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1957-03-29 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)    午前十一時三十七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員平島敏夫君辞任につき、その 補欠として田中啓一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            下條 康麿君            柴田  栄君            田中 啓一君            堀本 宜実君            安部キミ子君            北村  暢君            鈴木  一君            上林 忠次君            島村 軍次君            千田  正君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    農林政務次官  八木 一郎君    農林省畜産局長 谷垣 專一君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      河野 恒雄君    農林省農林経済    局農業協同組合    課長      大和田啓気君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (特定多目的ダムに関する件)  (酪農振興に関する件) ○委員派遣承認要求の件   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。本日平島敏夫君が辞任されて、田中啓一君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 特定多目的ダムに関する件を議題にいたします。  この件について、特定多目的ダム法案に関し、なお御質疑の向きは御質疑を願います。
  4. 東隆

    東隆君 私は、この特定多目的ダム法案を研究してみますと、農林省関係のものが、どちらかと申しますと、受益というよりもかえって被害を受ける場合が非常に多いように考えられますので、一応、建設大臣がお見えになっておる機会に、それらの点をただしておきたいと、こう考えるわけであります。  そこで、基本的に、昨日お答えがあったのでありますが、灌漑その他の関係については基本法であるところの河川法規定をされておるので、この特殊立法として作ったのだから、農林関係の問題についてはこれを省いてあるのだ、こういうようなお話があったわけであります。そこで私は、この基本法であるところの河川法というものができた当時を考えますと、きわめて不自然な、今の時代から考えると非常に時代の違ったときにでき上った法律であって、これを基本法として、建設省でもってここに根底を置いて進められるのは、はなはだ私は時代離れのした考え方じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。この多目的ダム法案こそ、私は、河川法最高度に利用したところの法案であると、そういうような意味で、この法案中心を注いでいく、そうして明治二十九年にできた河川法を廃止するくらいな心組みでお考えになる方が、私はいいんじゃないか、こういう考え方を持つわけであります。それは、建設省は非常に古い法律ばかり握っておって、太政官布告の次ぐらいに古いものを二つも持っておるわけで、河川法、それから水道条例という明治二十三年に出たのを持たれておるわけです。そういうふうに日本の産業革命一つもまだ進行しない時代から持った法律を、大きな時代変革が行われ、見ようによっては国体の変革が行われた時代に、この法律基本法にしてやられると、こういうようなことは私は非常に残念だと、こう考えるのです。従って、そういうような点について、河川法あるいは水道条例、こういうようなものについて建設大臣はどういうようなお考えをお持ちになっておるか、それを最初にお聞きしたい。
  5. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) お答えいたしますが、河川法改正の問題につきましては、他の方面からもいろいろ御議論のあることでありまして、お説のように相当古い法律でありますので、時代進運とともに相当改正すべきものはしなければならないと考えておるのでございます。今度の多目的ダムにつきましても、各省との協議をするようにというような条項を加えましたことも、相当河川法規定から申しますれば、一部その改正をするような点にも見られるわけでありまして、時代進運に伴いまして、かような河川法規定からいえば建設大臣が専管でやって差しつかえないようなことでございますけれども精神をくみまして、各省連絡協議するということにもしておるような次第であります。  そこで、この国会に、今まで建設省内部河川審議会というようなものが内部規定でございましたのを、今度法律河川審議会というものを立法したいというので、御審議を願っておるというようなわけでございまして、かような権威のある河川審議会等もできますれば、これらの審議会などにも諮りまして、これらのお説のような問題を十分検討いたしまして、時代進運に沿うような河川法改正等考えたいと思っておるわけなのでございます。
  6. 東隆

    東隆君 先ほど私が申しましたこの多目的ダムそのものが、今の時代における最も完全の利用度というような方面から考えても、国民の生活に最も関係の深い点を規定してある点から考えても、私はこの基本法としての河川法の、何といいますか、特別法として考えられておるというお話でありますけれども、私はこっちの方に重点を置いて考えなければならぬのではないかと、こういう考え方なんですが、その点はどうですか。
  7. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) その河川法と今度の法案多目的ダムとの関連につきまして、多目的ダムの方に重きを置いて、河川法を軽く見たらどうかというような御意見のように承わりますけれども、これはやはり河川法を尊重いたしまして、河川法は各般の方面にわたっての基本法でありますから、多目的ダムは、御審議願っておるように、今まで各省に、建設省がやっておりまする治水、つまり災害防除主眼としたダム建設主体で、そうしてそれに関連して、発電であるとか、工業用水、あるいは灌漑用水等が加わるものでありますので、今後ただ今までのようなことでは管理一貫性がない、あるいは促進がなかなかはかどらぬというようなことから、特別会計を作りまして、そうしてこの建設促進させ、また管理も一元化させることが、最もこのダムの効用を発揮するゆえんだと思いまして、この法案を出したようなわけでありますので、すべての河川関係の問題を、この方を主体として、重きを置いて、河川法よりもこの方に全部完璧を期さなければならぬじゃないかという御意見につきましては、にわかに私、政府としては賛成しがたいわけであります。
  8. 東隆

    東隆君 関係各省協議を進められることについては、私は一つの進歩であろうと、こういうふうには考えますけれども協議ということは、これはやはり建設省相当独占的な形でもってやる、そうして各省におけるところの関係のものを調節をするというような、一応の効果があると思いますけれども、やはり相当最後においては踏みにじるような形が現われてくるのじゃないか、こういうことを非常に懸念をするわけであります。従って、「協議」という場合を「同意」となぜできなかったか。私どもはそれを非常に遺憾と思うわけであります。同意をすることによってりっぱに協調が保たれて仕事を進める、こういうふうな形を作ることが、私は新しい民主主義の国におけるところの法律のあり方でないかと、こう考えるわけで、この法案帝国憲法時代にできた法律基本にしておるものですから、ことに内務省のもとに施行された法律なのでありますから、私は特にこの点を重要視しておるわけで、そこで「協議」と「同意」ですね。なぜ「同意」にしなかったか、この点を一つ明らかにしていただきたい。
  9. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまのお尋ねの問題につきましては、衆議院の委員会等においてもだいぶ論議されまして、ごもっともなお説であります。この法案を創案いたすときに、各省、特に農林省との間に、この問題につきまして、強い農林省側の御意見もございました。そこで私は、先ほど申すごとく、一般河川法の原則から思い切って各省協議をするということに建設省は譲歩したのでありますが、さらに、ただいまのお説のように、これを「同意」ということにしたらどうだというような御意見もございましたが、この点につきましては、建設省主体となって各省間の連絡協議をしてきめるのでありまして、この多目的ダムは、建設省管理者となり、一貫性を持った主体性となるものであります。そういたしますと、同意をしなければできないということになりますと、いわゆる主体性というものが失われることになるのでありまして、ほんとうに中心がなくなるというような考えもいたしまして、そういたしますと、せっかくこのダム促進をはかる、効果をねらうというような眼目がはずれるようなおそれもありますので、そこで話し合いの結果両省の間に覚書をいたしまして、この「協議」というのはどこまでも、協議が整った上で、両省関係者が円満にいった上でやるのだ。実質的には同意だというような意味合い覚書をいたしまして、そして、この「協議」ということに落ちついたようなわけでありますから、実体お尋ねのような趣旨になると思うのであります。要するに、もう運用の妙を得ることにあると考えるのでありますから、この点につきましては御了承を願いたいと思います。
  10. 東隆

    東隆君 ただいま「協議」の中身同意実体は同じようなものである、そのために覚書を取りかわしておるようである。こういうようなお話でありますが、私は、覚書では建設省はもうすでにだいぶ苦労をされておると思う。水道条例関連をして、厚生省関係建設省関係との間の昔の覚書、これなんかは非常に問題をかえって複雑にしておるのではないか、こういうふうにさえ考えております。しかも、あの時代におけるところの覚書は、いろいろな法律以上に効果がある。というのは、一方は天皇の官吏で、国民は臣民でありましたから、そういうような時代におきましては、覚書は非常に強力な効果を発揮したと思う。ところが、今日におけるところの法律というものはおのずから違っておりますし、それから覚書中身が私は非常に違っておると思う。官庁は国民にサービスをする所でありまして、決して国民意思と違っだことはやり得ない。そんなような関係で、法律の方が非常に強い効果を持ってこなければならないし、またそういうようなことになろうかと思うのであります。だから、私は、建設大臣が百才のよわいを保ってずっと続けておられる間は、これは一向差しつかえありませんけれども、おかわりになるのはこれはやむを得ないことでありますから、そういうようなことを考えてみたときに、また覚書そのものについての時代的な解釈なんかもどんどん変って参るのであります。従って、どうしてもそういうようなことでもって糊塗をする必要はない。はっきりと法文に表現をすると同時に、そうして「協議」も「同意」とすることによってこの建設省主体性がなくなるというが、そんなことは私はおかしいと思います。かえってセクショナリズムを露骨に現わしておるのではないか、こういうふうにさえ考えられます。  従って、やはり被害を受ける場合が非常に多い農林省としては、私はこの際同じ立場において進めていきたい。こういうことがなければ、私はこの法案において、もうすでに農林省同意というような形について、協議でよろしいというようなことを言って退却をしておることを考えてみると、おのずからこの際やはり「協議」を「同意」と、こういうふうにはっきりすべきではないか。従って、今大臣お話しになられたことについては、私は納得がいかないわけであります。従って、そういう点についてもう一度お話をお願いたいのであります。
  11. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) そのお問いになります御精神はよくわかるのでありますが、実際問題として、各省におきましていろいろ自分事務管掌分担があるわけでございます。農林省農林省関係多目的ダムを主宰すると同様に、建設省治水主体としました多目的ダム管理するのでありますから、この管理をする事自体が決してセクショナリズムだというような考えじゃなく、やはり各省別におのおのその担当は責任をもってやるところに、すべての事業仕事も、私は効果を持つと考えるのであります。さような点から考えますと、やはり多目的ダムは、ここにいいますところの多目的ダムは、建設省主体となって実施する責任を負うのでありますから、やはり建設省各省の間の連絡協議をする主体性を持つことは、この法の目的効果を上げる私はゆえんだと思うのでありまして、それが必ずしもセクショナリズムと簡単に解釈されることではないと思うのであります。  そこで、その運用の問題でありますので、その協議連絡する場合におきましては、先ほど申しましたように、農林当局においても強い御発言がありましたから、覚書等によってそのことは協議が整うまで十分協議連絡をし、そうして完全の一致をみたときにこれを実施するのだということに相なっているわけでありますから、一にあげてこれは運用いかんだと思うので、誠心誠意国民のため、国家のためやろうという気持になれば、私はその協議は整うものと思うのであります。どうしてもダム使用権者等関係で利害が一致しない場合があり、基本的策定の場合においてこれは収拾するよりほかないのでありますから、決してその場合において建設省が無理押しをするということはないわけでありまして、さような点から申しましても、私は民主的な行き方ではないかと思います。どうかさような意味合いにおきまして、この「協議」ということの内容を、法文に用いましたことのいきさつ並びにその精神をおくみ取り下さいまして、御了承いただきたいと思います。
  12. 東隆

    東隆君 大臣選挙区である空知管内鷹泊ダム考えてみますときに、あれは電源開発中心にしたダムのために、洪水調節のことを一つ考えておらないわけであります。一方的なダムであります。そのために、水害が起きたときに非常に下流の者が困りまして、この場合における補償その他の関係等は、これは結局なかなか容易に解決をしない問題がたくさんあった。私は、そういうような場合に、単なる協議というような問題で進めた場合における考え方は、これは農民意思、そういうようなものがだいぶじゅうりんされるのではないか、こういうようなことを考える。相手方は電源の場合には通産省でありますから、通産省農林省とが十分に意見を戦わし、そうしてもし中に建設大臣がお入りになるならばお入りになって、その上でもって同意をする、こういうような形でもって進められるときに、初めて補償の問題とか、そういうような問題も解決がつくのではないか、こういうように考えますが、この点はどうですか。
  13. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 御指摘の鷹泊ダムのことにつきましては、私、自分選挙区であります関係から、よく水害の場合における農民被害状況等も、たびたびこれは経験いたしておりまして、一昨年の水害でありましたか、その場合においても、この責任管理者が負わなければならぬものじゃないかというような、そういうようなことが道会等においても議論がありました。現地においても相当な非難の声がありました。そこで当時道庁当局にも、知事にもこのことを申し、その善後処理をとったことがありました。でありますが、この鷹泊ダムにつきましては、今日の御審議願っておる多目的ダムと異なりまして、直接建設省がこれに対する監督権を発動するというような立場でもなかったので、そこで今度の多目的ダムにおきましては、これらの問題につきまして、特に三十二条で規定いたしまして、これらの、事前にこういう危害を防止するために必要があるときは、政令で定めるところによって、あらかじめ一般に周知させるような措置をとるというような命令を出せるというようなことをしておるのであります。従いまして、この今度の法案は、そういう精神で今後も進めたいと思いますので、ああいう多目的ダムに入らないようなダムにつきましても、管理者は北海道庁でありますが、これに対する監督権をもっと強化して、農民等に対する被害を除去しまたは事前にこれを防止する方法考えなければならぬじゃないかということの措置を、目下研究いたしておるようなわけであります。
  14. 東隆

