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1957-10-29 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年十月二十九日(火曜日) 午前十時四十三分開会
—————————————
委員
の異動 十月十四日
委員雨森常夫
君
辞任
につ き、その
補欠
として
寺尾豊
君を
議長
に
おい
て指名した。 十月十五日
委員戸叶武
君
辞任
につき、 その
補欠
として
曾祢益
君を
議長
に
おい
て指名した。 十月十七日
委員寺尾豊
君
辞任
につき、 その
補欠
として
雨森常夫
君を
議長
にお いて指名した。 十月二十二日
委員曾祢益
君
辞任
につ き、その
補欠
として
戸叶武
君を
議長
に
おい
て指名した。 本日
委員安部キミ子
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
江田三郎
君を
議長
に
おい
て指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
堀
末治
君 理事 重政
庸徳
君
藤野
繁雄
君 東 隆君
清澤
俊英君 島村 軍次君
委員
青山 正一君
秋山俊一郎
君
雨森
常夫
君
佐藤清一郎
君 柴田 栄君 田中 啓一君 仲原 善一君 堀本 宜実君
江田
三郎
君 河合 義一君 北村 暢君 鈴木 一君
戸叶
武君 千田 正君 北條 雋八君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君
説明員
外務省移住局参
事官
粕谷
孝夫
君
農林政務次官
瀬戸山三男
君
農林大臣官房長
齊藤
誠君
農林省振興局長
永野
正二
君
水産庁長官
奥原日出男
君
通商産業省通商
局次長
杉村正一郎
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
農林水産政策
に関する
調査
の件 (
冷害
に関する件) (
農林水産関係
の
海外移住
に関する 件) (
韓国ノリ
に関する件)
—————————————
堀末治
1
○
委員長
(
堀末治
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
最初
に、
委員
の変更について御
報告
いたします。十月十四日、
雨森常夫
君が
辞任
され、
寺尾豊
君が選任され、同月十五日、
戸叶武
君が
辞任
され、
曾祢益
君が選任され、十七日、
寺尾豊
君が
辞任
され、
雨森常夫
君が選任され、二十二日、
曾祢益
君が
辞任
され、
戸叶武
君が選任され、本日、
安部キミ子
君が
辞任
され、
江田三郎
君が選任されました。
堀末治
2
○
委員長
(
堀末治
君)
藤野
君から特に
発言
を求められておりますので、
長崎
県及び
佐賀
県における
冷害
の件を
議題
にいたします。
藤野繁雄
3
○
藤野繁雄
君 私は、本月の十六日であったか、
佐賀
県の
農協大会
に
出席
したのでありますが、その席上、
佐賀
県における
冷害
の
状況
を承わって参ったのであります。また
現物
も見せてもらったのであります。私は昨年
北海道
の
冷害
を視察したのでありますが、その
現物
の
状況
を見てみまするというと、昨年
北海道
の
冷害
を見たのと全く同一であるのであります。 なぜ、こういうふうに
佐賀
県が
冷害
を受けたかと申しますと、本年の
天候
の
関係
が重大な
影響
を及ぼすものであるのであります。また、高い所に晩稲を植えているというようなことも、
一つ
の原因になっているのであります。この
品種
の問題については今後
研究
を要するのでありますが、本年は、今申しましたような、非常な異常な
天候
で
佐賀
県が
冷害
を受けておって、ぜひこの問題を国会で取り上げて善処してもらいたいという
要求
だが、
農協大会
の満場一致の決議であったのであります。それでありますから、こういうふうな場合における対策は、すでに皆さん御
承知
の
通り
、
営農資金
の貸し出しであるとか、
概算金
の
返納延期
であるとか、あるいは
共済金
の支払いの問題であるとか、
農業所得税
の免除の問題であるとか、
被害農家
に対する飯米の払い下げであるとか、いろいろあるのでありまするが、こういうふうな問題について、いろいろと御検討を下さるようにお願いしたいと思うのであります。 また、
長崎
県の場合も、今
黒田県議
から
お話
しの
通り
であるのでありまするが、その他の
地方
にもこういうふうな例があると思うのでありますが、一体本年はどういうふうな所にどのくらいの
冷害
があるのであるか、まず
日本全国
の
冷害
の
状況
を、
報告
が来ていると思うのでありますから、その
状況
を承わりたいと思うのであります。
齊藤誠
4
○
説明員
(
齊藤誠
君) 本年の
水稲
は、
成育
の
最盛期
及び出穂後二、三週間の期間にわたりまして、
低温寡照
が続きましたので、
地方
によりましては、
水稲
その他の
あと作
に相当の
被害
が生じたのではないかというような
報告
を受けております。これにつきましては目下
調査
中でございますので、詳細なことは追って
調査
の結果を待って申し上げなければならないかと思うのですが、現在までわかっておりますところの
概況
を、ごく大ざっぱに申し上げてみたいと思います。 今回の特色といたしましては、
例年
に比べまして相当、
全国
にわたりまして気温が非常に低かったのと、特に九月から十月中旬までに至る間におきまして
低温
が続いておったという現象があります。
地域
々々によって若干の相違がありますけれ
ども
、三、四度
程度
は低かったのではないかというふうに
報告
されております。日照につきましては、平年から見ますと、十月はやや持ち直したのでありますが、九月におきましては、これもまた
例年
に比べて
寡照
であったようでございます。この結果、
被害
の
地域
といたしましては、特に
山間部
であるとか、あるいは
平坦部
におきましても、先ほど
委員
の方から
お話
がありましたように、
おくて
の
水稲
が特に悪かった、あるいは
二期作
が特に悪かったようでありまして、そのほか、タバコであるとか、あるいはイグサであるとか、そういったものが、やや
成育遅延
で、
冷害
の
影響
を受けたように見られておるのであります。 詳細は、今申し上げましたように、今後の
調査
の結果によって見なければならないかと思いますけれ
ども
、現在までの
被害
の
概況
でございますが、今申しましたような
関係
で、
水稲
の
二期作地帯
で、あるいは
山間部
が
被害
が大きかったわけでありますけれ
ども
、大ざっぱに申し上げまして、徳島、香川、愛媛、
高知等
におきましては、
被害面積
が、四県合計いたしまして、おおむね三千
町歩
前後である。それから
佐賀
県が今回は一番
被害
が大きく現われておるようでございまして、現在わかっておるところでは、約一万七千五百
町歩
でございます。
佐賀
県におきましても、おもな
冷害発生地域
はやはり
山間部
であるということで、標高三百メートル以上の所が特に多いようでございます。そのほか福岡、
長崎
、大分におきましても、それぞれ
被害
が出ておりますが、これもおおむね、三千
町歩
前後であろうと、こういうことに現在のところなっております。 ただ、本年は、
山間部
であるとか、あるいは
おくて
であるとか、あるいは
二期作
であるとか、そういうところの
被害
が特に大きかったようでございますので、
全国
的にこれを見ますると、非常に
地域
的に
むら
があるようでございまして、特に
西南地方
は
被害
がそういう
関係
で多かったのでありますけれ
ども
、
全国
的に見ますと、本年の今現われている
被害
の総
面積
から、大体十八、九万
町歩
ではなかろうか。従って、平年四十四万
町歩
くらいが
被害
として出ておりますので、平年対比から見ますと、四割くらいの
被害
に当っておるというような
状況
が、現在のところわかっております。
藤野繁雄
5
○
藤野繁雄
君 ただいま
調査
中であるということでありますから、十分に
一つ
御
調査
の上、平年によっての
通り
に
善処方
をお願いしまして、私の
質問
を終ります。
東隆
6
○
東隆
君 ちょっと、それに関連して。今
佐賀
県その他の
被害状況
を通して
藤野
さんの
質問
がございましたが、
北海道
で、ことし、
北見地方
と
十勝
の両
地方
は、やはり
水稲
は五分
作程度
という
状態
になっております。これは、理由は、昨年
皆無作
であったために、
水稲
の
中心地
である
十勝
、
上川等
から、
わせ
の
品種
を持ってきているわけです。しかし
地域
の
関係
から、
わせ
を持って行っても、これらの
地方
に行っては、なかて、あるいは
おくて
になる、このような
関係
で、これはいかんともいたしがたい
事情
で凶作になった。このようなことでありまして、これらの
資料等
は、道の方から出ると思いますが、あ
わせ
てお考えを願いたいと思います。
齊藤誠
7
○
説明員
(
齊藤誠
君)
北海道
におきまする
冷害
の
影響
につきましても、目下
調査
いたしておるのでございますが、
お話
のように
北見地区
、あるいは
十勝地区
におきましては、道の方からの正式の
調査報告
ではございませんが、大体六分
作程度
であろうというようなことを
承知
いたしておるわけでありまして、
北海道
も、
東南地方
におきましてはそれほどのこともないというので、おそらく
北海道
におきましても、
地域
的な
むら
が相当あるのではなかろうかと思っておりますが、これらも
調査
いたしました結果によりまして、善処いたしたいと思います。
堀末治
8
○
委員長
(
堀末治
君) この問題について他に御質疑がなければ、本問題はこの
程度
でとどめることにいたします。
—————————————
堀末治
9
○
委員長
(
堀末治
君) 次に、
農林水産関係
から、
海外移住
の件を
議題
といたします。 この件については、前回の
委員会
に
おい
ていろいろ問題になって、その際、
海外移住促進
に資するため、重ねて
議題
にして問題をさらに議するように御
要請
の向きもありましたので、きょうは重ねて
議題
にいたして、
外務
及び
農林
両
当局
から
説明
を求めます。
農林省
からは
瀬戸山政務次官
、
永野振興局長
、
外務省
からは
移住局
の
参事官粕谷
君、第二
課長
の吉岡君、第三
課長
の原君が見えております。 まず、
外務省
から
一つ
、御
説明
を願います。
粕谷孝夫
10
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) では、
内田移住局長
がちょっと病気で
出席
できませんものですから、私かわりまして、ただいまお配りをいたしました
刷り物
につきまして、ごく簡単に御
説明
を申し上げたいと思うのであります。 まあ戦後どのくらいの
海外移住
が出ておるかというようなのを
最初
申し上げたいと思うのでありますが、すでに
御存じ
の
通り
、必要な
移住者
に対して
政府
の
渡航資金
を貸しておるのでございます。その
渡航資金
を借りまして
移住
された数が、
昭和
二十七年に
海外移住
が始まりました
あと
、本年の九月に至るまでに、大体一万八千五百四十八というような
数字
が出ておるのであります。ただいまお配りをいたしました二ページの表に大体明らかになっておりまして、その中でやはり一番多いのは
ブラジル
でございます。順序は
ブラジル
、
パラグァイ
、
ドミニカ
、それから
ボリビア
というようなことになりまして、これまで多く
海外移住者
を受け入れておる国といいますのは、
ブラジル
と
パラグァイ
、
ドミニカ
、
ボリビア
、こういうようなふうになっておるのであります。各
府県別
に見ますというと、次に掲げまする表のようになっております。 ただいま申し上げました一万八千五百四十八という
数字
は、
最初
申しましたように、
政府
の
渡航資金
を借りまして出かけて行かれた
人たち
の
移住
の数でございますが、それ以外に自費でもって
渡航
した者もあるわけでありまして、それを調べてみますというと、
昭和
二十七年から三十二年の九月に至る間に、
南米
には三千八百七十三人、それから
アメリカ
には二千十六人という数が出ておるのであります。
南米
に行かれました数は、その三千八百七十三の内訳によりますというと、第三表にございますが、やはり
ブラジル
が非常に多いのであります。それから
米国
に行きました二千十六人の呼び寄せ
渡航
のほかに、さらに
割当移住者
というのが百十三、それから
難民救済法
によりまして
移住
されました数が九百七十六というような数になっておりますが、これは
旅券
の
発給数
でありまして、十五才までの人は父母の
旅券
に併記されますので、特別に
旅券
をもらわなくてもいいことになっておりますので、さらに正確な数と申しますのは、
難民救済法
による実数は千六人ということになっておるのであります。 このほかに、
御存じ
のように、
短期農業労務者
として、昨年からことしにかけまして千人行きましたのであります。そのほかに、これは御
参考
までに表が掲げてありまするが、
養子縁組
とか、あるいは
国際結婚
というようなのは、相当な人が
米国
に行っておるのであります。これは御
参考
までに掲げた
数字
であります。
国際結婚
は二万五千というような数が
アメリカ
に行っておるようであります。 それから、以上は
南米
あるいは
米国向け
の大体数でありますが、そのほかに
西ドイツ
に
炭鉱労務者
といたしまして、昨年五十九人行っております。これはまあドイツに行きまして、いろいろな
技術関係
の勉強をし、
かたがた炭鉱
に働くというような趣旨で、昨年出て行った数でございます。それから、いま
一つ
は中近東のクエートという国がありますが、そこに
自動車修理工
が十五人というような数が出ております。 本
年度
は大体九千人というような、これは
政府
の
渡航資金
を貸し付けまして、大体
移住
される数が九千人ということで
予算
を組んでおりまして、来
年度
はさらにこの数を大いに上げよう、一万三千三百というようなことを目標に考えておるわけであります。 それ以外に、ただいま申しました、
西ドイツ
に行っておりまする
炭鉱労務者
につきまして、いろいろ問題もありましたが、大体来年の一月から三月の間に百八十人ぐらいが
渡航
できるような見通しを持っておるのであります。それから
米国
に行っております
短期農業労務者
につきましては、新聞その他でも
御存じ
かとも思いますが、いろいろ
米国
の
内部
に問題がありまして、初めは毎年千人ずつ、三年間で大体三千人という予定でありましたが、
最初
の年は千人送り出し、今
年度
千人送り出すつもりでおりましたが、
米国
の国内におきましていろいろ問題もありますし、未だに片づいてはおりませんが、遠からず本
年度
も千人送り出せるように決定がなされるのではないかというふうに考えておるのであります。 この
移住政策
を
展開
いたすためには、できるだけ数を多く、しかし数を多くしますというと、できるだけ
送出先
を多くしなければならず、その
送出先
もできるだけ安定したものとすることが必要であると思うのでありまして、昨年には
ボリビア
との間に
移住協定
を結んで、五年間に一千
家族
、約六千人ぐらいの
送出
が可能となっておるのであります。ことしになりまして、
ドミニカ
ともまた
移住協定
を結ぶように、今
交渉
中でありまして、漸次その他の国とも
協定締結
に
努力
をいたして、
移住者受入先国
の安定を得よう、安定した
受入先
を確保しようと
努力
いたしておるのであります。それから、また本年一月には
アルゼンチン
の方から、わが方の申し入れによりまして、五カ年間に四百
家族
の
移住者
の入国が許可されてきたのであります。その第一回の
移住者
が近く出発することになるかと思っております。そりほかグワテマラ、
ベネズエラ
というような所にも、
現地調査団
を
派遣
をして、
相手国
と
交渉
をしたのでありまして、その結果、従来
日本
からの
移住
が不可能でありました
ベネズエラ
に対しましても、多少呼び寄せ
移住
が許されるような
状態
になって参ったのであります。 一方、各国ともそういうふうな
交渉
をすると同時に、いろいろこの
移住
に
関係
のある
国際会議
の際には、できるだけわが方の
要請
というものを反映させるような
努力
をいたしておるわけでありまして、昨年キューバで開催されました
ユネスコ主催
の
文化的同化
に関する
会議
というような
会議
には、オブザーバーを
派遣
をいたしました。それから、また本年八月の上旬に
ジュネーブ
で開かれました、
政府
の
関係
の
機関
でなくて、非
政府移住関係機関
の
国際会議
というものがありましたが、その際にもわが
ジュネーブ代表部
の
職員
を
派遣
をいたしまして、
わが国
の
移住現況
につきまして
報告
をいたさせ、また
参加機関
の
協力
を求めまして、さらに最近九月の二十二日から二十八日まで、
イタリア
におきまして
カトリック関係
の、
国際カトリック移住会議
というような
カトリック関係
の
移住団体
の
会議
がございましたのであります。その際には、
イタリア
の大使館の
参事官
、並びにヴァチカンにおります
鶴岡公使
を
出席
させまして、
わが国
の
移住
に対しまして、
カトリック関係
の
団体
