい例だと思うので、これで事足れりとせずに、もう少し文部省の方で足りないというふうにおっしゃっていただけたらなおいいのじゃないかと思うのですがね。まあ、言っていただけなければそれはしようがありませんが。全額を補助しなければならないというような状態はありませんでしょうか、現在の私立大学で。
  93. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは私立学校に対しまする何と申しますか国の補助の問題の立て方のいかんという観点にも触れるかと思いますけれども私立学校でございますから、やはり私立学校自主性というものは十分尊重していかなければならぬ、学校自体の熱意、努力と、それに対しまして国で補助を、手助けをしていく、こういうふうであろうと思います。両者相待って施設を充実していく、その観点から参ります場合、二分の一というのは私は適当じゃないかと、こう考える次第でございます。
  94. 野本品吉

    野本品吉君 ちょっとお伺いしたいのですがね、現在東京にあります国立、私立、合わして大学というのはどのくらいの数……。わからんければあとでけっこうです。
  95. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 後刻調べましてお答え申し上げます。
  96. 野本品吉

    野本品吉君 それからもう一つは、現在新設を申請しておるものがありますか、また将来新設申請というのがあるお見込みでございますか、どうでしょう。
  97. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 三十二年度から設置をする計画で新設の申請をいたしたのがございます。この設置をするにつきましては、設置審議会にはかって文部大臣が認可をする建前になっておりまして、先般設置審議会の審査が実は終っております。さような状態でございます。
  98. 野本品吉

    野本品吉君 私がそういうことをお伺いしますのは、人口あるいは工場等の、東京に過度に集中することを何とか調整しなくちゃならぬという精神から……申し上げるまでもなく首都圏整備法というのができておる。首都圏整備法は、人口その他のものを適当なところに配置することによって人口、学校、工場等の過度集中による都会の混乱、過度集中による都会におけるいろいろな弊害というものを除去するために考えられておるのであって、従って今後私立と言わずその他と言わず、東京に大学を新設する場合には、ただいま申しました首都圏整備の精神を生かして、そして清らかな静かな環境を求めて地方にこれを分散する、こういうようなことが現実にはきわめて困難な問題かもしれませぬけれども、当然考えられるべき問題だと思う。この点について大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  99. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お話の御趣旨は私もちろん同感でございます。あまり学生が東京にのみ集中するということは、今日の事態におきまして好ましくないと考えておる次第でありますが、現実の問題として考えます場合には一定の条件を満たした申請がくれば、それをも拒否し得ない状態になっておりますので、法制上かれこれ干渉したりするわけにはいかないと思っております。実際問題といたしまして、最近の新しい私立大学の設置の問題としては、東京に新設するという例は、それほどないというふうに考えております。できることならば、前にも申しましたことでございますが、私は各地方地方に充実した特徴のある大学ができて、あまり東京々々といってこなくても済むような事態に向けていかなければならぬのではないか、かように考えておる次第でございます。
  100. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 先ほどお尋ねの東京所在の大学の数でございますが、四年制につきましては六十五であります。短大は六十八でございます。それからなお、大臣からもお話がございましたけれども、来年度設置したいという計画の四年制大学は東京にはございません。短大がまあ二つございます。
  101. 野本品吉

    野本品吉君 この助成金の交付の問題ですが、私は単に教育に関する補助助成だけでなしに、補助助成の今までの一般的な傾向といたしまして、どうも国民の血税である助成金が効率的に使用されておらぬ。これにはいろいろな使用上の欠点もありますけれども配分の際にあそこもここもというので、総花式に配分するために何年やっても前進が見られない。そこで、せっかくの助成金が死に金になってしまうということが非常に遺憾なことであると、年来各種の助成金、交付金の問題について考えておるわけです。従って、元金もそう多くない助成金が今言ったような状態にばらまかれますというと、幾年たってもこれは目立った効果が現われてこないのではないか。従って助成金の交付の場合には、できるだけこれは審議会意見を尊重しなくてはなりませぬけれども、重点的に効率的にそれが配分されるように、というふうに考えなければならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。
  102. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 御指摘のようになるべく重点的に、効率的に補助金を運用することが必要でございます。従来の運用につきましては、この補助金の配分につきましては、やはり審議会がございまして、今度法律で作ります審議会のような形ではございませんけれども、ほかの科学研究費等分科審議会がございますが、それにやはりかけて、そして十分意見を聞きまして配分をしたわけでございます。今後におきましても、この審議会ができますと、十分そういう点に気をつけまして審議会意見も聞いて運用いたしたいと考えております。
  103. 松澤靖介

