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1957-03-07 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月七日(木曜日)    午前十時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            下條 康麿君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君           小笠原二三男君            北村  暢君            小林 孝平君            羽生 三七君            上林 忠次君            河野 謙三君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 井出一太郎君   政府委員    農林政務次官  八木 一郎君    農林大臣官房長 永野 正二君    農林省農地局長 安田善一郎君    水産庁長官   岡井 正男君    水産庁次長   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁総務部長 武田 誠三君    食糧庁業務第二   部輸入計画課長  日比野健児君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (日ソ漁業交渉に関する件)  (農林水産基本政策に関する件) ○開拓営農振興臨時措置法案(内閣送  付、予備審査) ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、これより農林水産委員会を開催いたします。  それでは、日ソ漁業交渉の件を議題にいたします。  日ソ漁業交渉の成り行きについては、関係漁業者はもちろん、日本国民はあげて重大な関心を払って、所期の成果がすみやかに達成せられんことをひたすら念願しておるのであります。本日は特にこの問題を議題にして、御質疑を願うことにいたします。
  3. 千田正

    千田正君 大臣は非常にお忙しいことを、われわれもよく承知しておりますが、新聞紙上やあるいはラジオ等を通じまして、日ソ漁業委員会状況がある程度報告されているわけです。ところが、国会のわれわれ委員会は、特にまあ政府に大いに応援して、早く妥結することを望んで、幾たびとなく委員会を開いて論議を重ねておりますが、政府から責任のある御報告がないわけです。  特に、新聞等におきまして、日本側の要求が十五万五千トン、それに対して十三万五千トンであるとか、十二万トンであるとかいうような、われわれから見れば、はなはだ外交折衝上においては不利ではないかというような報道が、しばしばなされておる。でありますがゆえに、業者あるいは漁民が非常な不安の念にかられまして、当委員会あるいは各委員に対して、陳情が毎日のように来ておるわけであります。それで、どうもあなた方が真剣になってソ連側との交渉をしている経過等は、全然われわれにはわからない。先般もこの点について、はなはだ失礼ではありましたけれども、私は、あなた方の連絡に対しましては、一体農林大臣は何を考えているのか。われわれ委員会としましては、やがてあなた方が妥結した後においては、調印をして、国会批准を求められてくるだろう。結果を持ってきて、われわれに対してそれだけに批准をしろというても、われわれは納得いかないのであって、むしろ中間である程度その一経過報告が、できるだけ国会の各位に徹底するような御報告を進んでなされるのが、政府の当然の責任じゃないか、そういう意味において追及はしておいたのです。幸い、きょう大臣がお見えになって、われわれに対して御報告いただけるとするならば、もしも部外にわたって不利なことがあっていけないということならば、速記をとめても、あるいは秘密会でもよろしゅうございますから、今までの経過をできるだけ詳しく御報告を願いたいと思うのであります。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、速記をとめることを一つ御了解願いたいと思います。  速記をとめて。    午前十時二十三分速記中止    ——————————    午後零時七分速記開始
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  この問題については、本日はこの程度にとめて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  7. 堀末治

    委員長堀末治君) 続いて、開拓営農振興臨時措置法内閣送付閣法第八十三号、予備審査)を議題にいたします。  この法律は、昨六日、当委員会予備付託となったものであります。  まず、政府から提案理由を聞くことにいたします。
  8. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) 開拓営農振興臨時措置法案について、その趣旨を御説明します。  戦後、多くの国内人口をかかえ、食糧増産戦災者、引揚者の収容、あるいは国土の高度の開発利用という緊急の要請にこたえて発足した開拓事業も、ここに約十年余を経ましたが、その間、政府といたしましてもこの事業達成のために多大の努力を払い、また、開拓者生産増大営農の安定のために日夜精進して参りましたため、その生産力も年々高まりつつあります。  すなわち、その実績概要を申し上げますと、開墾面積約五十八万町歩、入植戸数約十五万五千戸、増反戸数約八十二万戸に及び、このうち増反者を除きました開拓者昭和三十年度の生産額は、約二百九十億円に達しているのであります。  しかしながら、開拓者営農の現状を見ますと、入植後十年を経ずしてすでに既存農家の水準を越え、新しい農業経営先駆者と認められる者もありますが、他面、おおむね良好とはいいがたい立地条件開拓地入植し、加うるに、ここ数年来の連続災害に災いされまして、いまだに営農基礎も確立できない不安定な開拓者も少くないのであります。  右の実情にかんがみまして、政府といたしましては、都道府県と協力いたしまして、これらの開拓者に対し、自主的に計画を立てて共同して営農の改善をはからしめるため、第一に、開拓者が既往の災害によって借り入れました資金を償還可能な条件資金に借りかえる措置を行い、その融資について利子補給及び損失補償の道を開き、第二に、これらの開拓者の耕作する開拓農地についての農地法施行法に基く成功検査の時期を三年を限度といたしまして延期するとともに、これらの農地についての耕土培養事業についても必要な調査及び事業を行う等の特別の措置を講ずるほか、計画達成に必要な資金の融通及び開墾建設工事の促進、その他必要な援助に努めまして、開拓者営農基礎をすみやかに確立し、開拓地における農業の健全な発展を期するものであります。  以上が開拓営農振興臨時措置法案趣旨でございます。
  9. 堀末治

    委員長堀末治君) この法律案審査は後日に譲ることにいたします。   —————————————
  10. 堀末治

    委員長堀末治君) 議題に追加して、土地改良法の一部を改正する法律案内閣送付閣法第八十四号、予備審査)を議題にいたします。  この法律案は、昨六日、当委員会予備付託となったものであります。  まず、政府から提案理由を聞くことにいたします。
  11. 八木一郎

    政府委員八木一郎君) 土地改良法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  土地改良法は、土地改良事業実施基本法として昭和二十四年に制定されまして以来七年有余を経過いたしましたが、その間、農業経営を合理化し、農業生産力を発展させるとともに、食糧増産に寄与するため、本法に基きまして、農地改良開発、保全及び集団化事業が推進されて参ったのであります。  しこうして、昭和二十八年には土地改良事業実施手続簡素化を主眼にした一部改正がなされたものでありますが、その後の土地改良法運営実施状況にかんがみまして、なお、土地改良事業実施手続の面でやや煩瑣に過ぎ、または不備であると考えられる諸点がございまして、実情に即して適切な是正をはかる必要が痛感されるに至ったのであります。  また、政府はこのたび、国が行う特定灌漑排水事業干拓事業等につきまして、その事業資金の拡充と効率的実施をはかるため、特定土地改良工事特別会計を設置いたしたいと考え、今国会に別途特定土地改良工事特別会計法案提案しておりますが、これに照応しまして、土地改良法関係部分につき一部を補正することといたしたいのであります。  さらに、土地改良事業施行上重要な役割を果しております土地改良区等が行う土地改良事業、いわゆる団体営事業につきまして、より一そう適切かつ効率的な実施をはかるため、かねてより、技術面運営面にわたっての連合組織による指導体制の確立が望まれていたのであります。そこで、これら土地改良事業施行者共同組織として土地改良事業団体連合会を設置し得る規定を新たに設けたいと考えたのであります。  以上が土地改良法の一部を改正する法律案を提出いたしました主要な理由であります。  以下、法案内容について簡単に御説明申し上げます。  第一は、土地改良事業開始手続簡素化したことであります。すなわち、従来土地改良区の設立、農業協同組合市町村等による事業開始手続としましては、土地改良事業計画概要等につきまして、都道府県知事事業適否認定と本審査との二段階の審査手続をとってきたのでありますが、本改正法案では、本審査のみで土地改良事業計画等審査をいたすこととし、事業適否認定手続を省略して手続簡素化することにいたしました。同様の趣旨によりまして、国営県営事業開始手続につきましては、従来の予備審査にかえて事業適否の決定の手続をとることとし、これを簡素化いたしました。  第二は、土地改良区に関する規定を整備したことであります。土地改良区は、土地改良事業実施の母体となる農業者団体でありまして、土地改良区の適正な運営をはかることによって、初めて土地改良事業の円滑な推進が期待されるのであります。本改正法案におきましては、従来の経験にかんがみまして、理事の任期の延長、総代の定数の減少をはかるとともに、賦課金等徴収手続理事が欠けた場合の措置を定める等、不備と見られていた点を改めたのであります。  第三は、特定土地改良工事特別会計の設置に照応しまして、土地改良法関係規定を補正することとしたことであります。言うまでもなく、国営土地改良事業は、土地改良事業の基幹となるものでありまして、これが効率的実施をはかることが強く要望されております。このたび、政府は、国が土地改良法に基いて行う特定灌漑排水施設の新設、干拓等工事につきまして、特定土地改良工事特別会計において、事業費のうち国庫負担分一般会計から繰り入れるとともに、地元負担金に見合う部分資金運用部等から借り入れて事業を行うことができることとし、もって事業量増大工事早期完成をはかることといたしておりますが、本改正法案におきましては、この特別会計において行う特定土地改良工事実施するための基礎的規定を設けますとともに、干拓事業につきましては、干拓地の処理に関する規定を補足いたすこととしたのであります。  第四は、土地改良事業団体連合会に関する規定を設けたことであります。土地改良事業団体連合会は、土地改良区、農業協同組合等土地改良事業団体共同組織により、土地改良事業効率的運営を確保することを目的とする法人でありまして、都道府県または全国を地区とするものであります。連合会事業は、組合員に対する土地改良事業に関する技術的援助、情報の提供、調査研究等でありますが、その他、定款、役員、総会等につきまして必要な規定を設けてあります。  なお、以上のほか、多目的事業の一環として行われる土地改良事業実施手続都道府県分担金徴収国有土地物件管理処分等につきましても、それぞれ所要の改正を加えました。  以上が土地改良法の一部を改正する法律案趣旨でございます。
  12. 堀末治

