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説明員(谷垣專一君) これは何も、大罐練乳の免税
措置が撤廃されるということのみに関係はないと思うのでありますが、現在の輸入乳製品の一時的なアンバランスの問題を解消いたしますためにも、何らかの方法が必要だと、かように
考えておった次第でありますが、たまたま大罐練乳の免税猶予期間というものが九月一ぱいということに政令になっておりますので、従いまして、今御
指摘がありましたような時期におきまして特に
対策を必要とすると、こういうような事情になっておるわけであります。
私たちの
考え方といたしましては、暫定的な応急
対策を立てまする際に、やはり乳製品、乳価、牛乳というような問題につきましての、かなり見通しを持ちました
対策というものはどういうふうになるかということを
考える必要があると思いましたので、来年度以降におきましてどういう
考え方をもってやっていくか、こういうことを
検討いたしております。また、それに対応いたします
対策といたしまして、目下の状況に対応する対応策、暫定策と申しますか、そういうものをやっていく必要があるのではないか、こういう
考え方で案を練って参ったのであります。
それで、来年度と申しますか、本格的に
対策として
考えられるものは、まずものの
考え方として、酪農の
生産というものと
消費というものは、今後の見通しにおきましてもなお
均衡はいたすでしょうが、これは一時的なアンバランスという問題はこれは避けられないという立場、議論をいたしております。もちろん、このためには、農民の側におきまする
生産費の低減、あるいは
流通段階あるいは加工段階におきまする経費の低減をいたしまして、安価にそれらの製品を
消費者のところで
消費していただく、需要を増進する
対策というものが根本的に必要だと存じております。これらは従来やっておりました全体といたしましての
対策、あるいは来年度
予算等にお願いをいたしまする全体といたしましての
対策の中に、それぞれ案を具しまして御審議を願うことに相なると思うのでありますが、当面この酪農の乳製品、乳価等の問題につきましては、まず第一に、何といいましても、農民と乳業をやっておりまする乳業者との間におきまする取引の適正な、公正と申しますか、その取引段階におきまする組織その他が公正な形で行われるのが
基本的なものであろうと
考えておりまして、その線におきましてのやり方を従来もやって参りましたが、それを
強化する方向をとっていきたい。たとえば文書でそれを契約いたしますとか、あるいは
生産者団体の
強化、あるいは団体協約という線をできるだけ
強化をいたして参りたい。もちろん、これらのものは文書契約という形にされるようにいたしまして、またその
価格の書き方、あるいは数量の書き方、契約内容等につきましても、もう少し明確なものを出していくようにして、取引自体がある程度期間も長く、安定した形でやっていくような方策をとる必要があるのではないか。そのために、必要があれば法令の改正等もやっていく必要があるのではないか、これが第一点の
考え方でございます。
それから第二点といたしまして
考えておりますのは、こういうアンバランスが生じましたような場合に、やはり農民に対しまする乳代の遅払いというようなもの、あるいは乳業者が金詰まりのためにミルクの受け入れを停止するというような事態が起ることも
考えられるのでありまして、そういうようなことが起りましては問題が大きくなると思いますので、
政府あるいは乳業者等の出資をいたします基金を造成いたしまして、これが信用保証をいたします。債務保証をいたしまして、そういう事態になる以前におきましても、乳業者の債務の保証融資を助長いたしまする立場をとっていってはいかがかと、かような
考え方をいたしておるのであります。それらのことは、先ほどの生乳取引の
合理化の線を促進するような立場において
運営をしていく必要がある。生乳取引を
合理化しておるというような場合において、またその履行を確保する必要がある。そういう融資においてこれを保証していくというような形においてこれを
運営していく、そういう基金が必要ではないか。まあかりにこれを酪農
振興基金とすれば、そういうものが現在の段階においては必要じゃないかと、かように
考えております。
それから第三点といたしまして、何と申しましても、需要を
拡大していくということが
基本的な問題であろうと思いますし、それはいろいろな方法で可能だと存じます。その
一つといたしまして、学童等に対しまする従来の脱脂粉乳による給食というものの一部を、生乳にかえて、飲用牛乳にかえていくということを、この際にやってみたらどうか。もちろん、これは市場の一般市乳の
方面への圧迫を避けなければなりませんし、また同時に、学校のPTA等の負担と、学校の給食
計画自体に入り込むべきものでなければならぬと存じますが、また同時に、今のように、一時的な状況といたしましても、ミルク自体が若干の過剰気味を生じておるようなときには、それの需給調整の
対策としても動くように
考えていく必要がある。ただし、学校の給食
計画でございますから、そう簡単にどうこうということはできないわけであります。少くとも一学期くらいの期間におきまする
計画性を持たせなければならないと思いますが、そういうようなことを考慮いたしまして、とにかく従来の学校給食のほかに、飲用牛乳を出していく。学校と乳業者と、あるいは
生産者、供給いたします
生産者団体とが話し合いをいたしました場合に、そういうような
計画を推進していくために、国が一定額の補助をする。かような制度を取っていきますならば、需給調整のためにも役立つでありましょうし、また学校の立場においても
一つの役割を保ちましょうし、また酪農
振興をいたしました際に、大きな目で見ますところの需要層の
基本的な
拡大という点においても有効であろう。かような
考え方を持っておるわけであります。
まあ、それが大体の線でございますが、そのほかに、従来この酪農関係におきまして十分な
調査検討が行われていないうらみがあるのであります。これらのものに対しまして、十分な
調査を行い得る体制を整えていく必要がある。そういうような点を
中心にいたしました
対策を
考えておるのであります。
もちろん、この秋、冬におきまする状況に対応いたしましては、従来申し上げましたような
対策を見通しとして持ちながら、それまでの暫定
対策としての
対策を
考える必要があるのではないか。従いまして、でき得べくんば、来年一月からでも、学校給食等の方法を採用する必要があるのではないだろうか。さらに荷物がある程度余っておるという状況であるならば、これも来年の夏になればはける問題でございますので、それまでの保管をいたさせるために、長期保管に対応する助成策を講じていく。まあかようなことをこの際暫定策としてとって、そして来年の本
対策というものにつながらしていく、このようなことではいかがだろうか、かような
考え方をもちまして、それぞれ酪農審議会等にも御審議を願って、また大蔵当局とも折衝も若干開始しておる、かような
現状でございます。