    松澤靖介君 私立大学わが国教育振興に尽した功績というものは非常に絶大なものと考えますが、それにつきまして、先ほどのこの表を見ますと、学生が設備、施設の費用とか、あるいは維持費とか、さような面で非常に余分な寄付をしておるように見られます。また入学金として出しておるようなことも、この表によってもうかがわれますが、これにつきまして、ある程度のものであったならば、あるいは差しつかえないのじゃないかと思いますが、しかしながら過重なものにこれがなった場合においては、非常な教育機会均等というような線までもゆがめられるような結果になるのではないかと考えますので、灘尾文相といたしまして、これらの点について、やはり生徒に過重な、かような負担をなさないようにするためにこの法律を出して、そうして助成をすべきであるというようなことまでもお考えになっているのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  104. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 学生が学校に入るために非常に多額の寄付金と申しますか、そういったお金がかかるということは、これは決して望ましい事態じゃございません。さようなことがなるべくないようにありたいものと考えておる次第でございます。ただ私立大学でございますので、学校の経営維持の上から申しましても、相当な金がかかる、あるいは校舎の拡充その他のことで相当の金がかかるというふうなことから、いろいろな寄付金が行われておることと思うのでありまして、これらも決して望ましいこととは私は思いませんけれども、ある程度のことは、これはやむを得ないというふうにも考えておる次第であります。今お話のこの種の補助金でございますが、この種の補助金というものは、直ちにそういう学生の負担軽減のために役立つほどのものであるかどうかということになりますと、私は直接そういうこととはこの補助金は関係が少いのじゃなかろうかと思っております。問題はそういうようなことが起りますにつきましても、私立大学基礎がほんとうに確立し、財的な基礎というものがしっかりしたものでなければならぬと思います。そういう方面の援助ということになりますというと、私立大学だけにこれが国の方から何か援助を受けて、そうして学校を維持し、学校を経営していくということになりますというと、一体私立大学としての自主性というものがそのまま維持され得るものかどうか。金を出す方の側から言いますと、金を出したが、あとはどうすることもできないというのも、これも妙な話だと思うのであります。やはりこれは国の援助ということを前提としての私は学校の維持、経営というのはおかしいのじゃないか、そういうふうなものにつきましては、やはりその学校基礎を確立するような、あるいは財的援助をするにいたしましても、方法がある。たとえて申しますれば、私学振興会というようなものを通じまして、その方から金の融通を受けて、そうして学校が何とかやりくりしてしのいでいくというようなことは、確かに一つの方法だろうと私は考えております。そういったふうな面で、こういうような種類の補助金と、それから学校基礎を確立するというふうな面とは、これは別に一つ考えなくちゃならぬ性質の問題ではなかろうかと思います。
  105. 松澤靖介

    松澤靖介君 そうなりますと、自然と大学の基礎というものが確立していない場合は、生徒にその負担というものが背負わされるのじゃないかという結果になるのじゃないかと思います。その場合においてやはり入学金というものが、ここの表に出ておるようなものじゃなくて、これの数倍というようなものになったならば、私は相当の問題じゃないか、憂うべき現象じゃないかと私は考えられるのですが、これらの点に対して御所見をお願いしたいと思います。
  106. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 莫大な金が入学に関係して必要とせられるというようなことは、私といたしましては非常に遺憾な次第だと考えております。    〔理事矢嶋三義君退席、理事野本品吉君着席〕 さようなことはないことを望んでおります。もし現実に各方面においてそれがどんどん行われておるというようなことでありますならば、よほど学校経営者の側において反省してもらわなければならぬ、かように考えております。
  107. 松澤靖介