    委員長堀末治君) この法律案審査も、後日に譲ることにいたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩    ——————————    午後一時五十七分開会
  13. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、ただいまから委員会を再開いたします。  前回に引き続いて、農林水産基本政策に関する件を議題に供します。  本日は、武田食糧庁総務部長から、食糧庁についての説明を承わります。
  14. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私、食糧庁総務部長武田でございます。長官、ちょっと衆議院の方の委員会に呼ばれておりますので、私かわりまして御説明を申し上げたいと思います。  お手元に「食糧庁の部」というプリントを差し上げてございますが、これに基きまして概略を御説明申し上げたいと思います。  最初に、予算の関係から申し上げた方がよろしいかと思いますので、おしまいの方の十八ページ及び十九ページに、三十一年度の歳出入の見込、それから二十四ページと二十五ページのところに来年度の歳出入予算概要をお示しをいたしております。  で、まず食糧庁では、御承知のように、米、麦——主要食糧としての米麦買い入れ売り渡し、これは国内産のもの並びに外国産のもの、それからそれによります主要食糧需給の均衡をとるようなことをやってきておるのでありますが、主要食糧以外のものといたしまして、農産物価格安定法に基きまして、イモ類——これは澱粉あるいは切りぼしカンショの形で買い入れをし、また大豆、菜種等につきましての生産者価格の支持を目的といたしました買い入れをやっております。それから飼料需給安定法に基きまして、えさ価格を安定いたさせますために、外国から、ふすま、トウモロコシ、その他の飼料買い入れまして、これを国内払い下げをいたしまして、飼料価格安定を期しております。そのほかに、もう一つテンサイ糖振興法に基きまして、北海道におきますテンサイ買い入れ売り渡しを行なっておるわけでございます。従いまして、食糧管理特別会計におきましては、食糧管理法に基きます物資、それから農産物価格安定法に基きます物資飼料需給安定法に基きます物資テンサイ糖振興法に基きます物資というふうに、四つの異なる目的を持った法体系から出て参りますものを、買い入れ売り渡しをいたしておるわけでございます。  そこで、まず三十一年度の歳入歳出概略は、この十八ページにございまするように、歳入といたしましては、全体で四千九百二十五億九千四百六十万一千円の歳入、それに対します歳出五千二百三十八億五千六百九十三万一千円、こういうことに相なっておりまするが、この損益関係は、一ページ前をめくっていただきましたところの、十六ページ及び十七ページにございますが、右側の利益の部の所の一番下の所に、本年度損失百六十一億四千二百九十八万三千円という金額が掲げられてあるわけでございます。この百六十一億円と申しますものは、いろいろな今申し上げました各主食、あるいはえさ澱粉、そういったものの損益を全部通計をいたしまして、出て参りました金額になっておるわけでございます。  そこで、この百六十一億円の部門別損益の大要でございますが、国内の米におきまして、百九十九億の赤字予想をいたしております。それから、これはプリントに書いてございませんのですが、国内の麦におきまして六十二億の損失、それから、外米におきまして二億円の損失外国麦におきまして百十九億円のこれは黒字、益であります。それから農産物澱粉等でありますが、これにおきまして六億の赤字テンサイ糖におきまして四億、飼料におきまして六億、その他で一億、合計いたしまして百六十一億の損失見込み、大体部門別にいたしますと、こういう見込みに相なっておるのであります。  それから三十二年度でございますが、三十二年度は、お手元にお配りしてあります表の中の二十三ページの右側の一番下の所でありますが、本年度損失百四十一億八千万円、大体百四十二億の数字を見込んでおるわけでありますが、これを今申し上げました部門別にいたしますと、国内の米におきまして百七十三億の赤字、麦におきまして七十五億の赤字、それから外国米におきまして十七億の赤字、それから外麦輸入麦におきまして百三十二億の黒字農産物におきまして二億の赤、えさで七億の赤、合計いたしまして百四十二億というものを一応予想をいたしておるわけでございます。食管特別会計の大体の損益の三十一年度及び三十二年度の見通しといたしましては、今申し上げましたような形に相なっておるわけでございます。  そこで私どもで、今食糧庁におきましてやっております仕事内容につきまして、すでに御承知と存じますが、ごく概略説明を申し上げたいと思います。  最初に、食管法に基いております米麦買い入れ売り渡しに関します仕事でございますが、これは国内の米の集荷につきましては、御承知のように、三十年産米から予約集荷制度、いわゆる事前売渡申込制度と申しておりますが、従来の強権に基きます割当供出制度から、事前に農家の方から今年の米についてこの程度売り渡し申し込みをするという予約をしていただきまして、それに基いて買い入れを行うという制度実施いたしております。予約集荷制度概要は、おおむね作付前を本来目途といたしておるのでありますが、いろいろ米価の関係その他で、六月ないし七月のころにおきまして各生産者からその生産者登録をいたしております指定集荷業者、これは大部分農業協同組合でありますが、そのほか一部集荷商人が入っておりますが、自分の登録しております指定集荷業者にその年にとれます米について、何ぼの売り渡しをしたいということの申し込みをしていただくわけであります。その申し込みに伴いまして、石当り二千円の概算金を支払うということにいたしまして、おおむね七月末日ごろまでに予約の受け付けを完了をいたすわけであります。その後、実際の集荷高その他が明らかになりました時期に、凶作その他によりまして当初の予約数量政府売り渡しができないという場合には、それにつきまして補正をいたしておるのであります。そういうような形で最終的にきまりましたものを、法規上は供出割当をするという、これはまあ形だけの問題になりますが、ということで、集荷をいたしておるわけでございます。今日までの米の集荷実績は、ここの第一ページにございまするような数字をたどっておりますが、三十年産米は、御承知のように、非常な大豊作でありまして、最終の買入数量は三千百八十九万八千石という大きな数字になっております。それから三十一年産米、昨年産米につきましては、この表は十二月十日で古い数字になっておりますが、最近現在で二千八百四十八万九千石、約二千八百五十万石の集荷の成績を上げておるわけでございます。そういう形で国内の米につきましては集荷をいたしております。  かようにいたしまして買い入れをいたしました米を配給に乗せているわけでございますが、配給関係につきましては、四ページの所に各米穀年度別配給数量配給辞退の状態を表にしてお示ししてございますが、これを政府から米の卸屋さんを通じて各消費者配給をいたしているわけでありますが、御承知のように、生産県とそれから著しく不足をいたします消費県とございます。そこで東北北陸のような過剰の地帯から、京浜、京阪神といったような消費地帯に米の輸送をいたしまして、それを各県の卸売業者に毎月売却の割当をいたしまして、売り渡しをいたしまして、かつ、それが小売を通じて消費者の方に流れていくということになっております。  現在、米の配給日数につきましては、生産県におきましては、内地米基本配給を十日、それから中間県、これは米を搬出もしないし、また搬入もいたさない、いわば自給自足の県でありますが、これらの県に対しましては、基本配給としておおむね九日分、それから消費県におきましては、内地米基本配給は八日ということで実施をいたしております。そのほかに、希望配給といたしましては、各県を通じて十日分の内地米希望配給をやっておるという形でございます。そのほかに、内地米配給といたしましては、従来の労務加配米、これが昨年の十月から職場配給というように形が変ったのでありますが、いわば、職場における各労務者に対しての食糧配給を、職場を通じて行うという制度を別途に行なっております。これが大部分内地米配給でありますが、そのほかに、一部飲食店に対しまして配給いたします業務用米配給制度、これを実施いたしております。そのほか、内地米の大きな需要一つといたしまして、いわゆる酒米がございます。酒米につきましては、特に特定酒米品種というものがございますので、これは一般の米よりやや高く買入れをいたしまして、また高く酒屋さんに払い下げをいたしておるという形になっております。この酒米需要量は、おおむね百二十万石ないし百三十万石くらいの数字に達しております。  そのような形で内地米配給をいたしておるのでありますが、最近の配給実績というものは、この五ページの31・R・Yと書いてあります三十一米穀年度におきまする大体の推定は、基本配給におきましては約九一%の有効需要であります。九%程度配給辞退が年間を通じてあった。それから希望配給におきましては、五四%の配給辞退で、有効需要としては四五%というような程度に相なっております。これは、基本配給における配給辞退は、主として東北地帯において起っているものであります。それから希望配給につきましては、これは東北北陸等の大生産県におきましては、むしろほとんど、有効需要と申しますか、受配がきわめて少い。ほとんどゼロに近い県が相当あったわけでございます。大消費地におきましては非常に高い有効需要を示しておりますが、希望配給における受配状況というものは、生産県、中間県、消費県によりまして非常に率が違っております。最近、三十一米穀年度は三十年産米豊作の影響が非常に大きく現われておりまして、最近の一月から二月にかけまして、基本配給希望配給、ともに相当程度有効需要の伸びを示しかけてきております。  大体内地米につきましては、今申し上げましたような形で集荷を行い、また配給を行なっておるわけでありますが、この配給の面におきまして、卸売業者小売業者消費者の間の結びつき関係でございますが、これは消費者が各小売業者登録をしていただきまして、さらに小売特定の卸しに登録をしていただく、こういう形で系列をはっきりさしておるわけであります。その場合に、消費者小売業者との間は、年二回自由に登録がえができるという形になっておりまして、消費者の御希望に応じまして、年二回時期を限って登録変更ができる、こういう形に相なっております。  それから、その次に内地の芝の集荷でございますが、これは十一ページのところに買入数量の推移というものが書いてございますが、麦の集荷につきましては、これは御承知のように、二十七年から間接統制の形をとりまして、従来の直接統制をはずしたわけでございます。現在は、従いまして、麦につきましては生産者あるいは生産者団体等から売り渡し申し込みがありますれば、随時政府はこれを買い入れをするという形に相なっております。このときの現在の内憂の動きにつきましては、御承知のように、食糧管理法によりまして、麦の価格が二十五、六年の麦価をベースにいたしまして、それによるパリティ価格でかげんをきめられております。一方、その当時と麦の、食糧全体が漸次需給が緩和されて参りましたという事態等によりまして、政府の買入価格は非常に高くて、それから逆に政府の売渡価格はやや逆ざやの観を最近では呈しているわけであります。そういうようなことから、大麦、裸麦、小麦、いずれにつきましても、ほとんど大部分のものが政府の買入数量になってしまって、自由流通の数量はきわめて少いという形に相なってきております。特にその傾向は、裸麦と小麦において著しいということが言えるであろうと思います。政府の買入数量の推移につきましては十一ページのところにずっと出ております。  今申しました麦の買入価格の動きでありますが、これは十二ページと十三ページのところに書いてございます。大麦につきましては、三十一年産の大麦の買入価格は千六百九十九円でございます。それに対しましての売渡価格千六百六十五円ということで、逆ざやに三十一年産麦についてはなってしまっておるのであります。それから裸麦につきましては、買入価格が二千二百二円、売渡価格は二千百五十円ということで、これも五十二円の逆ざやになっております。それから小麦につきましては、買入価格二千百九円、売渡価格二千七十五円ということで、これも三十四円の逆ざやになっておるのであります。このような形に相なっておりまして、ここに麦の問題としては大きな問題があるのではないかというように考えておるわけでございます。  麦につきましては、かようにいたしまして、政府買い入れになりました麦を、各麦のこれまた生産県、消費県という違いがございますので、一部麦の搬出入を行いまして、それぞれの地点において製粉業者あるいは精麦業者に対して、それの需要に応じて割当売却を行なっておるという形に相なっております。  それから、その次に外米でございますが、外米につきましては、御承知のように、準内地米ないし指定外米と呼ばれておりますいわゆる日本米の系統の米がございます。それから別途にタイ、ビルマ等で生産をされますインディカ系の細長い形をした米があるわけでございます。この二つの種類の米の輸入をいたしておるわけでございますが、いわゆる指定外米はどういう所の産米であるかと申しますと、これは台湾米、それからアメリカの加州米、あるいはヨーロッパのイタリア米、エジプトの米、スペインの米等が大体指定外米と称せられるグループに入るわけでございます。それから普通の、いわゆる普通外米と称しまするものは、タイ、ビルマが主でございます。このほかヴェトナムでありますとか、中共米の一部等が普通外米であります。なお、申し落しましたが、中共米の中には指定外米のグループに属するものも  一部ございます。大体そういう形になっておりますが、現在指定外米の政府で買付を行なっておりますのは、主として台湾だけでございます。そのほか昨年一部中共の米を買付をいたしておりますが、最近買付をいたしておりますのはほとんど全部台湾米でございます。それから普通外米につきましては、タイとビルマからもっぱらこれを購入をいたしております。  これは、御承知のように、指定登録商社に対しまして入札制をもって買い入れをいたしておるわけでありますが、政府の買入場所は港の倉庫渡しということに相なっております。その買い入れました外米をそれぞれ、各地の需要に応じまして政府の方で運送をし、卸売業者に売る、こういう形に相なっておりますが、指定外米につきましては、中間県におきまして一日、それから消費県におきまして二日というものを、配給のワクにいたしております。そのほか業務用に指定外米の売却をいたしておる。それから普通外米につきましては、これは全国一律に一人当り一カ月について五キロという、これは制限があってないようなものでありますが、という形で配給をいたしております。従いまして、普通外米につきましては、ほぼ自由にそれぞれの登録をしておられるお米屋さんから購入ができるという形に、実質的には相なっておるわけでございます。  そのほか、外米の需要といたしましては、砕米を一部輸入をいたしておりますが、これはもっぱらみそ等の加工原料に向けておるものでございます。  以上のような形で外米の買い入れ売り渡しを行なっておりまするが、外麦につきましては、これは小麦と大麦、いずれも輸入をいたしております。ここに一つ表に落ちておりますが、大麦につきましては、御承知のように、カナダとアメリカと豪州と、この三地域から買付をいたしております。それから大麦につきましても同様に、カナダ、アメリカ、豪州、この三地域からの輸入であります。輸入につきましては、同様に入札制度によりまして、着港の倉庫渡しで政府買い入れをいたしまして、これを各消費地で、政府運送にかけた上で、割当売却をいたしておるという形に相なっております。  大体以上のような形で米と麦の買い入れ売り渡しをいたしておるのでございますが、次に農産物価格安定法関係のイモ類につきましては、これは御承知のように、澱粉価格、それから切りぼしカンショの価格を維持をいたすことによりまして、生産者のカンショの価格を維持していくという形で、買い入れを例年いたしておるのでございますが、これにつきましては、年々買い入れをして売り渡しがほとんど進んでおりませんために、非常に手持ちがふえております。  それから、えさにつきましては、ふすま、トウモロコシ、飼料大豆、飼料小麦というものを外国から買付をいたしまして、これを国内の時価に準拠いたしまして払い下げ実施をいたしておるのでございます。  それからテンサイにつきましては、テンサイ糖の五カ年計画に基きます生産計画に基きまして、買い入れ計画を立てて、これによってのテンサイ糖の振興をいたしておる、かような形に相なっておるわけでございます。  大体の業務の内容は以上の通りでございますが、そこで予算の中におきます主要な項目について御説明を申し上げて参りたいと思います。  この二十四ページのところにございますように、歳入といたしましては食糧の売払代、これは米と麦の年間の売却高であります。これが四千八百七十七億。それからそのほかに農産物等売払代、これは澱粉、切りぼしカンショ、それからえさといったようなものの売り渡しでありますが、これの売渡代金が二百五十五億程度であります。それから一般会計からの受け入れ十三億というのがございますが、これは学校給食の関係の麦を安く売っておりますので、その間の価格差補給の金でありますが、十三億。それから検査印紙収入、これは米麦以外の農産物につきまして公営検査を実施いたしておりますが、その際の検査手数料収入でございます。四億二千万円。そのほか雑収入として二十六億何がしの金が載っておりますが、これは現在、米または麦を卸売業者あるいは製粉、精麦業者に売却をいたします場合に、一部一週間から二週間程度の延納制度を認めております。その延納期間の金利収入がこのおもなるものでございます。以上を締めくくりました五千百七十六億というものが、食管特別会計におきます普通の歳入総額に相なるわけでございます。  それから歳出といたしましては、食糧の買入費、これは米麦国内産、外国産、含めまして四千百七十七億の買い入れ総額に相なります。それからその次に事務費九十九億、約百億に近い数字であります。これは食管特別会計に属しております職員の人件費、旅費それから庁費がこの中に入っております。約百億でございます。それから農産物等の買入費、これは澱粉その他のものの買い入れが二百四十四億円、それから食糧管理費二百六十三億円、これは食糧の運賃、保管料、それから各種の手数料等を含んだものでございます。それから農産物等の管理費も、同様の趣旨のものが十一億、それからサイロ及び倉庫運営費とございますのは、横浜と名古屋に小麦の受け入れのためのサイロ施設を持っております。そのほか東京の深川を初めといたしまして、大阪、名古屋、門司、あるいは産地の酒田でありますとか、秋田等々の地域に政府倉庫を持っております。このサイロと政府倉庫の運営のための経費が一億一千万円でございます。それから他会計への繰り入れ百二十五億、これは食糧証券を発行いたしまして、それの利子の国債整理基金特別会計への繰り入れであります。これが百二十五億、そのほかに予備費として三百億を計上いたしまして、五千二百二十三億ということに相なるわけでございます。  この五千二百二十三億と五千百七十六億との差額が四十七億円に相なりますが、これが下に書いてございます差引糧券発行増加高四十七億に相当するわけでございます。三十一年度末の食糧証券の発行高が三千四百二十億ということに相なりますので、これを加えました三千四百六十七億円というものが三十二年度末におきます食糧証券の発行高に相なるわけでございます。  そこで、ここに内訳をお示ししてないので申しわけないのでありますが、食糧管理費二百六十三億円というものがございますが、これのあらかたの内訳を申し上げますと、食糧管理費二百六十三億円の内訳は、運搬費がこのうち九十八億四千六百万円でございます。それから集荷業務取扱費といたしまして五十億五千万円。この集荷業務取扱費と申しますのは、米の集荷あるいは麦の買い入れに際しまして、指定集荷業者に対して支払いをいたしております集荷手数料でございます。五十億のうちの約四十一億程度のものがそういった金でございます。それからそのほかに集荷促進協力費といたしまして、これは都道府県に主として配付をいたしております金でありますが、約二億五千万円、それから集荷団体に対しまして予約集荷のための奨励費といたしまして七億円というものが計上いたされております。そのほか大きなものといたしましては、保管料の支払いが百十一億ございます。そのほか保管中の米麦等の薫蒸その他の手入費がございますが、約三億円余の経費を計上いたしております。以上が食糧管理費のおもな内容でございます。  それから農産物等の管理費が十一億ございますが、このうち澱粉あるいは切りぼしカンショ等、農産物価格安定法に示されております物資に関します管理費が約六億円でございます。六億円のうちの大部分は保管料でございまして、約五億一千万円余りに相なっております。それからテンサイ等の管理費が一億七千万円ほどで、これは保管料でございます。それからえさ管理費が三億五千万円で、これも大部分が保管料支払いの経費でございます。  大体以上のような内容に相なっておるのでございますが、大体米の需要量というものがどの程度あるかということをさらに申し上げておきたいと思いますが、これは四ページと五ページをごらんいただきますとおわかりに相なりますように、三十一米穀年度におきましては、売却実績としての内地米は三百四万六千トン、それから希望配給で五十七万二千トン、両者合計いたしまして約三百六十万トンほどの需要量というものがあるわけでございます。それから準内地米におきましては二十一万トン、普通外米におきまして約三十万トンというのが、三十一米穀年度需要実績でございますが、この構成は、内地米基本配給並びに希望配給が非常に大きくなりましたために、準内地米あるいは普通外米の売却が非常に減っておりますが、これを二十八年あるいは二十九年の所をごらんいただきますと、準内地米につきましては、二十八年が約二十万トン、普通外米が約五十七万トン、両方合せまして約八十万トン近い売却実績に相なっております。それから二十九米穀年度におきましては、準内地米が三十七万トン、普通外米が百八万トンということで、両者合せまして約百四十五万トン余りの需要になっております。それから三十米穀年度におきましては、準内地米が四十一万トン、普通外米が六十七万トン、合せまして百十万トンという程度需要になっておるのであります。非常に、三十年の豊作以来、準内地米並びに外米の需要が激減してきておるということはおわかりいただけるかと思うのであります。  それから麦の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、国内の買入価格と売渡価格との間に逆ざや関係になっておりまして、国内産麦はおおむね政府手元に集買されてくるという形に相なっておりますが、これを製粉と精麦と二つの業態があるわけでございますけれども、まず製粉関係におきましては、国内の小麦は、御承知のように、主としてうどんその他のめん用粉である特質を持っております。それからパン用粉といたしましては、御承知のように、カナダのマニトバ小麦を中心といたしまして、外麦を主として使っておるわけでございます。それで外麦の輸入につきましては、そういった関係から、製粉関係におきましては外麦にほとんどすべてをたよっておるというような実は形に相なっておるのでございます。外麦の輸入量はおおむね二百万トン程度のものを、小麦としては年々輸入をいたしております。三十一会計年度におきます輸入量は、約二百二十万トン程度外麦の輸入に相なっております。それから国内の小麦は、この表にございますように、買い入れとしては約五十万トン前後が例年の姿であります。大部分外麦にたよっておるという形でございます。  それから精麦関係につきましては、大裸麦を国内買い入れ外国からは外国産の大麦の輸入をいたしております。国内の麦の買入数量はおおむね九十万トンから百万トン程度のものを買い入れをいたしております。それに対しまして外麦の輸入は八十万トン前後というのが大体の姿でございます。精麦につきましては、二十七年の直接統制から間接統制に移行いたしまして以来、非常に設備の増設が行われまして、最近では非常な実は乱立状態になってしまいまして、精麦企業の操業度が約二五%前後というような形に相なってきておるのであります。そこへもってきまして、一昨年からの豊作関係等がありまして、企業の非常な倒産を続出するというような形が現われて参りまして、ただいまこれらにつきましては業界の再編成、企業整備を中心としました再編成を今実施をいたしております。小麦につきましては、精麦に比べますと、中小製粉はやはり三十年の豊作以来非常な苦しい経営を続けてきておりますが、精麦業界ほどの競争というものまでには立ち至っていないようでありますが、これは最近の小麦あるいは精麦の売れ行きを見ておりますと、やはり小麦の方が回復が早いようであります。  麦につきましては、今申し上げました業界の、製粉、精麦界の問題と、さらに国内の麦の価格体系の問題とが当面してあるという形に相なっております。  非常に雑駁に御説明を申し上げましたが、食糧庁でやっております食管特別会計の大ざっぱな内容と、やっております仕組につきまして、ごく簡単に御説明を申し上げました。
  15. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと、委員長。さっきの御説明になった数字の中で聞き落したところがあるのですが、もうちょっと……。恐縮ですが、食管赤字の内訳のところを、もう一度。
  16. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 三十二年度でございますか。
  17. 羽生三七

