○
政府委員(
塩見友之助君) お手元にお配りしてありますところの、
農林水産技術会議の部というのがございますので、それによって大体御
説明をいたします。
一番最後の十七ページを見ていただきますと、今年の予算の
関係が出ております。各試験場別に出ております。農業組合研究所となっているのは、これは農業総合研究所の間違いでございます。この最後の計の所を見ていただきますと、全貌が出ておりまするが、人件費においては、前年度に対しまして約一億九千万円の増、それから試験研究費のうちの事業費につきましては、次の事業費の三十一年度と三十二年度を対比していただきますと、三千五百万円の増加、それから施設費において約九千万円の増加というふうな形になっております。
それで、その技術会議が昨年六月に発足いたしました
わけでございまするが、当初でございまするので、定員の方は七名、兼任
関係が三十名余りというふうな数でございまして、これは一応試験研究機関だけを扱う
わけでございまするが、それも一応は原局において処理しまして、その上に技術会議というものは調整をはかり、あるいは指導をやると、こういう建前になっておる
わけでございます。で、技術会議としましては、前年度施設費において一億五千万円、研究費において一億円というふうなものを研究機関として最も有効に活用する経費をもちまして、それでいろいろな新しい研究、あるいは施設の不足というものを補なった
わけでございまするが、今年度は施設費としては約二億円、研究費として約一億五千万円というふうにふえまして、それを各研究機関の新規の研究、あるいは施設の整備拡充というふうなところに予定するようになっております。
で、技術会議は、御存じの
通りに、
委員会がございまして、東畑精一さんが会長になって、七名の
委員でもってできておりまするが、その方針といたしましては、第一にやはり農民、漁民、産業のためになるところの研究というものを推進していくと。これは大学等の学術研究機関とは違いまして、産業庁に設置された試験研究機関でございまするので、そういう点に重点を置いて指導をして参りたいということと、もう
一つは、近来の研究は、個々ばらばらの個人プレーでの試験では大した成果は上らない、ことに産業的な試験となりますると、どうしても各専門分野の人々の協力によりまして試験が行われないと、実用価値が高まらないというふうな点もございまするので、そういうふうな
意味において、第一線の研究者の共同的な組織的な研究というものを育成していくと、こういうふうな方針をとって、それで研究機関の指導をやって参りたい、こういうふうに
考えております。
そういう
意味で、昨年いろいろと各研究機関及び各局の方から研究の要請をとりまして、それで非常に大事な問題、今までの研究では非常に欠けている、さっき申しましたような、産業的な
意味でも、あるいはそういう共同的な組織的な研究が必要だという
意味でも抜けておりますような問題を本年度は取り上げまして、これが二ページにございますところの、七つの問題を取り上げた
わけでございます。これらの問題は、これは農地の
関係の研究、畜産も含むのでございますけれ
ども、これが八つの
地域の試験場と農業技術研究所というふうなものに、技術的な部門だけでも九つに分れておりまして、その間の
連絡調整が必ずしもやりにくいという点がございます。それから水産の方が八つの海区及び淡水系の研究所がございまして、そのほかに真珠の研究所等がございまして、これはみな独立研究機関になっているので、その間の
連絡調整が十分いっていないというふうな欠陥がございます。で、林業試験場であるとか、蚕糸試験場であるとか、家畜衛生試験場であるとかいう所は、本場、支場という
関係を持っておりまして、地方にあります機関の方も、そういう
関係で一連の
関係をつけながら研究をやっておるというので、そういう
関係は比較的まあうまく行っているというふうな状態にもございますので、ここで取り上げられた問題も、その農業試験場
関係の方が五つになっております。すなわち一、二が水田及び畑の問題、それから三、四、五が畜産の問題、それから六、七が水産に
関係した問題というふうになっておる
わけでございます。
で、この七つの問題の大略を簡単に御