が非常に引き続いて強力な支援を与えるように
要請
したのであります。それから、また
日本
から
出席
をいたしました
キリスト教関係
の方々にも、一そうの
協力
を依頼するよう
要請
いたしたのであります。それから先般の
国際連合
の総会におきましても、わが
藤山外務大臣
が
移住
問題に関し特に
発言
をいたしまして、
国際
間の
協力
を求めたことは
御存じ
の
通り
であります。
移住関係
の
業務
を実施いたしまする
団体
といたしまして、
海外協会連合会
があることは
御存じ
でありまして、これは
移住事情
の
広報宣伝
、
移住者
の募集、
選考
、
送出
、
渡航費
の
貸付
及び
回収等
の
事務
を積極的にやっておるわけでありますが、さらにこれらの質的な充実をはかるため、また
地方
にもこの
傘下団体
でありまする
海外協会
というようなものがございますが、これにも質的、
資金
的な
援助
を与えまして、大いに
活動
をしていただくように
努力
中であります。 それから、また国外におきましては、
ブラジル
とか
ドミニカ
、あるいは
ボリビア
というような
移住者
の多く行く所には、その
職員
を
派遣
いたしまして、
移住者
の受け入れ並びに保護、指導に当っておるのであります。 それから各
都道府県
にありまする
海外協会
も、大体各
都道府県
にもできまして、
今北海道
と京都、二つだけ残っておりますが、
北海道
も遠からず設立されるように聞いております。この
連合会
の本部並びに
地方
の
海外協会
の
活動
というものが非常に重要でありますので、昨年は一
協会当り
の
補助金
は十八万円でありましたが、本
年度
は平均八十万円に増額をされておるのであります。 それからいま
一つ
、
移住事業
に関しまして、
資金面
の
援助
をいたしておりまする
日本海外移住振興株式会社
、いわゆる
移住振興会社
がございますのでありますが、これは
現地
にも、
ブラジル
に
現地邦人
の
支店
を作ってございます。それからそのほかに
パラグァイ
に
支店
、
アルゼンチン
に
駐在員
を
派遣
をしております。この
会社
の
資本金
は大体八億ということになっておりまして、そのほかに
米国
の銀行から
借入金
ができることになりまして
借入金
をしておりますが、これまで大体八億くらいを
貸付
または融資をしておるのであります。 それで、この
会社
の大きい、これまでの
事業
の
実績
のおもなるものは、
移住用地
のために土地を買う。これは
一つ
は
パラグァイ
に買ってございます。それから
一つ
は
アルゼンチン
に買っておる。それからまた
ブラジル
に買っておる。三カ所に買っておるわけであります。今後もまた適当な所があれば購入するつもりでおるのであります。それから先ほど申しました
アメリカ
に
短期
に行っておりまする
農業労務者
に対しましても、大体
渡航費
を貸し付ける、その他
貸付
及び
投融資
というものが現在まで八件であります。 どうもこの
移住振興会社
の、何といいますか、
業務
の
実績
が非常に上らぬといういろいろ御批評もあるようでありますが、いろいろ
会社
の
内部
の組織その他の整備ということもなかなか時間もかかるし、それからまた
現地
でいろいろ
投融資
をする、
貸付
をするということになりますと、
現地
の
法令等
についても十分に
研究
をしなければならぬのでありまして、その間になかなか時間もかかることと思われるのであります。 いずれにしましても、ごく簡単に申しますと、以上のようなことでありまするが、今後
移住先国
の
経済発展
に大いに
協力
するようないい
移住者
というものを送り出す。これには
移住政策
というものが強力に
展開
されるようにわれわれ
一同努力
をいたしておるのでありまして、また、この
移住
という
仕事
は非常に
関係各省
の
関係
するところが多いのでありまして、これら
各省
の御
協力
を得まして、できるだけ強力に
展開
をいたしていきたいと思うのであります。 ただ、一番ここで
一つ
問題になりますことは
輸送力
の問題でございまして、ただいま
大阪商船
の船を四はい、それから
オランダ船
のローヤル・インター・オーシャン・ライン五はいを使って
輸送
をいたしておるのであります。
大阪商船
の方は、本
年度
の計画によりまして、来年五月ごろには新しい
移民船
が一隻できることになっておりますが、さらに再来年になりますか、来
年度
の
予算
ではさらに一隻新造をしていただくようにしておるのでありまして、この
輸送
の問題というものが非常に大きい問題でありまして、今後この
輸送力
の増強ということにつきましては、
運輸省あたり
とも大いに
協力
をいたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思っておるのであります。 大体概略を申しますと、以上のようなものであります。
堀末治
11
○
委員長
(
堀末治
君) 次に、
振興局長永野
君。
永野正二
12
○
説明員
(
永野正二
君) ただいま
外務省
の
粕谷参事官
から、
海外移住
の
現状
につきまして詳細御
説明
がございましたので、私の方といたしましては、重複を避けまして、
農林省
としてどういうふうに考えておるかという点を申し上げたいと思うのでございます。
海外移住
のうちのほとんど大
部分
、圧倒的な
部分
が
農業関係
の
移住者
であることは、よく御
承知
の
通り
でございます。私
ども
現在の
日本
の
農業
につきましての
政策
を考えますときに、あらゆる面で非常にぶち当る問題は、
経営規模
の過小であるという問題でございます。この問題は、これはいろいろな
方策
、また相当な長期な
政策
の
展開
でもって逐次解決していかなければならないのでございまするが、そのうちこの
海外移住
の問題は、戦後におきまして非常に明るい窓が開けたような
一つ
の
問題点
になっておるわけでございます。
農村
の次のジェネレーションが健全に
農家
として自立していきますためには、当然こういう
過小経営
を逐次解消していくということが非常に重要な問題でございますので、この問題につきましては、
全国
の各
地域
におきまして、非常に
海外移住
の熱意が盛り上って参っておるのでございます。従いまして、私
ども
といたしましては、その問題を
関係各省協力
のもとにできるだけ積極的に
展開
をしていきたいというふうに考えておるのでございまして、きたるべき
農林省
の
政策
の中でも、大きな
一つ
の項目に考えておるわけでございます。
現状
につきまして、先ほどいろいろ御
説明
がございましたが、その
通り
でございまして、
政府
といたしましては、従来もいろいろな
方策
を考えて、この
移住
の
促進
ということについては非常に
努力
をいたしておるのでございまするが、なお万全とは申し上げがたいと思うのでございまして、これからの点につきましては、当
委員会
におきましてもいろいろと御指摘を受けたような次第でございます。私
ども
といたしましては、今後も、
外務省
初め
関係
の
当局
、あるいは
財政当局
とも
十分連絡
をとりまして、従来御注意がございましたような点につきまして、できるだけ改善を加えて参りたいと思っておるのでございます。 まず、問題になりますのは、
一つ
は、この
移住
の
関係
の
仕事
をどういう
機構
なりどういう
団体
でどういうふうにやっていくかという問題について、最近やはりいろいろと問題が起きておるのでございます。
農民
の側あるいは
農村
の側からいいますると、残された
農村
の側の問題を円滑に解決していき、また、出て行く
農民
に対しまして
資金
その他できるだけ
援助
して、できるだけりっぱな
移住者
を出先でも安定するような形で送っていきたいという具体的な
要求
を持っておるわけでございます。従いまして、この
移住
の
仕事
につきましても、たとえば
移住者
の援護の問題、あるいはどの人を
移住
させるかという
選考
、あるいは訓練の
問題等
につきまして、
農民
の側から、あるいは
農民団体
の側から、積極的に
協力
をしたいという意欲が非常に盛り上っておるわけでございます。これらの
団体
が積極的に
協力
いたしますることが、
移住
を伸ばしていく非常に必要な
一つ
の条件に相なっておるかと思うのでございまして、これらの点につきまして、
先ほど移住団体
の
機構等
につきまして、たとえば
海外協会連合会
あるいは
移住振興会社
につきまして、
外務省
からも御
説明
がございましたが、これらの
移住
取扱い
業務
につきまして、今後あるいは
地方
庁であるとか、あるいは
農民
の
団体
であるとかいうものが積極的に、しかもスムーズに
協力
をしていくような態勢を考えなければならないのじゃないかと思うのでございます。これらの点につきまして、十分今後協議をして、改善を加えたいと思っておるわけでございます。 その次の問題は、
移住者
の
資金
の問題でございます。最近の
移住者
が、
移住
先におきまして安定した営農を営んでなるべく早く自立をしていく、借金を返して自立をしていくというためには、相当多額の当初の
営農資金
が必要でございます。これらにつきましては、
政府
の方も、従来もいろいろ、たとえば
渡航費
の融資、あるいは土地購入代金の一部の融資等を考えておるのでございますけれ
ども
、私
ども
の立場から申しますと、なおなお、
農民
が向うへ行って
農業
を自営していくための
資金
の措置としては、どうも不十分な点があるのではないかと思うのでございます。たとえますれば、
移住振興会社
の
営農資金
の融資という制度も最近になって開かれたわけでございますがまだ、その対象になりますのは、たとえば共同で使用する農機具であるとか、あるいは共同施設のための
資金
であるというようなものが一応対象に加えられておりますけれ
ども
、これ以外にも、
農家
が入りまして
移住
先で営農いたしますためには、いろいろな
資金
が必要でございまして、これらのものを内地に残りました
農家
の
農民
の側もある
程度
つながりをつけつつ、十分な
資金
を供給するための援護
活動
と申しますか、そういうことをどうしても考えなければ、安定した
移住者
を送り出すということが困難なように考えておるのでございます。これらにつきましても、十分各方面の御
援助
を得ながら私
ども
としては解決をつけていきたい、こう考えておる点でございます。 次に、
現地
の営農指導の
関係
でございますが、この点も、戦前の
移住
におきましては、たとえば
ブラジル
移民のように、原始林に入りましてそこを開拓をいたしまして、コーヒー園を作るというのが非常に圧倒的な形であったのでございますが、戦後の
移住
におきましては、いろいろ
移住
先の営農の条件というものがまちまちでございます。従いまして、この営農の指導、あるいは
現地
のいろいろな
調査
というものが、
移住者
を安定させるために非常に必要な、しかも、むずかしい問題になっておるのでございます。これをやらなければ、その行った先々の異なる
事情
のもとにおきまして
移住者
が営農をうまくやっていくということが、非常に困難な実情であると思うのでございます。これらの点につきましても、
農林省
といたしましては、従来もいろいろ
調査
もいたしておりますが、なお今後毛
現地
の営農上のいろいろな
事情
の
調査
ということに十分力を入れまして、おのおのの出先の実情に応じた
移住者
の営農の安定ということができるように
努力
をしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。 従いまして、以上のようないろいろな問題を解決いたしますために、
農林省
といたしましても
移住
行政に積極的に
協力
をしていきたい、こう考えておるわけでございまして、この点につきましては、特に
外務省
当局
とも十分に連絡をとりまして支障のないようにしていきたいということで、両省その方向につきましては大体意見が一致いたしまして、いろいろ具体的に
研究
をいたしておる段階でございますので、なお両省折衝の上御
報告
をする段階が参りますれば御
報告
をいたしたいと、こう考えておりますので、御了承をいただきたいと思うのでございます。大体以上でございます。
島村軍次
13
○島村軍次君 当
委員会
におきましては、この問題についてはずいぶん論議をされたことでありますが、ただいまの
説明
を中心として数点について伺ってみたいと思います。 まず第一に、他の国の例から申しますると、たとえば
イタリア
のごときは、特に
移住
の政務次官を置いて、担当を特に別途にやって、しかも、
わが国
の政務次官の制度と違って、執行
機関
としての
仕事
も相当やっている。御案内の
通り
に、もうすでに千三百万と称せられ、千五百万と称せられ、年々六万ないし十万の人々が出ておる。こういう
現状
から見ますと、私は、今のようなまことに微温的な
移住政策
では、
わが国
の国是の上にも将来大いに考えなければならぬと思うのです。承わりますと、
移住
に関しては特別の立法を
外務省
でお考えになっているようでありますが、将来の方針と他の国との
関係
等から、果してどういう構想をお持ちになっておりますか、まずそれから伺ってみたいと思います。あ
わせ
て
農林省
は、
移住者
の大
部分
が
農業関係
でいくのでありますから、この際いろいろな
問題点
の抽象的なことでなくして、将来の画策について、
農林政務次官
の
一つ
御所見を承わってみたいと思います。
粕谷孝夫
14
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) ただいま御指摘に相なりましたように、
イタリア
あたりは毎年十万くらいの人がどんどん出ておるのであります。
わが国
におきましても、できるだけ数多く出したいという気持もあるのでありますが、
わが国
で戦前一番多く出ましたのが二万七千ぐらいと聞いておるのであります。できるだけ早い機会にそういうふうな、少くとも戦前ぐらいに持っていきたいというのがわれわれの願いであります。そのためには
各省
と十分に、特に
農業
移住者
も多いことでありますから、ただいま振興局長が申されましたように、いろいろ
農林省
その他
関係
方面と十分に
協力
をいたしまして、多少でも多く送り出せるような態勢に持っていきたいというつもりでおるのであります。ただいま
お話
のありました
移住
法の問題につきましても、
農林省
その他
関係
方面と目下いろいろ
研究
中でございまして、まだ成案といいますか、そこまでは行っていないのであります。
島村軍次
15
○島村軍次君 次の通常国会に提出されますか。
粕谷孝夫
16
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) 通常国会に提案するつもりでやっております。
瀬戸山三男
17
○
説明員
(
瀬戸山三男
君) 私にお尋ねでありますから、簡単にお答え申し上げます。 ただいま島村先生から
お話
しの
通り
、私も昨年ちょっと
イタリア
に寄ってきましたが、今
お話
しのように、
イタリア
あたりでは非常に
移住
が強力に行われておる。
わが国
の
移住政策
が、御
承知
の
通り
に、なかなか思うようにいかないということは十分
承知
いたしております。これにはそれぞれの国情、人情というのも相当左右しておると思いますが、将来の構想という
お話
でありますけれ
ども
、これは受け入れ国の
事情
もあることでありますから、今までそれぞれ係りの方から御
説明
申し上げましたような
事情
でありますが、受け入れ国との
関係
を調整する。先ほど振興局長も申し上げましたように、
農林省
といたしましては、
農業
人口の過剰ということが
日本
の農政の一番大きなガンでありますので、できるだけ多く
海外移住
をさせる、こういう考え方を持っております。 御
承知
のように、私は最近
農林省
に入ったのでありますが、これは国の財政
事情
もあると思います。それから
輸送
の
状況
、
輸送力
の
関係
もあると思いますが、正直のところ、
農林省
関係
の
予算
一億足らずという
状態
になっております。三十三
年度
は約三倍くらいの
要求
をいたしておりますが、先ほどお尋ねの
海外移住
法というような法律も次の通常国会にお願いをして、まず基本法を作って、海外に
移住
した人が安心して、かりに営農するとすれば営農ができるように、相当強力な
予算
措置もしてやらなければ、ただ海外に行け海外に行けだけでは、私はなかなか振興しないのではないか、こういう考え方を持っておりますことを申し上げます。
清澤俊英
18
○
清澤
俊英君 今の
お話
に
関係
して、
外務省
にお伺いしますが、いろいろ受け入れの国の
事情
がありましょうが、現在大体移出可能性はどのくらいになるか、各国の
事情
で協定等ができておりましょうが、その総数、現在
移住
できるという数はどのくらいか。第二番目に、その
移住者
は大体
農業
におかれておるようですが、国民全体の上から見れば、全体に人が余っておるのですから、職業を制限しないかということ、職業の制限があるかないか。それから第三番目に、大体
日本
の国策として
移住者
はどれくらいを出すのがいいかという目標をもって——それは向うの
事情
でできませんよ、だが、どれくらいまでは
努力
しても出していかなければならぬか、こういう大体の目標、年十万とかあるいは三十万とかいうようなもの、年間でどれくらいのものを
移住
したらよかろうというようなものは固まっておるのですかどうですか。この三点を
一つ
。
粕谷孝夫
19
