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1957-10-29 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月二十九日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員の異動 十月十四日委員雨森常夫辞任につ き、その補欠として寺尾豊君を議長おいて指名した。 十月十五日委員戸叶武辞任につき、 その補欠として曾祢益君を議長おい て指名した。 十月十七日委員寺尾豊辞任につき、 その補欠として雨森常夫君を議長にお いて指名した。 十月二十二日委員曾祢益辞任につ き、その補欠として戸叶武君を議長おいて指名した。 本日委員安部キミ子辞任につき、そ の補欠として江田三郎君を議長おい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            江田 三郎君            河合 義一君            北村  暢君            鈴木  一君            戸叶  武君            千田  正君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省移住局参    事官      粕谷 孝夫君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林大臣官房長 齊藤  誠君    農林省振興局長 永野 正二君    水産庁長官   奥原日出男君    通商産業省通商    局次長     杉村正一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (冷害に関する件)  (農林水産関係海外移住に関する  件)  (韓国ノリに関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。十月十四日、雨森常夫君が辞任され、寺尾豊君が選任され、同月十五日、戸叶武君が辞任され、曾祢益君が選任され、十七日、寺尾豊君が辞任され、雨森常夫君が選任され、二十二日、曾祢益君が辞任され、戸叶武君が選任され、本日、安部キミ子君が辞任され、江田三郎君が選任されました。
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 藤野君から特に発言を求められておりますので、長崎県及び佐賀県における冷害の件を議題にいたします。
  4. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は、本月の十六日であったか、佐賀県の農協大会出席したのでありますが、その席上、佐賀県における冷害状況を承わって参ったのであります。また現物も見せてもらったのであります。私は昨年北海道冷害を視察したのでありますが、その現物状況を見てみまするというと、昨年北海道冷害を見たのと全く同一であるのであります。  なぜ、こういうふうに佐賀県が冷害を受けたかと申しますと、本年の天候関係が重大な影響を及ぼすものであるのであります。また、高い所に晩稲を植えているというようなことも、一つの原因になっているのであります。この品種の問題については今後研究を要するのでありますが、本年は、今申しましたような、非常な異常な天候佐賀県が冷害を受けておって、ぜひこの問題を国会で取り上げて善処してもらいたいという要求だが、農協大会の満場一致の決議であったのであります。それでありますから、こういうふうな場合における対策は、すでに皆さん御承知通り営農資金の貸し出しであるとか、概算金返納延期であるとか、あるいは共済金の支払いの問題であるとか、農業所得税の免除の問題であるとか、被害農家に対する飯米の払い下げであるとか、いろいろあるのでありまするが、こういうふうな問題について、いろいろと御検討を下さるようにお願いしたいと思うのであります。  また、長崎県の場合も、今黒田県議からお話しの通りであるのでありまするが、その他の地方にもこういうふうな例があると思うのでありますが、一体本年はどういうふうな所にどのくらいの冷害があるのであるか、まず日本全国冷害状況を、報告が来ていると思うのでありますから、その状況を承わりたいと思うのであります。
  5. 齊藤誠

    説明員齊藤誠君) 本年の水稲は、成育最盛期及び出穂後二、三週間の期間にわたりまして、低温寡照が続きましたので、地方によりましては、水稲その他のあと作に相当の被害が生じたのではないかというような報告を受けております。これにつきましては目下調査中でございますので、詳細なことは追って調査の結果を待って申し上げなければならないかと思うのですが、現在までわかっておりますところの概況を、ごく大ざっぱに申し上げてみたいと思います。  今回の特色といたしましては、例年に比べまして相当、全国にわたりまして気温が非常に低かったのと、特に九月から十月中旬までに至る間におきまして低温が続いておったという現象があります。地域々々によって若干の相違がありますけれども、三、四度程度は低かったのではないかというふうに報告されております。日照につきましては、平年から見ますと、十月はやや持ち直したのでありますが、九月におきましては、これもまた例年に比べて寡照であったようでございます。この結果、被害地域といたしましては、特に山間部であるとか、あるいは平坦部におきましても、先ほど委員の方からお話がありましたように、おくて水稲が特に悪かった、あるいは二期作が特に悪かったようでありまして、そのほか、タバコであるとか、あるいはイグサであるとか、そういったものが、やや成育遅延で、冷害影響を受けたように見られておるのであります。  詳細は、今申し上げましたように、今後の調査の結果によって見なければならないかと思いますけれども、現在までの被害概況でございますが、今申しましたような関係で、水稲二期作地帯で、あるいは山間部被害が大きかったわけでありますけれども、大ざっぱに申し上げまして、徳島、香川、愛媛、高知等におきましては、被害面積が、四県合計いたしまして、おおむね三千町歩前後である。それから佐賀県が今回は一番被害が大きく現われておるようでございまして、現在わかっておるところでは、約一万七千五百町歩でございます。佐賀県におきましても、おもな冷害発生地域はやはり山間部であるということで、標高三百メートル以上の所が特に多いようでございます。そのほか福岡、長崎、大分におきましても、それぞれ被害が出ておりますが、これもおおむね、三千町歩前後であろうと、こういうことに現在のところなっております。  ただ、本年は、山間部であるとか、あるいはおくてであるとか、あるいは二期作であるとか、そういうところの被害が特に大きかったようでございますので、全国的にこれを見ますると、非常に地域的にむらがあるようでございまして、特に西南地方被害がそういう関係で多かったのでありますけれども全国的に見ますと、本年の今現われている被害の総面積から、大体十八、九万町歩ではなかろうか。従って、平年四十四万町歩くらいが被害として出ておりますので、平年対比から見ますと、四割くらいの被害に当っておるというような状況が、現在のところわかっております。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいま調査中であるということでありますから、十分に一つ調査の上、平年によっての通り善処方をお願いしまして、私の質問を終ります。
  7. 東隆

    東隆君 ちょっと、それに関連して。今佐賀県その他の被害状況を通して藤野さんの質問がございましたが、北海道で、ことし、北見地方十勝の両地方は、やはり水稲は五分作程度という状態になっております。これは、理由は、昨年皆無作であったために、水稲中心地である十勝上川等から、わせ品種を持ってきているわけです。しかし地域関係から、わせを持って行っても、これらの地方に行っては、なかて、あるいはおくてになる、このような関係で、これはいかんともいたしがたい事情で凶作になった。このようなことでありまして、これらの資料等は、道の方から出ると思いますが、あわせてお考えを願いたいと思います。
  8. 齊藤誠

    説明員齊藤誠君) 北海道におきまする冷害影響につきましても、目下調査いたしておるのでございますが、お話のように北見地区、あるいは十勝地区におきましては、道の方からの正式の調査報告ではございませんが、大体六分作程度であろうというようなことを承知いたしておるわけでありまして、北海道も、東南地方におきましてはそれほどのこともないというので、おそらく北海道におきましても、地域的なむらが相当あるのではなかろうかと思っておりますが、これらも調査いたしました結果によりまして、善処いたしたいと思います。
  9. 堀末治

    委員長堀末治君) この問題について他に御質疑がなければ、本問題はこの程度でとどめることにいたします。   —————————————
  10. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、農林水産関係から、海外移住の件を議題といたします。  この件については、前回の委員会おいていろいろ問題になって、その際、海外移住促進に資するため、重ねて議題にして問題をさらに議するように御要請の向きもありましたので、きょうは重ねて議題にいたして、外務及び農林当局から説明を求めます。  農林省からは瀬戸山政務次官永野振興局長外務省からは移住局参事官粕谷君、第二課長の吉岡君、第三課長の原君が見えております。  まず、外務省から一つ、御説明を願います。
  11. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) では、内田移住局長がちょっと病気で出席できませんものですから、私かわりまして、ただいまお配りをいたしました刷り物につきまして、ごく簡単に御説明を申し上げたいと思うのであります。  まあ戦後どのくらいの海外移住が出ておるかというようなのを最初申し上げたいと思うのでありますが、すでに御存じ通り、必要な移住者に対して政府渡航資金を貸しておるのでございます。その渡航資金を借りまして移住された数が、昭和二十七年に海外移住が始まりましたあと、本年の九月に至るまでに、大体一万八千五百四十八というような数字が出ておるのであります。ただいまお配りをいたしました二ページの表に大体明らかになっておりまして、その中でやはり一番多いのはブラジルでございます。順序はブラジルパラグァイドミニカ、それからボリビアというようなことになりまして、これまで多く海外移住者を受け入れておる国といいますのは、ブラジルパラグァイドミニカボリビア、こういうようなふうになっておるのであります。各府県別に見ますというと、次に掲げまする表のようになっております。  ただいま申し上げました一万八千五百四十八という数字は、最初申しましたように、政府渡航資金を借りまして出かけて行かれた人たち移住の数でございますが、それ以外に自費でもって渡航した者もあるわけでありまして、それを調べてみますというと、昭和二十七年から三十二年の九月に至る間に、南米には三千八百七十三人、それからアメリカには二千十六人という数が出ておるのであります。南米に行かれました数は、その三千八百七十三の内訳によりますというと、第三表にございますが、やはりブラジルが非常に多いのであります。それから米国に行きました二千十六人の呼び寄せ渡航のほかに、さらに割当移住者というのが百十三、それから難民救済法によりまして移住されました数が九百七十六というような数になっておりますが、これは旅券発給数でありまして、十五才までの人は父母の旅券に併記されますので、特別に旅券をもらわなくてもいいことになっておりますので、さらに正確な数と申しますのは、難民救済法による実数は千六人ということになっておるのであります。  このほかに、御存じのように、短期農業労務者として、昨年からことしにかけまして千人行きましたのであります。そのほかに、これは御参考までに表が掲げてありまするが、養子縁組とか、あるいは国際結婚というようなのは、相当な人が米国に行っておるのであります。これは御参考までに掲げた数字であります。国際結婚は二万五千というような数がアメリカに行っておるようであります。  それから、以上は南米あるいは米国向けの大体数でありますが、そのほかに西ドイツ炭鉱労務者といたしまして、昨年五十九人行っております。これはまあドイツに行きまして、いろいろな技術関係の勉強をし、かたがた炭鉱に働くというような趣旨で、昨年出て行った数でございます。それから、いま一つは中近東のクエートという国がありますが、そこに自動車修理工が十五人というような数が出ております。  本年度は大体九千人というような、これは政府渡航資金を貸し付けまして、大体移住される数が九千人ということで予算を組んでおりまして、来年度はさらにこの数を大いに上げよう、一万三千三百というようなことを目標に考えておるわけであります。  それ以外に、ただいま申しました、西ドイツに行っておりまする炭鉱労務者につきまして、いろいろ問題もありましたが、大体来年の一月から三月の間に百八十人ぐらいが渡航できるような見通しを持っておるのであります。それから米国に行っております短期農業労務者につきましては、新聞その他でも御存じかとも思いますが、いろいろ米国内部に問題がありまして、初めは毎年千人ずつ、三年間で大体三千人という予定でありましたが、最初の年は千人送り出し、今年度千人送り出すつもりでおりましたが、米国の国内におきましていろいろ問題もありますし、未だに片づいてはおりませんが、遠からず本年度も千人送り出せるように決定がなされるのではないかというふうに考えておるのであります。  この移住政策展開いたすためには、できるだけ数を多く、しかし数を多くしますというと、できるだけ送出先を多くしなければならず、その送出先もできるだけ安定したものとすることが必要であると思うのでありまして、昨年にはボリビアとの間に移住協定を結んで、五年間に一千家族、約六千人ぐらいの送出が可能となっておるのであります。ことしになりまして、ドミニカともまた移住協定を結ぶように、今交渉中でありまして、漸次その他の国とも協定締結努力をいたして、移住者受入先国の安定を得よう、安定した受入先を確保しようと努力いたしておるのであります。それから、また本年一月にはアルゼンチンの方から、わが方の申し入れによりまして、五カ年間に四百家族移住者の入国が許可されてきたのであります。その第一回の移住者が近く出発することになるかと思っております。そりほかグワテマラ、ベネズエラというような所にも、現地調査団派遣をして、相手国交渉をしたのでありまして、その結果、従来日本からの移住が不可能でありましたベネズエラに対しましても、多少呼び寄せ移住が許されるような状態になって参ったのであります。  一方、各国ともそういうふうな交渉をすると同時に、いろいろこの移住関係のある国際会議の際には、できるだけわが方の要請というものを反映させるような努力をいたしておるわけでありまして、昨年キューバで開催されましたユネスコ主催文化的同化に関する会議というような会議には、オブザーバーを派遣をいたしました。それから、また本年八月の上旬にジュネーブで開かれました、政府関係機関でなくて、非政府移住関係機関国際会議というものがありましたが、その際にもわがジュネーブ代表部職員派遣をいたしまして、わが国移住現況につきまして報告をいたさせ、また参加機関協力を求めまして、さらに最近九月の二十二日から二十八日まで、イタリアにおきましてカトリック関係の、国際カトリック移住会議というようなカトリック関係移住団体会議がございましたのであります。その際には、イタリアの大使館の参事官、並びにヴァチカンにおります鶴岡公使出席させまして、わが国移住に対しまして、カトリック関係団体が非常に引き続いて強力な支援を与えるように要請したのであります。それから、また日本から出席をいたしましたキリスト教関係の方々にも、一そうの協力を依頼するよう要請いたしたのであります。それから先般の国際連合の総会におきましても、わが藤山外務大臣移住問題に関し特に発言をいたしまして、国際間の協力を求めたことは御存じ通りであります。  移住関係業務を実施いたしまする団体といたしまして、海外協会連合会があることは御存じでありまして、これは移住事情広報宣伝移住者の募集、選考送出渡航費貸付及び回収等事務を積極的にやっておるわけでありますが、さらにこれらの質的な充実をはかるため、また地方にもこの傘下団体でありまする海外協会というようなものがございますが、これにも質的、資金的な援助を与えまして、大いに活動をしていただくように努力中であります。  それから、また国外におきましては、ブラジルとかドミニカ、あるいはボリビアというような移住者の多く行く所には、その職員派遣いたしまして、移住者の受け入れ並びに保護、指導に当っておるのであります。  それから各都道府県にありまする海外協会も、大体各都道府県にもできまして、今北海道と京都、二つだけ残っておりますが、北海道も遠からず設立されるように聞いております。この連合会の本部並びに地方海外協会活動というものが非常に重要でありますので、昨年は一協会当り補助金は十八万円でありましたが、本年度は平均八十万円に増額をされておるのであります。  それからいま一つ移住事業に関しまして、資金面援助をいたしておりまする日本海外移住振興株式会社、いわゆる移住振興会社がございますのでありますが、これは現地にも、ブラジル現地邦人支店を作ってございます。それからそのほかにパラグァイ支店アルゼンチン駐在員派遣をしております。この会社資本金は大体八億ということになっておりまして、そのほかに米国の銀行から借入金ができることになりまして借入金をしておりますが、これまで大体八億くらいを貸付または融資をしておるのであります。  それで、この会社の大きい、これまでの事業実績のおもなるものは、移住用地のために土地を買う。これは一つパラグァイに買ってございます。それから一つアルゼンチンに買っておる。それからまたブラジルに買っておる。三カ所に買っておるわけであります。今後もまた適当な所があれば購入するつもりでおるのであります。それから先ほど申しましたアメリカ短期に行っておりまする農業労務者に対しましても、大体渡航費を貸し付ける、その他貸付及び投融資というものが現在まで八件であります。  どうもこの移住振興会社の、何といいますか、業務実績が非常に上らぬといういろいろ御批評もあるようでありますが、いろいろ会社内部の組織その他の整備ということもなかなか時間もかかるし、それからまた現地でいろいろ投融資をする、貸付をするということになりますと、現地法令等についても十分に研究をしなければならぬのでありまして、その間になかなか時間もかかることと思われるのであります。  いずれにしましても、ごく簡単に申しますと、以上のようなことでありまするが、今後移住先国経済発展に大いに協力するようないい移住者というものを送り出す。これには移住政策というものが強力に展開されるようにわれわれ一同努力をいたしておるのでありまして、また、この移住という仕事は非常に関係各省関係するところが多いのでありまして、これら各省の御協力を得まして、できるだけ強力に展開をいたしていきたいと思うのであります。  ただ、一番ここで一つ問題になりますことは輸送力の問題でございまして、ただいま大阪商船の船を四はい、それからオランダ船のローヤル・インター・オーシャン・ライン五はいを使って輸送をいたしておるのであります。大阪商船の方は、本年度の計画によりまして、来年五月ごろには新しい移民船が一隻できることになっておりますが、さらに再来年になりますか、来年度予算ではさらに一隻新造をしていただくようにしておるのでありまして、この輸送の問題というものが非常に大きい問題でありまして、今後この輸送力の増強ということにつきましては、運輸省あたりとも大いに協力をいたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思っておるのであります。  大体概略を申しますと、以上のようなものであります。
  12. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、振興局長永野君。
  13. 永野正二

