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説明員(
安田善一郎君) 愛知用水のことにつきましては、昭和一二十年に
農林省におきまして、
関係庁と打ち合せの上に
計画を、案を作りまして、所要の
法律案の御審議を願いまして以来、農林
委員の諸先生方にはいろいろ御指導と御援助を賜わりましたが、その後三十年十月に公団が設立せられました。公団の人的、物的の整備をいたしますとともに、第一に、
農林省が与えました同事業の基本
計画、すなわち農業と発電、上
水道、工業用水の
水道を含めました多目的な事業についての資金、技術、受益効果等に関しまする基本
計画に基きまして、公団が具体的な
計画を立てておったのでございます。大へん事業の実施がおくれたという御
意見もありましたが、当時の基本
計画、すなわち
農林省が二十五年から本格的にこの
調査を取り上げまして三十年までに
調査しましたものになお正確な実測、測量、技術
計画等を検討する要がありますのと、世界銀行借款、余剰農産物見返り円の獲得等を前提にいたしておりましたので、その
方面との
関係もありました。また世界銀行からの借款の
関係としましては、エリック・フロアという方の企画、技術の指導、
協力を受けることの約束もありまして、それらとの
関係もありまして今日までおくれました。ある
意味では、少くとも私は、この大事業
計画は三百億をこえる事業資金をもちまして三十五年までに短期間に、
農林省関係では例を見ないほど短期間に多目的である事業でございますので、それだけに設計技術もしっかり立てる要もある等々もございまして、そのくらいの期間はかかるべきものかとも今からは
考えられるのであります。あわせまして事業施行
地域が長野県、岐阜県、愛知県にわたりまして、同一の県内に受益
地域と工事施行
地域とが一致するものでありません。いわば被害県と受益県とでもいうべきものが分れる等の困難もございまして、補償、着工同意等につきましては、非常にこまかい、田畑から家屋その他の農具等に至りますまで詳細な
調査をいたしたことによって今日までかかった報告を受けまして、一応
農林省としては不満足ながら了承いたしているのでございます。
長野県の補償の
調査、物件
調査——補償の基礎になるわけでございます。これはおおむね完了をいたしたところでございます。昨年末ダムと幹線
水路を中心にしまして、その他の支線
水路、調整池、また発電と上
水道等の
計画等の技術
計画をおおむね終りまして——おおむねと申しますのは、調整池の一部、愛知県下の調整池の一部、支線
水路と幹線
水路が連結するところの
部分、この
部分に一部具体的な実施
計画に至らない
計画がございますが、大体そういう
意味でございますが、大体できましたので、公団の
理事が技術
計画を持ちまして、
農林省との打ち合せの上で世界銀行に向いまして、説明、了承を受けるために出発いたしまして、本年の一月末に技術
計画としては了承をするという事実上の折衝をして帰りました。
その後、その前後におきまして資材の値上りとか、設計の変更、特に重要なダムにおきますコンクリート・ダムをロックフィル・ダムに変えますこととか、その他のことにつきまして変更等もございましたので、また幹線
水路等の経費見積り等においても、実測をいたしました結果、相当の変更がございましたので、資金
計画及び事業費の各受益者のグループの負担及び国庫及び県の補助、そういうものにつきまして、ごく最近まで公団及び
関係庁との間で
協議をしまして、これに相当時間がかかりました。それも五月の終りごろには大体話がつきましたので、その結果に従いまして基本
計画を一部修正いたしました。基本
計画というのは三十年に
法律に従いまして
農林省がきめて出してあるものでございますが、総資金その他においてある
程度の変更をいたしました。特にそのうちの重要なものは、設計の変更、資材費の値上りのほかに、余剰農産物資金を三十年に期待いたしておりましたものが、第三次余剰農産物の一応の中止ということに伴いまして、国内資金にこれを置きかえる
政府の
計画を立てましたので、金利の変更がございました。それに伴いましてまた公団の事務費を、もとは安い金利をもって、金利差をもってまかなう
予定でありましたものが一応できなくなりましたので、それに伴うものでございます。そういうことにおきまして、以後は手続をすみやかにとりまして、着工を早期にいたしまするという観点からいたしまして、事業の実施
計画を公団が立てて、これを
農林省に告示方申請がございました。昨年末に実はございましたが、世銀折衝のための技術
