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1957-01-29 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年一月二十九日(火曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————   委員の異動 一月二十二日委員苫米地義三君辞任に つき、その補欠として田中啓一君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君            千田  正君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林大臣官房長 永野 正二君    農林省農林経済   局長       渡部 伍良君    水産庁長官   岡井 正男君    運輸省鉄道監督   局業務課長    小川 吉男君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (昭和三十二年度農林水産関係予算  及び農林水産関係財政投融資に関す  る件)  (農林水産関係物資に関する国鉄貨  物運賃に関する件)  (北太平洋のオットセイの保存に関  する暫定条約に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、これから委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。去る二十二日苫米地義三君が辞任され、田中啓一君が選任されました。
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日重ねて、農林水産基本政策、及び昭和三十二年度農林水産関係予算及び農林水産関係財政投融資の件、その他を議題にして、井出新農林大臣から御説明並びに御所見を伺う予定でありましたが、本日も都合によって御出席が願われません。先ほどもちょっと申しました通り、五日の日に大臣にぜひおいでを願って、それらの御所見を聞きたいと思っております。  なお、これらの点について、本日は農林省から永野官房長の御出席を得ておりますから、官房長から大要の御説明を聞くことにいたします。なお、予算はまだ計数整理等がしっかりできておりませんから、きょうの説明速記を抜きにしてほしいということでございますから、さよう御了承をお願い申し上げます。  ちょっと速記をとめて。    午前十一時十六分速記中止    ——————————    午前十一時四十七分速記開始
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。  次に、農林水産関係物資に関する国鉄貨物運賃の件を議題にいたします。  この件については、去る一月二十一日の本委員会において、農林水産関係物資運賃に関し、遠距離逓減北海道関係物資に対する割引その他の各種特定割引等軽減措置は、すべてこれを強化するよう政府当局申し入れたのでありますが、本日はこの申し入れに対する当局措置について御説明願うことといたします。  最初国鉄に続いて、運輸省及び農林省の順に御説明を願うことといたします。
  5. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 先般当委員会から、農林水産関係物資農林水産生産物及び生産資器材)に関する国鉄貨物運賃の件に対しますお申し入れが、運輸大臣農林大臣経済企画庁長官並びに国鉄総裁にあてお出しになられました。私どももそのお申し入れを拝見いたしておるわけでございます。今般、国鉄運賃改正につきましては、御承知通り、非常に輸送力が不足いたしまして、日本生産拡充に対して重大な険路となるというような観点、何といたしましても輸送力拡充強化する、そのためには五カ年計画を立てまして、毎年約一千億程度設備資金を投入して参らなければ、老朽施設の取替をいたしまして安全を確保するということ、さらに進んで輸送力拡充をするということにつきまして、経営上、財政上、バランスのとれたものができない。で、その原資の確保につきましては当然われわれの経営努力というものを一そう強化いたしまして、なるべく利用者各位に御迷惑をかけないという観点一つ。いま一つは、外部資金の調達にも努力をいたします、で、これによってまかなう。一  最後に、はなはだ利用者各位にとっては御迷惑でございまするが、国鉄財政健全化と将来の経営上、赤字が出ては、いかに借金をいたしましても、これは返す当てもなければ、また利払いでますます赤字が増大するということで、ある程度のペーイング・ベイシスに立つところの運賃改正をお願いいたしたわけでございます。これにつきまして、当初私ども運輸省に対しまして、平均増収率一割八分といろ線で申請をいたしたわけでございます。運輸省におきましては、法律の定めに従いまして、運輸審議会等において御審議ございまして、運輸審議会答申は、平均増収率一割五分という御答申があったのは御承知通りでございまするが、その後その答申に基いて予算の策定において、政府部内におきましていろいろ御検討になり、かつまたいろいろ国会方面の御意向等も御参酌の上、最終決定は一割三分ということに閣議で御決定になったのでございます。で、私ども一割八分案を申請いたしておりまするが、政府の御決定になりました線に沿いまして予算が作成されましたので、目下これに基いて具体的な賃率問題等を、運輸省の御指示によって、いろいろ検討をいたしたいと思っておる次第でございます。  ただ、ここにいろいろお申し入れ趣旨にございます点につきましては、遠距離逓減の是正ということにつきましては、かねてより経営調査会におきます運賃改正の際にそういう点を是正すべきであるという御意見もございましたし、また海陸運賃調整という観点からのいろいろの御要望もございました。しかしながら、私どもはあまり理論に走って、急激な変化を来たすということは、利用者各位に対して非常な影響を与えることで、なるべくその影響の少い範囲におきまして、合理的な交通政策並びに国の経済政策にマッチした行き方で参りたい、かように考えておるわけでございます。御趣旨の点もできるだけくみ入れまして、今後国会の御審議をわずらわしたい、かように考えておる次第でございます。
  6. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、次に運輸省小川君。
  7. 小川吉男