    東隆君 ただいまの場合は、地方庁管理者の場合でありますが、電源開発を主たる目的にしておる過去のダム、そういうようなものに対して十分に、建設省が中に入ってそれに対する解決をするための救済的な規定が、この中にございますか。
  15. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この法律建設大臣が作ります多目的ダムだけのものの規定でございまして、今の電源開発会社あるいは電力会社のやりまするダムについての規定は、この中にはございません。それは一般河川法に基く処分によりまして、操作規定なりを作らせることになっております。
  16. 東隆

    東隆君 将来ダムを、建設省関係のもとに、監督権、あるいは管理者として建設省一般の大きな河川関係をしているもの等について、持つ意思がございますか。
  17. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話は、重要な河川の大きなダムにつきまして、管理権建設大臣が全部持つ意思があるかどうかというお問いのようでございますが、まあ私どもが今考えておりますのは、建設省直轄事業をいたしまするようなダムにつきましては、その影響が特に大きいので、しかも国が作ります場合、これは国が管理していこうという考えで、このダム法案を御審議いただいているわけでございます。そのほかにも、なるほど非常に河川に対して大きな影響を持っておりまするダム等が、発電会社あるいは補助でやっておりますようなダムがございますが、補助ダムにつきましては、補助でやります多目的ダムにつきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、県におきましてその操作をやるわけでございますので、これに準じまして条例なりあるいは規則を作りまして、その操作を厳重にやるように指導するつもりでございます。それから電源あるいは発電会社のやるものにつきましては、県が直接の許可をいたしあるいはその監督をいたしておりますので、その方に指示をいたしまして、それらの管理に遺憾なきょうにしたいというふうに考えておるわけでございまして、全部それを建設者管理していくというような点につきましては、相当研究すべき問題があるのでございまして、今直ちに結論を申し上げる段階にはなっておりません。
  18. 東隆

    東隆君 私は、河川そのもの考えたときに、治水関係のない河川というのは、これは常識的にも考えられないと思う。そういうような意味で、この多目的ダム中心にして、国でもって重要河川について管理をすると、こういう考え方が進んだ以上、過去におけるところのいろいろな問題のあるものも、将来国が管理をする、こういうような方向にもっていくのが私は当然ではないか。これが河川公共性というか、あるいはそういうような点から考えてみても、当然そうあるべきではないか、こう考えるのですが、これは建設大臣はいかがにお考えになりますか。
  19. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 今日の河川法によりますと、水利権許可等は、地方公共団体の長がこれを行うことに相なっておりますために、先ほど来の発電用ダム等管理権がこの地方長官にあるようなわけでありまして、直接建設省が当っておらないというようなことで、いろいろ先ほど来の農民なりに対する被害の場合に、これを管理する面がまことになまぬるいような感じを受けておるのであります。これは私どもも痛感いたしておるのでありますから、今度の多目的ダムにつきましては、建設省管理直轄いたしております関係上、これらに対する操作規定も三十二条に設けておるのでございますが、補助ダムその他につきましては、今後は河川法改正等と相からみまして、十分これらの点についても研究いたしまして、そして被害農民に対するいろいろな補償なり、また犠牲のかからないような方法も、その場合に考えなければならぬ問題だと考えておる次第であります。
  20. 東隆

    東隆君 過去におけるダム建設したもの、そういうようなものが非常に農村関係が多くて、そしていろいろな問題を起しているわけなんです。従って、電源のような場合には独占的な資本といいますか、大企業、大資本、そういうような形でもって相当力のある場合が多いのですから、従って、農民は泣き寝入りをさせられる場合が非常に多いわけです。従って、そういうような場合に建設省が中に入ってそして調節をするという、この役割はこれは当然果さんならぬものでありますし、河川そのものは完全に国のものでありますから、そういう点から考えて、当然ダムのようなものは国が管理をする、あるいは国が地方庁に、知事に委任をして管理をさせるとか、こういうような形態を当然とるべきじゃないか。従って、それを踏み切って差しつかえないのじゃないか、こう考えるのですが、この点一点、お伺いいたします。
  21. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ごもっともなことでありまして、先ほども申しました通り、直接の管理者府県知事でありますので、そういう問題があった場合には、第一段階として府県知事がその調停の労をとりまして、それでもどうしても調停が整わないような場合におきましては、建設大臣がこれに関与して円満な妥結をするような方向には指示いたして、実際の例といたしましてはそういう場合もしばしばあるのでございます。最近も島根県の江川のごときも、先般の建設委員会に出されて、建設省もできるだけのあっせんの労をとっておるような次第であります。
  22. 北村暢

    北村暢君 まずお伺いしたいのは、従来の河川行政主眼は、今大臣も言っているように、治水にある。従って、河川行政の大部分というものは、洪水を防ぐためのダム建設あるいは河川改修、これらが明治以来ずっととってこられた河川行政の主なるものだと、私はそう思います。従って、この水に対する河川局河川行政の見地からする考え方というものは、物理的に洪水を起さないようにする、これが考え方だったと思うのです。従って、この河川法明治以来の法律で、そういう精神でずっと来ておったと思うのですね。従って、先ほど来、それでは河川行政としてはこれは満足できなくなってきた。電源に使い、水道に使い、農業用水に使う。こういうものを無視してできなくなってきたということで、私は河川法の第八条を基礎におくこの多目的ダムというものが、ここでも言われているように、ダムだけの管理をする、こういうことになっているようですが、この多目的ダム趣旨が、建設大臣直轄建設するダムで、あわせて電源水道その他あわせてということで、だから、目的は水を治める治水にある。このダム目的は、今の建設省多目的ダムはそれが主である。こういうようにダム建設することが、それによって水を治めることが主たる目的である。それを利用しよう、こういうことなんですが、その利用する面になってくるというと、発電の方は通産省であり、水道厚生省であり、農業用水農林省だと、こういうふうに分れてくるわけですね。それでこのダムだけを管理するといっているのだが、そのダムから利用せられるところのたとえば農業水路とか、そういうものは土地改良事業としての農林省が担当するのか、あるいは水道ならば厚生省監督のもとにその水路建設するのか、そこのところをちょっとお伺いしたい。
  23. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) なるほど建設大臣河川法に基きまして作りあるいは将来管理いたそうとしておりますのは、ダム及びこれに付帯いたしまして水を貯留するために必要な施設でございまして、そのほかの発電所であるとか、あるいはさっきお話のありましたような灌漑用水路であるとか、あるいは水道のための水路であるとかいうようなものにつきましては、別にほかの官庁がいずれも監督いたしまして、建設省がやろうというわけじゃございません。
  24. 北村暢

    北村暢君 それで昨日も質問したのですが、このダムを作ったために、従来ならばダムがないために下流で農業利水として水をとっておったという所が、このダムができたために下流に水がとれなくなった。それで水路はほかの農林省土地改良事業としてやると、こういうことになるというふうに理解していいですか。
  25. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) このダムを作ったために水がとれなくなったというような場合は、私ども考えていないわけでございまして、従来水をとっておったものは、ダムを作りましても、それだけの水は別に受益ではございません。もとの権利でございますから、それはダムから放流して水を出してやることになるわけでございまして、もし、きのうも申し上げましたように、ほかの目的のために水を減らさなければならぬというような問題が出てくれば、これはその利用者の承諾を得まして補償等で解決できるならば、そういう場合も想定されますけれども、既得の権利を侵そうというようなことは考えておるわけではございません。
  26. 北村暢

    北村暢君 そうすると、既得の権利が侵害されないという前提でこのダムの計画がなされる、そういう侵害されることはまずないのだ、こういうふうに理解していいですね。
  27. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういう点を基礎にいたしまして、さらに水を貯留いたしまして、今までのままでは水が足りないような場合にダムのためておいた水を足してやって、それで従来よりももっと効果をあげよう、こういうのがこの目的でございます。
  28. 北村暢

    北村暢君 そうすると、やはりおっしゃられるところは、私は、新たにやはりこのダムを作ったための水路というものを作るということが起ってきて、それによって従来通りの農業用の水利なら水利というものが確保できるということも、私は当然考えられるような気がするのですがね。そこら辺のところが、放流しただけでその目的が達せられるのか、新たに水路を作らなければならないというようなことが起った場合に、その水路農林省が担当するのか、建設省補償として作るのか、そこら辺のところはどういうふうになっていますか。
  29. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ダム事業者は建設大臣がやるわけでございまして、それに対して、それによりまして明らかにそのために起った問題につきましては、補償なりあるいはそれに対する施設をしなければならぬということになるわけであります。
  30. 北村暢

    北村暢君 施設は建設省が行うのですか。
  31. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういう場合におきまして、明らかに施設を必要とする場合が生じた場合には、ダムの付帯工事という費用を出しまして、その施設を管理しておる人にやってもらうというのが、普通の建前でございます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。今の問題は、一昨日ですか、河川局長に聞きましたら、同一の御答弁であります。建設省がこれを直してやる、こういう問題がありましたが、いずれ問題の出てくることは、数年後なのです。今北村君の趣旨の障害が出てくるのは……。これは新潟県にも現にある。そういう場合に一番問題になるのは、関係ないとか、あるいは定量水は出してあったとか、こういうことでなかなか片がつかない。これは用水路の問題だけでなくて、漁業問題でもそうで、現にダムがある限りにおいては渇水期もあります。そういうようなときになると、今まで当然とれた漁業などが、全然だめになる。ダムの上の方は、ダムのために遡上ができないというので、何とか補償ができるけれども、できてしまうまでは気がつかない。どこまでの範囲が漁業権に差しさわりになるかわからないので、下の方は一つもとれない。ある程度の所まで遡上のところをダムでとられて、その上の方は上れない。従って、行っても、ダムのあるところはだんだん上ってこない。従って、下流の方にそういう問題が起きる。そういう問題が起きたときには、なかなか解決がつかない。また、さっきも東君が言うておる通り、どうも隧道などを通してきたために温度が現に二度くらい下って、数年来の収穫というものが反一斗くらい減っている。それが数千町歩に亙っているのだから、これだけの補償はしてもらいたいというような問題が出てくる。温度が下ったのか下らぬのか、なかなか承認し手がない。そんなことはないはずだ、こういう問題が起きましたときに、建設省はこれをやっていくのだと、こう言われても、実質上の問題としては、その点が未解決になる。ダムが出来たから魚が上らなくなったのかどうかということは、数年後なんですから、汚濁水も何もあるしと、こういう話になる。あるいはそれがために、北海道のような現実の問題なら別でありますけれどもダムができない前に、ちゃんと用意でもして温度でも計っておくといいのですけれども、そんなことは始終ほうっておる。現にそういう問題が出てきたということになると、どこに問題が原因しておるのかわからない。あるいはこれは新潟県あたりはっきりありますが、信濃川の国鉄のダムがありますために、取り入れ口を隧道を掘って上げたという、これらは農林省で出しておったようでありますが、そういうような場合に果してそれで来たのかどうかということもわからない。そういうものはどうして解決されるか。  と同時に、いま一つ伺いたいのは、こうやって多目的ダム治水のために建設省が作られた場合、実際のその効用といいますか、水の権利を持ち特権まで持って、そうしてその利用価値というか、利用効果というものを十分に満喫している電気会社、あるいは上流の農業用水をとってもらっている人たち、または水道工業用水等をとって、ダムによる効用の百パーセントの人たちがあるわけです。そういう場合に、建設省としては、これは利益がこれだけあるのだから、電気会社でも出すべきだと、そういうことを言われないのかどうか、それをはっきりしてい
  33. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話のように、ダムを作りまして、上下流の利害関係というものは、非常に重要な点がお話のように生じてくるわけでございまして、そういう点もございますので、建設省が作りまするダム操作につきましては、建設大臣みずから操作の規則を作ります。そうして各省意見も十分お聞きしまして、規則を作るわけでございまして、それによりまして、建設大臣がみずから操作するもの、あるいは河川管理者に命令いたしまして操作させるものがございます。その際におきまして、その操作のために誤まって被害を及ぼしたというような場合には、これは操作いたしまする者の責任でございます。
  34. 安部キミ子