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) 第二点の職業の制限の問題につきましては、そういう制限はございません。それで、われわれの方といたしましても、従来は
農業関係
が多かったのですが、そのほかの中小企業の
移住
とかいうものにもできるだけ
努力
をいたしたいと思っておるのであります。ですから、来
年度
の
予算
には中小企業のそういう可能性ありやなしやというようなことを
調査
をする
予算
も、
要求
をしておる次第でございます。 最後の点の
努力
目標といたしましては、先ほ
ども
申し上げましたように、戦前は二万七千人が最高でございましたが、大体そこいらか、三万くらいにできるだけ
一つ
早い機会に持っていきたいというのが、
努力
目標でございます。
清澤俊英
20
○
清澤
俊英君 今の二万七千くらいというのは、一カ年ですか。
粕谷孝夫
21
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) いや、五カ年くらいに相なります。五カ年で年間三万くらいに持っていきたい。
清澤俊英
22
○
清澤
俊英君 そうすると、十五万……。
粕谷孝夫
23
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) 一年に三万、毎年五、六千ずつふやして、大体五年で三万くらいにふやして参りたいというつもりでございます。
清澤俊英
24
○
清澤
俊英君 現在移出可能の数はどれくらいですか。これは国別で後に資料をもらえればいいですけれ
ども
、現在のところ……。
粕谷孝夫
25
○
説明員
(
粕谷孝夫
君)
わが国
の
輸送力
の問題がありますが、それを無視しまして、
相手国
だけの受け入れ可能数は現在二万人……。
清澤俊英
26
○
清澤
俊英君 一カ年ですか。
粕谷孝夫
27
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) ええ。
島村軍次
28
○島村軍次君 この問題は、論議すれば非常に際限のないことだと思うのですが、端的に私は希望を数点申し上げて、
一つ
お答え願いたいと思うのは、第一に、昨年海外視察の際にオランダの岡本大使にあちらで会った。ニューギニアの問題で、それは向うの
外務
大臣と折衝中だ。もうお帰りになっておるようですが、おそらく夢でなかろうというふうな
お話
があったのです。あそこは今オランダ人が五万くらい入っておるようですが、あのジャングルを開拓すれば、ニュージーランドとかあるいはオーストラリア等の問題があるようですが、これは考え方によれば不可能でない、こういう強い希望を持っておるようですが、そういう熱意の点は、
外務省
に果してあるのかどうか。国策として今の三万とかいうのでは、私は将来の
日本
の人口問題なり、
日本
の
農業
の立場からいって、
農業
問題等
からいえば、非常に不十分きわまると思うのですが、
外務省
はニューギニアなんかに対しては、ただ消極的に、なかなかむずかしいのだというくらいの
程度
にしかお考えになっておらぬのかどうか。これはもっと声を大にしてやると同時に、海外と折衝を十分やっていただきたい。岸総理なり今度の
外務
大臣あたりはずいぶん
おい
でになりますが、こういう問題について、ただ
国際連合
で希望の演説をしたくらいでは、なかなか解決するものではないと思うのですが、その点をまず第一点として伺っておきたいと思うのです。 それから、次に問題になるのは、何としても、やはり先方の受け入れの問題が相当あると思うのですがね。しかし考え方によれば、これは不可能な問題ではないことは、たくさんな例もあるようでありますし、要するに向うに行って土地を相当求めて、そうしてその土地に対しては、
政府
なり、あるいはこの
海外移住
協会なり、振興
会社
ができておりますが、私は
農業
の立場からいえば、これが果していいかどうかわかりませんけれ
ども
、やはり
全国
的の農協の
連合会
が最近できて、これの
一つ
のプランとしては、土地を各地で求めて、そしてそれに二、三男を持っていく。その
資金
はどっか
政府
なりあるいは民間
団体
等で、
政府
が相当の利子補給をするとか、あるいはある
程度
の保証をして、積極的にやって、
資金
を貸してやるとか、その支払いは、残った長男の者が支払いの責任を持つというような積極的な考え方をお持ちになれば、土地の買い入れ等もそう不可能ではないのではないかというふうに考えられるのですが、そういう問題についてはどうお考えになっておりますか。 それから
地方
にある
海外移住
協会というものの性格は、非常にぼんやりしたものです。ただ県庁の片すみで、他の
仕事
の片手間にやって、ただ
外務省
の手足とか、あるいは
移住
協会の書面上の取り次ぎをするくらいで、熱意に燃えている者があっても、府県の
海外協会
に行ってもわからないですよ、
事情
というものが。そこで今度の
移住
法を立法される場合には、今までのようなことでなしに、もっと積極的にわずか八十万くらい増額したからといって、満足しろといっても、それは何にもなりませんよ。これこそ焼石に水くらいのことです。もっと根本的なその協会の働きというものが、
連合会
の働きというものがほんとうになければならないと思うのです。しかも、この問題は、国内の
仕事
にはずいぶん金を出しておるわけでありますから、農地の問題とか、
農業関係
のそういう点からいきますと、非常な大きな問題だと思うのです。で、三万くらいを目標にせぬで、もっとけたを上げて、三十万とか、あるいは少くとも十万とかいうような目標をもってやることの可能性があるのかどうかということを、これは先ほ
ども
御答弁がありましたけれ
ども
、やり方によってはあるのだというようなことは、これは
全国
へ大いに呼びかける必要があるのじゃないかと思うのですがね。 その点と、それから関連をして東南アジアの問題ですがね。 新聞には大きく出ておりましたが、カンボジアあたりの受け入れ態勢はどうも、調べてみたけれ
ども
、なかなかうまくいかぬというようなことですが、カンボジアに限らずに、パキスタン、あるいはインドネシア等については、いろいろ海外
事情
もありましょうが、これは総理大臣みずからが出て行かれるぐらいな、こういう問題を第一に取り上げてやるということは、ただひとり
農業
ばかりでなしに、南方開発の問題にも非常に役立つと思うのですが、南方の問題に対する情勢を一応聞かしていただきたい。 以上数点に
一つ
お答えを願います。
瀬戸山三男
29
○
説明員
(
瀬戸山三男
君) 今の御意見の中で多少
農林省
に
関係
した分があると思いますので、お答えいたします。 多数の
移住者
を出すということは、これはどなたもそれが可能である限り同じ御意見であろうと思います。まあ、
政府
としても、もちろんそういう考え方を持っているわけでありますが、先ほ
ども
申し上げましたように、こちらだけの希望なり、あるいは国内の
輸送力
その他の問題もありますので、そう簡単にいかないというところに悩みがあると思いますが、そこで先ほどの
お話
の中に、まあ
農林
管の
関係
が多い、特に
農業
移住者
については、外国に行きまして土地を求め、それから営農するというのについて、あるいは農協
団体
などがある
程度
の考えを持っているという話でありましたが、そういう国民的な盛り上りが非常に必要なことだと思っております。そういうことで、これはまだ
予算
の
要求
程度
で、今後の
努力
になるわけでありますけれ
ども
、
農林省
といたしましては初めての試みでありますが、そういう土地の購入あるいは初期の営農の
資金
、そういうものを貸し付ける制度をこしらえる必要がありはしないか。それに
海外移住
の基金と申しますか、そういうものを作りまして、そうしてそれを、農協
団体
等から
資金
を借りて
渡航
する人の、その
資金
借り入れの保証をしよう、こういう基金を作りたいということで、今
農林省
予算
としてはわずかでありますけれ
ども
、
政府
出資で約二千万円——まあ半額という考え方でありますけれ
ども
、初めての試みとしてそういうことをやりたい、こういう考え方を持っております。 それから各県にありますあるいは
連合会
、あるいは
海外協会
と申しますか、この
活動
がきわめて微温的である。これはまさにその
通り
であると思います。最近は
海外移住
の問題がだんだん開けて参りましたので、ここ二、三年来相当に熱意が出てきておりますが、まだまだ島村先生仰せの
通り
で、いわゆる国策として、国民が全力をあげてこの人口問題を打開する
一つ
の道だというほどの盛り上りはないように感じられております。そういうこともありますので、これは単に
農林省
あるいは
外務省
だけのものでなくて、どうか
一つ
皆さん方の方でも御
協力
を願いたいのでありますが、先ほ
ども
申し上げましたように、今準備を進めております仮称の
海外移住
法、そういうものでも作って、そういう
海外協会
等の真に積極的に
移住
問題を取り扱う
機関
も法制化したい、こういう考えを持っておりますことを申し上げておきます。
粕谷孝夫
30
○
説明員
(
粕谷孝夫
君)
最初
に御指摘になりましたニューギニアの問題、まことにこういう所に入れていただけば非常にけっこうなんでありますが、なかなか対日空気といいますか、アジア方面から行く
移住者
に対しましては非常に神経過敏なのでございます。私、前にインドにおりましたときに、インドにおりますオーストラリアのハイ・コミッショナーといいますか、大使に当る人でありますが、これが、有色人種に門戸を開放しておるのはけしからぬという意味のことを演説したことがございます。そのときには大問題になりまして、危うく召喚を求められるような
状況
になったのであります。そこで、われわれとしても、決してそういうところをないがしろといいますか、気にとめていないわけではないのであります。そこで、まあ国対国の
交渉
よりも、
国際連合
とか、そういう
国際
機関
で仲介に立ってもらって、そういう面も漸次開いていけるようにしてもらった方がいいんじゃないかという、非常にこれはある意味に
おい
てはまどろっこいやり方かもしれませんが、そういうふうにして、そういう感じをほぐしていったらいいんじゃないかというように思っておる次第であります。まあ機会あるごとにそういうような
努力
をいたしておる次第でございます。 振興
会社
につきましても、来
年度
あたりは、いい土地を買うと高くなりますから、その造成費の一部は
予算
でもって補助して、できるだけ
移住者
の負担を軽くしようというような措置も考えておるのであります。それからまた利子の補給とか、支払いの責任を内地に残っておる者にするようなことはできないかどうかというようなことを、いろいろ各方面の御意見を伺いつつ
研究
をいたしておる次第でありまして、今後できるだけ御期待に沿うように
努力
いたしたいと思うのであります。 それから
海外協会
につきまして、いろいろ御指摘の点もございますが、われわれも八十万円だけで満足をしておるわけではありませんので、来
年度
はさらに多額の
予算
を
要求
いたしておりますので、これもただいま
農林政務次官
がおっしゃいましたように、できるだけやはり各方面の御
協力
を得て、活発に
活動
できるようなものにもっていきたいというつもりでおるのであります。 それから東南アジアの
事情
につきましては、私、先ほど申しましたように、インドにおりまして、多小東南アジアの空気を吸ったのでありますが、東南アジアと申しますというと、非常に歴史も古くて、割合に土地あたりを確保するということは骨が折れる。東南アジアの大体の特色というと、少し口はばったいかもしれませんが、インドにおりまして、パキスタンなりビルマその他を眺めてみますというと、大体私の感じでは、人口が稠密といいますか、非常に人口が多いのでありまして、なかなかそこへ
農業
移住者
として入っていく余地はないように思われる。これはもちろん
農業関係
その他につきまして、技術
協力
というような形で行くことはまことにけっこうであると思われるのであります。 少しこれは余談になるかもしれませんが、何分、このニューギニア方面ですと、
日本
とは近距離でございますが、中
南米
になりますと、距離の
関係
がありまして、
輸送力
の問題が一番大きな問題でありまして、今のように商業ペースで船を動かしていきますというと、年々一万トン級を二隻ずつこしらえて、五年目にようやく三万
程度
を送り得るというので、年間十万人以上になるというと、商業ベースを離れまして、
政府
が直接
移住
船を建造するようなことを考えなければできないのではないかという気がいたします。
島村軍次
31
○島村軍次君 まあ
輸送力
の問題は
お話
の
通り
だろうと思うのですが、これはしかし、熱意があれば、受け入れ態勢さえ十分ならば、
政府
が作って、一万トン級でも何万トン級でもいい、数隻なり何隻でも作るという計画をお作りになって、そうして大いに推進される必要があると思う。
外務省
移住局
までお作りになったけれ
ども
、ちょっと弱いのじゃないか。 それから
国際結婚
というのが二万五千あるようですが、これは
日本
の婦人がつまり
アメリカ
なり外国人と結婚した、こういうことで、主として婦人の数ですね、この
国際結婚
の
移住者
というのは。まあ余談になりますが、
日本
婦人はなかなかいいというので、世界に人気がいいそうですから、もっと
国際結婚
をお進めになる必要があるのかもしれませんが、(笑声)それはまあ別問題ですからその
程度
にしておきまして、そこで……。
粕谷孝夫
32
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) ちょっと口を返すのじゃございませんが、私も五月に、実を申しますと、
移住局
に参りまして、非常にどちらかというと新入生で、今の局長も三月にかわって参られたのですが、非常に熱意を持って一生懸命勉強をしております。できるだけ
一つ
御期待に沿うように
努力
をしたいと思っております。
島村軍次
33
○島村軍次君 そこで、従来の
農林省
なり各
関係
省の間の
事務
連絡というものはなわ張り争いで、どうもぴったりいかぬというのが、一般の定評になっておったと思うのですね。そこで
農林省
に言
わせ
れば、どうもわれわれは
外務省
に対して非常な希望を持つけれ
ども
、なかなか
外務省
がわれわれの言うことを聞いてくれぬというようなことをよく聞くのです。今度、
農林省
でここに
参考
資料としてお出しになっておる各項を見ますと、おそらく今まで
外務省
あたりでお考えになっておる
程度
よりは、たとえば
資金
援助
の問題にしても、これはやはり
営農資金
というものを考えなければいかぬでしょう。それから
現地
指導というものを考えぬと、これは実際にやっていけぬと思うのです。先般ここで平川氏の
南米
へ行った話を聞きましたが、指導者なり、それから
営農資金
が十分であれば、これは相当可能性があるので、伸び方が非常に早いと思うのですね。
外務省
で御心配になっておる以上に、私はこの問題は特に必要だと思うのです。それには、最後にあげておる
移住
行政の問題については、これは
現状
からいけば
農業
移民が大多数です。しかも、
地方
の
海外移住
協会が唯一の
地方
連絡
機関
です。
外務省
は高い所に
おい
でになりますから、
地方
の
事情
というものは、
海外協会
だけではわからない。ほんとうは
農業
団体
とか府県の方との間をもっとしっかりやられて、それに対してしっかり
仕事
をやらせる、それがやがて
外務省
の
事務
の刷新なり
移住
に対する問題の解決に、むしろその方から私はずいぶん声が大きくなると思うのです。
移住
だといえば、
海外協会
にまかしてあるのだというふうな考え方それ自身が、非常に悪いと思うのです。そういう問題についても
一つ
盛んに経綸を行なって、そうして庁内というか、閣内に連絡
会議
というものをしょっ中やって、もう終戦後十年ですから、
一つ
明治維新くらいのつもりで経綸を行なっていただきたいということを希望を申し上げて、私の
質問
を終ります。
粕谷孝夫
34
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) わかりました。
千田正
35
○千田正君 私は途中から来ましたけれ
ども
、大体来
年度
の
予算
は
外務省
はどれだけ組んでおるか、
農林省
はどれだけ
要求
しているか。
粕谷孝夫
36
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) まあ大きな面で申し上げますと、
送出
人員が一万三千三百というような
数字
できたのでありますが、これでその増大に伴う経費として十七億九千万円、これはその
移住者
送出
及び
現地
受入
機関
の整備といいますか、これは
海外協会
あるいは
現地
の世話をしている
機関
の整備で十二億、それから
移住者
の受け入れ助成といいますか、これは先ほど申しましたように、ある土地を買いますとだんだん土地が高くなってくると、これでは
移住者
の負担も非常に高くなるので、土地の造成費あたりを国家の方で見たらいいじゃないかということで二億四千万円、それから
移住振興会社
に対する増資が三十億、六十三億三千六百万円というような額で組んでおります。
千田正
37
○千田正君
農林省
はどれだけです。
永野正二
38
○
説明員
(
永野正二
君)
農林省
におきます
移住関係
の
予算
は、本
年度
、つまり三十二
年度
におきましては、
移住者
の募集、
選考
及び訓練を私の方で担当いたしております。その
関係
と、
現地
におきます
農業
事情
の