    説明員永野正二君) ただいま外務省粕谷参事官から、海外移住現状につきまして詳細御説明がございましたので、私の方といたしましては、重複を避けまして、農林省としてどういうふうに考えておるかという点を申し上げたいと思うのでございます。  海外移住のうちのほとんど大部分、圧倒的な部分農業関係移住者であることは、よく御承知通りでございます。私ども現在の日本農業につきましての政策を考えますときに、あらゆる面で非常にぶち当る問題は、経営規模の過小であるという問題でございます。この問題は、これはいろいろな方策、また相当な長期な政策展開でもって逐次解決していかなければならないのでございまするが、そのうちこの海外移住の問題は、戦後におきまして非常に明るい窓が開けたような一つ問題点になっておるわけでございます。農村の次のジェネレーションが健全に農家として自立していきますためには、当然こういう過小経営を逐次解消していくということが非常に重要な問題でございますので、この問題につきましては、全国の各地域におきまして、非常に海外移住の熱意が盛り上って参っておるのでございます。従いまして、私どもといたしましては、その問題を関係各省協力のもとにできるだけ積極的に展開をしていきたいというふうに考えておるのでございまして、きたるべき農林省政策の中でも、大きな一つの項目に考えておるわけでございます。現状につきまして、先ほどいろいろ御説明がございましたが、その通りでございまして、政府といたしましては、従来もいろいろな方策を考えて、この移住促進ということについては非常に努力をいたしておるのでございまするが、なお万全とは申し上げがたいと思うのでございまして、これからの点につきましては、当委員会におきましてもいろいろと御指摘を受けたような次第でございます。私どもといたしましては、今後も、外務省初め関係当局、あるいは財政当局とも十分連絡をとりまして、従来御注意がございましたような点につきまして、できるだけ改善を加えて参りたいと思っておるのでございます。  まず、問題になりますのは、一つは、この移住関係仕事をどういう機構なりどういう団体でどういうふうにやっていくかという問題について、最近やはりいろいろと問題が起きておるのでございます。農民の側あるいは農村の側からいいますると、残された農村の側の問題を円滑に解決していき、また、出て行く農民に対しまして資金その他できるだけ援助して、できるだけりっぱな移住者を出先でも安定するような形で送っていきたいという具体的な要求を持っておるわけでございます。従いまして、この移住仕事につきましても、たとえば移住者の援護の問題、あるいはどの人を移住させるかという選考、あるいは訓練の問題等につきまして、農民の側から、あるいは農民団体の側から、積極的に協力をしたいという意欲が非常に盛り上っておるわけでございます。これらの団体が積極的に協力いたしますることが、移住を伸ばしていく非常に必要な一つの条件に相なっておるかと思うのでございまして、これらの点につきまして、先ほど移住団体機構等につきまして、たとえば海外協会連合会あるいは移住振興会社につきまして、外務省からも御説明がございましたが、これらの移住取扱い業務につきまして、今後あるいは地方庁であるとか、あるいは農民団体であるとかいうものが積極的に、しかもスムーズに協力をしていくような態勢を考えなければならないのじゃないかと思うのでございます。これらの点につきまして、十分今後協議をして、改善を加えたいと思っておるわけでございます。  その次の問題は、移住者資金の問題でございます。最近の移住者が、移住先におきまして安定した営農を営んでなるべく早く自立をしていく、借金を返して自立をしていくというためには、相当多額の当初の営農資金が必要でございます。これらにつきましては、政府の方も、従来もいろいろ、たとえば渡航費の融資、あるいは土地購入代金の一部の融資等を考えておるのでございますけれども、私どもの立場から申しますと、なおなお、農民が向うへ行って農業を自営していくための資金の措置としては、どうも不十分な点があるのではないかと思うのでございます。たとえますれば、移住振興会社営農資金の融資という制度も最近になって開かれたわけでございますがまだ、その対象になりますのは、たとえば共同で使用する農機具であるとか、あるいは共同施設のための資金であるというようなものが一応対象に加えられておりますけれども、これ以外にも、農家が入りまして移住先で営農いたしますためには、いろいろな資金が必要でございまして、これらのものを内地に残りました農家農民の側もある程度つながりをつけつつ、十分な資金を供給するための援護活動と申しますか、そういうことをどうしても考えなければ、安定した移住者を送り出すということが困難なように考えておるのでございます。これらにつきましても、十分各方面の御援助を得ながら私どもとしては解決をつけていきたい、こう考えておる点でございます。  次に、現地の営農指導の関係でございますが、この点も、戦前の移住におきましては、たとえばブラジル移民のように、原始林に入りましてそこを開拓をいたしまして、コーヒー園を作るというのが非常に圧倒的な形であったのでございますが、戦後の移住におきましては、いろいろ移住先の営農の条件というものがまちまちでございます。従いまして、この営農の指導、あるいは現地のいろいろな調査というものが、移住者を安定させるために非常に必要な、しかも、むずかしい問題になっておるのでございます。これをやらなければ、その行った先々の異なる事情のもとにおきまして移住者が営農をうまくやっていくということが、非常に困難な実情であると思うのでございます。これらの点につきましても、農林省といたしましては、従来もいろいろ調査もいたしておりますが、なお今後毛現地の営農上のいろいろな事情調査ということに十分力を入れまして、おのおのの出先の実情に応じた移住者の営農の安定ということができるように努力をしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  従いまして、以上のようないろいろな問題を解決いたしますために、農林省といたしましても移住行政に積極的に協力をしていきたい、こう考えておるわけでございまして、この点につきましては、特に外務省当局とも十分に連絡をとりまして支障のないようにしていきたいということで、両省その方向につきましては大体意見が一致いたしまして、いろいろ具体的に研究をいたしておる段階でございますので、なお両省折衝の上御報告をする段階が参りますれば御報告をいたしたいと、こう考えておりますので、御了承をいただきたいと思うのでございます。大体以上でございます。
  14. 島村軍次

    ○島村軍次君 当委員会におきましては、この問題についてはずいぶん論議をされたことでありますが、ただいまの説明を中心として数点について伺ってみたいと思います。  まず第一に、他の国の例から申しますると、たとえばイタリアのごときは、特に移住の政務次官を置いて、担当を特に別途にやって、しかも、わが国の政務次官の制度と違って、執行機関としての仕事も相当やっている。御案内の通りに、もうすでに千三百万と称せられ、千五百万と称せられ、年々六万ないし十万の人々が出ておる。こういう現状から見ますと、私は、今のようなまことに微温的な移住政策では、わが国の国是の上にも将来大いに考えなければならぬと思うのです。承わりますと、移住に関しては特別の立法を外務省でお考えになっているようでありますが、将来の方針と他の国との関係等から、果してどういう構想をお持ちになっておりますか、まずそれから伺ってみたいと思います。あわせ農林省は、移住者の大部分農業関係でいくのでありますから、この際いろいろな問題点の抽象的なことでなくして、将来の画策について、農林政務次官一つ御所見を承わってみたいと思います。
  15. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) ただいま御指摘に相なりましたように、イタリアあたりは毎年十万くらいの人がどんどん出ておるのであります。わが国におきましても、できるだけ数多く出したいという気持もあるのでありますが、わが国で戦前一番多く出ましたのが二万七千ぐらいと聞いておるのであります。できるだけ早い機会にそういうふうな、少くとも戦前ぐらいに持っていきたいというのがわれわれの願いであります。そのためには各省と十分に、特に農業移住者も多いことでありますから、ただいま振興局長が申されましたように、いろいろ農林省その他関係方面と十分に協力をいたしまして、多少でも多く送り出せるような態勢に持っていきたいというつもりでおるのであります。ただいまお話のありました移住法の問題につきましても、農林省その他関係方面と目下いろいろ研究中でございまして、まだ成案といいますか、そこまでは行っていないのであります。
  16. 島村軍次

    ○島村軍次君 次の通常国会に提出されますか。
  17. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 通常国会に提案するつもりでやっております。
  18. 瀬戸山三男

    説明員瀬戸山三男君) 私にお尋ねでありますから、簡単にお答え申し上げます。  ただいま島村先生からお話しの通り、私も昨年ちょっとイタリアに寄ってきましたが、今お話しのように、イタリアあたりでは非常に移住が強力に行われておる。わが国移住政策が、御承知通りに、なかなか思うようにいかないということは十分承知いたしております。これにはそれぞれの国情、人情というのも相当左右しておると思いますが、将来の構想というお話でありますけれども、これは受け入れ国の事情もあることでありますから、今までそれぞれ係りの方から御説明申し上げましたような事情でありますが、受け入れ国との関係を調整する。先ほど振興局長も申し上げましたように、農林省といたしましては、農業人口の過剰ということが日本の農政の一番大きなガンでありますので、できるだけ多く海外移住をさせる、こういう考え方を持っております。  御承知のように、私は最近農林省に入ったのでありますが、これは国の財政事情もあると思います。それから輸送状況輸送力関係もあると思いますが、正直のところ、農林省関係予算一億足らずという状態になっております。三十三年度は約三倍くらいの要求をいたしておりますが、先ほどお尋ねの海外移住法というような法律も次の通常国会にお願いをして、まず基本法を作って、海外に移住した人が安心して、かりに営農するとすれば営農ができるように、相当強力な予算措置もしてやらなければ、ただ海外に行け海外に行けだけでは、私はなかなか振興しないのではないか、こういう考え方を持っておりますことを申し上げます。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のお話関係して、外務省にお伺いしますが、いろいろ受け入れの国の事情がありましょうが、現在大体移出可能性はどのくらいになるか、各国の事情で協定等ができておりましょうが、その総数、現在移住できるという数はどのくらいか。第二番目に、その移住者は大体農業におかれておるようですが、国民全体の上から見れば、全体に人が余っておるのですから、職業を制限しないかということ、職業の制限があるかないか。それから第三番目に、大体日本の国策として移住者はどれくらいを出すのがいいかという目標をもって——それは向うの事情でできませんよ、だが、どれくらいまでは努力しても出していかなければならぬか、こういう大体の目標、年十万とかあるいは三十万とかいうようなもの、年間でどれくらいのものを移住したらよかろうというようなものは固まっておるのですかどうですか。この三点を一つ
  20. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 第二点の職業の制限の問題につきましては、そういう制限はございません。それで、われわれの方といたしましても、従来は農業関係が多かったのですが、そのほかの中小企業の移住とかいうものにもできるだけ努力をいたしたいと思っておるのであります。ですから、来年度予算には中小企業のそういう可能性ありやなしやというようなことを調査をする予算も、要求をしておる次第でございます。  最後の点の努力目標といたしましては、先ほども申し上げましたように、戦前は二万七千人が最高でございましたが、大体そこいらか、三万くらいにできるだけ一つ早い機会に持っていきたいというのが、努力目標でございます。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の二万七千くらいというのは、一カ年ですか。
  22. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) いや、五カ年くらいに相なります。五カ年で年間三万くらいに持っていきたい。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、十五万……。
  24. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 一年に三万、毎年五、六千ずつふやして、大体五年で三万くらいにふやして参りたいというつもりでございます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 現在移出可能の数はどれくらいですか。これは国別で後に資料をもらえればいいですけれども、現在のところ……。
  26. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) わが国輸送力の問題がありますが、それを無視しまして、相手国だけの受け入れ可能数は現在二万人……。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 一カ年ですか。
  28. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) ええ。
  29. 島村軍次

