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松永忠二君 第二班の御
報告を申し上げます。
第二班は去る二月十日から十六日までの七日間、田中
委員、常岡
委員と私並びに
調査室から前田
調査員が随行し、山梨、静岡、愛知、神奈川の四県を
調査いたしたのであります。
調査の事項はすでに御承知のように、(一)新
教育委員会の
運営の実態。(二)地方
教職員の
昇給昇格。(三)
教育財政等でありましたが、私たちはこの
調査のため、山梨、静岡、愛知、神奈川の各
県教育委員会のほか、甲府、静岡、熱海、名古屋、横浜の各市
教育委員会について、それぞれ実情を
調査し、また特殊
教育関係としては、山梨、静岡、神奈川においては県立盲ろう
学校を視察し、現地の要望で、甲府市立の僻地
学校をも視察いたしました。
さらに、山梨、静岡、名古屋、横浜の各
大学にも参りまして、
おのおの実情を聴取するとともに、各
大学における特徴のある
研究室を視察いたしました。
文化財
関係としては、甲府市の塩沢寺地蔵堂、熱海市の熱海美術館、及び名古屋城跡と、幸い疎開していたので残った名古屋城のふすま絵を陳列している絵画館を視察いたしました。
以上のほか、静岡県では本年秋の国体競技場を、横浜市では新設の図書館、音楽館にも参り、熱海市では昨年問題になりました母親文集の事情も聴取しましたが、それらの詳細は省略いたします。
なお、現地では幾多の視察が
計画されておりましたが、時間的制約その他の事情等で省略を余儀なくされたことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。
以下順次御
報告申し上げます。
まず、視察順に山梨県から申し上げます。山梨県の
教育委員会の
委員は、昨年七月新発足とともに
全員新しいメンバーで
構成されました。地方
教育委員会のメンバーもほとんど更新されました。
新法施行後の
教育委員総数は三百六十一名、うち婦人二十八名となっております。この
委員の
年令は、五十才以上が三分の二を占めております。
政党関係者は、自民党九名、社会党二名を数えるのみで、その他はことごとく無所属となっております。
県教育委員会の
定例会は、毎月第一、第三水曜日になっておりますが、
臨時会もありますので、新
委員会発足以来、すでに百回以上も会議を開いているという
状況でした。そこで今後は会議の回数を減らすことに努めているが、月三回ぐらいは避けられないだろうといっておりました。
地方
教育委員会も、経験を重ねて
運営も
向上し、能率化し、また地方
教育委員会相互及び
県教育委員会との
連絡も密接になって、その活動も人事面に限らず、指導行政の面にまで広がってきたことは喜ばしいとの
説明がありました。しかし、地方
教育委員会の実態を知るために提供された資料によって、その設置
状況について見ますと、七市二十七町、五十四村に分れておりますが、その六二%の町村は、人口六千人以下であります。従って、設置規模のきわめて小さい町村の多いことがうかがわれました。これがため
委員長及び
委員の
報酬も月額五百円ないし千円までのものが圧倒的に多く、甲府市でさえ
新法律施行後は日額制となり、
委員長六百円、
委員五百円という
状況であります。地方
教育委員会としての要望事項がありましたが、それは、(一)市町村の合併に伴い地域給に差ができたのでこれを是正していただきたい。(二)
教育長給与等に関連して、
市町村教育委員会に対し国庫補助金を交付していただきたい。(三)年に一回、
文部省主催のもとに
全国小、
中学校長会を招集し、
教育行政の一貫性を
実現されたい。なお、この際における旅費は、国または県から支出し、
出席者の選考は地方
教育委員会によって行いたいということでありました。
また、県の
教育委員会では、
新法施行に伴い、県に人事任免権が移ったので、
年度末の大異動が問題になることが予想されますが、人事は地方
教育委員会の