    安部キミ子君 責任だから、その補償は当然なさるということですね。
  35. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その責任者におきまして、補償が起きた場合には、処理しなければならぬというふうに考えております。
  36. 安部キミ子

    安部キミ子君 処理しなければならぬということは、補償を出すということでしょう。簡単に言って下さい。
  37. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 最後に、八木農林次官も来ておられて、わしの質問した要項は次官毛よく聞いておられたと思いますが、これはどうしても必要だと思いますので、建設大臣も近く審査機関のようなものを設けると、考慮すると言われるが、これは農民関係、一番大きいと思います。ぜひ政令等に入れられたら入れるように、御努力してもらいたい。そういう方式を、私は上流のことは複雑だから、あまり無理な御注文しません。ダム建設せられた下流において、いろいろな障害が数年後に現われた、直後に現われたというような場合に、これがうやむやにならぬために、これを審議するという機関を何とかするような方法で十分努力してもらいたい。
  39. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) 御趣旨ごもっともだと存じます。私どもも十年間、幾多、議会生活のうちに経験された御指摘、一々身にしみるのでございます。ぜひ御期待に沿うように努力いたします。
  40. 堀末治

    委員長堀末治君) 御質疑が終ったものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 堀末治

    委員長堀末治君) 御質疑がないものと認め、この件についてはこの程度にとどめます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  42. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩    —————・—————    午後二時三十四分開会
  43. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ、午前に引き続き委員会を再開いたします。  まず最初に、委員派遣の件をお諮りいたします。きのう懇談中に御協議いたしました積雪寒冷地帯の実情調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  つきましては、本院規則第百八十条の二により、委員派遣承認要求書を議長に提出しなければならないことになっておりますので、その内容及び手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。   —————————————
  46. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、酪農振興の件を議題といたします。  この件に関しましては、先般青森県三八部落の集約酪農地域の指定をめぐり、独禁法との関係について、青森県三八部落集約酪農生産者から陳情をお聞き取り願ったのでありますが、この問題に関しては、本日は、まず農林当局から、従来の経過及び問題点について説明を聞き、この問題の取扱い方について御協議を願いたいと存じます。  まず、農林当局から説明を聞くことにいたします。
  47. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 問題になっておりまする点は、青森県の三戸郡及び八戸市の集約酪農地域の指定に伴いましての案件でございます。  この地域は、三十一年度の集約酪農地域の一つといたしまして、三十二年二月二日に告示をいたしまして、正式に指定を見たのでございまするが、それに対しまして、公正取引委員会の方から、私的独占禁止法に違反する疑いがあるというおもむきをもって、審決開始の通知が発せられたのであります。その場合、独占禁止法の違反の対象となっておりまする事業者は、雪印乳業になっておるわけであります。さようにいたしまして、現在審決の手続が進行中の案件でございます。  そこで、この案件におきまする公正取引委員会の方からの審決開始決定書の中から、どういうところが問題になるかということを伺いまするというと、昭和三十一年五月に雪印乳業が、それまで青森県の上北郡、下北郡、三戸郡の三郡にわたりまして乳業を営んでおりました全販連の工場を買収し、それと同時に、その実際の買収はそれ以後になっておりまするが、青森市にありました青森県畜産振興株式会社を買収し、さらに一、二その地帯の酪農施設を持っておりまするものを買収をいたして参ったのでありますが、さようにして同県の主要酪農地の独占を企図した雪印乳業は、さらに県知事との間に覚書を交換して、青森県におきまする酪農業発展のための中心事業体となることを企図した。それに対しまして県は、県有貸付牛の導入に当りまして、その生産する牛乳は県の指示する工場に出荷する等の誓約書を提出することを要請し、それでなければ貸付牛の引き揚げを考慮するというようなことを言っている。系統の農協の幹部が、雪印を支持しない農協には再建整備のためのいろいろの資金等の問題について不利を与えられるというようなことを言っているわけでありますが、そのほか県の係官がいろいろな診断をいたしまする場合に、雪印の方に出さないものには差別待遇をするというような諸点を指摘しておるのであります。  以上のような諸点からもって、雪印乳業が県当局あるいは系統農協に働きかけまして、以上のような手段で地域内で生産されまする牛乳の独占を企図したという容疑が濃厚であるので、従ってこれに対して審決を開始する、こういう大体の案件でございます。その詳細の点につきましては、簡略に申し述べましたし、あるいは文書によりますと若干の相違があるかもしれませんが、大体の問題点はそのような案件でございます。  これに対しまして、従来の経過を一つ簡単に申し上げたいと思います。ここに青森県の地図がございます。青森市はここになっておりますが、これが上北、下北の図でございます。問題になっております三戸郡と申しますのは、この下の方の地域です。この上の地域は、三十年度におきましてすでに酪農地域の指定を受けております。これはその前年から実施いたしました、国からジャージー牛の導入をいたしまして大規模開墾をいたしておる上北地区があったわけでございますが、その地帯一円を指定いたしまして、十和田酪農地域という名称によりまして、すでに三十年度において指定をいたしておる地帯でございます。それと、それの南部地域の、現在いわゆる三八と称しておりまする地域に対しましては、すでに昭和三十年の十二月二十三日に、県の方から酪農地域に指定してもらいたいという指定申請書が上ってきております。この申請書には、この酪農地域を指定いたしまする場合にいろいろな建設計画ができるわけでありますが、その建設計画の中の一部におきまして、その地域の中心工場の決定があるわけでありますが、この申請書には中心工場の経営担当者というものは未定のままになりまして、指定申請書が上ってきております。三十一年の六のに決して無理は言いません。大臣がはっきりとそこのところだけはして、責任をもって、そういう点はこうするのだ、こう言っていただきたい。
  48. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの問題につきましては、まことに重大なことでありますが、同時に、またこの際はっきりと、これを政府責任においてするのだというような御答弁を差し上げるまだ段階でないと思います。  そこで、お説のうちに、さような場合には将来何かそれに関する審議会のようなものを置いて、そうして十分被害者の声も聞いて、妥当な解決をしたらどうかということにつきましては、まことにけっこうな御意見と思います。十分検討いたしまして、これらの点を善処いたしたいと思います。
  49. 堀末治

    委員長堀末治君) 大臣は本会議から催促してきていますから、これで行きます。約束が違います。河川局長が残っておりますから、河川局長に御質問願います。
  50. 安部キミ子

    安部キミ子君 しませんよ、大臣に聞きたいのだから。
  51. 堀末治

    委員長堀末治君) 本会議は採決が済んで、大臣の番なんです。そこまでという約束なんだから……。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  52. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 簡単ですが、御承知のこの多目的ダムの、これはどういう表現にしたらいいかわかりませんが、たとえば、今言うように、電気会社が電気を起したい、こういう場合に、たまたまその電気を起すダムを作る際に、いろいろの観点から、これを利水ダムに直して適用した方がいい。そのダムに電気会社がそういうことをやるならば、一つおれの町の方にも水をほしい、あるいは農業団体で水がほしい、そうして多目的ダムになりますね。具体的の例でいいますと、今の電発で計画地として揚川用水——揚川ダムというのがあります。そうすると、農林省中心にして、北蒲原、南蒲原を中心にして揚川ダムがほしい、揚川用水をほしい、このダムに用水を一緒にしたら一番便利である、こういう場合には、これは多目的ダムになる。こういう場合に、あなたの方で、なお治水考えダムをこしらえて、両方に使わせる、こういう場合に、両方の権限をとってあなたの方でやられる、こういう法律なんですか。
  54. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の揚川——阿賀野川ですが、その場合のような場合は、この多目的ダムとして扱う最も不適当な場合だと思います。あれは主として電源のために、上流の大きな貯水池から水を流しますやつをあそこで調節いたしまして、下流の灌漑用水に支障ないようにするのが目的でございまして、そういうのが主目的でございますので、この法律によりまして施行するものとは考えておりません。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま一つ、まあ話はわかったと思いますが、幸い今愛知公団のようなものができまして、特別の法律農林省管轄でやっておりますが、将来ああいう問題が農林省において起きたとする。大体が灌漑排水、開墾が中心になって起きたとする。それをやるためには、副としてここに発電をやったらよかろう。あるいはそれから工業用水もとったらよかろうというものが副で出てきた場合、こういう場合では、愛知公団のような農林省管轄で特別な法律でやられるか、将来はこういう法律ができますと、そういう特別法などは作らないで、全部建設省がやられる、こういうことになるのですか。
  56. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それにつきましては、きのうも重政先生のお問いに対しましてお答えいたしましたが、灌漑を主として行うものにつきましては、この法律目的といたしません。また建設省もやるつもりはございません。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合、灌漑と電気、あの場合だと大体効力は半々ぐらいなものじゃないですか、発電とは。
  58. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 半々であるかどうかは私ちょっとわかりませんが、ああいうような灌漑の面から出発したダムでございまして、ああいうものは従来通り農林省がおやりになる、こういうことでございまして、この法律目的としているわけではございません。
  59. 安部キミ子

    安部キミ子君 私は、委員長の態度、非常に遺憾だと思います。しかし、過ぎたことですから、河川局長が大臣の発言と同じような責任をもっての発言であれば、私は了承します。  そこで責任をもって下さると思いますが、審議会というものは近々お作りになるのですか。先ほどから審議会の話が、大臣の方からしばしば出ております。
  60. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話は、先ほどの御質問に関連する補償のことを扱う審議会の……。
  61. 安部キミ子

    安部キミ子君 でなしに、補償も運営の面も、それから建設の面も、昨日来いろいろの質疑の過程で、審議会を設けて、円満に各省とも納得ができるような結果を得るには、審議会が必要だというお説をみんなが発言しておられる。そういう意味でお答えいただきたい。
  62. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 大臣もお答えいたしましたように、河川審議会というのを、ただいま建設省の設置法の改正といたしまして、この案を御審議いただいているわけでございます。その審議会ができますれば、基本的な問題等につきましては、その審議会におきまして御審議をいただけるわけでございます。そのほかの具体的の問題につきましての審議会等の必要性は、大臣先ほどお答えいたしましたように、なるほどそういう必要性も認めるので、今後におきまして検討しようということでございますので、私もそういうふうに考えております。
  63. 安部キミ子

    安部キミ子君 そのときに、農民の声を反映するような委員の構成をなされるかどうか。そういう用意があるかどうか。
  64. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) しばしばお答えしておりますように、河川の問題は、農業に、あるいは農民の方々に重大な影響を持っておりますので、その意見が、そういう委員会を作るというような場合におきましては、十分反映できるように考えなければいかぬ、こういうふうに考えます。
  65. 安部キミ子