    ○羽生三七君 三十一年度ですね。
  18. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 三十一年度のをずっともう一度繰り返して申し上げますが、国内の米、国内産米におきまして百九十九億、それから国内産麦、これが六十二億、それから外米、これが二億、それから外国麦、これは益で百十九億、それから農産物が赤で六億、テンサイ糖が赤で四億、えさが赤で六億、その他一億、合計いたしまして百六十一億でございます。  それから三十二年度が、国内の米で百七十三億、それから国内の麦で七十五億、それから外国米で十七億、いずれも赤字であります。それから外国産の麦で黒字で百三十二億、それから農産物赤字で二億、それから……。
  19. 羽生三七

    ○羽生三七君 百三十二億は外麦ですね。
  20. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 外麦が黒で百三十二億、それから農産物が赤で二億……。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 農産物というのは澱粉だけですね。
  22. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 澱粉、切りぼしの関係です。  それから、えさで赤が七億、以上合計いたしまして百四十二億という形であります。
  23. 河野謙三

    ○河野謙三君 御説明いただいた分は、私は全部問題点を含んでおると思うのですが、これはまあゆっくりとまた……。私の希望は、小委員会か何か作って、十分質疑を尽してもらいたいと思いますが、とりあえず御説明いただいた大資料の中で一つ伺いますが、外米の買い入れは倉庫でされるということでしたね。どういう形で倉庫で政府買い入れているのですか。
  24. 武田誠三

    説明員武田誠三君) どういう形でと申しますと、具体的には、港に船が着きまして、それを、外麦でありますれば、まあサイロ施設のある所はサイロ、ない所は麻袋に詰めまして、それを倉庫に併付をいたしましたところで買っておるわけでございます。
  25. 河野謙三

    ○河野謙三君 この十ページに輸入外米政府買入価格のところの註のところで「1、CIF価格に輸入諸掛を加えたもの」と書いてありますね。「輸入諸掛を加えたもの」と特に書いてある意味が私はわからない。倉庫で買うならば、諸掛りも何も含んだもので商社から買えばいいのですよ。CIF価格とさらにプラス輸入諸掛りと、こう分けておるところは、倉庫で買っているということにはならないのじゃないですか。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連でちょっと出してもらいたいのですが、たとえば横浜のサイロへ入れますね、麦など。そのとき、施設は食糧庁が持っているでしょう。人員もこっちはそろっている。ああいうものを機械であそこまで持っていって、いくやつが倉庫に入ってくる。こういうことになると、河野さんと同じ問題が出ますね。ああいうものを例にしてはっきりした線を出してもらいたい。
  27. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ここに「CIF価格に輸入諸掛を加えたもの」と書いてございますが、CIF価格というのは、御承知のように、向うのFOBにフレートを加えまして、CIFになってくるわけでございますが、これに港における荷作りの経費、それから倉庫に入れましてからの倉庫賃、倉庫併付賃を加えました価格をわれわれの方の予定価格といたしまして、入札にかけておる、こういう形になっておるわけであります。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 それが私はわからないと言うのですよ。輸入の諸掛りというものは、それぞれの商社のリスクによってやるものであって、本船の荷役賃が幾らであるとか、麻袋が幾らであるとか、買い付けが幾らであるとか、そういうものは全部商社の計算の中に入っておるものであって、あなたの方はただ倉庫で買うというなら、袋なら袋に入ったものを入札で買えばいいと思うのです。それをCIF価格というものと輸入諸掛りを分けているところが、わからないと思うのですが、どういうわけで政府はその必要があって、そういうふうに二段階にしているのですか。
  29. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは、私の方で予定価格を建てますときに、そういう積算をやっておるわけであります。従いまして、ここにお示しいたしておりますのは、私の方としてはこの最終の買入価格一本で考えておるわけなので、CIF価格一つの参考的なものとして、これは当然出て参るわけですので、そういう形でここに注を表現しておりますので、ここにお示しいたしております政府の買入価格は、CIF価格ではございませんという趣旨で、注と書いておるようにお読み取りいただきたいと思います。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは、奥歯に物のはさまったような言い方をしないで、もっと率直に言います。商社から買うときに、輸入諸掛りも何も関係ないじゃないですか、あなたの方では。そうでしょう。輸入諸掛りは、商社が当然自分の計算で輸入が考えられるのです。運賃で商社が損するか得するかは、あなたの方の関係したことではない。農林省自体が運賃の諸掛りを計算することはない。麻袋が幾らであるとか、荷作りが幾らであるとか、最終的に倉庫まで商社の自己のリスクで持ってこさせて、そこで競争さしたらいいじゃないですか。何で農林省がそういうものを計算する必要がありますか。私はそれが不思議でならない。もっと具体的に言いますと、農林省はなぜ、私が今言うように、すっぱりやらなかったのですか。やれない理由があるのでしょう。保管協会であるとか、やれ共栄商事であるとか、輸入食糧協会とか、そういうあなたのおかかえの、今鉄道の方でいう鉄友会のようなものがあるから、それにあなたの意思が入らないようにする。この段階まで来れば、それをやらなければならないと思うのです。あなたにそういうことを言ってもどうかと思いますけれども……。
  31. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは米につきまして、たとえば台湾米なら台湾米につきまして、現地の台湾政府との間で向うの価格をきめておる。政府間できめておるわけであります。これは御承知の通りだと思うのでありますが、それを日本の港に着け、かつ倉庫でこちらは仕切るということで、政府買い入れをいたします予定価格をどういうふうにきめるかということをいたしませんと、入札それ自体に予定単価なしの入札ということはできないと思うので、そういうことで諸掛りを国の方で一応想定をいたしまして、そして想定単価をきめておる、こういう形になっておるわけでございます。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 あの、こういうことばかりあまり申し上げると……。私は、内容はあなたぐらい知っているのです。意地悪になりますから、これ以上は申し上げませんけれども、この際運送賃だとか、倉庫賃だとか、やれ何とかかんとか言う業者ににらみをきかして、そうしてあなたの方の外郭団体のようなものを、今までは認めていたかもしれないけれども、この段階に来ては認めるわけにいかないですよ。そういうものを完全に清算して出直すだけの決心が必要だと思うのです。これは大臣に言うことだろうと思いますから、これはあまり掘り下げては言いません。あとでゆっくり言います。  もう一つ、サイロのここに経費が一億一千万円とありますね、サイロのかせいでいる保管料というのは一体どのくらいあるのですか。
  33. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう一つ、ついでにお伺いしたいんですが、三十一年度政府手持米のこの線の最高のものだと思うんですが、戦前の自由販売時代の政府手持米の平均数字というか、その辺のところはおわかりになりますか。
  34. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 戦前の最高の数字ございますのですが、私ちょっと今手元に持っておりませんのですが、私の記憶では、ちょうど例の太平洋戦争が始まります前の昭和十六年の十一月一日現在の政府の古米の手持ちが、たしか四百万石余りであったように記憶をしております。そのほかに卸売り、まあいわゆる米の商人の持っております、古米だけでありますが、古米の数量がたしかに七百万石であったように記憶しております。これは米の量としてはだいぶ減ってきたときの形であります。  それから河野先生の御質問の倉庫及び倉庫の保管料をですね、普通に払ったらどのくらいかというのを実は計算したのはあるのですが、ちょっと私今記憶しておりませんので、よく調べまして、資料としてでもお渡しいたしてもけっこうでございます。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 すると、大体これは政府がサイロを作って、それの償却が、人件費くらいのものは現在かせいでいるんですか。サイロの特別の会計が黒字になっているか、赤字になっているか。
  36. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 実は、サイロと深川その他の政府倉庫とを全部一緒にして計算をいたしておりますので、それをこまかく、サイロは幾ら、政府倉庫の関係は幾らというのを、至急に調製いたしまして、その上でお答え申し上げたいと思います。
  37. 河野謙三