調査
のための旅費、こういう
関係
で、三十二
年度
予算
といたしましては千九百万円ばかしあるのでございますが、来
年度
におきましては、
送出
人員が増加をいたします
関係
で、ただいま申し上げました募集、
選考
、訓練の経費及び
現地
調査
の経費、これに伴う本省の
事務
費というもので、三十三
年度
におきましては三千九百三十五万三千円を
要求
をいたしております。そのほかに、訓練のために機械等を購入いたします経費を二百万円
要求
をいたしております。そのほかに、先ほど
参事官
から御
説明
を申し上げましたように、
移住者
に対します
営農資金
の供給を円滑にいたしますために、内地におきまして、たとえば土地を処分する、あるいは財産を処分するというようなケースが相当あるのでございますが、それに対する融資を農協系統
資金
を利用いたしまして、それに対して国及び県におきましてあるいは補助、あるいは損失補償というようなものをつけて融資を円滑にいたしたい、こう考えておりますので、そういう
関係
の、何と申しますか、援護のための、
移住事業
の
援助
、
促進
のための経費といたしまして千八百四十万円ばかし
要求
をいたしております。従いまして、統計をいたしますと五千九百七十五万三千円というものが、この
関係
の来
年度
の
要求
に相なっております。
千田正
39
○千田正君
農林省
の
数字
は違いませんですか。
昭和
三十二
年度
の
予算
は大体九千万円のはずだったのですがね。
永野正二
40
○
説明員
(
永野正二
君) これは、先般
移住関係
の経費として御
説明
を申し上げました中に、本来の
農業
移住
のほかに、北
アメリカ
に対します派米
農業労務者
の訓練の経費、あるいはこの
関係
で、たとえば
農村
の青年をあらかじめいろんな
関係
で研修をする経費、そういう
移住
を取り巻くいろいろな施設の経費を全部累計をいたしましたのが、先般官房長が
予算
の
説明
をいたしましたときの九千何百万円という経費でございます。私が今申し上げましたのは、プロパーの
移住
の経費であります。
千田正
41
○千田正君 これで
農林省
としては、大体どれだけの人間を
現地
に
派遣
できるんですか。
永野正二
42
○
説明員
(
永野正二
君) 三十三
年度
の
農業
移民の
送出
人員は……。
千田正
43
○千田正君 いや、そうじゃありません。移民の数じゃなくて、
農林省
自体の
海外移住
に対しての
調査
、あるいはアフター・ケアの問題、その他に対して、どれだけの
農林省
のお役人が
派遣
できるかということです。
永野正二
44
○
説明員
(
永野正二
君)
現地
の
調査
を主といたしまして、大体二人ずつ三班を繰り出す計画にいたしております。
千田正
45
○千田正君 先ほど瀬戸山次官が、どうも国策として取り上げたいんだが熱意がないというようなことをおっしゃっているが、これは僕は次官としてはミステークじゃないかと思う。吉田内閣以来、あなた方のいわゆる保守党内閣は、
海外移住
というものを主張してこられた。私は十年間
予算
委員会
及び
農林
委員会
の
委員
としてこの問題と取っ組んできたのですが、いつの時代にも、吉田首相の時代にも、鳩山首相の場合に
おい
ても、現内閣の岸首相の場合に
おい
ても、
日本
の戦後におけるところの国内の人口増加と、郷土の狭隘を痛感した場合に
おい
ては、どうしても海外に
移住
しなければならない。それが内閣の
一つ
の
政策
として特に盛り上げてゆかなくちゃならない、こういうことを力説しておる。しかし、今の
お話
によると、まことに残念ながら、こんなことで一体
日本
の
海外移住
政策
ができるかどうか。 私はあえて伺いたいのですが、それならば、現在
南米
に
おい
て
日本
以外の国、今度の大戦に
おい
て
日本
と同じようないわゆる敗戦の痛苦を受けたドイツ、
イタリア
の移民が、どういうふうなシステムのもとに移民しているかということを
調査
されていると思いますが、
外務省
といたしましては、
日本
と比較して、ドイツ、
イタリア
等の移民は、少くともどういう制度のもとにやっているかということを
一つ
御
説明
願いたい。
粕谷孝夫
46
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) ちょっと資料を持って来ておりませんから、
あと
でお届けいたします。
千田正
47
○千田正君 私はあえてここで申し上げたいのは、さっきも島村
委員
からこの点についてあなた方に聞いておったのですが、この前の
海外移住
法案を上提した場合におきましても、
外務省
と
農林省
のいわゆるセクショナリズムのために
日本
の
海外移住
の
政策
というものは、常に暗礁に乗り上げている。どことどこが
外務省
の権限で、どことどこがいわゆる
農業
移民の担当すべき分野であるかという面で、あまりにあなた方がなわ張り主義を叫び過ぎる。実際に海外移民の重点というものはそれておるということを、私は考えるのです。私は海外をしょっちう旅行しておって特に痛感するのは、
外務省
の諸君はなるほど
日本
の外交
政策
の代表者として行っておる。しかし
海外移住
のようなものは、歴史というものを
調査
し、そうしてまたそこに移民された後のアフター・ケアの問題も考えなければならない。指導の面に
おい
ても、あらゆる面に
おい
て考えなければならない。そういう点は非常に私は、ドイツやあるいは
イタリア
の同じ敗戦国民が
移住
しておる今日の姿と、あまりかけ離れておる。たとえばアマゾンの流域にしましても、あるいはアンデス山脈の中に
おい
ても、ドイツや
イタリア
の役人は、ジープをかって、そうして山また山、あるいは沼沢の地まで行って、そうしてあらゆる辛苦をなめて、自分の祖国の国民を
移住
するために懸命の
努力
を払っておる。私は、はなはだ失礼ながら、
外務省
はそれだけのことをやっているかと言いたい。ほんとうに
日本
の、敗戦後における
日本
の国民は、今後
移住
するという点から考えたならば、国内のセクショナリズムなどは、そんなものは弊履のごとく捨てて、盛り上る
日本
の国民の意欲というものをどういうふうに政治に反映するかということを考えたならば、もっと
予算
を盛って、もう少しかゆい所に手の届くようにして、そうして適地を十分に
調査
して、
移住
した後に
おい
て、
国際
人としての、
日本
人の民族としての排他主義にわずらわされないような、そうした移民をするのが当然だと思うが、そういう教育を十分にしていないじゃないかと私は思うのであります。 たとえば、
ブラジル
なら
ブラジル
に移民したところの青年諸君のうち、いわゆる
短期
契約
農民
として行った諸君のうちにも七人か八人帰って来ているが、どういう所に行って、どういうために帰されたか、知っておりますか。向うは、契約して来たけれ
ども
、その青年はこの
ブラジル
の組合ではどうも不適当である。なぜ不適当であるのか。
日本
から行った青年諸君は、労働が過重である、文化の施設はない、
日本
の国よりははるかに苦しい思いをして、しかも将来に自分たちの理想とするところの期待というものはわれわれは持ち得ない。そういうところから多少ぐれ出して、これはぐれ出した青年だから
日本
に帰す。もしもその引き受けるところが、十分に
日本
の青年諸君を引き受けるだけの態度をもって、そうしてそうした
人たち
に希望を持たせるということならば、こうした
人たち
も帰さぬで済むはずだ。そういう問題が次から次に現われているということは、私はもう少し真剣になってこの問題に取り組んでもらいたい。来
年度
の
予算
にこれだけの
予算
をもって一万数千人を大体
移住
させるというが、これでは私は不足だと思います。 それで、私は重点的に考えて申し上げるのだが、海外の、
日本
以外の、ほかの
移住
を盛んにやっておるところのドイツや
イタリア
、あるいはスペイン、その他の国々と比較して、
日本
の
政策
というものはどれだけの違いがあるかということをはっきりしていただきたいと思います。きょうは資料がないというからこれ以上つっ込みませんが、瀬戸山さんに私はお願いしますが、こんなことでは
農業
移民はできませんよ。二、三男対策ということは、ことにわれわれは叫ばなければならない。おそらく今日に
おい
て開拓というものは頭打ちになってきている。あなた方が御
承知
の
通り
、これ以上われわれは開拓の問題をここで云々するよりも、海外にどしどし出すことを考えなければならない。一億円にも足りないところの
予算
で、二人や三人の人間を海外にやって適地を探させても、それで国策が盛り上らないとか、国民が
協力
しないということが言えるか。
農林省
、しっかりして下さいよ。もう少し私は考えていただきたい。何かもっと強力な力をもってこれをやるという考えを持っておりませんか。
瀬戸山三男
48
○
説明員
(
瀬戸山三男
君) 今、千田さんから言われたことは、全く私は同じ気持を持っているのです。ただ、先ほど申し上げたように、この
予算
を見て、一億足らずでということを、実は
農林省
内部
でも、私もびっくりしたのですが、
現状
に
おい
てはこのくらいしか消化できないそうであります。これはさっきもドイツの話、
イタリア
の話、その他ありましたが、そういう海外の諸外国の移民
政策
と
日本
の移民
政策
を比較検討して、特に人種の問題、その他あると思いますが、私も詳細知りませんが、大いに検討しなければならないという考えを持っております。しかし、先ほど申し上げたように、
現状
ではまあ、ようやく昨年は
現地
調査
たった一人で、そういうことでは問題にならない。今年は五人か六人という
予算
を編成いたしております。全く同感であります。 しかし、これは一挙に解決する問題でないと思います。
日本
人がどこに行っても喜ばれるという空気、平和主義と申しますか、
日本
人が愛されるという空気を作ることは、これは大きな外交
政策
だと思います。そういう各般の問題とよく取りまぜて推進すべき問題だと思っております。
予算
の小さいことは今仰せの
通り
であります。 それから先ほどの
お話
、私は今まで
関係
しておりませんけれ
ども
、たとえば昨年の
移住
会社
の問題でも、
農林省
と
外務省
が権限争いというか、それぞれ主張があると思いますが、非常にごてついたということも、私も知っております。私も昨年、これとは全然別な話でありますけれ
ども
、
アメリカ
の
日本
人の行っている農場などを見て参りました。そういうことで、この大
政策
について相当ごたついているということを
承知
いたしております。しかし、今後私がおります間は、こういう大きな国策と申しますか、国の大問題について、役人の
人たち
が所管争いなどするということは、一切私の目の前では許さないという考えと自信を持っておりますから、どうぞ御
協力
をお願いしたいと思います。
千田正
49
○千田正君 それで、技術的な問題でありますが、たとえば一応海外に
移住
すると決定した場合におきまして、国内に
おい
て一応の訓練をする。しかし、最近の
状況
を見るというと、乗船するわずか二、三カ月前に、ちょっと二、三週間訓練をして、さあ出て行けでは、向うに行っても向うの様子も十分わからず、どうしたらいいかわからない。わずか二、三週間の訓練で、向うに行って向うの国情にとけ合えといっても、これは無理です。国内におけるそうした希望者に対する訓練というものに対しての費用は、
農林省
が負担するのか、それとも
外務省
が負担するのか、どちらなのですか。
永野正二
50
○
説明員
(
永野正二
君)
移住
ということが一応決定をいたしてから
あと
、ただいま御指摘のように、
現地
事情
等について
短期
の訓練が行われるわけでございます。
農林省
といたしましては、適格の
移住者
を
送出
するということは非常に重大であると思いますので、ふだんから、たとえば
農村
青年の研修会等の機会に、
移住
の希望者というものを事前にいろいろ
調査
をするように心がけているわけでございます。そういたしまして、具体的にどの
地域
に何名の者が出られるということになりますると、その募集、
選考
及び内地の出港までの訓練というものは、
農林省
がその
事業
の監督を担当して、
農林省
の施設を利用いたしまして、いろいろ
農業
の訓練をするというふうにいたしているわけでございます。
千田正
51
○千田正君 もう
一つ
の悩みは、一家をあげて
移住
する。その場合、自分の所有の土地を知人なり、あるいはその他に売却する。ところが、足もとを見て、あれは
農林省
の応援で
ブラジル
なら
ブラジル
に行くのだからといって、その人が
一つ
の目標にされて買い叩かれて、二束三文に買い取られ、船賃にもならない
状況
です。そこに税務署はさらに、売ったならば税金をかけるぞと言ってくる。こんな国策では、あなた方が幾ら海外に行けとか、われわれも行ってくれと言っても、行けないじゃないですか。そういうものに対する何か
一つ
の、海外に行く者に対して奨励をして、そういう自分の所有地を売り払って行く者に対しては、何らかの恩典を考えていかなければ、喜んで海外に出て行きませんよ。そういう点については、何か考えておる点がありますか。
永野正二
52
○
説明員
(
永野正二
君) ただいまの御指摘になりました点が、実は私
ども
といたしましても非常に従来悩んでおった点でございます。ことに最近の
移住
の場合には
現地
の土地代、あるいはいろいろな機械設備、農機具とか、その他非常に初期の
営農資金
が相当必要でございますので、そういう
営農資金
を確保するという意味から、またその場合に内地の農地、あるいは家屋、あるいは財産というものを急いで処分をすると、ただいま御指摘のようなことになりますので、内地に残ります者がこれを処分をいたしまして、その処分をする場合の
資金
等につきましても、先ほど申し上げましたように、援護基金的な
一つ
の基金から融資をするというような制度をこさえまして、初期の
営農資金
を
移住者
が持って行きますために必要ないろいろな施策を行いたいというのが、この来
年度
予算
の
要求
いたしております
移住
の援護
促進
のための
補助金
を考えておるわけでございます。これはなお
財政当局
にもいろいろの
説明
をいたして、
要求
を今いたしております段階でございますが、こういう制度がだんだんと軌道に乗りますれば、ただいま御指摘のような観点が若干ずつ解決をされていくのではないかと、こう考えております。また税金の点につきましても、今まで御指摘がございましたような事例があるようでございます。これにつきましては、大蔵省方面にも話をいたしまして、ある
程度
善処されるという見通しも実は持っておるわけでございます。
千田正
53
○千田正君 それでは、
永野
局長のお考えは、自作農創設
資金
のような、たとえば自分が金がない、売って行きたいのだけれ
ども
買い叩かれて予定の金額にならないというような者に対しては、何か公庫等のようなもので立てかえて一応払って立たせてやる、そういうようなあれでもあるのですか。
永野正二
54
○
説明員
(
永野正二
君) 自作農維持
資金
の融資ということももう
一つ
考えておるのでございますが、これは
資金
のワクにも限度がございます。また借り得られる資格にもある
程度
の限度がございますので、全部の
移住者
がこれの制度の恩典に浴するというわけにはいかないと思いますので、これにつけ加えまして、今申し上げましたように、残りました者が農地その他を買い取りまして、その買い取る
資金
を、先ほど申し上げましたような援護基金というような制度でもって融資をしていくということを考えたいということでございます。
千田正
55
○千田正君
外務省
の方にお伺いいたしますが、
移住
した後におけるアフター・ケアの問題ですね、これは出先のあなた方の方の
関係
は十分見ているのですか。たとえば、私は今までの
状況
を見るというと、
海外移住
協会であるとか、あるいは
会社
等に一応まかせて、行った
あと
はその連中の責任で
一つ
あと
を見てやれというような、やりっ放しの点があるのではないかと私は考えるのですが、その点はどうなんです。
粕谷孝夫
56
○
説明員
(
粕谷孝夫
君)
移住
した
あと
のいろいろな面倒は、もちろん出先の方でも十分に注意をして、お世話をしておると思っております。あるいは不十分な点もあるかと思いますが、やっていると思います。それから直接世話に当っておりますのは、
海外協会連合会
の支部というようなものを作りまして、これに
補助金
を流して面倒を見ておるわけであります。そして行きました
人たち
が何とかそこに定着できるように指導をすると同時に、共同施設その他については
補助金
を出してございます。それから
会社
の方につきましても、何らか
資金
の
援助
ができるように措置を講じておる次第であります。それからただいま
お話
しになりました、こちらから出かける場合の
営農資金
の問題についても、とにかく
会社
の方も何か措置ができるかどうか、いろいろ
財政当局
のお考えもあることと思いますが、何らかの方法で実現するように
努力
をいたしておる次第でございます。
千田正
57
○千田正君 それは非常にけっこうな話ですが、実際はそうではないのじゃないですか。たとえば、さっき私が申し上げました青年の
短期
契約
移住
農民
というものは、四年働いて、そして一応金をためたならば、適当な土地をお前たちに与えるから来いと言われて、行っておるでしょう。ところが、実際を見ると、もうわずかに小づかいにもならない賃金しか手に入らない。そして四年働いても、おそらくそこに定着できないような
状況
じゃないですか。私はそう思います。
粕谷孝夫