    松澤靖介君 今の問題に対しまして、もしも過重な負担を背負わされておるというような例があったとしたならば、局長といたしましてどういうお考えを持っているか、お伺いしたいと思います。
  108. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 過重な負担が望ましくないことは申すまでもございませんが、かりにあったという場合でございますけれどもただいま大臣からお話がございましたように、大学に対しまして指導、助言をしていくということを今後いたしていきたい、かように考えております。
  109. 松澤靖介

    松澤靖介君 それでは先に八千五百万の補助を出すというお話があったのですが、大体それは一校についてどれくらいの額になるか、まだおわかりにならないでしょうか。
  110. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この新しい立法のもとにおきまして、審議会に対しまして諮問をいたしました。配分方針、あるいはそれの決定等も諮問をいたしましてきめることでございますけれども、御参考に従来やって参りましたことを申し上げますと、大体一件に対しまして、人文関係と、それから自然科学系統と若干違いますが、補助金といたしましては、人文系統が大体二十万から二十四、五万でございましょうか、それから自然科学系統が三十五万ぐらいに平均としてなることでございましょう。最高最低、これは非常に開きがございますが、平均すると大体そのくらいでございます。従いまして設備を購入しまするその設備費は、今申しました二倍でございまして、四十万、五十万、あるいは自然科学系統だと七十五万見当になる、かように考えております。
  111. 松澤靖介

    松澤靖介君 先ほど高田委員からも御質問があったように、それらの額ではやはりほんとうにやらないよりはましというような程度で、やはりもっともっと増額すべきじゃないかというように思われますので、たとえば義務教育費においてもPTAの会費というものは、PTAの負担が非常に大きくなっておるというような意味において、私立大学において学生の負担が多くなる、あるいはまた負担を背負わなくちゃならぬということになれば、やはりこれを文部省としても相当考えなくちゃならぬ問題じゃないかと思いますので、神武以来の好景気というこの機会においてもう少し御奮発願ったらば非常にいいのじゃないかと思いますので、それらの点についてなおお考え局長からお願いいたします。
  112. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいま私が申し上げましたのは少し説明が足りなかったと思いますけれども、一件当りの平均は今申し上げました通りでございまして、大学によりましてはこれは数件の申請かございまして、それが認められるという場合もございます。そして今申し上げましたのはあくまでも平均でございますから、補助金といたしまして最高は百万、従いまして購入機械等は二百万ぐらのものも買ってあるという実情でございます。そういう件数が学校によりましては、学校の規模の大きいところでは相当件数が出ますので、まとまりますと相当一校に対しましてはもう少しまとまった金が出るのでございます。かようなことになっております。
  113. 松澤靖介