    説明員小川吉男君) 業務課長小川でございます。今回の運賃改訂につきましては、先ほど石井常務理事からお話がございました通りでございます。当初国鉄から一割八分の値上げ案の(「同じことはいいじゃないですか、繰り返さぬでも」と呼ぶ者あり)一割八分、一割五分……。一割三分と閣議決定になりましたね、その間の事情をちょっと御説明しようと思います。  当委員会から出されましたこの運賃関係遠距離逓減、それから特定割引軽減措置、これらにつきましては、まあいろいろと遠距離逓減の問題につきましては、国の経済の問題、それらと考え合せまして措置した問題でございます。  運輸省といたしましては、最近輸送国内全般に逼迫いたしておりますが、この輸送をあずかるものといたしまして、船と自動車、それから鉄道といったようなものをからみ合せて考えますと、船の輸送につきましてはまだ若干船腹的に、国内輸送の、国内の内航といたしましては若干の余裕があるやに考えられるのでございます。それからまたトラックは、これはどんどんふえる一方でございますが、この点につきましても用途的に若干、地方的に、あるいは用途的に若干詰まっておる点もございますけれども全般的に見ますと、数字の上におきましてはなお余剰的な分があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  ところが、国鉄につきましては、これは経済界の異常な発展に基きまして、ゆとりのない輸送をいたしております。それで今回の値上げ申請に基きまして、五カ年計画を推進いたしまして、これを解消しようということでございますが、そのような方法とはまた別個に、海運等調整といったような面から、遠距離逓減ということも一つの必要な措置ではないか、輸送上の手段といたしまして必要な措置ではないか、こういうようにわれわれとしては考えるわけでございます。  それから北海道関係物資に対する割引その他の各種割引廃止、これらの問題につきましては、先ほどの、北海道の航路の関係その他から申しまして、また従来の等級審議会の経緯その他から見まして、これらの措置廃止ないしは低下することが適当ではないか、こういうふうに国鉄申請にございますが、われわれとしても一応の同意見を持っておるわけでございます。  それから全般の問題につきましては、国鉄申請はそのまま運輸審議会——運輸大臣諮問機関でありますところの運輸審議会申請いたしまして、それぞれ国鉄申請に基きまして、一応理由はあるものとして諮問をいただいております。運輸省といたしましては、これらの点につきまして運輸審議会意見を尊重して措置したい次第、当面そういうように考えておる次第でございます。
  8. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、農林省経済局長渡部君。
  9. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 先般閣議で一三%の国鉄運賃値上げがきまり、この内容につきまして私ども国鉄運輸省の方に伺っておりますが、ただいままだ作業中、こういうことで、内容についてはつまびらかにいたしません。ただ一八%値上げ案、これにつきましては国鉄運輸省から連絡を承わっておりますので、これをもとにいたしまして、一八%を一三%に圧縮した場合にどういう影響が、これがそのまま圧縮した場合にどういう影響があるかということを一応私の方で試算いたしてみましたのであります。  それにつきまして重要な物資につきまして申し上げますと、米麦につきましては、食管特別会計におきます運賃総額は、三十二年度において約九十四億、そのうち国鉄関係が三十四億になるのであります。一三%上げというものを考えますと、約五億四千万円程度負担増になる試算が出て参ります。  第二に肥料であります。肥料につきましては、運賃改訂によりまして、製品輸送運賃のみならず、原料材輸送に要する運賃影響を受けまして、肥料価格値上りは、おもな肥料について試算いたしてみますと、硫安につきまして一・三%、トン当り硫安公定価格は二万七百二円平均になっております。二百六十九円、約一俵について十円上る、こういうことになっております。それから過燐酸石灰につきましては一・五三%、トン当り一万三千十三円に対しまして百九十九円七十二銭の値上りになる計算になります。肥料全体について試算をいたしますと、約十四億円の値上り消費者農家の方に現金負担増となってくる、こういうように思います。  それから次に、木材その他林業関係であります。原木、製材、坑木、まき、木炭について試算いたしてみますと、約二十三億円あまりの負担増となります。特に坑木、まきにつきましては、価格中にしめます運賃比率が非常に高いので、その販売価格に対する影響は相当強く及んでくることになると思います。  水産関係でありますが、これは総額約六億の負担増というふうに試算ができております。特に水産物につきましては、北方及び以西底びき等を中心とする西の方に生産地が片寄っておりますので、もし一八%の試算の当時のような遠距離輸送の短縮ということを行われることになりますれば、水産物が最も極端な影響を受けることになるだろうと思います。たとえば鮮魚は平均輸送距離が七百三十二キロになります。塩乾魚距離は九百十二キロになっておりますから、それらを合せますと、私の方の試算では値上り率が三〇%以上になるのではないかというふうに試算されますので、最も大きい影響を受けることになるのじゃないかと思います。  農林省といたしましては、もうすでに政府で来年度予算編成方針がきまり、あるいは与党の方で党議がきまっておるのでありますから、その範囲内において実行について各方面実情に照らしまして、先ほど国鉄からお話がありましたように、一八%の試算のときのような極端な変化が来るようなことはとうてい忍ぶことができないのでありますから、そういう点について交渉をいたさなければならないと、こういうふうに考えておりますけれども、そもそも運賃値上げにつきましては、特に農林物資については非常に問題が大きいのでありまして、これは二十八年の運賃値上げ、これは等級値上げのときに十分その当時の国鉄当局とは長い間かけて激しい論争をしておりますので、よもやこういうふうな案が出るとは私ども予想をしておらなかったのであります。しかし出てきているのでありますから、今後各方面の御意見を十分伺いまして、折衝を重ねてゆきたいと、こういうふうに考えております。二二%上げるか上げないか、あるいは一八%上げるか上げないかという問題につきましては、農林省といたしましては相当強い意見を、正式の公文で農林次官から運輸次官申し入れいたしておったのであります。そういう点がどこまで取り入れられることになりますか、今後十分交渉いたしたいと思います。詳細は、一三%の値上げ案内容を伺いまして、それについて一つ品目品目について具体的に折衝を続けてゆきたいと存じます。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは一八%中心ですね。
  11. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 一三%に引き直しまして圧縮いたしました。
  12. 田中啓一