    ○島村軍次君 この問題は、論議すれば非常に際限のないことだと思うのですが、端的に私は希望を数点申し上げて、一つお答え願いたいと思うのは、第一に、昨年海外視察の際にオランダの岡本大使にあちらで会った。ニューギニアの問題で、それは向うの外務大臣と折衝中だ。もうお帰りになっておるようですが、おそらく夢でなかろうというふうなお話があったのです。あそこは今オランダ人が五万くらい入っておるようですが、あのジャングルを開拓すれば、ニュージーランドとかあるいはオーストラリア等の問題があるようですが、これは考え方によれば不可能でない、こういう強い希望を持っておるようですが、そういう熱意の点は、外務省に果してあるのかどうか。国策として今の三万とかいうのでは、私は将来の日本の人口問題なり、日本農業の立場からいって、農業問題等からいえば、非常に不十分きわまると思うのですが、外務省はニューギニアなんかに対しては、ただ消極的に、なかなかむずかしいのだというくらいの程度にしかお考えになっておらぬのかどうか。これはもっと声を大にしてやると同時に、海外と折衝を十分やっていただきたい。岸総理なり今度の外務大臣あたりはずいぶんおいでになりますが、こういう問題について、ただ国際連合で希望の演説をしたくらいでは、なかなか解決するものではないと思うのですが、その点をまず第一点として伺っておきたいと思うのです。  それから、次に問題になるのは、何としても、やはり先方の受け入れの問題が相当あると思うのですがね。しかし考え方によれば、これは不可能な問題ではないことは、たくさんな例もあるようでありますし、要するに向うに行って土地を相当求めて、そうしてその土地に対しては、政府なり、あるいはこの海外移住協会なり、振興会社ができておりますが、私は農業の立場からいえば、これが果していいかどうかわかりませんけれども、やはり全国的の農協の連合会が最近できて、これの一つのプランとしては、土地を各地で求めて、そしてそれに二、三男を持っていく。その資金はどっか政府なりあるいは民間団体等で、政府が相当の利子補給をするとか、あるいはある程度の保証をして、積極的にやって、資金を貸してやるとか、その支払いは、残った長男の者が支払いの責任を持つというような積極的な考え方をお持ちになれば、土地の買い入れ等もそう不可能ではないのではないかというふうに考えられるのですが、そういう問題についてはどうお考えになっておりますか。  それから地方にある海外移住協会というものの性格は、非常にぼんやりしたものです。ただ県庁の片すみで、他の仕事の片手間にやって、ただ外務省の手足とか、あるいは移住協会の書面上の取り次ぎをするくらいで、熱意に燃えている者があっても、府県の海外協会に行ってもわからないですよ、事情というものが。そこで今度の移住法を立法される場合には、今までのようなことでなしに、もっと積極的にわずか八十万くらい増額したからといって、満足しろといっても、それは何にもなりませんよ。これこそ焼石に水くらいのことです。もっと根本的なその協会の働きというものが、連合会の働きというものがほんとうになければならないと思うのです。しかも、この問題は、国内の仕事にはずいぶん金を出しておるわけでありますから、農地の問題とか、農業関係のそういう点からいきますと、非常な大きな問題だと思うのです。で、三万くらいを目標にせぬで、もっとけたを上げて、三十万とか、あるいは少くとも十万とかいうような目標をもってやることの可能性があるのかどうかということを、これは先ほども御答弁がありましたけれども、やり方によってはあるのだというようなことは、これは全国へ大いに呼びかける必要があるのじゃないかと思うのですがね。  その点と、それから関連をして東南アジアの問題ですがね。  新聞には大きく出ておりましたが、カンボジアあたりの受け入れ態勢はどうも、調べてみたけれども、なかなかうまくいかぬというようなことですが、カンボジアに限らずに、パキスタン、あるいはインドネシア等については、いろいろ海外事情もありましょうが、これは総理大臣みずからが出て行かれるぐらいな、こういう問題を第一に取り上げてやるということは、ただひとり農業ばかりでなしに、南方開発の問題にも非常に役立つと思うのですが、南方の問題に対する情勢を一応聞かしていただきたい。  以上数点に一つお答えを願います。
  30. 瀬戸山三男

    説明員瀬戸山三男君) 今の御意見の中で多少農林省関係した分があると思いますので、お答えいたします。  多数の移住者を出すということは、これはどなたもそれが可能である限り同じ御意見であろうと思います。まあ、政府としても、もちろんそういう考え方を持っているわけでありますが、先ほども申し上げましたように、こちらだけの希望なり、あるいは国内の輸送力その他の問題もありますので、そう簡単にいかないというところに悩みがあると思いますが、そこで先ほどのお話の中に、まあ農林管の関係が多い、特に農業移住者については、外国に行きまして土地を求め、それから営農するというのについて、あるいは農協団体などがある程度の考えを持っているという話でありましたが、そういう国民的な盛り上りが非常に必要なことだと思っております。そういうことで、これはまだ予算要求程度で、今後の努力になるわけでありますけれども農林省といたしましては初めての試みでありますが、そういう土地の購入あるいは初期の営農の資金、そういうものを貸し付ける制度をこしらえる必要がありはしないか。それに海外移住の基金と申しますか、そういうものを作りまして、そうしてそれを、農協団体等から資金を借りて渡航する人の、その資金借り入れの保証をしよう、こういう基金を作りたいということで、今農林省予算としてはわずかでありますけれども政府出資で約二千万円——まあ半額という考え方でありますけれども、初めての試みとしてそういうことをやりたい、こういう考え方を持っております。  それから各県にありますあるいは連合会、あるいは海外協会と申しますか、この活動がきわめて微温的である。これはまさにその通りであると思います。最近は海外移住の問題がだんだん開けて参りましたので、ここ二、三年来相当に熱意が出てきておりますが、まだまだ島村先生仰せの通りで、いわゆる国策として、国民が全力をあげてこの人口問題を打開する一つの道だというほどの盛り上りはないように感じられております。そういうこともありますので、これは単に農林省あるいは外務省だけのものでなくて、どうか一つ皆さん方の方でも御協力を願いたいのでありますが、先ほども申し上げましたように、今準備を進めております仮称の海外移住法、そういうものでも作って、そういう海外協会等の真に積極的に移住問題を取り扱う機関も法制化したい、こういう考えを持っておりますことを申し上げておきます。
  31. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 最初に御指摘になりましたニューギニアの問題、まことにこういう所に入れていただけば非常にけっこうなんでありますが、なかなか対日空気といいますか、アジア方面から行く移住者に対しましては非常に神経過敏なのでございます。私、前にインドにおりましたときに、インドにおりますオーストラリアのハイ・コミッショナーといいますか、大使に当る人でありますが、これが、有色人種に門戸を開放しておるのはけしからぬという意味のことを演説したことがございます。そのときには大問題になりまして、危うく召喚を求められるような状況になったのであります。そこで、われわれとしても、決してそういうところをないがしろといいますか、気にとめていないわけではないのであります。そこで、まあ国対国の交渉よりも、国際連合とか、そういう国際機関で仲介に立ってもらって、そういう面も漸次開いていけるようにしてもらった方がいいんじゃないかという、非常にこれはある意味においてはまどろっこいやり方かもしれませんが、そういうふうにして、そういう感じをほぐしていったらいいんじゃないかというように思っておる次第であります。まあ機会あるごとにそういうような努力をいたしておる次第でございます。  振興会社につきましても、来年度あたりは、いい土地を買うと高くなりますから、その造成費の一部は予算でもって補助して、できるだけ移住者の負担を軽くしようというような措置も考えておるのであります。それからまた利子の補給とか、支払いの責任を内地に残っておる者にするようなことはできないかどうかというようなことを、いろいろ各方面の御意見を伺いつつ研究をいたしておる次第でありまして、今後できるだけ御期待に沿うように努力いたしたいと思うのであります。  それから海外協会につきまして、いろいろ御指摘の点もございますが、われわれも八十万円だけで満足をしておるわけではありませんので、来年度はさらに多額の予算要求いたしておりますので、これもただいま農林政務次官がおっしゃいましたように、できるだけやはり各方面の御協力を得て、活発に活動できるようなものにもっていきたいというつもりでおるのであります。  それから東南アジアの事情につきましては、私、先ほど申しましたように、インドにおりまして、多小東南アジアの空気を吸ったのでありますが、東南アジアと申しますというと、非常に歴史も古くて、割合に土地あたりを確保するということは骨が折れる。東南アジアの大体の特色というと、少し口はばったいかもしれませんが、インドにおりまして、パキスタンなりビルマその他を眺めてみますというと、大体私の感じでは、人口が稠密といいますか、非常に人口が多いのでありまして、なかなかそこへ農業移住者として入っていく余地はないように思われる。これはもちろん農業関係その他につきまして、技術協力というような形で行くことはまことにけっこうであると思われるのであります。  少しこれは余談になるかもしれませんが、何分、このニューギニア方面ですと、日本とは近距離でございますが、中南米になりますと、距離の関係がありまして、輸送力の問題が一番大きな問題でありまして、今のように商業ペースで船を動かしていきますというと、年々一万トン級を二隻ずつこしらえて、五年目にようやく三万程度を送り得るというので、年間十万人以上になるというと、商業ベースを離れまして、政府が直接移住船を建造するようなことを考えなければできないのではないかという気がいたします。
  32. 島村軍次

    ○島村軍次君 まあ輸送力の問題はお話通りだろうと思うのですが、これはしかし、熱意があれば、受け入れ態勢さえ十分ならば、政府が作って、一万トン級でも何万トン級でもいい、数隻なり何隻でも作るという計画をお作りになって、そうして大いに推進される必要があると思う。外務省移住局までお作りになったけれども、ちょっと弱いのじゃないか。  それから国際結婚というのが二万五千あるようですが、これは日本の婦人がつまりアメリカなり外国人と結婚した、こういうことで、主として婦人の数ですね、この国際結婚移住者というのは。まあ余談になりますが、日本婦人はなかなかいいというので、世界に人気がいいそうですから、もっと国際結婚をお進めになる必要があるのかもしれませんが、(笑声)それはまあ別問題ですからその程度にしておきまして、そこで……。
  33. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) ちょっと口を返すのじゃございませんが、私も五月に、実を申しますと、移住局に参りまして、非常にどちらかというと新入生で、今の局長も三月にかわって参られたのですが、非常に熱意を持って一生懸命勉強をしております。できるだけ一つ御期待に沿うように努力をしたいと思っております。
  34. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、従来の農林省なり各関係省の間の事務連絡というものはなわ張り争いで、どうもぴったりいかぬというのが、一般の定評になっておったと思うのですね。そこで農林省に言わせれば、どうもわれわれは外務省に対して非常な希望を持つけれども、なかなか外務省がわれわれの言うことを聞いてくれぬというようなことをよく聞くのです。今度、農林省でここに参考資料としてお出しになっておる各項を見ますと、おそらく今まで外務省あたりでお考えになっておる程度よりは、たとえば資金援助の問題にしても、これはやはり営農資金というものを考えなければいかぬでしょう。それから現地指導というものを考えぬと、これは実際にやっていけぬと思うのです。先般ここで平川氏の南米へ行った話を聞きましたが、指導者なり、それから営農資金が十分であれば、これは相当可能性があるので、伸び方が非常に早いと思うのですね。外務省で御心配になっておる以上に、私はこの問題は特に必要だと思うのです。それには、最後にあげておる移住行政の問題については、これは現状からいけば農業移民が大多数です。しかも、地方海外移住協会が唯一の地方連絡機関です。外務省は高い所においでになりますから、地方事情というものは、海外協会だけではわからない。ほんとうは農業団体とか府県の方との間をもっとしっかりやられて、それに対してしっかり仕事をやらせる、それがやがて外務省事務の刷新なり移住に対する問題の解決に、むしろその方から私はずいぶん声が大きくなると思うのです。移住だといえば、海外協会にまかしてあるのだというふうな考え方それ自身が、非常に悪いと思うのです。そういう問題についても一つ盛んに経綸を行なって、そうして庁内というか、閣内に連絡会議というものをしょっ中やって、もう終戦後十年ですから、一つ明治維新くらいのつもりで経綸を行なっていただきたいということを希望を申し上げて、私の質問を終ります。
  35. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) わかりました。
  36. 千田正

    ○千田正君 私は途中から来ましたけれども、大体来年度予算外務省はどれだけ組んでおるか、農林省はどれだけ要求しているか。
  37. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) まあ大きな面で申し上げますと、送出人員が一万三千三百というような数字できたのでありますが、これでその増大に伴う経費として十七億九千万円、これはその移住者送出及び現地受入機関の整備といいますか、これは海外協会あるいは現地の世話をしている機関の整備で十二億、それから移住者の受け入れ助成といいますか、これは先ほど申しましたように、ある土地を買いますとだんだん土地が高くなってくると、これでは移住者の負担も非常に高くなるので、土地の造成費あたりを国家の方で見たらいいじゃないかということで二億四千万円、それから移住振興会社に対する増資が三十億、六十三億三千六百万円というような額で組んでおります。
  38. 千田正

    ○千田正君 農林省はどれだけです。
  39. 永野正二

    説明員永野正二君) 農林省におきます移住関係予算は、本年度、つまり三十二年度におきましては、移住者の募集、選考及び訓練を私の方で担当いたしております。その関係と、現地におきます農業事情調査のための旅費、こういう関係で、三十二年度予算といたしましては千九百万円ばかしあるのでございますが、来年度におきましては、送出人員が増加をいたします関係で、ただいま申し上げました募集、選考、訓練の経費及び現地調査の経費、これに伴う本省の事務費というもので、三十三年度におきましては三千九百三十五万三千円を要求をいたしております。そのほかに、訓練のために機械等を購入いたします経費を二百万円要求をいたしております。そのほかに、先ほど参事官から御説明を申し上げましたように、移住者に対します営農資金の供給を円滑にいたしますために、内地におきまして、たとえば土地を処分する、あるいは財産を処分するというようなケースが相当あるのでございますが、それに対する融資を農協系統資金を利用いたしまして、それに対して国及び県におきましてあるいは補助、あるいは損失補償というようなものをつけて融資を円滑にいたしたい、こう考えておりますので、そういう関係の、何と申しますか、援護のための、移住事業援助促進のための経費といたしまして千八百四十万円ばかし要求をいたしております。従いまして、統計をいたしますと五千九百七十五万三千円というものが、この関係の来年度要求に相なっております。
  40. 千田正

    ○千田正君 農林省数字は違いませんですか。昭和三十二年度予算は大体九千万円のはずだったのですがね。
  41. 永野正二

    説明員永野正二君) これは、先般移住関係の経費として御説明を申し上げました中に、本来の農業移住のほかに、北アメリカに対します派米農業労務者の訓練の経費、あるいはこの関係で、たとえば農村の青年をあらかじめいろんな関係で研修をする経費、そういう移住を取り巻くいろいろな施設の経費を全部累計をいたしましたのが、先般官房長が予算説明をいたしましたときの九千何百万円という経費でございます。私が今申し上げましたのは、プロパーの移住の経費であります。
  42. 千田正

    ○千田正君 これで農林省としては、大体どれだけの人間を現地派遣できるんですか。
  43. 永野正二

    説明員永野正二君) 三十三年度農業移民の送出人員は……。
  44. 千田正

    ○千田正君 いや、そうじゃありません。移民の数じゃなくて、農林省自体の海外移住に対しての調査、あるいはアフター・ケアの問題、その他に対して、どれだけの農林省のお役人が派遣できるかということです。
  45. 永野正二