    ○河野謙三君 今そこになければ、あとでもいいのですが、サイロの稼働率はどうなっております、横浜とか名古屋などは。
  38. 武田誠三

    説明員武田誠三君) サイロの稼働率は、これは所期の目的までまだ達しておらないと思います。これは港におきます港湾荷役業者、労務者ですね、港湾荷役労務者等とのいろいろな関係がありまして、最初の出発当初にストその他の問題等もありましたものですから、漸次調整をして、最近ではだいぶ稼働も上ってきておりますが、所期の予定まではまだ達しておらないと思っております。
  39. 河野謙三

    ○河野謙三君 どのくらいの数字、稼働率になっております。二〇とか、三〇とか、五〇とか……。
  40. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私、ちょっと間違ったことを申し上げるといけませんので、よく調べましてから、お答えいたしたいと思います。
  41. 小林孝平

    ○小林孝平君 この資料の一番最後のページの「第三部 問題点」ということが書いてありますがね。この「消費者価格の改訂について」ということが書いてありますがね。その二行目に、「消費者家計支出はその間約一割上昇して負担能力があると考えられ、」こういうふうに、非常に米の値上げを簡単に説明されているんですがね。これはどうなんですか、こんなに簡単に考えているんですか。
  42. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは、そう簡単に考えているということではないのです。で、御承知のように、消費者価格をきめますときの一つの要素として、御承知の家計米価の問題があるわけです。そこで家計費の、家計支出の状態がどういうふうになっているかということが、やはり一つの判断をいたしますときの問題点でもございますので、その点がどの程度になっているかということを簡単に表現をいたしておりますのですが、お話のように、簡単に消費者価格を考えているということではございません。
  43. 小林孝平

    ○小林孝平君 これを一つの資料にされたのですが、この間閣議決定で値上げの方針がきまった、そのときの理屈ですね、これも一つの何なんですが、そういうものはないのですか。これだけ値上げしてもいいということが検討された資料はないんですか。つまり取りやめになりましたけれども……。このあとの方に書いてある、食管特別会計赤字だからこれだけ上げようということなんですけれども、そのとき検討したのに、このくらいはいいだろうというようなことで、ここに書いてあるようなことがいろいろ考えられたんじゃないのですか。
  44. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは私どもの方としては、幾らがいいかというよりも、ここで消費者家計支出云々というのは、具体的に昭和二十九年以来の消費者の家計支出がどの程度になっているかということを調査をいたし、それを取りまとめたことはございます。
  45. 小林孝平

    ○小林孝平君 いや、その閣議決定をしました値上げの原案をきめる際に、今もここに例が一つあがっているんですけれども、このほか、さらに、この内容でもいいのですが、このくらい上げても差しつかえがないという、その決定をされる資料というものはなかったんですか。
  46. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 消費者価格の問題をどういうふうに取り扱うかということにつきましては、お話の通りに、こういった家計支出の状態でありますとか、それから現在の各地におきます希望配給なら希望配給有効需要がどういうふうに動いているかとか、いろいろなことをやはり資料として取りまとめて参らねばならないというように思うのでございます。で、この家計費がどういうふうになっているかという資料につきましては、御必要でありますれば、別途お示しを申し上げても差しつかえないと思います。
  47. 小林孝平

    ○小林孝平君 その資料をいただきたいんです。ただ、この間、値上げをしようとして、それに合理性を持たせるいろいろの資料を作られたと思うんですね。そういうものを一つ……。ただ、素材だけでは困るんです。その結果、これだけ上げても差しつかえがないという結論を出されたと思うんです。その結論が一般大衆には非常に困るということで、特にまた自民党の方では、内部で困るという問題があったんですから、その原案の困らないという資料を取りまとめられたものを一つほしいんです。
  48. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 消費者価格を幾らにしてもいいかということについての最終的な結論といいますか、これについては、御承知のように、一部低所得者層についてどういうふうに考えるとか、いろんな議論があったわけでありまして、最終的にこれこれこういうことでこうというところまで……。ちょっと問題はそこまで具体的ではなかったようにも思うのでありますが、消費者家計支出の関係その他御参考になります資料は、お出しいたします。
  49. 島村軍次

    ○島村軍次君 今ので大体わかりますが、要するに、ここにこれだけ、小林委員のお話しになったように、家計支出から見て吸収できる、こういう見方でしょうから、その基礎を、閣議決定されたものを、これははっきり数字を出してもらいたい。具体的にいえば、今度何というか、審議会というものをお作りになって、それに対する検討資料もいろいろ出されるでしょうが、少くとも当委員会におきましては、あわせてそういう問題に関する資料も検討を加えたいと思います。従って、あなたの方でいろいろ調査された事項で、この価格関係のある事項については、今後の審議の過程において十分用意してもらいたいと思います。それだけあわせて希望いたしておきます。  それからもう一つ、卸小売との間の登録の変更の制限の緩和に関する問題、これは内容は多少存じておりますが、どういうところを問題点としてあげておられるのですか。
  50. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 米の卸売業者小売業者との間の登録関係、あるいは卸売業者それ自体についての問題等があるわけでございます。御承知のように、現在卸と小売との間には、登録関係結びつきが固定をいたしております。で、それに対しまして、いろいろな動きがあるわけでございまして、一つには、やはり卸売業者としては、地理的な関係から特定の地域だけを受け持っておる。何といいますか、非常に便利のいい地区を持っております小売屋さんをよけい登録として集めてあるという関係が、一方にございます。それから御承知のように、全国で地理的条件その他いろいろ異なっておりますので、不便な所の小売屋さんとしては、なかなか経営それ自体も必ずしも安定した形で行き得ないのです。そういう関係を卸のところで一部相殺的な調整を行わなければならないというようなことも起ってきておるわけでありますが、そういうようなことが部分的、部分的に見ますと、あっちの卸につきたい、こっちの卸につきたいというような希望が出て参りまして、これがいろいろと今、登録制度の改善についての業界からの一部の意見になっておるのであります。それから別途、卸売業者の経営内容自体におきましても、いろいろと検討すべき、かつまた、合理化をしてもらわなければならないというような面もございますので、その両者のからみ合いで登録制度の改善をできるだけはかって参りたいということで考えておるのでありますが、さしあたりまして考えられますと申しますか、検討をいたしておりますのは、やはり卸売業者の数は現在よりもふやさない形において、しかも小売との結びつきをある程度自由にすると申しますか、こういうような形ではないかと考えております。
  51. 島村軍次

    ○島村軍次君 前の河野大臣の時に、この問題についてある一つの成案ができておったように承わっておるのですが、その内容と、それからそれをどうしておやめになったかという問題について、お答え願いたい。
  52. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 前大臣の当時に、最終的なところまで決定をした形では案はできておりませんでしたわけです。その後内閣もかわりまして、いろいろと全般的に、現在の食管特別会計なり食糧管理の問題につきまして、御検討をいただくというようなことにも相なって参りましたので、そういった方面の御検討ともにらみ合せまして、この登録制度についての改善も今後さらに検討を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 島村軍次

    ○島村軍次君 手持米のうち、黄変米としての数量は現在どのくらいあるか。それから最近のでけっこうですが、黄変米として問題になってからどのくらい払い下げをされまして、その価格はどういうふうになっておるか、そこでおわかりになれば……。
  54. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 病変米の最近の手持ちは約十一万七千トン程度でございます。その後またさらに売却を一部いたしたりしておると思いますので、さらにまた変ってきておると思いますが、おおむね十一万七千トン前後に相なっております。で、三十年の二月以降病変米を今日まで処理をいたしました数量は、全部で約二万七千トン程度でございます。  これを処理をいたしましたおもな用途は、食品加工用に約一万七千トン程度、それからアルコール原料を約七千六百トンほど、それから糊用に二千トン余りがおもな内容であります。これらの処理をいたしました単価は、用途並びにその売却をいたしました時期によりまして非常区々でありますが、大体、これらのものすべてを平均いたしまして、今日まで処理いたしました価格は約六万円ぐらいのトン当りの単価に相なっております。この中には、指定外米等政府の原材料用の払下価格が非常に高いものがございますので、そういうのを一部原材料用の価格そのままで売却いたしておりますものもありますので、平均単価としては約六万円ほどに相なっております。
  55. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうしますと、つまり払い下げの普通の価格の何割安というぐらいになるか、概算ですね。
  56. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは、政府の現在原材料用に払い下げいたしております価格が、実は昨年普通外米の値段を下げましたりいたしましたときに、同様に価格改訂をいたしたわけであります。当初三十年の初めごろは、原材料用に指定外米を売ります場合のトン当りの単価は、八万円を相当オーバーしておったと思います。私こまかく今記憶いたしておりませんが、八万数千円であったと思います。それから普通外米の原材料用価格も、やはり六万円前後であったように記憶をいたしておるのであります。それが最近の政府の払下価格は、普通外米につきましては五万三千円前後の価格に値下げをいたしております。従いまして、その間の政府の原材料用価格払い下げの推移につきましては、御必要でありますれば、別途資料をお出しいたします。
  57. 島村軍次