58
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) コチアの方ですか。
千田正
59
○千田正君 コチアの方です。 では、続いてお伺いいたしますが、たとえば今の
日本
の青年は、終戦後非常にわれわれの時代とは変っておる。民主主義の世の中になって、そして労働時間もある一定の時間しか働かない。
農村
は労働者と違って、八時間きっちりというわけにいかないけれ
ども
、朝の六時から起きて晩の十時まで働く。そういうことであっても、一応一週間に一回とか、そういう休日などをある
程度
要求
しております、
農村
の青年諸君は。ところが、今のコチアのあすこあたりは、雨が降ったときでなければ休ませないのです。年中朝から晩まで働いて、そしてもらう賃金は、
日本
の国内でもらう賃金よりはるかに低いという
状況
で、それが四年たったらこちらへ帰るということができるかどうか。そういうことをほんとうに
調査
して、青年諸君に
海外移住
の意欲を持たせるというところまで、かゆい所まで手が届いておるかということを聞いておる。そういうことをやらなければ、幾らあなた方、口でうまいことを言っても、だめですよ。
永野正二
60
○
説明員
(
永野正二
君) ただいま私の耳にいたしておりますのは、千田
委員
の御指摘のように、どうも古く
日本
から行きました人と、最近の
日本
の青年の、何と申しますか、時代感覚の相違と申しますか、そういう点がございまして、
現地
の受け入れる側では、どうも
日本
の今度来た青年はどうかというような不満があり、こちらから行きました青年には、どうも最近の
日本
の何と申しますか、非常に民主化された世の中の形からいえば、向うが少しひど過ぎるというような、食い違いがございまして、そこであの大ぜい行きました者の一部にそういう問題があったように聞いております。私
ども
もこの点は、
選考
、訓練の過程に、
現地
の
事情
を行く人には十分徹底させ、ほんとうに何と申しますか、勤労精神に徹している人を
選考
し、十分訓練する必要があると思うのでございます。今後も、こういう点は非常に重要な問題でございますので、私
ども
としては出先におります、あちらに受入
機関
がございますので、そこらと連絡を十分とりまして、
現地
の
事情
を十分
調査
し、またこちらから送り出す人については、それらの条件について徹底した認識を与え、出先に行って出先の条件にほんとうに合う
仕事
ができるような人を、
選考
、訓練の過程に
おい
て十分選び出すということについて、従来やや手抜かりがあったような点もございますので、十分反省をいたしまして、
努力
をいたしたい、こう考えております。
粕谷孝夫
61
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) ただいま
永野
局長が御答弁されましたように、いろいろ感情上のもつれと申しますか、内地の方が変っておるのに、向うの方が昔お出でになった方で、いろいろ感情上で違いがあると考えますが、これまた受け入れる方の側に
おい
ても使い方その他が違っております。その間に、いろいろのことが起ってきたのではないかと思います。それですから、個々の
農家
に配属されますから、画一的に取り扱うということは望めないわけでありまして、
農家
々々によっていろいろ扱い方も違いますと思います。違うのでああいう不幸な事件が起ったのでありますが、目下のところといたしましては、そのほかの若い青年諸君は非常に落ち着いて働らいておるようでありまして、組合と
交渉
いたしまして何か計画を立てておるようでございます。いろいろ、ただいま局長の御指摘になりましたような点で、大いにわれわれも反省しなければならぬ点があるかもしれませんが、できるだけ善処いたしたいと思います。
千田正
62
○千田正君 最後に一点だけ申し上げておきますが、そういうような問題が起るのですから、単なる
移住
協会であるとか、
移住
会社
のみにまかせてやらずに、
外務省
も
農林省
も、みなそういうところを監督して、そうして最後の最後に行きつくところまで見てやらなければいかぬということと、
政府
自体が
ブラジル
なり、
アルゼンチン
なり、チリーなりと契約して、何万
町歩
なら何万
町歩
ということで買いつけて、それに対して直接あなたの所で指導していくというような、今の青年諸君をそのまま
移住
さして、そこに新しい
日本
の
移住
村を建設するという気持はありませんか。そうしない限りは、今の契約移民であるとか、向うの
農家
の受け入れ態勢がどうだとかいうようなことを苦慮しながら送るということだから、いい結果になっておらない。ドイツやあるいはほかの国みたいに、何万
町歩
と買って、そこに
日本
の移民を入れて、
日本
の
政府
が指導して、そうして向うの
政府
と
協力
して、その国の国民にしてやるというところまで考えてやらなければ、ほんとうの移民
政策
は徹底しないと思いますが、その点は考えられませんか。
粕谷孝夫
63
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) 国によりましていろいろ
事情
がございます。たとえば
アルゼンチン
にいたしますというと、あそこで土地を買いましたのですが、
一つ
のまとまった所では八十
家族
以上集まってはいかぬというような所もございますし、その他いろいろ国によって
事情
も違うようであります。まとまって入ります所は、できるだけ
政府
の方でも、私
ども
の方でも
協力
をいたしまして、お世話をするというつもりでおります。
千田正
64
○千田正君 どうか
一つ
慎重に、
日本
の国策として考えなければいかぬことです。
粕谷孝夫
65
○
説明員
(
粕谷孝夫
君) 最後に、われわれも
農林省
その他
関係
のところと十分に
協力
して、なわ張り争いということはいたしませんで、御
協力
をお願いしておきたいと思います。
戸叶武
66
○
戸叶武
君 簡単に
質問
します。
あと
で速記をやめて
質問
しようと思いますが、
最初
に、とにかくこの移民問題に対しては、一番
最初
に
選考
と訓練の過程が大切だという答弁もありましたけれ
ども
、これが一番おろそかにされているのではないかと思うのであります。
予算
関係
だけを文句言うのじゃないのですが、
農林省
のこのくらいの
予算
で一体何ができるかということを、
農林省
自身に問いたいのです。できっこないのです。それは
予算
的な制約を受けているからというのは、弁解にはなるけれ
ども
、これではできないと思う。そういう
選考
と訓練をしっかりやって、そうして勤労精神に徹した者を
派遣
するようにするというようなことに関して、
農林省
としては万端の準備ができているのですか、そういうことをお聞きしたい。
永野正二
67
○
説明員
(
永野正二
君) この点は非常に好意的なおしかりと思いまするので、ただいまの
お話
をよく今後生かしていくように努めたいと思うのでございますが、
農林省
のただいま
移住関係
の訓練に使っております施設は、これは実は相当古くからの施設でございます。戦前あるいは戦争中も、いろいろほかの目的に使用いたしておりました
農業
の訓練施設が残っておるわけであります。それらの訓練施設を活用いたしまして、また
農林省
あるいは各県等の訓練の経験のある
人たち
というものも、できるだけ活用いたしまして、やっておりますので、実はこの
程度
の経費で、われわれといたしましても不自由を感じておりますけれ
ども
、できるだけのことをいたしておる考えでございます。ただいま御注意もございますので、今後もこういう訓練の施設の充実なり、あるいは人員の充実なり、あるいはその他諸般の経費等も逐次充実をいたしますように、
努力
をいたしたいと考えておりますので、
一つ
御
協力
をお願いいたしたいと思うのでございます。
戸叶武
68
○
戸叶武
君 さっき千田君も指摘しましたが、戦後に
おい
て移民を一番組織的にやっているのは
イタリア
ですけれ
ども
、
イタリア
に対する
外務省
その他の
研究
は、もう行き届いていると思うのですが、最近の資料、特に
イタリア
を中心として、その他の移民の盛んな国々における資料毛検討してもらいたい。それは移民に対するところのいろいろな
資金
の裏づけというのは、
日本
と違って十分にされているので、
日本
のようなこういう裸移民の形式というか、もう少し考えなければならぬと思うので、それをお願いしたい。 次に、私は速記をとめて伺いたい。
堀末治
69
○
委員長
(
堀末治
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
堀末治
70
○
委員長
(
堀末治
君) 速記を起して。 本問題はこの
程度
にいたしまして、これにて暫時休憩いたします。午後は二時から開会いたします。 午後零時四十八分休憩 —————・————— 午後二時三十六分開会
堀末治
71
○
委員長
(
堀末治
君) それでは、午前に引き続き、
委員会
を再開いたします。
韓国ノリ
の件を
議題
といたします。
清澤俊英
72
○
清澤
俊英君 今、三十二
年度
の朝鮮ノリの輸入についていろいろ問題が出てきちゃっているようですが、その詳細の御
説明
を願いたい。
杉村正一郎
73
○
説明員
(
杉村正一郎
君)
韓国ノリ
の輸入につきましては、本
年度
は一億枚を入れよう、それで通関期限は九月三十日まで、それでこれは生産者の
関係
その他がございますので、需給調整協議会の意見を尊重して取り扱うことにしたいという大体の方針をきめて、輸入の外貨割当は輸入業者にやったわけでございます。ところが、韓国側と
日本
の輸入業者側とが
交渉
を開始いたしましたのですが、
日本
側の輸入業者は、相手が韓国側が売手一本の態勢でおりますので、
日本
側としても態勢を一本にしてこれに当るということになりまして、輸入業者間で協定を結びまして、
交渉
に一本の態勢で当ったわけでございます。ところが値段の点につきまして非常に両者間の話し合いが開いておりまして、なかなか思うように進捗いたしませんでした。韓国側は八十セントという値を固執して、なかなか譲歩の色を見せておらず、これに対して
日本
側も、内地の需給
状況
その他の見込みから、本
年度
はそう高くは買えないということで、
最初
四十セントというところから始まりましたのですが、一向両者歩み寄りを見せずに、ずっと推移して参ったわけでございます。 それで、通産省といたしましては、
韓国ノリ
は別にそう必需物資というほどのものでもございませんので、是が非でも輸入しなければならぬというほどには考えておりませんが、せっかく一億枚くらい入れるということで各方面に了解をいただいたわけですので、できれば無理なく入れることが望ましいとは考えておりましたが、両者の
交渉
を見守っておった次第でございます。ことに両方の話がまとまりませんポイントが値段にございますので、役所といたしましては、あまり立ち入った値段の話し合いをつけるということまでやるのはいかがかと思われますので、その点は差し控えて、ただ、なるたけ早く両方が円満に話がつくことを願って、
日本
側の業者にも、役所へ来たような場合にはそういう態度で接して、なるべく話がつくようにという
程度
のことしか言っておらなかったわけでございます。ところが、肝心の九月三十日の通関期限が参りましても、どうも両方の話が全然歩み寄りを見せずに、決裂
状態
で終ったわけでございます。しかし私
ども
といたしましては、当初の方針は、内地の生産業者の立場も考えまして、九月三十日という通関期限を切っておったわけでございますので、そう機械的に考えなくても、生産業者の方で若干ずれてもよいというような了解が得られるならば、またその間日韓両方で円満に話がつくならば、通関期限の若干の延長はしても仕方がないんじゃないかという気持で、なるべく話が早くつくようにということで、
日本
の業者にはそういうことを暗示したような形でおったわけでございます。 しかし、やはり日がたちましても、両方の開きが一向狭まりません。そこで、だんだん内地のノリの生産期にも迫りますので、ここで何らか役所としても、今回のノリの輸入は打ち切るかどうかということをきめなければならない時期に差し迫って参ったわけでございます。そこで通産省としましては、
農林省
、水産庁方面ともいろいろ御連絡いたしまして、ある
程度
話し合いがつくかどうか、最後の
交渉
をさせて、その結果を見て、もうだめならだめというふうにきめるように取り計らいたいと思います。ちょうど韓国代表部の方からも、なるべくなら話が円満につくように取り計らってもらいたいというような希望の申し出もございました。そこで、私
ども
としまして、日韓両方の業者を呼びまして、早急に話がつくかどうか、
一つ
の考えとしては、値段について、たとえばこれは役所の単なるサゼスションでありまして、強制するものではないけれど4、たとえば両方の間をとって六十セントというような値段について、両方で話し合ってみたらどうだろうか。それからまた出荷の時期については、
日本
内地のノリの生産時期になっているので、これをそのまますぐ通関する、しかも、そのまま無条件で内地に流すということでは、生産者が非常に心配であろうから、そこのところは条件をつけて、内地の生産業者に納得してもらえるようなやり方で、たとえば枚数についても限定をするとか、出荷についても時期を区別してこま切れでやるとか、何かそういうような条件をつけてやったらどうか。それらについては水産庁の指示を受けるというような形で話し合うことができるかどうか。それの結果を見て、役所としては最後の腹をきめたいということを言ったわけでございます。ところが、それで両者が話し合いを進めておるようでございますが、一方生産者の代表の方の話では、生産時期に入ったので、自分たちとしては入れてほしくないのだ、入れることについては反対だというような意向もかわされました。 需給調整協議会の意向を尊重して役所としては処置したいと、このように考えておったわけでありますが、需給調整協議会は、御
承知
の
通り
、生産者、輸入業者、問屋と三方面入っておりますので、この話が結局に
おい
て、生産者の方で入れるのは困るということであれば、つかないことになるわけでありますが、輸入業者、問屋の方がなるべくなら入れたい、生産者としてはもう時期も迫っておるから入れたくないというのは当りまえのことだと思いますので、需給調整協議会の意向を尊重するということ、それから当初一億枚は入れるということ、それらを総合的に考えまして、枚数の、九月末までにかりにうまく話が済んで一億枚入ったとしても、十一月には配給上若干枚数が残ったかもしれないということも考えられますので、無理のない
程度
で生産者にも納得してもらえるような枚数をさしあたり流す、その他はずっと先に延ばすということで生産者の了解が得られるなら、そういう運びにし、もしどうしてもだめというなら、残念ながら打ち切りにするより仕方がない。先ほど申しましたように、ぜがひでも入れなければならぬというようなほどの緊要物資とも考えられませんので、そういう運びにしたいということで、今のところは水産庁とも御相談しまして、生産者の意向も、そういう条件でなお絶対だめかどうかということ、それから韓国側とそういうことで話し合いがつくかどうかということの推移を見守っているという
状態
でございます。ただ、私
ども
としましては、できるだけ早くいずれか話がつかないと、工合悪いと考えております。
清澤俊英
74
○
清澤
俊英君 六十セントは話し合いがついたのですか、価格の点は。
杉村正一郎
75
○
説明員
(
杉村正一郎
君) まだついたという
報告
は聞いておりませんが、話し合いを続けられておるというように聞いております。
清澤俊英
76
○
清澤
俊英君 それで、非常に御
説明
が簡単だと思う。結局すれば、この問題がこの
委員会
で取り上げられたのは、ずいぶん早い前だ。この
委員会
が、三億枚の輸入
要求
に対して一億枚を限度として、輸入期限は九月三十日、条件づきで、ここの決議はそういうふうになっておると思うのですが、
水産庁長官
、そうでなかったですか。
奥原日出男
77
○
説明員
(
奥原日出男
君) 水産庁といたしましては、
韓国ノリ
の輸入に関しましては、かねてから国会でお申し入れをいただいておりまする趣旨もありまして、その
通り
に善処いたして参りたいと、かように考えております。すなわち、年間の輸入量は一億枚で押える、またこれが輸入の取扱いにつきましては、需給調整協議会の意見を尊重する、こういう態度でいるのでございます。また、その輸入の時期につきましても、昨年でございましたか、九月三十日の期限を若干ずれて輸入いたしましたことについて、特別な、通商局長から国会に対する御連絡もあったかと思うのでありまして、ごく
短期
のズレは、これは技術的な理由に基きますのはやむを得ないかと考えるのでありますが、相当生産期に入ってのズレにつきましては、われわれとしても国会の御意見に即応するゆえんではないのではないか、かように判断をいたしておるのでございます。
清澤俊英
78
○
清澤
俊英君 それで、そういうような時期がおくれれば非常に困ることがわかって、ある期限内にこれをきめなければならぬというのに、何かいろいろ最近、これは怪文書と見るかどうかわかりませんが、相当責任のある
団体
からの陳情書というのですか、何かいろいろの情報が入っているのを、いろいろ総合してみますと、三月三十日には経済閣僚
会議
に
おい
て三百万束二千四百万ドルの外貨の割当がきまった。それが、輸入の
交渉