説明申し上げますと、稲作における土壌と水に関する研究というのは、従来いろいろ品種の改良、施肥改善、病虫害の防除等が行われておりまするが、稲作についての問題は、非常に従来研究がむずかしい点等もあっておくれておりました部分は、結局水のかけ引きの問題というのが非常に重要だというふうな点でございまして、戦後において特に農民の要望も強く、土地改良事業、ことに排水あるいはそれに伴う灌漑というものを中心としての膨大な国費を投下しておりまする土地改良事業の効果というものを、最も有効に発揮させるというふうな
意味においては、そういう部分の研究が最も大切な
わけでございまして、そういうふうな
意味において、
一つは低位生産地であるところの湿田、冷害田、漏水田、干拓田というふうなものに対して、土地改良事業を行うと同時に、それに最も適応した水のかけ引きということを検討しなければならないので、中国その他においては節水栽培等の問題も相当要請されておるというふうな形になっております。これらの問題は、その土壌の
関係と、それから水稲の根の
関係に結局
関係してくる
わけでございまして、土壌の管理をよくした場合に、水のかけ引きをよくした場合に水稲の根がどういう状態になって、それがあと地上部の成育と、あと収量にどういうふうな結果になってくるかという点が、収量を上げていく場合に非常に大きい問題として出てくる
わけでございまして、その部分が土壌の人、あるいは水利の人、あるいは作物の人、あるいはいもち病等の病気も
関係を持ちまするが、それらの専門技術者間の協力がないと、この研究は十分には進み得ない、こういう形になっておりますので、この問題を
一つ取り上げておる
わけでございます。これによって土地改良の事業の効果というものを最高度に上げるようなことができれば幸いだと、こう
考えて、この問題にかなりな力を入れたい、こう
考えております。
それから第二は、畑土壌の生産力に関する研究でございます。この畑作改善の問題は、全般的に非常に立ちおくれておりまするし、重要性はある
わけでございまするが、畑作改善の問題の中で、やはりある程度研究の
方法もまとまるし、一応基礎的なものとして一番大事だと
考えられますところの畑土壌の研究から発足した
わけでございます。で、畑土壌の問題につきましては、土壌改良、あるいは施肥の改善というような点についてもある程度のことが行われておりまするが、研究部面につきましては、やはり水田に比べますとずっとおくれておるというふうな点が多うございます。主として地質母岩の
関係、それから土層断面の形態、理学性あるいは化学性というふうなものを通じて、土壌中の水の
関係というふうなものを中心といたしまして土壌の区分をやりまして、土壌別にどういうふうな管理方式をとったら、どういう作物についてはどういうふうな栽培法をとれば収量が上るかというふうな、試験場の圃場だけではなくて、農家の圃場を対象としたような研究がかなりおくれておる、こういうふうな形になっておりまするので、そのもとになるところの土壌調査と、それからあとは土壌の管理あるいは作物の管理というふうな点を、土壌別にどういうふうな形が適当であるかというふうな研究を進めるための協議会を持つと、こういう形で進めております。これは昨日から明日にわたって協議会を連続今実行中でありますが、この問題もやはり土壌の
関係者、土壌調査の
関係者と肥料の
関係者と、これは専門が現在は分れておりますが、そういうものと、それから作物の
関係、これは畑作物ですからかなり範囲は広くなりまするが、そのほかに病虫害の
関係者というふうなものが集まりまして、ここらの研究をやっていくと、こういう体制を作っておる
わけでございます。
それから(ハ)として草地の問題がございます。この問題は国会においても非常に強くお取り上げになって推進をはかられた問題でございますので、私らの方としても重点を置いてやっていきたい、こう思っておるところでございますが、草地は御存じの
通りに傾斜地が多い、それから土壌的に見ても非常に強い酸性の火山灰土が多いというふうな形と、それから多年略奪によりまして地方が非常に減耗しているというふうな傾向がございまして、これの利用面の改良についてはいろいろの問題がございます。これも連続して改良を続けておりまするが、研究