    説明員永野正二君) 現地調査を主といたしまして、大体二人ずつ三班を繰り出す計画にいたしております。
  46. 千田正

    ○千田正君 先ほど瀬戸山次官が、どうも国策として取り上げたいんだが熱意がないというようなことをおっしゃっているが、これは僕は次官としてはミステークじゃないかと思う。吉田内閣以来、あなた方のいわゆる保守党内閣は、海外移住というものを主張してこられた。私は十年間予算委員会及び農林委員会委員としてこの問題と取っ組んできたのですが、いつの時代にも、吉田首相の時代にも、鳩山首相の場合においても、現内閣の岸首相の場合においても、日本の戦後におけるところの国内の人口増加と、郷土の狭隘を痛感した場合においては、どうしても海外に移住しなければならない。それが内閣の一つ政策として特に盛り上げてゆかなくちゃならない、こういうことを力説しておる。しかし、今のお話によると、まことに残念ながら、こんなことで一体日本海外移住政策ができるかどうか。  私はあえて伺いたいのですが、それならば、現在南米おい日本以外の国、今度の大戦におい日本と同じようないわゆる敗戦の痛苦を受けたドイツ、イタリアの移民が、どういうふうなシステムのもとに移民しているかということを調査されていると思いますが、外務省といたしましては、日本と比較して、ドイツ、イタリア等の移民は、少くともどういう制度のもとにやっているかということを一つ説明願いたい。
  47. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) ちょっと資料を持って来ておりませんから、あとでお届けいたします。
  48. 千田正

    ○千田正君 私はあえてここで申し上げたいのは、さっきも島村委員からこの点についてあなた方に聞いておったのですが、この前の海外移住法案を上提した場合におきましても、外務省農林省のいわゆるセクショナリズムのために日本海外移住政策というものは、常に暗礁に乗り上げている。どことどこが外務省の権限で、どことどこがいわゆる農業移民の担当すべき分野であるかという面で、あまりにあなた方がなわ張り主義を叫び過ぎる。実際に海外移民の重点というものはそれておるということを、私は考えるのです。私は海外をしょっちう旅行しておって特に痛感するのは、外務省の諸君はなるほど日本の外交政策の代表者として行っておる。しかし海外移住のようなものは、歴史というものを調査し、そうしてまたそこに移民された後のアフター・ケアの問題も考えなければならない。指導の面においても、あらゆる面において考えなければならない。そういう点は非常に私は、ドイツやあるいはイタリアの同じ敗戦国民が移住しておる今日の姿と、あまりかけ離れておる。たとえばアマゾンの流域にしましても、あるいはアンデス山脈の中においても、ドイツやイタリアの役人は、ジープをかって、そうして山また山、あるいは沼沢の地まで行って、そうしてあらゆる辛苦をなめて、自分の祖国の国民を移住するために懸命の努力を払っておる。私は、はなはだ失礼ながら、外務省はそれだけのことをやっているかと言いたい。ほんとうに日本の、敗戦後における日本の国民は、今後移住するという点から考えたならば、国内のセクショナリズムなどは、そんなものは弊履のごとく捨てて、盛り上る日本の国民の意欲というものをどういうふうに政治に反映するかということを考えたならば、もっと予算を盛って、もう少しかゆい所に手の届くようにして、そうして適地を十分に調査して、移住した後において、国際人としての、日本人の民族としての排他主義にわずらわされないような、そうした移民をするのが当然だと思うが、そういう教育を十分にしていないじゃないかと私は思うのであります。  たとえば、ブラジルならブラジルに移民したところの青年諸君のうち、いわゆる短期契約農民として行った諸君のうちにも七人か八人帰って来ているが、どういう所に行って、どういうために帰されたか、知っておりますか。向うは、契約して来たけれども、その青年はこのブラジルの組合ではどうも不適当である。なぜ不適当であるのか。日本から行った青年諸君は、労働が過重である、文化の施設はない、日本の国よりははるかに苦しい思いをして、しかも将来に自分たちの理想とするところの期待というものはわれわれは持ち得ない。そういうところから多少ぐれ出して、これはぐれ出した青年だから日本に帰す。もしもその引き受けるところが、十分に日本の青年諸君を引き受けるだけの態度をもって、そうしてそうした人たちに希望を持たせるということならば、こうした人たちも帰さぬで済むはずだ。そういう問題が次から次に現われているということは、私はもう少し真剣になってこの問題に取り組んでもらいたい。来年度予算にこれだけの予算をもって一万数千人を大体移住させるというが、これでは私は不足だと思います。  それで、私は重点的に考えて申し上げるのだが、海外の、日本以外の、ほかの移住を盛んにやっておるところのドイツやイタリア、あるいはスペイン、その他の国々と比較して、日本政策というものはどれだけの違いがあるかということをはっきりしていただきたいと思います。きょうは資料がないというからこれ以上つっ込みませんが、瀬戸山さんに私はお願いしますが、こんなことでは農業移民はできませんよ。二、三男対策ということは、ことにわれわれは叫ばなければならない。おそらく今日において開拓というものは頭打ちになってきている。あなた方が御承知通り、これ以上われわれは開拓の問題をここで云々するよりも、海外にどしどし出すことを考えなければならない。一億円にも足りないところの予算で、二人や三人の人間を海外にやって適地を探させても、それで国策が盛り上らないとか、国民が協力しないということが言えるか。農林省、しっかりして下さいよ。もう少し私は考えていただきたい。何かもっと強力な力をもってこれをやるという考えを持っておりませんか。
  49. 瀬戸山三男

    説明員瀬戸山三男君) 今、千田さんから言われたことは、全く私は同じ気持を持っているのです。ただ、先ほど申し上げたように、この予算を見て、一億足らずでということを、実は農林省内部でも、私もびっくりしたのですが、現状おいてはこのくらいしか消化できないそうであります。これはさっきもドイツの話、イタリアの話、その他ありましたが、そういう海外の諸外国の移民政策日本の移民政策を比較検討して、特に人種の問題、その他あると思いますが、私も詳細知りませんが、大いに検討しなければならないという考えを持っております。しかし、先ほど申し上げたように、現状ではまあ、ようやく昨年は現地調査たった一人で、そういうことでは問題にならない。今年は五人か六人という予算を編成いたしております。全く同感であります。  しかし、これは一挙に解決する問題でないと思います。日本人がどこに行っても喜ばれるという空気、平和主義と申しますか、日本人が愛されるという空気を作ることは、これは大きな外交政策だと思います。そういう各般の問題とよく取りまぜて推進すべき問題だと思っております。予算の小さいことは今仰せの通りであります。  それから先ほどのお話、私は今まで関係しておりませんけれども、たとえば昨年の移住会社の問題でも、農林省外務省が権限争いというか、それぞれ主張があると思いますが、非常にごてついたということも、私も知っております。私も昨年、これとは全然別な話でありますけれどもアメリカ日本人の行っている農場などを見て参りました。そういうことで、この大政策について相当ごたついているということを承知いたしております。しかし、今後私がおります間は、こういう大きな国策と申しますか、国の大問題について、役人の人たちが所管争いなどするということは、一切私の目の前では許さないという考えと自信を持っておりますから、どうぞ御協力をお願いしたいと思います。
  50. 千田正

    ○千田正君 それで、技術的な問題でありますが、たとえば一応海外に移住すると決定した場合におきまして、国内において一応の訓練をする。しかし、最近の状況を見るというと、乗船するわずか二、三カ月前に、ちょっと二、三週間訓練をして、さあ出て行けでは、向うに行っても向うの様子も十分わからず、どうしたらいいかわからない。わずか二、三週間の訓練で、向うに行って向うの国情にとけ合えといっても、これは無理です。国内におけるそうした希望者に対する訓練というものに対しての費用は、農林省が負担するのか、それとも外務省が負担するのか、どちらなのですか。
  51. 永野正二

    説明員永野正二君) 移住ということが一応決定をいたしてからあと、ただいま御指摘のように、現地事情等について短期の訓練が行われるわけでございます。農林省といたしましては、適格の移住者送出するということは非常に重大であると思いますので、ふだんから、たとえば農村青年の研修会等の機会に、移住の希望者というものを事前にいろいろ調査をするように心がけているわけでございます。そういたしまして、具体的にどの地域に何名の者が出られるということになりますると、その募集、選考及び内地の出港までの訓練というものは、農林省がその事業の監督を担当して、農林省の施設を利用いたしまして、いろいろ農業の訓練をするというふうにいたしているわけでございます。
  52. 千田正

    ○千田正君 もう一つの悩みは、一家をあげて移住する。その場合、自分の所有の土地を知人なり、あるいはその他に売却する。ところが、足もとを見て、あれは農林省の応援でブラジルならブラジルに行くのだからといって、その人が一つの目標にされて買い叩かれて、二束三文に買い取られ、船賃にもならない状況です。そこに税務署はさらに、売ったならば税金をかけるぞと言ってくる。こんな国策では、あなた方が幾ら海外に行けとか、われわれも行ってくれと言っても、行けないじゃないですか。そういうものに対する何か一つの、海外に行く者に対して奨励をして、そういう自分の所有地を売り払って行く者に対しては、何らかの恩典を考えていかなければ、喜んで海外に出て行きませんよ。そういう点については、何か考えておる点がありますか。
  53. 永野正二

    説明員永野正二君) ただいまの御指摘になりました点が、実は私どもといたしましても非常に従来悩んでおった点でございます。ことに最近の移住の場合には現地の土地代、あるいはいろいろな機械設備、農機具とか、その他非常に初期の営農資金が相当必要でございますので、そういう営農資金を確保するという意味から、またその場合に内地の農地、あるいは家屋、あるいは財産というものを急いで処分をすると、ただいま御指摘のようなことになりますので、内地に残ります者がこれを処分をいたしまして、その処分をする場合の資金等につきましても、先ほど申し上げましたように、援護基金的な一つの基金から融資をするというような制度をこさえまして、初期の営農資金移住者が持って行きますために必要ないろいろな施策を行いたいというのが、この来年度予算要求いたしております移住の援護促進のための補助金を考えておるわけでございます。これはなお財政当局にもいろいろの説明をいたして、要求を今いたしております段階でございますが、こういう制度がだんだんと軌道に乗りますれば、ただいま御指摘のような観点が若干ずつ解決をされていくのではないかと、こう考えております。また税金の点につきましても、今まで御指摘がございましたような事例があるようでございます。これにつきましては、大蔵省方面にも話をいたしまして、ある程度善処されるという見通しも実は持っておるわけでございます。
  54. 千田正

    ○千田正君 それでは、永野局長のお考えは、自作農創設資金のような、たとえば自分が金がない、売って行きたいのだけれども買い叩かれて予定の金額にならないというような者に対しては、何か公庫等のようなもので立てかえて一応払って立たせてやる、そういうようなあれでもあるのですか。
  55. 永野正二

    説明員永野正二君) 自作農維持資金の融資ということももう一つ考えておるのでございますが、これは資金のワクにも限度がございます。また借り得られる資格にもある程度の限度がございますので、全部の移住者がこれの制度の恩典に浴するというわけにはいかないと思いますので、これにつけ加えまして、今申し上げましたように、残りました者が農地その他を買い取りまして、その買い取る資金を、先ほど申し上げましたような援護基金というような制度でもって融資をしていくということを考えたいということでございます。
  56. 千田正

    ○千田正君 外務省の方にお伺いいたしますが、移住した後におけるアフター・ケアの問題ですね、これは出先のあなた方の方の関係は十分見ているのですか。たとえば、私は今までの状況を見るというと、海外移住協会であるとか、あるいは会社等に一応まかせて、行ったあとはその連中の責任で一つあとを見てやれというような、やりっ放しの点があるのではないかと私は考えるのですが、その点はどうなんです。
  57. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 移住したあとのいろいろな面倒は、もちろん出先の方でも十分に注意をして、お世話をしておると思っております。あるいは不十分な点もあるかと思いますが、やっていると思います。それから直接世話に当っておりますのは、海外協会連合会の支部というようなものを作りまして、これに補助金を流して面倒を見ておるわけであります。そして行きました人たちが何とかそこに定着できるように指導をすると同時に、共同施設その他については補助金を出してございます。それから会社の方につきましても、何らか資金援助ができるように措置を講じておる次第であります。それからただいまお話しになりました、こちらから出かける場合の営農資金の問題についても、とにかく会社の方も何か措置ができるかどうか、いろいろ財政当局のお考えもあることと思いますが、何らかの方法で実現するように努力をいたしておる次第でございます。
  58. 千田正

    ○千田正君 それは非常にけっこうな話ですが、実際はそうではないのじゃないですか。たとえば、さっき私が申し上げました青年の短期契約移住農民というものは、四年働いて、そして一応金をためたならば、適当な土地をお前たちに与えるから来いと言われて、行っておるでしょう。ところが、実際を見ると、もうわずかに小づかいにもならない賃金しか手に入らない。そして四年働いても、おそらくそこに定着できないような状況じゃないですか。私はそう思います。
  59. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) コチアの方ですか。
  60. 千田正

    ○千田正君 コチアの方です。  では、続いてお伺いいたしますが、たとえば今の日本の青年は、終戦後非常にわれわれの時代とは変っておる。民主主義の世の中になって、そして労働時間もある一定の時間しか働かない。農村は労働者と違って、八時間きっちりというわけにいかないけれども、朝の六時から起きて晩の十時まで働く。そういうことであっても、一応一週間に一回とか、そういう休日などをある程度要求しております、農村の青年諸君は。ところが、今のコチアのあすこあたりは、雨が降ったときでなければ休ませないのです。年中朝から晩まで働いて、そしてもらう賃金は、日本の国内でもらう賃金よりはるかに低いという状況で、それが四年たったらこちらへ帰るということができるかどうか。そういうことをほんとうに調査して、青年諸君に海外移住の意欲を持たせるというところまで、かゆい所まで手が届いておるかということを聞いておる。そういうことをやらなければ、幾らあなた方、口でうまいことを言っても、だめですよ。
  61. 永野正二