    田中啓一君 時間がございませんから、簡単に運輸当局並びに農林省にも意見を申し上げたいと思いますが、私ども鉄道の運んでおられる人並びに物資というものの運賃値上げをして、そうして鉄道合理化をやり、かつ輸送の隘路を打開してゆく、近代化もすると、こういうことは私どももやるべきだというふうに……。当農林委員会の従って要望していることは、そういうことを言うているのではない。この書き方は非常に抽象的でありますから、実は何かこう部分的な陳情みたいにおとりになっているかもしれませんけれども、そうではないのでありまして、農業にしましても、農林業にしましても、水産業にしましても、それぞれ地方に一つ産業構造というものを構成しているのでありまして、例を宮崎県にとりますれば、ああいう暴風の頻繁に来る災害地でございますから、農業構造を変えてゆこう。風でやられてしまうものを作ってはだめなんで、風にやられないものを作って農業を立ててゆく、こういう方針でいろいろの作物の転換が行われているわけであります。そこでまあ非常に進んできましたものが、野菜くだもの等でありまして、これをまあ西の国でありますから主として市場は阪神でありましょうが、そういう所へ出して、そうして農業を立ててゆく。その金額は十億にも及ぶというわけであります。これはもう貧弱な宮崎農業としては非常な大きな柱に現在なりつつある、また将来さらに大きくなっていくものだと思います。これはまた決してただでできたのじゃない、いろいろ補助金等も用いまして、ずいぶん政府が勧奨をして、官民相待って努力した結果がここまで来ておるわけなんです。北海道でも、あるいは東北でも、そういった実は今日の産業構造実情なんです。  そいつを今遠距離輸送運賃の従来の規定を直されれば、これは一挙にして、せっかく芽ばえ、進みつつある産業構造は壊滅をしてしまう。何のためにこれまで補助金や何か投じてやったかわからなくなってしまう。こういう結果になるから、運賃値上げはやむを得ぬにしても、そういうことのないようにしてもらいたい、こういうことなんです。これは適地適作といい、あるいは輸送当局から見られれば、そんな遠い所で野菜を作るというのは適地か、適作か、こう言われればそれまでのことなんです。けれども、やはり農業というものは複雑でありますから、単純な理論の一点ばりでやられてはこれはいかぬのです。これは調和してもらわなければいかぬ。そういう趣旨のことをここで申し入れたつもりなんです。  これはまた委員諸君も、あるいは私の言うところとはちょっとはニューアンスが違うところはもちろんございましょうが、私の気持としてはそういうところなんです。でありますから、これは一つ農林当局とも御相談下さって、農林当局もこういった、今経済局長の御説明を伺うと、総体的な農林物資製品、あるいは肥料の購入にしろ、結局農家所得に関する悪影響をあげられたのですが、これは総体的にあげておってもいかぬと思う。特に農林委員会申し入れ趣旨は、私の言うておること自体には、私はどなたの委員も御反対の方はないと思う。そのほかにも言いたいことがたくさんあるということだろうと私は思う。でありますから、どうぞそういう趣旨一つ、せっかく作業中でありますから、十分御検討を願いたい。以上でございます。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 運賃値上げに際しては、現行運賃中心にして一律引き上げの御方針が大体きまっておるか、もしくは今言われたような、同僚の田中さんの御説明があるように、おのおの産業の実態を中心にして運賃の率をいろいろ改正する御意図を持っておるのか、まずそれをお伺いしたい。
  14. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 私ども考え方といたしましては、運賃改正に当りまして、一律にある定率を上げるというやり方と、この際にいろいろの制度合理化、この点につきましては各方面から多数の御要望も出ておりますし、また現在の輸送力を最も効果的に使うという観点からの制度の改善というようなことを中心に行うか、こういう二つやり方がございます。今回の場合はおおむね、おおよその考え方はできるだけ一律でやる、しかしながら制度改正も若干これに加えて参りたい、そういうつもりで当初の原案、運輸省申請いたしましたのはなっているわけでございます。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここで今運賃を定めまする際に、大体どういう点が基本になってこの運賃表というものを作られておるか。たとえてみますれば、私どももこの運賃等の算出について深い研究もしておりませんのですが、ただ常識的に考えますと、場合によると、農水産物の中には輸送原価よりも運賃の方が高まるようなものが出てくる、こういうものも考えられる。たとえば新潟のなわを一車、北海道のごくすみの方にでも送りますると、原価であるなわの値段よりも貨車の運賃値段の方が高くなって、これでは全く商売にならぬばかりか、計算もつかない。こういうものができ上っておる。そこでわれわれが考えますならば、たとえば同じ一車の中に高級絹織物を積みますならば、これは何百万円、あるいは何千万円のものが積まれる。こういうものはかりに一三%上げましても、たとえば単価を十円なら十円、百円なら百円としましても、そういう単価から見ますと、かかる分は全く問題にならない。ところが、一方においては一〇〇%以上の過重になるような場合も考えられる。これは誇大な言い方になるが、そういうようなこともありますから、結局運賃を定める上に、こういうような点を加味しておるかどうか、今まで定められたものが大体何を基本にして運賃表というものを作られておるか、これを一つお伺いしたい。
  16. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 貨物運賃のきめ方でございますが、これは貨物物資の、何と申しますか、負担力と申しますか、そういうただいま話のありました負担力に応じて、等級制という制度をとっております。負担力の多いものは高い等級負担力の少いものは低い等級ということになっております。これは鉄道貨物運賃が、各国とも鉄道独占時代に、いわゆる唯一の輸送機関として、国家政策と相待って、産業助長その他の観点から、等級制度というものをしいて参ったのであります。それからいま一つ考え方は、実費主義でありまして、これはほかの運送機関、たとえばトラックのようなものは、御承知のように、物資値段というものと関係なく、輸送機関の方の実費からはじきました運賃というものをちょうだいするという、二つ考え方があるわけであります。  国鉄におきましては、昭和二十八年に等級の大改正をやりまして、そのときには関係各庁並びに国会各位並びに産業代表の皆さんのお集まりを願って、いろいろ御検討を願ったわけであります。結局この実費主義負担力主義との調和と申しますか、そういう観点で、少くとも一番低い貨物につきましても直接の実費だけはいただかなければ、鉄道という企業のあり方からして、おかしいのではないか。それから直接費だけしかいただけない物資に対する運賃というものの不足というものは、高い負担力のある貨物からとる。こういう大体の、大ざっぱに申しますれば、そういうことであります。  いま一つ距離関係でございますが、距離につきましては、日本におきましては、過去の趨勢は遠距離逓減を行なっております。最初の十キロでいただきますところのキロ当り運賃を一〇〇といたしますと、ただいまのところでは、五百キロのところで二二、さらに千五百キロになりますと一六程度というような非常に安い単価計算しております。それは一つの、これも日本の特殊な経済、地勢その他から出ておりますことでございまするが、この点につきましても、やはりある程度実費を、最小限度の直接費をカバーするという賃率は、やはりこれはちょうだいしなければ、他の運輸機関輸送分野との調整においても非常に不合理な点も出てくるかと、こういうふうに考える次第でございます。  等級貨物品目による割り振り、それから距離による逓減と、この二つが縦横になりまして、ただいまの運賃制度ができているわけでございます。
  17. 青山正一