方法等についてはやはり一応高度集約牧野というふうなものに対する研究の方式というものと、それから粗放牧野といいますか、天然牧野といいますか、土をひっくり返して耕耘をするということなしにそのまま利用していくというふうな形態の牧野というふうなものについてはかなり研究
方法等を
考えなければならないというふうにも
考えられまするし、さらに農家の圃場の作物というふうなものの中へ組み合せを
考えて、
一つの輪作形態の中に草を取り入れてやっていくというふうな問題になりますと、これは
経営の問題、畑作改善の問題と非常に
関係を持ちまするので、そういう
関係を十分見た上で、そのおのおのに合った研究方式をとるべきであるというふうな
考え方をとりまして、ことに牧野につきましてはいろいろな種類の牧野を分類する必要があろう、これは土壌学的にも分類する必要もあろうし、それからもう
一つは植生によって分類する必要があろう、植生によって分類するというふうな
方法も併用する必要があろう、そういうふうな各種類の牧野に応じましたところの適切な処理
方法をとる必要があろう、こういうふうなところに今の段階は来ております。
それからその次の家畜の飼養標準に関する問題でございますが、これはある場合には、農家の飼養につきまして検討いたしますると、蛋白が足りなくてそのために非常に病気を起しておるというふうな問題もございまするし、あるいは逆に蛋白を過給して、多過ぎでもってそのために繁殖障害等の疾病を生じておるというふうな場合もございまするし、
日本では外国、デンマークであるとかアメリカであるとか、そういう国々において試験をされ、決定されましたところの飼養標準というものを、それをそのまま借りてきて今までやっておるという
関係がありまして、
日本の農家は彼らとは違いまして、飼料作物を
自分の畑で必ずしも自給できるという形にございませんし、ある場合には農作物の副産物となっているところの藁稈類であるとか、いもづるであるとかを相当高度に利用いたしますし、稲わら等も粗飼料としてはある程度利用するというような
関係からして、給与飼料が非常に違ってきまするので、やはり
日本農家に適したところのそういう標準、
基準というものがないと、非常にその指導が全きを期し得ないという
関係で、これらは当然従来やっておいてよかったことではないかと
考えられる部分ですけれ
ども、やっておらなかったというような
関係がございますので、その点について進めて参りたい。これは、ただ非常に家畜が金がかかりまするのと、飼料費等が非常にどうも膨大にかかりまするので、試験研究材料の牛を相当たくさんは与えにくい、こういう
関係もございまするので、畜産の試験場とそれから種畜牧場、それから県の種畜場等もこれに協力をさせまして、それで場合によれば、農民の方の進んだ農家等の飼養管理の調査等もこれに加えまして、そういうふうな機関が全部一体になってそれでこういうものを作り上げていく
一つの機構を作って参りたいと、こういうふうな
考え方で、これは明後日から会議をやるというふうな形で、いろいろ準備の会議はやっておりますけれ
ども、取り進めておる、こういう状態でございます。これと関連いたしまして、家畜の繁殖障害であるとか、疾病の
関係が家畜衛生試験場の方でも
考えられておる
わけで、そういう栄養障害の問題を疾病については
考えなければならない
わけですけれ
ども、この栄養障害の問題を検討していきまする場合に、やはり飼養管理の問題、ことに飼料の問題との関連が非常に深いというふうなことがはっきりして参りましたので、この研究のやり方というものは、家畜衛生のそういう栄養障害の問題を一緒に、一体としてそれで総合的に
考えるというふうな研究方式をとって参るように、最近では変更をいたしました。幅が広くなってきた
わけでございます。
次に、家畜の育種に関する研究でございますけれど、従来の育種、これは乳牛から入る
わけでございますけれど、従来のは外形標準、体型等を中心としまして、多くは勘にたよってやってきた
わけでございまするが、これは進んだ国では最近集団育種学というものを応用しまして、あとの子の能力というものを現実に当って、それでいい種類のものを残し奨励する、こういう形をとっております。これは現在人工授精が相当普及いたしましたし、それからもう
一つは超低温、マイナス七十何度という低温でやりますれば、精液がずっと長くもつというふうな研究も今、千葉の方でやらせ始めた