    松澤靖介君 すべてこれは公立学校においてもそうですが、有馬先生なんかここにいらっしゃいますが、昔は相当研究費なんか多かったようですが、最近は非常に少い。いわゆる額は昔に比べれば非常に多いように、多額になったように見えますけれども、実際言いますと、今の百万円なんていうものはほんとうにものの数にならないような状態じゃないかと思いますので、これらの点についてもっともっと御奮発できるような措置を講じ得るようにしていただきたい、かように御要望申し上げたいと思います。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法案私立大学に対する助成法案ですが、きょうは私は若干承わっておきたいと思うのです。  まず、伺いたい点は、日本の国の文教政策の中における大学、その大学とは国立、公立、私立を含んだ大学でありますが、そういうものをいかなる形に置くかという点を私はまず若干考えて進んでいかなければ、私立大学側からちょっと要望があるから、つまみ金として八千八百万円出したと、あまり来年は要望がないから都合よかったら予算編成過程においてこれは五千万円にしようか、情勢次第で一億ぐらいにしようかと考える。そういうような行き当りばったりの考え方では相ならぬと私は思う、こういう前提のもとに承わりたいことは、私はこの前にも申し上げましたが、少し私見が入りますけれども、どうも日本の国立大学だけでも学部、学科等の全国の配置状況を見ますと、合理性、科学性というものが乏しいと思うのです。さらにその国立大学と公立大学の関係、さらに私立大学との関係に至っては全く方針がないと言っていいのではないか。私伺いたい点は、今後国立大学の学部の増設とか、あるいは新しく国立大学を立てるような場合に、その地域に公立あるいは私立の大学、その内容がどういうものかということをよく研究、勘案されて、国立だけでなくて、国、公、私立を通じてこの大学の配置というものを考慮していかなければならぬと考えるのですが、その点大臣の御方針を一つ伺いたい。
  115. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現実の学校状態にもよると思いますけれども、一般のお話といたしましては、お話の通りに、むだは避けて現にあるものをそれぞれ生かしていくというふうな考え方をとるようにいたしたいと思います。
  116. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや具体的になりますが、たとえば日本の、有馬先生は専門ですが、医学方面で、たとえば歯科とかあるいは薬学というようなものは、歴史的に見ても、私立大学でずいぶん歴史と伝統があり、また功績があり、充実したものがあると思うのです。そういう大学があるのに、新たに乏しい国費の中から予算をさいて、そうして施設、設備を整えて新たに学部をこしらえるというよりは、すでに伝統も実績も歴史もあるそういうところに、若干の国費を補助していくということは、非常に私は能率的ではないかと思う。国から補助した場合には、英国の大学にもあるように、これは先ほど大臣も触れておられましたが、ある程度政府の方でコントロールしていくということは、これは不当な、自主性を束縛してはなりませぬが、これはある程度やむを得ないと思います。そういうような私は方針というものはとられてしかるべきではないか。さらに極端に言えば、私は今後しばらくの日本は、国立大学は科学の進歩等によって、新しい分野は別ですよ、そうでない分野においては、新たに大学を作るとか、学部を増加していくということでなくて、その金があったら、その金を適当なる私立大学に幾つかに配分して補助する。そのかわり政府のコントロールも加わっていきましょうが、そうした方が国民全体としての立場から見たら非常に能率的なものではないかと、かように考えるわけです。最近私学についての関心が政府においても国民においても非常に高揚してきたということはけっこうですけれども、しかしまだまだそういう点について私は足らざるものがあると思いますので、この法案が出た機会に伺っているわけです。お答え願いたい。
  117. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 抽象的に申せば、お話の御趣旨はごもっともだと考えます。ただ具体の問題となって参りますというと、現在ある学校が一体どの程度のものか、内容的にはどうであるか、あるいはその地方においてはどういうふうな状態にあるのかというような、いろいろ条件が入ってくると思いますので、一がいに断定することはできないと私は思うのでありますが、一般的、抽象的の問題としましては、お話のような御趣旨はごもっともの点が多々あろうと考えております。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや具体的に伺いますがね、私も若干知っておる例があるのですが、たとえば私立の短期大学、これは夜間が多いのですがね、ある。ところが、そこに今度は公立とか国立の、全くその内容の似通った単科大学をまた設けようとする、そうすると、私立の方でそれを設けられるというと、経営が困難になると反対する、こういうトラブルがある。あるいはまた高等学校の場合に、私立高等学校があって、そうして入学志願者と採用人員とバランスが適当なところにいっておる、それを地方財政が苦しい中に新たに高等学校をこしらえるということはけっこうですが、地方財政の苦しい中にそこに私立と競争して公立学校をこしらえるという、こういう事例はずいぶん具体的にあるわけなんですがね。で、これは設置者は違うわけですから、それぞれのお考えがあろうと思いますけれども、私は大学から、主として高等学校までですが、そういう各級の学校においては、指導的工場に立つ人は国、公、私と、これを通じて地域、さらに国の教育というものを考えていくという立場に立って、そうしてそれぞれの学校の特色を生かすと同時に、父兄並びに学生生徒の負担もできるだけ均等化していくという方向に努力さるべきである、かように私は考えるわけです。従って先ほどからこの法案に対する質問をするに当って、前提としてそういうことを伺ったわけですが、そういう具体的なトラブルの起っておるような問題については、いかように指導されたらよろしいと文部大臣はお考えになりますか。
  119. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現実の問題となって参りますればやはり現実に即して適当な解決方法を見出すべきであろうと考えるのであります。
  120. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内容に入りますが、昨日他の委員質問によると、理科教育とか産業教育振興法みたいに一定の基準に引き上げるために必要な補助でなくて、まあ、つまみ補助金だと、こういう御説明ですね。そうなりますと、この助成補助金制度というものは、金額は当然変ってくるのでしょうか、永久にこれが続くものと、かように了承してよろしいわけですか。