    ○島村軍次君 まあ、あとからできるだけの資料をお願いいたしたいということを希望を申し上げておきます。  それからさらに、問題はやはり、中間経費と俗に言う、それについていずれ御検討になっておろうと思うのですが、そこでそういう内容を、最近の二、三年間くらいの推移を一つ詳しいものを、まあ原価といいますか、そういうふうな意味になる資料を一つお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、その年の需給情勢によって外米を輸入されるのだろうと思いますが、たとえばタイあたりに参ってみますと、タイの方ではぜひ買ってもらいたいと言う、こちらの方では買いたくないと言う。しかし、やはり外国貿易との関係なり、国のあらかじめの契約とかいうような関係で、昨年、一昨年のような豊作であっても、二十六年、七年くらいの輸入数量とあまり変っていない。そういう点に、非常な無理というか、あるいは取引上のかけ引きとも関係がある問題ですが、外貨の関係その他で、農林省の御主張通りにいっていないのではないかと思いますが、その点、もし事情がわかったら、知らしてもらいたい。  それから、これを端的に言いますと、たとえば今河野委員もお話しになったように、政府の手持ちが、石数にいたしますと、三十一年十月末では九百五十九万九千石と、こういうことですね。そうなりますと、大蔵省あたりの考え方、あるいは従来自由党で統制撤廃を考えた時分には、手持ちが相当あれば統制撤廃をしてもいいのだという機運があった時代もあるのです。  これは私の意見ではないのですが、すぐそういうふうなことに結びつきやすいと思うのですが、それに対する今の考え方を一つ率直に聞かしていただきたい。
  58. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 政府の手持米につきましては、この資料にもお示ししてございますように、十月末に非常に大きな数量を手持ちをいたしておるわけであります。これは三十二米穀年度、従いまして、本年の十月末の持ち越しというものがどういう形になってくるかということが一つの問題になって参ることだと思います。この中の手持ち総量がここに示してございます数字でありますが、このうち内地米と外米とにこれはそれぞれ分けて考えなければなるまいというように私ども考えておるのでありますが、内地米の、特に内地古米の手持ちがどのように常時おかれるかということによりまして、需給関係あるいは統制の緩和等の問題も一つの目標、指標として問題になってくることだと思うのであります。この三十一年の十月末は、ここに書いてあります内地米の手持ちが約七十万トン、五百万石程度のものになっておるのでありますが、私どもの方で三十二米穀年度についての需給の推移の想定をいたしておりますが、その結果としては、この七十数万トンの手持ちは、今年の十月には四十万トン程度に、四十万トンを多少割るくらいのところに減るのではないか。現在のまあ配給日数を維持をいたして参ります場合には、四十万トン程度になるのではないか。その当時私どもが見通しておりましたよりも、やや希望配給等については最近の需要は強くなってきております。従って、あるいはさらにその数字を下回るというような結果に、今年の十月としてはなるのではないだろうかというような見方をいたしております。ここの内地米の手持ちがどの程度あれば安心であるかどうかということは、これはやはりその年の作柄いかんで非常に大きく左右されて参りますので、ただ単に手持ちの数量が多い、少いということだけで、食糧管理の方式なり統制をどうとかいうようなことは、これだけではとうてい判断はできない問題ではないかというように考えております。
  59. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 この資料の「問題点」の最後に、「麦の買入価格決定方式について」とありますが、その最後に「弾力的な運営を困難にしている」というようなふうに書いてあります。これは逆にこれを考えてみると、麦の価格というものはパリティによってきめられておるのだと。従って、下げたいと思うけれども、なかなかそれがじゃまになって下げられないというような意味に解せられると思うのですが、ここの「弾力的な運営」というもの、これは法律によってパリティというものがきまっておるのですから、これをどうしようというのか、これをどうすればいいとかいうようなお考えを持っておられるのか、何か腹案がありそうなふうに見えるのですが、そのお考えを伺いたい。
  60. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ここに「弾力的な運営を困難にしている」と、こう書いてございますが、御承知のように、かつまた、先ほどちょっと御説明を申し上げましたように、現在のパリティ価格によります政府買い入れ価格の方が、現実の麦に対します需要者側の実勢価格よりも、はるかに上回っておるのであります。従いまして、形式的には間接統制ということに相なっておりますが、ほとんど直接統制と変りがないというような形になっております。で、一方で精麦の価格にいたしましても、あるいは製粉の価格にいたしましても、これは別にマル公があるわけではございませんし、企業それ自体も自由になっておるわけであります。そこで、御承知のように、麦の消費者価格と申しますか、各製品の価格につきましては、米なりそのほかの食糧価格なり、そういったものの供給力が豊富であるかどうかということによって著るしくまあ左右されるわけであります。で、そこで本来麦を間接統制にもっていっておりますことの本旨としては、国内の麦につきましてある程度自由な流通がなされるということが前提であり、そのことがまた企業自体の発達にも健全な役割を果していくと思いますし、それから農家の方の収入と申しますか、といったものにつきましても、これは農産物価格安定法と同じでいいかどうかということについては問題があると思いますが、一定の支持価格といったような意味合いが相当強かったものであると思います。で、二十六、七年当時の米と麦との間におきます主食としての何といいますかバランスと、最近の両者の間におきますバランスというものとは、おのずから違ってきておると私は考えます。で、そういうような意味合いから、この買入価格と売渡価格との間の現在の逆ざやというものは、今後まあこれが続いて参りますと、食管会計の赤字ということだけの問題でなしに、これはぐるぐる回りを生じてくる。政府から払い下げを受けて、またそれを政府に売るという形が起ってこないとは言えない。そこにまあ非常に大きな危険があるわけです。そういうふうな逆ざや関係を生ずるような形の制度というものが果して妥当であるかどうかということについては、私は非常に疑問があるのじゃないかというように実は考えておるのであります。  で、これに書いてありますのは、そういった意味で、実際の実勢価格よりも高いパリティ価格になっておりますので、そこで買入価格が突っぱられてしまいますと、そのほかの施策がそれによって非常に大きく影響されるという意味で、弾力的な運営が困難であると、こういうふうに書いておるわけであります。  で、これに伴って法律改正したり、あるいはどういうふうにするかということについて、具体的に今対策を持ち合せるかということの御質問と思いますが、これにつきましては、いろいろなことが考えられると思いますが、特にこうでなければ、これが一番いいというところまでの結論は、まだ持ち合しておりません。しかしながら、麦作というものを、いわば畑作をさらに振興して、国内の麦作なり、麦作農家の経営コストというものをできるだけ安くしていくというような施策が一方でとられると同時に、現在の麦の買入価格なり何なりにつきまして、さらに所要の改善措置が講じ得られれば、その点はある程度円滑な行政の推進ができるのではないかというような点を考えております。
  61. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 お話を伺っていると、どうもパリティというようなものについて若干非難をし、否認をしようとする傾向のように受け取れるのでありますが、農業収入面で米に次ぐ重要なものでありますことは御承知の通り、ただいまもお話がございましたが、これがパリティによって買い上げられておるという基本を変更するということになりますと、これは大へんな問題が起るのではなかろうかと思うのであります。すでに麦価を下げて……。先般下げられましたね、二月でございましたか。これによって逆ざやは一そうその幅が増大してきておる。どうしてそういう場合に、需要供給の関係によって下げられたものだとは思うけれども、そういう現象が現実に施策の上で起って、そしてその逆ざやが大きくなった。従ってパリティというものがじゃまになって、ここで弾力性を失ったから、それによって改変の意図があるやのにおいをさせますることは、生産者にとっては非常な不安が増加をする傾向になるのではなかろうかと、かように私は思うのであります。少くともこの間接統制といえども、一応農産物価の安定を基本としてそれによってきめられておると思いまするので、先般麦価をお下げになりました、しかも逆ざやであると言いながら、その逆ざやが一そう幅を広くする現象を生じておるのでありまするが、これをお下げになりました理由等について、簡単に伺いたい。
  62. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私の御説明の仕方が非常にまずかったかと思いますがパリティそのものを否定するとか、そういうつもりで申し上げたものではないので、たとえば二十五、六年のときの価格そのものがきわめて永久に妥当するものであるかどうかということに、まあ一つの問題があるんではないだろうかということなので、もちろん、価格の形成方式としてはパリティ方式というものもございまするし、あるいは生産費方式もございましょうし、米のように生産費及び所得保証というような考え方の算定の方式もございましょうし、まあいろいろあると思うのでございます。そこでパリティ価格、現在の制度そのものが全部悪いとか何とかそういうことではないので、現実に二十五、六年の価格でパリティをずっとはじいていきますと、そこに値下げをしてわざわざ逆ざやを作っておるつもりは毛頭ないのでして、国内の麦の価格と現実に国内消費をされますときの末端の価格との間に、どうしてもそのバランスがとれてこないという形になっておったわけです。で、その間のさやを一般会計で繰り入れをして負担をするという方式がとられるならば、これはまた一つの考え方であるかと思いまするけれども、ともかくもそこに非常に大きな幅が出て参りますると、先ほども申し上げましたように、買い入れなら買い入れについてぐるぐる回ってくる、悪循環をしてくることを防ぐために、買い入れ期間の制限をつけなけりゃならぬとかいうようなぎこちなさも一面出てくるかもしれない。そういうような点について、さらに基本的に現在麦価なり何なりというものについて、もう一度再検討をする余地があるのではないだろうかと、こういうことでございます。
  63. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは根本的な問題でございまするので、いずれまた詳細に伺いたいと思いますし、ここで議論をいたしましてもどうかと思いますが、もう一つついでに伺いたいと思いますのは、先ほどの私の聞き違いかとも思うのでありまするが、かつてもそういう御意図があったように伺ったときもあるのでございまするが、たとえば買入時期を変更する、あるいは短縮する、時期を切るというようなことをお考えになったことがございますか。将来またそういうことにおいて生産者に及ぼす影響というようなことを御研究になったことがございますか。
  64. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 麦の買入時期の制限について考えたことがあるかというお尋ねでございますが、これは研究したことがございます。それは今申し上げましたように、買入価格の方が払下価格よりも高いという形になりました場合に、まあ私どもといたしましては、一度政府が売りました麦がまた政府に還流してくるということでは、何のためにやっておるのかわからない、非常な弊害を生ずるということもございますので、麦の出回り時期として、最盛期は大体九月一ぱいでほとんど九〇数%のものが政府に従来買われておるわけでございます。そういうことから、たとえば十月末まで買い入れを行なって、それ以後は買い入れをストップして、それからあと新麦の払い下げをしていくというような方法が、一つの考え方として考え得るのじゃないかということを検討いたしたことはございますが、その方式がきわめていい方式だとは思っておりませんし、今すぐそういうことをやろうというようなこともまだ考えてはおりません。
  65. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 わかりました。もうちょっと簡単に……。去年の麦価の決定に当りましては、小麦の価格比によって基礎計算をされたと思っておるのでありますが、ことしの予算に計上されておりまするものについても、やはり小麦の価比、価に対するところの比例によって基準をおきめになったのか、その点伺いたいと思います。
  66. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 麦の買入価格につきまして小麦価比を使いましたのは、二十九年と三十年でございます。昨年は小麦価比はたしか私使わなかったように記憶をいたしておりますが、ことしの予算麦価につきましては、小麦価比は使っておりません。
  67. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 あれはどうして小麦価比を……。これだけじゃありませんが、今までにもいろいろ、食糧庁でも計算をされる基礎になるべき価格を、いろいろなところにお変えになるように思うのでありますが、小麦価比にすることにおいて価格が上る、一般国内産麦が上るというような考えか、あるいは、もし小麦麦価を基礎にしたときにそれが下るようになったのか、そういうことはおわりじゃございませんか。そういうことでお変えになるのではありませんか。
  68. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 二十八年の大麦、それから裸麦の価格をきめました際に、対小麦価比を使いまして加算をいたしております。これは御承知のように、二十七年に間接統制に移りました。で、小麦につきましては、政府への買い入れが相当進んだわけでありますが、大麦、裸麦につきましては、ほとんどまあ自由流通の形になりました。価格それ自体が非常に不安定な形になったわけでございます。そういうふうに、大、裸に対しまする需要も一方で強くなったこと、それから小麦につきましては、小麦と大、裸との間の需給関係等も、大、裸精麦関係の方がやや苦しかったというような形もありまして、これの大麦、裸麦についての買入価格をパリティで算出いたしましたよりもやや上回った価格にきめた、こういうために使ったわけであります。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この十六ページにある三十一年度の食管会計予定損益計算書ですが、これにある期末現在高三千十四億かのものが、今後七月までの間に調査会の決定いかんによって消費者米価が上れば、この評価が変ってくるということがあるのですが、これはこれで決算として出るのですか。私、わからぬので、盛んに論議がある問題ですからお伺いします。
  70. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 例の評価のことですが、いろいろ論議をされておるのでありますが、これは食管特別会計損益の場合に、三月末日現在で持っております米なり麦なり、そういったものをどう評価するかということで、損益が、御承知のように変って参るわけであります。で、この前年度よりの繰越高、この中に米の持越量あるいは麦の持越量が全部入っておるわけでありますが、私どもの方で従来とも三月末の評価をやっております方式として、修正売価主義をとっております。これはその三月末に持っております米で、その年の米穀年度、従って十月末までに配給に充当するものが大部分三月末にあるわけでありまして、その米が一体幾らで売れるであろうかということの価格から、それを売却いたしますまでの見越し経費——金利でありますとか、あるいは保管料でありますとか、そろいった見越し経費を差し引きまして、その値段で評価をいたしておるのであります。それを修正売価主義と一応呼んでおるわけでございますが、そこで四月以降に、消費者価格と申しますか、政府の払下価格を変えるということに相なりますと、三月末の、今の修正売価の計算方式が違ってくるわけであります。で、そこの四月以降の売渡価格をどういうふうに計算をするかということによりまして、三十一年度末の全体でいえば百六十一億、内地米についての百九十九億というものの損益が違ってくるわけであります。で、そこのところが今いろいろと御議論になっておられるところかと思います。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはそういうやり方でなく、次の米穀年度、次の予算年度へそのまんま持っていって、この再評価益が出るなら出るで、翌年度へ出ていくというやり方で、なぜいけないんですか。帳面の上ではもうこれならこれできめて、その後に出てくるのは翌年度の利益なりあるいは損失なりで出てくる、そういうやり方でなぜやらないのですか。
  72. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これはまあ大蔵省の方のお考えもあるかと思いますが、私、いい悪いと申しますよりも、百六十一億というものを三十一年度中に繰り入れをいたしまして、そして四月なり、あるいは七月なり八月なりに、かりに値上げをいたしました場合には、三十二会計年度の食管特別会計は何十億かの黒字を結果するということになるわけです。それから今の百六十一億を本年度中に繰り入れをいたさないで、そうして決算確定後に決算上出ました赤字を繰り入れました場合には、三十二会計年度としては、最後の繰りが前年度の百六十一億が幾らになりますかわかりませんが、その赤字を埋めて、三十二会計年度において生じただけの赤字なり黒字が出てくる、こういう格好になるわけであります。で、そこで百六十一億というものが、一応四月以降現在の価格のままでいくということの前提に立っておるわけでありますから、その前提を変えていくということになりますならば、この数字が変ってくるわけでありますから、これはむしろ決算確定後に繰り入れを持っていくということの方がその点では明確である、こういうことではないかと思っております。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに翌年度に、事実としてはもう四月一日以降になっているものを、いろいろ操作してひっくり返して、三月三十一日現在の決算というものに持ってこれる根拠は、どういうところにあるのですか、会計年度をそういうふうに自由にやれる根拠はどこにあるのですか。それは七月までのところは支払勘定や何かは、出納は閉鎖しないかち、それはやっていくでしょうけれども、しかし前年度分はあくまでも前年度分で始末をつける部分だけなんで、新しく起ってきている要素は、その新しく起った年度で始末すべきではないのですか。何かしろうと論なんですが、私の議論は。
  74. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 期末に持っております在庫をどう評価するかというような問題なんで、そこで食管特別会計の、何といいますか、損益というものを、できるだけ健全な形といいますか、あるがままの形に表現をしていくということが本来の目的であろうと思います。そこで、当然高く売れるべきものを故意に安く評価をするということは、これは含み益を多くする、こういうことになると思います。それから故意に高く評価するということになりますと、これは翌年度への赤字を、一種のタコ配に似た格好で赤字を含んだ、つじつまは合っているけれども赤字を非常に強く含んだ帳じりになっている、そういうものはむしろ会計のあり方としては不健全なので、このように売れるというはっきりした見通しの立った場合には、それによって評価をして、最後の決算をするということが、形として正しいのではないのだろうかというように考えて、こういう修正売価主義というものを従来からとってきておるのであります。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現在では消費者米価の値上げということはないのですから、なくても、決算期にきておるのですから、そういうことがもう確実に予定されておるというならともかくですが、形の上では消費者米価を上げるということはないわけです。ないこの事態で、何というか、利益を含んでおるとか、過大な損失を見積ったとか、過小評価するとか、過大評価するとかいう、そういうような問題はないのです。現在の状態において正当な評価をしたものがその金額で、あとは来年度でそれはどら評価されようが、それは来年度回し。ことしで終る食管会計ではないですから、そういうことで会計年度々々できちんと押えていくということが、なぜいけないのです、今の説明を聞いても、その点は私はっきりわからないのです。わからぬが、いいです。答弁はしなくてもいいです。あとの別の機会がありますから……。  そんなら、この間やった、取り消しはしたが、閣議決定に一応なった、前内閣でなった消費者米価を幾らか上げるということは、どれだけのものを金額的にカバーしようということで計算されて、あれだけの米価引き上げということを、一応取り消しになったけれども、予定したんですか。これは一応物事の考え方として、事務的にお伺いしたい。
  76. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これはどれだけの赤字を消すということが主たる目的で、値上げなり何なりをきめたと申しますかについての論議があったということではないので、それは一つの……。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはそれでいいから、それなら結果として……。
  78. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 結果としてなり、要素としては、もちろんあると思うのです。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どのくらい……。
  80. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは現在のお話の、御承知のように、現在政府配給いたしておりますお米の国内産米のコストでずっともって参りますと、末端の消費者価格というものは一升が百二十二、三円になってくると思います。それで、従いまして、この前の希望配給制度最初にやりましたときに、消費地希望配給価格一升百二十円という計算を出しておりますが、百二十円ないし百二十二、三円というのが大体のコスト価格になっておる。そこで、そこまで値上げをいたしますれば、国内内地米についての収支はおおむね、とんとんになるという形であると思います。あの当時のいろいろ、新聞紙上等にも出ておりますが、一升百十七円五十銭というような形になっておる、その限りにおいては、国内産米だけをとらえますと、あれだけでは赤字は消えないという値段でございます。で、その間の米におきますそういった損失を、外麦なり何なりでカバーをして、食管の収支がとんとんになってくるかどうか。というのは、ほかの方の赤、黒とり関係が集約されて、食管会計としてどうなるかということになるわけでありますが、国内内地米に関します限りは、百十七円五十銭というあの当時出ておりました価格では黒字にはならないし、赤字のままになっている。それからなお百六十一億というものがどうなるかということにつきましては、これは値上げの時期がいつになるかということによって大幅に変って参ります。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから、あと二つで済みますから、簡単なことで……。将来そういう形になった場合ですね、えさなどの損失というような、えきの問題ですね、こういうものは食管会計というもので経理して妥当なものなんですか。えさは人間食わないものですがね。
  82. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは当初に申し上げましたように、食管特別会計が、御承知のように、当初食糧管理法の中の物資だけを扱っておったわけですが、農産物価格安定法、それから飼料需給安定法、さらにテンサイ振興法、こういったものによりまして、それぞれの特別会計を作るという行き方ももちろんあると思うのでありますが、特別会計を立て、かつそういったものを、これは現実に物を管理をし、操作をしなければならないものでありますが、そういうものにつきまして、人件費なり事務費なりの関係、あるいは仕事をやって参ります関係上、米麦を扱っております食管の中での一つのパートとしてそういうものを扱うということの方が、そういった面では合理的な面もあるわけで、そして食管会計の中でああいったものの買い入れ売り渡しを行なっておるのでありますが、これを各部門別に、主要食糧の勘定、えさの勘定、それから農産物勘定というような勘定を明確にいたしまして、勘定別に中を切り離していくという行き方も一つ考えられると思うのです。それから、あるいはまた、全然別個の特別会計にしていくというやり方も考えられると思いますが、これらの点については、私どもとしては今後どういうふうな形が最もいろいろな面から見て合理的であり、はっきりしているかということについては、検討をいたさねばならないというつもりで、いろいろとやっておるのであります。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に、そういう一例をあげて申したことは、税金として一般会計から繰り入れようが、消費者米価としてめいめいの家計に響こうが、負担するのは国民一般なんですね。それに国民一般が必要としない、特殊なものが必要とするえさとか、あるいは主食でないというと語弊があるけれども、農産物のある種のものとか、こういうものが消費者米価の値上げなどということでカバーされるということには、しろうと論議としては疑義があるのです。これは検討してもらいたいというふうに私は思うのです。  それから資料の要求をしますが、先ほども羽生君から質問されておりましたこの赤字の内訳ですね、米が幾ら、麦が幾らと出たからといって、それを聞いた私はははあと聞くだけのことです。なぜこういう赤字が出てきたかという点を資料として出してもらわなければ、検討のしようもない。で、米について百九十九億といって、まあ生産者価格消費者価格との価格差というものもあろうし、中間経費というものもあろうし、外米の買付の仕方もあろうし、いろいろ内訳としては損失も出てきておる計算があると思うのです。で、この内訳をわかる程度のものを出してもらいたいし、それからこの予定損益計算書で損失の部、利益の部などということで出されて、株主総会へ出ていってこういうものを持たせられたと同じです。何のことかわからない。数字だけはきちんと合っている。検討のしようもない。従って、これをこういう計数を出した資料を、その前の資料を出してもらいたい。私はそういうことを申し上げるのは、皆さんの方でこそ積極的にそういう資料を出して、こういう企業と申しますかの努力をしたけれども、こういう赤字が出たのだ、しかしこういうやり方でここに欠陥があったので、実はもっとこの部分については損失を小さくすればよかったけれども、こういう事情でこれだけの損失に出てきたと、いろいろ理由があるでしょう。そういうことを積極的に言われなければ、読売新聞その他に出てきておるような伏魔殿式な印象しかわれわれは持たぬです。積極的にそういうものを出してもらいたい。出てきて、それでなおわからなければ、その出た資料を計算したその前の資料を私はまた要求します。それは国民の税金なりあるいは国民の負担でまかなっている会計なんですから、あなたの方で積極的にそういうものをこの国会を通してどしどし出して、国民の前に明らかにする義務があると思うのです。いろいろ言われれば言われるほど、そうしてその中に少くとも、これはよけいなことを申し上げるようですが、食糧庁自身としては、人為的に行政の、と申しますか、操作のやり方が悪いために損失を大きくしたなどという問題については、積極的にこういう運営はよくなかったというような自己批判書くらいは出すべきですよ。それを何でもつじつまを合わす、あるいはふたをするというふうに聞える。そんなことにないと思いますが、あなたは。ないと思いますが、そういうふうに聞えるから、そうかそれでは一つ聞いてみようかということで、いろいろ聞きたくなる。だから、これだけの資料ではわれわれしろうとにはわかりません。で、これの赤字の現われた内訳を出してもらうことと、損失の部、利益の部、この計数の出ている根拠資料を出していただきたい。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連で。さっき島村さんが言うていられたが、黄変米の買入年度以来ずっと支払った倉庫料、それから保管料、金利、それに手持分量等もやられると思いますから、そういうような手数料等の経費、それから今まで払ったのはどのくらいあるか、それを一つ
  85. 仲原善一