計画と並行して世銀の了承を受けましたもの、そのものではございません。と申しますのは、公団からの実施
計画、告示方申請は長野県のダムの
部分だけでございます。あわせまして、ただいま申しました資金
計画上、負担区分上の最近情勢の変更を織り込まずに、三十年の基本
計画通りの内容で、
計画として、
関係農民の施行
区域及び受益
地域の
関係者の同意を得べく告示する実施
計画案として添えてありましたので、第一には、実施
計画は末端の支線
水路まで含めるべきことと、最近の資金
計画、負担区分の
予定につきまして、これを記載することについて
意見の調整をいたしまして、若干の時間がかかりましたが、この六月二十五日に訂正をせしめまして、
農林省においてこれを告示をいたしました
関係町村、四十数個町村ございますが、二十八日から縦覧をいたしておるのでございます。また資金
計画の一部でありまする世界銀行借款交渉につきましては、公団、
農林省、大蔵省が一体となった代表団を昨日午前にアメリカへ送りました。そのような過程でございまして、今後は実施
計画を告示して処理し確定をいたしまして、それが終りますれば着工いたします段取りになりますが、三十二
年度までの、少くも三十二
年度そのものの
予算資金
計画は、過般御審議をいただきまして国会においてすでに議了をせられておるのでありまして、資金上に不安は、資金の量においては不安はないのでございます。そこで、着工当時補償等のことを、今後七十五日の間に、着工に必要な
程度は少くとも片づけまして、最終的にも円満にこれを片づけまして、本
年度は相当の工事をするということで進んでおります。最近までは、世銀借款の見通しが確実になりますまでは、年々
予算資金を確立して、長期の三十五年までの資金
計画等の概定を見ておりましても、本格的工事には着手しないという
政府部内の申し合せが三十年できておりましたが、先般これは撤廃することにいたしました。いつでも、手続が完了して地元の納得を得ますれば、本格工事をすみやかに始めることにいたします。
今
年度の工事の見込みは、工事用の道路の幅員をはかること、つけかえ道路をつけること、また国道第十九号等の地元負担等において考慮すること等の道路工事をいたしまして、次に——次にと申しますよりも、全部並行してでありますが、工事の中心的な
部分であるとも言い得る牧尾橋のダムの着工をいたすつもりであります。主として本
年度内にこれを希望いたしておりますものは仮排
水路、仮締め切りまでを
考えております七また三十五年までに早期完成をいたします目標を持っておりまするので、いろいろな
部分について数個所から工事を並行して、あるいは接続して工事を着工する要があると思います。幹線
水路につきましても、岐阜県の兼山取入口から始まるのでございますが、そこの地元の
関係の
意見の調整をはかりますとともに、幹線
水路におきましてもトンネル工事二本を
予定いたしまして着工をいたしたいと思います。その後その他補助ため池、支線
水路、開墾、区画整理についても、基幹の工事につながって必要な分は本
年度も行えましたら行なってもいいのじゃないかと思っておるのでございます。
以上数字を入れませんで経過を御説明申し上げましたが、便宜御説明を簡明にいたしますために、今般告示をいたしました愛知用水事業の実施
計画というのは、このくらい膨大なものでございますが、要点だけを要約いたしまして、黄色な表紙の愛知用水事業
計画概要として要点を抜粋いたしました。
関係町村を明瞭にしまして、事業
計画、資金
計画、負担区分等について、御
関係の向き向きに
意見を問い得るもの、それが片づけば実施
計画は確定し得るものとしての
計画と
考えておりますそういう縮図と、事業施行
区域の町村、大字を明らかにいたしますとともに、三十年から
予定する、最近さらに詳しくなっておりますが、農業部門の
計画、発電、
水道部門の
計画、農業
計画との
関係ということでございますが、さらにその事業効果の
予定と水の分配の
計画、また主要工事についてダム、貯水池から水の取り入れ施設、
水路またダムと幹線
水路につきましては、農業と他の受益部門との共用部門と専用部門とがございますが、それぞれにつきましてこれを明瞭にいたしました。さらにその事業費の内訳を大体概定をいたしまして、総額も十億ばかり三十
年度よりふえておりますが、それに触れまして負担区分の要領も書きました。概要図また補助金及び農民負担の変化の度合い等を要点抜粋いたしましたものを御配付を申し上げておりますが、それにつきまして御一覧願いまして、また御質問がございましたら、
お答え申し上げたいと思います。