はずっとおくれて、七月二十六日になっておる。それに、そういうふうになっておるにもかかわらず、実際の外貨の割当は八月二十一日。通関が九月末になるにもかかわらず、期限一カ月前にようやく判断を見た、こうなっております。これでは何もできていないことはわかっているが、そういう措置をどうして通産省はとっているのか、その理由をはっきりと
一つ
聞かしていただきたい。問題は、何かこういうごたごたがあるんじゃないかと思う。これはうそなんですか、こういう文書が出ておりますが。
韓国ノリ
輸入達成
促進
会。それと同時に、ここへ来ておりますのは
韓国ノリ
輸入加工協会、こういうようなものがやはり責任をもって署名して出しているのですが、そう違いはないだろうと思う。どういうわけでこういうちぐはぐなものになって出ているのか。実際できないことじゃないですか。
杉村正一郎
79
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 輸入発表は七月二十六日に行われたのでありまして、外貨の割当証明書の交付は八月二十一日に行われております。それで、上期の割当としてはかなりおそくやられたようなふうに見えますけれ
ども
、御案内の
通り
、今回の輸入につきましては、
日本
側の買付態勢を一本にするということに話がございまして、それらの準備をやり、
韓国ノリ
につきましての輸入取引についての協定が七月二十二日に認可になりました、というようなわけで、それらの準備を待って輸入発表をし、外貨の割当をしたわけで、別に特に何もおくらせなければならなかったような
事情
もございませんし、私
ども
としましても、特に何か目的があってこれをおくらせたというようなことはなく、最善の
努力
をいたしてやって参ったつもりでございます。
清澤俊英
80
○
清澤
俊英君 まあ、これはいくら言ってもしようがないのですから、
あと
から聞きますが、大体現在保税倉庫へも輸入して入っているのが、数千万だかあるというのですが、それはどういう量が入っているのですか。横浜の保税倉庫に、まだ通関の手続ができないで入っているものがある。
杉村正一郎
81
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 韓国は大体一億枚全部持ってきて、保税倉庫に入れて、通関ができる時期を待っているというような
状態
にあると聞いております。
清澤俊英
82
○
清澤
俊英君 それはこちらが入れたのではなく、韓国が持ってきて入れて待っている。そうなりましたものを、ここで輸入許可しないで、持って帰っていくのだったら、大体どうなりますか。
杉村正一郎
83
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 私たちは、許可がございませんと、韓国側としては、そういうものはいたむ
関係
もありますので、向うの判断ですけれ
ども
、このまま持って帰るか、それから、あるいは
日本
の生産期が済んでまた入れてもらいやすくなる条件を待つか、あるいはそれまで、非常に金融の問題その他もあると思いますけれ
ども
、それらはがまんするとしても、置いておくというなら置いておくかと思います。どちらかですが、仕方がないかと考えております。
千田正
84
○千田正君 私は、通産省と
農林省
に一言言いたいのは、この問題については、第二十六国会の当
委員会
に
おい
て、
韓国ノリ
の輸入に関しては、その輸入期限を九月三十日までとする、そうしてそれまでにできなくて何か問題が起きた場合には、改めて当
委員会
で協議する、ということを話し合ったはずであります。しこうして、それを通産大臣並びに
農林
大臣、
水産庁長官
あて当
委員会
から一応申し入れてあった。私はさように記憶しておりまするが、これは間違いじゃないと私は思っておりますが、今日になって、九月三十日を過ぎてもさらに一カ月、今もってこの問題については結論が出ておらない。一体こういう
状態
でこのまま放置するということは、国内に
おい
ては生産者の立場は守れないし、また外に対しましては、今後の日韓問題というような問題を控えている。一体通産省としてはどういうお考えでおられるのか、はっきりしていただきたいと思います。
杉村正一郎
85
○
説明員
(
杉村正一郎
君) ただいま
お話
のございましたように、国会で
韓国ノリ
の輸入について非常に御関心をお持ちになって、お申し入れがあったことは承わっております。従いまして、私
ども
もそれを尊重いたしまして取り計らうように努めて参ったつもりでございます。ただ、通関期限が九月末日までということになっておりますが、それで機械的に切ってしまわなければならないか、あるいは結局それは生産業者の保護のためということですから、それについて生産業者が納得していただけるようなある
程度
の緩和ぐらいは望めるかどうかという点で、今のところ水産庁にもお願いしまして、その点を確かめていただいているわけでございます。もし、私
ども
といたしましては、それが非常にむずかしければ、早急に本
年度
は輸入をしないということに打ち切るようにしたいと思っている次第でございます。 当
委員会
に対する
報告
でございますけれ
ども
、
事務
的な取扱いの検討が済みましたところで、ただいま申しましたようなふうな
状態
ではいけないので、もう少しきっぱりきめたようなところで、本
年度
はこういう条件でいいのであるとか、あるいはいけないとか、いうことをある
程度
固めました上で、御連絡をいたしたい、そういうように考えておった次第でございます。
千田正
86
○千田正君 ただいまの次長の
お話
では、めどがついてからという、まことにのんびりした
お話
なのですが、実際生産者の側から申しますと、もう十一月になるというと、そろそろ製品が出てくる。こういう実際の問題が起きるから、当
委員会
としましては、四月から九月三十日まで六カ月の相当長い期間のうちに、こういう問題を解決するように、指導をするように、十分に申し入れてあるはずである。今の
お話
だと、
あと
一カ月やそこら延ばしたって何でもないのじゃないかという通産省の方のお考えのようでありますが、どうもそれは私
ども
はふに落ちない。
水産庁長官
にお尋ねするが、長官としましては、現段階に
おい
て国内のノリ業者がもう一カ月も延ばしても差しつかえないのか、あるいは絶対延ばしていけない、こうした
状況
に差し迫っているのか。従来の水産行政の立場から、あなたはどうお考えになっておりますか。一応所信を述べていただきたいと思います。
奥原日出男
87
○
説明員
(
奥原日出男
君) ノリ養殖業が、非常に窮迫しておりまする沿岸漁村の中におきまして、わずかに生産も伸び明るい様相を呈している。しかしながら、ノリの生産者の販売いたしまする価格と小売価格との間の比率の計数を辿ってみますると、生産者の販売価格の占める割合は漸次低下をしている
状況
にあるのでございまして、これはノリの生産の増強のみならず、ノリの流通面に
おい
て生産者の共同販売の推進等、いろいろ考慮しなければならない対策がまだ不十分だと、かように考えている次第でございます。そこで、水産庁といたしましては、あくまでも需給調整協議会に
おい
て一致した意見を出させて、国会の御意思のように、その意見を尊重してこれを取り扱うということであるべきかと思うのであります。しかし、一方におきまして、昨年あたり、ただいま申し上げましたように、技術的な理由による若干の生産期に入っての輸入は、特別な連絡で御承認いただいたようでありますが、すでに相当生産期に入って参っておるのでございまして、従いまして、需給調整協議会におきまする結論も大体の方角は
承知
をいたしておるのでありますが、まだこういうふうに全体のまとまったものが出てきておらないのであります。従って、この時点に
おい
てこの問題についての見切りをはっきりつけて踏み切らなければならないのではないかと、かように考えておる次第であります。
青山正一
88
○青山正一君 通商局の次長にお伺いしたいと思いますが、この第二十六国会ですか、その初めの
委員会
にあなた
おい
でになったのですね。あれは二十五回ですか、
おい
でになったのは。
杉村正一郎
89
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 私は三カ月ほど前に現職につきましたので、それまでこの問題には全然タッチしておりません。
青山正一
90
○青山正一君 この問題は、次長さんはまあ非常におとなしく、この問題におなれになっておらないだろうと思いますが、相当毎国会に
おい
て非常に大きな問題になっておるわけなんです。たとえば昨年の五月十日、石橋湛山とか、あるいは
農林
大臣あたりに、いろいろ当
委員会
として決議を持って行った、あるいはそれに対する答えがあった。それに対して、また当
委員会
ではこうあるべきだというふうなものを持って行った。それに対して、また通産大臣なり
農林
大臣から答えがあったわけなんですが、その間の
事情
をよく
御存じ
になっておられるのですか、どうですか、その点をお伺いしたい。
杉村正一郎
91
○
説明員
(
杉村正一郎
君)
事務
引き継ぎを受けますとき、前次長から大体の話は伺っております。
青山正一
92
○青山正一君 こういうふうな問題は、何か
事務
承諾で簡単にできるものと、こういうふうにお考えになっておったのですかどうですか、その点をお伺いしたいと思います。
杉村正一郎
93
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 普通の物資の輸入につきましても、利害
関係
がいろいろ錯綜しておりますので、どういう数量を輸入するか、どういう方法で輸入の割当をするかということは、それぞれの物資、それぞれになかなかむずかしい問題があるのでございますが、ノリにつきましては、特に
日本
の零細な水産業者との
関係
、それから特に
相手国
が韓国である、韓国と
日本
との間ではいろいろな問題があるという
事情
で、ほかの物資以上にいろいろむずかしい問題がこれには考えなければならない点が多々ある。そこで国会方面でも特にこの問題については関心がおありで、いろいろ今までも
政府
に申し入れなり、あるいは
委員会
でやり取りがあったということを聞いておりますので、私
ども
の方としましては、できるだけそういう経緯なりあるいは問題の響きなどを考えまして、各方面完全に満足ということはむずかしいかもしれませんけれ
ども
、できるだけ無理のない形で処理をつけたいというふうに考えておったわけでございます。従いまして、今から私たちのやったことを顧みますと、たとえば九月三十日になったときにもうおしまいというふうに手を引いてしまえば、われわれとしては
事務
的に楽だったのじゃないかと考えられますが、しかし、当時としては一応方針がきまっておったので、その
通り
やればこれでおしまいだけれ
ども
、一応九月三十日期限ということになっておったその精神を生かして、もしそれで精神の上で同じような結果がわれわれのもう少しの
努力
で得られるならば、無理なく解決するという趣旨にも沿えるのじゃないか、最後の
努力
をしてみるのがわれわれの義務ではないかというふうに考えまして、水産庁とも御連絡し、これで無理でないかどうかということで確めつつある。しかし、それがなかなか問題がむつかしいだけに、きっぱりと問題が出ないで今日に至って、もう時期的にはおそきに過ぎるのではないかという心配を、われわれ自身もしておるというような
状況
でございます。
青山正一
94
○青山正一君 価格の問題でおそらくこういうふうに時期が延びたんだろうと思いますが、そういう点から考えてみまして、この問題がこういうふうに時期がおくれたという原因を探りを入れますと、これは韓国側に責任があるとお思いになりますか、それとも
日本
側に責任があるとお考えになりますか、その点をお伺いしたいと思います。というのは、問屋の中にもまたいろいろ、あれやこれやと価格の上に
おい
てももめておる。それから輸入業者の中に、一方に
おい
ては何か伊藤忠というような方がおるし、それに反抗して中小企業的な輸入業者もおられる。その間にいろいろなかけ引きがある、そういうふうなことで時間のズレが来た、そういうことが
一つ
の原因じゃないか、こういうふうにもまあ世上伝えられておる。それからもう
一つ
は、今次長が三カ月前にお勤めになったということだから、おそらく毎回こうしていろいろ国会上の問題になっておるということもあまり
承知
せずに、そのために一応のんきにかまえておった。需給調整協議会はああして、輸入業者なり、問屋なり、あるいは生産者全部が集まって、何かをなさる段階になれば、ここで何か運営ができるんだという建前なんですが、通産省はあるいは責任を水産庁に預けさす、水産庁も、国会が騒ぎ出すと大きな問題になるから、なるべくいじらずに通産省にあれしよう。そういうふうにお互いに
協力
しないところから、そういうふうな問題が出ておる。こういうふうに時期を失した。こういうふうにも思えますが、そういう点があったかどうか、そういうふうな点をお伺いしたいと思います。
杉村正一郎
95
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 非常に話がきまるのがおくれました主たる原因は、私は、今
お話
しのように、価格の点にあったのではないかと考えております。ただ、私
ども
としましては、商取引のことでございますので、どちらの価格の見方に無理があったかということについては、正直に申しまして、あまり自信がございません。ただ、言えますことは、商法の上では、買手と売手ということで立場が違うのは当然のことでありますので、何らか両方で歩み寄りをするより以外に道はないのではないかと考えたわけでございますが、しからば、それが今後の
日本
のノリの需給
関係
、相場
関係
から見て、幾らぐらいがいいんだというようなことを、正直に言って、役所があまり立ち入ったことをすべきではないんじゃないかという考えで、なるべく早く話がつくように、両方で譲歩してほしいということを抽象的に言って、見守っておったというのが実情でございます。その間、水産庁とも
十分連絡
をしておったわけでございますが、一応両省とも、需給調整協議会の意見を尊重して、事を運びたいという点では、もとより同じ考えでおるわけでありまして、需給調整協議会が構成上、生産、問屋、輸入業者という複雑な構成になっておりますので、なかなか意見がまとまりにくいということがありまして、延び延びになっているというのが実情ではないかと考えております。
青山正一
96
○青山正一君 この需給調整協議会はそういった三者がメンバーとなって、そうしてやっておる。それから需給調整協議会ではっきり結論を、もしかりに近日中にその結論が生まれてくるかどうか。たとえば
農林省
とそれから通産省とがまあ
協力
一致し合って、需給調整協議会の中にやはり生産者の代表者というものが入り込んでおるわけですが、そういうふうなところへはっきり督促して、そうして生産者の納得する方法で、これを調整協議会がはっきり結論を現在の段階に
おい
て出さすことができるかどうか、その点を
一つ
承わりたいと思います。そうして、それならば、これは国会の方でまたいろいろな
関係
で、もちろん文句言うところは文句言いますが、いろいろな日韓
関係
のこともあるからして、多少のことはいろいろ私自身も意見もありますが、そういうふうなことで韓国側に責任がない、あくまで
日本
側に責任があるのだ、もうすでに品物がこちらへ来ておるのだというようなことになりますと、非が
日本
側に問われると、こういうことになると非常に大きな問題ですが、たとえば生産者
団体
が、現在に
おい
てあなたなり、おるいは水産庁なりが中に入って、調整協議会というものをはっきり正式
機関
として、はっきりとした結論を出さすというようなその段階までいっておりますかどうか。もし二、三日の日をかすと、そういうふうなことができるかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
杉村正一郎
97
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 需給調整協議会として、生産者も問屋も輸入業者も一致した意見が出てほしいということで、今までもたびたびその態度がきまることを協議会の方には要望してきたわけでございまして、今日に至りましても、できるだけ早くその結果が出ることを私
ども
としては望んでおるわけでございます。ただいまお尋ねがございましたように、ここ二、三日の間でその答えが出ると思うかどうかということでございますが、私としましては、若干の希望もまじえざるを得ないのですが、二、三日の間というよりは、一日、二日くらいの間でできるだけ話がまとまってほしい、またまとまっておらなければならぬと考えておるわけで、今の私の予想では、全然話がつかないということもないのじゃないだろうか、という
程度
に考えておるわけでございます。ただ、それが非常に先になるということですと、かりに話がつくことになりましても、輸入の手続上その他、あまり延ばすことはいかがかと思われますので、できれば二、三日の間に話をつけてほしい。そこまでで話をつけませんと、もう手おくれだと言わざるを得ないのじゃないかというように考えておるわけであります。
清澤俊英
98
○
清澤
俊英君 それでですね、聞きまところによりますと、需給調整協議会、これが非常に幹部が横暴なのです。こういう声が相当出ておって、その
あと
には非常に政治的な空気もあり、同時に、いろいろ妥当な線を出そうとしても、これがあらゆる手段を講じて、円滑なる価格の調整であるとか、あるいは輸入の手続等を阻害しておるというようなことを言われておるのですがね。これに対して水産庁も、通産省も、そういう事実はどういうふうにお考えになっておりますか。非常にこれは幹部が横暴なのである、そうして幹部だけの思惑が結局こういう線に到達さしたのだ、こういうことを一斉に言うておるのですがね。
