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説明員(
磯崎叡君) その点につきましては、河野先生のおっしゃいます
通り、物によりましては、たとえば人口を集中するために特殊な
物資が非常に
輸送がふえるということは、あるいはあるかもしれません。それからやはり一番私
どもの方に
関係いたしますのは、足の長さでございます。貨物の
輸送距離でございます。物の性質的に見まして、非常に全体の収入なり全体の
輸送量に大きな
影響のあるものと申しますものは、何と申しましても、現在年間の
輸送量が一億七千万トンの
輸送をやっておるわけでございます。従いまして、
個々的に見まして非常に特殊現象として
輸送上に現われるということは、よほどの大きな変化がない限り、実際上の大きい数量としては
輸送面に現われて参らないと思うのでございまして、一番大きな現われは貨物のやはり足でございます。その足につきましては、実は
昭和十年ごろと比較いたしますと、約百
キロ、足は伸びております。で、あのころは大体百七十
キロくらいでありましたものが、現在二百七十一
キロくらいになっております。ところが、最近、ここ二、三年、
昭和二十八年度くらいから、貨物の足の伸び方が大体今とまっております。で、この貨物の足の伸び方のとまりました原因にはいろいろあると思うのでございますが、これは大体
経済界の取引が一応、どこから原料をとり、あるいはどこへ製品を売るといったようなことの大筋が、ここ二、三年の間に大体きまってきたというようなことも、その
一つの原因ではないかと存じますが、貨物の足がほとんど対前年で伸びなくなっております。従いまして、一番私
どもの方に大きな
影響がございますのは、トン数と
キロ数をかけまして、私
どもの方の言葉でトン・
キロと申しますけれ
ども、トン、
キロの動きというものは、大体たとえば全体の一億七千万トンに貨物別の足をかけます。で、これが四十何億トン・
キロというトン・
キロになりますが、このトン・
キロの中において占めまする、たとえば石炭のトン・
キロ、あるいは米のトン、
キロといったものの割合は、最近はそれほど大きな変化を来たしておりません。従いまして、
個々別に見ますと、先生のおょしゃったようなこともあると存じますが、大きな、大数的な観察をいたしますと、
物資別に見まして非常に
輸送形態が変ったとか、あるいは
輸送状況が変ったというものは、私
どもの貨物には現在は見られませんが、
ただ
一つ、先生の御
指摘になったことで私
どもの考えておりますのは、ことにトラックの
関係でございまして、これは
小口貨物の方では、非常にその点は先生のおっしゃったことが実は顕著に現われております。この点につきましては、実は昔は私
どもの
小口貨物と申しますのは、全体の数量で申しますと約六、七%のものでございますが、荷主の数は非常に多い。また国民の生活に直結しているような、ほんとうに消費
物資に直結しているようなものが多いのでございます。こういうようなものは実は戦前はやはり、この現在の車扱いと同じように、
等級制をとっておりました。そして
等級によりまして、すなわち負担力によりまして
運賃をきめておったのでございますが、御
指摘の
通り、非常にトラックが発達いたしまして、トラックはもう負担力は全然考えませんで、もっぱらトラックの
輸送原価でもって
運賃をとっております。従いまして、
高級品がどんどんトラックに移っていって、低級品だけが
国鉄に残るといったような
状況がございましたので、戦争直後
小口貨物の
等級制度を廃止いたしまして、一本の
運賃にいたしております。しかしながら、やはり現実に、
個々に詳細な
検討をいたしてみますと、大体今の車扱いの
等級で申しますと、四級以上のものに該当する貨物がずっと最近は減ってきております。
昭和十年といわず、戦争直後のころ、まだガソリンが不自由であり、トラックというものの台数が少かったころと比べましても、
高級品のトラックに対する転移は非常に多くなっております。従いまして、
小口貨物につきましては、まさに先生のおっしゃいました
通りの現象が実は現われておりますが、車扱い貨物につきましては、非常に大量なものが大部分でございまして、割に
距離も長い、また
距離の短かいものにつきましても非常に量が多いといったような
関係でトラックへの転化はまだ実はそれほど現われておりません。むしろトラックへの転化よりも、全体の
輸送量がふえる、トン・
キロがふえるという方にそれがカバーされてしまうかとも存じますが、全体の趨勢にはあまり
影響ございません。
小口貨物につきましては、まさに先生のおっしゃったようなことでありまして、その点につきましては、実は今度の
制度改正でだいぶ考えまして、ある
程度、もちろんこれはトラックと競争するということは、これはなかなか考えなくちゃいけないことだと存じますので、トラックと共同して
輸送ができる、短
距離と申しますか、あるいは駅から荷主の家まで、あるいは
鉄道貨物でなしに、トラックだけで現在送っておりますようなものにつきまして、無理やりにこちらにとるということでなしに、トラックと共同して
鉄道輸送を考えるという
輸送形態にしやすいような
小口貨物につきましては、今度の
運賃制度の中にそれを盛り込んでおりまして、これは実は減少面に立つような要素でございますが、トラックと一本
運賃の、すなわちドアから、
小口から
小口へという
輸送制度も今回作ることにいたしております。先ほど御
説明いたしましたような要領の中にも入っておりますが、そういった
小口貨物につきましての自動車との共同
輸送という面を今度は相当強調して考えておりますので、その点につきましては先生の御
指摘になったことを考えておるというふうに申し上げても差しつかえないのであります。