    ○仲原善一君 米価に関係した問題でございますが、特に生産者米価と申しますか、買入価格に関連した問題で、一点だけお伺いしたいと思います。それは、歩どまりの加算の問題でございます。これは去年は、硬質米のできる地域の特殊上御考慮になりまして、政策的な配慮もあって、一石当り二十五円というものを加算されております。まあ、ことしもこの歩どまり加算をどういうふうにお考えになっているかということをお伺いしたいわけですが、もっと具体的に申し上げますと、私の方で農林省で作っておられるいろいろな資料をもとにして計算してみますと、大体基準になる米価は歩どまりが九三・六%、これは去年でございますが、九三・六%というのを基準にして基準の米価をきめておられるようでございますが、ところが、実際にはこの九三・六%以上の歩どまりのある県が相当ございます。たとえば九匹・二%に相当する県が実は十二県ありまして、これはまあ県別に申し上げますと、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、それから東京、神奈川、山梨、長野、それから岐阜、鳥取、島根と十二県ございます。それからさらに九四・三%でいわゆる〇・七%も上回っている県が十七県でありまして、これが静岡、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、山口、徳島、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、それから鹿児島の十七県です。それから九四・四%の歩どまりの県がございまして、これは差額が〇・八%になりますが、これが愛知、一重へ岡山、広島、愛媛と五県であります。多いのになりますと、実に九四・五%で、〇・九%以上の県、これは香川県がございます。こういうふうにいろいろ県によって差等があるにもかかわらず、大体九三・六というのを基準にして歩どまり加算をやられております。結局、歩どまり加算、この九三・六%以下の県の米の値段のこのしわ寄せを、先ほど申しました多くの県が負担しているという結果になっておりまして、これをさらにもう少し具体的にお話し申し上げますと、去年の米価の九千五百七十円というこの基本米価に対しまして、先ほど申しました十二県分の県はさらに五十七円四十二銭というものを加算していただかないと、バランスがとれない。それから十七県分につきましては六十六円七十銭、それから五県分につきましては七十六円五十六銭、それから香川については八十六円十三銭という加算が、実は公平な計算の基礎になると思います。で、全体これを総計して平均してみますと、六十五円四十四銭という加算をすれば、平均で大体バランスのとれた米価になるということが、計算の上で出てくるわけでございますが、この点、ことしの米価の中に農林当局としてはこの歩どまり加算というものを御考慮になっているかどうかということを、お伺いいたします。
  86. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ことしの米価と申しますか、具体的には米審で決定されるわけでありますが、予算を構成いたしました際の米価の中には、歩どまり加算と申しますか、これは結局東北北陸等の軟質米地帯の米と硬質米地帯の米との間の格差をどう見るかということであると思います。昨年は、その当時の情勢といたしまして、その間の格差を二十五円というふうに考えておったのでありますが、軟質米地帯を下げて硬質米地帯を上げるという操作をせずに、その半分の十三円を硬質米地帯に加算をしたという形になっておるのであります。本年の予算米価の一万円の中には、その中でその間の必要な格差についてはつけていくと、こういう考え方をいたしております。
  87. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話では、去年より以上には……。去年の範囲内で加算するということでございますか。
  88. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは幾らの格差にするかということにつきましては、過去の米価もさらによく計算し直してみる必要もございますので、そのとき幾らつけるかということは今から申しかねますけれども、一応昨年と同じ関係とすれば、両者の間の開きは二十五円程度になるものと考えます。
  89. 仲原善一

    ○仲原善一君 これは関係する農民が実にたくさんございまして、先ほどお話しの軟質米地帯については、大体例の早場米の奨励金というので相当農民が潤っておりますけれども、関東、関西地域の農民については、先ほどお話ししました通りのこの歩どまりの点で、非常にアンバランスになっているという声が非常に多うございます。従って、彼ら農民の中の強い要望といたしましては、この歩どまりのみならず、硬質米については、さらに食味のいいということやら、水分の少いということやら、従って非常に保管がやさしいし、それから輸送の場合も非常に便利だということで、歩どまりの加算の上にさらにアルファを加えてほしいという要望が熾烈にございますので、計算上出てきます六十五円何がしにさらにプラス・アルファをつけてほしいという要望があるという点を、よく御承知の上で、予算的な措置なり、米価決定の際に十分御考慮願いたいと思うのであります。全体の金額で約六億五千万円ばかりになるようであります。
  90. 安部キミ子

    安部キミ子君 先ほど清澤先生から黄変米のことと、それから倉庫料の事柄について資料要求をされましたから、私はその質問は省きます。  先ほどのお話の中で、黄変米が今十一万七千トンもあるという報告でしたが、一年間に二万七千トンの処理ができ、あとは置いておいても、黄変米は拡大しないんですか。
  91. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 病変米につきましては、置いておきまして、もちろん長い期間になりますと、米質そのものが痛んで参る面がございますが、病変菌そのものが非常に進行をするということは、一方で燻蒸等も入りましたものについてやっておりますので、必ずしも進行をするという形は認めておりません。  で、現在病変米につきましては上、中、下の三つに、菌の専門家に仕分けをしていただきまして、それで上のものをさらに菌検定を非常に精密に行いまして、菌検定の結果、無菌の判定の出ましたものについては、食品加工用に回したい。それから仕分けの結果、内部まで相当の病変菌の滲透があるというように認められますものは、これをアルコール原料に回して参りたい。で、中間見当のものはいずれに属するかは問題でありますので、これについての処理の方法なり、菌検定の問題について、現在サンプリング協議会というものを、大学の先生方にお集まりを願って作っておりますが、そこでサンプリングの方式を今検討していただいております。
  92. 安部キミ子