    説明員永野正二君) ただいま私の耳にいたしておりますのは、千田委員の御指摘のように、どうも古く日本から行きました人と、最近の日本の青年の、何と申しますか、時代感覚の相違と申しますか、そういう点がございまして、現地の受け入れる側では、どうも日本の今度来た青年はどうかというような不満があり、こちらから行きました青年には、どうも最近の日本の何と申しますか、非常に民主化された世の中の形からいえば、向うが少しひど過ぎるというような、食い違いがございまして、そこであの大ぜい行きました者の一部にそういう問題があったように聞いております。私どももこの点は、選考、訓練の過程に、現地事情を行く人には十分徹底させ、ほんとうに何と申しますか、勤労精神に徹している人を選考し、十分訓練する必要があると思うのでございます。今後も、こういう点は非常に重要な問題でございますので、私どもとしては出先におります、あちらに受入機関がございますので、そこらと連絡を十分とりまして、現地事情を十分調査し、またこちらから送り出す人については、それらの条件について徹底した認識を与え、出先に行って出先の条件にほんとうに合う仕事ができるような人を、選考、訓練の過程において十分選び出すということについて、従来やや手抜かりがあったような点もございますので、十分反省をいたしまして、努力をいたしたい、こう考えております。
  62. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) ただいま永野局長が御答弁されましたように、いろいろ感情上のもつれと申しますか、内地の方が変っておるのに、向うの方が昔お出でになった方で、いろいろ感情上で違いがあると考えますが、これまた受け入れる方の側においても使い方その他が違っております。その間に、いろいろのことが起ってきたのではないかと思います。それですから、個々の農家に配属されますから、画一的に取り扱うということは望めないわけでありまして、農家々々によっていろいろ扱い方も違いますと思います。違うのでああいう不幸な事件が起ったのでありますが、目下のところといたしましては、そのほかの若い青年諸君は非常に落ち着いて働らいておるようでありまして、組合と交渉いたしまして何か計画を立てておるようでございます。いろいろ、ただいま局長の御指摘になりましたような点で、大いにわれわれも反省しなければならぬ点があるかもしれませんが、できるだけ善処いたしたいと思います。
  63. 千田正

    ○千田正君 最後に一点だけ申し上げておきますが、そういうような問題が起るのですから、単なる移住協会であるとか、移住会社のみにまかせてやらずに、外務省農林省も、みなそういうところを監督して、そうして最後の最後に行きつくところまで見てやらなければいかぬということと、政府自体がブラジルなり、アルゼンチンなり、チリーなりと契約して、何万町歩なら何万町歩ということで買いつけて、それに対して直接あなたの所で指導していくというような、今の青年諸君をそのまま移住さして、そこに新しい日本移住村を建設するという気持はありませんか。そうしない限りは、今の契約移民であるとか、向うの農家の受け入れ態勢がどうだとかいうようなことを苦慮しながら送るということだから、いい結果になっておらない。ドイツやあるいはほかの国みたいに、何万町歩と買って、そこに日本の移民を入れて、日本政府が指導して、そうして向うの政府協力して、その国の国民にしてやるというところまで考えてやらなければ、ほんとうの移民政策は徹底しないと思いますが、その点は考えられませんか。
  64. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 国によりましていろいろ事情がございます。たとえばアルゼンチンにいたしますというと、あそこで土地を買いましたのですが、一つのまとまった所では八十家族以上集まってはいかぬというような所もございますし、その他いろいろ国によって事情も違うようであります。まとまって入ります所は、できるだけ政府の方でも、私どもの方でも協力をいたしまして、お世話をするというつもりでおります。
  65. 千田正

    ○千田正君 どうか一つ慎重に、日本の国策として考えなければいかぬことです。
  66. 粕谷孝夫

    説明員粕谷孝夫君) 最後に、われわれも農林省その他関係のところと十分に協力して、なわ張り争いということはいたしませんで、御協力をお願いしておきたいと思います。
  67. 戸叶武

    戸叶武君 簡単に質問します。あとで速記をやめて質問しようと思いますが、最初に、とにかくこの移民問題に対しては、一番最初選考と訓練の過程が大切だという答弁もありましたけれども、これが一番おろそかにされているのではないかと思うのであります。予算関係だけを文句言うのじゃないのですが、農林省のこのくらいの予算で一体何ができるかということを、農林省自身に問いたいのです。できっこないのです。それは予算的な制約を受けているからというのは、弁解にはなるけれども、これではできないと思う。そういう選考と訓練をしっかりやって、そうして勤労精神に徹した者を派遣するようにするというようなことに関して、農林省としては万端の準備ができているのですか、そういうことをお聞きしたい。
  68. 永野正二

    説明員永野正二君) この点は非常に好意的なおしかりと思いまするので、ただいまのお話をよく今後生かしていくように努めたいと思うのでございますが、農林省のただいま移住関係の訓練に使っております施設は、これは実は相当古くからの施設でございます。戦前あるいは戦争中も、いろいろほかの目的に使用いたしておりました農業の訓練施設が残っておるわけであります。それらの訓練施設を活用いたしまして、また農林省あるいは各県等の訓練の経験のある人たちというものも、できるだけ活用いたしまして、やっておりますので、実はこの程度の経費で、われわれといたしましても不自由を感じておりますけれども、できるだけのことをいたしておる考えでございます。ただいま御注意もございますので、今後もこういう訓練の施設の充実なり、あるいは人員の充実なり、あるいはその他諸般の経費等も逐次充実をいたしますように、努力をいたしたいと考えておりますので、一つ協力をお願いいたしたいと思うのでございます。
  69. 戸叶武

    戸叶武君 さっき千田君も指摘しましたが、戦後において移民を一番組織的にやっているのはイタリアですけれどもイタリアに対する外務省その他の研究は、もう行き届いていると思うのですが、最近の資料、特にイタリアを中心として、その他の移民の盛んな国々における資料毛検討してもらいたい。それは移民に対するところのいろいろな資金の裏づけというのは、日本と違って十分にされているので、日本のようなこういう裸移民の形式というか、もう少し考えなければならぬと思うので、それをお願いしたい。  次に、私は速記をとめて伺いたい。
  70. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  71. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  本問題はこの程度にいたしまして、これにて暫時休憩いたします。午後は二時から開会いたします。    午後零時四十八分休憩    —————・—————    午後二時三十六分開会
  72. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、午前に引き続き、委員会を再開いたします。  韓国ノリの件を議題といたします。
  73. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、三十二年度の朝鮮ノリの輸入についていろいろ問題が出てきちゃっているようですが、その詳細の御説明を願いたい。
  74. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 韓国ノリの輸入につきましては、本年度は一億枚を入れよう、それで通関期限は九月三十日まで、それでこれは生産者の関係その他がございますので、需給調整協議会の意見を尊重して取り扱うことにしたいという大体の方針をきめて、輸入の外貨割当は輸入業者にやったわけでございます。ところが、韓国側と日本の輸入業者側とが交渉を開始いたしましたのですが、日本側の輸入業者は、相手が韓国側が売手一本の態勢でおりますので、日本側としても態勢を一本にしてこれに当るということになりまして、輸入業者間で協定を結びまして、交渉に一本の態勢で当ったわけでございます。ところが値段の点につきまして非常に両者間の話し合いが開いておりまして、なかなか思うように進捗いたしませんでした。韓国側は八十セントという値を固執して、なかなか譲歩の色を見せておらず、これに対して日本側も、内地の需給状況その他の見込みから、本年度はそう高くは買えないということで、最初四十セントというところから始まりましたのですが、一向両者歩み寄りを見せずに、ずっと推移して参ったわけでございます。  それで、通産省といたしましては、韓国ノリは別にそう必需物資というほどのものでもございませんので、是が非でも輸入しなければならぬというほどには考えておりませんが、せっかく一億枚くらい入れるということで各方面に了解をいただいたわけですので、できれば無理なく入れることが望ましいとは考えておりましたが、両者の交渉を見守っておった次第でございます。ことに両方の話がまとまりませんポイントが値段にございますので、役所といたしましては、あまり立ち入った値段の話し合いをつけるということまでやるのはいかがかと思われますので、その点は差し控えて、ただ、なるたけ早く両方が円満に話がつくことを願って、日本側の業者にも、役所へ来たような場合にはそういう態度で接して、なるべく話がつくようにという程度のことしか言っておらなかったわけでございます。ところが、肝心の九月三十日の通関期限が参りましても、どうも両方の話が全然歩み寄りを見せずに、決裂状態で終ったわけでございます。しかし私どもといたしましては、当初の方針は、内地の生産業者の立場も考えまして、九月三十日という通関期限を切っておったわけでございますので、そう機械的に考えなくても、生産業者の方で若干ずれてもよいというような了解が得られるならば、またその間日韓両方で円満に話がつくならば、通関期限の若干の延長はしても仕方がないんじゃないかという気持で、なるべく話が早くつくようにということで、日本の業者にはそういうことを暗示したような形でおったわけでございます。  しかし、やはり日がたちましても、両方の開きが一向狭まりません。そこで、だんだん内地のノリの生産期にも迫りますので、ここで何らか役所としても、今回のノリの輸入は打ち切るかどうかということをきめなければならない時期に差し迫って参ったわけでございます。そこで通産省としましては、農林省、水産庁方面ともいろいろ御連絡いたしまして、ある程度話し合いがつくかどうか、最後の交渉をさせて、その結果を見て、もうだめならだめというふうにきめるように取り計らいたいと思います。ちょうど韓国代表部の方からも、なるべくなら話が円満につくように取り計らってもらいたいというような希望の申し出もございました。そこで、私どもとしまして、日韓両方の業者を呼びまして、早急に話がつくかどうか、一つの考えとしては、値段について、たとえばこれは役所の単なるサゼスションでありまして、強制するものではないけれど4、たとえば両方の間をとって六十セントというような値段について、両方で話し合ってみたらどうだろうか。それからまた出荷の時期については、日本内地のノリの生産時期になっているので、これをそのまますぐ通関する、しかも、そのまま無条件で内地に流すということでは、生産者が非常に心配であろうから、そこのところは条件をつけて、内地の生産業者に納得してもらえるようなやり方で、たとえば枚数についても限定をするとか、出荷についても時期を区別してこま切れでやるとか、何かそういうような条件をつけてやったらどうか。それらについては水産庁の指示を受けるというような形で話し合うことができるかどうか。それの結果を見て、役所としては最後の腹をきめたいということを言ったわけでございます。ところが、それで両者が話し合いを進めておるようでございますが、一方生産者の代表の方の話では、生産時期に入ったので、自分たちとしては入れてほしくないのだ、入れることについては反対だというような意向もかわされました。  需給調整協議会の意向を尊重して役所としては処置したいと、このように考えておったわけでありますが、需給調整協議会は、御承知通り、生産者、輸入業者、問屋と三方面入っておりますので、この話が結局において、生産者の方で入れるのは困るということであれば、つかないことになるわけでありますが、輸入業者、問屋の方がなるべくなら入れたい、生産者としてはもう時期も迫っておるから入れたくないというのは当りまえのことだと思いますので、需給調整協議会の意向を尊重するということ、それから当初一億枚は入れるということ、それらを総合的に考えまして、枚数の、九月末までにかりにうまく話が済んで一億枚入ったとしても、十一月には配給上若干枚数が残ったかもしれないということも考えられますので、無理のない程度で生産者にも納得してもらえるような枚数をさしあたり流す、その他はずっと先に延ばすということで生産者の了解が得られるなら、そういう運びにし、もしどうしてもだめというなら、残念ながら打ち切りにするより仕方がない。先ほど申しましたように、ぜがひでも入れなければならぬというようなほどの緊要物資とも考えられませんので、そういう運びにしたいということで、今のところは水産庁とも御相談しまして、生産者の意向も、そういう条件でなお絶対だめかどうかということ、それから韓国側とそういうことで話し合いがつくかどうかということの推移を見守っているという状態でございます。ただ、私どもとしましては、できるだけ早くいずれか話がつかないと、工合悪いと考えております。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 六十セントは話し合いがついたのですか、価格の点は。
  76. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) まだついたという報告は聞いておりませんが、話し合いを続けられておるというように聞いております。
  77. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、非常に御説明が簡単だと思う。結局すれば、この問題がこの委員会で取り上げられたのは、ずいぶん早い前だ。この委員会が、三億枚の輸入要求に対して一億枚を限度として、輸入期限は九月三十日、条件づきで、ここの決議はそういうふうになっておると思うのですが、水産庁長官、そうでなかったですか。
  78. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 水産庁といたしましては、韓国ノリの輸入に関しましては、かねてから国会でお申し入れをいただいておりまする趣旨もありまして、その通りに善処いたして参りたいと、かように考えております。すなわち、年間の輸入量は一億枚で押える、またこれが輸入の取扱いにつきましては、需給調整協議会の意見を尊重する、こういう態度でいるのでございます。また、その輸入の時期につきましても、昨年でございましたか、九月三十日の期限を若干ずれて輸入いたしましたことについて、特別な、通商局長から国会に対する御連絡もあったかと思うのでありまして、ごく短期のズレは、これは技術的な理由に基きますのはやむを得ないかと考えるのでありますが、相当生産期に入ってのズレにつきましては、われわれとしても国会の御意見に即応するゆえんではないのではないか、かように判断をいたしておるのでございます。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、そういうような時期がおくれれば非常に困ることがわかって、ある期限内にこれをきめなければならぬというのに、何かいろいろ最近、これは怪文書と見るかどうかわかりませんが、相当責任のある団体からの陳情書というのですか、何かいろいろの情報が入っているのを、いろいろ総合してみますと、三月三十日には経済閣僚会議おいて三百万束二千四百万ドルの外貨の割当がきまった。それが、輸入の交渉はずっとおくれて、七月二十六日になっておる。それに、そういうふうになっておるにもかかわらず、実際の外貨の割当は八月二十一日。通関が九月末になるにもかかわらず、期限一カ月前にようやく判断を見た、こうなっております。これでは何もできていないことはわかっているが、そういう措置をどうして通産省はとっているのか、その理由をはっきりと一つ聞かしていただきたい。問題は、何かこういうごたごたがあるんじゃないかと思う。これはうそなんですか、こういう文書が出ておりますが。韓国ノリ輸入達成促進会。それと同時に、ここへ来ておりますのは韓国ノリ輸入加工協会、こういうようなものがやはり責任をもって署名して出しているのですが、そう違いはないだろうと思う。どういうわけでこういうちぐはぐなものになって出ているのか。実際できないことじゃないですか。
  80. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 輸入発表は七月二十六日に行われたのでありまして、外貨の割当証明書の交付は八月二十一日に行われております。それで、上期の割当としてはかなりおそくやられたようなふうに見えますけれども、御案内の通り、今回の輸入につきましては、日本側の買付態勢を一本にするということに話がございまして、それらの準備をやり、韓国ノリにつきましての輸入取引についての協定が七月二十二日に認可になりました、というようなわけで、それらの準備を待って輸入発表をし、外貨の割当をしたわけで、別に特に何もおくらせなければならなかったような事情もございませんし、私どもとしましても、特に何か目的があってこれをおくらせたというようなことはなく、最善の努力をいたしてやって参ったつもりでございます。
  81. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあ、これはいくら言ってもしようがないのですから、あとから聞きますが、大体現在保税倉庫へも輸入して入っているのが、数千万だかあるというのですが、それはどういう量が入っているのですか。横浜の保税倉庫に、まだ通関の手続ができないで入っているものがある。
  82. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 韓国は大体一億枚全部持ってきて、保税倉庫に入れて、通関ができる時期を待っているというような状態にあると聞いております。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはこちらが入れたのではなく、韓国が持ってきて入れて待っている。そうなりましたものを、ここで輸入許可しないで、持って帰っていくのだったら、大体どうなりますか。
  84. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 私たちは、許可がございませんと、韓国側としては、そういうものはいたむ関係もありますので、向うの判断ですけれども、このまま持って帰るか、それから、あるいは日本の生産期が済んでまた入れてもらいやすくなる条件を待つか、あるいはそれまで、非常に金融の問題その他もあると思いますけれども、それらはがまんするとしても、置いておくというなら置いておくかと思います。どちらかですが、仕方がないかと考えております。
  85. 千田正