  121. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この法律は別に時を限っておりませんので、いつまでという法律じゃございません。ただまあ永久にということでございますけれども、これは私立大学相当研究設備が整備されましたならば、国家補助が必要でなくなれば、廃止されてしかるべきものであろうと思います。しかし時を限った法律ではございません。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから、私はこの前お願いしました資料をさっき説明があったわけですが、まあ大ざっぱに計算して国立学校の生徒、それから文科、理科を通じて一人当り国費は大体十五万から二十万程度国費が支出されていると、こういうふうにつかんでいいですね、どうですか。
  123. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは先ほども申し上げましたように、計算の仕方が非常にむずかしゅうございますから、たとえば人件費から設備費、施設費まで全部というような取り方もございましょうし、それからまた学生経費と申しますか、そういうものだけを取り上げておるものもございましょう。特に文科、理科という分け方、区分をして出すということになりますと、非常に困難でございますので、まだ実は出してございません。これに一つその作業をしておりますから、なるべく早くお知らせ申し上げます。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この助成金は、従来大学院を置く大学だけになされておったのですね。医科とか、薬学、これを含みますが、そういうものだけに出されておったわけですが、今後、これに四年生大学を全部入れる予定ですか、それから短期大学はもちろん入らぬわけですね。そうなるとざっと計算すると、一校平均八十万円程度になるように計算が出てくるのですが、今後八千八百万円の補助対象となる学校並びに学部については、どういうふうにお考えになっているのか。
  125. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) おっしゃいますように、従来は大学院を置く大学と、それから医科、歯科の大学、これに限って補助をいたして参りました。今後におきましては短期大学は入りませんですが、四年生大学を全部対象として参ります。これをいかように配分いたしますかということは、先ほど申しました審議会に諮りまして、十分検討していきたいと思っております。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その審議会には、原案はあなた方が出されるのでしょうが、文科系統、理科系統には、どういう比率で配分されるお考えですか。
  127. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これも具体的に今申し上げかねますけれども、御参考に従来の例を申し上げますると、一応自然科学、それから人文科学、社会科学の比率は、大体六対四、金額で申しますと六対四ぐらいの比率になっております。
  128. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 六が理科系ですね。  それから来年度の予算要求額事項別表というのを見た場合、私立大学研究設備助成三千八百万円と、私立大学理科特別助成補助五千万円と、この区別は並んで出ているとわからないのですが、この区別を一つ説明して下さい。
  129. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この研究費助成の方は、先ほども質問がありましてお答えしましたように、大学の研究の設備に対しまして助成をいたします。理科教育特別助成金の方は、学生の実験実習用の機械器具、工具あるいは図書、こういうものの購入に対しまして補助をするということでございます。その点に区別がございます。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 学生の実験実習というのと、研究というのと区別がつきますか。
  131. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) まあ今申しましたように区別がございますが、理科の方は理科の大学だけでございますが、研究設備の方は、人文科学、自然科学両方ともということは先ほど申し上げた通りでございます。学生の実験実習用のものと、それから大学としての研究設備、これは区別がつきます。どうも例を申し上げますことは非常にむずかしいのでございますけれども、学生か実験実習用に使いますたとえば機械器具で申しますと、実験用の顕微鏡を買うとか、フライス盤といったようなものを買うとか、工具につきましても、製図机を買うというようなものは理科特別助成でやるわけでございます。もっと高度と申しますか、特に研究に必要な設備、たとえば電子顕微鏡を買う、こういう場合には、この研究設備助成金の対象になる、こういうことでございます。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっとその程度が、水準が違うと、こういうわけですかな、非常にわかりずらいと思うのだけれども、そうですが。
  133. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 大学の、これは機能は、申し上げるまでもございませぬけれども、まあ学生の教育ということが一つであります。それから大学自体が研究を進めていく研究、両方あるわけでございますが、その教育の方の学生自身が実験実習に使うという方に重点を置きますのが理科の特別助成金でございます。大学自体として研究の使命を果すために当然設備しなければならぬ研究設備があるわけでございます。そういうものを助成したいというのがこちらの方の目的であります。抽象的に申しますとそういうことであります。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国立の場合、大学における研究教育というのをはっきり分離して予算措置をしておりますか。大学においては教育研究というのは区別がつかんと思うのですが、その区別ができるのかどうか、予算措置の面から実際そうしているのか、その点と、この法律が通ったあとにはこの提案の通り研究設備助成の方は配分その他については審議会相当発言権を持ってくるわけですね、ところが理科特別助成の方は監理局振興課の一存でいくわけですがね、こういう差異はどうしてもうけられるのですか。私は大学の教育研究自体は分けられんと思うのだが、かりにそれが分けられるとしても同じく私立大学に助成がされるならばこの取扱い方を一本にされるべきじゃないですかね、一方は審議会も設けてあれしているが、一方は監理局振興課のお役人さんだけでやるというのはどうも理由がわかりかねるのですが、どういうふうにお考えになっているのですか。