    安部キミ子君 農民と申しましても、従来のような学者だとか、そういうまあ研究しておるというような人でなくて、現に小作人とかあるいは自作人とかというような、直接農業に当っている人の声を率直に反映するような仕組みにしてもらいたいということを要望しておきます。  それからもう一つは、ダムができました結果、洪水が起きて災害が大きくなったという例があるのです。二十八年の災害で、私どもが視察しました過程で、御承知のように、琵琶湖の問題なんですが、あの当時は大阪が災害から辛うじてのがれた。しかし、大阪のあの淀川の上流は大きな被害がありましたけれども、あの堤防のわずか五センチきりきりの線まで来たというのですね。そのときに、この水門を開かなかったことで、辛うじてあの大大阪の工業都市が災害をのがれた。このことは経済的に考えると、非常に大きくプラスになったと思うのですけれども、その反面、上流の京都やそれから琵琶湖の干拓地なども、みな災害を受けた。もしあれの水門をもっと早く開いてもらったら上流の人は被害はなかったという、二つの矛盾した声があって、私どもも全く措置に因ったわけなんです。そういうことを考えますと、今度ダムができたために、その運営の責任者はあなたの方にあるわけなんですね。そこで、二つの利害が一致しなくて、反対の結果になった。あるいは、かつてはダムができていなくて、自然に川の水が流れていた当時は災害が起らなかったのに、ダムができて災害が起ったとか、あるいはかつて大阪の災害で、ダムに故障が起きて決壊して、そうして災害が起きました例もありますね。そういうふうなことで、ダムのできたことによって災害が大きくなったとか、あるいは災害の原因になったとかというときに、その災害の補償とか責任は当然あなたの方でとられるかどうか。その点はっきりして下さい。八十一万八千石等はその中の数字というふうに御了承願いたい。四社以外の所は、それぞれの地方の小さい所がやっておる、かように御了承願いたいと思います。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 県の分布状況はわかりませんか。森永が何県々々、明治は何県々々、雪は大体北海道、北海道バターは大体北海道というふうにしたものが……。
  67. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今ちょっとここに持ち合しておりませんが。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 あとでいいから、出せましたら、一つ。  その次にお伺いしたいのは、これは概念ですが、大体大集荷を中心にした、少くとも乳を、酪農をやろうと考えておる人全部のこれは統一した意見ではないかと思うのです。明治、森永というものが、全国的から見たならば、もう独占資本でどうにもできない。こういうものがある限りにおいては、農民の酪農などというものは完全な発達をしない。こういう観念を、狭い私の聞いている範囲においては、大体そういう観念的なものを持っておりますが、農林省としてはそういう点についてどうお考えになっておりますか。
  69. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 私たちの方では、いわゆる資本的な明治、森永、雪印、北海道、この株主の構成、いろいろとございますけれども、それらの乳業会社の間に差別をもって考えておるわけは全然ございません。それぞれ特色のある経営と能力を持っておられますし、そういう意味におきまして、日本の酪農の進展に寄与しておられる、かように考えております。
  70. 東隆

    東隆君 私は、酪振法の関係から参りますると、酪振法の通過をしたときの委員長は、今の農林大臣委員長をやっておりました。衆議院の方で政府が出された法案が修正をされております。そしてそれが通過をしておりますが、そのときの修正の中心的な問題は、私は、やはり農民中心にして農業協同組合の意見を強く反映するように、実は法案が構成をされてきている、修正をされてそういうふうになっている。その点はいかがです。
  71. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 酪振法そのものの修正、原案の修正があったというふうには承知をしていないのでございますが、付帯決議その他……。付帯決議につきまして、今東委員からの御指摘の点が強く強調されたことは、その通りであったかと思います。
  72. 東隆

    東隆君 ここに、実は当時の委員長報告があるわけでありますが、    〔理事重政庸徳君退席、委員長着席〕 衆議院の社会党の川俣委員から修正案が提出せられまして、「その要旨は、第一に、第一条の目的につき」云々と。そうしてこれは第五までありまして、この修正案が討論、採決のときに通過をしておるのです。「修正議決すべきものと決した次第であります。」と、こうして法案が修正案をされていることになっているのであります。委員会報告は、委員長報告はそういうふうになっているわけです。  それはようございますが、そこで問題は、酪農審議会そのものの構成なんですが、先ほどからお話を聞いて参りますと、農林省の手続その他において何らの手落ちがないように考える。で、かかって問題はこの酪農審議会の中におけるところの決定が、民主的に決定をされたかどうか、そういうような問題にかかってくるのじゃないかと思うのです。手続その他の上において間違いがないとすると、その内容であるところの一番大きな問題は、酪農審議会中身じゃないか、こういうふうに考えられますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  73. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 酪農地域の指定に関しまして、実は酪農審議会審議は触れておりません。酪農地域の指定そのものは、必ずしも酪農審議会に諮問すべきことにはなっておりませんので、農林大臣の方の決定によりまして指定をいたしている次第であります。先ほど私が申し上げました県の審議会は、青森県が独自の条例でやっておりまする青森県の畜産振興審議会でございます。
  74. 東隆

    東隆君 そうすると、これははなはだ変な質問になりますけれども、衆議院における委員長報告にある「酪農審議会を設けて運用の適正を期することといたしました」、こう書いておられる。酪農審議会を通して適正にやっていくのだ、こういうことが報告をされておりますが、これと相反した形のものになると思うのですが、いかがですか。
  75. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 酪農審議会に、ここに書いておりまするものは、酪農振興に関する重要事項について、農林大臣の諮問に応じて答申する、こういうことに相なっておるわけでありまして、従来年に数回開いておるわけでありまするが、地域指定に関しましては、事後に御報告をいたしております。学校給食等に対しまするいろいろの重要な方針の決定でありますとか、あるいは牛乳の全体の生産の大きな変遷の問題、見通しの問題でありますとか、そういうような点につきまして、酪農審議会にお諮りをいたしておるのであります。
  76. 東隆

    東隆君 その点はいいとして、県の条例によるところの酪農振興審議会ですね、これの決定を、農林省はもちろん非常に一致した決定だと、こうお認めになって、十分に取り上げられておると思うのですが、その点は間違いがないでしょうね。
  77. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 県の畜産審議会は、酪農に関しません、酪農のみにとどまらないで、一般の畜産振興に関しても審議をする審議会のように承知をいたしております。従いまして、畜産の県の条例によりまする審議会の決定と申しまするのは、これは酪振法において別に要求をいたしておるものではございません。酪振法で要求いたしておりまするものは、指定を申請いたしました区域内にありまする市町村農業協同組合、あるいは協同組合連合会、あるいはそこで乳業をやっておる人たちの意見を聞く、こういうことを要求いたしておりまするが、県の畜産審議会意見ということは、実は法律におきましては要望をいたしていないのであります。ただ、県の知事が申請を、県が申請をいたしまする場合に、どのような手続でやりましたかということは、一つの県にありまするそういう審議会等、それぞれの有識者がおられましたときの意見も経ておるという意味におきまして、私たちの方ではその報告を受け取ったわけであります。
  78. 東隆

    東隆君 青森県知事が、明治と雪と、両会社のうち一つを決定をするのに、県の条例による審議会に諮問をして決定をした、こういうような形になっておると思うのですが、それは間違いないですか。
  79. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 当然そういう議論が出たと思いますが、雪印を中心工場にいたしますることについての諮問と、こういう諮問のように承知をいたしております。諮問そのものがそういう諮問であるように承知をいたしております。
  80. 東隆

    東隆君 手続上において、それ以外に何か公正な、知事考え方をまとめるための何かいい方法が別にありますか。酪振法、あるいはその他の関係からいって……。
  81. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 酪振法では、先ほど申し上げました通りに、その区域内にある市町村農業協同組合、あるいは乳業者の意見を聞くということに相なっております。それ以上のことを、別に法律におきましては期待を、要求をいたしておりません。
  82. 東隆

    東隆君 そうすると、県におけるところの指定の手続その他において、遺漏は一つもないと、こういうふうに農林省の方では言い切ることができますか。
  83. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) そのように考えております。
  84. 東隆

    東隆君 その次に、私は、農業協同組合の部長さん、見えていますね。  私はこの際お聞きをしたいのは、問題は公正取引という関係なんでありますが、協同組合で原料乳の統制あるいは共同販売の統制、そういうようなことをやるのは、これは当然な、今まで月になりまして、私の方から中心工場に関する計画はどのようになっておるのかという照会をいたしております。県の方からは、当時知事さんがかわられて、知事選の行われるときでございましたので、知事代理者である副知事の名をもちまして、中心工場担当者は地元の農民の総意によって決定する旨の回答が来ております。八月に至りまして県の畜産課長が上京して参りましたので、当方の担当課の方で、この地域指定をいたすのには中心工場についての計画を明瞭にしてもらいたい、この決定にはそういうことが必要であるそういうことを連絡をしておいた次第であります。それからしばらくしまして県の担当部長が上京されまして、やはりこの地域指定の問題、特に計画の内容である中心工場問題で協議をいたしたのでありますが、中心工場は二工場とすることができないか、あるいは十和田地区は雪印乳業が担当しておるのであるから、三八地域は明治乳業に担当させることはどうかというような御質問がございました。それに対しましては、当方の係官からそれぞれお答えをいたしまして、酪農振興法による地域指定の場合には、その趣旨からして中心工場は一つであってもらいたい。雪印にするか明治にするかという問題は、これはもちろん十和田地域が雪印であるから、三八は明治であるというような考え方一つ考え方ではあるとしても、結局地元の農民の意向がまず第一であるから、それに基いて県当局がいろいろ考えられて決定され、農林省の方に申請をされる、こういうことが順序ではないかという話をいたしておいたのであります。その後、新しい知事さんも見えまして、いろいろとそういうふうのお話がございましたが、同様のお話を申し上げてきた次第でございます。それで、三十一年の九月十四日になりまして、県では商工農林部長名をもちまして、八戸市に地域内の市町村長、農協組合長、あるいは乳業者の諸君を集めまして、中心工場の問題について協議をいたして意見を聴取いたしております。その際には、大多数の者が雪印乳業を支持した模様でございます。  その間におきまして、農林省の方といたしましては、三十一年度におきます全国の集約酪農地域の指定を急いでおったのでございますが、三八地域でありますとか、そのほか数カ所のまだ問題を残しております地域を除きまして、約二十の地域をとりあえず三十一年度の集約酪農地域として第一次決定をいたしまして、告示をいたしました。従って、三八地域はその際は見送りになったわけであります。  一方、青森の方では、県知事は、県の条例によって設置されておりまする県の畜産振興審議会に、この雪印乳業を三八地域の中心工場に担当せしむることの可否につきまして諮問されまして、全委員の賛成を得た旨の報告を受けたのであります。  県の方ではそのような経過をたどられまして、さらにこの件についての、三八地域内の全市町村、全農協組合長及び全乳業者あてに、知事名の文書をもちまして、これらの諸君の意見を徴せられたのであります。その結果、明治乳業ほか二つの農協を除きまして、同意書が参りましたので、それらのことを公告をされますると同時に、雪印乳業を中心工場とすることに、これを県の計画であるといたされまして、先に提出されました申請書のうちの計画変更申請書を、十一月一日に提出されております。  その後になりまして、あるいはこれの先ほど申しました終りのころかとも思いまするが、地元の関係の農業者の方々、あるいはその他の方々が、数回にわたりまして上京をされまして、いろいろと陳情を聞かしていただきました。これは、中心工場といたしましての明治を是とする方々、あるいは雪印を是とする方々、両方ともに陳情がございました。  で、当方といたしましては、その間に、雪印なり明治の方に乳を出しておられる農民の一部の方が、その名前をもちまして、公取委員会の方に独占禁止の違反の事実があるという意味の連絡が、公取委員会の方にあった趣きを聞きましたので、公取委員会の方にも数回にわたりまして御連絡をいたしまして、どういう事情かお打ち合せをお願いしたわけであります。さように連絡を数回重ねまして、それぞれ問題点とされておるところを、もちろん公取委員会でございますので、最終的なこと、あるいは審決前にいろいろなことをそのままお漏し願うわけには参りませんでしたけれども、問題点とされておる諸点につきましての個所を、私たちにもよくわかるように連絡をしていただきましたので、それらのものについて、公取委員会の方で現地へ出張して調べられた場合の関係者、及び県の方から提出しました文書、あるいは関係者の諸君の意見を当方でも聴取いたしまして、この地域の指定をすべきかいなかを、農林省内部として協議をいたしたわけでございます。  さようにいたしまして、当方としては諸般の事情を考えまして、この公取委員会の方で指摘されておりまする個々の事例につきましての事実が、もちろんこれらの事実は当然またこれが法に違反するかどうかというような諸点は、現在審議中の公取委員会におきましていずれ明白になることだと思いまするが、それらの事実につきまして、当方といたしましても必ずしもその事態が明瞭でないものもございましたし、あるいは当方の見解としてその事件について、それはどうもそのように思わないというのもございましたし、いろいろございましたが、かりに公取の方で御指摘になっておる諸点が事実といたしましても、なお全体の地元の関係いたしておりまする農民の意向のすべてを、逆転させるほどのものでないという判定のもとに、またこの地域の将来のことを考えての酪農を振興していく必要があるという観点からも、いろいろとそこらの諸点を勘案いたしまして、農林省としては、これを集約酪農地域に指定して、その一部に計画として載っておる雪印乳業を中心工場としての計画は、これを妥当なものであると認めましたので、三十二年の二月二日にこれを集約酪農地域として指定をいたしたわけでございます。  その以後の事情は、冒頭に申し述べましたように、審決の開始がなされまして、現在審決の手続が進んでおる。かような実情でございます。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 その審決は……。
  86. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 審決はまだ正式には行われておりません。現在審決の開始いたしまする事前手続としての協議、打ち合せが行われておるように聞いておりますが、審決の正式の開始はまだ行われていないように存じております。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 この公取引の違反の提訴が出まして、公取委員が現場を調査に行ったという事実があるのですね。その際、聞きますと、明治の車に乗って調査をしたり、ずいぶんきわだった、提訴者と協力したような形でずいぶん調査をしたというような話がありますが、そういうような点、農林省としてはどう見ておられますか。
  88. 田中啓一