内申を待って行うので、今のところ問題はないが、実際には一度やってみなければわからない。よく話し合うということに問題があるのではないでしょうかといっておりました。何しろ大きな問題は、財政窮乏による
教職員の
整理であるから、
教育の水準低下ということをも考慮して悩みの種だと嘆いておりました。
昭和三十一
年度における県の
予算総額は七十二億三千九百二十万円、
教育委員会所管
教育費は二十五億一千八百二十万円、県
予算総額中に占める
教育費の割合は三四・八%でありまして、
比較的大きく、しかも
教育費の八六%は
人件費であることをみれば非常に窮屈な
予算であり、
人件費の縮小には限度がありますので、財政の縮小が事業面に大きな圧迫となることを示しております。
また、甲府市
教育委員会の
説明によりますと、三十一
年度の市
予算総額は九億五千六百七十万円に対して、市
教育予算総額は一億八千六百八十万円、市
予算総額中に占める
教育予算総額の割合は、一九・五%になっております。
甲府市の三十二
年度における
予算編成の構想は、市
予算の
教育費比率の増加と、政府の助成政策の拡充、
教育起債の特別認可等に期待し、
教育予算の充実と、
PTA依存から脱却するよう考慮しているといろ
説明がありました、戦災都市共通の貧困財政のため、市
予算だけでは間に合わず、年々
PTAに相当依存している実情でありますが、
PTA会費中、公費支弁に該当する
経費は、
児童生徒一人当り
小学校二百九十二円、
中学校五百四十三円、
高等学校千三百六十五円になっております。
次に
昇給昇格の問題について申し上げます。
御存じのように、山梨県は
昭和二十九
年度において実質赤字が約七億九千七十万円に達したため、
昭和三十一
年度から同三十八
年度までの八年間は財政
再建団体の指定を受けることになり、
教育行政が財政面の規制を大きく受けて、今後数年の
運営の困難さがうかがわれます。このような
県財政の極度の逼迫により、
教職員の
昇給昇格も苦しくなり、
昭和二十九
年度は、
高等学校教職員については標準給料以上の高給
該当者として総員の約四割が
昇給ストップを受け、
昭和三十年四月以降はついに全
職員の
昇給期間、
昇格期間が
延伸されたのであります。それによって実施されました
延伸内容は、従来の六カ月
昇給該当者は三カ月、九カ月
昇給該当者は五カ月、十二カ月
昇給該当者は九カ月、それぞれ
昇給期限を
延伸して
昇給が実施されたのであります。これによる
予算節約は約四千万円になっております。
昭和三十一
年度においては全
教職員が以上の
昇給昇格実施要綱に基き、各二回の
延伸適用を受ければ、順次条例に
規定する
昇給期間、
昇格期間で
昇給昇格ができるように
措置され、従って
現状においては、(一)
延伸一回中のもの。(二)
延伸二回中のもの。(三)
延伸適用を終り条例に定める
昇給昇格期間に復帰したもの、の三様に分れ、従って毎月
昇給昇格の
該当者がある
状況になっております。
次に市
教育委員会の
希望で、僻地
教育の
代表校となっている能泉小、
中学校を視察しました。本校は甲府市に合併以来、甲府市小、中
学校教育目標を基準に、本校独自の
教育目標の設定と、その具体的な体系化に努力している
学校で、
小学校の
児童数六十六、
学級数三、
教員数五、また
中学校生徒数四十、
学級数二、
教員数四、小、
中学校一
校長で、小、中の一貫性や、小規模
学校及び複式
学級の経営、さらに僻地性を加えての特殊事情に立ちながら、
教員組織の総力と地域社会との協力によってその
研究に多大の
成果が期待されるところから、
県教育委員会並びに
文部省の
昭和三十
年度実験
学校に指定されたのであり、桜井
校長の言葉によれば、僻地における文化の中心は
学校であるから、施設、教材、教具は充実させなければならない。また、複式
学級の
教員の疲労度は絶大なものがあるから、僻地には最優秀な、かつ身体強健な者でなければならない。しかし貧困な
県財政のしわ寄せばいつも僻地に押しつけられるのが実情であるから、永遠に僻地
教育は改善されないというのであります。
また、
県教育委員会の