  135. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 前段の御質問でありますが、国立の方は御承知のように特別な実験装置等は別でございますけれども、しかし一般的に設備等を整えますためにはその経費としましては学生経費とか教官研究費とか、こういうものを基準的な経費としまして、そのほかにも設備更新費等がございますけれども、そういうもので総合的にやっておりますから特に予算措置として研究用、実験用というものはございません。基準経費でやると、そういうことでございます。    〔理事野本品吉君退席、委員長着席〕 それからその後段の御質問でございますが、これは研究設備の助成の方は先ほどから申し上げますように、昭和二十八年度から予算をとりまして、そして十分審議会等にも諮りまして今日まで運用をやってきております。このやってきました実績をそのまま法制化しまして、ますます今後国の補助ということを明確にいたしまして進みたいという趣旨でございまして、これにつきましては審議会を、さらにこの法律を作りましてやっていきたい、かような考え方でおります。理科の特別助成の方はこれは歴史的に申しましても昭和三十一年度以降やっておるのであります。これもお話のように文部省内部におきましても局が違います。違って取り扱っておりますが、一応その目的が違っておりますから別途の取扱いをしている、こういうことであります。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 目的が違っているから別途というのはおかしいと思うのです。極端にいけば、ある大学には理科特別助成もいく、研究設備助成もいく、ある大学は両方とも熱心に所望したがどちらも落ちるというようなことが起り得るわけですね。だから同じ私立大学に対する助成ならばやはり私は一本でやった方がうまくいくと思うのですね。その教育研究ということを区別できないのだから両方申請があれば、こちらの理科申請が落ちたから、こちらの研究助成の方を少しでもおすそ分けしてあげよう、こういう配分方法も生じてくると思う、また必要になってくると思う。だから審議会振興課と全く区別しているのは私はおかしいと思う。これは考え直してもらいたい。  それから大臣にお答え願いましょう。大臣に伺うんですが、私立大学研究設備助成は当初四億五千万円省議できめられましたね、四億五千万円、それが八千八百万円に落ちついたわけですが、大蔵折衝において大蔵当局と文部当局の間で見解が非常に食い違ったところはどういう点にあるのか。少し私は文部省議の決定とあまりにも離れ過ぎていると思うんです。従って何か大きな見解の相違があったのではないかと思いますので、今後のこともありますから、それを承わりたいと思うんです。それと、第二条で言う「学術基礎研究に通常必要な機械、器具、標本」というこの「基礎研究」というのと「通常必要な」というのが非常に目ざわりがあるのですがね、これはどういうことをお考えになっておられるのか。私立大学の中でもいわゆる世間で一流大学というような大学はこの「通常必要な」とかいう言葉から除外されることがあるのではないか、まあ通常必要というのはどの程度かということで違ってきますがね、これは非常に不明確だと思うのです。私は四億五千万円の要求が八千八百万円になったのはこういうところがあるいは文部当局と大蔵当局との見解の相違を来たした一つの原因になっているんじゃないかと推測しておりますので、お伺いしておるわけです。
  137. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 第一点の二つの補助金の取扱い方でございますけれども、従来におきましてもよく両者連絡いたしまして、局は違いますけれども、よく連絡いたしまして、ただいまおっしゃいましたようなひどい重複とか、あるいはそうじゃない逆のようなことの起らぬようには十分注意してやっておることはやっております。今後もその点は十分一つ連絡を緊密にしてやっていきたいと存じております。まあ教育用の設備で、理科教育特別助成費の方は、これは学生の実験実習の機械、器具、工具等でございますから教育用の設備でございます。従いましてかりに文部省が行いましてもこれは妥当な線が出得るのですけれども研究設備につきましてはこれはやはり審査いたしますにも相当の専門家の意見も聞かなければならない、こういう関係もございまして、従来の補助金の配分につきましても先ほどから申しますように別の審議会でございますが、これにかけてよく意見を聞いてその価値判断をしてもらう、こういうことでやってきているのでございます。今後もこの取扱いでいきたいというのがこの法律の趣旨でございます。  それからこの法律の字句の御質問につきましてまずお答え申し上げますけれども、「学術基礎研究に通常必要な」という点でございますが、まあ大学が行いまする研究というのは、これは基礎的な研究でございます。大学の教室あるいは研究所で行いますものは、いわば民間におきまする研究所とは違うのでありまして、使命としましてはやはり理論的基礎的な研究をするのが本旨なんでございます。これには若干応用的な研究に入る部分もございますけれども、特に工学あるいは化学といったような関係においては応用的な面も入ることもございますけれども、やはり大学の研究は原則としては理論的基礎研究だろうと思います。そこで特に何か研究の成果を工業化でもするといったような設備を大学で作るということは、これは入らない、こういう趣旨でございます。基礎的な研究に通常必要であるというのは、そういう意味を現わしたものでございます。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一流大学は対象から落ちるのじゃないですか、どうなんです。
  139. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) そういうことはございません。それは特にその特別な研究課題をとらえた大きな研究というものはこれはまた別な科学研究助成費というのがございまして、これは国、公、私立の大学を通じて対象といたしておりますが、この法律で目ざしますところは各大学の研究基礎的な基盤を養っていく、こういうところにその目標を置いておるわけでございます。その趣旨をここに出したということでございます。それから最初文部省が要求いたしました金額と大蔵省の査定とは非常に違っております、これは御指摘の通りでございます。これはどういう理由かということでございますけれども、それは折衝の過程におきましていろいろ考え方の違いも両省間にあったと思いますが、主として財政の観点から、これは従来三千八百万円の補助金というものを文部省としましては飛躍的に増額をいたしたいと考えましたが、結局結論といたしまして五千万円の増額になったということであります。
  140. 野本品吉