    田中啓一君 いかがでありましょうか。実は一応これまでの経過について、局長からお話を願いました。これからいろいろな点に触れると思います。それを速記をつけてやることは、言いにくい点も出てきはしないか。でありますから、いかがでありますか、懇談でいろいろそういったわれわれ不審に思うような点を明らかにしていくというようにいたしたら、いかがでございましょうか。
  89. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  90. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて。
  91. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今、清澤先生の方からのお話は、公取の現地を見に行かれました職員の方が、明治の方からの提供する車に乗って視察をした、それは行き過ぎではないかという御質問であったように存じますが、そういう事実は聞いておりません。
  92. 東隆

    東隆君 この問題を聞きますと、指定をする場合に農林省の方では相当慎重な態度をとられるということです。そこれは排除されておる。だから、少くとも青森におけるところの関係において、協同組合に関する限りにおいては、私は不適正なことは一つも行われておらないと思う。この点、どうです。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連先ほどからの質問を聞いておると、同じところを回っておるが、これは二つの場合を想定してみたい。課長の言われるような解釈の場合を一つ引き当ててみれば、かりにこの間の畜産振興法などによって、上から流れてくるものを、これをこういう目的に使うからといってとめたら、これは問題が出るかもしらぬ。ただし、その農協の信連なら信連が投資して、こういう施設を作って、これを中心にして牛を入れる、この場合金を貸せないのです。自分の金は回収から何から全部考えていかなければならぬ。そうすると、この金を貸せるときにすでに一つの条件がそこに生まれてこなければ、金は貸せられないのだ。だれにも貸せるわけにいかぬ。組合員だからといって、だれにも貸せられないのだと。そこでそういう条件を中心にして金を貸した者が、独禁法にひっかかるということになったら大へんな間違いなんです。商取引でも当りまえの話、銀行で普通の者が金を借りる場合、そういうことは考えられるですがね。
  94. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 東先生にまずお答えをいたしますが、三八地区の問題につきましては、先ほど畜産局長からもお話がありましたように、農協が独禁法にひっかかるということにはなっておらないのです。従って、私たちもそのつもりで、農協のやっていることが独禁法にひっかかっているというふうには考えておりません。  それから清澤先生に対するお答えですが、先ほどから申し上げておりますように、実は農協法に十九条という特別の規定があるのです。これは産業組合法にもなかった規定で、おそらくは、七年前に農協法を作りますときに、今までの農業団体法による農業会があまりにも強制加入で——強制加入といいますか、当然加入で、会員をがんじがらめに縛ってきたことの反動として、組合員が組合の仕事を利用しないからといって、たとえば別の言葉でいいますと、組合員が組合の肥料を買わないからといって、あるいは組合に牛乳を持ってこないからといって、たとえば金を貸す貸さないということは、やってはいけませんという規定があるわけです。これも実は十年前の農協法ができますときの規定で、今十年後に考えまして、そういう規定がいいか悪いかという御批判は当然あるだろうと思います。私たちもそれを検討いたしておりますけれども、そういう規定が現にあるものですから、このことは組合員が組合の事業を利用することができるだけ自由であるように、組合の理事者の意見によって組合員が組合を利用することがとめられないようにという、組合員ができるだけ自由に組合の事業を利用できるようにという、そういう配慮で作られた条文で、これは十年間全然無意味であったというふうに私は思われないのです。従って、今の清澤先生が出された問題は、もしも牛乳を組合に出さない者には乳牛導入資金を貸さないということをはっきり組合が言うためには、農協法の十九条の二項を削除しないと、そういうことにはならないのです。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういうことじゃないのです。金ですよ。金は、貸せば回収しなければならぬ。その場合、農協が単協なり県信連が持っている金を貸してみた場合、担保もなければ何もない。みんな貸せますか。現在貸していませんよ。これは何でもかんでもおれがほしいからといって、から手で全部貸してもらえるか。貸していませんよ。定款で限度をきめているわけで、それ以上は貸せませんよ。そういう場合に、特別の施設を作って、これをこういうふうにして乳牛をふやして、これで工場を持っていくために、こういう特別の金を貸し出すのだ。そしてそこに乳代の保証ができて何とかするなら、これはまた別に担保方式ができるから、貸し出せる。こういうものはでき上る。ただし、わしが言うのは、国の法律等によって、この地区にこれだけのものを、こういう施設のものに貸し出す。こういうようなものまで無条件で、乳出さぬから貸せないといったら、これは問題になるかしらぬが、そういう自己資本を出す場合に、担保条件としてのそういうことをやることが、わしは何も間違いだとは考えられない。現に貸せられないのです。要りますからといったって、お前にはこれだけの能力しかないといって、貸せないのだ。けしからぬといっても、貸せませんよ。
  96. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) ただいまの問題でございますが、組合の金は組合員の金ですから、危ないところに貸せないことは道理で、従って金を貸す場合に、その担保が十分でなければ、いかに組合員といえども金を貸すわけには参りません。従って、今清澤先生が出された問題に対して、直接のお答えにならないかもわかりませんけれども、十分の、確実でない、全然担保のない、あるいは債権の確保のしようのない形で、債権の確保をする道がないような場合、組合が金を貸すことはできませんと言うことは、やむを得ない。それまでも農協法が組合に禁じているということを申し上げておるのではございません。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合に、できた工場と、それに乳を出すことによって乳代というものが担保条件になっているのだから、それを担保条件とし、または保険にも加入して、貸出手続はとってある。そういうことを中心にして貸し出すのだが、お前はそれをしないで、牛は持ってきた、金は借りた、どこへでも好きな所へ持って行けといったら、こういうことになったら貸し出せられないという、これは何も独禁法の違反でも何でもないし、わしの気持とあなたの答えは一つなんですよ。
  98. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) どうも、そういうふうにおっしゃられると、十九条がはなはだよくできていないというふうに申し上げる以外にはないのです。実際は十九条は、先ほどから申し上げておりますように、今のような場合にまで、厳格に、組合はできるだけ組合員に自由に事業を利用しなさいということを命じているわけです。従って、もしも今出された問題のように、特に牛乳の共販なんかで、乳を持ってこなければ組合が金を貸しませんというふうにしなければ、酪農業が伸びないというようなことでありますれば、十九条の二項というのははなはだ不便な法文で、それは何ほどかの修正が必要ではないだろうかということになるのであります。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはおかしいな。ちょっとどっかに食い違いがあると思うのですが、それは決して自由意思を阻害するということでなくして、その人が全然信用上における資格を失っている、こういう場合が前提になるのです。その場合、自己資金を出して牛は入れてやるが、その担保としては、幸いここにこういう工場ができているんだから、これに出してもらいたい、それならばこれを担保の条件にして金は出しますと、こういうようなことは言えると思うのです。これは自由意思も何もないと思うのです。金を貸す条件です。資格のない人に金を貸す条件に、お前の何々を担保にするというのと同じ条件じゃないか。これはこの間の酪農振興法か何かのように、特別なものを政府が出して、それでお前は何だからやれやれということを条件にすることはいかぬだろうけれども、そうじゃなく、全然基本的な条件の違った場合に、それを担保条件としてそういう特約を組むということは、一向差しつかえない。
  100. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) もう一度繰り返すことになりますけれども、今の場合、先生の出された問題をいきなり十九条の二項と結びつけると、ほんとうに多少非常識なことになると思いますけれども、担保を持って来なさいとか、あるいは組合を通して必ず乳代の清算をしなさいということは、債権の確保の手段として当然許されると思います。しかし、何々をしなければ金をか、一応各機関を通じた総会のような正当決議を経て、これをもちろんやっておられるだろうと思いますが、こういう計画を発表して、それじゃやろうということでこの決議ができ上ったのか、こういうものの契約は、できたあとでそういう相談が組合員に行われたのか、その点明らかにしていただきたい。
  101. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは、雪印と全販連の施設の買収、並びに青森畜産振興株式会社と雪印乳業との間の施設あるいは営業権の買収でございますので、それぞれのところに出荷しておりまする組合等について、それらの買収、合併が協議されたかという点については、承知をいたしておりません。ただし、全販連の場合は、これは協同組合連合会でございますが、おそらくそれぞれの理事会等で正式決定されたものではないかと思いますが、それ以外のことは存じておりません。
  102. 鈴木一

    ○鈴木一君 公取の方で問願にしていられる点は、酪農振興法というようなものと、それから独禁法というものは、別に抵触はしない。ただし、中心工場に指定された工場に集乳する場合に、農民に対して県なりあるいはまた農協が強制を加えたというそこが問題なんですか、公取が問題にしている点は。
  103. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは実は公取の方の御意見になるかと思うのですが、その公取の方の審判決定書によりますと、いろいろ書いてございますが、これは読んだ方が早くわかるのじゃないかと思いますが、審判決定書なんですが………。
  104. 鈴木一

    ○鈴木一君 私も大体読んでありますがね。
  105. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これはいろいろ書いてあります。どうも公取委員会の方のことなので、私の方から……。
  106. 鈴木一

    ○鈴木一君 それじゃ質問を変えまして、今のこういうことが問題になった場合、農林省側としてはこの問題に対してどういうような見解をとられるか。
  107. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは私たちも公取法と本件の酪振法との間に、法律としての矛盾があるとは考えていないのであります。これが公取の私的独占禁止法に抵触するかいなかということにつきましては、これは当然に審決の結果によってきまることだと思いますが、しかし指摘されております個々の事実がかりにあったといたしましても、たとえば農協再建資金の場合に、雪の方に持っていかないものは不利にこれがやられるというようなことを、農協の幹部が言ったというような問題に対しましても、これは事実の確認が困難であったのでありますが、もし、たとい事実であったといたしましても、地域内のごく一部の農協に対して行われたものと推定されますし、あるいは県の方でやっております貸付牛等の誓約書の中に、県の指示する工場についてどうこうするというような誓約書をとったということにつきましても、雪が果してそれをやらしたというふうにも、解釈のしにくい問題のようにも思いますし、また県の指示する工場云々についても、一回も指示が行われていないということも事実のようでございますし、そういうようなこと等を考えまして、またこの中心工場をきめます場合において、県の方でとりました諸種の手続は、これは法律で記載をいたしております手続でございますが、違法の手続とは思われない、適法な手続のように考えられるのであります。そういうことでございますしいたしますので、どうも個々の事実についての行為が問題になるといたしましても、かりにそういたしましても、現在におきまする当時の地元の農民の希望の方向を逆転させるというふうには、実は認められないのでございます。  従いまして、これを決定をしたわけでありまするが、こういうふうにいろいろもめごとのありまする際に、もう一年待ったらいいじゃないかという議論も、私たちの方でも検討をいたしたのでございまするけれども、本件に関しましては、この中心工場の問題についてお互いに争っておる地元の諸君の意見を聞きましても、いずれの場合にいずれの側に立つものも、すべて指定そのものは強く要望しておったような事情もあるし、またこの場合、これを延ばしまするよりも、この際に指定をした方が混乱をかえって少くするという上からも、地域内の酪農の健全な発展を考えましても、よりそれの方がよかろうという観点から、これを指定したわけでございます。公取委員会自体の結論の問題は、これは審決の結果を待たなければ、私たちにはちょっと推定ができない問題であるのであります。
  108. 鈴木一