    青山正一君 先ほど田中さんからいろいろ、この決議の問題について御説明があったわけですが、その観点がだいぶ違っておるわけであって、これをたとえばこの遠距離関係、現在は八百キロまで逓減しておる、こういうふうな格好になっておるものを、今度の改正によって五百キロにしようというふうな意見があるわけなんですが、この八百キロ以上をさらに強化して千キロ以内にしてもらいたいというのが、この当委員会決議のいわゆる話し合いなのであります。それからたとえばこの特定物資ですね、九州とか、あるいは北海道から来る下級魚運賃は、現在五分引きになる、あるいは塩乾下級魚は一割引きになっておる、あるいはスルメは五分引きになっておる、焼きちくわは一割引きになっておる。これは今度の改正によって廃止になっておる。これはとんでもない話だ。この五分引きなり、あるいは一割引きをさらに強化せよというのが、当委員会決議であるというふうに私どもは解しておったわけであります。そのほか、運賃の上げおろしということは党によっていろいろの考え方はあろうと思いますが、少くとも当委員会考え方はそういうふうな点にあったと私は解釈しておったわけであります。  そこで、先ほど経済局長の話によっても、これは当然でありますが、現在この一割八分引きとか、一割二分引きとか、そういうことをいろいろ検討されておりますが、実際の上において、たとえば北海道スルメは二割七分六厘上っておるじゃないか、あるいはサンマは二割二、三分上っておるじゃないか、コンブに至っては三割八分、あるいは塩ニシンに至っては三割六分、あるいは焼きちくわに至っては三割七分と、今のこの国鉄考え方とかあるいは運輸省あたり考え方で進んでいけば、こういうふうな現状になるのじゃないか。それからまた場合によれば、そのほかに冷蔵庫使用とか、あるいは列車指定によってさらにそれを上回る。こういうことじゃ全部のしわ寄せが農作物なり——これはただ漁業の一端だけを申し上げたわけでありますが、漁業の面とか、あるいは農業の面に全部しわ寄せが来る、あるいは水産の面にしわ寄せが来る。上げるならば平等に上げていくというならばまだしもの考え方だというのが、これが当委員会の話であったと、こういうふうに解釈するわけであります。その点を一つ農林省もこれをはっきり記憶にとどめて、一つ一つ検討するならば、私の今言ったことはこれは一例にすぎませんが、そういう点を十分御研究願いたいと思うのです。これに対する運輸省の御意見なりあるいは国鉄関係の御意見はいかがですか、一つお話し願いたいと思います。
  18. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 先ほどの御質問とも関連するわけでございますが、つまりフラット・インクリース、すべての現在ある運賃制度の姿をフラット・インクリースの制度に全部するという改正の仕方もあるのでございまするが、しかし最近におきますところの輸送事情の逼迫を見ますと、何としてもこの輸送力を増加するという、これは一つには設備をふやして輸送力を増加するということも必要でございまするが、いま一つはやはり合理的に輸送力をお使い願うということを考えなければならないと思うのでございます。現在、先ほど農林省の方からお話もありましたが、硫安というようなものの例をとりましても、非常に交錯輸送が多いわけでございます。これは結局何と申しますか、遠距離逓減というようなことがこの交錯輸送を助長しているという——われわれの方で検討いたしますれば、まあ硫安というようなものは別にメーカーによって何ら品質に相違がないということになりますれば、輸送遠距離輸送力を非常に短縮して、同じ目的を果し得るわけであります。そういうこともやはり、こういう輸送力が逼迫したときには、御研究願って御援助を願えたら、必ずしも今日賃率が上っただけがそのまま負担増になるわけではなかろうかと思っておるわけでございます。そういう観点で、海運調整部長その他から、遠距離逓減率を修正するということが経営調査会等でも御指摘になりまして、私ども急激な変化を避けるということも目標に置きまして、若干でも修正して参りたいと考えて申請したのでありまするが、なお先ほど田中先生のお話もありましたように、結局産業自体が危殆に瀕するとかいう問題につきましては、これは影響に対する見方の実際の御検討の問題ではないかと。私どもも決して、農水産業に対してそういうようなひどい結果を来たすというようなことを、意図しておるわけでは毛頭ございません。この点につきましては、具体的な影響その他いろいろ御検討願いまして、私どもの方もその点につきまして御協力できるものはいたしていきたい。しかしながら、体系そのものといたしましては、やはり今日の輸送力実情から見まして、若干の是正をさせていただきたい、こう考えている次第であります。
  19. 島村軍次

    ○島村軍次君 具体的の問題に関して……。八百キロを五百キロに短縮するということに対しては、運輸審議会等の経過から見て、一割三分にもいずれ基準があったと思うのですが、御逓減になった。そういうことは経過の過程においてどうであったかということを聞かせていただきたい。  それからもう一つは、硫安の実際をお話しになりましたが、田中委員からお述べになったように、われわれの主張のおもなる論拠は、産業構造というものをもっと農林水産についてはしっかり把握してもらいたいということなんです。硫安についての例はわかりましたが、硫安と同じ考えをお持ちになっておると、これは大きな間違いです。農業はまあ、私が申し上げるまでもなく、生産がきわめて分散して、それが集まって一つ生産物として、何キロなら何キロというものが出てくる。その間には小さい、零細なものがあるわけです。先ほど基本方針お話しになった。負担力というものについては、硫安生産者と五反百姓、あるいは何キロも作るものとの構造は、非常な差異があるということを、そういうことからいろいろ日本産業の点から考えられたと思うのでありますが、それからこれも釈迦に説法かもしれませんが、要するに実費主義をおとりになるといたしましても、やはりしわ寄せが分散生産農業水産に来る。それはいわゆる流通過程における中間のマージンとかそういうところで吸収すべきじゃないかという議論もあるでしょうが、それが直ちに今回の改訂によって非常に農業それ自身の分散生産影響がある。こういうことはよほど、二十八年の改訂の時分も御検討になった問題であろうが、さらに記憶を呼び起し、そして認識を新たにして考えていただきたいというのが、この今回の申し出の主体であると思うのであります。  なお具体的に、この一割八分の場合における、たとえば北海道の種バレイショはこれは全国へ送られておる、こういう問題については、一割八分の場合における値上り率は二七%だという数字が出ておる。林業においては、今農林経済局長お話しになったように、二五ないし三〇%の引き上げが行われる。水産においても同様というような、それ以上だというような結果が出るということは格別にして、もっと検討を十分加えていただきたいということを強く要望いたしたいと思うのでありますが、そういう問題に対して、さらに運輸省国鉄当局、両方から一割三分に減額した場合に具体的措置検討されていると思うのでありますから、一つ承わっておきたいと思います。
  20. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 実は閣議決定になりまして以後、一割三分案というものについては、まだ運輸省の方からも具体的な賃率等の指示その他についてございません。これはまあ予算が成立するまで非常に御多忙だったためでございましょう。幸い予算もこの月曜日でございますか、きまりましたので、今後はこの点についていろいろと運輸省と御相談して、賃率等の整理ができると思います。今具体的にどうなるかという点は、もうしばらくごしんぼう願いたいと思います。ただ、農林水産物資についての基本的な考え方にいたしましては、これは皆様方からみれば非常に御不満かもしれませんが、私どもといたしましては、非常にその点について今まででも十分留意をしてやっておる。御承知等級制にいたしましても、特別等級というものは、これはもうほんとうの一種の割引でございますが、このうちの九五%まではみな農林物資でございますし、またそれ以外に特別割引をやっております物資の八五%までは農林物資でございます。率直に申しますれば、私どもとしてもずいぶん農林水産物資については御協力申し上げておるつもりでございます。そういう御趣旨は従ってわれわれも十分了承しておるわけでございまして、今後一つ具体的な問題につきましては、実際の影響その他という点について御見解の相違もあるかと思いますので、その点はよくお話し合いをして御納得願えるところは願い、またわれわれとして考うべきところは考えたいと考えております。
  21. 小川吉男