    野本品吉君 関連。研究部面における私立学校の特色と申しますか、私は官立の大学と違う面があると、こう考える。と申しますのは、日進月歩の最近の科学その他を研究する場合に国、公立の学校においては国の予算が取れないというと着手できないといううらみがございます。私立学校においてはその点が比較的自由であるのじゃないか。私はまあそういう点に私学における研究というものが生かさるべきだ、こういう考え方を持っておるのですが、これは間違っておりましょうか。大臣、御感想いかがですか。
  141. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) まあ、そういうところが私は私学の一つの特色であろうと考えております。ただしかし、現実に存在しております各私学の状況から見まして、程度が十分でないというふうな事態があり、しかも科学技術の方を進めていかなくちゃならぬ、こういう要請もございますので、特に国の方から援助していこう、こういう趣旨に御了解を願いたいと思います。
  142. 野本品吉

    野本品吉君 もう一つは、これは国立、私立に関係はないかしれませぬが、大学における研究の成果が現実に事業化あるいは企業化への努力、そういうことがどこかでなされておりますかどうか、この点一つ。
  143. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 大学の研究は、先ほどもお答えしました中に申し上げましたように、原則としましては基礎的な研究をやるのが大学の使命であろうと存じます。しかしこれを工業化し、実際の役に立てるということは、これまた大事なことでございます。従いましてその基礎研究と、その実用化という橋渡しをするその研究が必要でございまして、これはある程度は大学でも行われております。それに対しまして補助金といたしまして科学研究交付金の中の科学研究助成のための科学試験研究補助金というのがございまして、これで国、公、私立の大学の研究機関等に対しましても、あるいは民間の文部大臣が指定いたしまする研究機関に対しましても補助を出しております。三十二年度の予算といたしましては、ただいま御審議を願っておりますけれども、一億六千万円でございまするが、これを計上いたしておりますから、御了承を願います。
  144. 岡三郎