    ○千田正君 私は、通産省と農林省に一言言いたいのは、この問題については、第二十六国会の当委員会おいて、韓国ノリの輸入に関しては、その輸入期限を九月三十日までとする、そうしてそれまでにできなくて何か問題が起きた場合には、改めて当委員会で協議する、ということを話し合ったはずであります。しこうして、それを通産大臣並びに農林大臣、水産庁長官あて当委員会から一応申し入れてあった。私はさように記憶しておりまするが、これは間違いじゃないと私は思っておりますが、今日になって、九月三十日を過ぎてもさらに一カ月、今もってこの問題については結論が出ておらない。一体こういう状態でこのまま放置するということは、国内においては生産者の立場は守れないし、また外に対しましては、今後の日韓問題というような問題を控えている。一体通産省としてはどういうお考えでおられるのか、はっきりしていただきたいと思います。
  86. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) ただいまお話のございましたように、国会で韓国ノリの輸入について非常に御関心をお持ちになって、お申し入れがあったことは承わっております。従いまして、私どももそれを尊重いたしまして取り計らうように努めて参ったつもりでございます。ただ、通関期限が九月末日までということになっておりますが、それで機械的に切ってしまわなければならないか、あるいは結局それは生産業者の保護のためということですから、それについて生産業者が納得していただけるようなある程度の緩和ぐらいは望めるかどうかという点で、今のところ水産庁にもお願いしまして、その点を確かめていただいているわけでございます。もし、私どもといたしましては、それが非常にむずかしければ、早急に本年度は輸入をしないということに打ち切るようにしたいと思っている次第でございます。  当委員会に対する報告でございますけれども事務的な取扱いの検討が済みましたところで、ただいま申しましたようなふうな状態ではいけないので、もう少しきっぱりきめたようなところで、本年度はこういう条件でいいのであるとか、あるいはいけないとか、いうことをある程度固めました上で、御連絡をいたしたい、そういうように考えておった次第でございます。
  87. 千田正

    ○千田正君 ただいまの次長のお話では、めどがついてからという、まことにのんびりしたお話なのですが、実際生産者の側から申しますと、もう十一月になるというと、そろそろ製品が出てくる。こういう実際の問題が起きるから、当委員会としましては、四月から九月三十日まで六カ月の相当長い期間のうちに、こういう問題を解決するように、指導をするように、十分に申し入れてあるはずである。今のお話だと、あと一カ月やそこら延ばしたって何でもないのじゃないかという通産省の方のお考えのようでありますが、どうもそれは私どもはふに落ちない。水産庁長官にお尋ねするが、長官としましては、現段階において国内のノリ業者がもう一カ月も延ばしても差しつかえないのか、あるいは絶対延ばしていけない、こうした状況に差し迫っているのか。従来の水産行政の立場から、あなたはどうお考えになっておりますか。一応所信を述べていただきたいと思います。
  88. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) ノリ養殖業が、非常に窮迫しておりまする沿岸漁村の中におきまして、わずかに生産も伸び明るい様相を呈している。しかしながら、ノリの生産者の販売いたしまする価格と小売価格との間の比率の計数を辿ってみますると、生産者の販売価格の占める割合は漸次低下をしている状況にあるのでございまして、これはノリの生産の増強のみならず、ノリの流通面において生産者の共同販売の推進等、いろいろ考慮しなければならない対策がまだ不十分だと、かように考えている次第でございます。そこで、水産庁といたしましては、あくまでも需給調整協議会において一致した意見を出させて、国会の御意思のように、その意見を尊重してこれを取り扱うということであるべきかと思うのであります。しかし、一方におきまして、昨年あたり、ただいま申し上げましたように、技術的な理由による若干の生産期に入っての輸入は、特別な連絡で御承認いただいたようでありますが、すでに相当生産期に入って参っておるのでございまして、従いまして、需給調整協議会におきまする結論も大体の方角は承知をいたしておるのでありますが、まだこういうふうに全体のまとまったものが出てきておらないのであります。従って、この時点においてこの問題についての見切りをはっきりつけて踏み切らなければならないのではないかと、かように考えておる次第であります。
  89. 青山正一

    ○青山正一君 通商局の次長にお伺いしたいと思いますが、この第二十六国会ですか、その初めの委員会にあなたおいでになったのですね。あれは二十五回ですか、おいでになったのは。
  90. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 私は三カ月ほど前に現職につきましたので、それまでこの問題には全然タッチしておりません。
  91. 青山正一

    ○青山正一君 この問題は、次長さんはまあ非常におとなしく、この問題におなれになっておらないだろうと思いますが、相当毎国会において非常に大きな問題になっておるわけなんです。たとえば昨年の五月十日、石橋湛山とか、あるいは農林大臣あたりに、いろいろ当委員会として決議を持って行った、あるいはそれに対する答えがあった。それに対して、また当委員会ではこうあるべきだというふうなものを持って行った。それに対して、また通産大臣なり農林大臣から答えがあったわけなんですが、その間の事情をよく御存じになっておられるのですか、どうですか、その点をお伺いしたい。
  92. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 事務引き継ぎを受けますとき、前次長から大体の話は伺っております。
  93. 青山正一

    ○青山正一君 こういうふうな問題は、何か事務承諾で簡単にできるものと、こういうふうにお考えになっておったのですかどうですか、その点をお伺いしたいと思います。
  94. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 普通の物資の輸入につきましても、利害関係がいろいろ錯綜しておりますので、どういう数量を輸入するか、どういう方法で輸入の割当をするかということは、それぞれの物資、それぞれになかなかむずかしい問題があるのでございますが、ノリにつきましては、特に日本の零細な水産業者との関係、それから特に相手国が韓国である、韓国と日本との間ではいろいろな問題があるという事情で、ほかの物資以上にいろいろむずかしい問題がこれには考えなければならない点が多々ある。そこで国会方面でも特にこの問題については関心がおありで、いろいろ今までも政府に申し入れなり、あるいは委員会でやり取りがあったということを聞いておりますので、私どもの方としましては、できるだけそういう経緯なりあるいは問題の響きなどを考えまして、各方面完全に満足ということはむずかしいかもしれませんけれども、できるだけ無理のない形で処理をつけたいというふうに考えておったわけでございます。従いまして、今から私たちのやったことを顧みますと、たとえば九月三十日になったときにもうおしまいというふうに手を引いてしまえば、われわれとしては事務的に楽だったのじゃないかと考えられますが、しかし、当時としては一応方針がきまっておったので、その通りやればこれでおしまいだけれども、一応九月三十日期限ということになっておったその精神を生かして、もしそれで精神の上で同じような結果がわれわれのもう少しの努力で得られるならば、無理なく解決するという趣旨にも沿えるのじゃないか、最後の努力をしてみるのがわれわれの義務ではないかというふうに考えまして、水産庁とも御連絡し、これで無理でないかどうかということで確めつつある。しかし、それがなかなか問題がむつかしいだけに、きっぱりと問題が出ないで今日に至って、もう時期的にはおそきに過ぎるのではないかという心配を、われわれ自身もしておるというような状況でございます。
  95. 青山正一

    ○青山正一君 価格の問題でおそらくこういうふうに時期が延びたんだろうと思いますが、そういう点から考えてみまして、この問題がこういうふうに時期がおくれたという原因を探りを入れますと、これは韓国側に責任があるとお思いになりますか、それとも日本側に責任があるとお考えになりますか、その点をお伺いしたいと思います。というのは、問屋の中にもまたいろいろ、あれやこれやと価格の上においてももめておる。それから輸入業者の中に、一方においては何か伊藤忠というような方がおるし、それに反抗して中小企業的な輸入業者もおられる。その間にいろいろなかけ引きがある、そういうふうなことで時間のズレが来た、そういうことが一つの原因じゃないか、こういうふうにもまあ世上伝えられておる。それからもう一つは、今次長が三カ月前にお勤めになったということだから、おそらく毎回こうしていろいろ国会上の問題になっておるということもあまり承知せずに、そのために一応のんきにかまえておった。需給調整協議会はああして、輸入業者なり、問屋なり、あるいは生産者全部が集まって、何かをなさる段階になれば、ここで何か運営ができるんだという建前なんですが、通産省はあるいは責任を水産庁に預けさす、水産庁も、国会が騒ぎ出すと大きな問題になるから、なるべくいじらずに通産省にあれしよう。そういうふうにお互いに協力しないところから、そういうふうな問題が出ておる。こういうふうに時期を失した。こういうふうにも思えますが、そういう点があったかどうか、そういうふうな点をお伺いしたいと思います。
  96. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 非常に話がきまるのがおくれました主たる原因は、私は、今お話しのように、価格の点にあったのではないかと考えております。ただ、私どもとしましては、商取引のことでございますので、どちらの価格の見方に無理があったかということについては、正直に申しまして、あまり自信がございません。ただ、言えますことは、商法の上では、買手と売手ということで立場が違うのは当然のことでありますので、何らか両方で歩み寄りをするより以外に道はないのではないかと考えたわけでございますが、しからば、それが今後の日本のノリの需給関係、相場関係から見て、幾らぐらいがいいんだというようなことを、正直に言って、役所があまり立ち入ったことをすべきではないんじゃないかという考えで、なるべく早く話がつくように、両方で譲歩してほしいということを抽象的に言って、見守っておったというのが実情でございます。その間、水産庁とも十分連絡をしておったわけでございますが、一応両省とも、需給調整協議会の意見を尊重して、事を運びたいという点では、もとより同じ考えでおるわけでありまして、需給調整協議会が構成上、生産、問屋、輸入業者という複雑な構成になっておりますので、なかなか意見がまとまりにくいということがありまして、延び延びになっているというのが実情ではないかと考えております。
  97. 青山正一