    説明員小川吉男君) 当初の運輸審議会審議の模様で御質問ございましたので、お答え申し上げます。結論を申し上げますと、公聴会で意見が述べられたのでございますが、まあ遠距離逓減の反対の意見と、それからこれを、現在国鉄原案に賛成する意見、いろいろあります。また学界代表、学術経験者を代表された方々の中におきましては、今回の申請制度につきまして全般的におおむね賛意を表せられております。で、運輸審議会答申といたしましては、やはり遠距離逓減については国鉄申請を適当と認める、こういう答申が出されておる。
  22. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) ただいま遠距離逓減の問題が出ております。この前の二十八年の等級審議会のときに私、委員で参加してやったのであります。その際は各物資関係者、あるいは各物資所管の官庁の人も入れて、ほんとうに長いことかけて相当激しい議論の上きめたのであります。今回の場合には、運輸審議会の中にはそういうメンバーは網羅していないのではないかと思うのであります。公聴会で意見を聞いて聞きっぱなしで、そうして先ほど国鉄当局からの御説明によりますれば、実費主義とか負担の公平主義とか、こういうことでやられておる。そういう議論はこの前の等級改正審議会のときにずいぶん議論されて、そうして現在のような等級ができておるのではないかと思うのであります。もしそれを国鉄の方で変えるならば、やはり等級審議会みたように、もう一ぺんやり直すことが、私どもただいまの一八%の案をもとにして考えますと、そういう物資を担当しておる官庁としてはどうしても承服ができないのではないか、こういうふうに考えるのであります。
  23. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいま経済局長お話ございましたが、二十八年のときは等級そのものを全部組みかえたのでございまして、従って、等級審議会というような専門的な御知識をわずらわしたのであります。今回は、特にその際に行われました等級改正の遺漏のあった、なお研究不十分であったごくわずかな品目について、これもほとんど格下げでございます。低い方へ向う方の修正をするのですが、等級自体としては何らいじっておらないわけでございまして、ただ遠距離逓減の修正の関係で、農林水産物資について何か特に御負担がかかるというような御議論が出ておるわけでございまして、私ども今後も、等級改正するときは、依然として独善的にやるという考え方はございません。各方面の御意見を十分拝聴して御納得を得てやりたいと、こう思っておりますので、今のお話、はなはだ——決して御反対申し上げるわけではない。ただ誤解が、お考え違いが若干あったのではないかと思うので申し上げます。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと参考にしたいのですが、貨物等級の算定に対する基礎条項並びに一般運賃に対する算出の基礎条項というのですか、そういうものをちょっと文書でちょうだいしたいのですが、……。たとえば貨車一日の原価計算がどうだとか、何キロに対する単価をとってその輸送が幾ら幾らとか、それにプラスするに何々だ、こういうふうなもの何かあるだろうと思いますが、そういうものありましたら、至急ちょうだいしたい。また等級と同時に、かりに遠距離逓減が云々せられるならば、そういうものを見まして、現在の逓減がどうなっておるかと、こうなりますと、一日の貨車が、これを用います場合に、短距離の所に行って着駅する。それを最大限に回しても、今のようなつっかえておる時期になりますれば、一晩くらいとまる。それが十日間繰り返されれば、十日分の休車が出ることになる、こういうことは考えられる。ところが、一たん積んだものをぱっと八百キロも持っていく。こうしますれば、そういうものがうんと減るだろう、こういうようなものも考えてみたいので、一つそういうすべての運賃を出す基本考え方、そういう必ず数字があるだろうと思う。そういうものを一つ参考資料としてちょうだいしたいと思います。
  25. 安部キミ子

    安部キミ子君 時間がありませんので、私簡単に質問いたします。  今、私どもが問題にしていることは、結論的に言いますと、生産者の米価が今のような価格ではやりきれなくなるということと、消費者の米価はやっとこの間現状維持ということになりましたけれども、これがつまっていくところは、結局また値上げという結論になってくるということは、結局インフレの要因になるということを日本経済の中で私ども心配するのです。そういう意味で、鉄道当局の方では、こういう値上げを、ただ自分の経営を主体に考えておいでになるんでしょうけれども日本経済とすれば、重大な問題なんですね。そういう観点から、硫安が一俵十円も上るということを、農林省はどういうふうに考えておいでになるか。このことは今私が申しましたこととあわせて、重大な問題になってくると思うのです。それから消費者にいたしましても、遠距離の鮮魚の輸送で三〇%も上るということになりますと、遠い所から鮮魚が送ってこれなくなる。東京でも高い魚を食べなければならぬということになる。こういうことが私どもの日常の生活に非常に影響して、家庭経済を混乱してくるという結果になるのですが、あなたの方ではこういう実情になっていることを、インフレの要因になるというふうには考えておられぬかどうか。
  26. 石井昭正

