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矢嶋三義君
文部大臣にお答え願いたいのですが、私はこの問題は大きな教訓をもたらしておると思うのです。
文部大臣は科学技術の
振興というものを当面の
文教政策の大きな一つの柱に立てられておるわけですが、従来
わが国の科学に関する問題については、
学術会議等においていろいろと慎重
審議して結論を出されて、
政府並びに
関係方面に強く要望して参られたことは一向取り上げられない。ことに科学技術なんかという方面は非常に専門的な素養と知識がなければ理解しがたい面があるのにもかかわらず、行政官が行政官的な一方的な判断で
予算を組むとき簡単に切り捨ててきておるということが繰り返されて参ったわけでありますが、そういう事柄に対する大きな警告を発するものだと思う。
で、本年の
国際地球観測年事業の
予算は十億五百万円となっておりますが、これが三十一年度の
予算編成当時は、第一次査定は約四億円だと記憶しております。そんなことではとうてい少いというので復活要求をしてやっと十億五百万円になって、そうして
宗谷と
海鷹がああいうふうにして行かれるようになったわけです。さらに来年度の
予算編成に当っても、
南極地域
観測は四億七千七百万円、
予算書に出ております。国内一般
観測、ロケット
観測合せて八億五千万円というような
予算を計上されておるわけですが、去る十二月に文部省議で一応きめられた
予算は八億六千六百万円だったのですが、それが一千六百万円削除された。この一千六百万円の差というのは
大蔵省の主計局でどういう科学的な判断のもとに削られたか、そういうことはつまびらかにされていないわけですが、こういう点に私は非常に他の
予算と同じようなものさしで、大した知識も素養もない者が一律的に
予算を組み、査定をやるというところに、私は非常な合理的な、科学的なものが欠如しておると思う。こういう点、来年度本
観測をやる場合に、今後
宗谷のいかんによってさらに
対策を立てられなければならぬと思うのですけれども、これらの点について
文部大臣はどういう反省を持たれて、今後いかなる決意をもって対処されんとしておるのか、この点と、それから当面
救援措置については決してちゅうちょしないというけれども、もう少し
あとで
海上保安庁長官に聞かしてもらいたいのですが、少くとも
ラジオ、新聞でわれわれが
承知したところでは、どうも納得できないところがある。そのうちで
予算関係でですがね、これまた新聞で見ただけなんで真偽のこともはっきりしてもらいたいのですが、昨日
海上保安庁長官は衆議院の
文教委員会で、二十四日に
宗谷から
オビ号の方に
連絡してほしいという
連絡があった。そうして二十六日の午前中に外務省を通じてソ連の大使館に救援を要請しておるわけですが、その間実に三十五、六時間というものが
経過されておるわけです。三十五、六時間の空白ができたのは、救援を頼む以上は
予算が必要なので
大蔵省との折衝に手間取ったというふうに、国民にとれるように各新聞には報ぜられおる。こういう記事を読んだ。私は隊員なり、乗組員の家族というものはつまらないだろうと思う。またわれわれ国民としても実にばかばかしくてしょうがないんですね。いかに役所仕事といえども、ああいう
南極のような
未知の地においては、待機しておって、ほんの瞬間のチャンスをつかんで
脱出しなけりゃならぬものだと私は思うのです。それをそういう、二十四日夜半きたということ自体私はずいぶんおそいな
あと思ってるんですけれども、それがきてから実に一日半というものを
予算折衝でこうなったというに至ってはどうも納得をしかねる。従ってこの
経緯を
長官並びにことに大蔵大臣お見えになってないですが、森永主計
局長お見えになっておりますので、主計
局長から御答弁いただきたいと思います。