杉村正一郎
99
○
説明員
(
杉村正一郎
君)
団体
内部
でいろいろな立場の業者がございまして、なかなか意見が一致しないで、もんでいるというような情報は、いろいろ聞いております。しかし、
団体
というものは大体ある
程度
そういうふうなものは仕方がないのだと思いますが、ただ、私
ども
としましては、一応これは認可を受けた協定を実行しておるという
関係
もございますので、その協定によっての幹部のやり方が公正を欠くということがあってはなりませんので、その点についてはいつも注意して、
団体
幹部が役所へ
報告
なんかに来ました場合には、よくその決定に至る
事情
、それからまた私
ども
のところへもいろいろ情報がございますので、それに対する異論があったような経過などについても、よくただしてみておるわけでございますが、私
ども
の感じましたところでは、特に
団体
の幹部が不公正な扱いをメンバーの業者に対しておるというようには、見受けられない次第でございます。
奥原日出男
100
○
説明員
(
奥原日出男
君) 需給調整協議会の会長以下の幹部、特に生産者のサイドから見たそれに対する批判というものは、私、不断に注意をして伺っておるのでございますが、あの
団体
の中に生産者の意見が反映していきまするルートにつきましては、私は不公正な点は全然ない、かように考えております。しかし、ただいま通産省からも
お話
がございましたように、何分にも利害がいろいろ錯綜いたしておるのでございまして、そこでその利害の一致についていろいろ紆余曲折があるのは、これはやむを得ない事態ではないかと、かように考えておる次第でございます。
清澤俊英
101
○
清澤
俊英君 それでですね、わしらがまあしろうとで考えてみましても、価格がまあこの問題を紛糾させた中心の問題だと、こういう言われているんだ。その価格の点については、問屋側等におきましては、これを入札に付して一応市場妥当性のある価格をきめたらいいじゃないか。またそれに似寄ったような意見が出ております。そうやってある
程度
価格の上った品物が入ってくることは、生産者にも私は利益することであって1
日本
の生産者です。利益することであって、不当な安いものに圧迫される危険が除去されるので、問題ないと思います。そうしますと、不当に——不当という言葉は取り消しますが、約半値に近いものが、しかもそれが約四十セントとすると、これをレート四百円とこう見ても百六十円、百枚百六十円でしょう、四百円と見て。そうすると、いろいろなものがかかっても十枚二十円そこそこ、百枚二百円そこそこの品物が入ってくる。
日本
の
現物
の品物は、百円もしている。これはちょっと値開きがあり過ぎると思うのですがね。そういうものを主張したのはだれなのですか、その三者のうちのだれが主張しておったのですか。
杉村正一郎
102
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 直接韓国業者と値段の折衝をしておりましたのは需給調整協議会の中の輸入部会、つまり輸入業者の
団体
でございます。
清澤俊英
103
○
清澤
俊英君 それについて、あなた方は何とかお考えになっておりましたか。
杉村正一郎
104
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 値段の点につきましては、先ほど申し上げましたように、これは商業上の問題でございますので、役所としてはそれが高い安いということをあまり干渉すべきではないのではないかということで、推移を見守っておったわけです。ただ、なるべく話が円満につくようにという趣旨で、そういう両方で譲歩したらいいのじゃないかというような抽象的な意見は述べておりましたけれ
ども
、具体的に
日本
の買い値は幾らまででいいじゃないかとか何とかいうことは、言わないでおったわけでございます。
清澤俊英
105
○
清澤
俊英君 それで、その価格を強行するために、その輸入部会というものが、大体の需給調整協議会の主要幹部、そして輸入部会というものが中心になって、個々に割り当てられた外貨等を全部保管している、自分で持っている側のものは、手を出すなと、こういうような強い態度をもって、責任をもってその
交渉
に当っている。そしてそれがうまくいかないで、ここになって輸入がだめになって入らぬと、こういう事態を引き起しておるような問題が出ておるにもかかわらず、通産省はそれで価格にあまり
関係
するのはおかしいというようなことは、これはどうもおかしいと思うのですがね。これは水産庁にも言い得ると思うのだ。外貨統制をして、自由販売でない
一つ
の統制体系をとっておる限りに
おい
ては、こういう紛争が起きたら、これに対する妥当性を発見して、何らかの口添えをしてくれるのがほんとうじゃないか。しかも、それがいかぬからというので、三月三十日にもう閣議でも輸入がきまって、それが七月何日にようやくできたのだから、八月何日にしたのだ。それがまだ発見もできないで、…日前にようやく輸入許可をしたというようなばかげたことだったら、これは輸入業者に通産省がいじくり回されたという感じがする。こういう感じをもって、何か政治的な大きな魔の手が伸びているのだという見方を大
部分
がしておるのに対して、あなた方はどう考えますか。
杉村正一郎
106
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 値段の
交渉
につきましては、売手、買手、いろいろかけ引きも普通やられるものでございまして、それがなかなかつかないからといって、役所があっせんの労をとるということは、なかなか時期の選び方がむずかしいのではないかと考えます。役所としましては、一応輸入業者が一本態勢で当るという態勢をとっておりますので、大体十月の中ごろまでその態勢の協定ができておりますので、その間はいろいろ業者のかけ引きもあろうかということで、あまり立ち入らずに、とにかく何とか話をつけろということにしておったわけです。しかし、いよいよそれがだめだということがわかりましたときに、事態を早く収拾する意味で、
最初
のころ申し上げましたように、両者八十セントと四十セントということなら、まん中の六十セントを中心に話し合いをしてみて、早く話し合いがつかなければ、いよいよ生産期に入るから、これは通産省としても輸入を認めることができないぞといって指導したわけでございます。その間、別に私
ども
に対して政治的なと申しますか、何か別の方の動きで、なるべく輸入をさせろとか、させまいとか、あるいは値をもっと下げるようにしろとか、上げるようにしたらよかろうというような話は、何もございません。
清澤俊英
107
○
清澤
俊英君 まあその問題は、いずれ時期を見てもっと掘り下げて御
質問
もしたいと思いますが、水産庁の長官、それで、ここでこれが全部入ってくるとすれば、生産業者が非常な価格の圧迫といいますかを受けて、現在でもノリの値が上っておるにかかわらず、年年生産者のノリの価格は下げられておる、こういうような情勢なので、非常な圧迫が加わるから、これは生産業者としては反対であろうと思うが、だがしかし、国民全体の目から見れば、これくらいの数量は大体必要なのじゃないのですか。必要だといっても、必需品じゃないから、薬が来ないのとはちょっと違うと思う。が、今までの習慣として、
日本
人は、特に子供なんかが運動会等になれば持っていく、またノリの結びを持って山に川に遊ぶということで、これは
日本
人の
一つ
の離すことのできない私はやはり嗜好品だと思う。ちょうど茶やコーヒーを飲むのと同じだと思うのです。人間に要らないからといって、酒を全部やめたら大したものだと思う。という工合に考えると、やはりこれくらいの数量は全体の方か見て、入り用じゃないですか。
奥原日出男
108
○
説明員
(
奥原日出男
君)
昭和
三十一年のノリの生産は約十七億枚見当かと、かように考えております。そこで、一億枚のノリの輸入が水産食糧の需給調整上必要かということに相なりますれば、先ほ
ども
杉村次長から、必ずしも必需品ではないという
お話
がありましたように、私はしかく必需品ではないと考えております。 価格に対しまする
影響
につきましては、私はこれによるノリの価格の下落ということもさることながら、生産者の手取り価格の引き下げということにこれが
影響
をするということは、非常に警戒しなければならぬのではないか、かように考えておる次第でございます。
清澤俊英
109
○
清澤
俊英君
影響
すると思うことに対して、何とか考えている点ありますか。
奥原日出男
110
○
説明員
(
奥原日出男
君) 従いまして、今当面しております問題につきましては、水産庁としては、あくまでも需給調整協議会の場に
おい
て、生産者が納得できる結論を出してもらうということにより、その結論を尊重して善処いたして参りたい。なお、今後のノリの流通の問題に関しましては、漁業協同組合の共同販売
事業
というものもできる限り力を入れていくということによって、手取り価格を確保していくということに努めて参りたい、かように考えております。
清澤俊英
111
○
清澤
俊英君 それで、かりにあなたが言う
通り
、大体三十一年の国内生産が十七億枚というんでしょう。これを八千万で割りますと、一人約二十枚、これは微々たるものだと思いますがね。だから、最近のノリの価格というものは、まあ最高級食糧品になっている。今まで、われわれ子供の時分——普通の家庭における国民全般が、これを使用するなんというわけにはいかない貴重品になってきておる。そのことは別としましても、この中へ一億枚のものが入ってきても、現在の家庭に
おい
てこれを消費さしていくならば、私は生産価格に別に障害なしにこれを消費する方法はあると思う。それがはっきりしたら、生産者の方も納得さしていただけますか。しかも、そのことは同時に、ノリの消費率を高めて、ノリの将来における国内ノリの消費等が増大する、こういう一石二鳥の妙法があると思うのだが、そういう妙法があればかまわぬと思うんですが、それはどうなんですか。あればかまわぬですか。
奥原日出男
112
○
説明員
(
奥原日出男
君) これがどのくらいな価格で話し合いがまとまるかわかりませんけれ
ども
、いずれにいたしましても、現在の国内のノリの価格よりも価格水準の低いものが入ってくるということは、これは否定できない。そういたしますれば、確かに国内のノリのやがて生産されまする、今生産されつつありまするものの建値というものについて、何がしかのマイナスの
影響
があるということは、これは防ぎ得ないかと、かように思うのであります。そういう意味におきまして、あくまでも需給調整協議会の場に
おい
て、生産者も納得できるようなこれが取扱い方法についての結論が望ましい、かように考えております。
清澤俊英
113
○
清澤
俊英君 僕はこう思うんだ。結局すれば、大体六十セントでは調整がとれるというんだ、僕の聞いた情報では。これで妥協ができる。六十セントだと、四百円レートとしても二百四十円とすれば、いろいろな経費がかかっても三百三十円か三百五十円。一じよう四十円とすれば、四十円のものを六百万労働組合と
農民
組合の農協を通じて、今まで使わぬそうだ、これはノリなどは使わぬそうだ、これに一軒に一じょうづつ取ってくれと言ったって、これはさっとそれで品物は絶えてしまう。今聞きますると、これを全部入れるか、
あと
半分は来年に持ち越す……。来年また輸入がある。これは同じことで、悪転回するのだ。これは一ぺんさっとここで洗ってしまって……。それを今まで使わぬ人間が使うということになったら、これは国内ノリの消費率を高めていく。私は決して障害にならぬと思う。今の価格はもう労働者や
農民
の層などは使われぬ価格なんだ。使っておらないのだ。一千万束くらいは、これは一千万というと、
農民
、労働者全部に売ったって、一千万束くらい……。割に合う。一軒一じょうづつ、それに対してマージンをちゃんとつけて、これ以上に売っちゃならぬと言って、こちらに引き渡せば、私は引き受ける。もうけないで売る。そうすればぱっと絶えてしまう。こういうことを
一つ
提案してやってみちゃどうです。私は、ときによれば、責任を持ってやってもいい。
奥原日出男
114
○
説明員
(
奥原日出男
君) 輸入されました相当多量の
韓国ノリ
を、全然たな上げをしまして、別個な配給ルートによって配給していくということは、これはおそらく、よほどの強力なる統制組織を持たない限りに
おい
ては、非常に困難ではないかと、かように考えるのでございまして、従いまして、やはり輸入をするとすれば、これはあくまでも生産期をはずした時期に
おい
て輸入をするという国会の御意思に即してやっていかなければならないのじゃないか、かように考えております。(
清澤
俊英君「それは考え方が違う」と述ぶ)
江田三郎
115
○
江田三郎
君 今の長官の答弁でいくと、この生産期を避けなきゃならぬ、こういう答弁をしておられるのだが、先ほどの答弁でいくと、必ずしもそうではなくて、需給調整協議会全部の意見が一致すればいいのだ。しかし現にノリの生産期に入ってですよ、生産者側がいいと言うはずはないわけです。で、もし通商局の方で言われるように、一両日のうちにもこの問題が解決するかもわからぬという。楽観に過ぎるかもわからぬけれ
ども
、そういうことを考えているということを考えられるのは、私はひがみかもしれませんけれ
ども
、
政府
の方で、水産庁なり、通商局の方で、かりに生産者
団体
に圧力をかければ、こういうことはできると思うのです。圧力をかけない以上、そんなことはこれはできるものじゃないと思います。現にもう生産が始まっている。生産者
団体
としては、どこまでも反対だと言っている。そうしますというと、先ほど来の長官の答弁、あるいは通商
局次長
の答弁を聞いているというと、何だか割り切れない、
あと
味の妙なものを残しておられる。どっちにするのか、はっきりしてもらいたいと思うのですね。 だから、たとえば九月を過ぎた以上は外割は無効なんだ、こういう方針でいくのが一番きっぱりしているわけでしょう。ところが、そうでもない。で、一両日のうちに話がつけば、またつけなければならぬということでやっているとなると、これはいつまでたっても、期限が過ぎようと何であろうと、外割は有効だということになってしまう。しかし、私の聞いた情報が間違っているかもわからぬが、通商局は生産者
団体
に対して、期限を過ぎた外割をさらに有効にはしないのだということを言明されたというように私は聞いているので、その間に、先ほど青山君の方から伊藤忠とか、あるいは業者の中のいろいろな階層別とかというような、いろいろな意見が出ておりましたが、私たちもそういうことについていろいろ聞かされて、非常に不愉快な思いをするのであって、その点は一体もっときっぱりした答えをしてもらいたい。どちらがほんとうなのか。
水産庁長官
が言うような、もう時期ははずれたのだから、許さぬという今の方針がほんとうなのか、あるいは時期がはずれようと、何であろうと、この生産者
団体
あたりを圧力をかけてでも話し合ってまとめさせて、それでやろうというのがほんとうなのか、どちらかはっきりさせてもらいたい。
奥原日出男
116
○
説明員
(
奥原日出男
君) 昨年であったと記憶いたしておりますが、時期をはずれましたものの輸入につきまして、特に通商局長から当
委員会
にも連絡があって、輸入を御承認いただいたというふうなことがあったように記憶をいたしております。私は、将来のことでございますから、話がまとまらないで若干の時期がずれるということは、これは御了承をお願いしなければならない。
程度
によりますけれ
ども
、御了承をお願いしなければならぬ点もあるのではないか、かように考えております。そういう意味におきまして、需給調整協議会でせっかく今話し合いをしているようでございますので、その結論が一致したものが出てくるかどうかというのを待ちたい、かような考え方で、この問題を見守っている次第でございます。
江田三郎
117
○
江田三郎
君 まあそういうことが、何かちょっとぼけていますね。率直にいって、ちょっとぼけている。その点は非常に私も遺憾に思うのです。それで、大体こういう、超過利潤が非常に多過ぎる。ここに問題があるので、あなたの方は、先ほど流通面対策がおくれているのだ、流通面対策を軌道に乗せていかなければならぬ、生産者
団体
の共同販売運動もやっていかなければならぬと言われますけれ
ども
、そういう一方に、こういう超過利潤の非常に大きなものの存在を許して
おい
ては、私はなかなかこれは軌道に乗るものではないと思う。もし、ほんとうにあなた方が流通対策の合理化をやろうというのならば、こういうところからほんとうは手をつけていかなければならぬ。 ところが、これは通産省に聞きますけれ
ども
、通産省でも、衆参両院の
農林水産委員会
の
要請
に対して、あなたの方が四月十七日付で文書を出しておられる。それを見るというと、特定物資輸入臨時措置法が成立したら、この特定物資にノリを指定し、超過利潤を国で吸い上げて、国内ノリ業者に
影響
しないようにしたいというようなことを書いておられる。しかし、これでもほんとうにやる気があれば、特定物資の輸入臨時措置法というものがどうあろうと、行政措置でもできないことはないわけです。現に、かつて砂糖に
おい
てこういう行政措置をやられたことがある。途中で妙なことになりましたけれ
ども
、そういうことをやられたことがある。今
清澤
君の説を、あなた方は一顧にも値しないように笑っておられるけれ
ども
、しかし、私はそうではないと思うのです。
清澤
君の提案も重要な問題があると思う。ここでかりに、あげくのはて一億万枚入れる、入れておそらくたな上げということになるのでしょう。しかし、たな上げになれば、