    ○青山正一君 この需給調整協議会はそういった三者がメンバーとなって、そうしてやっておる。それから需給調整協議会ではっきり結論を、もしかりに近日中にその結論が生まれてくるかどうか。たとえば農林省とそれから通産省とがまあ協力一致し合って、需給調整協議会の中にやはり生産者の代表者というものが入り込んでおるわけですが、そういうふうなところへはっきり督促して、そうして生産者の納得する方法で、これを調整協議会がはっきり結論を現在の段階において出さすことができるかどうか、その点を一つ承わりたいと思います。そうして、それならば、これは国会の方でまたいろいろな関係で、もちろん文句言うところは文句言いますが、いろいろな日韓関係のこともあるからして、多少のことはいろいろ私自身も意見もありますが、そういうふうなことで韓国側に責任がない、あくまで日本側に責任があるのだ、もうすでに品物がこちらへ来ておるのだというようなことになりますと、非が日本側に問われると、こういうことになると非常に大きな問題ですが、たとえば生産者団体が、現在においてあなたなり、おるいは水産庁なりが中に入って、調整協議会というものをはっきり正式機関として、はっきりとした結論を出さすというようなその段階までいっておりますかどうか。もし二、三日の日をかすと、そういうふうなことができるかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  98. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 需給調整協議会として、生産者も問屋も輸入業者も一致した意見が出てほしいということで、今までもたびたびその態度がきまることを協議会の方には要望してきたわけでございまして、今日に至りましても、できるだけ早くその結果が出ることを私どもとしては望んでおるわけでございます。ただいまお尋ねがございましたように、ここ二、三日の間でその答えが出ると思うかどうかということでございますが、私としましては、若干の希望もまじえざるを得ないのですが、二、三日の間というよりは、一日、二日くらいの間でできるだけ話がまとまってほしい、またまとまっておらなければならぬと考えておるわけで、今の私の予想では、全然話がつかないということもないのじゃないだろうか、という程度に考えておるわけでございます。ただ、それが非常に先になるということですと、かりに話がつくことになりましても、輸入の手続上その他、あまり延ばすことはいかがかと思われますので、できれば二、三日の間に話をつけてほしい。そこまでで話をつけませんと、もう手おくれだと言わざるを得ないのじゃないかというように考えておるわけであります。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでですね、聞きまところによりますと、需給調整協議会、これが非常に幹部が横暴なのです。こういう声が相当出ておって、そのあとには非常に政治的な空気もあり、同時に、いろいろ妥当な線を出そうとしても、これがあらゆる手段を講じて、円滑なる価格の調整であるとか、あるいは輸入の手続等を阻害しておるというようなことを言われておるのですがね。これに対して水産庁も、通産省も、そういう事実はどういうふうにお考えになっておりますか。非常にこれは幹部が横暴なのである、そうして幹部だけの思惑が結局こういう線に到達さしたのだ、こういうことを一斉に言うておるのですがね。
  100. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 団体内部でいろいろな立場の業者がございまして、なかなか意見が一致しないで、もんでいるというような情報は、いろいろ聞いております。しかし、団体というものは大体ある程度そういうふうなものは仕方がないのだと思いますが、ただ、私どもとしましては、一応これは認可を受けた協定を実行しておるという関係もございますので、その協定によっての幹部のやり方が公正を欠くということがあってはなりませんので、その点についてはいつも注意して、団体幹部が役所へ報告なんかに来ました場合には、よくその決定に至る事情、それからまた私どものところへもいろいろ情報がございますので、それに対する異論があったような経過などについても、よくただしてみておるわけでございますが、私どもの感じましたところでは、特に団体の幹部が不公正な扱いをメンバーの業者に対しておるというようには、見受けられない次第でございます。
  101. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 需給調整協議会の会長以下の幹部、特に生産者のサイドから見たそれに対する批判というものは、私、不断に注意をして伺っておるのでございますが、あの団体の中に生産者の意見が反映していきまするルートにつきましては、私は不公正な点は全然ない、かように考えております。しかし、ただいま通産省からもお話がございましたように、何分にも利害がいろいろ錯綜いたしておるのでございまして、そこでその利害の一致についていろいろ紆余曲折があるのは、これはやむを得ない事態ではないかと、かように考えておる次第でございます。
  102. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでですね、わしらがまあしろうとで考えてみましても、価格がまあこの問題を紛糾させた中心の問題だと、こういう言われているんだ。その価格の点については、問屋側等におきましては、これを入札に付して一応市場妥当性のある価格をきめたらいいじゃないか。またそれに似寄ったような意見が出ております。そうやってある程度価格の上った品物が入ってくることは、生産者にも私は利益することであって1日本の生産者です。利益することであって、不当な安いものに圧迫される危険が除去されるので、問題ないと思います。そうしますと、不当に——不当という言葉は取り消しますが、約半値に近いものが、しかもそれが約四十セントとすると、これをレート四百円とこう見ても百六十円、百枚百六十円でしょう、四百円と見て。そうすると、いろいろなものがかかっても十枚二十円そこそこ、百枚二百円そこそこの品物が入ってくる。日本現物の品物は、百円もしている。これはちょっと値開きがあり過ぎると思うのですがね。そういうものを主張したのはだれなのですか、その三者のうちのだれが主張しておったのですか。
  103. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 直接韓国業者と値段の折衝をしておりましたのは需給調整協議会の中の輸入部会、つまり輸入業者の団体でございます。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 それについて、あなた方は何とかお考えになっておりましたか。
  105. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 値段の点につきましては、先ほど申し上げましたように、これは商業上の問題でございますので、役所としてはそれが高い安いということをあまり干渉すべきではないのではないかということで、推移を見守っておったわけです。ただ、なるべく話が円満につくようにという趣旨で、そういう両方で譲歩したらいいのじゃないかというような抽象的な意見は述べておりましたけれども、具体的に日本の買い値は幾らまででいいじゃないかとか何とかいうことは、言わないでおったわけでございます。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、その価格を強行するために、その輸入部会というものが、大体の需給調整協議会の主要幹部、そして輸入部会というものが中心になって、個々に割り当てられた外貨等を全部保管している、自分で持っている側のものは、手を出すなと、こういうような強い態度をもって、責任をもってその交渉に当っている。そしてそれがうまくいかないで、ここになって輸入がだめになって入らぬと、こういう事態を引き起しておるような問題が出ておるにもかかわらず、通産省はそれで価格にあまり関係するのはおかしいというようなことは、これはどうもおかしいと思うのですがね。これは水産庁にも言い得ると思うのだ。外貨統制をして、自由販売でない一つの統制体系をとっておる限りにおいては、こういう紛争が起きたら、これに対する妥当性を発見して、何らかの口添えをしてくれるのがほんとうじゃないか。しかも、それがいかぬからというので、三月三十日にもう閣議でも輸入がきまって、それが七月何日にようやくできたのだから、八月何日にしたのだ。それがまだ発見もできないで、…日前にようやく輸入許可をしたというようなばかげたことだったら、これは輸入業者に通産省がいじくり回されたという感じがする。こういう感じをもって、何か政治的な大きな魔の手が伸びているのだという見方を大部分がしておるのに対して、あなた方はどう考えますか。
  107. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 値段の交渉につきましては、売手、買手、いろいろかけ引きも普通やられるものでございまして、それがなかなかつかないからといって、役所があっせんの労をとるということは、なかなか時期の選び方がむずかしいのではないかと考えます。役所としましては、一応輸入業者が一本態勢で当るという態勢をとっておりますので、大体十月の中ごろまでその態勢の協定ができておりますので、その間はいろいろ業者のかけ引きもあろうかということで、あまり立ち入らずに、とにかく何とか話をつけろということにしておったわけです。しかし、いよいよそれがだめだということがわかりましたときに、事態を早く収拾する意味で、最初のころ申し上げましたように、両者八十セントと四十セントということなら、まん中の六十セントを中心に話し合いをしてみて、早く話し合いがつかなければ、いよいよ生産期に入るから、これは通産省としても輸入を認めることができないぞといって指導したわけでございます。その間、別に私どもに対して政治的なと申しますか、何か別の方の動きで、なるべく輸入をさせろとか、させまいとか、あるいは値をもっと下げるようにしろとか、上げるようにしたらよかろうというような話は、何もございません。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあその問題は、いずれ時期を見てもっと掘り下げて御質問もしたいと思いますが、水産庁の長官、それで、ここでこれが全部入ってくるとすれば、生産業者が非常な価格の圧迫といいますかを受けて、現在でもノリの値が上っておるにかかわらず、年年生産者のノリの価格は下げられておる、こういうような情勢なので、非常な圧迫が加わるから、これは生産業者としては反対であろうと思うが、だがしかし、国民全体の目から見れば、これくらいの数量は大体必要なのじゃないのですか。必要だといっても、必需品じゃないから、薬が来ないのとはちょっと違うと思う。が、今までの習慣として、日本人は、特に子供なんかが運動会等になれば持っていく、またノリの結びを持って山に川に遊ぶということで、これは日本人の一つの離すことのできない私はやはり嗜好品だと思う。ちょうど茶やコーヒーを飲むのと同じだと思うのです。人間に要らないからといって、酒を全部やめたら大したものだと思う。という工合に考えると、やはりこれくらいの数量は全体の方か見て、入り用じゃないですか。
  109. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 昭和三十一年のノリの生産は約十七億枚見当かと、かように考えております。そこで、一億枚のノリの輸入が水産食糧の需給調整上必要かということに相なりますれば、先ほども杉村次長から、必ずしも必需品ではないというお話がありましたように、私はしかく必需品ではないと考えております。  価格に対しまする影響につきましては、私はこれによるノリの価格の下落ということもさることながら、生産者の手取り価格の引き下げということにこれが影響をするということは、非常に警戒しなければならぬのではないか、かように考えておる次第でございます。
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 影響すると思うことに対して、何とか考えている点ありますか。
  111. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 従いまして、今当面しております問題につきましては、水産庁としては、あくまでも需給調整協議会の場において、生産者が納得できる結論を出してもらうということにより、その結論を尊重して善処いたして参りたい。なお、今後のノリの流通の問題に関しましては、漁業協同組合の共同販売事業というものもできる限り力を入れていくということによって、手取り価格を確保していくということに努めて参りたい、かように考えております。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、かりにあなたが言う通り、大体三十一年の国内生産が十七億枚というんでしょう。これを八千万で割りますと、一人約二十枚、これは微々たるものだと思いますがね。だから、最近のノリの価格というものは、まあ最高級食糧品になっている。今まで、われわれ子供の時分——普通の家庭における国民全般が、これを使用するなんというわけにはいかない貴重品になってきておる。そのことは別としましても、この中へ一億枚のものが入ってきても、現在の家庭においてこれを消費さしていくならば、私は生産価格に別に障害なしにこれを消費する方法はあると思う。それがはっきりしたら、生産者の方も納得さしていただけますか。しかも、そのことは同時に、ノリの消費率を高めて、ノリの将来における国内ノリの消費等が増大する、こういう一石二鳥の妙法があると思うのだが、そういう妙法があればかまわぬと思うんですが、それはどうなんですか。あればかまわぬですか。
  113. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) これがどのくらいな価格で話し合いがまとまるかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、現在の国内のノリの価格よりも価格水準の低いものが入ってくるということは、これは否定できない。そういたしますれば、確かに国内のノリのやがて生産されまする、今生産されつつありまするものの建値というものについて、何がしかのマイナスの影響があるということは、これは防ぎ得ないかと、かように思うのであります。そういう意味におきまして、あくまでも需給調整協議会の場において、生産者も納得できるようなこれが取扱い方法についての結論が望ましい、かように考えております。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 僕はこう思うんだ。結局すれば、大体六十セントでは調整がとれるというんだ、僕の聞いた情報では。これで妥協ができる。六十セントだと、四百円レートとしても二百四十円とすれば、いろいろな経費がかかっても三百三十円か三百五十円。一じよう四十円とすれば、四十円のものを六百万労働組合と農民組合の農協を通じて、今まで使わぬそうだ、これはノリなどは使わぬそうだ、これに一軒に一じょうづつ取ってくれと言ったって、これはさっとそれで品物は絶えてしまう。今聞きますると、これを全部入れるか、あと半分は来年に持ち越す……。来年また輸入がある。これは同じことで、悪転回するのだ。これは一ぺんさっとここで洗ってしまって……。それを今まで使わぬ人間が使うということになったら、これは国内ノリの消費率を高めていく。私は決して障害にならぬと思う。今の価格はもう労働者や農民の層などは使われぬ価格なんだ。使っておらないのだ。一千万束くらいは、これは一千万というと、農民、労働者全部に売ったって、一千万束くらい……。割に合う。一軒一じょうづつ、それに対してマージンをちゃんとつけて、これ以上に売っちゃならぬと言って、こちらに引き渡せば、私は引き受ける。もうけないで売る。そうすればぱっと絶えてしまう。こういうことを一つ提案してやってみちゃどうです。私は、ときによれば、責任を持ってやってもいい。
  115. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 輸入されました相当多量の韓国ノリを、全然たな上げをしまして、別個な配給ルートによって配給していくということは、これはおそらく、よほどの強力なる統制組織を持たない限りにおいては、非常に困難ではないかと、かように考えるのでございまして、従いまして、やはり輸入をするとすれば、これはあくまでも生産期をはずした時期において輸入をするという国会の御意思に即してやっていかなければならないのじゃないか、かように考えております。(清澤俊英君「それは考え方が違う」と述ぶ)
  116. 江田三郎

    江田三郎君 今の長官の答弁でいくと、この生産期を避けなきゃならぬ、こういう答弁をしておられるのだが、先ほどの答弁でいくと、必ずしもそうではなくて、需給調整協議会全部の意見が一致すればいいのだ。しかし現にノリの生産期に入ってですよ、生産者側がいいと言うはずはないわけです。で、もし通商局の方で言われるように、一両日のうちにもこの問題が解決するかもわからぬという。楽観に過ぎるかもわからぬけれども、そういうことを考えているということを考えられるのは、私はひがみかもしれませんけれども政府の方で、水産庁なり、通商局の方で、かりに生産者団体に圧力をかければ、こういうことはできると思うのです。圧力をかけない以上、そんなことはこれはできるものじゃないと思います。現にもう生産が始まっている。生産者団体としては、どこまでも反対だと言っている。そうしますというと、先ほど来の長官の答弁、あるいは通商局次長の答弁を聞いているというと、何だか割り切れない、あと味の妙なものを残しておられる。どっちにするのか、はっきりしてもらいたいと思うのですね。  だから、たとえば九月を過ぎた以上は外割は無効なんだ、こういう方針でいくのが一番きっぱりしているわけでしょう。ところが、そうでもない。で、一両日のうちに話がつけば、またつけなければならぬということでやっているとなると、これはいつまでたっても、期限が過ぎようと何であろうと、外割は有効だということになってしまう。しかし、私の聞いた情報が間違っているかもわからぬが、通商局は生産者団体に対して、期限を過ぎた外割をさらに有効にはしないのだということを言明されたというように私は聞いているので、その間に、先ほど青山君の方から伊藤忠とか、あるいは業者の中のいろいろな階層別とかというような、いろいろな意見が出ておりましたが、私たちもそういうことについていろいろ聞かされて、非常に不愉快な思いをするのであって、その点は一体もっときっぱりした答えをしてもらいたい。どちらがほんとうなのか。水産庁長官が言うような、もう時期ははずれたのだから、許さぬという今の方針がほんとうなのか、あるいは時期がはずれようと、何であろうと、この生産者団体あたりを圧力をかけてでも話し合ってまとめさせて、それでやろうというのがほんとうなのか、どちらかはっきりさせてもらいたい。
  117. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 昨年であったと記憶いたしておりますが、時期をはずれましたものの輸入につきまして、特に通商局長から当委員会にも連絡があって、輸入を御承認いただいたというふうなことがあったように記憶をいたしております。私は、将来のことでございますから、話がまとまらないで若干の時期がずれるということは、これは御了承をお願いしなければならない。程度によりますけれども、御了承をお願いしなければならぬ点もあるのではないか、かように考えております。そういう意味におきまして、需給調整協議会でせっかく今話し合いをしているようでございますので、その結論が一致したものが出てくるかどうかというのを待ちたい、かような考え方で、この問題を見守っている次第でございます。
  118. 江田三郎