説明によれば、山梨県の僻地の五級地で七百五十円の月額手当を支給されている
学校といえば、南巨摩郡硯島室畑分校がその一例であります。ここは本校から谷川に沿って三里の山奥であり、日用品販売店もなく、無電灯地帯であります。
教員は土曜日に山を下って米その他を購入し、日曜日にまた山にのぼる生活を繰り返しております。このように僻地
教員の労苦は大へんでありますが、その僻地手当は
最高七百五十円にとどまっているのに対し、甲府市では地域給二千円ないし三千円が支給されており、その取扱いの差異に大きな問題があります。これら僻地の問題と関連した山梨県の特徴として、僻地に指定されていない分校
教育対策が強く叫ばれておりました。
分校という狭い地域社会のゆえに、
児童生徒の社会性は貧困であり、経験領域は狭小であり、分校なるがゆえに劣等感を根底に持っており、
教員は僻地校と何ら変らぬ過重勤務を余儀なくされております。その上本校優先の
考え方が根強く、分校は第二義的に
考えられ、その施設、設備も貧困であります。しかも都市と僻地との中間のため、地域給も僻地手当も受けられないのであります。これがため、(一)僻地手当の大幅増額による指定校の増加。(二)複式手当の
義務支給。(三)僻地勤務
教員と都市勤務
教員との
人事交流。(四)複式教科書の編集、複式用指導書の編集、に努力してほしいという強い要望がありました。
次に静岡県に移ります。静岡
県教育委員会の
委員は、前
委員の任命はなく
全員新たになりました。この
委員の
年令は最低四十八才で、
最高七十才、
平均五十九才で、
全国平均五十五才に比して四才もふけております。職業は弁護士、会社社長、銀行頭取、無職となっており、
教育専門家は入っておりませんが、地方
教育委員会とは密接な
連絡をはかって円滑に
運営されておりました。
三十一
年度における静岡県の
教育費財源別内訳及び一般財源と基準財政需要額との
比較は次のようになっております。最終
予算推定額は、六十五億八千二百二十八万円であり、この内訳は国庫支出金は二十二億九千三百四十六万円、特定財源は五億五千六十五万円、一般財源は三十七億三千八百十六万円であり、基準財政需要額は三十二億一千百万円でありますので、
差引超過
負担額、すなわち
県費持出額は五億二千七百十五万円となっております。
本年における
児童数は、
小学校九千三百人増、
中学校三千六百五十人減、
高等学校千八百人増となっておりますから、
教員定数の確保が問題となる気配があると言っておりました。
次に
教職員の
昇給昇格問題でありますが、
県財政逼迫の
理由で一昨年十月の
定期昇給が
延伸されまして問題となりましたが、現在は円滑に実施されておりますからこの面の闘争は完全に終ったという
状況であります。ただ三月に行われる
人事異動が相当深刻なものがあるだろうと申しておりました。
地域給の問題は、ここでもうるさく取り上げられておりましたが、これに伴う
人事交流は行政
措置でなければ不可能な
状況だという
説明もありました。
次に静岡市
教育委員会の実情について申し上げます。
委員会は、
委員長は任期四年の僧侶が就任し、任期一年の
会社重役が
委員長代理、任期三年の
会社重役、任期二年の婦人並びに
教育長の
構成で毎月
定例会、
臨時会並びに協
議会を十回内外開いて活発な活動を続けております。
静岡市は戦災を受けた上、再び大火災に見舞われましたが、今は完全に復興いたしております。それだけに
学校関係の仕事も並み大ていではなく、
学校は全部鉄筋建にし、起債によって建てるのだと言っておりました。
三十一
年度の市決算額、十五億三千二百万円に対する
教育費決算額、三億七千万円の比率は、二四%と相当高率になっておりますが、これは
校舎を鉄筋にしたためであって、
校舎さえりっぱにしておけばいい
教員も集まるようになると言っておりました。
小学校の方はすでに片づいているので、これからは中学の建築が問題になりましょう、とも言っておりました。
さらに本
委員会では、
中学校の給食の
実現化ということが大きく問題になっておりましたが、これはどうにもならぬ問題であって、市としては赤字財政であるから処置困難であろうし、