    説明員石井昭正君) まあ、これは日本経済の根本理論はまあいろいろ御担当の向きで考えられておると思うのであります。私どもは、ことに生鮮食料品あるいは農林水産物資については、運賃を若干上げていただいても輸送力をつけることの方が先決問題ではないか、現在東京都におきます木炭にいたしましても、十分これを山元で生産したものを運ぶことができれば、生産者も山にせっかくの生産を腐らして商品にならないというようなこと、あるいは倉敷料その他をよけいに負担しなければならぬ、あるいは滞貨金融をしなきゃならぬ、こういうようなことが十分解消され、また消費者も物がたくさん入ってくれば、現在の経済は何と申しましても自由経済でございまして、バランスがとれて需給のバランスのもとに価格がきまるので、決して運賃だけでもって価格が上下するわけでない。むしろよい品物をたくさん適時にお運び申し上げるということが最も、消費経済のインフレのない、消費経済の利益になると、かように確信しておる次第でございます。
  27. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 硫安が、運賃が上るに従って上るのじゃないか、こういう御質問と思います。計算をいたしますれば、その通りになります。ただし、私の方では硫安公定価格をきめる場合に、鉄道の方の統計で拝見しますと、硫安輸送キロが三百キロあまりになっておりますが、私の方では二百三十キロで運賃を査定してきめております。ですから、その限りにおいて、そのほかの諸資材、原料資材等の関係等を見合って、原価計算上においてはいろいろ問題が出てくると思います。ただし、それだけの負担が値段を上げなければ生産者の方にかかる、生産者の方でそのほかの諸資材、あるいは生産合理化等によって吸収できなければ、原価計算上その分を上げなきゃいかぬということになると思います。しかし、それらは今後運賃がどういうふうに上るか、賃率がどういうふうに上るかということを見まして、対処したいと思います。しかし計算をすれば、今のように上ってくることになろうかと思います。
  28. 安部キミ子

    安部キミ子君 もう一点、それじゃ農林省に。米価の値上げはこの輸送値上げには何ら関係がないということが言えますかどうか、その一点だけ伺いたいと思います。
  29. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 硫安だけについて申し上げますと……。
  30. 安部キミ子

    安部キミ子君 硫安ではなくて、輸送ですから、全部ですよ、ほかの肥料も。
  31. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 硫安で代表しまして、肥料ですね、それが原価計算上どれだけ吸収されるかという問題が残りますから、それを見なければはっきりしたことは申し上げられない。計算上は今の原価、今の、少くとも昨年の夏原価計算をしてきめましたから、その後の諸資材あるいは企業の合理化等を加味して吸収できるかできないか、できなければと、こういうことになります。
  32. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうすると、関係が全然ないとは言えないですね、値上げと。
  33. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) さらにやってみなければわかりません。
  34. 安部キミ子

    安部キミ子君 そんなことでは困るでしょう。大体わかるでしょう。
  35. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) わかりません。企業の合理化あるいはその他のファクターで下るものがあれば……。
  36. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  37. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  38. 安部キミ子

    安部キミ子君 この質問は、次に保留しておくことを約束して、やめます。
  39. 島村軍次

    ○島村軍次君 希望だけ。作業中だというお話なんですから、これはいずれ各具体的に、それぞれ農林省あたりと十分御協議を願いたいということですね。  それからちょっと、言葉じりをつかまえるわけでもありませんが、公聴会では距離の短縮はこれは強い賛成であったというようなことだけで、簡単にそれは決定していただくことは、われわれは非常に不満ですから、そういう問題についてですね、できるならば、原案ができましたならば、農林物資関係したことを当委員会一つ内示してもらいたい。それを委員長を通じて希望していただきたい。
  40. 千田正

    ○千田正君 もう一つ要求しておきますが、さっき運輸省から、運輸審議会答申は大部分賛成のようなことを言っておるけれども運輸審議会委員を設定する際に政府がわれわれに要求してきておるものは、これこれの人間を運輸審議会委員にしたいから賛成してほしいということで、われわれはそれを推薦しております。しかし大体の見当からいいますと、政府の御用機関あるいは御用学者が大部分入っておるという感じがしている。今日のように、民生の安定に非常に影響するようなこういう審議会のメンバーが、そういうような態度でやるならば、われわれは、これは別個に解職させて、新しい国民の意思を反映するような委員を選ばなければならない。でありますから、運輸審議委員の名簿を提出させて下さい。(「異議なし」「その通りだ」「賛成」と呼ぶ者あり)
  41. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、なお過般の委員会申し入れ並びに本日の委員会の経過にかんがみて、何とも遺憾のない処置をせられ、その経過をすみやかにこの委員会に報告せられるよう希望いたします。  なお、今各委員から要望のありました資料は、即時御提出のほど願います。   —————————————
  42. 堀末治

    委員長堀末治君) では、続いて北太平洋のオットセイの保存に関する暫定条約に関する件を議題にいたします。  本件について千田委員から発言が求められておりますから、この際御発言を願います。
  43. 千田正