    江田三郎君 まあそういうことが、何かちょっとぼけていますね。率直にいって、ちょっとぼけている。その点は非常に私も遺憾に思うのです。それで、大体こういう、超過利潤が非常に多過ぎる。ここに問題があるので、あなたの方は、先ほど流通面対策がおくれているのだ、流通面対策を軌道に乗せていかなければならぬ、生産者団体の共同販売運動もやっていかなければならぬと言われますけれども、そういう一方に、こういう超過利潤の非常に大きなものの存在を許しておいては、私はなかなかこれは軌道に乗るものではないと思う。もし、ほんとうにあなた方が流通対策の合理化をやろうというのならば、こういうところからほんとうは手をつけていかなければならぬ。  ところが、これは通産省に聞きますけれども、通産省でも、衆参両院の農林水産委員会要請に対して、あなたの方が四月十七日付で文書を出しておられる。それを見るというと、特定物資輸入臨時措置法が成立したら、この特定物資にノリを指定し、超過利潤を国で吸い上げて、国内ノリ業者に影響しないようにしたいというようなことを書いておられる。しかし、これでもほんとうにやる気があれば、特定物資の輸入臨時措置法というものがどうあろうと、行政措置でもできないことはないわけです。現に、かつて砂糖においてこういう行政措置をやられたことがある。途中で妙なことになりましたけれども、そういうことをやられたことがある。今清澤君の説を、あなた方は一顧にも値しないように笑っておられるけれども、しかし、私はそうではないと思うのです。清澤君の提案も重要な問題があると思う。ここでかりに、あげくのはて一億万枚入れる、入れておそらくたな上げということになるのでしょう。しかし、たな上げになれば、清澤君の言うように、問題の持ち越しにすぎない。それならば、来年に至って——たとえば、ここで入れたものの何割かをたな上げしたからといって、来年までたな上げしたからと言って、それならば来年の数量のときにそれをどう算定するのか。またこれはトラブルを起す。ノリの問題が過去において何べんとなくトラブルばかり起し続けたということは御承知通りなんですから、そういうことが解決ではないわけです。もし、きっぱりと超過利潤を、これを吸い上げるということを法律、あるいは好ましいことではありませんけれども、行政措置でやるということができるならば、こんな問題は一ぺんで吹き飛ぶわけです。それをおやりにならない。そういうことができないのならば、清澤君の言うように、たとえば生活協同組合とか、農業協同組合とか、そういうところに対して一定の値段でこれは売れということになれば、これは明らかにそういうことは可能ですよ。非常に大きな力でなければできぬということを言われますけれども、そうじゃございません。できるわけです。農業協同組合あたりでも、喜んでこのくらいのものは消化するでしょう。それは清澤君の説によると、運動会にノリ巻きを持っていきたい、握り飯にノリを巻きたいという人が、実は高くて手が出ない人がやるのですから、新規需要であって、ノリの普通の市況というものに対しては影響はないわけなんです。そういうことをやろうと思えば、できないことはないと思うのです。ただ、あなた方が超過利得の問題へ手を触れようとなさらぬ。ですから、そこまで決意をなさらぬ。さらにいろいろな障害があるから、いろいろな政治的な圧力があるから、それで私は一笑に付しておられると思うのですが、私の言うことはひがみかもわかりませんが、私はそう思う。重ねて聞きたい。
  119. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 超過利潤の問題につきましては、ただいまのお話の中に出ましたように、特定物資の特別会計という制度がすでにできておりまして、バナナその他はそこで超過利得、利潤を押えるような制度ができております。ですから、ノリにつきましては、そういう扱いをすることができないわけではないわけでございます。ただ、私、従来なぜこれがその扱いにならなかったかということをいろいろ内部に聞いてみますと、まあノリには非常に品質の差異があって、なかなか超過利潤というものをきめて扱うには、技術的に非常にむずかしいというようなことで、その扱いから漏れておるのだというように聞いておるわけでございます。この超過利潤が非常に多ければ、一つの方法として、確かに特定物資で扱うということは可能なわけだと思います。ただ、それをそれならすぐにしたらいいじゃないかという御質問があるかと思いますが、これはまあ一つの品物を取り上げますときには、いろいろな事情も検討しなきゃなりませんので、この場で私限りで私見を述べるのはどうかと思いますので、その点はちょっと差し控えたいと思います。
  120. 江田三郎

    江田三郎君 まあ、私ども、こんなノリの問題ぐらいの不愉快な問題はないのですよ。こうやってオープンに論議される問題以外に、いつでも無為替輸入の問題だとかなんとか、妙なことばかりが出てくる。結局何かといえば、もうかり過ぎるということです。先ほど青山君の方から、一体ここまで来たのはだれの責任かということが言われておったけれども、だれが考えてみたところで、四十セントというようなものでとらなければならぬ。結局超過利潤の亡者じゃありませんか。そんなものが、ひいてはこのノリ業界を混乱させるだけでなしに、これから軌道に乗せなきゃならぬ日韓関係に対しましても、非常な悪影響を及ぼしておるわけです。私はやはり、こういう問題については、水産庁も、あるいは特に水産庁の方はすぐにこれが、どうせノリの生産地といえば全羅南道かあの辺でしょうから、漁業関係にも影響を及ぼすことなんですから、そういう点、もっと腹をきめて当っていただかなければならぬのじゃないか。しかし、ここまで来て、しかもこれを拒否すると、一億枚を全部たな上げだ、こういうことは、私はなかなかそんなことできるものじゃないと思うのです。もしそういうことをしておれば、またしてもこれから先、毎月のように不法輸入であるとか、何やら税関をどうやらしたあとを追っかけたとか、そんな問題ばかり出てこなければならない。現に、もうことしもそういう問題があるじゃありませんか。不愉快だけれども、私たちはそういう話もなんぼか聞かされた。そういうことについては、清澤君の言うのも、これが一番いい方法かどうかわかりません。しかしながら、一つの方法ですよ。あなた方にいい知恵があるならば、いい知恵を出してもらえばいい。しかし、あなた方は、見ていると、いい知恵がないじゃありませんか。あなた方がいい知恵がなければ、第三者の言うことに対しても、私はもっと冷静に聞かるべきだと思うのです。そこから先、何ぼ言っても仕方がありません、私はそういうことを注文しておきます。
  121. 青山正一

    ○青山正一君 昨年の五月十日でしたか、当委員会から通商産業大臣、それから農林大臣あてに、韓国ノリの輸入等に対する措置要綱というものを申し入れたわけであります。  (三) 「韓国海苔需給調整協議会」(以下協議会という)の整備を期し、〃関係輸入業者〃及び〃関係問屋〃を全員入会せしめ、当局の指示並びに協議会の決定を励行せしめること  (四) 韓国海苔の取扱いについては協議会の意見をききこれを充分尊重すること  (五) 速かに協議会を開き当面の措置を協議すること  (六) 以上に関する具体的措置については随時当委員会報告すること  こういうふうな決議と申しますか、措置要綱というものを、農林大臣なり、あるいは通商大臣に申し入れたわけであります。これに対しまして、通商大臣なり、あるいは農林大臣から、はっきりその御意見は尊重してやります、こういうふうなことになっておりますからして、この問題もその要綱によって一つ措置せられんことを特に希望いたします。
  122. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) これはいずれ通産省側からのお答えはまた出ると存じますが、水産庁に関する限りにおきましては、参議院の委員会から申し入れをいただきました措置要領の通りにこの問題を処理していきたい、かように考えております。
  123. 清澤俊英

    清澤俊英君 価格の点だね。安い、高いといって、結局価格的にある程度出せると思うのであります。そこで水産庁としては、朝鮮ノリは大体どれくらいならば、日本のと比較してみて、参考にして、価格は妥当な価格と考えていられるのか。
  124. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 今これを輸入いたしまする価格のどの辺が妥当かという見解は、これはきわめてデリケートないろいろな関連がございまするので、私の方から表明申し上げることは差し控えたいと、かように存じます。
  125. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはね、この席上ではよろしいです。あなたの言われる通りだから、私はあえて聞こうとは言わぬが、何かしらぬ、通産省の、お話だと、成り行きにまかせる、何もかかわりのない成り行きにまかせるということは、正常な貿易を進める上からも、おかしい話だと思う、大体ノリの生産を教え込んで、食えもしないノリを韓国に教えたのは日本なんだ。そうじゃないですか。そうやってできたものを、今売り場のない、日本よりない、そこに残って一つの産業としてあるものを、それを全部放棄しろというようなことは、これは将来のやはり日韓国交の回復等から見てもだ、非常に私は重要性を持つと思うんですよ。そうすれば、ここで発表できなくても、それらのことは当然通産省にも、水産庁にも限度があるだろうと思う。無鉄砲な買いたたきのような方法を講じているのかどうか知りませんが、そういうように受け取れるようなことのないように考えるべきだと思う、こう思っているが、そういうことに少しも考慮を払われておらないで、価格は両者できめるべきものだ、こういう態度をとっておられるのには、私はどうも納得しがたいんだな。通産省のあなたの方はそういうことを考えてやっておいでですか。そういうことを水産庁と御相談になって、一応腹に置いて考えていられるか。そのまん中をとれば如才ないくらいのことを考えておられるのか。
  126. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) ノリの値段が幾らくらいが適正かということにつきましては、主管の水産庁でもなかなかきめかねるような、非常にむずかしい問題でありますので、私どもとしましても、もちろんそういうものがちょっと幾らという自信はないわけで、まず商売は業者同士の話ということで見ざるを得なかったということを考えている。ただ、非常に両者の間に極端な話の開きがある場合には、そのまん中くらいから話を始めたらどうかということを言ったわけであります。
  127. 東隆

    東隆君 韓国側が輸出する場合に一本になっておる、それからこちらの方は輸入する場合に輸入部会が一本になっておる、こういうことなんですが、これは私は輸入する側において、国内法規からいくと、だいぶ危険性があると思う。というのは、その次にくるのは、これは超過利潤を非常に大きくするために一本になってやっておると、こういうふうになって参りますると、小売価格ですね、国内におろす場合に、おそらくは価格の制限をする、こういうような問題も可能性が起きてくるわけです。そうすると、これは公正な取引、あるいは独禁法だの何だの、そういうようなものにこれはふれてくるような中身にもなってくるおそれがある。そこで、問題をこじらしたものは何かというと、これは日本側のインポーターがこういう問題を起したのですから、そこでインポーターが起した問題に対してこれを排除する方法、その方法を考えなければいけないし、それからたな上げをするといって、先ほどお話があったように、前からの関係があって、来年は二重にふやす、そんなような関係で国内の生産者に非常に大きな圧力を加えてくることは、これは必至です。そういうことになると、この委員会でもって申し入れをした事項、そういうようなものとは完全に相反したことになる。いずれにしても相反した結果になっておる。そういう原因を作ったのがインポーターだと、こういうことになると、先ほど清澤君が言ったようなことをはっきりときめてやることも、これは可能性があると思う。  それは、先ほど言ったように、一本になって、そうしてお互いにけんかをするような態勢、価格を中心にしてけんかをするような態勢に持っていって、故意におくらしたのです。だから、その点から考えていっても、やはり輸入したものについてある程度の制限を加える。その制限を加える方法は、配給の面において考えなければならないと、こういう問題は当然起きてくると思うのです。そういうような意味で、先ほども言ったように、今の場合における私はいい案というのは、清澤君が先ほど言ったように、これ以外にないと思うのです。国内の生産者に圧迫を加えない方法、そうして、しかも日韓貿易を円滑に将来も続けていく方法、それから韓国にだいぶ貸し越しになっているはずでしょう。ドルがだいぶあるはずでしょう。そういうようなものをおそらく決済の方向に向けていかなければならない。ほかに取るものが、韓国から輸入するものがあるならば、これは問題ないのですけれども、ほかにないと、こういうような状態に置かれておるときに、私はやはりこの解決によって日韓貿易を進めていく、こういうような方法もやらなければいかぬ。生産者を助ける方法、この二つの中でもって解決をつける方法は、今のインポーターがやってきたことが非常に間違ったやり方をしておる、こういうことから、強力に役所の方が発言する私はチャンスがでてくると思う。この点、どうですか。
  128. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 水産庁といたしましては、あくまでも需給調整協議会で結論を出していただく。これが取扱いにつきましても、生産者といたしまして価格に対する安心が持てるような取扱い方法を十分中で協議して、一つの結論を出してもらう、こういうようなことにいたしたい、かように考えておるのでございます。そのために必要なる行政上の連絡等は、もちろんとらなければならないかと思うのでありますが、また国会におきまするいろいろな御意見の御開陳も、需給調整協議会の話し合いの中には、十分反映をいたすであろうかと、かように考えております。
  129. 東隆

    東隆君 需給調整協議会の決定の仕方は、多数決できめるのですか。
  130. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 需給調整協議会は、生産関係、輸入関係、問屋関係と、三つの方面の意見が一致しなければ、協議会の結論にはならないということであります。
  131. 東隆

    東隆君 その場合に、構成なんか考えた場合に、インポーターとそれから問屋筋が一緒になりまして、完全に一律の割合ですと、二対一の割合になる。それでもって生産者が直接圧力を加えられる、こういうような結果になりませんか。
  132. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 生産者だけがある意見を持ち、それからインポーターと問屋が別の意見に一致していて、二対一でもって生産者の方の意見が否決されるというようなことにはならないわけでございます。ならないがゆえにこそ、今までに私どもは、需給調整協議会の結論を早く早くといいましても、全会一致でなければ答えが得られない関係がありまして、おくれてきたという理由も、そこにあるのではないかと思います。
  133. 東隆

    東隆君 九月三十日から延びて、こういうものもすでに一カ月延びておる。一体需給調整協議会としてもし決定をしたならば、買い入れる、輸入をするというような前提を、輸出をするというような、そういう決定をするようなことに、もうなるような時期なんですか。今はもうすでに期間も一カ月延長している。
  134. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 確かに当初予定しました期間は過ぎておるわけでございます。しかし、現在のところ、まだ話し合いをやっておりまして、今のところ私どもとしては、先ほど申しましたように、ここ一日、二日、おそくとも、二、三日中に需給調整協議会の結論が出てほしいと期待しておるわけであります。それ以上過ぎますと、おそらく話し合い自体のまとまることはまず見込みないのではないか、まず山はここ一日、二日のところではないかと考えております。
  135. 東隆

    東隆君 先ほどから聞いておりますと、価格の問題のようですが、それは私はあるいはきまるかもしれない。きまるかもしれないけれども、しかし、価格がきまっても、これは問題にならぬと思う。それ以外の問題が、大きな問題になってきている。その問題をきめないことには、おそらくここの委員会承知しないでしょう。そうして、価格なんかきまってみても、問題になりませんよ。そうすると、非常に問題を含めて解決しなければならぬ問題が起きてきておる。その問題をきめなければならぬ。需給調整委員会で価格なんというのは、過ぎてしまっているのではないですか。
  136. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 確かに、おっしゃいますように、価格の問題がきまりましただけでは、この問題は解決はいたしません。むしろどういうような、どれだけの数量をどういうようにして流すかということ、つまり生産者の納得のいくような方法の流し方がきまらなければ、価格についてもきまり得ないのでございます。両者からみ合ったような関係で、問題の焦点に迫っているという状態でございますので、きまれば両方きまらなければならぬし、どっちか片方きまっただけでは問題の解決には全然ならないということを、私どもも十分承知しています。
  137. 東隆

    東隆君 需給調整協議会に対して、通産省は価格以外に何か指示されていますか。
  138. 杉村正一郎

    説明員杉村正一郎君) 国内出荷について、生産業者の方面に悪影響を及ぼさないために、出荷のやり方については水産庁の指示に従うというような方向はどうだろう。内容について具体的にいろいろ案があるだろうと思いますが、それらについて生産者に悪影響はないというような方法を考えて、まあ形式的にいえば、水産庁の指示に従うということも一つの方法だろうと思いますが、技術的にもっと、たとえば何万円を限度にするとか、それの流し方はどういう方法でやるとか、そういうことについて具体的な案を立ててやったらどうか。それでなければ、おそらく生産者側は納得しないのではないかというような指導はしております。
  139. 東隆

    東隆君 水産庁に伺いますが、今通産省の方からお話のあったようなことで、需給協議会の方から何か水産庁の方に指示をしてほしいという、そういうような何がございますか。
  140. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 私自身に対しましては、まだ御連絡をいただいておりませんが、当然担当の課に対しましては、いろいろ御相談が参っておることと、かように考えております。
  141. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて下さい。    午後四時四分速記中止    —————・—————    午後四時二十二分速記開始
  142. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ、速記を起して。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会