わけでございまするけれ
ども、そうなりますると、死んだ牛についても非常に優秀な牛のものはそれは長く保存されて、死んだ牛の種をつけることができるというふうな形にもなりまして、それで従来個々の農家が、
自分が種つけする牛を、相手を見てあれを種つけたいというふうな形でなくて、見ない牛、死んでしまった牛等の精子を利用して、それで種つけをやるという形がぐんぐんと進んで参ります。そうなりますると、どうしてもそれは従来のようなルーズな、外形等でもってその能力を判定してこれを種づけたらいいだろう、これは農家の方もある程度
責任を持てる
わけですけれ
ども、そういう人工授精や、ことに超低温精子というようなものが出て参りますると、これは目に
見えない
わけですので、相当その種については指導、奨励する方も
責任を持たなけりゃならないということになります。そうなりますると、どうしても子供の能力というものを十分検定をした上で、それでこの牛の種は間違いないというふうなことをやはり確認するような
措置をとっていかないと、
責任が持ちにくいという
関係がございますので、これは進んだ国々では、そろそろとそのやり方等が始まっておりまするが、そういう形でもってこの育種の方も改変していかなければなるまい。これもやはり、やり方としましては、国の試験場だけではなくって、種畜牧場、種畜場、あるいは農家というものまでに協力を求めまして、そういう一体化された形で進めていかないと、なかなかいかない
わけでございますので、そういう方式を今検討中でございます。これは、きょうと明日、今会議でやっておる最中でございます。
それからその次が、水産資源に関する研究でございます。これは、戦後やはり乱獲の問題等も相当ございましたし、ことにイワシ資源及びニシンの資源というものが、大きく暖かい方の水と、寒い方の水で変動が参りましたので、特に注目されて、水産の研究の中心部分を占めてきた
わけでございます。その後、
マグロの問題であるとか、底魚の問題であるとかいうものが、それぞれ行われておる
わけでございまするが、戦後の研究の結果としましては、やはり行政的に問題になる部分としては、どうしてもマイワシが減ったならば、それじゃ、何がふえたんだ、カタクチイワシもふえ、あるいはサンマもその影響を受けたことであろうと、こういうふうに
考えられる
わけですけれ
ども、海の中にあるところの栄養分については、そう大きい変化がないというふうな場合が多い
わけでございまするから、そういう前提になりますと、ある種の魚が減ればある種の魚がふえるというのは当然でございまして、そうすると、変化した魚に対するところのその漁法なり、あるいは
漁船数はふえてもいい、こういう結果になる
わけで、そういう点をやはりこの資源調査から求める。行政的な結果としては、大事な部分として
考えなきゃならぬ。そういうふうな研究の方式をとるとしますと、これは個々の資源をばらばらにやっていただけではできない
わけでございまして、たとえばリマン海流ならリマン海流系の資源というものをある程度総合的につかむとか、あるいは対馬暖流なら対馬暖流系の水系を総合的につかむというふうなことが必要でございまして、現在北海道でも問題になっておりまするところのニシンの不漁なんかにつきましては、やはり暖かい水が非常に優勢で、寒い冷水の海域の面積が非常につまっている。そういうふうな形からしてニシンの生息範囲が非常に狭まってきている。で、ニシンは、当然そういう形のもとでは減少せざるを得ない。そのかわりに、底魚としてのカレイがふえたんではないだろうかというふうな想定が成り立つ
わけでございまして、まあ、そういう点の相互
関係というものが追及されるような研究方式にならないと、これが十分な利用価値を持ち得ない部分が多い
わけでございます。そういうふうな研究に入りたい
わけでございまするけれ
ども、そういう魚の生物社会としての研究
方法というものになりますと、世界各国とも戸惑っておりまして、まだそういう研究方式が確立されていないという形でございまするけれ
ども、必要性からいいますると、そういうふうな方式に結果がまとまるような研究にならなければならない。ですから、個々の魚を取り扱っていくけれ
ども、その間の相関
関係というものを十分つけながら取り扱うか、それとも、生物社会として一本で扱うかというふうな、研究