委員会は頭痛はち巻の体で、いかにも悩んでいる様子でした。
一方
県教育委員会では、沼津工業、磐田
農業、島田商業等の定時制
高等学校には給食施設を整備し、給食を実施しているということを聞きました。
なお、静岡市では社会
教育の面の活発な動きが見られました。たとえば一カ月間の行事を見ても、(一)職場成人
学校大工科、これは大工技能者の養成、期間は年間百日、三年間継続。(二)職場成人
学校洋服科、これは洋服技能者の養成、期間は年間百日、三年間継続。(三)職場成人
学校製パン科、これは製パン技術者の養成、期間は年間百日、三年間継続、(四)視聴覚技術者打合会、これは毎月第二水曜日、ナトコ技術者視聴覚指導。(五)巡回映画会、これは年間随時
希望により市内各所で実施。(六)よい映画を見る会、これは毎月第三土曜日、公会堂にて行う。(七)青年
学級、これは二十
学級を開設、年間実施、一
学級百二十時間以上。(八)婦人週間、これは婦人の社会的
向上のため一週間実施。(九)地域別婦人
学級、これは婦人の実生活に役立てるため、地域問題をテーマに、各学区別にて、年間を通じて百二十回実施。(十)社会
学級、これは市内遠隔地を
対象に月一回または二回実施、等が行われておりますが、このために三十一
年度予算で五百万円を計上されております。人口三十万の静岡市としては、相当大きな
負担であるが、勤労青少年と婦人の道義の高揚と風習の純化に努めるために推進しているのだと言っておりました。
次は愛知県に移ります。
県教育委員会は、
平均年令六十才という相当老令の五名で
構成されております。職業別に見れば、会社社長二名、会社副社長一名、無職二名となっております。会議は月三、四回の割で、定例、臨時及び緊急の
委員会が開かれております。
愛知県における
教育費の現況についてでありますが、三十一年十二月末現在における
予算総額は二百七十三億三千余万円で、このうち
教育費は九十億一千余万円であって、県の総
予算に対する
教育費の占める割合は約三〇%となり、
教育費のうち、
人件費が占める割合は約八九%となっております。
また、三十一
年度における
昇給昇格は完全に実施されたと言っておりました。
次に名古屋市
教育委員会について申し上げたいと存じます。同
委員会の
委員は、全部新任の五名で
構成されております。職業は
会社重役、病院長、
大学長、無職となっており、
委員会の会議は
定例会及び
臨時会で、
定例会は毎月第一金曜日に開くことになっております。
教育予算についての市長と
教育委員会との
関係を申し上げますと、補助執行の規程を定め、二十万円以下の経常的軽易なものは
教育長が代決することができることになっておりました。
三十一
年度における市費総額は、百十六億六千百万円となっておりますが、そのうち、
教育委員会所管の分は十五億二千三百万円で、これは一三・一%に当り、短大、
大学費の分は三億二百万円で、これは二・五%に当っております。
次に愛知県における定時制
教育の
現状を御
報告いたします。定時制
高等学校数は、県立五十九、市立七、私立十五、計八十一校でありまして、その生徒数は一万五千六百二人になっております。大体昼間制二、夜間制八の割合で、性別に見れば、男子八、女子二の割合で、これらは
全国平均とほぼ同率であると申しておりました。三十八の夜間
学校では、給食施設を整備して、
全員に週三回以上、所要栄養量の給食を実施し、約一万二千百九十二人の生徒が、二十五円ないし三十円で給食を受けているそうであります。また、パンまたはミルクを
希望者に販売している
学校もたくさんあると聞きました。
次に以前本
委員会でも問題になりました公立
高等学校の学区制の問題について申し上げます。三十一
年度から、志願者に
学校選択の自由を与えるという趣旨から、公立
高等学校の普通課程と家庭課程の通学区域を、従来の一校一学区から、県下を名古屋市を含む尾張学区と、三河学区の二学区に改正したのであります。そしてその長所を伸ばすと同時に弊害は小さくするために、各
