○東隆君 私が質問いたそうと思ったものにだいぶ触れられているのでありますが、私は、少くとも
農林省が手をかけられてからの開発
計画、それに関連した仕事、これはあまり
成功していると思わない。それで百五十万町歩の可耕地のうち、北海道に七十五万町歩くらいあるのですが、これの
開拓を考えてみますときに、今取り残されている
土地というのはほとんど特殊土壌地帯ばかりだと思う。酸性土壌、あるいは泥炭地、あるいは重粘
土地帯、こういうようなものでもってほとんど占められている。そうして
成功した
農家というのは、どういうような
農家が
成功しているかというと、これはみんな
条件を備えている
農家が
成功しているのであって、それは第一番目は非常に
条件の整ったところに入ったことということなんです。たとえば軍用地の跡地に入った者、あるいは入った者が満州から帰ってきた者、あるいは樺太から帰ってきた者、こういうような人たちは
開拓ということについて十分に経験を持っておりますし、従って、そういうような人たちが一度
土地を見たとき、これなら十分やっていける、こういうふうに考えた人たちがその
土地を選んで入って行った。従って、そういうような人は割合に
成功しているわけなんです。ことに満州なんかでもって匪賊からやられたりなんかして帰ってきた人たちは、団結をして、そうしてあのときを思い出して、困難にぶつかったときにはやっている。そういうような所が
成功しているのですが、戦争中
災害や何かの
関係でもって、緊急
開拓とかで、ことに東京でもって焼き払われて、そうして向うに行った
農家なんていうものは、これはもうみじめなもので、それがほとんど脱落をしている
農家で、残ったものも多少ございますが、これはもう実にみじめなもので、こういうような人に対して、私は国に大きな責任があると思うのですが、そういう状態なんです。
それで、昔の開発のときには、まだ文化施設も何にもなかったときです。ですから、
開拓地に入って行って、そうして不便をしのんでやったかもしれないけれども、今の
開拓をする人たちのは、みんな府県であって、電燈のない所はないし、交通網、通信網が備わって、学校もございますし、お医者さんもいるし、産婆もいるし、こういうような
条件がみな備わっておる所から、子供の学校の教育のこと、宗教
関係の年寄りだの何だのを満足させるようなお寺もない、みんな
条件の整っている所はないのです。そういうような所に入って行って、しかも無資力な人が入って行くのですから、これは
成功するはずがない。そこで、それに対しては、これからの開発というものは、先ほど言った全面的な環境、
条件ですね、開発する拓植をやるための
条件を完全に国でもってやってしまって、そして中に入っても
営農がすぐできる、こういうような
条件を備えてやらなければ、これはうまくいくはずがないのです。従って、十五万五千戸残っておるといううちで、それの半分はどうやらこうやらまあ
成功した、こういうのは、私は先ほど言ったような人たちが
成功している、辛うじて維持しているという者、この中には没落もしなければならないというのがたくさんある。そういう形でもって計算をしたらいいのじゃないかと思うのですが、
そこで、先ほど国の
債権の
管理等に関する
法律、この二十四条でもって借金の年限を延期をしたり、
金利を下げたりすることができるということなんですが、私はもう一歩進んで、ことに脱落した
農家の分を、
開拓農が作っておる協同
組合がそれを負わなければならぬ、こんなようなことになったりしているようなものは、たださえ困っておるのですから、この際それを帳消しにしてしまって、それから与えられた耕地面積が、今はだいぶ経営面積が適正になっておるようですけれども、以前のやつは面積が非常に少いのです。従って、そういうような面積は当然分けて適正に配置がえをする。今ならば私はそう困難じゃないと思います。これはもうだいぶ長いことたつと非常に困難でありますから、それで今配置がえをする。その場合に住宅であるとか、そういうようなものを建てたりなんかする者に対しては、当然やはり国の失敗した拓殖政策なんでありますから、国が当然新規に
補助財源だの何だのを与えてやる、こういうようなところまでやっていかなければならぬと思います。それから今持っておるところの借金の大
部分というのは、これは食ってしまった。食べてしまったものが
農業資本として有効に動くはずがないのですから、そういうような種類になっておるところの資本からは償還の財源の出るはずがありませんから、そういうようなものは十分に調べてもらって、それを何とか棚上げしてしまう。それこそ百年ぐらいでもって払うとか、九十九年ぐらいでもってやるというぐらいの英断をやらなければ、今までの誤まった開発の政策を取り戻すわけにいかないと思うのです。それで、非常に開発地に入った人も気の毒ですし、それから入られた人も気の毒な状態なんです。いろいろ批評を受けて、そしてそんな経済効果が上らないところは開発をしない方がいいという、何だのかんだの勝手なことを言っているようですけれども、しかし、それはやり方が間違っておったので、率直にやり方が間違っておったということを認めて、新規まき直しということがありますけれども、それをやらなければならぬのじゃないか、こういう考え方を持つわけです。
そこで、私は一体どれくらい借金があるかという問題です。先ほどの二百億あるとこういうわけです。それは普通
公庫やその他の金融機関を通して出たものが二百億ある。
個人の
負債その他のものを加えてくると、これは
相当なものに、プラスになってくるだろうと思う。そうすると、一戸当り二十万くらいな借金はこれは
負債になっておるのじゃないか。北海道の既存の
農家は昨年の
災害でもってざっと三十万以上になっております、平均が。だから、
開拓農家といえども二十万になっておるのではないか、こう思うのですが、そうすると、そいつを、それだけのもののうちそれくらいのものはほんとうに長期なものにしなければ、これから
営農を進めていくといってもできっこない。五年や三年でもって
開拓するなんて、そんなことはてんでもう想像も及ばないことです。そこで、これは十年なら十年据え置き、棚上げにしてしまって、そして新しく
計画を立て直す、そんなような方途も講ずるか、あるいは長い
期間にする、こういうような形をとらなければならないと思うのですが、やはり
相当詳しい借金の調べをすると同時に、先ほどの二十四条のこれをもう少し拡張解釈をして、そしてやるような方途をまず第一番目に講じていかなければ、今後の
開拓は容易ではないと思う。ことに新規のものを考えないで、今までのものについて
重点が置かれるというならば、特にそういう点を考えなければならないと私は思うのですが、この点、一度どの程度までお覚悟がおありになるのか、それをお聞きしておきたいわけです。