    ○千田正君 だいぶ時間もないようですから、長官にもっと詳しい説明を願いたいのですけれども、まだ農林水産委員会も将来ずっとありますから、詳しい問題はあとから聞きますとして、昨年の夏以降、日本漁業に対しては重大な問題は、少くとも国際上の問題としては大体三つあったと思います。その一つは日ソ漁業条約に基くところの日ソ漁業委員会の設定、並びにそれに対応する方針としての日本政府の所信というものを、私は伺いたいと思うのであります。またもう一つは、ラッコ、オットセイの捕獲禁止に関する問題について、これも国際条約と関連しておる問題。もう一つは、日韓問題としていまだ解決のついておらない国際問題、こういうふうな国際問題が三つの重点にしぼられておると思います。  それで、私はきょうは時間もありませんから、昨年の夏以来水産当局から十分なるこれらの問題に対する経緯の状況は御報告いただかなかった。それで簡単でけっこうでございますから、なお詳しいことは次の機会に譲るといたしまして、長官から御説明願いたいと思います。
  44. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) お説の通り、日ソ問題と、四カ国のオットセイ問題、日韓問題、いずれもわれわれとして非常に大事な問題であると同時に、緊急解決すべき問題と心得ておりまして、日ソにつきましては、技術的な面で相当ソ連の方も資料を持ってくるということは予想せられますので、対応的に、私の方といたしましても、あの漁業協定の項目にありまする鮭鱒、カニ、ニシンにつきましては、それぞれ水研あるいは大学等の従来の権威者をたびたび御足労願いまして、かたがた部内の関係部長以下やはりその道に勉強をしておる者、並びに民間の方でよく事情を科学的に承知しておるような人に御参集願いまして、カン詰め的に相当期間勉強をしたわけであります。要は、その点で非常に困るのは、ブランクになって、相手方のソ連の沿岸近くから河川遡河した鮭鱒の資料が、戦前の分はわかりますが、その後の分につきましては、ソ連から出されている雑誌あるいは新聞等の切り抜き等を総合判断するというようなことで、その点は非常にわれわれとしては困っておる点でございますが、幸いにして、統計面におきましては、向うの発表というものもある程度推定数が出ましたので、対比いたしまして、一例をあげてみますれば、統計学上から分析をいたしますると、大体この程度とるのであれば北洋の鮭鱒資源にはそう心配要らぬのじゃないかというような点も見出だされると思います。その他いろいろな科学的な理由づけにつきましては、むしろ先生方、御賢慮いただくと思いますが、交渉をまぎわに控えておりますので、一つ別の機会に内々にお漏らしすることのお許しを得たいと思います。  それからオットセイ問題につきましては、事実上は、昨年の暮れに大体に四カ国で話し合いがついておるわけでございますが、なぜ今日まで延引しておるかと申しますると、ソ連語の翻訳、あるいはまたソ連側からいえば英語の翻訳等に、若干のニューアンスが違うというような点も持ち寄っての出直しとか、あるいはまた会場の変更等もございましたために、二月の九日に最終的な調印をやるということに相なっております。いずれ調印後におきまして、この本委員会の催しのときに内容を詳しく申し上げる予定にいたしております。  大要、あらましを一口に言いますると、今後六カ年間は海上における商業的な猟獲は行わない。日本側からいいますると、この点は不満ではございまするが、しかし調査という形におきまして、その間にアジア圏のものにおきましては、四千頭程度調査において捕獲する。そのうち大部分は日本側がとって、若干をソ連がとるというように、頭数もはっきりといたしております。それから歩合制度につきましては、アメリカ及びソ連が陸上でとれたものの皮の一五%は、毎年日本及び陸上でとれないカナダに配分するということになっております。従いまして、これの予定収入は三十二年度におきましては、粗収入が約九千万円、それを皮に直すいろいろの経費などを差し引きますと、四千五百万円程度でございまするが、三十二年度以降におきましては逐次増収になりまして、純益におきましても見積りは三十三年度は一億三千万円、三十四年度になると二億円をこえるというようなことに相なりまするので、この収入と見合いをかねての将来の予算措置につきましては、よく議員先生方の御要望の線を十分に勘案いたしまして、今後の予算措置については検討を加えたい、かように思っております。  本年度はさしあたり、予算として二千万円程度を、主として陸上取締り、海上の調査、陸上の調査等に充てるというような見込みにいたしております。  それから日韓問題につきましては、遺憾ながら、いまだいつごろになればはっきりするという見通しはつきませんが、一番心配しておりますのは、漁夫が最近もまた不法拿捕によりまして増加いたしまして、現在は約一千人に近い程度の人が韓国に抑留されておるわけでございます。どうもその拿捕の方法などを見ますと、最近は李ラインを相当離れているにかかわらず、向うの方が強引に引っぱっていく。中には、かわいそうに、小さな船に親子が乗って、しかも延縄を対馬沖でやっているというようなのを、ちょうどネコがネズミを追うような追い方をしまして、無理やりに李ラインに追い込んで、そうしてつかまえて、そうして李ラインでやっているじゃないかという、こういうような非常に残酷な拿捕をやっております。非常にわれわれは内心憤慨にたえないものがあるのでございますが、逆に、外務省といろいろと打ち合せしておりますが、どうも人質をふやすために、ことさらにああいうことをやっているのじゃないかというように、悪く解釈すれば思われるのであります。こういう状態が続く場合には、漁業問題をすなおに話し合いするというような段階にも、なかなか立ち至らぬのではあるまいかと、非常にわれわれとしては心配いたしております。まあ外務省とも十分連絡いたしまして、何とか一日も早く拿捕されている漁夫を日本に帰すようにという打ち合せと努力は、続けて払っておる次第であります。
  45. 千田正

    ○千田正君 それで、時間がありませんから、三つの点について要望を申し上げておきます。  第一点の、日ソ漁業条約に関する問題につきましては、御承知通り、ソ連側が七十五名の日本駐在大使館員の要請に対して、アグレマンがとれなくて、五十五名に限定した。五十五名のうち、どれだけの人間が日本側の漁業折衝に当るかどうか知らぬが、おそらくソ連の大使館員が日本に赴任しなければ、日ソ漁業委員会というものは構成できないものかどうか、この見通しはどうなのか。それと、それに伴って、これは大きな将来の水産としては考えなくちゃならないものは、漁獲量の問題その他が当然重点となると思いますので、それに対処する処置は十分考慮しておかなければならないと思います。この点については、いずれ次の機会に聞きますが、この日ソ漁業委員会が、なぜ延び延びになっているのか、この点はどういう見通しなんですか。
  46. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 最初イシコフ大臣が見えるということ、及び原則的には十二月末に開催したいという、しかも東京で開きたいという日本側の希望については、原則的に賛意を表するというようなことを言いながら、その後病人も委員の一行のうちに出たし、それからいろいろな都合で、イシコフ代表は行けなくなった。そのかわりに第一次官、極東を担任している人が第一次官になっておるそうでありますが、大臣にかわって団長として行くというようなことが通知せられたのであります。それは一月上旬に行くというのであったわけです。それがさらに、一月上旬が延びまして、二月上旬には参りますと、こういうことであります。それで、そういうふうな延び延びになって困るじゃないかということで、外務省を通じまして、駐在しています新關参事官に、厳重に向うの方に、この上遅延することは困るという申し入れをしたわけです。ところが、二、三日前でありますか、向うの方から新開参事官に対して、渡航手続を依頼してきた。だから、間違いないだろうという外務省の解釈で、私の方も、手続を正式に申し出たということであれば、二月上旬には必ず来るものと、かように思っております。
  47. 千田正