    ○鈴木一君 地区指定がもめておるために、一年延ばそうかというふうな話もあったと言われておりますが、実際今局長のお話を伺って、むしろ早くやった方がかえって私はよかったろうと思います。この際お伺いしたいのは、地区指定を行う以前の集乳の実績というようなものと、指定した以後の集乳実績というふうなものはどういうふうに変化しているか、その点お伺いしたいと思います。
  109. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは県の調査でございまするが、当時問題の起きました九月六日におきまするその地域の集乳量は、大体雪の方に四十五石程度、明治の方に、二十五石程度の地域内における集乳実績のようであります。そのほかに少しのものはあるかもしれませんが、大体その程度のようであります。で、この指定をしました二月二日以後の集乳量の変化につきましては、まだ私の手元にはそれが届いておりません。
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 今明治、森永を中心にしまして、日本の全牛乳の集荷量ですね、全総量のうち、大体明治が何%、森永が何%、雪は幾ら、その他が何%というのと、なお明治、森永等が全国的に各県に相当の集乳工場、加工工場を持っておるわけでありますが、それらの各県別の状態と、できればそこに行われる県内の総生産量との対比したものの資料を出していただきたいのです。
  111. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 大体お答えをして、それであれでしたら、資料を差し上げたいと思います。大体お答えしておきます。  現在、これは昭和三十年度におきまする成績でざいまするので、さように御了承願いたいと思います。明治の総集乳量が八十一万八千石、森永が七十九万六千石——一千石以下は略さしていただきます。雪が六十八万五千石、北海道バターが二十二万六千石、いわゆる四社というものはこのような実績になっております。  で、各県におきましてどのようにやっておるかということは、これはいろいろこまかいところはたくさん生じてくると思いますが、かりに集約酪農地域の場合も、これはちょっとはっきりいたしませんが、大体乳業四社の集乳量、三十年度におきまする集乳量は以上のようなことになっております。ただこの中で非常に違っております点は、原料乳としてではなく、市乳としての販売量等の比率がだいぶ違っておりまして、そのことからは、各県の中の市乳地域と原料乳地域との比率が大体わかるわけでありますが、明治が大体市乳は五〇%、森永が三六%、雪が一三%、北海道バターが七%のような比率を示しておりますので……。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは集乳ですな。
  113. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 大都市近郊と僻遠の地域とにおきまする集乳のあり方が、大体そういうところで御推定願えるのではないかと思います。各県におきまする個別の事情につきましては、ちょっと今ここで申し上げる資料を持ち合しておりません。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体、分布の状況でもわかりませんか。各県に、雪や北海道バターなどは、大体北海道だけでしょう、集乳地域が。だけれども明治や森永は、全国的なんでしょう。大体全国的にどう分布して、これを集めるか。そうして日本全体の総生産量ですか、どれくらいになっておるか。
  115. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 昭和三十年の乳の生産量は五百二十万石程度でございますので、先ほど申しました明治す。従いまして、専属利用契約を締結しないからといって、それに対して資金は出さない、あるいはその他の利用をこばむ、専属利用契約を締結しないということを理由として、そういうことをこばんではならないというように十九条二項で書いておるわけでございます。従って、組合の運動といたしまして、できるだけ全員がさような趣旨に賛同いたしまして組合の協同活動というものを強固にするということを、この十九条は望んでいるというふうに考えております。  しかしながら、この十九条ができましたのは、従来の農業会その他、戦前におきまする団体等で農業会等がございましたが、それらの活動が相当統制的な活動をしておったというようなことに対する一つの批判として、農協法ができます際に、この十九条が出たのだというふうに考えているわけであります。その後相当の年月もたっておりますし、約十年の期間がたっているわけでありまして、その間の農業経済の事情あるいは農民の意識というようなものも、変って参っておろうかと思います。従いまして、牛乳というような、そういった新しい事態に対する一つ考え方といたしましては、この十九条をいかがするかということについては、十分検討をいたすべきだというふうに考えております。
  116. 東隆

    東隆君 独禁法の十九条の組合というのは、農業協同組合をさしているのですか。
  117. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 私、組合と申しましたのは、農協法十九条の組合でございます。
  118. 東隆

    東隆君 独禁法における金融事業その他の場合においては、各種協同組合は排除されている。それは何条かわかりませんけれども、排除されているわけです。金融事業という面を考えてみますると、排除されているので、そこで農業協同組合が金融関係仕事——これは信用事業ですか、信用事業と共同販売の態勢をからめて、仕事をすることが独禁法に違反をいたしますか。
  119. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 農協法の九条で独占禁止法の適用という項目があるわけでございますが、これによりまして、組合は独占禁止法の適用については、「これを同法第二十四条各号に掲げる要件を備える組合とみなす。」ということになっておりまして、一応除外されております。しかし、二十四条のただし書きで「但し、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」というふうに書いておりますので、一般的に除外はされておりますが、このただし書きで、不公正な取引の場合には適用されるというふうに考えております。
  120. 東隆

    東隆君 書面その他いろいろなものをもって、牛乳の取引等について公正を期するために、いろいろな手段を講じてやっているのにかかわらず、今のような、青森におけるところの案件のような場合はこれは不公正だ、たとえば原料乳の統制の問題、あるいは乳価の決定、こういうふうなものを乳価審議会のようなものをもって決定をし、あるいは契約その他適正な手続をとってやっておるというのが、不公正な取引になりますか。
  121. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) その点につきましては、先ほどからも議論になっている点だと思いますが、公取でそういう点についていかが考えるかということによってきまる問題であるかと思います。
  122. 東隆

    東隆君 農協の今までの指導のやり方は、あるいは酪振法を中心にして、あるいは協同組合という考え方、そういうようなことからして、組合員が生産しておる乳を適正な方法でもって、酪振法で示しておるところの公正な取引の方法でもって進めておるところがある。それが公取委員会でもって、不公正な取引というふうに判断をされておるわけです。従って、これに対しては、協同組合の立場において公正な取引が行われておるということを、これは立証しなければならない。それは単に農民だけでなくて、その対象であるところの会社をさしていうのじゃなくて、農民みずからの行為が適正であるか適正でないかということを、これははっきり監督立場に立っておる農林省としてその点は言うことができるのじゃないですか。これはどういうふうに考えますか。公正取引委員会の方におまかせをして、そっちの決定通りになるというのはおかしいじゃないですか。少くとも今までの農協の指導、あるいは何かこれは法律でもって許容されておる範囲において指導をし、そしてそういう方針でもって仕事を進めていっていると思う。それが不公正だというような容疑を受けておるのですが、その容疑を解くのはどこが解くかといえば、やはり農林省中心になってこの不公正でないということを証明しなければならないと思う。それが立場じゃないかと思いますが、その場合に、公正取引委員会でもって決定したものに従がわなければならぬ、そんなことはおかしいと思います。その点、もう少し、農協関係の今までの方法が間違いないのだということを強く主張してもらわぬと困りますから、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  123. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 今般の問題につきまして、公取の方で審判開始決定書の中でうたっておりますのは、雪印が、青森県の東部の酪農地域において乳業を一手に収めるために、いろいろな乳業施設を逐次買収していった。そうしてこの県の農協中央会、県経済連、県信連、三八協議会等の有力団体ないしはこれらの団体の役職員と話し合って、その協力を得て、酪農民の自由な意思決定を拘束し、結局県の申請に基いて農林省からその指定を受けることとなった云々というようなことがあって、その結果、現にこの青森県東部の酪農地域内の生産乳量の約七〇%を手に収めておって、それらがこの私的独占法の第二条五項「この法律において私的独占とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもってするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。というこの条文と、第三条の「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」という三条と、この両条文に違反するものである、こういうことが今般の公取委員会の審判を開始決定いたしておりまする、法の適用における主眼点のように感じております。でありまするので、今御指摘になりました点の、農協の乳価の問題等の御質疑があったのでありますが、その指摘しておりまする問題は今の点が問題である、こういうふうに解釈しております。
  124. 東隆

    東隆君 私は今のことはよく承知しているのです。しかし、根本には農民の自由なる意思を拘束したというのです。その疑いがあるということが問題なんです。ところが、農民は協同組合を作って、そうしてその協同組合に対しては指導を加えてきているわけです。共同販売をやるべきである、こういうように指導を加えてきて、そしてやっておることと、協同組合の組織というものが民主主義の機構を持っているということ、それで会社等と全然違う機構なんです。そこでその違った機構の組織なんですから、その組織が拘束されて、そうして会社から組合が拘束されたということではなくて、組合が組合員を拘束した、こういうことになるわけです、この場合には。しかし、それは何ら自由なる農民意思を組合が拘束したわけではなくて、総会でもって決定したのだから、しかも指導方針その他にのっとって共同販売を進めてゆく、こういうやり方をやっているのですから、会社の場合における考え方と、協同組合における考え方とは、そこの間に非常に開きがある。その開きを、協同組合の指導監督をなさっている立場の方が、それは拘束をされておるかもしれないから、それは公取委員会の調べによってきまるのだと、こう言うのはおかしい。その点なんです。そこのところをはっきり、これは在来の指導通りにやっているので、決して拘の指導その他からいくと当然なことだと、こういうふうに考えるのですが、その点について公取委員会の方で言っておるような、個人の意思考えなければならぬと、こういうようなことを言っておるのですが、協同組合における共同販売に対することを考えるときには、これは今までの指導と非常に違ったことを言っておるのじゃないかと、こういうふうに私は考えるのですが、農協の部長として、その点、どういうふうにお考えですか。
  125. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 農協の場合に、たとえば牛乳等につきましてもあったのでありますが、農協が生産者から委託を受けて販売をいたす際に、無条件に委託を受けて販売をいたす際と、それからその他の条件をつけて販売をいたす際とあると考えます。しかし、協同組合の場合に、その販売を最も有効適切にいたす立場からいきますと、できるだけ無条件に委託販売を受けてもらうということが望ましいということは、言えるのじゃないかと思います。従いまして、従来この販売行為をいたす際にも、無条件委託販売ということを一つのテーマといたしまして、運動をいたしておるということでございます。
  126. 東隆

    東隆君 農業倉庫業法等において、農業協同組合が委託販売をするときに無条件委託と、こういうようなことをやるのを通例といたしておりますが、その場合に、牛乳のような生鮮食料品といいますか、非常に腐敗しやすいようなこういうようなもの、そうして事実上売り先をめいめい勝手な意思によってやり得ないようなものは、当然無条件委託をやらなければならないと、こういうふうに考えるのは、これは当然だと思うのですが、この点はどうですか。
  127. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 事の性質上、牛乳等につきましてさような点が取扱いとしては適当であろうかと思います。しかしながら、その際にやはりできるだけそういうことをよく農民に納得させまして、農民がそういう気持になって、そういう農協のことに一致協力してやるということを十分徹底させて、そういうことをやるという必要があると思っております。
  128. 東隆

    東隆君 農協で共同販売をするときに、大てい総会でもって決議をしてやった場合に、保管、貯蔵あるいは売り先、そういうようなものを決定をして、画一して一つを選んで決定をするということは、これは独占禁止法に触れるおそれがありますか。
  129. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 総会でさような点について決議をすることもあり得るわけでありますが、それが独占禁止法に触れるかどうかという点は、これはあの独占禁止法の建前からいって、どう判断されるかは別でありますが、組合法の建前から参りまして、かような際にこの組合員が全部かようなことに了承をいたしまして、そういう総会の決議をいたします際には、その決議に対して組合員も当然義務を生ずるというふうに考えております。
  130. 東隆

    東隆君 牛乳のように処理をしなければならないもの、そういうようなものについて、処理工場が一つと、こういうふうに決定をしておった場合に、他の者に販売することが非常に不可能だ、こういうような状況に置かれたときに、多少の反対があっても大多数の者が決定をしたときに、総会その他の手続をとって決定をしたときに、その方法をやることは、これは違法になりますか、独占禁止法にひっかかりますか。
  131. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 独占禁止法にひっかかるかどうかという御質問でありますが、その点については、私どもといたしましては、ちょっと今はっきりいたしかねております。(「わからない、はっきり」と呼ぶ者あり)その点につきましては、公取の考え方として決定されるものじゃないかと思います。(「わからないのだ、さっぱり」と呼ぶ者あり)
  132. 堀末治