方法等が基礎的に問題になりますので、そういう点を検討して、できるだけ実用価値の高いものに持っていきたいと、こう
考えております。瀬戸内海等につきましては、沿岸
漁業を総合的に
考える、そういう形を今進めつつあるような状態でございます。
それから水質汚濁に関する研究でございます。御存じの
通りに、各種の鉱工業から出ますところの悪水による
被害というものが、年々増加して参ります。で、各種の研究ができております。それは、工場でもって廃水をどの程度まで処理すればいいかとか、あるいは処理の
方法をどうすればいいかとか、いろいろなばらばらに研究はございまするが、まあその廃水の濃さ、許容限度というものがどのくらいのものかということを突きとめますると、結局それは生物に対するそういう汚水の影響というものを突きとめませぬと、最後の結論は、これが悪水である、この程度までは許容されるということは、なかなか決着がつきにくいんで、そういうふうな
意味での水産生物を使ったところの試験調査等が非常に欠けておるという
関係にございます。で、こないだ、研究会を第一次をやった
わけでございまするけれ
ども、まず第一に、やはりそういう部分の研究と調査を相当進めないことには、この問題は、従来のただ廃水の濃度を薄める工場での処理というだけでは、おさまるまい。その研究に非常に弱点があると
考えられまするので、そういう研究を進めて参りたいと、こう
考えておる
わけであります。
昨年度発足しましてから、さしあたり取り上げました問題は、この七つの問題でございまするが、そのほかに、これと関連して準備的にやっておりまするのは、林業の
関係としては、どうしても集約的な林業に移らないと、こういう狭い国土では困るというふうな
関係からして、精鋭樹を選抜いたしまして、新品種の育種を交配等によってさらに進めてやっていくというふうな品種改良事業と、それからやはり優良なものをやりますと、どうしても病気に弱いとか虫がつくとかいうふうな
関係を考慮しなければなりません、投資も大きくなりまするから。そういうふうな
関係の森林病虫害
関係の方の、そういうふうな防除に関する調査研究をやらないといけない。また、そういうふうに集約的に参りますると、どうしても林地肥培の
関係を、ことに造林初期における林地肥培については相当の効果が認められるので、そういうふうな点についての研究等も進めなければならない。そういうふうな
意味で、集約林業を確立するための各種の研究というものを、育種場の設置、品種改良事業の林業における進展と並行しながら進めて参るというところへ最重点を置かなければならない、こう
考えておる
わけであります。
もう
一つ、養蚕の問題につきましては、軟化病というものが御存じの
通りございまして、
日本の蚕糸の方は、春蚕が非常に比重が高かった戦前と違いまして、むしろ夏秋蚕の方が比重が高い、産繭量では。そのように集約的に桑を利用するような形態をとっておりますが、その夏秋蚕に軟化病が非常にふえる。数十億の
被害を出しておる。保険で出している金だけでも相当な多額になっておるという形になっておりまするが、これの原因が、ただ病原菌だけを追究していたのではおさまりませんで、どうしても桑の質と
関係があるというふうな大体見込みを持っております。結局、その悪い桑の質には土壌の条件が悪いというふうな
関係も、どうも相当関与しているように思われまするので、これはどうしても蚕、それから病気、それから桑、あるいは土壌というものを総合的に研究をやっていきませんと、こういう産業的に大事な問題の研究が確立されていないというふうな形にありまするので、そういう点にかなりな重点を置いて進めたい、こう
考えておる
わけでございます。
これらの研究と、それから十三ページにこまごまと書いてありまするが、その後各試験場あるいは原局等でもってこういうものを試験をぜひやってもらいたいというので、大蔵省とも
交渉いたしまして、それらの研究はやってもらっていいだろうと、こういうふうに認められたものがたくさんここに我っておりまするが、そういうもの等を含めまして、それで技術会議といたしましては、研究の終ったものから、大体予算の見通しのついたものから、研究設計を十分
審査いたしました上で、三十二年度にその予算をつけて参りたい、こういうふうに
考えておる