    委員長岡三郎君)速記をとめて。    〔速記中止
  145. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  146. 高田なほ子

    高田なほ子君 資料を要求したいのですが、文部省で当初大蔵省に本法案に対しての予算として要求をされた四億何がしの数字がありますね、あれは架空の四億五千万ではなくて、各私立大学から必要であるというような額の要請に基いて申請されたのじゃないかと思いますが、その資料をいただきたい。
  147. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは先ほども質問にお答えいたしましたけれども、各大学の申請をまとめてそれを積み上げて四億五千万円を要求したということじゃございませんので、その意味では資料はお出しかねるのですが。
  148. 高田なほ子

    高田なほ子君 正確な資料でなくてもよろしゅうございますが、現在私立大学でかくかくのものがほしいという要求をまとめたような調査はあるはずだと思いますが、そういうものはないのですか。
  149. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これはございません。毎年、今までの予算配分の場合にはそのつど申請をとりまして、それに対しまして審査をして補助をしてきたというのが従来の実績でございまして、これこれのものがほしいということは具体的にはございません。
  150. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは論議をするわけじゃございませんが、予算を要求するのには何か資料がなければ、私は予算要求の基礎ができないのじゃないかというふうに思うのです、常識で。ただ文部省が行き当りばったりに冒頭に大蔵省に四億何がしの要求が出されたのですか。あのね、何か資料というものはないのでしょうか、なければけっこうなんです。
  151. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは急速に予算をとりまして急速に整備をしたいということで要求をしたわけでございまして、それはまあその書類はございますでしょうが、先ほどから申し上げましたように、具体的に申請をとってそれを出したということじゃございません。その点資料としてはお出しかねるわけであります。
  152. 高田なほ子

    高田なほ子君 何にもないのですか。私がこう要求する気持わかりますか、わかってもらえますか、その気持を。そういうような資料は何にもないのですか。驚きましたね、それじゃやめます。
  153. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  154. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。  今の高田君の資料要求に対して、文部省の方としては、確たる資料を現在持ち合わせておらぬ、こういうことでございまするので、その点は御了承を願いたいと思います。しかしながら、今後予算を要求するときにおいて、やはり対大蔵折衝をする場合に、やはり一応の資料というものがない限りにおいては、非常に線が弱いと思うので、これは大臣においては、至急今後においてそういうものの資料というものは必ず作って予算要求をするというふうなことを、下部行政当局に厳命をして、理科教育振興と合せて強力な予算獲得運動をただいまより出発せられんことの要望をここに申し添えておきます。  以上で本法案に対しては、まだ質疑は尽きてはおりませんが、相当時間も経過しておりまするので、本日はこれにとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会