    委員長堀末治君) そこの言葉をもう少し明瞭に……。(「はっきり言って下さい、大事なことだから」と呼ぶ者あり)
  133. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) その点は、今申し上げた点が独占禁止法にひっかかるかどうかという御質問でございます。その点につきましては、公取の立場で判定をされることであろうかと存じております。
  134. 東隆

    東隆君 牛乳を処理する工場が一つしがなくて、そうして市乳等に販売をするということをしない場合に、その工場に販売をするというその行為ですね、その行為を組合員の全部が決定をしたということでなくて、一部の者に反対があった場合に、それを押して共同販売をしたときに、それが独禁法に触れるかという問題です。
  135. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 先ほど申し上げました通りでございます。
  136. 東隆

    東隆君 私は、今の問題は、もしその工場に持っていかなければ、牛乳は非常に遠い所に持っていかなければならぬか、あるいはそのために非常にたくさんの手数料をとらぬけりゃやっていけないとか、いろいろ問題が出てくるわけです。従って、多数の意思でもって決定をしたことを行うことが、しかも民主主義の組織を持っておるところの農業協同組合でそれをやったときに、それが独禁法にひっかかるか、この問題なんです。従って、独禁法の中におけるところの精神は、民主主義の機構であるところの組織がやるところの仕事は、これは独禁法から排除されるのじゃないだろうか、こういう考え方一つあるわけなんです。その点を農業協同組合の関係の者はどういうふうに考えておるか、この問題なんです。(清澤俊英君「自分はどう思っているかが必要なんだ、本筋はどうかということじゃないんだ」と述ぶ)
  137. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) その点は非常にむずかしい点であろうかと思いますが、農協の建前から申しまして、十九条に、御存じの通り、専属利用契約というものがあるわけなのですが、この方の規定で、専属利用契約は一応組合員の任意とするということになっておるわけでございます。従いまして、この規定から参りますと、組合員の意思がそういう形で反映してくることが最も望ましいというふうに考えておるわけであります。従いまして、組合として、さような点で、共販を行う際には、各組合員によくその点を納得させる。従って、全員にさような形で、その趣旨に賛同をするようによく納得させて、その経済行為を行うということが最も望しいというふうに考えております。
  138. 東隆

    東隆君 全員に納得をさせて、それが完全になれば問題はないのですけれども、一部の者が反対をしておるために問題が起きてくるわけなのです。そこで、いろいろな指導を加えるという問題が当然起きてくるだろうと思うのです。そこで、その指導の方法が問題になっておるわけなのです。私は協同組合として納得をさせるためにとったところの方法が、それが違法になるかどうかという問題を明らかにしようとしているのです。  そこで、問題はどういうことになるかというと、先ほどからお聞きをすると、そこのところをお逃げになっておる。金融の問題あるいは購買費の問題、こういうようなものと関係をつけて、そうして共同販売態勢を強固にする、こういうことは、これは従来も指導をしてきたし、これは当然なことなんです。その問題がひっかかっているのですから、その点を私は明らかにしなければならないし、する必要があるし、農業協同組合部長としてその点をはっきり言ってもらわないと、将来農業協同組合の組織を拡充することはできないと思う。その点を一つはっきり明言をされることが、私は農業協同組合部長として正しい行き方じゃないかと思います。
  139. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) 独禁法に違反するかどうかという点とは別に、農協運動の建前から見まして、そういう形のものがどうかという点を申し上げますと、十九条の建前から申しますと、先ほど申し上げましたように、組合員の任意によってこの専属利用契約は締結されるべきものだというふうに、明確に出しておるわけでございまで私は、この関係は、営利会社二つの争いの中に、農民が入っているのですね。そこで農民の側が、これは協同組合の組織を通して関係している、こう考えます。そこで非常に関連が深いのは、農林省の方の農業協同組合関係に一番関係があるのじゃないかと思うのです。それで畜産局長は農業協同組合関係とどの程度の協議あるいは相談をされてきたか、そういう点を伺いたいと思います。
  140. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) この今問題になっておりまする三八地域の指定につきましては、この件についての特に指定に際しまして、農協等に御相談をいたしましたことはございません。もちろんこの酪振法よりしまして、いろいろと集乳の面その他の面がございますし、あるいはそれ以外にも協同組合との関係がございます点がございますが、かような問題につきましては、これは逐次連絡をいたしておりまするが、本件の三八地域の指定につきましては、特にことさらの連絡をいたしておりません。
  141. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは一番大事なことだと思いますが、実は聞き漏らしておりますので重複するかしれませんが、雪印の公取違反の基本点は、雪印がある目的をもって、三八地区の独占の目的をもって各工場を買収していった、こういうことが訴えの基本になっているようですが、聞きますと、雪印が買収して自分でそこに事業をするという考え方はなかったが、県やあるいは農協関係において、雪印から来てもらって、この工場を、自分らの今まで過去に経営しておった工場等を買収してもらって、それをやることが妥当であるとして、雪印を無理をいってここに引っぱってきた。これは非常に重要な点だと思うのでございまするので、そういう点に対して、三八地域の酪農地区の申請にからまって、そういう点が明確に出ておりますかどうか。
  142. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは、私たちが酪農地域の指定をいたしますのに際しまして、今清澤委員の方から御指摘になりました、要するに雪がこの地域に入ってくる場合に、組合の合併その他のことが適法に行われていたかいなか、こういう問題はやはり関係のあることではございまするが、酪農地域の指定の申請の場合には、いわばそれらのところの究明は副の究明になるのではないかと考えております。しかし、もちろん公取委員会の方で審決を開始する、こういうことがございまして、問題点が、そのようなところに問題があるということを聞きましたので、私たちは私たちなりに、その間の事情を調査したところもございます。しかし、これは、主としてそれらの点は公取委員会の審決の決定に待つべき諸点ではないかと思うのであります。と申しますのは、すでに私たちは十和田地域の指定の際に、雪印のものを指定いたしております。中心工場としての指定をして、十和田地域の酪農地域の指定をいたしておるわけでございます。従いまして、すでにそれらの点が今新しく問題になるといたしましても、地域指定をいたしますることとは少し問題点がずれた、視点がずれたような感じを若干持っております。    〔委員長退席、理事重政庸徳君着席〕  しかし本件におきましても、公取の方でそういう御指摘がございましたので、私たちなりの見解を持っておりまするが、しかし、全販等の工場の買収につきまして、それほど雪印が積極的であったかどうかというようなことは、実は当時私たち雪印……。全販がかなり苦しい世帯で、再建整備促進等の対象にもなるかならぬかというような事情があったことも存じておりまするので、おそらく全販の方自体も雪印の買収その他については、むしろ積極的に考えたのではないかというふうに考えられるわけでございますし、まあさらにそれらのことは公取法に基きまして公取委員会の方に正式に届け出ておるものと考えております。まあそういうような事情で、雪印乳業が果して、指摘されておりまするように、地域独占の野望があって、そうしてそのようなことをやったかどうかというようなことは、これは公取委員会の審決の結果いかんによることで、私たちもそれに対しては今現在とやかく申すことは差し控えたいと考えております。  それ以外にも、いろいろと個々の事例が指摘されまして、県が誓約書をとっておる、あるいは県の係官がいろいろなことをやっておるというようなことが指摘されておりまするけれども、どうもこれが正式の県の知事の指示に基いてやっておるというふうには、私たち調べました結果考えられないのでございます。しかし、まあいずれこれらの点も、その一つとしまして、審決で明らかになることと考えております。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、審決で明らかになるということは、それはそれに違いないだろうけれども、その前に、雪印を中心にして買うというのですね、買ってもらうというのですよ。そういうものを持ってくる手続が、農協等を通じて、あるいは県の畜産政策等を通じて、どのように取り運ばれるのかというような、そういうことの順序ぐらいは、畜産局で、こういう問題になれば、一応の経路ぐらい調べておられるだろうと思う。その経路を知らせてもらいたい。それが野望であったか野望でないかということは、われわれが判断しないで、今はそれでいいと思う。そういう過程において、あるいは農業協同組合の総会でもってこういうことをやっていこうというようなことが決議せられたり、あるいは県の一つの方針として、いずれかの工場をどう整理していくかというような問題が提案せられたりしていった経路さえはっきりわかればいい、こういうことなんです。  と申しますのは、あなたの手元にも多分来ておるだろうと思うが、全国農業中央会の何か問題点というようなもので、パンフレットのようなものが配られておるものを見ますと、いろいろそういう点が指摘されて出ておりますので、これは片方だけ聞きましても非常に間違いの多いことだと思うので、できればそういう点を、公取委員会の権限に触れない範囲において、経路がわかったら知らしていただいた方がいいのじゃないか、こう思うのです。いいとか、悪いとか、そうでないとか、こうだとかいう判断は要らぬけれども、こうこうこういう手続で、こういうものはこう買ったのだ、これはわかるでしょう。そういうことは何もしないで、何か知らん移ってきた形跡があるのか、そういうことは一つもなかったということだけは、はっきりさしていただければ……。あったらお知らせ願いたい。
  144. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは事実が明らかになりますと、そこらがはっきりすると思いますが、私たちの承知しておりまするものは、昭和三十年の六月ないし七月、この六、七月ころに全販連の方から雪印の方へ来訪されまして、正式にこの地区の買収をしてくれという話が切り出されたように聞いております。さらに、八月に雪印の方で全販の施設を調査をされまして、十二月二十九日に買収の両者の意思が決定して、翌年の、三十一年の二月一日に正式な契約が成立した、こういうふうに聞いておるのであります。  さらに、先ほどお話のありました畜産振興株式会社というのが青森にございますが、これにつきましては、この当時全販の買収を、雪印が調査をいたしました八月ころに——この八月ころ以後だと思いますが、時日その他がはっきりいたしませんが、雪としては経営の採算上、市乳工場をやっておりまする畜産振興株式会社の施設も同時に経営して、事業の運営に弾力性を持たしたいというようなことから、この畜産振興株式会社の買収を、会社の方に雪が申し入れたというふうに聞いております。その後両当事者の間でいろいろ議論がありまして、三十一年の五月ころに事業承継についての合議がされたというように、承知をいたしております。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 その際、買収せられる際に、農協としては幹部だけの話なの束をされたものではなくて、組合として正当な手続をして共同販売を進めておるのだ、こういうことをおっしゃれば、それでいいわけです。
  146. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農協部長の言われたことを繰り返してお答えすることになるかと思いますけれども、共同販売を進める場合に、無条件委託なりあるいは条件つき委託なりで、総会の決議で仕事を進めることは、私たちも奨励いたしておりますことであるし、また現在農協がやっております整備促進でありまするとか、あるいは単協の特別整理の措置でありますとか、あるいは今度の三カ年計画の運動にいたしましても、それでやっておるわけでございます。それで、現在農協法の十九条、御存じと思いますけれども、この農協法の十九条をお読みいたしますと、「組合施設の専用契約」というタイトルで「組合は、定款の定めるところにより、一年を超えない期間を限り、組合員が当該組合の施設の一部を専ら利用すべき旨の契約を組合員と締結することができる。」というふうに書いてあります。これは、しぼった牛乳はすべて農協を通じて売ります、あるいは肥料は農協から全部買います、あるいは菜種は全部農協に売りますという種類の専属利用の規定であります。それは一項で農協に権利能力を与えておるわけでございますが、その二項で「前項の契約の締結は、組合員の任意とし、」というふうにあるわけでございます。そうして「組合は、その締結を拒んだことを理由として、その組合員が組合の施設を利用することを拒んではならない。」というふうに書いてあります。  これは二つの事柄が書いてあるわけです。一つは、専属利用契約をして牛乳を組合に納めます、あるいは肥料を必ず組合から買いますということは、あくまで組合員の任意だということを強く言っておるわけであります。それからもう一つは、それでは組合を利用しないからといって、ほかのところで、たとえば金を貸すことを拒んではいけないということが十九条の二項に書いてございます。従って、総会の決議でやることは、運動としてちっとも法律に違反しない、これは問題はありませんけれども、この決議が法律上の効果を持つかどうかという問題になりますと、専属利用契約が組合員の任意とするという十九条の二項の解釈からいって、必ず牛乳を組合に納めますということを、それをきかない人に対して、法律上の効果を持つかどうかということに対して、必ずしも明らかでないということが疑問であって、今東先生の言われたことは、それが法律的な意味を持つかどうかということでございますと、十九条の二項に違反をするのではないかということなんで、運動として納得づくでそれをやることについては何の異論もございません。
  147. 東隆