わけでございます。
この新規研究の方は、これは前の七つの項目に比べますと、こまかい問題が多うございまするので、ここに書いてあるのを特に御
説明いたしませんが、それからもう
一つは、十五ページにございます原子力利用に関する試験研究、これはおもに農事の方としてはトレーサー、追跡因子といたしまして、燐であるとか窒素であるとか、窒素の利用は
農林省が一番古い
わけでございまして、アイソトープの実験は、今講習をやります場合にも、
農林省の研究機関を原子力局等は利用させてくれと、こう申しておるくらいに早くから取り上げておりまするが、かなりいろいろ効果を出しております。そのほかに、昨年から本年にかけて非常に強力に進めておりまするのは、品種改良にこれが利用できない。これはガンマー線が主体になりますコバルトを利用しまして、それを本年三つの試験場に作りましたが、来年はさらに二つ作りたい。アイソトープの方は、逐次これは五年、十年とたつに従って、
地域の試験場だけでなく、県の試験場等でもアイソトープの利用は始まるのではないかと思いますので、そういうような
意味で、
農林省としては逐次そのやり方等についても十分研究しながら進めて参りたい。これが前年度大体五千万円くらいの予算でございましたが、今年は一億五千万くらい、施設費が重点でございますけれ
ども、大体ついております。
それからその次が寒冷地の基本対策でございまするが、これについては、もちろん試験研究の方としては、別途国の方で持ちました研究の中から、北海道を中心としましたテンサイであるとか、畑作物であるとか、あるいは飼料作物であるとか、あるいは畜産であるとかいうものに、必要な研究費及び施設費は充当する見込みでやっておりまするが、そのほかに、やはり寒冷地の基本対策については調査を十分やる必要もあろうというふうな
意味からいって、一千万の予算がついております。この予算は、これは単に技術的なととろだけではなくて、経済的な面、政策的な面等も調査を一緒にやらなければならぬ
わけでございまして、そういう点は技術的な基礎がかなり問題がございまするので、会議の方でもって統括して運用をしてもらいたいという形になっておりまするので、その調査については現在検討中でございます。畑作についてはいろいろなむずかしい問題があるようでございまするが、それらを現地について十分調査をし、指導、普及、研究等の重点等もここでもって再検討する必要もあろうかと、こう
考えておる
わけで、その調査費を有効に使って参りたい、こう思っております。
それからあと一千万円余の応用研究費というものがありまして、これは県であるとか、あるいは大学であるとか、その他の民間研究機関に必要なものは配っておる、こういうふうな形でございます。この項目は非常にこまかく分れておりまして、これの使い方等については、学術会議の方からも、あるいはわれわれの方の会議の
委員会の方からも、この使い方について、もう少し産業的な
意味を持たせ、重点的に必要なものを選択するのを少し強めてはどうかというふうな意見もございまするので、研究における権威者と思われる人を六、七人集めまして、それのやり方について検討中でございます。もう少しこれは産業的に有効に使える部分が多いのではないか、こう
考えております。これらは原局でそれぞれ案を立ててきた
わけでございますけれ
ども、立てる
基準等につきまして、われわれの方針をきめて最も有効に使える方向に持っていきたい、こう
考えておる
わけでございます。
大体そういうことが仕事の
内容でございまして、定員も少いし、ほとんどの人間を兼任
関係でもってやっておるというふうな形をとっておりまするので、一応の第一次の仕事は各局の方で受け持ち、われわれの方としては、試験研究の方はどうしても原局としまして、それほど時間をかけて丁寧に見る、そして将来の産業の基礎を確立するためにどういうことをやればいいか、どういうやり方でいけばいいかという点の検討が不十分のようで、そういう点で研究機関の組織であるとか、運営計画とか、研究
方法を強化して参るとか、そういう点について専心力を入れて参るという
関係からして、行政的な部面は一応原局にまかせまして、われわれの方としては、総合的に大きい方向をきめながら指導しておる、こういう建前でございます。
大体以上の御
説明をもって終りたいと存じます。