    安部キミ子君 そんな金のかかる黄変米を、国民の税金でかかえておるという管理のやり方に対しては、私は疑義があると思うのです。そういうふうなことをなさるから、毎年赤字はますますふえる。おそろしい悪いものだったら、早く処理をして……。このデータでは何年くらい古い米があるかわからないけれども、この資料も私は出してもらいたいのです。何年前に買い入れた米がどれほど積っているかという在庫品の明細書も、この次の委員会にいただきたいのでありますが、去年は決算委員会で黄変米のことが出たし、それで決算委員会でもいろいろ食管会計のことで問題があった通りなんですから、よほどあなたの方で食管会計のことについてはこまかい配慮がなければ、ますます国民は迷惑すると思います。いろいろ質問したいことはたくさんありますけれども、これはまた次にします、きょうはおそくなりましたから。
  93. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 前の河野農林大臣は本委員会で、農産物価格が支持価格を割った場合においては、予算がなかったらば、予算は移用してでも買い上げて、支持価格を割らないようにすると、こういうふうな声明を本委員会でしておられるのであります。現在カンショ澱粉及びバレイショ澱粉は支持価格を下回っているというお考えでありますか、維持しているというお考えでありますか、また需給関係はどういうふうになっているというお考えであるか、その点をお伺いしたいと思います。
  94. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 澱粉の問題でございますが、澱粉価格につきましては、必ずしも政府の買入価格を維持しておるとは思いませんが、一時よりは上向いてきておるものと考えております。澱粉の問題につきましては、今後砂糖の価格等にも非常に大きく影響してくると思いますが、そういったものとのにらみ合いも十分考えまして、澱粉についての処理は誤まりなきを期して参りたいというように考えます。
  95. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在、それではどのくらいの、需給関係で過剰があるとお考えですか。その過剰があるために値段が押えられているということだったならば、それだけの数量政府が買い上げなくちゃいけない、こういう段階になるのでありますが、そういう点についてのお考えを伺いたいと思います。
  96. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 澱粉買い入れにつきましては、私ちょっと具体的にこまかい数字を今持っておりませんので、申し上げかねますが、政府買い入れにつきましては、御承知のように、いろいろ各方面からのお話もございますわけでありますが、従来の予定計画に沿いまして買い入れは進めて参りたい、かように考えておるわけであります。
  97. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 昨年政府は、二月十四日から六月二十五日までの間に二千六百六十五万貫、これはカンショ澱粉、それからバレイショ澱粉が百九十六万貫、こういうふうに買い上げている。そういうふうなことで、ある程度澱粉価格を維持することができたのです。それで本年におきましても、少くとも昨年同様くらいは買い上げて、価格の維持をして、農産物価格安定法趣旨を徹底さすべきであると考えるのでありますが、現在においては、まだ、どのくらいの数量を今年度内に、三十一年度内に買い上げるという予定がないのでありますか。
  98. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ちょっと今詳しいデータその他を持っておりませんので、お答えいたしかねますので、後ほど担当の課長なり部長から御説明を申し上げたいと思います。
  99. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私の計算によれば、少くとも過剰が千三百万くらいはあるのじゃなかろうか、こう考えるのであります。でありますから、千三百万のうちの少くとも半分以上は、本年度内に買い上げていかなくては、澱粉価格の維持ができないのじゃないかと考えるのであります。河野農林大臣は、さっきも申し上げたように、支持価格を下回る場合においては、いつ何どきでも、予算がなくても、移用によって買い上げる、こういうふうなことを言明しておられるのであります。もし政府の方で支持として買い上げないということだったならば、前大臣の言質に反することになるような気がするのでありますが、いかがですか。
  100. 武田誠三

    説明員武田誠三君) お話の点につきましては、私詳しくその間の事情をちょっと、申しわけないのでありますが、承知いたしておりませんので、よく長官その他にも御質問の趣旨等を御説明申し上げまして、別の機会に責任のあるお答えを申し上げたいと思います。御了承を願います。
  101. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それからいま一つ、買い上げの問題については、政府の支持価格の値段以上で作ったところの澱粉でなくては、政府は買い上げないのだ、こういう説明があり、また政府当局からも、各地方庁その他業者にも通知が出ているのであります。でありますから、今回余ったところの澱粉を買い上げる場合においても、最初政府の声明のような条件のものに限って買い上ぐべきであると考えるのでありますが、この点いかがでありますか。
  102. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 澱粉買い入れにつきまして、原料イモの価格が想定をいたしております支持価格以上の価格の原料を使ったものということが、農産物価格安定法価格支持の一つの、何と申しますか、建前としての考え方であります。従いまして、これにつきましては、できるだけそういう形のもので確認し得ます限り確認をするという方式で、そういうものを買っていくということにいたしたい。現にもうそういう考え方で取り進めておるものと思っております。
  103. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは、現在澱粉政府の支持価格に達していないのだから、すみやかに買い上げてもらいたいという要望と同時に、その買上げる場合においては、なまイモの値段が政府の支持価格以上のものをまず買うと、こういうふうなことですみやかに方針を決定して、買い上げていただきたいという希望を述べて、私の質問を打ち切ります。
  104. 東隆

    ○東隆君 今澱粉の話が出ましたが、砂糖とも関連が非常に多いと思うのです。そこで、砂糖の原糖の輸入をもう少しふやしてくれという要望がだいぶ業者の方からあります。しかし、この際は私はふやすべきでなくて、そうして澱粉との見合いにおいて数量を決定すべきじゃないか、かえって減らすべきじゃないか、こういう考え方を持ちますが、どんなようなお考えになっておりますか。
  105. 日比野健児

    説明員日比野健児君) 砂糖の問題につきまして、来年度の輸入量をどうするかという御質問でございまするが、実は正確な結論はまだ、通産省その他の関係もありまして、出ておりませんけれども、大体の計算の方式といたしましては、価格なりそれから所得なりの見通しの上に立ちまして需要量を算定する、こういうことで農林省としてはいきたい、そう思っております。そうしますと、大体需要量といたしましては、消費量と申しますか、年間の消費量といたしましては、来年度よりは少し減る数字が出てくるんじゃないかと思いますが、まだ正式な算定はやっておりませんのでちょっと申し上げかねますが、御指摘の澱粉の問題その他等を十分考えまして、需要量を算定いたしたい、農林省としてはこのように考えております。
  106. 東隆

    ○東隆君 それから麦の輸入の問題ですが、余剰農産物の受け入れが中止になったようですが、従って、今年の麦の輸入量は小麦の協定の範囲くらいにとどめるというような考え方で進むわけにはいきませんか。それとも、余剰農産物として入ってきているものを加えた分を輸入をされる計画ですか。
  107. 武田誠三

    説明員武田誠三君) まことに恐縮ですが、協定の範囲内の数量というと、どういう御質問でありますか、ちょっとわかりかねますが……。
  108. 東隆

    ○東隆君 これは、小麦価格協定その他においての問題と、それから余剰農産物関係でもって入ってきたもの、そういうようなものが加わって毎年の輸入量になっているわけですけれども、この際余剰農産物関係が中止になりましたから、そこで麦の輸入量は相当減ってくるんじゃないか、こういう予想をするのですが、それがどういうふうになるか、お考えはいかがですか。
  109. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 麦の輸入でございますが、三十一会計年度、従って、昨年の四月から本年の三月までの輸入の数量と申しますか、日本に到着いたしまして政府買い入れます見込数量は二百二十六万トン程度でございます。それから三十二会計年度の小麦の買い入れの見込みは二百二十二万トン程度でございます。余剰農産物の受入関係の取りやめとか、そういうようなことと関係なしに、まあ私どもとしては需要量の方から必要な買入数量とかあるいは輸入数量とかいうものをはじき出してきておりまして、おおむね三十二会計年度中の輸入必要量というものば二百二十二万トン程度ではないかというふうに実は考えております。
  110. 東隆

    ○東隆君 小麦の中にソフトとハードがあって、そうして結局、余剰農産物等の関係で日本に入ってきたものは非常にソフトが多いわけです。軟質小麦が非常に多かったわけです。そこでこの軟質小麦は、これは日本の水田の裏作に十分にできるものなんですね。ところが、政府は麦の価格を決定するに当って、日本で米が当時余って仕方がなかったと、あるいは減反をしなければならぬと、こんなことまで言われた当時の米の価格と麦の価格の比率、あれは六〇%くらいになっているのではないかと思うのですが、その比率に麦の価格を持ってこようとしておるわけです。そのために、非常に無理をして外国から安い小麦を大量に入れておるのではないかと、こう思うわけです。従って、輸入する量を減すことによって国内におけるところの麦の価格を少し上げるなら、おそらく関東以西におけるところの水田の裏作において麦の作付は非常にふえてくるのではないか。従って、食生活の改善だの何だのといって、粉食をせいなんと言ってみても、海外から買ってきたものでもって食生活の改善をやってみたって、これは問題にならぬと思う。そういうような意味で、国内におけるところの生産を高め、また食管会計内におけるところの赤字をできるだけなくするためにも、私は今の農林省がとっておるところの、少くとも麦に対するところの考え方を根本からひっくり返して、そうして輸入量をできるだけ減す、しかも日本に割合にたくさんとれないところの硬質小麦のみを輸入する、こういう考え方に立っていったならば、相当ほんとうの意味におけるところの食生活の改善ができると思う。私はそういうような意味で、非常に麦の価格その他についての考え方が間違っておると、こう考えておるのですが、この点はどうですか。従って、そういう考え方に立てば、麦の輸入のうち少くとも軟質小麦というものは切ってしまう、こういう考え方になるのですが、その点はどうですか。
  111. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私どもの方で外麦の買付を計画いたします際に、もちろん、先ほど申し上げました数量等につきましても、品質別に一応考えておるわけであります。従いまして、ハードではどの程度数量が必要か、ソフトなり、セミ・ハードでどの程度必要か、そのソフトのうちで、国内のものを当然供給力として前提におきまして、なお不足するものを買付をするという考え方で、実はやっております。従いまして、お話のように、国内の麦がふえてくる、小麦がふえてくるということに相なりますが、おのずから、お話のように、ソフトの需要としては、買付としては減っていくというような形になってこざるを得ないだろうと思います。現在輸入として大きく伸びていきますものは、やはりカナダのハードに対します需要が非常に大きいという形でございます。
  112. 東隆

    ○東隆君 ソフトとハードの輸入の数量一つ、最近のものでいいのですが、年次別に一つ資料をお願いいたしたい。
  113. 上林忠次

    ○上林忠次君 食糧統制をどうするか、やめるか存続するかという問題は、いつも農林省におきましても、政府、内閣におきましても、ますます検討されることになっておりますけれども、三年前くらいに、私、食糧庁長官に聞いたこともあるのですが、はたして今の現在の状態で、こういうような米に対する嗜好を前にして、一カ月のうちどの程度内地産米の供給、あるいは外米の供給日数、どの程度の日数が供給されるならば手放しでいけるというような調査があるか、というような話も聞いたのですが、農林省ではほとんどその辺の研究はしておらぬのです。食糧庁でやらぬのならだれがやるかというようなことで、悪口を言ったことがありますが、現在の状態では、現在の副食物の価格関係もありますけれども、相当粉食の奨励もした結果、効果が現われている。今の状態で果して内地米数量、どの程度供給ができるなら手放しでいけるかというような、現在の皆さんの食糧庁のお考えはどういうようなところまでいっていますか。どういうような研究をされておりますか。
  114. 武田誠三

    説明員武田誠三君) どの程度であれば手放しでいけるかという御質問ですが、この点につきまして、私どもとして今具体的にこうでございますという実は段階まで検討はできておりません。粉食なりあるいは粒食等の問題につきましても、これはお話のように、麦なり米なり、あるいは外米なりの価格等で、非常に違って参りますと同時に、各家計の状態によっても非常に違ってくると思うのであります。で、一昨年から昨年にかけましての豊作の結果、非常に実は米食が進んでおります。特に粉食なり麦食というものと米食というものとの関係におきましては、非常に高所得層と申しますか、水準以上の所得層におけるパンの消費というものは、ある程度固定化の傾向をたどっておると思うのでありますが、それ以下の層における。パン食というものは、これは非常に不安定な形を示しております。そういうところは、価格の問題なり、あるいは米の量がよけい出るかどうか、家庭の調理の習慣というものもございましょうけれども、いずれかというと、米食の方に逆戻りする傾きがこういう豊作続きの年においては出てきておるのです。従いまして、ほんとうに、何と申しますか、米でなくてもいいという階層というものはまだそれほど多くないのでございます。一方で学校給食等の結果、若年層においては相当。パンの消費を苦痛でなく消費をしておるという傾向が順次出てきております。そういったものが全体としていろいろに構成上入り組んでおりますので、具体的にこの程度まで固定したということがなかなかちょっと出しにくいのでありますが、ともかくも全体の傾向といたしましては、一方でそういう固定化してくる傾向が強まっておると同時に、全体の消費そりものとしては、不安定要素に入っておる部分がまた米食に逆戻りをしてきておるというのが、昨年からことしにかけての状況であるように考えております。  で、いろいろやみ米の調査でありますとか、それから米食に対しまするアンケートもあっちこっちの調査機関でお取りまとめになったのや、私どもの方で二、三とりましたものもございますが、地域によりまして非常に米食に対する嗜好度が違っておるようでございます。同じ大消費地でも、東京、横浜よりも大阪の方が米食に対する需要といいますか、嗜好度といいますか、高く出ておるような調査もございます。ですから、全体を通算してどういうふうになってくるかということについては、今ちょっとここですぐお答えできるような段階に達しておりません。
  115. 上林忠次