    東隆君 農協で協同販売をやるときに、それから漏れた者がある場合に、それが不適正な取引をやっておるというそういうことを判断するときに、どうするのですか。それを拒んじゃいけないと言ったって拒まざるを得ないじゃないですか。相手方が、処理をする者が一つしかないという場合、どうするのですか。
  148. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 今、東先生のおっしゃった問題のように、腐る牛乳で、しかも一つしか処理工場がないという場合には、おそらく組合員がよそへ出すという問題も現実には起らないじゃないかと思いますけれども……。それから組合は、その一人々々の組合員の意向に従って別に仕事をするという意味ではございません。これは組合は当然、組合員からの出資金を運用して組合員全体のためにサービスをするためでございますから、その中の一人二人のわがままを聞かなければならぬという道理はございません。
  149. 東隆

    東隆君 今のお話でだいぶはっきりしてきたのですけれども、そうすると、組合員との関係は適正に行われておる、こういうことになると思うのですが、今度はもう一つ問題なのは、組合員の自由なる意思を拘束したと、こういうことになるわけです。その点なんですがね。私は、独禁法の先ほどの排除をされている団体というのは、これは会社中心にしたものの……。金融事業一つとってみた場合に、協同組合という民主主義の組織を持った団体の金融事業、すなわち協同組合における金融事業というものは、これは独禁法から排除されておる事業じゃないか、この点はどうですか。金融事業、協同組合の信用事業、その信用事業考えたときに、どうなりますか。資金を融通しない、こういう問題がひっかかるわけです。これはその中心は協同組合がやるわけです。民主主義の組織である協同組合がやるので、営利事業を行う会社がやるのじゃないのです。その場合にひっかかりますか。
  150. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) ただいまの御質問でございますけれども、独禁法の関係では、先ほども御説明がありましたように、協同組合には原則として独禁法の規定を排除している。しかし、といって独禁法の二十四条のただし書きに「不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」といって、また独禁法の網をかぶっております。
  151. 東隆

    東隆君 組合ですか。
  152. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農業協同組合もそれに入っております。金融関係は特別の取扱いをいたしておるはずでございます、農業協同組合につきまして。
  153. 東隆

    東隆君 協同組合が販売する場合、それから購買する場合を考えたときには、共同でもってできるだけ安く買う、安くしようとするそのやり方は、これは独禁法にひっかかりますか。
  154. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) ただいまの御質問について申し上げます。絶対に独禁法にひっかかるということはございません。
  155. 東隆

    東隆君 販売する場合に、できるだけ高く販売しようとする、その共同販売のその行動は、独禁法にひっかかりますか。
  156. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 独禁法の解釈は、あるいは公取からお答えする方がいいかと思いますけれども先ほどから申し上げておりますように、農協の事業一般的にいえば独禁法にひっかかりません。ただし、何か特別の、農協が一定の地域を全部支配して、それでかりに高い値段をつけて売ったというようなことであれば、独禁法の解釈上「不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」といって独禁法をかぶせておりますから、抽象的に考えますと、農協が一定の取引分野を支配して、非常に高い値段をつけて消費者を困らせるということは、事実上ないわけでございます。かりにそういう事実があるとしますれば、独禁法の問題になります。しかし、私たちが農協運動として考えております事柄については、独禁法の規定がかぶるような事態はとうてい想像いたすことはできません。
  157. 東隆

    東隆君 協同組合の場合には区域が限定されておるわけですね、地区が限定されておりまして、会社のように自由に外に飛び出してやるわけじゃない。従って、その地区内において自由な取引をやるというような場合においては、実は非常に大きな制限になります。そしてその機構が民主主義の機構の上にでき上っておる、その場合に、独禁法は協同組合の事業を排除して、そういうような場合に、今の牛乳の販売という問題を取り扱って参ると、これは何ら独禁法にひっかかるような条件はないと思う。それがひっかかるということであれば、協同組合とそれから会社の区別が全くなくなってしまって、同じことになってしまう。独禁法が目ざしておるのは、営利事業をやっておるものが、しかも独占的な形態をもって、資本の独占あるいは企業集中、そんなような形によって価格をつり上げたり、それからいろんな形でやった場合にひっかかるのじゃないかと思う。協同組合が民主的な形でもって決定をして、そしてやっていくというのは、それはひっかかるはずはない。そただきたい。もし、ダムができてあとで数年後、下流にダムによってできたいろいろな障害が出てきたものは、そういう利益を受ける人があっても、それに関係なく、建設省がすべてを責任をもって解決なり補償してもらえるのか、これを大臣からはっきり承わりたい。必ずあとになれば、現にここにはこれだけの実効を得ている人がおるのだから、これは電気会社には話して出させるのだし、用水の方にも出させるのだし、水道の方にも出させるなんという話は、必ず出てくると思う。それは全部建設省が出してもおかしいというような話が出てくるのですから、建設省が今、そういう場合はしなければならないのだと、こう言われておるのだから、そういう場合には一切そういう受益者との話はあとにして、建設省責任をもって、それが果してダムのためにできてきた障害であるとするならば、きちんとやられるのかやられないのか、ここをはっきりしてもらいたい、それが一つ。  それからもう一つは、こういった場合に不明確のものができてくる。不明確のものを水かけ論で数年やっておるうちに、終えてしまう。これでは何にもならない。やむを得なければ仕方ない、農林省に願い出て、農林省としては下の方に水がかからぬ、何千町歩かからぬということでは仕方がないから、何億円の金をかけてやっていく。それをやっていく場合というものは、その地方においてはどういうことをするかというと、川を掘ってみたり、緊急町村会を開いて消防ポンプを代用して注ぎ込んでみたりして、大騒ぎをでんぐり返してやったあとで、数年後に取り入れ口を上せてもらって——これは新潟県にも二つあるでしょう。あの小千谷から滝谷線に至る妙見隧道があります。その隧道口を現に上げて、二つの用水路をとっておるのです。こういう問題を解決するためには、私は少くともその障害に対する審議会ぐらいの規定を入れて、そうしてその審議会ぐらいのものが、審査会ですか、何かそういう名前のものがあって、これは現に障害でもって出てきたのだというような審判を下すぐらいの一つの条文を入れてもらわなければ、問題は将来に残ると思う。水かけ論に終ると思う。その二つに対してはっきりと御見解を承わりたい。
  158. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) お尋ねの問題は将来の下流農民等に対する補償の問題でありますが、原則といたしましては、ダム建設による被害がもしあった場合は、建設省が直接これは補償することに相なって、責任があることははっきりいたしております。その他電源開発等の工事のために起きた下流のいろいろな被害にあっては、これはその電源会社がその責任を負うという建前でありますが、お説のように、将来になって——そのときはいろいろな問題を、被害状況等の問題について補償等の話し合いをつけるけれども、将来想像しなかったような問題が起きた場合の責任はどうするかという御質問でございます。このときには、十分そのときの情勢を判断いたしまして、建設省も十分その情勢を判断して、これは発電会社が当然負担すべきものだという場合におきましては、発電会社被害者との間に調整をとりまして、円滑な妥結をするような方向にもっていきたいと思いますけれども、直ちにこれが国が責任をもって負担しなければならないのだということにつきましては、ただいますぐ回答することはできないのであります。
  159. 清澤俊英

    清澤俊英君 この間の局長の話では、国が責任をとる、建設省がそういう場合には補償します、こう言っているけれども大臣はちょっと逃げておられる。当然多目的ダムでありますから、電気は……。
  160. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) それはこういうことでしょう。今の、国が責任を負うということは、直接ダムによる損害を来たした場合には負うのだ、しかし発電会社が施設をして、そのことによって生じた損害については、発電会社が負担するのだという建前です。
  161. 清澤俊英

    清澤俊英君 私が今言うのは、多目的ダムを作られた場合ですね。電源会社が発電のために作った場合は、別でしょう。多目的ダムを作って、しかもその多目的ダム電源開発の方へ回る。電源開発というやつは国の電源開発になるのですから、まずそれから先、聞いてみます。多目的ダムの目標は、国が電源開発もやるし、その場合何か計画して、農地の改良もやるというような、愛知公団用水のような場合だけをさしておられるのですか、多目的ダムというものを考える場合。
  162. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 多目的ダム建設は、今まで御説明申し上げましたように、建設大臣がやることにしておりますが、それに伴う発電所——水をトンネルで持ってきまして、発電所で発電いたします場合には、その水を持っていく水路とか、あるいは発電所等は、今の現状におきましては、ほとんど県営発電でやっております。ほんのわずかの分を電力会社がやっているのであります。そういうわけでございまして、ダム建設省がやりますけれども発電所の利用の面の、それだけに使います発電の場合には、発電所あるいは水路等の問題は、電気を営むものがやるわけであります。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は二つに分けてお伺いしておりますのは、こうなんです。そうなった場合に、今までの例からいえば、これは電気会社がやるのだといっておられる。県でやるのだ。発電所が県営であれば、県が受益者なんだから、これにも関係がある。上流に用水路があるならば、この用水路に対する受益者は農業団体だから、農民団体で幾らか考えなきゃならぬ。あるいは付近に都市があって、そこに上水道を持っていったとするならば、これも何々市の関係があるから、これとも相談しなければならないというようなことを言っておりましたから、これはなかなか片づかないのです。それをたまたま先ほどは簡単に、建設省責任を負われると言われるから、追及してみると、それとも相談してみなければならぬという話になって、これはまことに下流に住んでおる人たちとしては持って行き場がない。しかも、その損害自身が必ず不明確化されて、あとの祭なんです。いわゆるあとの祭なんです。いや、そんなことは私たちはわからぬとか、そんな前のデータがあるから、そういうふうに下ったのはこればかりじゃないとか、大体何々川の川底が下ってきたんだとか、それで上ったんで、大体ダムなどを作れば川底が上るのが原則だ、などと理屈を言われる。そういうことになり、それに争う何ものもない。しまいには、魚一つとれない、取り入れ口は上り、冷害水は来る、こういう場合でもどこにも持って行き場がない。  だから、私の質問しておるのは、そういう場合に公平な立場の審査会等をちゃんと規定しておいて、これによって結論を出させるというようなことを一つ考えられるか、考えられないかということと、上の方も、私は建設省なら建設省がそういう結論が出たら、一応責任をもっていくが、その分担をすることは前からの話し合いで、ちゃんと各官庁でやったのだから、そのあとのことは建設省が話し合いをつけてやるので、それがきまらぬからというて補償しないようなことはしませんと、こうはっきり言ってもらいたいのだ。そのくらいの親心がなかったら、下流におる者は全く迷惑千万です。ダムができると、下の方にだけおって飛ばっちりだけ食べておる人間は、困る。これは新潟県などは非常にそういう声が多い。大体ダムができますと、渇水するのです。渇水しますと、そこの堤防にネズミが巣をくう。ネズミが巣をくうと、現にそこから山地などでは水が漏水していって、山地などは相当水害を受けておる。そんなものは一つもはっきりしておらぬ。そういうようなものをもっとはっきりとして片づけられるような規定なり、規定をここですぐ入れられないとするならば、御答弁で、こういうふうにやるのだ、このくらいのことをはっきりしてもらわなかったら、これは全く迷惑千万だということになる。それでなければ、大臣に来ていただきたいと、この忙がしい貸しませんということは、十九条の二項の明文におそらくは違反するのではないだろうかというふうに思います。
  164. 田中啓一

    田中啓一君 議事進行。実は伺っておりますと、大へん押し問答で、三度おやりになりましたですね。ほかにもたくさん質問したい方がおありだろうと思うのです。ですから、なるべく押し問答にはわたらないで、一つ能率よくやっていただくわけにいきませんか。
  165. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  166. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  それでは、本件は本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  167. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  午前中御審議願いました特定多目的ダムに関する件について、お諮りいたします。本件につきましては、各委員の御意見を取りまとめ建設委員会に申し入れるよう御提議がありましたので、そのようにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  なお、その文案等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会