    ○千田正君 非常にわれわれは、杞憂かもしれませんが、前河野農相とイシコフ氏との間に相当の話が進められておって、イシコフ氏がこのたびの代表として来るものという期待を持っておったのが、かわりにクータレフですか、かわって来る。何かそこに日ソ漁業問題の前途に対して、多少新たなる困難さが生まれてくるというような杞憂を持つのですが、あなたの考えはどうですか。
  48. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) どうも、大臣が来るというのが、次に、次官が来るということになれば、千田先生の御想像のように、われわれもそういい辻占とも思えませんが、しかしそうかといって、心配して外務省ともよりより話し合っておりますが、極東を担当している首席次官が来るということは、必ずしもそう向うとしても日本に対して非常に悪意を持ったような編成がえというように解釈するのには、まだ少し早過ぎるというような解釈も行われておりまして、まあ心配して、心配が消えれば非常に幸いと思っておる次第であります。
  49. 千田正

    ○千田正君 あと、最後に二点だけ。この日ソ漁業委員会に特に私は要請したいのは、これは将来あなた方が代表になって行かれるならば、向う側はラッコ、オットセイにしろ、サケ、マスにしろ、一方的に日本の方だけにかぶせて話が来ておる。でき得れば、日本側としては、やはり正々堂々とソ連の地区においても日本側が調査するという権限を、ある程度主張すべきじゃないか。たとえばオットセイにおいては、本年から調査をやる。それは日本の沿岸の海上調査だけです。ところが、果して、ソ連が今まで主張してきているように、サケ、マスにしろ、ラッコ、オットセイにしろ、国内において保護施設をどれだけやっているかということは、われわれはとうていその実情はわからない。それに対して、ある程度日本側も向うに行って調査するだけの主張は当然すべきであると思うが、この点に対しては何かお考えを持っておられますか。
  50. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) オットセイについても、陸上の調査をさしてくれという要求をしておりますし、向うも原則的にはのんでおります。それから鮭鱒につきましても、技術者の交換、相互に調査し合うという線は、漁業条約の第一回の暫定協定のあとで話し合ったときにも、向うは原則的に了承しております。ですから、今回の委員会におきましても、これは外務省が別途話をつける筋合いのものかもしれませんけれども、この委員会でもこの問題は相当強く要求するつもりでおりますが、おそらく向うもこれは受諾するんじゃないかというような気持を持っております。
  51. 千田正

    ○千田正君 ラッコ、オットセイの、たとえば分け前、これはまあとらぬタヌキの皮算用になりますが、あなた方が、予算は初めに九千万円、来年は一五%ふえて一億三千万円、逐次増加していく。過去においてわが参議院水産委員会が、ビキニの原子爆弾の影響におけるところの損害賠償をアメリカ側に請求せよという強い要求を、当時の外務大臣の岡崎君に要求して、相当論戦をした結果において、見舞金は十億足らずの金が来たが、それを被害者に分けてやって、最後には日本政府の大蔵省は、それが収入になったんだからといって税金をかけるようなことをやっている。そういうことはまことにわれわれとしましては、けしからぬことだと思う。将来かりにそういう分け前が入ってきたとしましても、これはどうしてもやはりそういうことにおいて、被害といいますか、漁業ができない、あるいは生業ができなくなった漁民に対して、十分めんどうをみてやるという方針を立ててもらいたい。これはまあいずれこの次の機会に、あなた方の方から調印後における批准要求の場合においては、これは大いに論争したいと思いますが、あまり議論がむずかしくならないように、筋道を立てて一つ説明のできるような案を作っていただきたい、これは要望しておきます。  第三点の日韓問題につきましては、非常に最近における状況は、またまたわれわれを刺激している。こんなことでは、いつまでたってもこれは解決できないんじゃないか。外務省の話があまり本気になってやらない、あるいは海上保安庁にしましても、相当これは公海の自由その他の保護をすべき立場にありながら、知らないうちに、向うの方にみな拉致されていく。これは何らかの方針をはっきり立てなければならない。もうそろそろしっかりした根本方針を立てる時期に入ったんじゃないか。こういう点につきましても、私は今なかなか時間もないでしょうから、外務省、あるいは海上保安庁、あるいはあなた方と、この三者で協議した最後の線を、はっきりしたものを打ち出していただきたい。  この三点に関して、特に要望しておきます。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、これはあなたにお伺いするのは無理かもしれませんが、聞いておりますと、オットセイの条約の問題などで、どうも国民として納得できないのですがね。全部秘密々々といってやられるが、何か非常に重大な秘密にしなければならぬ理由があるのですか。これは外務省に聞くのが一番いいのですが、これは漏らせれば漏らしていただきたい。
  53. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 決して今の段階にきまして秘密なんかの必要はないのですが、正式の調印の文案がきましてお答えした方がより的確だと思いますので、しばらく御猶予を願いたいと申し上げただけでございます。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 外交問題はだんだん国民のあれによってとられると思うのですが、折衝の過程において、はなはだ国民の考え方と食い違いがあるのだが、国民全体の、あげてやはりこれに対する世論というものの高まりが、外交上私は有利じゃないかと思う。そういうことを考えると、結果は出てきましたわ、それを一つ説明しようじゃないか。事の済んだところで、それならやめてしまえということは、なかなか言い切れるものではない。一番切実な修正の方法なんだから、適度の、折衝の過程において、どうしてもこれはのみ得ないというものは、国民的な大世論でぐっとあおっていって、そこで有利に展開することは、これはあなたに言うのじゃなく、外務省が考えなければならないと思う。それで、どうも秘密秘密と言われると、占領時代の何かの残痕がつきまとっておるのではないか、こういうふうに私どもは考える。
  55. 安部キミ子

    安部キミ子君 要望ですけれども、この次の委員会に、水産庁長官、出て下さい。それから外務大臣も出ていただいて、韓国の問題をもう少しやりたい。  それから資料ですが、今の問題にあげました生産者米価と、消費者米価と、運賃値上げとに関係の資料ですね、この次までに出して下さい。
  56. 堀末治

    委員長堀末治君) 農林省にそう言いましょう。  それでは、本日はこの程度で終ってよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、これにて散会いたします。    午後一時十三分散会