    ○上林忠次君 これはむずかしい問題です。われわれももちろんわかりませんけれども、大体本州の北の方……。北欧におきましても小麦のできにくい所、そういうような所は馬鈴薯にかえて、すっかり食生活を変えてしまったという国もあるように、いつまでも米にたよっておっても、日本は米は自給自足できないので、粉食にかわるよりしようがないので、それでは粉食にかわるような奨励措置、いろいろなことをやっておるかどうかというと、政府はやっておりません。学校給食で少し粉食の奨励をやっておるようなことで、大したことはやっておらぬじゃないか。この際食管制度を変えるならば、米に集中して、米の市場は混乱するだろう。貧困者は麦を食えという問題もありましたけれども、麦を食っていくんだというのが現状でございまして、高くつかないように、前農相あたりは畜産品の増産を盛んに言っておりました。漁業関係の発展と同時に、肉食品の増産をして、粉食にしましても安く食っていける、こういうようなことも言っておりますけれども、私は三年前も申したんですけれども、それは麦を食えというだけでは、麦では実際食っていけない。かえって生活費が高くなるので、米をどんどん輸入して赤字を出しておるよりも、麦の値段を半分あるいは三分の一の値段で、二重価格で売ったらいいじゃないか。一方畜産品の増産と同時に、麦でもやっていける、米でなくても生活の方はその方が楽だというところまでいかなければ、だめじゃないか。その点も、大きな粉食奨励の施設もできておりませんけれども、そこまでいかなければ、日本の食糧の問題は解決しないと思うのでございますけれども、  それはそれとして、一部の首脳者の間では、食管制度を廃止したらどうかという議論も相当あるようですが、果していつになってそういうふうな時期が来るかわかりませんけれども、そういうような時期が来たときには、これは農林省としては小さな問題ではありますけれども、しかしながら、食管会一計では大きな部門を占めておる人件費、二万五千のあれだけの人間をかかえておる。この人たちの将来をどうするか。食管の今の職員はそれぞれ心配していると思うのですが、私はいつかそういうふうな時期が来るということも予想されるならば、今のうちにあの二万五千をどういう工合に有効に働いてもらうかということも考えておかなければならぬじゃないか。すでに食糧統制というものは、統制じゃな。今の統制は、統制ではないじゃないか。仕事も減っているわけであります。相当労力があそこに遊んでいると思いますけれども、あの人的資源をうまくどこかにはけ口を今から考えなければならぬ。どういうふうなことをお考えになっておりますか知りませんが、私は、農林関係では共済制度という、ああいうふわふわした基準のはっきりしないような共済制度は問題になると思いますが、もっと今の食管の人たちをあの方に回して、しっかりした査定をやるというところまで、そういうふうな方面に人のはけ口を今から見つける。今からでも、相当行き得る、仕事としては余剰の人があるように想像されますが、そういうようなことも考えなければならぬし、また、生産方面の、今の普及員制度は途中でとまっております。あれは末端まで行っておりませんが、あの方にもこの人たちを使って指導の強化をはかる、そういうような方面まで今から考えなければいけないのじゃないか。これはもち何どきくる問題かもしれませんし、また、その方向に行く私は可能性が相当強いと思っております。これに対して、今の食管の人たちの前途ということは、どういう工合に考えておられますか。全然そういうようなことはまだ食糧庁ではお考えになっていないのか、少しは考えてもらわなければいかぬのじゃないかと考えますが、いかようにお考えですか。
  116. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 食糧庁の職員の問題でありますが、統制撤廃ということの段階まで実は私ども思いをいたしておりませんので、すぐ職員をどこに回すというようなことは、具体的には何も実は考えておりません。しかし、現在おります職員が非常に余ってきているかということにつきましては、私どもとしては、米にしても麦にしても、その扱っております量はさして変っておりません。現実に二万数千人おりますうちの大部分の職員は、末端の検査員でございます。これは統制といなとを問わず、一つ国営検査として、米、麦、イモその他の農産物についての検査業務というものは、相当部分がいつまでも残るべきものではないだろうかというようにも実は考えております。国営検査がいいか、従来のような県営検査がいいかは、いろいろな問題があると思いますが、現在の検査というものは、統制ということを離れましても、これはあるべきことではないだろうかというように考えております。具体的に先々どうこうということまで考えておりませんが、職員としては、現在の人たちで非常に余っているというような状況ではありませんので、その点だけは申し上げておきたいと思います。
  117. 上林忠次

    ○上林忠次君 もちろん食糧の検査は永久に必要であろうと思いますが、数は相当流用できる人があるのではないかということを考えますし、それから米の輸入による赤字ですね、これを私は麦の方の買入価格、売渡価格の二重価格によって、もっともっと粉食の奨励ができるのじゃないかという気がするのですが。少し飛躍しておりますけれども、そこまで行かないと、ほんとうの食糧の自給自足はできない、思い切って麦を今の値段で買い入れて、三分の一で売るのだということまで考えなければいけないのじゃないか。日本全体の米依存の強度をほんとうに粉食にうんと旋回させるということは、そういうことからやらなければいけないのじゃないか。これは私の大ざっぱな飛躍した意見でありますけれども、そこまで農林省は食糧の指導をしなければならない。これは私の意見でありますから、お答えは要りません。
  118. 河野謙三

    ○河野謙三君 簡単に伺いますが、武田さん、麦は間接統制を今やっておりますが、買入価格の方は法律によって価格の基準はきまっておりますが、同時に、販売価格は、これは麦並びに麦から発生する副産物についても、政府は監督をし、指導を厳にしております。従って、販売価格の変動につきましては、指導的立場に立って、また責任もあると思いますが、そういうふうに解釈していいですか。
  119. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 麦の政府で一応想定をいたしております価格消費者想定価格というものから、逆に払下価格を算定しておりますのは、御承知の通りでございます。従いまして、それに基いて出て参ります副産物等についても一応の、飼料需給安定法飼料の安定価格等との関連において、一応の織り込みをいたしておるわけであります。従いまして、指導としては、先般の麦価の改訂の際にも、各関係業界には、ふすまなり麦ぬかなり、そういった副産物の価格につきましても、また製品等につきましても、一方で乱売と申しますか、非常な乱売ということは避けるべきであろうと思いますが、適正な価格で販売をするようにという指導をいたしております。ただ、これはマル公とかそういったものではございませんので、法的なり権力的に何か押えつけるといいますか、規制をするということはできないと思いますが、指導としてはできるだけのことをやっていかなくちゃいかぬ、こういうふうに考えております。
  120. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで、現在政府の粉の想定価格というのは九百九十何円でしょう。しかるに、現在粉の価格は九百七十円ですか、六十何円ですか、それから一方ふすまの想定価格につきましても、これは粉とは逆に、想定価格よりも常にふすまの市場価格は高い、こういうことですね。これがしかも一時的の現象ではなくて、最近両三年来常に、政府が想定するふすまの価格よりも市場価格は高くて、逆にややもすれば粉の方は想定価格よりも市場価格は安い、こういうことで推移しているわけなんです。これをわれわれから見ると、今は製粉屋さんが、粉屋が本業じゃなくて、ふすま屋さんである。ふすまが本業である。製粉会社の採算は、ふすまの方で採算を合して、粉の方は副産物である。こういうことは、武田さんも大体お認めになる。認めなければいかぬと思う。そうすると、農家の方から見ると、小麦の場合で言うと、二千幾らで政府が買い上げてくれる。政府は高い高いと言うて恩に着せながら買っているけれども、農家の方から見れば、一俵二千円で政府に売って、今度は、その中身を取られて、皮を買うときは三十キロで一俵農家は今八百二、三十円で買っている。六十手口にすると、実に千七百円である。中味を二千円で取られて、皮を六十キロにして千七百円で買っている、こういう現実なんです。これに対して私はもう少し、製粉会社は製粉会社らしく、粉が本業であってふすまが副業である、そういう形において原価計算されて、想定価格をきめられる。もう少し粉の想定価格を、常に市場価格にさや寄せさせるように努力し、そのことによってふすまの想定価格というものが市場価格にさや寄せする、こういうことになると思いますが、これはマル公じゃありませんから、一時的にはでこぼこになるかもしれないけれども、最近両三年の傾向としては、今私が申し上げたようなことなんだが、何とかこれは、政府においてもいろいろ対策を苦慮されておると思いますが、最近これについて何か特に具体的に、想定価格と市場価格をさや寄せさせるための施策というものを、お持ちになっておりますか。
  121. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは実は非常に、私どもその点については苦慮いたしておるのでございます。ふすまの方の価格を下げる、そのために、一方で御承知のようにふすまの輸入もやっておりますが、国内でのふすまの生産もふやしていくということも、一つやらざるを得ないことであると思います。そういたしますと、一方で最近非常に粉の需要が落ちておるようでございますから、そこにあまり無理をかけますと、どうしても今度粉の値段の方が逆に圧迫されてくる。こういうような関係をもって参ります。実は去年の暮れからことしの初めにかけまして、ふすまの値段が、御承知のように、非常に上っております。それに対応いたしまして、学校給食の粉を一時早く、冬場でありますので物に心配はありませんので、早目に加工するように指令をいたしまして、ふすまの供給を多少ともふやすとか、それからオフ・グレードの低質小麦につきまして、ふすまを目的とした生産をさして、粉はごくわずかしか上らないような形での生産をさせるとかというようなことをやっておるのですが、ふすまの方をよけい出そうとすると、おのずから粉がよけいできてしまうものですから、そこの関係をどういうふうにもっていくかということで、いろいろ、小手先なことであるかもしれませんが、といったようなことを実は今やっておるわけであります。この問題については、御指摘のような点が従来からあるわけでありますので、今後ともよく検討して、もっと適切な方法があれば、それを実施に移していかなければならない、こういうように思っております。
  122. 河野謙三

    ○河野謙三君 委員長初め他の委員の方に大へん迷惑をかけますから、私は質問は後日に譲りますが、ただ、今お話がありましたから、一点だけ私の考えを申し上げます。  いろいろ粉の価格の安定、ふすまの価格の安定について苦慮されている点は、よくわかりますけれども、私は具体的に一つ提案しますが、あなたの方で、毎月学校給食について政府の方で出して、それから発生するところのふすまは政府のものである、そう考えてもいいわけですね。考えようによっては、そうですね。それなら、学校給食によって委託加工しているのですから、それによって出てくるところのふすまぐらいは、政府がひもつきで農業団体等にこれを直接政府の想定価格で渡してやることは、私はできると思うのですが、できませんか、それは。
  123. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは、副産物につきまして、政府のものにするということも一つの考え方であると思います。現在は、御承知のように、学童給食の加工につきましては、副産物収入と見合いで加工賃をきめておるのでございます。従って、そこのやり方の問題であると思いますから、お話の点は十分検討いたしたいと思いますが、一方で学校給食の小麦につきましては、これは御承知のように、全国に散らばっておるものであります。従って、地方の中小製粉の育成というような考え方もありまして、学校の教育委員会等とも十分これは連携を保って、教育委員会の指定する製粉業者に加工をいたしておるのでありますが、非常に実は散らばっております。そういったこまかく散っておりますものを、全部お話のようにまとめてうまく処理ができるかどうか、そういった点にも技術的な問題があると思うのでありますが、いずれにいたしましても、今のお話の点については、よく検討さしていただきたいと思います。
  124. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の問題でも、私はもう少し掘り下げていろいろと、質問というよりは話し合いをしたいと思いますけれども、時間がありませんから、委員長一つお願いしますが、冒頭に申し上げましたように、食管の会計につきましては、これは一々問題だらけであります。従って、もう少し農林省と質疑を重ねる時間を一つ与えてほしい。私は、その具体的方法としては、委員会運営に対して大した支障が起らぬように、別途小委員会等を設けてやったらいいと思います。あるいは本委員会委員長が、二日でも三日でも、この問題を掘り下げて検討する機会を与えて下さればけっこうですが、いずれにしても、そういう機会を与えていただきませんと、われわれは、国会開会中でなければ別ですが、国会開会中に、政府調査会で検討させるから、その推移を見ておれというような、そういう無責任国会議員であってはならない。これは農林委員会におきましては、調査会の推移いかんにかかわらず、われわれは与えられた期間内において、与えられた資料に基いて、十分積極的に検討すべきである。そういう意味合いで武田さんに申し上げておりますが、この間農林大臣に、調査会に要求された資料は細大漏らさず積極的に本委員会に出してもらいたい、こういうことをお願いして、大臣からも快諾を得ておるわけです。でありますから、まだ調査会は発足しなくても、調査会にはこういう程度の資料はやらなければならぬという準備はされておると思いますから、これは一つあなたの方で、先ほど小笠原さんからも御要求がありましたが、積極的に資料を出していただきたい。ことに具体的な資料、元請の何を調べる機会を一つ与えて下さい。
  125. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 写しですね。
  126. 河野謙三

    ○河野謙三君 写しでけっこうです。それを委員長、私は特にお願いしておきます。
  127. 堀末治

    委員長堀末治君) お答えいたしておきますが、資料の問題は、この前のお話のあったとき、すでに安楽城君の手を通じて事務次官の方へ文書で申し出ておりますから、私からあと催促することにいたします。  なお、食管会計の検討の問題については、先般来あなたさんからああいう御意見であったことを私も承知しておりますが、何はともあれ、本委員会で一通り聞くものは聞いて、それから私どもの考えをまとめたい、実はかように思っております。きょういろいろお説を聞き、皆さんの御質疑の内容を承わっておりますと、ほんとうに私どもとしては、真剣にこれと取り組まなければならないということを私も痛切に感じましたから、小委員会を置くか、あるいは本委員会でもう二、三回要するに真剣に検討した上にするか、それを私も十分に考慮して、明日あたりに御相談いたしたいと、かように思っております。  本日は、これで散会いたします。    午後四時五十七分散会