高等学校の施設、設備における
学校差を小さくするよう努めるとともに、進学者は各
高等学校の実情とか、自己の進路とか、通学時間とかをよく
考えて、いたずらに世評だけで
学校を選択したり、遠方の
学校を志願するようなことなく、なるべく近くの
学校に、みずから進んで志願するように、進学指導することを、各
中学校に対して指導してきた由であります。また各
中学校においても、生徒に対し、そのように指導に努めているので、その後の
調査によりましても、いたずらに有名校に殺到せず七〇%以上は旧学区の
学校を
希望しているそうです。学区を広げたことによる混乱はない、というのでありました。しかし県
教組及び高
教組からは
反対の
陳情がありました。
次に神奈川県について申し上げます。神奈川
県教育委員会は、現在一名欠で、四人の
委員で
構成されております。神奈川県と横浜市がいずれも五十八才以上、七十一才までの老人組で、職業は
大学学長、会社社長、
会社重役、会社役員となっております。
三十一
年度県の
教育予算は六十三億八千四百万円を計上しており、
学校施設整備充実のために一番悩まねばならないことは、
児童生徒の異常的な社会的急増であると申しておりました。ここで問題になりましたことは、
学校用地を想定しても、早急にこれを確保しなかった場合は、買収も不可能になる場合が多く、かりに適当な土地があっても、土地価格の急激な上昇で、どうにもならなくなることであります。これがため、
児童生徒の増加に伴う
不足教室の補充に対し、また
学校用地確保のために、特別起債の
措置を早急に講じてもらいたいという懇請がありました。
次に
昇給昇格の問題であります。
神奈川県には、
給与条例についてまだ定めがないので、
教職員に対しては、国家公務員に準じ人事院規則をそのまま適用実施しておるのだそうであります。従って他県のように
昇給昇格の問題は起らないわけであります。先般来問題となっておりました
高等学校入学試験実施の問題については、
県教育委員会、県
教組、県高
教組から異なった
陳情があり、問題が多いと
考えられました。
次に特殊
教育の面で視察して参りました盲ろう
学校に触れさせていただきたいと存じます。
私たちは、甲府、浜松及び平塚における盲
学校並びにろう
学校を視察いたして参りましたが、各
学校で共通した問題として懇願されましたことは、次の諸点でありました。(一)設備費
関係の国庫
負担。
PTAによる財政的援助は期待し得ないので、教材費を増額してほしい。(二)学習上の問題として、1、就学奨励法が高等
学部にも全面的に適用されるよう、すなわち、高等部も
義務制とするよう、法の改正に配慮してほしい。2、国立点字出版所の設立方を促進させてほしい。すなわち現在の
個人経営の出版所は、印刷不正確、かつ期日は守られず、値段も高く、教科書出版をこれにまかすことは不適当であること。3、盲
学校教科書の改訂出版を急ぐこと。すなわち現在使用されている教科書は、終戦直後のものであるから、社会的情勢から見て、時代おくれのものもあり、またミス・プリントが多いこと。4、弱視者用教科書の出版を促進させること。(三)
職員待遇上の問題として、1、寮母の超過勤務について、国庫
負担法を適用すること。2、盲ろう
学校小中
学部の事務
職員に超過勤務手当が出るよう
規定すること。3、産業
教育振興法の適用を盲ろう
学校の区別な丸全面的に及ぼすこと。
以上の諸点については、私たちも六カ所の盲
学校及びろう
学校を視察して、これは絶対に必要であると痛感いたしました。
以上で各県の
教育委員会関係事項の
報告を終り、次に
大学の問題に移ります。
まず、山梨
大学から申し上げますが、私たちは三十二
年度予算において醗酵化学科が工
学部に設置が
予定されているので、同
大学の醗酵
研究室を視察いたしました。この
研究室はわが国唯一の果実酒に関する
研究機関で、特に山梨県の特産物であるブドウ酒を中心として、その醗酵に関する微生物学的並びに化学的
研究をしておるのでありますから、山梨
大学も近き将来、この面で大いに特色を出すようになるだろうと言っておりました。すでにフランス製の中級