清澤
君の言うように、問題の持ち越しにすぎない。それならば、来年に至って——たとえば、ここで入れたものの何割かをたな上げしたからといって、来年までたな上げしたからと言って、それならば来年の数量のときにそれをどう算定するのか。またこれはトラブルを起す。ノリの問題が過去に
おい
て何べんとなくトラブルばかり起し続けたということは御
承知
の
通り
なんですから、そういうことが解決ではないわけです。もし、きっぱりと超過利潤を、これを吸い上げるということを法律、あるいは好ましいことではありませんけれ
ども
、行政措置でやるということができるならば、こんな問題は一ぺんで吹き飛ぶわけです。それをおやりにならない。そういうことができないのならば、
清澤
君の言うように、たとえば生活協同組合とか、
農業
協同組合とか、そういうところに対して一定の値段でこれは売れということになれば、これは明らかにそういうことは可能ですよ。非常に大きな力でなければできぬということを言われますけれ
ども
、そうじゃございません。できるわけです。
農業
協同組合あたりでも、喜んでこのくらいのものは消化するでしょう。それは
清澤
君の説によると、運動会にノリ巻きを持っていきたい、握り飯にノリを巻きたいという人が、実は高くて手が出ない人がやるのですから、新規需要であって、ノリの普通の市況というものに対しては
影響
はないわけなんです。そういうことをやろうと思えば、できないことはないと思うのです。ただ、あなた方が超過利得の問題へ手を触れようとなさらぬ。ですから、そこまで決意をなさらぬ。さらにいろいろな障害があるから、いろいろな政治的な圧力があるから、それで私は一笑に付しておられると思うのですが、私の言うことはひがみかもわかりませんが、私はそう思う。重ねて聞きたい。
杉村正一郎
118
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 超過利潤の問題につきましては、ただいまの
お話
の中に出ましたように、特定物資の特別会計という制度がすでにできておりまして、バナナその他はそこで超過利得、利潤を押えるような制度ができております。ですから、ノリにつきましては、そういう扱いをすることができないわけではないわけでございます。ただ、私、従来なぜこれがその扱いにならなかったかということをいろいろ
内部
に聞いてみますと、まあノリには非常に品質の差異があって、なかなか超過利潤というものをきめて扱うには、技術的に非常にむずかしいというようなことで、その扱いから漏れておるのだというように聞いておるわけでございます。この超過利潤が非常に多ければ、
一つ
の方法として、確かに特定物資で扱うということは可能なわけだと思います。ただ、それをそれならすぐにしたらいいじゃないかという御
質問
があるかと思いますが、これはまあ
一つ
の品物を取り上げますときには、いろいろな
事情
も検討しなきゃなりませんので、この場で私限りで私見を述べるのはどうかと思いますので、その点はちょっと差し控えたいと思います。
江田三郎
119
○
江田三郎
君 まあ、私
ども
、こんなノリの問題ぐらいの不愉快な問題はないのですよ。こうやってオープンに論議される問題以外に、いつでも無為替輸入の問題だとかなんとか、妙なことばかりが出てくる。結局何かといえば、もうかり過ぎるということです。先ほど青山君の方から、一体ここまで来たのはだれの責任かということが言われておったけれ
ども
、だれが考えてみたところで、四十セントというようなものでとらなければならぬ。結局超過利潤の亡者じゃありませんか。そんなものが、ひいてはこのノリ業界を混乱させるだけでなしに、これから軌道に乗せなきゃならぬ日韓
関係
に対しましても、非常な悪
影響
を及ぼしておるわけです。私はやはり、こういう問題については、水産庁も、あるいは特に水産庁の方はすぐにこれが、どうせノリの生産地といえば全羅南道かあの辺でしょうから、漁業
関係
にも
影響
を及ぼすことなんですから、そういう点、もっと腹をきめて当っていただかなければならぬのじゃないか。しかし、ここまで来て、しかもこれを拒否すると、一億枚を全部たな上げだ、こういうことは、私はなかなかそんなことできるものじゃないと思うのです。もしそういうことをしておれば、またしてもこれから先、毎月のように不法輸入であるとか、何やら税関をどうやらした
あと
を追っかけたとか、そんな問題ばかり出てこなければならない。現に、もうことしもそういう問題があるじゃありませんか。不愉快だけれ
ども
、私たちはそういう話もなんぼか聞かされた。そういうことについては、
清澤
君の言うのも、これが一番いい方法かどうかわかりません。しかしながら、
一つ
の方法ですよ。あなた方にいい知恵があるならば、いい知恵を出してもらえばいい。しかし、あなた方は、見ていると、いい知恵がないじゃありませんか。あなた方がいい知恵がなければ、第三者の言うことに対しても、私はもっと冷静に聞かるべきだと思うのです。そこから先、何ぼ言っても仕方がありません、私はそういうことを注文しておきます。
青山正一
120
○青山正一君 昨年の五月十日でしたか、当
委員会
から通商産業大臣、それから
農林
大臣あてに、
韓国ノリ
の輸入等に対する措置要綱というものを申し入れたわけであります。 (三) 「韓国海苔需給調整協議会」(以下協議会という)の整備を期し、〃
関係
輸入業者〃及び〃
関係
問屋〃を全員入会せしめ、
当局
の指示並びに協議会の決定を励行せしめること (四) 韓国海苔の取扱いについては協議会の意見をききこれを充分尊重すること (五) 速かに協議会を開き当面の措置を協議すること (六) 以上に関する具体的措置については随時当
委員会
に
報告
すること こういうふうな決議と申しますか、措置要綱というものを、
農林
大臣なり、あるいは通商大臣に申し入れたわけであります。これに対しまして、通商大臣なり、あるいは
農林
大臣から、はっきりその御意見は尊重してやります、こういうふうなことになっておりますからして、この問題もその要綱によって
一つ
措置せられんことを特に希望いたします。
奥原日出男
121
○
説明員
(
奥原日出男
君) これはいずれ通産省側からのお答えはまた出ると存じますが、水産庁に関する限りにおきましては、参議院の
委員会
から申し入れをいただきました措置要領の
通り
にこの問題を処理していきたい、かように考えております。
清澤俊英
122
○
清澤
俊英君 価格の点だね。安い、高いといって、結局価格的にある
程度
出せると思うのであります。そこで水産庁としては、朝鮮ノリは大体どれくらいならば、
日本
のと比較してみて、
参考
にして、価格は妥当な価格と考えていられるのか。
奥原日出男
123
○
説明員
(
奥原日出男
君) 今これを輸入いたしまする価格のどの辺が妥当かという見解は、これはきわめてデリケートないろいろな関連がございまするので、私の方から表明申し上げることは差し控えたいと、かように存じます。
清澤俊英
124
○
清澤
俊英君 それはね、この席上ではよろしいです。あなたの言われる
通り
だから、私はあえて聞こうとは言わぬが、何かしらぬ、通産省の、
お話
だと、成り行きにまかせる、何もかかわりのない成り行きにまかせるということは、正常な貿易を進める上からも、おかしい話だと思う、大体ノリの生産を教え込んで、食えもしないノリを韓国に教えたのは
日本
なんだ。そうじゃないですか。そうやってできたものを、今売り場のない、
日本
よりない、そこに残って
一つ
の産業としてあるものを、それを全部放棄しろというようなことは、これは将来のやはり日韓国交の回復等から見てもだ、非常に私は重要性を持つと思うんですよ。そうすれば、ここで発表できなくても、それらのことは当然通産省にも、水産庁にも限度があるだろうと思う。無鉄砲な買いたたきのような方法を講じているのかどうか知りませんが、そういうように受け取れるようなことのないように考えるべきだと思う、こう思っているが、そういうことに少しも考慮を払われておらないで、価格は両者できめるべきものだ、こういう態度をとっておられるのには、私はどうも納得しがたいんだな。通産省のあなたの方はそういうことを考えてやって
おい
でですか。そういうことを水産庁と御相談になって、一応腹に置いて考えていられるか。そのまん中をとれば如才ないくらいのことを考えておられるのか。
杉村正一郎
125
○
説明員
(
杉村正一郎
君) ノリの値段が幾らくらいが適正かということにつきましては、主管の水産庁でもなかなかきめかねるような、非常にむずかしい問題でありますので、私
ども
としましても、もちろんそういうものがちょっと幾らという自信はないわけで、まず商売は業者同士の話ということで見ざるを得なかったということを考えている。ただ、非常に両者の間に極端な話の開きがある場合には、そのまん中くらいから話を始めたらどうかということを言ったわけであります。
東隆
126
○
東隆
君 韓国側が輸出する場合に一本になっておる、それからこちらの方は輸入する場合に輸入部会が一本になっておる、こういうことなんですが、これは私は輸入する側に
おい
て、国内法規からいくと、だいぶ危険性があると思う。というのは、その次にくるのは、これは超過利潤を非常に大きくするために一本になってやっておると、こういうふうになって参りますると、小売価格ですね、国内におろす場合に、おそらくは価格の制限をする、こういうような問題も可能性が起きてくるわけです。そうすると、これは公正な取引、あるいは独禁法だの何だの、そういうようなものにこれはふれてくるような中身にもなってくるおそれがある。そこで、問題をこじらしたものは何かというと、これは
日本
側のインポーターがこういう問題を起したのですから、そこでインポーターが起した問題に対してこれを排除する方法、その方法を考えなければいけないし、それからたな上げをするといって、先ほど
お話
があったように、前からの
関係
があって、来年は二重にふやす、そんなような
関係
で国内の生産者に非常に大きな圧力を加えてくることは、これは必至です。そういうことになると、この
委員会
でもって申し入れをした事項、そういうようなものとは完全に相反したことになる。いずれにしても相反した結果になっておる。そういう原因を作ったのがインポーターだと、こういうことになると、先ほど
清澤
君が言ったようなことをはっきりときめてやることも、これは可能性があると思う。 それは、先ほど言ったように、一本になって、そうしてお互いにけんかをするような態勢、価格を中心にしてけんかをするような態勢に持っていって、故意におくらしたのです。だから、その点から考えていっても、やはり輸入したものについてある
程度
の制限を加える。その制限を加える方法は、配給の面に
おい
て考えなければならないと、こういう問題は当然起きてくると思うのです。そういうような意味で、先ほ
ども
言ったように、今の場合における私はいい案というのは、
清澤
君が先ほど言ったように、これ以外にないと思うのです。国内の生産者に圧迫を加えない方法、そうして、しかも日韓貿易を円滑に将来も続けていく方法、それから韓国にだいぶ貸し越しになっているはずでしょう。ドルがだいぶあるはずでしょう。そういうようなものをおそらく決済の方向に向けていかなければならない。ほかに取るものが、韓国から輸入するものがあるならば、これは問題ないのですけれ
ども
、ほかにないと、こういうような
状態
に置かれておるときに、私はやはりこの解決によって日韓貿易を進めていく、こういうような方法もやらなければいかぬ。生産者を助ける方法、この二つの中でもって解決をつける方法は、今のインポーターがやってきたことが非常に間違ったやり方をしておる、こういうことから、強力に役所の方が
発言
する私はチャンスがでてくると思う。この点、どうですか。
奥原日出男
127
○
説明員
(
奥原日出男
君) 水産庁といたしましては、あくまでも需給調整協議会で結論を出していただく。これが取扱いにつきましても、生産者といたしまして価格に対する安心が持てるような取扱い方法を十分中で協議して、
一つ
の結論を出してもらう、こういうようなことにいたしたい、かように考えておるのでございます。そのために必要なる行政上の連絡等は、もちろんとらなければならないかと思うのでありますが、また国会におきまするいろいろな御意見の御開陳も、需給調整協議会の話し合いの中には、十分反映をいたすであろうかと、かように考えております。
東隆
128
○
東隆
君 需給調整協議会の決定の仕方は、多数決できめるのですか。
杉村正一郎
129
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 需給調整協議会は、生産
関係
、輸入
関係
、問屋
関係
と、三つの方面の意見が一致しなければ、協議会の結論にはならないということであります。
東隆
130
○
東隆
君 その場合に、構成なんか考えた場合に、インポーターとそれから問屋筋が一緒になりまして、完全に一律の割合ですと、二対一の割合になる。それでもって生産者が直接圧力を加えられる、こういうような結果になりませんか。
杉村正一郎
131
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 生産者だけがある意見を持ち、それからインポーターと問屋が別の意見に一致していて、二対一でもって生産者の方の意見が否決されるというようなことにはならないわけでございます。ならないがゆえにこそ、今までに私
ども
は、需給調整協議会の結論を早く早くといいましても、全会一致でなければ答えが得られない
関係
がありまして、おくれてきたという理由も、そこにあるのではないかと思います。
東隆
132
○
東隆
君 九月三十日から延びて、こういうものもすでに一カ月延びておる。一体需給調整協議会としてもし決定をしたならば、買い入れる、輸入をするというような前提を、輸出をするというような、そういう決定をするようなことに、もうなるような時期なんですか。今はもうすでに期間も一カ月延長している。
杉村正一郎
133
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 確かに当初予定しました期間は過ぎておるわけでございます。しかし、現在のところ、まだ話し合いをやっておりまして、今のところ私
ども
としては、先ほど申しましたように、ここ一日、二日、おそくとも、二、三日中に需給調整協議会の結論が出てほしいと期待しておるわけであります。それ以上過ぎますと、おそらく話し合い自体のまとまることはまず見込みないのではないか、まず山はここ一日、二日のところではないかと考えております。
東隆
134
○
東隆
君 先ほどから聞いておりますと、価格の問題のようですが、それは私はあるいはきまるかもしれない。きまるかもしれないけれ
ども
、しかし、価格がきまっても、これは問題にならぬと思う。それ以外の問題が、大きな問題になってきている。その問題をきめないことには、おそらくここの
委員会
は
承知
しないでしょう。そうして、価格なんかきまってみても、問題になりませんよ。そうすると、非常に問題を含めて解決しなければならぬ問題が起きてきておる。その問題をきめなければならぬ。需給調整
委員会
で価格なんというのは、過ぎてしまっているのではないですか。
杉村正一郎
135
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 確かに、おっしゃいますように、価格の問題がきまりましただけでは、この問題は解決はいたしません。むしろどういうような、どれだけの数量をどういうようにして流すかということ、つまり生産者の納得のいくような方法の流し方がきまらなければ、価格についてもきまり得ないのでございます。両者からみ合ったような
関係
で、問題の焦点に迫っているという
状態
でございますので、きまれば両方きまらなければならぬし、どっちか片方きまっただけでは問題の解決には全然ならないということを、私
ども
も十分
承知
しています。
東隆
136
○
東隆
君 需給調整協議会に対して、通産省は価格以外に何か指示されていますか。
杉村正一郎
137
○
説明員
(
杉村正一郎
君) 国内出荷について、生産業者の方面に悪
影響
を及ぼさないために、出荷のやり方については水産庁の指示に従うというような方向はどうだろう。内容について具体的にいろいろ案があるだろうと思いますが、それらについて生産者に悪
影響
はないというような方法を考えて、まあ形式的にいえば、水産庁の指示に従うということも
一つ
の方法だろうと思いますが、技術的にもっと、たとえば何万円を限度にするとか、それの流し方はどういう方法でやるとか、そういうことについて具体的な案を立ててやったらどうか。それでなければ、おそらく生産者側は納得しないのではないかというような指導はしております。
東隆
138
○
東隆
君 水産庁に伺いますが、今通産省の方から
お話
のあったようなことで、需給協議会の方から何か水産庁の方に指示をしてほしいという、そういうような何がございますか。
奥原日出男
139
○
説明員
(
奥原日出男
君) 私自身に対しましては、まだ御連絡をいただいておりませんが、当然担当の課に対しましては、いろいろ御相談が参っておることと、かように考えております。
堀末治
140
○
委員長
(
堀末治
君) ちょっと速記をとめて下さい。 午後四時四分速記中止 —————・————— 午後四時二十二分速記開始
堀末治
141
○
委員長
(
堀末治
君) それじゃ、速記を起して。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十三分散会