程度のブドウ酒の醸造に成功しているとも言っておりました。その種類も十五、六種に上っているそうです。
また静岡
大学では放射化学
研究室に参り、核分裂生成物を取り扱う放射化学実験の
説明を聞きました。その際第五福龍丸から取ったビキニの灰を示されましたが、当時を想起するとともに、放射性元素の
研究と、放射性落下塵の観測にささげてきた約十名の
研究員に、心からの敬意を払ってきました。なお、この
研究室で特に要望されたことは、科学
研究費等補助金の配分が顔によって流れるような感じを受けるが、これを何とか是正してほしい、ということでありました。
また、浜松の電子工業
研究所室にも参りましたが、ここではテレビジョン
研究のためのいろいろな設備や実験を見たのでありますが、最近のテレビは諸工業に応用されて、諸機械の監視や無人運転に用いられる
研究にまで進んでいる、という
説明を聞きました。なお
研究室を
昇格して
研究所にしたいという熱心な要望も、
大学関係者からなされました。
新制大学には、付属
研究所は認められていない
現状でありますが、充実したものについては
研究所設置も認められてもよいと思いました。
さらに精密工学科も視察して参りました。旧浜松工専時代から、多くの
卒業生を
業界に送っただけに、伝統ある本
学部のごときものはさらにさらに充実させたいと痛感いたしました。
次に名古屋工業
大学に参りました。短期
大学部に今度新たに夜間三年制の工業化学科が増設されたので、その施設を視察したのです。その際清水学長から、次のような談話がありましたから、ここにつけ加えておきます。(一)短大について。開設当初から技術者の再
教育を目途としてきた。入学試験も
学部と同じ日時で行なってきているが、志願者は数倍に達している。高校の三年と合せて五年制度の課程にしたらとの
意見もあるが、日本の現実に徴して工業短大二カ年の制度は価値は少いし、工業高校の三年も不徹底である。双方通じた五年制がよいのかもしれない。(二)科学技術
教育について。
小学校から
大学まで一貫性を持たすことが必要である。この種
教育にあっては、何といっても
教員の素質が問題であるから技術
教員の養成、理科
教育には特に力を入れてもらいたい。しかるに理科
教育の補助金が非常に少い。オートメーションとか原子力とか、今日技術の革新期にきており、生産管理も変ってきている。従ってこれに対応した新
教育がなさるべきであるが、その
研究施設に対する要望がなかなかかなえられない。新技術の養成には金がかかる。産
業界の援助のほかに国庫の思い切った援助がほしい。なお、以上の
国立大学ではいずれも
研究費の
不足が痛切に訴えられました。
最後に横浜市立
大学に参りました。ここでは学長から公立
大学に対する国の援助要請の
説明を聞きました。以下同学長の
意見のおもなるものを御紹介申し上げます。菊地学長の
意見によりますと、公立
大学は
国立大学と同じ
目的ないし使命をもって設置
運営されているにかかわらず、これまで国の援助を受けたことがないというのであります。また、公立
大学をもっている地方公共団体が
大学施設充実のために起債しようとしても全く許可されなかったのであります。公立
大学の
運営は、
国立大学に準じているので、
授業料、入学金、寄付金等による大きな
大学独自の財源を獲得できません。私立
大学は現に私学振興会法によって相当大きな国の援助を受けておりますが、公立
大学には現在その道すら開かれておりません。こうした悩みをもっている公立の
大学は
理由なくして設置されたものでもなければ、意義なくして存在しているものでもないというのであります。この設置は地方住民の熱烈なる文化
向上の熱意や国の要請にこたえたものであります。その存在は二万四千に達する公立
大学生に対する
最高教育と高度の
研究とによって高く評価されなければならないという
意見なのであります。
以上で大体の第二班の
報告を終りたいと存じますが、なお
報告漏れの点につきましては田中
委員、常岡
委員及び私から補足いたしたいと思います。